(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】車両用エンジン
(51)【国際特許分類】
F02M 35/10 20060101AFI20221220BHJP
F02M 26/30 20160101ALI20221220BHJP
F02M 26/06 20160101ALI20221220BHJP
F02M 26/32 20160101ALI20221220BHJP
F02M 35/104 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F02M35/10 101D
F02M35/10 301P
F02M26/30
F02M26/06 311
F02M26/32
F02M26/06 331
F02M35/104 S
(21)【出願番号】P 2019086230
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 拓也
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-190416(JP,A)
【文献】特開2019-044644(JP,A)
【文献】特開2013-155666(JP,A)
【文献】特開2018-184871(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0274497(US,A1)
【文献】中国実用新案第206448889(CN,U)
【文献】特開2018-123779(JP,A)
【文献】特開平11ー229981(JP,A)
【文献】特開2010-285916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10
F02M 26/30
F02M 26/06
F02M 26/32
F02M 35/104
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気筒列方向に並んで配列された複数の吸気ポートを有するシリンダヘッドと、
前記気筒列方向に延びるサージタンクと、前記サージタンクと複数の前記吸気ポートとを前記気筒列方向の配列順に連絡する複数の分岐管と、を有する吸気マニホールドと、
前記吸気マニホールドの上方に配置され前記気筒列方向に排気ガスが通過するEGRクーラと、を備えた車両用エンジンであって、
前記吸気マニホールドを前記気筒列方向から見た場合、前記吸気マニホールドの上面は、その最上部が上下方向で前記シリンダヘッドの上端付近に位置するように湾曲する上向きの凸形状に形成され、
前記最上部よりも前記サージタンク側の前記吸気マニホールドの上面は、前記最上部から斜め下側へ延びる傾斜面に形成され、
前記シリンダヘッドの上端と前記傾斜面とがブラケットにより連結され、
前記ブラケットの上側に前記EGRクーラが固定されていることを特徴とする車両用エンジン。
【請求項2】
前記サージタンクの上流端が、複数の前記吸気ポートのうち前記気筒列方向における端部に位置する外側吸気ポートの側方に配置され、
前記サージタンクの下流端が、複数の前記吸気ポートのうち前記気筒列方向における中央部に位置する内側吸気ポートの側方に配置され、
前記サージタンクに流入する空気の量を調整する吸気部品が、前記サージタンクの上流端に連結され、
前記ブラケットは、前記シリンダヘッドに連結されるシリンダヘッド側連結部と、前記サージタンクに連結されるサージタンク側連結部と、を有し、
前記シリンダヘッド側連結部は、前記気筒列方向で前記サージタンクの下流端の近傍に配置され、
前記サージタンク側連結部は、前記気筒列方向で前記サージタンクの上流端の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用エンジン。
【請求項3】
前記EGRクーラは、前記気筒列方向に延び、前記気筒列方向の端部に排気ガスを取り入れる排気ガス取入部を有し、前記排気ガス取入部が前記外側吸気ポートに連結される前記分岐管の上方に位置するよう前記気筒列方向に位置決めされ、
前記ブラケットは、前記排気ガス取入部の下方へ延びる延長部を有することを特徴とする請求項2に記載の車両用エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用エンジンとして、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の車両用エンジンにおいて、吸気マニホールドの上部にEGRクーラが取付けられている。EGRクーラにはEGRパイプが連結されており、EGRパイプには冷媒を循環させる冷却ハウジングが一体で設けられている。また、EGRクーラはEGRパイプによってシリンダヘッドに連結されており、この連結によってシリンダヘッドによるEGRクーラおよび吸気マニホールドの支持剛性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術にあっては、EGRクーラおよびEGRパイプが、シリンダヘッドに連結される吸気マニホールドの下流部に配置されており、吸気マニホールドの下流部とシリンダヘッドとがEGRパイプによって連結される構造であるため、シリンダヘッドから離れた吸気マニホールドの上流部の振動を抑制することができなかった。したがって、特許文献1に記載の技術は、吸気マニホールドおよびEGRクーラの振動を低減することができなかった。
【0005】
本発明は、上記のような事情に着目してなされたものであり、吸気マニホールドおよびEGRクーラの振動を低減することができる車両用エンジンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、気筒列方向に並んで配列された複数の吸気ポートを有するシリンダヘッドと、前記気筒列方向に延びるサージタンクと、前記サージタンクと複数の前記吸気ポートとを前記気筒列方向の配列順に連絡する複数の分岐管と、を有する吸気マニホールドと、前記吸気マニホールドの上方に配置され前記気筒列方向に排気ガスが通過するEGRクーラと、を備えた車両用エンジンであって、前記吸気マニホールドを気筒列方向から見た場合、前記吸気マニホールドの上面は、その最上部が上下方向で前記シリンダヘッドの上端付近に位置するように湾曲する上向きの凸形状に形成され、前記最上部よりも前記サージタンク側の前記吸気マニホールドの上面は、前記最上部から斜め下側へ延びる傾斜面に形成され、前記シリンダヘッドの上端と前記傾斜面とがブラケットにより連結され、前記ブラケットの上側に前記EGRクーラが固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように上記の本発明によれば、吸気マニホールドおよびEGRクーラの振動を低減することができる車両用エンジンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの左側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの上部の背面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの吸気マニホールドの左側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの吸気マニホールドの背面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの吸気マニホールドおよびブラケットの背面図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの吸気マニホールドの斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの吸気マニホールド、EGRクーラおよびブラケットの斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンの上部の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る車両用エンジンは、気筒列方向に並んで配列された複数の吸気ポートを有するシリンダヘッドと、気筒列方向に延びるサージタンクと、サージタンクと複数の吸気ポートとを気筒列方向の配列順に連絡する複数の分岐管と、を有する吸気マニホールドと、吸気マニホールドの上方に配置され気筒列方向に排気ガスが通過するEGRクーラと、を備えた車両用エンジンであって、吸気マニホールドを気筒列方向から見た場合、吸気マニホールドの上面は、その最上部が上下方向でシリンダヘッドの上端付近に位置するように湾曲する上向きの凸形状に形成され、最上部よりもサージタンク側の吸気マニホールドの上面は、最上部から斜め下側へ延びる傾斜面に形成され、シリンダヘッドの上端と傾斜面とがブラケットにより連結され、ブラケットの上側にEGRクーラが固定されていることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る車両用エンジンは、吸気マニホールドおよびEGRクーラの振動を低減することができる。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の一実施例に係る車両用エンジンについて、図面を用いて説明する。
図1から
図9は、本発明の一実施例に係る車両用エンジンを示す図である。
図1から
図9において、上下前後左右方向は、車両に設置された状態の車両用エンジンの上下前後左右方向とし、前後方向に対して直交する方向が左右方向、車両用エンジンの高さ方向が上下方向である。
【0011】
まず、構成を説明する。
図1において、車両用エンジンとしてのエンジン1は、エンジン本体10と、このエンジン本体10に艤装される後述する艤装部品とから構成されている。エンジン本体10は、シリンダブロック11、シリンダヘッド12、シリンダヘッドカバー13よび潤滑用のオイルが貯留されるオイルパン14を備えている。
【0012】
シリンダブロック11には複数の気筒10A(
図2参照)が設けられている。複数の気筒10Aの配列方向を以下、気筒列方向ともいう。本実施例のエンジン1は、4つの気筒10Aを有する4気筒エンジンから構成されているが、4気筒エンジンに限定されるものではない。
【0013】
気筒10Aには図示しないピストンが収納されており、ピストンは、気筒に対して上下方向に往復運動する。ピストンは、図示しないコネクティングロッドを介してクランク軸11A(
図1参照)に連結されており、ピストンの往復運動は、コネクティングロッドを介してクランク軸11Aの回転運動に変換される。
【0014】
図3において、シリンダブロック11およびシリンダヘッド12の気筒列方向の右端部にはチェーンケース15が締結されている。チェーンケース15は、シリンダブロック11およびシリンダヘッド12の右端部に配置された図示しないタイミングチェーンを覆っている。
【0015】
ここで、エンジン1の気筒列方向は、左右方向、すなわち車幅方向となっている。したがって、エンジン1は、図示しない車両にいわゆる横置きで配置されている。
【0016】
図2において、シリンダヘッド12には、複数の気筒10Aにそれぞれ連通する複数の吸気ポート61、62、63、64が設けられている。複数の吸気ポート61、62、63、64は、気筒列方向に並んで配列されている。
また、シリンダヘッド12には、いずれも図示しない吸気バルブ、複数の排気ポートおよび排気ポートを開閉する複数の排気バルブなどが設けられている。
【0017】
シリンダヘッド12の後面には吸気マニホールド40が設けられており、吸気マニホールド40は、吸入空気を、吸気ポート61、62、63、64を通して各気筒10Aに導入する。
【0018】
シリンダヘッド12の内部には図示しない排気マニホールドが形成されている。排気マニホールドは、各気筒10Aに連通される図示しない複数の排気ポートを有し、気筒10Aから排出される排気(排出ガスまたは排気ガスともいう)を集合する。つまり、シリンダヘッド12の内部には、排気ポートと一体型の排気マニホールドが形成されている。
【0019】
排気マニホールドは、図示しない共通の集合排気出口を有する。集合排気出口は、気筒列方向の中央部においてシリンダヘッド12の前面に開口している。
【0020】
気筒10Aから排出される排気は、排気マニホールドで集合された後、集合排気出口からシリンダヘッド12の外部に排出される。
【0021】
図1、
図2において、シリンダヘッド12の前面側には、ターボ過給機20が設けられており、ターボ過給機20の排気経路の上流端は排気集合出口に連結されている。ターボ過給機20は、排気集合出口から導入した排気ガスのエネルギーを利用して吸気を圧縮する。ターボ過給機20で圧縮された空気は吸気マニホールド40に導入される。
【0022】
ターボ過給機20の左方には排気浄化装置25が配置されており、排気浄化装置25は、エンジン本体10の前面側の左端部において上下方向に延びている。
【0023】
排気浄化装置25の上端の排気入口部25Aには、ターボ過給機20の排気経路の下流端が連結されている。
【0024】
排気浄化装置25の内部には図示しない三元触媒およびパティキュレートフィルタが収容されている。三元触媒は、排気中に含まれるHC、CO、NOxを酸化還元反応により同時に浄化処理する。
【0025】
パティキュレートフィルタは、三元触媒の下流側に設置されており、排気中の粒子状物質であるPM(パティキュレートマター)として、黒鉛、燃料の燃え残り(SOF:可燃性有機成分)、エンジンオイルの燃え滓(オイルアッシュ)などを捕集する。
【0026】
排気浄化装置25の下端の排気出口部25Bには図示しない排気管が連結されている。ターボ過給機20を通過した排気は、排気浄化装置25において浄化され、排気管を介して車外に放出される。
【0027】
排気浄化装置25の排気入口部25Aは、ターボ過給機20の側に開口しており、ターボ過給機20に接続されている。
【0028】
図4、
図5、
図7において、吸気マニホールド40は、気筒列方向に延びるサージタンク45と、サージタンク45と複数の吸気ポート61、62、63、64とを気筒列方向の配列順に連絡する複数の分岐管41、42、43、44と、を有している。
【0029】
複数の分岐管41、42、43、44は、上向きの凸形状に湾曲してサージタンク45からシリンダヘッド12に向かう形状となっており、その下流端がシリンダヘッド12の後面の各吸気ポート61、62、63、64に連結されている。
【0030】
図1、
図3、
図8において、エンジン1は、吸気マニホールド40のサージタンク45に流入する空気の量を調整する吸気部品としてのスロットルボディ23を有している。スロットルボディ23は、サージタンク45の左端部に位置する上流端45A(
図5参照)に連結されている。スロットルボディ23は、その内部を空気が気筒列方向に通過する姿勢で、サージタンク45に連結されている。このため、スロットルボディ23を通過した空気は、サージタンク45内で気筒列方向に流れる。サージタンク45の右端部は、気筒列方向に流れる排気ガスの下流側の端部であり、下流端45B(
図5参照)を構成している。
【0031】
図1において、エンジン1は、排気還流管21と、シリンダヘッド12内に形成された排気還流通路12Aと、接続管22と、EGRクーラ24と、を備えている。
【0032】
排気還流管21は、排気浄化装置25の左側の側面に沿って上下方向に延びている。排気還流管21は、排気浄化装置25の排気出口部25Bと排気還流通路12Aとを接続しており、排気浄化装置25で浄化された排気を排気還流通路12Aに導入する。
【0033】
接続管22は、シリンダヘッド12の後面の左端部近傍に配置されており、排気還流通路12AとEGRクーラ24とを接続している。
【0034】
排気還流通路12Aは、シリンダヘッド12の左側面の内部で前後方向に延びており、シリンダヘッド12の前面側で排気還流管21から導入された排気を、シリンダヘッド12の後面側の接続管22に導入する。
【0035】
図2、
図3、
図8において、EGRクーラ24は、気筒列方向に延びる姿勢で、吸気マニホールド40の上方に配置されている。EGRクーラ24は、本体部24Aと、排気ガスを取入れる排気ガス取入部24Bと、排気ガスを排出する排気ガス出口部24Cとを有している。排気ガス取入部24Bは、EGRクーラ24への排気ガスの入口部分を構成する。排気ガス出口部24Cは、EGRクーラ24からの排気ガスの出口部分を構成する。排気ガス取入部24Bには接続管22が連結されている。
【0036】
EGRクーラ24の本体部24Aには、冷却水を導入する冷却水導入管24Dと、冷却水を排出する冷却水排出管24Eが接続されている。本体部24Aは、冷却水との熱交換により排気ガスを冷却する。
【0037】
EGRクーラ24の右端部の排気ガス出口部24CにはEGRバルブ26が連結されており、このEGRバルブ26は、EGRクーラ24を通過する排気ガスの量を調節する。
【0038】
図3において、エンジン1は、EGRバルブ26を通過した排気ガスをサージタンク45に導くEGRパイプ31を備えている。EGRパイプ31は、EGRバルブ26とサージタンク45とを接続しており、EGRバルブ26を通過して流量が調整された排ガスをサージタンク45に導く。
【0039】
ここで、EGRパイプ31の内部には排気ガスが通る図示しない排気ガス通路が形成されている。EGRパイプ31は、排気ガス通路を介して、EGRバルブ26と接続される入口側端部31Aから取入れた排気ガスを、サージタンク45と接続される出口側端部31Bに導くようになっている。EGRパイプ31は、出口側端部31Bの下面で、サージタンク45の内部空間と連通している。
【0040】
図2、
図5において、サージタンク45の上流端45Aは、複数の吸気ポート61、62、63、64のうち気筒列方向における端部に位置する吸気ポート64の側方(後方)に配置されている。吸気ポート64は本発明における外側吸気ポートを構成している。
【0041】
サージタンク45の下流端45Bは、複数の吸気ポート61、62、63、64のうち気筒列方向における中央部に位置する吸気ポート63の側方(後方)に配置されている。吸気ポート63は本発明における内側吸気ポートを構成している。
【0042】
図3、
図5において、分岐管41、42は、サージタンク45側の端部であるその上流端に対して、シリンダヘッド12側の端部であるその下流端が気筒列方向でスロットルボディ23と反対側にオフセットするように湾曲している。分岐管41、42は本発明における湾曲分岐管を構成している。
【0043】
このように、複数の分岐管41、42、43、44は、湾曲分岐管としての分岐管41、42を少なくとも1つ含んでいる。EGRクーラ24は、吸気マニホールド40における気筒列方向で分岐管42よりスロットルボディ23側の箇所に固定されている。
【0044】
EGRバルブ26は、湾曲分岐管の1つである分岐管42の上方に配置され、かつ、EGRパイプ31の上部に固定されている。EGRパイプ31は、分岐管42の上面に沿ってサージタンク45の上面に延び、分岐管42およびサージタンク45の上面に一体的に連結されている。
【0045】
図3、
図5、
図8において、EGRバルブ26は、EGRパイプ31と連結するEGRバルブ側フランジ部26Aを有している。一方、EGRパイプ31の上端には、上方に延びてEGRバルブ側フランジ部26Aと連結するEGRパイプ側フランジ部31Cが設けられている。EGRバルブ側フランジ部26Aは、EGRパイプ側フランジ部31Cに対して、ボルト37(
図8参照)の締結によって固定されている。なお、分岐管42には分岐管側フランジ部42A(
図5参照)が形成されており、この分岐管側フランジ部42Aは、EGRパイプ側フランジ部31Cと一体的に連結される。
【0046】
図4、
図5において、吸気マニホールド40は、サージタンク45をスロットルボディ23に連結する入口側フランジ部47を有している。また、吸気マニホールド40は、複数の分岐管41、42、43、44を複数の吸気ポート61、62、63、64に連結する出口側フランジ部48を有している。
【0047】
ここで、吸気マニホールド40は、
図4に示すように、その上面側の部位を構成する上側部材40Aと、その下面側の部位を構成する下側部材40Bとを一体化して構成されている。詳しくは、サージタンク45の下面側の部位、分岐管41、42、43、44の下面側の部位、入口側フランジ部47および出口側フランジ部48は、下側部材40Bから構成されている。また、サージタンク45の上面側の部位および分岐管41、42、43、44の上面側の部位は、上側部材40Aから構成されている。
【0048】
それぞれの分岐管41、42、43、44には、その上面と出口側フランジ部48とを連結する連結リブ46が形成されている。この連結リブ46を介してEGRパイプ31は出口側フランジ部48に連結されている。
【0049】
図2、
図3、
図6において、吸気マニホールド40とその上方のEGRクーラ24の間には、ブラケット35が配置されている。ブラケット35は、吸気マニホールド40の上面の湾曲形状に沿うように、平板状の金属等を曲げ加工したものからなる。
【0050】
ブラケット35の中央の連結部35A(
図6参照)には、2つのボルト37の締結によってEGRクーラ24が固定されている。なお、EGRクーラ24の下面にはEGRブラケット36(
図2参照)が固定されており、EGRクーラ24は、このEGRブラケット36を介してブラケット35の連結部35Aに固定される。
【0051】
図6において、ブラケット35は、連結部35Aから後方に延びる連結部35Cを有しており、連結部35Cは、2つのボルト37の締結によってサージタンク45の上面に固定される。連結部35Cは本発明におけるサージタンク側連結部を構成している。サージタンク45の上面には、ボルト37を受けるボス部40C(
図5参照)が形成されている。ボス部40Cは、サージタンク45の前端側であって、気筒列方向で分岐管43と分岐管44の間の部位に配置されている。
【0052】
ブラケット35は、連結部35Aから前方に延びる連結部35Bを有しており、連結部35Bは、1つのボルト37の締結によって、シリンダヘッド12の後面側の上端部に形成されたボス部12B、12Cに固定される。連結部35Bは本発明におけるシリンダヘッド側連結部を構成している。
【0053】
ブラケット35は、連結部35Aから右方に延びる連結部35Dを有しており、連結部35Dの上部には図示しない他の部材が固定される。
【0054】
このように、EGRクーラ24は、ブラケット35を介してサージタンク45に固定されており、ブラケット35は、サージタンク45とシリンダヘッド12とを連結している。
【0055】
連結部35Bは、気筒列方向でサージタンク45の下流端45Bの近傍に配置され、連結部35Cは、気筒列方向でサージタンク45の上流端45Aの近傍に配置されている。
【0056】
また、ブラケット35は、排気ガス取入部24Bの下方へ延びる延長部35Eを有している。言い換えると、ブラケット35の延長部35Eは、排気ガス取入部24Bと分岐管44の間に配置されている。
【0057】
図2、
図6において、EGRクーラ24は、排気ガス取入部24Bが分岐管44の上方に位置するよう気筒列方向に位置決めされている。
【0058】
図9において、吸気マニホールド40を気筒列方向から見た場合、吸気マニホールド40の上面は、その最上部40Xが上下方向でシリンダヘッド12の上端12D付近に位置するように湾曲する上向きの凸形状に形成されている。
【0059】
また、吸気マニホールド40の最上部40Xよりもサージタンク45側(後方)の吸気マニホールド40の上面は、最上部40Xから斜め下側へ延びる傾斜面40Yに形成されている。
【0060】
そして、シリンダヘッド12の上端12Dと傾斜面40Yとがブラケット35により連結され、ブラケット35の上側にEGRクーラ24が固定されている。
【0061】
本実施例のエンジン1によれば、吸気マニホールド40を気筒列方向から見た場合、吸気マニホールド40の上面は、その最上部40Xが上下方向でシリンダヘッド12の上端12D付近に位置するように湾曲する上向きの凸形状に形成されている。
【0062】
また、最上部40Xよりもサージタンク45側の吸気マニホールド40の上面は、最上部40Xから斜め下側へ延びる傾斜面40Yに形成されている。そして、シリンダヘッド12の上端12Dと傾斜面40Yとがブラケット35により連結され、ブラケット35の上側にEGRクーラ24が固定されている。
【0063】
このため、ブラケット35によってシリンダヘッド12の上端と吸気マニホールド40の上面とを連結する際、ブラケット35を上下方向に大きく湾曲させる必要がなくなり、ブラケット35の剛性を向上させることができる。
【0064】
また、シリンダヘッド12とサージタンク45の結合剛性を高めることができ、吸気マニホールド40の振動を低減できる。さらに、ブラケット35の上側にEGRクーラ24が固定されるため、EGRクーラ24の振動を低減できる。
【0065】
この結果、吸気マニホールド40およびEGRクーラ24の振動を低減することができる。
【0066】
本実施例のエンジン1によれば、サージタンク45の上流端45Aが、複数の吸気ポート61、62、63、64のうち気筒列方向における端部に位置する吸気ポート64の側方に配置されている。
【0067】
また、サージタンク45の下流端45Bが、複数の吸気ポート61、62、63、64のうち気筒列方向における中央部に位置する吸気ポート63の側方に配置されている。
【0068】
また、サージタンク45に流入する空気の量を調整するスロットルボディ23が、サージタンク45の上流端45Aに連結されている。
【0069】
ブラケット35は、シリンダヘッド12に連結される連結部35Bと、サージタンク45に連結される連結部35Cと、を有している。
【0070】
ブラケット35のシリンダヘッド12側の連結部35Bは、気筒列方向でサージタンク45の下流端45Bの近傍に配置され、サージタンク45側の連結部35Cは、気筒列方向でサージタンク45の上流端45Aの近傍に配置されている。
【0071】
ここで、サージタンク45の上流端45Aには、スロットルボディ23が取り付けられているため、上流端45Aが大きく振動しようとする。
【0072】
そこで、本実施例では、ブラケット35のサージタンク45側の連結部35Cをサージタンク45の上流端45Aの近傍に配置し、上流端45Aをブラケット35で支持したことにより、上流端45Aの振動を抑制できる。
【0073】
また、仮にシリンダヘッド12側の連結部35Bを、サージタンク45側の連結部35Cと同様にサージタンク45の上流端45Aの近傍に配置した場合、吸気マニホールド40をねじるように作用するねじれ振動を抑制できなくなる。
【0074】
そこで、本実施例では、シリンダヘッド12側の連結部35Bを、サージタンク45の下流端45Bの近傍に配置したことにより、吸気マニホールド40に対するねじれ振動を抑制することができる。
【0075】
よって、サージタンク45の上流端45Aが外側吸気ポートとしての吸気ポート64の側方に配置され、下流端45Bが内側吸気ポートとしての吸気ポート63の側方に配置されるように中央部から一方側にオフセットした位置に配置されている場合であっても、ブラケット35の連結位置を上記の配置としたことにより、吸気マニホールド40の振動低減効果を向上させることができる。
【0076】
本実施例のエンジン1によれば、EGRクーラ24は、気筒列方向に延び、その気筒列方向の端部に排気ガスを取り入れる排気ガス取入部24Bを有している。EGRクーラ24は、排気ガス取入部24Bが外側吸気ポート64に連結される分岐管44の上方に位置するよう気筒列方向に位置決めされている。ブラケット35は、排気ガス取入部24Bの下方へ延びる延長部35Eを有する。
【0077】
これにより、排気ガス取入部24Bが外側吸気ポートとしての吸気ポート64に連結される分岐管44の上方に位置するように、EGRクーラ24が位置決めされているため、EGRクーラ24の中心を気筒列方向でシリンダヘッド12側の連結部35Bに近づけることができ、EGRクーラ24の振動を低減できる。
【0078】
また、ブラケット35は、排気ガス取入部24Bの下方へ延びる延長部35Eを有するため、高温になる排気ガス取入部24Bから吸気マニホールド40を遮熱できる。
【0079】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0080】
1...エンジン(車両用エンジン)、12...シリンダヘッド、12D...上端、23...スロットルボディ(吸気部品)、24...EGRクーラ、24B...排気ガス取入部、35...ブラケット、35B...連結部(シリンダヘッド側連結部)、35C...連結部(サージタンク側連結部)、35E...延長部、40...吸気マニホールド、40X...最上部、40Y...傾斜面、41,42,43,44...分岐管、45...サージタンク、45A...上流端、45B...下流端、61,62,63,64...吸気ポート、63...内側吸気ポート、64...外側吸気ポート