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  • 特許-ネジ締結構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ネジ締結構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/18 20060101AFI20221220BHJP
   H01R 4/34 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H01R9/18
H01R4/34
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019063312
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020166932
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】山口 賢一
(72)【発明者】
【氏名】小林 康一
(72)【発明者】
【氏名】金子 浩二
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-006262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/18
H01R 4/34
H01R 12/50-12/51
H05K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面及び第2の主面を有し、前記第1の主面側にネジを締結するためのネジ端子が設けられた基板と、
前記基板の厚み方向に延びると共に、前記ネジ端子に締結されるネジと、
前記厚み方向において、前記基板の前記第2の主面と対向して配置されるベース部材と、を備え、
前記ネジの軸部は、前記厚み方向に前記基板を貫通し、前記第2の主面から突出し、
前記ベース部材には、前記ネジの締結部分に対応する位置に、前記軸部を取り囲む袋部が形成されており、
前記ベース部材は、前記厚み方向と直交するように平板状に広がる本体部と、前記本体部のうちの前記ネジの締結部分に対応する一部の位置において、前記本体部と同一部材として当該本体部から前記基板側へ突出する台座部と、を有し、
前記袋部は前記台座部に形成される、ネジ締結構造。
【請求項2】
前記厚み方向における前記袋部の前記基板側の端部は、前記基板の前記第2の主面と接触又は近接する、請求項1に記載のネジ締結構造。
【請求項3】
第1の主面及び第2の主面を有し、前記第1の主面側にネジを締結するためのネジ端子が設けられた基板と、
前記基板の厚み方向に延びると共に、前記ネジ端子に締結されるネジと、
前記厚み方向において、前記基板の前記第2の主面と対向して配置されるベース部材と、を備え、
前記ネジの軸部は、前記厚み方向に前記基板を貫通し、前記第2の主面から突出し、
前記ベース部材には、前記ネジの締結部分に対応する位置に、前記軸部を取り囲む袋部が形成されており、
前記袋部の内径は、前記軸部を挿通させる前記基板の貫通孔の内径以下である、ネジ締結構造。
【請求項4】
第1の主面及び第2の主面を有し、前記第1の主面側にネジを締結するためのネジ端子が設けられた基板と、
前記基板の厚み方向に延びると共に、前記ネジ端子に締結されるネジと、
前記厚み方向において、前記基板の前記第2の主面と対向して配置されるベース部材と、を備え、
前記ネジの軸部は、前記厚み方向に前記基板を貫通し、前記第2の主面から突出し、
前記ベース部材には、前記ネジの締結部分に対応する位置に、前記軸部を取り囲む袋部が形成されており、
前記袋部の内周面は、底面へ向かうに従って内径が小さくなる、ネジ締結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネジ締結構造として、特許文献1に示すものが知られている。このネジ締結構造は、ネジと、ネジが取り付けられる部材と、雌ねじを有する板金部材と、キャップと、を備える。ネジの軸部は、部材及び板金部材を貫通する。また、キャップは、ネジの軸部の貫通した部分を覆っている。これにより、キャップは、ネジを板金部材に締結するときに発生する屑の飛散を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-22736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すネジ締結構造では、ネジを板金部材に締結した後、追加部材であるキャップを取り付ける必要があった。従って、部品点数が増加すると共に作業の手間が増えていた。従って、追加部材を設ける必要なく、ネジの締結の際に生じる屑の飛散を抑制することが求められていた。
【0005】
本発明は、追加部材を設ける必要なく、ネジの締結の際に生じる屑の飛散を抑制することができるネジ締結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るネジ締結構造は、第1の主面及び第2の主面を有し、第1の主面側にネジを締結するためのネジ端子が設けられた基板と、基板の厚み方向に延びると共に、ネジ端子に締結されるネジと、厚み方向において、基板の第2の主面と対向して配置されるベース部材と、を備え、ネジの軸部は、厚み方向に基板を貫通し、第2の主面から突出し、ベース部材には、ネジの締結部分に対応する位置に、軸部を取り囲む袋部が形成されている。
【0007】
本発明に係るネジ締結構造は、基板の厚み方向において、当該基板の第2の主面と対向して配置されるベース部材を備えている。ネジの軸部は、厚み方向に基板を貫通し、第2の主面から突出する。このようなネジに対し、ベース部材には、ネジの締結部分に対応する位置に、軸部の全周を取り囲む袋部が形成されている。この場合、ネジをネジ端子に締結する際に屑が生じても、袋部が軸部を取り囲むように形成されているため、屑の飛散を抑制することができる。また、袋部は、基板に対するベースとなる既設のベース部材に形成されている。すなわち、既設の部材が屑の飛散を抑制できるため、基板に対して追加部材を設ける必要がない。以上により、追加部材を設ける必要なく、ネジの締結の際に生じる屑の飛散を抑制することができる。
【0008】
厚み方向における袋部の基板側の端部は、基板の第2の主面と接触又は近接してよい。この場合、袋部内に収容された屑が、袋部の基板側の端部と基板との間の隙間から飛散することを抑制できる。
【0009】
袋部の内径は、軸部を挿通させる基板の貫通孔の内径以下である。この場合、基板がベース部材よりも下側になるように配置された場合、基板の第2の主面に屑が堆積することを抑制できる。これにより、屑が基板の第2の主面を伝って、袋部の外へ飛散することを抑制できる。
【0010】
袋部の内周面は、底面へ向かうに従って内径が小さくなってよい。この場合、内周面は、屑を底面側へ案内し易くなる。また、袋部は、底面付近の狭い空間に屑をとどめておくことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、追加部材を設ける必要なく、ネジの締結の際に生じる屑の飛散を抑制することができるネジ締結構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るネジ締結構造を示す概略平面図である。
図2図1に示すネジ締結構造の展開斜視図である。
図3図1に示すIII-III線に沿った断面図である。
図4図3に示すネジ締結構造1の拡大断面図である。
図5】変形例に係るネジ締結構造1の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、本実施形態に係るネジ締結構造1の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るネジ締結構造1を示す概略平面図である。図2は、図1に示すネジ締結構造1の展開斜視図である。図1及び図2に示すようにネジ締結構造1は、基板2と、ネジ3と、ベース部材4と、を備えている。なお、本実施形態に係るネジ締結構造1が採用される電子ユニットは特に限定されず、基板2をベース部材4にネジ3で締結する部分を有する電子ユニットであれば、あらゆるものに採用可能である。
【0014】
基板2は、電子回路を構成する板状の部材である。基板2は、表面にパターンが形成され、当該パターンに対して電子部品が実装された電子回路を構成する。ただし、図では導体パターンや電子部品は省略している。また、基板2は図示したものより広範囲に広がっていてもよいが、本実施形態では、ネジ締結構造1の構成の理解を容易とするために、小さい矩形状の基板2を例示する。基板2は、電子部品の実装面となる第1の主面1aと、第1の主面1aとは反対側の第2の主面と、を有している。なお、基板2の厚み方向を「厚み方向D1」として、以降の説明を行う。第1の主面2aと第2の主面2bとは、厚み方向D1に互いに平行となる。
【0015】
基板2は、四方の縁部2c,2d,2e,2fを有するものとする。縁部2c,2dは互いに平行をなすように延びる。縁部2e,2fは縁部2c,2dと直交すると共に互いに平行をなすように延びる。基板2の四隅には、ネジ3を挿通させるための貫通孔11が形成されている(図2参照)。各貫通孔11は、第1の主面2aから第2の主面2bへ向かって厚み方向D1に延びるように、基板2を貫通する。各貫通孔11は、縁部2cと縁部2eとの間の角部、縁部2cと縁部2fとの間の角部、縁部2dと縁部2fとの間の角部、及び縁部2dと縁部2eとの間の角部に形成される。
【0016】
基板2の第1の主面2a側にネジ3を締結するためのネジ端子12が設けられる。ここでは、ネジ端子12としてネジ端子12A,12Bが設けられる。ネジ端子12Aは、縁部2cと縁部2eとの間の角部に形成された貫通孔11と対応する位置に設けられる。また、ネジ端子12Bは、縁部2dと縁部2fとの間の角部に形成された貫通孔11と対応する位置に設けられる。ネジ端子12A,12Bは、基板2の第1の主面2a側にネジ3を締結させるための部材である。端子12A,12Bは、金属の板状部材にネジ孔12a(図2参照)を形成することによって構成される。ネジ孔12aには、ネジ3を締結させるための雌ネジが形成されている。なお、縁部2cと縁部2fとの間の角部及び縁部2eと縁部2dとの間の角部には、ネジ端子12は設けられない。
【0017】
ベース部材4は、基板2を支持するための部材である。ベース部材4は、厚み方向D1において、基板2の第2の主面2bと対向して配置される。なお、図においては、ベース部材4のうち基板2を支持する箇所だけを示しているが、更に広範囲に広がって他の基板や電子部品が実装されてもよい。ベース部材4は、本体部14と、本体部14から突出する台座部16A,16B,16Cと、を有する。本体部14は、厚み方向D1と直交するように平板状に広がる。台座部16A,16B,16Cは、本体部14から厚み方向D1へ向かって突出する。
【0018】
台座部16Aは、縁部2cと縁部2eとの角部に対応する箇所で突出する。台座部16Aには、ネジ3の軸部を取り囲む袋部30が形成されている。袋部30の詳細な構成は後述する。台座部16Bは、縁部2dと縁部2eとの角部に対応する箇所で突出する。台座部16Bには、ネジ3を締結するためのネジ孔17が形成されている。台座部16Cは、縁部2fに対応する箇所で突出する。台座部16Cのうち、基板2の縁部2dと縁部2fの角部に対応する箇所には袋部30が形成されている。台座部16Cのうち、基板2の縁部2cと縁部2fに対応する箇所にはネジ孔17が形成されている。
【0019】
ネジ3は、厚み方向D1に延びると共に、ネジ端子12A,12B又はネジ孔17に締結される。基板2の四カ所の角部のそれぞれに対してネジ3が締結される。ネジ3は、頭部18と、軸部19を有する。頭部18は、軸部19よりも径が広い部分である。軸部19は、頭部18から厚み方向D1へ延びる部分である。軸部19の外周面には雄ネジが形成されている。なお、ネジ端子12A,12Bに締結されるネジ3は、バスバー21A,21Bを挟むようにして締結される。バスバー21A,21Bは、ネジ端子12A,12Bと他の電子部品(不図示)とを電気的に接続させるための導電性の部材である。バスバー21A,21Bは、ネジ端子12A,12Bから所定の方向へ向かって延びている。台座部16B,16Bのネジ孔17にネジ3を締結することで、基板2がベース部材4に支持された状態となる。
【0020】
次に、図3を参照して、ネジ締結構造1の構造について更に詳細に説明する。図3は、図1に示すIII-III線に沿った断面図である。図4は、図3に示すネジ締結構造1の拡大断面図である。なお、以降の説明においては、厚み方向D1のうち、ネジ3の頭部18側を「上側」とし、軸部19の先端側を「下側」と称して説明を行う。しかし、ここでの上下の向きは、説明のために便宜的に設定したものであり、電子ユニットの使用態様によっては、必ずしも当該上下の向きに限定されるものではない。例えば、ネジ3の頭部18側が下側を向くように配置される場合もある。
【0021】
図3に示すように、台座部16Bでは、ネジ3は、基板2を介して台座部16Bのネジ孔17に締結されている。厚み方向D1において、ネジ3の軸部19は、第1の主面2a側から基板2の貫通孔11に挿通されて、第2の主面2b側から突出する。軸部19の当該突出した部分が、ネジ孔17に締結される。台座部16Aでは、ネジ3は、バスバー21Aを介してネジ端子12Aのネジ孔12aに締結されている。なお、台座部16Cの袋部30及びネジ孔17も図3と同趣旨の構成を有している。
【0022】
図4に示すように、台座部16Aに対応する箇所では、基板2の貫通孔11は、ネジ端子12Aのネジ孔12aよりも径が大きい。ネジ端子12Aは、ネジ孔12aの箇所にて、貫通孔11に入り込むように延びる延長部24を有する。ネジ3は、バスバー21Aを介してネジ端子12Aのネジ孔12aに締結されている。厚み方向D1において、ネジ3の軸部19は、第1の主面2a側からバスバー21Aの貫通孔21a、ネジ端子12Aのネジ孔12a、及び基板2の貫通孔11に挿通されて、第2の主面2b側から突出する。ネジ端子12Aのネジ孔12aに対して中心線CLを設定した場合、バスバー21Aの貫通孔21a、貫通孔11及びネジ3の中心線は、いずれも中心線CLと一致するように配置される。
【0023】
ベース部材4には、ネジ3の締結部分に対応する位置、すなわち台座部16Aに、袋部30が形成されている。袋部30は、ネジ3の軸部19の全周を取り囲むように構成されている。袋部30は、台座部16Aの端部16aから下方へ向かって延びる円形状の凹部である。袋部30は、円筒状の内周面31と、内周面31の下端側に形成される底面32と、を有する。内周面31の中心線は、中心線CLと略一致するように設定されている。底面32は、厚み方向D1と直交する方向へ広がる面である。
【0024】
内周面31は、中心線CL周りに360°の領域にて、軸部19を取り囲んでいる。内周面31の直径は、軸部19の直径よりも大きく設定されており、内周面31は、軸部19から径方向に離間した位置に配置されている。また、内周面31は、軸部19よりも下方まで延びている。従って、底面32は、軸部19よりも下方に配置される。底面32は、軸部19から下方に離間する位置にて、軸部19の先端と厚み方向D1に対向するように配置されている。このような構造により、袋部30は、軸部19を収容する閉空間を形成する。ネジ孔12aに対してネジ3を締結したときに発生する屑は、袋部30内に収容される。なお、底面32は、本体部14の上面14aよりも下方に配置されているが、上面14aと同位置であってもよく、上面14aよりも上方に配置されてよい。また、軸部19の先端と底面32の離間距離は、特に限定されず、互いに干渉しない範囲で、更に隙間を小さくしてもよい。
【0025】
厚み方向D1における袋部30の基板2側の端部16aは、基板2の第2の主面2bと接触している。これにより、基板2と袋部30との間には隙間が形成されることなく、閉じられた状態となっている。すなわち、袋部30内の屑は、基板2と袋部30との間から出てゆくことが防止される。
【0026】
本実施形態では、袋部30の内径、すなわち内周面31の直径は、基板2の貫通孔11の内径と略同一に設定されている。袋部30の内径は、軸部19及びネジ端子12Aのネジ孔12aよりも大きく設定されている。また、袋部30の内径は、ネジ端子12Aのうちネジ孔12aに沿って下方に延びる延長部24部分の直径よりも大きい。なお、袋部30の内周面31は成形のための抜き勾配を有する場合もあるため、袋部30の内径を比較する際は、内周面31の基板2側の端部16aにおける内径を用いる。
【0027】
袋部30の内径の下限値は特に限定されないが、製造時の公差、及び組み付け時の組み付け誤差などを考慮しても、袋部30がネジ3の軸部19及びネジ端子12Aの延長部24と干渉しない範囲に設定される。また、袋部30の内径の上限値は特に限定されず、台座部16Aの肉厚などの制限を受けない範囲で設定されてよい。
【0028】
次に、本発明の実施形態に係るネジ締結構造1の作用・効果について説明する。
【0029】
実施形態に係るネジ締結構造1は、基板2の厚み方向D1において、当該基板2の第2の主面2bと対向して配置されるベース部材4を備えている。ネジ3の軸部19は、厚み方向D1に基板2を貫通し、第2の主面2bから突出する。このようなネジ3に対し、ベース部材4には、ネジ3の締結部分に対応する位置(ネジ端子12A,12Bが形成される位置)に、軸部19の全周を取り囲む袋部30が形成されている。この場合、ネジ3をネジ端子12A,12Bに締結する際に屑が生じても、袋部30が軸部19を取り囲むように形成されているため、屑の飛散を抑制することができる。また、袋部30は、基板2に対するベースとなる既設のベース部材4に形成されている。すなわち、既設の部材が屑の飛散を抑制できるため、基板2に対して追加部材(例えば、第2の主面2b側で軸部19を覆うようなキャップ部材)を設ける必要がない。以上により、追加部材を設ける必要なく、ネジ3の締結の際に生じる屑の飛散を抑制することができる。
【0030】
厚み方向D1における袋部30の基板2側の端部16aは、基板2の第2の主面2bと接触してよい。この場合、袋部30内に収容された屑が、袋部30の基板2側の端部16aと基板との間の隙間から飛散することを抑制できる。
【0031】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0032】
例えば、ネジ締結構造1として、図5に示すような構成を採用してもよい。
【0033】
図5に示すネジ締結構造1では、袋部30の基板2側の端部16aが、基板2の第2の主面2bと近接した状態となっている。この場合、端部16aと第2の主面2bとの間に寸法H1の隙間が形成されるが、当該隙間が微少であるため、袋部30から屑が飛散することを抑制できる。また、仮に屑が袋部30から飛散したとしても、基板2の導電パターンに影響を及ぼすような大きさの屑が飛散することは防止できる。なお、基板2の第2の主面2bと近接した状態とは、寸法H1が、基板2の導体パターンのうち、隣合う導体同士の間の離間距離よりも小さい寸法にとどめられている状態である。例えば、隣合う導体同士の間の離間距離よりも大きい屑が飛散してきた場合、当該位置において導体同士がショートする可能性がある。これに対し、基板2の第2の主面2bとの間の隙間の寸法H1が、導体同士の離間距離よりも小さいため、ショートの原因となり得るような大きな屑が袋部30外に出て行くことを防止できる。例えば、寸法H1を500μm以下に設定してよい。
【0034】
また、袋部30の内径は、軸部19を挿通させる基板2の貫通孔11の内径以下の寸法であってよい。例えば、袋部30の内径よりも貫通孔11の内径の方が小さい場合、袋部30の内部空間に貫通孔11の縁部が段差状にはみ出るような構成となる。この場合、基板がベース部材よりも下側になるように配置された場合、当該はみ出た部分において、基板2の第2の主面2bに屑が堆積する可能性がある。この場合、基板2の第2の主面2bに堆積した屑が、当該第2の主面2bを伝って、袋部30の外へ飛散し易くなる可能性がある。これに対し、袋部30の内径が、軸部19を挿通させる基板2の貫通孔11の内径より小さい場合、基板2の貫通孔11の縁部が、袋部30の内部空間へはみ出ない構造とすることができる。よって、上述のように、貫通孔11の縁部に屑が堆積することを防止できる。なお、当該効果は、図4に示すように、袋部30の内径と貫通孔11の内径が同じ場合も得ることができる。ここでは、袋部30の内径が貫通孔11の内径以下である場合のメリットについて説明したが、袋部30の内径が貫通孔11の内径より大きい場合も本願発明から除外されるものではなく、当該寸法関係の構造が採用されてもよい。
【0035】
袋部30の内周面31は、底面32へ向かうに従って内径が小さくなってよい。この場合、内周面31は、屑を底面32側へ案内し易くなる。また、袋部30は、底面32付近の狭い空間に屑をとどめておくことができる。例えば、軸部19の先端が底面32付近まで延びている場合、傾斜する内周面31で集めた屑が、軸部19の先端と底面32との間の隙間にとどまる。例えば、基板2をベース部材4より下側に配置した場合であっても、底面32付近に集められた屑は、軸部19の先端によって飛散することが抑制される。
【0036】
なお、袋部30の形状はネジ3に合わせて円形とする場合、ネジ3との間の隙間が部分的に大きくなる箇所が設けられることを抑制できるため、屑が飛散しにくくすることができる。ただし、袋部30が軸部19を取り囲んでいる限り、袋部30の形状は特に限定されず、長円、楕円、多角形などあらゆる形状を採用してよい。なお、複数のネジ端子12が互いに近接した位置に設けられる場合、またはネジ端子12が複数のネジ孔12aを有する場合、複数のネジ3の軸部19を一つの袋部30で取り囲んでもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…ネジ締結構造、2…基板、2a…第1の主面、2b…第2の主面、3…ネジ、4…ベース部材、11…貫通孔、12…ネジ端子、19…軸部、30…袋部、31…内周面、32…底面。
図1
図2
図3
図4
図5