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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/04 20060101AFI20221220BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20221220BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20221220BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20221220BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20221220BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20221220BHJP
   F21V 21/108 20060101ALI20221220BHJP
   F21V 21/30 20060101ALI20221220BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221220BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21V19/00 170
F21V19/00 150
F21V19/00 450
F21V23/00 120
F21V29/503
F21V29/70
F21V29/83
F21V21/108
F21V21/30 300
F21Y115:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019061070
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020161387
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮窪 翔平
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇太
(72)【発明者】
【氏名】福澤 厚
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-120764(JP,A)
【文献】特開2018-181744(JP,A)
【文献】特開2018-077957(JP,A)
【文献】特開2020-113399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21V 19/00
F21V 23/00
F21V 29/503
F21V 29/70
F21V 29/83
F21V 21/108
F21V 21/30
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が実装された光源基板と、
前記光源基板が下面に取り付けられた板状の高熱伝導性を有する光源基板取付板と、
前記光源基板取付板の上面に取り付けられた電源装置と、
前記光源基板取付板を支持し、高熱伝導性を有するアームと、
を備え、
前記光源基板取付板には、前記光源基板が取り付けられた取付部を挟む両側の縁部のそれぞれを、前記電源装置を囲うように、上方にL字状に折曲加工して形成されたアーム結合片が設けられ
各アーム結合片は、前記光源基板取付板の辺の中央に向かって高くなる山形に形成され、各アーム結合片の前後方向の最大長は、前記取付部の前後方向の全長より短く、各アーム結合片の中央部面接触させて前記アームが結合され、前記アーム結合片のそれぞれには、前記電源装置に対向して開口する複数の貫通孔部が設けられている、
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記アーム結合片のそれぞれには、複数の貫通孔部が設けられている、ことを特徴とす
る請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記光源基板取付板は、
前記光源基板が取り付けられた取付部の前後方向の全長よりも、前記アーム結合片の前
後方向の最大の長さが短い、ことを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
電源基板と、
前記光源基板取付板の上面に固定され、前記電源基板を収めるケースと、を有した電源
装置を備え、
前記電源基板が前記ケースの内部の天面に固定されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の照明器具。
【請求項5】
前記電源装置には、いずれの前記アーム結合片にも対向しない位置に、内部に連通した
開口部が設けられている、ことを特徴とする請求項4に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
器具本体をアームで天井面に支持した照明器具では、器具本体に内設された光源の熱を放熱するために、多数の放熱フィンが器具本体の上面に設けられている(例えば、特許文献1-特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-29214号公報
【文献】特開2018-77957号公報
【文献】特開2018-195459号公報
【文献】特開2017-41328号公報
【文献】特開2017-208364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、放熱フィンに埃が堆積すると放熱性能が低下し、また天井面が高い場合には、器具本体の上面の放熱フィンを清掃することは容易ではない。
さらに、器具本体の高さ方向の全長が放熱フィンの分だけ長くなるため、耐振動性を考慮すると、アームの強度を高める必要もあるものの、アームの増強は照明器具の重量を増す要因になってしまう。
【0005】
本発明は、放熱性能低下、及び重量の増加を抑えることができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の発光素子が実装された光源基板と、前記光源基板が下面に取り付けられた板状の高熱伝導性を有する光源基板取付板と、前記光源基板取付板の上面に取り付けられた電源装置と、前記光源基板取付板を支持し、高熱伝導性を有するアームと、を備え、記光源基板取付板には、前記光源基板が取り付けられた取付部を挟む両側の縁部のそれぞれを、前記電源装置を囲うように、上方にL字状に折曲加工して形成されたアーム結合片が設けられ、各アーム結合片は、前記光源基板取付板の辺の中央に向かって高くなる山形に形成され、各アーム結合片の前後方向の最大長は、前記取付部の前後方向の全長より短く、各アーム結合片の中央部面接触させて前記アームが結合され、前記アーム結合片のそれぞれには、前記電源装置に対向して開口する複数の貫通孔部が設けられている、ことを特徴とする照明器具を提供する。
【0007】
本発明は、上記照明器具において、前記アーム結合片のそれぞれには、複数の貫通孔部が設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
本発明は、上記照明器具において、前記光源基板取付板は、前記光源基板が取り付けられた取付部の前後方向の全長よりも、前記アーム結合片の前後方向の最大の長さが短い、ことを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記照明器具において、電源基板と、前記光源基板取付板の上面に固定され、前記電源基板を収めるケースと、を有した電源装置を備え、前記電源基板が前記ケースの内部の天面に固定されている、ことを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記照明器具において、前記電源装置には、いずれの前記アーム結合片にも対向しない位置に、内部に連通した開口部が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放熱性能低下、及び重量増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る照明器具を斜下方から視た斜視図である。
図2】照明器具を斜上方から視た斜視図である。
図3】照明器具の上面図である。
図4】照明器具の分解図である。
図5図3のV-V線断面図である。
図6図3のVI-VI線断面図である。
図7】照明器具の左側面図である。
図8】照明器具の前面図である。
図9】照明器具の背面図である。
図10】本発明の第1変形例に係る照明器具の構成を示す図である。
図11】本発明の第2変形例に係る照明器具の構成を示す図であり、(A)は底面視正方形の光源部を備える場合を示し、(B)は底面視長方形の光源部を備える場合を示す。
図12】本発明の第3変形例に係る照明器具の構成を示す図である。
図13】本発明の第4変形例に係る照明器具の構成を示す図である。
図14】本発明の第5変形例に係る照明器具の構成を示す図である。
図15】本発明の第6変形例に係る照明器具の構成を示す図である。
図16】本発明の第6変形例に係る照明器具の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る照明器具1を斜下方から視た斜視図であり、図2は照明器具1を斜上方から視た斜視図である。図3は照明器具1の上面図であり、図4は照明器具1の分解図である。
本実施形態の照明器具1は、高天井などの天井面に設置される天井照明器具である。これらの図に示すように、照明器具1は、器具本体4と、高天井等の天井面に固定され器具本体4を回動自在に支持するアーム6と、器具本体4に電力を供給する電源装置8と、を備える。
図1において、設置状態の照明器具1から視て天井面が位置する方向が紙面上方向であり、この方向を照明器具1の上方向と定義する。また上下左右も含めて照明器具1の方向の定義を図1に示す。
【0014】
器具本体4は、光源基板取付板10と、光源部12と、を有する。
光源基板取付板10は、図2から図4に示すように、平面視略矩形板状の取付部11と、一対のアーム結合片14とを一体に備えている。取付部11の上面11Aには、その中央部に電源装置8が設置されている。取付部11の下面11Bには、図1に示すように、光源部12が設けられている。
【0015】
アーム結合片14は、取付部11の両側に設けられており、それぞれのアーム結合片14には、図4に示すように、2つのプレスナット16が上下に並んで設けられ、各プレスナット16にボルト15を通してアーム6が結合されている。なお、プレスナットは埋込ナットとも呼ばれる。
これらのアーム結合片14は、光源基板取付板10において、取付部11を間に挟む両側の縁部を上方に向けてL字状に折曲加工することで当該取付部11に一体形成されている。一方、取付部11において、前面側の縁部である先端部11K1と、背面側の縁部である後端部11K2とは折曲加工されておらず、先端部11K1、及び後端部11K2から電源装置8の間は凹凸がない平坦面に形成されている。
【0016】
光源基板取付板10には、高熱伝導性を有し、かつ所望の剛性を有する板金が用いられており、本実施形態では、厚さが3mmのアルミニウム合金が用いられている。
【0017】
図5図3のV-V線断面図であり、図6図3のVI-VI線断面図である。
電源装置8は、図6に示すように、光源部12に供給する電力を生成する電気回路が実装された電源基板20と、外部電力や照明制御信号を伝送する配線が接続される端子台21と、これらを収める金属製の電源カバーケース22と、を備えている。
【0018】
電源カバーケース22は、底面全体が開口した無底箱状を成し、この底面側を光源基板取付板10の側に向けて、取付部11の上面11Aに螺子止め固定されている。
電源基板20は、電源カバーケース22の天面22Aに絶縁スペースをあけた状態で固定される。この天面22Aには底面側に凸状を成す複数のプレスナット25(図6)が設けられており、各プレスナット25に電源基板20を螺子止めすることで、プレスナット25の凸形状により所定の絶縁スペースが確保される。
図5に示すように、取付部11には上下に貫通する貫通孔26が形成されており、電源基板20から延びる配線が電源カバーケース22の外を経由することなく、貫通孔26を通って下面11Bの側に至り、光源部12に結線される。
【0019】
本実施形態の電源カバーケース22は、前掲図4に示すように、ケース本体27と、端子台カバー28と、を備える。
【0020】
ケース本体27は、無底箱状であり、図6に示すように、左右の側面29には、その下端部がL字状に折曲加工されて、取付部11に螺子止め固定するための固定片30が形成されている。またケース本体27の内部には、左側の側面29に略平行に端子台取付片31が設けられている。この端子台取付片31には、ケース本体27の天面22Aに近い位置に端子台21が固定される。
【0021】
本実施形態の照明器具1では、端子台取付片31は、ケース本体27の内部における前面32の側、及び背面33(図7参照)の側の2箇所に設けられている。一方の端子台取付片31には、自身の電源装置8への入力用の端子台21が固定され、他方の端子台取付片31には、調光用制御線用の端子台21が固定される。なお、調光などの光制御が不要な場合は、他方の端子台21を備えなくてもよい。
【0022】
本実施形態のケース本体27では、端子台取付片31は、前面32、及び背面33の各左端部をケース本体27の内側に向けてL字状に折り曲げて形成されることで、前面32、及び背面33のそれぞれの左端部に開口部34(図8図9参照)が形成される。これらの開口部34を通じてケース本体27の熱が外部に良好に放熱されるようになっている。また、図4および図6に示すように、前面32、及び背面33の各々の開口部34は連通しており、ケース本体27の内部に、前後方向に延びる貫通路A(図6参照)が形成されている。
【0023】
端子台カバー28は、前掲図4および図6に示すように、ケース本体27の左側の側面29に支点ネジ28Aによって、矢印Bの方向に回転自在に螺子止め固定される。なお、図7に破線で示すように、支点ネジ28Aの頭が側面視でアーム結合片14に隠れることなく完全に見えるように、アーム結合片14の一部に切欠き14Aを設けてもよい。切欠き14Aを設けることで、照明器具1の設置時に作業者が支点ネジ28Aを締め込んで端子台カバー28の回転を抑える際に、スクリュードライバーによるネジ締め作業が容易になる。
【0024】
端子台カバー28は、開口部34の側方、及び上方の両方を覆うことで端子台21を覆い隠し、なおかつ、開口部34の前面側(背面側)を開放することで、ケース本体27の内部の通気性が確保されるようになっている。また、いずれの開口部34も器具本体4の前後に面しており、いずれのアーム結合片14にも対面しない位置に設けられているため、十分な通気性が確保される。
【0025】
光源部12は、発光素子を光源として照明するものであり、図5、及び図6に示すように、発光素子の一例である複数のLED40が実装された光源基板42と、この光源基板42を覆うカバー部材である前面グローブ44とを備えている。
光源基板42は、熱伝導性に優れた略矩形板状の金属基板であり、熱伝導性に優れた絶縁シートを間に挟んで光源基板取付板10の取付部11の下面11Bに全面が接触した状態で螺子止め固定される。この取付部11の下面11Bには、光源基板42を位置決めする適宜の数のハーフピアス(ダボとも呼ばれる)が設けられている。
【0026】
光源基板42には、図4に示すように、取付部11の貫通孔26に連通する位置に配線孔43が開口し、電源基板20から延びる配線が配線孔43を通って光源基板42の実装面側に引き出され、当該光源基板42に結線される。これら貫通孔26、及び配線孔43には電線の被覆を保護するために適宜のブッシュが嵌め込まれている。なお、ブッシュには、貫通孔を密閉できるものを使用するのが好ましい。また、光源基板42には樹脂基板を用いてもよい。光源基板42に樹脂基板が用いられる場合、放熱シートではなく放熱グリースを介して光源基板取付板10の下面11Bに光源基板42を取り付けてもよい。
【0027】
光源基板42の実装面には多数のLED40が配置されており、対向する前面グローブ44に各LED40から光が入射される。各LED40が放射する光の色(波長)は適宜であり、本実施形態では白色光が用いられている。
また各LED40は、光源基板42の実装面において、その中央を含む所定範囲を避けて配置されている。
【0028】
前面グローブ44は、光源基板42を覆う無天面状の薄い箱型を成し、透光性を有する樹脂材やガラス材等から形成され、取付部11の下面11Bに螺子止め固定されている。この前面グローブ44は、その表面全体が乳白色を呈し、光源部12の光を透過の際に散乱させることで、照度ムラや前面グローブに映るLED40の輝点を目立たなくするようになっている。
【0029】
アーム6は、前掲図4に示すように、高熱伝導性を有する材料を略コ字状に形成して成る部材であり、互いに平行に延びる一対の支持バー部50と、これら支持バー部50に対して垂直に延び、支持バー部50の上端部50A同士を連結する連結バー部51とを一体に備える。
【0030】
連結バー部51には、複数の固定孔52が設けられており、適宜の固定孔52にボルトを通して天井面(設置面)に固定される。また、各支持バー部50の下端部50Bの側には、締結孔53と、この締結孔53を中心した円弧状の長孔である円弧孔54と、が設けられている。アーム6は、これら締結孔53、及び円弧孔54にボルト15を通し、光源基板取付板10のアーム結合片14に固定される。固定の際には、締結孔53を支点として円弧孔54の長孔の範囲で光源基板取付板10を回転させることで、光源基板取付板10が所望の角度で固定される。
支持バー部50には、照度センサなどの各種センサや通信機器などの適宜の機器を固定してもよい。
【0031】
照明器具1にあっては、器具本体4の上面11Aに、従前の一般的な高天井照明器具が備える放熱フィンが設けられておらず、かかる放熱フィンを設けずともLED40の発熱が効率良く放熱されるようになっている。
詳述すると、LED40の発熱は、光源基板42を介して光源基板取付板10に伝えられる。図1、及び図2に示すように、光源基板取付板10の取付部11の上面11Aと、その両側のアーム結合片14とが外部に露出しており、これら上面11A、及びアーム結合片14からLED40の発熱が外部に放熱される。
【0032】
上述の通り、各アーム結合片14は、光源基板取付板10において、取付部11を間に挟む両側の縁部を折曲加工して一体成形されている。従来の照明器具では取付部11とアーム結合片14とが別部材で構成されており、両者間の接触抵抗によって伝わる熱量が減少していた。本実施形態のアーム結合片14は、その厚みが約3mmであり、熱伝導経路として十分な断面積を確保できるので、取付部11の上面11Aと各アーム結合片14との間の熱抵抗が小さくなり、大量の熱を速やかにアーム結合片14の端部まで伝えることができる。
これにより、取付部11の上面11Aに別途に放熱フィンを設けずとも、良好な放熱性能が得られる。また放熱フィンが不要になるので器具本体4を軽くできる。
【0033】
本実施形態の照明器具1では、上述したように、アーム6が高熱伝導性の材料から形成されており、アーム結合片14から熱がアーム6に伝わって当該アーム6の全体からも熱が放熱され、放熱性能がより高められている。またアーム6の各支持バー部50の下端部50Bは、図6に示すように、面接触した状態でアーム結合片14に直接的に(別の部材を何ら介在させずに)固定されている。これにより、アーム結合片14とアーム6との間の熱抵抗が抑えられ、アーム6からの放熱量が高められているので、より高い放熱性能が実現されている。
本実施形態では、アーム6には、SPCC(冷間圧延鋼板)から成る厚さが約2mmの部材が用いられている。
【0034】
図7は照明器具1の左側面図であり、図8は照明器具1の前面図、図9は照明器具1の背面図である。
アーム結合片14は、図8に示すように、その最大高さHamaxが電源装置8の高さHbと略同じ高さ、或いは、電源装置8の高さHbよりも数ミリメートル程度僅かに低く形成されている。
電源装置8の内部空間には、電源基板20や端子台21が備える各種の部品の温度が規定温度範囲に収められる広さを要し、さらに電源基板20と電源カバーケース22、及び取付部11の上面11Aとの絶縁距離を確保する必要があり、本実施形態の電源装置8(電源カバーケース22)の高さHbは、これらを満足する最小限の高さに設定されている。
アーム結合片14の最大高さHamaxを、かかる電源装置8の高さHbと同程度とすることで、上面11Aから上方への器具本体4の突出量を、電源装置8の高さHbに抑えることができ、また、その突出量の制限内でアーム結合片14による放熱効果を最大にできる。
【0035】
また図8に示すように、電源装置8(電源カバーケース22)からアーム6の連結バー部51までの距離Mは、電源装置8の高さHbよりも大きく、アーム6の設置面である天井面と、電源装置8との間に十分なスペースが確保されるようになっている。電源カバーケース22内における電源基板20の位置は、電源装置8の高さHbの半分より上にあることが好ましい。
【0036】
本実施形態では、電源装置8の高さHbは63mmであり、距離Mは100mmである。またアーム結合片14の最大高さHamaxは62mmである。
【0037】
本実施形態の各アーム結合片14は、図7に示すように、器具本体4の中央部に頂点(最大高さHamax)を有した略三角形状(本実施形態では略二等辺三角形状)に成されている。本明細書において、略三角形状とは三角形の各頂点を面取りした形状を指す。
また光源基板取付板10においては、取付部11の前後方向の全長Lbよりも、各アーム結合片14の前後方向の最大長Laが短くなっている。このように構成することで、取付部11の四方の角に丸みを付けることができる。これにより、照明器具の搬送や取付時に人の手が取付部11の角に触れても問題が無い。本実施形態において、最大長Laは、アーム結合片14の底辺の長さ、すなわち取付部11とアーム結合片14の接続部分の長さに相当し、この最大長Laは、取付部11の全長Lbの約65%から90%の範囲となっている。
【0038】
各アーム結合片14には、表裏に貫通する複数の貫通孔部61が形成されており、通気性を確保している。貫通孔部61は、アーム結合片14の放熱フィンとしての放熱面積やアーム結合部材としての強度を考慮して、外周から10~20mm程度の幅を設けて設けられている。本実施形態では、アーム結合片14のそれぞれには、その側面積に占める各貫通孔部61の総開口面積の割合(開口率)が、約10%から約20%程度になっている。アーム結合片14の剛性は器具自体の耐震性にもかかわるため、通気や軽量化を目指すあまりアーム結合片14の肉厚(板の厚み)が薄くなってはいけない。また貫通孔部61には落下防止ワイヤーを通すこともできる。
【0039】
このように、アーム結合片14が略三角形状に形成され、その最大長Laが取付部11の全長Lbよりも短くされ、複数の貫通孔部61が設けられることでアーム結合片14を軽量化できる。
【0040】
またアーム結合片14の貫通孔部61によって、器具本体4の左右方向の通気性が高められるので、一対のアーム結合片14の間に存在する上面11A、及び電源装置8の放熱性能が高められる。各貫通孔部61は、側面視において、器具本体4の中央部に近いほど上下に拡がることで開口面積が大きくなっているので、中央部に配置された電源装置8とアーム結合片14との間の通気性を十分に確保することができる。
なお、各貫通孔部61は、例えば落下防止ワイヤーや、前面グローブ44を保護するガード部材といった適宜の部材の固定に用いてもよい。
【0041】
アーム結合片14の側面積や、各貫通孔部61の総開口面積、最大長La、取付部11の全長Lb、取付部11の上面11Aの面積といった各種パラメータは、要求される放熱性能に応じて、光源部12の光出力ごとに最適化できる。
【0042】
本実施形態によれば、次の効果を奏する。
【0043】
本実施形態の照明器具1では、光源基板取付板10には、光源基板42が取り付けられた取付部11を挟む両側の縁部のそれぞれを上方にL字状に折曲加工して形成されたアーム結合片14が設けられており、各アーム結合片14にアーム6が結合されている。
【0044】
この照明器具1によれば、光源基板42を介して光源基板取付板10に伝えられたLED40の発熱を、取付部11の上面11Aと、その両側のアーム結合片14とから外部に放熱できる。また各アーム結合片14は、取付部11に折曲加工によって一体成形されているので、取付部11の上面11Aと各アーム結合片14との間の熱抵抗が小さくなり、光源基板42から取付部11に伝わった熱が各アーム結合片14まで熱伝導によって直接スムーズに伝えられ、効率良く放熱できる。
これにより、取付部11の上面11Aに、埃の堆積等によって放熱性能が低下する放熱フィンを別途に設けずとも、良好な放熱性能を実現できる。また放熱フィンが不要になることで器具本体4を軽くできる。
【0045】
従来の高天井照明器具では、アームが取り付けられている筐体の箇所ではLEDからの伝熱による温度上昇はほとんどない。すなわち従来の高天井照明器具では、アームおよびアーム取付部材は照明器具の放熱に寄与していない。一方、本実施形態の照明器具1では、点灯中にアーム結合片14およびアーム6の温度上昇が確認されており、このことからアーム結合片14およびアーム6が照明器具1の放熱に寄与していることがわかる。
【0046】
本実施形態の照明器具1では、アーム結合片14のそれぞれには、複数の貫通孔部61が設けられているので、器具本体4の軽量化を図ることができ、また器具本体4の左右方向の通気性を確保できる。また、例えば落下防止ワイヤーや、前面グローブ44を保護するガード部材といった適宜の部材の固定にも用いることができる。
【0047】
本実施形態の照明器具1では、光源基板取付板10は、取付部11の前後方向の全長Lbよりも、アーム結合片14の前後方向の最大長Laが短いので、器具本体4の重量を、より軽くできる。
【0048】
本実施形態の照明器具1では、アーム結合片14のそれぞれは、略三角形状であるので、最大高さHamaxが同じ側面視矩形状である場合に比べ、器具本体4の重量を、より軽くできる。
【0049】
本実施形態の照明器具1では、アーム6がアーム結合片14に面接触しているので、アーム結合片14から熱がアーム6にスムーズに伝わって当該アーム6の全体からも熱を効率良く放熱し、より高い放熱性能を実現することができる。
【0050】
本実施形態の照明器具1では、アーム結合片14の最大高さHamaxが、取付部11の上面11Aに設けられた電源装置8の高さHb以下なので、上面11Aから上方への器具本体4の突出量を、電源装置8の高さHbに抑えることができる。
【0051】
本実施形態の照明器具1では、電源装置8において、電源基板20が電源カバーケース22の内部の天面22Aに固定されているので、取付部11との絶縁を図ることができ、また電源基板20の発熱が取付部11に与える影響も抑えられる。
【0052】
本実施形態の照明器具1では、電源装置8には、アーム結合片14のそれぞれに対向しない位置に、内部に連通した開口部34が設けられているので、良好な通気性を確保できる。
【0053】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0054】
(変形例1)
上述した実施形態では、底面視長方形の光源部12を構成したが、図10に示す照明器具100のように、底面視略正方形の光源部112を構成してもよい。この場合、光源基板取付板10の取付部11も、光源部112に合わせて底面視正方形としてもよい。底面視長方形の光源部12(光源基板42)の長手方向を短縮した設計によって、底面視正方形の光源部112を得ることで、照明器具1よりも低光出力の照明器具100を簡単に実現できる。
【0055】
(変形例2)
光源基板取付板10の下面11Bに複数の光源部12を設けてもよい。例えば図11(A)に示す照明器具200のように、図10に示した底面視正方形の2つの光源部112を、光源基板取付板10の下面11Bに並べて設けてもよい。また例えば、図11(B)に示す照明器具300のように、上述した実施形態の照明器具1が備える光源部12を、光源基板取付板10の下面11Bに2つ並べて設けてもよい。
複数の光源部12、112を並べることで、照明器具1よりも大きな光出力の照明器具200、300を簡単に実現できる。
【0056】
(変形例3)
光源基板取付板10に複数の光源部12、112を設けた場合、図12に示す照明器具400のように、光源部12、112ごとに電源装置8を光源基板取付板10の上面11Aに並べて設けてもよい。この場合、2つの電源装置8の間に連結部材480を設け、電源装置8の相対位置固定と配線カバーの役割を兼用させることもできる。また複数の電源カバーケース22を設けた照明器具400では、器具の組立時に貫通路Aを通して2つの電源カバーケース22の端子台21の間に給電線を配線しておくことができる。調光用制御線についても同様に内部配線しておくことができる。
【0057】
(変形例4)
図13に示す照明器具500のように、光源部12を保護するガード部材585を備えてもよい。それぞれのアーム結合片14に支持片586を固定し、各支持片586でガード部材585を支持してもよい。各支持片586をアーム6と同様に高熱伝導性材から形成することで、より放熱性能を高めることができる。
【0058】
(変形例5)
図14に示す照明器具600のように、光源基板取付板10の取付部11の上面11Aから浮かせた状態(隙間を設けた状態)で電源装置8を設け、取付部11と電源装置8との間にスペースQを設けてもよい。これにより、取付部11の上面11Aの放熱性が向上し、より高い放熱性能を実現できる。
【0059】
(変形例6)
照明器具1の光出力が比較的小さい場合や、LED40の発光効率が高く取付部面積のわりに発生熱量が小さい場合などには、アーム結合片14の面積をさらに小さくすることが可能である。
具体的には、図15、及び図16に示すように、アーム結合片14の立ち上がり部90の幅はアーム結合片14の前後方向の最大長Laであり、取付部11の前後方向の全長Lbの65%以上を約10mmの高さだけ確保している。立ち上がり部90より上側のアーム結合部91の幅Lcは、アーム6とほぼ同じ寸法の矩形形状にしてよい。
ただし、この立ち上がり部90とアーム結合部91との境界は単純に90度の角部とするのではなく、応力集中を緩和するために、斜面または丸みを付けた凹曲面などの繋ぎ領域92を設けるのが好ましい。これらの繋ぎ領域92の寸法は、斜面を設けた場合にはアーム結合片14を横方向から見た時の仮想三角形の1辺が少なくとも10mm以上になるように設定するのがよい。例えば図15の照明器具700においては、仮想三角形の垂直方向寸法が10mm、水平方向が17.3mmとなっている。凹曲面の場合には、アーム結合片14を横方向から見た時の仮想円弧の半径が10mm以上となることが好ましい。例えば図16の照明器具800においては、半径10mmの丸みを設けている。
これらの構成を採用した場合には、アーム結合片14は略三角形状とは言えなくなるが、取付部11から折曲加工して形成された下辺の寸法より、アーム結合部91の上辺の寸法のほうが短い形状であることは共通している。このような形状であれば、光源基板取付板10において取付部11から伝達される熱量を熱伝導によってアーム結合片14に伝えることができ、かつ照明器具をアーム6によって天井に設置しても安定した取付状態を保つことができる。
【0060】
(他の変形例)
電源装置8を照明器具1とは別に設けてもよい。
照明器具1を、天井面に限らず、壁面に設置してもよい。
光源基板取付板10、及びアーム6の素材には、光源部12の放熱に要する高熱伝導性を有し、必要な剛性を実現可能な任意の合金、或いは金属を用いることができる。
上述した実施形態において、水平、及び垂直等の方向、各種の数値、及び形状は、特段の断りがなされていない限り、これらの方向、及び数値の周辺の範囲、並びに近似の形状を意識的に除外するものではなく、同一の作用効果を奏し、また数値にあっては臨界的意義を逸脱しない限りにおいて、その周辺の範囲、並びに近似の形状(いわゆる、均等の範囲)を含む。
【符号の説明】
【0061】
1、200、300、400、500、600、700、800 照明器具
4 器具本体
6 アーム
8 電源装置
10 光源基板取付板
11 取付部
12、112 光源部
14 アーム結合片
20 電源基板
22 電源カバーケース
22A 天面
34 開口部
40 LED(発光素子)
42 光源基板
61 貫通孔部
Hamax アーム結合片の最大高さ
Hb 電源装置の高さ
La アーム結合片の最大長
Lb 取付部の全長
M 距離
図1
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