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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
B65D5/54 301R
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019074545
(22)【出願日】2019-04-10
(65)【公開番号】P2020172280
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 昌弘
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-203274(JP,A)
【文献】特開2016-216107(JP,A)
【文献】特開2018-177373(JP,A)
【文献】特開2017-095136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板の左右の縁部に連設された左右一対の側壁と、
前記両側壁の上縁部に連設された頂板と、
前後一対の端壁と、を備え、
前記端壁は、前記両側壁に連設された左右の横フラップを、前記頂板に連設された上フラップおよび前記底板に連設された下フラップに重ねて形成されており、
前記側壁には、側部開封開始部と、前記側部開封開始部から前後の縁部に亘って延びている側部切断誘導線と、が形成され、
前記側部切断誘導線の前部および後部は、前記側部開封開始部側から斜め上向きに延びており、
前記横フラップの基端縁部から先端縁部に亘って横切断誘導線が形成され、
前記横切断誘導線には、
前記側部切断誘導線に連続して斜め上向きに延びている第一傾斜部と、
前記第一傾斜部に連続して斜め下向きに延びている第二傾斜部と、が形成されており、
前記頂板の中央部には、頂部開封開始部が形成され、
前記頂板には、前記頂部開封開始部から前後の縁部に亘って頂部切断誘導線が形成されており、
前記上フラップには、前記頂部切断誘導線に連続して基端縁部から先端縁部に亘って縦切断誘導線が形成され、
前記頂部切断誘導線は、
前記頂板の前縁部の左右一方側に向けて延びているとともに、
前記頂板の後縁部の左右他方側に向けて延びており、
前記頂板の内面には、
前記頂板の中央部から前縁部の左右他方側に向けて延びている第一頂部罫線と、
前記頂板の中央部から後縁部の左右一方側に向けて延びている第二頂部罫線と、が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
底板と、
前記底板の左右の縁部に連設された左右一対の側壁と、
前記両側壁の上縁部に連設された頂板と、
前後一対の端壁と、を備え、
前記端壁は、前記両側壁に連設された左右の横フラップを、前記頂板に連設された上フラップおよび前記底板に連設された下フラップに重ねて形成されており、
前記側壁には、側部開封開始部と、前記側部開封開始部から前後の縁部に亘って延びている側部切断誘導線と、が形成され、
前記側部切断誘導線の前部および後部は、前記側部開封開始部側から斜め上向きに延びており、
前記横フラップの基端縁部から先端縁部に亘って横切断誘導線が形成され、
前記横切断誘導線には、
前記側部切断誘導線に連続して斜め上向きに延びている第一傾斜部と、
前記第一傾斜部に連続して斜め下向きに延びている第二傾斜部と、が形成されており、
前記側壁の上縁部と前記頂板の縁部とは傾斜壁を介して連設され、
前記傾斜壁の外面には、
前部下側の角部から後方に向けて斜め上向きに延びている前側傾斜部罫線と、
後部下側の角部から前方に向けて斜め上向きに延びている後側傾斜部罫線と、が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の包装箱であって、
前記側壁の内面には、前記側部開封開始部から前記側壁の上縁部に向けて延びている前後一対の側部罫線が形成されており、
前記両側部罫線の左右方向の間隔は、上方に向かうに連れて広がっていることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記横フラップの内面には、前記第一傾斜部と前記第二傾斜部との接続部の上方から、前記側壁と前記横フラップとの角部の上端部に向けて延びている端部罫線が形成されていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ラップアラウンド方式の段ボール製の包装箱は、底板と、左右一対の側壁と、頂板と、前後一対の端壁と、を備え、端壁は、左右のフラップと上下のフラップとを重ねて形成されている。
このような包装箱としては、側壁の開封開始部から前方および後方に向けて切断誘導線が延びているとともに、側壁の切断誘導線に連続して左右のフラップに切断誘導線が形成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記した包装箱を開封するときには、側壁の開封開始部に指先を掛けて、側壁の上部を引き上げることで、側壁および左右のフラップの切断誘導線を切り開く。このようにして、包装箱の上部を切り取ると、包装箱の下部がトレイになるため、内容物をトレイに収容した状態で店頭に陳列できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3156835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した従来の包装箱では、側壁の上部を引き上げて切断誘導線を切り開くときに、包装箱全体が持ち上がらないように、包装箱の下部を押さえている必要があるため、包装箱を開封し難いという問題がある。
【0006】
本発明は、前記した問題を解決し、側壁および端壁の切断誘導線を容易に切り開いて開封できる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、包装箱であって、底板と、前記底板の左右の縁部に連設された左右一対の側壁と、前記両側壁の上縁部に連設された頂板と、前後一対の端壁と、を備えている。前記端壁は、前記両側壁に連設された左右の横フラップを、前記頂板に連設された上フラップおよび前記底板に連設された下フラップに重ねて形成されている。前記側壁には、側部開封開始部と、前記側部開封開始部から前後の縁部に亘って延びている側部切断誘導線と、が形成され、前記側部切断誘導線の前部および後部は、前記側部開封開始部側から斜め上向きに延びている。前記横フラップの基端縁部から先端縁部に亘って横切断誘導線が形成されている。前記横切断誘導線には、前記側部切断誘導線に連続して斜め上向きに延びている第一傾斜部と、前記第一傾斜部に連続して斜め下向きに延びている第二傾斜部と、が形成されている。
【0008】
本発明の包装箱では、側部開封開始部に指先を掛けて、側壁の上部を横方向に引き出すと、側部切断誘導線が横方向に切り開かれる。このとき、側壁に横方向の力を加え易いため、側部切断誘導線を容易に切り開くことができる。
また、側壁の上部が横方向に引き出されると、側壁の上部と横フラップの上部との角度が大きくなり、横フラップの上部が元の位置よりも内側に引き込まれる。このとき、側部切断誘導線の前部および後部と、横切断誘導線の第一傾斜部とは斜め上向きに連続しているため、側部切断誘導線の前部および後部に続いて、横切断誘導線の第一傾斜部がスムーズに切り開かれる。
さらに、横切断誘導線の第一傾斜部を切り開いた後に、側壁の上部を引き上げることで、第二傾斜部を斜め下向きにスムーズに切り開くことができる。
このように、本発明の包装箱では、側部切断誘導線および横切断誘導線を容易に切り開いて、包装箱の下部から上部を切り取ることができる。
【0009】
前記した包装箱において、前記側壁の内面には、前記側部開封開始部から前記側壁の上縁部に向けて延びている前後一対の側部罫線を形成し、前記両側部罫線の左右方向の間隔を上方に向かうに連れて広げることが好ましい。
【0010】
この構成では、側部開封開始部に指先を掛けて、側壁の上部を横方向に引き出すと、側壁の上部が両側部罫線を折線として外側に折れ曲がる。これにより、側壁の上部を小さな力で大きく引き出すことができるため、側部切断誘導線および横切断誘導線の第一傾斜部を容易に切り開くことができる。
【0011】
前記した包装箱において、前記横フラップの内面には、前記第一傾斜部と前記第二傾斜部との接続部の上方から前記側壁と前記横フラップとの角部の上端部に向けて延びている端部罫線を形成することが好ましい。
【0012】
この構成では、側壁の上部を横方向に引き出したときに、側壁と横フラップとの角度が大きくなるとともに、横フラップにおいて第一傾斜部の上側の部位が端部罫線を折線として元の位置よりも内側に引き込まれるため、第一傾斜部を容易に切り開くことができる。
【0013】
本発明の包装箱では、前記頂板の中央部に頂部開封開始部を形成し、前記頂板に前記頂部開封開始部から前後の縁部に亘って頂部切断誘導線を形成している。また、前記上フラップには、前記頂部切断誘導線に連続して基端縁部から先端縁部に亘って縦切断誘導線を形成する。
【0014】
この構成では、頂部開封開始部に指先を掛けて、頂板の左右を引き上げると頂部切断誘導線が切り開かれる。さらに、頂部切断誘導線に連続して縦切断誘導線、横切断誘導線および側部切断誘導線が順次に切り開かれる。このとき、頂板に上方向の力を加え易いため、各切断誘導線を容易に切り開くことができる。
そして、包装箱の各切断誘導線を切り開くことで、包装箱の上部を左右に分割した状態で下部から切り取ることができる。このように、前記した構成では、包装箱を上方からも容易に開封できる。
【0015】
本発明の包装箱では、前記頂部切断誘導線を前記頂板の前縁部の左右一方側に向けて延ばすとともに、前記頂板の後縁部の左右他方側に向けて延ばしているまた、前記頂板の内面には、前記頂板の前縁部の左右他方側に向けて延びている第一頂部罫線と、前記頂板の後縁部の左右一方側に向けて延びている第二頂部罫線と、を形成している
【0016】
この構成では、頂部開封開始部に指先を掛けて、頂板を引き上げると、頂板が第一頂部罫線および第二頂部罫線を折線として上方に向けて折れ曲がる。これにより、頂板を小さな力で上方に大きく引き出すことができるため、頂部切断誘導線を容易に切り開くことができる。
【0017】
本発明の包装箱では、前記側壁の上縁部と前記頂板の縁部とを傾斜壁を介して連設している。この場合には、前記傾斜壁の外面に、前部下側の角部から後方に向けて斜め上向きに延びている前側傾斜部罫線と、後部下側の角部から前方に向けて斜め上向きに延びている後側傾斜部罫線と、を形成する。
【0018】
この構成では、側部開封開始部に指先を掛けて、側壁の上部を外側に引き出すと、傾斜壁の中央部は前側傾斜部罫線および後側傾斜部罫線を折線として外側に折れ曲がるため、側壁の上部を小さな力で外側に大きく引き出すことができる。これにより、側壁と頂板との間に傾斜壁が設けられていても、側部切断誘導線を容易に切り開くことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の包装箱では、側壁および端壁の切断誘導線を容易に切り開いて開封できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る包装箱において、側部切断誘導線および横切断誘導線の第一傾斜部を切り開いた状態を示した斜視図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る包装箱を上下に分割した状態を示した斜視図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る包装箱を頂部切断誘導線から開封した状態を示した斜視図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
図7】本発明の第二実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図8】本発明の第二実施形態に係る包装箱において、側部切断誘導線および横切断誘導線の第一傾斜部を切り開いた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
以下の説明において、前後左右方向とは、各実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。
【0022】
[第一実施形態]
第一実施形態の包装箱1Aは、図1に示すように、底板10と、底板10の左右の縁部に連設された側壁20,20と、両側壁20,20の上縁部に連設された頂板30と、前後一対の端壁50,50と、を備えているラップアラウンド方式の段ボール箱である。
第一実施形態の包装箱1Aに収容する内容物は限定されるものではないが、例えば、複数のペットボトルを内容物として収容できる。
【0023】
第一実施形態の包装箱1Aは、図2に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS1を各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートS1は外面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS1の各罫線(折線)は、ブランクシートS1の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線上に断続的なスリットを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートS1を折り曲げ易くなる。
【0024】
ブランクシートS1に形成された各切断誘導線は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。なお、切れ込みの形状や長さは限定されるものではない。また、ブランクシートS1から組み立てた包装箱1Aを示した各図では、包装箱1Aの構造を分かり易く図示するために、各切断誘導線の切れ込みの形状は簡略化して示している。
【0025】
底板10は、図1に示すように、四角形の平板である。底板10の左縁部には、罫線を介して左側の側壁20が連設され、底板10の右縁部には、罫線を介して右側の側壁20が連設されている。左右の側壁20,20は、同じ四角形の壁体であり、底板10に対して垂直に形成されている。
【0026】
右側の側壁20の上縁部には、罫線を介して頂板30が連設されている。頂板30は、底板10と同じ四角形の平板であり、右側の側壁20に対して垂直に形成されている。
左側の側壁20の上縁部には、罫線を介して接合片40が連設されている。接合片40は、左側の側壁20の上縁部に沿って形成された帯状の部位である。
ブランクシートS1(図2参照)を各罫線で折り曲げつつ、左側の側壁20の上縁部に連設された接合片40を頂板30の内面に接着することで、底板10、左右の側壁20,20および頂板30が角筒状に形成されている。
【0027】
前側の端壁50は、左右の側壁20,20の前縁部にそれぞれ連設された左右一対の横フラップ51,51と、頂板30の前縁部に連設された上フラップ52と、底板10の前縁部に連設された下フラップ53と、を備えている。
左右の横フラップ51,51の外面に上フラップ52および下フラップ53が重ねられて接着されている。
上フラップ52と下フラップ53とは上下方向に間隔を空けて配置され、左右の横フラップ51,51は、左右方向に間隔を空けて配置されている。これにより、前側の端壁50の中央部には、四角形の開口部が形成されている。
【0028】
後側の端壁50は、前側の端壁50と同じ構成であり、左右一対の横フラップ51,51と、上フラップ52と、下フラップ53と、を備えている。左右の横フラップ51,51の外面に上フラップ52および下フラップ53が重ねられて接着されている。
【0029】
第一実施形態の包装箱1Aでは、頂板30の中央部に頂部開封開始部61が形成されている。頂部開封開始部61は、略長円形の開口部である。
ブランクシートS1(図2参照)の状態では、頂部開封開始部61は蓋板62によって塞がれている。蓋板62の前後の縁部には、ライナおよびフルート(中芯)を切り込んだカット線が形成され、蓋板62の左右の縁部には罫線が形成されている。また、蓋板62の左右方向の中央部には切断誘導線が前後方向に延びている。
【0030】
頂板30には、頂部開封開始部61の切断誘導線から前後の縁部に亘って頂部切断誘導線65が形成されている。頂部切断誘導線65は、頂部開封開始部61から左前および右後に向けて直線状に延びている。頂部開封開始部61および頂部切断誘導線65によって頂板30全体が左右に区画されている。
【0031】
頂部切断誘導線65の前端部は、頂板30の前縁部の中央よりも右側に接続されている。頂部切断誘導線65の前端部は、右側の横フラップ51の先端縁部(内縁部)の上方に配置されている。
【0032】
頂部切断誘導線65の後端部は、頂板30の後縁部の中央よりも左側に接続されている。頂部切断誘導線65の後端部は、左側の横フラップ51の先端縁部(内縁部)の上方に配置されている。
【0033】
前後の上フラップ52,52には、基端縁部(上縁部)から先端縁部(下縁部)に亘って縦切断誘導線66,66がそれぞれ形成されている(図2参照)。
縦切断誘導線66の上端部は、頂部切断誘導線65の端部に連続している。縦切断誘導線66は、横フラップ51の先端縁部に沿って直線状に形成されている。
【0034】
頂板30の内面には、頂板30の中央部から前縁部の中央よりも左側に向けて延びている第一頂部罫線67aと、頂板30の中央部から後縁部の中央よりも右側に向けて延びている第二頂部罫線67bと、が形成されている(図2参照)。
第一頂部罫線67aおよび第二頂部罫線67bは、頂板30の内面(下面)を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。
第一頂部罫線67aは、頂部開封開始部61と頂板30の左前の角部との間に形成されている。また、第二頂部罫線67bは、頂部開封開始部61と頂板30の右後の角部との間に形成されている。
【0035】
第一実施形態の包装箱1Aでは、左側の側壁20の中央部に側部開封開始部71が形成されている。側部開封開始部71は、略四角形の開口部であり、側壁20の上下方向の中央よりも下側に配置されている。
ブランクシートS1(図2参照)の状態では、側部開封開始部71は蓋板72によって塞がれている。蓋板72の左右の縁部には、ライナおよびフルート(中芯)を切り込んだカット線が形成されている。蓋板72の上縁部には切断誘導線が形成され、蓋板72の下縁部には罫線が形成されている。
【0036】
左側の側壁20には、側部開封開始部71の切断誘導線から前後の縁部に亘って側部切断誘導線75が形成されている。側部開封開始部71および側部切断誘導線75によって側壁20全体が上下に区画されている。
【0037】
側部切断誘導線75において側部開封開始部71よりも前側の部位には、側壁20の上下の縁部に沿って直線状に延びている平行部75aと、平行部75aから側壁20の前縁部に向けて斜め上向きに延びている前部75bと、が形成されている。
平行部75aは、側壁20の上下方向の中央よりも下側に配置され、前部75bは、側壁20の前縁部の略中央に接続されている。
【0038】
側部切断誘導線75において側部開封開始部71よりも後側の部位には、平行部75aおよび後部75cが形成されている。側部切断誘導線75の前側の部位と後側の部位とは前後対称に形成されている。
【0039】
左側の側壁20の内面には、側部開封開始部71から側壁20の上縁部に向けて延びている前後一対の側部罫線77,77が形成されている。側部罫線77は、側壁20の内面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。左右の側部罫線77,77の左右方向の間隔は、上方に向かうに連れて広がっている。
【0040】
右側の側壁20には、左側の側壁20と同様に、側部開封開始部71および側部切断誘導線75が形成され、側部切断誘導線75の前部75bおよび後部75cが斜め上向きに延びている(図2参照)。
【0041】
前側の端壁50の左側の横フラップ51には、左側の側壁20の側部切断誘導線75に連続して横切断誘導線81が形成されている。
【0042】
横切断誘導線81は、横フラップ51の基端縁部(左縁部)から先端縁部(右縁部)に亘って形成されている。横切断誘導線81は、横フラップ51において上フラップ52と下フラップ53との間となる領域に形成されている。
横フラップ51の先端縁部の略中央には、窪み部85が形成されている。横切断誘導線81は、窪み部85の底部に接続されている。
【0043】
横切断誘導線81には、側部切断誘導線75に連続して斜め上向きに延びている第一傾斜部81aと、第一傾斜部81aに連続して斜め下向きに延びている第二傾斜部81bと、が形成され、第二傾斜部81bが窪み部85に接続されている。
第一実施形態では、横切断誘導線81全体が上向きに突出した円弧状に湾曲している。そして、円弧状の頂点が第一傾斜部81aと第二傾斜部81bとの接続部となっている。
【0044】
横フラップ51の内面には、第一傾斜部81aと第二傾斜部81bとの接続部の上方から、側壁20と横フラップ51との角部の上端部に向けて直線状に延びている端部罫線82が形成されている。
【0045】
前側の端壁50の右側の横フラップ51にも、横切断誘導線81および窪み部85が形成されている。左右の横フラップ51,51の横切断誘導線81および窪み部85は左右対称に形成されている。
また、後側の端壁50の左右の横フラップ51,51にも、横切断誘導線81および窪み部85が形成されている(図2参照)。前後の横フラップ51,51の横切断誘導線81および窪み部85は前後対称に形成されている。
【0046】
次に、第一実施形態の包装箱1Aを左右の側壁20,20から開封する手順について説明する。
まず、作業者は、図1に示す側壁20の側部開封開始部71内の蓋板72を外側から内側に向けて押し込み、側部開封開始部71を開口させる。
【0047】
続いて、作業者は、図3に示すように、側部開封開始部71の開口縁部に指先を掛けて、側壁20の上部を横方向(外側)に引き出す。このとき、側壁20の上部は、左右の側部罫線77,77を折線として外側に折れ曲がることで、側壁20の上部が大きく引き出される。これにより、側部切断誘導線75が横方向に切り開かれる。
【0048】
また、側壁20の上部を引き出すと、側壁20の上部と横フラップ51の上部との角度が大きくなる。つまり、側壁20の上部と横フラップ51の上部との角部が開く。そして、横フラップ51において第一傾斜部81aの上側の部位が端部罫線82を折線として元の位置よりも内側に引き込まれる。これにより、側部切断誘導線75の前部75bおよび後部75cに続いて、横切断誘導線81の第一傾斜部81aが切り開かれる。
【0049】
横切断誘導線81の第一傾斜部81aを切り開いた後に、図4に示すように、側壁20の上部を引き上げて、第二傾斜部81bを斜め下向きに切り開く。このとき、第二傾斜部81bは窪み部85に接続されており、第二傾斜部81bの長さが短いため、第二傾斜部81bを容易に切り開くことができる。
【0050】
左右の側壁20の両側部切断誘導線75,75および各横フラップ51の各横切断誘導線81を切り開くことで、両側壁20,20および各横フラップ51を上下に分割し、包装箱1Aの上部を下部から切り取る。
このようにして、包装箱1Aを開封すると、包装箱1Aの下部はトレイとなるため、内容物をトレイに収容した状態で陳列できる。
【0051】
次に、第一実施形態の包装箱1Aを頂板30から開封する手順について説明する。
まず、作業者は、図1に示す頂板30の頂部開封開始部61内の蓋板62を外側から内側に向けて押し込み、頂部開封開始部61を開口させる。
【0052】
続いて、作業者は、図5に示すように、頂部開封開始部61の開口縁部に指先を掛けて、頂板30の左半分の部位および右半分の部位をそれぞれ引き上げる。
このとき、頂板30は第一頂部罫線67aおよび第二頂部罫線67bを折線として上方に向けて折れ曲がるため、頂板30を大きく引き出すことができる。
これにより、頂部切断誘導線65が頂部開封開始部61から前方および後方に向けて切り開かれる。
【0053】
頂部切断誘導線65が前後の端部まで切り開かれると、頂部切断誘導線65に連続して前後の縦切断誘導線66,66が下方に向けて切り開かれる。これにより、頂板30および前後の上フラップ52,52が左右に分割される。
【0054】
また、頂板30の右半分を引き上げると、図5に示すように、横フラップ51の窪み部85から横切断誘導線81が切り開かれる。
横切断誘導線81が横フラップ51の基端縁部まで切り開かれると、横切断誘導線81に連続して側壁20の側部切断誘導線75が切り開かれる。
このようにして、左右の側壁20,20および各横フラップ51を上下に分割して、包装箱1Aの上部を下部から切り取る。
【0055】
以上のような第一実施形態の包装箱1Aでは、図3に示すように、左右の側壁20,20から開封するときに、側壁20に横方向の力を加え易い。また、側壁20の上部が両側部罫線77,77を折線として外側に折れ曲がる。したがって、第一実施形態の包装箱1Aでは、側壁20の上部を小さな力で大きく引き出すことができるため、側部切断誘導線75を容易に切り開くことができる。
【0056】
また、第一実施形態の包装箱1Aでは、側部切断誘導線75の前部75bおよび後部75cに続いて、前後の横切断誘導線81,81の第一傾斜部81a,81aをスムーズに切り開くことができる。
また、第一実施形態の包装箱1Aでは、横フラップ51において第一傾斜部81aの上側の部位が端部罫線82を折線として内側に引き込まれるため、第一傾斜部81aを容易に切り開くことができる。
【0057】
さらに、横切断誘導線81の第一傾斜部81aを切り開いた後に、図4に示すように、側壁20の上部を引き上げることで、第二傾斜部81bを斜め下向きにスムーズに切り開くことができる。
このように、本実施形態の包装箱1Aでは、側部切断誘導線75および横切断誘導線81を容易に切り開いて、包装箱1Aの下部から上部を切り取ることができる。
【0058】
第一実施形態の包装箱1Aでは、図5に示すように、頂板30から開封するときに、頂板30に上方向の力を加え易い。また、頂板30が第一頂部罫線67aおよび第二頂部罫線67bを折線として上方に向けて折れ曲がる。したがって、第一実施形態の包装箱1Aでは、頂板30を小さな力で上方に大きく引き出すことができるため、頂部切断誘導線65を容易に切り開くことができる。
そして、頂部切断誘導線65に続いて、前後の縦切断誘導線66,66、前後の横切断誘導線81,81および左右の側部切断誘導線75,75を順次に切り開くことで、包装箱1Aの上部を下部から切り取ることができる。
【0059】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、第一実施形態の包装箱1Aでは、図1に示すように、横切断誘導線81の第一傾斜部81aおよび第二傾斜部81bが湾曲しているが、第一傾斜部81aおよび第二傾斜部81bを直線状に形成してもよい。
【0060】
第一実施形態の包装箱1Aでは、頂板30に頂部切断誘導線65を設けるとともに、上フラップ52に縦切断誘導線66を設けることで、頂板30から開封できるように構成されているが、本発明の参考例としては、頂部切断誘導線65および縦切断誘導線66を設けなくてもよい。つまり、左右の側壁20,20からのみ開封できるように構成してもよい。
【0061】
第一実施形態の包装箱1Aにおいて、側部開封開始部71および頂部開封開始部61の位置は限定されるものではなく、内容物の収容状態に応じて、その位置が設定される。また、第一実施形態の側部開封開始部71および頂部開封開始部61は開口部であるが、その形状は限定されるものではなく、例えば、スリットによって側部開封開始部71および頂部開封開始部61を構成してもよい。
【0062】
第一実施形態の包装箱1Aでは、左右の横フラップ51,51が左右方向に間隔を空けて配置されているが、左右の横フラップ51,51を突き合わせてもよい。また、 第一実施形態の包装箱1Aでは、上フラップ52と下フラップ53とが上下方向に間隔を空けて配置されているが、上フラップ52と下フラップ53とを突き合わせてもよい。
【0063】
第一実施形態の包装箱1Aは段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱1Aを形成できる。
【0064】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態の包装箱1Bについて説明する。
第二実施形態の包装箱1Bは、図6に示すように、前記した第一実施形態の包装箱1A(図1参照)と略同様の構成であり、左右の傾斜壁90,90が設けられている点が異なっている。
【0065】
第二実施形態の包装箱1Bは、図7に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS2を各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図7に示すブランクシートS2は外面側が見えるように配置されている。
【0066】
第二実施形態の包装箱1Bでは、左側の側壁20の上縁部に罫線を介して左側の傾斜壁90の下縁部が連設されている。左側の傾斜壁90は、側壁20の上縁部に沿って形成された帯状の部位である。左側の傾斜壁90は、下縁部よりも上縁部が内側に配置されるように傾斜している。
左側の傾斜壁90の上縁部には、罫線を介して接合片40が連設されている。このように、左側の側壁20の上縁部と頂板30の左縁部とが左側の傾斜壁90を介して連設されている。
【0067】
また、第二実施形態の包装箱1Bでは、右側の側壁20の上縁部に右側の傾斜壁90の下縁部が連設されている。左右の傾斜壁90,90は左右対称な構成である。右側の傾斜壁90の上縁部には、罫線を介して頂板30の右縁部が連設されている。
【0068】
傾斜壁90の外面には、前部下側の角部から後方に向けて斜め上向きに延びている前側傾斜部罫線91と、後部下側の角部から前方に向けて斜め上向きに延びている後側傾斜部罫線92と、が形成されている。
【0069】
以上のような第二実施形態の包装箱1Bでは、図8に示すように、側部開封開始部71に指先を掛けて、側壁20の上部を外側に引き出すと、傾斜壁90の中央部は前側傾斜部罫線91および後側傾斜部罫線92を折線として外側に折れ曲がる。これにより、側壁20の上部を小さな力で外側に大きく引き出すことができる。したがって、第二実施形態の包装箱1Bでは、側壁20と頂板30との間に傾斜壁90が設けられていても、側部切断誘導線75を容易に切り開くことができる。
【0070】
以上、本発明の第二実施形態について説明したが、本発明は前記第二実施形態に限定されることなく、前記第一実施形態と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1A 包装箱(第一実施形態)
1B 包装箱(第二実施形態)
10 底板
20 側壁
30 頂板
40 接合片
50 端壁
51 横フラップ
52 上フラップ
53 下フラップ
61 頂部開封開始部
62 蓋板
65 頂部切断誘導線
66 縦切断誘導線
67a 第一頂部罫線
67b 第二頂部罫線
71 側部開封開始部
72 蓋板
75 側部切断誘導線
75a 平行部
75b 前部
75c 後部
77 側部罫線
81 横切断誘導線
81a 第一傾斜部
81b 第二傾斜部
82 端部罫線
85 窪み部
90 傾斜壁
91 前側傾斜部罫線
92 後側傾斜部罫線
S1 ブランクシート(第一実施形態)
S2 ブランクシート(第二実施形態)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8