(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】高電圧補機および高電圧補機制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20221220BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221220BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20221220BHJP
B60L 58/20 20190101ALI20221220BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20221220BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H02J1/00 308C
H02J1/00 309U
H02J1/00 308K
H02J7/00 P
H02J7/00 Z
B60L53/14
B60L58/20
B60L1/00 L
H02M3/28 B
(21)【出願番号】P 2019047354
(22)【出願日】2019-03-14
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 輝明
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-011904(JP,A)
【文献】特開2013-176251(JP,A)
【文献】特開2011-250670(JP,A)
【文献】国際公開第2014/199630(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00ー1/16
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両(2)に搭載される高電圧バッテリ(6)から電力を供給されて駆動する高電圧補機において、
前記高電圧バッテリと負荷(21)との電気的な接続および遮断を切り替える主回路(22)と、
前記主回路の駆動を制御する駆動制御回路(23)と、
前記電動車両に搭載される低電圧バッテリ(7)または前記高電圧バッテリから供給される電力を前記主回路および前記駆動制御回路が駆動する電圧に変換し、前記主回路および前記駆動制御回路に電力を供給する内部スイッチング電源(24)と、を備え、
前記高電圧バッテリに電源ライン(5)を介して電気的に接続する車両コネクタ(4)と車外に設置される急速充電設備(3)の外部コネクタ(10)とが接続された場合、前記内部スイッチング電源が動作を停止するように構成されている、高電圧補機。
【請求項2】
前記内部スイッチング電源とは異なる電源により駆動し、外部との通信を行うと共に前記内部スイッチング電源の動作を制御する通信制御回路(25)をさらに備え、
前記通信制御回路は、
前記急速充電設備の前記外部コネクタと前記車両コネクタとの接続が検出された場合、前記内部スイッチング電源の動作を停止し、
前記急速充電設備の前記外部コネクタと前記車両コネクタとの接続が外れたことが検出された場合、前記内部スイッチング電源を動作させる、請求項1に記載の高電圧補機。
【請求項3】
前記急速充電設備の前記外部コネクタと前記車両コネクタとが接続された場合、前記内部スイッチング電源から前記主回路と前記駆動制御回路への電力供給が停止し、前記通信制御回路が起動している状態であるスリープモードとなり、
前記急速充電設備の前記外部コネクタと前記車両コネクタとの接続が外れた場合、前記内部スイッチング電源から前記主回路と前記駆動制御回路へ電力が供給され、前記通信制御回路が起動している状態である起動モードとなる、請求項2に記載の高電圧補機。
【請求項4】
車外に設置される急速充電設備の外部コネクタが接続される車両コネクタ(4)、前記車両コネクタから電源ライン(5)を介して供給される電力を蓄電する高電圧バッテリ(6)、および、前記高電圧バッテリよりも低電圧の電力を蓄電する低電圧バッテリ(7)を備える電動車両(2)に搭載される高電圧補機制御システムにおいて、
請求項1に記載の前記高電圧補機(1)と、
前記急速充電設備の前記外部コネクタと前記車両コネクタとの接続が検出された場合、前記高電圧補機が有する前記内部スイッチング電源の動作を停止するための信号を前記高電圧補機に出力する充電制御装置(9)と、を備える高電圧補機制御システム。
【請求項5】
前記高電圧補機は、前記内部スイッチング電源とは異なる電源により駆動し、外部との通信を行うと共に前記内部スイッチング電源の動作を制御する通信制御回路を備え、
前記充電制御装置は、
前記急速充電設備の前記外部コネクタと前記車両コネクタとの接続が検出された場合、前記高電圧補機の前記通信制御回路に対し前記内部スイッチング電源の動作を停止するための信号を出力し、
前記急速充電設備の前記外部コネクタと前記車両コネクタとの接続が外れたことが検出された場合、前記高電圧補機の前記通信制御回路に対し前記内部スイッチング電源を動作させるための信号を出力する、請求項4に記載の高電圧補機制御システム。
【請求項6】
前記高電圧補機が有する前記内部スイッチング電源は、
前記高電圧バッテリまたは前記低電圧バッテリに電気的に接続される1次巻線(26)と、
前記1次巻線と共にトランスを構成し、前記主回路および前記駆動制御回路にそれぞれ電気的に接続される複数の2次巻線(27、28)と、
前記1次巻線に流れる電力を高速でオンオフするスイッチング素子(29)と、
前記スイッチング素子を駆動するドライバ回路(30)と、
前記スイッチング素子と前記ドライバ回路とを電気的に接続する信号線(31)と、
一端が前記信号線に電気的に接続され、他端がグランドに電気的に接続される信号遮断スイッチ(32)と、を備え、
前記急速充電設備の前記外部コネクタと前記車両コネクタとが接続された場合、前記信号遮断スイッチをオンすることで、前記ドライバ回路から前記スイッチング素子に出力される駆動信号を遮断し、
前記急速充電設備の前記外部コネクタと前記車両コネクタとの接続が外れた場合、前記信号遮断スイッチをオフすることで、前記ドライバ回路から前記スイッチング素子に駆動信号が出力されることを許容するように構成されている、請求項5に記載の高電圧補機制御システム。
【請求項7】
前記充電制御装置は、
前記急速充電設備の前記外部コネクタと前記車両コネクタとの接続が検出された場合、前記高電圧補機が有する前記信号遮断スイッチをオンするための信号を出力し、
前記急速充電設備の前記外部コネクタと前記車両コネクタとの接続が外れたことが検出された場合、前記高電圧補機が有する前記信号遮断スイッチをオフするための信号を出力する、請求項6に記載の高電圧補機制御システム。
【請求項8】
前記高電圧補機は、高電圧ヒータ(20)、電動コンプレッサ(13)、DC/DCコンバータ(14)、または、外部給電機(15)の少なくとも1つである、請求項4ないし7のいずれか1つに記載の高電圧補機制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に搭載される高電圧補機、および、その高電圧補機の駆動を制御する高電圧補機制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車外に設置される急速充電設備(以下、単に「急速充電設備」という)により急速充電を行うことが可能な電動車両が知られている。電動車両は、高電圧を蓄電する高電圧バッテリ、その高電圧バッテリから供給される電力により駆動する主機(すなわち、走行用モータ)および種々の高電圧補機などを搭載している。
【0003】
特許文献1に記載の電動車両は、急速充電設備の外部コネクタが接続される車両コネクタと高電圧バッテリとを接続するバッテリ回路に第1遮断器を設置し、高電圧バッテリと所定の高電圧補機とを接続する機器回路に第2遮断器を設置した構成である。この電動車両は、急速充電設備から高電圧バッテリに充電が行われる際に第1遮断器をオンし、第2遮断器をオフする。これにより、高電圧バッテリの充電時に、高電圧補機が発生するノイズが電源ライン、車両コネクタ、外部コネクタなどを経由して急速充電設備に流出することを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の電動車両は、高電圧バッテリと所定の高電圧補機とを接続する機器回路に第2遮断器を設置しているので、体格の大型化、重量の増加、製造コストの増加を招くといった問題がある。また、その遮断器を保護するために遮断器の開閉時の突入電流を抑制する手段や、アーク放電を抑制する手段が必要となり、構成が複雑になるといった問題がある。そのため、高電圧バッテリと高電圧補機とを接続する機器回路に遮断器を設置することなく、より簡素な構成で、高電圧補機から発生するノイズが急速充電設備に流出することを防ぐことが望ましい。
【0006】
その方法として、電動車両に適用される高電圧補機は、高電圧バッテリの充電中に必ずしも作動することを求められないため、高電圧補機の負荷への通電を停止することが考えられる。
【0007】
しかしながら、電動車両に搭載される高電圧補機の多くは、内部スイッチング電源を有している。内部スイッチング電源は、高電圧バッテリまたは低電圧バッテリから供給される電力を変圧し、自身の有するマイコン、センサ、ドライバIC等へ電力を供給するものである。そして、一般に、その内部スイッチング電源は、高電圧バッテリまたは低電圧バッテリから電力が供給されると自動的に起動する構成とされている。そのため、高電圧バッテリの充電時に内部スイッチング電源が駆動し、そこから発生するノイズが機器回路、バッテリ回路、車両コネクタ、外部コネクタなどを経由して急速充電設備に流出すると、急速充電設備の電源系統に不具合を発生させるおそれがある。これを防ぐため、EMC(electromagnetic compatibility)対策部品を追加すれば、電気回路の構成が複雑になり、体格の大型化、重量の増加、製造コストの増加を招くことになる。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、急速充電設備に対するノイズの流出を簡素な構成で抑制することの可能な高電圧補機および高電圧補機制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、電動車両に搭載される高電圧バッテリから電力を供給されて駆動する高電圧補機に関するものである。高電圧補機は、主回路、駆動制御回路および内部スイッチング電源を備える。主回路は、高電圧バッテリと負荷との電気的な接続および遮断を切り替える。駆動制御回路は、主回路の駆動を制御する。内部スイッチング電源は、電動車両に搭載される低電圧バッテリまたは高電圧バッテリから供給される電力を主回路および駆動制御回路が駆動する電圧に変換し、主回路および駆動制御回路に電力を供給する。そして、この高電圧補機は、高電圧バッテリに電源ラインを介して電気的に接続する車両コネクタと急速充電設備の外部コネクタとが接続された場合、内部スイッチング電源が動作を停止するように構成されている。
【0010】
これによれば、高電圧バッテリの充電時、内部スイッチング電源が動作を停止するので、内部スイッチング電源の動作に起因するノイズが、主回路、電源ライン、車両コネクタおよび外部コネクタを経由して急速充電設備に流出することが防がれる。したがって、この高電圧補機は、体格の大型化、重量の増加、製造コストを増加することなく、より簡素な構成で、急速充電設備にノイズが流出することを抑制することができる。
【0011】
請求項4に係る発明は、電動車両に搭載される高電圧補機制御システムに関するものである。高電圧補機制御システムは、車外に設置される急速充電設備の外部コネクタが接続される車両コネクタ、その車両コネクタから電源ラインを介して供給される電力を蓄電する高電圧バッテリ、および、高電圧バッテリよりも低電圧の電力を蓄電する低電圧バッテリを備える電動車両に搭載される。高電圧補機制御システムは、請求項1に記載の高電圧補機、および、充電制御装置を備える。充電制御装置は、急速充電設備の外部コネクタと車両コネクタとの接続が検出された場合、高電圧補機が有する内部スイッチング電源の動作を停止するための信号を高電圧補機に出力する。
【0012】
これによれば、高電圧バッテリの充電時、充電制御装置から高電圧補機に出力される信号により、内部スイッチング電源が動作を停止する。そのため、内部スイッチング電源の動作に起因するノイズが急速充電設備に流出することを防ぐことができる。
【0013】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る高電圧補機および高電圧補機制御システムが搭載される電動車両の電気回路図である。
【
図2】高電圧補機制御システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図3】内部スイッチング電源の駆動時のノイズ発生例を示す実験結果である。
【
図4】内部スイッチング電源の停止時のノイズ発生例を示す実験結果である。
【
図5】第2実施形態に係る高電圧補機および高電圧補機制御システムが搭載される電動車両の電気回路図である。
【
図6】第3実施形態に係る高電圧補機および高電圧補機制御システムが搭載される電動車両の電気回路図である。
【
図7】第4実施形態に係る高電圧補機および高電圧補機制御システムが搭載される電動車両の電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の複数の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0016】
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態の高電圧補機1は、電動車両2に搭載されるものである。この電動車両2は、車外に設置される急速充電設備3による急速充電が可能に構成されている。
【0017】
まず、本実施形態の高電圧補機1が搭載される電動車両2について説明する。
電動車両2は、車両コネクタ4、電源ライン5、高電圧バッテリ6、低電圧バッテリ7、メイン電源制御装置8、充電制御装置9および複数の高電圧補機1などを備えている。
【0018】
車両コネクタ4は、急速充電設備3の外部コネクタ10が着脱可能に構成されている。
高電圧バッテリ6は、車両コネクタ4から電源ライン5を介して供給される電力を蓄電する電源装置である。高電圧バッテリ6は、例えば、リチウムイオン二次電池により構成される。
低電圧バッテリ7は、高電圧バッテリ6よりも低電圧の電力を蓄電する電源装置である。低電圧バッテリ7は、高電圧バッテリ6からDC/DCコンバータ14により電圧変換された電力を蓄電する。
【0019】
車両コネクタ4と高電圧バッテリ6とは、電源ライン5により電気的に接続される。この電源ライン5には、システムメインリレー11および急速充電リレー12が設けられている。
【0020】
システムメインリレー11は、高電圧バッテリ6と電源ライン5との電気的な接続状態と遮断状態とを切り替える。システムメインリレー11の動作は、メイン電源制御装置8により制御される。
メイン電源制御装置8の制御信号によりシステムメインリレー11が接続状態となると、高電圧バッテリ6から電源ライン5および各補機配線16~19を介して複数の高電圧補機1に電力が供給される。なお、高電圧補機1として、高電圧ヒータ20、電動コンプレッサ13、DC/DCコンバータ14、外部給電機15などが例示される。
【0021】
急速充電リレー12は、車両コネクタ4と電源ライン5との電気的な接続状態と遮断状態とを切り替える。急速充電リレー12の動作は、充電制御装置9により制御される。
充電制御装置9は、急速充電設備3の外部コネクタ10と車両コネクタ4との接続(以下、「充電コネクタの接続」という)が検出されると、急速充電設備3と通信を行いつつ、急速充電設備3から高電圧バッテリ6への充電状態を制御する。具体的には、充電制御装置9は、充電コネクタの接続が検出されると、急速充電リレー12を接続状態とし、且つ、その情報をメイン電源制御装置8に伝送する。メイン電源制御装置8は、充電制御装置9からその情報を受信すると、システムメインリレー11を接続状態とする。これにより、車両コネクタ4と高電圧バッテリ6とが電源ライン5を介して電気的に接続される。この状態で、急速充電設備3から高電圧バッテリ6に対し急速充電を行うことが可能となる。
【0022】
高電圧補機1は、高電圧バッテリ6から電力を供給されて駆動する装置である。本実施形態では、高電圧補機1について、高電圧ヒータ20を例として説明する。高電圧ヒータ20は、例えば、図示しない車室内空調装置が生成する空調風の加熱、または、高電圧バッテリ6の暖機などに用いられる。
【0023】
高電圧ヒータ20は、負荷21、主回路22、駆動制御回路23、内部スイッチング電源24および通信制御回路25などを備えている。高電圧ヒータ20の負荷21は、例えば電熱線である。主回路22、駆動制御回路23、内部スイッチング電源24および通信制御回路25は、単一の基板に形成されていてもよく、または、複数の基板に形成されていてもよい。
【0024】
主回路22は、高電圧バッテリ6と負荷21との電気的な接続および遮断を切り替えるための電子制御回路である。主回路22は、補機配線16と負荷21とを電気的に接続する回路の途中に、図示しない高電圧スイッチング素子を有している。高電圧スイッチング素子として、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられる。高電圧スイッチング素子がオンすると、補機配線16と負荷21とが電気的に接続され、高電圧バッテリ6から電源ライン5および補機配線16を経由して負荷21に電流が流れる。高電圧スイッチング素子がオフすると、補機配線16と負荷21との電気的接続が遮断される。
【0025】
駆動制御回路23は、マイコン、センサなどから構成される電子制御回路である。駆動制御回路23は、主回路22の制御を担当する。駆動制御回路23は、負荷21の温度および消費電力などに関する検出値を取得する。そして、駆動制御回路23は、負荷21としての電熱線に要求される熱量などに応じて、主回路22の有する高電圧スイッチング素子の駆動を制御する。
【0026】
内部スイッチング電源24は、低電圧バッテリ7から供給される電力を主回路22および駆動制御回路23が駆動する電圧に変換し、主回路22および駆動制御回路23に電力を供給するための電源装置である。内部スイッチング電源24は、スイッチング方式直流安定化電源とも呼ばれる。
【0027】
内部スイッチング電源24は、1次巻線26、複数の2次巻線27、28、スイッチング素子29およびドライバ回路30などを備えている。
1次巻線26と複数の2次巻線27、28は、トランスを構成している。1次巻線26は、低電圧バッテリ7に電気的に接続されている。複数の2次巻線のうち、一方の2次巻線27は、主回路22に電気的に接続されている。複数の2次巻線のうち、他方の2次巻線28は、駆動制御回路23に電気的に接続されている。
【0028】
スイッチング素子29は、1次巻線26に流れる電力を高速で繰り返しオンオフするための半導体スイッチング素子である。
ドライバ回路30は、スイッチング素子29を駆動するための回路である。ドライバ回路30は、2次巻線27、28の出力電圧と基準電圧とを比較し、スイッチング素子29がオンオフ駆動するデューティ比を制御する。
【0029】
通信制御回路25は、充電制御装置9および駆動制御回路23と通信を行うと共に、内部スイッチング電源24の駆動および停止を指示する回路である。通信制御回路25は、ドライバ回路30の駆動を制御する。通信制御回路25は、内部スイッチング電源24とは異なる電源から供給される電力により駆動する。例えば、通信制御回路25は、低電圧バッテリ7から内部スイッチング電源24を経由することなく供給される電力により駆動する。
【0030】
通信制御回路25がドライバ回路30に対して駆動を指示すると、ドライバ回路30からスイッチング素子29をオンオフ駆動させるための信号が出力する。ドライバ回路30の出力信号に応じてスイッチング素子29がオンオフ駆動すると、低電圧バッテリ7から供給される電力がトランスにより主回路22が駆動する電圧と駆動制御回路23が駆動する電圧にそれぞれ電圧変換される。そして、内部スイッチング電源24から主回路22と駆動制御回路23に電力が供給される。
【0031】
また、上述した駆動制御回路23は、負荷21の温度および消費電力などに関する検出値を取得すると、その情報を通信制御回路25に伝送する。通信制御回路25は、それらの情報を、充電制御装置9などの外部の電子制御装置に伝送する。
【0032】
上述した高電圧補機1(例えば高電圧ヒータ20)と充電制御装置9とは、高電圧補機制御システムを構成する。高電圧補機制御システムは、高電圧バッテリ6の急速充電時に、高電圧補機1から急速充電設備3へのノイズの流出を抑制するように構成されたものである。
【0033】
上述した高電圧補機制御システムが実行する制御処理を
図2のフローチャートを参照して説明する。
この処理が開始されると、ステップS10で充電制御装置9は、充電コネクタの接続に関する情報を取得する。
次に、ステップS20で充電制御装置9は、充電コネクタの接続の有無、すなわち、電動車両1の車両コネクタ4と急速充電設備3の外部コネクタ10とが接続されているか否かを判定する。充電制御装置9は、充電コネクタの接続が検出された場合、処理をステップS30に移行する。
【0034】
ステップS30で充電制御装置9は、高電圧ヒータ20の通信制御回路25に対し、高電圧ヒータ20をスリープモードに遷移させるためのモード切り替えフラグを出力する。通信制御回路25は、モード切り替えフラグを受信すると、その情報を駆動制御回路23に伝送する。そして、通信制御回路25は、高電圧ヒータ20をスリープモードに遷移する。ここで、スリープモードとは、高電圧ヒータ20の電力消費量が少ない状態であり、具体的には、内部スイッチング電源24から主回路22と駆動制御回路23への電力供給が停止し、通信制御回路25が起動している状態をいう。
【0035】
続いて、ステップS40で高電圧ヒータ20の通信制御回路25は、内部スイッチング電源24の駆動を停止する。具体的には、通信制御回路25は、ドライバ回路30からスイッチング素子29への駆動信号の出力を停止させる。これにより、スイッチング素子29がオンオフ駆動を停止する。したがって、内部スイッチング電源24から主回路22と駆動制御回路23への電力供給が停止する。なお、内部スイッチング電源24が駆動を停止するので、内部スイッチング電源24の駆動に起因するノイズの発生が無くなる。
【0036】
続いて、ステップS50で充電制御装置9は、急速充電リレー12を接続状態とする。なお、このとき、メイン電源制御装置8はシステムメインリレー11を接続状態とする。これにより、車両コネクタ4と高電圧バッテリ6とが電源ライン5を介して電気的に接続される。
【0037】
次に、ステップS60で、急速充電設備3から高電圧バッテリ6へ急速充電が行われる。その際、充電制御装置9は急速充電設備3と通信を行い、急速充電設備3から高電圧バッテリ6への充電状態を制御する。
【0038】
ステップS70で充電制御装置9は、高電圧バッテリ6の充電が完了したか否かを判定する。充電制御装置9は、高電圧バッテリ6の充電が完了したことを判定した場合、処理をステップS80に移行する。
ステップS80で充電制御装置9は、急速充電リレー12を遮断状態とする。これにより、車両コネクタ4と電源ライン5との電気的接続が遮断される。
そして、処理は、再びステップS10に移行する。そして再び上述したステップS10およびS20の処理が行われる。
【0039】
ステップS20で電制御装置は、充電コネクタの接続が外れたことが検出された場合、処理をステップS90に移行する。
【0040】
ステップS90で充電制御装置9は、高電圧ヒータ20の通信制御回路25に対し、上述したモード切り替えフラグを解除する。通信制御回路25は、モード切り替えフラグの解除を受信すると、高電圧ヒータ20をスリープモードから解除する。
【0041】
続いて、ステップS100で通信制御回路25は、内部スイッチング電源24を駆動する。具体的には、通信制御回路25は、ドライバ回路30からスイッチング素子29へ駆動信号を出力させる。これにより、スイッチング素子29がオンオフ駆動を再開する。したがって、内部スイッチング電源24から主回路22と駆動制御回路23へ電力が供給され、高電圧ヒータ20は起動モードに遷移する。
その後、処理は、再びステップS10に移行し、上述した処理が繰り返し行われる。
【0042】
次に、本実施形態の高電圧補機1および高電圧補機制御システムによるノイズ低減効果について、
図3および
図4を参照して説明する。
【0043】
図3は、高電圧補機1の内部スイッチング電源24が駆動し、且つ、主回路から負荷への電力供給が停止している状態において、高電圧補機1のノイズ発生例を示したものである。
これに対し、
図4は、高電圧補機1の内部スイッチング電源24が停止している状態(すなわち、スリープモード)において、高電圧補機1のノイズ発生例を示したものである。
なお、
図3および
図4は、所定の時間測定したノイズを高速フーリエ変換したものであり、横軸に周波数を示し、縦軸にノイズレベルを示している。
【0044】
図3に示すように、高電圧補機1の内部スイッチング電源24が駆動し、且つ、主回路から負荷への電力供給が停止している場合、内部スイッチング電源24のスイッチング素子29が駆動する周波数を基本波として、複数の高調波が発生している。
図3では、その複数の高調波のノイズレベルが所定の閾値Thを超えている。なお、所定の閾値Thは、国際規格または車両メーカ等の規格ラインに相当する。
【0045】
これに対し、
図4に示すように、高電圧補機1の内部スイッチング電源24が停止している場合、高電圧補機1から発生するノイズは極めて小さいものとなっている。
図4では、高電圧補機1から発生するノイズは、所定の閾値Thに対し極めて小さい値となっている。このことから、高電圧補機1の内部スイッチング電源24を停止することで、ノイズを確実に低減可能であることが読み取れる。
【0046】
以上説明した本実施形態の高電圧補機1および高電圧補機制御システムは、次の作用効果を奏するものである。
(1)本実施形態の高電圧補機1は、急速充電設備3の外部コネクタ10と車両コネクタ4とが接続された場合、内部スイッチング電源24が動作を停止するように構成されている。
これによれば、高電圧バッテリ6の充電時、内部スイッチング電源24が動作を停止するので、内部スイッチング電源24の動作に起因するノイズが、主回路22、補機配線16、電源ライン5、車両コネクタ4および外部コネクタ10を経由して急速充電設備3に流出することが防がれる。したがって、この高電圧補機1は、体格の大型化、重量の増加、製造コストを増加することなく、より簡素な構成で、急速充電設備3にノイズが流出することを抑制することができる。
【0047】
(2)本実施形態の高電圧補機1は、外部との通信を行うと共に内部スイッチング電源24の動作を制御する通信制御回路25を有する。通信制御回路25は、内部スイッチング電源24とは異なる電源(例えば、低電圧バッテリ7から供給される電力)により駆動する。通信制御回路25は、充電コネクタの接続が検出された場合、内部スイッチング電源24の動作を停止する。また、通信制御回路25は、充電コネクタの接続が外れたことが検出された場合、内部スイッチング電源24を動作させる。
これによれば、高電圧バッテリ6の充電時、内部スイッチング電源24の動作が停止した場合でも、通信制御回路25は継続して起動し、外部との通信を行うことが可能である。そのため、高電圧バッテリ6の充電が終了した際、通信制御回路25により内部スイッチング電源24を動作させることができる。
【0048】
(3)本実施形態の高電圧補機1は、急速充電設備3の外部コネクタ10と車両コネクタ4とが接続された場合、スリープモードとなる。一方、急速充電設備3の外部コネクタ10と車両コネクタ4との接続が外れた場合、起動モードとなる。
これによれば、高電圧バッテリ6の充電時、スリープモードとなることで、内部スイッチング電源24の動作を停止することができる。
【0049】
(4)本実施形態の高電圧補機制御システムは、高電圧補機1と充電制御装置9を備える。充電制御装置9は、充電コネクタの接続が検出された場合、高電圧補機1の通信制御回路25に対しモード切り替えフラグを出力する。なお、モード切り替えフラグは、内部スイッチング電源24の動作を停止し、高電圧補機1をスリープモードにするための信号である。
これによれば、高電圧バッテリ6の充電時、充電制御装置9から出力されるモード切り替えフラグにより、内部スイッチング電源24が動作を停止する。そのため、高電圧補機1はスリープモードとなる。したがって、内部スイッチング電源24の動作に起因するノイズが急速充電設備3に流出することを防ぐことができる。
【0050】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対して高電圧補機1の構成の一部を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0051】
図5に示すように、第2実施形態では、高電圧補機1としての高電圧ヒータ20は、内部スイッチング電源24のトランスを構成する1次巻線26が、高電圧バッテリ6に電気的に接続されている。この構成によっても、内部スイッチング電源24は、高電圧バッテリ6から供給される電力を変圧し、主回路22および駆動制御回路23が駆動する電力を生成することが可能である。したがって、第2実施形態の構成によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0052】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態等に対して高電圧補機1の構成の一部を変更したものであり、その他については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
図6に示すように、第3実施形態では、高電圧補機1としての高電圧ヒータ20は、内部スイッチング電源24のドライバ回路30からスイッチング素子29に出力される駆動信号を遮断することの可能な信号遮断スイッチ32を有している。信号遮断スイッチ32の一端は、スイッチング素子29とドライバ回路30とを電気的に接続する信号線31に電気的に接続されている。信号遮断スイッチ32の他端は、グランドに電気的に接続されている。
この信号遮断スイッチ32をオンすることで、ドライバ回路30からスイッチング素子29に出力される駆動信号が遮断される。一方、この信号遮断スイッチ32をオフすることで、ドライバ回路30からスイッチング素子29に駆動信号が出力されることが許容される。
【0054】
第3実施形態では、充電制御装置9は、充電コネクタの接続が検出された場合、信号遮断スイッチ32をオンするための信号を出力する。これにより、高電圧バッテリ6の充電時、ドライバ回路30からスイッチング素子29に出力される駆動信号が遮断されるので、内部スイッチング電源24が動作を停止する。したがって、高電圧バッテリ6の充電時、急速充電設備3にノイズが流出することを抑制することができる。
【0055】
一方、充電制御装置9は、充電コネクタの接続が外れたことが検出された場合、信号遮断スイッチ32をオフするための信号を出力する。これにより、ドライバ回路30からスイッチング素子29に駆動信号が出力され、内部スイッチング電源24が動作を再開する。
以上説明した第3実施形態の構成によっても、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第3実施形態等に対して高電圧補機1の構成の一部を変更したものであり、その他については第3実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0057】
図7に示すように、第4実施形態の高電圧補機1としての高電圧ヒータ20も、第3実施形態と同様に、内部スイッチング電源24のドライバ回路30からスイッチング素子29に出力される駆動信号を遮断することの可能な信号遮断スイッチ32を有している。
【0058】
第4実施形態では、充電制御装置9は、充電コネクタの接続が検出された場合、高電圧ヒータ20が有する信号遮断スイッチ32をオンするための信号を、高電圧ヒータ20の通信制御回路25に出力する。通信制御回路25は、その信号を受信すると、信号遮断スイッチ32をオンする。これにより、高電圧バッテリ6の充電時、ドライバ回路30からスイッチング素子29に出力される駆動信号が遮断されるので、内部スイッチング電源24が動作を停止する。したがって、高電圧バッテリ6の充電時、急速充電設備3にノイズが流出することを抑制することができる。
【0059】
一方、充電制御装置9は、充電コネクタの接続が外れたことが検出された場合、高電圧ヒータ20が有する信号遮断スイッチ32をオフするための信号を、高電圧ヒータ20の通信制御回路25に出力する。通信制御回路25は、その信号を受信すると、信号遮断スイッチ32をオフする。これにより、ドライバ回路30からスイッチング素子29に駆動信号が出力され、内部スイッチング電源24が動作を再開する。
以上説明した第4実施形態の構成によっても、第1実施形態等と同様の作用効果を奏することができる。
【0060】
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0061】
上記実施形態に記載した各制御回路、各制御装置およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより実現されてもよい。あるいは、上記実施形態に記載した各制御回路、各制御装置およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより実現されてもよい。もしくは、上記実施形態に記載した各制御回路、各制御装置およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0062】
上記各実施形態では、高電圧補機1について、高電圧ヒータ20を例として説明したが、高電圧補機1はこれに限らず、高電圧バッテリ6から電力を供給されて駆動する装置であればよい。例えば、高電圧補機1は、電動コンプレッサ13、DC/DCコンバータ14、外部給電機15などであってもよい。
【0063】
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、電動車両に搭載される高電圧バッテリから電力を供給されて駆動する高電圧補機は、主回路、駆動制御回路および内部スイッチング電源を備える。主回路は、高電圧バッテリと負荷との電気的な接続および遮断を切り替える。駆動制御回路は、主回路の駆動を制御する。内部スイッチング電源は、電動車両に搭載される低電圧バッテリまたは高電圧バッテリから供給される電力を主回路および駆動制御回路が駆動する電圧に変換し、主回路および駆動制御回路に電力を供給する。そして、この高電圧補機は、高電圧バッテリに電源ラインを介して電気的に接続する車両コネクタと急速充電設備の外部コネクタとが接続された場合、内部スイッチング電源が動作を停止するように構成されている。
【0064】
第2の観点によれば、高電圧補機は、内部スイッチング電源とは異なる電源により駆動し、外部との通信を行うと共に内部スイッチング電源の動作を制御する通信制御回路をさらに備える。この通信制御回路は、急速充電設備の外部コネクタと車両コネクタとの接続が検出された場合、内部スイッチング電源の動作を停止する。また、通信制御回路は、急速充電設備の外部コネクタと車両コネクタとの接続が外れたことが検出された場合、内部スイッチング電源を動作させる。
これによれば、高電圧バッテリの充電時、内部スイッチング電源の動作が停止する場合でも、通信制御回路は継続して起動し、外部との通信を行うことが可能である。したがって、高電圧バッテリの充電が終了した際、通信制御回路により内部スイッチング電源を動作させることができる。
【0065】
第3の観点によれば、急速充電設備の外部コネクタと車両コネクタとが接続された場合、内部スイッチング電源から主回路と駆動制御回路への電力供給が停止し、通信制御回路が起動している状態であるスリープモードとなる。一方、急速充電設備の外部コネクタと車両コネクタとの接続が外れた場合、内部スイッチング電源から主回路と駆動制御回路へ電力が供給され、通信制御回路が起動している状態である起動モードとなる。
これによれば、高電圧バッテリの充電時、高電圧補機はスリープモードとなり、内部スイッチング電源の動作を停止することができる。
【0066】
第4の観点によれば、電動車両に搭載される高電圧補機制御システムに関するものである。高電圧補機制御システムは、急速充電設備の外部コネクタが接続される車両コネクタ、車両コネクタから電源ラインを介して供給される電力を蓄電する高電圧バッテリ、および、高電圧バッテリよりも低電圧の電力を蓄電する低電圧バッテリを備える電動車両に搭載される。高電圧補機制御システムは、第1の観点に記載の高電圧補機、および、充電制御装置を備える。充電制御装置は、急速充電設備の外部コネクタと車両コネクタとの接続が検出された場合、高電圧補機が有する内部スイッチング電源の動作を停止するための信号(すなわち、モード切り替えフラグ)を出力する。
【0067】
第5の観点によれば、高電圧補機は、内部スイッチング電源とは異なる電源により駆動し、外部との通信を行うと共に内部スイッチング電源の動作を制御する通信制御回路を備える。
充電制御装置は、急速充電設備の外部コネクタと車両コネクタとの接続が検出された場合、高電圧補機の通信制御回路に対し内部スイッチング電源の動作を停止するための信号を出力する。
一方、充電制御装置は、急速充電設備の外部コネクタと車両コネクタとの接続が外れたことが検出された場合、高電圧補機の通信制御回路に対し内部スイッチング電源を動作させるための信号を出力する。
これによれば、高電圧バッテリの充電時、充電制御装置の出力信号により、内部スイッチング電源が動作を停止する。そのため、高電圧補機はスリープモードとなる。したがって、内部スイッチング電源の動作に起因するノイズが急速充電設備に流出することを防ぐことができる。
【0068】
第6の観点によれば、高電圧補機が有する内部スイッチング電源は、1次巻線、複数の2次巻線、スイッチング素子、ドライバ回路、信号線および信号遮断スイッチを備える。1次巻線は、高電圧バッテリまたは低電圧バッテリに電気的に接続される。複数の2次巻線は、1次巻線と共にトランスを構成し、主回路および駆動制御回路にそれぞれ電気的に接続される。スイッチング素子は、1次巻線に流れる電力を高速でオンオフする。ドライバ回路は、スイッチング素子を駆動する。信号線は、スイッチング素子とドライバ回路とを電気的に接続する。信号遮断スイッチは、一端が信号線に電気的に接続され、他端がグランドに電気的に接続される。そして、内部スイッチング電源は、急速充電設備の外部コネクタと車両コネクタとが接続された場合、信号遮断スイッチをオンすることで、ドライバ回路からスイッチング素子に出力される駆動信号を遮断するように構成されている。また、内部スイッチング電源は、急速充電設備の外部コネクタと車両コネクタとの接続が外れた場合、信号遮断スイッチをオフすることで、ドライバ回路からスイッチング素子に駆動信号が出力されることを許容するように構成されている。
これによれば、高電圧バッテリの充電時、ドライバ回路からスイッチング素子に出力される駆動信号が遮断されるので、内部スイッチング電源が動作を停止する。一方、高電圧バッテリの充電が終了すると、ドライバ回路からスイッチング素子に駆動信号が出力されるので、内部スイッチング電源が動作する。
【0069】
第7の観点によれば、充電制御装置は、急速充電設備の外部コネクタと車両コネクタとの接続が検出された場合、高電圧補機が有する信号遮断スイッチをオンするための信号を出力する。一方、充電制御装置は、急速充電設備の外部コネクタと車両コネクタとの接続が外れたことが検出された場合、高電圧補機が有する信号遮断スイッチをオフするための信号を出力する。
これによれば、高電圧バッテリの充電時、ドライバ回路からスイッチング素子に出力される駆動信号が遮断されるので、内部スイッチング電源が動作を停止する。一方、高電圧バッテリの充電が終了すると、ドライバ回路からスイッチング素子に駆動信号が出力されるので、内部スイッチング電源が動作する。
【0070】
第8の観点によれば、高電圧補機は、高電圧ヒータ、電動コンプレッサ、DC/DCコンバータ、または、外部給電機の少なくとも1つである。高電圧補機として、これらのものが例示される。
【符号の説明】
【0071】
2 電動車両
3 急速充電設備
4 車両コネクタ
6 高電圧バッテリ
7 低電圧バッテリ
10 外部コネクタ
21 負荷
22 主回路
23 駆動制御回路
24 内部スイッチング電源