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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】焼結煤塵管理方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 1/20 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
C22B1/20 U
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019089378
(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公開番号】P2020186416
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(72)【発明者】
【氏名】矢部 英昭
(72)【発明者】
【氏名】辻 典宏
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-311233(JP,A)
【文献】特開2001-158923(JP,A)
【文献】特開平07-313839(JP,A)
【文献】特開平11-050161(JP,A)
【文献】特開2012-115763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結鉱の製造に使用されている使用炭材を含む焼結原料について、焼結試験によって焼結排ガスに含まれる直径が2.5μm以下である微粒子濃度を測定し、
焼結鉱の製造に使用予定である評価炭材を含む焼結原料について、焼結試験によって焼結排ガスに含まれる直径が2.5μm以下である微粒子濃度を測定し、
前記評価炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度が、前記使用炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度よりも低いとき、前記使用炭材から前記評価炭材への変更によって、実機の焼結機から排出される焼結排ガスの煤塵濃度が減少することを予測することを特徴とする焼結煤塵管理方法。
【請求項2】
前記評価炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度が、前記使用炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度よりも高いとき、前記使用炭材から前記評価炭材への変更によって、前記煤塵濃度が増加することを予測することを特徴とする請求項1に記載の焼結煤塵管理方法。
【請求項3】
前記評価炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度が、前記使用炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度よりも低いとき、前記使用炭材を前記評価炭材に変更可能であることを判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結煤塵管理方法。
【請求項4】
前記評価炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度が、前記使用炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度以上であるとき、前記使用炭材を前記評価炭材に変更しないことを判断することを特徴とする請求項2に記載の焼結煤塵管理方法。
【請求項5】
前記使用炭材及び複数種類の前記評価炭材の微粒子濃度に基づいて、前記煤塵濃度の高低に関する順位をつけ、
前記順位に基づいて、前記使用炭材から前記評価炭材への変更の可否を判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結煤塵管理方法。
【請求項6】
前記煤塵濃度が低いほど、前記順位が高くなるときにおいて、
前記評価炭材の前記順位が前記使用炭材の前記順位よりも高いとき、前記使用炭材を前記評価炭材に変更可能であることを判断することを特徴とする請求項5に記載の焼結煤塵管理方法。
【請求項7】
前記煤塵濃度が低いほど、前記順位が高くなるときにおいて、
前記評価炭材の前記順位が前記使用炭材の前記順位よりも低いとき、前記使用炭材を前記評価炭材に変更しないことを判断することを特徴とする請求項5に記載の焼結煤塵管理方法。
【請求項8】
前記焼結機の操業中に測定した前記煤塵濃度が管理値よりも高いとき、前記使用炭材から前記評価炭材の変更の可否を判断することを特徴とする請求項3から7のいずれか1つに記載の焼結煤塵管理方法。
【請求項9】
前記微粒子濃度は、焼結試験を開始してから終了するまでの間に測定された微粒子濃度の平均値であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の焼結煤塵管理方法。
【請求項10】
記微粒子の直径が1μm以下であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の焼結煤塵管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結機から排出される焼結排ガスの煤塵の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉操業における主な鉄源として、焼結鉱が用いられる。焼結鉱は、鉄鉱石及び石灰石に粉コークス等の炭材を配合し、焼結機において焼成することで製造される。焼結反応には、炭材と吸引された大気との燃焼による熱を利用するため、排ガス(焼結排ガス)が発生する。焼結排ガスは、ダスト濃度、硫黄酸化物(SOx)濃度、窒素酸化物(NOx)濃度、ダイオキシン濃度などの汚染成分濃度が法令や協定によって定められた規制値又は遵守値を満たす処理を行った後に、煙突等から排出される。
【0003】
焼結における環境問題の一つに、焼結排ガス中の煤塵がある。煤塵の排出量を抑制すべく、種々の煤塵低減方法が提案されている。
【0004】
特許文献1には、下方吸引式焼結機の焼結機下部に設けたウインドボックスにおける排ガス温度が所定値以下となるように、焼結燃焼終了点位置を調節することにより、焼結排ガス中の煤塵量を低減する煤塵量低減方法が開示されている。特許文献2には、排ガスのダスト濃度及び硫黄酸化物濃度を所定値以下に調整することによって可視煙の発生を抑制する排ガス処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-50161号公報
【文献】特開2012-115763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した煤塵低減方法に先立って、焼結排ガスの煤塵濃度の増減を確認する方法を確立する必要がある。焼結排ガスの煤塵濃度の増減を確認するためには、実機の焼結機から排出された焼結排ガスの煤塵濃度を測定しなければならない。
【0007】
本発明は、実機の焼結機から排出された焼結排ガスの煤塵濃度を測定することなく、焼結試験によって焼結排ガスの煤塵濃度の変化を予測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明である焼結煤塵管理方法では、焼結鉱の製造に使用されている使用炭材を含む焼結原料について、焼結試験によって焼結排ガスに含まれる直径が2.5μm以下である微粒子濃度を測定する。また、焼結鉱の製造に使用予定である評価炭材を含む焼結原料について、焼結試験によって焼結排ガスに含まれる直径が2.5μm以下である微粒子濃度を測定する。そして、評価炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度が、使用炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度よりも低いとき、使用炭材から評価炭材への変更によって、実機の焼結機から排出される焼結排ガスの煤塵濃度が減少することを予測する。
【0009】
一方、評価炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度が、使用炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度よりも高いとき、使用炭材から評価炭材への変更によって、煤塵濃度が増加することを予測することができる。
【0010】
評価炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度が、使用炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度よりも低いとき、使用炭材を評価炭材に変更可能であることを判断することができる。また、評価炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度が、使用炭材を用いた焼結試験での微粒子濃度以上であるとき、使用炭材を評価炭材に変更しないことを判断することができる。
【0011】
使用炭材及び複数種類の評価炭材の微粒子濃度に基づいて、煤塵濃度の高低に関する順位をつけることができる。この順位に基づいて、使用炭材から評価炭材への変更の可否を判断することができる。具体的には、煤塵濃度が低いほど、順位が高くなるときにおいて、評価炭材の順位が使用炭材の順位よりも高いとき、使用炭材を評価炭材に変更可能であることを判断することができる。また、煤塵濃度が低いほど、順位が高くなるときにおいて、評価炭材の順位が使用炭材の順位よりも低いとき、使用炭材を評価炭材に変更しないことを判断することができる。
【0012】
焼結機の操業中に測定した煤塵濃度が管理値よりも高いとき、使用炭材から評価炭材の変更の可否を判断することができる。微粒子濃度としては、焼結試験を開始してから終了するまでの間に測定された微粒子濃度の平均値を用いることができる。焼結排ガスに含まれる微粒子は、1μm以下の粒径を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、実機で実機焼結原料を使用したときの焼結排ガス中の煤塵濃度と、実機焼結原料に含まれる第1炭材を第2炭材に変更した焼結原料(代替焼結原料)を実機に使用するときの焼結排ガス中の煤塵濃度と、の高低関係を、試験装置によって容易に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る焼結煤塵管理方法を示すフローチャートである。
図2】焼結試験装置の概略図である。
図3】焼結試験装置におけるエアロゾル測定部の概略図である。
図4】第2実施形態において、炭材の順位表を作成する方法を示すフローチャートである。
図5】炭材A,Iをそれぞれ含有する焼結原料の焼結試験において、焼成の経過時間と微粒子濃度との関係を示す図である。
図6】炭材A,Iをそれぞれ含有する焼結原料の焼結試験において、焼結排ガス中の微粒子の粒度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(微粒子の定義)
本実施形態で説明する微粒子とは、後述するエアロゾル測定部で測定される焼結排ガス中の微粒子であって、PM2.5と称される2.5μm以下の直径を有する粒子とする。本発明が対象とする炭材由来の微粒子は、後述するように、実体として1μm以下であったため、直径が1μm以下の粒子としてもよい。
【0016】
(第1実施形態)
図1を参照して、第1実施形態に係る焼結煤塵管理方法について説明する。図1は、第1実施形態に係る焼結煤塵管理方法を示すフローチャートである。なお、以下に説明する炭材は、焼結に用いられる炭材(焼結用炭材)である。
【0017】
<S1:測定工程>
測定工程S1では、実機(焼結機)において焼結鉱の製造に使用されている炭材(以下、使用炭材と称す)を含有する焼結原料(以下、使用焼結原料と称す)を用いて焼結試験を行い(S11)、焼結排ガスに含まれる微粒子の濃度(以下、微粒子濃度と称す)A1を測定する(S12)。また、実機において焼結鉱の製造で使用予定である炭材(以下、評価炭材と称す)を含有する焼結原料(以下、評価焼結原料と称す)を用いて焼結試験を行い(S13)、焼結排ガスの微粒子濃度A2を測定する(S14)。焼結試験(S11,S13)では、同一の試験条件において後述する焼結試験装置が用いられる。
【0018】
ここで、使用炭材及び評価炭材については、基準となる炭材の配合量に対して、固定炭素量が等しくなるように他の炭材の配合量を調整することが好ましく、また、粒度分布も統一させることが好ましい。一方、微粒子濃度A1,A2は、空気などで希釈されていない焼結排ガスの微粒子濃度であってもよいし、空気などで希釈された焼結排ガスの微粒子濃度であってもよい。また、焼結排ガスを空気などで希釈する場合において、希釈倍率は適宜決めることができる。ただし、微粒子濃度A1,A2を測定するときには、焼結排ガスの希釈の条件を同一とする。
【0019】
評価炭材は、使用炭材とは異なる。評価焼結原料は、使用焼結原料に含まれる使用炭材を評価炭材に変更したものである。すなわち、評価焼結原料に含まれる評価炭材以外の原料(鉄鉱石、副原料や返鉱)としては、使用焼結原料に含まれる使用炭材以外の原料(鉄鉱石、副原料や返鉱)を用いる。ここで、使用焼結原料及び評価焼結原料について、炭材以外の原料の種類及び配合量(質量%)は変更していない。
【0020】
<S2:予測工程>
予測工程S2では、測定工程S1において測定された微粒子濃度A1,A2に基づいて、使用焼結原料を実機で使用した場合における焼結排ガスの煤塵濃度T1と、使用炭材を評価炭材に変更した評価焼結原料を実機で使用する場合における焼結排ガスの煤塵濃度T2との高低関係を予測する。焼結排ガスには、炭材に由来する微粒子が含まれており、この微粒子濃度は、焼結排ガスの煤塵濃度に影響を与える。したがって、後述するように微粒子濃度A1,A2を比較することにより、煤塵濃度T1,T2の高低関係を把握することができる。
【0021】
具体的には、微粒子濃度A2が微粒子濃度A1よりも低ければ(S21でYes)、使用炭材を評価炭材に変更することにより、評価焼結原料を実機で使用する場合における煤塵濃度T2が、使用焼結原料を実機で使用した場合における煤塵濃度T1よりも低くなると予測する(S22)。一方、微粒子濃度A2が微粒子濃度A1以上であれば(S21でNo)、使用炭材を評価炭材に変更することにより、評価焼結原料を実機で使用する場合における煤塵濃度T2が、使用焼結原料を実機で使用した場合における煤塵濃度T1以上になると予測する(S23)。
【0022】
<S3:炭材判断工程>
炭材判断工程S3では、予測工程S2における予測結果に基づいて、使用炭材を評価炭材に変更可能であるか否かを判断する。
【0023】
具体的には、予測工程S2において、煤塵濃度T2が煤塵濃度T1よりも低くなると予測した場合、すなわち、微粒子濃度A2が微粒子濃度A1よりも低い場合には、使用炭材から評価炭材に変更可能であると判断する(S31)。一方、煤塵濃度T2が煤塵濃度T1以上であると予測した場合、すなわち、微粒子濃度A2が微粒子濃度A1以上である場合には、使用炭材から評価炭材に変更しないことを判断する(S32)。この場合には、使用炭材を引き続き使用することになる。
【0024】
なお、焼結原料に含まれる炭材としては、1種類の炭材を用いたり、複数種類の炭材を混合して用いたりすることがある。一般的には、焼結原料の炭材として、粉コークスだけを用いたり、粉コークスと他の炭材(無煙炭、チャー)との混合物を用いたりする。
【0025】
粉コークスだけの使用から、粉コークス及び他の炭材の混合物の使用に変更しようとするときには、粉コークスの微粒子濃度A1と評価炭材(他の炭材)の微粒子濃度A2とを比較し、微粒子濃度A1よりも低い微粒子濃度A2を示す評価炭材を、粉コークスの代替物として使用可能であることを判断できる。一方、粉コークス及び他の炭材(無煙炭、チャー)の混合物において、他の炭材を変更しようとするときには、使用炭材の微粒子濃度A1と評価炭材の微粒子濃度A2とを比較し、微粒子濃度A1よりも低い微粒子濃度A2を示す評価炭材を、使用炭材の代替物として使用可能であることを判断できる。ここで、微粒子濃度A1よりも低い微粒子濃度A2を示す評価炭材が複数あるとき、これらの評価炭材のうち、任意の1つの評価炭材を、使用炭材の代替物として決定することができる。
【0026】
本実施形態によれば、焼結試験装置によって測定した微粒子濃度A1,A2の高低関係を把握するだけで、実機における煤塵濃度T1,T2の高低関係を予測することができる。このため、評価焼結原料を実機で使用して煤塵濃度T2を測定する必要が無くなり、煤塵濃度T1,T2の高低関係を容易に予測することができる。そして、煤塵濃度T1,T2の高低関係(すなわち、微粒子濃度A1,A2の高低関係)に基づいて、使用炭材を評価炭材に変更するか否かの判断を行うことができる。
【0027】
<測定工程S1で用いられる焼結試験装置>
図2及び図3を参照して、測定工程S1において使用される焼結試験装置について説明する。図2は、焼結試験装置の概略図である。図3は、焼結試験装置におけるエアロゾル測定部の概略図である。
【0028】
図2を参照して、焼結試験装置100は、焼結鍋1、吸引管3、ブロア5、排出管7、煙突9及びエアロゾル測定部11を備える。焼結鍋1は、焼結原料を焼結する円筒状の容器であり、上端が開放され、下端は図示しない火格子を備える。吸引管3は、焼結時に焼結鍋1から焼結排ガスを吸引する管である。吸引管3の一端は、焼結鍋1の下端に接続される。ブロア5は、吸引管3の他端に接続され、吸引管3に負圧を与える。排出管7は、焼結排ガスをブロア5から煙突9に導く管であり、排出管7の下端がブロア5に接続される。煙突9は、排ガスを排出する筒であり、排出管7の上端に接続される。
【0029】
エアロゾル測定部11は、焼結排ガス中の微粒子濃度を測定する。図3に示すように、エアロゾル測定部11は、導入管13、希釈器15、センサー17、エアロゾルスペクトロメーター19、ドライヤー21、フィルター23、流量計25、吸引ポンプ27を備える。
【0030】
導入管13は、焼結排ガスをエアロゾル測定部11に吸引する配管であり、排出管7内における焼結排ガスの流路に配置される。導入管13は、ブロア5よりも焼結排ガスの流路の下流に設けられることが好ましい。図3では、導入管13が、排出管7内に設けられている。ブロア5よりも焼結排ガス流路の上流に位置する吸引管3に導入管13を設けると、焼結で生じた水分により、導入管13から導入した焼結排ガスが結露しやすくなってしまう。また、ブロア5による負圧の影響を受け、エアロゾル測定部11に導入する焼結排ガスの流量を調整することが難しくなる。したがって、導入管13は、ブロア5よりも焼結排ガスの流路の下流に設けられることが好ましい。
【0031】
希釈器15は、導入管13から一定量導かれた焼結排ガスを空気で希釈して微粒子濃度を下げる。焼結排ガスの微粒子濃度が、エアロゾルスペクトロメーター19の測定限界濃度を超える場合には、希釈器15を用いることが好ましい。希釈器15に供給される空気は、コンプレッサー15Aから供給される。空気がコンプレッサー15Aから希釈器15に移動する間、結露防止のためにドライヤー15Bによって空気中の水分が除去され、レギュレーター15Cによって空気の圧力が調整され、ヒーター15Dによって空気の温度が調整される。また、焼結排ガス中の水分が多い場合には、更なる結露防止のために希釈器15の周囲をヒーターで加熱しても良い。
【0032】
センサー17は、焼結排ガスに含まれる微粒子を検出する。センサー17は、微粒子を含む焼結排ガスが流れる流路内であって、かつ微粒子を検出するための光が通過する光路内に配置されている。エアロゾルスペクトロメーター19は、微粒子濃度を測定する。具体的には、エアロゾルスペクトロメーター19は、焼結排ガスの流路に光を照射し、照射した光が微粒子によって散乱される現象を利用して微粒子濃度を測定する。ドライヤー21は、センサー17を通過した焼結排ガスから水分を除去する。フィルター23は、ドライヤー21を通過した焼結排ガスに含まれる微粒子を捕捉する。流量計25は、フィルター23を通過した焼結排ガスの流量を測定する。吸引ポンプ27は、焼結排ガスを排出管7からエアロゾル測定部11に導入するための吸引力を発生させる。
【0033】
なお、エアロゾル測定部11は、焼結排ガスの微粒子濃度を測定可能な構成であればよく、図3に示す構成に限定されない。
【0034】
焼結試験装置を用いた焼結試験は、例えば以下の手順で行う。
【0035】
使用焼結原料及び評価焼結原料のそれぞれを用いて、焼結試験を行う。焼結試験は、公知の鍋焼結試験と同様の試験方法で行う。焼結試験時に発生した焼結排ガス中の微粒子濃度をエアロゾル測定部11で測定する。
【0036】
微粒子濃度は、連続して測定することが好ましい。これにより、バッチ処理のように、焼結排ガス中の微粒子をフィルター等で捕捉した後に微粒子濃度を測定する処理と比べて、微粒子の捕捉率が高く、微粒子濃度の測定精度を高めることができる。また、焼結の開始から終了までの間における微粒子濃度の経時変化も測定することができる。
【0037】
微粒子濃度は、例えば、焼結排ガスの単位体積当たりの微粒子の個数(個/ml)で表すことができる。微粒子濃度は、焼結中に変動(経時変化)するため、焼結の開始から終了までの間で測定された複数の微粒子濃度を平均した平均値を用いることが好ましい。なお、平均値に限るものではなく、例えば、焼成中の所定のタイミングで測定された微粒子濃度に着目したり、焼成中で最も高い微粒子濃度に着目したりすることもできる。
【0038】
焼結排ガスには、鉄鉱石に由来する微粒子や、炭材に由来する微粒子が含まれるが、炭材に由来する微粒子の粒径(直径)は、鉄鉱石に由来する微粒子の粒径よりも小さくなる傾向があり、この最大粒径は1μm以下となる。
【0039】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る焼結煤塵管理方法について説明する。本実施形態では、使用炭材及び複数種類の評価炭材について、焼結排ガスの煤塵濃度の高低に関する順位をつけるようにしている。図4は、評価炭材の順位表を作成する方法を示すフローチャートである。
【0040】
まず、使用焼結原料を用いて焼結試験を行い(S11)、焼結排ガスの微粒子濃度A1を測定する(S12)。また、互いに異なる評価炭材を含む複数種類の評価焼結原料を用いて焼結試験を行い(S15)、各評価焼結原料について、焼結排ガスの微粒子濃度A2を測定する(S16)。ここで、焼結試験は、上述した焼結試験装置を用いて行う。また、複数の評価焼結原料において、評価炭材以外の原料(焼結鉱、副原料や返鉱)の種類や配合量は変更しない。
【0041】
次に、測定された微粒子濃度A1,A2に基づいて、使用炭材及び複数の評価炭材の順位表を作成する(S4)。ここでいう順位とは、焼結排ガスの煤塵濃度に関する順位である。上述したように、炭材に由来する微粒子濃度は、焼結排ガスの煤塵濃度に影響を与え、微粒子濃度が高いほど、煤塵濃度が高くなる。したがって、微粒子濃度A1,A2が低い順に順位を付けたり、微粒子濃度A1,A2が高い順に順位をつけたりすることにより、順位表を作成することができる。以下、評価炭材の順位の付け方について、具体的に説明する。
【0042】
2つの焼結原料SM1,SM2について微粒子濃度を測定した結果、焼結原料SM1の微粒子濃度がAaであり、焼結原料SM2の微粒子濃度がAbであったとする。ここで、焼結原料SM1,SM2には、使用焼結原料及び評価焼結原料の組み合わせや、2つの評価焼結原料の組み合わせが含まれる。
【0043】
微粒子濃度Aaが微粒子濃度Abよりも低い場合には、焼結原料SM1を実機で使用するときの焼結排ガスの煤塵濃度Taが、焼結原料SM2を実機で使用するときの焼結排ガスの煤塵濃度Tbよりも低くなることを予測できる。この場合には、例えば、焼結原料SM1に含まれる炭材の順位を、焼結原料SM2に含まれる炭材の順位よりも高くする。言い換えれば、焼結原料SM2に含まれる炭材の順位を、焼結原料SM1に含まれる炭材の順位よりも低くする。ここでは、順位が高いほど、焼結排ガスの煤塵濃度が低くなることを意味する。なお、焼結排ガスの煤塵濃度が高いほど、順位を高くするようにしてもよい。
【0044】
上述したように順位をつけることにより、使用炭材及び複数種類の評価炭材に対して、煤塵濃度に応じた順位表を作成することができる。下記表1には、炭材の順位表の一例を示す。
【0045】
【表1】
【0046】
上記表1に示す順位表では、順位が高いほど、順位を示す数字が小さくなり、順位が高いほど、焼結排ガスの煤塵濃度が低いことを意味する。上記表1に示す炭材A~J及び粉コークスについては、いずれか1つの炭材が使用炭材となり、他の炭材が評価炭材となる。上記表1示す微粒子濃度は、後述する実施例で測定された値である。上記表1において、例えば、炭材Dの微粒子濃度(575[個/ml])は、炭材Bの微粒子濃度(37603[個/ml])よりも低いため、炭材Bの順位は炭材Dの順位よりも高くなる。
【0047】
なお、炭材の順位のつけ方は、上述した方法に限るものではない。上述した例(上記表1)では、11種類の炭材について、微粒子濃度が低い順に1~11の順位を付けており、順位の数は炭材の数と同じである。一方、微粒子濃度について、複数の濃度範囲を予め決めておき、濃度範囲毎に順位をつけることができる。以下、具体的に説明する。
【0048】
下記表2には、炭材A~J及び粉コークスについて、微粒子濃度の濃度範囲に応じた順位表(一例)を示す。炭材A~J及び粉コークスは、上記表1に示す炭材A~J及び粉コークスと同じである。
【0049】
【表2】
【0050】
上記表2において、順位「R1」は、微粒子濃度が10000[個/ml]未満であるときの順位であり、順位「R2」は、微粒子濃度が10000[個/ml]以上、20000[個/ml]未満であるときの順位である。順位「R3」は、微粒子濃度が20000[個/ml]以上、30000[個/ml]未満であるときの順位であり、順位「R4」は、微粒子濃度が30000[個/ml]以上、40000[個/ml]未満であるときの順位である。順位「R5」は、微粒子濃度が40000[個/ml]以上であるときの順位である。ここでは、順位R5から順位R1の順で順位が高くなり、順位が高いほど、焼結排ガスの煤塵濃度が低くなることを意味する。
【0051】
上述したように順位R1~R5を決めたとき、微粒子濃度によっては、互いに異なる複数の炭材が同一の順位となることがある。なお、順位R1~R5のそれぞれを規定する微粒子濃度の濃度範囲は、上記表2で説明した濃度範囲に限るものではなく、適宜決めることができる。また、微粒子濃度の濃度範囲が上限値及び下限値によって規定されているとき、上限値及び下限値の差分は、すべての順位において同一であってもよいし、異なっていてもよい。さらに、順位の数も適宜決めることができる。
【0052】
上述したように、使用炭材及び複数種類の評価炭材について順位表を作成しておけば、この順位表は、使用炭材から評価炭材に代えようとするときの判断指標として用いることができる。具体的には、使用炭材の順位と評価炭材の順位とを比較することにより、使用炭材に代えて使用することができる評価炭材を決定することができる。
【0053】
例えば、焼結排ガスの煤塵濃度が低いほど、順位が高くなる順位表(上記表1又は上記表2)においては、使用炭材の順位よりも高い順位を示す評価炭材を、使用炭材の代替物として使用可能であることを判断する。一方、焼結排ガスの煤塵濃度が高いほど、順位が高くなる順位表においては、使用炭材の順位よりも低い順位を示す評価炭材を、使用炭材の代替物として使用可能であることを判断する。
【0054】
上記表1に示す順位表において、例えば、使用炭材が炭材C(微粒子濃度A1が17981[個/ml])であるとき、順位が1~5である炭材D,E,I,J又は粉コークスを、使用炭材の代替物として使用可能であることを判断する。また、上記表2に示す順位表において、例えば、使用炭材が炭材G(微粒子濃度A1が27010[個/ml])であるとき、使用炭材の順位R3よりも高い順位R1,R2を示す評価炭材C~E,I,J又は粉コークスを、使用炭材の代替物として使用可能であることを判断する。
【0055】
使用炭材を変更するタイミングは、適宜決めることができる。例えば、実機の操業において、焼結排ガスの煤塵濃度を測定し、煤塵濃度(測定値)が管理値よりも高いとき、使用炭材を変更することができる。ここで、管理値は、通常、可視煙の発生を抑制する観点から操業目標とする管理値であって、法律などに基づいて予め決められた煤塵濃度の規制値より低く設定されている。
【0056】
使用炭材の代替となる炭材を決めるときには、例えば、煤塵濃度(測定値)の変化や、煤塵濃度(測定値)及び管理値の差分を考慮することができる。煤塵濃度(測定値)の変化を考慮するときには、煤塵濃度(測定値)が一時的に管理値よりも高くなったことを把握できることがある。この場合には、使用炭材の順位よりも高い順位の炭材を用いることが好ましいが、使用炭材に対して順位が高すぎる炭材を用いなくてもよいと判断できることがある。また、煤塵濃度(測定値)及び管理値の差分を考慮するときには、差分が大きいほど、使用炭材の順位に対して、より高い順位を示す炭材を代替物として使用することを判断できる。
【実施例
【0057】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
【0058】
(実施例1)
炭材だけが異なる複数の焼結原料のそれぞれについて焼結試験を行い、焼結排ガスの微粒子濃度を測定した。まず、下記表3に示す各炭材A~Jを含む焼結原料をそれぞれ用意した。下記表3には、各炭材A~J及び粉コークスの工業分析値及び元素分析値を示す。
【0059】
【表3】
【0060】
上記表3において、工業分析値は、JIS M8820の規定に基づいて分析した結果である。元素分析値のC,H,Nは、LECO社製CHN628を用い、JIS M8819の規定に基づいて分析した結果であり、元素分析値のTotal-Sは、JIS M8814の規定に基づいて分析した結果である。
【0061】
下記表4は、焼結原料における各原料成分の配合比率(質量%)を示す。返鉱及び炭材の配合比率(質量%)は、鉄鉱石及び副原料の合計を100質量%としたときの配合比率(外数)である。なお、下記表4に示す炭材の配合比率(質量%)については、配合比率が4.5質量%である粉コークスに対してドライベースでの固定炭素量が等しくなるように、各炭材A~Jの配合量を調整した。
【0062】
【表4】
【0063】
粉コークス及び炭材A~Jは、粉砕及び分級によって、下記表5に示す粒度分布に調整した。炭材の粒度分布が異なると、炭材の種類以外の操業条件を変更する必要があるが、炭材の種類以外の操業条件を同一とするために、粉コークス及び炭材A~Jの粒度分布を統一させた。
【0064】
【表5】
【0065】
上記表5において、「0.25未満」とは、各炭材A~J又は粉コークスの全量に対して、目開きが0.25mmの篩を通過した炭材が占める割合(質量%)を意味する。「0.25以上0.5未満」とは、各炭材A~J又は粉コークスの全量に対して、目開きが0.25mmの篩を通過しないが、目開きが0.5mmの篩を通過する炭材が占める割合(質量%)を意味する。「0.5以上1未満」とは、各炭材A~J又は粉コークスの全量に対して、目開きが0.5mmの篩を通過しないが、目開きが1mmの篩を通過する炭材が占める割合(質量%)を意味する。「1以上3未満」とは、各炭材A~J又は粉コークスの全量に対して、目開きが1mmの篩を通過しないが、目開きが3mmの篩を通過する炭材が占める割合(質量%)を意味する。「3以上5未満」とは、各炭材A~J又は粉コークスの全量に対して、目開きが3mmの篩を通過しないが、目開きが5mmの篩を通過する炭材が占める割合(質量%)を意味する。
【0066】
焼結試験を行う前に、焼結原料を以下の通りに作製した。まず、約70kgの焼結原料を、23rpmで回転する直径1000mmのドラムミキサーに投入し、1分間混合した。混合した焼結原料の総質量に対して7.5質量%の水をドラムミキサー内に添加して、さらに4分間造粒することにより、最終的な焼結原料を作製した。
【0067】
直径が300mmであり、深さが600mmである焼結鍋1(図2参照)に1.5kgの床敷鉱を敷設した。65kgの焼結原料を床敷鉱上に装入して、焼結鍋1内に焼結原料層を形成した。ブロア5を作動させ、焼結鍋1の下方から負圧(1530kPa)で空気を吸引することで、焼結原料層内で上方から下方に向かう空気流を生じさせた。その後、焼結原料層の表面を、点火装置(不図示)のガスバーナーで90秒間加熱することで焼結原料層を点火し、焼成を進行させた。
【0068】
焼成中に、エアロゾル測定部11を用いて、排出管7内の微粒子濃度を逐次測定した(図3参照)。エアロゾル測定部11のエアロゾルスペクトロメーター19としては、PALAS社製のエアロゾルスペクトロメーター(Promo2000)を用いた。また、センサー17としては、PALAS社製のセンサー(2070H)を用いた。
【0069】
微粒子濃度の具体的な測定手順は以下の通りである。
【0070】
まず、吸引ポンプ27で吸引することにより、排出管7内の焼結排ガスをエアロゾル測定部11に取り込んだ。また、コンプレッサー15A、ドライヤー15B、レギュレーター15C及びヒーター15Dを介して110℃に加熱、乾燥された希釈用空気を、希釈器15(DEKATI社製DI-1000)に送り込んだ。希釈器15内において、焼結排ガス及び希釈用空気を混合した後、この混合ガスをセンサー17に導き、光路上に浮遊する微粒子をセンサー17で検出し、微粒子の粒径及び微粒子濃度[個/ml]を測定した。また、希釈器15の外部に設置したマントルヒーターによって希釈器15を120℃に保温した。
【0071】
焼結排ガス及び希釈用空気の混合比率は、体積比で1:7(焼結排ガス:希釈空気、希釈倍率8倍)とした。以下に示す微粒子濃度(測定値)は、希釈用空気で8倍に希釈された焼結排ガスの微粒子濃度であり、焼結の開始から終了までの間に測定された微粒子濃度の平均値である。センサー17に導かれる焼結排ガスの流量は、センサー17の仕様に合わせて5[l/min]とした。
【0072】
下記表6には、各炭材A~J及び粉コークスの微粒子濃度(平均値)と、各炭材A~J及び粉コークスの揮発分と、導入管13と同じ位置から採取した焼結排ガスについて、排ガス中のダスト濃度の測定方法(JIS Z8808)に基づいてダスト濃度を測定した結果を示す。
【0073】
【表6】
【0074】
上記表6から分かるように、微粒子濃度(平均値)、揮発分及びダスト濃度の間には、相関が認められなかった。特に、炭材(チャー)F~Jに関しては、いずれもほぼ同様な揮発分を示すが、微粒子濃度には大きな差があった。また、炭材(チャー)F~Jのうち、微粒子濃度が比較的大きい炭材F,G,Hについては、チャーの製造時に乾留が不十分であったため、いわゆる「生焼け」となり、揮発分の平均値である分析値よりも高い揮発分を有する成分が一部残っていたためと推測される。
【0075】
上記表6によれば、炭材A~Jや粉コークスの揮発分又はダスト濃度に着目しても、焼結排ガスの煤塵濃度は把握しにくい。微粒子濃度は、焼結排ガスの煤塵濃度と直接の因果関係が認められるため、微粒子濃度に着目すれば、焼結排ガスの煤塵濃度を把握しやすくなる。
【0076】
一方、揮発分が同じである炭材A,Iについて、焼成を開始してから終了するまでの間、焼結排ガス(8倍希釈)の微粒子濃度を測定し続けた。この測定結果を図5に示す。図5において、横軸は焼成の経過時間[sec]を示し、縦軸は微粒子濃度[個/ml]を示す。
【0077】
図5に示すように、焼結鍋試験の開始(焼成開始)と共に微粒子濃度が検出され、焼成の進行に伴って微粒子濃度が増加した。また、焼成の終了と共に微粒子濃度は検出されなくなった。微粒子濃度の絶対値に差はあるものの、この傾向は、炭材A,Iについて同様であった。このため、上述したように2つの炭材の微粒子濃度を比較するときには、この微粒子濃度として、焼成の開始から終了までの間の微粒子濃度の平均値を用いることができる。
【0078】
一方、炭材A,Iについては、センサー17によって測定された微粒子の粒径に基づいて、図6に示す粒度分布が得られた。図6において、横軸は粒径[μm]を示し、縦軸は微粒子の粒子数[個]を示す。図6から分かるように、焼結排ガスに含まれるほとんどの微粒子については、粒径(直径)が1μm以下であった。
【0079】
(実施例2)
実施例1における炭材A~J及び粉コークスの微粒子濃度の測定結果(上記表1)に基づいて、使用焼結炭材に含まれる炭材を変更できるか否かを判断した。以下、4つの例について説明する。
【0080】
<例1>
使用炭材として粉コークスのみを使用している場合において、この粉コークスの50質量%を炭材D(無煙炭)に変更することを計画した。上記表6によれば、炭材Dの微粒子濃度(575[個/ml])は、粉コークスの微粒子濃度(1132[個/ml])よりも低い。このため、粉コークスの半分を炭材Dに変更したときの焼結排ガスの煤塵濃度は、粉コークスのみを使用したときの焼結排ガスの煤塵濃度よりも減少すると予測される。したがって、粉コークスの半分を炭材Dに変更できると判断した。
【0081】
<例2>
使用炭材として粉コークス及び炭材E(無煙炭)を各50質量%ずつ配合して使用している場合において、炭材Eを炭材C(無煙炭)に変更することを計画した。上記表6によれば、炭材Cの微粒子濃度(17981[個/ml])は、炭材Eの微粒子濃度(466[個/ml])よりも高い。このため、炭材Eを炭材Cに変更したときの焼結排ガスの煤塵濃度は、炭材Eを使用したときの焼結排ガスの煤塵濃度よりも増加すると予測される。したがって、炭材Eを炭材Cに変更できないと判断した。
【0082】
<例3>
使用炭材として粉コークス及び炭材J(チャー)を各50質量%ずつ配合して使用している場合において、炭材Jを炭材F(チャー)に変更することを計画した。上記表6によれば、炭材Fの微粒子濃度(41037[個/ml])は、炭材Jの微粒子濃度(1867[個/ml])よりも高い。このため、炭材Jを炭材Fに変更したときの焼結排ガスの煤塵濃度は、炭材Jを使用したときの焼結排ガスの煤塵濃度よりも増加すると予測される。したがって、炭材Jを炭材Fに変更できないと判断した。
【0083】
<例4>
使用炭材として粉コークス及び炭材A(無煙炭)を各50質量%ずつ配合して使用している場合において、炭材Aを炭材G(チャー)に変更することを計画した。上記表6によれば、炭材Gの微粒子濃度(27010[個/ml])は、炭材Aの微粒子濃度(34819[個/ml])よりも低い。このため、炭材Aを炭材Gに変更したときの焼結排ガスの煤塵濃度は、炭材Aを使用したときの焼結排ガスの煤塵濃度よりも減少すると予測される。したがって、炭材Aを炭材Gに変更できると判断した。
【0084】
上述した例1~4では、炭材の微粒子濃度を比較して、炭材を変更できるか否かを判断しているが、これに限るものではない。すなわち、第2実施形態で説明したように、評価炭材の順位表(上記表1又は上記表2)を作成しておき、この順位表に基づいて、炭材を変更できるか否かを判断することができる。
【符号の説明】
【0085】
1:焼結鍋、3:吸引管、5:ブロア5、7:排出管、9:煙突、
11:エアロゾル測定部、13:導入管、15:希釈器、17:センサー、
19:エアロゾルスペクトロメーター、21:ドライヤー、23:フィルター
25:流量計、27:吸引ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6