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特許7196716短絡監視装置、短絡監視方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】短絡監視装置、短絡監視方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/26 20060101AFI20221220BHJP
   H02H 3/38 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H02H7/26 A
H02H3/38 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019056492
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020162213
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 匡彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 良太
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 一樹
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-312930(JP,A)
【文献】特公昭48-005537(JP,B1)
【文献】特開平10-051949(JP,A)
【文献】米国特許第05892645(US,A)
【文献】特開2018-183034(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0312505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/26
H02H 3/38
G01R 31/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフグリッド系統で、蓄電池に併設されたパワーコンディショナーが出力する電気を負荷へ供給する配電線の短絡を監視する短絡監視装置であって、
配電線に流れる電流を示す情報と、前記配電線の力率角を示す情報とを受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記電流を示す前記情報に基づいて、前記電流の変化量を導出する電流変化量導出部と、
前記受付部が受け付けた前記力率角を示す前記情報に基づいて、前記力率角の変化量を導出する力率角変化量導出部と、
前記電流変化量導出部が導出した前記電流の前記変化量を示す情報と、前記力率角変化量導出部が導出した前記力率角の前記変化量を示す情報とに基づいて、前記配電線が短絡しているか否かを判定する判定部と
を備える、短絡監視装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記電流の前記変化量を規格化した値を前記パワーコンディショナーが出力する電流の制限値で除算した値と、前記力率角の前記変化量に重み係数を乗算した値との和が変化率閾値より大きい場合に前記配電線が短絡していると判定する、請求項1に記載の短絡監視装置。
【請求項3】
前記重み係数は、三相短絡に基づいて導出される、請求項2に記載の短絡監視装置。
【請求項4】
前記変化率閾値は、過去の実測データに基づいて導出される、請求項2又は請求項3に記載の短絡監視装置。
【請求項5】
前記受付部は、前記配電線が接続している母線に流れる電圧である母線電圧を示す情報を受け付け、
前記短絡監視装置は、
前記受付部が受け付けた前記母線電圧を示す前記情報に基づいて、前記母線電圧の変化量を導出する電圧変化量導出部
を備え、
前記判定部は、前記電圧変化量導出部が導出した前記母線電圧の前記変化量を示す情報に基づいて、前記配電線が短絡しているか否かを判定する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の短絡監視装置。
【請求項6】
オフグリッド系統で、蓄電池に併設されたパワーコンディショナーが出力する電気を負荷へ供給する配電線の短絡を監視する短絡監視装置が実行する短絡監視方法であって、
配電線に流れる電流を示す情報と、前記配電線の力率角を示す情報とを受け付けるステップと、
前記受け付けるステップで受け付けた前記電流を示す前記情報に基づいて、前記電流の変化量を導出するステップと、
前記受け付けるステップで受け付けた前記力率角を示す前記情報に基づいて、前記力率角の変化量を導出するステップと、
前記電流の前記変化量を示す情報と、前記力率角の前記変化量を示す情報とに基づいて、前記配電線が短絡しているか否かを判定するステップと
を有する、短絡監視方法。
【請求項7】
オフグリッド系統で、蓄電池に併設されたパワーコンディショナーが出力する電気を負荷へ供給する配電線の短絡を監視する短絡監視装置のコンピュータに、
配電線に流れる電流を示す情報と、前記配電線の力率角を示す情報を受け付けるステップと、
前記受け付けるステップで受け付けた前記電流を示す前記情報に基づいて、前記電流の変化量を導出するステップと、
前記受け付けるステップで受け付けた前記力率角を示す前記情報に基づいて、前記力率角の変化量を導出するステップと、
前記電流の前記変化量を示す情報と、前記力率角の前記変化量を示す情報とに基づいて、前記配電線が短絡しているか否かを判定するステップと
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、短絡監視装置、短絡監視方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
配電線で短絡事故が発生した場合には、一般的に、負荷へ供給する電流よりも大きな電流(過電流)が、各電源から短絡点に向かって流れる。
配電用変電所から各配電線へ送り出す分岐部分に、過電流リレー(Over Current Relay: OCR)などの過電流を検出する装置が設置されている。OCRは、設定した閾値より大きな電流がある一定時間流れると短絡事故として検出し、事故が生じている配電線の遮断器を動作させることで配電線の保護を図っている。
【0003】
配電線での短絡事故を検出する技術に関して、変換器を用いた電力供給システムにおいて、配電線での短絡事故を検出してシステム全体を保護する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、保護装置は、母線に高調波(整数次の高調波又は次数間高調波)を供給する高調波供給部と、母線の電圧を測定する電圧測定部と、配電線の電流を測定する電流測定部と、電圧及び電流の測定波形の各々から高調波成分を算出する高調波成分算出部と、電圧及び電流の高調波成分からインピーダンスを算出するインピーダンス算出部と、算出されたインピーダンスに基づいて、配電線に短絡事故が発生したか否かを判定する制御部とを含む。これにより、配電線で発生した短絡事故を検出し、当該配電線を母線から切り離すことができ、システム全体が停電することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-183034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ディーゼル発電機などの回転機を電源から解列し、太陽光、風力などの再生可能エネルギーと、蓄電池とを系統の主電源とする系統構成を考える。このような系統構成は、オフグリッド系統とも呼ばれている。つまり、オフグリッド系統とは、電線を伝って電力会社から家などの需要家に送られる電力網である送配電系統と繋がっていない状態の電力システムのことをいう。
このような電力システムでは、蓄電池にパワーコンディショナー(PCS: Power Conditioning System)が併設される。PCSは、蓄電池が出力した直流の電力を直流から交流に変換し、交流に変換した電力を、変圧器へ出力する。変圧器は、PCSが出力した交流に変換された電力の電圧を調整し、電圧を調整した電力を、母線に出力する。母線には、複数の配電線フィーダが接続されている。複数の配電線の各々には、OCRが接続されている。配電線には、需要家が接続されている。
仮に、配電線に短絡が生じた場合には、PCSから、PCS容量に対して制限された短絡電流が、変圧器と、母線とを経由して、配電線に供給されるが、この短絡電流は、OCRに設定されている閾値より小さく、OCRには、閾値以上の大きな電流が流れないと想定される。このため、OCRは、短絡事故が発生した場合でも、短絡が発生したことを、検出できないおそれがある。
仮に、OCRに設定する閾値を小さい値に変更した場合には、短絡電流と、負荷電流とを区別ができなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、前述した点に鑑みてなされたものであり、その目的は、再生可能エネルギーと、蓄電池とを系統の主電源とする系統構成において、配電線に生じた短絡を監視できる短絡監視装置、短絡監視方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、オフグリッド系統で、蓄電池に併設されたパワーコンディショナーが出力する電気を負荷へ供給する配電線の短絡を監視する短絡監視装置であって、配電線に流れる電流を示す情報と、前記配電線の力率角を示す情報とを受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた前記電流を示す前記情報に基づいて、前記電流の変化量を導出する電流変化量導出部と、前記受付部が受け付けた前記力率角を示す前記情報に基づいて、前記力率角の変化量を導出する力率角変化量導出部と、前記電流変化量導出部が導出した前記電流の前記変化量を示す情報と、前記力率角変化量導出部が導出した前記力率角の前記変化量を示す情報とに基づいて、前記配電線が短絡しているか否かを判定する判定部とを備える、短絡監視装置である。
本発明の一態様の短絡監視装置において、前記判定部は、前記電流の前記変化量を規格化した値を前記パワーコンディショナーが出力する電流の制限値で除算した値と、前記力率角の前記変化量に重み係数を乗算した値との和が変化率閾値より大きい場合に前記配電線が短絡していると判定する。
本発明の一態様の短絡監視装置において、前記重み係数は、三相短絡に基づいて導出される。
本発明の一態様の短絡監視装置において、前記変化率閾値は、過去の実測データに基づいて導出される。
本発明の一態様の短絡監視装置において、前記受付部は、前記配電線が接続している母線に流れる電圧である母線電圧を示す情報を受け付け、前記短絡監視装置は、前記受付部が受け付けた前記母線電圧を示す前記情報に基づいて、前記母線電圧の変化量を導出する電圧変化量導出部を備え、前記判定部は、前記電圧変化量導出部が導出した前記母線電圧の前記変化量を示す情報に基づいて、前記配電線が短絡しているか否かを判定する。
本発明の一態様は、オフグリッド系統で、蓄電池に併設されたパワーコンディショナーが出力する電気を負荷へ供給する配電線の短絡を監視する短絡監視装置が実行する短絡監視方法であって、配電線に流れる電流を示す情報と、前記配電線の力率角を示す情報とを受け付けるステップと、前記受け付けるステップで受け付けた前記電流を示す前記情報に基づいて、前記電流の変化量を導出するステップと、前記受け付けるステップで受け付けた前記力率角を示す前記情報に基づいて、前記力率角の変化量を導出するステップと、前記電流の前記変化量を示す情報と、前記力率角の前記変化量を示す情報とに基づいて、前記配電線が短絡しているか否かを判定するステップとを有する、短絡監視方法である。
本発明の一態様は、オフグリッド系統で、蓄電池に併設されたパワーコンディショナーが出力する電気を負荷へ供給する配電線の短絡を監視する短絡監視装置のコンピュータに、配電線に流れる電流を示す情報と、前記配電線の力率角を示す情報を受け付けるステップと、前記受け付けるステップで受け付けた前記電流を示す前記情報に基づいて、前記電流の変化量を導出するステップと、前記受け付けるステップで受け付けた前記力率角を示す前記情報に基づいて、前記力率角の変化量を導出するステップと、前記電流の前記変化量を示す情報と、前記力率角の前記変化量を示す情報とに基づいて、前記配電線が短絡しているか否かを判定するステップとを実行させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、再生可能エネルギーと、蓄電池とを系統の主電源とする系統構成において、配電線に生じた短絡を監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の短絡監視装置が適用される電力システムの一例を示す模式図である。
図2】実施形態の短絡監視装置が適用される電力システムにおいて、太陽電池が停止した場合の一例を示す模式図である。
図3】短絡事故が発生した場合に生じる現象の例1を示す図である。
図4】フィーダに短絡事故が発生した場合に生じる現象の例2を示す図である。
図5】フィーダに短絡事故が発生した場合に生じる現象の例3を示す図である。
図6】フィーダに短絡事故が発生した場合の相間電圧の波形の一例を示す図である。
図7】フィーダに短絡事故が発生した場合の相電流の波形の一例を示す図である。
図8】フィーダに短絡事故が発生した場合の力率角の変化の一例を示す図である。
図9】二相短絡と三相短絡との短絡事故の前後における相間電圧と、相電流と、力率角との比較例を示す図である。
図10】実施形態の短絡監視装置の一例を示す図である。
図11】負荷電流と変化率の和との関係の一例を示す図である。
図12】負荷電流と変化率との関係の一例を示す図である。
図13】実施形態の短絡監視システムの動作の一例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本実施形態の短絡監視装置、短絡監視方法、およびプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0011】
(実施形態)
(電力システム)
図1は、実施形態の短絡監視装置が適用される電力システムの一例を示す模式図である。
第1の実施形態の電力システム1は、オフグリッド系統である。前述したように、オフグリッド系統とは、電線を伝って電力会社から家などの需要家に送られる電力網である送配電系統と繋がっていない状態の電力システムのことをいう。
電力システム1は、電圧源10aと、変圧器20aと、OCR30と、短絡監視装置100と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-1と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-2と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-3と、電流源10bと、変圧器20bとを備える。
電圧源10aは、蓄電池12aと、PCS14aとを備える。蓄電池12aと、PCS14aと、変圧器20aとは、送配電線TLaによって、母線Bと接続される。OCR30と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-1と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-2と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-3とは、フィーダ(配電線)Fによって、母線Bと接続される。フィーダFには、需要家が接続される。短絡監視装置100は、OCR30に併設されている。
電流源10bは、太陽電池12bと、PCS14bとを備える。太陽電池12bと、PCS14bと、変圧器20bとは、送配電線TLbによって、母線Bと接続される。
【0012】
蓄電池12aは、充電を行うことで電気を貯え、くり返し使用することができる電池(二次電池)である。蓄電池12aとして、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン電池、レドックスフロー電池などを適用できる。蓄電池12aは、貯えた電気を、PCS14aへ出力する。
PCS14aは、蓄電池12aと、送電線TLaによって接続される。PCS14aは、蓄電池12aが出力した電気(放電電力)を取得し、取得した電気を、直流から交流に変換する。PCS14aは、交流へ変換した電気を、変圧器20aへ出力する。
また、PCS14aは、蓄電池12aが出力した電気を、電力系統へ送電するために、出力抑制を行う。
仮に、フィーダFに短絡事故が発生した場合には、PCS14aは、蓄電池12aの出力容量に対して制限された短絡電流を、変圧器20aに出力する。例えば、PCS14aが出力する短絡電流は、蓄電池12aの出力容量に対して、1.1倍から1.5倍に制限されている。以下、PCS14aが出力する短絡電流の蓄電池12aの出力容量に対する倍率を、「制限倍率」という。
変圧器20aは、PCS14aと、送電線TLaによって接続される。変圧器20aは、PCS14aが出力した交流電力の電圧を、電力系統へ送電するために変換し、電圧を変換した交流電力を、母線Bへ出力する。
太陽電池12bは、光起電力効果を利用し、光エネルギーを電力に変換する電力機器である。太陽電池12bは、光起電力効果によって光を即時に電力に変換して、光を電力に変換することによって得られた電力を、PCS14bへ、出力する。
PCS14bは、太陽電池12bと、送電線TLbによって接続される。PCS14bは、太陽電池12bが出力した電力を取得し、取得した電力を、直流から交流に変換する。PCS14bは、交流へ変換した電気を、変圧器20bへ出力する。
また、PCS14bは、太陽電池12bが出力した電気を、電力系統へ送電するために、出力抑制を行う。
仮に、フィーダFに短絡事故が発生した場合には、PCS14bは、太陽電池12bの出力容量に対して制限された短絡電流を、変圧器20bに出力する。例えば、PCS14bが出力する短絡電流は、太陽電池12bの出力容量に対して、1.1倍から1.5倍に制限されている。
変圧器20bは、PCS14bと、送電線TLbによって接続される。変圧器20bは、PCS14bが出力した交流電力の電圧を、電力系統へ送電するために変換し、電圧を変換した交流電力を、母線Bへ出力する。
母線Bは、受変電設備の主回路になる導体である。母線Bは、高圧受電の需要家においては、変圧器二次側から配電用遮断器に至るまでの電線路をいう。母線Bへは、変圧器20aと、変圧器20bとから、交流電力が供給される。母性Bは、変圧器20aと、変圧器20bとから供給された交流電力を、フィーダFへ出力する。
【0013】
OCR30は、母線Bと、フィーダFを介して接続される。OCR30は、母線BからフィーダFを介して供給される交流電力に基づいて、電流を検出する。また、OCR30は、設定した閾値より大きな電流が、フィーダFにある一定時間流れた場合に、そのフィーダFに短絡事故が発生していると判定し、短絡事故が生じているフィーダFの遮断器を動作させる。
また、OCR30は、力率角を検出し、検出した電流を示す情報ととともに、検出した力率角を示す情報を、短絡監視装置100へ出力する。
OCR30は、短絡監視装置100が出力する短絡発生通知を受信し、受信した短絡発生通知に含まれる短絡事故が発生したことを示す情報を取得する。OCR30は、取得した短絡事故が発生したことを示す情報に基づいて、OCR30と接続しているフィーダFの遮断器を動作させる。
電圧センサー50は、母線Bに印加されている電圧である母線電圧を測定し、測定した母線電圧を示す情報を、母線Bへ重畳する。母線Bに重畳された母線電圧を示す情報は、フィーダFへ送信される。
センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-1と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-2と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-3との各々は、その端子間の導通(投入)と、絶縁(開放)とを切替可能である。センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-1と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-2と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-3との各々は、フィーダFの事故からの復旧に対応する場合に、所定の条件下で開放から投入へ自動的に切替える。事故の一例は、短絡である。また、フィーダFの地絡などの事故が発生した場合、変電所の遮断器がリレーによって開放になり、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-1と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-2と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-3との各々も開放になる。また、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-1と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-2と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-3との各々は、変電所の遮断器の再投入によって所定の方向から電力供給を受けた場合にタイマーが作動し、タイマーが所定の時間の経過を検出した場合に投入に切替わる。
ここで、夜間、雨天などであることによって、太陽電池12bが停止した場合を考える。
図2は、実施形態の短絡監視装置が適用される電力システムにおいて、太陽電池が停止した場合の一例を示す模式図である。
夜間、雨天などであることによって、太陽電池12bが停止した場合には、電流源10bから変圧器20bへ、交流へ変換した電気が出力されない。つまり、夜間、雨天などである場合には、太陽電池12bは、光エネルギーが少ないため、光エネルギーを電力に変換することによって得られる電力も少ないため、停止する。
太陽電池12bが停止すると、電圧源10aからフィーダFに、電力が供給される。この場合、電流源10bからフィーダFに供給される電力は省略できるため、電圧源10aからフィーダFに電力が供給されるとして説明を続ける。
太陽電池12bが停止し、且つ電圧源10aからフィーダFに電力が供給されている状態で、フィーダFの短絡点SPで短絡が発生した場合について説明する。換言すれば、電圧源10aからフィーダFに電力が供給されている状態で、フィーダFに短絡事故が発生した場合について説明する。
なお、本実施形態では、地絡事故が発生した場合には、地絡電流は、事故点から接地形計器用変圧器(Earthed Voltage Tran-sformer: EVT)を介して、地絡リレーを通過する経路であるため、ディーゼルの連系や解列によらない。このため、既存の設備で、地絡事故の検出や、遮断が可能であるため、説明を省略する。
また、母線Bにディーゼルが接続されている場合、つまり、ディーゼルが母線Bに接続されている場合や、ディーゼルと、蓄電池12aと、太陽電池12bとが、母線Bに並列に接続されている場合には、ディーゼルから、OCR30で検出可能な短絡電流が流れるため、既存の設備で、地絡事故の検出や、遮断が可能であるため、説明を省略する。
電圧源10aから供給される短絡電流Isは、高圧電圧の定格値を3.3kVとした際,式(1)で表される。
【0014】
Is=(蓄電池の出力容量[kVA])/(√3×3.3[kV])×(制限倍率) (1)
【0015】
仮に、蓄電池12aの出力容量を8MWhとし、PCS14aから変圧器20aへ供給される電流の蓄電池12aの容量に対する制限倍率を、1.1と仮定する。式(1)へ上記の数値を代入することによって、Is=154[A]が得られる。つまり、フィーダFに短絡事故が発生した場合には、配電線TLaにIs=154[A]の短絡電流が流れると想定される。以下、短絡電流Isを、電流制限値ILと呼ぶ場合もある。
蓄電池12aと、太陽電池12bとが、母線Bに並列に接続されたオフグリッド系統において、太陽電池12bが発電した電力を使用しないで、蓄電池12aに貯められた電力を、フィーダFへ供給する場合が、最も厳しい条件であると想定される。つまり、蓄電池12aに貯められた電力を、フィーダFへ供給する場合が、フィーダFに短絡事故が発生した場合に、その短絡事故の検出が難しいを想定される。このため、本実施形態では、太陽電池12bが発電した電力を使用しないで、蓄電池12aに貯められた電力が、フィーダFに供給される場合について説明を続ける。
仮に、OCR30に、短絡事故が発生したことを検出するための整定値として、345[A]が設定されていた場合には、その整定値は、前述した短絡電流Is(=154[A])よりも大きい。OCR30は、フィーダFに短絡事故が発生した場合でも、短絡事故が発生したことを検出できない。
本実施形態では、OCR30に併設された短絡監視装置100が、フィーダFに短絡事故が発生しているか否かを判定する。
短絡監視装置100は、フィーダFに重畳されている電圧の測定結果を受信し、受信した電圧の測定結果を受け付ける。短絡監視装置100は、OCR30が出力した電流を示す情報と、力率角を示す情報とを受信し、受信した電流を示す情報と、力率角を示す情報とを受け付ける。
短絡監視装置100は、受け付けた電圧を示す情報に基づいて、電圧の変化量を導出する。短絡監視装置100は、導出した電圧の変化量を示す情報に基づいて、短絡事故が発生しているか否かを判定する。
短絡監視装置100は、短絡事故が発生していると判定した場合に、受け付けた電流を示す情報に基づいて、電流の変化量を導出する。短絡監視装置100は、受け付けた力率角を示す情報に基づいて、力率角の変化量を導出する。短絡監視装置100は、導出した電流の変化量を示す情報と、力率角の変化量を示す情報とに基づいて、短絡事故が発生しているフィーダFを特定する。
【0016】
ここで、図3から図5を参照して、フィーダFに短絡事故が発生した場合に生じる現象について説明する。
図3は、短絡事故が発生した場合に生じる現象の例1を示す図である。
図3は、母線Bと、フィーダFとの各々に短絡事故が発生した場合の系統電圧の変化を示す。図3において、横軸は時間であり、縦軸は電圧である。図3において、破線より左が、短絡事故が発生する前であり、右が、短絡事故が発生した後を示す。短絡事故が発生する前の電源電圧と比較して、短絡事故は発生した後は、母線Bに短絡事故が発生した場合と、フィーダFに短絡事故が発生した場合との各々で、振幅が低下することが分かる。さらに、配電線末端で短絡事故が発生した場合と、母線で短絡事故が発生した場合とを比較すると、母線で短絡事故が発生した場合の方が、振幅の低下量が大きいことが分かる。
【0017】
図4は、フィーダに短絡事故が発生した場合に生じる現象の例2を示す図である。
図4は、フィーダFに短絡事故が発生した場合の電流の変化を示す。図4において、横軸は時間であり、縦軸は電流である。図4において、破線より左が、短絡事故が発生する前であり、破線より右が、短絡事故が発生した後を示す。
短絡事故が発生する前の負荷電流と比較して、短絡事故が発生した後の短絡電流は、振幅が増加していることが分かる。これは、フィーダFに短絡事故が発生した場合に、PCS14aが、蓄電池12aの出力容量と、制限倍率とに基づいて、短絡電流を抑えるが、抑えられた短絡電流は、負荷電流よりも大きいためである。
【0018】
図5は、フィーダに短絡事故が発生した場合に生じる現象の例3を示す図である。
図5は、フィーダFのa相とb相との相間二相短絡事故が発生した場合の力率角の変化を示す。図5には、短絡事故が発生する前のa相の相電圧vaと、b相の相電圧vbと、a相とb相との相間電圧vabと、b相とc相との相間電圧vbcと、c相とa相との相間電圧vcaとが、破線で示されている。
さらに、図5には、短絡事故が発生した後のa相の相電圧vaと、b相の相電圧vbと、a相とb相との相間電圧vabと、b相とc相との相間電圧vbcと、c相とa相との相間電圧vcaとが、実線で示されている。
二相短絡事故と、三相短絡事故とにおいて、各相それぞれで、相電圧と相電流とで力率角が変化するのが分かる。つまり、実線で示されるIaと、破線で示されるIaとを比較すると変化していることが分かる。
【0019】
図6は、フィーダに短絡事故が発生した場合の相間電圧の波形の一例を示す図である。図6に示される例では、重負荷におけるa相とb相との間の二相短絡事故が発生した場合のシミュレーションの結果が示される。図6において、破線よりも左が、短絡事故が発生する前(定常状態)の相間電圧の波形であり、破線よりも右が、短絡事故が発生した後(短絡状態)の相間電圧の波形である。
図6によれば、a相とb相との間で短絡事故が発生した場合には、a相とb相との相間電圧が低下するのが分かる。したがって、相間電圧の低下が検出された場合に、短絡事故が発生したと判断できる。
ここでは、a相とb相との間で短絡事故が発生した場合に、a相とb相との相間電圧が低下する場合について示したが、b相とc相との間で短絡事故が発生した場合と、c相とa相との間で短絡事故が発生した場合とについても同様である。b相とc相との間で短絡事故が発生した場合には、b相とc相との相間電圧が低下する。c相とa相との間で短絡事故が発生した場合には、c相とa相との相間電圧が低下する。
しかし、相間電圧の低下が検出されたことによって、短絡事故が発生したことを判定する場合に、相間電圧は、母線に印加された電圧を測定することで検出されるため、相間電圧の低下が検出されただけでは、短絡事故が発生したフィーダFを特定することができない。さらに、相間電圧の低下が検出されたことによって、短絡事故が発生したことを判定する場合には、優先選択遮断が必要になる。
【0020】
図7は、フィーダに短絡事故が発生した場合の相電流の波形の一例を示す図である。図7に示される例では、重負荷におけるa相とb相との間の二相短絡事故が発生した場合のシミュレーションの結果が示される。図7において、破線よりも左が、短絡事故が発生する前(定常状態)の相電流の波形であり、破線よりも右が、短絡事故が発生した後(短絡状態)の相電流の波形である。
図7によれば、a相とb相との間で短絡事故が発生した瞬間に、a相の相電流と、b相の相電流と、c相の相電流との電流振幅が増加するが、その後、PCS14aの制御によって、a相の相電流と、b相の相電流と、c相の相電流とのいずれかの電流振幅が増加したままとなることが分かる。したがって、a相の相電流と、b相の相電流と、c相の相電流とが増加した場合に、短絡事故が発生したと判断できる。
ここでは、a相とb相との間で短絡事故が発生した瞬間に、a相の相電流と、b相の相電流と、c相の相電流との電流振幅が増加する場合について示したが、b相とc相との間で短絡事故が発生した場合と、c相とa相との間で短絡事故が発生した場合とについても同様である。つまり、b相とc相との間で短絡事故が発生した瞬間に、a相の相電流と、b相の相電流と、c相の相電流との電流振幅が増加するが、その後、PCS14aの制御によって、a相の相電流と、b相の相電流と、c相の相電流とのいずれかの電流振幅が増加したままとなる。c相とa相との間で短絡事故が発生した瞬間に、a相の相電流と、b相の相電流と、c相の相電流との電流振幅が増加するが、その後、PCS14aの制御によって、a相の相電流と、b相の相電流と、c相の相電流とのいずれかの電流振幅が増加したままとなる。
しかし、a相の相電流と、b相の相電流と、c相の相電流とが増加した場合に、短絡事故が発生したと判断する場合には、負荷電流と、短絡電流との差を検出できないおそれがある。
【0021】
図8は、フィーダに短絡事故が発生した場合の力率角の変化の一例を示す図である。図8に示される例では、重負荷におけるa相とb相との間の二相短絡事故が発生した場合のa相の相電圧と、a相の相電流とのシミュレーションの結果が示される。図8において、破線よりも左が、短絡事故が発生する前(定常状態)の力率角であり、破線よりも右が、短絡事故が発生した後(短絡状態)の力率角である。
図8によれば、a相とb相との間で短絡事故が発生した場合には、力率角が変化することが分かる。したがって、力率角が変化した場合に、短絡事故が発生したと判断できる。
ここでは、a相とb相との間で短絡事故が発生した場合に、力率角が変化する場合について示したが、b相とc相との間で短絡事故が発生した場合と、c相とa相との間で短絡事故が発生した場合についても同様である。つまり、b相とc相との間で短絡事故が発生した場合には、力率角が変化する。c相とa相との間で短絡事故が発生した場合には、力率角が変化する。
しかし、力率角が変化した場合に、短絡事故が発生したと判断する場合には、軽負荷時には、位相の変化が小さいため、検出された位相の精度が悪いおそれがある。
図6から図8によれば、相間電圧の変化に基づいて、短絡事故が発生したか否かを判定でき、相電流の変化と、力率角の変化とに基づいて、短絡事故が発生したフィーダFを特定できることが分かる。つまり、相間電圧の低下が検出された場合に、短絡事故が発生したと判断できる。さらに、a相の相電流と、b相の相電流と、c相の相電流とが増加したことが検出され、且つ力率角の変化が検出されたフィーダFを特定することによって、短絡事故が発生したフィーダFを特定できる。
【0022】
図9は、二相短絡と三相短絡との短絡事故の前後における相間電圧と、相電流と、力率角との比較例を示す図である。
図9には、軽負荷時と、重負荷時との各々について、相間電圧(電圧[V])と、相電流(電流[A])と、力率角(力率角[°])とが示される。具体的には、相間電圧(電圧[V])に関して、短絡事故の前の相間電圧(前)と、短絡事故の後の相間電圧(後)と、短絡事故の前後の相間電圧の変化量(変化)とか示される。また、相電流(電流[A])に関して、短絡事故の前の相電流(前)と、短絡事故の後の相電流(後)と、短絡事故の前後の相電流の変化量(変化)とか示される。また、力率角(力率角[°])に関して、短絡事故の前の力率角(前)と、短絡事故の後の力率角(後)と、短絡事故の前後の力率角の変化量(変化)とか示される。
図9によれば、相間電圧については、短絡事故の前後の相間電圧の変化量は、重負荷と比較して軽負荷の方が小さく、軽負荷同士を比較すると、三相短絡の方が短絡事故の前後の相間電圧の変化量が小さいことが分かる。
相電流については、短絡事故の前後の相電流の変化量は、軽負荷と比較して重負荷の方が小さく、重負荷同士を比較すると、二相短絡の方が短絡事故の前後の相電流の変化量が若干小さいことが分かる。
力率角については、短絡事故の前後の力率角の変化量は、軽負荷と比較して重負荷の方が小さく、重負荷同士を比較すると、三相短絡の方が短絡事故の前後の力率角の変化量が小さいことが分かる。
以上から、重負荷時に、三相短絡が発生した場合に、短絡事故の前後の相間電圧の変化量と、相電流の変化量と、力率角の変化量が小さいため、三相短絡の検出が難しいことが分かる。
以下、電力システム1に含まれる短絡監視装置100について説明する。
【0023】
(短絡監視装置100)
図10は、実施形態の短絡監視装置の一例を示す図である。短絡監視装置100は、パーソナルコンピュータ、サーバー、又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。短絡監視装置100は、通信部105と、記憶部110と、情報処理部130と、各構成要素を図10に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバスなどのバスライン150とを備える。
通信部105は、通信モジュールによって実現される。具体的には、通信部105は、有線通信を行うデバイスによって構成される。通信部105は、OCR30、電圧センサー50などの外部の装置と通信する。具体的には、通信部105は、電圧センサー50が母線Bへ重畳した電圧を示す情報を、フィーダFから受信し、受信した電圧を示す情報を、情報処理部130へ出力する。また、通信部105は、OCR30が出力した電流を示す情報と、力率角を示す情報とを受信し、受信した電流を示す情報と、力率角を示す情報とを、情報処理部130へ出力する。また、通信部105は、情報処理部130が出力した短絡事故発生通知を取得し、取得した短絡事故発生通知を、OCR30へ送信する。
また、通信部105は、ワイファイ(登録商標)等の無線通信技術で無線通信を行う無線デバイスによって構成されてもよい。通信部105は、電圧センサー50と、OCR30と無線で通信してもよい。
【0024】
記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数が組み合わされたハイブリッド型記憶装置などにより実現される。記憶部110には、情報処理部130により実行されるプログラム111と、アプリ112とが記憶される。
プログラム111は、例えば、オペレーティングシステムであり、ユーザやアプリケーションプログラムとハードウェアの中間に位置し、ユーザやアプリケーションプログラムに対して標準的なインターフェースを提供すると同時に、ハードウェアなどの各リソースに対して効率的な管理を行う。
アプリ112は、短絡監視装置100に、電圧センサー50が送信した電圧を示す情報を受信させる。アプリ112は、短絡監視装置100に、受信させた電圧を示す情報を受け付けされる。アプリ112は、短絡監視装置100に、受け付けさせた電圧を示す情報に基づいて、電圧の変化量を導出させる。アプリ112は、短絡監視装置100に、導出させた電圧の変化量を示す情報に基づいて、短絡事故が発生したか否かを判定させる。
アプリ112は、短絡監視装置100に、フィーダFに流れる電流を示す情報と、フィーダFの力率角を示す情報を受け付けさせる。アプリ112は、短絡監視装置100に、受け付けさせた電流を示す情報に基づいて、電流の変化量を導出させる。アプリ112は、短絡監視装置100に、受け付けさせた力率角を示す情報に基づいて、力率角の変化量を導出させる。
アプリ112は、短絡監視装置100に、導出させた電流の変化量を示す情報と、導出させた力率角の変化量を示す情報とに基づいて、フィーダFが短絡しているか否かを判定させる。アプリ112は、短絡監視装置100に、フィーダFが短絡しているか否かの判定結果に基づいて、短絡事故が発生していると判定させた場合に、短絡事故が発生したことを示す情報を含み、OCR30を宛先とする短絡発生通知を作成させ、作成させた短絡発生通知を、送信させる。
【0025】
情報処理部130の全部または一部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶部110に格納されたプログラム111とアプリ112とを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。なお、情報処理部130の全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
情報処理部130は、例えば、受付部131と、電圧変化量導出部132と、電流変化量導出部133と、力率角変化量導出部134と、判定部135として機能する。
【0026】
受付部131は、通信部105が出力した電圧を示す情報を取得し、取得した電圧を示す情報を受け付ける。受付部131は、受け付けた電圧を示す情報を、電圧変化量導出部132へ出力する。
受付部131は、通信部105が出力した電流を示す情報と、力率角を示す情報とを取得し、取得した電流を示す情報と、力率角を示す情報とを受け付ける。受付部131は、受け付けた電流を示す情報を、電流変化量導出部133へ出力する。受付部131は、受け付けた力率角を示す情報を、力率角変化量導出部134へ出力する。
電圧変化量導出部132は、受付部131が出力した電圧を示す情報を取得し、取得した電圧V2を示す情報と、その電圧V2を示す情報より前に取得した電圧V1を示す情報とに基づいて、電圧の変化量ΔV(V2-V1)を導出する。例えば、電圧変化量導出部132には、電圧を示す情報が、0.1sなどの所定の周期で、受付部131から出力される。電圧変化量導出部132は、導出した電圧の変化量ΔVを示す情報を、判定部135へ出力する。
【0027】
電流変化量導出部133は、受付部131が出力した電流を示す情報を取得し、取得した電流I2を示す情報と、その電流I2を示す情報より前に取得した電流I1を示す情報とに基づいて、電流の変化量ΔIを導出する。例えば、電流変化量導出部133には、電流を示す情報が、0.1sなどの所定の周期で、受付部131から出力される。具体的には、電流変化量導出部133は、電流I2を規格化し、規格化した電流である規格化電流I2rmsを導出する。電流変化量導出部133は、電流I1を規格化し、規格化した電流である規格化電流I1rmsを導出する。電流変化量導出部133は、規格化電流I2rmsと、規格化電流I1rmsとの差ΔIrms(I2rms-I1rms)を導出する。電流変化量導出部133は、導出した差ΔIrmsを、PCS14aの電流制限値ILで除算することによって、電流の変化量ΔIを導出する。つまり、電流変化量導出部133は、式(1)から、電流の変化量ΔIを導出する。
【0028】
ΔI=ΔIrms/IL (1)
【0029】
電流変化量導出部133は、導出した電流の変化量ΔIを示す情報を、判定部135へ出力する。
力率角変化量導出部134は、受付部131が出力した力率角を示す情報を取得し、取得した力率角θ2を示す情報と、その力率角θ2を示す情報より前に取得した力率角θ1を示す情報とに基づいて、力率角の変化量Δsinθを導出する。例えば、力率角変化量導出部134には、力率角を示す情報が、0.1sなどの所定の周期で、受付部131から出力される。具体的には、力率角変化量導出部134は、式(2)から、力率角の変化量Δsinθを導出する。
Δsinθ=sinθ2-sinθ1 (2)
力率角変化量導出部134は、導出した力率角の変化量Δsinθを示す情報を、判定部135へ出力する。
【0030】
判定部135は、電圧変化量導出部132が出力した電圧の変化量ΔVを示す情報を取得する。判定部135は、電流変化量導出部133が出力した電流の変化量ΔIを示す情報を取得する。判定部135は、力率角変化量導出部134が出力した力率角の変化量Δsinθを示す情報を取得する。
判定部135は、取得した電圧の変化量ΔVを示す情報に基づいて、短絡事故が発生しているか否かを判定する。具体的には、判定部135は、電圧の変化量ΔVが、式(4)を満たすか否かを判定する。判定部135は、電圧の変化量ΔVが、式(4)を満たす場合には、短絡事故が発生したと判定し、式(4)を満たさない場合には、短絡事故が発生していないと判定する。
【0031】
ΔV>閾値α (4)
【0032】
ここで、閾値αについては、定格電圧に対して所定の割合を減少させた値である。例えば、閾値αを、定格電圧に対して、25%減少させた値としてもよい。
【0033】
判定部135は、取得した電流の変化量ΔIを示す情報と、力率角の変化量Δsinθを示す情報とに基づいて、フィーダFに短絡事故が発生しているか否かを判定する。具体的には、判定部135は、電流の変化量ΔIと、重み係数kに力率角の変化量Δsinθを乗算した結果との和が、閾値β未満であるか否かを判定する。つまり、判定部135は、式(5)を満たすか否かを判定する。
【0034】
ΔI+k×Δsinθ>閾値β (5)
【0035】
判定部135は、式(5)を満たす場合には、短絡監視装置100が設置されているフィーダFに短絡事故が発生していると判定し、式(5)を満たさない場合には、フィーダFに短絡事故が発生していないと判定する。
ここで、閾値βについて説明する。閾値βは、実測値に基づいて、導出される。
図11は、負荷電流と変化率の和との関係の一例を示す図である。ここで、変化率の和は、式(5)に示されるΔI+k×Δsinθの計算結果である。
図11には、短絡事故が発生していない場合の負荷電流[A]と変化率の和との二つの関係(以下「フィーダA」、「フィーダB」という)を示す。さらに、図11には、a相と、b相との二相短絡が発生した場合の負荷電流と変化率の和との関係(以下「二相短絡(ab間)」という)と、三相短絡が発生した場合の負荷電流と変化率との和との関係(以下「三相短絡」という)とを示す。
短絡事故が発生していない場合の負荷電流と変化率の和との関係において、フィーダAは母線BにDG(ディーゼル発電機)が接続され、そのDGが電力を供給した場合を示し、フィーダBは母線Bに接続された蓄電池12aが電力を供給した場合を示す。フィーダAと、フィーダBとは、実測値から得られるものである。例えば、半年から一年程度の実測値から得られる。つまり、フィーダAと、フィーダBとは、定常状態の変動分を示す。
図11によれば、フィーダAと、フィーダBとによって示される変化率の和と比較して、二相短絡(ab間)と、三相短絡とによって示される変化率の和が大きいことが分かる。つまり、短絡事故が発生することによって、変化率の和が大きくなる。
また、二相短絡(ab間)によって示される変化率の和と比較して、三相短絡によって示される変化率の和が小さいことが分かる。
そこで、本実施形態では、フィーダAと、フィーダBとによって示される変化率の和より大きく且つ三相短絡によって示される変化率の和より小さくなるように、閾値βを設定する。本実施形態では、一例として、図11に示されるように、(0,0.5)と、(154,0)との二点を通る直線で、閾値βを設定する。負荷電流を「I」とした場合、閾値βは、β=-0.003I+0.5で表される。
ここでは、(0,0.5)と、(154,0)との二点を通る直線で、閾値βを設定する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、(0,0.5)と、(0、120)との二点を通る直線で、閾値βを設定してもよいし、(0,1)と、(0、154)との二点を通る直線で、閾値βを設定してもよい。つまり、フィーダAと、フィーダBとによって示される変化率の和より大きく且つ三相短絡によって示される変化率の和より小さくなる直線であればよい。また、閾値βは、所定の条件が成立にした場合に変更してもよい。
【0036】
ここで、重み係数kについて説明する。
図12は、負荷電流と変化率との関係の一例を示す図である。
図12には、二相短絡が発生した場合の負荷電流[A]と電流の変化量ΔIの変化率との関係(以下「ΔI(二相短絡)」という)と、二相短絡が発生した場合の負荷電流[A]と力率角の変化量Δsinθの変化率との関係(以下「Δsinθ(二相短絡)」という)を示す。
さらに、図12には、三相短絡が発生した場合の負荷電流[A]と電流の変化量ΔIの変化率との関係(以下「ΔI(三相短絡)」という)と、三相短絡が発生した場合の負荷電流[A]と力率角の変化量Δsinθの変化率との関係(以下「Δsinθ(三相短絡)」という)を示す。
短絡事故が発生していない場合には、負荷電流[A]に対して、電流の変化量ΔIの変化率と力率角の変化量Δsinθの変化率とも、ほぼ零になると想定される。
図12によれば、短絡事故が発生していない場合と比較して、ΔI(二相短絡)と、Δsinθ(二相短絡)と、ΔI(三相短絡)と、Δsinθ(三相短絡)ともに、変化率が大きいことが分かる。つまり、短絡事故が発生することによって、変化率が大きくなる。
図12によれば、ΔI(二相短絡)と、Δsinθ(二相短絡)とによって示される変化率と比較して、ΔI(三相短絡)と、Δsinθ(三相短絡)とによって示される変化率が小さいことが分かる。
そこで、本実施形態では、短絡事故が発生していない場合の変化率より大きく且つΔI(三相短絡)と、Δsinθ(三相短絡)とによって示される変化率より小さくなるように、重み係数kを設定する。本実施形態では、一例として、図12に示されるように、ΔI(三相短絡)の傾きを、Δsin(三相短絡)の傾きで除算した値を、重み係数kとする。つまり、重み係数kは、三相短絡に基づいて、導出される。図10に戻り説明を続ける。
判定部135は、前述した式(4)に示す条件を満たす場合には、短絡事故が発生したと判定する。判定部135は、短絡事故が発生したと判定した場合に、式(5)に示す条件を満たすか否かを判定し、満たすと判定した場合、短絡監視装置100が設置されているフィーダFに、短絡事故が発生したと判定する。判定部135は、短絡事故が発生したと判定した場合に、短絡事故が発生したことを示す情報を含み、OCR30を宛先とする短絡事故発生通知を作成し、作成した短絡事故発生通知を、通信部105へ出力する。
【0037】
(短絡監視システムの動作)
図13は、実施形態の短絡監視システムの動作の一例を示すシーケンスチャートである。
(ステップS1)
電圧センサー50は、母線Bの電圧を測定する。
(ステップS2)
電圧センサー50は、測定した母線Bの電圧を示す情報を、短絡監視装置100へ送信する。
(ステップS3)
短絡監視装置100の通信部105は、電圧センサー50が送信した電圧を示す情報を受信し、受信した電圧を示す情報を、情報処理部130へ出力する。
(ステップS4)
OCR30は、フィーダFを流れる電流と、力率角とを測定する。
(ステップS5)
OCR30は、測定した電流を示す情報と、力率角を示す情報とを、短絡監視装置100へ送信する。
【0038】
(ステップS6)
短絡監視装置100の通信部105は、OCR30が送信した電流を示す情報と、力率角を示す情報とを受信し、受信した電流を示す情報と、力率角を示す情報とを、情報処理部130へ出力する。
(ステップS7)
短絡監視装置100の受付部131は、通信部105が出力した電圧の測定結果を取得し、取得した電圧の測定結果を受け付ける。受付部131は、受け付けた電圧の測定結果を、電圧変化量導出部132へ出力する。
電圧変化量導出部132は、受付部131が出力した電圧を示す情報を取得し、取得した電圧V2を示す情報と、その電圧V2を示す情報より前に取得した電圧V1を示す情報とに基づいて、電圧の変化量ΔVを導出する。電圧変化量導出部132は、導出した電圧の変化量ΔVを示す情報を、判定部135へ出力する。
(ステップS8)
短絡監視装置100の受付部131は、通信部105が出力した電流を示す情報と、力率角を示す情報とを取得し、取得した電流を示す情報と、力率角を示す情報とを受け付ける。受付部131は、受け付けた電流を示す情報を、電流変化量導出部133へ出力する。
電流変化量導出部133は、受付部131が出力した電流を示す情報を取得し、取得した電流I2を示す情報と、その電流I2を示す情報より前に取得した電流I1を示す情報とに基づいて、電流の変化量ΔIを導出する。電流変化量導出部133は、導出した電流の変化量ΔIを示す情報を、判定部135へ出力する。
(ステップS9)
短絡監視装置100の受付部131は、受け付けた力率角を示す情報を、力率角変化量導出部134へ出力する。
力率角変化量導出部134は、受付部131が出力した力率角を示す情報を取得し、取得した力率角θ2を示す情報と、その力率角θ2を示す情報より前に取得した力率角θ1を示す情報とに基づいて、力率角の変化量Δsinθを導出する。力率角変化量導出部134は、導出した力率角の変化量Δsinθを示す情報を、判定部135へ出力する。
【0039】
(ステップS10)
判定部135は、電圧変化量導出部132が出力した電圧の変化量ΔVを示す情報を取得する。判定部135は、電流変化量導出部133が出力した電流の変化量ΔIを示す情報を取得する。判定部135は、力率角変化量導出部134が出力した力率角の変化量Δsinθを示す情報を取得する。
判定部135は、取得した電圧の変化量ΔVを示す情報に基づいて、短絡事故が発生しているか否かを判定する。
判定部135は、取得した電流の変化量ΔIを示す情報と、力率角の変化量Δsinθを示す情報とに基づいて、フィーダFに短絡事故が発生しているか否かを判定する。
判定部135は、電圧の変化量ΔVを示す情報に基づいて、短絡事故が発生したと判定し、且つ電流の変化量ΔIを示す情報と、力率角の変化量Δsinθを示す情報とに基づいて、フィーダFに短絡事故が発生したと判定した場合には、短絡事故が発生したことを示す情報を含み、OCR30を宛先とする短絡事故発生通知を作成し、作成した短絡事故発生通知を、通信部105へ出力する。
(ステップS11)
通信部105は、情報処理部130が出力した短絡事故発生通知を取得し、取得した短絡事故発生通知を、OCR30へ送信する。
(ステップS12)
OCR30は、短絡監視装置100が送信した短絡事故発生通知を受信する。
(ステップS13)
OCR30は、受信した短絡事故発生通知に含まれる短絡事故が発生したことを示す情報に基づいて、遮断器を動作する。
【0040】
前述した実施形態では、オフグリッド系統の一例として、太陽電池と、蓄電池とを系統の主電源とする場合について説明したが、この限りでない。例えば、風力発電と、蓄電池とを系統の主電源としてもよいし、地熱発電と、蓄電池とを系統の主電源としてもよいし、水力発電と、蓄電池とを系統の主電源としてもよいし、バイオマス発電と、蓄電池とを系統の主電源としてもよい。また、主電源の系統数は、二個に限らず、三個以上としてもよい。
前述した実施形態では、短絡監視装置100がOCR30に併設されている場合について説明したが、この限りでない。例えば、短絡監視装置100が、OCR30に併設されずに、フィーダFに接続されてもよい。この場合、短絡監視装置100は、フィーダFに、電流を示す情報と、力率角を示す情報とを出力し、OCR30は、短絡監視装置100がフィーダFに出力した電流を示す情報と、力率角を示す情報とを受信する。
前述した実施形態では、母線BにフィーダFが一本接続されている場合について説明したが、この限りでない。例えば、母線BにフィーダFが複数本接続されていてもよい。
前述した実施形態では、フィーダFに、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-1と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-2と、センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器40-3とが接続されている場合について説明したが、この限りでない。例えば、フィーダFに接続されるセンサー内蔵自動開閉器用遠方制御器の数は、1個-2個でもよいし、4個以上でもよい。
前述した実施形態では、短絡監視装置100が、電圧を示す情報に基づいて、短絡事故が発生したと判定した場合に、電流を示す情報と、力率角を示す情報とに基づいて、短絡事故が発生したフィーダFを特定する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、短絡監視装置100は、電圧を示す情報に基づいて、短絡事故が発生したか否かを判定することなく、電流を示す情報と、力率角を示す情報とに基づいて、短絡事故が発生したフィーダFを特定してもよい。このように構成することによって、母線電圧を測定する処理を省略できる。
前述した実施形態では、高圧電圧の定格値を3.3kVとした場合について説明したが、この例に限られない。例えば、高圧電圧の定格値を6.6kVとした場合にも適用できる。
【0041】
本実施形態の短絡監視装置100によれば、蓄電池12aや、太陽電池12bとを主電源とした系統構成、例えば、オフグリッド構成において、電力系統に生じる電流変化に加え、電圧変化や力率角の変化に着目することで、短絡事故が発生した場合に、負荷電流と短絡電流との判別を行う。このため、短絡事故が発生した配電線を特定でき、確実な短絡保護に寄与できる。従来では、ディーゼル発電機のような回転機電源がない電力系統であるオフグリッド系統では、短絡電流が小さくなるため、電流変化で短絡を検知する従来の保護協調ロジックでは短絡事故の検出が困難であった。
【0042】
<構成例>
一構成例として、オフグリッド系統で、蓄電池に併設されたパワーコンディショナーが出力する電気を負荷へ供給する配電線の短絡を監視する短絡監視装置であって、配電線に流れる電流を示す情報と、配電線の力率角を示す情報を受け付ける受付部と、受付部が受け付けた電流を示す情報に基づいて、電流の変化量を導出する電流変化量導出部と、受付部が受け付けた力率角を示す情報に基づいて、力率角の変化量を導出する力率角変化量導出部と、電流変化量導出部が導出した電流の変化量を示す情報と、力率角変化量導出部が導出した力率角の変化量を示す情報とに基づいて、配電線が短絡しているか否かを判定する判定部とを備える、短絡監視装置である。
一構成例として、判定部は、電流の変化量を規格化した値をパワーコンディショナーが出力する電流の制限値で除算した値と、力率角の変化量に重み係数を乗算した値との和が変化率閾値より大きい場合に配電線が短絡していると判定する。
一構成例として、重み係数は、三相短絡に基づいて導出される。
一構成例として、変化率閾値は、過去の実測データに基づいて導出される。
一構成例として、受付部は、配電線が接続している母線に流れる電圧である母線電圧を示す情報を受け付け、短絡監視装置は、受付部が受け付けた母線電圧を示す情報に基づいて、母線電圧の変化量を導出する電圧変化量導出部を備え、判定部は、電圧変化量導出部が導出した母線電圧の変化量を示す情報に基づいて、配電線が短絡しているか否かを判定する。
【0043】
以上、実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合せを行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、上述した短絡監視装置100は、コンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、各機能ブロックの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録する。この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、CPUが実行することで実現してもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROMなどの可搬媒体のことをいう。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置を含む。
【0044】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、短時間の間、動的にプログラムを保持するものを含んでいてもよい。短時間の間、動的にプログラムを保持するものは、例えば、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線である。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」には、サーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。また、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。また、上記プログラムは、プログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。プログラマブルロジックデバイスは、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)である。
【0045】
なお、上述の短絡監視装置100は内部にコンピュータを有している。そして、上述した短絡監視装置100の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…電力システム、10a…電圧源、10b…電流源、12a…蓄電池、12b…太陽電池、14a、14b…PCS、20a、20b…変圧器、30…OCR、40-1、40-2、40-3…センサー内蔵自動開閉器用遠方制御器、50…電圧センサー、100…短絡監視装置、105…通信部、110…記憶部、111…プログラム、112…アプリ、130…情報処理部、131…受付部、132…電圧変化量導出部、133…電流変化量導出部、134…力率角変化量導出部、135…判定部
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