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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ライナ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 11/16 20060101AFI20221220BHJP
   B22F 3/15 20060101ALI20221220BHJP
   B22F 7/08 20060101ALI20221220BHJP
   C21B 7/20 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B65G11/16 Z
B22F3/15 G
B22F7/08 B
C21B7/20 305
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019084315
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020180343
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100174942
【弁理士】
【氏名又は名称】平方 伸治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直人
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-58155(JP,A)
【文献】特開昭52-103312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 7/20
B22F 3/15
B22F 7/08
B65G 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護面と、前記保護面に対して反対にある裏面と、を含むライナであって、
母材と、
各々が少なくとも部分的に前記母材に埋め込まれた複数の強化材と、
を備え、
前記強化材は、
前記ライナの前記保護面の一部を構成する第1の面と、前記第1の面に対して反対にあり且つ前記母材に埋没する第2の面と、を含む耐摩耗部と、
全体が前記母材に埋め込まれ、前記耐摩耗部の前記第2の面から前記ライナの前記裏面に向けて延びた抜け止め部と、
を有し、
前記抜け止め部は、全体に亘って又は略全体に亘って、前記耐摩耗部の前記第2の面から前記ライナの前記裏面に向けて延びるにしたがって、前記保護面と平行な水平断面形状が大きくなるテーパ状に形成されており、
前記抜け止め部は、前記保護面の法線方向において、前記ライナの少なくとも裏面側の半分に設けられている、
ライナ。
【請求項2】
前記保護面の法線方向に見た場合に、前記耐摩耗部の投影面積は、前記抜け止め部の投影面積以上である、請求項1に記載のライナ。
【請求項3】
前記耐摩耗部の前記第1の面が前記母材の表面と面一になるように、前記強化材が前記母材に全体的に埋め込まれている、請求項1又は2に記載のライナ。
【請求項4】
前記保護面の法線方向に見た場合に、前記複数の強化材は、前記母材に格子状に埋め込まれている、請求項1~3のいずれか一項に記載のライナ。
【請求項5】
前記保護面の法線方向に見た場合に、前記複数の強化材は、前記母材に千鳥状に埋め込まれている、請求項1~3のいずれか一項に記載のライナ。
【請求項6】
前記保護面の法線方向に見た場合に、前記耐摩耗部の投影形状が、四角形状である、請求項4に記載のライナ。
【請求項7】
前記保護面の法線方向に見た場合に、前記耐摩耗部の投影形状が、円形または六角形のうちいずれか一方である、請求項5に記載のライナ。
【請求項8】
前記複数の強化材は、前記耐摩耗部がテーパ状に形成された複数の第1強化材と、前記耐摩耗部が前記第1強化材の前記テーパ状とは逆向きの逆テーパ状に形成された複数の第2強化材と、を含み、前記第1強化材と前記第2強化材とは交互に並んで配置され、かつ、前記第1強化材の前記耐摩耗部及び前記第2強化材の前記耐摩耗部は、前記法線方向に見た場合に、互いに重複するように配置されている、請求項6または7に記載のライナ。
【請求項9】
前記耐摩耗部の長さは、前記抜け止め部の長さよりも長い、請求項1~8のいずれか一項に記載のライナ。
【請求項10】
前記母材及び前記複数の強化材を覆う外枠を更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のライナ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載のライナの製造方法であって、
カプセルを準備するステップと、
前記複数の強化材を前記カプセルの内部の底部に配置するステップと、
前記母材を形成するための粉末材料を前記カプセルの内部に投入するステップと、
前記カプセルの内部を減圧するステップと、
前記粉末材料を焼結し前記ライナを形成するステップと、
を含む、ライナの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ライナ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な産業において、例えば、落下する粉体、粒体又はより大きな固体材料を受け止める箇所に、ライナが用いられている。図14の(a)は製鉄所の高炉を示す模式的な図であり、(b)は(a)中のA-A矢視断面図である。図14に示されるように、製鉄設備においては、高炉100の炉頂から装入される粉体等の原料を高炉内に案内するべく高炉の旋回シュート101などが設置されている。旋回シュート101は、旋回シュート101の長手方向に沿って傾斜するように高炉100内に設けられているため、原料が高炉100の炉頂から装入されると、原料は旋回シュート101の長手方向に沿って滑動する。このような旋回シュート101の内側は、落下してきた原料が衝突し、旋回シュート101の長手方向に沿って滑動するための案内面102を有している。旋回シュート101の内側には旋回シュート101の案内面102を保護するためライナ110が設けられている。このようなライナ110を複合材によって製造した場合、例えば、ライナ110は、母材(マトリクス)と、母材中に固定された耐摩耗性を有する複数の強化材と、を備える。このようなライナ110の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されているライナは、耐摩耗金属製(例えば高Cr合金)の母材と、母材に鋳ぐるみで固定された窒化珪素セラミック製の円柱状又は円錐台状の複数の強化材と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-58155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライナでは、固体材料の衝突及び滑動によって、母材が摩耗する。特許文献1に開示されているライナでは、母材が耐摩耗金属製ではあるものの、母材は、炭化珪素セラミック製の強化材に比較して先に摩耗し、減肉する。母材が厚み方向に減肉すると、強化材の埋没部分が徐々に露出し、埋没部分の露出量が一定量を超えると、強化材は母材から脱落する。若しくは、強化材が脱落する前に、減肉した母材が割れ、ライナ自体が破壊する場合がある。このような状態になると、ライナとしての機能を維持できず、寿命が尽きる。さらに、特許文献1に開示されているライナでは、窒化珪素セラミック製の強化材を耐摩耗金属製の母材で鋳ぐるみによって固定している。セラミックの比重が耐摩耗金属の比重よりも小さいため、鋳造では、セラミック製の強化材が浮上するという問題が生じる。そのため、鋳造工程において、冶具などで強化材を保持するなど、作業負荷が大きくなり、容易にはライナを製造できない。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、より長寿命を得るために、強化材の脱落を抑制することを課題とする。さらに、製造時に強化材の浮上を防止できるような製造方法を得ることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、保護面と、保護面に対して反対にある裏面と、を含むライナであって、母材と、各々が少なくとも部分的に母材に埋め込まれた複数の強化材と、を備え、強化材は、ライナの保護面の一部を構成する第1の面と、第1の面に対して反対にあり且つ母材に埋没する第2の面と、を含む耐摩耗部と、全体が母材に埋め込まれ、耐摩耗部の第2の面からライナの裏面に向けて延びた抜け止め部と、を有し、抜け止め部は、全体に亘って又は略全体に亘って、耐摩耗部の第2の面からライナの裏面に向けて延びるにしたがって、保護面と平行な水平断面形状が大きくなるテーパ状に形成されており、抜け止め部は、保護面の法線方向において、ライナの少なくとも裏面側の半分に設けられている、ライナである。
【0007】
本開示の一態様に係るライナでは、全体に亘って又は略全体に亘ってテーパ状に形成された抜け止め部が、ライナの少なくとも裏面側の半分に設けられている。そのため、保護面側の半分の母材が摩耗しても、抜け止め部のテーパによって、強化材が裏面側の半分の母材に引き続き固定されるため、強化材の脱落を抑制することができる。
【0008】
保護面の法線方向に見た場合に、耐摩耗部の投影面積は、抜け止め部の投影面積以上であってもよい。この場合、隣接する強化材の抜け止め部同士が干渉することなく、隣接する耐摩耗部同士を近接して配置することができる。したがって、保護面に占める耐摩耗部の割合を高めることができる。また、本開示の一態様に係るライナでは、抜け止め部が全体に亘って又は略全体に亘ってテーパ状に形成されているため、抜け止め部の投影面積が耐摩耗部の投影面積以下であっても、強化材の抜けを十分に防止することができる。
【0009】
耐摩耗部の第1の面が母材の表面と面一になるように、強化材の全体が母材に埋め込まれていてもよい。この場合、強化材の間の隙間が全体的に母材によって充填されるため、母材の摩耗が裏面側の半分まで至るのに、より長い時間が必要となる。このため、強化材の脱落をさらに抑制することができる。
【0010】
保護面の法線方向に見た場合に、複数の強化材は、母材に格子状に埋め込まれていてもよい。この場合、保護面の全域を覆うように耐摩耗部を敷き詰めることができる。言い換えると、保護面における耐摩耗部が占める割合が増加し、ライナの耐摩耗性が向上する。
【0011】
保護面の法線方向に見た場合に、複数の強化材は、母材に千鳥状に埋め込まれていてもよい。この場合、耐摩耗部が千鳥状に配置されているため、保護面(旋回シュートの案内面)において固体材料が流れる方向に沿って必ず強化材が存在するように、ライナを方向付けすることができる。したがって、保護面(旋回シュートの案内面)において固体材料が流れる方向に沿って母材(すなわち、早く摩耗する部分)が連続することがなく、固体材料が流れる方向に沿って一列に配置された全ての強化材が脱落することを防ぐことができる。
【0012】
保護面の法線方向に見た場合に、母材に格子状に埋め込まれた強化材の耐摩耗部の投影形状が、四角形状であってもよい。この場合、保護面における耐摩耗部が占める割合が最も大きくなり、ライナの耐摩耗性が一層向上する。
【0013】
保護面の法線方向に見た場合に、母材に千鳥状に埋め込まれた強化材の耐摩耗部の投影形状が、円形または六角形のうちいずれか一方であってもよい。この場合、保護面における耐摩耗部が占める割合を大きくすることができる。そのため、固体材料が流れる方向に沿って一列に配置された全ての強化材が脱落することを防ぐことができ、かつ、ライナの耐摩耗性が一層向上する。
【0014】
複数の強化材は、耐摩耗部がテーパ状に形成された複数の第1強化材と、耐摩耗部が第1強化材のテーパ状とは逆向きの逆テーパ状に形成された複数の第2強化材とを備えてもよく、第1強化材と第2強化材とは交互に並んで配置され、かつ、第1強化材の耐摩耗部及び第2強化材の耐摩耗部は、保護面の法線方向に見た場合に、互いに重複するように配置されていてもよい。この場合、耐摩耗部の投影形状が、四角形状であってもよく、複数の強化材は、格子状に配置されていてもよい。また、耐摩耗部の投影形状が、円形または六角形のうちいずれか一方であってもよく、複数の強化材は、千鳥状に配置されていてもよい。これらの場合、耐摩耗部の側面を直線状にすることなく、保護面の広い範囲を強化材で覆うことが可能となる。そのため、保護面の耐摩耗性の向上が図られる。
【0015】
耐摩耗部の長さは、抜け止め部の長さよりも長くてもよい。この場合、耐摩耗部がより長期間にわたって機能するため、より長期間にわたって優れた耐摩耗性を維持することができる。
【0016】
ライナは、母材及び複数の強化材を覆う外枠を更に備えてもよい。この場合、外枠が摩耗して保護面が露出するのにさらなる期間が必要とされるため、さらなる長寿命を得ることができる。このようなライナは、例えばHIP法によって製造可能である。
【0017】
本開示の他の態様は、上記のライナの製造方法であって、カプセルを準備するステップと、複数の強化材をカプセルの内部の底部に配置するステップと、母材を形成するための粉末材料をカプセルの内部に投入するステップと、カプセルの内部を減圧するステップと、例えば熱間等方加圧法(HIP法)によって粉末材料を焼結し前記ライナを形成するステップと、を含む、ライナの製造方法である。
【0018】
例えば鋳造でライナを製造する場合、特許文献1に開示されているように、強化材は、鋳型の底部に配置され得る。この場合、強化材の比重が母材となる金属の溶湯の比重よりも小さい場合、強化材が溶湯に浮いてしまう。したがって、例えば、溶湯の比重よりも高い比重を有する材料を強化材に用いる、又は、強化材を支持するための冶具を用いる等、強化材の浮きに対処する必要がある。例えば、HIP法を用いる場合には、強化材が粉末材料に浮くことはない。したがって、強化材の浮きに対処する必要がない。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、強化材の脱落を抑制することによって、長寿命化したライナを得ることがきる。また、強化材の浮上対策を必要としない製造方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ライナの一例を示す斜視図である。
図2図1に示されるライナの強化材の配置パターンを示す図である。
図3】ライナの一例を示す斜視図である。
図4】強化材の一例を示す垂直断面図である。
図5】強化材の一例を示す垂直断面図である。
図6】強化材の一例を示す垂直断面図である。
図7】強化材の一例を示す垂直断面図である。
図8】強化材の一例を示す垂直断面図である。
図9】強化材の一例を示す垂直断面図である。
図10】強化材の配置パターンを示す図である。
図11】強化材の配置パターンを示す図である。
図12】強化材の配置パターンを示す図である。
図13】強化材の配置パターンを示す図である。
図14】(a)は製鉄所の高炉を示す模式的な図であり、(b)は(a)中のA-A矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係るライナを説明する。同様な又は対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。理解を容易にするために、図の縮尺は変更されている場合がある。「上」「下」等の方向を示す用語は、図における方向を意味しており、ライナ及びその構成要素の特定の方向を限定することは意図されていない。
【0022】
図1は、ライナの一例を示す斜視図である。また、図2は、図1に示されるライナにおける強化材の配置パターンを示す図である。ライナ10は、流動する固体材料(例えば、粉体、粒体、又は、より大きな固体材料)を案内するために、様々な産業の設備で用いられることができる。図14に示されるように、一実施形態では、ライナ10は、製鉄所の高炉100において高炉100の頂部から落下する原料(例えば、鉄鉱石及び石炭の少なくとも一方を含む原料)を受け止める旋回シュート101の内側を保護するために用いられることができる。ライナ10は、例えば、板状又は直方体状であることができる。ライナ10は、他の形状を有していてもよい。ライナ10の上面は、固体材料を案内するための旋回シュート101の案内面102を保護する保護面1を構成する。保護面1は、長方形又は正方形であることができる。ライナ10の下面は、保護面1と反対側の裏面11を構成する。使用中、旋回シュート101は、高炉100の頂部から高炉100の炉壁に向かって傾斜するように設けられる。図1を参照して、ライナ10は、例えば、図1において、左右方向(長手方向)が旋回シュート101の内側において長手方向に沿うように配置されてもよく、又は、上下方向(短手方向)が旋回シュート101の内側において長手方向に沿うように配置されてもよい。また、ライナ10は、例えば、強化材3の配置パターンに応じて旋回シュート101の内側において長手方向に沿うように配置されてもよい(詳しくは後述)。高炉100の炉頂から落下した固体材料は、旋回シュート101の案内面102(旋回シュートの内側に設けられたライナ10の保護面1)に衝突し、旋回シュート101の案内面102に沿って流動する。
【0023】
ライナ10は、母材2と、複数の強化材3と、を備えている。母材2は、例えば、板状又は直方体状を有しており、ライナ10の外形を構成している。母材2の上面21は、強化材3の耐摩耗部31(詳しくは後述)の上面33と共に、保護面1を構成している。母材2は、複数の強化材3を繋ぎとめている。母材2は、様々な金属(例えば、WC合金、高Cr合金、又は、サーメット)で形成されることができる。
【0024】
強化材3は、保護面1に沿って母材2に埋め込まれている。強化材3は、耐摩耗性を有する材料で形成されており、母材2よりも硬い材料(例えば、セラミックス(例えば、窒化珪素(N2SO4)、炭化珪素(SiC)、又は、アルミナ(Al2O4)))で形成されている。強化材3は、様々な配置で母材2に埋め込まれることができる。なお、図1に示されるライナ10の強化材3は、図2に示されるように、保護面1の法線方向(保護面1に対して垂直な方向)に見た場合に、格子状に配置されている。本開示において、「格子状」とは、保護面1の法線方向に見た場合に、格子の縦横の線(複数の強化材3の間の母材2が露出した部分)が、長方形又は正方形の保護面1の任意の辺に対して平行又は垂直に整列されるように、複数の強化材3が配列されることを意味する。しかしながら、強化材3の配置パターンは格子状に限られない。強化材3の他の配置パターンについては後述する。
【0025】
図1に示されるように、ライナ10では、強化材3は、耐摩耗部31の上面33が母材2の上面21と面一になるように母材2に全体的に埋め込まれており、上面33は露出されている。しかし、上面33は、露出されていなくてもよい。
【0026】
例えば、図3に示されるように、ライナ30が外枠80を更に備えている場合、母材2及び複数の強化材3は、外枠80によって覆われる。詳しくは後述されるように、外枠80は、熱間等方加圧法(以下、HIP(Hot Isostatic Pressing)法とも称され得る)によってライナを形成する際に、カプセルとして使用されることができる。ライナ30では、外枠80は除去されずに、固体材料を案内するために使用される。具体的には、当初、保護面1は、外枠80によって覆われている。ライナ30をある期間使用した後、保護面1上の外枠80の部分が先ず摩耗し、これによって、保護面1が露出する。その後、露出した保護面1が、固体材料を案内する。
【0027】
図4図9は、それぞれ強化材の一例を示す断面図であり、図1中のS-S矢視断面図を示している。
【0028】
図4に示されるように、強化材3Aは、耐摩耗部31と、抜け止め部32と、を有している。耐摩耗部31は、保護面1に配置され、抜け止め部32は、耐摩耗部31の下面34からライナの裏面11に向けて延在する(図1参照)。耐摩耗部31は、固体材料を案内し、母材2の摩耗を防ぐための部分である。耐摩耗部31は、上面(第1の面)33と、下面(第2の面)34と、側面35と、を含んでいる。上面33は、上記のように、母材2の上面21と共に保護面1を構成し、母材2の上面21に対して平行である。下面34は、上面33と反対側に位置し、上面33に対して平行である。下面34は、母材2に埋没する。側面35は、上面33と下面34とを繋いでいる。図1に示されるように、耐摩耗部31は、側面35が全体的に母材2に覆われるように母材2に埋め込まれる。
【0029】
抜け止め部32は、強化材3が母材2から抜けることを防止するための部分である。抜け止め部32は、全体的に母材2に埋め込まれる。抜け止め部32は、保護面1の法線方向において、ライナ10の少なくとも下半分(ライナ10の裏面11側の半分)に設けられている。具体的には、図1の実施形態では、抜け止め部32は、ライナ10の上半分(ライナ10の保護面1側の半分)と下半分とに跨っている。他の実施形態では、抜け止め部32は、ライナ10の下半分のみに設けられてもよい。抜け止め部32は、全体に亘って又は略全体に亘って、耐摩耗部31の下面34からライナ10の裏面11に向けて延びるにしたがって、保護面1と平行な水平断面形状が大きくなるテーパ状に形成されている。
【0030】
具体的には、本実施形態では、抜け止め部32は円錐台状を有している。他の実施形態では、抜け止め部32は、多角錐台状を有していてもよい。抜け止め部32の基端(図4において上端)は、耐摩耗部31の下面34よりも狭く、抜け止め部32の先端(図4において下端)は、耐摩耗部31の下面34と同じ直径を有している。別の観点からは、保護面1(上面33)の法線方向に見た場合に、抜け止め部32の投影面積(すなわち、抜け止め部32の下端の水平断面積)は、耐摩耗部31の投影面積(すなわち、耐摩耗部31の上面33又は下面34の水平断面積)と同一である。このような構成では、抜け止め部32が全体に亘って又は略全体に亘ってテーパ状に形成されていることに起因して、従来の略円筒状のピン形状を有する強化材と比して、抜け止め部32の体積が小さくなり、強化材を形成するための材料を少量にすることができる。したがって、強化材の材料費を抑えることが可能となり、製造コストが押さえられる。本実施形態では、保護面1の法線方向において、抜け止め部32は、耐摩耗部31よりも長い。
【0031】
図5の強化材3Bは、保護面1の法線方向において、耐摩耗部31が抜け止め部32よりも長い点で、図4の強化材3Aと異なる。強化材3Bのその他の点は、強化材3Aと同様であってもよい。したがって、より多くの材料を、固体材料を案内することに寄与する耐摩耗部に使用することができ、より長寿命を得ることができる。
【0032】
図6の強化材3Cは、保護面1の法線方向に見た場合に、抜け止め部32の投影面積(すなわち、抜け止め部32の下端の水平断面積)が、耐摩耗部31の投影面積(すなわち、耐摩耗部31の上面33又は下面34の水平断面積)よりも小さい点で、図4の強化材3Aと異なる。強化材3Cのその他の点は、強化材3Aと同様であってもよい。強化材3Cでは、抜け止め部32が、図4の強化材3Aの抜け止め部32よりも細い。別の観点からは、強化材3Cでは、保護面1の法線方向に見た場合に、抜け止め部32の投影形状(すなわち、抜け止め部32の下端の水平断面形状)は、耐摩耗部31の投影形状(すなわち、耐摩耗部31の上面33又は下面34の水平断面形状)によって全体的に囲われる。
【0033】
図7の強化材3Dは、耐摩耗部31もテーパ38を有する点で、図4の強化材3Aと異なる。強化材3Dのその他の点は、強化材3Aと同様であってもよい。このような強化材3Dでは、耐摩耗部31の側面35が、母材2からの抜けを防止するためのテーパ38を有している。テーパ38は、保護面1(又は、上面33)から離れるにつれて太くなるように構成されている。テーパ38は、上面33から下面34まで延在している。
【0034】
図8の強化材3Eは、耐摩耗部31が図7の強化材3Dのテーパとは逆向きの逆テーパを有する点で、図7の強化材3Dと異なる。強化材3Eのその他の点は、強化材3Dと同様であってもよい。このような強化材3Eでは、耐摩耗部31の側面35が、テーパ39を有している。テーパ39は、保護面1(又は、上面33)から離れるにつれて細くなるように構成されている。テーパ39は、上面33から下面34まで延在している。このような強化材3Eは、図7の強化材3Dと一緒に使用されることができる。具体的には、強化材(第1強化材)3Dと強化材(第2強化材)3Eとは互いに逆向きのテーパを有しているため、強化材3D及び強化材3Eは、保護面1の法線方向に見た場合に、テーパ38とテーパ39とが重なるように、交互に配列されることができる。この場合、保護面1の広い範囲を強化材3D、3Eで覆うことが可能となる。
【0035】
なお、図9の強化材3Fに示されるように、抜け止め部32は、完全に全体に亘ってテーパ状に形成されていなくてもよく、短いストレート部41を含んでいてもよい。具体的には、抜け止め部32は、テーパが少なくともライナの下半分に存在し、且つ、保護面1の法線方向において、テーパ部がストレート部よりも長いのであれば、ストレート部41を含んでいてもよい。
【0036】
次に、強化材3A1、3A2、3A3の母材2に対する配置について、図10から図13を用いて説明する。図11を参照して、強化材3A1は、強化材3Aのうち、耐摩耗部31の投影形状が円形状となっているものである。また、図10及び図13を参照して、強化材3A2は、強化材3Aのうち、耐摩耗部31の投影形状が四角形状となっているものである。また、図12を参照して、強化材3A3は、強化材3Aのうち、耐摩耗部31の投影形状が六角形状となっているものである。なお、強化材3A1、3A2、3A3の垂直断面形状は、図4に示される強化材3Aと同じであってもよく、又は、図5図9に示される強化材3B~3Fのいずれかと同じであってもよい。
【0037】
図10のライナ40では、強化材3A2が平面視において格子状に母材2に配置されている。耐摩耗部31の投影形状が四角形状となっており、耐摩耗部31は、四角柱状を有している。上記のように、本開示において、「格子状」とは、保護面1の法線方向に見た場合に、格子の縦横の線(複数の強化材3A2の間の母材2が露出した部分)が、長方形又は正方形の保護面1の任意の辺に対して平行又は垂直に整列されるように、複数の強化材3A2が配列されることを意味する。具体的には、ライナ40では、露出した母材2による上下方向(短手方向)の線が、長方形の保護面1の短辺に対して平行に整列され、左右方向(長手方向)の線が、長方形の保護面1の長辺に対して平行に整列されるように、複数の強化材3A2が配列されている。図10のライナ40では、耐摩耗部31を四角柱状に形成し、かつ、耐摩耗部31が近接するように強化材3Aを格子状に配置することによって、図2のライナ10に比して、保護面1の面積に占める耐摩耗部31の面積比率が増大されている。耐摩耗部31が占める面積が大きいので、耐摩耗性が向上する。
【0038】
図11のライナ50では、強化材3A1が平面視において千鳥状に母材2に配置されており、強化材3A1は、耐摩耗部31の上面の投影形状が円形状となっている円柱状を有している。本開示において、「千鳥状」とは、保護面1の法線方向に見た場合に、長方形又は正方形の保護面1のある辺に対して平行な第1の方向に沿って、複数の列(強化材3A1の列)が形成され、かつ、隣り合う列同士が、第1の方向に対して垂直な第2の方向において、所定の距離だけ互いにずらされ、かつ、保護面1の周縁付近を除いて、第1の方向に沿った直線上に必ず強化材3A1が存在するように、複数の強化材3A1が配列されることを意味する。具体的には、ライナ50では、長方形の保護面1の短辺に対して平行な上下方向に沿って、5つの強化材3A1の列が形成され、かつ、隣り合う列同士が、上下方向に対して垂直な左右方向において、所定の距離だけ(強化材3A1の列の半ピッチだけ)互いにずらされ、かつ、保護面1の周縁付近を除いて、上下方向に沿った直線上に必ず強化材3A1が存在するように、複数の強化材3A1が配列されている。したがって、旋回シュート101の内側に設けられたライナ50では、保護面1において、ライナ50の上下方向(旋回シュート101の長手方向)に沿って母材2(すなわち、早く摩耗する部分)が連続しない。このような場合、ライナ50の上下方向を旋回シュート101の長手方向に沿って配置することによって、固体材料は、旋回シュート101に設けられたライナ50の保護面1上を上下方向(旋回シュート101の長手方向)に沿って流れる。固体材料が流れる上下方向(旋回シュート101の長手方向)に沿って必ず強化材3A1が存在するため、母材2が連続して摩耗することを抑制することができ、したがって、固体材料が流れる方向に沿って一列に配置された全ての強化材3A1が脱落することを防ぐことができる。
【0039】
なお、千鳥状に配置される場合、耐摩耗部31の投影形状は、円形状でなくても良い。例えば、図12に示されるように、耐摩耗部31の投影形状が六角形状である強化材3A3が、千鳥状に母材2に配置されていてもよい。また、図13に示されるように、耐摩耗部31の投影形状が四角形状である強化材3A2が、千鳥状に母材2に配置されていてもよい。この場合、図11に示されるライナ50に比して、耐摩耗部31の面積比率をさらに増大することができる。なお、耐摩耗部31は、四角柱状及び六角柱状以外の多角柱状を有していてもよい。
【0040】
次に、以上のようなライナの製造方法について説明する。
【0041】
先ず、複数の強化材3を準備する。使用される強化材3は、上記の強化材3A~3Fのうちの1種類又は複数種類を含んでもよい。また、強化材3の大きさ及び個数は、ライナの用途等の様々な要因に応じて、適宜決定されてよい。強化材3は、例えばセラミックスのブランクから旋削等の機械加工によって形成されてもよい。強化材3は、他の加工によって形成されてもよい。また、母材2を形成するための粉末材料を準備する。粉末材料の最大粒子径は、例えば、約300μmである。粉末材料の平均粒子径は、例えば、約45μmである。また、母材2及び強化材3を収容するためのカプセルを準備する。カプセルの大きさは、ライナの用途等の様々な要因に応じて、適宜決定されてよい。カプセルの内部は、製造されるライナよりも例えば約8%大きい寸法で形成することができる。カプセルは、例えば、SS400又はSUS等の材料で作製することができる。
【0042】
続いて、複数の強化材3をカプセルの内部の底部に配置する。また、母材2を形成するための粉末材料をカプセルの内部に収容する。
【0043】
続いて、カプセルを密封し、カプセルの内部を減圧する。減圧によって、カプセルの内部に真空状態が形成される。
【0044】
続いて、カプセルを加熱(例えば、1200℃~1400℃)及び加圧(例えば、250MPa~600MPa)する。これによって、HIP法によって粉末材料を焼結する。以上の処理によって、ライナが形成される。なお、カプセルを加熱及び加圧してライナを製造するとライナは縮小することになるが、本実施形態のカプセルの内部は製造されるライナよりも大きい寸法に設定しているため、問題とならない。
【0045】
例えば、図3に示されるような外枠80を有するライナ30を使用する場合、カプセルを除去することなく、得られたライナ30をそのまま使用することができる。代替的に、図1に示されるような外枠を有さないライナ10を使用する場合、例えば機械加工によってカプセルを除去する。
【0046】
以上のような本開示に係るライナでは、全体に亘って又は略全体に亘ってテーパ状に形成された抜け止め部32が、ライナの少なくとも裏面11側の半分に設けられている。そのため、保護面1側の半分の母材2が摩耗しても、抜け止め部32のテーパによって、強化材3が裏面11側の半分の母材2に引き続き固定されるため、強化材3の脱落を抑制することができる。
【0047】
また、保護面1の法線方向に見た場合に、耐摩耗部31の投影面積は、抜け止め部32の投影面積以上である。したがって、隣接する強化材3の抜け止め部32同士が干渉することなく、隣接する耐摩耗部31同士を近接して配置することができる。したがって、保護面1に占める耐摩耗部31の割合を高めることができる。また、抜け止め部32が全体に亘って又は略全体に亘ってテーパ状に形成されているため、抜け止め部32の投影面積が耐摩耗部の投影面積以下であっても、強化材3の抜けを十分に防止することができる。
【0048】
また、耐摩耗部31の上面33が、母材2の上面21と面一になるように、強化材3の全体が母材2に埋め込まれている。したがって、強化材3の間の隙間が全体的に母材2によって充填されるため、母材2の摩耗が裏面11側の半分まで至るのに、より長い時間が必要となる。このため、強化材3の脱落をさらに抑制することができる。
【0049】
また、図10のライナ40では、保護面1の法線方向に見た場合に、耐摩耗部31の投影形状が四角形状となっており、複数の強化材3A2は格子状に母材2に配置されている。また、ライナ40では、保護面1の法線方向に見た場合に、耐摩耗部31の投影面積は、抜け止め部32の投影面積以上である。そのため、長方形のライナ40の四辺に沿って強化材を配置することができ、かつ、隣接する強化材3A2の耐摩耗部31を、隣接する抜け止め部32よりも近接して配置することができる。このような構成によって、ライナ40の周縁付近にも耐摩耗部31を配置することができる。したがって、保護面1の全域を覆うように耐摩耗部31を敷き詰めることができる。よって、保護面1における耐摩耗部31が占める割合が増加し、ライナ40の耐摩耗性が向上する。
【0050】
また、図11のライナ50では、保護面1の法線方向に見た場合に、耐摩耗部31の投影形状が円形状となっており、複数の強化材3A1は、千鳥状に母材2に配置されている。したがって、保護面1において固体材料が流れる方向(上下方向)に沿って必ず強化材3A1が存在するようにライナ50を配置することができる。よって、保護面1において固体材料が流れる方向に沿って母材2(すなわち、早く摩耗する部分)が連続することがなく、固体材料が流れる方向に沿って強化材3A1が脱落することを防ぐことができる。また、ライナ50では、保護面1の法線方向に見た場合に、耐摩耗部31の投影面積は、抜け止め部32の投影面積以上である。そのため、隣接する強化材3A1の耐摩耗部31を、隣接する抜け止め部32よりも近接して配置することができる。よって、保護面1における耐摩耗部31が占める割合が増加し、ライナ50の耐摩耗性が向上する。
【0051】
また、強化材は、耐摩耗部31がテーパ状に形成された第1強化材3D(図7参照)と、耐摩耗部31が第1強化材3Dのテーパ状とは逆向きの逆テーパ状に形成された第2強化材3E(図8参照)とを備えることができ、第1強化材3Dと第2強化材3Eとは交互に並んで配置され、かつ、第1強化材3Dの耐摩耗部31及び第2強化材3Eの耐摩耗部31は、保護面1の法線方向に見た場合に、互いに重複するように配置されることができる。この場合、耐摩耗部31の投影形状は、四角形状であることができ、複数の強化材3D,3Eは、格子状に母材2に配置されることができる。また、耐摩耗部31の投影形状は、円形または六角形のうちいずれか一方であることができ、複数の強化材3D,3Eは、格子状に母材2に配置されることもできる。これらの場合、耐摩耗部31の側面35を直線状にすることなく、保護面1の広い範囲を強化材3D、3Eで覆うことが可能となる。言い換えると、耐摩耗部31の側面35を耐摩耗部31の上面33に対して垂直に形成することなく、保護面1の広い範囲を強化材3D、3Eで覆うことが可能となる。そのため、保護面1の耐摩耗性の向上が図られる。
【0052】
また、図4、5、6、9の強化材3A、3B、3C、3Fでは、耐摩耗部31の水平断面形状は、保護面1の法線方向のいずれの位置においても同一形状となる。そのため、ライナを長期間にわたって使用し摩耗が進んだ場合であっても、ライナの表面における耐摩耗部31が占める割合は維持される。言い換えると、長期にわたって耐摩耗性が維持される。
【0053】
また、図5に示されるように、強化材3Bでは、耐摩耗部31の長さが抜け止め部32の長さよりも長い。したがって、耐摩耗部31がより長期間にわたって機能するため、より長期間にわたって優れた耐摩耗性を維持することができる。
【0054】
また、図3のライナ30は、母材2及び複数の強化材3を覆う外枠80を更に備えている。この場合、外枠80が摩耗して保護面1が露出するのにさらなる期間が必要とされるため、さらなる長寿命を得ることができる。このようなライナ30は、例えばHIP法によって製造可能である。
【0055】
また、本開示の製造方法では、ライナは、HIP法によって製造される。例えば鋳造でライナを製造する場合、強化材は、鋳型の底部に配置され得る。この場合、強化材の比重が母材となる金属の溶湯の比重よりも小さい場合、強化材が溶湯に浮いてしまう。したがって、例えば、溶湯の比重よりも高い比重を有する材料を強化材に用いる、又は、強化材を支持するための冶具を用いる等、強化材の浮きに対処する必要がある。しかしながら、HIP法を用いる本態様の製造方法では、強化材が粉末材料に浮くことはない。したがって、強化材の浮きに対処する必要がない。
【0056】
以上、ライナ及びその製造方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。
【0057】
例えば、図1図3では、強化材3は、円柱状の耐摩耗部31と、円錐台状の抜け止め部32と、を有している。しかしながら、例えば、他の実施形態では、強化材は、多角柱状の耐摩耗部(例えば、図10図12又は図13を参照)と、円錐台状の抜け止め部と、を有してもよい。このような強化材は、例えば、多角柱状のブランクから、円錐台状の抜け止め部を旋削によって削り出すことによって、容易に形成することができる。
【0058】
また、本開示の製造方法では、粉末材料を焼結しライナを形成する場合として、HIP法によって製造される場合について説明した。しかしながら、粉末材料を焼結しライナを形成する方法としてはこれに限られず、例えばホットプレス法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 ライナの保護面
2 母材
3、3A-3F 強化材
10、30、40、50、60、70 ライナ
11 ライナの裏面
31 耐摩耗部
32 抜け止め部
33 耐摩耗部の上面(第1の面)
34 耐摩耗部の下面(第2の面)
35 耐摩耗部の側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14