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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】超音波センサ
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/521 20060101AFI20221220BHJP
   G01S 7/52 20060101ALI20221220BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20221220BHJP
   H04R 1/44 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G01S7/521 A
G01S7/52 U
G01S15/931
H04R1/44 330D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019147839
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028606
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 研介
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 正義
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-087805(JP,A)
【文献】特開平06-059024(JP,A)
【文献】特開平07-151849(JP,A)
【文献】特開昭60-015577(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0128901(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102007035905(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/64
13/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波センサであって、
電気信号の振動への変換および振動の電気信号への変換を行う圧電振動素子にて構成されたマイク(2)と、
前記マイクが取り付けられる振動部を構成する一面を有する底部(3a)と、側壁部(3b)と、を有する有底筒状とされ、前記マイクが収容されるマイク筐体(3)と、
前記一面への異物の付着を検知する付着センサ(8)と、を有し、
前記付着センサは、
前記一面側に備えられたセンサ電極(8aa)を含み、前記一面側への異物の付着によって容量値が変化する可変容量(8a)と、
前記センサ電極に接続される第1電極(8ba)と、前記マイク筐体とは異なる部材(4、6、11)に備えられ、前記第1電極に対向配置された第2電極(8bb)とを有する固定容量(8b)と、
前記固定容量を介して前記センサ電極に接続され、前記固定容量および前記可変容量に対して交流信号を流すことで前記一面への異物の付着を検知する付着検知部(8c)と、を有している超音波センサ。
【請求項2】
前記付着検知部が備えられる回路基板(5)と、
前記マイクが取り付けられた前記マイク筐体を収容する筒状部(6a)と前記回路基板が収容される中空部を有する収容部(6b)とを有し、前記筒状部の内部と前記収容部の中空部とが連通されたセンサケース(6)と、
弾性材料で構成され、前記マイク筐体と前記筒状部との間に配置されて前記振動の伝達を抑制する緩衝部材となるクッション(4)と、を有し、
前記第1電極は、前記マイク筐体と前記クッションの間に配置され、
前記第2電極は、前記クッションを介して前記第1電極に対向配置されている、請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記付着検知部が備えられる回路基板(5)と、
前記マイクが取り付けられた前記マイク筐体を収容する筒状部(6a)と前記回路基板が収容される中空部を有する収容部(6b)とを有し、前記筒状部の内部と前記収容部の中空部とが連通されたセンサケース(6)と、
弾性材料で構成され、前記マイク筐体と前記筒状部との間に配置されて前記振動の伝達を抑制する緩衝部材となるクッション(4)と、を有し、
前記第1電極は、前記底部における前記一面上に配置され、
前記第2電極は、前記クッションのうち前記マイク筐体における前記底部側の先端面上に配置されている、請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記付着検知部が備えられる回路基板(5)と、
前記マイクが取り付けられた前記マイク筐体を収容する筒状部(6a)と前記回路基板が収容される中空部を有する収容部(6b)とを有し、前記筒状部の内部と前記収容部の中空部とが連通されたセンサケース(6)と、
弾性材料で構成され、前記マイク筐体と前記筒状部との間に配置されて前記振動の伝達を抑制する緩衝部材となるクッション(4)と、を有し、
前記第1電極と前記第2電極とは、共に、前記マイク筐体と前記クッションの間に離されて配置されている、請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記固定容量は、前記第1電極と前記第2電極とによる第1固定容量(8b1)に加えて、第3電極(8bc)と該第3電極に対して対向配置された第4電極(8bd)とによる第2固定容量(8b2)とを有している、請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項6】
前記付着検知部が備えられる回路基板(5)と、
前記マイクが取り付けられた前記マイク筐体を収容する筒状部(6a)と前記回路基板が収容される中空部を有する収容部(6b)とを有し、前記筒状部の内部と前記収容部の中空部とが連通されたセンサケース(6)と、
弾性材料で構成され、前記マイク筐体と前記筒状部との間に配置されて前記振動の伝達を抑制する緩衝部材となるクッション(4)と、を有し、
前記固定容量は、前記第1電極と前記第2電極とによる第1固定容量(8b1)に加えて、第3電極(8bc)と該第3電極に対して対向配置された第4電極(8bd)とによる第2固定容量(8b2)とを有し、
前記第3電極は、前記第2電極に接続されていると共に前記クッションと前記筒状部との間に配置され、
前記第4電極は、前記センサケースに配置されている、請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項7】
前記マイク筐体における前記側壁部は、薄肉部(3ba)と該薄肉部よりも厚い厚肉部(3bb)とを有し、
前記第1電極が前記マイク筐体のうちの前記厚肉部と対応した位置に配置されている、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項8】
前記第2電極は、前記マイクおよび前記マイク筐体を装着対象に装着するための補助部品(6、11)に備えられている、請求項1に記載の超音波センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動を行うマイク筐体を有する超音波センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波センサは、例えば車両のバンパーなどのボデー部品に取り付けられ、有底円筒状部材で構成されたマイク筐体の底部(以下、振動部という)にマイクが貼り付けられた構成とされる。そして、超音波センサは、マイクへの通電に基づいて振動部を超音波振動させることで超音波を発生させると共に、この超音波の反射波を受け取ることで車両の近傍に存在する障害物を検知する。このような超音波センサでは、マイク筐体の振動面に付着物が存在すると、それに起因して振動特性が変化し、的確な障害物検知が行えなくなる。
【0003】
このため、特許文献1において、マイク筐体の振動面に2つの環状電極を同心円状に配置し、2つの環状電極の間の静電容量が付着物によって変化することに基づき、付着物を検出する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第8675449号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようにマイク筐体の振動面に2つの環状電極を配置する場合、各環状電極と超音波センサの回路基板との間を配線で接続し、その配線を通じて2つの環状電極と回路基板の電気的接続が図られることになる。例えば、超音波センサでは、有底円筒状で構成されるマイク筐体の周囲をクッションで囲み、クッションと共にマイク筐体を回路基板が備えられたセンサケース内に嵌め込まれる構造が取られる。このような構造においては、例えばマイク筐体とクッションとの間を通じて、2つの環状電極と回路基板との間が直接接続される構成とされる。
【0006】
しかしながら、2つの環状電極と回路基板との間を配線にて直接接続する構造にすると、振動面の振動特性を変動させてしまい、的確な障害物検知の妨げになり得る。具体的には、振動面の振動が配線を通じて伝搬される場合、配線が接続される部位の質量が大きくなるほど振動の伝搬に基づくマイクの振動特性の変動への影響が大きくなる。このため、2つの環状電極と回路基板との間を配線にて直接接続する構造とする場合、質量が大きな回路基板に直接接続されることになり、マイクの振動特性の変動を招いて障害物検知に影響を及ぼすことになる。
【0007】
また、マイク筐体の振動が配線を通じて直接回路基板に伝搬されるため、回路基板と配線との接続部、例えばはんだ付け部のクラックを誘発するなど、耐久性の低下を招くという問題も生じさせる。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、マイク筐体の振動面の振動特性が変動することを抑制でき、配線と回路基板との接続部の耐久性を向上させられる超音波センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の超音波センサは、電気信号の振動への変換および振動の電気信号への変換を行う圧電振動素子にて構成されたマイク(2)と、マイクが取り付けられる振動部を構成する一面を有する底部(3a)と側壁部(3b)とを有する有底筒状とされ、マイクが収容されるマイク筐体(3)と、前記一面への異物の付着を検知する付着センサ(8)と、を有している。そして、付着センサは、底部の一面側に備えられたセンサ電極(8aa)を含み、前記一面側への異物の付着によって容量値が変化する可変容量(8a)と、センサ電極に接続される第1電極(8ba)と、マイク筐体とは異なる部材(4、6、11)に備えられ、第1電極に対向配置された第2電極(8bb)とを有する固定容量(8b)と、固定容量を介してセンサ電極に接続され、固定容量および可変容量に対して交流信号を流すことで一面への異物の付着を検知する付着検知部(8c)と、を有している。
【0010】
このように、付着センサの回路構成において、第1電極と第2電極との間を電気的に分離している。このため、付着検知部に接続される配線部(8d)が第1電極から切り離される。したがって、振動部が超音波振動させられても、その振動が配線部にはマイク筐体と異なる部材を介してしか伝わらない。これにより、第1電極から直接振動が配線部に伝搬され、それが付着検知部に伝搬されるという現象が起こらないようにでき、マイクの振動特性の変動を抑制することが可能となる。よって、マイクの振動特性の変動によって障害物検知が的確に行えなくなることを抑制できる。
【0011】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態にかかる超音波センサの断面図である。
図2】マイク筐体の底面の一面に対する法線方向から見た付着センサに備えられる各種電極構造を示す図である。
図3】付着センサの回路図である。
図4】付着センサに備えられる各種電極構造や配線構造を示す斜視図である。
図5】比較構造の断面図である。
図6】第1実施形態と比較構造それぞれについて、付着物の有無および付着物の種類に応じた静電容量の変化を調べた結果を示す図である。
図7】第2実施形態にかかる超音波センサの断面図である。
図8】第2実施形態の変形例にかかる超音波センサの断面図である。
図9】第3実施形態にかかる超音波センサの断面図である。
図10】第4実施形態にかかる超音波センサの断面図である。
図11】第5実施形態にかかる超音波センサにおける付着センサの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0014】
(第1実施形態)
図1図4を参照して、第1実施形態にかかる超音波センサ1の構造について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る超音波センサ1は、例えば、板状の車体部品であるバンパーBを装着対象として装着されることで車両に取り付けられる。バンパーBは、車両の外表面を構成するバンパー外面B1と、その裏面であるバンパー内面B2とを有している。また、バンパーBには、超音波センサ1を装着するための貫通孔である取付孔B3が形成されている。
【0015】
超音波センサ1は、マイク2、マイク筐体3、クッション4、回路基板5、センサケース6、センサコネクタ7および付着センサ8などを有し、装着部品11を介してバンパーBに装着されている。
【0016】
マイク2は、電気信号を振動に変換したり、振動を電気信号に変換することによって超音波センサ1における集音部および放音部としての超音波トランスデューサを構成するものであり、圧電振動素子によって構成されている。マイク2は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(以下、PZTという)等の圧電膜2aと、圧電膜2aの一面側に接続された正極端子2bおよび圧電膜2aの他面側に接続された負極端子2cとを有した構成とされ、負極端子2c側がマイク筐体3に貼り付けられる。
【0017】
具体的には、マイク2のうちの正極端子2bが配置された一面側がマイク筐体3への貼り付け面と反対側を向けられている。また、負極端子2cは、圧電膜2aの他面側に形成されつつ、圧電膜2aの側面から一面側に至るような折り返し構造とされている。このため、負極端子2cは、正極端子2bから離されて絶縁されつつも、正極端子2bと同じ一面側にも形成された構造となっている。したがって、マイク2の他面側において、負極端子2cがマイク筐体3に貼り付けられてもマイク2の一面側において電気的な接続が可能となっている。そして、正極端子2bが正極配線9aを通じて回路基板5に備えられる図示しない正極パターンに電気的に接続され、負極端子2cが負極配線9bを通じて回路基板5に備えられる図示しない負極パターンに電気的に接続されている。
【0018】
このような構成では、マイク2に対して駆動信号となる電圧を印加すること、つまり正極端子2bに対して矩形波状の電圧を印加し、正極端子2bと負極端子2cとの間に繰り返し電位差を発生させることにより、マイク2を振動させることができる。また、マイク2が外部振動に基づいて変位させられると、マイク2より、それに応じた起電力を出力として発生させることもできる。そして、マイク2への駆動信号の印加およびマイク2からの起電力の出力は、マイク2と回路基板5との間を繋ぐ正極配線9aおよび負極配線9bを通じて行われるようになっている。
【0019】
さらに、本実施形態の場合、マイク2は、導電性の接着剤などを介して、導体で構成されたマイク筐体3に対して貼り付けられている。このため、マイク2の負極端子2cとマイク筐体3とが電気的に接続され、マイク筐体3が負極端子2cと共に回路基板5の接地電位点に接続されている。なお、ここではマイク筐体3が負極端子2cおよび負極配線9bを介して接地電位点に接続される構造としたが、マイク筐体3と負極端子2cとを電気的に接続せず、マイク筐体3に接地配線を直接接続し、接地配線を通じて接地電位点に接続する構成でも良い。
【0020】
マイク筐体3は、マイク2が発した振動を超音波として外部に出力したり、外部からの振動をマイク2に伝えたりする役割を果たすものであり、本実施形態のようにマイク筐体3を導体で構成する場合、ノイズに対するシールドとしての役割も果たす。マイク筐体3は、底部3aおよび側壁部3bを有した有底円筒状部材で構成されており、マイク筐体3の内側を収容空間として、底部3aの中央部にマイク2が貼り付けられることでマイク2を収容している。そして、マイク筐体3は、底部3a側がバンパー外面B1側に向けられ、側壁部3b側、換言すれば開口部側がバンパー内面B2に向けられて配置されている。
【0021】
図2中に破線で示したように、マイク筐体3の収容空間は、底部3aの一面に対する法線方向から見て、四隅が丸められた長方形状とされている。このため、マイク筐体3の側壁部3bは、収容空間が構成する長方形状のうちの短辺と対応する部位が薄肉部3ba、長辺と対応する部位が厚肉部3bbとなっている。
【0022】
このように構成されるマイク筐体3は、底部3aが振動部となることで超音波の送信を行う。具体的には、マイク2への駆動信号となる電圧の印加に基づいてマイク2が振動させられると、それに伴って底部3aも振動させられる。そして、このような動作に基づいてマイク筐体3の底部3aが超音波振動させられ、底部3aのうちの露出された一面の法線方向を指向軸として超音波が送信されるようになっている。
【0023】
また、マイク筐体3は、送信した超音波の反射波が戻ってくると、それに伴って底部3aが振動させられ、底部3aに取り付けられたマイク2にその振動を伝える。これにより、マイク2の出力として、伝えられた振動に応じた起電力が発生させられることから、超音波センサ1は、この起電力に基づいて反射波の受信を検知することができる。
【0024】
上記したように、本実施形態の場合、マイク筐体3を導体で構成しているが、導体材料としては、例えばアルミニウムや導電性ポリマーもしくは金属フィラーを樹脂で固めたもの等を用いることができる。そして、マイク筐体3は、負極端子2cおよび負極配線9bを通じて、回路基板5において接地電位点となる図示しないGND(グランド)パターンに電気的に接続されている。
【0025】
なお、ここでは図示していないが、マイク筐体3内は、シリコーンゴム等の防振材が充填される。
【0026】
クッション4は、マイク筐体3が嵌め込まれる中空部が構成される円筒部を有し、本実施形態では、有底円筒状で構成されている。このクッション4の中空部内にマイク筐体3がマイク2等と共に収容されている。クッション4は、弾性材料で構成された緩衝部材となるものであり、マイク筐体3とバンパーBもしくはセンサケース6との間における振動の伝達を抑制する。クッション4は、絶縁弾性材料によって構成され、例えばシリコーンゴム等によって構成されている。クッション4の底部には貫通孔4aが形成されており、この貫通孔4aを通じてマイク筐体3の内部が回路基板5側に向けて開口させられている。
【0027】
回路基板5は、超音波センサ1におけるセンサ回路を構成する各部が備えられたものである。この回路基板5に対して、マイク2やマイク筐体3が各配線9a、9bを介して電気的に接続されると共に、図1中には示していない各種電子部品が実装されることでセンサ回路が構成されている。
【0028】
具体的には、センサ回路は、マイク2に加えて、送信部、受信部、制御部、図3に示す付着検知部8cなどを備えた構成とされている。そして、送信部、受信部、制御部および付着検知部8cを構成する各種電子部品が回路基板5に実装されている。このセンサ回路により、障害物検知やマイク筐体3の振動部への異物の付着検知を行っている。
【0029】
送信部は、制御部からの制御信号に基づいて、マイク2への電気信号の入力として、超音波駆動用の電圧を印加する。これにより、マイク2およびマイク筐体3の底部3aが振動させられ、超音波が送信される。受信部は、差動増幅を行うアンプ等によって構成されており、受信時にマイク筐体3を通じてマイク2に伝えられた振動を電気信号に変換する。制御部は、送信部からの超音波の送信に関する制御、受信部による反射波の受信に関する制御を行う。付着検知部8cは、異物の付着検知を行うためのものであり、センサ回路の一部として備えられる付着センサ8の一部を構成するものである。付着検知部8cの詳細および異物の付着検知については後で詳述する。ここでは付着検知部8cを制御部と別構成として示しているが、制御部内に付着検知部8cが備えられるようにしても良い。
【0030】
このように構成されたセンサ回路は、例えば車両走行時などに障害物検知が要求される自動運転などのアプリケーションが起動された際に、当該アプリケーションから指令が届き、障害物検知を行う。すなわち、アプリケーションから指令が届くと、制御部が送信部を制御してマイク2に所定の電圧を印加させ、超音波を送信させる。また、この超音波が障害物で反射してその反射波が戻ってくると、その反射波に基づく振動がマイク2にて電気信号に変換されるため、それが受信部で受信される。このため、制御部は、送信部からの超音波の送信タイミングと受信部での反射波の受信タイミングとの時間間隔に基づいて、車両から障害物までの距離を求めるなどの障害物検知を行い、その検知結果をアプリケーションに伝えるようになっている。
【0031】
なお、ここでは制御部を回路基板5に備えた構成として説明するが、制御部については超音波センサの外部に備えられた構成とされていても良い。例えば、超音波センサの外部に備えられた障害物検知が要求されるアプリケーションを実行するための電子制御装置(以下、ECUという)、もしくは、そのアプリケーションからの指令に基づいて超音波センサを制御するECUが制御部であっても良い。例えば、超音波センサを制御するECUとしては、ソナーECUが挙げられる。制御部が超音波センサの外部に備えられる場合、回路基板5に制御部との通信を行うためのインターフェイス(以下、I/Fという)を備えた構成とされる。そして、I/Fを通じて、制御部からの駆動信号が回路基板5に入力されることで、送信部と受信部および付着検知部8cが駆動され、受信部での受信結果や付着検知部8cでの検知結果が制御部に伝えられる。
【0032】
センサケース6は、超音波センサ1のケーシングを構成する中空状の部材であって、ポリブチレンテレフタレート等の硬質な絶縁性合成樹脂によって一体に形成されている。
【0033】
具体的には、センサケース6は、筒状部に相当する円筒部6aと略長方体状とされた収容部6bおよびコネクタケース6cとを有した構成とされている。円筒部6aの内部と収容部6bの中空部は連通されており、円筒部6a内にマイク2を貼り付けたマイク筐体3およびクッション4が固定されると共に、クッション4の貫通孔4aを通じて各種配線9a、9bが収容部6b側に引き出されている。収容部6bの中空部内には回路基板5が配置されており、センサコネクタ7の一端も引き出されている。回路基板5は、収容部6bの内部において各種配線9a、9bと電気的に接続されており、センサコネクタ7の一端とも電気的に接続されている。また、収容部6bのうち円筒部6aと反対側の一面は開口させられており、この開口させられた部分から収容部6bの中空部内を充填するように防湿性部材10が備えられている。
【0034】
コネクタケース6cは、センサケース6の一端に備えられており、コネクタケース6cからセンサコネクタ7の他端が露出させられている。
【0035】
センサコネクタ7は、超音波センサ1と外部との電気的接続を行うためのものである。図中には1本しか示していないが、例えば電圧印加用、GND接続用、出力用などの複数本が備えられている。センサコネクタ7は、一端がセンサケース6における収容部6b内に引き出され、回路基板5に接続されていると共に、他端がコネクタケース6cから露出させられている。そして、コネクタケース6cに対して図示しない外部コネクタが接続されることで、コネクタケース6cから露出されたセンサコネクタ7の他端が外部コネクタに備えられた端子に接続され、超音波センサ1と外部との電気的接続が行われるようになっている。
【0036】
付着センサ8は、振動部への異物の付着、例えば雪の付着などを検知するためのものである。付着センサ8は、図3に示す回路構成とされ、可変容量8a、固定容量8b、付着検知部8cおよび配線部8dなどを有した構成とされている。
【0037】
可変容量8aは、本実施形態のようにマイク筐体3を導体で構成する場合には、図1図2および図4に示されるセンサ電極8aaと図1に示されるマイク筐体3の表面を覆うように形成された非導体膜8abとマイク筐体3によって構成される。センサ電極8aaは、マイク筐体3の底部3aの一面側において、非導体膜8abの表面に形成されている。センサ電極8aaの形状については任意であるが、本実施形態の場合はセンサ電極8aaを円形状とし、底部3aの内周部において底部3aの中心と同軸的に配置している。非導体膜8abは、例えば絶縁膜や誘電体膜で構成されている。非導体膜8abは、少なくともセンサ電極8aaとマイク筐体3との間を電気的に分離してこれらの間に容量が構成されるようにしてあり、本実施形態ではマイク筐体3の底部や側壁部3bのうちの外側面を全面覆うように形成されている。この可変容量8aは、センサ電極8aaやその周囲に雪などの異物が付着すると、付着していない場合と比較して静電容量の容量値が変化するようになっている。
【0038】
なお、ここでは可変容量8aをセンサ電極8aaとマイク筐体3とによって構成したが、センサ電極8aaをもう一つ非導体膜8abの表面に形成し、2つのセンサ電極8aaによって構成することもできる。
【0039】
固定容量8bは、第1電極8baと第2電極8bbを有した構成とされている。第1電極8baは、センサ電極8aaに接続されており、固定容量8bのうちの一方の電極を構成していて第2電極8bbに対向配置されている。本実施形態の場合、第1電極8baは、マイク筐体3の側壁部3b上に、上記した非導体膜8abを介して配置されており、側壁部3bの周方向に沿って円弧状に配置されている。
【0040】
図4に示すように、ここではセンサ電極8aaを中心とした両側に第1電極8baが2つ対称配置されるようにしている。これはマイク筐体3の組み付け性を考慮したものであり、いずれか一方が第2電極8bbに対向配置されれば良い。より詳しくは、各第1電極8baは、側壁部3bのうちの厚肉部3bbと対応する部位に配置されており、薄肉部3baと対応する部位には配置されていない。マイク筐体3のうち特に振動部の振動に影響を与えるのは薄肉部3baの部分であり、その部分を避けて第1電極8baを配置することで、第1電極8baを備えることによる振動特性の変動を抑制できるようにしている。
【0041】
第2電極8bbは、第1電極8baから所定距離離れた位置に対向配置され、第1電極8baと容量結合されて固定容量8bを構成することで付着センサ8の回路接続が行われるようにするものである。第2電極8bbは、ここではクッション4とセンサケース6における円筒部6aとの間に配置されており、クッション4の外周面において周方向に沿って円弧状に配置されている。なお、第2電極8bbは、第1電極8baと全域対向するように配置されるのが好ましいが、部分的に対向した状態もしくはセンサ電極8aaの両側に配置された第1電極8baの両方に部分的に対向した状態とされていても良い。
【0042】
付着検知部8cは、回路基板5にセンサ回路の一部として備えられたものである。付着検知部8cは、付着検知を行う際に、図3に示すように固定容量8bおよび可変容量8aを通じる電流経路にセンシング電流となる交流信号を流し、固定容量8bおよび可変容量8aの容量値を算出することで異物の付着の有無を検知する。第1電極8baと第2電極8bbとの間に構成された固定容量8bは、静電容量による容量結合であるため、交流信号・電力を伝達することが可能となっている。
【0043】
具体的には、図3に示すように、固定容量8bの容量値をCa、可変容量8aの容量値をCsenとすると、容量値Caは一定値、容量値Csenは異物の付着の状況に応じて可変値を取ることになる。そして、容量値Caや異物が付着していない状況での容量値Csenについては、超音波センサの製造後に予め測定器にて測定しておくことで値を特定しておける。このため、付着検知部8cにおいて、センシング電流を流したときの回路の合計容量値Callを測定すれば、次式に基づいて、合計容量値Callと固定容量8bの容量値Caとから可変容量8aの容量値Csenを算出できる。
【0044】
(数1)
1/Call=(1/Ca)+(1/Csen)
このようにして容量値Csenを算出できれば、容量値Csenが振動部への異物の付着の状況に応じた値になることから、付着検知部8cにおいて、容量値Csenに基づき異物の付着を検知することが可能となる。また、容量値Csenを算出しなくても、合計容量値Callは容量値Csenの変化に伴って変化する値であることから、合計容量値Callに基づいて異物の付着を検知しても良い。
【0045】
配線部8dは、第2電極8bbと回路基板5とを電気的に接続するものである。本実施形態の場合、配線部8dは、クッション4と円筒部6aとの間を通じて回路基板5に接続されている。配線部8dは、第2電極8bbとは電気的に接続されているが、第1電極8baとは切り離されている。つまり、第1電極8baに繋がる配線が質量の大きな回路基板5に直接接続されないようにしている。このため、振動部が超音波振動させられても、その振動が配線部8dにはクッション4を介してしか伝わらない。これにより、第1電極8baから直接振動が配線部8dに伝搬され、それが回路基板5に伝搬されるという現象が起こらないようにでき、マイク2の振動特性の変動を抑制することが可能となる。よって、マイク2の振動特性の変動によって障害物検知が的確に行えなくなることを抑制できる。
【0046】
また、回路基板5に直接振動が伝搬されないため、回路基板5と配線部8dとの接続部、例えばはんだ付け部のクラックが生じにくくなるようにでき、耐久性向上を図ることも可能となる。
【0047】
配線部8dがクッション4とマイク筐体3との間に挟まれた構造とされる場合、配線部8dが厚かったり、挟まれる範囲が広かったりすると、配線部8dを挟み込むことによりマイク筐体3とクッション4との間に拘束力が発生する。そして、その拘束力の影響で、振動部の振動特性が変動し得る。しかしながら、本実施形態の場合、配線部8dがクッション4の外側に配置され、クッション4とマイク筐体3との間には厚みの薄い第2電極8bbが配置されただけとなっている。このため、さらに振動部の振動特性の変動を抑制することが可能となる。
【0048】
装着部品11は、バンパーBに対して超音波センサ1を強固に固定するリテーナおよびバンパー外面B1に露出させられる意匠としてのベゼルを構成する部品であり、樹脂などによって構成されている。本実施形態の場合、装着部品11は、円筒部11aとフランジ部11bおよびストッパー部11cを有した構成とされている。
【0049】
円筒部11aは、センサケース6の円筒部6aやマイク筐体3等が嵌め込まれる部分である。この円筒部11aの中空部内に円筒部6aやマイク筐体3等が嵌め込まれることで、超音波センサ1が装着部品11に保持される。フランジ部11bは、円筒部11aの一端に配置され、円筒部11aから径方向外側に延設された部分である。このフランジ部11bの外側の一面がバンパー外面B1から露出させられる意匠としてのベゼルを構成している。ストッパー部11cは、フランジ部11bから所定距離離れた位置において円筒部11aの側面に形成されている。このストッパー部11cとフランジ部11bの内側の一面との間にバンパーBにおける樹脂部が挟み込まれることで、装着部品11がバンパーBに強固に固定され、超音波センサ1がバンパーBに装着される。
【0050】
以上のようにして、本実施形態にかかる超音波センサ1が構成されており、装着部品11を介してバンパーBに装着されている。このように構成される超音波センサ1は、上記したように、例えば、障害物検知が要求されるアプリケーションからの指令が回路基板5に入力されると、制御部が送信部を制御して超音波を送信させると共に、受信部でその反射波を受信することで障害物検知を行う。また、超音波センサ1による障害物検知が行われていないタイミング、つまりマイク2による超音波振動が行われていないとき、例えば車両のイグニッションスイッチなどの起動スイッチがオンされたときに、付着センサ8にて異物の付着検知を行う。
【0051】
このとき、本実施形態の超音波センサでは、付着センサ8の回路構成において、第1電極8baと第2電極8bbとの間を電気的に分離し、第2電極8bbと回路基板5に備えられた付着検知部8cとの間を接続する配線部8dが第1電極8baから切り離されている。このため、振動部が超音波振動させられても、その振動が配線部8dにはクッション4を介してしか伝わらない。これにより、第1電極8baから直接振動が配線部8dに伝搬され、それが回路基板5に伝搬されるという現象が起こらないようにでき、マイク2の振動特性の変動を抑制することが可能となる。よって、マイク2の振動特性の変動によって障害物検知が的確に行えなくなることを抑制できる。
【0052】
効果確認の一例として、本実施形態の構造と図5に示すように配線部8dをクッション4とマイク筐体3との間に挟み込んだ比較構造とについて、異物の付着が無い場合、異物として雪が付着した場合、水が付着した場合、それぞれでの容量値の変化を調べた。そして、図6に示す結果が得られた。なお、ここでの容量値は、付着検知部8cで測定される合計容量値Callに相当するものであり、図5に示す比較構造においては、本実施形態でいう可変容量8aのみの容量値となる。
【0053】
この図に示されるように、本実施形態の構造と図5に示す比較構造のいずれの場合も、センサ電極8aaの周辺に異物の付着があった場合、その付着物の種別、面積に応じて静電容量が変化する。具体的には、異物の付着があると、付着が無い場合よりも容量値が増加する。そして、雪が付着した場合には、付着面積が小さいため容量変化が小さな値となり、水が付着した場合には、付着面積が大きいため容量変化が大きな値として現れる。このため、合計容量値Callに基づいて、もしくは合計容量値Callから算出可能な容量値Csenに基づいて、異物の付着を検知することができ、その絶対値もしくは変化量に基づいて付着物の種類を特定することも可能となる。
【0054】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して固定容量8bの構成等を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0055】
図7に示すように、本実施形態では、固定容量8bを第1固定容量8b1と第2固定容量8b2の2つで構成し、センサ電極8aaと回路基板5との間に第1固定容量8b1と第2固定容量8b2の2つが介在するようにしている。
【0056】
具体的には、第1固定容量8b1は、第1実施形態と同様に第1電極8baと第2電極8bbとによって構成されている。また、第2固定容量8b2は、第3電極8bcと第4電極8bdとによって構成されている。第3電極8bcは、クッション4の底部とセンサケース6における円筒部6aの底部との間に配置され、第2電極8bbと第3電極8bcとが配線部8eを通じて接続されている。第4電極8bdは、センサケース6のうち回路基板5が配置される収容部6bの内壁面において第3電極8bcと対向するように配置されている。そして、第4電極8bdと回路基板5との間が配線部8dを介して接続されている。
【0057】
このような構成においては、固定容量8bが第1固定容量8b1と第2固定容量8b2の2つで構成されているが、これらの合成容量によって固定容量8bが構成されているのと同様であるため、本実施形態の付着センサ8の回路構成も図3と同様になる。したがって、本実施形態のような構成としても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
さらに、本実施形態のように、固定容量8bを2つで構成することで、第1固定容量8b1と第2固定容量8b2の形状や取り付け構造をそれぞれで設計できる。このため、特に、クッション4やセンサケース6などが複雑な形状である場合などに、固定容量8bの組み付け工程や形状の簡素化を図ることが可能となり、低コスト化を図ることもできる。
【0059】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態のように固定容量8bを第1固定容量8b1と第2固定容量8b2の2つで構成する場合において、第1固定容量8b1と第2固定容量8b2の配置場所についても適宜変更可能である。
【0060】
例えば、図8に示すように、第4電極8bdをセンサケース6における円筒部6aの外側に配置して第3電極8bcと対向させる。そして、配線部8dを円筒部6aに沿って引き回し、センサケース6のうちの収容部6bの壁面を貫通させて回路基板5に接続する。このような構成としても、固定容量8bを第1固定容量8b1と第2固定容量8b2の2つで構成することができる。
【0061】
また、第2実施形態では、固定容量8bを第1固定容量8b1と第2固定容量8b2の2つで構成するようにしたが、複数で構成すれば良く、2つよりもさらに多くしても良い。
【0062】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態も、第1実施形態に対して固定容量8bの構成等を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0063】
図9に示すように、本実施形態では、第1電極8baをマイク筐体3の底部3aにおけるセンサ電極8aaが配置された一面に配置している。また、クッション4の先端面、つまりクッション4のうちのマイク筐体3の底部3a側の先端の一面が底部3aにおけるセンサ電極8aaが配置された一面とほぼ同一平面となるようにし、第2電極8bbをクッション4の先端面に配置させている。なお、第1電極8baと第2電極8bbの形状については任意であるが、第1電極8baについてはマイク筐体3の底部3aの一面の外縁部に円弧状で構成し、第2電極8bbについてはクッション4の先端面に円弧状で構成すると良い。
【0064】
このようにしても、第1電極8baと第2電極8bbとをほぼ同一平面内で対向配置させて固定容量8bを構成することができる。このような構成とする場合、クッション4とマイク筐体3との間に第1電極8baが挟み込まれないため、マイク筐体3とクッション4との間の拘束力が発生しない。したがって、更に振動部の振動特性への影響を低減することが可能となり、より的確な障害物検知が可能となる。また、本実施形態でも、第1電極8baを厚肉部3bbと対応した位置に形成することで、振動特性の変動を抑制できる。
【0065】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態も、第1実施形態に対して固定容量8bの構成等を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0066】
図10に示すように、本実施形態では、固定容量8bの第2電極8bbをクッション4とマイク筐体3との間に配置し、配線部8dがクッション4の先端面から側面に至り、クッション4と円筒部6aとの間を通って回路基板5に接続されるようにしている。
【0067】
第1電極8baと第2電極8bbとが離れて配置され、第1電極8baと第2電極8bbとの間に隙間が形成されることで空気層が構成されるようにしてある。例えば、クッション4が柔らかい材質のものであることから、第2電極8bbと配線部8dとによってクッション4を変形させたり、クッション4に凹部を設けたりして、第1電極8baと第2電極8bbとの間に隙間が設けられるようにできる。または、第1電極8baと第2電極8bbのいずれかの表面に絶縁膜や誘電体膜で構成される非導体膜が成膜されることで、第1電極8baと第2電極8bbとが離れて配置され、これらの間に非導体膜が介在する構成とされている。
【0068】
このようにすれば、第2電極8bbをクッション4とマイク筐体3との間に配置した構造にできる。この場合、第1電極8baと第2電極8bbとの間の距離dを0に近付けることができ、固定容量8bの容量値Caを大きくできて、例えば可変容量8aの容量値Csenよりも大きくなるようにできる。直列のコンデンサでは容量値Ca>>容量値Csenとすることで、容量値Caの容量を無視することができる。このため、容量値Ca>>容量値Csenとなるような電極配置にすることで、製造時の組付け誤差による容量値Caのキャリブレーションが不要となり、製造コストを削減することができる。
【0069】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態も、第1実施形態に対して固定容量8bの構成等を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0070】
上記第1実施形態では、可変容量8aと付着検知部8cとの間に固定容量8bを配置する構成としたが、それに加えて可変容量8aと接地電位点との間に固定容量8bを配置するようにしても良い。その場合、図11に示すような回路構成となる。例えば、第1実施形態などのように、センサ電極8aaとマイク筐体3との間に可変容量8aを構成するのではなく、底部3aの一面側に2つのセンサ電極8aaを対向配置して可変容量8aを構成する場合に、図11の回路構成を取りやすい。
【0071】
可変容量8aと接地電位点との間に固定容量8bを備える場合、例えば第1~第4実施形態で説明した固定容量8bと同じ構造のものを備えるようにする。また、その固定容量に接続される配線部についても配線部8dと同じ構造のものを備えつつ、それを回路基板5などにおける接地電位点に接続する。このような構成としても、第1~第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0072】
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0073】
例えば、超音波センサを構成するマイク2、マイク筐体3およびセンサケース6等の各部品の構造については、一例を挙げたに過ぎず、適宜変更可能である。一例を挙げると、マイク筐体3を有底円筒状としているが、有底筒状であれば良い。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。例えば、第2実施形態のように固定容量8bを複数にする場合において、固定容量8bの1つを第3、第4実施形態の構造とすることも可能である。
【0074】
また、上記実施形態では、第2電極8bbをクッション4に備える場合を例に挙げて説明したが、第2電極8bbについてはマイク筐体3と異なる部材に備えられることで振動部からの振動が直接伝わらない構造とされていれば良い。換言すれば、クッション4を介して第2電極8bbが第1電極8baに対向配置された構造であっても良い。例えば、第2電極8bbをセンサケース6、具体的には円筒部6aの内周面もしくは外周面のうち第1電極8baと対向する部位に備えるようにしても良い。さらに、装着部品11のうち第1電極8baと対向する部位に第2電極8bbを備えるようにしても良い。このように、センサケース6や装着部品11のようにマイク2やマイク筐体3などをバンパーB等の装着対象に取り付けるために用いる補助部品に備えることもできる。このような補助部品に第2電極8bbを備えることで、個別の部品として第2電極8bbを備えなくても良くなり、組み付け工数が低減でき、低コスト化を図ることができる。ただし、第2電極8bbが第1電極8baから近いほど、固定容量8bの容量値Caを大きな値にできるため、クッション4に備えるのが好ましい。
【0075】
また、超音波センサ1が装着される装着対象となるボデー部品の一例として、バンパーBを例に挙げて説明したが、バンパーB以外のボデー部品、例えばフェンダーパネル等に超音波センサ1を装着することもできる。
【符号の説明】
【0076】
1…超音波センサ、2…マイク、3…マイク筐体、3a…底部、3b…側壁部、4…クッション、5…回路基板、8…付着センサ、8a…可変容量、8aa…センサ電極、8b…固定容量、8ba…第1電極、8bb…第2電極、8c…付着検知部、8d…配線部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11