(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】インクジェット画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
B41J2/01 101
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 123
B41J2/01 127
(21)【出願番号】P 2019076208
(22)【出願日】2019-04-12
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】東 幸正
(72)【発明者】
【氏名】下村 翠
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-226805(JP,A)
【文献】特開平08-324067(JP,A)
【文献】特開2009-143102(JP,A)
【文献】特開2009-282403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性エネルギー線透過性を有し、インクジェットヘッドから吐出されたインクを表面で担持する転写体と、
前記転写体の裏面に対して活性エネルギー線を照射する照射部と、
前記照射部により照射されて前記転写体を透過した活性エネルギー線を検出する活性エネルギー線検出部と、
前記活性エネルギー線検出部の検出結果に基づいて、前記転写体の裏面をクリーニングするか否かについて判定する判定部と、
を備えるインクジェット画像形成装置。
【請求項2】
前記転写体の裏面をクリーニングする裏面クリーニング部を備える、
請求項1に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項3】
前記転写体の表面をクリーニングする表面クリーニング部を備え、
前記活性エネルギー線検出部は、前記活性エネルギー線検出部の検出結果に応じて前記表面クリーニング部により前記転写体の表面がクリーニングされた後に、前記照射部により照射されて前記転写体を透過した活性エネルギー線を検出する、
請求項2に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項4】
前記表面クリーニング部により前記転写体の表面がクリーニングされる場合、前記インクジェットヘッドからインクが吐出されるときと比べて前記表面クリーニング部のクリーニング性能を向上させる制御を行うクリーニング性能制御部を備える、
請求項3に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記転写体の表面がクリーニングされた後に前記活性エネルギー線検出部により検出された前記活性エネルギー線の光量が所定光量以下である場合、前記転写体の裏面をクリーニングすると判定し、
前記裏面クリーニング部は、前記転写体の裏面をクリーニングする、
請求項4に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項6】
前記裏面クリーニング部は、前記転写体の裏面をクリーニングする場合、前記転写体の裏面に接触する一方、前記転写体の裏面をクリーニングしない場合、前記転写体の裏面から離間する、
請求項5に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項7】
前記活性エネルギー線検出部は、前記転写体の裏面がクリーニングされた後、前記照射部により照射されて前記転写体を透過した活性エネルギー線を検出し、
前記活性エネルギー線検出部により検出された前記活性エネルギー線の光量が前記所定光量以下である場合、警告を出力する警告出力部を備える、
請求項5または6に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項8】
前記転写体の裏面側に設けられ、前記転写体の裏面に付着した異物を検出する異物検出部を備える、
請求項1または2に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記活性エネルギー線検出部および前記異物検出部の検出結果に基づいて、前記転写体の裏面をクリーニングするか否かについて判定する、
請求項8に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記活性エネルギー線検出部により検出された前記活性エネルギー線の光量が所定光量以下であり、かつ、前記異物検出部により検出された前記異物の量が所定量以上である場合、前記転写体の裏面をクリーニングすると判定する、
請求項8または9に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項11】
前記判定部は、前記活性エネルギー線検出部により検出された前記活性エネルギー線の光量が所定光量以下であり、かつ、前記異物検出部により検出された前記異物の量が所定量未満である場合、前記転写体の裏面をクリーニングしないと判定する、
請求項10に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項12】
前記転写体の裏面をクリーニングしないと判定された場合、前記転写体の表面をクリーニングする表面クリーニング部を備える、
請求項11に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項13】
前記異物検出部は、前記転写体の裏面に照射光を照射して当該裏面からの反射光を検出し、その検出結果に応じて、前記転写体の裏面に付着した異物を検出する、
請求項8~12の何れか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項14】
前記活性エネルギー線検出部は、前記インクジェットヘッドからインクが吐出されないタイミングにおいて、前記照射部により照射されて前記転写体を透過した活性エネルギー線を検出する、
請求項1~13の何れか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項15】
前記インクジェットヘッドからインクが吐出される前に、前記転写体の表面に前処理液を供給する前処理液供給部を備え、
前記活性エネルギー線検出部は、前記前処理液が供給される前のタイミングにおいて、前記照射部により照射されて前記転写体を透過した活性エネルギー線を検出する、
請求項1~14の何れか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項16】
前記照射部は、前記転写体の裏面に対して、光量が異なる複数の活性エネルギー線を照射し、
前記活性エネルギー線検出部は、前記照射部により照射されて前記転写体を透過した前記複数の活性エネルギー線を検出する、
請求項1~15の何れか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項17】
前記照射部により照射される活性エネルギー線の波長帯域は、前記転写体により担持される前記インクの粘度を調整するために用いられる活性エネルギー線の波長帯域と略同一である、
請求項1~16の何れか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項18】
前記照射部により照射される活性エネルギー線は、紫外線である、
請求項1~17の何れか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項19】
前記照射部により照射される活性エネルギー線は、電子線である、
請求項1~17の何れか1項に記載のインクジェット画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙、布帛等の種々の記録媒体に対して高精細な画像を記録する装置として、インクジェットヘッドからインクを吐出して記録媒体に印字するインクジェット方式による画像形成装置(以下、「インクジェット画像形成装置」という)が広く普及している。
【0003】
インクジェット画像形成装置において、インクジェットヘッドから吐出されるインクを中間転写ベルトなどの像担持体(中間転写体)に担持(形成)させ、担持されたインクを転写ニップでインク像として記録媒体に転写する中間転写方式のものが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
中間転写方式のインクジェット画像形成装置においては、記録媒体に対するインク像の転写性を確保するため、活性エネルギー線で硬化(増粘)するインクを用い、活性エネルギー線透過性を有する中間転写体を使用する構成が挙げられる。この構成では、転写ニップの上流側において中間転写体の裏面側より活性エネルギー線をインクに照射して当該インクをプレ硬化させた後、転写ニップにおいて挟持かつ押圧(ニップ)されるインクに対して、中間転写体の裏面側より活性エネルギー線を照射して当該インクを硬化させる。
【0005】
ところで、中間転写体の表面(インクジェットヘッドから吐出されたインクが着滴する面)に転写残やミストによる不要なインクや紙粉といった異物が付着(固着)していると、インクに対して適切に活性エネルギー線が照射されず、当該インクを所望の硬化状態にすることができずに転写不良が発生する。そのため、中間転写体を透過する活性エネルギー線の光量を一定量確保する観点から、中間転写体の表面に付着した異物を除去することが行われている。
【0006】
また、中間転写体の裏面においては、表面よりは少ないものの、紙粉やミストの回り込み等により異物の付着が発生する。この場合、中間転写体を透過する活性エネルギー線の光量が減少する結果、インクに対して適切に活性エネルギー線が照射されず、当該インクを所望の硬化状態にすることができない。そこで、中間転写体の裏面をクリーニングする手段として、クリーニング部材(例えば、ブラシ・ローラー)を当該裏面に対して当接させる構成が挙げられる(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-226805号公報
【文献】特開2009-282403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載されているように、中間転写体の裏面に対して常にクリーニングを行う構成においては、中間転写体を透過する活性エネルギー線の光量を一定量確保してインクを所望の硬化状態にすることが可能になる。その一方、常にクリーニングを行うことにより中間転写体への擦過および摩擦による傷が発生しやすく、ひいては中間転写体の寿命が低減してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、転写体の寿命の低減を防止しつつ、画像形成時に転写体に吐出されたインクを所望の状態にすることが可能なインクジェット画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るインクジェット画像形成装置は、
活性エネルギー線透過性を有し、インクジェットヘッドから吐出されたインクを表面で担持する転写体と、
前記転写体の裏面に対して活性エネルギー線を照射する照射部と、
前記照射部により照射されて前記転写体を透過した活性エネルギー線を検出する活性エネルギー線検出部と、
前記活性エネルギー線検出部の検出結果に基づいて、前記転写体の裏面をクリーニングするか否かについて判定する判定部と、
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、転写体の寿命の低減を防止しつつ、転写体に吐出されたインクを所望の状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置のクリーニング動作例を示すフローチャートである。
【
図4】インクジェット画像形成装置の全体構成の変形例を示す図である。
【
図5】インクジェット画像形成装置のクリーニング動作の変形例を示すフローチャートである。
【
図6】インクジェット画像形成装置の全体構成の変形例を示す図である。
【
図7】インクジェット画像形成装置のクリーニング動作の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係るインクジェット画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。また、
図2は、インクジェット画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、インクジェット画像形成装置1は、インクジェットヘッド102(
図2を参照)が搭載されたヘッドユニット10と、転写ベルト20(本発明の「転写体」として機能)と、転写ベルト20を回転可能に張架する従動ローラー21,22および駆動ローラーとしての転写ローラー23と、記録媒体Pを搬送する搬送ドラム24と、装置全体の制御を行う制御部40(
図2を参照)と、を備える。制御部40は、本発明の「判定部」および「クリーニング性能制御部」として機能する。
【0015】
また、インクジェット画像形成装置1は、転写ベルト20に吐出されたインクの粘度を調整する第1UV照射部25(本発明の「照射部」として機能)と、記録媒体Pに転写されたインクを硬化させる第2UV照射部26と、転写ベルト20の表面をクリーニングする表面クリーニング部27と、転写ローラー23および搬送ドラム24を駆動する搬送駆動部51とを備える。
【0016】
なお、図示しないが、インクジェット画像形成装置1は、記録媒体Pを積載して搬送ドラム24に給送する給送部、画像が転写された記録媒体Pを搬送ドラム24の搬送方向下流側に排出する排出部、装置の状態を表示する表示部、等を備える。これらは公知の構成であるため、図示および説明を省略する。また、記録媒体Pとしては、普通紙や塗工紙といった紙のほか、布帛またはシート状の樹脂等、表面に着弾したインクを定着させることが可能な種々の媒体を用いることができる。
【0017】
転写ベルト20は、上方に配置された従動ローラー21,22と、下方に配置された転写ローラー23(駆動ローラー)とに架け渡されており、搬送駆動部51の転写モーター(図示せず)の駆動力が転写ローラー23に伝達されることにより、
図1中の時計方向に回転する。
【0018】
本実施の形態では、転写ベルト20は、活性エネルギー線透過性を有し、ポリイミド(PI)の基材上に、シリコンゴムの弾性層と、アルミニウム(Al)が蒸着された反射層と、ポリプロピレン(PP)の表層と、が積層された無端ベルトが用いられる。また、転写ローラー23は、直径100mmで、表層のゴム厚が10mmのゴムローラーが用いられる。
【0019】
インクジェット画像形成装置1では、転写ベルト20は、制御部40の制御信号に基づいて上記の転写モーターが駆動され転写ローラー23が
図1中の時計方向に回転することによって、時計方向に回転駆動される。本実施の形態では、制御部40の制御の下、転写ベルト20が600mm/秒の速さ(印画速度)で回転するように、転写ローラー23の回転速度が制御される。
【0020】
搬送ドラム24は、円柱面状の外周曲面(搬送面)上に記録媒体Pを保持した状態で
図1の図面に垂直な方向(以下、「直交方向」と称する)に延びた回転軸の回りで回転することで、搬送面に沿った搬送方向に記録媒体Pを搬送する。具体的には、搬送ドラム24は、搬送ドラムモーター(図示せず)を備え、制御部40の制御により搬送ドラムモーターが駆動されることにより、
図1中の反時計方向に回転する。本実施の形態では、搬送ドラム24として、大型(例えば印刷機用3倍胴)の金属製ドラムが用いられる。
【0021】
上述した転写ベルト20および搬送ドラム24は、800mmの幅すなわち軸方向の長さを有する。
【0022】
転写ローラー23は、搬送ドラム24の上部に対向して配置され、転写ベルト20を介して搬送ドラム24を加圧する。また、転写ベルト20を挟んで、搬送ドラム24が転写ローラー23に圧接されることにより、転写ベルト20から記録媒体Pへ画像を転写する転写ニップNPが形成される。本実施の形態では、転写ニップNPにおける加重ないし圧接力(以下、「転写圧」という)値は、80Nに設定されている。
【0023】
ヘッドユニット10は、転写ベルト20に対向するインク吐出面に設けられたノズル開口部から転写ベルト20に対してインクを吐出して画像を転写ベルト20に担持させる。搬送ドラム24は、転写ベルト20に担持された画像が転写ニップNPで記録媒体Pの所定の位置に転写されるように、記録媒体Pを搬送する。
【0024】
本実施の形態におけるインクジェット画像形成装置1では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する4つのヘッドユニット10が転写ベルト20の回転方向上流側からY,M,C,Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
【0025】
各ヘッドユニット10は、インクジェットヘッド102(
図2を参照)を備える。インクジェットヘッド102には、インクを貯留する圧力室と、圧力室の壁面に設けられた圧電素子と、ノズルとを各々有する複数の記録素子が設けられている。この記録素子は、圧電素子を変形動作させる駆動信号が入力されると、圧電素子の変形により圧力室が変形して圧力室内の圧力が変化し、圧力室に連通するノズルからインクを吐出する。
【0026】
インクジェットヘッド102に含まれるノズルの直交方向についての配置範囲は、搬送ドラム24により搬送される記録媒体Pのうち画像が記録される領域の直交方向の幅をカバーしている。ヘッドユニット10は、画像の記録時には搬送ドラム24の回転軸に対して位置が固定されて用いられる。すなわち、インクジェット画像形成装置1は、シングルパス形式のインクジェット画像形成装置である。
【0027】
本実施の形態では、インクジェットヘッド102から転写ベルト20に吐出されるインクとして、転写ベルト20に供給される活性エネルギー線の量(具体的には、第1UV照射部25から出力される紫外線(UV:ultra violet)の光量)に応じて粘度が変化するインクが用いられる。第1UV照射部25から照射される活性エネルギー線の光量が多いほど、粘度が高くなる性質のインクが用いられる。すなわち、このインクジェット画像形成装置1の画像形成部は、UV硬化型インクジェット方式を採用している。
【0028】
第1UV照射部25は、転写ベルト20の裏面側に配置され、制御部40の制御の下、転写ニップNPよりも上流側において転写ベルト20の表面に吐出されたインクに対して転写ベルト20の裏面側から活性エネルギー線を照射し、当該インクをプレ硬化させる。その後、第1UV照射部25は、転写ニップNPにおいて挟持かつ押圧(ニップ)されるインクに対して、転写ベルト20の裏面側から活性エネルギー線を照射して当該インクを硬化させる。
図1において、第1UV照射部25から伸びる点線矢印は、転写ベルト20の表面に吐出されたインクに対して転写ベルト20の裏面側から照射された活性エネルギー線を示している。本実施の形態では、第1UV照射部25は、波長395nmのUV光を出力するUV光源を備え、通常の印刷ジョブにおける照射強度のデフォルト値が5mW/cm
2とされる。
【0029】
第2UV照射部26は、転写ニップNPの下流側に搬送される記録媒体Pに活性エネルギー線を照射するように配置されており、制御部40の制御の下、転写ニップNPにより転写されたインク(画像)を本硬化させる。本実施の形態では、第2UV照射部26は、波長395nmのUV光を出力するUV光源を備え、通常の印刷ジョブにおける照射強度のデフォルト値が10mW/cm2とされる。
【0030】
表面クリーニング部27は、転写ベルト20の移動方向において従動ローラー21と転写ローラー23(駆動ローラー)との間における転写ベルト20の表面に対向配置され、転写ベルト20の表面をクリーニングするドライウェブ(ウェブローラー)を備える。表面クリーニング部27のドライウェブは、転写ベルト20に対して接触離間可能、かつ、回転可能に構成されており、制御部40の制御により転写ベルト20に対して接触して回転することにより、転写ベルト20の表面をクリーニングして当該表面に付着した異物(転写残やミストによる不要なインクや紙粉)を除去する。これにより、転写ベルト20を透過する活性エネルギー線の光量を一定量確保して、画像形成時に転写ベルト20に吐出されたインクを所望の状態にすることができる。言い換えると、転写ベルト20の表面に異物が付着(固着)している場合に、インクに対して適切に活性エネルギー線が照射されず、当該インクを所望の硬化状態にすることができない事態を回避することができる。
【0031】
次に、主として
図2を参照して、インクジェット画像形成装置1における他の主要な機能構成を説明する。インクジェット画像形成装置1は、ヘッドユニット10が有するヘッド駆動部101およびインクジェットヘッド102と、制御部40と、搬送駆動部51と、入出力インターフェース52とを備える。
【0032】
ヘッド駆動部101は、制御部40の制御に基づいてインクジェットヘッド102の記録素子に対して適切なタイミングで画像データに応じて圧電素子を変形動作させる駆動信号を出力することにより、インクジェットヘッド102のノズルから画像データの画素値に応じた量のインクを吐出させる。
【0033】
制御部40は、CPU41(Central Processing Unit)、RAM42(Random Access Memory)、ROM43(Read Only Memory)および記憶部44を有する。
【0034】
CPU41は、ROM43に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM42に記憶させ、当該プログラムを実行して各種の演算処理を行う。また、CPU41は、インクジェット画像形成装置1の全体動作を統括制御する。
【0035】
RAM42は、CPU41に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。なお、RAM42は、不揮発性メモリーを含んでいてもよい。
【0036】
ROM43は、CPU41により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM43に代えて、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0037】
記憶部44には、入出力インターフェース52を介して外部装置2から入力された印刷ジョブ(印刷枚数などの種々のユーザー設定情報を含む画像形成指示)および当該印刷ジョブに係る画像データが記憶される。記憶部44としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などが併用されてもよい。
【0038】
搬送駆動部51は、制御部40から供給される制御信号に基づいて搬送ドラム24の搬送ドラムモーターに駆動信号を供給して搬送ドラム24を所定の速度およびタイミングで回転させる。また、搬送駆動部51は、制御部40から供給される制御信号に基づいて転写ローラー23のモーターに駆動信号を供給して、転写ベルト20を所定の速度およびタイミングで回転させる。
【0039】
入出力インターフェース52は、外部装置2と制御部40との間のデータの送受信を媒介する。入出力インターフェース52は、例えば各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェースのいずれか、または、これらの組み合わせで構成される。
【0040】
外部装置2は、例えばパーソナルコンピューターであり、入出力インターフェース52を介して印刷ジョブおよび画像データ等を制御部40に供給する。
【0041】
ところで、転写ベルト20の裏面においては、表面よりは少ないものの、紙粉やミストの回り込み等により異物の付着が発生する。この場合、転写ベルト20を透過する活性エネルギー線の光量が減少する結果、転写ベルト20の表面に吐出されたインクに対して適切に活性エネルギー線が照射されず、当該インクを所望の硬化状態にすることができない。
【0042】
従来、転写ベルト20の裏面をクリーニングする手段として、クリーニング部材(例えば、ブラシ・ローラー)を当該裏面に対して当接させる構成が挙げられる(例えば、特許文献2を参照)。
【0043】
しかしながら、特許文献2に記載されているように、転写ベルト20の裏面に対して常にクリーニングを行う構成においては、転写ベルト20を透過する活性エネルギー線の光量を一定量確保して転写ベルト20に吐出されたインクを所望の状態にすることが可能になる。その一方、常にクリーニングを行うことによる転写ベルト20への擦過および摩擦による傷が発生しやすく、ひいては転写ベルト20の寿命が低減してしまうという問題があった。
【0044】
そこで本実施の形態では、インクジェット画像形成装置1は、活性エネルギー線検出部28と、裏面クリーニング部29と、警告出力部30とを備えている。
【0045】
活性エネルギー線検出部28は、転写ベルト20を介して第1UV照射部25に対向配置されている。活性エネルギー線検出部28は、インクジェットヘッド102からインクが吐出されないタイミング(すなわち非画像形成タイミング)において、第1UV照射部25により照射されて転写ベルト20を透過した活性エネルギー線を検出する。
【0046】
本実施の形態では、活性エネルギー線検出部28は、活性エネルギー線の光量を検出し、当該光量に対応する電気信号を制御部40に出力するフォトセンサーである。また、第1UV照射部25により照射される活性エネルギー線の波長帯域は、転写ベルト20により担持されるインクの粘度を調整するために用いられる活性エネルギー線の波長帯域と略同一である。活性エネルギー線検出部28により検出される活性エネルギー線は、例えば第1UV照射部25の構成の簡便化から、インクの硬化に影響する波長帯域を有していることが好ましいからである。
【0047】
制御部40は、活性エネルギー線検出部28の検出結果(光量)に基づいて、転写ベルト20の裏面をクリーニングするか否かについて判定する。制御部40は、転写ベルト20の裏面をクリーニングすると判定した場合、転写ベルト20の裏面をクリーニングするように裏面クリーニング部29を制御する。
【0048】
裏面クリーニング部29は、転写ベルト20の移動方向において従動ローラー21と転写ローラー23(駆動ローラー)との間における転写ベルト20の裏面に対向配置され、転写ベルト20の裏面をクリーニングするスポンジローラーを備える。スポンジローラーは例えば、金属製の芯金に発泡ウレタン層(弾性層)を形成した弾性スポンジローラーである。
【0049】
裏面クリーニング部29のスポンジローラーは、転写ベルト20に対して接触離間可能、かつ、回転可能に構成されており、制御部40の制御により転写ベルト20に対して接触して回転することにより、転写ベルト20の裏面に付着した異物(転写残やミストによる不要なインクや紙粉)を除去する。これにより、転写ベルト20を透過する活性エネルギー線の光量を一定量確保して、画像形成時に転写ベルト20に吐出されたインクを所望の硬化状態にすることができる。言い換えると、転写ベルト20の表面に異物が付着(固着)している場合に、インクに対して適切に活性エネルギー線が照射されず、当該インクを所望の硬化状態にすることができない事態を回避することができる。
【0050】
次に、
図3を参照して、インクジェット画像形成装置1のクリーニング動作例について説明する。なお、
図3に示す処理は、非画像形成タイミングに実行される。転写ベルト20に形成された画像(インク)によって、第1UV照射部25から照射された活性エネルギー線が吸収され、活性エネルギー線検出部28の検出結果(ステップS100,S180)が不必要に変動することを防止するためである。ステップS100の処理前においては、裏面クリーニング部29は、転写ベルト20の裏面から離間した状態である。また、転写ベルト20は、制御部40の制御信号に基づいて回転駆動されている。
【0051】
まず、制御部40は、活性エネルギー線検出部28の検出結果(光量)を取得する(ステップS100)。次に、制御部40は、検出結果を参照し、第1UV照射部25により照射されて転写ベルト20を透過した活性エネルギー線の光量が所定光量以下であるか否かについて判定する(ステップS120)。
【0052】
判定の結果、活性エネルギー線の光量が所定光量以下でない場合(ステップS120、NO)、制御部40は、転写ベルト20の表面および裏面に付着している異物は少ないと判断する。インクジェット画像形成装置1は、
図3における処理を終了する。一方、活性エネルギー線の光量が所定光量以下である場合(ステップS120、YES)、制御部40は、転写ベルト20の表面および裏面の少なくとも一方に異物が多く付着していると判断する。そして、制御部40は、インクジェットヘッド102からインクが吐出されるとき(すなわち、画像形成タイミング)と比べて表面クリーニング部27のクリーニング性能を向上させる制御を行う(ステップS140)。画像形成タイミングでは除去できず転写ベルト20の表面に異物が固着している場合においても確実に当該異物を除去するためである。
【0053】
表面クリーニング部27のクリーニング性能を向上させる制御としては例えば、転写ベルト20に対して表面クリーニング部27のドライウェブが接触する接触力を増大させる制御、ドライウェブの回転速度を増大させる制御、転写ベルト20の回転方向に対してドライウェブの回転方向をカウンター方向に変更する制御等が挙げられる。
【0054】
次に、制御部40は、転写ベルト20の表面をクリーニングするように表面クリーニング部27を制御する(ステップS160)。次に、制御部40は、ステップS160の処理後における活性エネルギー線検出部28の検出結果(光量)を取得する(ステップS180)。
【0055】
次に、制御部40は、検出結果を参照し、第1UV照射部25により照射されて転写ベルト20を透過した活性エネルギー線の光量が所定光量以下であるか否かについて判定する(ステップS200)。判定の結果、活性エネルギー線の光量が所定光量以下でない場合(ステップS200、NO)、制御部40は、転写ベルト20の表面および裏面に付着している異物は少ないと判断する。これにより、転写ベルト20を透過する活性エネルギー線の光量を一定量確保することができる。その後、インクジェット画像形成装置1は、
図3における処理を終了する。
【0056】
一方、活性エネルギー線の光量が所定光量以下である場合(ステップS200、YES)、制御部40は、転写ベルト20の裏面に異物が多く付着していると判断する。そして、制御部40は、転写ベルト20の裏面に接触して、当該裏面をクリーニングするように裏面クリーニング部29を制御する(ステップS220)。このように転写ベルト20の裏面に異物が多く付着していると判断された場合に、転写ベルト20の裏面に裏面クリーニング部29を接触させることによって、当該裏面への不必要な擦過および摩擦による傷の発生を防止することができる。その後、インクジェット画像形成装置1は、
図3における処理を終了する。
【0057】
なお、
図3に示すフローチャートにおいて、ステップS220の後に、第1UV照射部25により照射されて転写ベルト20を透過した活性エネルギー線の光量を検出し、当該光量が所定光量以下である場合、警告出力部30は、転写ベルト20が故障または寿命である旨を示す警告を出力(表示出力、音声出力)しても良い。
【0058】
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、インクジェット画像形成装置1は、活性エネルギー線透過性を有し、インクジェットヘッド102から吐出されたインクを表面で担持する転写ベルト20(転写体)と、転写ベルト20の裏面に対して活性エネルギー線を照射する第1UV照射部25(照射部)と、第1UV照射部25により照射されて転写ベルト20を透過した活性エネルギー線を検出する活性エネルギー線検出部28と、活性エネルギー線検出部28の検出結果に基づいて、転写ベルト20の裏面をクリーニングするか否かについて判定する制御部40(判定部)とを備える。
【0059】
このように構成した本実施の形態によれば、転写ベルト20の裏面をクリーニングするか否かについての判定の結果を利用して、適切なタイミング(すなわち、転写ベルト20の裏面をクリーニングする必要がある場合)に限定して、転写ベルト20の裏面をクリーニングすることができる。したがって、中間転写体の裏面に対して常にクリーニングを行う従来技術と比べて、転写ベルト20に対する裏面クリーニング部29の擦過および摩擦による傷の発生を防止し、ひいては転写ベルト20の寿命が低減してしまうことを防止することができる。また、転写ベルト20の裏面に多く付着した異物を除去することにより、転写ベルト20を透過する活性エネルギー線の光量を一定量確保して、画像形成時に転写ベルト20に吐出されたインクを所望の硬化状態にすることができる。
【0060】
なお、上記実施の形態において、インクジェット画像形成装置1の構成は
図4に示す構成であっても良い。すなわち、インクジェット画像形成装置1は、転写ベルト20の裏面側に設けられ、転写ベルト20の裏面に付着した異物を検出する異物検出部31をさらに備える。
【0061】
異物検出部31は、転写ベルト20の移動方向において第1UV照射部25と転写ローラー23(駆動ローラー)との間における転写ベルト20の裏面に対向配置される光反射型のフォトセンサーである。異物検出部31は、転写ベルト20の裏面に照射光を照射して当該裏面からの反射光を検出し、その検出結果に応じて、転写ベルト20の裏面に付着した異物を検出する。
【0062】
制御部40は、活性エネルギー線検出部28および異物検出部31の検出結果に基づいて、転写ベルト20の裏面をクリーニングするか否かについて判定する。
【0063】
次に、
図5を参照して、
図4に示すインクジェット画像形成装置1のクリーニング動作例について説明する。なお、
図5に示す処理は、非画像形成タイミングに実行される。転写ベルト20に形成された画像(インク)によって、第1UV照射部25から照射された活性エネルギー線が吸収され、活性エネルギー線検出部28の検出結果(ステップS300)が不必要に変動することを防止するためである。ステップS300の処理前においては、裏面クリーニング部29は、転写ベルト20の裏面から離間した状態である。また、転写ベルト20は、制御部40の制御信号に基づいて回転駆動されている。
【0064】
まず、制御部40は、活性エネルギー線検出部28の検出結果(光量)を取得する(ステップS300)。次に、制御部40は、検出結果を参照し、第1UV照射部25により照射されて転写ベルト20を透過した活性エネルギー線の光量が所定光量以下であるか否かについて判定する(ステップS320)。
【0065】
判定の結果、活性エネルギー線の光量が所定光量以下でない場合(ステップS320、NO)、インクジェット画像形成装置1は、
図5における処理を終了する。一方、活性エネルギー線の光量が所定光量以下である場合(ステップS320、YES)、制御部40は、転写ベルト20の表面および裏面の少なくとも一方に異物が多く付着していると判断する。
【0066】
次に、制御部40は、異物検出部31の検出結果を取得する(ステップS340)。次に、制御部40は、検出結果を参照し、異物検出部31により検出された異物の量が所定量以上であるか否かについて判定する(ステップS360)。
【0067】
判定の結果、検出された異物の量が所定量以上である場合(ステップS360、YES)、制御部40は、転写ベルト20の裏面に異物が多く付着していると判断する。そして、制御部40は、転写ベルト20の裏面に接触して、当該裏面をクリーニングするように裏面クリーニング部29を制御する(ステップS380)。その後、インクジェット画像形成装置1は、
図5における処理を終了する。
【0068】
一方、検出された異物の量が所定量以上でない場合(ステップS360、NO)、制御部40は、転写ベルト20の裏面ではなく、表面に異物が多く付着していると判断する。そして、制御部40は、インクジェットヘッド102からインクが吐出されるとき(すなわち、画像形成タイミング)と比べて表面クリーニング部27のクリーニング性能を向上させる制御を行う(ステップS400)。
【0069】
次に、制御部40は、転写ベルト20の表面をクリーニングするように表面クリーニング部27を制御する(ステップS420)。その後、インクジェット画像形成装置1は、
図5における処理を終了する。
【0070】
なお、
図5に示すフローチャートのステップS380の前または後において、制御部40は、転写ベルト20の表面をクリーニングするように表面クリーニング部27を制御しても良い。ステップS360において異物検出部31により検出された異物の量が所定量以上であると判定された場合、転写ベルト20の裏面だけでなく表面にも異物が多く付着している可能性はあるからである。
【0071】
また、上記実施の形態において、インクジェット画像形成装置1の構成は
図6に示す構成であっても良い。すなわち、インクジェット画像形成装置1は、活性エネルギー線検出部28を備えず、第3UV照射部32、活性エネルギー線検出部33および前処理液供給部34をさらに備える。
【0072】
第3UV照射部32は、転写ベルト20の裏面側に配置され、制御部40の制御の下、転写ニップNPよりも下流側において転写ベルト20に対して転写ベルト20の裏面側から活性エネルギー線を照射する。
図6において、第3UV照射部32から伸びる点線矢印は、転写ベルト20に対して転写ベルト20の裏面側から照射された活性エネルギー線を示している。第3UV照射部32は、波長395nmのUV光を出力するUV光源を備え、照射強度の値が5mW/cm
2とされる。
【0073】
活性エネルギー線検出部33は、転写ベルト20を介して第3UV照射部32に対向配置されている。活性エネルギー線検出部33は、前処理液供給部34により転写ベルト20に対して前処理液が供給される前のタイミングにおいて、第3UV照射部32により照射されて転写ベルト20を透過した活性エネルギー線を検出する。具体的には、活性エネルギー線検出部33は、活性エネルギー線の光量を検出し、当該光量に対応する電気信号を制御部40に出力するフォトセンサーである。
【0074】
前処理液供給部34は、インクジェットヘッド102からインクが吐出される前に、転写ベルト20の表面に前処理液(プレコート液)を供給するウェブローラーを備える。転写ベルト20の表面に前処理液が供給されることによって、転写ベルト20に担持されたインクを転写ニップNPで記録媒体Pに転写する際の転写性能を向上させることができる。
【0075】
次に、
図7を参照して、
図6に示すインクジェット画像形成装置1のクリーニング動作例について説明する。なお、
図7に示す処理は、表面クリーニング部27により転写ベルト20の表面がクリーニングされた(すなわち、前処理液が除去された)後、かつ、転写ベルト20の表面に前処理液が供給される前のタイミングにおいて実行される。転写ベルト20に供給された前処理液によって、第3UV照射部32から照射された活性エネルギー線が吸収され、活性エネルギー線検出部33の検出結果(ステップS500,S580)が不必要に変動することを防止するためである。ステップS500の処理前においては、裏面クリーニング部29は、転写ベルト20の裏面から離間した状態である。また、転写ベルト20は、制御部40の制御信号に基づいて回転駆動されている。
【0076】
まず、制御部40は、活性エネルギー線検出部33の検出結果(光量)を取得する(ステップS500)。次に、制御部40は、検出結果を参照し、第3UV照射部32により照射されて転写ベルト20を透過した活性エネルギー線の光量が所定光量以下であるか否かについて判定する(ステップS520)。
【0077】
判定の結果、活性エネルギー線の光量が所定光量以下でない場合(ステップS520、NO)、制御部40は、転写ベルト20の表面および裏面に付着している異物は少ないと判断する。そして、インクジェット画像形成装置1は、
図7における処理を終了する。一方、活性エネルギー線の光量が所定光量以下である場合(ステップS520、YES)、制御部40は、転写ベルト20の表面および裏面の少なくとも一方に異物が多く付着していると判断する。そして、制御部40は、インクジェットヘッド102からインクが吐出されるとき(すなわち、画像形成タイミング)と比べて表面クリーニング部27のクリーニング性能を向上させる制御を行う(ステップS540)。
【0078】
次に、制御部40は、転写ベルト20の表面をクリーニングするように表面クリーニング部27を制御する(ステップS560)。次に、制御部40は、ステップS560の処理後における活性エネルギー線検出部33の検出結果(光量)を取得する(ステップS580)。
【0079】
次に、制御部40は、検出結果を参照し、第3UV照射部32により照射されて転写ベルト20を透過した活性エネルギー線の光量が所定光量以下であるか否かについて判定する(ステップS600)。判定の結果、活性エネルギー線の光量が所定光量以下でない場合(ステップS600、NO)、制御部40は、転写ベルト20の表面および裏面に付着している異物は少ないと判断する。これにより、転写ベルト20を透過する活性エネルギー線の光量を一定量確保することができる。その後、インクジェット画像形成装置1は、
図7における処理を終了する。
【0080】
一方、活性エネルギー線の光量が所定光量以下である場合(ステップS600、YES)、制御部40は、転写ベルト20の裏面に異物が多く付着していると判断する。そして、制御部40は、転写ベルト20の裏面に接触して、当該裏面をクリーニングするように裏面クリーニング部29を制御する(ステップS620)。このように転写ベルト20の裏面に異物が多く付着していると判断された場合に、転写ベルト20の裏面に裏面クリーニング部29を接触させることによって、当該裏面への不必要な擦過および摩擦による傷の発生を防止することができる。その後、インクジェット画像形成装置1は、
図7における処理を終了する。
【0081】
また、上記実施の形態において、第1UV照射部25は、転写ベルト20の裏面に対して光量が異なる複数の活性エネルギー線を照射しても良い。この場合、活性エネルギー線検出部28は、第1UV照射部25により照射されて転写ベルト20を透過した複数の活性エネルギー線を検出する。この構成により、外乱ノイズとなる活性エネルギー線が活性エネルギー線検出部28で検出されても、他の正常な活性エネルギー線により活性エネルギー線検出部28の検出結果を補償することができ、ひいては活性エネルギー線検出部28の検出精度を向上させることができる。
【0082】
また、上記実施の形態では、転写ベルト20の裏面がクリーニングされない場合、裏面クリーニング部29は、転写ベルト20の裏面から離間した状態である例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、転写ベルト20の裏面がクリーニングされない場合、裏面クリーニング部29は、転写ベルト20の裏面がクリーニングされる場合と比べて、転写ベルト20の裏面に対する摺擦力が減少するように制御(例えば、転写ベルト20に対して従動回転)しても良い。
【0083】
また、上記実施の形態では、第1UV照射部25により照射される活性エネルギー線は、紫外線である例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、活性エネルギー線は、電子線であっても良い。この場合、電子線に応じて粘度が変化するインクが用いられることが好ましく、活性エネルギー線検出部28は電子線を検出することが好ましい。
【0084】
また、上記実施の形態において、制御部40により転写ベルト20の裏面に異物が多く付着していると判断された場合、警告出力部30は、転写ベルト20の裏面に異物が多く付着している旨を示す警告を出力しても良い。
【0085】
また、上記実施の形態では、表面クリーニング部27は、転写ベルト20の表面をクリーニングするドライウェブ(ウェブローラー)を備える例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、表面クリーニング部27は、転写ベルト20の表面をクリーニングするスポンジローラー、クリーニングブラシまたはクリーニングブレード等を備えても良い。
【0086】
また、上記実施の形態では、裏面クリーニング部29は、転写ベルト20の裏面をクリーニングするスポンジローラーを備える例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、裏面クリーニング部29は、転写ベルト20の裏面をクリーニングするドライウェブ(ウェブローラー)、クリーニングブラシまたはクリーニングブレード等を備えても良い。
【0087】
また、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 インクジェット画像形成装置
2 外部装置
10 ヘッドユニット
20 転写ベルト
21,22 従動ローラー
23 転写ローラー
24 搬送ドラム
25 第1UV照射部
26 第2UV照射部
27 表面クリーニング部
28,33 活性エネルギー線検出部
29 裏面クリーニング部
30 警告出力部
31 異物検出部
32 第3UV照射部
34 前処理液供給部
40 制御部
41 CPU
42 RAM
43 ROM
44 記憶部
51 搬送駆動部
52 入出力インターフェース
101 ヘッド駆動部
102 インクジェットヘッド
NP 転写ニップ
P 記録媒体