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特許7196690プリントヘッド制御回路、プリントヘッド及び液体吐出装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】プリントヘッド制御回路、プリントヘッド及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20221220BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/01 301
B41J2/14 305
B41J2/01 451
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2019036737
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020049933
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2018174369
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】松本 祐介
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-168874(JP,A)
【文献】特開2017-113927(JP,A)
【文献】特開2017-114021(JP,A)
【文献】特開2018-51953(JP,A)
【文献】特開2016-93973(JP,A)
【文献】特開2012-196820(JP,A)
【文献】特開2018-103612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号に基づいて駆動することでノズルから液体を吐出させる駆動素子と、
第1診断信号が入力される第1端子と、
第2診断信号が入力される第2端子と、
第3診断信号が入力される第3端子と、
第4診断信号が入力される第4端子と、
前記駆動信号が入力される第5端子と、
前記第1診断信号、前記第2診断信号、前記第3診断信号、及び前記第4診断信号に基づいて液体の正常な吐出が可能か否かを診断する診断回路と、
を有するプリントヘッド
の動作を制御するプリントヘッド制御回路であって、
前記第1診断信号を伝搬する第1診断信号伝搬配線、前記第2診断信号を伝搬する第2診断信号伝搬配線、前記第3診断信号を伝搬する第3診断信号伝搬配線、前記第4診断信号を伝搬する第4診断信号伝搬配線、及び前記駆動信号を伝搬する第1駆動信号伝搬配線を含む第1ケーブルと、
前記第1診断信号、前記第2診断信号、前記第3診断信号、及び前記第4診断信号を出力する診断信号出力回路と、
前記駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、
を備え、
前記第1ケーブルが前記プリントヘッドと電気的に接続された場合において、前記第1駆動信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離は、前記第1診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第2診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第3診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第4診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長い、
ことを特徴とするプリントヘッド制御回路。
【請求項2】
前記プリントヘッドは、前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子、前記第4端子、及び前記第5端子を含む第1コネクターと、基板とを有し、
前記第1コネクターと前記診断回路とは、前記基板の同一面に設けられ、
前記第1ケーブルは、前記第1コネクターと電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のプリントヘッド制御回路。
【請求項3】
前記第1ケーブルは、一定電圧信号を伝搬する第1一定電圧信号伝搬配線、第2一定電圧信号伝搬配線、及び第3一定電圧信号伝搬配線を含み、
前記第1診断信号伝搬配線、前記第2診断信号伝搬配線、前記第3診断信号伝搬配線、及び前記第4診断信号伝搬配線は、前記第1ケーブルにおいて、前記第1診断信号伝搬配線、前記第2診断信号伝搬配線、前記第3診断信号伝搬配線、前記第4診断信号伝搬配線の順に並んで設けられ、
前記第1一定電圧信号伝搬配線は、前記第1診断信号伝搬配線と前記第2診断信号伝搬配線との間に位置し、
前記第2一定電圧信号伝搬配線は、前記第2診断信号伝搬配線と前記第3診断信号伝搬配線との間に位置し、
前記第3一定電圧信号伝搬配線は、前記第3診断信号伝搬配線と前記第4診断信号伝搬配線との間に位置する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプリントヘッド制御回路。
【請求項4】
前記第1診断信号伝搬配線は、液体の吐出タイミングを規定する信号を伝搬する配線を兼ねる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリントヘッド制御回路。
【請求項5】
前記第2診断信号伝搬配線は、クロック信号を伝搬する配線を兼ねる、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリントヘッド制御回路。
【請求項6】
前記第3診断信号伝搬配線は、前記駆動信号の波形切替タイミングを規定する信号を伝搬する配線を兼ねる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプリントヘッド制御回路。
【請求項7】
前記第4診断信号伝搬配線は、前記駆動信号の波形選択を規定する信号を伝搬する配線を兼ねる、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプリントヘッド制御回路。
【請求項8】
前記プリントヘッドは、第6端子を有し、
前記第1ケーブルは、前記第6端子に入力される前記診断回路の診断結果を示す第5診断信号を伝搬する第5診断信号伝搬配線を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプリントヘッド制御回路。
【請求項9】
前記第5診断信号伝搬配線は、前記プリントヘッドの温度異常の有無を示す信号を伝搬する配線を兼ねる、
ことを特徴とする請求項8に記載のプリントヘッド制御回路。
【請求項10】
前記プリントヘッドは、第6診断信号が入力される第7端子、第7診断信号が入力される第8端子、第8診断信号が入力される第9端子、第9診断信号が入力される第10端子、及び前記駆動信号が入力される第11端子を有し、
前記診断回路は、前記第6診断信号、前記第7診断信号、前記第8診断信号、及び前記第9診断信号に基づいて液体の正常な吐出が可能か否かを診断し、
前記第6診断信号を伝搬する第6診断信号伝搬配線、前記第7診断信号を伝搬する第7診断信号伝搬配線、前記第8診断信号を伝搬する第8診断信号伝搬配線、前記第9診断信号を伝搬する第9診断信号伝搬配線、及び前記駆動信号を伝搬する第2駆動信号伝搬配線を含む第2ケーブルを備え、
前記第2ケーブルが前記プリントヘッドと電気的に接続された場合において、前記第2駆動信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離は、前記第6診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第7診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第8診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第9診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長い、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のプリントヘッド制御回路。
【請求項11】
駆動信号に基づいて駆動することでノズルから液体を吐出させる駆動素子と、
第1診断信号が入力される第1端子、第2診断信号が入力される第2端子、第3診断信号が入力される第3端子、第4診断信号が入力される第4端子、及び前記駆動信号が入力される第5端子を含む第1コネクターと、
前記第1診断信号、前記第2診断信号、前記第3診断信号、及び前記第4診断信号に基づいて液体の正常な吐出が可能か否かを診断する診断回路と、
を備え、
前記第5端子と前記診断回路との間の最短距離は、前記第1端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第2端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第3端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第4端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長い、
ことを特徴とするプリントヘッド。
【請求項12】
基板を備え、
前記第1コネクターと前記診断回路とは、前記基板の同一面に設けられている、
ことを特徴とする請求項11に記載のプリントヘッド。
【請求項13】
前記第1端子と前記診断回路とを接続し、前記第1診断信号を伝搬する第1配線と、
前記第2端子と前記診断回路とを接続し、前記第2診断信号を伝搬する第2配線と、
前記第3端子と前記診断回路とを接続し、前記第3診断信号を伝搬する第3配線と、
前記第4端子と前記診断回路とを接続し、前記第4診断信号を伝搬する第4配線と、
を備え、
前記第1配線、前記第2配線、前記第3配線、及び前記第4配線と、前記第1コネクターとは、前記基板の前記同一面に設けられている、
ことを特徴とする請求項12に記載のプリントヘッド。
【請求項14】
前記基板は、第1辺と、前記第1辺と異なる第2辺とを有し、
前記駆動信号を伝搬する第5配線を含み、
前記第5配線は、前記基板の前記同一面に設けられ、
前記第5配線と前記第1辺との最短距離は、前記第5配線と前記第2辺との最短距離よりも長く、
前記第1配線と前記第1辺との最短距離は、前記第5配線と前記第2辺との最短距離よりも短く、
前記診断回路と前記第1辺との最短距離は、前記第5配線と前記第2辺との最短距離よりも短い
ことを特徴とする請求項13に記載のプリントヘッド。
【請求項15】
前記第1コネクターは、一定電圧信号が入力される第1一定電圧端子、第2一定電圧端子、及び第3一定電圧端子を含み、
前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子、及び前記第4端子は、前記第1コネクターにおいて、前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子、前記第4端子の順に並んで設けられ、
前記第1一定電圧端子は、前記第1端子と前記第2端子との間に位置し、
前記第2一定電圧端子は、前記第2端子と前記第3端子との間に位置し、
前記第3一定電圧端子は、前記第3端子と前記第4端子との間に位置する、
ことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項に記載のプリントヘッド。
【請求項16】
前記第1端子は、液体の吐出タイミングを規定する信号が入力される端子を兼ねる、
ことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載のプリントヘッド。
【請求項17】
前記第2端子は、クロック信号が入力される端子を兼ねる、
ことを特徴とする請求項11乃至16いずれか1項に記載のプリントヘッド。
【請求項18】
前記第3端子は、前記駆動信号の波形切替タイミングを規定する信号が入力される端子を兼ねる、
ことを特徴とする請求項11乃至17のいずれか1項に記載のプリントヘッド。
【請求項19】
前記第4端子は、前記駆動信号の波形選択を規定する信号が入力される端子を兼ねる、
ことを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項に記載のプリントヘッド。
【請求項20】
前記第1コネクターは、第6端子を含み、
前記第6端子には、前記診断回路における診断結果を示す第5診断信号が入力される、
ことを特徴とする請求項11乃至19のいずれか1項に記載のプリントヘッド。
【請求項21】
温度異常の有無を診断する温度異常検出回路を備え、
前記第6端子は、前記温度異常の有無の診断結果を示す信号が入力される端子を兼ねる、
ことを特徴とする請求項20に記載のプリントヘッド。
【請求項22】
第6診断信号が入力される第7端子、第7診断信号が入力される第8端子、第8診断信号が入力される第9端子、第9診断信号が入力される第10端子、及び前記駆動信号が入力される第11端子を含む第2コネクターを備え、
前記診断回路は、前記第6診断信号、前記第7診断信号、前記第8診断信号、及び前記第9診断信号に基づいて液体の正常な吐出が可能か否かを診断し、
前記第11端子と前記診断回路との間の最短距離は、前記第7端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第8端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第9端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第10端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長い、
ことを特徴とする請求項11乃至21のいずれか1項に記載のプリントヘッド。
【請求項23】
プリントヘッドと、
前記プリントヘッドの動作を制御するプリントヘッド制御回路と、
を備え、
前記プリントヘッドは、
駆動信号に基づいて駆動することでノズルから液体を吐出させる駆動素子と、
第1診断信号が入力される第1端子と、
第2診断信号が入力される第2端子と、
第3診断信号が入力される第3端子と、
第4診断信号が入力される第4端子と、
前記駆動信号が入力される第5端子と、
前記第1診断信号、前記第2診断信号、前記第3診断信号、及び前記第4診断信号に基づいて液体の正常な吐出が可能か否かを診断する診断回路と
を有し、
前記プリントヘッド制御回路は、
前記第1診断信号を伝搬する第1診断信号伝搬配線、前記第2診断信号を伝搬する第2診断信号伝搬配線、前記第3診断信号を伝搬する第3診断信号伝搬配線、前記第4診断信号を伝搬する第4診断信号伝搬配線、及び前記駆動信号を伝搬する第1駆動信号伝搬配線を含む第1ケーブルと、
前記第1診断信号、前記第2診断信号、前記第3診断信号、及び前記第4診断信号を出力する診断信号出力回路と、
前記駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、
を有し、
前記第1診断信号伝搬配線と前記第1端子とは第1接触部で電気的に接触し、
前記第2診断信号伝搬配線と前記第2端子とは第2接触部で電気的に接触し、
前記第3診断信号伝搬配線と前記第3端子とは第3接触部で電気的に接触し、
前記第4診断信号伝搬配線と前記第4端子とは第4接触部で電気的に接触し、
前記第1駆動信号伝搬配線と前記第5端子とは第5接触部で電気的に接触し、
前記第5接触部と前記診断回路との間の最短距離は、前記第1接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第2接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第3接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第4接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長い、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項24】
前記プリントヘッドは、前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子、前記第4端子、及び前記第5端子を含む第1コネクターと、基板とを有し、
前記第1コネクターと前記診断回路とは、前記基板の同一面に設けられ、
前記第1ケーブルは、前記第1コネクターと電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項23に記載の液体吐出装置。
【請求項25】
前記プリントヘッドは、
前記第1端子と前記診断回路とを接続し、前記第1診断信号を伝搬する第1配線と、
前記第2端子と前記診断回路とを接続し、前記第2診断信号を伝搬する第2配線と、
前記第3端子と前記診断回路とを接続し、前記第3診断信号を伝搬する第3配線と、
前記第4端子と前記診断回路とを接続し、前記第4診断信号を伝搬する第4配線と、
を有し、
前記第1配線、前記第2配線、前記第3配線、及び前記第4配線と、前記第1コネクターとは、前記基板の前記同一面に設けられている、
ことを特徴とする請求項24に記載の液体吐出装置。
【請求項26】
前記基板は、第1辺と、前記第1辺と異なる第2辺とを有し、
前記駆動信号を伝搬する第5配線を含み、
前記第5配線は、前記基板の前記同一面に設けられ、
前記第5配線と前記第1辺との最短距離は、前記第5配線と前記第2辺との最短距離よりも長く、
前記第1配線と前記第1辺との最短距離は、前記第5配線と前記第2辺との最短距離よりも短く、
前記診断回路と前記第1辺との最短距離は、前記第5配線と前記第2辺との最短距離よりも短い
ことを特徴とする請求項25に記載の液体吐出装置。
【請求項27】
前記プリントヘッドは、第1一定電圧端子、第2一定電圧端子、及び第3一定電圧端子を有し、
前記第1ケーブルは、一定電圧信号を伝搬する第1一定電圧信号伝搬配線、第2一定電圧信号伝搬配線、及び第3一定電圧信号伝搬配線を含み、
前記第1一定電圧信号伝搬配線と前記第1一定電圧端子とは第1一定電圧接触部で電気的に接触し、
前記第2一定電圧信号伝搬配線と前記第2一定電圧端子とは第2一定電圧接触部で電気的に接触し、
前記第3一定電圧信号伝搬配線と前記第3一定電圧端子とは第3一定電圧接触部で電気的に接触し、
前記第1接触部、前記第2接触部、前記第3接触部、及び前記第4接触部は、前記プリントヘッドにおいて、前記第1接触部、前記第2接触部、前記第3接触部、前記第4接触部の順に並んで設けられ、
前記第1一定電圧接触部は、前記第1接触部と前記第2接触部との間に位置し、
前記第2一定電圧接触部は、前記第2接触部と前記第3接触部との間に位置し、
前記第3一定電圧接触部は、前記第3接触部と前記第4接触部との間に位置する、
ことを特徴とする請求項23乃至26のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項28】
前記第1接触部は、液体の吐出タイミングを規定する信号が伝搬される配線と電気的に接触する、
ことを特徴とする請求項23乃至27のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項29】
前記第2接触部は、クロック信号を伝搬する配線と電気的に接触する、
ことを特徴とする請求項23乃至28のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項30】
前記第3接触部は、前記駆動信号の波形切替タイミングを規定する信号を伝搬する配線と電気的に接触する、
ことを特徴とする請求項23乃至29のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項31】
前記第4接触部は、前記駆動信号の波形選択を規定する信号を伝搬する配線と電気的に接触する、
ことを特徴とする請求項23乃至30のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項32】
前記プリントヘッドは、前記診断回路の診断結果を示す第5診断信号が入力される第6端子を有し、
前記第1ケーブルは、前記第5診断信号を伝搬する第5診断信号伝搬配線を含み、
前記第5診断信号伝搬配線と前記第6端子とは第6接触部で電気的に接触する、
ことを特徴とする請求項23乃至31のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項33】
前記第6接触部は、前記プリントヘッドの温度異常の有無を示す信号を伝搬する配線と電気的に接触する、
ことを特徴とする請求項32に記載の液体吐出装置。
【請求項34】
前記プリントヘッドは、
第6診断信号が入力される第7端子と、
第7診断信号が入力される第8端子と、
第8診断信号が入力される第9端子と、
第9診断信号が入力される第10端子と、
前記駆動信号が入力される第11端子と、
を有し、
前記診断回路は、前記第6診断信号、前記第7診断信号、前記第8診断信号、及び前記第9診断信号に基づいて液体の正常な吐出が可能か否かを診断し、
前記プリントヘッド制御回路は、
前記第6診断信号を伝搬する第6診断信号伝搬配線、前記第7診断信号を伝搬する第7診断信号伝搬配線、前記第8診断信号を伝搬する第8診断信号伝搬配線、前記第9診断信号を伝搬する第9診断信号伝搬配線、及び前記駆動信号を伝搬する第2駆動信号伝搬配線を含む第2ケーブルを有し、
前記第6診断信号伝搬配線と前記第7端子とは第7接触部で電気的に接触し、
前記第7診断信号伝搬配線と前記第8端子とは第8接触部で電気的に接触し、
前記第8診断信号伝搬配線と前記第9端子とは第9接触部で電気的に接触し、
前記第9診断信号伝搬配線と前記第10端子とは第10接触部で電気的に接触し、
前記第2駆動信号伝搬配線と前記第11端子とは第11接触部で電気的に接触し、
前記第11接触部と前記診断回路との間の最短距離は、前記第7接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第8接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第9接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第10接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長い、
ことを特徴とする請求項23乃至33のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントヘッド制御回路、プリントヘッド及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の液体吐出装置は、プリントヘッドに設けられた圧電素子を駆動信号により駆動することで、キャビティーに充填されたインク等の液体をノズルから吐出し、記録媒体上に文字や画像を形成する。このような液体吐出装置において、プリントヘッドに不具合が生じた場合、ノズルから正常に液体を吐出できなくなる吐出異常が生じるおそれがある。このような吐出異常が生じた場合、ノズルから吐出されるインクの吐出精度が低下し、記録媒体上に形成される画像の品質が低下するおそれがある。
【0003】
特許文献1には、プリントヘッドに入力される複数の信号に応じて、正常な印字品質を満たすドットの形成が可能か否かを、プリントヘッド自身で判別する自己診断機能を有するプリントヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-114020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、プリントヘッドの自己診断に用いられる複数の信号線が、ケーブル及びコネクターにおいて分散して位置している。このため、高電圧信号として伝搬される複数の駆動信号とプリントヘッドの自己診断に用いられる複数の信号とが、干渉するおそれがあり、プリントヘッドの自己診断機能が正常に動作しないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプリントヘッド制御回路の一態様は、
駆動信号に基づいて駆動することでノズルから液体を吐出させる駆動素子と、
第1診断信号が入力される第1端子と、
第2診断信号が入力される第2端子と、
第3診断信号が入力される第3端子と、
第4診断信号が入力される第4端子と、
前記駆動信号が入力される第5端子と、
前記第1診断信号、前記第2診断信号、前記第3診断信号、及び前記第4診断信号に基づいて液体の正常な吐出が可能か否かを診断する診断回路と、
を有するプリントヘッド
の動作を制御するプリントヘッド制御回路であって、
前記第1診断信号を伝搬する第1診断信号伝搬配線、前記第2診断信号を伝搬する第2診断信号伝搬配線、前記第3診断信号を伝搬する第3診断信号伝搬配線、前記第4診断信号を伝搬する第4診断信号伝搬配線、及び前記駆動信号を伝搬する第1駆動信号伝搬配線を含む第1ケーブルと、
前記第1診断信号、前記第2診断信号、前記第3診断信号、及び前記第4診断信号を出力する診断信号出力回路と、
前記駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、
を備え、
前記第1ケーブルが前記プリントヘッドと電気的に接続された場合において、前記第1駆動信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離は、前記第1診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第2診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第3診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第4診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長い。
【0007】
前記プリントヘッド制御回路の一態様において、
前記プリントヘッドは、前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子、前記第4端子、及び前記第5端子を含む第1コネクターと、基板とを有し、
前記第1コネクターと前記診断回路とは、前記基板の同一面に設けられ、
前記第1ケーブルは、前記第1コネクターと電気的に接続されてもよい。
【0008】
前記プリントヘッド制御回路の一態様において、
前記第1ケーブルは、一定電圧信号を伝搬する第1一定電圧信号伝搬配線、第2一定電圧信号伝搬配線、及び第3一定電圧信号伝搬配線を含み、
前記第1診断信号伝搬配線、前記第2診断信号伝搬配線、前記第3診断信号伝搬配線、及び前記第4診断信号伝搬配線は、前記第1ケーブルにおいて、前記第1診断信号伝搬配線、前記第2診断信号伝搬配線、前記第3診断信号伝搬配線、前記第4診断信号伝搬配線の順に並んで設けられ、
前記第1一定電圧信号伝搬配線は、前記第1診断信号伝搬配線と前記第2診断信号伝搬配線との間に位置し、
前記第2一定電圧信号伝搬配線は、前記第2診断信号伝搬配線と前記第3診断信号伝搬配線との間に位置し、
前記第3一定電圧信号伝搬配線は、前記第3診断信号伝搬配線と前記第4診断信号伝搬配線との間に位置してもよい。
【0009】
前記プリントヘッド制御回路の一態様において、
前記第1診断信号伝搬配線は、液体の吐出タイミングを規定する信号を伝搬する配線を兼ねてもよい。
【0010】
前記プリントヘッド制御回路の一態様において、
前記第2診断信号伝搬配線は、クロック信号を伝搬する配線を兼ねてもよい。
【0011】
前記プリントヘッド制御回路の一態様において、
前記第3診断信号伝搬配線は、前記駆動信号の波形切替タイミングを規定する信号を伝搬する配線を兼ねてもよい。
【0012】
前記プリントヘッド制御回路の一態様において、
前記第4診断信号伝搬配線は、前記駆動信号の波形選択を規定する信号を伝搬する配線を兼ねてもよい。
【0013】
前記プリントヘッド制御回路の一態様において、
前記プリントヘッドは、第6端子を有し、
前記第1ケーブルは、前記第6端子に入力される前記診断回路の診断結果を示す第5診断信号を伝搬する第5診断信号伝搬配線を含んでもよい。
【0014】
前記プリントヘッド制御回路の一態様において、
前記第5診断信号伝搬配線は、前記プリントヘッドの温度異常の有無を示す信号を伝搬する配線を兼ねてもよい。
【0015】
前記プリントヘッド制御回路の一態様において、
前記プリントヘッドは、第6診断信号が入力される第7端子、第7診断信号が入力される第8端子、第8診断信号が入力される第9端子、第9診断信号が入力される第10端子、及び前記駆動信号が入力される第11端子を有し、
前記診断回路は、前記第6診断信号、前記第7診断信号、前記第8診断信号、及び前記第9診断信号に基づいて液体の正常な吐出が可能か否かを診断し、
前記第6診断信号を伝搬する第6診断信号伝搬配線、前記第7診断信号を伝搬する第7診断信号伝搬配線、前記第8診断信号を伝搬する第8診断信号伝搬配線、前記第9診断信号を伝搬する第9診断信号伝搬配線、及び前記駆動信号を伝搬する第2駆動信号伝搬配線を含む第2ケーブルを備え、
前記第2ケーブルが前記プリントヘッドと電気的に接続された場合において、前記第2駆動信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離は、前記第6診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第7診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第8診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第9診断信号伝搬配線と前記診断回路との間の最短距離よりも長くてもよい。
【0016】
本発明に係るプリントヘッドの一態様は、
駆動信号に基づいて駆動することでノズルから液体を吐出させる駆動素子と、
第1診断信号が入力される第1端子、第2診断信号が入力される第2端子、第3診断信号が入力される第3端子、第4診断信号が入力される第4端子、及び前記駆動信号が入力される第5端子を含む第1コネクターと、
前記第1診断信号、前記第2診断信号、前記第3診断信号、及び前記第4診断信号に基づいて液体の正常な吐出が可能か否かを診断する診断回路と、
を備え、
前記第5端子と前記診断回路との間の最短距離は、前記第1端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第2端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第3端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第4端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長い。
【0017】
前記プリントヘッドの一態様において、
基板を備え、
前記第1コネクターと前記診断回路とは、前記基板の同一面に設けられていてもよい。
【0018】
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第1端子と前記診断回路とを接続し、前記第1診断信号を伝搬する第1配線と、
前記第2端子と前記診断回路とを接続し、前記第2診断信号を伝搬する第2配線と、
前記第3端子と前記診断回路とを接続し、前記第3診断信号を伝搬する第3配線と、
前記第4端子と前記診断回路とを接続し、前記第4診断信号を伝搬する第4配線と、
を備え、
前記第1配線、前記第2配線、前記第3配線、及び前記第4配線と、前記第1コネクターとは、前記基板の前記同一面に設けられていてもよい。
【0019】
前記プリントヘッドの一態様において、
前記基板は、第1辺と、前記第1辺と異なる第2辺とを有し、
前記駆動信号を伝搬する第5配線を含み、
前記第5配線は、前記基板の前記同一面に設けられ、
前記第5配線と前記第1辺との最短距離は、前記第5配線と前記第2辺との最短距離よりも長く、
前記第1配線と前記第1辺との最短距離は、前記第5配線と前記第2辺との最短距離よりも短く、
前記診断回路と前記第1辺との最短距離は、前記第5配線と前記第2辺との最短距離よりも短くてもよい。
【0020】
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第1コネクターは、一定電圧信号が入力される第1一定電圧端子、第2一定電圧端子、及び第3一定電圧端子を含み、
前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子、及び前記第4端子は、前記第1コネクターにおいて、前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子、前記第4端子の順に並んで設けられ、
前記第1一定電圧端子は、前記第1端子と前記第2端子との間に位置し、
前記第2一定電圧端子は、前記第2端子と前記第3端子との間に位置し、
前記第3一定電圧端子は、前記第3端子と前記第4端子との間に位置してもよい。
【0021】
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第1端子は、液体の吐出タイミングを規定する信号が入力される端子を兼ねてもよい。
【0022】
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第2端子は、クロック信号が入力される端子を兼ねてもよい。
【0023】
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第3端子は、前記駆動信号の波形切替タイミングを規定する信号が入力される端子を兼ねてもよい。
【0024】
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第4端子は、前記駆動信号の波形選択を規定する信号が入力される端子を兼ねてもよい。
【0025】
前記プリントヘッドの一態様において、
前記第1コネクターは、第6端子を含み、
前記第6端子には、前記診断回路における診断結果を示す第5診断信号が入力されてもよい。
【0026】
前記プリントヘッドの一態様において、
温度異常の有無を診断する温度異常検出回路を備え、
前記第6端子は、前記温度異常の有無の診断結果を示す信号が入力される端子を兼ねてもよい。
【0027】
前記プリントヘッドの一態様において、
第6診断信号が入力される第7端子、第7診断信号が入力される第8端子、第8診断信号が入力される第9端子、第9診断信号が入力される第10端子、及び前記駆動信号が入力される第11端子を含む第2コネクターを備え、
前記診断回路は、前記第6診断信号、前記第7診断信号、前記第8診断信号、及び前記第9診断信号に基づいて液体の正常な吐出が可能か否かを診断し、
前記第11端子と前記診断回路との間の最短距離は、前記第7端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第8端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第9端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第10端子と前記診断回路との間の最短距離よりも長くてもよい。
【0028】
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、
プリントヘッドと、
前記プリントヘッドの動作を制御するプリントヘッド制御回路と、
を備え、
前記プリントヘッドは、
駆動信号に基づいて駆動することでノズルから液体を吐出させる駆動素子と、
第1診断信号が入力される第1端子と、
第2診断信号が入力される第2端子と、
第3診断信号が入力される第3端子と、
第4診断信号が入力される第4端子と、
前記駆動信号が入力される第5端子と、
前記第1診断信号、前記第2診断信号、前記第3診断信号、及び前記第4診断信号に基づいて液体の正常な吐出が可能か否かを診断する診断回路と
を有し、
前記プリントヘッド制御回路は、
前記第1診断信号を伝搬する第1診断信号伝搬配線、前記第2診断信号を伝搬する第2診断信号伝搬配線、前記第3診断信号を伝搬する第3診断信号伝搬配線、前記第4診断信号を伝搬する第4診断信号伝搬配線、及び前記駆動信号を伝搬する第1駆動信号伝搬配線を含む第1ケーブルと、
前記第1診断信号、前記第2診断信号、前記第3診断信号、及び前記第4診断信号を出力する診断信号出力回路と、
前記駆動信号を出力する駆動信号出力回路と、
を有し、
前記第1診断信号伝搬配線と前記第1端子とは第1接触部で電気的に接触し、
前記第2診断信号伝搬配線と前記第2端子とは第2接触部で電気的に接触し、
前記第3診断信号伝搬配線と前記第3端子とは第3接触部で電気的に接触し、
前記第4診断信号伝搬配線と前記第4端子とは第4接触部で電気的に接触し、
前記第1駆動信号伝搬配線と前記第5端子とは第5接触部で電気的に接触し、
前記第5接触部と前記診断回路との間の最短距離は、前記第1接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第2接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第3接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第4接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長い。
【0029】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記プリントヘッドは、前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子、前記第4端子、及び前記第5端子を含む第1コネクターと、基板とを有し、
前記第1コネクターと前記診断回路とは、前記基板の同一面に設けられ、
前記第1ケーブルは、前記第1コネクターと電気的に接続されてもよい。
【0030】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記プリントヘッドは、
前記第1端子と前記診断回路とを接続し、前記第1診断信号を伝搬する第1配線と、
前記第2端子と前記診断回路とを接続し、前記第2診断信号を伝搬する第2配線と、
前記第3端子と前記診断回路とを接続し、前記第3診断信号を伝搬する第3配線と、
前記第4端子と前記診断回路とを接続し、前記第4診断信号を伝搬する第4配線と、
を有し、
前記第1配線、前記第2配線、前記第3配線、及び前記第4配線と、前記第1コネクターとは、前記基板の前記同一面に設けられていてもよい。
【0031】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記基板は、第1辺と、前記第1辺と異なる第2辺とを有し、
前記駆動信号を伝搬する第5配線を含み、
前記第5配線は、前記基板の前記同一面に設けられ、
前記第5配線と前記第1辺との最短距離は、前記第5配線と前記第2辺との最短距離よりも長く、
前記第1配線と前記第1辺との最短距離は、前記第5配線と前記第2辺との最短距離よりも短く、
前記診断回路と前記第1辺との最短距離は、前記第5配線と前記第2辺との最短距離よりも短くてもよい。
【0032】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記プリントヘッドは、第1一定電圧端子、第2一定電圧端子、及び第3一定電圧端子を有し、
前記第1ケーブルは、一定電圧信号を伝搬する第1一定電圧信号伝搬配線、第2一定電圧信号伝搬配線、及び第3一定電圧信号伝搬配線を含み、
前記第1一定電圧信号伝搬配線と前記第1一定電圧端子とは第1一定電圧接触部で電気的に接触し、
前記第2一定電圧信号伝搬配線と前記第2一定電圧端子とは第2一定電圧接触部で電気的に接触し、
前記第3一定電圧信号伝搬配線と前記第3一定電圧端子とは第3一定電圧接触部で電気的に接触し、
前記第1接触部、前記第2接触部、前記第3接触部、及び前記第4接触部は、前記プリントヘッドにおいて、前記第1接触部、前記第2接触部、前記第3接触部、前記第4接触部の順に並んで設けられ、
前記第1一定電圧接触部は、前記第1接触部と前記第2接触部との間に位置し、
前記第2一定電圧接触部は、前記第2接触部と前記第3接触部との間に位置し、
前記第3一定電圧接触部は、前記第3接触部と前記第4接触部との間に位置してもよい。
【0033】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1接触部は、液体の吐出タイミングを規定する信号が伝搬される配線と電気的に接触してもよい。
【0034】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第2接触部は、クロック信号を伝搬する配線と電気的に接触してもよい。
【0035】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第3接触部は、前記駆動信号の波形切替タイミングを規定する信号を伝搬する配線と電気的に接触してもよい。
【0036】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第4接触部は、前記駆動信号の波形選択を規定する信号を伝搬する配線と電気的に接触してもよい。
【0037】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記プリントヘッドは、前記診断回路の診断結果を示す第5診断信号が入力される第6端子を有し、
前記第1ケーブルは、前記第5診断信号を伝搬する第5診断信号伝搬配線を含み、
前記第5診断信号伝搬配線と前記第6端子とは第6接触部で電気的に接触してもよい。
【0038】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第6接触部は、前記プリントヘッドの温度異常の有無を示す信号を伝搬する配線と電気的に接触してもよい。
【0039】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記プリントヘッドは、
第6診断信号が入力される第7端子と、
第7診断信号が入力される第8端子と、
第8診断信号が入力される第9端子と、
第9診断信号が入力される第10端子と、
前記駆動信号が入力される第11端子と、
を有し、
前記診断回路は、前記第6診断信号、前記第7診断信号、前記第8診断信号、及び前記第9診断信号に基づいて液体の正常な吐出が可能か否かを診断し、
前記プリントヘッド制御回路は、
前記第6診断信号を伝搬する第6診断信号伝搬配線、前記第7診断信号を伝搬する第7診断信号伝搬配線、前記第8診断信号を伝搬する第8診断信号伝搬配線、前記第9診断信号を伝搬する第9診断信号伝搬配線、及び前記駆動信号を伝搬する第2駆動信号伝搬配線を含む第2ケーブルを有し、
前記第6診断信号伝搬配線と前記第7端子とは第7接触部で電気的に接触し、
前記第7診断信号伝搬配線と前記第8端子とは第8接触部で電気的に接触し、
前記第8診断信号伝搬配線と前記第9端子とは第9接触部で電気的に接触し、
前記第9診断信号伝搬配線と前記第10端子とは第10接触部で電気的に接触し、
前記第2駆動信号伝搬配線と前記第11端子とは第11接触部で電気的に接触し、
前記第11接触部と前記診断回路との間の最短距離は、前記第7接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第8接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第9接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長く、且つ前記第10接触部と前記診断回路との間の最短距離よりも長くてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】液体吐出装置の概略構成を示す図である。
図2】液体吐出装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図3】駆動信号COMの波形の一例を示す図である。
図4】駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。
図5】駆動信号選択回路の構成を示す図である。
図6】デコーダーにおけるデコード内容を示す図である。
図7】吐出部の1個分に対応する選択回路の構成を示す図である。
図8】駆動信号選択回路の動作を説明するための図である。
図9】温度異常検出回路の構成を示す図である。
図10】液体吐出装置をY方向から見た場合における内部構成を概略的に示す図である。
図11】ケーブルの構成を示す図である。
図12】プリントヘッドの構成を示す斜視図である。
図13】インク吐出面の構成を示す平面図である。
図14】ヘッドに含まれる複数の吐出部の内の1つの概略構成を示す図である。
図15】基板を面322から見た場合の平面図である。
図16】基板を面321から見た場合の平面図である。
図17】コネクター350,360の構成を示す図である。
図18】コネクター350,360の他の構成を示す図である。
図19】ケーブルがコネクターに取り付けられた場合の具体例を説明するための図である。
図20】ケーブル19aで伝搬される信号の詳細を説明するための図である。
図21】ケーブル19bで伝搬される信号の詳細を説明するための図である。
図22】基板の面321に形成された配線パターンの一例を示す図である。
図23】第2実施形態における液体吐出装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図24】第2実施形態における液体吐出装置をY方向から見た場合における内部構成を概略的に示す図である
図25】第2実施形態におけるプリントヘッドの構成を示す斜視図である。
図26】第2実施形態におけるヘッドのインク吐出面を示す平面図である。
図27】第2実施形態における基板を面322から見た場合の平面図である。
図28】第2実施形態における基板を面321から見た場合の平面図である。
図29】コネクター370,380の構成を示す図である。
図30】第2実施形態のケーブル19aで伝搬される信号の詳細を説明するための図である。
図31】第2実施形態のケーブル19bで伝搬される信号の詳細を説明するための図である。
図32】第2実施形態のケーブル19cで伝搬される信号の詳細を説明するための図である。
図33】第2実施形態のケーブル19dで伝搬される信号の詳細を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0042】
1 第1実施形態
1.1 液体吐出装置の概要
図1は、液体吐出装置1の概略構成を示す図である。液体吐出装置1は、液体の一例としてのインクを吐出するプリントヘッド21が搭載されたキャリッジ20が往復動し、搬送される媒体Pに対してインクを吐出することで、媒体Pに対して画像を形成するシリアル印刷方式のインクジェットプリンターである。以下の説明では、キャリッジ20が移動する方向をX方向、媒体Pが搬送される方向をY方向、インクが吐出される方向をZ方向として説明する。なお、X方向、Y方向及びZ方向は互いに直交する方向として説明を行う。また、媒体Pとしては、印刷用紙、樹脂フィルム、布帛等の任意の印刷対象を用いることができる。
【0043】
液体吐出装置1は、液体容器2、制御機構10、キャリッジ20、移動機構30及び搬送機構40を備える。
【0044】
液体容器2には、媒体Pに吐出される複数種類のインクが貯留されている。液体容器2に貯留されるインクの色彩としては、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グレー等が挙げられる。このようなインクが貯留される液体容器2としては、インクカートリッジや、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、インクの補充が可能なインクタンク等が用いられる。
【0045】
制御機構10は、例えばCPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリ等の記憶回路とを含み、液体吐出装置
1の各要素を制御する。
【0046】
キャリッジ20には、プリントヘッド21が搭載されている。また、キャリッジ20は、移動機構30に含まれる無端ベルト32に固定される。なお、液体容器2も、キャリッジ20に搭載されていてもよい。
【0047】
プリントヘッド21には、制御機構10が出力する、プリントヘッド21を制御するための制御信号Ctrl-H及びプリントヘッド21を駆動するための1又は複数の駆動信号COMが入力される。そして、プリントヘッド21は、制御信号Ctrl-H及び駆動信号COMに基づいて、液体容器2から供給されるインクを吐出する。
【0048】
移動機構30は、キャリッジモーター31及び無端ベルト32を含む。キャリッジモーター31は、制御機構10から入力される制御信号Ctrl-Cに基づいて動作する。無端ベルト32は、キャリッジモーター31の動作に従って回転する。これにより、無端ベルト32に固定されたキャリッジ20がX方向に往復動する。
【0049】
搬送機構40は、搬送モーター41及び搬送ローラー42を含む。搬送モーター41は、制御機構10から入力される制御信号Ctrl-Tに基づいて動作する。搬送ローラー42は、搬送モーター41の動作に従って回転する。この搬送ローラー42の回転に伴って媒体PがY方向に搬送される。
【0050】
以上のように液体吐出装置1は、搬送機構40による媒体Pの搬送と移動機構30によるキャリッジ20の往復動とに連動して、キャリッジ20に搭載されたプリントヘッド21からインクを吐出することで、媒体Pの表面の任意の位置にインクを着弾させ、媒体Pに所望の画像を形成する。
【0051】
1.2 液体吐出装置の電気構成
図2は、液体吐出装置1の電気的な構成を示すブロック図である。液体吐出装置1は、制御機構10、プリントヘッド21、キャリッジモーター31、搬送モーター41及びリニアエンコーダー90を備える。
【0052】
制御機構10は、駆動信号出力回路50、制御回路100及び電源回路110を含む。制御回路100は、例えば、マイクロコントローラー等のプロセッサーを含む。そして、制御回路100は、ホストコンピューターから入力される画像データ等の各種信号に基づいて、液体吐出装置1を制御するためのデータや各種信号を生成し出力する。
【0053】
具体的には、制御回路100は、リニアエンコーダー90から入力される検出信号に基づいて、プリントヘッド21の走査位置を把握する。そして、制御回路100は、プリントヘッド21の走査位置に応じた各種信号を生成し出力する。詳細には、制御回路100は、プリントヘッド21の往復動を制御する為の制御信号Ctrl-Cを生成し、キャリッジモーター31に出力する。また、制御回路100は、媒体Pの搬送を制御する為の制御信号Ctrl-Tを生成し、搬送モーター41に出力する。なお、制御信号Ctrl-Cは、不図示のキャリッジモータードライバーを介して信号変換されたのち、キャリッジモーター31に入力されてもよく、同様に、制御信号Ctrl-Tは、不図示の搬送モータードライバーを介して信号変換されたのち、搬送モーター41に入力されてもよい。
【0054】
また、制御回路100は、ホストコンピューターから入力される画像データ等の各種信号とプリントヘッド21の走査位置とに基づいて、プリントヘッド21を制御するための制御信号Ctrl-Hとして、印刷データ信号SI1~SIn、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT及びクロック信号SCKを生成し、プリントヘッド21に出力する。
【0055】
また、制御回路100は、プリントヘッド21が液体の正常な吐出が可能か否かを診断するための診断信号DIG-A~DIG-Dを生成し、プリントヘッド21に出力する。ここで、詳細は後述するが、第1実施形態における液体吐出装置1では、診断信号DIG-A~DIG-Dのそれぞれとラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH及び印刷データ信号SI1のそれぞれとは、共通の配線でプリントヘッド21に伝搬される。具体的には、診断信号DIG-Aとラッチ信号LATとが共通の配線で伝搬され、診断信号DIG-Bとクロック信号SCKとが共通の配線で伝搬され、診断信号DIG-Cとチェンジ信号CHとが共通の配線で伝搬され、診断信号DIG-Dと印刷データ信号SI1とが共通の配線で伝搬される。ここで、診断信号DIG-A~DIG-Dを生成し出力する制御回路100が診断信号出力回路の一例である。
【0056】
また、制御回路100は、駆動信号出力回路50にデジタル信号である駆動制御信号dAを出力する。
【0057】
駆動信号出力回路50は、駆動回路50aを含む。駆動制御信号dAは、駆動回路50aに入力される。駆動回路50aは、駆動制御信号dAをデジタル/アナログ信号変換したのち、変換されたアナログ信号をD級増幅して駆動信号COMを生成する。すなわち、駆動制御信号dAは、駆動信号COMの波形を規定するデジタル信号であり、駆動回路50aは、駆動制御信号dAで規定された波形をD級増幅することで駆動信号COMを生成する。そして、駆動信号出力回路50は、駆動回路50aが生成した駆動信号COMを出力する。したがって、駆動制御信号dAは、駆動信号COMの波形を規定することができる信号であればよく、例えば、駆動制御信号dAはアナログ信号であってもよい。なお、駆動回路50aは、駆動制御信号dAで規定される波形を増幅できればよく、例えば、A級増幅回路、B級増幅回路又はAB級増幅回路等で構成されてもよい。
【0058】
また、駆動信号出力回路50は、駆動信号COMの基準電位を示す基準電圧信号CGNDを生成し出力する。基準電圧信号CGNDは、例えば、電圧値が0Vのグラウンド電位の信号であってもよく、電圧値が6V等の直流電圧の信号であってもよい。
【0059】
駆動信号COM及び基準電圧信号CGNDは、制御機構10において分岐された後、プリントヘッド21に出力される。具体的には、駆動信号COMは、制御機構10において後述するn個の駆動信号選択回路200のそれぞれに対応するn個の駆動信号COM1~COMnに分岐されたのち、プリントヘッド21に出力される。同様に、基準電圧信号CGNDは、制御機構10においてn個の基準電圧信号CGND1~CGNDnに分岐されたのち、プリントヘッド21に出力される。この駆動信号COM1~COMnを含む駆動信号COMが駆動信号の一例である。
【0060】
電源回路110は、電圧VHV,VDD1,VDD2及びグラウンド信号GNDを生成して出力する。電圧VHVは、電圧値が例えば42Vの直流電圧の信号である。また、電圧VDD1,VDD2は、電圧値が例えば3.3Vの直流電圧の信号である。また、グラウンド信号GNDは、電圧VHV,VDD1,VDD2の基準電位を示す信号であって、例えば、電圧値が0Vのグラウンド電位の信号である。電圧VHVは、駆動信号出力回路50における増幅用の電圧等に用いられる。また、電圧VDD1,VDD2のそれぞれは、制御機構10における各種構成の電源電圧や制御電圧等に用いられる。電圧VHV,VDD1,VDD2及びグラウンド信号GNDは、プリントヘッド21にも出力される。なお、電圧VHV,VDD1,VDD2及びグラウンド信号GNDの電圧値は、上述した42V、3.3V及び0Vに限られるものではない。また、電源回路110は、電圧VHV,VDD1,VDD2及びグラウンド信号GND以外の複数の電圧値の信号を生成しても良い。
【0061】
プリントヘッド21は、駆動信号選択回路200-1~200-nと、温度検出回路210と、診断回路240と、温度異常検出回路250-1~250-nと、複数の吐出部600とを含む。
【0062】
診断回路240には、共通の配線で伝搬される診断信号DIG-Aとラッチ信号LAT、診断信号DIG-Bとクロック信号SCK、診断信号DIG-Cとチェンジ信号CH及び診断信号DIG-Dと印刷データ信号SI1が入力される。そして、診断回路240は、診断信号DIG-A~DIG-Dに基づいてインクの正常な吐出が可能か否かを診断する。
【0063】
例えば、診断回路240は、入力される診断信号DIG-A~DIG-Dのうちのいずれかの信号、又は全ての信号の電圧値が正常であるか否かを検出し、当該検出結果に基づいて、プリントヘッド21と制御機構10とが正常に接続されているか否かを診断してもよい。また、診断回路240は、入力される診断信号DIG-A~DIG-Dのうちのいずれかの信号、又は全ての信号の論理レベルの組合せに応じて、プリントヘッド21に含まれる駆動信号選択回路200-1~200-n及び圧電素子60等の任意の構成を動作させ、当該動作に起因する電圧値が正常であるか否かを検出し、当該検出結果に基づいて、プリントヘッド21が正常に動作可能か否かを診断してもよい。すなわち、プリントヘッド21は、診断回路240の診断結果に基づいて、インクの正常な吐出が可能か否かの自己診断を行う。
【0064】
診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、診断回路240は、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK及びチェンジ信号CHを、ラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK及びチェンジ信号cCHとして出力する。ここで、診断信号DIG-D及び印刷データ信号SI1は、プリントヘッド21において分岐されたのち、分岐された一方が診断回路240に入力され、他方が駆動信号選択回路200-1に入力される。印刷データ信号SI1は、転送レートの高い信号であり、印刷データ信号SI1の波形に歪みが生じた場合、プリントヘッド21に誤動作が生じるおそれがある。印刷データ信号SI1をプリントヘッド21において分岐した後、その一方のみを診断回路240に入力することで、駆動信号選択回路200-1に入力される印刷データ信号SI1の波形に歪が生じる可能性を低減することができる。
【0065】
なお、診断回路240が出力するチェンジ信号cCH、ラッチ信号cLAT及びクロック信号cSCKは、診断回路240に入力されるチェンジ信号CH、ラッチ信号LAT及びクロック信号SCKと同じ波形の信号であってもよい。また、チェンジ信号cCH、ラッチ信号cLAT及びクロック信号cSCKは、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT及びクロック信号SCKを補正した波形の信号であってもよい。本実施形態では、チェンジ信号cCH、ラッチ信号cLAT及びクロック信号cSCKは、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT及びクロック信号SCKと同じ波形の信号であるとして説明を行う。
【0066】
また、診断回路240は、診断回路240における診断結果を示す診断信号DIG-Eを生成し、制御回路100に出力する。ここで、第1実施形態における診断回路240は、例えば、1又は複数の集積回路(IC:Integrated Circuit)装置として構成されている。
【0067】
駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれには、電圧VHV,VDD1、駆動信号COM1~COMn、印刷データ信号SI1~SIn、クロック信号cSCK、ラッチ信号cLAT及びチェンジ信号cCHが入力される。電圧VHV,VDD1は、駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれの電源電圧及び制御電圧として用いられ
る。そして、駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれは、印刷データ信号SI1~SIn、クロック信号cSCK、ラッチ信号cLAT及びチェンジ信号cCHに基づいて、駆動信号COM1~COMnを選択又は非選択とすることで、駆動信号VOUT1~VOUTnを生成する。
【0068】
駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれが生成した駆動信号VOUT1~VOUTnは、対応する吐出部600に含まれる駆動素子の一例である圧電素子60に供給される。圧電素子60は、駆動信号VOUT1~VOUTnが供給されることで変位する。そして、当該変位に応じた量のインクが吐出部600から吐出される。
【0069】
具体的には、駆動信号選択回路200-1には、駆動信号COM1、印刷データ信号SI1、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH及びクロック信号cSCKが入力される。そして、駆動信号選択回路200-1は、印刷データ信号SI1、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH及びクロック信号cSCKに基づいて駆動信号COM1の波形を選択又は非選択することで、駆動信号VOUT1を生成する。駆動信号VOUT1は、対応して設けられる吐出部600の圧電素子60の一端に供給される。また、当該圧電素子60の他端には、基準電圧信号CGND1が供給されている。そして、圧電素子60は、駆動信号VOUT1と基準電圧信号CGND1との電位差により変位する。
【0070】
同様に、駆動信号選択回路200-i(iは1~nのいずれか)には、駆動信号COMi、印刷データ信号SIi、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH及びクロック信号cSCKが入力される。そして、駆動信号選択回路200-iは、印刷データ信号SIi、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH及びクロック信号cSCKに基づいて駆動信号COMiの波形を選択又は非選択することで、駆動信号VOUTiを生成する。駆動信号VOUTiは、対応して設けられる吐出部600の圧電素子60の一端に供給される。また、当該圧電素子60の他端には、基準電圧信号CGNDiが供給されている。そして、圧電素子60は、駆動信号VOUTiと基準電圧信号CGNDiとの電位差により変位する。
【0071】
ここで、駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれは同様の回路構成を有する。その為、以下の説明において駆動信号選択回路200-1~200-nを区別する必要がない場合、駆動信号選択回路200と称する。この場合において、駆動信号選択回路200に入力される駆動信号COM1~COMnを駆動信号COMと称し、印刷データ信号SI1~SInを印刷データ信号SIと称し、駆動信号選択回路200から出力される駆動信号VOUT1~VOUTnを駆動信号VOUTと称する。なお、駆動信号選択回路200の動作の詳細については後述する。ここで、駆動信号選択回路200-1~200-iのそれぞれは、例えば、集積回路装置として構成されている。
【0072】
温度異常検出回路250-1~250-nは、駆動信号選択回路200-1~200-nのそれぞれに対応して設けられる。そして、温度異常検出回路250-1~250-nは、対応する駆動信号選択回路200-1~200-nの温度異常の有無を診断する。具体的には、温度異常検出回路250-1~250-nは、電圧VDD2を電源電圧として動作する。そして、温度異常検出回路250-1~250-nのそれぞれは、対応する駆動信号選択回路200-1~200-nの温度を検出し、当該温度が正常であると診断した場合、ハイレベル(Hレベル)の異常信号XHOTを生成し、制御回路100に出力する。一方、温度異常検出回路250-1~250-nのそれぞれは、対応する駆動信号選択回路200-1~200-nの温度が異常であると診断した場合、ローレベル(Lレベル)の異常信号XHOTを生成し、制御回路100に出力する。
【0073】
ここで、温度異常検出回路250-1~250-nのそれぞれは同様の回路構成を有す
る。その為、以下の説明において温度異常検出回路250-1~250-nを区別する必要がない場合、温度異常検出回路250と称する。ここで、詳細は後述するが、診断信号DIG-Eと異常信号XHOTとは、共通の配線で伝搬される。なお、温度異常検出回路250の詳細については後述する。また、温度異常検出回路250-1~250-iのそれぞれは、例えば、集積回路装置として構成されている。また、温度異常検出回路250-iと駆動信号選択回路200-iとが1つの集積回路装置として構成されていてもよい。
【0074】
温度検出回路210はサーミスター等の温度検出素子を含む。そして、温度検出回路210は、温度検出素子が検出した検出信号に基づいて、プリントヘッド21の温度情報を含むアナログ信号の温度信号THを生成し、制御回路100に出力する。
【0075】
1.3 駆動信号の波形の一例
ここで、駆動信号出力回路50で生成される駆動信号COMの波形の一例、及び圧電素子60に供給される駆動信号VOUTの波形の一例について図3及び図4を用いて説明する。
【0076】
図3は、駆動信号COMの波形の一例を示す図である。図3に示すように、駆動信号COMは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T1の後、次にチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2と、期間T2の後、次にラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T3に配置された台形波形Adp3とを連続させた波形である。そして、台形波形Adp1が、圧電素子60の一端に供給された場合、当該圧電素子60に対応する吐出部600から、中程度の量のインクが吐出される。また、台形波形Adp2が、圧電素子60の一端に供給された場合、当該圧電素子60に対応する吐出部600から、中程度の量よりも少ない小程度の量のインクが吐出される。また、台形波形Adp3が圧電素子60の一端に供給された場合、当該圧電素子60に対応する吐出部600からインクは吐出されない。この台形波形Adp3は、吐出部600のノズル開孔部付近のインクを微振動させて、インク粘度の増大を防止するための波形である。
【0077】
ここで、図3に示すラッチ信号LATが立ち上がってから、次にラッチ信号LATが立ち上がるまでの周期Taが、媒体Pに新たなドットを形成する印刷周期に相当する。すなわち、ラッチ信号LAT及びラッチ信号cLATは、プリントヘッド21からのインクの吐出タイミングを規定する信号であり、チェンジ信号CH及びチェンジ信号cCHは、駆動信号COMに含まれる台形波形Adp1,Adp2,Adp3の波形切替タイミングを規定する信号である。
【0078】
また、台形波形Adp1,Adp2,Adp3のそれぞれの開始タイミング及び終了タイミングでの電圧は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1,Adp2,Adp3のそれぞれは、電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する波形となっている。なお、駆動信号COMは、周期Taにおいて、1つ又は2つの台形波形が連続した波形の信号であってもよく、また、4つ以上の台形波形が連続した波形の信号であってもよい。
【0079】
図4は、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のそれぞれに対応する駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。
【0080】
図4に示すように、「大ドット」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Adp2と、期間T3に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた波形となっている。この駆動
信号VOUTが圧電素子60の一端に供給された場合、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応した吐出部600から、中程度の量のインクと小程度の量のインクとが吐出される。よって、媒体Pには、それぞれのインクが着弾し合体することで大ドットが形成される。
【0081】
「中ドット」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2,T3に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給された場合、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応した吐出部600から、中程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Pには、このインクが着弾して中ドットが形成される。
【0082】
「小ドット」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1,T3に配置された電圧Vcで一定の波形と、期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給された場合、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応した吐出部600から、小程度の量のインクが吐出される。よって、媒体Pには、このインクが着弾して小ドットが形成される。
【0083】
「非記録」に対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1,T2に配置された電圧Vcで一定の波形と、期間T3に配置された台形波形Adp3とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTが圧電素子60の一端に供給された場合、周期Taにおいて、当該圧電素子60に対応した吐出部600のノズル開孔部付近のインクが微振動するのみで、インクは吐出されない。よって、媒体Pには、インクが着弾せずドットが形成されない。
【0084】
ここで、電圧Vcで一定の波形とは、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Adp3のいずれも選択されていない場合において、直前の電圧Vcが圧電素子60の容量成分により保持された電圧からなる波形である。その為、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Adp3のいずれも選択されていない場合、電圧Vcが駆動信号VOUTとして圧電素子60に供給される。
【0085】
なお、図3及び図4に示した駆動信号COM及び駆動信号VOUTはあくまでも一例であり、プリントヘッド21が搭載されるキャリッジ20の移動速度、プリントヘッド21に供給されるインクの物性、及び媒体Pの材質等に応じて、様々な波形の組み合わせの信号が用いられてもよい。
【0086】
1.4 駆動信号選択回路の構成
次に、駆動信号選択回路200の構成及び動作について図5図8を用いて説明する。図5は、駆動信号選択回路200の構成を示す図である。図5に示すように、駆動信号選択回路200は、選択制御回路220及び複数の選択回路230を含む。
【0087】
選択制御回路220には、印刷データ信号SI、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH及びクロック信号cSCKが入力される。また、選択制御回路220には、シフトレジスター(S/R)222とラッチ回路224とデコーダー226との組が、複数の吐出部600の各々に対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200は、対応する吐出部600の総数mと同数のシフトレジスター222とラッチ回路224とデコーダー226との組を含む。ここで、印刷データ信号SIは、駆動信号COMの波形選択を規定する信号であり、クロック信号SCK及びクロック信号cSCKは、印刷データ信号SIが入力されるタイミングを規定するためのクロック信号である。
【0088】
具体的には、印刷データ信号SIは、クロック信号cSCKに同期した信号であって、
m個の吐出部600の各々に対して、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」及び「非記録」のいずれかを選択するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を含む、合計2mビットの信号である。印刷データ信号SIは、吐出部600に対応して、印刷データ信号SIに含まれる2ビット分の印刷データ[SIH,SIL]毎に、シフトレジスター222に保持される。具体的には、吐出部600に対応したm段のシフトレジスター222が互いに縦続接続されるとともに、シリアルで入力された印刷データ信号SIが、クロック信号cSCKに従って順次後段に転送される。なお、図5では、シフトレジスター222を区別するために、印刷データ信号SIが入力される上流側から順番に1段、2段、…、m段と表記している。
【0089】
m個のラッチ回路224の各々は、m個のシフトレジスター222の各々で保持された2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号cLATの立ち上がりでラッチする。
【0090】
m個のデコーダー226の各々は、m個のラッチ回路224の各々によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をデコードする。そして、デコーダー226は、ラッチ信号cLATとチェンジ信号cCHとで規定される期間T1,T2,T3毎に選択信号Sを出力する。
【0091】
図6は、デコーダー226におけるデコード内容を示す図である。デコーダー226は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]に従い選択信号Sを出力する。例えば、デコーダー226は、2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号Sの論理レベルを、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいてH,H,Lレベルとして出力する。
【0092】
選択回路230は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200が有する選択回路230の数は、対応する吐出部600の総数mと同じである。図7は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成を示す図である。図7に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232及びトランスファーゲート234を有する。
【0093】
選択信号Sは、トランスファーゲート234において丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232によって論理反転されて、トランスファーゲート234において丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234の入力端には、駆動信号COMが供給される。具体的には、トランスファーゲート234は、選択信号SがHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通(オン)とし、選択信号SがLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通(オフ)とする。そして、トランスファーゲート234の出力端から駆動信号VOUTが出力される。
【0094】
ここで、図8を用いて、駆動信号選択回路200の動作について説明する。図8は、駆動信号選択回路200の動作を説明するための図である。印刷データ信号SIは、クロック信号cSCKに同期してシリアルで入力されて、吐出部600に対応するシフトレジスター222において順次転送される。そして、クロック信号cSCKの入力が停止すると、各シフトレジスター222には、吐出部600の各々に対応した2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIは、シフトレジスター222のm段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順に入力される。
【0095】
そして、ラッチ信号cLATが立ち上がると、ラッチ回路224のそれぞれは、シフトレジスター222に保持されている2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。なお、図8において、LT1、LT2、…、LTmは、1段、2段、…、m段
のシフトレジスター222に対応するラッチ回路224によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を示す。
【0096】
デコーダー226は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2,T3のそれぞれにおいて、選択信号Sの論理レベルを図6に示す内容で出力する。
【0097】
具体的には、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択信号Sを期間T1,T2,T3においてH,H,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2を選択し、期間T3において台形波形Adp3を選択しない。その結果、図4に示した「大ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0098】
また、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号Sを期間T1,T2,T3においてH,L,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2を選択せず、期間T3において台形波形Adp3を選択しない。その結果、図4に示した「中ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0099】
また、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択信号Sを期間T1,T2,T3においてL,H,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択せず、期間T2において台形波形Adp2を選択し、期間T3において台形波形Adp3を選択しない。その結果、図4に示した「小ドット」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0100】
また、デコーダー226は、印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択信号Sを期間T1,T2,T3においてL,L,Hレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択せず、期間T2において台形波形Adp2を選択せず、期間T3において台形波形Adp3を選択する。その結果、図4に示した「非記録」に対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0101】
以上のように、駆動信号選択回路200は、印刷データ信号SI、ラッチ信号cLAT、チェンジ信号cCH及びクロック信号cSCKに基づいて、駆動信号COMの波形を選択し、駆動信号VOUTを出力する。換言すれば、駆動信号選択回路200は、駆動信号COMの圧電素子60への供給を制御する。
【0102】
1.5 温度異常検出回路の構成
次に、温度異常検出回路250について図9を用いて説明する。図9は、温度異常検出回路250の構成を示す図である。図9に示すように、温度異常検出回路250は、コンパレーター251、基準電圧生成回路252、トランジスター253、複数のダイオード254及び抵抗255,256を含む。なお、前述のとおり、温度異常検出回路250-1~250-nはいずれも同じ構成を有する。そのため、図9では、温度異常検出回路250-2~250-nの詳細な構成についての図示を省略する。
【0103】
基準電圧生成回路252には、電圧VDD2が入力される。基準電圧生成回路252は、電圧VDD2を変圧することで電圧Vrefを生成し、コンパレーター251の+側入力端子に供給する。基準電圧生成回路252は、例えば電圧レギュレーター回路などで構成される。
【0104】
複数のダイオード254は、互いに直列に接続されている。そして、直列に接続された
複数のダイオード254のうち、最も高電位側に位置するダイオード254のアノード端子には抵抗255を介して電圧VDD2が供給され、最も低電位側に位置するダイオード254のカソード端子にはグラウンド信号GNDが供給される。具体的には、温度異常検出回路250は、複数のダイオード254として、ダイオード254-1,254-2,254-3,254-4を有する。ダイオード254-1のアノード端子には、抵抗255を介して電圧VDD2が供給されると共に、コンパレーター251の-側入力端子と接続される。ダイオード254-1のカソード端子は、ダイオード254-2のアノード端子と接続される。ダイオード254-2のカソード端子は、ダイオード254-3のアノード端子と接続される。ダイオード254-3のカソード端子は、ダイオード254-4のアノード端子と接続される。ダイオード254-4のカソード端子には、グラウンド信号GNDが供給される。以上のように構成された抵抗255及び複数のダイオード254によって、コンパレーター251の-側入力端子には、複数のダイオード254のそれぞれの順方向電圧の和である電圧Vdetが供給される。なお、温度異常検出回路250が有する複数のダイオード254の数は4つに限られるものではない。
【0105】
コンパレーター251は、電圧VDD2とグラウンド信号GNDとの電位差により動作する。そして、コンパレーター251は、+側入力端子に供給される電圧Vrefと-側入力端子に供給される電圧Vdetとを比較し、当該比較結果に基づく信号を出力端子から出力する。
【0106】
トランジスター253のドレイン端子には抵抗256を介して電圧VDD2が供給される。また、トランジスター253のゲート端子はコンパレーター251の出力端子と接続され、ソース端子にはグラウンド信号GNDが供給される。以上のように接続されたトランジスター253のドレイン端子に供給される電圧が、異常信号XHOTとして温度異常検出回路250から出力される。
【0107】
基準電圧生成回路252が生成する電圧Vrefの電圧値は、複数のダイオード254の温度が所定の範囲内である場合の電圧Vdetよりも小さい。この場合において、コンパレーター251は、Lレベルの信号を出力する。したがって、トランジスター253はオフに制御され、その結果、温度異常検出回路250は、Hレベルの異常信号XHOTを出力する。
【0108】
ダイオード254の順方向電圧は、温度が上昇すると低下する特性を有する。したがって、プリントヘッド21に温度異常が生じた場合、ダイオード254の温度が上昇し、それに伴って電圧Vdetが低下する。そして、当該温度上昇に起因して電圧Vdetが電圧Vrefを下回った場合に、コンパレーター251の出力信号は、LレベルからHレベルとなる。したがって、トランジスター253はオンに制御される。その結果、温度異常検出回路250は、Lレベルの異常信号XHOTを出力する。すなわち、温度異常検出回路250は、駆動信号選択回路200の温度に基づいてトランジスター253がオン又はオフに制御されることで、Hレベルの異常信号XHOTとして当該トランジスター253のプルアップ電圧として供給される電圧VDD2を出力し、Lレベルの異常信号XHOTとしてグラウンド信号GNDを出力する。
【0109】
また、図9に示すようにn個の温度異常検出回路250-1~250-nの出力は、共通に接続されている。そして、温度異常検出回路250-1~250-nのいずれかで温度異常が生じた場合、温度異常が生じた温度異常検出回路250に対応するトランジスター253がオンに制御される。その結果、異常信号XHOTが出力されるノードには、当該トランジスター253を介してグラウンド信号GNDが供給される。したがって、温度異常検出回路250-1~250-nが出力する異常信号XHOTがLレベルに制御される。すなわち、温度異常検出回路250-1~250-nは、ワイヤードオア接続されて
いる。これにより、プリントヘッド21に複数の温度異常検出回路250が設けられた場合であっても、異常信号XHOTを伝搬するための配線数を増加させることなく、プリントヘッド21の温度異常の有無を示す異常信号XHOTを伝搬することができる。
【0110】
1.6 プリントヘッド及びプリントヘッド制御回路の構成
次に制御機構10とプリントヘッド21との電気的接続の詳細について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態のプリントヘッド21は、6個の駆動信号選択回路200-1~200-6を備えるとして説明を行う。すなわち、第1実施形態におけるプリントヘッド21には、6個の駆動信号選択回路200-1~200-6のそれぞれに対応する6個の印刷データ信号SI1~SI6と、6個の駆動信号COM1~COM6と、6個の基準電圧信号CGND1~CGND6とが入力される。
【0111】
図10は、液体吐出装置1をY方向から見た場合における内部構成を概略的に示す図である。図10に示すように液体吐出装置1は、メイン基板11、ケーブル19a,19b及びプリントヘッド21を有する。
【0112】
メイン基板11には、図1及び図2に示す制御機構10に含まれる駆動信号出力回路50、制御回路100及び電源回路110を含む各種回路が実装されている。また、メイン基板11には、ケーブル19aの一端が取付けられるコネクター12a、及びケーブル19bの一端が取付けられる12bが実装されている。なお、図10には、メイン基板11として1個の回路基板を図示しているが、メイン基板11は2個以上の回路基板で構成されていても良い。
【0113】
プリントヘッド21は、ヘッド310、基板320及びコネクター350,360を有する。コネクター350にはケーブル19aの他端が取付けられ、コネクター360にはケーブル19bの他端が取付けられる。これにより、制御機構10で生成された各種信号が、ケーブル19a,19bを介してプリントヘッド21に入力される。なお、プリントヘッド21の構成の詳細、及びケーブル19a,19bで伝搬される信号の詳細については後述する。
【0114】
以上のように構成された液体吐出装置1は、メイン基板11に実装された制御機構10から出力される駆動信号COM1~COM6、基準電圧信号CGND1~CGND6、印刷データ信号SI1~SI6、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、クロック信号SCK及び診断信号DIG-A~DIG-Dを含む各種信号に基づいてプリントヘッド21の動作を制御する。すなわち、図10に示す液体吐出装置1において、プリントヘッド21の動作を制御するための各種信号を出力する制御機構10と、プリントヘッド21の動作を制御するための各種信号を伝搬するケーブル19a,19bとを含む構成が、自己診断する機能を有するプリントヘッド21の動作を制御するプリントヘッド制御回路15の一例である。なお、第1実施形態におけるケーブル19a,19bは同じ構成であり、特に区別する必要がない場合、ケーブル19と称する。
【0115】
図11は、ケーブル19の構成を示す図である。ケーブル19は、互いに対向する短辺191,192と、互いに対向する長辺193,194とを有する略矩形であり、例えばフレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)である。ケーブル19は、短辺191に沿って並設された複数の端子195と、短辺192に沿って並設された複数の端子196と、複数の端子195と複数の端子196とを電気的に接続する複数の配線197とを有する。
【0116】
具体的には、ケーブル19の短辺191側には、26個の端子195が、長辺193側から長辺194側に向かって端子195-1~195-26の順に並設されている。また
、ケーブル19の短辺192側には、26個の端子196が、長辺193側から長辺194側に向かって端子196-1~196-26の順に並設されている。また、ケーブル19には、端子195のそれぞれと端子196のそれぞれとを電気的に接続する26個の配線197が、長辺193側から長辺194側に向かって配線197-1~197-26の順に並設されている。配線197-1は、端子195-1と端子196-1とを電気的に接続する。同様に、配線197-k(kは1~26のいずれか)は、端子195-kと端子196-kとを電気的に接続する。
【0117】
配線197-1~197-26のそれぞれは、絶縁体198によって、配線の相互間、及び配線とケーブル19の外部との間で絶縁されている。そして、ケーブル19は、端子195-kから入力された信号を、配線197-kで伝搬し、端子196-kから出力する。なお、図11に示すケーブル19の構成は一例であり、これに限られるものではない。例えば、複数の端子195と複数の端子196とが、ケーブル19の異なる面に設けられてもよい。また、ケーブル19に設けられる端子195、端子196及び配線197のそれぞれの数は、26個に限られるものではない。
【0118】
ここで、以下の説明において、ケーブル19aに設けられる端子195-k,196-k及び配線197-kのそれぞれを、端子195a-k,196a-k及び配線197a-kと称する。そして、端子195a-kがコネクター12aと電気的に接続され、端子196a-kがコネクター350と電気的に接続されるとして説明を行う。同様に、ケーブル19bに設けられる端子195-k,196-k及び配線197-kのそれぞれを、端子195b-k,196b-k及び配線197b-kと称する。そして、端子195b-kがコネクター12bと電気的に接続され、端子196b-kがコネクター360と電気的に接続されるとして説明を行う。
【0119】
次に、プリントヘッド21の構成について説明する。図12はプリントヘッド21の構成を示す斜視図である。図12に示すように、プリントヘッド21は、ヘッド310及び基板320を有する。また、ヘッド310のZ方向おける下側の面には、複数の吐出部600が形成されたインク吐出面311が位置する。
【0120】
図13は、インク吐出面311の構成を示す平面図である。図13に示すように、インク吐出面311には、複数の吐出部600に含まれるノズル651を有するノズルプレート632が、X方向に6つ並んで設けられている。また、ノズルプレート632のそれぞれにおいて、ノズル651はY方向に並んで設けられる。すなわち、インク吐出面311には、6個のノズル列L1~L6が形成されている。なお、図13では、各ノズルプレート632に形成されているノズル列L1~L6には、ノズル651がY方向に1列で並んで設けられているが、ノズル651がY方向に2列以上で並んで設けられてもよい。
【0121】
ノズル列L1~L6は、駆動信号選択回路200-1~200-6のそれぞれに対応して設けられる。具体的には、駆動信号選択回路200-1が出力する駆動信号VOUT1は、ノズル列L1に設けられる複数の吐出部600が有する圧電素子60の一端に供給され、当該圧電素子60の他端には基準電圧信号CGND1が供給される。同様に、駆動信号選択回路200-2~200-6が出力する駆動信号VOUT2~VOUT6は、ノズル列L2~L6のそれぞれに設けられる複数の吐出部600が有する圧電素子60の一端に供給され、対応する圧電素子60の他端には基準電圧信号CGND2~CGND6のそれぞれが供給される。
【0122】
次に、ヘッド310に含まれる吐出部600の構成について、図14を用いて説明する。図14は、ヘッド310に含まれる複数の吐出部600の内の1つの概略構成を示す図である。図14に示すように、ヘッド310は、吐出部600及びリザーバー641を含
む。
【0123】
リザーバー641は、ノズル列L1~L6のそれぞれに対応して設けられる。そして、リザーバー641には、インク供給口661からインクが導入される。
【0124】
吐出部600は、圧電素子60、振動板621、キャビティー631及びノズル651を含む。振動板621は、図14において上面に設けられた圧電素子60の変位に伴い変形する。そして、振動板621は、キャビティー631の内部容積を拡大/縮小させるダイヤフラムとして機能する。キャビティー631の内部には、インクが充填されている。そして、キャビティー631は、圧電素子60の変位により、内部容積が変化する圧力室として機能する。ノズル651は、ノズルプレート632に形成されると共に、キャビティー631に連通する開孔部である。そして、キャビティー631の内部容積の変化に応じてキャビティー631の内部に貯留されたインクが、ノズル651から吐出される。
【0125】
圧電素子60は、圧電体601を一対の電極611,612で挟んだ構造である。この構造の圧電体601は、電極611,612に供給された電圧に応じて、電極611,612及び振動板621の中央部分が、両端部分に対して図14における上下方向に撓む。具体的には、電極611には、駆動信号VOUTが供給され、電極612には、基準電圧信号CGNDが供給される。そして、駆動信号VOUTの電圧が高くなると、圧電素子60の中央部分が上方向に撓み、駆動信号VOUTの電圧が低くなると、圧電素子60の中央部分が下方向に撓む。すなわち、圧電素子60が上方向に撓めば、キャビティー631の内部容積が拡大する。したがって、インクがリザーバー641から引き込まれる。また、圧電素子60が下方向に撓めば、キャビティー631の内部容積が縮小する。したがって、キャビティー631の内部容積の縮小の程度に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。以上のように、圧電素子60は、駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTにより駆動し、圧電素子60が駆動することで、ノズル651からインクが吐出される。なお、圧電素子60は、図示した構造に限られず、圧電素子60の変位に伴いインクを吐出させることができる型であればよい。また、圧電素子60は、屈曲振動に限られず、縦振動を用いる構成でもよい。
【0126】
図12に戻り、基板320は、面321と、面321と異なる面322とを有する。ここで、面321と面322とは基板320の基材を介して対向して位置する面であり、換言すれば、面321と面322とは、基板320の表裏の面である。また基板320は、辺323と、辺323に対してX方向で対向する辺324と、辺325と、辺325に対してY方向に対向する辺326とで形成される略矩形状である。換言すれば、基板320は、辺323と、辺323と異なる辺324と、辺323及び辺324と交差する辺325と、辺323及び辺324と交差し辺325と異なる辺326を有する。ここで、辺323及び辺324と交差する辺325及び辺326とは、辺325の仮想延長線が、辺323の仮想延長線、及び辺324の仮想延長線と交差し、辺326の仮想延長線が、辺323の仮想延長線、及び辺324の仮想延長線と交差することを含む。すなわち、基板320の形状は矩形に限られるものではなく、例えば、六角形や八角形等の多角形であってもよく、さらには、一部に切欠きや弧等が形成されていてもよい。
【0127】
ここで、図15及び図16を用いて、基板320の詳細について説明する。図15は基板320を面322から見た場合の平面図である。また、図16は基板320を面321から見た場合の平面図である。図15に示すように、基板320の面322には、電極群330a~330fが設けられている。具体的には、電極群330a~330fのそれぞれは、Y方向に並設された複数の電極を有する。そして、電極群330a~330fは、辺323側から辺324側に向かい、電極群330a,330b,330c,330d,330e,330fの順に並んで設けられる。以上のように設けられた電極群330a~
330fのそれぞれには、不図示のフレキシブル配線基板(FPC:Flexible Printed Circuits)が電気的に接続される。
【0128】
また、図15及び図16に示すように、基板320には、面321と面322とを貫通する貫通孔であるFPC挿通孔332a~332cと、インク供給路挿通孔331a~331fとが形成されている。
【0129】
FPC挿通孔332aは、X方向において電極群330aと電極群330bとの間に位置し、電極群330aと電気的に接続されるFPCと、電極群330bと電気的に接続されるFPCとが挿通される。FPC挿通孔332bは、X方向において電極群330cと電極群330dとの間に位置し、電極群330cと電気的に接続されるFPCと、電極群330dと電気的に接続されるFPCとが挿通される。FPC挿通孔332cは、X方向において電極群330eと電極群330fとの間に位置し、電極群330eと電気的に接続されるFPCと、電極群330fと電気的に接続されるFPCとが挿通される。
【0130】
インク供給路挿通孔331aは、X方向において電極群330aの辺323側に位置する。インク供給路挿通孔331b,331cは、X方向において電極群330bと電極群330cとの間に位置し、インク供給路挿通孔331bが辺325側、インク供給路挿通孔331cが辺326側となるようにY方向に並んで位置する。インク供給路挿通孔331d,331eは、X方向において電極群330dと電極群330eとの間に位置し、インク供給路挿通孔331dが辺325側、インク供給路挿通孔331eが辺326側となるようにY方向に並んで位置する。インク供給路挿通孔331fは、X方向において電極群330fの辺324側に位置する。インク供給路挿通孔331a~331fのそれぞれには、ノズル列L1~L6のそれぞれに対応する吐出部600にインクを導入するためのインク供給口661と連通する不図示のインク供給路の一部が挿通される。
【0131】
また、図15及び図16に示すように、基板320は、プリントヘッド21に含まれる基板320を、図1に示すキャリッジ20に固定するための固定部346~349を有する。固定部346~349のそれぞれは、基板320の面321と面322とを貫通する貫通孔である。そして、固定部346~349を挿通した不図示のねじが、キャリッジ20に取付けられることで、基板320がキャリッジ20に固定される。なお、固定部346~349は、基板320に形成された貫通孔に限られるものではない。例えば、固定部346~349は、嵌め合せることで基板320をキャリッジ20に固定する構成であってもよい。
【0132】
固定部346,347は、X方向においてインク供給路挿通孔331aの辺323側に位置し、固定部346が辺325側、固定部347が辺326側となるように並んで設けられる。また、固定部348,349は、X方向においてインク供給路挿通孔331fの辺324側に位置し、固定部348が辺325側、固定部349が辺326側となるように並んで設けられる。
【0133】
また、図16に示すように、基板320の面321には、図2に示す診断回路240を構成する集積回路241が設けられている。具体的には、集積回路241は、基板320の面321側において、固定部347と固定部349との間であって、且つ電極群330a~電極群330fの辺326側に設けられる。そして、診断回路240を構成する集積回路241が、診断信号DIG-A~DIG-Dに基づいて、ノズル651からインクの正常な吐出が可能か否かを診断する。
【0134】
また、図15及び図16に示すように、基板320には、コネクター350,360が設けられている。コネクター350は、基板320の面321側であって、辺323に沿
って設けられている。コネクター360は、基板320の面322側であって、辺323に沿って設けられている。すなわち、コネクター350と集積回路241とは、基板320の同一面に設けられ、コネクター360と集積回路241とは、基板320の異なる面に設けられている。
【0135】
ここで、図17を用いて、コネクター350,360の構成について説明する。図17は、コネクター350,360の構成を示す図である。図17に示すように、コネクター350は、ハウジング351と、ハウジング351に形成されたケーブル取付部352と、複数の端子353とを有する。複数の端子353は、辺323に沿って並設されている。具体的には、26個の端子353が辺323に沿って並設されている。ここで、26個の端子353を、辺323に沿った方向において辺325側から辺326側に向かって順に、端子353-1,353-2,・・・,353-26と称する。ケーブル取付部352は、Z方向において複数の端子353の基板320側に位置する。ケーブル取付部352には、ケーブル19aが取付けられる。そして、ケーブル取付部352にケーブル19aが取付けられた場合、ケーブル19aに含まれる端子196a-1~196a-26のそれぞれと、コネクター350に含まれる端子353-1~353-26のそれぞれとが電気的に接触する。
【0136】
コネクター360は、ハウジング361と、ハウジング361に形成されたケーブル取付部362と、複数の端子363とを有する。複数の端子363は、辺323に沿って並設されている。具体的には、26個の端子363が辺323に沿って並設されている。ここで、26個の端子363を、辺323に沿った方向において辺325側から辺326側に向かって順に、端子363-1,363-2,・・・,363-26と称する。ケーブル取付部362は、Z方向において複数の端子363の基板320側に位置する。ケーブル取付部362には、ケーブル19bが取付けられる。そして、ケーブル取付部352にケーブル19bが取付けられた場合、ケーブル19bに含まれる端子196b-1~196b-26のそれぞれと、コネクター360に含まれる端子363-1~363-26のそれぞれとが電気的に接触する。
【0137】
ここで、図17に示すコネクター350では、ケーブル取付部352がZ方向において基板320側に位置し、複数の端子353がZ方向においてインク吐出面311側に位置しているが、図18に示すコネクター350のように、複数の端子353がZ方向において基板320側に位置し、ケーブル取付部352がZ方向においてインク吐出面311側に位置することが好ましい。
【0138】
図18は、コネクター350,360の他の構成を示す図である。液体吐出装置1において、ノズル651から吐出されたインクの多くは、媒体Pに着弾し画像を形成する。しかしながら、ノズル651から吐出されたインクの一部が、媒体Pに着弾する前にミスト化し液体吐出装置1の内部に浮遊する場合がある。さらに、ノズル651から吐出されたインクが媒体Pに着弾した後であっても、プリントヘッド21が搭載されたキャリッジ20の移動や、媒体Pの搬送に伴って生じる気流により、媒体Pに着弾したインクが、液体吐出装置1の内部に再浮遊する場合がある。そして、液体吐出装置1の内部に浮遊するインクがコネクター350に含まれた複数の端子353やプリントヘッド21に信号を伝搬するケーブル19に含まれる端子196aに付着した場合、当該端子間が短絡するおそれがある。その結果、プリントヘッド21に入力される各種信号の波形に歪みが生じ、プリントヘッド21から吐出されるインクの吐出精度を悪化させるおそれがある。
【0139】
図18に示すコネクター350ように、複数の端子353がZ方向において基板320側に位置し、ケーブル取付部352がZ方向においてインク吐出面311側に位置することで、コネクター350にケーブル19aが取付けられた場合において、端子353及び
端子196aが、当該浮遊するインクが付着する可能性の高いインク吐出面311側に露出する可能性が低減される。そのため、液体吐出装置1の内部に浮遊するインクに起因して、コネクター350に含まれる複数の端子353間や、ケーブル19aに含まれる端子196a間で短絡が生じるおそれを低減することが可能となる。したがって、ケーブル19で伝搬される信号に歪みが生じるおそれを低減することが可能となる。
【0140】
ここで、ケーブル19a、19bとコネクター350,360との電気接続の具体例について図19を用いて説明する。なお、図19の説明において、ケーブル19a,19bは同様の構成であるため、単にケーブル19として説明する。また、コネクター350,360は同様の構成であるため、コネクター350を用いて説明を行い、コネクター360の説明については省略する。
【0141】
図19は、ケーブル19がコネクター350に取り付けられた場合の具体例を説明するための図である。図19に示すように、コネクター350の端子353は、基板取付部353a、ハウジング挿通部353b、及びケーブル保持部353cを有する。基板取付部353aは、コネクター350の下方に位置し、ハウジング351と基板320との間に設けられる。そして、基板取付部353aは、例えば、はんだなどにより基板320に設けられる不図示の電極と電気的に接続される。ハウジング挿通部353bは、ハウジング351の内部を挿通する。そして、ハウジング挿通部353bは、基板取付部353aとケーブル保持部353cとを電気的に接続する。ケーブル保持部353cは、ケーブル取付部352の内部に突出する湾曲形状を有する。そして、ケーブル取付部352にケーブル19が取り付けられた場合、ケーブル保持部353cと端子196とが接触部180を介して電気的に接触する。これにより、ケーブル19とコネクター350、及び基板320とが電気的に接続される。この場合において、ケーブル19が取り付けられることで、ケーブル保持部353cに形成された湾曲形状に応力が生じる。そして当該応力により、ケーブル19は、ケーブル取付部352の内部に保持される。
【0142】
以上のようにケーブル19とコネクター350とは、端子196と端子353とが接触部180を介して接触することで電気的に接続される。なお、図11には、端子196-1~196-26のそれぞれと、コネクター350の端子353とが電気的に接触する接触部180-1~180-26が示されている。ここで、以下の説明において、ケーブル19aに設けられる接触部180-kを、接触部180a-kと称し、ケーブル19bに設けられる接触部180-kを、接触部180b-kと称する。すなわち、ケーブル19aは、端子195a-kがコネクター12aと電気的に接続され、端子196a-kが接触部180a-kを介してコネクター350と電気的に接続されるとして説明を行う。同様に、ケーブル19bは、端子195b-kがコネクター12bと電気的に接続され、端子196b-kが接触部180b-kを介してコネクター360と電気的に接続されるとして説明を行う。
【0143】
以上のように構成されたプリントヘッド21では、制御機構10から出力された駆動信号COM1~COM6、基準電圧信号CGND1~CGND6、印刷データ信号SI1~SI6、ラッチ信号LAT,チェンジ信号CH,クロック信号SCKを含む複数の信号が、コネクター350,360を介してプリントヘッド21に入力される。そして、基板320に設けられる配線パターンで伝搬され電極群330a~330fのそれぞれに入力される。
【0144】
そして、電極群330a~330fのそれぞれに入力された各種信号は、電極群330a~330fのそれぞれと電気的に接続されるFPCを介して、ノズル列L1~L6のそれぞれに対応する駆動信号選択回路200-1~200-6に入力される。そして、駆動信号選択回路200-1~200-6は、入力される信号に基づいて駆動信号VOUT1
~VOUT6を生成し、ノズル列L1~L6のそれぞれに含まれる圧電素子60に供給する。これにより、コネクター350,360に入力される各種信号が、複数の吐出部600に含まれる圧電素子60に供給される。なお、駆動信号選択回路200-1~200-6のそれぞれは、ヘッド310の内部に設けられていてもよく、FPC上にCOF(Chip
On Film)実装されていてもよい。
【0145】
1.7 プリントヘッドとプリントヘッド制御回路との間で伝搬される信号
以上のように構成された液体吐出装置1において、プリントヘッド制御回路15とプリントヘッド21との間で伝搬される信号の詳細について図20及び図21を用いて説明する。
【0146】
図20は、ケーブル19aで伝搬される信号の詳細を説明するための図である。図20に示すように、ケーブル19aは、駆動信号COM1~COM6のそれぞれを伝搬する配線と、基準電圧信号CGND1~CGND6のそれぞれを伝搬する配線と、温度信号TH、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、及び異常信号XHOTのそれぞれを伝搬する配線と、診断信号DIG-A~DIG-Eのそれぞれを伝搬する配線と、電圧VHVを伝搬する配線と、複数のグラウンド信号GNDを伝搬する複数の配線とを含む。そして、ケーブル19aで伝搬された各種信号は接触部180a-1~180a-26のそれぞれを介して、コネクター350の端子353-1~353-26に入力される。
【0147】
具体的には、駆動信号COM1~COM6のそれぞれは、端子195a-11,195a-9,195a-7,195a-5,195a-3,195a-1のそれぞれからケーブル19aに入力される。そして、駆動信号COM1~COM6のそれぞれは、配線197a-11,197a-9,197a-7,197a-5,197a-3,197a-1のそれぞれで伝搬された後、端子196a-11,196a-9,196a-7,196a-5,196a-3,196a-1のそれぞれ、及び接触部180a-11,180a-9,180a-7,180a-5,180a-3,180a-1のそれぞれを介してコネクター350の端子353-11,353-9,353-7,353-5,353-3,353-1のそれぞれに入力される。
【0148】
ここで、駆動信号COM1が入力される端子353-11が第1実施形態における第5端子の一例であり、駆動信号COM1を伝搬する配線197a-11が第1実施形態における第1駆動信号伝搬配線の一例である。そして、端子196a-11と端子533-11とが電気的に接触する接触部180a-11が第5接触部の一例である。また、駆動信号COM2~COM6が入力される端子353-9,353-7,353-5,353-3,353-1のいずれかが第1実施形態における第5端子の他の一例であり、駆動信号COM2~COM6を伝搬する配線197a-9,197a-7,197a-5,197a-3,197a-1のいずれかが第1実施形態における第1駆動信号伝搬配線の他の一例であり、接触部180a-9,180a-7,180a-5,180a-3,180a-1のいずれかが第5接触部の他の一例である。
【0149】
基準電圧信号CGND1~CGND6のそれぞれは、端子195a-12,195a-10,195a-8,195a-6,195a-4,195a-2のそれぞれからケーブル19aに入力され、配線197a-12,197a-10,197a-8,197a-6,197a-4,197a-2のそれぞれで伝搬された後、端子196a-12,196a-10,196a-8,196a-6,196a-4,196a-2のそれぞれ、及び接触部180a-12,180a-10,180a-8,180a-6,180a-4,180a-2のそれぞれを介してコネクター350の端子353-12,353-10,353-8,353-6,353-4,353-2のそれぞれに入力される。
【0150】
診断信号DIG-Aは、端子195a-23からケーブル19aに入力され、配線197a-23で伝搬された後、端子196a-23、接触部180a-23を介してコネクター350の端子353-23に入力される。また、ラッチ信号LATも同様に、端子195a-23からケーブル19aに入力され、配線197a-23で伝搬された後、端子196a-23、接触部180a-23を介してコネクター350の端子353-23に入力される。すなわち、配線197a-23は、診断信号DIG-Aを伝搬する配線と、ラッチ信号LATを伝搬する配線とを兼ね、端子353-23は、診断信号DIG-Aが入力される端子と、ラッチ信号LATが入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180a-23は、診断信号DIG-Aを伝搬する配線と電気的に接触されると共に、ラッチ信号LATを伝搬する配線とも電気的に接触する。この診断信号DIG-Aが第1実施形態における第1診断信号の一例であり、診断信号DIG-Aを伝搬する配線197a-23が第1実施形態における第1診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Aが入力される端子353-23が第1実施形態における第1端子の一例であり、配線197a-23と端子353-23とが電気的に接触する接触部180a-23が第1接触部の一例である。
【0151】
診断信号DIG-Bは、端子195a-21からケーブル19aに入力され、配線197a-21で伝搬された後、端子196a-21、接触部180a-21を介してコネクター350の端子353-21に入力される。また、クロック信号SCKも同様に、端子195a-21からケーブル19aに入力され、配線197a-21で伝搬された後、端子196a-21、接触部180a-21を介してコネクター350の端子353-21に入力される。すなわち、配線197a-21は、診断信号DIG-Bを伝搬する配線と、クロック信号SCKを伝搬する配線とを兼ね、端子353-21は、診断信号DIG-Bが入力される端子と、クロック信号SCKが入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180a-21は、診断信号DIG-Bを伝搬する配線と電気的に接触されると共に、クロック信号SCKを伝搬する配線とも電気的に接触する。この診断信号DIG-Bが第1実施形態における第2診断信号の一例であり、診断信号DIG-Bを伝搬する配線197a-21が第1実施形態における第2診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Bが入力される端子353-21が第1実施形態における第2端子の一例であり、配線197a-21と端子353-21とが電気的に接触する接触部180a-21が第2接触部の一例である。
【0152】
診断信号DIG-Cは、端子195a-19からケーブル19aに入力され、配線197a-19で伝搬された後、端子196a-19、接触部180a-19を介してコネクター350の端子353-19に入力される。また、チェンジ信号CHも同様に、端子195a-19からケーブル19aに入力され、配線197a-19で伝搬された後、端子196a-19、接触部180a-19を介してコネクター350の端子353-19に入力される。すなわち、配線197a-19は、診断信号DIG-Cを伝搬する配線と、チェンジ信号CHを伝搬する配線とを兼ね、端子353-19は、診断信号DIG-Cが入力される端子と、チェンジ信号CHが入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180a-19は、診断信号DIG-Cを伝搬する配線と電気的に接触されると共に、チェンジ信号CHを伝搬する配線とも電気的に接触する。この診断信号DIG-Cが第1実施形態における第3診断信号の一例であり、診断信号DIG-Cを伝搬する配線197a-19が第1実施形態における第3診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Cが入力される端子353-19が第1実施形態における第3端子の一例であり、配線197a-19と端子353-19とが電気的に接触する接触部180a-19が第3接触部の一例である。
【0153】
診断信号DIG-Dは、端子195a-17からケーブル19aに入力され、配線19
7a-17で伝搬された後、端子196a-17、接触部180a-17を介してコネクター350の端子353-17に入力される。また、印刷データ信号SI1も同様に、端子195a-17からケーブル19aに入力され、配線197a-17で伝搬された後、端子196a-17、接触部180a-17を介してコネクター350の端子353-17に入力される。すなわち、配線197a-17は、診断信号DIG-Dを伝搬する配線と、印刷データ信号SI1を伝搬する配線とを兼ね、端子353-17は、診断信号DIG-Dが入力される端子と、印刷データ信号SI1が入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180a-17は、診断信号DIG-Dを伝搬する配線と電気的に接触されると共に、印刷データ信号SI1を伝搬する配線とも電気的に接触する。この診断信号DIG-Dが第1実施形態における第4診断信号の一例であり、診断信号DIG-Dを伝搬する配線197a-17が第1実施形態における第4診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Dが入力される端子353-17が第1実施形態における第4端子の一例であり、配線197a-17と端子353-17とが電気的に接触する接触部180a-17が第4接触部の一例である。
【0154】
診断信号DIG-Eは、端子353-15に入力され、接触部180a-15、端子196a-15を介してケーブル19aに入力される。そして、診断信号DIG-Eは、配線197a-15で伝搬された後、端子195a-15からメイン基板11に入力される。また、異常信号XHOTも同様に、端子353-15に入力され、接触部180a-15、端子196a-15を介してケーブル19aに入力され、配線197a-15で伝搬された後、端子195a-15からメイン基板11に入力される。すなわち、配線197a-15は、診断信号DIG-Eを伝搬する配線と、異常信号XHOTを伝搬する配線とを兼ね、端子353-15は、診断信号DIG-Eが入力される端子と、異常信号XHOTが入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180a-15は、診断信号DIG-Eを伝搬する配線と電気的に接触されると共に、異常信号XHOTを伝搬する配線とも電気的に接触する。この診断信号DIG-Eが第1実施形態における第5診断信号の一例であり、診断信号DIG-Eを伝搬する配線197a-15が第1実施形態における第5診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Eが入力される端子353-15が第1実施形態における第6端子の一例であり、配線197a-17と端子353-17とが電気的に接触する接触部180a-17が第6接触部の一例である。
【0155】
以上のように、第1実施形態では、診断信号DIG-A~DIG-Eのそれぞれと、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1及び異常信号XHOTのそれぞれとが共通の配線で伝搬され、共通の接触部を介して共通の端子と電気的に接続される。ここで、診断信号DIG-A~DIG-Eそれぞれと、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1及び異常信号XHOTのそれぞれとを共通の配線で伝搬し、共通の接触部を介して共通の端子に入力する方法の一例について説明する。
【0156】
例えば、制御回路100は、液体吐出装置1及びプリントヘッド21の動作状態に応じて、診断信号DIG-Aとラッチ信号LAT、診断信号DIG-Bとクロック信号SCK、診断信号DIG-Cとチェンジ信号CH及び診断信号DIG-Dと印刷データ信号SI1をそれぞれ時分割に生成する。具体的には、液体吐出装置1がインクを吐出する印刷状態である場合、制御回路100は、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH及び印刷データ信号SI1を生成してプリントヘッド21に出力する。また、液体吐出装置1がインクを吐出する印刷状態でなく、且つプリントヘッド21が自己診断を行う場合、制御回路100は、診断信号DIG-A~DIG-Dを生成してプリントヘッド21に出力する。これにより、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH及び印刷データ信号SI1のそれぞれと、診断信号DIG-A~DIG-Dのそれぞれとを、共通の配線で伝搬することが可能となり、且つ共通の接触部を介して共通の端子に
入力することが可能となる。
【0157】
また、診断信号DIG-Eと異常信号XHOTとを共通の配線で伝搬し、共通の接触部を介して共通の端子から出力する方法としては、例えば、診断回路240における診断結果を示す診断信号DIG-Eが出力される配線と、異常信号XHOTが出力される配線とを、プリントヘッド21においてワイヤードオア接続し、当該ワイヤードオア接続された信号を共通の端子に入力した後、共通の接触部を介して共通の配線で伝搬する。これにより、温度異常検出回路250における温度が異常であるか否かの診断結果と診断回路240における診断結果との少なくともいずれかで異常が生じた場合、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能でないことを示すLレベルの信号が伝搬され、温度異常検出回路250における温度が異常であるか否かの診断と診断回路240における診断との双方が正常である場合、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であることを示すHレベルの信号が伝搬される。
【0158】
なお、上述した診断信号DIG-A~DIG-Eそれぞれと、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1及び異常信号XHOTのそれぞれとを共通の配線で伝搬し、共通の端子に入力する方法は一例であり、例えば、セレクター等により、配線で伝搬される信号及び端子に入力される信号が切り替えられる構成であってもよい。
【0159】
印刷データ信号SI、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK及び異常信号XHOTは、プリントヘッド21の吐出を制御するための重要な信号であり、これらの信号が伝搬される配線に接続不良などが生じた場合、インクの吐出精度が悪化するおそれがある。このような重要な信号が伝搬される配線とプリントヘッド21が自己診断を行う信号が伝搬される配線とを共通の配線とし、当該信号が入力される端子とプリントヘッド21が自己診断を行う信号が入力される端子とを共通の接触部を介する共通の端子とすることで、プリントヘッド21の自己診断の結果に基づいて、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK及び異常信号XHOTが正常に伝搬されているか否かの診断も可能となる。さらに、1つの配線で複数の信号を伝搬し、1つの端子に複数の信号が入力されるため、ケーブル19に設けられるべき配線の数、及びコネクター350に設けられる端子数を少なくすることも可能となる。
【0160】
電圧VHVは、端子195a-13からケーブル19aに入力され、配線197a-13で伝搬された後、端子196a-13、接触部180a-13を介してコネクター350の端子353-13に入力される。
【0161】
温度信号THは、コネクター350の端子353-25に入力され、接触部180a-25、端子196a-25を介してケーブル19aに入力される。そして、温度信号THは、配線197a-25で伝搬された後、端子195a-25からメイン基板11に入力される。
【0162】
グラウンド信号GNDは、端子195a-14,195a-16,195a-18,195a-20,195a-22,195a-24,195a-26のそれぞれからケーブル19aに入力され、配線197a-14,197a-16,197a-18,197a-20,197a-22,197a-24,197a-26のそれぞれで伝搬された後、接触部180a-14,180a-16,180a-18,180a-20,180a-22,180a-24,180a-26のそれぞれ、及び端子196a-14,196a-16,196a-18,196a-20,196a-22,196a-24,196a-26のそれぞれを介してコネクター350の端子353-14,353-16,353-18,353-20,353-22,353-24,353-26のそれぞれに入力さ
れる。
【0163】
ここで、図20に示すように、診断信号DIG-Aを伝搬する配線197a-23、診断信号DIG-Bを伝搬する配線197a-21、診断信号DIG-Cを伝搬する配線197a-19及び診断信号DIG-Dを伝搬する配線197a-17は、ケーブル19aにおいて、配線197a-23,197a-21,197a-19,197a-17の順に並んで設けられている。そして、配線197a-23と配線197a-21との間には、グラウンド信号GNDを伝搬する配線197a-22が位置し、配線197a-21と配線197a-19との間には、グラウンド信号GNDを伝搬する配線197a-20が位置し、配線197a-19と配線197a-17との間には、グラウンド信号GNDを伝搬する配線197a-18が位置する。
【0164】
また、同様に、診断信号DIG-Aが入力される端子535-23、診断信号DIG-Bが入力される端子535-21、診断信号DIG-Cが入力される端子535-19及び診断信号DIG-Dが入力される端子535-17は、コネクター350において、端子353-23,353-21,353-19,353-17の順に並んで設けられている。そして、端子353-23と端子353-21との間には、グラウンド信号GNDが入力される端子353-22が位置し、端子353-21と端子353-19との間には、グラウンド信号GNDが入力される端子353-20が位置し、端子353-19と端子353-17との間には、グラウンド信号GNDが入力される端子353-18が位置する。
【0165】
そして、接触部180a-23、接触部180a-21、接触部180a-19及び接触部180a-17は、ケーブル19aとコネクター350とが電気的に接触する接触部180において、接触部180a-23,180a-21,180a-19,180a-17の順に並んで設けられている。そして、接触部180a-23と接触部180a-21との間には、グラウンド信号GNDが入力される接触部180a-22が位置し、接触部180a-21と接触部180a-19との間には、グラウンド信号GNDが入力される接触部180a-20が位置し、接触部180a-19と接触部180a-17との間には、グラウンド信号GNDが入力される接触部180a-18が位置する。
【0166】
ここで、グラウンド信号GNDが一定電圧信号の一例であり、配線197a-22が第1一定電圧信号伝搬配線の一例であり、配線197a-20が第2一定電圧信号伝搬配線の一例であり、配線197a-18が第3一定電圧信号伝搬配線の一例である。また、端子353-22が第1一定電圧端子の一例であり、端子353-20が第2一定電圧端子の一例であり、端子353-18が第3一定電圧端子の一例である。そして、配線197a-22と端子353-22とが電気的に接触する接触部180a-22が第1一定電圧接触部の一例であり、配線197a-20と端子353-20とが電気的に接触する接触部180a-20が第2一定電圧接触部の一例であり、配線197a-18と端子353-18とが電気的に接触する接触部180a-18が第3一定電圧接触部の一例である。
【0167】
以上のように、診断信号DIG-A~DIG-Dが伝搬される配線の間にグランド信号が伝搬される配線197a-22,197a-20,197a-18が位置することで、配線197a-22,197a-20,197a-18のそれぞれがシールド配線として機能し、その結果、ケーブル19aにおいて伝搬される診断信号DIG-A~DIG-Dが互いに干渉するおそれが低減される。したがって、診断回路240に入力される診断信号DIG-A~DIG-Dの波形に歪みが生じる可能性が低減される。
【0168】
同様に、診断信号DIG-A~DIG-Dが入力される端子の間にグランド信号が伝搬される端子353-22,353-20,353-18が位置することで、端子353-
22,353-20,353-18のそれぞれがシールド端子として機能し、その結果、コネクター350に入力される診断信号DIG-A~DIG-Dが互いに干渉するおそれが低減される。したがって、診断回路240に入力される診断信号DIG-A~DIG-Dの波形に歪みが生じる可能性が低減される。
【0169】
また、同様に、診断信号DIG-A~DIG-Dが伝搬される配線と端子とが接触する接触部の間にグランド信号が伝搬される配線と端子とが接触する接触部180a-22,180a-20,180a-18が位置することで、接触部180a-22,180a-20,180a-18のそれぞれがシールドとして機能し、その結果、ケーブル19aとコネクター350とが接触される接触部180において、診断信号DIG-A~DIG-Dが互いに干渉するおそれが低減される。したがって、診断回路240に入力される診断信号DIG-A~DIG-Dの波形に歪みが生じる可能性が低減される。
【0170】
なお、第1実施形態において配線197a-23と配線197a-21との間、配線197a-21と配線197a-19との間、及び配線197a-19と配線197a-17との間には、グラウンド信号GNDが伝搬される配線が位置するとして説明を行ったが、診断信号DIG-A~DIG-Dの相互干渉を低減することができればよく、例えば、DC3.3V等の安定した電位の一定電圧信号が伝搬される配線が位置してもよい。
【0171】
同様に、端子353-23と端子353-21との間、端子353-21と端子353-19との間、及び端子353-19と端子353-17との間の端子は、DC3.3V等の安定した電位の一定電圧信号が入力される端子であってもよく、接触部180a-23と接触部180a-21との間、接触部180a-21と接触部180a-19との間、及び接触部180a-19と接触部180a-17との間の接触部は、DC3.3V等の安定した電位の一定電圧信号が入力される接触部180aであってもよい。
【0172】
また、配線197a-23と配線197a-21との間、配線197a-21と配線197a-19との間、及び配線197a-19と配線197a-17との間には、当該一定電圧信号を伝搬する配線を含む2つ以上の配線が設けられていてもよく、端子353-23と端子353-21との間、端子353-21と端子353-19との間、及び端子353-19と端子353-17との間には、一定電圧信号が入力される端子を含む2つ以上の端子が設けられていてもよく、接触部180a-23と接触部180a-21との間、接触部180a-21と接触部180a-19との間、及び接触部180a-19と接触部180a-17との間には、一定電圧信号が入力される接触部を含む2つ以上の接触部が設けられていてもよい。
【0173】
以上のようにケーブル19aは、駆動信号COM1~COM6及び基準電圧信号CGND1~CGND6を、配線197a-1~197a-12で伝搬し、診断信号DIG-A~DIG-E、温度信号TH、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、異常信号XHOT及び複数のグラウンド信号GNDを配線197a-13~197a-26で伝搬する。そして、前述のとおり、ケーブル19aは、端子196a-kが、接触部180a-kを介してコネクター350の端子353-kと電気的に接続されるようにコネクター350に取り付けられる。
【0174】
すなわち、ケーブル19aがプリントヘッド21と電気的に接続された場合において、診断信号DIG-A~DIG-Dは、診断回路240を構成する集積回路241が設けられている基板320の辺326側に位置する配線197a-23,197a-21,197a-19,197a-17で伝搬され、接触部180a-23,180a-21,180a-19,180a-17を介して、端子353-23,353-21,353-19,353-17に入力される。また、ケーブル19aがプリントヘッド21と電気的に接
続された場合において、駆動信号COM1~COM6は、基板320の辺325側に位置する配線197a-11,197a-9,197a-7,197a-5,197a-3,197a-1で伝搬され、接触部180a-11,180a-9,180a-7,180a-5,180a-3,180a-1を介して、端子353-11,353-9,353-7,353-5,353-3,353-1に入力される。
【0175】
換言すれば、配線197a-11と集積回路241との間の最短距離は、配線197a-23と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ配線197a-21と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ配線197a-19と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ配線197a-17と集積回路241との間の最短距離よりも長い。同様に、端子353-11と集積回路241との間の最短距離は、端子353-23と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ端子353-21と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ端子353-19と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ端子353-17と集積回路241との間の最短距離よりも長い。また、同様に、接触部180a-11と集積回路241との間の最短距離は、接触部180a-23と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ接触部180a-21と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ接触部180a-19と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ接触部180a-17と集積回路241との間の最短距離よりも長い。ここで、最短距離とは、各配線と集積回路241、各端子と集積回路241、及び各接触部と集積回路241と直線で結んだ場合の空間距離である。
【0176】
ここで、診断信号DIG-A~DIG-Dを伝搬する配線197a-23,197a-21,197a-19,197a-17のそれぞれと、駆動信号COM1を伝搬する配線197a-11とを含むケーブル19aが、第1実施形態における第1ケーブルの一例である。また、診断信号DIG-A~DIG-Dが入力される端子353-23,353-21,353-19,353-17のそれぞれと、駆動信号COM1が入力される端子353-11とを含むコネクター350が、第1実施形態における第1コネクターの一例である。
【0177】
また、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT及びクロック信号SCKは、プリントヘッド21の吐出を制御するための重要な信号であり、これらの信号が伝搬される配線に接続不良などが生じた場合、インクの吐出精度が悪化するおそれがある。図20に示すように、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT及びクロック信号SCKと診断信号DIG-A~DIG-Dとを、共通の配線で伝搬し、共通の接触部を介して共通の端子から入力することで、プリントヘッド21の自己診断の結果に基づいて、印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT及びクロック信号SCKが伝搬される配線の接続状態の診断が可能となる。さらに、1つの配線で複数の信号を伝搬するため、ケーブル19aに設けられるべき配線の数、コネクター350に設けられるべき端子の数を少なくすることも可能となる。
【0178】
次に図21を用いて、ケーブル19bで伝搬される信号の詳細について説明する。図21は、ケーブル19bで伝搬される信号の詳細を説明するための図である。図21に示すように、ケーブル19bは、駆動信号COM1~COM6のそれぞれを伝搬する配線と、基準電圧信号CGND1~CGND6のそれぞれを伝搬する配線と、印刷データ信号SI2~SI6のそれぞれを伝搬する配線と、電圧VDD1,VDD2のそれぞれを伝搬する配線と、複数のグラウンド信号GNDを伝搬する複数の配線とを含む。
【0179】
具体的には、駆動信号COM1~COM6のそれぞれは、端子195b-12,195b-10,195b-8,195b-6,195b-4,195b-2のそれぞれからケーブル19bに入力される。そして、駆動信号COM1~COM6のそれぞれは、配線1
97b-12,197b-10,197b-8,197b-6,197b-4,197b-2のそれぞれで伝搬された後、端子196b-12,196b-10,196b-8,196b-6,196b-4,196b-2のそれぞれ、及び接触部180b-12,180b-10,180b-8,180b-6,180b-4,180b-2のそれぞれを介してコネクター360の端子363-12,363-10,363-8,363-6,363-4,363-2のそれぞれに入力される。
【0180】
基準電圧信号CGND1~CGND6のそれぞれは、端子195b-11,195b-9,195b-7,195b-5,195b-3,195b-1のそれぞれからケーブル19bに入力される。そして、基準電圧信号CGND1~CGND6のそれぞれは、配線197b-11,197b-9,197b-7,197b-5,197b-3,197b-1のそれぞれで伝搬された後、端子196b-11,196b-9,196b-7,196b-5,196b-3,196b-1のそれぞれ、及び接触部180b-11,180b-9,180b-7,180b-5,180b-3,180b-1のそれぞれを介してコネクター360の端子363-11,363-9,363-7,363-5,363-3,363-1のそれぞれに入力される。
【0181】
印刷データ信号SI2~SI6のそれぞれは、端子195b-24,195b-22,195b-20,195b-18,195b-16のそれぞれからケーブル19bに入力される。そして、印刷データ信号SI2~SI6のそれぞれは、配線197b-24,197b-22,197b-20,197b-18,197b-16のそれぞれで伝搬された後、端子196b-24,196b-22,196b-20,196b-18,196b-16のそれぞれ、及び接触部180b-24,180b-22,180b-20,180b-18,180b-16のそれぞれを介してコネクター360の端子363-24,363-22,363-20,363-18,363-16のそれぞれに入力される。
【0182】
電圧VDD1は、端子195b-26からケーブル19bに入力される。そして、電圧VDD1は、配線197b-26で伝搬された後、端子196b-26、及び接触部180b-26を介してコネクター360の端子363-26に入力される。電圧VDD2は、端子195b-21からケーブル19bに入力される。そして、電圧VDD2は、配線197b-21で伝搬された後、端子196b-21、及び接触部180b-21を介してコネクター360の端子363-21に入力される。
【0183】
グラウンド信号GNDは、端子195b-13,195b-14,195b-15,195b-17,195b-19,195b-23,195b-25のそれぞれからケーブル19aに入力される。そして、グラウンド信号GNDは、配線197b-13,197b-14,197b-15,197b-17,197b-19,197b-23,197b-25のそれぞれで伝搬された後、端子196b-13,196b-14,196b-15,196b-17,196b-19,196b-23,196b-25のそれぞれ、及び接触部180b-13,180b-14,180b-15,180b-17,180b-19,180b-23,180b-25のそれぞれを介してコネクター360の端子363-13,363-14,363-15,363-17,363-19,363-23,363-25のそれぞれに入力される。
【0184】
以上のように、本実施形態の液体吐出装置1では、プリントヘッド制御回路15から出力される診断信号DIG-A~DIG-Dは、ケーブル19aで伝搬される。そして、診断信号DIG-A~DIG-Dは、プリントヘッド21の基板320の面321に設けられたコネクター350を介して、基板320の面321に設けられた集積回路241に供給される。換言すれば、プリントヘッド21の基板320には、同一面にコネクター350と診断回路とが設けられている。そして、ケーブル19aがコネクター350と電気的
に接続される。これにより、コネクター350を介して入力される診断信号DIG-A~DIG-Dは、集積回路241に入力される。この場合において、コネクター350から集積回路241まで、診断信号DIG-A~DIG-Dを伝搬する配線パターンにはビア等が設けられておらず、面321にのみ形成されていることが好ましい。また、同様に集積回路241から出力される診断信号DIG-Eをコネクター350まで伝搬する配線パターンには、ビア等が設けられておらず、面321にのみ形成されていることが好ましい。これにより、診断信号DIG-A~DIG-Dが基板320で伝搬される配線にノイズ等が重畳するおそれを低減することが可能となる。
【0185】
ここで、図22を用いて、コネクター350から入力される診断信号DIG-A~DIG-Eが基板320の面321で伝搬される配線の一例について説明する。図22は、基板320の面321に形成された配線パターンの一例を示す図である。なお、図22では、基板320に形成される配線の一部の図示を省略している。また、図22には、基板320の面322に形成される電極群330a~330fが破線で示されている。
【0186】
図22に示すように、基板320は、配線354-a~354-oを有する。
【0187】
端子353-23は、配線354-aと電気的に接続される。端子353-23から入力される診断信号DIG-Aとラッチ信号LATとは、配線354-aで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線354-aは、端子353-23と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG-Aとラッチ信号LATとが伝搬される配線354-aが第1実施形態の第1配線の一例である。
【0188】
端子353-21は、配線354-bと電気的に接続される。端子353-21から入力される診断信号DIG-Bとクロック信号SCKとは、配線354-bで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線354-bは、端子353-21と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG-Bとクロック信号SCKとが伝搬される配線354-bが第1実施形態の第2配線の一例である。
【0189】
端子353-19は、配線354-cと電気的に接続される。端子353-19から入力される診断信号DIG-Cとチェンジ信号CHとは、配線354-cで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線354-cは、端子353-19と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG-Cとチェンジ信号CHとが伝搬される配線354-cが第1実施形態の第3配線の一例である。
【0190】
端子353-17は、配線354-dと電気的に接続される。端子353-17から入力される診断信号DIG-Dと印刷データ信号SI1とは、配線354-dで伝搬された後、集積回路241に入力される。すなわち、配線354-dは、端子353-17と集積回路241とを電気的に接続する。この診断信号DIG-Dと印刷データ信号SI1とが伝搬される配線354-dが第1実施形態の第4配線の一例である。
【0191】
端子353-15は、配線354-eと電気的に接続される。集積回路241から出力される診断信号DIG-E、及び異常信号XHOTは、配線354-eで伝搬された後、端子353-15に入力される。すなわち、配線354-eは、端子353-15と集積回路241とを電気的に接続する。
【0192】
ここで、診断信号DIG-A~DIG-Dのそれぞれを伝搬する配線354-a~354-dのそれぞれには、ビア等が形成されていないことが好ましく、例えば、図22に示すように、コネクター350と診断回路240を構成する集積回路241とは、基板320の同一面である面321に設けられていることが好ましい。換言すれば、端子353-
23と集積回路241とを接続し、診断信号DIG-Aを伝搬する配線354-aと、端子353-21と集積回路241とを接続し、診断信号DIG-Bを伝搬する配線354-bと、端子353-19と集積回路241とを接続し、診断信号DIG-Cを伝搬する配線353-cと、端子353-17と集積回路241とを接続し、診断信号DIG-Dを伝搬する配線353-dと、は、基板320において、集積回路241が設けられる面321と同一面に設けられている。これにより、配線354-a,354-b,354-c,354-dには、ビア等を設ける必要がない。
【0193】
診断信号DIG-A~DIG-Dのそれぞれは、集積回路241にいてインクの正常な吐出が可能か否かを診断する為の信号である。そのため、仮に診断信号DIG-A~DIG-Dが伝搬される際に、周囲の雑音ノイズ等が干渉した場合、集積回路241は、当該診断を正常に行うことができず、その結果、プリントヘッド21の吐出精度が悪化するおそれがある。診断信号DIG-A~DIG-Dのそれぞれを伝搬する配線354-a~354-dに、ビア等を設けないことで、診断信号DIG-A~DIG-Dに雑音ノイズ等が干渉するおそれを低減することが可能となる。
【0194】
集積回路241は、前述のとおり、入力される診断信号DIG-A~DIG-Dに基づいてプリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、入力されるラッチ信号LAT、クロック信号SCK及びチェンジ信号CHを、ラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK及びチェンジ信号cCHとして駆動信号選択回路200に出力する。具体的には、集積回路241の不図示の端子から出力されるラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK及びチェンジ信号cCHは、配線354-f~354-hで伝搬されて駆動信号選択回路200に入力される。なお、図22においては、駆動信号選択回路200-1に入力されるラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK及びチェンジ信号cCHが伝搬される配線354-f~354-hのみを図示し、駆動信号選択回路200-2~200-6に入力されるラッチ信号cLAT、クロック信号cSCK及びチェンジ信号cCHが伝搬される配線の図示を省略する。
【0195】
詳細には、診断回路240を構成する集積回路241は、配線354-fと電気的に接続される。そして、診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、配線354-fは、集積回路241を介して配線354-cと電気的に接続される。これにより、配線354-fには、チェンジ信号CHに基づくチェンジ信号cCHが入力される。チェンジ信号cCHは、配線354-f及び不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群330aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。そして、チェンジ信号cCHは、電極群330aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200-1に入力される。すなわち、配線354-fは、集積回路241と駆動信号選択回路200-1とを電気的に接続する。
【0196】
また、集積回路241は、配線354-gと電気的に接続される。そして、診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、配線354-gは、集積回路241を介して配線354-bと電気的に接続される。これにより、配線354-gには、クロック信号SCKに基づくクロック信号cSCKが入力される。クロック信号cSCKは、配線354-g及び不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群330aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。そして、クロック信号cSCKは、電極群330aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200-1に入力される。すなわち、配線354-gは、集積回路241と駆動信号選択回路200-1とを電気的に接続する。
【0197】
また、集積回路241は、配線354-hと電気的に接続される。そして、診断回路240が、プリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、
配線354-hは、集積回路241を介して配線354-aと電気的に接続される。これにより、配線354-hには、ラッチ信号LATに基づくラッチ信号cLATが入力される。ラッチ信号cLATは、配線354-h及び不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群330aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。そして、ラッチ信号cLATは、電極群330aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200-1に入力される。すなわち、配線354-hは、集積回路241と駆動信号選択回路200-1とを電気的に接続する。
【0198】
さらに図22に示すように、端子353-17は、配線354-iとも電気的に接続されている。端子353-17から入力される印刷データ信号SI1は、配線354-iで伝搬された後、不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群330aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。そして、印刷データ信号SI1は、電極群330aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200-1に入力される。すなわち、配線354-iは、端子353-17と駆動信号選択回路200-1とを電気的に接続する。
【0199】
駆動信号COM1が入力される端子353-11は、配線354-jと電気的に接続される。そして、駆動信号COM1は、配線354-jで伝搬された後、不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群330aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。この駆動信号COM1が伝搬される配線354-jが第1実施形態の第5配線の一例である。そして、駆動信号COM1は、電極群330aに接続されるFPCを介して駆動信号選択回路200-1に入力される。すなわち、配線354-jは、端子353-11と駆動信号選択回路200-1とを電気的に接続する。
【0200】
同様に、駆動信号COM2~COM6が入力される端子353-9,353-7,353-5,353-3,353-1のそれぞれは、配線354-k~354-oのそれぞれと電気的に接続される。そして、駆動信号COM2~COM5のそれぞれは、配線354-k~354-oで伝搬された後、不図示のビア等を介して、基板320の面322に設けられた電極群330aに含まれる複数の電極のいずれかに入力される。この駆動信号COM2~COM6が伝搬される配線354-k~354-oのいずれかが第1実施形態の第5配線の他の一例である。
【0201】
以上のように基板320に実装されたコネクター350の内、辺326側に設けられた端子353には、診断信号DIG-A~DIG-Eを含む低電圧の信号が入力される。
【0202】
そして、診断信号DIG-A~DIG-Eは、集積回路241が設けられている基板320の辺326に沿った配線354-a~354-dで伝搬される。一方、基板320に実装されたコネクター350の内、辺325側に設けられた端子353には、駆動信号COM1~COM6を含む高電圧の信号が入力される。そして、駆動信号COM1~COM6は、集積回路241が設けられていない辺325に沿った配線354-j~354-oで伝搬される。すなわち、基板320において、配線354-j~354-oのいずれかと辺326との最短距離は、配線354-j~354-oと辺325との最短距離よりも長く、配線354-aと辺326との最短距離は、配線354-aと辺325との最短距離よりも短く、集積回路241と辺326との最短距離は、集積回路241と辺325との最短距離よりも短い。
【0203】
以上のように、診断信号DIG-A~DIG-Eが伝搬される配線パターンを基板320において集積回路241が設けられる辺326に沿って設け、駆動信号COM1~COM6が伝搬される配線パターンを基板320において集積回路241が設けられる辺326と対向する辺325に沿って設けることで、基板320に設けられる配線パターンにお
いて、診断信号DIG-A~DIG-Eに、駆動信号COM1~COM6が干渉するおそれを低減することが可能となる。ここで、基板320の辺326が第1辺の一例であり、辺325が第2辺の一例である。
【0204】
1.8 作用効果
以上に説明したように、第1実施形態におけるプリントヘッド制御回路15では、ケーブル19aにおいて、診断信号DIG-Aを伝搬する配線197a-23、診断信号DIG-Bを伝搬する配線197a-21、診断信号DIG-Cを伝搬する配線197a-19、及び診断信号DIG-Dを伝搬する配線197a-17は、基板320において駆動信号COM1を伝搬する配線197a-11よりも診断回路240を構成する集積回路241側に位置する。換言すれば、駆動信号COM1を伝搬する配線197a-11と診断回路240を構成する集積回路241との距離は、診断信号DIG-Aを伝搬する配線197a-23と集積回路241との距離よりも長く、且つ診断信号DIG-Bを伝搬する配線197a-21と集積回路241との距離よりも長く、且つ診断信号DIG-Cを伝搬する配線197a-19と集積回路241との距離よりも長く、且つ診断信号DIG-Dを伝搬する配線197a-17と集積回路241との距離よりも長い。
【0205】
以上のように、集積回路241に入力される診断信号DIG-A~DIG-Dが伝搬される配線197a-23,197a-21,197a-19,197a-17を、駆動信号COM1が伝搬される配線197a-11よりも集積回路241側に設けることで、配線197a-23,197a-21,197a-19,197a-17と集積回路241との配線を短くすることが可能となる。これにより、診断信号DIG-A~DIG-Dの波形に歪みが生じるおそれが低減される。よって、集積回路241に入力される診断信号DIG-A~DIG-Dの精度を高めることが可能となる。
【0206】
また、ケーブル19aにおいて、診断信号DIG-A~DIG-Dが伝搬される配線197a-23,197a-21,197a-19,197a-17がケーブル19aにおいて集積回路241側に集まって位置するため、配線197a-11で伝搬される駆動信号COM1が、診断信号DIG-A~DIG-Dに干渉するおそれを低減することが可能となる。したがって、集積回路241に入力される診断信号DIG-A~DIG-Dの精度を高めることが可能となる。
【0207】
以上のように、第1実施形態におけるプリントヘッド制御回路15及び液体吐出装置1では、集積回路241に入力される診断信号DIG-A~DIG-Dの精度を高めることが可能となることから、プリントヘッド21の自己診断機能が正常に動作しないおそれを低減することができる。
【0208】
同様に、第1実施形態におけるプリントヘッド21では、コネクター350において、診断信号DIG-Aが入力される端子353-23、診断信号DIG-Bが入力される端子353-21、診断信号DIG-Cが入力される端子353-19及び診断信号DIG-Dが入力される端子353-17は、駆動信号COM1が入力される端子353-11よりも診断回路240を構成する集積回路241側に位置する。換言すれば、駆動信号COM1が入力される端子353-11と診断回路240を構成する集積回路241との距離は、診断信号DIG-Aが入力される端子353-23と集積回路241との距離よりも長く、且つ診断信号DIG-Bが入力される端子353-21と集積回路241との距離よりも長く、且つ診断信号DIG-Cが入力される端子353-19と集積回路241との距離よりも長く、且つ診断信号DIG-Dが入力される端子353-17と集積回路241との距離よりも長い。
【0209】
したがって、プリントヘッド制御回路15と同様に、第1実施形態のプリントヘッド2
1では、集積回路241に入力される診断信号DIG-A~DIG-Dの精度を高めることが可能となり、したがって、プリントヘッド21の自己診断機能が正常に動作しないおそれを低減することができる。
【0210】
また同様に、第1実施形態における液体吐出装置1では、ケーブル19aとコネクター350とが電気的に接触する接触部180において、診断信号DIG-Aが入力される接触部180a-23、診断信号DIG-Bが入力される接触部180a-21、診断信号DIG-Cが入力される接触部180a-19、及び診断信号DIG-Dが入力される接触部180a-17は、駆動信号COM1が入力される接触部180a-11よりも診断回路240を構成する集積回路241側に位置する。換言すれば、駆動信号COM1が入力される接触部180a-11と診断回路240を構成する集積回路241との距離は、診断信号DIG-Aが入力される接触部180a-23と集積回路241との距離よりも長く、且つ診断信号DIG-Bが入力される接触部180a-21と集積回路241との距離よりも長く、且つ診断信号DIG-Cが入力される接触部180a-19と集積回路241との距離よりも長く、且つ診断信号DIG-Dが入力される接触部180a-17と集積回路241との距離よりも長い。
【0211】
したがって、プリントヘッド制御回路15及びプリントヘッド21と同様に、第1実施形態のプリントヘッド21では、集積回路241に入力される診断信号DIG-A~DIG-Dの精度を高めることが可能となり、したがって、プリントヘッド21の自己診断機能が正常に動作しないおそれを低減することができる。
【0212】
2 第2実施形態
次に、第2実施形態の液体吐出装置1、プリントヘッド制御回路15及びプリントヘッド21について説明する。なお、第2実施形態の液体吐出装置1、プリントヘッド制御回路15及びプリントヘッド21を説明するにあたり、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、その説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0213】
図23は、第2実施形態における液体吐出装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図23に示すように、第2実施形態における制御回路100は、プリントヘッド21の吐出タイミングを規定する2つのラッチ信号LAT1,LAT2と、駆動信号COMの波形切替のタイミングを規定する2つのチェンジ信号CH1,CH2と、印刷データ信号SIが入力されるタイミングを規定するための2つのクロック信号SCK1,SCK2とを生成し、プリントヘッド21に出力する点で第1実施形態と異なる。また、制御回路100は、プリントヘッド21が液体の正常な吐出が可能か否かを診断するための診断信号DIG-A~DIG-D,DIG-F~DIG-Iを生成し、プリントヘッド21に出力する点で第1実施形態と異なる。
【0214】
ここで、第2実施形態における液体吐出装置1では、診断信号DIG-Aとラッチ信号LAT1,診断信号DIG-Bとクロック信号SCK1,診断信号DIG-Cとチェンジ信号CH1,診断信号DIG-Dと印刷データ信号SI1,診断信号DIG-Fとラッチ信号LAT2,診断信号DIG-Gとクロック信号SCK2,診断信号DIG-Hとチェンジ信号CH2及び診断信号DIG-Iと印刷データ信号SInのそれぞれが共通の配線を介してプリントヘッド21に含まれる診断回路240に出力される。
【0215】
診断回路240は、診断信号DIG-A~DIG-D及び診断信号DIG-F~DIG-Iのそれぞれに基づいてインクの正常な吐出が可能か否かを診断する。そして、診断回路240が、診断信号DIG-A~DIG-Dに基づいてプリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、診断信号DIG-A~DIG-Cと共通の配線を介して入力されるラッチ信号LAT1、クロック信号SCK1及びチェンジ信号
CH1を、ラッチ信号cLAT1、クロック信号cSCK1及びチェンジ信号cCH1として出力する。また、診断回路240が、診断信号DIG-F~DIG-Iに基づいてプリントヘッド21におけるインクの正常な吐出が可能であると診断した場合、診断信号DIG-F~DIG-Hと共通の配線を介して入力されるラッチ信号LAT2、クロック信号SCK2及びチェンジ信号CH2を、ラッチ信号cLAT2、クロック信号cSCK2及びチェンジ信号cCH2として出力する。
【0216】
ここで、診断回路240に入力される信号のうち診断信号DIG-Dと共通の配線を介して入力される印刷データ信号SI1は、プリントヘッド21において分岐されたのち、分岐された一方の信号が診断回路240に入力され、他方の信号が駆動信号選択回路200-1に入力される。また、診断回路240に入力される信号のうち診断信号DIG-Iと共通の配線を介して入力される印刷データ信号SInは、プリントヘッド21において分岐されたのち、分岐された一方の信号が診断回路240に入力され、他方の信号が駆動信号選択回路200-nに入力される。
【0217】
なお、以下の説明において第2実施形態におけるプリントヘッド21は、10個の駆動信号選択回路200-1~200-10を備えるとして説明する。したがって、第2実施形態におけるプリントヘッド21には、10個の駆動信号選択回路200-1~200-10のそれぞれに対応する10個の印刷データ信号SI1~SI10と、10個の駆動信号COM1~COM10と、10個の基準電圧信号CGND1~CGND10とが入力される。
【0218】
図24は、第2実施形態における液体吐出装置1をY方向から見た場合における内部構成を概略的に示す図である。図24に示すように第2実施形態の液体吐出装置1は、4つのケーブル19a,19b,19c,19dを有する点で第1実施形態と異なる。そして、メイン基板11には、ケーブル19aの一端が取付けられるコネクター12a、ケーブル19bの一端が取付けられるコネクター12b、ケーブル19cの一端が取付けられるコネクター12c及びケーブル19dの一端が取付けられるコネクター12dが実装されている。
【0219】
プリントヘッド21は、ヘッド310、基板320、コネクター350,360,370,380を有する。コネクター350にはケーブル19aの他端が取付けられ、コネクター360にはケーブル19bの他端が取付けられ、コネクター370にはケーブル19cの他端が取付けられ、コネクター360にはケーブル19dの他端が取付けられる。
【0220】
以上のように構成された第2実施形態の液体吐出装置1において、プリントヘッド21の動作を制御するための各種信号を出力する制御機構10と、プリントヘッド21の動作を制御するための各種信号を伝搬するケーブル19a,19b,19c,19dとを含む構成が、第2実施形態における自己診断する機能を有するプリントヘッド21の動作を制御するプリントヘッド制御回路15の一例である。
【0221】
なお、以下の説明において、ケーブル19a,19b,19c,19dに設けられる端子195-kのそれぞれを、端子195a-k,195b-k,195c-k,195d-kと称し、端子196-kのそれぞれを、端子196a-k,196b-k,196c-k,196d-kと称し、配線197-kのそれぞれを、配線197a-k,197b-k,197c-k,197d-kと称し、接触部180-kのそれぞれを、接触部180a-k,180b-k,180c-k,180d-kと称する。そして、端子195a-k,195b-k,195c-k、195b-kのそれぞれが、コネクター12a,12b,12c,12dのそれぞれと電気的に接続され、端子196a-k,196b-k,196c-k,196d-kのそれぞれが、接触部180a-k,180b-k,18
0c-k,180d-kのそれぞれを介して、コネクター350,360,370,380のそれぞれと電気的に接続される。
【0222】
図25は、第2実施形態におけるプリントヘッド21の構成を示す斜視図である。図23に示すように、プリントヘッド21は、ヘッド310及び基板320を有する。また、ヘッド310のZ方向おける下側の面には、複数の吐出部600が形成されたインク吐出面311が位置する。
【0223】
図26は、第2実施形態におけるヘッド310のインク吐出面311を示す平面図である。図26に示すように、第2実施形態におけるインク吐出面311には、複数のノズル651が形成されたノズルプレート632が、X方向に10個並んで設けられている。また、ノズルプレート632のそれぞれおいて、ノズル651がX方向に並んで設けられるノズル列L1~L10が形成されている。このノズル列L1~L10のそれぞれは、駆動信号選択回路200-1~200-10のそれぞれに対応して設けられる。
【0224】
図25に戻り、基板320は、面321と、面321と対向する面322とを有し、辺323と、辺323に対してX方向で対向する辺324と、辺325と、辺325に対してY方向に対向する辺326とで形成される略矩形状である。
【0225】
図27及び図28を用いて第2実施形態における基板320の構成について説明する。図27は第2実施形態における基板320を面322から見た場合の平面図である。また、図28は第2実施形態における基板320を面321から見た場合の平面図である。
【0226】
図27及び図28に示すように基板320の面322には、Y方向に並設された複数の電極を有する電極群430a~430jが設けられている。電極群430a~430jは、辺323側から辺324側に向かって、電極群430a,430b,430c,430d,430e,430f,430g,430h,430i,430jの順に位置する。
【0227】
また、基板320には、基板320の面321と面322とを貫通する貫通孔であるインク供給路挿通孔431a~431jと、FPC挿通孔432a~432eとが形成されている。
【0228】
FPC挿通孔432aは、X方向において電極群430aと電極群430bとの間に位置し、電極群430aと電気的に接続されるFPCと、電極群430bと電気的に接続されるFPCとが挿通される。FPC挿通孔432bは、X方向において電極群430cと電極群430dとの間に位置し、電極群430cと電気的に接続されるFPCと、電極群430dと電気的に接続されるFPCとが挿通される。FPC挿通孔432cは、X方向において電極群430eと電極群430fとの間に位置し、電極群430eと電気的に接続されるFPCと、電極群430fと電気的に接続されるFPCとが挿通される。FPC挿通孔432dは、X方向において電極群430gと電極群430hとの間に位置し、電極群430gと電気的に接続されるFPCと、電極群430hと電気的に接続されるFPCとが挿通される。FPC挿通孔432eは、X方向において電極群430iと電極群430jとの間に位置し、電極群430iと電気的に接続されるFPCと、電極群430jと電気的に接続されるFPCとが挿通される。
【0229】
インク供給路挿通孔431aは、X方向において電極群430aの辺323側に位置する。インク供給路挿通孔431b,431cは、X方向において電極群430bと電極群430cとの間に位置し、インク供給路挿通孔431bが辺325側、インク供給路挿通孔431cが辺326側となるように並んで位置する。インク供給路挿通孔431d,431eは、X方向において電極群430dと電極群430eとの間に位置し、インク供給
路挿通孔431dが辺325側、インク供給路挿通孔431eが辺326側となるように並んで位置する。インク供給路挿通孔431f,431gは、X方向において電極群430fと電極群430gとの間に位置し、インク供給路挿通孔431fが辺325側、インク供給路挿通孔431gが辺326側となるように並んで位置する。インク供給路挿通孔431h,431iは、X方向において電極群430hと電極群430iとの間に位置し、インク供給路挿通孔431hが辺325側、インク供給路挿通孔431iが辺326側となるように並んで位置する。インク供給路挿通孔431jは、X方向において電極群430jの辺324側に位置する。そしてインク供給路挿通孔431a~431jのそれぞれには、ノズル列L1~L10のそれぞれに対応する吐出部600にインクを導入するインク供給口661にインクを供給するための不図示のインク供給路の一部が挿通される。
【0230】
図28に示すように、基板320の面321には、診断回路240を構成する集積回路241が設けられている。集積回路241は、基板320の面321側において、固定部347と固定部349との間であって、且つFPC挿通孔432a~432eの辺326側に設けられる。そして、診断回路240を構成する集積回路241は、診断信号DIG-A~DIG-D,DIG-F~DIG-Iに基づいて、ノズル651からインクの正常な吐出が可能か否かを診断する。なお、図28では、診断回路240として1つの集積回路241を示しているが、2つ以上の集積回路で構成されていてもよい。具体的には、診断信号DIG-A~DIG-Dに基づいて、ノズル651からインクの正常な吐出が可能か否かを診断する集積回路241と、診断信号DIG-F~DIG-Iに基づいて、ノズル651からインクの正常な吐出が可能か否かを診断する集積回路241とが設けられていてもよい。
【0231】
また、図27及び図28に示すように、基板320には、コネクター350,360,370,380が設けられている。コネクター350は、基板320の面321側であって、辺323に沿って設けられる。また、コネクター360は、基板320の面322側であって、辺323に沿って設けられる。ここで、第2実施形態におけるコネクター350,360は含まれる複数の端子の数が20個である点のみが第1実施形態と異なり、その他の構成については図17と同様である。その為、第2実施形態におけるコネクター350,360についての詳細な説明を省略する。なお、第2実施形態におけるコネクター350に並設される20個の端子353を、辺323に沿った方向において、辺325側から辺326側に向かって順に、端子353-1,353-2,・・・,353-20と称する。同様に、第2実施形態におけるコネクター360に並設される20個の端子363を、辺323に沿った方向において、辺325側から辺326側に向かって順に、端子363-1,363-2,・・・,363-20と称する。
【0232】
コネクター370は、基板320の面321側であって、辺324に沿って設けられている。また、コネクター380は、基板320の面322側であって、辺324に沿って設けられている。図29を用いて、コネクター370,380の構成について説明する。図29は、コネクター370,380の構成を示す図である。
【0233】
コネクター370は、ハウジング371と、ハウジング371に形成されたケーブル取付部372と、複数の端子373とを有する。複数の端子373は、辺324に沿って並設されている。具体的には、20個の端子373が辺324に沿って並設されている。ここで、20個の端子373を、辺324に沿った方向において辺325側から辺326側に向かって順に、端子373-1,373-2,・・・,373-20と称する。ケーブル取付部372は、Z方向において複数の端子373の基板320側に位置する。ケーブル取付部372には、ケーブル19cが取付けられる。そして、ケーブル取付部372にケーブル19cが取付けられた場合、ケーブル19cに含まれる端子196c-1~196c-20のそれぞれと、コネクター370に含まれる端子373-1~373-20の
それぞれとが電気的に接続する。なお、コネクター370は、図18と同様に、複数の端子373が、Z方向においてケーブル取付部372の基板320側に位置してもよい。
【0234】
コネクター380は、ハウジング381と、ハウジング381に形成されたケーブル取付部382と、複数の端子383とを有する。複数の端子383は、辺324に沿って並設されている。具体的には、20個の端子383が辺324に沿って並設されている。ここで、並設される20個の端子383を、辺324に沿った方向において辺325側から辺326側に向かって順に、端子383-1,383-2,・・・,383-20と称する。ケーブル取付部382は、Z方向において複数の端子383の基板320側に位置する。ケーブル取付部382には、ケーブル19dが取付けられる。そして、ケーブル取付部382にケーブル19dが取付けられた場合、ケーブル19dに含まれる端子196d-1~196d-20のそれぞれと、コネクター380に含まれる端子383-1~383-20のそれぞれとが電気的に接続する。
【0235】
次に図30図33を用いて、ケーブル19a,19b,19c,19dのそれぞれで伝搬され、プリントヘッド21に入力される信号の詳細について説明する。
【0236】
図30は、第2実施形態においてケーブル19aで伝搬される信号の詳細を説明するための図である。図30に示すように、ケーブル19aは、駆動信号COM1~COM5のそれぞれを伝搬する配線と、基準電圧信号CGND1~CGND5のそれぞれを伝搬する配線と、温度信号TH、ラッチ信号LAT1、クロック信号SCK1、チェンジ信号CH1及び印刷データ信号SI1のそれぞれを伝搬する配線と、診断信号DIG-A~DIG-Dのそれぞれを伝搬する配線と、複数のグラウンド信号GNDを伝搬する複数の配線とを含む。
【0237】
具体的には、駆動信号COM1~COM5のそれぞれは、端子195a-9,195a-7,195a-5,195a-3,195a-1のそれぞれからケーブル19aに入力される。そして、駆動信号COM1~COM5のそれぞれは、配線197a-9,197a-7,197a-5,197a-3,197a-1のそれぞれで伝搬された後、端子196a-9,196a-7,196a-5,196a-3,196a-1のそれぞれ、及び接触部180a-9,180a-7,180a-5,180a-3,180a-1のそれぞれを介してコネクター350の端子353-9,353-7,353-5,353-3,353-2のそれぞれに入力される。
【0238】
ここで、駆動信号COM1が入力される端子353-9が第2実施形態における第11端子の一例であり、駆動信号COM1が伝搬される配線197a-9が第2実施形態における第2駆動信号伝搬配線の一例であり、配線197a-9と端子353-9とが電気的に接触する接触部180a-9が第11接触部の一例である。また、駆動信号COM2,COM3,COM4,COM5のそれぞれが入力される端子353-7,353-5,353-3,353-1の少なくともいずれかが第2実施形態における第11端子の他の一例であり、駆動信号COM2,COM3,COM4,COM5のそれぞれが伝搬される配線197a-7,197a-5,197a-3,197a-1の少なくともいずれかが第2実施形態における第2駆動信号伝搬配線の他の一例であり、配線197a-7,197a-5,197a-3,197a-1のそれぞれと、端子353-7,353-5,353-3,353-1のそれぞれと、が電気的に接触する接触部180a-7,180a-5,180a-3,180a-1のいずれかが第11接触部の他の一例である。
【0239】
基準電圧信号CGND1~CGND5のそれぞれは、端子195a-10,195a-8,195a-6,195a-4,195a-2のそれぞれからケーブル19aに入力される。そして、配線197a-10,197a-8,197a-6,197a-4,19
7a-2のそれぞれで伝搬された後、端子196a-10,196a-8,196a-6,196a-4,196a-2のそれぞれ、及び接触部180a-10,180a-8,180a-6,180a-4,180a-2のそれぞれを介してコネクター350の端子353-10,353-8,353-6,353-4,353-2のそれぞれに入力される。
【0240】
診断信号DIG-A及びラッチ信号LAT1は、端子195a-17からケーブル19aに入力される。そして、診断信号DIG-A及びラッチ信号LAT1は、配線197a-17で伝搬された後、端子196a-17、及び接触部180-17を介してコネクター350の端子353-17に入力される。すなわち、配線197a-17は、診断信号DIG-Aを伝搬する配線とラッチ信号LAT1を伝搬する配線とを兼ね、端子353-17は、診断信号DIG-Aが入力される端子とラッチ信号LAT1が入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180a-17は、診断信号DIG-Aを伝搬する配線と電気的に接触すると共に、ラッチ信号LAT1を伝搬する配線とも電気的に接触する。ここで、診断信号DIG-Aが第2実施形態における第6診断信号の一例であり、診断信号DIG-Aを伝搬する配線197a-17が第2実施形態における第6診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Aが入力される端子353-17が第2実施形態における第7端子の一例であり、配線197a-17と端子353-17とが電気的に接触する接触部180a-17が第7接触部の一例である。
【0241】
診断信号DIG-B及びクロック信号SCK1は、端子195a-15からケーブル19aに入力される。そして、診断信号DIG-B及びクロック信号SCK1は、配線197a-15で伝搬された後、端子196a-15、及び接触部180a-15を介してコネクター350の端子353-15に入力される。すなわち、配線197a-15は、診断信号DIG-Bを伝搬する配線とクロック信号SCK1を伝搬する配線とを兼ね、端子353-15は、診断信号DIG-Bが入力される端子とクロック信号SCK1が入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180a-15は、診断信号DIG-Bを伝搬する配線と電気的に接触すると共に、クロック信号SCK1を伝搬する配線とも電気的に接触する。ここで、診断信号DIG-Bが第2実施形態における第7診断信号の一例であり、診断信号DIG-Bを伝搬する配線197a-15が第2実施形態における第7診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Bが入力される端子353-15が第2実施形態における第8端子の一例であり、配線197a-15と端子353-15とが電気的に接触する接触部180a-15が第8接触部の一例である。
【0242】
診断信号DIG-C及びチェンジ信号CH1は、端子195a-13からケーブル19aに入力される。そして、診断信号DIG-C及びチェンジ信号CH1は、配線197a-13で伝搬された後、端子196a-13、及び接触部180a-13を介してコネクター350の端子353-13に入力される。すなわち、配線197a-13は、診断信号DIG-Cを伝搬する配線とチェンジ信号CH1を伝搬する配線とを兼ね、端子353-13は、診断信号DIG-Cが入力される端子とチェンジ信号CH1が入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180a-13は、診断信号DIG-Cを伝搬する配線と電気的に接触すると共に、チェンジ信号CH1を伝搬する配線とも電気的に接触する。ここで、診断信号DIG-Cが第2実施形態における第8診断信号の一例であり、診断信号DIG-Cを伝搬する配線197a-13が第2実施形態における第8診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Cが入力される端子353-13が第2実施形態における第9端子の一例であり、配線197a-13と端子353-13とが電気的に接触する接触部180a-13が第9接触部の一例である。
【0243】
診断信号DIG-D及び印刷データ信号SI1は、端子195a-11からケーブル19aに入力される。そして、診断信号DIG-D及び印刷データ信号SI1は、配線19
7a-11で伝搬された後、端子196a-11、及び接触部180a-11を介してコネクター350の端子353-11に入力される。すなわち、配線197a-11は、診断信号DIG-Dを伝搬する配線と印刷データ信号SI1を伝搬する配線とを兼ね、端子353-11は、診断信号DIG-Dが入力される端子と印刷データ信号SI1が入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180a-11は、診断信号DIG-Dを伝搬する配線と電気的に接触すると共に、印刷データ信号SI1を伝搬する配線とも電気的に接触する。ここで、診断信号DIG-Dが第2実施形態における第9診断信号の一例であり、診断信号DIG-Dを伝搬する配線197a-11が第2実施形態における第9診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Dが入力される端子353-11が第2実施形態における第10端子の一例であり、配線197a-11と端子353-11とが電気的に接触する接触部180a-11が第10接触部の一例である。
【0244】
温度信号THは、コネクター350の端子353-19に入力され、接触部180a-19、及び端子196a-19を介してケーブル19aに入力される。そして、温度信号THは、配線197a-19で伝搬された後、端子195a-19からメイン基板11に入力される。
【0245】
グラウンド信号GNDは、端子195a-12,195a-14,195a-16,195a-18,195a-20のそれぞれからケーブル19aに入力される。そして、グラウンド信号GNDは、配線197a-12,197a-14,197a-16,197a-18,197a-20のそれぞれで伝搬された後、端子196a-12,196a-14,196a-16,196a-18,196a-20のそれぞれ、及び接触部180a-12,180a-14,180a-16,180a-18,180a-20のそれぞれを介してコネクター350の端子353-12,353-14,353-16,353-18,353-20のそれぞれに入力される。
【0246】
以上のようにケーブル19aは、駆動信号COM1~COM5及び基準電圧信号CGND1~CGND5が、配線197a-1~197a-10で伝搬され、診断信号DIG-A~DIG-D、温度信号TH、ラッチ信号LAT1、クロック信号SCK1、チェンジ信号CH1、印刷データ信号SI1及び複数のグラウンド信号GNDが配線197a-11~197a-20で伝搬される。前述のとおり、ケーブル19aは、端子196a-kが、コネクター350の端子353-kと接触部180a-kを介して電気的に接続されるようにコネクター350に取り付けられる。すなわち、ケーブル19aがプリントヘッド21と電気的に接続された場合において、診断信号DIG-A~DIG-Dは、診断回路240を構成する集積回路241が設けられている基板320の辺326側に位置する配線197a-17,197a-15,197a-13,197a-11で伝搬され、接触部180a-17,180a-15,180a-13,180a-11を介して端子353-17,353-15,353-13,353-11に入力される。また、ケーブル19aがプリントヘッド21と電気的に接続された場合において、駆動信号COM1~COM5は、基板320の辺325側に位置する配線197a-9,197a-7,197a-5,197a-3,197a-1で伝搬され、接触部180a-9,180a-7,180a-5,180a-3,180a-1を介して、端子353-9,353-7,353-5,353-3,353-1に入力される。
【0247】
すなわち、配線197a-9と集積回路241との間の最短距離は、配線197a-17と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ配線197a-15と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ配線197a-13と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ配線197a-11と集積回路241との間の最短距離よりも長い。同様に、端子353-9と集積回路241との間の最短距離は、端子353-17と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ端子353-15と集積回路241と
の間の最短距離よりも長く、且つ端子353-13と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ端子353-11と集積回路241との間の最短距離よりも長い。同様に、接触部180a-9と集積回路241との間の最短距離は、接触部180a-17と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ接触部180a-15と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ接触部180a-13と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ接触部180a-11と集積回路241との間の最短距離よりも長い。
【0248】
ここで、診断信号DIG-A~DIG-Dを伝搬する配線197a-17,197a-15,197a-13,197a-11のそれぞれと、駆動信号COM1を伝搬する配線197a-9とを含むケーブル19aが、第2実施形態における第2ケーブルの一例である。また、診断信号DIG-A~DIG-Dが入力される端子353-23,353-21,353-19,353-17のそれぞれと、駆動信号COM1が入力される端子353-11とを含むコネクター350が、第2実施形態における第2コネクターの一例である。
【0249】
図31は、第2実施形態においてケーブル19bで伝搬される信号の詳細を説明するための図である。図31に示すように、ケーブル19bは、駆動信号COM1~COM5のそれぞれを伝搬する配線と、基準電圧信号CGND1~CGND5のそれぞれを伝搬する配線と、印刷データ信号SI2~SI5のそれぞれを伝搬する配線と、電圧VDD1を伝搬する配線と、複数のグラウンド信号GNDを伝搬する複数の配線とを含む。
【0250】
具体的には、駆動信号COM1~COM5のそれぞれは、端子195b-10,195b-8,195b-6,195b-4,195b-2のそれぞれからケーブル19bに入力される。そして、駆動信号COM1~COM5のそれぞれは、配線197b-10,197b-8,197b-6,197b-4,197b-2のそれぞれで伝搬された後、端子196b-10,196b-8,196b-6,196b-4,196b-2のそれぞれ、及び接触部180b-10,180b-8,180b-6,180b-4,180b-2を介してコネクター360の端子363-10,363-8,363-6,363-4,363-2のそれぞれに入力される。
【0251】
基準電圧信号CGND1~CGND5のそれぞれは、端子195b-9,195b-7,195b-5,195b-3,195b-1のそれぞれからケーブル19bに入力される。そして、基準電圧信号CGND1~CGND5のそれぞれは、配線197b-9,197b-7,197b-5,197b-3,197b-1のそれぞれで伝搬された後、端子196b-9,196b-7,196b-5,196b-3,196b-1のそれぞれ、及び接触部180b-9,180b-7,180b-5,180b-3,180b-1のそれぞれを介してコネクター360の端子363-9,363-7,363-5,363-3,363-1のそれぞれに入力される。
【0252】
印刷データ信号SI2~SI5のそれぞれは、端子195b-18,195b-16,195b-14,195b-12のそれぞれからケーブル19bに入力される。そして、印刷データ信号SI2~SI5のそれぞれは、配線197b-18,197b-16,197b-14,197b-12のそれぞれで伝搬された後、端子196b-18,196b-16,196b-14,196b-12のそれぞれ、及び接触部180b-18,180b-16,180b-14,180b-12のそれぞれを介してコネクター360の端子363-18,363-16,363-14,363-12のそれぞれに入力される。
【0253】
電圧VDD1は、端子195b-20からケーブル19bに入力される。そして、電圧
VDD1は、配線197b-20で伝搬された後、端子196b-20、及び接触部180b-20を介してコネクター360の端子363-20に入力される。
【0254】
グラウンド信号GNDは、端子195b-11,195b-13,195b-15,195b-17,195b-19のそれぞれからケーブル19aに入力される。そして、グラウンド信号GNDは、配線197b-11,197b-13,197b-15,197b-17,197b-19のそれぞれで伝搬された後、端子196b-11,196b-13,196b-15,196b-17,196b-19のそれぞれ、及び接触部180b-11,180b-13,180b-15,180b-17,180b-19のそれぞれを介してコネクター360の端子363-11,363-13,363-15,363-17,363-19のそれぞれに入力される。
【0255】
図32は、第2実施形態においてケーブル19cで伝搬される信号の詳細を説明するための図である。図32に示すように、ケーブル19cは、駆動信号COM6~COM10のそれぞれを伝搬する配線と、基準電圧信号CGND6~CGND10のそれぞれを伝搬する配線と、異常信号XHOT、ラッチ信号LAT2、クロック信号SCK2、チェンジ信号CH2及び印刷データ信号SI10のそれぞれを伝搬する配線と、診断信号DIG-E~DIG-Iのそれぞれを伝搬する配線と、複数のグラウンド信号GNDを伝搬する複数の配線とを含む。
【0256】
具体的には、駆動信号COM6~COM10のそれぞれは、端子195c-2,195c-4,195c-6,195c-8,195c-10のそれぞれからケーブル19cに入力される。そして、駆動信号COM6~COM10のそれぞれは、配線197c-2,197c-4,197c-6,197c-8,197c-10のそれぞれで伝搬された後、端子196c-2,196c-4,196c-6,196c-8,196c-10のそれぞれ、及び接触部180c-2,180c-4,180c-6,180c-8,180c-10のそれぞれを介してコネクター370の端子373-2,373-4,373-6,373-8,373-10のそれぞれに入力される。
【0257】
ここで、駆動信号COM10が入力される端子373-10が第2実施形態における第5端子の一例であり、駆動信号COM10が伝搬される配線197c-10が第2実施形態における第1駆動信号伝搬配線の一例であり、配線197c-10と端子373-10とが電気的に接触する接触部180c-10が第2実施形態における第5接触部の一例である。また、駆動信号COM6,COM7,COM8,COM9のそれぞれが入力される端子373-2,373-4,373-6,373-8の少なくともいずれかが第2実施形態における第5端子の他の一例であり、駆動信号COM6,COM7,COM8,COM9のそれぞれが伝搬される配線197c-2,197c-4,197c-6,197c-8の少なくともいずれかが第2実施形態における第1駆動信号伝搬配線の他の一例であり、配線197c-2,197c-4,197c-6,197c-8のそれぞれと、端子373-2,373-4,373-6,373-8のそれぞれと、が電気的に接触する接触部180c-2,180c-4,180c-6,180c-8が第2実施形態における第5接触部の他の一例である。
【0258】
基準電圧信号CGND6~CGND10のそれぞれは、端子195c-1,195c-3,195c-5,195c-7,195c-9のそれぞれからケーブル19cに入力される。そして、基準電圧信号CGND6~CGND10のそれぞれは、配線197c-1,197c-3,197c-5,197c-7,197c-9のそれぞれで伝搬された後、端子196c-1,196c-3,196c-5,196c-7,196c-9のそれぞれ、及び接触部180c-1,180c-3,180c-5,180c-7,180c-9のそれぞれを介してコネクター370の端子373-1,373-3,373-5,
373-7,373-9のそれぞれに入力される。
【0259】
診断信号DIG-E及び異常信号XHOTは、コネクター370の端子373-12に入力され、接触部180c-12、及び端子196c-12を介してケーブル19cに入力される。そして、診断信号DIG-Eは、配線197c-12で伝搬された後、端子195c-12からメイン基板11に入力される。すなわち、配線197c-12は、診断信号DIG-Eを伝搬する配線と、異常信号XHOTを伝搬する配線とを兼ね、端子373-12は、診断信号DIG-Eが入力される端子と、異常信号XHOTが入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180c-12は、診断信号DIG-Eを伝搬する配線と電気的に接触すると共に、異常信号XHOTを伝搬する配線とも電気的に接触する。ここで、診断信号DIG-Eが第2実施形態における第5診断信号の一例であり、診断信号DIG-Eを伝搬する配線197c-12が第2実施形態における第5診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Eが入力される端子373-12が第2実施形態における第6端子の一例であり、配線197c-12と端子373-12とが電気的に接触する接触部180c-12が第6接触部の一例である。
【0260】
診断信号DIG-F及びラッチ信号LAT2は、端子195c-14からケーブル19cに入力される。そして、診断信号DIG-F及びラッチ信号LAT2は、配線197c-14で伝搬された後、端子196c-14、及び接触部180c-14を介してコネクター370の端子373-14に入力される。すなわち、配線197c-14は、診断信号DIG-Fを伝搬する配線とラッチ信号LAT2を伝搬する配線とを兼ね、端子373-14は、診断信号DIG-Fが入力される端子とラッチ信号LAT2が入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180c-14は、診断信号DIG-Fを伝搬する配線と電気的に接触すると共に、ラッチ信号LAT2を伝搬する配線とも電気的に接触する。ここで、診断信号DIG-Fが第2実施形態における第1診断信号の一例であり、診断信号DIG-Fを伝搬する配線197c-14が第2実施形態における第1診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Fが入力される端子373-14が第2実施形態における第1端子の一例であり、配線197c-14と端子373-14とが電気的に接触する接触部180c-14が第2実施形態における第1接触部の一例である。
【0261】
診断信号DIG-G及びクロック信号SCK2は、端子195c-16からケーブル19cに入力される。そして、診断信号DIG-G及びクロック信号SCK2は、配線197c-16で伝搬された後、端子196c-16、及び接触部180c-16を介してコネクター370の端子373-16に入力される。すなわち、配線197c-16は、診断信号DIG-Gを伝搬する配線とクロック信号SCK2を伝搬する配線とを兼ね、端子373-16は、診断信号DIG-Gが入力される端子とクロック信号SCK2が入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180c-16は、診断信号DIG-Gを伝搬する配線と電気的に接触すると共に、クロック信号SCK2を伝搬する配線とも電気的に接触する。ここで、診断信号DIG-Gが第2実施形態における第2診断信号の一例であり、診断信号DIG-Gを伝搬する配線197c-16が第2実施形態における第2診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Gが入力される端子373-16が第2実施形態における第2端子の一例であり、配線197c-16と端子373-16とが電気的に接触する接触部180c-16が第2実施形態における第2接触部の一例である。
【0262】
診断信号DIG-H及びチェンジ信号CH2は、端子195c-18からケーブル19cに入力される。そして、診断信号DIG-H及びチェンジ信号CH2は、配線197c-18で伝搬された後、端子196c-18、及び接触部180c-18を介してコネクター370の端子373-18に入力される。すなわち、配線197c-18は、診断信号DIG-Hを伝搬する配線とチェンジ信号CH2を伝搬する配線とを兼ね、端子373-8は、診断信号DIG-Hが入力される端子とチェンジ信号CH2が入力される端子と
を兼ねる。そして、接触部180c-18は、診断信号DIG-Hを伝搬する配線と電気的に接触すると共に、チェンジ信号CH2を伝搬する配線とも電気的に接触する。ここで、診断信号DIG-Hが第2実施形態における第3診断信号の一例であり、診断信号DIG-Hを伝搬する配線197c-18が第2実施形態における第3診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Cが入力される端子373-18が第2実施形態における第3端子の一例であり、配線197c-18と端子373-18とが電気的に接触する接触部180c-18が第2実施形態における第3接触部の一例である。
【0263】
診断信号DIG-I及び印刷データ信号SI10は、端子195c-20からケーブル19cに入力される。そして、診断信号DIG-I及び印刷データ信号SI10は、配線197c-20で伝搬された後、端子196c-20、及び接触部180c-20を介してコネクター370の端子373-20に入力される。すなわち、配線197c-20は、診断信号DIG-Iを伝搬する配線と印刷データ信号SI10を伝搬する配線とを兼ね、端子373-20は、診断信号DIG-Iが入力される端子と印刷データ信号SI10が入力される端子とを兼ねる。そして、接触部180c-20は、診断信号DIG-Iを伝搬する配線と電気的に接触すると共に、印刷データ信号SI10を伝搬する配線とも電気的に接触する。ここで、診断信号DIG-Iが第2実施形態における第4診断信号の一例であり、診断信号DIG-Iを伝搬する配線197c-20が第2実施形態における第4診断信号伝搬配線の一例であり、診断信号DIG-Iが入力される端子373-20が第2実施形態における第4端子の一例であり、配線197c-20と端子373-20とが電気的に接触する接触部180c-20が第2実施形態における第4接触部の一例である。
【0264】
グラウンド信号GNDは、端子195c-11,195c-13,195c-15,195c-17,195c-19のそれぞれからケーブル19cに入力され、配線197c-11,197c-13,197c-15,197c-17,197c-19のそれぞれで伝搬された後、端子196c-11,196c-13,196c-15,196c-17,196c-19のそれぞれ、及び接触部180c-11,180c-13,180c-15,180c-17,180c-19のそれぞれを介してコネクター370の端子373-11,373-13,373-15,373-17,373-19のそれぞれに入力される。
【0265】
以上のようにケーブル19cは、駆動信号COM6~COM10及び基準電圧信号CGND6~CGND10が、配線197c-1~197c-10で伝搬され、診断信号DIG-E~DIG-I、温度信号TH、ラッチ信号LAT2、クロック信号SCK2、チェンジ信号CH2、印刷データ信号SI10及び複数のグラウンド信号GNDが配線197c-11~197c-20で伝搬される。前述のとおり、ケーブル19cは、端子196c-kが、コネクター370の端子373-kと電気的に接続されるようにコネクター370に取り付けられる。すなわち、ケーブル19cがプリントヘッド21と電気的に接続された場合において、診断信号DIG-F~DIG-Iは、診断回路240を構成する集積回路241が設けられている基板320の辺326側に位置する配線197c-14,197c-16,197c-18,197c-20で伝搬され、接触部180c-14,180c-16,180c-18,180c-20を介して、端子373-14,373-16,373-18,373-20に入力される。また、ケーブル19cがプリントヘッド21と電気的に接続された場合において、駆動信号COM6~COM10は、基板320の辺325側に位置する配線197c-2,197c-4,197c-6,197c-8,197c-10で伝搬され、端子373-2,373-4,373-6,373-8,373-10に入力される。
【0266】
すなわち、配線197c-10と集積回路241との間の最短距離は、配線197c-
14と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ配線197c-16と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ配線197c-18と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ配線197c-20と集積回路241との間の最短距離よりも長い。同様に、端子373-10と集積回路241との間の最短距離は、端子373-14と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ端子373-16と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ端子373-18と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ端子373-20と集積回路241との間の最短距離よりも長い。同様に、接触部180c-10と集積回路241との間の最短距離は、接触部180c-14と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ接触部180c-16と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ接触部180c-18と集積回路241との間の最短距離よりも長く、且つ接触部180c-20と集積回路241との間の最短距離よりも長い。
【0267】
ここで、診断信号DIG-F~DIG-Iを伝搬する配線197c-14,197c-16,197c-18,197c-20のそれぞれと、駆動信号COM10を伝搬する配線197c-10とを含むケーブル19cが、第2実施形態における第1ケーブルの一例である。また、診断信号DIG-A~DIG-Dが入力される端子373-14,373-16,373-18,373-20のそれぞれと、駆動信号COM10が入力される端子373-10のそれぞれとを含むコネクター370が、第2実施形態における第1コネクターの一例である。
【0268】
図33は、第2実施形態においてケーブル19dで伝搬される信号の詳細を説明するための図である。図33に示すように、ケーブル19dは、駆動信号COM6~COM10のそれぞれを伝搬する配線と、基準電圧信号CGND6~CGND10のそれぞれを伝搬する配線と、印刷データ信号SI6~DI9のそれぞれを伝搬する配線と、電圧VHV,VDD2のそれぞれを伝搬する配線と、複数のグラウンド信号GNDを伝搬する複数の配線とを含む。
【0269】
具体的には、駆動信号COM6~COM10のそれぞれは、端子195d-1,195d-3,195d-5,195d-7,195d-9のそれぞれからケーブル19dに入力される。そして、駆動信号COM6~COM10のそれぞれは、配線197d-1,197d-3,197d-5,197d-7,197d-9のそれぞれで伝搬された後、端子196d-1,196d-3,196d-5,196d-7,196d-9のそれぞれ、及び接触部180d-1,180d-3,180d-5,180d-7,180d-9のそれぞれを介してコネクター380の端子383-1,383-3,383-5,383-7,383-9のそれぞれに入力される。
【0270】
基準電圧信号CGND6~CGND10のそれぞれは、端子195d-2,195d-4,195d-6,195d-8,195d-10のそれぞれからケーブル19dに入力される。そして、基準電圧信号CGND6~CGND10のそれぞれは、配線197d-2,197d-4,197d-6,197d-8,197d-10のそれぞれで伝搬された後、端子196d-2,196d-4,196d-6,196d-8,196d-10のそれぞれ、及び接触部180d-2,180d-4,180d-6,180d-8,180d-10のそれぞれを介してコネクター380の端子383-2,383-4,383-6,383-8,383-10のそれぞれに入力される。
【0271】
印刷データ信号SI6~SI9のそれぞれは、端子195d-13,195d-15,195d-17,195d-19のそれぞれからケーブル19dに入力される。そして、印刷データ信号SI6~SI9のそれぞれは、配線197d-13,197d-15,197d-17,197d-19のそれぞれで伝搬された後、端子196d-13,196
d-15,196d-17,196d-19のそれぞれ、及び接触部180d-13,180d-15,180d-17,180d-19のそれぞれを介してコネクター380の端子383-13,383-15,383-17,383-19のそれぞれに入力される。
【0272】
電圧VHVは、端子195d-11からケーブル19dに入力される。そして、電圧VHVは、配線197d-11で伝搬された後、端子196d-11、及び接触部180d-11を介してコネクター380の端子383-11に入力される。電圧VDD2は、端子195d-16からケーブル19dに入力される。そして、電圧VDD2は、配線197d-16で伝搬された後、端子196d-16、及び接触部180d-16を介してコネクター380の端子383-16に入力される。
【0273】
グラウンド信号GNDは、端子195d-12,195d-14,195d-18,195d-20のそれぞれからケーブル19dに入力される。そして、グラウンド信号GNDは、配線197d-12,197d-14,197d-18,197d-20のそれぞれで伝搬された後、端子196d-12,196d-14,196d-18,196d-20のそれぞれ、及び接触部180d-12,180d-14,180d-18,180d-20のそれぞれを介してコネクター380の端子383-12,383-14,383-18,383-20のそれぞれに入力される。
【0274】
以上のように第2実施形態におけるプリントヘッド制御回路15、プリントヘッド21及び液体吐出装置1では、診断信号DIG-A~DIG-Dが入力されるコネクター350と、診断信号DIG-F~DIG-Iが入力されるコネクター370とを有する場合であっても、第1実施形態と同様に、集積回路241に入力される診断信号DIG-A~DIG-D、診断信号DIG-F~DIG-Iの精度を高めることが可能となり、したがって、プリントヘッド21の自己診断機能が正常に動作しないおそれを低減することができる。
【0275】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0276】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0277】
1…液体吐出装置、2…液体容器、10…制御機構、11…メイン基板、12a,12b,12c,12d…コネクター、15…プリントヘッド制御回路、19,19a,19b,19c,19d…ケーブル、20…キャリッジ、21…プリントヘッド、30…移動機構、31…キャリッジモーター、32…無端ベルト、40…搬送機構、41…搬送モーター、42…搬送ローラー、50…駆動信号出力回路、50a…駆動回路、60…圧電素子、90…リニアエンコーダー、100…制御回路、110…電源回路、180…接触部、191,192…短辺、193,194…長辺、195,196…端子、197…配線、198…絶縁体、200…駆動信号選択回路、210…温度検出回路、220…選択制御回路、222…シフトレジスター、224…ラッチ回路、226…デコーダー、230…選択回路、232…インバーター、234…トランスファーゲート、240…診断回路、
241…集積回路、250…温度異常検出回路、251…コンパレーター、252…基準電圧生成回路、253…トランジスター、254…ダイオード、255,256…抵抗、310…ヘッド、311…インク吐出面、320…基板、321,322…面、323,324,325,326…辺、330a,330b,330c,330d,330e,330f…電極群、331a,331b,331c,331d,331e,331f…インク供給路挿通孔、332a,332b,332c…FPC挿通孔、346,347,348,349…固定部、350…コネクター、351…ハウジング、352…ケーブル取付部、353…端子、353a…基板取付部、353b…ハウジング挿通部、353c…ケーブル保持部、360…コネクター、361…ハウジング、362…ケーブル取付部、363…端子、370…コネクター、371…ハウジング、372…ケーブル取付部、373…端子、380…コネクター、381…ハウジング、382…ケーブル取付部、383…端子、430a,430b,430c,430d,430e,430f,430g,430h,430i,430j…電極群、431a,431b,431c,431d,431e,431f,431g,431h,431i,431j…インク供給路挿通孔、432a,432b,432c,432d,432e…FPC挿通孔、600…吐出部、601…圧電体、611,612…電極、621…振動板、631…キャビティー、632…ノズルプレート、641…リザーバー、651…ノズル、661…インク供給口、P…媒体
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