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特許7196653情報処理システム、プログラム、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】情報処理システム、プログラム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20221220BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20221220BHJP
   G07C 9/27 20200101ALI20221220BHJP
   G08G 1/127 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G06Q50/30
G07C5/00 Z
G07C9/27
G08G1/127 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019019132
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2020126490
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】兼市 大輝
(72)【発明者】
【氏名】田邉 大資
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-010044(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0153495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07C 5/00
G07C 9/00
G08G 1/127
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、端末装置と、前記車両及び前記端末装置と通信可能なサーバと、を含む情報処理システムであって、
前記車両は、前記車両の位置情報を、前記サーバへ所定のタイミングにて繰り返し送信し、
前記端末装置は、前記端末装置のユーザを識別するユーザ識別情報と、前記端末装置の位置情報とを、前記サーバへ所定のタイミングにて繰り返し送信し、
前記サーバは、
前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が移動中であるか否かを判定し、
前記車両が移動中であると判定された場合に、前記車両が移動中でないと判定された場合よりも、所定の距離を長くし、
同じ時点における前記車両の位置情報及び前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が前記車両から前記所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定し、
前記端末装置が前記基準領域内にあると判定された場合に、前記ユーザ識別情報に基づいて、前記端末装置の前記ユーザが前記車両に乗車中であると判定する、情報処理システム。
【請求項2】
前記サーバは、少なくとも2つの異なる時点において継続して前記端末装置が前記基準領域内にあると判定された場合に、前記ユーザ識別情報に基づいて、前記端末装置の前記ユーザが前記車両に乗車中であると判定する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記基準領域は、前記車両の位置情報に基づいて判定されるジオフェンス領域である、請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記サーバは、
前記端末装置が前記基準領域に入ったと判定されたときの前記車両又は前記端末装置の位置を、前記端末装置の前記ユーザが前記車両に乗車した乗車位置と判定し、
前記端末装置が前記基準領域から外れたと判定されたときの前記車両又は前記端末装置の位置を、前記端末装置の前記ユーザが前記車両から降車した降車位置と判定する、請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記サーバは、
前記車両の停車予定位置を示す情報を記憶し、
前記車両及び前記端末装置が互いに前記車両の停車予定位置から所定の距離までの領域内にあると判定された場合に、前記乗車位置又は前記降車位置を判定する、請求項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
車両及び端末装置と通信可能なサーバに、
前記車両から、前記車両の位置情報を、所定のタイミングにて繰り返し受信するステップと、
前記端末装置から、前記端末装置のユーザを識別するユーザ識別情報と、前記端末装置の位置情報とを、所定のタイミングにて繰り返し受信するステップと、
前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が移動中であるか否かを判定するステップと、
前記車両が移動中であると判定された場合に、前記車両が移動中でないと判定された場合よりも、所定の距離を長くするステップと、
同じ時点における前記車両の位置情報及び前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が前記車両から前記所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定するステップと、
前記端末装置が前記基準領域内にあると判定された場合に、前記端末装置の前記ユーザが前記車両に乗車中であると判定するステップと、
を実行させる、プログラム。
【請求項7】
車両と、端末装置と、前記車両及び前記端末装置と通信可能なサーバと、を含む情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
前記車両が、前記車両の位置情報を、前記サーバへ所定のタイミングにて繰り返し送信するステップと、
前記端末装置が、前記端末装置のユーザを識別するユーザ識別情報と、前記端末装置の位置情報とを、前記サーバへ所定のタイミングにて繰り返し送信するステップと、
前記サーバが、
前記車両の位置情報に基づいて、前記車両が移動中であるか否かを判定するステップと、
前記車両が移動中であると判定された場合に、前記車両が移動中でないと判定された場合よりも、所定の距離を長くするステップと、
同じ時点における前記車両の位置情報及び前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が前記車両から前記所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定するステップと、
前記端末装置が前記基準領域内にあると判定された場合に、前記端末装置の前記ユーザが前記車両に乗車中であると判定するステップと、
を含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、プログラム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バス等の車両において乗客の乗車情報を管理する技術が知られている。例えば、特許文献1には、乗車券として非接触式IC(Integrated Circuit)カードを使用して改札処理を行なう自動改札装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-162740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、乗客は、車両に乗車又は降車する際に、乗車券として使用される非接触式ICカード等を、自動改札装置に対して近距離無線通信が可能な位置に提示する必要があった。このため、例えば、乗客の手荷物が多い場合等には、非接触式ICカードを提示することが乗客への負担となることがあった。したがって、車両における乗客の乗車情報を管理する技術は、利便性を向上させる余地があった。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、車両における乗客の乗車情報を管理する技術の利便性を向上させる情報処理システム、プログラム、及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る情報処理システムは、
車両と、端末装置と、前記車両及び前記端末装置と通信可能なサーバと、を含む情報処理システムであって、
前記車両は、前記車両の位置情報を、前記サーバへ所定のタイミングにて繰り返し送信し、
前記端末装置は、前記端末装置のユーザを識別するユーザ識別情報と、前記端末装置の位置情報とを、前記サーバへ所定のタイミングにて繰り返し送信し、
前記サーバは、
前記車両の位置情報及び前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が前記車両から所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定し、
前記端末装置が前記基準領域内にあると判定された場合に、前記ユーザ識別情報に基づいて、前記端末装置の前記ユーザが前記車両に乗車中であると判定する。
【0007】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、
車両及び端末装置と通信可能なサーバに、
前記車両から、前記車両の位置情報を、所定のタイミングにて繰り返し受信するステップと、
前記端末装置から、前記端末装置のユーザを識別するユーザ識別情報と、前記端末装置の位置情報とを、所定のタイミングにて繰り返し受信するステップと、
前記車両の位置情報及び前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が前記車両から所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定するステップと、
前記端末装置が前記基準領域内にあると判定された場合に、前記端末装置の前記ユーザが前記車両に乗車中であると判定するステップと、
を実行させる。
【0008】
本発明の一実施形態に係る情報処理方法は、
車両と、端末装置と、前記車両及び前記端末装置と通信可能なサーバと、を含む情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
前記車両が、前記車両の位置情報を、前記サーバへ所定のタイミングにて繰り返し送信するステップと、
前記端末装置が、前記端末装置のユーザを識別するユーザ識別情報と、前記端末装置の位置情報とを、前記サーバへ所定のタイミングにて繰り返し送信するステップと、
前記サーバが、
前記車両の位置情報及び前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が前記車両から所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定するステップと、
前記端末装置が前記基準領域内にあると判定された場合に、前記端末装置の前記ユーザが前記車両に乗車中であると判定するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態に係る情報処理システム、プログラム、及び情報処理方法によれば、車両における乗客の乗車情報を管理する技術の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2】情報処理システムに含まれる車両の概略構成を示すブロック図である。
図3】情報処理システムに含まれる端末装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】情報処理システムに含まれるサーバの概略構成を示すブロック図である。
図5】サーバに記憶される車両の位置情報の例を示す図である。
図6】サーバに記憶される端末装置の位置情報の例を示す図である。
図7】情報処理システムによって特定された車両及び端末装置の位置情報を示す図である。
図8】サーバの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
(情報処理システムの構成)
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理システム1の概要について説明する。情報処理システム1は、車両10と、端末装置20と、サーバ30と、を含む。車両10は、例えばバスであるが、これに限られず、タクシー等、客を乗せて運搬する任意の車両であってもよい。端末装置20は、例えば携帯電話及びスマートフォン等であるが、これに限られず、乗客が携帯し得る任意の情報処理装置であってもよい。サーバ30は、1つ又は互いに通信可能な複数の情報処理装置(例えば、サーバ装置)を含む。車両10及び端末装置20の各々は、例えば移動体通信網及びインターネット等を含むネットワーク40を介してサーバ30と通信可能である。図1では説明の簡便のため、それぞれ、2台の車両10、2つの端末装置20、及び1つのサーバ30が示されているが、情報処理システム1には任意の数の車両10、端末装置20、及びサーバ30が含まれてもよい。
【0013】
はじめに、本実施形態の概要について説明し、詳細については後述する。情報処理システム1は、車両10における乗客の乗車情報の管理に用いられる。車両10は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星と通信を行うことで、自車両の位置を測定する。車両10は、測定した車両10の位置情報を、ネットワーク40を介してサーバ30へ送信する。端末装置20も、車両10と同様に、GPS衛星と通信を行うことで、自装置の位置を測定する。端末装置20は、測定した端末装置20の位置情報と、端末装置20のユーザを識別するユーザ識別情報とを、ネットワーク40を介してサーバ30へ送信する。
【0014】
サーバ30は、車両10の位置情報及び端末装置20の位置情報に基づいて、端末装置20が車両10から所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定する。サーバ30は、端末装置20が基準領域内にあると判定された場合に、端末装置20から受信したユーザ識別情報に基づいて、端末装置20のユーザが乗客として車両10に乗車中であると判定する。これによって、情報処理システム1は、車両10の乗客に対して、非接触式ICカードを読み取り装置にかざす等の動作を要求せずに、乗客が保持する端末装置20と通信することで、乗客が車両10に乗車中であるか否かを判定することができる。したがって、車両10における乗客の乗車情報を管理する技術の利便性が向上する。
【0015】
次に、情報処理システム1の各構成について、詳細に説明する。
【0016】
(車両の構成)
情報処理システム1における、車両10の構成について、詳細に説明する。図2にブロック図で示すように、車両10は、通信部11と、測位部12と、記憶部13と、出力部14と、制御部15と、を備える。通信部11、測位部12、記憶部13、出力部14、及び制御部15のそれぞれは、車両10に内蔵されていてもよく、或いは車両10に着脱可能に設けられていてもよい。通信部11、測位部12、記憶部13、出力部14、及び制御部15のそれぞれが車両10に着脱可能に設けられる場合、通信部11、測位部12、記憶部13、出力部14、及び制御部15のそれぞれは車両10に着脱可能な情報処理装置に設けられていてもよい。通信部11、測位部12、記憶部13、出力部14、及び制御部15は、例えばCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク又は専用線を介して、互いに通信可能に接続される。
【0017】
通信部11は、ネットワーク40に接続する通信モジュールを含む。当該通信モジュールは、例えば4G(4th Generation)及び5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。例えば、DCM(Data Communication Module)等の車載通信機が、通信部11として機能してもよい。本実施形態において、車両10は、通信部11を介してネットワーク40に接続される。これによって、車両10はサーバ30等と通信可能とされる。
【0018】
測位部12は、衛星測位システムに対応する受信機を含む。当該受信機は、例えばGPSに対応するが、これに限られず、任意の衛星測位システムに対応してもよい。例えばカーナビゲーション装置が、測位部12として機能してもよい。これによって、測位部12は、車両10の位置情報を取得する。本明細書において、車両10の「位置情報」とは、車両10のある時点における位置を特定可能な情報である。車両10の位置情報には、例えば、日付及び時間等の時点を示す情報と、緯度及び経度等の座標を示す情報とが含まれてもよい。測位部12は、車両10の位置情報を取得する際に用いられる、現在時刻を把握する計時機能を有してもよい。
【0019】
記憶部13は、1つ以上のメモリを含む。本実施形態において「メモリ」は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部13に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部13は、車両10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部13は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。記憶部13に記憶された情報は、例えば通信部11を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。記憶部13は、例えば、車両10を一意に識別する車両識別情報を記憶してもよい。車両識別情報は、例えば、サーバ30によって払い出された車両ID(Identifier)であるが、これに限られず、車両10の車台番号、及び自動車登録番号等の任意の情報が含まれてもよい。
【0020】
出力部14は、音、振動、又は画像等で情報を出力する。出力部14は、例えばスピーカ、振動子、及び表示デバイス等の少なくとも1つを含んでもよい。出力部14は、例えば、車両10の位置情報、車両10が移動中であるか否かの情報、或いは車両10に乗車中である乗客の情報を出力してもよい。例えば、出力部14は、表示デバイスに情報を表示して、端末装置20のユーザが乗客として乗車中であることを、車両10の運転手に通知してもよい。
【0021】
制御部15は、1つ以上のプロセッサを備える。制御部15は、上述した通信部11、測位部12、記憶部13、及び出力部14の機能を実現させるために、それぞれを制御してもよい。例えば、車両10に搭載されたECU(Electronic Control Unit)が、制御部15として機能してもよい。本実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であるが、これらに限られない。
【0022】
以下に、制御部15により車両10の各機能を制御して実現される、車両10の処理について、説明する。例えば、車両10は、測位部12を用いて取得した車両10の位置情報を、通信部11からサーバ30へ所定のタイミングにて繰り返し送信する。本明細書において、「所定のタイミングにて繰り返す」とは、例えば、所定の時間間隔で繰り返すことであるが、これに限られない。例えば、「所定のタイミングにて繰り返す」ことには、車両10の加速、減速、或いは停車等が検出されたタイミング等、任意のタイミングで定期的又は非定期的に繰り返すことが含まれてもよい。制御部15は、車両10の位置情報と併せて、上述した車両10を一意に識別する車両識別情報を、サーバ30に送信してもよい。
【0023】
(端末装置の構成)
情報処理システム1における、端末装置20の構成について、詳細に説明する。図3にブロック図で示すように、端末装置20は、端末通信部21と、端末測位部22と、端末記憶部23と、端末出力部24と、端末制御部25と、を備える。端末通信部21、端末測位部22、端末記憶部23、端末出力部24、及び端末制御部25は、有線又は無線で通信可能に接続される。
【0024】
端末通信部21は、ネットワーク40に接続する通信モジュールを含む。当該通信モジュールは、例えば4G及び5G等の移動体通信規格に対応するが、これらに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、端末装置20は、端末通信部21を介してネットワーク40に接続される。これによって、端末装置20はサーバ30等と通信可能とされる。
【0025】
端末測位部22は、衛星測位システムに対応する受信機を含む。当該受信機は、例えばGPSに対応するが、これに限られず、任意の衛星測位システムに対応してもよい。これによって、端末測位部22は、端末装置20の位置情報を取得する。本明細書において、端末装置20の「位置情報」とは、端末装置20のある時点における位置を特定可能な情報である。端末装置20の位置情報には、例えば、例えば、日付及び時間等の時点を示す情報と、緯度及び経度等の座標を示す情報とが含まれてもよい。端末測位部22は、端末装置20の位置情報を取得する際に用いられる、現在時刻を把握する計時機能を有してもよい。
【0026】
端末記憶部23は、1つ以上のメモリを含む。端末記憶部23に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。端末記憶部23は、端末装置20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、端末記憶部23は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。端末記憶部23に記憶された情報は、例えば端末通信部21を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。端末記憶部23は、例えば、端末装置20を一意に識別する端末識別情報を記憶してもよい。端末識別情報は、例えば、サーバ30によって払い出された端末IDであるが、これに限られず、端末装置20の製造番号等の任意の情報が含まれてもよい。
【0027】
端末記憶部23は、更に、端末装置20のユーザを識別するユーザ識別情報を記憶してもよい。ユーザ識別情報は、例えば、サーバ30によって払い出されたユーザIDであるが、これに限られず、端末装置20へのログインID等、任意の情報が含まれてもよい。本明細書において、端末識別情報とユーザ識別情報とは異なるものとして説明するが、この限りではない。例えば、端末装置20がシングルユーザの端末装置である場合、端末識別情報をユーザ識別情報としても用いることで、サーバ30において記憶される情報量の増加を抑制することができる。一方で、端末装置20がマルチユーザの端末装置である場合、端末識別情報とユーザ識別情報とが別々に管理されることで、ユーザごとの乗車を管理することができる。
【0028】
端末出力部24は、音、振動、又は画像等で情報を出力する。端末出力部24は、例えばスピーカ、振動子、及び表示デバイス等の少なくとも1つを含んでもよい。端末出力部24は、端末装置20の位置情報、端末装置20が移動中であるか否かの情報、或いは端末装置20のユーザが乗車中である車両10の情報を出力してもよい。例えば、端末出力部24は、表示デバイスに情報を表示して、端末装置20のユーザが乗客として車両10に乗車中であることを、端末装置20のユーザに通知してもよい。
【0029】
端末制御部25は、1つ以上のプロセッサを備える。端末制御部25は、上述した端末通信部21、端末測位部22、端末記憶部23、及び端末出力部24の機能を実現させるために、それぞれを制御してもよい。
【0030】
以下に、端末制御部25により端末装置20の各機能を制御して実現される、端末装置20の処理について、説明する。例えば、端末装置20は、端末装置20のユーザを識別するユーザ識別情報と、端末測位部22を用いて取得した端末装置20の位置情報を、端末通信部21からサーバ30へ所定のタイミングにて繰り返し送信する。本明細書において、「所定のタイミングにて繰り返す」とは、上述のとおり、所定の時間間隔で繰り返すことであるが、これに限られない。「所定のタイミングにて繰り返す」ことには、端末装置20の加速又は減速、或いは停止等が検出されたタイミング等、任意のタイミングで定期的又は非定期的に繰り返すことが含まれてもよい。端末制御部25は、端末装置20の位置情報と併せて、上述した端末装置20を一意に識別する端末識別情報を、サーバ30に送信してもよい。
【0031】
(サーバの構成)
図4にブロック図で示すように、サーバ30は、サーバ通信部31と、サーバ記憶部32と、サーバ制御部33と、を備える。サーバ通信部31、サーバ記憶部32、及びサーバ制御部33は、有線又は無線で通信可能に接続される。
【0032】
サーバ通信部31は、ネットワーク40に接続する通信モジュールを含む。当該通信モジュールは、例えば有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等の規格に対応するが、これに限られず、任意の通信規格に対応してもよい。本実施形態において、サーバ30は、サーバ通信部31を介してネットワーク40に接続される。これによって、サーバ30は、車両10及び端末装置20と通信可能とされる。
【0033】
サーバ記憶部32は、1つ以上のメモリを含む。サーバ記憶部32に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。サーバ記憶部32は、サーバ30の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、サーバ記憶部32は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及びデータベース等を記憶してもよい。サーバ記憶部32に記憶された情報は、例えばサーバ通信部31を介してネットワーク40から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0034】
サーバ記憶部32は、例えば、上述した、車両10を一意に識別する車両識別情報、端末装置20を一意に識別する端末識別情報、及び端末装置20のユーザを一意に識別するユーザ識別情報を記憶してもよい。サーバ記憶部32は、車両10の車両識別情報と紐づけて、車両10の停車予定位置を示す情報等の、車両10に関する情報を記憶してもよい。車両10の停車予定位置は、例えば、路線バスのバス停のように、特定の位置に固定されていてもよい。或いは、車両10の停車予定位置は、乗合バス及びタクシーの乗車位置のように、位置が変動するものであってもよい。車両10の停車予定位置は、位置が変動するものである場合、車両10又は端末装置20から受信した情報に基づいて更新されてもよい。また、サーバ記憶部32は、端末装置20のユーザ識別情報と紐づけて、乗車運賃の支払いに用いられる、ユーザの氏名、請求先住所、或いは銀行口座又はクレジットカードの情報等の、端末装置20のユーザに関する情報を記憶してもよい。これにより、サーバ30は、端末装置20のユーザに対して、ネットワーク40経由で乗車運賃の請求等を行うことができる。したがって、端末装置20のユーザは、運賃等の支払い動作をせずに車両10を利用することができ、車両における乗客の乗車情報を管理する技術の利便性が向上する。
【0035】
サーバ制御部33は、1つ以上のプロセッサを含む。サーバ制御部33は、上述したサーバ通信部31及びサーバ記憶部32の機能を実現させるために、それぞれを制御してもよい。
【0036】
以下に、サーバ制御部33によりサーバ30の各機能を制御して実現される、サーバ30の処理について、説明する。サーバ30は、車両10の位置情報を車両10から受信すると、当該情報をサーバ記憶部32に記憶する。例えば図5に示すように、サーバ30は、車両位置情報IDに対応付けて、車両10の車両識別情報、車両10の位置情報に含まれる時点及び座標を示す情報をサーバ記憶部32に記憶してもよい。車両位置情報IDは、サーバ30が車両10から受信した車両10の位置情報を一意に識別する情報であって、例えば車両10の位置情報の受信時に自動的に生成される。
【0037】
また、サーバ30は、端末装置20のユーザを識別するユーザ識別情報及び端末装置20の位置情報を端末装置20から受信すると、当該情報をサーバ記憶部32に記憶する。例えば図6に示すように、サーバ30は、端末位置情報IDに対応付けて、端末装置20の端末識別情報、端末装置20のユーザ識別情報、及び端末装置20の位置情報に含まれる時点及び座標を示す情報をサーバ記憶部32に記憶してもよい。端末位置情報IDは、サーバ30が端末装置20から受信した端末装置20の位置情報を一意に識別する情報であって、例えば端末装置20の位置情報の受信時に自動的に生成される。
【0038】
サーバ30は、車両10の位置情報及び端末装置20の位置情報に基づいて、端末装置20が車両10から所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定する。本明細書において、「基準領域」とは、車両10の位置を基準として、車両10の位置から所定の距離以内の領域である。本実施形態では、基準領域は2次元空間における領域であるが、1次元空間又は3次元空間における領域であってもよい。一例として、サーバ30は、車両10の位置情報に基づいて、車両10から所定の距離にある地点を結んだ仮想的な地理的境界線に囲まれた領域を設定し、当該領域を基準領域としてもよい。サーバ30は、設定された仮想的な地理的境界線に囲まれた領域内に、端末装置20の位置が含まれるか否かによって、端末装置20が基準領域内にあるか否かを判定してもよい。以下、仮想的な地理的境界線を「ジオフェンス」ともいい、仮想的な地理的境界線に囲まれた領域を「ジオフェンス領域」ともいう。車両10のジオフェンス領域は、例えば車両10の位置を中心として、所定の距離を半径とした、円形又は球形の領域であってもよい。所定の距離は、例えば、衛星測位システムの測定精度、又は車両10若しくは端末装置20における位置情報の測定頻度等に応じて、任意に定められてもよい。例えば、車両10の測位部12によって測定される位置情報の誤差が数メートルから10メートル程度である場合には、所定の距離は、当該誤差以上の距離とされてよい。サーバ30は、端末装置20が基準領域内にあると判定された場合に、端末装置20のユーザ識別情報に基づいて、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると判定する。
【0039】
サーバ30は、少なくとも2つの異なる時点において継続して端末装置20が基準領域内にあると判定された場合に、ユーザ識別情報に基づいて、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると判定してもよい。例えば、サーバ30は、少なくとも2つの異なる時点において計測された車両10及び端末装置20の位置情報から、各々の時点における車両10と端末装置20と距離を算出してもよい。サーバ30は、算出された車両10と端末装置20と距離が、複数の時点において継続して所定の距離よりも短いと判定された場合に、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると判定してもよい。また例えば、サーバ30は、少なくとも2つの異なる時点における車両10と端末装置20の各々の位置情報に基づいて、車両10と端末装置20の各々の移動情報を算出してもよい。車両10の移動情報又は端末装置20の移動情報は、車両10又は端末装置20がどのように移動したかを示す情報で、例えば、移動した距離、方向、経路、及び速度等の少なくとも1つが含まれてもよい。サーバ30は、算出された車両10の移動情報と、端末装置20の移動情報とを比較して、複数の時点において継続して互いに重複していると判定された場合に、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると判定してもよい。これによって、サーバ30が、測定された車両10及び端末装置20の位置情報の誤差等によって、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると誤って判定する蓋然性を低減することができる。
【0040】
サーバ30は、車両10の位置情報に基づいて、車両10が移動中であるか否かを判定し、移動中であるか否かの判定に基づいて、所定の距離を変更してもよい。例えば、車両10が移動中であると判定された場合の所定の距離は、車両10が移動中でないと判定された場合の所定の距離よりも長くてもよい。サーバ30は、例えば、上述した車両10の移動情報を用いて、車両10が移動中であるか否かを判定する。サーバ30は、車両10が移動中であると判定された場合に、所定の距離を長くして、基準領域の面積を広げてもよい。また、サーバ30は、車両10が移動中でないと判定された場合に、所定の距離を短くして、基準領域の面積を狭めてもよい。このように、サーバ30は、衛星測位システムによる位置測定の精度が低下しやすい車両10の移動中に、基準領域を広げることで、端末装置20のユーザが車両10に乗車中でないと誤って判定する蓋然性を低減させ得る。一方で、サーバ30は、位置測定の精度が向上する車両10の停車中に、車両10への乗車と判定される基準領域を狭めることで、基準領域に存在し得る端末装置20を捜索するための、サーバ30における処理量を軽減することができる。
【0041】
サーバ30は、端末装置20が基準領域に入ったときの車両10又は端末装置20の位置を、端末装置20のユーザが車両10に乗車した乗車位置と判定し、端末装置20が基準領域から外れたと判定されたときの車両10又は端末装置20の位置を、端末装置20のユーザが車両10から降車した降車位置と判定してもよい。これによって、サーバ30は、乗車した距離又は時間等に応じた乗車料金を、端末装置20のユーザに請求することができる。サーバ30は、更に、上述した車両10の停車予定位置を示す情報を用いて、車両10及び端末装置20が互いに車両10の停車予定位置から所定の距離までの領域内にあると判定された場合に、乗車地点又は降車地点を判定してもよい。これによって、サーバ30が、測定された車両10及び端末装置20の位置情報の誤差等により、端末装置20が車両10から一時的に所定の距離内に入ったとき或いは外れたときの車両10又は端末装置20の位置を、乗車位置又は降車位置であると誤って判定する蓋然性を低減することができる。したがって、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると判定する精度が向上する。
【0042】
サーバ30は、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であるか否かを判定した結果を任意の用途に用いることができる。例えば、サーバ30は、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であるか否かを判定した結果に基づいて、例えば、端末装置20のユーザの、車両10の乗車料金の算定、及び乗車履歴の記憶等を行うことができる。サーバ30は、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であるか否かを判定した結果を、車両10及び端末装置20の少なくとも一方に送信してもよい。これによって、車両10又は端末装置20は、車両10の運転手又は端末装置20のユーザ等に、端末装置20のユーザが車両10に乗車していることを通知することができ、車両における乗客の乗車情報を管理する技術の利便性が向上する。
【0043】
(情報処理システムにおける乗車判定例)
以下に、情報処理システムにおいて実施される乗車判定について、具体例を示して説明する。図7は、情報処理システムによって特定された車両10及び端末装置20の位置情報を示す図である。図7において、車両10の時点t1~t7における位置情報が黒三角で示され、端末装置20の時点t’1~t’7における位置情報が黒丸で示されている。車両10は、時点t1~t7において、車両10の位置情報を取得して、取得した位置情報をサーバ30へ繰り返し送信する。端末装置20も、車両10と同様に、時点t’1~t’7において、端末装置20の位置情報を取得して、取得した位置情報を、端末装置20のユーザを識別するユーザ識別情報とともに、サーバ30へ繰り返し送信する。このとき、車両10の位置情報に含まれる時点t1~t7と、端末装置20の位置情報に含まれる時点t’1~t’7とは、それぞれ同一の時点である必要はなく、同一とみなせる誤差の範囲内で異なっていてもよい。
【0044】
サーバ30は、車両10の位置情報及び端末装置20の位置情報に基づいて、端末装置20が車両10から所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定する。図において、基準領域は、黒三角で示された車両10の位置を中心とした円で示されている。時点t’1及びt’2における端末装置20の位置は、時点t1及びt2における基準領域内にない。したがって、サーバ30は、端末装置20のユーザが車両10に乗車中でないと判定する。時点t’3における端末装置20の位置は、時点t3における基準領域内にある。したがって、サーバ30は、端末装置20のユーザが、時点t3において車両10に乗車した、即ち、時点t3において車両10に乗車中であると判定する。時点t’4及びt’5における端末装置20の位置も、継続して、時点t4及びt5における基準領域内にある。したがって、サーバ30は、端末装置20のユーザが、時点t4及びt5において車両10に乗車中であると判定する。
【0045】
その後、時点t’6における端末装置20の位置は、時点t6における基準領域内にあるが、時点t’7における端末装置20の位置は、時点t7における基準領域内にない。したがって、サーバ30は、端末装置20のユーザが時点t6において車両10から降車したと判定する。これによって、サーバ30は、端末装置20のユーザが、時点t3における車両10の位置から時点t6における車両10の位置まで車両10に乗車したと判定することができる。
【0046】
(サーバの処理フロー)
図8を参照して、サーバ30の処理のフローについて説明する。
【0047】
ステップS101:サーバ30は、車両10から、車両10の位置情報を、所定のタイミングにて繰り返し受信する。
【0048】
ステップS102:サーバ30は、端末装置20から、端末装置20のユーザを識別するユーザ識別情報と、端末装置20の位置情報とを、所定のタイミングにて繰り返し受信する。
【0049】
ステップS103:サーバ30は、車両10の位置情報及び端末装置20の位置情報に基づいて、端末装置20が車両10から所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定する。
【0050】
ステップS104:端末装置20が基準領域内にあると判定された場合(ステップS103-Yes)、サーバ30は、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると判定する。
【0051】
ステップS105:端末装置20が基準領域内にないと判定された場合(ステップS103-No)、サーバ30は、端末装置20のユーザが車両10に乗車中でないと判定する。
【0052】
以上述べたように、本実施形態に係る情報処理システム1は、車両10と、端末装置20と、車両10及び端末装置20と通信可能なサーバ30と、を含む。車両10は、車両10の位置情報を、サーバ30へ所定のタイミングにて繰り返し送信する。端末装置20は、端末装置20のユーザを識別するユーザ識別情報と、端末装置20の位置情報とを、サーバ30へ所定のタイミングにて繰り返し送信する。サーバ30は、車両10の位置情報及び端末装置20の位置情報に基づいて、端末装置20が車両10から所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定し、端末装置20が基準領域内にあると判定された場合に、ユーザ識別情報に基づいて、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると判定する。かかる構成によれば、情報処理システム1は、車両10の乗客に対して、非接触式ICカードを読み取り装置にかざす等の動作を要求せずに、乗客が保持する端末装置20と通信することで、乗客が車両10に乗車中であるか否かを判定することができる。したがって、車両10における乗客の乗車情報を管理する技術の利便性が向上する。
【0053】
本実施形態に係る情報処理システム1では、サーバ30は、少なくとも2つの異なる時点において継続して端末装置20が基準領域内にあると判定された場合に、ユーザ識別情報に基づいて、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると判定することができる。かかる構成によれば、サーバ30が、測定された車両10及び端末装置20の位置情報の誤差等によって、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると誤って判定する蓋然性を低減することができる。
【0054】
本実施形態に係る情報処理システム1では、サーバ30は、車両10の位置情報に基づいて、車両10が移動中であるか否かを判定し、車両10が移動中であるか否かの判定に基づいて、所定の距離を変更することができる。より具体的には、車両10が移動中であると判定された場合の所定の距離は、車両10が移動中でないと判定された場合の所定の距離よりも長くすることができる。かかる構成によれば、サーバ30が、衛星測位システムを用いた位置測定の精度が低下する場合に、基準領域の面積を広げることで、端末装置20のユーザが車両10に乗車中でないと誤って判定する蓋然性を低減することができる。また、サーバ30は、衛星測位システムを用いた位置測定の精度が上昇する場合に、基準領域の面積を狭めることで、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であるか否かの判定に掛かる、サーバ30における処理量を軽減することができる。
【0055】
本実施形態に係る情報処理システム1では、基準領域は、車両10の位置情報に基づいて判定されるジオフェンス領域であるとすることができる。かかる構成によれば、車両10の移動等に伴って、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると判定される、基準領域も移動するため、当該判定の精度を向上させることができる。
【0056】
本実施形態に係る情報処理システム1では、サーバ30は、端末装置20が基準領域に入ったと判定されたときの車両10又は端末装置20の位置を、端末装置20のユーザが車両10に乗車した乗車位置と判定し、端末装置20が基準領域から外れたと判定されたときの車両10又は端末装置20の位置を、端末装置20のユーザが車両10から降車した降車位置と判定することができる。かかる構成によれば、サーバ30は、判定結果に基づいて、乗車した距離又は時間等に応じた乗車料金を、端末装置20のユーザに請求することができる。
【0057】
本実施形態に係る情報処理システム1では、サーバ30は、車両10の停車予定位置を示す情報を記憶し、車両10及び端末装置20が互いに車両10の停車予定位置から所定の距離までの領域内にあると判定された場合に、乗車位置又は降車位置を判定することができる。かかる構成によれば、サーバ30が、端末装置20のユーザの車両10への乗車位置又は降車位置を誤って判定する蓋然性を低減することができ、ひいては、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると判定する精度を向上させることができる。
【0058】
本実施形態に係るプログラムは、車両10及び端末装置20と通信可能なサーバ30に、車両10から、車両10の位置情報を、所定のタイミングにて繰り返し受信するステップと、端末装置20から、端末装置20のユーザを識別するユーザ識別情報と、端末装置20の位置情報とを、所定のタイミングにて繰り返し受信するステップと、車両10の位置情報及び端末装置20の位置情報に基づいて、端末装置20が車両10から所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定するステップと、端末装置20が基準領域内にあると判定された場合に、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると判定するステップと、を実行させる。かかる構成によれば、サーバ30は、車両10の乗客に対して、非接触式ICカードを読み取り装置にかざす等の動作を要求せずに、乗客が保持する端末装置20と通信することで、乗客が車両10に乗車中であるか否かを判定することができる。したがって、車両10における乗客の乗車情報を管理する技術の利便性が向上する。
【0059】
本実施形態に係る情報処理方法は、車両10と、端末装置20と、車両10及び端末装置20と通信可能なサーバ30と、を含む情報処理システム1が実行する情報処理方法である。情報処理方法は、車両10が、車両10の位置情報を、サーバ30へ所定のタイミングにて繰り返し送信するステップと、端末装置20が、端末装置20のユーザを識別するユーザ識別情報と、端末装置20の位置情報とを、サーバ30へ所定のタイミングにて繰り返し送信するステップと、サーバ30が、車両10の位置情報及び端末装置20の位置情報に基づいて、端末装置20が車両10から所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定するステップと、端末装置20が基準領域内にあると判定された場合に、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であると判定するステップと、を含む。かかる構成によれば、情報処理システム1は、車両10の乗客に対して、非接触式ICカードを読み取り装置にかざす等の動作を要求せずに、乗客が保持する端末装置20と通信することで、乗客が車両10に乗車中であるか否かを判定することができる。したがって、車両10における乗客の乗車情報を管理する技術の利便性が向上する。
【0060】
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0061】
例えば、上述した実施形態では、サーバ30が車両10の位置情報に基づいて所定の距離までの基準領域を設定する構成について説明したが、この限りではない。基準領域は、例えば、端末装置20の位置情報に基づいて設定されてもよい。サーバ30は、端末装置20の位置情報に基づいて設定された基準領域内に、車両10の位置が含まれるか否かによって、端末装置20が車両10から所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定してもよい。
【0062】
また、例えば、上述した実施形態において、サーバ30の機能又は処理として説明された機能又は処理の全部又は一部が、車両10の機能又は処理として実現されてもよい。具体的には、実施形態に係るサーバ30の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、車両10のメモリ等の記憶部13に記憶し、車両10のプロセッサ等の制御部15によって当該プログラムを読み出して実行させる。かかる場合、端末装置20は、端末装置20のユーザを識別するユーザ識別情報と、端末装置20の位置情報とを、車両10へ所定のタイミングにて繰り返し送信してもよい。
【0063】
また、例えばスマートフォン又はコンピュータ等の汎用の情報処理装置を、上述した実施形態に係る車両10、端末装置20又はサーバ30として機能させる構成も可能である。具体的には、実施形態に係る車両10等の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、電子機器のメモリに格納し、電子機器のプロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本実施形態に係る発明は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。例えば、汎用の情報処理装置を車両10として機能させる場合、車両10の構成及び機能として上述した構成及び機能の全部又は一部を有する情報処理装置を車両10に設置することで実現することができる。
【0064】
また、例えば、上述した実施形態において、サーバ30が、衛星測位システムを用いて取得された、絶対的な車両10の位置情報及び端末装置20の位置情報に基づいて、端末装置20が車両10から所定の距離までの基準領域内にあるか否かを判定する構成について説明したが、この限りではない。例えば、車両10の位置情報及び端末装置20の位置情報は、例えば、車両10と端末装置20との近距離無線通信に基づいて取得された相対的な情報であってもよい。例えば、車両10及び端末装置20の少なくとも一方から、近距離無線通信によって所定の距離までの領域に送信された信号を、車両10及び端末装置20の他方が受信したこと、或いは受信した強度に基づいて、相対的な車両10の位置情報及び端末装置20の位置情報が測定されてもよい。サーバ30は、相対的な車両10の位置情報及び端末装置20の位置情報に基づいて、端末装置20のユーザが車両10に乗車中であるか否かを判定してもよい。或いは、サーバ30は、相対的な車両10の位置情報及び端末装置20の位置情報に基づいて、端末装置20のユーザが車両10に乗車した位置或いは車両10から降車した位置を特定してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 情報処理システム
10 車両
11 通信部
12 測位部
13 記憶部
14 出力部
15 制御部
20 端末装置
21 端末通信部
22 端末測位部
23 端末記憶部
24 端末出力部
25 端末制御部
30 サーバ
31 サーバ通信部
32 サーバ記憶部
33 サーバ制御部
40 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8