(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】画像表示装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
H04N 17/00 20060101AFI20221220BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221220BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H04N17/00 A
G09G5/00 X
G09G5/36 520A
H04N17/00 G
(21)【出願番号】P 2019016110
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】東川 真吾
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-283887(JP,A)
【文献】特開2014-229929(JP,A)
【文献】国際公開第2007/108134(WO,A1)
【文献】特開平07-059121(JP,A)
【文献】特開平07-298313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 17/00
H04N 7/01
H04N 7/18
H04N 21/00
A61B 1/00
G09G 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階調レベル値が異なるN個(Nは2以上の整数)の部分画像が規則的に配置されたパターン画像の画像信号を受信する画像信号受信部と、
前記画像信号に含まれる階調レベル値のうち、一部の階調レベル値について、所定の変換規則に従って階調レベル値を変換する変換部と、
前記変換部による変換が行なわれた画像信号を用いて表示する表示部と
を有し、
前記N個の部分画像のうちn(nは1以上N以下の整数)番目の部分画像の階調レベル値は、連続するN段階の階調レベルのn番目の階調レベル値であり、
前記変換部は、所定の等差数列の項に該当する階調レベル値を、前記所定の変換規則に従って変換
し、
前記所定の等差数列は、偶数を表す等差数列または奇数を表す等差数列である
画像表示装置。
【請求項2】
前記変換規則は、前記パターン画像に対し、所定の模様を付与する変換規則である
請求項
1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記変換規則は、階調レベル値を、所定の階調レベル値に一律に変換する規則である
請求項1
又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記所定の階調レベル値は、前記連続するN段階の階調レベルの最小値または最大値である
請求項
3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記変換規則は、階調レベル値を、所定のレベル値だけずらす変換を行なう規則である
請求項1
又は2に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記変換規則は、所定の閾値未満の階調レベル値を、所定の第1の階調レベル値に一律に変換し、前記閾値以上の階調レベル値を、所定の第2の階調レベル値に一律に変換する規則である
請求項1
又は2に記載の画像表示装置。
【請求項7】
階調レベル値が異なるN個(Nは2以上の整数)の部分画像が規則的に配置されたパターン画像の画像信号を受信し、
前記画像信号に含まれる階調レベル値のうち、一部の階調レベル値について、所定の変換規則に従って階調レベル値を変換し、
前記変換が行なわれた画像信号を用いて表示し、
前記N個の部分画像のうちn(nは1以上N以下の整数)番目の部分画像の階調レベル値は、連続するN段階の階調レベルのn番目の階調レベル値であり、
前記変換では、所定の等差数列の項に該当する階調レベル値を、前記所定の変換規則に従って変換
し、
前記所定の等差数列は、偶数を表す等差数列または奇数を表す等差数列である
検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば医療用の画像を表示する画像表示装置においては、画像の階調レベルが、適切に表示されるか否かが重要である。これに関連し、特許文献1では、画像表示装置における輝度の劣化の程度をユーザが容易に判断できるように、所定のコントラストパターンを表示する技術を開示している。
【0003】
しかしながら、階調レベルが適切に表示されない原因は、画像表示装置における輝度の劣化には限られない。画像信号の発生源から画像表示部までの信号伝送経路に存在する任意の構成要素の入出力特性が非線形性を有する場合、この非線形性により本来の階調レベル値からずれた階調レベル値の画像信号が画像表示部に入力されることとなる。このずれ量が微小である場合、表示されている画像を目視しただけでは、信号伝送経路における入出力特性の非線形性の存在を把握することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術によれば、画像表示装置における輝度の劣化の程度を容易に検出することができるが、信号伝送経路における入出力特性の非線形性の有無については容易に確認することができない。したがって、信号伝送経路における入出力特性の非線形性の有無について容易に確認することができる技術が求められている。
【0006】
本発明の目的は、信号伝送経路における入出力特性の非線形性の有無について容易に確認することができる画像表示装置及び検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる画像表示装置は、階調レベル値が異なるN個(Nは2以上の整数)の部分画像が規則的に配置されたパターン画像の画像信号を受信する画像信号受信部と、
前記画像信号に含まれる階調レベル値のうち、一部の階調レベル値について、所定の変換規則に従って階調レベル値を変換する変換部と、前記変換部による変換が行なわれた画像信号を用いて表示する表示部とを有し、前記N個の部分画像のうちn(nは1以上N以下の整数)番目の部分画像の階調レベル値は、連続するN段階の階調レベルのn番目の階調レベル値であり、前記変換部は、所定の等差数列の項に該当する階調レベル値を、前記所定の変換規則に従って変換する。
【0008】
また、本発明にかかる検査方法では、階調レベル値が異なるN個(Nは2以上の整数)の部分画像が規則的に配置されたパターン画像の画像信号を受信し、前記画像信号に含まれる階調レベル値のうち、一部の階調レベル値について、所定の変換規則に従って階調レベル値を変換し、前記変換が行なわれた画像信号を用いて表示し、前記N個の部分画像のうちn(nは1以上N以下の整数)番目の部分画像の階調レベル値は、連続するN段階の階調レベルのn番目の階調レベル値であり、前記変換では、所定の等差数列の項に該当する階調レベル値を、前記所定の変換規則に従って変換する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、信号伝送経路における入出力特性の非線形性の有無について容易に確認することができる画像表示装置及び検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかる画像表示システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】256種類の部分画像から構成されるパターン画像における各部分画像の階調レベル値と配置の一例を示す模式図である。
【
図3】
図2に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。
【
図5】信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図2で示されるパターン画像に対し、
図4に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。
【
図6】
図5に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。
【
図7】信号伝送経路における非線形性により階調レベル値の変化が発生する場合において、
図2で示されるパターン画像に対し、
図4に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。
【
図8】
図7に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。
【
図9】256種類の部分画像から構成されるパターン画像における各部分画像の階調レベル値と配置の他の一例を示す模式図である。
【
図10】信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図9で示されるパターン画像に対し、
図4に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。
【
図11】
図10に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。
【
図12】信号伝送経路における非線形性により階調レベル値の変化が発生する場合において、
図9で示されるパターン画像に対し、
図4に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。
【
図13】
図12に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。
【
図14】256種類の部分画像から構成されるパターン画像における各部分画像の階調レベル値と配置のさらなる他の一例を示す模式図である。
【
図15】信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図14で示されるパターン画像に対し、
図4に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。
【
図16】
図15に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。
【
図17】信号伝送経路における非線形性により階調レベル値の変化が発生する場合において、
図14で示されるパターン画像に対し、
図4に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。
【
図18】
図17に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。
【
図19】変換部の変換により階調レベル値が所定値に設定される部分画像群の領域と元の階調レベル値の部分画像群の領域の2つの領域により形成される幾何学的な模様を示す模式図である。
【
図20】変換部の変換により階調レベル値が所定値に設定される部分画像群の領域と元の階調レベル値の部分画像群の領域の2つの領域により形成される幾何学的な模様を示す模式図である。
【
図21】変換部の変換により階調レベル値が所定値に設定される部分画像群の領域と元の階調レベル値の部分画像群の領域の2つの領域により形成される幾何学的な模様を示す模式図である。
【
図22】変換部の変換により階調レベル値が所定値に設定される部分画像群の領域と元の階調レベル値の部分画像群の領域の2つの領域により形成される幾何学的な模様を示す模式図である。
【
図23】変換部の変換により階調レベル値が所定値に設定される部分画像群の領域と元の階調レベル値の部分画像群の領域の2つの領域により形成される幾何学的な模様を示す模式図である。
【
図24】階調レベル値を、所定のレベル値だけずらす変換規則の一例を示す表である。
【
図25】信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図2で示されるパターン画像に対し、
図24に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。
【
図26】
図25に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。
【
図27】所定の閾値未満の変換対象の階調レベル値を、所定の第1の階調レベル値に一律に変換し、この閾値以上の変換対象の階調レベル値を、所定の第2の階調レベル値に一律に変換する変換規則の一例を示す表である。
【
図28】信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図2で示されるパターン画像に対し、
図27に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。
【
図29】
図28に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。
【
図30】実施の形態2にかかる変換規則の一例を示す表である。
【
図31】信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図2で示されるパターン画像に対し、
図30に示した変換規則を適用したときのパターン画像を示す模式図である。
【
図32】階調レベル値を、所定のレベル値だけずらす変換規則の一例を示す表である。
【
図33】信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図2で示されるパターン画像に対し、
図32に示した変換規則を適用したときのパターン画像を示す模式図である。
【
図34】
図33に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。
【
図35】実施の形態3にかかる画像表示システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図36】実施の形態3にかかる画像表示システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態について説明する前に、まず、発明者により検討された事項について説明する。
【0012】
パーソナルコンピュータなどの画像信号出力装置から出力された画像信号を画像表示装置に表示する場合、画像信号は、例えば様々な要素を介して、画像表示装置の表示部に入力される。それら要素は、例えば、画像信号出力装置のビデオカードのドライバ、ビデオカードの出力回路、画像信号出力装置と画像表示装置とをつなぐビデオケーブル、画像表示装置のレシーバ回路、画像表示装置のルックアップテーブル(以下、LUT(Lookup table)と称す)などである。すなわち、画像表示装置の表示部に入力される画像信号には、これらの要素による処理が施されている。画像の階調レベルを適切に表示部で表示するためには、これらの要素による階調処理における入出力特性が線形性を有していることが求められる。すなわち、いずれかの要素による階調処理において、非線形性が存在する場合、画像の階調レベルを適切に表示部で表示することができない。
【0013】
しかし、表示部での表示において、非線形性に起因して本来表示すべき階調レベル値とずれた階調の画像が表示されても、そのずれ量はわずかであるため、表示を目視しただけでそのような事象の発生を人が認識することは一般には困難である。このことについて、具体例を挙げて説明する。ここで、LUTの入出力特性は線形性を有するものとする。このとき、階調レベル値が50の画像信号に対し、例えば、LUT以外の要素によって、階調特性を非線形にする何らかの処理が行われている場合は、表示部には、例えば49又は51といった階調レベル値に変化した画像信号が入力されることになる。しかし、このような変化を、表示画像を目視しただけで識別することは困難である。
【0014】
階調レベルの入出力特性に非線形性を与える要因となるのは、ビデオカードなどの汎用デジタル信号伝送機器製品である場合が多い。当該製品を製造するメーカーが、当該製品について検査することにより、当該製品の非線形特性を把握し、当該製品の仕様としてそれを明示している場合、当該製品を利用する他のメーカー及びエンドユーザは、容易に非線形性の存在を把握できる。しかしながら、そのような明示が行なわれることは少ない。そのため、当該製品を利用する他のメーカー又はエンドユーザなどが、非線形性の有無を自ら確認する必要がある。そして、非線形性を発見した場合、当該製品を製造するメーカーに、製品の修正などの改善依頼を出す必要に迫られることがある。
しかし、上述の通り、非線形性の有無を視覚的に判定することは難しく、信号伝送経路における入出力特性の線形性が保障されていることを検出するには、各々の要素の特性を個別に検査するしか方法がなかった。このため、画像信号の信号伝送経路上の非線形性の有無を容易に検出する技術の実現が望まれている。
そこで、以下では、信号伝送経路における入出力特性の非線形性の有無について容易に確認することができる技術について具体的に説明する。
【0015】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる画像表示システム10の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、画像表示システム10は、画像信号出力装置100と、画像表示装置200とを有する。画像信号出力装置100と、画像表示装置200とは、通信可能に有線又は無線により接続されている。
【0016】
画像信号出力装置100は、画像表示装置200に画像信号を出力する端末装置である。例えば、画像信号出力装置100は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォンなどであるが、これらに限られない。
【0017】
画像表示装置200は、画像信号出力装置100が出力した画像信号に対応する画像を表示部203で表示する装置である。表示部203は、例えば、液晶モニターや有機EL(Electro-Luminescence)モニターなどのディスプレイであるが、プロジェクターであってもよい。画像表示装置200は、画像を表示することができれば、任意の構成が可能である。例えば、画像表示装置200は、ヘッドマウントディスプレイ又はヘッドアップディスプレイとして構成されていてもよい。
【0018】
画像信号出力装置100は、非検査用信号生成部101と、検査用信号生成部102と、画像信号出力部103と、変換規則設定部104とを有する。
【0019】
非検査用信号生成部101は、非検査時に画像表示装置200に表示するための画像、すなわち画像表示システム10における通常の運用時に画像表示装置200に表示するための画像の画像信号を生成する。この画像は、例えば、画像表示システム10が医療用のシステムとして利用される場合、患者の患部などを写した医療画像であるが、これに限られない。
【0020】
非検査用信号生成部101は、例えば、画像表示ソフトなどのソフトウェアである。この場合、画像信号出力装置100が備えるプロセッサが、メモリ等に格納された、1以上の命令を含むプログラムを実行することにより、非検査用信号生成部101は実現される。
【0021】
検査用信号生成部102は、検査時に画像表示装置200に表示するための画像の画像信号を生成する。すなわち、検査用信号生成部102は、信号伝送経路における入出力特性の非線形性の有無について検査するための画像の画像信号を生成する。
本実施の形態では、検査用信号生成部102は、階調レベル値が異なるN個(Nは2以上の整数)の部分画像が規則的に配置された画像であるパターン画像の画像信号を生成する。ここで、N個の部分画像のうちn(nは1以上N以下の整数)番目の部分画像の階調レベルは、連続するN段階の階調レベルのn番目の階調レベルである。
【0022】
連続するN段階の階調レベルは、例えば、画像表示装置200において表示可能な階調レベル値の下限から上限の範囲の一連の階調レベルである。例えば、下限が0であり、上限が255である場合、パターン画像は、256種類の部分画像が規則的に配置されたパターン画像である。なお、以下の説明では、一例として、パターン画像は、0から255までの階調レベル値の256種類の部分画像を含むものとするが、パターン画像に含まれる部分画像の階調レベル値の範囲は、画像表示装置200において表示可能な階調レベル値の下限から上限の範囲に一致していなくてもよい。すなわち、例えば、パターン画像に含まれる部分画像の階調レベル値の範囲は、画像表示装置200において表示可能な階調レベル値の範囲に包含される所定の範囲(例えば、0から192まで、又は、64から224までなど)であってもよい。また、階調レベル値の下限値は、0でなくてもよいし、上限値も、255でなくてもよい。
【0023】
検査時に画像表示装置200に表示するための画像の階調レベル値の下限を下限検査階調レベル値と称し、上限を上限検査階調レベル値と称すこととする。パターン画像は、下限検査階調レベル値の部分画像から、上限検査階調レベル値の部分画像までのN個の部分画像を含む。
【0024】
図2は、256種類の部分画像から構成されるパターン画像における各部分画像の階調レベル値と配置の一例を示す模式図である。
図2に示した例では、下限検査階調レベル値の部分画像から上限検査階調レベル値の部分画像までが階調レベルの順に、次のような規則で配置されている。すなわち、
図2に示した例では、水平方向に一端(具体的には、左端)から他端(具体的には、右端)に向けて所定の個数ずつ(具体的には、16部分画像ずつ)部分画像を配置することが垂直方向に繰り返されている。なお、実施の形態では、正方形のパターン画像を例に説明するが、パターン画像は他の形状であってもよい。
【0025】
図3は、
図2に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。
図3に示した例では、階調レベル値が0である部分画像、すなわち黒で表される部分画像から、階調レベル値が255である部分画像、すなわち白で表される部分画像までのN種類の部分画像によって、グラデーション画像が構成されている。
なお、後述するとおり、パターン画像は、階調レベル値が異なるN個の部分画像が規則的に配置された画像であればよく、具体的な画像の構成は
図2及び
図3に示された構成に限られない。
【0026】
検査用信号生成部102は、例えば、ソフトウェアにより実現される。この場合、画像信号出力装置100が備えるプロセッサが、メモリ等に格納された、1以上の命令を含むプログラムを実行することにより、検査用信号生成部102は実現される。
なお、検査用信号生成部102は、任意の処理により、上述した画像信号を生成すればよい。例えば、検査用信号生成部102は、所定のフォーマットで圧縮された予め生成されたパターン画像のファイルをデコードして画像信号を出力してもよいし、パターン画像を生成する所定のアルゴリズムに従って各画素の画素値を演算することにより画像信号を生成してもよい。また、検査用信号生成部102は、予め印刷されたパターン画像をカメラにより撮影した画像を解析することにより、当該パターン画像に相当する画像信号を生成してもよい。
【0027】
画像信号出力部103は、非検査用信号生成部101により生成された画像信号及び検査用信号生成部102により生成された画像信号を、画像表示装置200に出力する出力回路である。
【0028】
変換規則設定部104は、階調レベル値の変換規則を変換部202に設定する。変換規則設定部104は、画像表示システム10における通常の運用時には、所定のガンマ補正を行なうための変換規則を変換部202に設定する。これに対し、信号伝送経路における入出力特性の非線形性の有無について検査する際には、変換規則設定部104は、検査用の変換規則を変換部202に設定する。検査用の変換規則の詳細については、後述する。
【0029】
変換規則設定部104は、例えば、ソフトウェアにより実現される。この場合、画像信号出力装置100が備えるプロセッサが、メモリ等に格納された、1以上の命令を含むプログラムを実行することにより、変換規則設定部104は実現される。なお、変換規則設定部104は、他の構成により実現されてもよい。例えば、予め生成され、メモリに記憶された変換規則の設定値、すなわち変換部202における入力値毎の出力値の設定値を出力する回路であってもよいし、変換規則の設定値を生成するよう設計された論理回路、すなわち、デジタル信号生成器であってもよい。なお、
図1に示した例では、変換規則設定部104は、画像信号出力装置100に設けられているが、画像表示装置200に設けられていてもよい。このことは、後述する他の実施の形態においても同様である。
【0030】
なお、
図1では、非検査用信号生成部101と、検査用信号生成部102とを分けて示しているが、画像信号出力装置100は、これら二つの機能を有する一つの構成要素を備えていてもよい。
非検査用信号生成部101により生成された画像信号と、検査用信号生成部102により生成された画像信号は、共通の信号伝送経路を通って、画像表示装置200の変換部202に入力される。この信号伝送経路は、画像信号出力装置100の画像信号出力部103、及び画像表示装置200の画像信号受信部201の他に、例えば、画像信号出力装置100のビデオカード(不図示)、画像信号出力装置100と画像表示装置200とをつなぐビデオケーブル(不図示)などが含まれる。なお、信号伝送経路上には、これらに限らず、画像信号に対し所定の処理を行なう任意の要素が含まれてもよい。
【0031】
画像表示装置200は、画像信号受信部201と、変換部202と、表示部203とを有する。
画像信号受信部201は、画像信号出力装置100から出力された画像信号を受信する受信回路である。画像信号受信部201が受信した画像信号は、変換部202に入力される。なお、画像信号受信部201が受信した画像信号は、所定の信号処理を経て、変換部202に入力されてもよい。すなわち、画像信号受信部201から変換部202までの信号伝送経路上に図示しない他の要素が存在してもよい。
表示部203は、変換部202による変換が行なわれた画像信号を用いて表示する。
【0032】
変換部202は、画像信号受信部201が受信した画像信号に含まれる階調レベル値を、所定の変換規則に従って変換する。特に、信号伝送経路における入出力特性の非線形性の有無についての検査時には、変換部202は、検査用の変換規則に従って変換を行なう。
【0033】
本実施の形態では、検査時、変換部202は、画像信号受信部201が受信した画像信号に含まれる階調レベル値のうち、一部の階調レベル値について変換を行なう。すなわち、変換部202は、パターン画像に含まれる様々な階調レベル値の部分画像の一部を対象として、階調レベル値の変換を行なう。具体的には、変換部202は、所定の等差数列の項に該当する階調レベル値を、検査用の変換規則に従って変換する。例えば、所定の等差数列が偶数を表す等差数列である場合、当該所定の等差数列の項に該当する階調レベル値とは、偶数の階調レベル値である。また、例えば、所定の等差数列が奇数を表す等差数列である場合、当該所定の等差数列の項に該当する階調レベル値とは、奇数の階調レベル値である。なお、所定の等差数列は、他の等差数列であってもよい。
【0034】
変換部202は、例えば、メモリを用いて実装されるLUTである。この場合、変換部202は、入力された階調レベル値に相当するアドレスに予め保持されている変換後の階調レベル値を出力する。このように、変換部202は、例えば、テーブル型の信号演算器により実現されるが、他の構成により実現されてもよい。例えば、変換規則に従った値の変換処理を行なうよう設計された論理回路、すなわち、デジタル信号変換器であってもよい。変換部202は、例えば、このようにハードウェア回路により実現されるが、ソフトウェアにより実現されてもよい。すなわち、画像信号出力装置100が備えるプロセッサが、メモリ等に格納された、1以上の命令を含むプログラムを実行することにより、変換部202が実現されてもよい。
【0035】
図4は、検査用の変換規則の一例を示す表である。
図4に示した例にかかる変換規則は、偶数の階調レベル値を0に変更するという変換規則である。したがって、この場合、変換部202は、変換部202に入力される階調レベル値が偶数である場合、0を出力し、変換部202に入力される階調レベル値が奇数である場合、入力された階調レベル値を出力する。これにより、パターン画像に含まれる部分画像のうち、変換部202に入力される時点で偶数の階調レベル値を有している部分画像は、階調レベル値が0の部分画像に変換されることとなる。
【0036】
図5は、信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図2で示されるパターン画像に対し、
図4に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。また、
図6は、
図5に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。信号伝送経路に非線形性が存在しない場合、
図6に示されるように、垂直方向に並んだ階調レベル値が0の部分画像群と、垂直方向に並んだ元の階調レベル値の部分画像群とにより、完全な縞模様が形成される。
【0037】
ここで、変換部202までの信号伝送経路において階調レベルの入出力特性の線形性が確保できてない場合、検査用信号生成部102が生成した時点と比較して、パターン画像の階調レベル値に変化が生じる。例えば、ビデオカードの設定でブライトネス又はコントラストがデフォルトから変更されている場合などには、ソフトウェア(検査用信号生成部102)にて階調レベル値が50の部分画像を描画しても、ビデオカードのドライバなどによって出力が変更されるため、49又は51などといった他の階調レベル値の部分画像に変換されてしまう。
【0038】
図7は、信号伝送経路における非線形性により階調レベル値の変化が発生する場合において、
図2で示されるパターン画像に対し、
図4に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。また、
図8は、
図7に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。
図7に示した例では、信号伝送経路における非線形性により、次のような階調レベル値の変化が発生している。すなわち、元の階調レベル値が21以上92以下の範囲において、階調レベル値が1だけ増加するずれが生じ、元の階調レベル値が93以上164以下の範囲において、階調レベル値が2だけ増加するずれが生じ、元の階調レベル値が165以上236以下の範囲において、階調レベル値が3だけ増加するずれが生じ、元の階調レベル値が237以上の範囲において、階調レベル値が4だけ増加するずれが生じている。
図7に示されるように、信号伝送経路が非線形性を含む場合、変換部202の変換により階調レベル値が0に設定される部分画像の画像平面上の位置が不規則となる。
【0039】
この結果、
図8に示されるような不規則な模様が形成される。すなわち、信号伝送経路における非線形性により階調レベル値の変化が発生した場合、
図6で示した模様が崩れることとなる。階調レベル値のわずかな変化が、模様の変化として表されるため、視覚的な認知が容易である。すなわち、検査担当者は、
図6で示した模様が表示部203で表示されるか、
図6で示した模様ではない模様が表示部203で表示されるかを確認するだけで、信号伝送経路における非線形性の有無を容易に判定することができる。
【0040】
以上、画像表示システム10について具体的に説明したが、上述した具体的な説明は一例に過ぎない。例えば、上述の通り、パターン画像は、階調レベル値が異なるN個の部分画像が規則的に配置された画像であればよい。このため、パターン画像における各階調レベル値の配置は、
図2及び
図3に示された例に限られない。
図2及び
図3に示した例では、左端から右端に向けて所定の個数ずつ階調レベル値の順に部分画像が配置されたが、右端から左端に向けて所定の個数ずつ階調レベル値の順に部分画像が配置されてもよい。
【0041】
また、例えば、下限検査階調レベル値の部分画像から上限検査階調レベル値の部分画像までが階調レベルの順に、
図9に示すような規則で配置されてもよい。すなわち、
図9に示した例では、垂直方向に一端(具体的には、上端)から他端(具体的には、下端)に向けて所定の個数ずつ(具体的には、16部分画像ずつ)部分画像を配置することが垂直方向に繰り返されている。なお、
図9に示した例では、上端から下端に向けて部分画像が配置されているが、下端から上端に向けて部分画像を配置してもよい。
【0042】
図10は、信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図9で示されるパターン画像に対し、
図4に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。また、
図11は、
図10に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。信号伝送経路に非線形性が存在しない場合、
図11に示されるように、水平方向に並んだ階調レベル値が0の部分画像群と、水平方向に並んだ元の階調レベル値の部分画像群とにより、完全な縞模様が形成される。
【0043】
図12は、信号伝送経路における非線形性により階調レベル値の変化が発生する場合において、
図9で示されるパターン画像に対し、
図4に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。さらに、
図13は、
図12に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。なお
図12及び
図13に示した例では、信号伝送経路における非線形性により、
図7に示した例と同様の階調レベル値の変化が発生している。
【0044】
図13に示されるように、信号伝送経路が非線形性を含む場合、変換部202の変換により階調レベル値が0に設定される部分画像の画像平面上の位置が不規則となる。この結果、
図11で示した模様が崩れ、
図13に示されるような不規則な模様が形成される。
【0045】
また、例えば、下限検査階調レベル値の部分画像から上限検査階調レベル値の部分画像までが階調レベルの順に、
図14に示すような規則で配置されてもよい。すなわち、
図14に示した例では、水平方向の交互の向きに部分画像を配置することが垂直方向に繰り返されている。なお、
図14の例では、階調レベル値が0の部分画像が左上端に配置され、階調レベル値の順に各部分画像が配置されているが、他のいずれかの四隅に階調レベル値が0の部分画像が配置され、階調レベル値の順に各部分画像が配置されてもよい。また、垂直方向の交互の向きに部分画像を配置することが水平方向に繰り返されてもよい。
【0046】
図15は、信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図14で示されるパターン画像に対し、
図4に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。また、
図16は、
図15に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。信号伝送経路に非線形性が存在しない場合、
図16に示されるように、階調レベル値が0の部分画像群と、元の階調レベル値の部分画像群とにより、完全な市松模様が形成される。このように、部分画像を連続して並べる方向(例えば、水平方向)において配置される部分画像の個数が偶数である場合には、上述した方法により、市松模様を形成することができる。なお、部分画像を連続して並べる方向において配置される部分画像の個数が奇数である場合には、水平方向に一端から他端に向けて奇数個ずつ部分画像を配置することを垂直方向に繰り返すことにより、市松模様を形成することができる。
【0047】
図17は、信号伝送経路における非線形性により階調レベル値の変化が発生する場合において、
図14で示されるパターン画像に対し、
図4に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。さらに、
図18は、
図17に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。なお、
図17及び
図18に示した例では、信号伝送経路における非線形性により、
図7に示した例と同様の階調レベル値の変化が発生している。
【0048】
図18に示されるように、信号伝送経路が非線形性を含む場合、変換部202の変換により階調レベル値が0に設定される部分画像の画像平面上の位置が不規則となる。この結果、
図16で示した模様が崩れ、
図18に示されるような不規則な模様が形成される。
【0049】
以上の説明では、規則的な模様の例として、縞模様と市松模様を挙げたが、規則的な模様はこれらに限られない。例えば、
図19から
図23に示すように、変換部202の変換により階調レベル値が所定値に設定される部分画像群の領域と元の階調レベル値の部分画像群の領域の2つの領域により形成される幾何学的な模様でもよい。なお、
図19から
図23において、ハッチングされている領域が、階調レベル値が0に設定される部分画像群の領域であり、ハッチングされていない領域が、元の階調レベル値の部分画像群の領域である。信号伝送経路が線形である場合に変換部202により階調レベル値が0に設定されることとなる部分画像群をハッチングされている領域に配置し、それ以外の部分画像群をハッチングされていない領域に配置したパターン画像を用いればこれらの模様が得られる。
【0050】
また、変換規則についても、信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、パターン画像に対し、所定の模様(例えば幾何学的な模様)を付与する変換規則であればよく、上述の具体例に限定されない。
例えば、上述の具体例では、偶数の階調レベル値を0に変更するという変換規則であったが、変更対象の階調レベル値は、偶数の階調レベル値ではなく奇数の階調レベル値であってもよい。また、変更により設定される階調レベル値は、連続するN段階の階調レベルの最小値でなくてもよい。変更により設定される階調レベル値は、連続するN段階の階調レベルの最大値(具体的には、例えば255)でもよいし、最小値から最大値の間の任意の所定値でもよい。
【0051】
このように、変換規則は、例えば、変換対象の階調レベル値を、所定の階調レベル値に一律に変換する規則である。ただし、変換規則は、変換対象の階調レベル値を、所定の階調レベル値に一律に変換する規則に限られない。
【0052】
例えば、変換規則は、入力された階調レベル値を、所定のレベル値だけずらす変換を行なう規則であってもよい。すなわち、変換規則は、入力された階調レベル値に所定のレベル値を加算又は減算する変換を行なう規則であってもよい。なお、変換後の階調レベル値が、画像表示装置200において表示可能な階調レベル値の範囲を逸脱することがないよう、演算結果はラップアラウンドする。
【0053】
図24は、階調レベル値を、所定のレベル値だけずらす変換規則の一例を示す表である。
図24に示した例にかかる変換規則は、偶数の階調レベル値に128を加算するよう変更するという変換規則である。ただし、加算後の値が255を上回る場合には、加算結果から256を減算する。すなわち、ラップアラウンド演算が行なわれる。この場合、変換部202は、変換部202に入力される階調レベル値が偶数である場合、入力値に128を加算するとともにラップアラウンド演算を行うことにより得られる階調レベル値を出力し、変換部202に入力される階調レベル値が奇数である場合、入力された階調レベル値を出力する。
【0054】
図25は、信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図2で示されるパターン画像に対し、
図24に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。また、
図26は、
図25に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。信号伝送経路に非線形性が存在しない場合、
図26に示されるような幾何学的な模様が形成される。このような例においても、検査担当者は、
図26で示した模様が表示部203で表示されるか、
図26で示した模様ではない模様が表示部203で表示されるかを確認するだけで、信号伝送経路における非線形性の有無を容易に判定することができる。
【0055】
なお、
図24に示した例では、偶数の階調レベル値に所定値を加算する変換規則を示したが、偶数の階調レベル値に所定値を減算する変換規則が用いられてもよい。また、奇数の階調レベル値に所定値を加算する変換規則、又は、奇数の階調レベル値に所定値を減算する変換規則が用いられてもよい。さらに、偶数及び奇数以外の他の所定の等差数列の項に該当する階調レベル値に対し、所定値を加算又は減算する変換規則が用いられてもよい。
【0056】
また、
図27に示されるような変換規則が用いられてもよい。
図27に示される変換規則は、所定の閾値未満の変換対象の階調レベル値を、所定の第1の階調レベル値に一律に変換し、この閾値以上の変換対象の階調レベル値を、所定の第2の階調レベル値に一律に変換する規則である。具体的には、
図27に示される変換規則において、変換対象の階調レベル値は、偶数の階調レベル値であり、所定の閾値は128であり、所定の第1の階調レベル値は255であり、所定の第2の階調レベル値は0である。なお、これらは、一例であり、変換対象の階調レベル値は、奇数など、所定の等差数列の項に該当する階調レベル値でもよい。また、閾値、第1の階調レベル値、及び第2の階調レベル値についても、他の値を採用することができる。
【0057】
図28は、信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図2で示されるパターン画像に対し、
図27に示した変換規則を適用したときの変換結果を示す模式図である。また、
図29は、
図28に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。信号伝送経路に非線形性が存在しない場合、
図29に示されるような幾何学的な模様が形成される。このような例においても、検査担当者は、
図29で示した模様が表示部203で表示されるか、
図29で示した模様ではない模様が表示部203で表示されるかを確認するだけで、信号伝送経路における非線形性の有無を容易に判定することができる。
【0058】
<実施の形態2>
実施の形態1では、検査時、変換部202は、画像信号受信部201が受信した画像信号に含まれる階調レベル値のうち、一部の階調レベル値について変換を行なった。これに対し、本実施の形態では、変換部202は、画像信号受信部201が受信した画像信号に含まれる全ての階調レベル値を変換する。
【0059】
具体的には、本実施の形態にかかる変換部202は、変換対象の階調レベル値が、M種類の異なる等差数列のうちのいずれの等差数列の項に該当するかに応じて選択される変換規則に従って変換する。ここで、M種類の異なる等差数列は、いずれも公差がMの等差数列である。すなわち、下限検査階調レベル値から上限検査階調レベル値までの各階調レベル値は、M種類の等差数列のいずれかの項に該当する。なお、Mは2以上の所定の整数である。変換部202は、変換対象の階調レベル値がいずれの等差数列の項に該当するかに応じて、M種類の異なる所定の変換規則のうちいずれかの変換規則を用いて変換を行なう。すなわち、選択される変換規則の候補は、M種類の異なる所定の変換規則である。
【0060】
以下、理解を容易にするために、Mの値を2とする。すなわち、変換部202は、変換対象の階調レベル値が、2種類の異なる等差数列のうちのいずれの等差数列の項に該当するかに応じて2種類の変換規則のいずれかを使って変換を行なう。これらの等差数列は、いずれも公差が2の等差数列である。すなわち、2種類の異なる等差数列は、偶数を表す等差数列と奇数を表す等差数列である。
【0061】
図30は、実施の形態2にかかる変換規則の一例を示す表である。
図30に示した表は、第1の変換規則と第2の変換規則の2種類の変換規則を含んでいる。
具体的には、第1の変換規則は、変換対象の階調レベル値、すなわち変換部202に入力される階調レベル値が偶数である場合に適用される変換規則である。この変換規則は、階調レベル値を0に変更するという変換規則である。換言すると、第1の変換規則は、偶数を表す等差数列に対応して選択される変換規則であり、変換対象の階調レベル値を、所定の第1の階調レベル値に一律に変換する規則である。
第2の変換規則は、変換対象の階調レベル値、すなわち変換部202に入力される階調レベル値が奇数である場合に適用される変換規則である。この変換規則は、階調レベル値を255に変更するという変換規則である。換言すると、第2の変換規則は、奇数を表す等差数列に対応して選択される変換規則であり、変換対象の階調レベル値を、所定の第2の階調レベル値に一律に変換する規則である。
なお、第1の階調レベル値及び第2の階調レベル値の一方は、例えば、連続するN段階の階調レベルの最小値であり、他方は、連続するN段階の階調レベルの最大値である。
このように、
図30に示した例では、変換部202は、偶数の階調レベル値を0に変更するという変換規則と、奇数の階調レベル値を255に変更するという変換規則を用いることにより、画像信号受信部201が受信した画像信号に含まれる全ての階調レベル値を変換する。
【0062】
図31は、信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図2で示されるパターン画像に対し、
図30に示した変換規則を適用したときのパターン画像を示す模式図である。信号伝送経路に非線形性が存在しない場合、
図31に示されるように、垂直方向に並んだ階調レベル値が0の部分画像群と、垂直方向に並んだ階調レベル値が255の部分画像群とにより、完全な縞模様が形成される。
【0063】
本実施の形態でも、実施の形態1と同様、信号伝送経路における非線形性により階調レベル値の変化が発生した場合、
図31で示した模様が崩れることとなる。このように、階調レベル値のわずかな変化が、模様の変化として表されるため、視覚的な認知が容易である。すなわち、検査担当者は、
図31で示した模様が表示部203で表示されるか、
図31で示した模様ではない模様が表示部203で表示されるかを確認するだけで、信号伝送経路における非線形性の有無を容易に判定することができる。
【0064】
本実施の形態においても、パターン画像は、階調レベル値が異なるN個の部分画像が規則的に配置された画像であればよい。このため、パターン画像における各階調レベル値の配置は、実施の形態1と同様に、様々なバリエーションが可能である。
【0065】
また、本実施の形態においても、変換規則は、信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、パターン画像に対し、所定の模様(例えば幾何学的な模様)を付与する変換規則であればよく、上述の具体例に限定されない。例えば、第1の変換規則が、偶数の階調レベル値を255に変更するという変換規則であり、第2の変換規則が、奇数の階調レベル値を0に変更するという変換規則であってもよい。また、変更により設定される階調レベル値は、連続するN段階の階調レベルの最小値及び最大値でなくてもよい。すなわち、変更により設定される階調レベル値は、最小値から最大値の間の任意の所定値でもよい。このように、各変換規則は、例えば、変換対象の階調レベル値を所定の階調レベル値に一律に変換する規則である。換言すると、変換部202は、全ての階調レベル値を、M種類のいずれかの階調レベル値に変換する。ただし、変換規則は、そのような変換規則に限られない。
【0066】
例えば、本実施の形態においても、変換規則は、入力された階調レベル値を、所定のレベル値だけずらす変換を行なう規則であってもよい。すなわち、変換規則は、入力された階調レベル値に所定のレベル値を加算又は減算する変換を行なう規則であってもよい。
【0067】
図32は、階調レベル値を、所定のレベル値だけずらす変換規則の一例を示す表である。
図32に示した例にかかる変換規則は、偶数の階調レベル値に-64を加算し、奇数の階調レベル値に64を加算するよう変更するという変換規則である。ただし、加算後の値が0を下回る場合は加算結果に256を加算し、加算号の値が255を上回る場合には、加算結果から256を減算する。すなわち、ラップアラウンド演算が行なわれる。
この場合、変換部202は、変換部202に入力される階調レベル値が偶数である場合、入力値に-64を加算するとともにラップアラウンド演算を行うことにより得られる階調レベル値を出力する。そして、変換部202は、変換部202に入力される階調レベル値が奇数である場合、入力値に64を加算するとともにラップアラウンド演算を行うことにより得られる階調レベル値を出力する。なお、
図32に示した例では、偶数の階調レベル値に加算する値の絶対値と奇数の階調レベル値に加算する値の絶対値とが同じであるが、これらは異なっていてもよい。
【0068】
図33は、信号伝送経路に非線形性が存在しない場合において、
図2で示されるパターン画像に対し、
図32に示した変換規則を適用したときのパターン画像を示す模式図である。また、
図34は、
図33に示した部分画像の配置により構成されるパターン画像を示す模式図である。信号伝送経路に非線形性が存在しない場合、
図34に示されるような幾何学的な模様が形成される。このような例においても、検査担当者は、
図34で示した模様が表示部203で表示されるか、
図34で示した模様ではない模様が表示部203で表示されるかを確認するだけで、信号伝送経路における非線形性の有無を容易に判定することができる。
【0069】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について説明する。上述した実施の形態では、階調レベル値が連続的に異なる複数の部分画像が画像平面上に配置された1つのパターン画像が用いられた。これに対し、本実施の形態では、階調レベル値が連続的に異なる複数の画像が用いられる。すなわち、上述の実施の形態では、表示部203に1つのパターン画像を表示することにより、非線形性の有無の判定が行なわれたが、本実施の形態では、複数の画像を順次、表示部203に表示することにより判定が行なわれる。
【0070】
以下、実施の形態3の詳細について説明する。ただし、上述した実施の形態と同様な構成及び処理内容については、適宜、説明を割愛する。
【0071】
図35は、実施の形態3にかかる画像表示システム30の構成の一例を示すブロック図である。
図35に示すように、画像表示システム30は、画像信号出力装置150と、画像表示装置200と、表示輝度測定装置300とを有する。
【0072】
本実施の形態でも、画像信号出力装置150と、画像表示装置200とは、通信可能に有線又は無線により接続されている。また、表示輝度測定装置300と、画像信号出力装置150とは、通信可能に有線又は無線により接続されている。
【0073】
画像信号出力装置150は、検査用信号生成部102が検査用信号生成部151に置き換わり、さらに表示輝度判定部152が追加されている点で、上述した実施の形態にかかる画像信号出力装置100と異なっている。
表示輝度判定部152は、例えば、ソフトウェアにより実現される。この場合、画像信号出力装置150が備えるプロセッサが、メモリ等に格納された、1以上の命令を含むプログラムを実行することにより、表示輝度判定部152は実現される。なお、表示輝度判定部152は、画像信号出力装置150ではなく、画像表示装置200又は他の装置に設けられていてもよい。
【0074】
表示輝度測定装置300は、表示部203に表示された画像の輝度を測定するセンサである。表示輝度測定装置300は、表示部203が表示した画像の輝度を数値化して、画像信号出力装置150に出力する。表示輝度測定装置300の測定結果は、画像信号出力装置150の表示輝度判定部152に入力される。表示輝度測定装置300は、表示部203の画面のうち、少なくとも、検査用信号生成部151が生成した画像信号で表される画像が表示される領域について、輝度を測定する。表示輝度測定装置300は、例えば、画面の端部などに固定して設置されている。ただし、表示輝度測定装置300は必ずしも、画像表示装置200に固定的に設置されていなくてもよい。すなわち、例えば、検査担当者が表示輝度測定装置300を手で保持することにより、検査用信号生成部151が生成した画像信号で表される画像の輝度の測定が行なわれてもよい。
【0075】
検査用信号生成部151も、検査用信号生成部102と同様、検査時に画像表示装置200に表示するための画像、すなわち信号伝送経路における入出力特性の非線形性の有無について検査するための画像の画像信号を生成する。以下、検査用信号生成部151について、検査用信号生成部102と重複する説明は適宜省略する。
【0076】
検査用信号生成部151は、階調レベル値が異なるN個(Nは2以上の整数)の画像の画像信号を順次生成する。ここで、N個の画像のうちn(nは1以上N以下の整数)番目に生成される画像の階調レベルは、連続するN段階の階調レベルのn番目の階調レベルである。換言すると、n番目の表示のための画像の階調レベルは、連続するN段階の階調レベルのn番目の階調レベルである。連続するN段階の階調レベルについては、実施の形態1の説明で述べたとおりである。
【0077】
例えば、検査用信号生成部151は、階調レベル値が昇順となるように、N個の画像の画像信号を順次生成する。具体的には、例えば、まず、検査用信号生成部151は、階調レベル値が0で一様な画像の画像信号を生成し、次に、階調レベル値が1で一様な画像の画像信号を生成する。検査用信号生成部151は、以降、同様に、画像信号を生成する。なお、検査用信号生成部151は、階調レベル値が降順となるように、N個の画像の画像信号を順次生成してもよい。検査時に画像信号出力装置150から順次出力されるN個の画像のうちn番目に出力される画像の階調レベルは、連続するN段階の階調レベルのn番目の階調レベルである。
【0078】
検査用信号生成部151は、生成した画像信号を画像信号出力部103に出力する。検査用信号生成部151は、所定の表示時間毎に、画像信号出力部103に出力する画像信号を切替えてもよいし、ユーザからの指示に基づいて、画像信号出力部103に出力する画像信号を切替えてもよい。すなわち、次の階調レベル値の画像の出力が、自動的に行なわれてもよいし、ユーザからの指示に基づいて行われてもよい。検査用信号生成部151が生成した画像信号は、画像信号出力部103によって画像表示装置200に出力される。画像信号出力装置150から出力された画像信号は、画像表示装置200の画像信号受信部201で受信され、その後、変換部202に入力される。
【0079】
検査時、変換部202は、実施の形態1又は実施の形態2と同様、画像信号受信部201が受信した画像信号に含まれる階調レベル値を所定の変換規則に従って変換する。なお、本実施の形態において、変換部202は、実施の形態1のように、画像信号受信部201が受信した画像信号に含まれる階調レベル値のうち、一部の階調レベル値について変換してもよいし、実施の形態2のように、全ての階調レベル値について変換してもよい。また、本実施の形態において、実施の形態1及び実施の形態2の説明で述べたいずれかの変換方法が用いられてもよい。このため、例えば、変換部202は、所定の等差数列の項に該当する階調レベル値を、当該等差数列に関連づけられた変換規則に従って変換してもよい。そして、この所定の等差数列は複数であってもよい。すなわち、等差数列ごとに、異なる変換規則が関連付けられていてもよい。また、当該変換規則は、変換対象の階調レベル値を、所定の階調レベル値に一律に変換する規則であってもよいし、階調レベル値を、所定のレベル値だけずらす変換を行なう規則であってもよい。
【0080】
実施の形態1又は実施の形態2では、信号伝送経路に非線形が存在する場合、信号伝送経路に非線形が存在しない場合に現れる規則的な二次元の模様が崩れることとなる。これに対し、本実施の形態では、信号伝送経路に非線形性が存在する場合、信号伝送経路に非線形性が存在しない場合に現れる輝度の規則的な経時的変化が崩れることとなる。すなわち、信号伝送経路における階調レベル値のわずかな変化が、輝度の規則的な経時的変化の乱れとして表されるため、視覚的な認知が容易である。なお、本実施の形態では、後述するとおり、表示輝度測定装置300及び表示輝度判定部152により機器による判定処理が行なわれるが、実施の形態1又は実施の形態2と同様、検査担当者による目視による判定も可能である。その場合、表示輝度測定装置300及び表示輝度判定部152は省略することができる。
【0081】
本実施の形態では、具体的には、検査時に、変換部202は、階調レベル値が連続的に変化する数列を階調レベル値が増減を繰り返す数列へと変換する変換規則を用いる。そのような変換規則として、例えば、
図4に示した変換規則を用いることができるが、当該変換規則に限らず、実施の形態1又は実施の形態2の説明で述べた他の変換規則などを用いることも可能である。
【0082】
なお、例えば、奇数の階調レベル値を0に変更するという変換規則が用いられる場合、階調レベル値が0の画像と階調レベル値が1の画像が順に変換部202に入力されると、階調レベル値が0の画像が連続して表示されることとなる。すなわち、この変換規則は、厳密には、階調レベル値が増減を繰り返す数列へと変換する変換規則となっていない。しかしながら、本開示においては、そのように、変換後の数列の一部において階調レベル値が増減を繰り返していない数列も、階調レベル値が増減を繰り返す数列と称すこととする。また、上記の厳密性を鑑みて説明するならば、変換部202は、階調レベル値が連続的に変化する数列を、所定範囲の連続する項にわたって階調レベル値が増減を繰り返す数列へと変換する変換規則を用いるとも言える。
【0083】
変換部202から出力された画像信号は、表示部203に表示される。そして、表示部203に表示されたグレースケール画像について、表示輝度測定装置300により輝度が測定され、輝度が表示輝度判定部152に送信される。
【0084】
表示輝度判定部152は、表示輝度測定装置300により測定された輝度が増減を繰り返すか否かを判定する。すなわち、画像信号出力装置150から順次出力される画像信号に応じて、増減を繰り返すように輝度が変化するか否かを判定する。測定された輝度が増減を繰り返す場合、すなわち、輝度の規則的な経時的変化がある場合、順次、画像信号出力装置150から出力された連続画像の階調レベル値が、値の変動を伴わずにそのまま変換部202に入力されていることを意味する。これに対し、測定された輝度が増減を繰り返していない場合、すなわち、輝度の規則的な経時的変化に乱れが生じている場合、順次、画像信号出力装置150から出力された連続画像の階調レベル値が、値の変動をともなって変換部202に入力されていることを意味する。
【0085】
表示輝度判定部152は、画像信号出力装置150から出力された下限(上限)検査階調レベル値から上限(下限)検査階調レベル値までの一連の連続する画像に対する一連の測定された輝度が増減を繰り返す場合、信号伝送経路は非線形性を有さないと判定する。
これに対し、表示輝度判定部152は、画像信号出力装置150から出力された下限(上限)検査階調レベル値から上限(下限)検査階調レベル値までの一連の連続する画像に対する一連の測定された輝度が増減を繰り返さない場合、信号伝送経路は非線形性を有すると判定する。
なお、上述の通り、厳密には、階調レベル値が連続的に変化する数列を階調レベル値が増減を繰り返す数列へと変換する変換規則とは言えない変換規則が用いられることもある。この場合、表示輝度判定部152は、画像信号出力装置150から出力された下限(上限)検査階調レベル値から上限(下限)検査階調レベル値までの一連の連続する画像のうちの所定のシリーズについて、測定された輝度が増減を繰り返しているか否かを判定すればよい。
【0086】
図36は、実施の形態3にかかる画像表示システム30の動作の一例を示すフローチャートである。以下、
図36に沿って、検査時の画像表示システム30の動作の流れについて説明する。
【0087】
ステップS100において、変換規則設定部104は、変換部202に検査用の変換規則を設定する。なお、ここで用いられる変換規則は、階調レベル値が連続的に変化する数列を階調レベル値が増減を繰り返す数列へと変換する変換規則である。
【0088】
次に、ステップS101において、検査用信号生成部151は、変数Lの値を初期値にする。ここで、変数Lは、検査時に画像表示装置200に表示するための画像の階調レベル値を指定する変数である。検査用信号生成部151は、例えば、初期値として変数Lに下限検査階調レベル値(例えば0)をセットする。
【0089】
次に、ステップS102において、検査用信号生成部151は、変数Lで指定された階調レベル値の画像の画像信号を生成する。そして、画像信号出力部103は、生成された画像信号を画像表示装置200に出力する。そして、この画像信号は、画像信号受信部201により受信される。
【0090】
次に、ステップS103において、変換部202は、ステップS100で設定された変換規則に従って、画像信号受信部201が受信した画像信号の階調レベル値の変換処理を行なう。
【0091】
次に、ステップS104において、表示部203が、ステップS103による変換後の画像信号に基づいて、画像を表示する。
【0092】
次に、ステップS105において、表示輝度測定装置300によって、ステップS104で表示部203に表示された画像の輝度が測定される。そして、測定結果が、表示輝度判定部152に送信される。
【0093】
次に、ステップS106において、表示輝度判定部152は、測定された一連の輝度の値が時系列的に増加と減少を交互に繰り返しているか否かを判定する。すなわち、表示輝度判定部152は、輝度の増加と減少が時系列的に交互に発生しているかを判定する。つまり、表示輝度判定部152は、測定された一連の輝度値の時系列データのパターンが、増加と減少を交互に繰り返すデータパターンに沿っているか否かを判定する。
【0094】
なお、変数Lの値が初期値である場合、測定結果として得られている輝度のデータは1つであるため、本判定ステップにおける上述の処理は省略され、処理はステップS107へ移行する。また、変数Lの値が初期値でなく、かつ、測定された一連の輝度値の時系列データのパターンが、増加と減少を交互に繰り返すデータパターンに沿っていると表示輝度判定部152に判定されたときにも、処理はステップS107へ移行する。また、変数Lの値が初期値でなく、かつ、測定された一連の輝度値の時系列データのパターンが、増加と減少を交互に繰り返すデータパターンに沿っていないときには、処理はステップS109へ移行する。
【0095】
ステップS107において、検査用信号生成部151は、変数Lの値が予め定められた終了条件を満たすか否かを判定する。例えば、検査用信号生成部151は、変数Lの値が上限検査階調レベル値(例えば255)であるか否かを判定する。変数Lの値が終了条件を満たさない場合、処理はステップS108へ移行する。これに対し、変数Lの値が終了条件を満たす場合、処理はステップS110へ移行する。
【0096】
ステップS108において、検査用信号生成部151は、変数Lの現在の値を1だけ増やす。なお、
図36に示した例では、階調レベル値を昇順に設定しているが、階調レベル値を降順に設定してもよい。この場合、ステップS108において、検査用信号生成部151は、変数Lの現在の値を1だけ減らす。ステップS108の後、処理はステップS102に戻る。
【0097】
ステップS109では、表示輝度判定部152は、信号伝送経路において非線形特性があると判定し、検査を終了する。
これに対し、ステップS110では、表示輝度判定部152は、信号伝送経路において非線形特性がないと判定し、検査を終了する。
【0098】
以上、実施の形態3について説明した。上述した通り、本実施の形態では、階調レベル値を時系列的に連続的に変化させて出力された一連の画像が、順次、変換部202を介して表示部203に出力される。そして、信号伝送経路に非線形性が存在する場合、表示部203に表示される画像の輝度の規則的な経時的変化が乱れる。したがって、これを機器又は検査担当者によって検知することにより、信号伝送経路における入出力特性の非線形性の有無について容易に確認することができる。
【0099】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述した各実施の形態において、検査時に画像表示装置200に表示するための画像には、検査用信号生成部102、151において設定された階調レベル値を示す数値の表示が重畳されてもよい。すなわち、検査用信号生成部102は、パターン画像を構成する部分画像毎に、当該部分画像の階調レベル値を重畳させてもよい。また、検査用信号生成部151は、検査用の一連の画像のそれぞれに対し、当該画像の階調レベル値を重畳させてもよい。なお、重畳される文字の階調レベル値は、背景となる画像と所定値以上のコントラスト差のある階調レベル値である。このようにすることにより、画像信号出力装置100において設定された階調レベル値を表示部203で確認することができる。このため、いずれの階調レベル値において、非線形特性の影響を受けているかを検査担当者が把握しやすくすることができる。
【0100】
ところで、一般的に、医用モニターなどの業務用モニター製品には、表示特性を調整するための機能、並びに、表示特性を検査する機能が搭載されている。具体的には、表示特性を調整するための機能として、表示のガンマ特性を、医用規格に準拠したガンマ特性に合致させるための機能が搭載されている。より詳細には、モニター本体にLUTが搭載されており、また、所望のガンマ特性をこのLUTに与えるためのソフトウェアが用意されている。そして、ソフトウェアを使った操作により、所望のガンマ特性を実現するためのLUTデータを生成し、これを、ソフトウェアの通信機能を使用して、モニター本体に内蔵されるLUTに書き込むことにより、所望のガンマ特性を実現するように調整することができるようになっている。また、表示特性を検査する機能として、上記ソフトウェアにより、テストパターンを表示して、これを目視することにより、表示特性の不具合を検査する機能が搭載されている。
【0101】
上述した実施の形態は、モニター製品が予め備える、表示特性を調整するための機能、並びに、表示特性を検査する機能を活用して実現されてもよい。これにより、上述した実施の形態の導入コストを抑制することができる。具体的には、検査用信号生成部102、151は、表示特性を検査する機能として予めモニターに搭載されているソフトウェアを活用して実現されてもよい。また、変換部202は、表示特性を調整するための機能として予めモニターに搭載されているガンマ特性生成用LUTを活用して実現されてもよい。また、変換規則設定部104は、表示特性を調整するための機能として予めモニターに搭載されているソフトウェアを活用して実現されてもよい。
【0102】
上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、Compact Disc Read Only Memory(CD-ROM)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、Programmable ROM(PROM)、Erasable PROM(EPROM)、フラッシュROM、Random Access Memory(RAM))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0103】
10 画像表示システム
30 画像表示システム
100 画像信号出力装置
101 非検査用信号生成部
102 検査用信号生成部
103 画像信号出力部
104 変換規則設定部
150 画像信号出力装置
151 検査用信号生成部
152 表示輝度判定部
200 画像表示装置
201 画像信号受信部
202 変換部
203 表示部
300 表示輝度測定装置