(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】現像装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
(21)【出願番号】P 2019027751
(22)【出願日】2019-02-19
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康隆
(72)【発明者】
【氏名】辻 浩文
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広章
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 宏章
(72)【発明者】
【氏名】上野 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】山田 知靖
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-17684(JP,A)
【文献】特開2005-92055(JP,A)
【文献】特開平11-249416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸周りに回転する回転部材と、
前記回転部材とトナーが収容されるハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
上部が開口した凹形の第1収容部が形成された下ハウジングと、
下部が開口した凹形の第2収容部が形成され、前記下ハウジングの上方に配置される上ハウジングと、を含み、
前記第1収容部の第1縁部は、
前記第1縁部に沿って延びるように形成され、上部が開口した凹部と、
前記凹部よりも内側に形成された第1接触面と、
前記凹部よりも外側に形成された第1対向面と、を備え、
前記第2収容部の第2縁部は、
前記凹部に嵌合される凸部と、
前記第1接触面に接触する第2接触面と、
前記第1対向面に対向する第2対向面と、を備え、
前記第1接触面が前記第1対向面よりも高い位置に形成され、
前記第2接触面が前記第2対向面よりも高い位置に形成され、
少なくとも前記凹部と前記凸部とが接着剤により接着されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記凸部は、前記第2接触面側の側面と、前記第2対向面側の側面と、底面と、を備え、
前記凸部の前記第2対向面側の側面は、上下方向に延びるように形成された第1溝部を備えることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記凸部の底面は、前記第2対向面側の側面に交差する方向に延びるように形成された、前記第1溝部と連続する第2溝部を備えることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記第1接触面側の側面と、前記第1対向面側の側面と、底面と、を備え、
前記凹部の前記第1対向面側の側面は、上下方向に延びるように形成された第1溝部を備えることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
前記凹部の底面は、前記第1対向面側の側面に交差する方向に延びるように形成された、前記第1溝部と連続する第2溝部を備えることを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記下ハウジングは、前記回転部材の軸方向における前記下ハウジングの両端部の前記第1収容部よりも下側に、前記軸方向に突出した回転支点を備え、
前記凹部の前記第1対向面側の側面と前記第1対向面とのなす角が鈍角であり、
前記凸部の前記第2対向面側の側面と前記第2対向面とのなす角が鈍角であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項7】
前記凹部の底面は、前記凹部の前記第1接触面側の側面に沿って延びるように形成された第3溝部を備え、
前記凸部の底面の前記第2接触面側の端部が、前記第3溝部の前記第1対向面側の端部よりも前記第1接触面側に位置することを特徴とする請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
感光体ドラムに潜像を書き込む露光装置と、
前記潜像を現像する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の現像装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーを用いて潜像を現像する現像装置及び現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、トナーを用いて潜像を現像する現像装置を備えている(例えば、特許文献1)。
図13A乃至14にしめされるように、従来の現像装置160は、ハウジング310とカバー311とを備える。ハウジング310は、上部に開口部312が形成され、内部にスクリュー330と磁気ローラー320が配置される。開口部312にカバー311が設けられることでハウジング310からの現像剤の飛散が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の現像装置160においては、カバー311はビス等を用いてハウジング310に取り付けられるが、取り付け時にスポンジ等の弾性部材をハウジング310とカバー311の間に挿入することでシール性が確保される。シール性を向上させるためにカバー311をハウジング310に接着することも考えられる。しかし、カバー311は、現像剤の飛散を防止するためのものであることから剛性が低く、ハウジング310に接着したとしてもハウジング310の強度及び剛性の向上にはさほど寄与しない。ハウジング310の強度及び剛性を向上させるには、ハウジング310の肉厚を厚くすることや、高ヤング率の材料を使用することが考えられるが、コストの上昇や、高ヤング率ゆえの加工の難しさなどの問題が生じてしまう。また、カバーを接着剤でハウジングに接着する場合、接着剤がハウジングの内部にはみ出すことがある。その場合、ハウジングの内部で固まった接着剤が現像剤の撹拌と搬送を阻害するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、ハウジングのシール性、強度及び剛性を向上させ、且つ、接着剤のはみ出しをハウジングの外側に誘導することのできる現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る現像装置は、軸周りに回転する回転部材と、
前記回転部材とトナーが収容されるハウジングと、を備え、前記ハウジングは、上部が開口した凹形の第1収容部が形成された下ハウジングと、下部が開口した凹形の第2収容部が形成され、前記下ハウジングの上方に配置される上ハウジングと、を含み、前記第1収容部の第1縁部は、前記第1縁部に沿って延びるように形成され、上部が開口した凹部と、前記凹部よりも内側に形成された第1接触面と、前記凹部よりも外側に形成された第1対向面と、を備え、前記第2収容部の第2縁部は、前記凹部に嵌合される凸部と、前記第1接触面に接触する第2接触面と、前記第1対向面に対向する第2対向面と、を備え、前記第1接触面が前記第1対向面よりも高い位置に形成され、前記第2接触面が前記第2対向面よりも高い位置に形成され、少なくとも前記凹部と前記凸部とが接着剤により接着されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る現像装置において、前記凸部は、前記第2接触面側の側面と、前記第2対向面側の側面と、底面と、を備え、前記凸部の前記第2対向面側の側面は、上下方向に延びるように形成された第1溝部を備えてもよい。
【0008】
本発明に係る現像装置において、前記凸部の底面は、前記第2対向面側の側面に交差する方向に延びるように形成された、前記第1溝部と連続する第2溝部を備えてもよい。
【0009】
本発明に係る現像装置において、前記凹部は、前記第1接触面側の側面と、前記第1対向面側の側面と、底面と、を備え、前記凹部の前記第1対向面側の側面は、上下方向に延びるように形成された第1溝部を備えてもよい。
【0010】
本発明に係る現像装置において、前記凹部の底面は、前記第1対向面側の側面に交差する方向に延びるように形成された、前記第1溝部と連続する第2溝部を備えてもよい。
【0011】
本発明に係る現像装置において、前記下ハウジングは、前記回転部材の軸方向における前記下ハウジングの両端部の前記第1収容部よりも下側に、前記軸方向に突出した回転支点を備え、前記凹部の前記第1対向面側の側面と前記第1対向面とのなす角が鈍角であり、前記凸部の前記第2対向面側の側面と前記第2対向面とのなす角が鈍角であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【0012】
本発明に係る現像装置において、前記凹部の底面は、前記凹部の前記第1接触面側の側面に沿って延びるように形成された第3溝部を備え、前記凸部の底面の前記第2接触面側の端部が、前記第3溝部の前記第1対向面側の端部よりも前記第1接触面側に位置してもよい。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、感光体ドラムに潜像を書き込む露光装置と、前記潜像を現像する上記のいずれかの現像装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、現像装置のハウジングのシール性、強度及び剛性を向上させ、且つ、接着剤のはみ出しをハウジングの外側に誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの内部構成を模式的に示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る現像装置のハウジングの外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る下ハウジングと上ハウジングとが分離された様子を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る第1縁部と第2縁部を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態の変形例に係るハウジングの断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態の変形例に係る上ハウジングの斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態の変形例に係る上ハウジングの斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態の変形例に係るハウジングの断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態の変形例に係るハウジングの断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態の変形例に係る下ハウジングの斜視図である。
【
図13A】従来の現像装置の外観を示す斜視図である。
【
図13B】従来の現像装置のハウジングからカバーが取り外された様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るプリンター1(画像形成装置の一例)及び現像装置16について説明する。
図1は、プリンター1の内部構成を模式的に示す正面図である。以下、
図1における紙面手前側をプリンター1の正面側(前側)とし、左右の向きはプリンター1を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0017】
プリンター1は、箱形の筐体2を備える。筐体2には、シートSを搬送路6に送り出す給紙装置3と、トナー像をシートSに形成する画像形成部4と、トナー像をシートSに定着する定着装置5と、トナー像が定着されたシートSが排出される排出部7と、が収容されている。
【0018】
画像形成部4は、回転駆動される感光体ドラム21と、感光体ドラム21を帯電させる帯電装置22と、画像データに基づくレーザー光を感光体ドラム21に照射することで潜像を形成する露光装置9と、トナーを含む現像剤を現像装置16に供給する現像剤容器12と、潜像をトナーで現像することでトナー像を形成する現像装置16と、駆動ローラーと従動ローラーとに巻き掛けられた中間転写ベルト17と、トナー像を中間転写ベルト17に転写する一次転写ローラー18と、中間転写ベルト17上のトナー像をシートSに転写する二次転写ローラー11と、感光体ドラム21の表面を清掃するクリーニング装置23と、を備える。プリンター1は、感光体ドラム21、帯電装置22、露光装置9、現像剤容器12、現像装置16、一次転写ローラー18及びクリーニング装置23を4組備え、4色のトナーでカラー画像を形成するように構成されている。なお、1乃至3色又は5色以上のトナーで画像を形成する画像形成装置に本発明が適用されてもよい。
【0019】
現像装置16は、ハウジング31と、磁気ローラー32と、2つのスクリュー33(回転部材の一例)と、を備えている。ハウジング31と現像剤容器12との間には、現像剤の供給路(図示省略)が設けられている。現像剤は、例えば磁性キャリアと非磁性トナーとを含む2成分現像剤である。2つのスクリュー33は、ハウジング31の内部に互いに平行に配置され、磁気ローラー32は、スクリュー33に対して平行に配置され、ハウジング31から露出された磁気ローラー32の外周面が感光体ドラム21の外周面に対向している。
【0020】
次に、プリンター1の画像形成動作について説明する。プリンター1が外部コンピューター等から画像データを受信すると、シートSが給紙装置3から搬送路6に送り出される。帯電した感光体ドラム21の表面に、露光装置9により画像データに基づく潜像が形成される。現像剤は、現像剤容器12からハウジング31へ供給され、スクリュー33によって撹拌される。2つのスクリュー33は、互いに反対方向に現像剤を搬送することで、ハウジング31内で現像剤を循環させる。現像剤は、磁気ローラー32にキャリアが引き寄せられることで磁気ローラー32に吸着される。吸着された現像剤に含まれるトナーが、磁気ローラー32と感光体ドラム21との電位差により潜像に吸着され、トナー像が形成される。
【0021】
各感光体ドラム21に形成されたトナー像は、各一次転写ローラー18により中間転写ベルト17に重ねて転写される。中間転写ベルト17に転写されたトナー像は、二次転写ローラー11によりシートSに転写され、定着装置5によりシートSに定着される。トナー像が定着されたシートSは、排出部7に排出される。
【0022】
次に、
図1乃至8を参照して、現像装置16のハウジング31について説明する。
図2は、現像装置16のハウジング31の外観を示す斜視図である。
図3は、下ハウジング41と上ハウジング51とが分離された様子を示す斜視図である。
図4は、第1縁部43と第2縁部53を示す斜視図であり、上ハウジング51が上下逆さまに図示されている。
図5は、
図2のII-II断面図である。
図6は、
図3のIII-III断面図である。
図7は、
図5のII-II断面に示される左右の第1縁部43及び第2縁部53のうち右側の第1縁部43及び第2縁部53とその周辺部を示す断面図である。なお、左側の第1縁部43及び第2縁部53も左右が反転する以外は同様に構成されている。
【0023】
現像装置16は、軸周りに回転するスクリュー33と、スクリュー33とトナーが収容されるハウジング31と、を備え、ハウジング31は、上部が開口した凹形の第1収容部42が形成された下ハウジング41と、下部が開口した凹形の第2収容部52が形成され、下ハウジング41の上方に配置される上ハウジング51と、を含む。
【0024】
図2に示されるように、現像装置16のハウジング31は、前後方向を長手方向とする中空の構造を有し、その内部にスクリュー33と磁気ローラー32とを収容する。また、ハウジング31には、現像剤容器12から供給された現像剤が収容される。
図3に示されるように、ハウジング31は、下ハウジング41と上ハウジング51との接着により形成される。下ハウジング41と上ハウジング51は、射出成形により作製される。
【0025】
図4乃至6に示されるように、下ハウジング41には、前後方向を長手方向とする上部が開口した凹形の第1収容部42が形成されている。第1収容部42の断面は、半円形の2つの断面を左右方向に並べた形状を有し、左右方向の中央に前後方向を長手方向とする隔壁45が形成されている。隔壁45の左右にそれぞれスクリュー33(
図1参照)が配置される。下ハウジング41の前端部と後端部には、スクリュー33の軸受が嵌め込まれる軸受支持部44が形成されている。第1収容部42の前端部と隔壁45の前端部との間、及び第1収容部42の後端部と隔壁45の後端部との間には、間隙46が形成されており、これにより、隔壁45の周囲に現像剤が搬送される周回路が形成されている。
図2乃至4に示されるように、下ハウジング41の前端部には、前方に突出したピン48(回転支点の一例)が形成されている。図示はされていないが、下ハウジング41の後端部にも、後方に突出したピン48が形成されている。
【0026】
図6、7に示されるように、第1収容部42の第1縁部43の上部のうち軸受支持部44を除く部分に、第1縁部43に沿って延びる、上部が開口した凹部43Uが形成されている。第1縁部43の凹部43Uよりも内側の部分には、第1接触面43Cが形成されている。第1縁部43の凹部43Uよりも外側の部分には、第1対向面43Fが形成されている。第1接触面43Cは、第1対向面43Fよりも高い位置に形成されている。凹部43Uは、左側面43Uc(第1接触面43C側の側面)と、右側面43Uf(第1対向面43F側の側面)と、底面43Ubと、を備える。
図4に示されるように、第1縁部43には、少なくとも1つの上方に突出した突起部47が形成されている。
【0027】
図4乃至6に示されるように、上ハウジング51には、前後方向を長手方向とする下部が開口した凹形の第2収容部52が形成されている。上ハウジング51の前端部と後端部には、スクリュー33の軸受が嵌め込まれる軸受支持部54が形成されている。右側の軸受支持部54の上方には、磁気ローラー32の軸受が嵌め込まれる軸受支持部55が形成されている。第2収容部52は、左側の軸受支持部54に支持されるスクリュー33(図示省略)と、軸受支持部55に支持される磁気ローラー32(図示省略)と、を上方から覆う形状に形成されている。磁気ローラー32の右方には、開口部56が形成されている。
【0028】
図6、7に示されるように、第2収容部52の第2縁部53の下部のうち軸受支持部54を除く部分に、第2縁部53に沿って延びる、下方に突出した凸部53Tが形成されている。凸部53Tは、第1縁部43の凹部43Uに嵌合される。第2縁部53の凸部53Tよりも内側の部分には、第1接触面43Cに接触する第2接触面53Cが形成されている。第2縁部53の凸部53Tよりも外側の部分には、第1対向面43Fに対向する第2対向面53Fが形成されている。第2接触面53Cは、第2対向面53Fよりも高い位置に形成されている。凸部53Tは、左側面53Tc(第2接触面53C側の側面)と、右側面53Tf(第2対向面53F側の側面)と、底面53Tbと、を備える。
図4に示されるように、第2縁部53には、第1縁部43の突起部47が嵌め込まれる穴部57が形成されている。
【0029】
凹部43Uの左側面43Ucの上下方向の長さは、凸部53Tの左側面53Tcの上下方向の長さよりも長い。凹部43Uの右側面43Ufの上下方向の長さは、凸部53Tの右側面53Tfの上下方向の長さよりも長い。凹部43Uに凸部53Tが嵌合された場合に、凸部53Tの底面53Tbと凹部43Uの底面43Ubとの間に間隙が形成され、第1対向面43Fと第2対向面53Fとの間に間隙が形成される。
【0030】
凸部53Tの左右方向の幅は、凹部43Uの左右方向の幅よりも狭い。凹部43Uに凸部53Tが嵌合された場合に、凹部43Uの左側面43Ucと凸部53Tの左側面53Tcとの間に間隙が形成され、凹部43Uの右側面43Ufと凸部53Tの右側面53Tfとの間に間隙が形成される。
【0031】
軸受支持部44、54にスクリュー33の軸受が嵌め込まれることで第1収容部42にスクリュー33が収容される。第1縁部43又は第2縁部53に接着剤Gが塗布され、突起部47が穴部57に挿入されることで下ハウジング41と上ハウジング51との相互の位置決めがなされ、下ハウジング41と上ハウジング51が接着される。スクリュー33は、第1収容部42と第2収容部52とで形成された空間に収容されている。軸受支持部55には、磁気ローラー32の軸受が嵌め込まれる。下ハウジング41に形成されたピン48が筐体2に形成された支持穴(図示省略)に挿入される。ハウジング31は、ピン48を中心に回転可能な状態で筐体2に支持され、磁気ローラー32と感光体ドラム21との距離が最適値となるようにハウジング31の姿勢が調整される。
【0032】
ここで、接着剤Gの挙動について説明する。接着剤Gがハウジング31の内部にはみ出した場合、ハウジング31の内部で固まった接着剤Gが現像剤の撹拌と搬送を阻害する。接着剤Gをハウジング31の内部にはみ出させないためには、第1接触面43Cと第2接触面53Cには接着剤Gを塗布せずに、凹部43U又は凸部53Tに接着剤Gを塗布することで、凹部43Uと凸部53Tとの間隙だけに接着剤Gが介在するようにすることが望ましい。しかしながら、接着剤Gの量によっては、凹部43Uと凸部53Tとの間隙から接着剤Gがはみ出す場合がある。本実施形態では、
図7に示されるように、第1接触面43Cが第1対向面43Fよりも高い位置に形成され、第2接触面53Cが第2対向面53Fよりも高い位置に形成されているから、余分な接着剤Gは、凹部43Uの右側面43Ufを越えて第1対向面43Fと第2対向面53Fとの間隙にはみ出す。従って、余分な接着剤Gが凹部43Uの左側面43Ucを越えて第1接触面43Cと第2接触面53Cとの間隙にはみ出すことはない。
【0033】
以上説明した本実施形態に係る現像装置16によれば、接着剤Gのはみ出しをハウジング31の外側に誘導することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る現像装置16によれば、上部が開口したハウジングに剛性の低いカバーを取り付ける構成と比べて、スクリュー33の周方向全域(開口部56を除く)で下ハウジング41と上ハウジング51が一体化されることによりハウジング31の強度及び剛性が向上する。
【0035】
また、ハウジング31がピン48を中心として回転可能な状態で支持される場合、ハウジング31の捩れや撓みが磁気ローラー32の位置決め精度に影響を及ぼすおそれがあるが、本実施形態に係る現像装置16によれば、ハウジング31の捩り剛性及び曲げ剛性が向上するから、ハウジング31の捩れや撓みが発生しにくく、磁気ローラー32の位置決め精度が向上する。また、材料選定の自由度が高まるとともに、平均肉厚の減少によりコストを低下させることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る現像装置16によれば、第1接触面43Cと第2接触面53Cとの間に隙間が生じにくく、ハウジング31のシール性が向上する。また、スポンジ等のシール材の削減によりコストを低下させることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る現像装置16によれば、下ハウジング41と上ハウジング51との接着によりハウジング31が構成されるから、ビス等で接合するのと比べて、ハウジング31のシール性が向上する。
【0038】
よって、本実施形態に係る現像装置16によれば、ハウジング31のシール性、強度及び剛性を向上させ、且つ、接着剤Gのはみ出しをハウジング31の外側に誘導することができる。
【0039】
上記実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0040】
図8、9は、変形例に係る上ハウジング51の斜視図である。図示されるように、凸部53Tの右側面53Tf(第2対向面53F側の側面)が、上下方向に延びるように形成された第1溝部53M1を備え、凸部53Tの底面53Tbが、左右方向(右側面53Tfに交差する方向)に延びるように形成された、第1溝部53M1と連続する第2溝部53M2を備えてもよい。この構成によれば、第1溝部53M1と第2溝部53M2が接着剤Gの流路として機能するから、ハウジング31の外側への接着剤Gの流れが促進される。なお、第2溝部53M2が形成されていなくてもよい。
【0041】
図10は、変形例に係るハウジング31の断面図である。図示されるように、
下ハウジング41は、スクリュー33の軸方向における下ハウジング41の両端部の第1収容部42よりも下側に、軸方向に突出したピン48(回転支点の一例)を備え、凹部43Uの右側面43Uf(第1対向面43F側の側面)と第1対向面43Fとのなす角が鈍角であり、凸部53Tの右側面53Tf(第2対向面53F側の側面)と第2対向面53Fとのなす角が鈍角であってもよい。前述のとおり、ハウジング31は、ピン48を中心に回転可能な状態で筐体2に支持され、磁気ローラー32と感光体ドラム21との距離が最適値となるようにハウジング31の姿勢が調整される。
図10の断面においては、感光体ドラム21はハウジング31の右方に位置する(図示省略)。例えば、感光体ドラム21とハウジング31との間の位置に固定された位置決め部材(図示省略)に上ハウジング51を接触させることでハウジング31の位置決めが行われる場合、上ハウジング51には
図10に示される外力F1が作用する。外力F1は、下ハウジング41から上ハウジング51を引き剥がす引き剥がし負荷として作用する。本変形例では、凹部43Uの右側面43Ufと凸部53Tの右側面53Tfとの間に形成された接着剤Gの層が外力F1に対して垂直に近い姿勢となる。接着剤Gは、引張荷重に抵抗する性質が強く、せん断荷重に抵抗する性質が弱いが、本変形例では、接着剤Gの層に対して外力F1が主に引張荷重として作用し、せん断荷重は無視できるほど小さいから、下ハウジング41と上ハウジング51との接着強度を高めることができる。
【0042】
図11は、変形例に係るハウジング31の断面図である。図示されるように、凹部43Uの底面43Ubは、凹部43Uの左側面43Uc(第1接触面43C側の側面)に沿って延びるように形成された第3溝部43M3を備え、凸部53Tの底面53Tbの左端部(第2接触面53C側の端部)が、第3溝部43M3の右端部(第1対向面43F側の端部)よりも左側(第1接触面43C側)に位置してもよい。この構成によれば、接着剤Gが第3溝部43M3に流れ込むため、凸部53Tの底面53Tbの左端部に接着されない領域ができる。すると、外力F2を作用させることで、凸部53Tの底面53Tbの接着されない領域と接着された領域との境界部に引張応力が集中する。この構成によれば、外力F2に対する接着強度が弱まるから、ハウジングを分解する場合に好適である。
【0043】
図12は、変形例に係る上ハウジング51の斜視図である。図示されるように、凹部43Uの右側面43Uf(第1対向面43F側の側面)は、上下方向に延びるように形成された第1溝部43M1を備え、凹部43Uの底面43Ubは、左右方向(右側面43Ufに交差する方向)に延びるように形成された、第1溝部43M1と連続する第2溝部43M2を備えてもよい。この構成によれば、第1溝部43M1と第2溝部43M2が接着剤Gの流路として機能するから、ハウジング31の外側への接着剤Gの流れが促進される。なお、第2溝部43M2が形成されていなくてもよい。
【0044】
上記実施形態では、回転部材の一例としてスクリュー33を例示したが、回転部材は、磁気ローラー32でもよく、磁気ローラー32から現像ローラーを介して感光体ドラム21にトナーを供給するタッチダウン方式の現像装置における現像ローラーであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 プリンター(画像形成装置)
2 筐体
9 露光装置
16 現像装置
21 感光体ドラム
31 ハウジング
33 スクリュー(回転部材)
41 下ハウジング
42 第1収容部
43 第1縁部
43U 凹部
43C 第1接触面
43F 第1対向面
43Uc 凹部の左側面(凹部の第1接触面側の側面)
43Uf 凹部の右側面(凹部の第1対抗面側の側面)
43Ub 凹部の底面
43M1 第1溝部
43M2 第2溝部
43M3 第3溝部
51 上ハウジング
52 第2収容部
53 第2縁部
53T 凸部
53C 第2接触面
53F 第2対向面
53Tc 凸部の左側面(凸部の第2接触面側の側面)
53Tf 凸部の右側面(凸部の第2対抗面側の側面)
53Tb 凸部の底面
53M1 第1溝部
53M2 第2溝部