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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】媒体処理装置及び媒体取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/26 20190101AFI20221220BHJP
   G07D 11/10 20190101ALI20221220BHJP
   B65H 26/06 20060101ALI20221220BHJP
   B65H 20/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G07D11/26
G07D11/10
B65H26/06
B65H20/00 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019100334
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020194417
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直人
(72)【発明者】
【氏名】横手 貴元
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-216183(JP,A)
【文献】国際公開第2016/111013(WO,A1)
【文献】特開2012-76864(JP,A)
【文献】特開2004-174914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/26
G07D 11/10
B65H 26/06
B65H 20/00
B65H 29/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持され回転軸を中心に回転媒体を周側面に巻き付けるドラムと、
前記ドラムの回転に伴い前記周側面との間に前記媒体を挟んで巻き付ける第1のテープと、
前記媒体の巻き付け量によって変化する前記ドラムのドラム径に追従して可動し前記媒体をガイドする可動ガイドと、
前記可動ガイドに設けられ、前記第1のテープ当接し、帯電した前記第1のテープ電荷を除電する第1の除電部と
を有する媒体処理装置。
【請求項2】
前記ドラムは、前記第1のテープを巻き取る巻取方向と前記第1のテープを巻き戻す巻戻方向とに回転可能に構成され、
前記第1の除電部は、
前記ドラムが前記巻戻方向へ回転することにより前記ドラムの前記周側面から離れた前記第1のテープに当接する
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記第1のテープは、前記ドラムから繰り出される前記媒体と当接する第1の面と、前記第1の面と逆側の第2の面とを有し、
前記第1の除電部は、前記第2の面と当接する
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記可動ガイドは、前記ドラムの前記周側面から離れた前記第1のテープを巻き付ける可動ローラをさらに有し、
前記第1の除電部は、
前記第1のテープが前記ドラムの前記周側面から離れる箇所と、前記第1のテープと前記可動ローラとが当接する箇所との間において前記第1のテープに当接する
請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記第1のテープが予め巻き付けられ、前記ドラムの回転に伴って前記第1のテープが引き出されるリールと、
前記ドラムと前記リールとの間における前記第1のテープの軌道上回転するよう設けられ、前記ドラムの前記周側面から離れた前記第1のテープを巻き付ける固定ローラと、
前記固定ローラの近傍に設けられ、前記第1の除電部が当接する前記第1のテープの第2の面とは逆側の前記第1のテープの第1の面に当接し、帯電した前記第1のテープ電荷を除電する第2の除電部と
をさらに有する請求項1乃至請求項の何れかに記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記固定ローラは、金属製以外の材料により形成されている
請求項に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記第1の除電部は、一端側が所定の金属部材と導通され、他端側が前記ドラムに向かって突出する、導電性部材である
請求項1乃至請求項の何れかに記載の媒体処理装置。
【請求項8】
導電性のフレームと電気的に接続され、帯電した前記第1のテープ電荷を前記フレームへ放電する導通部
をさらに有する請求項1乃至請求項の何れかに記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記可動ガイドは、
前記第1のテープが前記ドラムの前記周側面から離れる箇所に設けられ、前記ドラム向けて付勢され、前記第1のテープを前記ドラムに向かって押圧する押圧ローラと、
前記ドラムの前記周側面から離れた前記第1のテープを巻き付ける可動ローラと
を有し、
前記第1の除電部は、前記押圧ローラと前記可動ローラとの間に設けられる
請求項1乃至請求項の何れかに記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記媒体処理装置は、第2のテープをさらに有し、
前記可動ガイドは、第2の除電部をさらに有し、
前記第1の除電部は、前記第1のテープに当接するように設けられ、帯電した前記第1のテープの電荷を除電し、
前記第2の除電部は、前記第2のテープに当接するように設けられ、帯電した前記第2のテープの電荷を除電する
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
前記媒体処理装置は、第3のテープをさらに有し、
前記可動ガイドは、第3の除電部をさらに有し、
前記第3の除電部は、前記第3のテープに当接するように設けられ、帯電した前記第3のテープの電荷を除電する
請求項10に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
取引すべき紙葉状の媒体を外部から取り込む取込部と、
前記媒体を搬送する搬送部と、
回転可能に支持され回転軸を中心に回転媒体を周側面に巻き付けるドラムと、
前記ドラムの回転に伴い前記周側面との間に前記媒体を挟んで巻き付ける第1のテープと、
前記媒体の巻き付け量によって変化する前記ドラムのドラム径に追従して可動し前記媒体をガイドする可動ガイドと、
前記可動ガイドに設けられ、前記第1のテープ当接し、帯電した前記第1のテープ電荷を除電する第1の除電部と
を有する媒体取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体処理装置及び媒体取引装置に関し、例えば紙幣等の媒体を投入して所望の取引を行う現金自動取引装置(ATM:Automatic Teller Machine)等に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関や店舗等で使用される現金自動取引装置等においては、顧客との取引内容に応じて、顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金する。現金自動取引装置としては、顧客との間で紙幣の授受を行う入出金部と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別すると共に紙幣の記番号を識別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、紙幣を搬送する搬送部と、金種毎に紙幣を格納する紙幣収納庫とを有する紙幣入出金機を内蔵するものがある。
【0003】
一時保留部としては、例えば回転する円筒状のドラムと、該ドラムの周側面に一端が固定されたテープと、このテープが巻回されるリールと、テープを所望の走行経路に沿って走行させる複数のローラ等を有するものがある。この一時保留部は、ドラムの周側面にテープと共に紙幣を巻き付けることで該紙幣を収納し、また該周側面からテープと共に紙幣を引き剥がして繰り出す(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような一時保留部においては、テープを巻き戻していくことで紙幣を放出する際に、巻き戻したテープと紙幣との間に静電気が発生してテープに帯電し、リールにテープが巻き取られた後に放電して一時保留部が故障してしまう可能性がある。このため一時保留部においては、ドラムから引き剥がされたテープに例えば除電バーを当接させることによりテープから静電気を取り除く(すなわち除電する)ことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-196431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら一時保留部は、リールとドラムとに巻き付いているテープの巻き付け量に応じてリール及びドラムの見かけ上の外径が変化するため、巻き付け量に応じてテープの軌道が変化する。このため一時保留部は、巻き付け量に応じて除電バーとテープとの距離が離れすぎたり近すぎたりしてしまい、適切に除電ができない可能性がある。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、信頼性を向上し得る媒体処理装置及び媒体取引装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の媒体処理装置においては、回転可能に支持され回転軸を中心に回転媒体を周側面に巻き付けるドラムと、ドラムの回転に伴い周側面との間に媒体を挟んで巻き付ける第1のテープと、媒体の巻き付け量によって変化するドラムのドラム径に追従して可動し媒体をガイドする可動ガイドと、可動ガイドに設けられ、第1のテープ当接し、帯電した第1のテープ電荷を除電する第1の除電部とを設けるようにした。
【0009】
また本発明の媒体取引装置においては、取引すべき紙葉状の媒体を外部から取り込む取込部と、媒体を搬送する搬送部と、回転可能に支持され回転軸を中心に回転媒体を周側面に巻き付けるドラムと、ドラムの回転に伴い周側面との間に媒体を挟んで巻き付ける第1のテープと、媒体の巻き付け量によって変化するドラムのドラム径に追従して可動し媒体をガイドする可動ガイドと、可動ガイドに設けられ、第1のテープ当接し、帯電した第1のテープ電荷を除電する第1の除電部とを設けるようにした。
【0010】
本発明は、媒体の巻き付け量によって変化するテープの軌道に追従させて除電部を移動させ、媒体の巻き付け量に関わらずテープに除電部を接触させテープを除電できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、信頼性を向上し得る媒体処理装置及び媒体取引装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】現金自動取引装置の構成を示す斜視図である。
図2】現金自動取引装置の内部構成を示す左側面図である。
図3】一時保留部の内部構成を示す左側面図であり、(A)は最薄状態、(B)は最厚状態である。
図4】下側搬送ガイドの構成(1)を示す斜視図である。
図5】下側搬送ガイドの構成(2)を示す斜視図である。
図6】除電バーの構成を示し、(A)は正面図、(B)は左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0014】
[1.現金自動取引装置の構成]
図1に外観を示すように、現金自動取引装置1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。
【0015】
顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞する。操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。テンキー7は、「0」~「9」の数字等の入力を受け付ける物理的なキーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
【0016】
筐体2内には、現金自動取引装置1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
【0017】
筐体2は、前面側及び後面側に、開閉可能な扉が設けられている。筐体2は、顧客との間で取引処理が行われる取引動作時の場合には扉を閉鎖することにより、現金自動取引装置1の内部を保護する。一方筐体2は、行員や金融機関の保守員等により保守作業が行われる保守作業時の場合には、必要に応じて扉を開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得る。以下では、現金自動取引装置1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した顧客から見て左、右、上及び下をそれぞれ左側、右側、上側及び下側として説明する。
【0018】
[2.紙幣入出金機の内部構成]
図2に示すように紙幣入出金機10は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット10Uと、その下側部分を閉める下部ユニット10Dとにより構成されており、内部に紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。
【0019】
[2-1.上部ユニットの構成]
上部ユニット10Uは、フレーム11に各種機構が固定され、紙幣制御部12(図1)が各部(入出金部14、搬送部15、鑑別部16、一時保留部17、紙幣収納庫18、上側リジェクト庫19U及び下側リジェクト庫19D)を統括制御する。
【0020】
紙幣制御部12(図1)は、図示しないCPUを中心に構成されており、ROM、RAM、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部13(図1)から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。記憶部13は、鑑別部16が紙幣を鑑別した鑑別結果及び紙幣の記番号の識別結果等を取引情報と合わせて記憶する。
【0021】
入出金部14は、紙幣入出金機10における前方上側に配され、顧客から投入された紙幣を1枚ずつ分離し搬送部15へ繰り出す。入出金部14の入出金口5(図1)には、シャッタが設けられている。入出金部14は、入金取引時において顧客に紙幣を投入させる場合と、出金取引時において顧客に紙幣を受け渡す場合、シャッタを後方向へスライド移動させてシャッタ開放状態とすることにより入出金口5を開放させる。一方入出金部14は、入金取引時及び出金取引時以外の場合は、シャッタを前方向へスライド移動させて入出金口5を閉塞させシャッタ閉塞状態とすることにより、入出金部14からの紙幣の取り出しや外部からの入出金部14への悪戯等を防止する。
【0022】
搬送部15は、図示しないローラやベルト等により、図中太線で示す搬送路に沿って長方形の紙幣を短手方向に搬送する。搬送部15は、鑑別部16を前後方向に挿通させるように紙幣を搬送し、該鑑別部16の後側と一時保留部17、上側リジェクト庫19U及び入出金部14とをそれぞれ接続している。また搬送部15は、鑑別部16の前側と入出金部14、紙幣収納庫18及び下側リジェクト庫19Dとを接続している。搬送部15の分岐点には、セレクタ(図示せず)が設けられており、紙幣制御部12(図1)の制御に基づき回動することにより、紙幣の搬送先を切り替える。
【0023】
鑑別部16は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等(正損)を鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部12へ通知する。また鑑別部16は、撮像した紙幣の画像データから、紙幣毎に付与されその紙幣の一面に予め印刷された英数字等で構成された記番号を読み取り識別する。このとき鑑別部16は、識別した字を識別結果として紙幣制御部12へ通知する。これに応じて紙幣制御部12は、取得した鑑別結果及び識別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定する。
【0024】
一時保留部17は、入金時に顧客が入出金部14へ投入した紙幣を一時的に保留し、鑑別部16で入金可能と鑑別された入金可能紙幣を入金が確定するまで一時的に保留する。一方、入金不可と鑑別された入金リジェクト紙幣は入出金部14へ排出される。また一時保留部17は、出金時において鑑別部16で出金不可能と鑑別された出金不可紙幣を、出金可能な紙幣が出金されるまで一時的に保留し、その後該出金不可紙幣を上側リジェクト庫19Uへ排出する。
【0025】
上側リジェクト庫19Uは、直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。この上側リジェクト庫19Uは、鑑別部16及び紙幣制御部12により、破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣、偽造券と判別された紙幣及び5千券や2千券等の還流されない金種の紙幣等、再利用すべきで無いと判断された紙幣が搬送部15により搬送されて来ると、該紙幣を内部に収納する。
【0026】
[2-2.下部ユニットの構成]
下部ユニット10Dには、筐体2に取り付けられた下部フレーム20が設けられている。下部フレーム20には、再利用可能な紙幣を収納する複数の紙幣収納庫18と、再利用すべきでない紙幣を収納する下側リジェクト庫19Dとが着脱可能に設けられている。
【0027】
下部ユニット10Dは、紙幣収納庫18及び下側リジェクト庫19Dの上面に振分搬送部21が取り付けられている。振分搬送部21は、搬送モータ、センサ及びブレード等の複数種類の搬送路形成部品により、上部ユニット10Uから搬送されたリジェクト紙幣や正常な紙幣を、搬送先を適宜切り替えて下側リジェクト庫19Dや紙幣収納庫18へ振り分けるように搬送する。
【0028】
下部フレーム20内には、前側から後側へ向けて順に5個の紙幣収納庫18が設けられている。各紙幣収納庫18は、何れも同様に構成されており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。各紙幣収納庫18は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫18は、鑑別部16及び紙幣制御部12により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判断された紙幣が、その金種に応じて搬送部15により搬送されてくると、該紙幣を内部に集積して収納する。また紙幣収納庫18は、紙幣制御部12から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部15に受け渡す。
【0029】
下側リジェクト庫19Dは、下部フレーム20内における紙幣収納庫18の後方に位置しており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。この下側リジェクト庫19Dは、鑑別部16及び紙幣制御部12により、破損した紙幣(いわゆる損券)と鑑別された紙幣、偽造券と判別された紙幣及び5千券や2千券等の還流されない金種の紙幣等、再利用すべきで無いと判断された紙幣が搬送部15により搬送されて来ると、該紙幣を内部に収納する。
【0030】
かかる構成において現金自動取引装置1は、鑑別部16による紙幣の鑑別結果及び識別結果等をもとに主制御部9及び紙幣制御部12が各部を制御して、紙幣の入金処理及び出金処理等を行う。
【0031】
[3.一時保留部の構成]
図3に示すように、媒体処理装置としての一時保留部17は、一時保留部フレーム30により外側が覆われており、その内部に各部品が取り付けられている。なお図3は、一時保留部17の左側面図を模式的に表したものであり、説明の都合上、一部の部品を透過、若しくは省略、又は簡略化している。また一時保留部17には、互いにほぼ同様に構成されたテープ走行系が左右に等間隔を空けて3系統設けられている。各テープ走行系では、それぞれ1本のテープ42を走行させる。
【0032】
一時保留部フレーム30内の中央上寄り付近には、紙幣が搬送される搬送方向に直交する搬送幅方向である左右方向に延びる回転軸31Xを中心に回転する円筒状のドラム31が設けられている。ドラム31は、図示しないモータ等からの駆動力が伝達されることにより、巻取方向R1又は巻戻方向R2へ回転する。ドラム31は、詳しくは後述するが、その周側面31Sに紙幣が巻き付けられると、図3(B)に示すようにドラム31の外周に巻付層31Wが形成される。このときのドラム31は、紙幣が巻き付けられていない状態である最薄状態(図3(A))と比較して、ドラム31の径に巻付層31Wの厚さを足した見かけ上の径が大きくなる。以下ではこの見かけ上の径をドラム径と呼ぶ。また、ドラム31に紙幣が巻き付けられているときには、巻付層31Wの最外周を周側面31Sとする。つまり、ドラム31に紙幣が巻き付けられていくと、ドラム径が大きくなっていくと共に周側面31Sがドラム31の回転軸31Xから離れていくことになる。ここで、ドラム31のドラム径が設計上最も大きい、すなわちドラム31に設計上最も多くの紙幣が巻き付けられている状態を、最厚状態(図3(B))とも呼ぶ。
【0033】
一時保留部フレーム30の前面には、紙幣を挿通させるための挿通孔30Hが穿設されている。この挿通孔30Hの後方には、紙幣を上下からそれぞれ案内する上側搬送ガイド32及び下側搬送ガイド33が設けられている。上側搬送ガイド32は、その下面がほぼ平坦且つほぼ水平なガイド面となっており、一時保留部フレーム30に固定されている。下側搬送ガイド33は、その上面がほぼ平坦且つほぼ水平なガイド面となっており、上側搬送ガイド32の下面との間に例えば5[mm]程度の隙間を形成するようにして、一時保留部フレーム30に固定されている。つまり、一時保留部17は、上側搬送ガイド32と下側搬送ガイド33との隙間に沿って紙幣を前後方向へ案内する。上側搬送ガイド32及び下側搬送ガイド33は、例えば樹脂材料で成形されている。
【0034】
また、下側搬送ガイド33の後側には、ドラム31の下側に位置するように下側可動ガイド34が設けられている。下側可動ガイド34は、その前半分部分の上面が、下側搬送ガイド33の上面を延長したような平坦なガイド面となっている。また、下側可動ガイド34は、その後半分部分の上面が、ドラム31の周側面31Sに沿うように湾曲したガイド面となっている。下側可動ガイド34も、例えば樹脂材料で成形されている。
【0035】
図3図4及び図5に示すように、下側可動ガイド34の後半分部分においてドラム31の真下よりも後ろ寄りとなる位置には、左右方向のほぼ中央に1つのドラム当接ローラ35が設けられている。押圧ローラとしてのドラム当接ローラ35は、左右方向に延びる略円柱状であり、下側可動ガイド34に回転可能に支持されている。このドラム当接ローラ35は、上側の一部分が下側可動ガイド34の上面より上方に突出して当接位置P1においてドラム31の周側面31Sに当接する。この下側可動ガイド34は、その前端部分が、下側搬送ガイド33の後端部分に回動可能に支持されており、図示しないトーションスプリング等によってドラム31の周側面31Sに押し付けられる方向に付勢されている。これにより下側可動ガイド34は、ドラム31のドラム径の変化に追従するように可動して、常にドラム当接ローラ35をドラム31の周側面31Sに当接させる。
【0036】
また、下側可動ガイド34におけるドラム当接ローラ35と後述するフィードローラ45との間のほぼ中央部分には、後述する除電バー50の根本部を挿通させる下側可動ガイド除電バー孔34aが、左右方向に並んで3本のテープ42とそれぞれ対向するように穿設されている。この下側可動ガイド除電バー孔34aは、下側可動ガイド34を上下方向に貫通しており、左右方向の長さが除電バー50の幅よりも大きくなっており、内部に除電バー50の根本部を収容している。除電バー50は、互いに同様の構成の除電バー50が、左右方向に並んで3本のテープ42とそれぞれ対向するように配置されており、先端側がドラム31に向かって突出し、テープ42における、回転軸31Xから離隔する側である外側面42s1に当接している。
【0037】
また下側可動ガイド34における下面、すなわち背面には、下側可動ガイド背面板金34sが固定されている。下側可動ガイド背面板金34sは、導電性のケーブルである導通部としてのアースコード60の一端が接続されている。アースコード60の他端は、一時保留部フレーム30に接続されている。これにより下側可動ガイド背面板金34sは、アースコード60により一時保留部フレーム30と導通している。
【0038】
また、ドラム31の下方には、左右方向のほぼ中央に、左右方向に延びる回転軸41Xを中心に回転する3つの糸巻状のリール41が設けられている。リール41は、左右方向の長さがドラム31と比較して十分短く形成されている。また、リール41は、図示しないモータ等からの駆動力が伝達されることにより、引出方向S2又は巻取方向S1へ回転する。それぞれのリール41には、1本のテープ42が巻き取られている。テープ42は、例えば比較的柔らかい樹脂材料であり、細長く薄いフィルム状に形成されている。テープ42の幅(左右方向の長さ)は、リール41の幅よりも僅かに短く、ドラム31の左右方向の長さよりも十分短くなっている。テープ42は、その一端が、リール41の周側面に固定されている。
【0039】
リール41の上側の前方には、中心軸が移動しないよう一時保留部フレーム30に回転可能に支持された3つのローラ43が配置されている。固定ローラとしてのローラ43は、例えば樹脂材料で成形され、左右方向に延びる略円柱状であり、左右方向の長さがドラム31と比較して十分短く形成されている。さらに下側可動ガイド34には、ローラ43とドラム当接ローラ35との間に3つのフィードローラ45が設けられている。可動ローラとしてのフィードローラ45は、左右方向に延びる円柱状であり、下側可動ガイド34により回転可能に支持されている。このフィードローラ45は、ドラム当接ローラ35と同様に、上側の一部分が下側可動ガイド34の上面より上方に突出する。またこのフィードローラ45も、左右方向の長さがドラム31と比較して十分短く形成されている。またフィードローラ45の前方には、テープ42を通すための孔(図示せず)が穿設されている。この孔は、下側可動ガイド34を上下方向に貫通しており、左右方向の長さがテープ42の幅よりも大きくなっている。ドラム当接ローラ35、ローラ43及びフィードローラ45は、それぞれ左右方向の長さが、テープ42の左右方向の長さ(すなわちテープ幅)よりも僅かに長くなっている。
【0040】
リール41に巻き取られているテープ42は、リール41から前方斜め上へと引き出された後、ローラ43に掛け渡されて後方斜め上に折り返される。さらにテープ42は、フィードローラ45の上部に掛け渡されて後方へと向かい、ドラム当接ローラ35とドラム31との間に入り込んで、ドラム当接ローラ35によりドラム31の周側面31Sに押し付けられ、最終的にドラム31に巻き取られる。なお、テープ42の先端は、ドラム31の周側面31Sに固定されている。
【0041】
またローラ43の前方には、互いに同様の構成の除電バー52が、左右方向に並んで3本のテープ42とそれぞれ対向するように配置されている。テープ内側除電部としての除電バー52は、除電バー50(後述する)と同様の構成であり、根本部が一時保留部フレーム30に貼り付けられており、先端部が、ローラ43に巻き付いた状態のテープ42における、外側面42s1に対する逆側の面であり回転軸31Xに近接する側である内側面42s2に当接している。
【0042】
一時保留部17は、ドラム31を巻取方向R1へ回転させることで、ドラム31によりテープ42を引っ張りながら、テープ42を上述した経路で走行させ、テープ42をドラム31の周側面31Sに巻き取っていく。また、一時保留部17は、リール41を巻取方向S1へ回転させると共にドラム31を巻戻方向R2へ回転させることで、ドラム31の周側面31Sからテープ42を引き剥がし、上述した経路を逆方向に走行させて、テープ42をリール41に巻き取っていく。よってテープ42には、経路上の全ての箇所で張力が作用する。
【0043】
この一時保留部17では、紙幣の収納時、ドラム31を巻取方向R1へ回転させてテープ42を走行させ、挿通孔30Hから入り込んでくる紙幣を、上側搬送ガイド32と下側搬送ガイド33との隙間に沿って後方へと搬送し、ドラム31の回転に伴ってテープ42により紙幣を周側面31Sに巻き付けていく。このとき下側可動ガイド34は、ドラム径の変化に追従して可動することにより、常にドラム当接ローラ35を周側面31Sに当接させる。
【0044】
一方紙幣の繰出時、一時保留部17は、リール41を巻取方向S1へ回転させると共にドラム31を巻戻方向R2へ回転させてテープ42を収納時とは逆方向に走行させることにより、ドラム31に巻き付けられている紙幣を、当接位置P1においてテープ42と共にドラム31から引き剥がしていく。ドラム31から引き剥がされた紙幣は、前方へ搬送され、さらに上側搬送ガイド32と下側搬送ガイド33との隙間に沿って搬送方向に沿うように前方へ搬送され、挿通孔30Hから繰り出される。
【0045】
このように一時保留部17は、ドラム径の変化に追従して下側可動ガイド34が可動するため、下側可動ガイド34に支持されたドラム当接ローラ35及びフィードローラ45もまた可動する。一方、ローラ43は、ドラム径の変化に関わらず回転軸が移動しない。このため一時保留部17においては、当接位置P1と、ドラム31からローラ43へ向かったテープ42がローラ43に巻き始める箇所である巻付位置P2との間におけるテープ42の軌道が、ドラム径に応じて変化することとなる。一方テープ42がローラ43に巻き付いている箇所においては、テープ42の軌道は、ドラム径に応じて変化しない。また一方、テープ42がローラ43から離れる箇所から、リール41に巻き付き始める箇所までの間においては、テープ42の軌道は、ドラム径に応じて変化する。
【0046】
上述した構成に加えて、一時保留部17には、上側搬送ガイド32の後側に、上側可動ガイド36が設けられている。この上側可動ガイド36の後面(すなわちドラム31と対向する面)は、ドラム31の周側面31Sに沿うように湾曲している。この上側可動ガイド36には、それぞれ外側面の下端近傍に、追従ローラ37が回転可能に支持されている。この追従ローラ37は、後側の一部分が上側可動ガイド36の後面よりも後方に突出してドラム31の周側面31Sに当接する。
【0047】
またこの上側可動ガイド36は、上端部分が上側搬送ガイド32の後端部分の上端に回転可能に支持されており、図示しないスプリングによってドラム31の周側面31Sに押し付けられる方向に付勢されている。これにより上側可動ガイド36は、ドラム31のドラム径の変化に追従するように可動して、常に追従ローラ37をドラム31の周側面31Sに当接させる。
【0048】
一時保留部17は、このような上側可動ガイド36を有している。これにより一時保留部17は、例えば、ドラム31から引き剥がした直後の紙幣を、上側搬送ガイド32と下側搬送ガイド33との隙間へと搬送する際に、この紙幣に両端が持ち上がるような折れ癖が付いていたとしても、紙幣の上方に位置する上側可動ガイド36によって、紙幣の折れ曲がりを抑制し、上側搬送ガイド32の後面等に引っ掛けたりすることなく、紙幣をドラム31の周側面31Sから上側搬送ガイド32と下側搬送ガイド33との隙間へとガイドできる。
【0049】
[4.除電バーの構成]
除電バー50と除電バー52とは、互いに同様に構成されているため、以下では除電バー50について説明する。除電バー50は、互いに同様の構成の除電バー50が、左右方向に並んで、3本のテープ42とそれぞれ対向するように配置されている。図6に示すように除電バー50は、絶縁シート50a、接着剤50b、電極50c、抜け防止接着剤50d及び導電両面テープ50eにより構成されている。電極50cは、長手方向に沿って延びる導電性のステンレス繊維であり、左右方向である除電バー50の幅方向に沿って複数本が配設されている。絶縁シート50aは、電極50cに対し、幅方向に直交する厚さ方向の一方向側に設けられており、電極50cの長手方向の長さの半分程度の長手方向の長さを有し、電極50cの根本側に配され、電極50cの厚さ方向の一方向側を外部から電気的に絶縁する。接着剤50bは、電極50cと絶縁シート50aとの間に塗布されており、電極50cに絶縁シート50aを接着させる。導電両面テープ50eは、電極50cに対し厚さ方向の他方向側において該電極50cに貼り付けられており、電極50cの長手方向の長さの半分程度の長手方向の長さを有し、電極50cの根本側に配され、電極50cの厚さ方向の他方向側を外部と物理的に接着させると共に電気的に導通させる。抜け防止接着剤50dは、電極50cに対し根本側に塗布されており、該電極50cが接着剤50bと導電両面テープ50eとの間から抜け出てしまうことを防止する。
【0050】
除電バー50における根本部は、下側可動ガイド34の下側可動ガイド除電バー孔34aに挿通しており、導電両面テープ50eが下側可動ガイド背面板金34sに貼り付いている。このため除電バー50は、電極50cにおける根本側が下側可動ガイド背面板金34sと導通していると共に、先端側がドラム31に向かって突出し、当接位置P1と巻付位置P2との間において、テープ42における、回転軸31Xから離隔する側である外側面42s1に当接する。
【0051】
[5.除電について]
かかる構成において、リール41が巻取方向S1へ回転すると共にドラム31が巻戻方向R2に回転し、ドラム31の周側面31Sからテープ42が引き剥され、テープ42の外側面42s1が除電バー50の電極50cに接触すると、テープ42の外側面42s1から電荷が電極50c及び導電両面テープ50eを介して下側可動ガイド背面板金34sへ移動し、さらにアースコード60を介して一時保留部フレーム30へ移動する。このためテープ42の外側面42s1に帯電した静電気は、除電バー50、下側可動ガイド背面板金34s、アースコード60及び一時保留部フレーム30を介しフレーム11へ放電される。これによりテープ42は、外側面42s1が除電される。
【0052】
上述したように、ドラム径が変化すると、当接位置P1と巻付位置P2との間におけるテープ42の軌道が変化する。すなわち、最薄状態(図3(A))において、当接位置P1と巻付位置P2との間におけるテープ42の軌道は、最もドラム31の回転軸31Xに近接するように上側の位置を通る一方、最厚状態(図3(B))において、当接位置P1と巻付位置P2との間におけるテープ42の軌道は、最もドラム31の回転軸31Xから離隔するように下側の位置を通る。
【0053】
これに対し、下側可動ガイド34はドラム径の変化に追従して可動するため、下側可動ガイド34に貼り付けられた除電バー50もまた可動する。すなわち除電バー50は、最厚状態(図3(B))から最薄状態(図3(A))に遷移するに連れて徐々にドラム31に近接するように上側へ向かって移動する一方、最薄状態(図3(A))から最厚状態(図3(B))に遷移するに連れて徐々にドラム31から離隔するように下側へ向かって移動する。
【0054】
このため一時保留部17は、テープ42の軌道の変化に追従して除電バー50を可動させることができる。これにより一時保留部17は、ドラム径に関わらず、除電バー50の根本部とテープ42との間隔を一定に保ち、除電バー50の電極50cの先端部をテープ42の外側面42s1に一定の力で接触させ続けることができる。
【0055】
さらに、テープ42の内側面42s2は、除電バー52の電極50cに接触する。このときテープ42の内側面42s2から電荷が電極50c及び導電両面テープ50eを介して一時保留部フレーム30へ移動する。このためテープ42の内側面42s2に帯電した静電気は、除電バー52及び一時保留部フレーム30を介しフレーム11へ放電される。これによりテープ42は、内側面42s2が除電される。
【0056】
ここで、ローラ43はドラム径に応じて位置が変化しないため、ローラ43に巻き付いた状態のテープ42は、ドラム径に応じて軌道が変化しない。このため一時保留部17は、ドラム径に応じて可動しない除電バー52をテープ42の内側面42s2に当接させることにより、ドラム径の変化に関わらずテープ42の内側面42s2を除電できる。
【0057】
このように一時保留部17は、ドラム31から引き剥がされたテープ42における外側面42s1に対し、下側可動ガイド34に支持されドラム径に追従して可動する除電バー50を当接させて除電すると共に、ドラム31から引き剥がされたテープ42における内側面42s2に対し、一時保留部フレーム30に固定されドラム径に追従して可動しない除電バー52を当接させて除電するようにした。これにより一時保留部17は、ドラム31から引き剥がされたテープ42の両側面を除電でき、静電気による一時保留部17の誤動作及び破損を防止できる。
【0058】
[6.動作及び効果等]
以上の構成において一時保留部17は、紙幣の巻き付け量によって変化するドラム31のドラム径に追従して可動する下側可動ガイド34に除電バー50を設け、テープ42の外側面42s1に除電バー50を当接させるようにした。このため一時保留部17は、紙幣の巻き付け量によって変化するテープ42の軌道に追従させて除電バー50を移動させて、紙幣の巻き付け量に関わらずテープ42に安定的に除電バー50を接触させ、テープ42の外側面42s1を除電できる。
【0059】
また一時保留部17は、巻戻方向R2へ回転するドラム31から繰り出される紙幣に対し、テープ42を挟んで紙幣とは逆側に除電バー50を設けるようにした。このため一時保留部17は、搬送される紙幣に触れることなく除電バー50をテープ42の外側面42s1に接触させることができ、搬送性能に影響を与えることを防ぎつつ、テープ42の外側面42s1を除電できる。
【0060】
ここで、中心軸が移動しないよう一時保留部フレーム30に回転可能に支持されたローラをローラ43以外に設けることにより、該ローラとローラ43との間にドラム径に応じてテープ42の軌道が変化しない箇所を形成し、その箇所に除電バーを当接させることも考えられる。しかしながらその場合、ローラを追加する必要があるため、部品点数が増加してしまい一時保留部17を小型化し難くなってしまうと共に、低廉化しにくくなってしまう。
【0061】
これに対し一時保留部17は、下側可動ガイド34に除電バー50を設け、テープ42の軌道に追従させて除電バー50を移動させるようにした。このため一時保留部17は、ドラム径に応じてテープ42の軌道が変化しない箇所を形成するためのローラを別途追加しないことにより、部品点数が増加してしまうことを防止しつつ、テープ42の外側面42s1を除電できる。
【0062】
また、ローラ43を金属製のローラにし、テープ42がローラ43に巻き付いた際に該ローラ43でテープ42の外側面42s1を除電することも考えられる。しかしながら金属製のローラを用いる場合にはベアリング等も必要になり、構成が複雑化してしまうと共に、低廉化しにくくなってしまう。
【0063】
これに対し一時保留部17は、ローラ43を樹脂製とすると共に、ローラ43を金属ローラにする場合よりもコストが安い除電バー50を追加するようにした。これにより一時保留部17は、金属ローラを用いることなくテープ42の外側面42s1を除電でき、金属ローラを使用する場合と比較して、構成が複雑化しないようにでき、低廉化できる。
【0064】
以上の構成によれば現金自動取引装置1は、取引すべき紙葉状の媒体である紙幣を外部から取り込む入出金部14と、紙幣を搬送する搬送部15と、回転可能に支持され回転軸31Xを中心に回転し紙幣を周側面31Sに巻き付けるドラム31と、ドラム31の回転に伴い周側面31Sとの間に紙幣を挟んで巻き付けるテープ42と、紙幣の巻き付け量によって変化するドラム31のドラム径に追従して可動し、ドラム31に対向して周側面31Sとの間で紙幣をガイドする下側可動ガイド34と、下側可動ガイド34に設けられ、テープ42におけるドラム31の回転軸31Xから離隔する側である外側面42s1に当接し、帯電したテープ42から移動した電荷を放電する除電バー50とを設けるようにした。
【0065】
これにより現金自動取引装置1は、紙幣の巻き付け量によって変化するテープ42の軌道に追従させて除電バー50を移動させ、紙幣の巻き付け量に関わらずテープ42に除電バー50を接触させテープ42を除電できる。
【0066】
[7.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、除電バー50によりテープ42を除電する場合について述べた。本発明はこれに限らず、導電性を有する他の種々の除電部によりテープ42を除電しても良い。
【0067】
また上述した実施の形態においては、除電バー50を下側可動ガイド34に固定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ドラム31への紙幣の巻き付け量によって変化するテープ42の軌道に追従するように、下側可動ガイド34と共に可動するよう除電バー50を設ければ良い。
【0068】
さらに上述した実施の形態においては、当接位置P1と巻付位置P2との間において除電バー50をテープ42に当接させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、巻付位置P2とローラ43との間において除電バーをテープ42に当接させても良い。
【0069】
さらに上述した実施の形態においては、ドラム31から引き剥がされたテープ42の外側面42s1に除電バー50を当接させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、ドラム31から引き剥がされる前のテープ42の外側面42s1に除電バー50を当接させても良い。
【0070】
さらに上述した実施の形態においては、除電バー52を一時保留部フレーム30に固定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、除電バー52を可動する機構に固定させても良い。
【0071】
さらに、アースコード60は、トーションスプリングの近傍や、下側可動ガイド34の前端の回動支点の近傍等、種々の箇所に配設されても良い。
【0072】
さらに上述した実施の形態においては、ローラ43を樹脂材料により形成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ローラ43を金属材料以外の種々の材料により形成しても良い。
【0073】
さらに上述した実施の形態においては、3本のテープ42を有する一時保留部17に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、1本、2本又は4本以上の任意の本数のテープを有する一時保留部に本発明を適用しても良い。
【0074】
さらに上述した実施の形態においては、現金を取引する現金自動取引装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば商品券や金券、入場券等のような薄い紙状の媒体を取り扱う種々の装置に本発明を適用しても良い。また、例えば紙幣を入出する紙幣入出金機や紙幣を所定枚数毎に施封する施封小束支払機等、紙幣や硬貨の取引に関する種々の処理を行う複数種類の装置の組み合わせにより構成された現金処理装置に本発明を適用してもよい。
【0075】
さらに上述した実施の形態においては、取込部としての入出金部14と、搬送部としての搬送部15と、ドラムとしてのドラム31と、テープとしてのテープ42と、可動ガイドとしての下側可動ガイド34と、除電部としての除電バー50とによって、自動取引装置としての現金自動取引装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる取込部と、搬送部と、ドラムと、テープと、可動ガイドと、除電部とによって、媒体取引装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、静電気から電子機器等を保護する種々の装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0077】
1……現金自動取引装置、2……筐体、3……顧客応対部、4……カード入出口、5……入出金口、6……操作表示部、7……テンキー、8……レシート発行口、9……主制御部、10……紙幣入出金機、10U……上部ユニット、10D……下部ユニット、11……フレーム、12……紙幣制御部、13……記憶部、14……入出金部、15……搬送部、16……鑑別部、17……一時保留部、18……紙幣収納庫、19U……上側リジェクト庫、19D……下側リジェクト庫、20……下部フレーム、21……振分搬送部、30……一時保留部フレーム、30H……挿通孔、31……ドラム、31X……回転軸、31S……周側面、31W……巻付層、32……上側搬送ガイド、33……下側搬送ガイド、34……下側可動ガイド、34a……下側可動ガイド除電バー孔、34s……下側可動ガイド背面板金、35……ドラム当接ローラ、36……上側可動ガイド、37……追従ローラ、41……リール、41X……回転軸、42……テープ、42s1……外側面、42s2……内側面、43……ローラ、45……フィードローラ、50、52……除電バー、50a……絶縁シート、50b……接着剤、50c……電極、50d……抜け防止接着剤、50e……導電両面テープ、60……アースコード、P1……当接位置、P2……巻付位置、R1……巻取方向、R2……巻戻方向、S1……巻取方向、S2……引出方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6