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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20221220BHJP
   H01R 13/6473 20110101ALI20221220BHJP
【FI】
H01R24/38
H01R13/6473
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019024718
(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公開番号】P2020126819
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】62/800,572
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】アダム タクマ ナガオ
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/221354(WO,A1)
【文献】特開2018-125241(JP,A)
【文献】特開2014-002974(JP,A)
【文献】特開2018-014293(JP,A)
【文献】特開2018-116862(JP,A)
【文献】実開昭61-099985(JP,U)
【文献】特開2000-299171(JP,A)
【文献】特開2003-163058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
13/56-13/72
24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線及びシールド線と、前記信号線と前記シールド線との間に介在する誘電体層と、前記シールド線を覆う絶縁被覆とを有し、RF信号を伝送する同軸ケーブルにおいて、前記絶縁被覆が除去され前記信号線及び前記シールド線が部分的に露出した端末部分に取り付けられ、配線基板に実装された相手コネクタに接続される同軸型のRFコネクタであって、
前記信号線と導通する信号コンタクト導体と、
前記シールド線と導通するグランドコンタクト導体と、
前記信号コンタクト導体と前記グランドコンタクト導体との間に介在する絶縁性のハウジングと、を備え、
前記グランドコンタクト導体は、
前記相手コネクタのグランドコンタクト導体に嵌合する嵌合部と、
前記同軸ケーブルの端末部分のうち前記絶縁被覆が除去された部分を保持して前記シールド線に接触し、前記絶縁被覆に接触しないクランプ部と、を有し、
前記クランプ部は、前記グランドコンタクト導体において前記嵌合部から最遠の端に位置している、コネクタ。
【請求項2】
前記グランドコンタクト導体は、
前記嵌合部と前記クランプ部との間において前記ハウジングを保持するバレル部を更に有し、
前記バレル部は、
前記誘電体層と前記シールド線とを更に保持するように構成されている、請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記グランドコンタクト導体は、
前記バレル部から内側に突出し前記シールド線を前記誘電体層に向けて押す保持用爪部を更に有する、請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記保持用爪部は、前記ハウジングと前記クランプ部との間において前記クランプ部寄りに位置している、請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記信号コンタクト導体は、
前記嵌合部内に位置して前記相手コネクタの信号コンタクト導体に接触する接触部と、
前記バレル部内に位置して前記信号線が接続される接続部とを有し、
前記ハウジングは、前記接続部に前記信号線を超音波接合するための開口を有する、請求項2~3のいずれか一項記載のコネクタ。
【請求項6】
前記嵌合部は筒状であり、
前記グランドコンタクト導体は、
前記嵌合部の筒状の外周面に重なることなく前記嵌合部の一端を塞ぐ蓋部を更に有する、請求項1~5のいずれか一項記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、嵌合筒状部を有する外部導体と、嵌合筒状体内に収められ保持されている誘電体と、誘電体に保持され嵌合筒状部の軸線方向に延びる接触部を有する中心導体とを備える同軸電気コネクタが開示されている。外部導体は、嵌合筒状部の開口を覆う蓋部と、嵌合筒状部から半径方向に延出する一対の腕部と、中心導体の結線部に結線され上記一対の腕部の間で上記半径方向に延びるケーブルを腕部と共に囲む囲繞部とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-183212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、コネクタには、高周波信号の伝送における更なる信頼性向上が求められている。そこで本開示は、高周波信号の伝送経路における特性インピーダンスの安定性向上に有効なコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るコネクタは、信号線及びシールド線と、信号線とシールド線との間に介在する誘電体層と、シールド線を覆う絶縁被覆とを有する同軸ケーブルにおいて、絶縁被覆が除去され信号線及びシールド線が部分的に露出した端末部分に取り付けられ、配線基板に実装された相手コネクタに接続されるコネクタであって、信号線と導通する信号コンタクト導体と、シールド線と導通するグランドコンタクト導体と、信号コンタクト導体とグランドコンタクト導体との間に介在する絶縁性のハウジングと、を備え、グランドコンタクト導体は、相手コネクタのグランドコンタクト導体に嵌合する嵌合部と、同軸ケーブルの端末部分のうち絶縁被覆が除去された部分を保持してシールド線に接触するクランプ部と、を有し、クランプ部は、グランドコンタクト導体において嵌合部から最遠の端に位置している。
【0006】
グランドコンタクト導体の一部が絶縁被覆を介してシールド線と対向すると、その部分の静電容量等に起因して、高周波信号の伝送経路における特性インピーダンスの安定性が低下する。これに対し、上記コネクタによれば、シールド線に接触するクランプ部が嵌合部から最遠の端に位置するので、グランドコンタクト導体において絶縁被覆を介してシールド線と対向する部分が削減される。従って、高周波信号の伝送経路における特性インピーダンスの安定性向上に有効である。
【0007】
グランドコンタクト導体は、嵌合部とクランプ部との間においてハウジングを保持するバレル部を更に有してもよく、バレル部は、誘電体層とシールド線とを更に保持するように構成されていてもよい。クランプ部が嵌合部から最遠の端に位置する構成においては、絶縁被覆の外側から同軸ケーブルを保持する部分(以下、「外皮クランプ」という。)を別途設けることが難しい。これに対し、ハウジングとクランプ部との間においてバレル部が誘電体層とシールド線とを更に保持する構成によれば、外皮クランプの代わりに、バレル部によってグランドコンタクト導体と同軸ケーブルとの接続部を補強することができる。
【0008】
グランドコンタクト導体は、バレル部から内側に突出しシールド線を誘電体層に向けて押す保持用爪部を更に有してもよい。この場合、グランドコンタクト導体と同軸ケーブルとの接続部のバレル部による補強効果を更に高めることができる。また、バレル部とシールド線とをよりしっかりと導通させ、特性インピーダンスの安定性を更に向上させることができる。
【0009】
保持用爪部は、ハウジングとクランプ部との間においてクランプ部寄りに位置していてもよい。この場合、保持用爪部により上記補強効果を更に高め、バレル部とシールド線とをよりしっかりと導通させることができる。
【0010】
信号コンタクト導体は、嵌合部内に位置して相手コネクタの信号コンタクト導体に接触する接触部と、バレル部内に位置して信号線が接続される接続部とを有してもよく、ハウジングは、接続部に信号線を超音波接合するための開口を有してもよい。接続部に信号線を超音波接合する構成によれば、半田接合等に比較して接合後の信号線の姿勢が安定するので、特性インピーダンスの安定性を更に向上させることが可能である。また、半田接合等に比較して接合時の誘電体層への熱的ダメージが小さいので、信号線の露出長を短くして誘電体層の先端を接続部に近接させることができる。このため、誘電体層及びシールド線のバレル部による保持代を長くし、バレル部による上記補強効果を更に高めることができる。
【0011】
嵌合部は筒状であってもよく、グランドコンタクト導体は、嵌合部の外周面に重なることなく嵌合部の一端を塞ぐ蓋部を更に有してもよい。この場合、蓋部が嵌合部の外周面を覆わない構造により、静電容量が生じやすい箇所が更に削減される。従って、高周波信号の伝送経路における特性インピーダンスの安定性向上に更に有効である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、高周波信号の伝送経路における特性インピーダンスの安定性向上に有効なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るコネクタ組立体の斜視図である。
図2図2は、図1のコネクタ組立体に含まれるリセプタクルコネクタの斜視図である。
図3図3は、図2のリセプタクルコネクタのIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、リセプタクルコネクタに含まれるグランドコンタクト導体の斜視図である。
図5図5は、リセプタクルコネクタに含まれる信号コンタクト導体を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は右側面図、(c)は左側面図である。
図6図6は、図1のコネクタ組立体に含まれるプラグコネクタの斜視図である。
図7図7は、図6のプラグコネクタのVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、図6のプラグコネクタの底面図である。
図9図9は、プラグコネクタに含まれる信号コンタクト導体の斜視図である。
図10図10は、プラグコネクタに含まれるハウジングの斜視図である。
図11図11は、図10のハウジングの底面図である。
図12図12は、コネクタ組立体の嵌合状態を説明する図であり、図1のXII-XII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明される本開示に係る実施形態について説明するが、本開示は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
[コネクタ組立体の概要]
図1を参照して、コネクタ組立体の概要について説明する。図1に示されるように、コネクタ組立体1は、リセプタクルコネクタ2と、プラグコネクタ3とを備える。コネクタ組立体1は、ケーブル状の信号伝送媒体を配線基板の電気回路に電気的に接続するコネクタであり、例えばRF(Radio Frequency)コネクタである。信号伝送媒体とは、携帯電話等の種々の電子機器の信号を伝送する媒体であり、例えば同軸ケーブルSCである。配線基板とは、例えば印刷配線基板PBである。すなわち、本実施形態のコネクタ組立体1は、同軸ケーブルSCを印刷配線基板PBの電気回路に電気的に接続する同軸型コネクタである。コネクタ組立体1では、印刷配線基板PBに実装されたリセプタクルコネクタ2に対して、同軸ケーブルSCの端末部分に取り付けられたプラグコネクタ3が嵌合することにより、同軸ケーブルSCと印刷配線基板PBの電気回路とを電気的に接続する(詳細は後述)。
【0016】
なお、以下の説明においては、同軸ケーブルSCの軸方向を「X方向」、リセプタクルコネクタ2及びプラグコネクタ3が嵌合する際における、リセプタクルコネクタ2及びプラグコネクタ3の嵌合方向を「Z方向」、X方向及びZ方向に直交する方向を「Y方向」として説明する場合がある。また、Z方向に関して、例えば図1に示した状態のプラグコネクタ3側を「上」、リセプタクルコネクタ2側を「下」として説明する場合がある。また、特にプラグコネクタ3の説明において、X方向に関しては、同軸ケーブルSCにおけるプラグコネクタ3が取り付けられた側の端部を「先端」、反対の端部を「後端(基端)」として説明する場合がある。
【0017】
[リセプタクルコネクタ]
図2図5を参照して、リセプタクルコネクタ2の詳細について説明する。図2及び図3に示されるように、リセプタクルコネクタ2は、グランドコンタクト導体10と、信号コンタクト導体20と、ハウジング30とを有している。リセプタクルコネクタ2は、印刷配線基板PB(図1参照)に、例えば半田付けにより実装される。
【0018】
(グランドコンタクト導体)
グランドコンタクト導体10は、例えば薄板状の金属部材から形成された接地用の部材である。グランドコンタクト導体10は、信号コンタクト導体20のうちの接触部21(詳細は後述)を取り囲むように配置されている。図4に示されるように、グランドコンタクト導体10は、円筒形状(筒状)に形成されたグランド本体部11(本体部)と、該グランド本体部11の一方の端縁(図4では下端)から外方に向かって延出する外部端子部12とを有している。
【0019】
グランド本体部11は円筒形状の部材であり、中心軸Cに沿って上下方向(Z方向)に延在する。すなわち、グランド本体部11の中心軸C方向は、上下方向(Z方向)に対応する。グランド本体部11は、他方の端縁(図4では上端)よりプラグコネクタ3のグランドコンタクト導体(後述)と接続される。グランド本体部11の外周面には、プラグコネクタ3との嵌合に用いられる溝11aが周方向に沿って設けられる。
【0020】
外部端子部12は、水平方向(XY方向)に沿って延びる平板状の部材である。グランド本体部11の下端部から外方へ延びる。外部端子部12は、上下方向に延びるグランド本体部11の中心軸Cを挟んで対向して設けられる一対の端子部121,122を含んで構成される。一対の端子部121,122はそれぞれ、中心軸Cから離間するように外方へ突出する。端子部121,122はそれぞれ略同一の矩形状であって、中心軸Cを挟んで互いに離間した状態で、それぞれの長手方向がX方向に沿うようにグランド本体部11の下端に対して接続される。そのため、端子部121のうち端子部122と対向する対向面121a、及び、端子部122のうち端子部121と対向する対向面122aは、それぞれグランド本体部11よりも下方においてX方向に沿って延びる。対向面121aと対向面122aとの間には、端子部121,122の長手方向(X方向)に沿って延びる空隙S1が形成されているが、この空隙S1は後述のハウジングとなる絶縁性部材によって埋められる。
【0021】
端子部121の対向面121aは概ね上下方向(Z方向)に延びているが、その一部に上下方向に対して傾斜する傾斜部121bが形成されている。傾斜部121bは端子部121の対向面121aの一部を上面121u側に切り欠くように傾斜している。傾斜部121bと同様に、端子部122の対向面122aにも、その一部に上下方向に対して傾斜する傾斜部122bが形成されている。傾斜部122bは端子部122の対向面122aの一部を上面122u側に切り欠くように傾斜している。傾斜部121b,122bが設けられていることで、グランドコンタクト導体10と後述のハウジング30との密着性が高められる。詳細は後述する。
【0022】
上記のグランドコンタクト導体10は、例えば、薄板状の金属材料をプレス・折曲げ加工することにより製造することができるが、それらとは異なる方法で製造されていてもよい。また、グランドコンタクト導体10は、印刷配線基板PB(図1参照)上に形成されたグランド接続用のグランド導電路(不図示)に対して半田付けされる。
【0023】
(信号コンタクト導体)
信号コンタクト導体20は、例えば薄板状の金属部材から形成された信号伝送用の導体である。
【0024】
図5に示されるように、信号コンタクト導体20は、円筒形状に形成された接触部21と、該接触部21の一方の端縁である下端から外方に向かって延在する導線部22とを有している。
【0025】
接触部21は略円筒形状であり、中心軸Cに沿って上下方向(Z方向)に延在する。接触部21の外径は、グランドコンタクト導体10のグランド本体部11の内径よりも小さい。また、接触部21は、中心軸Cの延在方向(上下方向:Z方向)に沿って延びるスリット211を有する。スリット211は、筒状の接触部21の両端まで延びている。したがって、接触部21は、中心軸Cに対して直交する平面に沿った平面視において、スリット211を有する略C型状を呈している。接触部21は、他方の端縁(図5では上端)よりプラグコネクタ3の信号コンタクト導体(後述)と接続される。
【0026】
導線部22は、水平方向(XY方向)に沿って延びる平板状に形成される。導線部22は、接触部21の下端部から外方へ、すなわち、中心軸Cから離間する方向へ延びる。図5に示す例では、導線部22は、X方向が長手方向となるように、中心軸Cに対して-X方向へ延在している。なお、導線部22の主面の延在方向は水平方向とされているが、少なくとも中心軸Cに対して交差する方向であればよく、水平方向に限定されない。
【0027】
導線部22は、接触部21に近い側から延在方向(X方向)に沿って、第1の領域221、第2の領域222、及び、第3の領域223がこの順に並んでいる。第1の領域221は、接触部21に対して連結する領域となっている。また、第3の領域223は、導線部22のうち、接触部21側の端部とは逆側の端部を含む領域である。第2の領域222は、第1の領域221及び第3の領域223に挟まれる領域である。
【0028】
導線部22は、長手方向の延在方向の位置によってその幅が変化している。具体的には、第1の領域221、第2の領域222、及び、第3の領域223は、隣接する領域同士において、その幅が互いに異なっている。具体的には、第1の領域221及び第3の領域223は、第2の領域222と比べて幅が狭い領域となっている。また、第1の領域221は、接触部21に近い方から順に、幅が互いに異なる2つの領域221a,221bを有している。領域221aは、領域221bよりも幅が狭い領域であり、導線部22の中で最も幅が狭い最小部となっている。また、第2の領域222は、導線部22のうち最も幅が広い最大部を含んでいる。図5(a)に示すように、第2の領域222のうち幅広となる最大部から接触部21へ向けて、すなわち、第2の領域222の最大部から、第1の領域221の領域221b,221aに向かうにつれて、導線部22の幅が段階的に小さくなっている。また、第2の領域222のうち幅広となる最大部から、第3の領域223へ向かっても導線部22の幅が小さくなっている。
【0029】
導線部22の長手方向の延在方向の位置に応じた幅の変化は、リセプタクルコネクタ2における特性インピーダンスの低下を抑制することを可能としている。高周波領域ではコネクタにおけるインピーダンス整合が求められる。リセプタクルコネクタ2では、グランドコンタクト導体10の形状、信号コンタクト導体20の形状、及び、グランドコンタクト導体10と信号コンタクト導体20との間の距離によって、各部の特性インピーダンスが変化する。上記の通り、導線部の幅が延在方向の位置によって変化する構造とすることで、特性インピーダンスの微調整が可能となり、特性インピーダンスの変化を小さくすることが可能となる。また、導線部22の主面の延在方向が中心軸Cに対して交差する方向である場合、幅の変化によって特性インピーダンスの調整をより好適に行うことができる。なお、上記実施形態で説明したように導線部22の長手方向に沿った幅の変化は段階的であってもよいし、例えば、導線部22をテーパ状として幅が漸次的に変化する構成としてもよい。
【0030】
導線部22の第2の領域222には、貫通孔225が設けられている。図5(a)に示すように、貫通孔225は、導線部22の延在方向(X方向)に沿って延びている。また、貫通孔225は、延在方向に沿った中央付近に孔径が小さくなる領域225aを有している。ただし、貫通孔225の形状は特に限定されない。貫通孔225の幅(Y方向に沿った幅)は、第2の領域222における最大部の幅に対して、30%~70%程度とすることができるが適宜変更することができる。なお、貫通孔225の内部には、後述のハウジング30の一部が入り込む。貫通孔225は、中心軸Cに沿った方向から見たときに、グランドコンタクト導体10のグランド本体部11と重なる位置に設けられている(図3参照)。これにより、リセプタクルコネクタ2における特性インピーダンスの低下が抑制される。
【0031】
接触部21と導線部22とは、接触部21の下方(-Z側)の端縁に対して導線部22の第1の領域221が設けられることにより、接続されている。接触部21における導線部22との接続部212の周囲には、接続部212を挟み込むように配置された2つの切欠部213が設けられている。接触部21の下面21s及び導線部22の下面22sは、図3及び図5(c)に示すように同一平面(XY平面)となるように形成されている。図5(c)に示すように、切欠部213は、接触部21及び導線部22の上下方向(Z方向)において下方の端面が設けられる高さ位置よりも上方において、接触部21の内外を連通する開口を形成している。
【0032】
上記の信号コンタクト導体20は、例えば、金属板を折曲成型することにより作成することができる。信号コンタクト導体20に対応した形状を有する金属板を準備し、導線部22と接触部21との間の接続部212において金属板を折り曲げ、さらに、接触部21となる領域を円形に折り曲げることにより、信号コンタクト導体20を得ることができる。
【0033】
図2及び図3に示すように、信号コンタクト導体20の接触部21がグランドコンタクト導体10のグランド本体部11の内側となるように、信号コンタクト導体20が配置される。このとき、信号コンタクト導体20の接触部21に接続される導線部22が、グランドコンタクト導体10の端子部121,122の間に設けられて長手方向(X方向)に沿って延びる空隙S1内に配置される。このとき、グランドコンタクト導体10の端子部121,122の下面121s,122sと、信号コンタクト導体20の接触部21の下面21sと、信号コンタクト導体20の導線部22の下面22sと、が同一平面(XY平面)となるように配置される。この状態で、後述される絶縁性樹脂を注入することによって、グランドコンタクト導体10及び信号コンタクト導体20が一体化され、ハウジング30が形成される。
【0034】
なお、接触部21及び導線部22の形状は、それぞれ変更することができる。また、接触部21及び導線部22は、一の金属板から作成されていなくてもよく、複数の部材の組み合わせによって構成されていてもよい。
【0035】
(ハウジング)
ハウジング30は、印刷配線基板PB上に載置される絶縁性部材となる。
【0036】
図2及び図3に示すように、ハウジング30は、グランドコンタクト導体10の外部端子部12に含まれる端子部121,122の間に設けられる空隙S1を埋めるように設けられている。図2に示すように、端子部121,122の間に設けられるハウジング30の上面30uは、端子部121,122の上面121u,122uと略同一平面とされていて、ハウジング30の下面30sは、端子部121,122の下面121s,122sと略同一平面とされている。
【0037】
また、図3に示すように、ハウジング30は、グランドコンタクト導体10のグランド本体部11の下端に対しても接続している。これにより、グランドコンタクト導体10のグランド本体部11及び外部端子部12の両方がハウジング30と接続していることになる。さらに、ハウジング30は、端子部121,122それぞれの対向面121a,122aに設けられた傾斜部121b,122bに対して接続している。これにより、ハウジング30と端子部121,122との接触面積が大きくなり、ハウジング30とグランドコンタクト導体10との密着性が高められる。
【0038】
また、図2及び図3に示すように、ハウジング30は、信号コンタクト導体20の接触部21の下端に対して接触し、さらに、導線部22の下面22sを除いてその周囲を埋めるように設けられている。この際、導線部22の第2の領域222に設けられた貫通孔225内にもハウジング30の一部が入り込んでいて、貫通孔225を埋めている。この結果、ハウジング30と信号コンタクト導体20との密着性が高められる。なお、信号コンタクト導体20の導線部22のうち接触部21とは逆側の端部、すなわち、第3の領域223の端部は、ハウジング30に覆われず、外部に露出している。
【0039】
ハウジング30は、接触部21の内側、及び、接触部21の外側であってグランド本体部11の内側にも入り込んで形成される。そして、ハウジング30は、接触部21との接続部212の周囲、及び、接触部21の下端を覆うように設けられている。図3に示すように、グランドコンタクト導体10のグランド本体部11の内方且つ接触部21の外方におけるハウジング30の上面31uは、端子部121,122の間に設けられるハウジング30の上面30uと略同一とされている。一方、接触部21の内方におけるハウジング30の上面32uは、上面30u,31uと比べて、上下方向(Z方向)における高さ位置が低くされている。すなわち、上下方向(Z方向)において、上面32uの高さ位置は、上面30u,31uとの高さ位置と比べて、ハウジング30のうち印刷配線基板PBに対面する底面(下面30s)寄りに位置している。このように、接触部21の内方におけるハウジング30の上面32uの高さ位置を上面30u,31uよりも低くすることにより、特に接触部21の外周面に絶縁性材料が残存し、相手方コネクタとの接続する際に電気的接続性が低下することを防ぐことができる。
【0040】
図2及び図3に示すように、グランドコンタクト導体10のグランド本体部11の内方且つ接触部21の外方におけるハウジング30の上面31uの一部には、上面31uよりも表面の高さ位置が低い凹部33を有している。凹部33は、信号コンタクト導体20の接触部21に設けられたスリット211の周囲であって、スリット211から連続する領域に形成される。また、凹部33の表面の高さ位置は、接触部21の内方におけるハウジング30の上面32uの高さ位置と同一とされている。凹部33の形状及び大きさは特に限定されない。ただし、少なくとも、接触部21の外方におけるスリット211の周囲のハウジング30の表面の高さ位置が、接触部21の内方におけるハウジング30の上面32uの高さ位置と略同一となるように、凹部33の形状及び大きさを設定することができる。なお、前述した高さ位置が同一である、とは、厳密に同一である場合だけではなく、上面32uと凹部33との高さの差が、上面31uと上面32uとの高さの差が小さい場合も含む。
【0041】
[リセプタクルコネクタの組み立て工程]
リセプタクルコネクタ2の組み立て工程について説明する。まず、グランドコンタクト導体10及び信号コンタクト導体20を準備する。上述したように、グランドコンタクト導体10及び信号コンタクト導体20は、例えば、金属材料からなる板材をプレス・折曲げ加工することにより作成することができる。
【0042】
次に、グランドコンタクト導体10及び信号コンタクト導体20を金型にセットした後、金型内に絶縁性材料(例えば、絶縁性樹脂)を注入し、冷却固化させる。すなわち、インサート成形によってハウジング30を作成し、これにより、グランドコンタクト導体10、信号コンタクト導体20、及びハウジング30が一体成型されたリセプタクルコネクタ2を製造することができる。
【0043】
金型内に注入される絶縁性材料は、グランドコンタクト導体10の端子部121,122の間の空隙S1を埋めると共に、空隙S1に配置された信号コンタクト導体20の導線部22に設けられた貫通孔225内にも入り込む。また、信号コンタクト導体20の接触部21の下方に設けられた切欠部213を経て接触部21の内方にも入り込む。その結果、接触部21の内方の絶縁性材料と、接触部21の外方の絶縁性材料とが一体化された状態で成型される。
【0044】
なお、リセプタクルコネクタ2を製造する際、信号コンタクト導体20を金型にセット後、絶縁性材料の注入時に、信号コンタクト導体20のスリット211の外側、具体的には、ハウジング30において凹部33となる領域に、金型内の部品を当接させることができる。このような構成とすることで、信号コンタクト導体20の位置決めを正確に行うことができる。また、金型が当接している箇所からは注入された絶縁性材料が漏れないようにされている。
【0045】
[プラグコネクタ]
次に、図6図12を参照して、プラグコネクタ3の詳細について説明する。図6図8に示されるように、プラグコネクタ3は、信号コンタクト導体40と、グランドコンタクト導体60と、絶縁性のハウジング50とを備える。プラグコネクタ3は、同軸ケーブルSCの端末部分TPに取り付けられる。
【0046】
同軸ケーブルSCは、例えば携帯電話等の小型端末に内蔵される各種の信号処理要素(例えば、アンテナ、アンテナを制御する制御チップ、基板等)間で高周波信号を伝送するために、当該小型端末内において用いられる配線である。同軸ケーブルSCは、図7に示されるように、導体からなる信号線SC1と、信号線SC1の周囲に設けられた導体からなるシールド線SC3と、信号線SC1とシールド線SC3との間に介在する誘電体層SC2と、シールド線SC3を覆う絶縁被覆SC4とを有する。
【0047】
プラグコネクタ3は、信号線SC1及びシールド線SC3が部分的に露出した端末部分TPに取り付けられる。より具体的に、プラグコネクタ3は、信号線SC1が露出した部分と、シールド線SC3が露出した部分とが先端から順に並ぶように、絶縁被覆SC4、シールド線SC3及び誘電体層SC2を除去する加工が施された端末部分TPに取り付けられる。端末部分TPに取り付けられたプラグコネクタ3においては、信号コンタクト導体40は信号線SC1に導通し、グランドコンタクト導体60がシールド線SC3に導通し、ハウジング50が信号コンタクト導体40とグランドコンタクト導体60との間に介在する。
【0048】
端末部分TPに取り付けられたプラグコネクタ3は、印刷配線基板PBに実装されたリセプタクルコネクタ2に接続される。具体的に、プラグコネクタ3は、印刷配線基板PBの厚さ方向(Z方向)に沿ってリセプタクルコネクタ2に装着される。プラグコネクタ3がリセプタクルコネクタ2に装着されると、信号コンタクト導体40がリセプタクルコネクタ2の信号コンタクト導体20に電気的に接続され、グランドコンタクト導体60がリセプタクルコネクタ2のグランドコンタクト導体10に電気的に接続される。リセプタクルコネクタ2に装着されたプラグコネクタ3は、印刷配線基板PBの厚さ方向(Z方向)に沿ってリセプタクルコネクタ2から取り外し可能である。
【0049】
以下、グランドコンタクト導体60、信号コンタクト導体40、及びハウジング50の具体的構成を順に説明する。
【0050】
(グランドコンタクト導体)
グランドコンタクト導体60は、例えば薄板状の金属材料により形成されており、第1部分60Aと、第2部分60Bと、連結部分60Cとを有する。第1部分60Aは、嵌合部61と、2つのアーム部62とを有する。嵌合部61は、リセプタクルコネクタ2のグランドコンタクト導体10に嵌合する。例えば嵌合部61は筒状(円筒状)であり、グランド本体部11の外周に嵌合する。嵌合部61の中心軸は、同軸ケーブルSCの軸方向に実質的に直交している。
【0051】
嵌合部61の中心軸方向の一端(以下、「先端」という。)には、部分的に内径を縮めた絞り部611が形成されている。絞り部611は、リセプタクルコネクタ2のグランドコンタクト導体10におけるグランド本体部11の溝11aに嵌合する(図12参照)。嵌合部61の中心軸方向の他端(以下、「基端」という。)には、嵌合部61の周方向に並ぶ複数の切欠部612が形成されている。複数の切欠部612には、ハウジング50の複数の凸部512(後述)がそれぞれ嵌め込まれる。なお、「筒状」は必ずしも円筒状に限られない。例えば「筒状」は、多角の筒状であってもよい。また、「筒状」は、周方向の一部が切り欠かれた半筒状を含む。例えば嵌合部61は、同軸ケーブルSC側が切りかかれた半円筒状である。
【0052】
2つのアーム部62は、上記周方向における嵌合部61の両端にそれぞれ連なり、互いに対向した状態で嵌合部61の外方に向かって延びている。2つのアーム部62は、いずれも同軸ケーブルSCの軸方向に沿っている。
【0053】
第2部分60Bは、蓋部63と、クランプ部64と、バレル部65とを有する。蓋部63は、嵌合部61の外周面に重なることなく嵌合部61の基端を塞ぐ。具体的に、蓋部63は、全域に亘って実質的に平板状であり、その周縁部に、嵌合部61に重なる折り返し等は形成されていない。以下、蓋部63のうち嵌合部61の基端に対向する面を「内面」といい、内面の反対側の面を「外面」という。
【0054】
クランプ部64は、同軸ケーブルSCの端末部分TPのうち、絶縁被覆SC4が除去された部分(以下、「端末部分TPの保持対象部分」という。)を保持してシールド線SC3に接触する。例えばクランプ部64は、同軸ケーブルSCの軸方向に沿って嵌合部61と並んでいる。
【0055】
例えばクランプ部64は、クランプベース641と、2つのクランプアーム642とを含む。クランプベース641は、蓋部63に連なる板状部である。なお、ここでの「連なる」とは、直接的に連なる場合の他、他の部分を介して連なることも含む。
【0056】
2つのクランプアーム642は、クランプベース641の周縁のうち同軸ケーブルSCの軸方向に沿う両側面にそれぞれ連なっており、クランプベース641の内面(蓋部63の内面に連なる面)から突出している。2つのクランプアーム642は、端末部分TPの保持対象部分を挟んで互いに対向しており、端末部分TPの保持対象部分をクランプベース641との間に包み込むように屈曲してシールド線SC3に接触している。
【0057】
クランプ部64は、グランドコンタクト導体60において嵌合部61から最遠の端に位置している。より具体的に、グランドコンタクト導体60においては、2つのクランプアーム642が、嵌合部61の中心軸から最遠の端に位置している。換言すると、グランドコンタクト導体60は、2つのクランプアーム642よりも嵌合部61の中心軸から遠い位置において絶縁被覆SC4に接触する部分を有しない。
【0058】
バレル部65は、嵌合部61とクランプ部64との間においてハウジング50を保持する。後述するように、ハウジング50は、嵌合部61内に収容される第1部分51と、2つのアーム部62の間に配置される第2部分52とを有する。バレル部65は、2つのアーム部62と共に第2部分52を保持する。
【0059】
例えばバレル部65は、バレルベース651と、2つのバレルアーム652とを含む。バレルベース651は、蓋部63とクランプベース641との間に介在し、これらを連結する板状部である。
【0060】
2つのバレルアーム652は、バレルベース651の周縁のうち同軸ケーブルSCの軸方向に沿う両側面にそれぞれ連なり、バレルベース651の内面(蓋部63の内面に連なる面)から突出している。2つのバレルアーム652は、2つのアーム部62及び第2部分52を挟んで互いに対向しており、2つのアーム部62及び第2部分52をバレルベース651との間に包み込むように屈曲している。以下、バレルアーム652のうち、屈曲している箇所とバレルベース651との間を「バレルアーム652の基部」といい、屈曲している箇所よりも先端側を「バレルアーム652の先端部」という。
【0061】
バレルアーム652の基部には、内側に突出した接触爪部654が形成されている。接触爪部654は、アーム部62を第2部分52側に押し付ける。これにより、バレル部65とアーム部62との電気的な接続が強化される。
【0062】
同軸ケーブルSCの軸方向におけるバレル部65の長さ(バレルアーム652の幅)は、ハウジング50とクランプ部64との間に間隙GP1が生じるように設定されていてもよい。この場合、アーム部62は、ハウジング50とクランプ部64との間(間隙GP1)において誘電体層SC2とシールド線SC3とを更に保持するように構成されていてもよい。この場合、グランドコンタクト導体60は保持用爪部653を更に有してもよい。保持用爪部653は、ハウジング50とクランプ部64との間においてバレル部65から内側に突出しシールド線SC3を誘電体層SC2に向けて押し付ける。保持用爪部653は、ハウジング50とクランプ部64との間においてクランプ部64寄りに位置していてもよい。換言すると、ハウジング50から保持用爪部653までの距離に比較して、クランプ部64から保持用爪部653までの距離が小さくなっていてもよい。例えば保持用爪部653は、各バレルアーム652の先端部(同軸ケーブルSCの基端寄り)に形成されている。
【0063】
グランドコンタクト導体60は、嵌合部61とバレル部65との間(すなわち嵌合部61とバレルアーム652との間)に間隙GP2を有してもよい。更にグランドコンタクト導体60は、バレル部65とクランプ部64との間(すなわちバレルアーム652とクランプアーム642との間)に間隙GP3を有してもよい。
【0064】
連結部分60Cは、第1部分60Aと第2部分60Bとを連結する。例えば連結部分60Cは、同軸ケーブルSCの逆側において、嵌合部61の基端と蓋部63とを連結する。プラグコネクタ3の組み立て前において、連結部分60Cは、蓋部63が嵌合部61の中心軸に沿った状態で、第1部分60Aと第2部分60Bとを連結する。連結部分60Cは、プラグコネクタ3の組み立て中において、蓋部63が嵌合部61の中心軸に直交し、嵌合部61の基端を塞ぐように、略直角に折り曲げられる。
【0065】
(信号コンタクト導体)
信号コンタクト導体40は、例えば薄板上の金属部材により形成されており、グランドコンタクト導体60内に収容される。図7図9に示すように、信号コンタクト導体40は、接触部41と、接続部42と、中間部43と、延長部44,45とを有する。接触部41は、嵌合部61内に位置してリセプタクルコネクタ2の信号コンタクト導体20に接触する。
【0066】
例えば接触部41は、接触ベース411と、2つの接触アーム412とを含む。接触ベース411は、嵌合部61の中心軸に略直交するように配置される。2つの接触アーム412は、接触ベース411のうち同軸ケーブルSCの軸方向に沿う両側面にそれぞれ連なり、嵌合部61の先端に向けて突出している。2つの接触アーム412は互いに対向し、嵌合部61がリセプタクルコネクタ2におけるグランドコンタクト導体10のグランド本体部11に嵌合した状態で、信号コンタクト導体20の接触部21を挟持する(図12参照)。
【0067】
接続部42は、バレル部65内に位置して信号線SC1が接続される。接続部42は、嵌合部61の中心軸に垂直に配置された平板状の部分である。接続部42は、バレル部65のバレルベース651に対向する第1主面421と、第1主面421の反対側の第2主面422とを有する。第1主面421(接続主面)には、信号線SC1が接続される。信号線SC1の接続手法の具体例としては、半田付け、カシメ、又は超音波接合等が挙げられる。一例として、信号線SC1は超音波接合により第1主面421に接続される。
【0068】
中間部43は、接触部41の接触ベース411と接続部42とを繋ぐ平板状の部分である。中間部43は、蓋部63及びバレルベース651に対向する第1主面431と、第1主面431の反対側の第2主面432とを有する。第1主面431(中間主面)は第1主面421に連なり、第2主面432は第2主面422に連なっている。中間部43は、嵌合部61内からバレル部65内に亙るよう、すなわち、接触部41と接続部42とを繋ぐ方向に延び、接触ベース411と接続部42とを連結する。
【0069】
中間部43の幅は、接触部41と接続部42とを繋ぐ方向(X方向)における位置に応じて変化している。なお、ここでの幅は、同軸ケーブルSCの軸方向に直交する方向(Y方向)における幅を意味する。中間部43の幅は、接触部41と接続部42とを繋ぐ方向(X方向)における位置に応じた信号コンタクト導体40とグランドコンタクト導体60との間の特性インピーダンス変化を抑制するように設定されている。中間部43の幅を一定にした場合、中間部43とグランドコンタクト導体60との間の特性インピーダンスは、接触部41と接続部42とを繋ぐ方向(X方向)における位置に応じて変化する。例えば、グランドコンタクト導体60までの距離が近い位置においては特性インピーダンスが低くなる。また、グランドコンタクト導体60のより多くの金属に包囲された位置においても特性インピーダンスが低くなる。このように、グランドコンタクト導体60との関係により特性インピーダンスが低くなる位置においては、特性インピーダンスが高くなる位置に比較して中間部43の幅が大きくなっている。
【0070】
例えば、上記間隙GP2(嵌合部61とバレル部65との間の間隙)においては、バレル部65内等に比較して、中間部43を包囲するグランドコンタクト導体60の金属量(例えば単位長さあたりの金属量)が少ない(バレルアーム652が存在しないため)。そこで、中間部43のうち間隙GP2に位置する部分には、中間部43のうちバレル部65内に位置する部分及び嵌合部61内に位置する部分のいずれよりも幅の大きい拡幅部433が設けられている。
【0071】
接続部42の幅は中間部43の幅より大きい。接続部42の幅は、少なくとも中間部43の幅の平均値より大きければよく、中間部43の幅の最大値(例えば拡幅部433の幅)より大きくてもよい。なお、中間部43の幅の平均値等を正確に定義するためには、接触部41と接続部42との境界、及び接続部42と中間部43との境界との特定が必要となるが、接触部41、接続部42及び中間部43は一枚の金属部材により形成されるので目視可能な境界は存在しない。そこで、接触アーム412の接続部42に近い縁412aを接触部41と中間部43との境界とする。また信号線SC1が接続される箇所と幅が同一である部分の接触部41に近い縁42aを中間部43と接続部42との境界とする。なお、幅が同一である部分には、角部の面取り等が施された部分も含む。
【0072】
信号コンタクト導体40は、第1主面421(接続主面)が第1主面431(中間主面)に対して窪むように中間部43と接続部42との境界部(上記境界の近傍部分)において屈曲していてもよい。
【0073】
延長部44は、接触ベース411から中間部43の逆側に張り出した平板状の部分である。延長部45は、接続部42から中間部43の逆側に張り出した平板状の部分である。延長部44,45は、ハウジング50による保持代として機能する。
【0074】
(ハウジング)
図7に示すように、ハウジング50は、信号コンタクト導体40を保持してグランドコンタクト導体60内に収容される。例えばハウジング50は、第1部分51と第2部分52とを有する。第1部分51は嵌合部61内に収容され、接触部41と、中間部43の接触部41側の一部とを保持する。
【0075】
第1部分51は、接触部41を嵌合部61の先端に向けて露出させるための凹部511を有する。これにより、接触部41をリセプタクルコネクタ2における信号コンタクト導体20の接触部21に接触させることが可能となっている。また、第1部分51の先端部(嵌合部61の先端側の部分)の外径は、嵌合部61の内径よりも小さくなっている。これにより、嵌合部61と第1部分51との間にグランドコンタクト導体10のグランド本体部11を導入することが可能となっている。
【0076】
第2部分52は、2つのアーム部62が延びる方向に第1部分51から突出しており、接続部42と、接続部42の近くに位置する中間部43の一部とを保持する。上述のように第2部分52の少なくとも一部は、2つのアーム部62と共にバレル部65により保持される。
【0077】
第2部分52は、接続部42とグランドコンタクト導体60との間に空洞をなすように構成されていてもよい。第2部分52は、接続部42に信号線を超音波接合するための開口を有し、その開口により上記空洞の少なくとも一部が構成されていてもよい。第2部分52は、第1主面421側と、第1主面421の逆側との両方に開口を有してもよい。ここでの開口は、接続部42の第1主面421又は第2主面422の少なくとも一部をハウジング50外に露出させる開口を意味する。
【0078】
例えば第2部分52は、第1主面421をバレルベース651に向けて露出させる凹部521を有する(図10参照)。これにより、第2部分52には、第1主面421の一部をハウジング50外に露出させる開口OP1が形成されている。凹部521は、第2部分52において、第1部分51の逆側(同軸ケーブルSCの基端寄り)にも開放されている。開口OP1は、超音波接合用の工具により信号線SC1を第1主面421に押し当てるのに用いられる。開口OP1によって、第1主面421とバレルベース651との間に空洞CC1が構成されている。
【0079】
また、第2部分52のうち、凹部521の底面を構成する部分には、第2主面422をアーム部62の先端部に向けて露出させる貫通口523が形成されている(図11参照)。これにより、第2部分52には、第2主面422の一部をハウジング50外に露出させる開口OP2が形成されている。開口OP2は、接続部42を支持するための工具を超音波接合用の工具の逆側から第2主面422に押し当てるのに用いられる。開口OP2によって、第2主面422とバレルアーム652の先端部との間に空洞CC2が構成されている。
【0080】
図10及び図11に示すように、第1部分51の基端部(嵌合部61の基端側の部分)の外周には、周方向に並ぶ複数の凸部512が設けられている。上述のように、複数の凸部512は、嵌合部61の複数の切欠部612にそれぞれ嵌め込まれる(図6参照)。切欠部612に嵌め込まれた凸部512は、上述の蓋部63の周縁よりも外側に突出していてもよい(図12参照)。換言すると、嵌合部61の外周に対する蓋部63の張り出し量は、嵌合部61の外周に対する凸部512の突出量より小さくてもよい。
[プラグコネクタの組み立て工程]
【0081】
プラグコネクタ3の組み立て工程について説明する。まず、信号コンタクト導体40を準備し、信号コンタクト導体40を金型にセットした後、金型に絶縁性材料(例えば、絶縁性樹脂)を注入し、冷却固化させる。すなわち、インサート成形によって、信号コンタクト導体40を保持した状態でハウジング50を作成する。次にグランドコンタクト導体60を準備し、複数の凸部512を嵌合部61の複数の切欠部612にそれぞれ嵌め込むようにして、グランドコンタクト導体60にハウジング50をセットする。信号コンタクト導体40及びグランドコンタクト導体60は、薄肉の金属板から所定形状の金属部材を打ち抜き、当該金属部材に曲げなどの塑性加工を施すことで作成することができる。上述したように、グランドコンタクト導体60は、蓋部63が嵌合部61の中心軸に沿った状態で、連結部分60Cにより第1部分60Aと第2部分60Bとが連結された状態となっている。また、2つのバレルアーム652、及び2つのクランプアーム642はいずれも屈曲していない。
【0082】
次に、ハウジング50の開口OP1において、信号線SC1を接続部42の第1主面421に超音波接合する。具体的には、接続部42を支持するための工具を開口OP2に挿入して第2主面422に押し当て、超音波接合用の工具を開口OP1に挿入して信号線SC1を第1主面421に押し当てる。この状態で、超音波接合用の工具により信号線SC1に超音波を付与し、メッキの溶融等を生じさせて信号線SC1を第1主面421に接合する。
【0083】
次に、連結部分60Cを折り曲げて蓋部63により嵌合部61の基端を塞ぐ。この際に、2つのアーム部62及びハウジング50の第2部分52を2つのバレルアーム652内に収容し、端末部分TPの保持対象部分を2つのクランプアーム642内に収容する。
【0084】
次に、端末部分TPの保持対象部分をクランプベース641との間に包み込むように2つのクランプアーム642を屈曲させ、2つのアーム部62及び第2部分52をバレルベース651との間に包み込むように2つのバレルアーム652を屈曲させる。以上でプラグコネクタ3の組み立て工程が完了する。
【0085】
[作用効果]
次に、上述したコネクタ組立体1の作用効果について説明する。
【0086】
(リセプタクルコネクタ)
コネクタ組立体1に含まれるリセプタクルコネクタ2において、グランドコンタクト導体10は、所定の軸である中心軸Cに沿って延びる筒状のグランド本体部11と、グランド本体部11のうち中心軸C方向に沿った一方の端縁に設けられた外部端子部12と、を有している。また、リセプタクルコネクタ2において、信号コンタクト導体20は、グランド本体部11の内側で中心軸C方向に延びると共に、相手方コネクタのコンタクト導体と接触する接触部21と、接触部21のうち中心軸C方向における一方の端縁(グランド本体部11において外部端子部12が設けられる側と同じ側の端縁)から、中心軸C方向に対して交差する延在方向に延びる略平板状の導線部22と、を有している。そして、導線部は、その一対の主面が中心軸C方向に交差して延びると共に、その幅が延在方向の位置によって変化する。高周波領域ではコネクタにおける高精度のインピーダンス整合が求められる。上記のリセプタクルコネクタ2のように、導線部22の幅が延在方向の位置によって変化する構造とすることで、特性インピーダンスの微調整が可能となり、特性インピーダンスの変化を小さくすることが可能となる。また、一対の主面が軸方向に交差して延びているため、リセプタクルコネクタ2の低背化が実現される。そして、一対の主面が軸方向に交差して延びる導線部22の幅を延在方向の位置によって変化させることで、特性インピーダンスの調整を好適に行うことができる。
【0087】
また、導線部22のうち接触部21に最も近い位置において、導線部22の幅が最小となる最小部である領域221aが設けられ、最小部から前記延在方向の離間した位置に導線部の幅が最大となる最大部を含む第2の領域222が設けられている。そして、最小部から最大部に向かうにつれて、導線部22の幅が徐々に大きくなっている。導線部22のうち接触部21に最も近い位置の導線部22の幅を大きくすると、グランドコンタクト導体10の影響を受けて特性インピーダンスが小さくなってしまうため、特性インピーダンスの変化幅が大きくなる可能性がある。これに対して、上記のように当該領域の導線部22の幅を最小とすることで、接触部21に対する特性インピーダンスの変化を小さくすることができる。また、導線部22の幅が最大となる最大部が最小部と離間して設けられ、且つ幅が徐々に変化することで、導線部22の幅の変化に由来する特性インピーダンスの変化を減らすことができる。なお、上記の効果を奏するための幅の変化は、段階的であっても漸次的であってもよい。
【0088】
また、上記の導線部22の最大部には貫通孔225が設けられていて、貫通孔225の内部にハウジング30の一部が入り込んでいる。導線部22のうち幅広となる領域では、特性インピーダンスの低下が生じる可能性が考えられる。これに対して、幅広となる最大部に貫通孔225が設けられることで、当該領域での特性インピーダンスの低下が抑制される。さらに、貫通孔225の内部にハウジング30の一部が入り込んでいることで、ハウジング30と信号コンタクト導体20との密着性が高められる。
【0089】
また、貫通孔225は、中心軸C方向から見たときに、グランドコンタクト導体10のグランド本体部11と重なる位置に設けられている。グランドコンタクト導体10のグランド本体部11と信号コンタクト導体20の導線部22とが重なる位置は、両者が近接する領域であるため、特性インピーダンスの低下が生じる可能性がある。これに対して、導線部22に対して貫通孔225を設けることで、グランドコンタクト導体10のグランド本体部11に近接する信号コンタクト導体20を減らすことができるため、特性インピーダンスの低下が抑制される。
【0090】
また、リセプタクルコネクタ2は、信号コンタクト導体20及びグランドコンタクト導体10と、信号コンタクト導体20及びグランドコンタクト導体10を一体化しながら両者間を絶縁するハウジング30と、を有している。また、グランドコンタクト導体10は、所定の中心軸Cに沿って延びる筒状のグランド本体部11と、グランド本体部11のうち中心軸C方向における一方の端縁に設けられた外部端子部12と、を有している。信号コンタクト導体20は、グランド本体部11の内側で中心軸C方向に延びると共に、中心軸C方向に延びるスリット211を有する略筒状形状であって、相手方コネクタの信号コンタクト導体と接触する接触部21と、接触部21のうち中心軸C方向における一方の端縁(グランド本体部11において外部端子部12が設けられる側と同じ側の端縁)から、中心軸C方向に対して交差する延在方向に延びる導線部22と、を有している。そして、ハウジング30は、信号コンタクト導体20の接触部21のうち導線部22が設けられる端縁と接触すると共に、接触部21とグランド本体部11との間、及び、接触部21の内側に入り込み、接触部21の内側における中心軸C方向に沿った表面の高さ位置は、接触部21とグランド本体部11との間における中心軸C方向に沿った表面の高さ位置と比べて、ハウジング30の印刷配線基板PBに対面する底面寄りに位置する。上記の構成を有することで、ハウジング30を上述のようなインサート成形により形成する際に、ハウジング30を構成する材料によるバリ等が生じたとしても、このバリが相手方コンタクト導体との接触に影響を与えるリスクを低減させることができる。したがって、ハウジングの成形時に由来する接続不良の発生を抑制することができる。
【0091】
また、接触部21とグランド本体部11との間のうちスリット211から連続する少なくとも一部の領域において、前記ハウジングの前記軸方向に沿った表面の高さ位置が、前記接触部の内側における前記軸方向に沿った表面の高さ位置と同じである態様とすることができる。ハウジング30をインサート成形により形成する場合、例えば樹脂材料等のハウジングを構成する材料が成形時にスリット211の内外を移動する。したがって、スリット211の内外を移動する材料に由来してバリ等が発生する可能性がある。上記の構成のように、スリット211から連続する領域のハウジング30の高さ位置を接触部21の内部と同じ高さ位置とすることで、スリット211の周囲でバリ等が生じたとしても、このバリが相手方信号コンタクト導体との接触に影響を与えるリスクを低減させることができる。したがって、ハウジング30の成形時に由来する接続不良の発生をさらに抑制することができる。また、リセプタクルコネクタ2を製造する際、信号コンタクト導体20を金型にセット後、絶縁性材料の注入時にスリットの外側に金型内の部品を当接させることにより、金型内で信号コンタクト導体20を正確に位置決めすることができる。さらに、スリット211の外側に金型内の部品が当接するため、当該箇所からの絶縁性材料の漏れ出しを防ぐことができる。
【0092】
また、信号コンタクト導体20の接触部21のうち導線部22が設けられる端縁において、導線部22に連続して切欠部213が設けられ、切欠部213において接触部21とグランド本体部11との間のハウジング30と、接触部21の内側のハウジング30とが連続している。切欠部213を介して、接触部21とグランド本体部11との間、及び、接触部21の内側のハウジング30が連続しているため、ハウジング30とグランドコンタクト導体10及び信号コンタクト導体20との密着性が高められる。そのため、リセプタクルコネクタ2の破損を防ぐことができる。
【0093】
(プラグコネクタ)
プラグコネクタ3において、グランドコンタクト導体60は、リセプタクルコネクタ2のグランドコンタクト導体10に嵌合する嵌合部61と、同軸ケーブルSCの端末部分TPのうち絶縁被覆SC4が除去された部分を保持してシールド線SC3に接触するクランプ部64と、を有し、クランプ部64は、グランドコンタクト導体60において嵌合部61から最遠の端に位置している。グランドコンタクト導体60の一部分が絶縁被覆SC4を介してシールド線SC3と対向すると、その部分の静電容量等に起因して、高周波信号の伝送経路における特性インピーダンスの安定性が低下する。これに対し、プラグコネクタ3によれば、シールド線SC3に接触するクランプ部64が嵌合部61から最遠の端に位置するので、グランドコンタクト導体60において、絶縁被覆SC4を介してシールド線SC3と対向する部分が削減される。従って、高周波信号の伝送経路における特性インピーダンスの安定性向上に有効である。
【0094】
グランドコンタクト導体60は、嵌合部61とクランプ部64との間においてハウジング50を保持するバレル部65を更に有してもよく、バレル部65は、誘電体層SC2とシールド線SC3とを更に保持するように構成されていてもよい。クランプ部64が嵌合部61から最遠の端に位置する構成においては、絶縁被覆SC4の外側から同軸ケーブルSCを保持する部分(以下、「外皮クランプ」という。)を別途設けることが難しい。これに対し、ハウジング50とクランプ部64との間においてバレル部65が誘電体層SC2とシールド線SC3とを更に保持する構成によれば、外皮クランプの代わりに、バレル部65によってグランドコンタクト導体60と同軸ケーブルSCとの接続部を補強することができる。
【0095】
グランドコンタクト導体60は、バレル部65から内側に突出し同軸ケーブルSCを誘電体層SC2側に押す保持用爪部653を更に有してもよい。この場合、グランドコンタクト導体60と同軸ケーブルSCとの接続部のバレル部65による補強効果を更に高めることができる。また、バレル部65とシールド線とをよりしっかりと導通させ、特性インピーダンスを更に改善させることができる。
【0096】
保持用爪部653は、ハウジング50とクランプ部64との間においてクランプ部64寄りに位置していてもよい。この場合、保持用爪部653により上記補強効果を更に高め、バレル部65とシールド線SC3とをよりしっかりと導通させることができる。
【0097】
ハウジング50は、接続部42に信号線SC1を超音波接合するための開口OP1,OP2を有してもよい。接続部42に信号線SC1を超音波接合する構成によれば、半田接合等に比較して接合後の信号線SC1の姿勢が安定するので、特性インピーダンスの安定性を更に向上させることが可能である。また、半田接合等に比較して接合時の誘電体層SC2への熱的ダメージが小さいので、信号線SC1の露出長を短くして誘電体層SC2の先端を接続部42に近接させることができる。このため、誘電体層SC2及びシールド線SC3のバレル部65による保持代を長くし、バレル部65による上記補強効果を更に高めることができる。
【0098】
グランドコンタクト導体60は、嵌合部61の外周面に重なることなく嵌合部61の一端を塞ぐ蓋部63を更に有してもよい。この場合、蓋部63が嵌合部61の外周面に重ならない構造により、静電容量が生じやすい箇所が更に削減される。従って、高周波信号の伝送経路における特性インピーダンスの安定性向上に更に有効である。
【0099】
信号コンタクト導体40においては、接触部41と接続部42との間における位置に応じた信号コンタクト導体40とグランドコンタクト導体60との間の特性インピーダンス変化を抑制するように、接触部41と接続部42との間における位置に応じて中間部43の幅が変化していてもよい。この場合、接続部42から接触部41に至るまでの特性インピーダンス変化が、中間部43の幅によって抑制される。従って、高周波信号の伝送経路における特性インピーダンスの安定性向上に有効である。
【0100】
中間部43のうち嵌合部61とバレル部65との間の間隙GP2に位置する部分には、中間部43のうち嵌合部61内に位置する部分及びバレル部65内に位置する部分のいずれよりも幅の大きい拡幅部433が設けられていてもよい。嵌合部61とバレル部65との間においては、バレル部65内等に比較して、グランドコンタクト導体60側の金属量が少ない。このため、バレル部65内等に比較して、信号コンタクト導体40とグランドコンタクト導体60との間の特性インピーダンスが高くなる傾向がある。これに対し、中間部43に拡幅部433を設けることによって、接続部42から接触ベース411に至る経路において上記特性インピーダンスが高くなることを抑制することができる。
【0101】
接続部42の幅は中間部43の幅よりも大きく、ハウジング50は、接続部42とグランドコンタクト導体60との間に空洞CC1,CC2をなすように構成されていてもよい。この場合、接続部42の幅を大きくすることにより、接続部42への信号線の接続の作業性が向上する。その一方で、接続部42の幅が大きくなると、接続部42における上記特性インピーダンスは低くなる。これに対し、ハウジング50が接続部42とグランドコンタクト導体60との間に空洞CC1,CC2をなすことによって、接続部42とグランドコンタクト導体60との間の誘電率が低くなる。このため、接続部42の幅を大きくしたことに起因して上記特性インピーダンスが低くなることが抑制される。したがって、信号線SC1の接続の作業性と、特性インピーダンス変化の抑制との両立を図ることができる。
【0102】
接続部42に信号線SC1を超音波接合するための開口OP1,OP2により空洞CC1,CC2の少なくとも一部が構成されていてもよい。この場合、開口OP1,OP2が、特性インピーダンス変化の抑制と、超音波接合の作業性向上との両方に寄与する。従って、信号線の接続の作業性と、特性インピーダンス変化の抑制との両立をより確実に図ることができる。
【0103】
接続部42は、信号線SC1を接続するための第1主面421を有し、中間部43は、第1主面421に連なる第1主面431を有し、信号コンタクト導体40は、第1主面421が第1主面431に対して窪むように中間部43と接続部42との境界部において屈曲していてもよい。この場合、接続部42とグランドコンタクト導体60との間隔と、接続部42に接続された信号線SC1とグランドコンタクト導体60との間隔とのバランスが調整されるので、特性インピーダンス変化をより確実に抑制することができる。
【符号の説明】
【0104】
1…コネクタ組立体、2…リセプタクルコネクタ、3…プラグコネクタ、10…グランドコンタクト導体、11…グランド本体部、12…外部端子部、20…信号コンタクト導体、21…接触部、22…導線部、30…ハウジング、33…凹部、40…信号コンタクト導体、41…接触部、42…接続部、43…中間部、50…ハウジング、60…グランドコンタクト導体、61…嵌合部、63…蓋部、64…クランプ部、65…バレル部、421,431…第1主面、433…拡幅部、CC1,CC2…空洞、OP1,OP2…開口、SC…同軸ケーブル、SC1…信号線、SC3…シールド線、SC2…誘電体層、SC4…絶縁被覆、TP…端末部分。
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