(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】機械学習装置及び機械学習方法
(51)【国際特許分類】
G06N 20/00 20190101AFI20221220BHJP
G06N 99/00 20190101ALI20221220BHJP
G06Q 10/04 20120101ALI20221220BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20221220BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G06N20/00 130
G06N99/00 180
G06Q10/04
G06Q50/04
B29C45/76
(21)【出願番号】P 2019041742
(22)【出願日】2019-03-07
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 勇佐
(72)【発明者】
【氏名】蓮池 正晴
【審査官】山本 俊介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/048919(WO,A1)
【文献】特開2004-110470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00ー99/00
G06Q 10/00-99/00
B29C 45/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なるスパースモデリング手法を用いて、産業活動に用いる学習モデルにおける特定の目的変数と複数の説明変数候補とを前記スパースモデリング手法の入力データとして、前記複数の説明変数候補のそれぞれについて前記特定の目的変数を説明するための説明変数としての個別重要度をそれぞれ取得するスパースモデリング処理部と、
前記説明変数候補のそれぞれの複数の前記個別重要度に基づいて前記説明変数候補のそれぞれについての総合重要度を算出し、前記総合重要度に基づいて前記複数の説明変数候補の中から前記学習モデルの説明変数を選択する選択部と、
を備える、機械学習装置。
【請求項2】
前記機械学習装置は、さらに、前記個別重要度に対し、前記スパースモデリング処理手法に応じた調整を行って、調整済み個別重要度を算出する調整部を備え、
前記選択部は、複数の前記調整済み個別重要度に基づいて前記総合重要度を算出する、請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項3】
前記個別重要度は、前記スパースモデリング手法により導出された値であって前記特定の目的変数と前記複数の説明変数候補のそれぞれとの関係の強弱を示す寄与度であり、
前記調整部は、前記寄与度が所定の閾値以上である前記説明変数候補を抽出し、抽出した前記説明変数候補についての前記調整済み個別重要度を算出する、請求項2に記載の機械学習装置。
【請求項4】
前記調整部は、前記個別重要度が高い所定数の前記説明変数候補を抽出し、抽出した前記説明変数候補についての前記調整済み個別重要度を算出する、請求項2に記載の機械学習装置。
【請求項5】
前記調整部は、前記個別重要度に応じた点数を前記調整済み個別重要度として算出し、
前記選択部は、前記点数に基づいて前記総合重要度を算出する、請求項2-4の何れか一項に記載の機械学習装置。
【請求項6】
前記調整部は、前記個別重要度に応じて等差級数的に付与された前記点数を前記調整済み個別重要度として算出する、請求項5に記載の機械学習装置。
【請求項7】
前記調整部は、前記個別重要度に応じて等比級数的に付与された前記点数を前記調整済み個別重要度として算出する、請求項5に記載の機械学習装置。
【請求項8】
前記選択部は、前記説明変数候補ごとの前記調整済み個別重要度の和、積及び平均の少なくとも1つに基づいて前記総合重要度を算出する、請求項2-7の何れか一項に記載の機械学習装置。
【請求項9】
前記選択部は、前記総合重要度が所定の閾値以上である前記説明変数候補を前記説明変数として選択する、請求項1-8の何れか一項に記載の機械学習装置。
【請求項10】
前記選択部は、前記総合重要度が高い所定数の前記説明変数候補を前記説明変数として選択する、請求項1-8の何れか一項に記載の機械学習装置。
【請求項11】
前記機械学習装置は、さらに、前記選択部により選択された前記説明変数候補を学習データとする機械学習により前記学習モデルを生成する学習モデル生成部を備える、請求項1-10の何れか一項に記載の機械学習装置。
【請求項12】
前記機械学習装置は、さらに、
前記選択部により選択された前記説明変数を学習データとする機械学習により生成された前記学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
前記説明変数及び前記学習モデルに基づいて、所定の予測を行う予測部と、
を備える、請求項1-11の何れか一項に記載の機械学習装置。
【請求項13】
前記機械学習装置は、所定の処理を行う処理装置、又は、複数の前記処理装置を総括管理する管理装置に設けられ、
前記予測部は、前記処理装置の異常検知、前記処理装置の動作条件の最適化、又は、前記処理装置により処理結果を予測する、請求項12に記載の機械学習装置。
【請求項14】
前記処理装置は、
制御部に動作指令データを与える動作指令部と、
前記予測部による予測結果に基づき、前記動作指令データの調整を行う動作指令データ調整部と、
を備える、請求項13に記載の機械学習装置。
【請求項15】
前記処理装置は、成形機であり、
前記予測部は、前記成形機により成形される成形品の品質要素を予測する、請求項13に記載の機械学習装置。
【請求項16】
互いに異なるスパースモデリング手法を用いて、産業活動に用いる学習モデルにおける特定の目的変数と複数の説明変数候補とを前記スパースモデリング手法の入力データとして、前記複数の説明変数候補のそれぞれについて前記特定の目的変数を説明するための説明変数として個別重要度をそれぞれ取得する複数のスパースモデリング処理工程と、
前記説明変数候補のそれぞれの複数の前記個別重要度に基づいて前記説明変数候補のそれぞれについての総合重要度を算出し、前記総合重要度に基づいて前記複数の説明変数候補の中から前記学習モデルの説明変数を選択する選択工程と、
を備える、機械学習方法。
【請求項17】
前記機械学習方法は、さらに、前記個別重要度に対し、前記スパースモデリング手法に応じた調整を行い、調整済み個別重要度を算出する調整工程と、
前記選択工程は、複数の前記調整済み個別重要度に基づいて前記総合重要度を算出する、請求項16に記載の機械学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械学習装置及び機械学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機械学習を用いて、生産設備の状態の良否又は生産対象物の状態の良否に関する予測を行う技術が開示されている。さらに近年、機械学習装置による予測で用いる学習モデルにおいて、特定の目的変数を説明するための説明変数を選択する手法として、スパースモデリングが注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スパースモデリング手法の種類としては、lassoやStepwise等が知られている。この点に関して、異なるスパースモデリング手法を用いて複数の説明変数候補の中から説明変数を選択する場合、それぞれのスパースモデリング手法が説明変数として選択するデータは、説明変数候補である入力データが同一であっても一致しない場合がある。つまり、一のスパースモデリング手法を用いて選択された説明変数は、説明変数として適しているとは必ずしも言えず、当該一のスパースモデリング手法において、入力データとして用いた説明変数候補の中に含まれる重要な説明変数が選択されないおそれがある。
【0005】
本発明は、学習モデルにおける特定の目的変数と複数の説明変数候補の中から、適した説明変数を確実に選択する機械学習装置及び機械学習方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
機械学習装置は、互いに異なるスパースモデリング手法を用いて、産業活動に用いる学習モデルにおける特定の目的変数と複数の説明変数候補とを前記スパースモデリング手法の入力データとして、前記複数の説明変数候補のそれぞれについて前記特定の目的変数を説明するための説明変数としての個別重要度をそれぞれ取得する複数のスパースモデリング処理部と、前記説明変数候補のそれぞれの複数の前記個別重要度に基づいて前記説明変数候補のそれぞれについての総合重要度を算出し、前記総合重要度に基づいて前記複数の説明変数候補の中から前記学習モデルの説明変数を選択する選択部とを備える。
【0007】
当該機械学習装置によれば、選択部は、スパースモデリング処理部が取得した個別重要度に基づいて複数の説明変数候補ごとの総合重要度を算出し、当該総合重要度に基づき、複数の説明変数候補の中から、説明変数として適した説明変数候補を選択する。従って、機械学習装置は、適した説明変数を確実に選択することができる。
【0008】
機械学習方法は、互いに異なるスパースモデリング手法を用いて、産業活動に用いる学習モデルにおける特定の目的変数と複数の説明変数候補とを前記スパースモデリング手法の入力データとして、前記複数の説明変数候補のそれぞれについて前記特定の目的変数を説明するための説明変数として個別重要度をそれぞれ取得する複数のスパースモデリング処理工程と、前記説明変数候補のそれぞれの複数の前記個別重要度に基づいて前記説明変数候補のそれぞれについての総合重要度を算出し、前記総合重要度に基づいて前記複数の説明変数候補の中から前記学習モデルの説明変数を選択する選択工程とを備える。当該機械学習方法は、上記した機械学習装置と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】モデル生成装置及び予測装置の構成を示す図である。
【
図6】選択データ決定装置により実行される選択データ決定手順を示すフローチャートである。
【
図7】第一例の調整工程において調整部が算出した調整済み個別重要度を示す表である。
【
図8】第一例の選択工程において選択部が算出した総合重要度を示す表である。
【
図9】第二例の調整工程において調整部が算出した調整済み個別重要度を示す表である。
【
図10】第二例の選択工程において選択部が算出した総合重要度を示す表である。
【
図11】第二例の調整工程において調整部が算出した調整済み個別重要度を示す表である。
【
図12】第二例の選択工程において選択部が算出した総合重要度を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1.機械学習装置の概要)
機械学習装置は、産業活動に用いる学習モデルにおける特定の目的変数を説明するための説明変数を、複数の説明変数候補の中から選択する。このとき、機械学習装置は、説明変数候補のそれぞれについて算出した総合重要度に基づき、説明変数を選択する。総合重要度は、説明変数候補のそれぞれに付された個別重要度に基づいて算出される。個別重要度は、スパースモデリング手法を用いた処理を行うことで得られる値である。
【0011】
機械学習装置は、互いに異なる複数のスパースモデリング手法を用いた処理で得られた個別重要度に基づいて、複数の説明変数候補ごとの総合重要度を算出する。そして、機械学習装置は、当該総合重要度に基づき、複数の説明変数候補の中から、説明変数として適した説明変数候補を選択する。これにより、機械学習装置は、複数の説明変数候補の中から、適した説明変数を確実に選択することができる。その結果、機械学習装置は、選択された説明変数と目的変数とを学習データとする機械学習を行うことにより、学習モデルを生成することができる。また、機械学習装置は、当該説明変数及び当該学習モデルに基づいて所定の予測を行う場合に、当該予測の精度を高めることができる。
【0012】
(2.機械学習装置の適用対象)
機械学習装置は、所定の処理を行う処理装置、又は、複数の処理装置を総括管理する管理装置に設けられる。そして、機械学習装置は、説明変数及び学習モデルに基づいて所定の予測を行う。本実施形態において、処理装置は、成形機であり、管理装置は、複数の成形機を統括管理する。そして、機械学習装置は、成形機から得られた各種データに基づき、成形機の異常検知、成形機の動作条件の最適化、又は、成形機による処理結果(例えば、成形品の品質要素)を予測する。なお、成形機以外の処理装置としては、研削盤等の工作機械が例示される。
【0013】
(3.品質予測システム100の概要)
最初に、
図1を参照しながら、機械学習装置を具体化した実施形態の一例である品質予測システム100の概要を説明する。
図1に示すように、品質予測システム100は、複数の成形機1と、入力部110と、サーバ120と、管理装置130とを主に備える。
【0014】
成形機1は、加熱溶融した材料(以下「溶融材料」と称す)を成形機1の型4のキャビティCに供給することにより成形品を成形する。本実施形態では、成形機1が、樹脂又はゴム等の射出成形を行う射出成形機である場合を例に挙げて説明するが、成形機1は、射出成形機以外の成形機、例えば、ブロー成形機や圧縮成形機であってもよく、ダイキャスト等の金属鋳造を行う鋳造機であってもよい。
【0015】
入力部110には、成形機1が成形した成形品の品質要素に関するデータ(以下「品質要素データ」と称す)が入力される。入力部110には、成形品の品質要素として、例えば、成形機1の外部に設けられた各種測定装置により測定された成形品の寸法や形状等に関する測定結果等が入力される。
【0016】
サーバ120は、複数の成形機1及び入力部110と通信可能に設けられる。サーバ120は、入力部110に入力された成形品の品質要素データ、及び、当該成形品を成形機1が成形した際に得られた成形時データを収集する。
【0017】
管理装置130は、品質予測システム100に設けられた複数の成形機1を統括管理する。そして、管理装置130は、サーバ120を介して成形機1及び入力部110と通信可能に設けられた機械学習装置200を備える。機械学習装置200は、サーバ120が収集した品質要素データ及び成形時データを取得する。そして、機械学習装置200は、成形時データ及び品質要素データを学習データとする機械学習を行うことにより、成形時データと成形品の品質要素とに関する学習モデルを生成する。なお、本実施形態では、機械学習が教師あり学習である場合を例に挙げて説明するが、他の機械学習アルゴリズムを適用することも可能である。
【0018】
また、機械学習装置200は、成形機1が成形品を成形した際に取得した成形時データを学習モデルの説明変数とし、当該説明変数及び前記学習モデルに基づいて、当該成形品の品質要素を予測する。
【0019】
これに加え、機械学習装置200は、成形機1から取得可能な複数の成形時データを説明変数候補として、当該複数の説明変数候補の中から適した説明変数を選択する。即ち、機械学習装置200は、取得可能な多数の説明変数としての成形時データの中から、目的変数となる成形品の品質要素との相関が高い所定数の成形時データを選択し、選択した所定数の成形時データを、学習モデルの説明変数に用いる。
【0020】
これにより、品質予測システム100の使用者は、例えば、成形品の品質要素の予測結果に基づいて成形機1の動作条件の最適化を図るにあたり、説明変数として用いられる成形時データに影響を与えうる動作条件の最適化を図ることができる。
【0021】
即ち、機械学習装置200は、予測しようとする成形品の特定の品質要素と相関の高い成形時データを抽出し、抽出した成形時データに基づいて当該品質要素を予測する。よって、使用者は、成形品の品質要素を向上させる目的で動作条件の最適化を行う場合、当該品質要素と相関の高い成形時データが良好となるように動作条件を調整すればよい。その結果、機械学習装置200の使用者は、調整可能な多数の動作条件の中から、成形品の特定の品質要素を向上させるために調整すべき動作条件を絞り込むことができるので、動作条件の最適化に要する時間を短縮できる。
【0022】
(3.成形機1の例)
(3-1:成形機1の構成)
次に、
図2を参照して、成形機1の一例である射出成形機について説明する。射出成形機としての成形機1は、ベッド2と、射出装置3と、型4と、型締装置5と、動作指令部6と、制御部7とを主に備える。
【0023】
射出装置3は、ベッド2上に配置される。射出装置3は、ホッパ31と、加熱シリンダ32と、スクリュ33と、ノズル34と、ヒータ35と、駆動装置36と、射出装置用センサ37とを主に備える。
【0024】
ホッパ31は、ペレット(粒状の成形材料)の投入口である。加熱シリンダ32は、ホッパ31に投入されたペレットを加熱溶融してできた溶融材料を加圧する。また、加熱シリンダ32は、ベッド2に対して軸方向に移動可能に設けられる。スクリュ33は、加熱シリンダ32の内部に配置され、回転可能且つ軸方向へ移動可能に設けられる。ノズル34は、加熱シリンダ32の先端に設けられた射出口であり、スクリュ33の軸方向移動によって、加熱シリンダ32の内部の溶融材料を型4に供給する。
【0025】
ヒータ35は、例えば、加熱シリンダ32の外側に設けられ、加熱シリンダ32の内部のペレットを加熱する。駆動装置36は、加熱シリンダ32の軸方向への移動、スクリュ33の回転及び軸方向移動等を行う。射出装置用センサ37は、溶融材料の貯留量、保圧力、保圧時間、射出速度、溶融材料の粘度、駆動装置36の状態等の成形時データを取得するセンサを総称する。ただし、当該センサ37は、上記に限られず、種々の成形時データを取得してもよい。
【0026】
型4は、固定側である第一型4aと、可動側である第二型4bとを備えた金型である。型4は、第一型4aと第二型4bとを型締めすることで、第一型4aと第二型4bとの間にキャビティCを形成する。第一型4aは、ノズル34から供給された溶融材料をキャビティCまで導く供給路4c(スプルー、ランナー、ゲート)を備える。さらに、第一型4a又は第二型4bは、型4の温度等を取得するための各種センサが設けられる。
【0027】
型締装置5は、ベッド2上において射出装置3に対向配置される。型締装置5は、装着された型4の開閉動作を行うと共に、型4を締め付けた状態において、キャビティCに射出された溶融材料の圧力により型4が開かないようにする。
【0028】
型締装置5は、固定盤51、可動盤52、タイバー53、駆動装置54、型締装置用センサ55を備える。固定盤51には、第一型4aが固定される。固定盤51は、射出装置3のノズル34に当接可能であり、ノズル34から射出される溶融材料を型4へ導く。可動盤52には、第二型4bが固定される。可動盤52は、固定盤51に対して接近及び離間可能である。タイバー53は、可動盤52の移動を支持する。駆動装置54は、例えば、シリンダ装置によって構成されており、可動盤52を移動させる。型締装置用センサ55は、型締力、金型温度、駆動装置54の状態等の成形時データを取得するセンサを総称する。
【0029】
動作指令部6は、成形条件に関する動作指令データを制御部7に与える。また、成形機1は、機械学習装置200による品質要素の予測結果に基づき、動作指令部6に記憶された動作指令データの調整を行う動作指令データ調整部6aを備える。動作指令部6は、動作指令データ調整部6aにより調整された動作指令データを制御部7に与えるので、成形機1は、動作指令データの最適化を図ることができると共に、成形する成形品の品質を高めることができる。
【0030】
制御部7は、動作指令部6からの動作指令データに基づいて、射出装置3の駆動装置36及び型締装置5の駆動装置54を制御する。例えば、制御部7は、射出装置用センサ37及び型締装置用センサ55から各種情報を取得して、動作指令データに応じた動作を行うように、射出装置3の駆動装置36及び型締装置5の駆動装置54を制御する。
【0031】
(3-2:成形機1による成形品の成形方法)
続いて、射出成形機としての成形機1による成形品の成形方法について説明する。成形機1による成形方法では、計量工程、型締工程、射出充填工程、保圧工程、冷却工程、離型取出工程が順次実行される。計量工程において、成形機1は、ヒータ35の加熱及びスクリュ33の回転に伴うせん断摩擦熱によってペレットを溶融しながら、加熱シリンダ32の先端とノズル34の間に溶融材料を貯留する。このとき、溶融材料の貯留量の増加に伴ってスクリュ33が後退するため、スクリュ33の後退位置から溶融材料の貯留量の計量が行われる。
【0032】
計量工程に続く型締工程において、成形機1は、可動盤52を移動させて、第一型4aに第二型4bを合わせ、型締めを行う。さらに、成形機1は、加熱シリンダ32を軸方向へ移動させて型締装置5に近づけ、ノズル34を型締装置5の固定盤51に接続する。続く射出充填工程において、成形機1は、スクリュ33の回転を停止した状態において、スクリュ33をノズル34に向けて所定の押し込み力で移動させることにより、溶融材料を高い圧力で型4に射出充填する。成形機1は、キャビティCに溶融材料が充填されると、保圧工程に移行する。
【0033】
保圧工程において、成形機1は、キャビティCに溶融材料が充填された状態で更に溶融材料をキャビティCに押し込み、キャビティC内の溶融材料に所定の圧力(保圧力)を所定時間加える保圧処理を行う。具体的に、成形機1は、スクリュ33に一定の押し込み力を付与することにより、溶融材料に所定の保圧力を付与する。
【0034】
そして、成形機1は、所定時間の保圧処理を行った後、冷却工程へ移行する。冷却工程において、成形機1は、溶融材料の押し込みを停止して保圧力を減少させる処理を行いつつ、キャビティC内の溶融材料を冷却する。最後に、成形機1は、離型取出工程において型開きを行い、成形品を取り出す。
【0035】
(4.機械学習装置200の構成)
次に、
図3を参照しながら、機械学習装置200の構成を説明する。
図3に示すように、機械学習装置200は、選択データ決定装置210と、モデル生成装置220と、予測装置230とを主に備える。
【0036】
選択データ決定装置210は、予測装置230において学習モデルに基づく成形品の特定の品質要素を予測するあたり、学習モデルに入力する成形時データを決定する。具体的に、選択データ決定装置210は、成形機1から取得可能な複数の成形時データである説明変数候補の中から、成形品に関する特定の品質要素である目的変数を説明するための説明変数を決定する。
【0037】
モデル生成装置220は、選択データ決定装置210により決定された成形時データ、及び、入力部110に入力された品質要素データを学習データとする機械学習を行い、成形時データと品質要素データとに関する学習モデルを生成する。予測装置230は、選択データ決定装置210により決定された成形時データと、モデル生成装置220により生成された学習モデルとに基づき、新たに成形された成形品の品質要素を予測する。
【0038】
(4-1. 選択データ決定装置210)
続いて、選択データ決定装置210の構成を説明する。
図4に示すように、選択データ決定装置210は、収集データ取得部211と、収集データ記憶部212と、スパースモデリング処理部213と、調整部214と、選択部215とを主に備える。
【0039】
収集データ取得部211は、サーバ120が収集した品質要素データ及び成形時データを取得し、収集データ記憶部212に記憶する。品質予測システム100において、サーバ120は、通信可能に設けられた入力部110に入力された測定結果を、品質要素データとして収集する。また、成形機1に設けられた各種センサは、サーバ120と通信可能に設けられ、サーバ120は、各種センサによる検出結果を、成形時データとして収集する。
【0040】
スパースモデリング処理部213は、スパースモデリング手法を用いて、複数の説明変数候補のそれぞれについて、目的変数を説明するための説明変数としての個別重要度を取得する。スパースモデリング処理部213は、第一処理部213aと、第二処理部213bと、第三処理部213cと、第四処理部213dとを備える。第一処理部213a、第二処理部213b、第三処理部213c及び第四処理部213dの各々(以下「各処理部」と称す)は、目的変数と複数の説明変数候補とをスパースモデリング手法の入力データとして、複数の説明変数候補ごとの個別重要度をそれぞれ取得する。
【0041】
ここで、個別重要度は、スパースモデリング手法により導出される値であって、特定の目的変数と複数の説明変数候補のそれぞれとの関係の強弱を示す。即ち、個別重要度が高い説明変数候補は、特定の目的変数との関連性が高く、当該目的変数を説明するための説明変数として適していることを示す。
【0042】
また、各処理部は、それぞれが異なるスパースモデリング手法を用いる。本実施形態において、第一処理部213aでは、スパースモデリング手法として、Stepwiseが用いられ、第二処理部213bでは、スパースモデリング手法として、Lassoが用いられる。また、第三処理部213cでは、スパースモデリング手法として、Elastic Netが用いられ、第四処理部213dでは、スパースモデリング手法として、グラフィカルLassoが用いられる。なお、スパースモデリング処理部213は、各処理部で用いるスパースモデリング手法として、他のスパースモデリング手法を用いることも可能である。
【0043】
調整部214は、スパースモデリング処理部213の各処理部が取得した個別重要度に対し、調整済み個別重要度を算出する。この調整済み個別重要度に関して、上記したように、各処理部は、用いるスパースモデリング手法が異なる。そのため、例えば、第一処理部213aが取得した寄与度と第二処理部213bが取得した寄与度とが同じ値であったとしても、第一処理部213aにおける個別重要度と第二処理部213bにおける個別重要度とを同一とみなすべきではない場合がある。
【0044】
この点に関する具体例として、第一処理部213aが取得した寄与度の合計値が1、第二処理部213bが取得した寄与度の合計が0.8であったとする。この場合、第一処理部213aにおける寄与度の値と第二処理部213bにおける寄与度の値が同じであっても、各処理部における寄与度の合計値に対して占める寄与度の割合が異なるので、個別重要度としては両者に差があるとみなすべきだと考えられる。
【0045】
そこで、調整部214は、スパースモデリング処理部213の各処理部が導出した寄与度に応じて、個別重要度としての尺度が同等となるような調整を行った調整済み個別重要度を算出する。なお、調整部214による調整方法は、具体例を挙げながら後述する。
【0046】
選択部215は、スパースモデリング処理部213の各々の処理部が導出した調整済み個別重要度に基づいて総合重要度を算出し、当該総合重要度に基づいて説明変数候補の中から学習モデルの説明変数を選択する。ここで、総合重要度は、説明変数候補ごとの調整済み個別重要度の和、積及び平均の少なくとも1つに基づいて算出された値である。本実施形態において、選択部215は、調整済み個別重要度の和を算出し、算出した値を総合重要度とする。次に、選択部215は、複数の説明変数候補ごとの総合重要度を比較し、総合重要度が高い説明変数候補を、学習モデルの説明変数に適した説明変数候補であると判断し、選択する。
【0047】
このように、選択データ決定装置210は、複数の成形時データ(説明変数候補)の中から、成形品の特定の品質用紙(目的変数)と関連性の高い所定数の成形時データを選択データ(説明変数)に決定する処理を行う。
【0048】
(4-2.モデル生成装置220の構成)
次に、
図5を参照しながら、モデル生成装置220の構成を説明する。モデル生成装置220は、選択データ取得部221と、成形品データ取得部222と、成形品データ記憶部223と、学習モデル生成部224とを備える。
【0049】
選択データ取得部221は、選択データ決定装置210において選択データに決定された成形時データ(説明変数)に関する情報を取得する。成形品データ取得部222は、選択データ取得部221から取得した情報に基づき、サーバ120が取得した全ての成形時データの中から、選択データである成形時データを抽出し、取得する。また、成形品データ取得部222は、入力部110に入力された品質要素データを取得する。そして、成形品データ取得部222が取得した成形時データ及び品質要素データを成形品データ記憶部223に記憶する。
【0050】
学習モデル生成部224は、成形品データ記憶部223に記憶された成形時データ及び品質要素データに基づき、成形時データ及び品質要素データを学習データとする機械学習を行うことにより、成形時データと成形品の品質要素とに関する学習モデルを生成する。この点に関して、学習モデル生成部224は、サーバ120が収集した多量の成形時データ及び品質要素データを、学習モデルを生成する際の機械学習の学習データとして用いるので、学習モデルを効率的に生成できる。
【0051】
なお、成形品データ取得部222は、サーバ120が収集した成形時データの全てを取得してもよい。この場合、成形品データ記憶部223は、成形品データ取得部222が取得した成形時データの中から、選択データである成形時データのみを記憶してもよい。またこの場合、成形品データ記憶部223は、成形品データ取得部222が取得した全ての成形時データを記憶し、学習モデル生成部224が、成形品データ記憶部223の中から選択データである成形時データのみを抽出してもよい。
【0052】
(4-3.予測装置230の構成)
続いて、
図5を参照しながら、予測装置230の構成を説明する。
図5に示すように、予測装置230は、学習モデル記憶部231と、選択データ取得部232と、成形時データ取得部233と、予測部234と、出力部235とを主に備える。
【0053】
学習モデル記憶部231は、モデル生成装置220の学習モデル生成部224により生成された学習モデルを記憶する。選択データ取得部232は、選択データ決定装置210において選択データに決定された成形時データ(説明変数)に関する情報を取得する。成形時データ取得部233は、選択データ取得部232から取得した情報に基づき、成形機1が新たに成形品を成形した際にサーバ120が収集した成形時データを取得する。予測部234は、成形時データ取得部233が取得した成形時データと、学習モデル記憶部231に記憶された学習モデルとに基づき、新たに成形した成形品の品質要素を予測する。
【0054】
出力部235は、予測部234による予測結果の出力を行う。出力部235は、例えば、表示装置(図示せず)への表示による案内、音声による案内、表示灯による案内等を行う。この場合に、出力部235は、予測装置230に設けられた表示装置等に案内を行うようにしてもよいし、複数の成形機1の各々に設けられた表示装置等に案内を行うようにしてもよいし、サーバ120や管理装置130に設けられた表示装置等に案内を行うようにしてもよい。また、出力部235は、予測装置230の使用者または管理者が所有する携帯端末に案内を行うこともできる。
【0055】
なお、予測装置230は、予測部234による品質要素の予測結果に基づき、新たに成形された成形品が良品であるか否かの良否判定を行う判定部を備えていてもよい。またこの場合、出力部235は、判定部による判定結果を出力することも可能である。
【0056】
(5.説明変数の決定手順の概要)
次に、
図6に示すフローチャートを参照しながら、選択データ決定装置210による説明変数(選択データ)の決定手順の概要を説明する。
【0057】
図6に示すように、選択データ決定装置210は、選択データの決定手順での最初の処理として、サーバ120が収集した各種データを取得し、記憶する(S1)。具体的に、収集データ取得部211は、S1の処理において、サーバ120が収集した説明変数候補としての成形時データ、及び、目的変数としての品質要素データを取得し、収集データ記憶部212に記憶する。
【0058】
S1の処理後、選択データ決定装置210は、スパースモデリング処理部213の各処理部において、個別重要度を取得する(S2:スパースモデリング処理工程)。S2の処理において、各処理部は、各々のスパースモデリング手法を用いて、複数の説明変数候補のそれぞれについての寄与度を取得する。
【0059】
S2の処理後、選択データ決定装置210は、説明変数候補の抽出を行う(S3:第一調整工程)。S3の処理において、調整部214は、各処理部において、個別重要度の高い説明変数候補を抽出する。つまり、調整部214は、各処理部において、サーバ120から収集した全ての説明変数候補としての成形時データの中から、目的変数である成形品の品質要素との関連性が低い成形時データを、説明変数候補から除去する。その後、選択データ決定装置210は、調整済み個別重要度を算出する(S4:第二調整工程)。S4の処理において、調整部214は、S3の処理で抽出した説明変数候補について、各処理部においてスパースモデリング手法に応じた調整を行い、調整済み個別重要度を算出する。
【0060】
S4の処理後、選択データ決定装置210は、調整済み個別重要度に基づいて総合重要度を算出する(S5:第一選択工程)。S5の処理において、選択部215は、それぞれの説明変数候補について、各処理部が取得した個別重要度に基づき、それぞれの説明変数候補の総合重要度を算出する。その後、選択データ決定装置210は、S5の処理で算出した総合重要度に基づいて、複数の説明変数候補の中から学習モデルの説明変数を選択する(S6:第二選択工程)。S6の処理において、選択部215は、複数の説明変数のそれぞれの総合重要度を比較し、総合重要度が高い所定数の説明変数候補としての成形時データを、学習モデルの説明変数として用いる選択データに決定する。
【0061】
このように、機械学習装置200において、選択データ決定装置210は、互いに異なる複数のスパースモデリング手法を用いた処理で得られた個別重要度に基づいて、複数の説明変数候補ごとの総合重要度を算出する。そして、選択データ決定装置210は、当該総合重要度に基づき、複数の説明変数候補の中から、説明変数として適した説明変数候補を選択する。よって、機械学習装置200は、複数の説明変数候補の中から、特定の目的変数を説明するための説明変数として適した説明変数候補を確実に選択できる。
【0062】
(6.説明変数の決定手順の具体例)
続いて、説明変数の決定手順の具体例について、例を挙げながら説明する。以下に示す例において、選択データ決定装置210が説明変数候補として成形機1から取得する成形時データは、金型温度、シリンダ温度、ノズル温度、背圧、保圧力、保圧時間、冷却時間、射出速度、保圧リミット速度、V-P切り替え及びスクリュ回転数である。なお、選択データ決定装置210は、説明変数候補として、上記以外の成形時データを取得することも可能である。
【0063】
(6-1.第一例の調整工程及び選択工程)
最初に、
図7及び
図8を参照しながら、第一例の調整工程及び選択工程について説明する。
図7に示すように、第一例の調整工程は、第一調整工程において、寄与度が0.01以上の説明変数候補を抽出する。なお、調整部214は、説明変数候補を抽出する際の寄与度の基準値を0.01よりも大きな値とすることも可能である。次に、第一例の調整工程は、第二調整工程において、抽出した説明変数候補に対し、寄与度が高い順に高い点数を付与する。つまり、第一例の調整部214は、個別重要度に応じた点数を調整済み個別重要度として算出し、説明変数候補に付与する。
【0064】
例えば、第一処理部213aに関して、調整部214は、抽出した説明変数候補の中で最も寄与度が高い説明変数候補である「金型温度」に10点を付与し、2番目に寄与度が高い説明変数候補である「保圧力」に9点を付与する。以下、調整部214は、個別重要度の順位が1つ下がる毎に付与する点数を1点ずつ減らす。即ち、第一例の調整部214は、個別重要度に応じた点数を等差級数的に付与する。このように、調整部214は、スパースモデリング処理部213の各処理部が導出した寄与度に応じた点数を説明変数候補ごとに付与することで、個別重要度としての尺度が同等となるように調整された調整済み個別重要度を算出できる。
【0065】
次に、
図8に示すように、第一例の選択工程は、第一選択工程において、調整部214が算出した点数に基づいて総合重要度を算出する。つまり、第一例の選択部215は、説明変数候補のそれぞれに対して付与された点数の和(合計点)を、総合重要度として算出する。続いて、第一例の選択工程は、第二選択工程において、総合重要度(合計点)に基づき、学習モデルの説明変数を選択する。本例において、選択部215は、第二選択工程において、総合重要度が30点以上である説明変数候補(金型温度、保圧力、保圧時間及びシリンダ温度)を選択する。
【0066】
このように、第一例の選択部215は、複数の説明変数候補の中から、総合重要度が所定の閾値以上(本例において30点以上)である説明変数候補を学習モデルの説明変数として選択する。これにより、選択データ決定装置210は、複数の説明変数候補の中から、目的変数と高い相関がある所定数の説明変数を選択できる。よって、使用者は、成形品の品質要素を向上させる目的で動作条件の最適化を行うにあたり、調整可能な多数の動作条件の中から、成形品の特定の品質要素を向上させるために調整すべき動作条件を絞り込むことができる。その結果、使用者は、動作条件の最適化に要する時間を短縮できる。
【0067】
(6-2.第二例の調整工程及び選択工程)
次に、
図9及び
図10を参照しながら、第二例の調整工程及び選択工程について説明する。
図9に示すように、第二例の調整工程は、第一調整工程において、寄与度が高い5つの説明変数候補を抽出する。なお、例えば、寄与度が所定の閾値以上(例えば、0.01以上)である説明変数候補が5つに満たない場合には、抽出する説明変数候補を5つ未満とすることも可能である。
【0068】
次に、第二例の調整工程は、第二調整工程において、抽出した説明変数候補に対し、寄与度が高い順に高い点数を付与する。つまり、第二例の調整部214は、個別重要度に応じた点数を調整済み個別重要度として算出し、説明変数候補に付与する。
【0069】
例えば、第一処理部213aに関して、調整部214は、抽出した説明変数候補の中で最も寄与度が高い説明変数候補である「金型温度」に10点を付与し、2番目に寄与度が高い説明変数候補である「保圧力」に6点を付与する。また、調整部214は、3番目に寄与度が高い説明変数候補である「保圧時間」に4点、4番目に寄与度が高い設目変数候補である「シリンダ温度」に2点、5番目に寄与度が高い説明変数候補である「射出温度」に1点を付与する。このように、第二例の調整部214は、個別重要度に応じた点数を等比級数的に付与する。なお、「等比級数的」とは、例えば、1位と2位との点数差が、2位と3位との点数差や、3位と4位との点数差と異なることを意味する。また、1位と2位との点数差は、2位と3位との点数差や3位と4位との点数差より小さく設定することも可能である。
【0070】
次に、
図10に示すように、第二例の選択工程は、第一選択工程において、調整部214が算出した点数に基づいて総合重要度を算出する。つまり、第二例の選択部215は、説明変数候補のそれぞれに対して付与された点数の和(合計点)を、総合重要度として算出する。続いて、第二例の選択工程は、第二選択工程において、総合重要度(合計点)に基づき、学習モデルの説明変数を選択する。本例において、選択部215は、第二選択工程において、総合重要度が10点以上である説明変数候補(金型温度、保圧力、保圧時間及びシリンダ温度)を選択する。
【0071】
このように、第二例の選択部215は、複数の説明変数候補の中から、総合重要度が所定の閾値以上(本例において10点以上)である説明変数候補を学習モデルの説明変数として選択する。これにより、選択データ決定装置210は、複数の説明変数候補の中から、目的変数と高い相関がある所定数の説明変数を選択できる。
【0072】
(6-3.第三例の調整工程及び選択工程)
次に、
図11及び
図12を参照しながら、第三例の調整工程及び選択工程について説明する。
図11に示すように、第三例の調整工程は、第一調整工程において、寄与度が0.01以上の説明変数候補を抽出する。
【0073】
次に、第三例の調整工程は、第二調整工程において、各処理部のスパースモデリング手法に応じた調整を行う。具体的には、
図11に示す例において、第一処理部213a及び第三処理部213cは、個別重要度の合計が1となるのに対し、第二処理部213bの個別重要度の合計は、0.8であり、第四処理部213dの個別重要度の合計は、0.9である。
【0074】
そこで、第三例の調整部214は、第二処理部213bが取得した個別重要度に10/8を乗じた値を算出し、算出した値を第二処理部213bにおける調整済み個別重要度とする。同様に、第三例の調整部214は、第四処理部213dが取得した個別重要度に10/9を乗じた値を算出し、算出した値を第四処理部213dにおける調整済み個別重要度とする。また、第三例の調整部214は、第一処理部213a及び第三処理部213cが取得した個別重要度を、そのまま調整済み個別重要度とする。
【0075】
なお、各処理部のスパースモデリング手法に応じた調整方法は、上記に限られるものではない。例えば、調整部214は、最も寄与度が高い説明変数候補の調整済み個別重要度の値が「1」となるような調整を行ってもよい。
【0076】
次に、
図12に示すように、第三例の選択工程は、第一選択工程において、各処理部にて説明変数候補ごとに算出した調整済み個別重要度の和を、総合重要度として算出する。続いて、第三例の選択工程は、第二選択工程において、総合重要度(個別重要度の和)に基づき、学習モデルの説明変数を選択する。本例において、選択部215は、第二選択工程において、総合重要度が高い順に3つの説明変数候補(金型温度、保圧力及び保圧時間)を選択する。
【0077】
このように、第三例の選択部215は、複数の説明変数候補の中から、総合重要度が高い3つの説明変数候補を学習モデルの説明変数として選択する。これにより、選択データ決定装置210は、複数の説明変数候補の中から、目的変数と高い相関がある所定数の説明変数を選択できる。
【符号の説明】
【0078】
1:成形機(処理装置の一例)、 6:動作指令部、 6a:動作指令データ調整部、 7:制御部、 130:管理装置、 200:機械学習装置、 213:スパースモデリング処理部、 214:調整部、 215:選択部、 224:学習モデル生成部、 231:学習モデル記憶部、 234:予測部、S2:スパースモデリング処理工程、 S3:第一調整工程(調整工程の一部)、 S4:第二調整工程(調整工程の一部)、 S5:第一選択工程(選択工程の一部)、 S6:第二選択工程(選択工程の一部)