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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】読取装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 27/50 20060101AFI20221220BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G03B27/50 A
H04N1/04 105
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019067465
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020166149
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】南波 護
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-167299(JP,A)
【文献】特開2018-78653(JP,A)
【文献】特開2013-223140(JP,A)
【文献】特開2014-49879(JP,A)
【文献】特開2013-165479(JP,A)
【文献】特開2009-253327(JP,A)
【文献】特開平8-15785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 27/32、27/42-27/56、27/66-27/70
H04N 1/04-1/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に延びる読取センサと、
前記読取センサを保持し、前記主走査方向と直交する副走査方向に往復動可能に設けられるキャリッジと、
前記副走査方向に延びるガイドレールと、
前記キャリッジに取り付けられて、前記ガイドレールに対して前記主走査方向の一方側に配置される第1摺動部材と、
前記キャリッジに取り付けられて、前記ガイドレールに対して前記主走査方向の他方側に配置される第2摺動部材と、を備え、
前記第1摺動部材は、
前記主走査方向の一方側に傾斜かつ前記副走査方向に平行な第1傾斜面と、
前記主走査方向および前記副走査方向の両方と直交する上下方向の下側に向けて、前記第1傾斜面の傾斜方向の下端から延びる第1平行面と、を有し、
前記第2摺動部材は、
前記主走査方向の他方側に傾斜かつ前記副走査方向に平行な第2傾斜面と、
前記上下方向の下側に向けて、前記第2傾斜面の傾斜方向の一端から延びる第2平行面と、を有し、
前記ガイドレールは、前記第1平行面と前記第2平行面との間に配置されて、前記第1傾斜面および前記第2傾斜面に当接する、
読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の読取装置であって、
前記第1摺動部材は、前記第1傾斜面の傾斜方向の上端から前記上下方向の上側に延びる第3平行面を有し、
前記第2摺動部材は、前記第2傾斜面の傾斜方向の上端から前記上下方向の上側に延びる第4平行面を有している、
読取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の読取装置であって、
前記第1摺動部材は、前記キャリッジに前記上下方向の上側から当接する第1突起を有し、
前記第2摺動部材は、前記キャリッジに前記上下方向の上側から当接する第2突起を有している、
読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FB(Flat Bed)方式の読取装置が知られている。この種の読取装置は、キャリッジと、キャリッジに保持されたイメージセンサとを備えている。キャリッジは、原稿が載置されるガラス板の下方に、ガラス板と平行に延びるガイドレールに沿って往復動可能に設けられている。
【0003】
たとえば、特許文献1では、キャリッジに形成された凹部に摺動部材を弾性変形させて係合させ、その摺動部材をガイドレールに当接させることにより、キャリッジの移動の精度の向上を図ることが提案されている。摺動部材は、互いに傾斜する第1保持面および第2保持面を有しており、ガイドレールには、摺動部材が第1保持面および第2保持面で当接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-158740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、キャリッジの移動方向と直交する横向きの回動力がキャリッジに加わると、キャリッジがガイドレールから脱線するおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、キャリッジがガイドレールから脱線することを抑制できる、読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係る読取装置は、主走査方向に延びる読取センサと、読取センサを保持し、主走査方向と直交する副走査方向に往復動可能に設けられるキャリッジと、副走査方向に延びるガイドレールと、キャリッジに取り付けられて、ガイドレールに対して主走査方向の一方側に配置される第1摺動部材と、キャリッジに取り付けられて、ガイドレールに対して主走査方向の他方側に配置される第2摺動部材と、を備え、第1摺動部材は、主走査方向の一方側に傾斜かつ副走査方向に平行な第1傾斜面と、主走査方向および副走査方向の両方と直交する上下方向の下側に向けて、第1傾斜面の傾斜方向の下端から延びる第1平行面と、を有し、第2摺動部材は、主走査方向の他方側に傾斜かつ副走査方向に平行な第2傾斜面と、上下方向の下側に向けて、第2傾斜面の傾斜方向の一端から延びる第2平行面と、を有し、ガイドレールは、第1平行面と第2平行面との間に配置されて、第1傾斜面および第2傾斜面に当接する。
【0008】
この構成によれば、ガイドレールは、第1摺動部材の第1傾斜面および第2摺動部材の第2傾斜面に当接し、第1平行面と第2平行面とに主走査方向から挟まれる。そのため、キャリッジにキャリッジの移動方向と直交する横向きの回動力が加わった場合に、キャリッジがガイドレールから脱落する側に第1平行面または第2平行面が回り込む。その結果、ガイドレールがキャリッジから脱落することを抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャリッジがガイドレールから脱線することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る読取装置が組み込まれた複合機の外観を示す斜視図である。
図2】読取装置の内部構成を示す斜視図である。
図3】キャリッジの一部を右後下側から見た斜視図である。
図4】キャリッジの一部を下側から見た底面図である。
図5】第1摺動部材を右後下側から見た斜視図である。
図6】第1摺動部材を右前下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
<読取装置>
図1に示される読取装置1は、印刷装置2と組み合わされて、複合機3を構成している。読取装置1は、略直方体形状の筐体4および原稿カバー5を備えている。筐体4は、略直方体形状をなしている。原稿カバー5は、開位置と閉位置との間で変位可能に設けられている。原稿カバー5が開位置に位置する状態では、筐体4の上面が露出する。原稿カバー5が閉位置に位置する状態では、原稿カバー5により筐体4の上面が被覆される。
【0013】
筐体4の一側面には、操作パネル6が配置されている。複合機3では、その操作パネル6が配置されている一側面が前面となる。操作パネル6は、たとえば、タッチパネルであり、操作パネル6上にて、各種の設定や読取開始を指示する操作が可能である。
【0014】
なお、以下の説明で使用するため、複合機3をその前面側から見た状態を基準に「左側」および「右側」を規定する。「上側」および「下側」については、複合機3が水平面に設置された状態を基準に規定する。
【0015】
読取装置1の筐体4の上面には、前後方向および左右方向に延びる端縁を有する矩形状の開口が形成されている。そして、その上面開口を下側から閉鎖するように、原稿載置板11が設けられている。原稿載置板11は、透明な材料を用いて形成される板状体であり、たとえば、ガラス板である。原稿載置板11の少なくとも上面は、平面に形成されている。
【0016】
筐体4内には、図2に示されるように、CIS(Contact Image Sensor)ユニット12(読取センサの一例)が設けられている。CISユニット12は、その内部に、光源、ロッドレンズアレイおよびイメージセンサなどを備えている。光源は、前後方向に延びるライン状の光を原稿載置板11に向けて出射するように設けられている。イメージセンサは、たとえば、複数の受光素子が主走査方向に配列された構成のリニアイメージセンサであり、CISユニット12は、主走査方向が読取装置1の前後方向と一致するように設けられている。
【0017】
CISユニット12は、キャリッジ13に保持されている。キャリッジ13は、筐体4の底面14と原稿載置板11との間に設けられている。キャリッジ13は、前後方向に長い平面視矩形状に形成されている。キャリッジ13には、その上面から下方に凹む凹部15が形成されており、CISユニット12は、その凹部15に嵌まって保持されている。
【0018】
また、筐体4内には、キャリッジ13を副走査方向である左右方向に往復動させるための移動機構が設けられている。移動機構には、ガイドレール16、モータ17、プーリ18および歯付ベルト19が含まれる。
【0019】
ガイドレール16は、金属製の丸棒で構成されている。ガイドレール16は、筐体4に支持されて、原稿載置板11と平行をなして、左右方向に延びている。キャリッジ13は、ガイドレール16に跨がるように設けられ、ガイドレール16に案内されつつ左右方向に往復動可能とされている。
【0020】
モータ17は、筐体4におけるガイドレール16の左端部の後側に配置されている。モータ17の出力軸には、モータギヤ21が取り付けられている。
【0021】
プーリ18は、モータ17の前側に配置されている。プーリ18は、第1ギヤ部および第2ギヤ部を同一軸線上に有する段付ギヤからなり、第1ギヤ部には、モータギヤ21が噛合している。
【0022】
歯付ベルト19は、無端状のベルトであり、その内周面に多数の歯を有している。歯付ベルト19は、プーリ18の第2ギヤ部に巻き掛けられて、歯付ベルト19の内周面の歯は、第2ギヤ部と噛合している。歯付ベルト19は、その一部でキャリッジ13に固定されている。
【0023】
モータ17が一方向に駆動されると、モータギヤ21からプーリ18に駆動力が入力され、プーリ18がモータ17と逆方向に回転する。プーリ18の回転により、歯付ベルト19が周回し、これに伴って、キャリッジ13がガイドレール16に案内されつつ右側に移動する。また、モータ17が他方向に駆動されると、モータギヤ21からプーリ18に駆動力が入力され、プーリ18がモータ17と逆方向に回転する。プーリ18の回転により、歯付ベルト19が周回し、これに伴って、キャリッジ13がガイドレール16に案内されつつ左側に移動する。
【0024】
<キャリッジ>
キャリッジ13には、図3に示されるように、ガイドレール16に跨がる部分の左側および右側の各端部に、第1摺動部材31および第2摺動部材32が取り付けられている。第1摺動部材31は、ガイドレール16の前側に配置され、第2摺動部材32は、ガイドレール16の後側に配置されている。
【0025】
第1摺動部材31および第2摺動部材32は、ガイドレール16の中心を通って上下方向に延びる直線に関して線対称に形成されているので、以下では、第1摺動部材31を取り上げて、その構成について説明する。第2摺動部材32については、第1摺動部材31の各部に相当する部分にそれらの各部と同一の参照符号を付して、その構成についての説明を省略する。また、キャリッジ13における第1摺動部材31が取り付けられる部分と第2摺動部材32が取り付けられる部分とは、ガイドレール16の中心を通って上下方向に延びる直線に関して線対称に形成されているので、以下では、第1摺動部材31が取り付けられる部分を取り上げて、その構成について説明する。第2摺動部材32が取り付けられる部分については、第1摺動部材31が取り付けられる部分の各部に相当する部分にそれらの各部と同一の参照符号を付して、その構成についての説明を省略する。
【0026】
キャリッジ13には、図4に示されるように、第1摺動部材31が取り付けられる部分に、平面視矩形状の開口41が上下方向に貫通して形成されている。開口41の後側に間隔を空けた位置には、第1管理面42,43が形成されている。第1管理面42,43は、互いに左右方向に間隔を空けて形成され、前後方向および左右方向に延びる同一平面上に位置している。
【0027】
また、キャリッジ13には、第1管理面42,43の各前端縁から下方に延びる第2管理面44,45が形成されている。第2管理面44,45は、前後方向に同じ位置において、それぞれ第1管理面42,43と直交する平面として形成されている。
【0028】
さらに、キャリッジ13には、第2管理面44,45の後側の各位置に、第3管理面46,47が形成されている。第3管理面46,47は、第2管理面44,45と平行に延びる同一平面上に位置している。
【0029】
第1摺動部材31は、図5および図6に示されるように、差込部51、アーム部52および摺動部53を一体に有している。第1摺動部材31の前後、上下および左右の各方向については、第1摺動部材31がキャリッジ13に取り付けられた状態を基準とする。
【0030】
差込部51は、キャリッジ13の開口41に下側から差し込まれる部分であり、上下方向に延びている。差込部51の上端部には、左側および右側にそれぞれ突出する突起58(第1突起および第2突起の一例)が形成されている。各突起58は、下側ほど突出量が多くなる楔形状をなしている。各突起58は、図3に示されるように、差込部51が開口41に差し込まれた状態で、キャリッジ13に形成された被係止部59に上側から当接して、第1摺動部材31のキャリッジ13からの抜け止めとして機能する。
【0031】
アーム部52は、差込部51の下端部から後下側に延出して、摺動部53に前側から接続されている。
【0032】
摺動部53は、左右方向から見て、平板を略クランク状に屈曲させた形状をなしている。摺動部53の上面には、第1管理面42,43にそれぞれ当接(面接触)する第1当接面54,55が形成されている。摺動部53の前面には、第2管理面44,45の両方に当接(面接触)する第2当接面56と、第3管理面46,47の両方に当接(面接触)する第3当接面57とが形成されている。
【0033】
摺動部53の後側の面には、左右方向の中央部に、その上端から下端にわたって、突条61が形成されている。突条61の先端は、平面に形成されており、その平面には、傾斜面62(第1傾斜面および第2傾斜面の一例)、第1垂直面63(第1平行面および第2平行面の一例)および第2垂直面64(第3平行面および第4平行面の一例)が含まれる。傾斜面62は、主走査方向に対して傾斜し、かつ、副走査方向に対して平行をなしている。具体的には、傾斜面62は、後側ほど上側に位置するように傾斜している。第1垂直面63は、傾斜面62の下端から上下方向の下側に延びている。第2垂直面64は、傾斜面62の上端から上下方向の上側に延びている。
【0034】
そして、図3に示されるように、ガイドレール16は、第1摺動部材31および第2摺動部材32の各第1垂直面63の間に配置されて、第1摺動部材31および第2摺動部材32の各傾斜面62と接触している。
【0035】
<作用効果>
以上のように、ガイドレール16は、第1摺動部材31および第2摺動部材32の各傾斜面62に当接し、第1摺動部材31および第2摺動部材32の各第1垂直面63に主走査方向から挟まれる。そのため、キャリッジ13に前側または後側からの横向きの回動力が加わった場合に、その回動力によりキャリッジ13が動くと、ガイドレール16の下側に第1摺動部材31または第2摺動部材32の第1垂直面63が回り込む。その結果、ガイドレール16がキャリッジ13から脱落することを抑制できる。
【0036】
第1摺動部材31および第2摺動部材32は、第1垂直面63と平行をなす第2垂直面64を有し、第1垂直面63と第2垂直面64との間に傾斜面62を有している。これにより、第1垂直面63および第2垂直面64を基準に、傾斜面62の傾斜を精度よく管理することができる。
【0037】
キャリッジ13には、第1管理面42,43、第2管理面44,45および第3管理面46,47が形成されている。一方、第1摺動部材31および第2摺動部材32には、第1管理面42,43に当接する第1当接面54,55と、第2管理面44,45に当接する第2当接面56と、第3管理面46,47に当接する第3当接面57とが形成されている。これにより、キャリッジ13のサイスが大きくても、第1管理面42,43、第2管理面44,45および第3管理面46,47の各面精度を管理することにより、第1摺動部材31および第2摺動部材32をキャリッジ13にがたつきなく取り付けることができ、第1摺動部材31および第2摺動部材32の各傾斜面62をガイドレール16に均一な圧で当接させることができる。その結果、キャリッジ13がガイドレール16に対してがたつくことを抑制でき、キャリッジ13の振動の発生を抑制でき、ひいては、CISユニット12(イメージセンサ)の読取精度の向上を図ることができる。
【0038】
また、第1摺動部材31および第2摺動部材32の差込部51をキャリッジ13の開口41に差し込み、各突起58がキャリッジ13の被係止部59に係止させることにより、第1摺動部材31および第2摺動部材32をキャリッジ13に簡単に取り付けることができる。
【0039】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0040】
たとえば、ガイドレール16は、金属製の丸棒であるとしたが、これに限らず、樹脂製で筐体4の底面14と一体に形成されていてもよいし、樹脂製で筐体4と別体に形成され、筐体4に支持されていてもよい。
【0041】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1:読取装置
12:CISユニット
16:ガイドレール
31:第1摺動部材
32:第2摺動部材
58:突起
62:傾斜面
63:第1垂直面
64:第2垂直面
図1
図2
図3
図4
図5
図6