(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】車両用エンジン
(51)【国際特許分類】
F02M 35/10 20060101AFI20221220BHJP
F02M 26/21 20160101ALI20221220BHJP
F02M 26/23 20160101ALI20221220BHJP
【FI】
F02M35/10 301T
F02M35/10 311E
F02M35/10 301P
F02M26/21
F02M26/23
(21)【出願番号】P 2019086229
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重松 大吾
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-190416(JP,A)
【文献】特開2016-102429(JP,A)
【文献】特開2018-184871(JP,A)
【文献】特開2014-181647(JP,A)
【文献】特開平06-167251(JP,A)
【文献】特開2008-163747(JP,A)
【文献】特開2013-155666(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0274497(US,A1)
【文献】中国実用新案第206448889(CN,U)
【文献】特開2018-123779(JP,A)
【文献】特開平11-229981(JP,A)
【文献】特開2010-285916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10
F02M 26/21
F02M 26/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気筒列方向に並んで配列された複数の吸気ポートを有するシリンダヘッドと、
前記気筒列方向に延びるサージタンクと、前記サージタンクと複数の前記吸気ポートとを前記気筒列方向の配列順に連絡する複数の分岐管と、を有する吸気マニホールドと、
前記サージタンクの上流端に連結され、前記サージタンクに流入する空気の量を調整する吸気部品と、
前記吸気マニホールドの上方に配置され、前記気筒列方向に排気ガスが通過するEGRクーラと、
前記EGRクーラの排気ガス出口部に連結されるEGRバルブと、
前記EGRバルブから前記サージタンクに排気ガスを導くEGRパイプと、を備え、
前記サージタンクの上流端が、複数の前記吸気ポートのうち前記気筒列方向における端部に位置する外側吸気ポートの側方に配置され、
前記サージタンクの下流端が、複数の前記吸気ポートのうち前記気筒列方向における中央部に位置する内側吸気ポートの側方に配置される車両用エンジンであって、
複数の前記分岐管は、その上流端に対してその下流端が前記気筒列方向で前記吸気部品と反対側にオフセットするように湾曲する湾曲分岐管を少なくとも1つ含み、
前記EGRクーラは、前記吸気マニホールドにおける前記気筒列方向で前記湾曲分岐管より前記吸気部品側の箇所に固定され、
前記EGRバルブは、前記湾曲分岐管の上方に配置され、かつ、前記EGRパイプの上部に固定され、
前記EGRパイプは、前記湾曲分岐管の上面に沿って前記サージタンクの上面に延び、前記湾曲分岐管および前記サージタンクの上面に一体的に連結されていることを特徴とする車両用エンジン。
【請求項2】
前記EGRバルブは、前記EGRパイプと連結するEGRバルブ側フランジ部を有し、
前記EGRパイプの上端には、上方に延びて前記EGRバルブ側フランジ部と連結するEGRパイプ側フランジ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用エンジン。
【請求項3】
前記吸気マニホールドは、複数の前記分岐管を複数の前記吸気ポートに連結するフランジ部を有し、前記湾曲分岐管の上面と前記フランジ部とを連結する連結リブが前記湾曲分岐管に形成され、
前記EGRパイプは、前記連結リブを介して前記フランジ部に連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用エンジン。
【請求項4】
前記EGRクーラは、ブラケットを介して前記サージタンクに固定され、
前記ブラケットは、前記サージタンクと前記シリンダヘッドとを連結していることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両用エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用エンジンとして、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の車両用エンジンにおいて、吸気マニホールドの上部にEGRクーラが取付けられている。EGRクーラにはEGRパイプが連結されており、EGRパイプには冷媒を循環させる冷却ハウジングが一体で設けられている。また、EGRクーラはEGRパイプによってシリンダヘッドに連結されており、この連結によってシリンダヘッドによるEGRクーラおよび吸気マニホールドの支持剛性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、通常、吸気マニホールドの吸気流れ方向上流側には、吸気部品であるスロットルボディが取付けられており、吸気部品とEGRクーラとが互いに近接して配置されることもある。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、吸気マニホールドの上流側に取付けられた吸気部品がEGRクーラの排気ガス入口の近傍に配置されている場合には、スペースの都合上適用することができず、吸気マニホールドおよびEGRクーラの支持剛性を向上させることができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、吸気マニホールドの上流側に取付けられた吸気部品がEGRクーラの排気ガス入口の近傍に配置されている場合であっても、吸気マニホールドおよびEGRクーラの支持剛性を向上させることができる車両用エンジンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、気筒列方向に並んで配列された複数の吸気ポートを有するシリンダヘッドと、前記気筒列方向に延びるサージタンクと、前記サージタンクと複数の前記吸気ポートとを前記気筒列方向の配列順に連絡する複数の分岐管と、を有する吸気マニホールドと、前記サージタンクの上流端に連結され、前記サージタンクに流入する空気の量を調整する吸気部品と、前記吸気マニホールドの上方に配置され、前記気筒列方向に排気ガスが通過するEGRクーラと、前記EGRクーラの排気ガス出口部に連結されるEGRバルブと、前記EGRバルブから前記サージタンクに排気ガスを導くEGRパイプと、を備え、前記サージタンクの上流端が、複数の前記吸気ポートのうち前記気筒列方向における端部に位置する外側吸気ポートの側方に配置され、前記サージタンクの下流端が、複数の前記吸気ポートのうち前記気筒列方向における中央部に位置する内側吸気ポートの側方に配置される車両用エンジンであって、複数の前記分岐管は、その上流端に対してその下流端が気筒列方向で前記吸気部品と反対側にオフセットするように湾曲する湾曲分岐管を少なくとも1つ含み、前記EGRクーラは、前記吸気マニホールドにおける気筒列方向で前記湾曲分岐管より前記吸気部品側の箇所に固定され、前記EGRバルブは、前記湾曲分岐管の上方に配置され、かつ、前記EGRパイプの上部に固定され、前記EGRパイプは、前記湾曲分岐管の上面に沿って前記サージタンクの上面に延び、前記湾曲分岐管および前記サージタンクの上面に一体的に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように上記の本発明によれば、吸気マニホールドの上流側に取付けられた吸気部品がEGRクーラの排気ガス入口の近傍に配置されている場合であっても、吸気マニホールドおよびEGRクーラの支持剛性を向上させることができる車両用エンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの左側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの上部の背面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの吸気マニホールドの左側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの吸気マニホールドの
平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの吸気マニホールドおよびブラケットの
平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの吸気マニホールドの斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの吸気マニホールド、EGRクーラおよびブラケットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る車両用エンジンは、気筒列方向に並んで配列された複数の吸気ポートを有するシリンダヘッドと、気筒列方向に延びるサージタンクと、サージタンクと複数の吸気ポートとを気筒列方向の配列順に連絡する複数の分岐管と、を有する吸気マニホールドと、サージタンクの上流端に連結され、サージタンクに流入する空気の量を調整する吸気部品と、吸気マニホールドの上方に配置され、気筒列方向に排気ガスが通過するEGRクーラと、EGRクーラの排気ガス出口部に連結されるEGRバルブと、EGRバルブからサージタンクに排気ガスを導くEGRパイプと、を備え、サージタンクの上流端が、複数の吸気ポートのうち気筒列方向における端部に位置する外側吸気ポートの側方に配置され、サージタンクの下流端が、複数の吸気ポートのうち気筒列方向における中央部に位置する内側吸気ポートの側方に配置される車両用エンジンであって、複数の分岐管は、その上流端に対してその下流端が気筒列方向で吸気部品と反対側にオフセットするように湾曲する湾曲分岐管を少なくとも1つ含み、EGRクーラは、吸気マニホールドにおける気筒列方向で湾曲分岐管より吸気部品側の箇所に固定され、EGRバルブは、湾曲分岐管の上方に配置され、かつ、EGRパイプの上部に固定され、EGRパイプは、湾曲分岐管の上面に沿ってサージタンクの上面に延び、湾曲分岐管およびサージタンクの上面に一体的に連結されていることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る車両用エンジンは、吸気マニホールドの上流側に取付けられた吸気部品がEGRクーラの排気ガス入口の近傍に配置されている場合であっても、吸気マニホールドおよびEGRクーラの支持剛性を向上させることができる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の一実施例に係る車両用エンジンについて、図面を用いて説明する。
図1から
図8は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンを示す図である。
図1から
図8において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の車両用エンジンの上下前後左右方向とし、前後方向に対して直交する方向が左右方向、車両用エンジンの高さ方向が上下方向である。
【0012】
まず、構成を説明する。
図1において、車両用エンジンとしてのエンジン1は、エンジン本体10と、このエンジン本体10に艤装される後述する艤装部品とから構成されている。エンジン本体10は、シリンダブロック11、シリンダヘッド12、シリンダヘッドカバー13よび潤滑用のオイルが貯留されるオイルパン14を備えている。
【0013】
シリンダブロック11には複数の気筒10A(
図2参照)が設けられている。複数の気筒10Aの配列方向を以下、気筒列方向ともいう。本実施例のエンジン1は、4つの気筒10Aを有する4気筒エンジンから構成されているが、4気筒エンジンに限定されるものではない。
【0014】
気筒10Aには図示しないピストンが収納されており、ピストンは、気筒に対して上下方向に往復運動する。ピストンは、図示しないコネクティングロッドを介してクランク軸11A(
図1参照)に連結されており、ピストンの往復運動は、コネクティングロッドを介してクランク軸11Aの回転運動に変換される。
【0015】
図3において、シリンダブロック11およびシリンダヘッド12の気筒列方向の右端部にはチェーンケース15が締結されている。チェーンケース15は、シリンダブロック11およびシリンダヘッド12の右端部に配置された図示しないタイミングチェーンを覆っている。
【0016】
ここで、エンジン1の気筒列方向は、左右方向、すなわち車幅方向となっている。したがって、エンジン1は、図示しない車両にいわゆる横置きで配置されている。
【0017】
図2において、シリンダヘッド12には、複数の気筒10Aにそれぞれ連通する複数の吸気ポート61、62、63、64が設けられている。複数の吸気ポート61、62、63、64は、気筒列方向に並んで配列されている。また、シリンダヘッド12には、いずれも図示しない吸気バルブ、複数の排気ポートおよび排気ポートを開閉する複数の排気バルブなどが設けられている。
【0018】
シリンダヘッド12の後面には吸気マニホールド40が設けられており、吸気マニホールド40は、吸入空気を、吸気ポート61、62、63、64を通して各気筒10Aに導入する。
【0019】
シリンダヘッド12の内部には図示しない排気マニホールドが形成されている。排気マニホールドは、各気筒10Aに連通される図示しない複数の排気ポートを有し、気筒10Aから排出される排気(排出ガスまたは排気ガスともいう)を集合する。つまり、シリンダヘッド12の内部には、排気ポートと一体型の排気マニホールドが形成されている。
【0020】
排気マニホールドは、図示しない共通の集合排気出口を有する。集合排気出口は、気筒列方向の中央部においてシリンダヘッド12の前面に開口している。
【0021】
気筒10Aから排出される排気は、排気マニホールドで集合された後、集合排気出口からシリンダヘッド12の外部に排出される。
【0022】
図1、
図2において、シリンダヘッド12の前面側には、ターボ過給機20が設けられており、ターボ過給機20の排気経路の上流端は
集合排気出口に連結されている。ターボ過給機20は、
集合排気出口から導入した排気ガスのエネルギーを利用して吸気を圧縮する。ターボ過給機20で圧縮された空気は吸気マニホールド40に導入される。
【0023】
ターボ過給機20の左方には排気浄化装置25が配置されており、排気浄化装置25は、エンジン本体10の前面側の左端部において上下方向に延びている。
【0024】
排気浄化装置25の上端の排気入口部25Aには、ターボ過給機20の排気経路の下流端が連結されている。
【0025】
排気浄化装置25の内部には図示しない三元触媒およびパティキュレートフィルタが収容されている。三元触媒は、排気中に含まれるHC、CO、NOxを酸化還元反応により同時に浄化処理する。
【0026】
パティキュレートフィルタは、三元触媒の下流側に設置されており、排気中の粒子状物質であるPM(パティキュレートマター)として、黒鉛、燃料の燃え残り(SOF:可燃性有機成分)、エンジンオイルの燃え滓(オイルアッシュ)などを捕集する。
【0027】
排気浄化装置25の下端の排気出口部25Bには図示しない排気管が連結されている。ターボ過給機20を通過した排気は、排気浄化装置25において浄化され、排気管を介して車外に放出される。
【0028】
排気浄化装置25の排気入口部25Aは、ターボ過給機20の側に開口しており、ターボ過給機20に接続されている。
【0029】
図4、
図5、
図7において、吸気マニホールド40は、気筒列方向に延びるサージタンク45と、サージタンク45と複数の吸気ポート61、62、63、64とを気筒列方向の配列順に連絡する複数の分岐管41、42、43、44と、を有している。
【0030】
複数の分岐管41、42、43、44は、上向きの凸形状に湾曲してサージタンク45からシリンダヘッド12に向かう形状となっており、その下流端がシリンダヘッド12の後面の各吸気ポート61、62、63、64に連結されている。
【0031】
図1、
図3、
図8において、エンジン1は、吸気マニホールド40のサージタンク45に流入する空気の量を調整する吸気部品としてのスロットルボディ23を有している。スロットルボディ23は、サージタンク45の左端部に位置する上流端45A(
図5参照)に連結されている。スロットルボディ23は、その内部を空気が気筒列方向に通過する姿勢で、サージタンク45に連結されている。このため、スロットルボディ23を通過した空気は、サージタンク45内で気筒列方向に流れる。サージタンク45の右端部は、気筒列方向に流れる排気ガスの下流側の端部であり、下流端45B(
図5参照)を構成している。
【0032】
図1において、エンジン1は、排気還流管21と、シリンダヘッド12内に形成された排気還流通路12Aと、接続管22と、EGRクーラ24と、を備えている。
【0033】
排気還流管21は、排気浄化装置25の左側の側面に沿って上下方向に延びている。排気還流管21は、排気浄化装置25の排気出口部25Bと排気還流通路12Aとを接続しており、排気浄化装置25で浄化された排気を排気還流通路12Aに導入する。
【0034】
接続管22は、シリンダヘッド12の後面の左端部近傍に配置されており、排気還流通路12AとEGRクーラ24とを接続している。
【0035】
排気還流通路12Aは、シリンダヘッド12の左側面の内部で前後方向に延びており、シリンダヘッド12の前面側で排気還流管21から導入された排気を、シリンダヘッド12の後面側の接続管22に導入する。
【0036】
図2、
図3、
図8において、EGRクーラ24は、気筒列方向に延びる姿勢で、吸気マニホールド40の上方に配置されている。EGRクーラ24は、本体部24Aと、排気ガスを取入れる排気ガス取入部24Bと、排気ガスを排出する排気ガス出口部24Cとを有している。排気ガス取入部24Bは、EGRクーラ24への排気ガスの入口部分を構成する。排気ガス出口部24Cは、EGRクーラ24からの排気ガスの出口部分を構成する。排気ガス取入部24Bには接続管22が連結されている。
【0037】
EGRクーラ24の本体部24Aには、冷却水を導入する冷却水導入管24Dと、冷却水を排出する冷却水排出管24Eが接続されている。本体部24Aは、冷却水との熱交換により排気ガスを冷却する。
【0038】
EGRクーラ24の右端部の排気ガス出口部24CにはEGRバルブ26が連結されており、このEGRバルブ26は、EGRクーラ24を通過する排気ガスの量を調節する。
【0039】
図3において、エンジン1は、EGRバルブ26を通過した排気ガスをサージタンク45に導くEGRパイプ31を備えている。EGRパイプ31は、EGRバルブ26とサージタンク45とを接続しており、EGRバルブ26を通過して流量が調整された排ガスをサージタンク45に導く。
【0040】
ここで、EGRパイプ31の内部には排気ガスが通る図示しない排気ガス通路が形成されている。EGRパイプ31は、排気ガス通路を介して、EGRバルブ26と接続される入口側端部31Aから取入れた排気ガスを、サージタンク45と接続される出口側端部31Bに導くようになっている。EGRパイプ31は、出口側端部31Bの下面で、サージタンク45の内部空間と連通している。
【0041】
図2、
図5において、サージタンク45の上流端45Aは、複数の吸気ポート61、62、63、64のうち気筒列方向における端部に位置する吸気ポート64の側方(後方)に配置されている。吸気ポート64は本発明における外側吸気ポートを構成している。
【0042】
サージタンク45の下流端45Bは、複数の吸気ポート61、62、63、64のうち気筒列方向における中央部に位置する吸気ポート63の側方(後方)に配置されている。吸気ポート63は本発明における内側吸気ポートを構成している。
【0043】
図3、
図5において、分岐管41、42は、サージタンク45側の端部であるその上流端に対して、シリンダヘッド12側の端部であるその下流端が気筒列方向でスロットルボディ23と反対側にオフセットするように湾曲している。分岐管41、42は本発明における湾曲分岐管を構成している。
【0044】
このように、複数の分岐管41、42、43、44は、湾曲分岐管としての分岐管41、42を少なくとも1つ含んでいる。EGRクーラ24は、吸気マニホールド40における気筒列方向で分岐管42よりスロットルボディ23側の箇所に固定されている。
【0045】
EGRバルブ26は、湾曲分岐管の1つである分岐管42の上方に配置され、かつ、EGRパイプ31の上部に固定されている。EGRパイプ31は、分岐管42の上面に沿ってサージタンク45の上面に延び、分岐管42およびサージタンク45の上面に一体的に連結されている。
【0046】
図3、
図5、
図8において、EGRバルブ26は、EGRパイプ31と連結するEGRバルブ側フランジ部26Aを有している。一方、EGRパイプ31の上端には、上方に延びてEGRバルブ側フランジ部26Aと連結するEGRパイプ側フランジ部31Cが設けられている。EGRバルブ側フランジ部26Aは、EGRパイプ側フランジ部31Cに対して、ボルト37(
図8参照)の締結によって固定されている。なお、分岐管42には分岐管側フランジ部42A(
図5参照)が形成されており、この分岐管側フランジ部42Aは、EGRパイプ側フランジ部31Cと一体的に連結される。
【0047】
図4、
図5において、吸気マニホールド40は、サージタンク45をスロットルボディ23に連結する入口側フランジ部47を有している。また、吸気マニホールド40は、複数の分岐管41、42、43、44を複数の吸気ポート61、62、63、64に連結する出口側フランジ部48を有している。出口側フランジ部48は本発明におけるフランジ部を構成する。
【0048】
ここで、吸気マニホールド40は、
図4に示すように、その上面側の部位を構成する上側部材40Aと、その下面側の部位を構成する下側部材40Bとを一体化して構成されている。詳しくは、サージタンク45の下面側の部位、分岐管41、42、43、44の下面側の部位、入口側フランジ部47および出口側フランジ部48は、下側部材40Bから構成されている。また、サージタンク45の上面側の部位および分岐管41、42、43、44の上面側の部位は、上側部材40Aから構成されている。
【0049】
それぞれの分岐管41、42、43、44には、その上面と出口側フランジ部48とを連結する連結リブ46が形成されている。この連結リブ46を介してEGRパイプ31は出口側フランジ部48に連結されている。
【0050】
図2、
図3、
図6において、吸気マニホールド40とその上方のEGRクーラ24の間には、ブラケット35が配置されている。ブラケット35は、吸気マニホールド40の上面の湾曲形状に沿うように、平板状の金属等を曲げ加工したものからなる。
【0051】
ブラケット35の中央の連結部35A(
図6参照)には、2つのボルト37の締結によってEGRクーラ24が固定されている。なお、EGRクーラ24の下面にはEGRブラケット36(
図2参照)が固定されており、EGRクーラ24は、このEGRブラケット36を介してブラケット35の連結部35Aに固定される。
【0052】
図6において、ブラケット35は、連結部35Aから後方に延びる連結部35Cを有しており、連結部35Cは、
1つのボルト37の締結によってサージタンク45の上面に固定される。連結部35Cは本発明におけるサージタンク側連結部を構成している。サージタンク45の上面には、ボルト37を受けるボス部40C(
図5参照)が形成されている。ボス部40Cは、サージタンク45の前端側であって、気筒列方向で分岐管43と分岐管44の間の部位に配置されている。
【0053】
ブラケット35は、連結部35Aから前方に延びる連結部35Bを有しており、連結部35Bは、2つのボルト37の締結によって、シリンダヘッド12の後面側の上端部に形成されたボス部12B、12Cに固定される。連結部35Bは本発明におけるシリンダヘッド側連結部を構成している。
【0054】
ブラケット35は、連結部35Aから右方に延びる連結部35Dを有しており、連結部35Dの上部には図示しない他の部材が固定される。
【0055】
このように、EGRクーラ24は、ブラケット35を介してサージタンク45に固定されており、ブラケット35は、サージタンク45とシリンダヘッド12とを連結している。
【0056】
連結部35Bは、気筒列方向でサージタンク45の下流端45Bの近傍に配置され、連結部35Cは、気筒列方向でサージタンク45の上流端45Aの近傍に配置されている。
【0057】
また、ブラケット35は、排気ガス取入部24Bの下方へ延びる延長部35Eを有している。言い換えると、ブラケット35の延長部35Eは、排気ガス取入部24Bと分岐管44の間に配置されている。
【0058】
図2、
図6において、EGRクーラ24は、排気ガス取入部24Bが分岐管44の上方に位置するよう気筒列方向に位置決めされている。
【0059】
本実施例のエンジン1によれば、複数の分岐管41、42、43、44は、その上流端に対してその下流端が気筒列方向でスロットルボディ23と反対側にオフセットするように湾曲する湾曲分岐管としての分岐管42を含んでいる。また、EGRクーラ24は、吸気マニホールド40における気筒列方向で分岐管42よりスロットルボディ23側の箇所に固定されている。
【0060】
また、EGRバルブ26は、分岐管42の上方に配置され、かつ、EGRパイプ31の上部に固定されている。そして、EGRパイプ31は、分岐管42の上面に沿ってサージタンク45の上面に延び、分岐管42およびサージタンク45の上面に一体的に連結されている。
【0061】
このように、吸気マニホールド40は、サージタンク45の上流端45Aにスロットルボディ23が連結されており、サージタンク45の上流端45Aは、複数の吸気ポート61、62、63、64のうち気筒列方向の端部に配置される吸気ポート64の側へオフセットしている。
【0062】
このため、分岐管42は、上流端に対しその下流端が気筒列方向でスロットルボディ23と反対側にオフセットした形状となる。また、分岐管42は分岐管43、44より長さが長く、剛性が低いため、エンジン1の振動によって振動し易い。
【0063】
そこで、本実施例では、EGRクーラ24は、シリンダヘッド12またはサージタンク45の少なくとも一方に固定され、かつ、EGRバルブ26とEGRパイプ31を介して分岐管42に固定されるようにしている。
【0064】
このため、分岐管42のサージタンク45側の上流部は、EGRパイプ31の上流部と、EGRバルブ26と、EGRクーラ24とを介して、サージタンク45における気筒列方向で分岐管42よりスロットルボディ23側の箇所に連結されることになるので、分岐管42の振動を抑制できる。
【0065】
また、EGRパイプ31は、上方に突状に湾曲する分岐管42の上部からサージタンク45の上部に延び、分岐管42およびサージタンク45と一体的に連結されているため、サージタンク45に対する分岐管42の結合剛性を向上させることができるので、分岐管42の振動を抑制できる。
【0066】
この結果、吸気マニホールド40の上流側に取付けられた吸気部品としてのスロットルボディ23がEGRクーラ24の排気ガス取入部24Bの近傍に配置されている場合であっても、吸気マニホールド40およびEGRクーラ24の支持剛性を向上させることができる
【0067】
本実施例のエンジン1によれば、EGRバルブ26は、EGRパイプ31と連結するEGRバルブ側フランジ部26Aを有し、EGRパイプ31の上端には、上方に延びてEGRバルブ側フランジ部26Aと連結するEGRパイプ側フランジ部31Cが設けられている。
【0068】
これにより、断面積の大きいEGRパイプ側フランジ部31Cを分岐管42に連結することによって、吸気マニホールド40の剛性を向上させることができる。
【0069】
また、EGRパイプ側フランジ部31Cに、断面積の大きいEGRバルブ側フランジ部26Aが取り付けられているため、EGRバルブ26を、吸気マニホールド40における剛性を向上させた部位に強固に取り付けて支持することができる。
【0070】
この結果、吸気マニホールド40の支持剛性を向上させることができる。
【0071】
本実施例のエンジン1によれば、吸気マニホールド40は、複数の分岐管41、42、43、44を複数の吸気ポート61、62、63、64に連結する出口側フランジ部48を有し、分岐管42の上面と出口側フランジ部48とを連結する連結リブ46が分岐管42に形成されている。また、EGRパイプ31は、連結リブ46を介して出口側フランジ部48に連結されている。
【0072】
これにより、連結リブ46を介してEGRパイプ31と出口側フランジ部48とを連結しているので、EGRパイプ31の剛性を高めることができ、吸気マニホールド40の支持剛性を高めることができる。
【0073】
本実施例のエンジン1によれば、EGRクーラ24は、ブラケット35を介してサージタンク45に固定され、ブラケット35は、サージタンク45とシリンダヘッド12とを連結している。
【0074】
これにより、ブラケット35は、剛性の高いシリンダヘッド12とサージタンク45とを連結し、かつ、EGRクーラ24をサージタンク45に取り付けているので、EGRクーラ24は、サージタンク45だけでなくシリンダヘッド12にも取り付けられることになり、EGRクーラ24の支持剛性を向上させることができる。
【0075】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0076】
1...エンジン(車両用エンジン)、12...シリンダヘッド、23...スロットルボディ(吸気部品)、24...EGRクーラ、26...EGRバルブ、26A...EGRバルブ側フランジ部、31...EGRパイプ、31C...EGRパイプ側フランジ部、35...ブラケット、40...吸気マニホールド、41,42,43,44...分岐管、45...サージタンク、46...連結リブ、48...出口側フランジ部(フランジ部)、61,62,63,64...吸気ポート、63...内側吸気ポート、64...外側吸気ポート