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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】電気設備
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
H02B3/00 K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019060481
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020162332
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】山根 光喜
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-041312(JP,A)
【文献】実開平06-013305(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチギヤと、
前記スイッチギヤを嵩上げする嵩上部材と、
前記嵩上部材によって嵩上げされた前記スイッチギヤの点検をおこなう際に、所定の高さに設けられる点検用架台と、
を備え、
前記点検用架台は、作業員または所定の機器を載置する板状部材を、地面と略平行にする第1の配置形態と、当該板状部材を、地面と略垂直にして前記スイッチギヤの壁面に近づける第2の配置形態とを切り替えて配置し、
前記第1の配置形態において、前記板状部材が地面と略平行の状態を保つために、当該板状部材を支持する支持部材を備え、
前記支持部材は、両端の一端を前記板状部材の他辺に取り付け、前記両端の他端を前記嵩上部材における前記板状部材の一辺の取り付け位置よりも下側に取り付けることを特徴とする電気設備。
【請求項2】
前記支持部材は、前記一端を前記板状部材の他辺に回動可能に取り付け、前記他端を前記嵩上部材に対して取り外し可能に取り付けることを特徴とする請求項に記載の電気設備。
【請求項3】
前記第1の配置形態において、前記板状部材の他辺に、地面と略垂直に取り付けられる落下防止用柵部材、および、前記第1の配置形態において、前記板状部材の長手方向の少なくともいずれか一方に、作業員が前記板状部材に上がるための梯子部材または階段部材の少なくともいずれかを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の電気設備。
【請求項4】
スイッチギヤと、
前記スイッチギヤを嵩上げする嵩上部材と、
前記嵩上部材によって嵩上げされた前記スイッチギヤの点検をおこなう際に、所定の高さに設けられる点検用架台と、
を備え、
前記点検用架台は、作業員または所定の機器を載置する板状部材を、地面と略平行にする第1の配置形態と、当該板状部材を、地面と略垂直にして前記スイッチギヤの壁面に近づける第2の配置形態とを切り替えて配置し、
前記第1の配置形態において、前記板状部材の他辺に、地面と略垂直に取り付けられる落下防止用柵部材を備え、
前記落下防止柵部材は、前記点検用架台に対して取り外し可能に取り付けることを特徴とする電気設備。
【請求項5】
前記第1の配置形態において、前記板状部材の長手方向の少なくともいずれか一方に、作業員が前記板状部材に上がるための梯子部材または階段部材を備えたことを特徴とする請求項に記載の電気設備。
【請求項6】
スイッチギヤと、
前記スイッチギヤを嵩上げする嵩上部材と、
前記嵩上部材によって嵩上げされた前記スイッチギヤの点検をおこなう際に、所定の高さに設けられる点検用架台と、
を備え、
前記点検用架台は、作業員または所定の機器を載置する板状部材を、地面と略平行にする第1の配置形態と、当該板状部材を、地面と略垂直にして前記スイッチギヤの壁面に近づける第2の配置形態とを切り替えて配置し、
前記第1の配置形態において、前記板状部材の長手方向の少なくともいずれか一方に、作業員が前記板状部材に上がるための梯子部材または階段部材を備え、
前記梯子部材または前記階段部材は、前記点検用架台に対して取り外し可能に取り付けることを特徴とする電気設備。
【請求項7】
前記第1の配置形態において、前記板状部材の他辺に、地面と略垂直に取り付けられる落下防止用柵部材を備えたことを特徴とする請求項に記載の電気設備。
【請求項8】
前記板状部材の一辺を前記嵩上部材に、当該板状部材が当該一辺を軸として回動可能に取り付け、
前記板状部材を回動させることによって、前記第1の配置形態と前記第2の配置形態とを切り替えることを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の電気設備。
【請求項9】
前記第2の配置形態において、前記板状部材が地面と略垂直の状態を保つために、当該板状部材を固定する固定部材を備えたことを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載の電気設備。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチギヤを含む電気設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、たとえば浸水対策のために、スイッチギヤ嵩上げ用架台を設置し、スイッチギヤの基礎の嵩上げをおこなう場合がある。この場合、嵩上げた分、スイッチギヤが高くなるので、点検の際には、地面に作業員が立っておこなうことはできない、あるいは、地面に立っておこなう作業は作業効率が低下する。したがって、スイッチギヤの点検をする際の点検用架台(足場)を、別途、設置する必要がある。
【0003】
関連する技術として、具体的には、たとえば、ステージを常設し、簡易なメンテナンスの場合には、開閉扉を開扉することにより、作業者はステージ上でメンテナンスをおこなう。また、全面的なメンテナンスの場合には、作業者は開口部から電気装置の内部機器をステージ上に取り出し、パッケージハウスの外部で電気装置のメンテナンスをおこなう電気設備に関する技術がある(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0004】
また、関連する技術として、具体的には、たとえば、函体の平面形状は横長の矩形状とされ、函体の外側には、保守点検のための拡張床部材(作業床)が函体の全周囲に拡張して増設されている。拡張床部材は縞鋼板から製作され、函体の前後左右の側壁面を取り囲むように、函体と一体連結して設置されている高圧変電設備に関する技術がある(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-42760号公報
【文献】特開2003-92811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、嵩上げしていないときは必要がなかった点検用架台を別途設置することによって、スイッチギヤの設置用の敷地のほかに、スイッチギヤに隣接する点検用架台設置のための敷地が余分に必要となる。それにより、施設全体の敷地面積を圧迫してしまうという問題点があった。具体的には、たとえば、架台用の敷地を設けることにより、車両通行用の通路が狭くなってしまい、水力機器搬入出にともなう車両などの大型車両の通行ができなくなるなどの場合がある。このように、スイッチギヤ嵩上げ用架台の設置にともなう点検用架台のための余計な敷地の占有が問題となる。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、スイッチギヤを含む電気設備の設置位置周辺の敷地を有効に活用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる電気設備は、スイッチギヤと、前記スイッチギヤを嵩上げする嵩上部材と、前記嵩上部材によって嵩上げされた前記スイッチギヤの点検をおこなう際に、所定の高さに設けられる点検用架台と、を備え、前記点検用架台が、作業員または所定の機器を載置する板状部材を、地面と略平行にする第1の配置形態と、当該板状部材を、地面と略垂直にして前記スイッチギヤの壁面に近づける第2の配置形態とを切り替えて配置することを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる電気設備は、上記発明において、前記板状部材の一辺を前記嵩上部材に、当該板状部材が当該一辺を軸として回動可能に取り付け、前記板状部材を回動させることによって、前記第1の配置形態と前記第2の配置形態とを切り替えることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる電気設備は、上記発明において、前記第1の配置形態において、前記板状部材が地面と略平行の状態を保つために、当該板状部材を支持する支持部材を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる電気設備は、上記発明において、前記支持部材が、両端の一端を前記板状部材の他辺に取り付け、前記両端の他端を前記嵩上部材における前記板状部材の一辺の取り付け位置よりも下側に取り付けることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる電気設備は、上記発明において、前記支持部材が、前記一端を前記板状部材の他辺に回動可能に取り付け、前記他端を前記嵩上部材に対して取り外し可能に取り付けることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる電気設備は、上記発明において、前記第2の配置形態において、前記板状部材が地面と略垂直の状態を保つために、当該板状部材を固定する固定部材を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる電気設備は、上記発明において、前記第1の配置形態において、前記板状部材の他辺に、地面と略垂直に取り付けられる落下防止用柵部材を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる電気設備は、上記発明において、前記落下防止柵部材が、前記点検用架台に対して取り外し可能に取り付けることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる電気設備は、上記発明において、前記第1の配置形態において、前記板状部材の長手方向の少なくともいずれか一方に、作業員が前記板状部材に上がるための梯子部材または階段部材を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる電気設備は、上記発明において、前記梯子部材または前記階段部材が、前記点検用架台に対して取り外し可能に取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明にかかる電気設備によれば、スイッチギヤを含む電気設備の設置位置周辺の敷地を有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明にかかる実施の形態の電気設備の構成の一例を示す説明図(正面図)である。
図2】この発明にかかる実施の形態の電気設備の構成の一例を示す説明図(側面図)である。
図3】この発明にかかる実施の形態の電気設備の別の構成の一例を示す説明図(正面図・側面図)である。
図4】この発明にかかる実施の形態の電気設備の第1配置形態の状況の一例を示す説明図である。
図5】この発明にかかる実施の形態の電気設備の第2配置形態の状況の一例を示す説明図である。
図6】この発明にかかる実施の形態の電気設備の切替操作の手順を示す操作方法(マニュアル)表示部材の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電気設備の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
(電気設備の概要)
まず、この発明にかかる実施の形態の電気設備100の構成について説明する。図1および図2は、この発明にかかる実施の形態の電気設備の構成の一例を示す説明図である。図1は、電気設備100の正面図を示している。図1の左側の正面図は、電気設備100における「(a)第1配置形態」を示しており、図1の右側の正面図は、電気設備100における「(b)第2配置形態」を示している。
【0022】
また、図2は、電気設備100の側面図を示している。すなわち、図2の左側は、電気設備100における「(a)第1配置形態」を示しており、図2の右側は、電気設備100における「(b)第2配置形態」を示している。したがって、図2の左側の「(a)第1配置形態」は、図1の矢印Aの方向から見た電気設備100の図であり、図2の右側の「(b)第2配置形態」は、図1の矢印Bの方向から見た電気設備100の図であり、図1の左側図と図2の左側図、図1の右側図と図2の右側図は、それぞれ対応していることを示している。
【0023】
図1および図2において、電気設備100は、スイッチギヤ101と、スイッチギヤ101を嵩上げする基礎となる嵩上部材の一例である嵩上架台102と、嵩上架台102によって嵩上げされたスイッチギヤ101の点検をおこなう際に用いられる、所定の高さになるように設けられた点検用架台103と、を備える。
【0024】
スイッチギヤ101は、図示を省略する遮断器などの電気回路を収納する金属製の筐体である。スイッチギヤ101においては、2つの扉105を備えており、把手106を操作することによって、2つの扉105が、図1における手前側、すなわち、図2における左側に観音開きに開閉する。
【0025】
嵩上架台102は、洪水などが発生した場合の、スイッチギヤ101の浸水対策のために設置された架台である。これにより、スイッチギヤ101を嵩上げすることができ、洪水などが発生したとしても、スイッチギヤ101の内部にまで浸水することを確実に防止する。そのため、嵩上架台102の高さは、洪水発生における水嵩を考慮して、決めるようにするとよい。具体的には、たとえば、50cm程度の高さとするのがよい。ただし、この高さは必要に応じて任意に設定することができる。
【0026】
嵩上架台102は、スイッチギヤ101を載置して、固定する必要があるため、スイッチギヤ101の重量に耐えることができ、また、スイッチギヤ101が容易に動いたり、傾いたりしないような硬質の材質であればよい。具体的には、嵩上架台102は、コンクリートなどの材質を用いることができる。
【0027】
(点検用架台の内容)
点検用架台103は、スイッチギヤ101の点検の際に、作業員または所定の機器を載置する「足場」となる板状部材104を備えている。そして、その板状部材104を、地面と略平行にする「(a)第1配置形態」(図1および図2の左側図)と、板状部材104を、地面と略垂直にして、スイッチギヤ101の壁面、すなわち、扉105の面に近づける「(b)第2配置形態」(図1および図2の右側図)とを切り替えて配置することができる。
【0028】
図2(の左側図)からもわかるように、点検用架台103の板状部材104は、第1配置形態となるように配置した際に、扉105の下側がぶつかってしまわないように、扉105の設置の高さを調整する。これによって、扉105を観音開きとした際に、開閉に支障を来さないようにすることができる。
【0029】
板状部材104の長手方向の長さは、スイッチギヤ101の幅方向、すなわち、スイッチギヤ101の2枚分の扉105の幅に対応している。具体的には、たとえば、200cm程度であってもよい。
【0030】
また、図1に示すように、板状部材104は、点検員(作業員)が一人で容易に折り畳めるよう重量などを勘案し、扉105の大きさなどに合わせて、2分割化するなどの工夫をおこなってもよい。すなわち、板状部材104の長手方向の長さは、スイッチギヤ101の1枚分の扉105の幅に対応させるようにしてもよい。具体的には、たとえば、100cm程度であってもよい。その板状部材104を2枚並べて配置する。これにより、簡易にかつ迅速に架台の設置・撤去(折り畳み)をすることができる。
【0031】
また、板状部材104の長手方向に直行する方向の長さは、点検員の作業性を考慮して決めることができる。具体的には、50cm~60cm程度であってもよい。また、点検作業の内容、スイッチギヤ101の大きさや種類などによって、この長さを設定するとよい。
【0032】
また、図2からもわかるように、板状部材104の一辺を嵩上部材102に、軸Xによって軸付けされている。そして、板状部材104が軸Xを支点として回動可能に取り付けられている。これにより、板状部材104の一辺を嵩上部材102に、板状部材104が当該一辺を軸として回動可能に取り付けることができる。そして、軸Xを支点として、板状部材104を回動させることによって、「(a)第1配置形態」と「(b)第2配置形態」とを切り替えることができる。
【0033】
また、図2(の左側図)からもわかるように、第1配置形態において、板状部材104が地面と略平行の状態を保つために、板状部材104を支持する支持部材107を備えていてもよい。
【0034】
この支持部材107は、両端の一端を板状部材104の他辺(図2の左側図のY付近)に取り付ける。また、両端の他端Zを嵩上部材102における板状部材104の一辺の取り付け位置(図2のT1付近)よりも下側(図2の左側図のT2付近)に取り付けるようにしてもよい。
【0035】
また、この支持部材107は、一端を板状部材の他辺に(軸Yを支点として)回動可能に取り付ける。また、(図2の左側図のT2付近において)他端Zを嵩上部材102に対して取り外し可能に取り付けるようにしてもよい。
【0036】
さらに、図2の右側図に示すように、第2配置形態において、板状部材104が地面と略垂直の状態を保つために、板状部材104を固定する固定部材を備えていてもよい。固定部材は、板状部材104が、板状部材104が地面と略垂直の状態を保つことができれば、いかなるものであってもよい。
【0037】
たとえば、軸Xにロック機構を備えて、軸Xの回動を抑制するものであってもよく、また、板状部材104を、嵩上げ部材102あるいはスイッチギヤ101の所定箇所に引っ掛けて固定して、板状部材104の動きを規制する固定具であってもよい。固定具は、たとえばロックピンなどの固定機能を備えた治具であってもよい。
【0038】
また、固定部材は、板状部材104とともに、支持部材107が、第2配置形態において不用意に回動しないように、あわせて、固定するものであってもよい。固定方法は、いかなるものであってもよい。
【0039】
このように、点検用架台103は、板状部材104を、折り畳むことができる構造としており、それにより、点検をおこなわないときは、点検用架台103の敷地を広げることができ、敷地の有効利用を図ることができる。
【0040】
(フェンス(落下防止用部材)の内容)
図3は、この発明にかかる実施の形態の電気設備の別の構成の一例を示す説明図(正面図・側面図)である。図3において、左側図は、電気設備100の正面図であり、右側図は、右側面図である。
【0041】
図3において、電気設備100は、第1形態において、落下防止用柵部材の一例であるフェンス301を備えている。具体的には、図3の右側図に示すように、第1配置形態において、板状部材104の他辺、すなわちY軸付近に、地面と略垂直に取り付けられるフェンス301を備える。
【0042】
フェンス301は、板状部材の長手方向に沿って設置される。フェンス301の高さは、点検員が板状部材104の上に立った状態で、落下を確実に防止するために、点検員の腰の高さ以上の高さとするのがよい。具体的には、たとえば、100cm以上とするのがよい。フェンス301の高さは、これに限定されるものではなく、任意に設定するようにしてもよい。
【0043】
また、フェンス301は、点検員や所定の機器が容易に脱落しない程度の幅の格子を備えている。格子の幅や格子の形状は、図3に示したものに限定されない。フェンス301の材質、フェンス301の使用の状況などを考慮して、格子の幅や格子の形状を決めるようにすればよい。
【0044】
フェンス301は、点検用架台103に対して取り外し可能に取り付けるようにしてもよい。したがって、第1配置形態から第2配置形態へ切り替える際には、まず、フェンス301を点検用架台103から取り外し、その後、第2の配置形態へ切り替えるようにすればよい。
【0045】
フェンス301は、板状部材104の上に乗った点検員が当該フェンス301に触れても(軽くのし掛かっても)、容易に外側(すなわち図3の右側図における左側)へ倒れたり変形したりしない程度の強度が必要である。フェンス301の材質は、点検員の身体を支えられるほどの強度が必要であるだけでなく、取り付けたり、取り外したり、取り外して、保管場所まで移動させることを考慮すると、軽量であることが望ましい。フェンス301の材質は、具体的には、たとえば、軽量かつ強度のあるアルミニウムなどであってもよい。
【0046】
フェンス301は、取り外し可能に取り付けるために、具体的には、たとえば、板状部材104の所定の箇所に凹部、すなわち、溝あるいは穴を設ける。そして、フェンス301において板状部材104に接する部分に、板状部材104の溝あるいは穴に対して挿入する凸部、すなわち突起を設けるようにする。
【0047】
フェンス301を板状部材104に取り付ける際には、フェンス301の凸部を板状部材104の凹部に挿入して固定する。固定する際は、凸部が凹部から抜け出ないように、脱落防止機構などを設けるようにしてもよい。
【0048】
また、フェンス301を板状部材104から取り外す際には、脱落防止機能を解除してから、板状部材104の凹部に挿入して固定されたフェンス301の凸部をそこから引き抜くようにすればよい。取り外されたフェンス301は、あらかじめ定められた保管場所に保管するようにするとよい。
【0049】
このように、フェンス(落下防止用柵部材)301は、板状部材104のスイッチギヤ101の扉105側とは反対側の端に、略垂直方向に設けられ、点検員が板状部材104から地面に落下するのを確実に防止することができる。
【0050】
(梯子部材または階段部材の内容)
図3において、電気設備100は、第1形態において、梯子部材302を備えている。具体的には、図3の左図に示すように、第1配置形態において、板状部材104の右端に、地面と板状部材104とを結ぶように梯子部材302を備える。図3においては、板状部材104の右端に設けられているが、これに限定されるものではない。したがって、梯子部材302は、板状部材104の左端に設けられていてもよく、また、左右の両端にそれぞれ設けられていてもよい。
【0051】
梯子部材302は、点検員が板状部材104の上に上がるためのものである。したがって、梯子形状に限定されない。梯子部材302に代えて、図示は省略するが、階段形状の階段部材であってもよい。
【0052】
梯子部材302は、一端が板状部材104の右端に固定され、他端が地面に当接している所定の長さの2本の棒状部材303の間に、板状部材104までの高さに応じて、所定数の横棒部材304を備える。図3の右側図においては、3本の横棒部材304を備えている。
【0053】
棒状部材303の地面との角度および横棒部材304の間隔は、嵩上架台102の高さや、点検員の上がりやすさなどを考慮して決めるようにすればよい。具体的には、棒状部材303の地面との角度は、30度から45度程度が望ましいが、その角度には限定されない。また、横棒部材304の間隔は、具体的には、3本~4本程度が望ましいが、その本数には限定されない。
【0054】
また、図示は省略するが梯子部材302には、手すりを設けるようにしてもよい。手すりの高さは、フェンス301と同じ高さにしてもよい。手すりは、点検員が容易に落下しない程度の幅の格子を備えていてもよい。手すりの材質、手すり301の使用の状況などを考慮して、格子の幅や格子の形状を決めるようにすればよい。これにより、点検員が、より安全に、梯子部材303の上り・下りをおこなうことができる。
【0055】
梯子部材302は、点検用架台103に対して取り外し可能に取り付けるようにしてもよい。したがって、第1配置形態から第2配置形態へ切り替える際には、まず、梯子部材302を点検用架台103から取り外し、その後、第2の配置形態へ切り替えるようにすればよい。
【0056】
梯子部材302は、横棒部材304の上に点検員が乗っても変形しない程度の強度が必要である。梯子部材302の材質は、点検員の体重を支えられるほどの強度が必要であるだけでなく、取り付けたり、取り外したり、取り外して、保管場所まで移動させることを考慮すると、軽量であることが望ましい。梯子部材302の材質は、具体的には、たとえば、軽量かつ強度のあるアルミニウムなどであってもよい。
【0057】
梯子部材302は、取り外し可能に取り付けるために、具体的には、たとえば、板状部材104の所定の箇所に凹部、すなわち、溝あるいは穴を設ける。そして、梯子部材302において板状部材104に接する部分に、板状部材104の溝あるいは穴に対して挿入する凸部、すなわち突起を設けるようにする。
【0058】
梯子部材302を板状部材104に取り付ける際には、梯子部材302の凸部を板状部材104の凹部に挿入して固定する。固定する際は、凸部が凹部から抜け出ないように、脱落防止機構などを設けるようにしてもよい。
【0059】
また、梯子部材302を板状部材104から取り外す際には、脱落防止機能を解除してから、板状部材104の凹部に挿入して固定された梯子部材302の凸部をそこから引き抜くようにすればよい。取り外された梯子部材302は、フェンス301と同様に、あらかじめ定められた保管場所に保管するようにするとよい。
【0060】
(電気設備の具体的な設置例)
図4は、この発明にかかる実施の形態の電気設備の第1配置形態の状況の一例を示す説明図であり、図5は、この発明にかかる実施の形態の電気設備の第2配置形態の状況の一例を示す説明図である。
【0061】
図4において、点検用架台103は、作業員または所定の機器を載置する板状部材104を、地面と略平行にする第1配置形態となっており、さらに、フェンス301(落下防止用柵部材)と、梯子部材302とが取り付けられていることがわかる。この第1配置形態において、作業員(点検員)は、梯子部材302から点検用架台103の板状部材104の上に上がり、把手106を操作して、スイッチギヤ101の扉105を観音開きに開いて、点検作業を開始する。
【0062】
一方、図5においては、板状部材104を、地面と略垂直にしてスイッチギヤ101の壁面(扉105)に近づける第2配置形態となっている。図5からもわかるように、第1配置形態において占有していた空間ができるため、施設全体の敷地面積を圧迫することなく、その空間(敷地)を有効利用できることがわかる。有効利用には、たとえば、大型車両が通行することなどがある。
【0063】
(操作方法表示部材の内容)
図6は、この発明にかかる実施の形態の電気設備の切替操作の手順を示す操作方法(マニュアル)表示部材の一例を示す説明図である。図6において、操作方法(マニュアル)表示部材600には、第1配置態様から第2配置態様への切り替えに関する操作方法を図式化して示している。
【0064】
操作方法(マニュアル)表示部材600には、4つの図が示されている。1番左側の図は、第1配置態様において、フェンス301と梯子部材302とを取り外した後に、作業者(点検者)が、板状部材104の他端(Y付近)を掴んでいる状態である。
【0065】
つぎに、その隣の図(左から2番目の図)に移り、当該図においては、作業者は、支持部材107を両手で掴んで、板状部材104を跳ね上げている状態を示している。板状部材104は跳ね上げられることによって、水平方向から垂直方向へ回動しながら、スイッチギヤ101の扉105に近づいていく。
【0066】
さらに、その隣の図(左から3番目の図)に移り、当該図においては、作業者は、板状部材104を略垂直方向に立てている状態を示している。そして、支持部材107を折り畳んで板状部材104に近づける。
【0067】
その後、その隣の図(一番右の図)に移り、固定具によって、板状部材104および支持部材107を固定することで、第2配置形態とすることができる。したがって、第2配置形態から第1配置形態とする場合は、一番右の図から順番に左側の図に示された操作方法によりおこなうようにすればよい。
【0068】
図6に示すように、この操作方法(マニュアル)表示部材600に示された方法により操作をおこなうことによって、作業者は、容易にかつ迅速に、第1配置形態から第2配置形態へと、また、第2配置形態から第1配置形態へと切り替え操作をおこなうことができる。
【0069】
この操作方法(マニュアル)表示部材600は、この電気設備100のいずれか、具体的には、たとえば、スイッチギヤ101、嵩上架台102、あるいは、点検用架台103のいずれかの位置であって、作業者が容易に確認できる位置に取り付ける(貼り付ける)ようにするとよい。
【0070】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の電気設備100は、スイッチギヤ101と、スイッチギヤ101を嵩上げする嵩上架台102と、嵩上架台102によって嵩上げされたスイッチギヤ101の点検をおこなう際に、所定の高さに設けられる点検用架台103と、を備え、点検用架台103が、作業員または所定の機器を載置する板状部材104を、地面と略平行にする第1配置形態と、当該板状部材104を、地面と略垂直にしてスイッチギヤ101の壁面(扉105)に近づける第2配置形態とを切り替えて配置するので、点検しないときは、点検用架台103を折り畳むことができ、その分の空間を広げることができ、それによって、スイッチギヤ101を含む電気設備100の設置位置周辺の敷地を有効に活用することができる。
【0071】
また、この発明にかかる実施の形態の電気設備100は、板状部材104の一辺を嵩上架台102に、板状部材104が当該一辺を軸として回動可能に取り付け、板状部材104を回動させることによって、第1配置形態と第2配置形態とを切り替えるので、板状部材104を回動させるという簡単な操作で、迅速にかつ容易に、第1配置形態と第2配置形態との切り替えが可能となる。
【0072】
また、この発明にかかる実施の形態の電気設備100は、第1配置形態において、板状部材104が地面と略平行の状態を保つために、板状部材104を支持する支持部材107を備える。たとえば、支持部材107が、両端の一端を板状部材107の他辺に取り付け、両端の他端を嵩上架台102における板状部材104の一辺の取り付け位置よりも下側に取り付けるので、点検用架台103にかかる重さ(作業員の体重、所定の機器の重さ)をより確実に支えることができる。
【0073】
また、この発明にかかる実施の形態の電気設備100は、支持部材107が、一端を板状部材104の他辺に回動可能に取り付け、他端を嵩上架台102に対して取り外し可能に取り付けるので、板状部材104を跳ね上げる操作をより容易におこなうことができる。また、支持部材107を、板状部材104と合わせて折り畳んで収納することができる。
【0074】
また、この発明にかかる実施の形態の電気設備100は、第2配置形態において、板状部材104が地面と略垂直の状態を保つために、板状部材104を固定する固定具(ロックピンなど)を備えるので、折り畳んだ点検用架台103を確実に固定することができ、不用意に板状部材104が開いてしまうことがないようにすることができる。
【0075】
また、この発明にかかる実施の形態の電気設備100は、第1配置形態において、板状部材104の他辺に、地面と略垂直に取り付けられるフェンス(落下防止用柵部材)301を備えるので、点検作業の際における点検員の安全を確保することができる。
【0076】
また、この発明にかかる実施の形態の電気設備100は、フェンス301が、点検用架台103に対して取り外し可能に取り付けるので、点検用架台103をよりコンパクトに折り畳むことができ、その分、電気設備100の設置位置周辺の敷地を有効に活用することができる。
【0077】
また、この発明にかかる実施の形態の電気設備100は、第1配置形態において、板状部材104の長手方向の少なくともいずれか一方に、作業員が前記板状部材に上がるための梯子部材または階段部材を備えるので、点検の際における点検員の点検用架台103の上り下りを容易にすることができる。
【0078】
また、この発明にかかる実施の形態の電気設備100は、梯子部材302(または階段部材)が、点検用架台103に対して取り外し可能に取り付けるので、点検用架台103をよりコンパクトに折り畳むことができ、その分、電気設備100の設置位置周辺の敷地を有効に活用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、この発明にかかる電気設備は、スイッチギヤを含む電気設備であり、特に、スイッチギヤを嵩上げする嵩上部材を備えた電気設備の設置位置周辺の敷地を有効に活用することができる電気設備に適している。
【符号の説明】
【0080】
100 電気設備
101 スイッチギヤ
102 嵩上架台(嵩上げ部材)
103 点検用架台
104 板状部材
105 扉
106 把手
107 支持部材
301 フェンス(落下防止用柵部材)
302 梯子部材
303 棒状部材
304 横棒部材
600 操作方法(マニュアル)表示部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6