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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/16 20060101AFI20221220BHJP
   F16H 59/68 20060101ALI20221220BHJP
   F16H 63/42 20060101ALI20221220BHJP
   A01B 63/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F16H61/16
F16H59/68
F16H63/42
A01B63/00 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019180132
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021055771
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武智 伊佐夫
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-309228(JP,A)
【文献】特開2011-75108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00
F16H 61/00
F16H 63/00
A01B 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体と、
前記走行車体に装着される作業機と、
エンジンから駆動輪へ動力を伝達する動力伝達装置に制御部で制御される変速装置を有し、
路上を走行するための公道走行スイッチを押すと、前記変速装置の変速を規制して所定の車速以上での走行を抑制し、
路上での低速走行時に後方へ表示する後方表示器と、
後方表示器の装着を検知する後方表示器センサを備え、
後方表示器センサが後方表示器の装着を検知しているときも、前記変速装置の変速を規制して所定の車速以上の車速で走行することを抑制すること
を特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記変速装置は副変速部であり、前記公道走行スイッチを押すと、前記副変速部の最も高速段への変速を規制して走行車速を規制すること
を特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行車体の後方に反射板を備え、走行車体に装着される作業機によって反射板が遮蔽されないように、遮蔽物を検知するセンサを反射板の近傍に設けて作業機の昇降制御を行う作業車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-108687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業車両は、作業機を装着した状態で路上を走行する場合には、作業機の位置を、反射板などを遮蔽しない位置とすることが望ましい。また、作業機を装着した場合では重心の位置が変わるなどして、重量バランスが変化するため、走行時の車速を一定の車速以下に抑えることが望ましい。
【0005】
しかしながら、運転者が注意して車速を抑制するように運転していても、不注意により高速で走行することがあり、安全上好ましくなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車速を適切に抑制して作業機を付けた状態でも安全に路上走行できる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の一態様に係る作業車両(1)は、走行車体(2)と、前記走行車体(2)に装着される作業機(W)と、エンジン(E)から駆動輪(4,5)へ動力を伝達する動力伝達装置(71)に制御部(40)で制御される変速装置(70)を有し、路上を走行するための公道走行スイッチ(91)を押すと、前記変速装置(70)の変速を規制して所定の車速以上での走行を抑制し、路上での低速走行時に後方へ表示する後方表示器(110,117)と、後方表示器(110,117)の装着を検知する後方表示器センサ(114)を備え、後方表示器センサ(114)が後方表示器110,117)の装着を検知しているときも、前記変速装置(70)の変速を規制して所定の車速以上の車速で走行することを抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様に係る作業車両によれば、車速を適切に抑制して作業機を付けた状態でも安全に路上走行できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る作業車両の概略左側面図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機を規定の高さまで上昇させた場合を示す図である。
図3図3は、作業車両(トラクタ)1の動力伝達模式説明図である。
図4図4は、操縦席右側方の概略斜視図である。
図5図5は、操縦席の前方にある操作機器の説明図である。
図6図6は、図5におけるA部の拡大図である。
図7図7は、制御部のブロック図である。
図8図8は、作業機を右後ろから見た斜視図である。
図9図9は、作業機を右前から見た斜視図である。
図10図10は、図8の断面Cを矢印Aの方向から見た断面図である。
図11図11は、作業機を左後ろから見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本願の開示する作業車両の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
まず、図1を参照して実施形態に係る作業車両1の全体構成について説明する。図1は、実施形態に係る作業車両1の説明図であり、作業車両1の概略左側面図である。なお、以下では、作業車両1としてトラクタを例に説明する。
【0012】
作業車両であるトラクタ1は、自走しながら圃場などで作業を行う農業用トラクタである。また、トラクタ1は、操縦者(作業者ともいう。)が搭乗して圃場内を走行しながら所定の作業を実行する他、後述する制御装置40(図3参照)を中心とする制御系による各部の制御により、圃場内を自動走行しながら所定の作業を実行する。
【0013】
また、以下において、前後方向とは、トラクタ1の直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定する。トラクタ1の進行方向とは、直進時において、後述する操縦席8からステアリングホイール9に向かう方向である。
【0014】
左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。以下では、「前」側へ向けて左右を規定する。すなわち、トラクタ1の操縦者が操縦席8に着座して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。
【0015】
上下方向とは、鉛直方向に平行する方向である。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交する。なお、各方向は説明の便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、トラクタ1を指して「機体」という場合がある。
【0016】
図1に示すように、トラクタ1は、走行車体2と、作業機Wとを備える。走行車体2は、車体フレーム3と、前輪4と、後輪5と、ボンネット6と、エンジンEと、操縦部7と、ミッションケース10とを備える。車体フレーム3とミッションケース10は、走行車体2のメインフレームである。
【0017】
前輪4は、左右一対であり、主に操舵用の車輪(操舵輪)となる。後輪5は、左右一対であり、主に駆動用の車輪(駆動輪)となる。トラクタ1は、後輪5が駆動する二輪駆動(2WD)と、前輪4および後輪5が共に駆動する四輪駆動(4WD)とを切り替え可能に構成されてもよい。この場合、駆動輪は、前輪4および後輪5の両方である。なお、走行車体2は、車輪(前輪4および後輪5)に代えてクローラ装置を備えてもよい。この場合、走行クローラが駆動輪である。
【0018】
ボンネット6は、走行車体2の前部において開閉自在に設けられる。ボンネット6は、後部を回動中心として上下方向に回動(開閉)可能である。ボンネット6は、閉じた状態で、車体フレーム3上に搭載されたエンジンEを覆う。エンジンEは、トラクタ1の駆動源であり、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関である。
【0019】
操縦部7は、走行車体2の上部に設けられ、操縦席8やステアリングホイール9などを備える。操縦部7は、走行車体2の上部に設けられたキャビン7aに覆われることで形成されてもよい。操縦席8は、操縦者の座席である。ステアリングホイール9は、操舵輪である前輪4を操舵する場合に操縦者により操作される。なお、操縦部7は、ステアリングホイール9の前方に、各種情報を表示するメータパネル11(表示部)を備える。
【0020】
また、操縦部7は、前後進レバー201、アクセルレバー、主変速操作部17、副変速レバー14などの各種操作レバーや、クラッチペダル18、ブレーキペダル15、アクセルペダル19などの各種操作ペダルを備える。
【0021】
ミッションケース10は、トランスミッション(変速機構)を収容している。トランスミッションは、エンジンEから伝達される動力(回転動力)を適宜減速して駆動輪である後輪5や、PTO(Power Take-off)軸16へ伝達する。
【0022】
走行車体2の後部には、圃場内で作業を行う作業機Wが連結され、作業機Wを駆動する動力を伝達するPTO軸16がミッションケース10から後方へ突出している。PTO軸16は、トランスミッションによって適宜減速された回転動力を、走行車体2の少なくとも後部に装着された作業機Wへ伝達する。
【0023】
また、走行車体2の後部には、作業機Wを昇降させる昇降装置12が設けられる。昇降装置12は、作業機Wを上昇させることで、作業機Wを非作業位置に移動させる。非作業位置は、例えば、走行車体2が後退する場合や、走行車体2が旋回する場合に、作業機Wを上昇させる位置である。また、昇降装置12は、作業機Wを下降させることで、作業機Wを対地作業位置に移動させる。昇降装置12は、油圧式の昇降シリンダ121と、リフトアーム122と、リフトロッド123と、ロワリンク124と、トップリンク125とを備える。
【0024】
リフトアーム122は、昇降シリンダ121に作動油が供給されると、回動支点となる軸AXまわりに作業機Wを上昇させるように回動し、昇降シリンダ121から作動油が排出されると、軸AXまわりに作業機Wを下降させるように回動する。なお、リフトアーム122の基部(軸AX付近)には、リフトアーム122の回動角度を検知するリフトアームセンサ26が設けられる。作業機Wの高さは、リフトアームセンサ26の検知結果や、作業機Wに取り付けられた作業機測位装置31により得られる作業機Wの高さと走行車体2に取り付けられた車体測位装置30により得られる走行車体2の高さの比較に基づいて算出される。車体測位装置30および作業機測位装置31は、たとえば、GNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナであり、上空を周回している航法衛星Sからの電波を受信して測位および計時を行うことができる。また、測位結果の履歴や電波のドップラー効果などから移動速度を算出することもできる。
【0025】
また、リフトアーム122は、リフトロッド123を介してロワリンク124に連結される。このように、昇降装置12は、ロワリンク124とトップリンク125とで、走行車体2に対して作業機Wを昇降可能に連結する。ロワリンク124はミッションケース10の後部に取り付けられると共にドラフトセンサ27によりロワリンク124に係る荷重が検出される。この荷重の検出により作業機装着の有無を判定することができる。
【0026】
作業機Wは、圃場内で作業を行う機械である。図1に示す例では、作業機Wは、圃場において耕耘作業を行うロータリ耕耘機である。ロータリ耕耘機は、PTO軸16から伝達された動力によって耕耘爪61が回転することで、圃場面(土壌)を耕耘する。
【0027】
また、トラクタ1は、制御装置40(図3参照)を備える。制御装置40は、エンジンEを制御するとともに、走行車体2の走行速度を制御する。また、制御装置40は、作業機Wを昇降制御する。
【0028】
また、トラクタ1は、作業者による情報処理端末(タブレット端末などの携帯端末)100の操作によって、特定の圃場における各種作業の設定などを行うことができる。情報処理端末100は、たとえば、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などで構成される記憶部と、タッチパネルにより構成される表示部および操作部とを備える。なお、操作部として、各種キーやボタンなどが別に設けられてもよい。
【0029】
また、トラクタ1は、障害物センサ20を備える。障害物センサ20は、前方センサ21と、後方センサ22とを備える。前方センサ21は、たとえば、ボンネット6の前方に設けられたセンサ取付ステー13に取り付けられるなど、走行車体2の前部に配置され、走行車体2の前方に存在する障害物(人や、物体)を検知する。
【0030】
後方センサ22は、たとえば、キャビン7aの上部に取り付けられるなど、走行車体2の後部上側に配置され、走行車体2の後方に存在する障害物を検知する。なお、後方センサ22は、図示しないモータによってキャビン7a、すなわち走行車体2に対する角度を変更することができる。
【0031】
また、前方センサ21および後方センサ22は共に、中距離センサであり、好ましくは赤外線センサである。前方センサ21および後方センサ22は、赤外線ビームを放射し、障害物からの反射光を検知する。前方センサ21は、前方に延びる検知領域を有する。また、後方センサ22は、後方へ延びる検知領域を有する。
【0032】
前方センサ21および後方センサ22は、たとえば、赤外線ビームを放射した後、障害物からの反射光を検知するまでの時間を測定することで、障害物までの距離を検知することができる。赤外線センサである前方センサ21および後方センサ22は、障害物を2次元的に検知し、たとえば、数メートルから数10メートル程度の検知領域である。なお、障害物センサ20として、赤外線センサ以外のソナーやミリ波レーダーなど他の中距離センサを用いることやその併用も可能である。
【0033】
図2は、実施形態に係る作業機を規定の高さまで上昇させた場合を示す図である。本実施形態では、トラクタ1は、車体測位装置30により得られる走行車体2の位置H1と作業機測位装置31により得られる作業機Wの位置H2から、走行車体2に対する作業機Wの位置Hが算出される。図2に示す例では、作業機測位装置31が、車体測位装置30に対して所定の位置Hに配置されるように昇降されている。所定の位置Hは例えば、作業機Wの下端位置が地面から20センチ程度の位置に存在する昇降位置に相当するように設定される。また、リフトアーム122の角度Dを検出するリフトアームセンサ26の検出値が所定の値となるように昇降して作業機Wの下端位置が地面から20センチ程度の高さになるように調整することも可能である。
【0034】
次に、図3を参照してトラクタ1の動力伝達について説明する。図3は、作業車両(トラクタ)1の動力伝達模式説明図である。図3に示すように、トラクタ1は、ミッションケース10内に、変速装置(トランスミッション)70を備えている。変速装置70は、エンジンEから後輪5などへ回転動力を伝達する動力伝達装置71を備えている。動力伝達装置71は、エンジンEから出力される回転動力を、前輪4、後輪5および、走行車体2に連結された作業機W(図1参照)へ伝達し、前輪4、後輪5および作業機Wを駆動する。
【0035】
動力伝達装置71は、前後進切換部72と、主変速部73と、副変速部74と、前輪変速部75とを備えている。動力伝達装置71は、エンジンEからの回転動力を、たとえば、入力軸76、前後進切換部72、主変速部73、副変速部74を順に介して後輪5,5へ伝達する。
【0036】
また、動力伝達装置71は、エンジンEからの回転動力を、たとえば、入力軸76、前後進切換部72、主変速部73、副変速部74、前輪変速部75を順に介して前輪4,4へ伝達する。また、動力伝達装置71は、エンジンEからの回転動力を、たとえば、入力軸76、PTO駆動部93を順に介して作業機Wへ伝達する。
【0037】
図3に示すように、入力軸76は、エンジンEの出力軸に設けられ、エンジンEからの回転動力が伝達(入力)される。なお、以下では、動力伝達の方向について、エンジンE側を動力伝達上流側と規定し、最終的な出力先である前輪4,4、後輪5,5および作業機W側をそれぞれ動力伝達下流側と規定する。
【0038】
前後進切換部(以下、前後進クラッチ部という)72は、エンジンEから伝達される回転動力を、メイン軸77の正逆転によって、前進方向の回転または後進方向の回転に切り換える。前後進クラッチ72部は、たとえば、操縦席8において前後進レバー201(図1参照)が操作されることで、前後進バルブv1を介する油圧制御によって、前進と後進とを切り換える。
【0039】
主変速部73は、主変速装置92と、高低(Hi-Lo)変速装置94とを備えている。主変速装置92は、エンジンEからの回転動力を、複数の変速段のいずれかで変速する。主変速装置92は、第1主変速クラッチ92aと、第2主変速クラッチ92bとを備え、複数の変速段として、たとえば1速ギヤ~4速ギヤを備えている。
【0040】
第1主変速クラッチ92aは、主変速操作部17の操作により制御される主変速第1バルブv2により油圧制御され、第2主変速クラッチ92bは、主変速操作部17の操作により制御される主変速第2バルブv3により油圧制御される。
【0041】
主変速装置92は、第1主変速クラッチ92aおよび第2主変速クラッチ92bの接続状態に応じて、エンジンEからの回転動力を1速ギヤ~4速ギヤのいずれかの変速比で変速して後段、すなわち動力伝達下流側へ伝達する。主変速装置92は、たとえば、操縦席8において主変速操作部17(図4参照)が操作されることで、1速ギヤ~4速ギヤのうちの1つを選択する。
【0042】
高低(Hi-Lo)変速装置94は、エンジンEからの回転動力を、高速段または低速段で変速する。高低(Hi-Lo)変速装置94は、高速(Hi)側油圧多板クラッチ(Hiクラッチ)と、低速(Lo)側油圧多板クラッチ(Loクラッチ)と、高速(Hi)ギヤと、低速(Lo)ギヤとを備えている。なお、HiクラッチとLoクラッチとは、「Hi-Loクラッチ」を形成する。
【0043】
Hi-Loクラッチは、主変速装置92によって変速された回転動力を、高速(Hi)ギヤの変速比または低速(Lo)ギヤの変速比で変速して後段、すなわち動力伝達下流側へ伝達する。Hi-Loクラッチは、たとえば、操縦席8において主変速操作部17が4速~5速の間で操作されることで、高低バルブv4を介する油圧制御によって、自動的に高速(Hi)側または低速(Lo)側に切り換える。Hi-Loクラッチは、たとえば、高速(Hi)側4段、低速(Lo)側4段の8段変速となる。
【0044】
副変速部74は、エンジンEから、たとえば、前後進クラッチ部72、主変速部73(主変速装置、高低変速装置)を順に介して伝達される回転動力を複数の変速段のいずれかに変速可能である。副変速部74は、第1副変速クラッチ74aと、第2副変速クラッチ74bとを備え、複数の変速段として、たとえば1速ギヤ~4速ギヤを備えている。
【0045】
副変速部74は、変速軸78に伝達された回転動力を、第1副変速クラッチ74a、第2副変速クラッチ74b、複数のギヤを介して変速して出力軸79へ伝達する。副変速部74は、エンジンEから伝達されさらに主変速部73などで変速された回転動力を、たとえば4段変速して後輪5,5側へ伝達する。副変速部74の変速段は、副変速レバー14の操作により制御される副変速第1バルブv5と、副変速第2バルブv6により油圧制御される。
【0046】
すなわち、メイン軸77の回転は、たとえば4段変速する主変速装置92と、高低2段に変速する高低(Hi-Lo)変速装置94と、機械式にたとえば4段変速する副変速機とによって変速され、最終的に出力軸79へ伝達される。副変速の最も高速な変速段は主に路上走行する場合に使用され、所定の速度以上(例えば、15km/h以上)で走行できる。公道走行ボタン91を押すと、所定の速度以上で走行可能な変速段への変速を規制するため、作業機をつけた状態で走行しても安全に路上走行できる。規制はバルブv5などへの信号の出力を規制することにより実行される。
【0047】
動力伝達装置71は、出力軸79に伝達される回転動力を、後輪差動ギヤ(後輪デフ)80、車軸(ドライブシャフト)81、遊星ギヤ機構などを介して後輪5,5へ伝達される。この結果、トラクタ1は、エンジンEからの回転動力によって、後輪5,5が駆動輪として回転駆動する。
【0048】
前輪変速部(4WDクラッチ部)75は、前輪変速装置を備え、入力軸76に伝達される回転動力を前輪4,4側へ伝達する。前輪変速装置は、前輪増速クラッチと、前輪等速クラッチとを備えている。なお、前輪増速クラッチと前輪等速クラッチとは、「前輪変速クラッチ(4WDクラッチ)」を形成する。
【0049】
4WDクラッチは、第1前輪駆動軸82に設けられ、前輪等速クラッチが接続されている場合に、第1前輪駆動軸82の回転を等速で第2前輪駆動軸83へ伝達する。また、4WDクラッチは、前輪増速クラッチが接続されている場合に、複数のギヤを介して、第1前輪駆動軸82の回転を増速して第2前輪駆動軸83へ伝達する。
【0050】
4WDクラッチは、第2前輪駆動軸83に伝達された回転動力を、前輪差動ギヤ(前輪デフ)84、車軸(ドライブシャフト)85、遊星ギヤ機構などを介して前輪4,4へ伝達する。この結果、トラクタ1は、左右の前輪4,4および左右の後輪5,5の四輪駆動(4WD)で走行可能となる。
【0051】
トラクタ1は、前輪4,4側に、パワーステアリング装置を構成するステアリングシリンダ55を備えている。また、トラクタ1は、後輪5,5側に、制動装置を構成する左右のブレーキ56L,56Rを備えている。また、トラクタ1は、走行車体2の走行に関する制御を行う制御装置40を備えている。
【0052】
また、図示しないが、動力伝達装置71は、PTO駆動装置をさらに備えている。PTO駆動装置は、エンジンEからの回転動力を変速して走行車体2後部のPTO軸16(図1参照)から作業機W(図1参照)に出力することで、エンジンEからの動力によって作業機Wを駆動する。
【0053】
PTO駆動装置は、PTOクラッチ装置と、PTO変速装置と、PTO軸16とを備えている。PTO駆動装置は、走行車体2後部の作業機Wを駆動する駆動状態と、作業機Wの駆動を停止した非駆動状態とを切り換える。
【0054】
図4を参照して、操縦席8の周りに設けられた各種操作機器について説明する。図4は、操縦席8右側方の概略斜視図である。なお、各図に示す各種操作機器は一例であり、操作機器の種類や配置など、これに限定されるものではない。
【0055】
図4に示すように、操縦席8の右側方には、主変速操作部17(主変速増速ボタン17a、主変速減速ボタン17b)、副変速レバー14、アクセルレバー151、ポジションレバー152、昇降位置設定手段(上げ高さダイヤル)90、公道走行ボタン91、操作パネル収納部62などが設けられている。このうち、ポジションレバー18は、リフトアーム122を昇降する場合に操作される。
【0056】
また、操縦席8の右側方には、PTO自動/手動切換スイッチ、PTO入切スイッチ、エンジン回転指示部、回転数増加調節スイッチ、回転数減少調節スイッチなどの各種操作スイッチ類が設けられている。なお、操作パネル収納部62には、上記以外の他の操作スイッチ類が設けられた操作パネルが収納される。
【0057】
昇降位置設定手段(上げ高さダイヤル)90は、油圧シリンダである昇降シリンダ121を調節して公道走行ボタン91が押された時や制御装置40が路上走行中と判定した時の走行車体2に対する作業機Wの所定の位置H、またはリフトアームセンサ26が検出するリフトアーム122の所定の角度Dの値を調整するダイヤルである。走行車体2に対する作業機Wの所定の位置Hと、リフトアームセンサ26が検出するリフトアーム122の角度Dのいずれを利用するかはメータパネル11や情報処理端末100を用いて予め設定される。
【0058】
次に、図5および図6を参照してステアリングホイール9の周りに設けられた各種操作機器について説明する。図5は、操縦席8の前方にある操作機器の説明図である。図6は、図5におけるA部の拡大図である。なお、図6では、図5のA部を右から左へ見た場合を示している。また、各図に示す操作機器の種類や配置などは一例であり、これに限定されるものではない。
【0059】
図5に示すように、操縦席8(図1参照)の前方には、上述したように、ステアリングホイール9が設けられている。また、ステアリングホイール9が取り付けられたハンドルポスト350の下部左方にはクラッチペダル18が設けられ、ハンドルポスト350の下部右方にアクセルペダル19およびブレーキペダル15が設けられている。なお、ブレーキペダル15は、左右それぞれのブレーキペダル15L,15Rを備えている。左右のブレーキペダル15L,15Rの構成については、図7を用いて後述する。
【0060】
ハンドルポスト350の上部左方には前後進レバー201が設けられている。また、図5および図6に示すように、ハンドルポスト350の上部右方にはアクセルレバー351、ウィンカレバー352およびワンタッチ昇降レバー353が設けられている。なお、ワンタッチ昇降レバー353は、機体に作業機を連結するリフトアームをポジションレバー152(図6参照)の操作位置または最上位置へワンタッチで操作するものである。また、ハンドルポスト350の中央にはPTO変速レバー354が設けられている。
【0061】
図5に示すように、ステアリングホイール9の前方にはダッシュボードカバー355が設けられている。また、ダッシュボードカバー355には、操縦席8のオペレータから見えるようにメータパネル11が設けられている。また、メータパネル11には表示部(液晶モニタ)356やエンジン回転計(タコメータ)357などが設けられている。なお、液晶モニタ356では、たとえば、現在の変速段を表示する変速段表示、燃料消費率表示および走行速度表示などの各種表示がなされ、燃料消費率表示と走行速度表示とは一定時間ごとに切り替わるように表示されてもよい。
【0062】
図6に示すように、ダッシュボードカバー355の右部には走行モード選択スイッチ223およびエンジンモード選択スイッチ192が設けられている。なお、エンジンモード選択スイッチ192が押されると、エンジンE(図1参照)が低燃費のエンジン出力カーブで制御される。
【0063】
また、本実施形態では、トラクタ1は、圃場を走行する圃場モードと、路上を走行する路上モードとをモード選択スイッチ223によって手動で切り替え可能に構成されている。圃場モードとは、圃場で作業を行う際に選択される制御モードであり、例えば、車速が低速(1~10km/h)でのみ走行するように制御される。また、路上モードとは、例えば、圃場までの路上を走行する際に選択される制御モードであり、例えば、車速が高速(15km/h以上)で走行できるように制御される。
【0064】
そして、実施形態に係る制御装置40は、路上モードが選択され、副変速レバー14が高速に操作された場合、またはロック操作検出スイッチ138がロック状態を検出している場合において、作業機Wの昇降位置が規定の高さ(路上走行可能な高さ)に位置しない場合に、作業者へ所定の通知(音声あるいは画面表示)を行い、作業機Wの昇降位置が規定の高さに位置しない旨を作業者へ知らせる。
【0065】
そして、制御装置40は、かかる通知が行われている期間中に、自動で作業機Wを規定の高さまで昇降させる。これにより、作業機Wが規定の高さに位置しないまま路上走行してしまうことを低減できる。
【0066】
また、実施形態に係る制御装置40(図7参照)は、作業機Wを規定の高さまで自動昇降させる際には、リフトアームセンサ26または車体測位装置30と作業機測位装置31の検知状況を用いる。具体的には、制御装置40は、リフトアームセンサ26または車体測位装置30と作業機測位装置31の検知状況が特定の状況である場合に、作業機Wの昇降位置が規定の高さであると判定する。かかる点について、図2を用いて説明する。
【0067】
図2は、実施形態に係る作業機Wを規定の高さまで上昇させた場合を示す図である。図2では、走行車体2の高さがH1、作業機Wであるロータリ耕運機の昇降位置が高さH2である場合を示している。制御装置40は、作業機Wがロータリ耕運機の場合、図2に示す状況を特定の状況とし検出し、作業機Wが規定の高さであると判定する。例えば、車体測位装置30から得られる走行車体2の高さH1と作業機測位装置31から得られる作業機Wの高さH2の差から走行車体2に対する作業機Wの位置Hが所定の範囲内である場合、またはリフトアーム122の角度が所定の範囲内である場合を特定の状況とし、作業機Wが規定の高さであると判定する。
【0068】
そして、制御装置40は、作業機Wが規定の高さであると判定した場合、作業者に対して、作業機Wの昇降を停止すべき旨の通知を行ったり、作業機Wの昇降を自動で停止したりする。これにより、作業者は、作業機Wを規定の位置に停止させることができる。
【0069】
すなわち、実施形態に係る制御装置40は、走行車体2に対する作業機Wの位置H、またはリフトアーム122の角度Dが特定の状況である場合に、作業機Wの昇降位置が規定の高さであると判定することで、作業機Wを適切な位置に昇降させることができる。
【0070】
なお、上記した規定の高さとは、例えば、路上走行可能な高さである。つまり、制御装置40は、走行車体2に対する作業機Wの位置H、またはリフトアーム122の角度Dが特定の状況である場合に、作業機Wの昇降位置が路上走行可能な高さであると判定する。これにより、作業機Wを路上走行可能な高さに精度良く昇降させることができる。
【0071】
また、図2では、作業機Wがロータリ耕運機である場合を例に挙げたが、例えば、作業機Wは、ハロー(砕土機)や、ブロードキャスタ(施肥機)、牽引作業機等であってもよい。
【0072】
また、制御装置40は、作業機Wの昇降位置が規定の高さであると判定するための特定の状況が、作業機Wの種別に応じて異なってもよい。
【0073】
また、実施形態に係る制御装置40は、作業機Wを自動昇降させる場合の昇降速度を制御する。具体的には、制御装置40は、トラクタ1が路上走行時(路上モード時)における自動昇降の昇降速度を、圃場走行時(圃場モード時)における昇降速度に比べて遅くする。これにより、障害物や歩行者が圃場に比べて多い路上の走行時における安全性を向上させることができる。
【0074】
次に、図7を参照して制御装置40を中心とする作業車両(トラクタ)1の制御系について説明する。図7は、作業車両1の制御系の一例を示すブロック図である。図7に示すように、制御装置40は、エンジンECU(Electronic Control Unit)41と、走行系ECU42と、作業機昇降系ECU43とを備える。エンジンECU41は、エンジンEの回転数を制御する。走行系ECU42は、駆動輪の回転を制御することで、走行車体2(図1参照)の走行速度を制御する。作業機昇降系ECU43は、昇降装置12を制御して作業機Wを昇降制御する。
【0075】
制御装置40は、電子制御によって各部を制御することが可能であり、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理部をはじめ、各種プログラムや圃場ごとに予め設定された走行車体2の予定走行経路などの必要なデータ類が記憶される記憶部などを備える。
【0076】
図7に示すように、制御装置40には、車体測位装置30、作業機測位装置31、エンジン回転センサ23、車速センサ24、切れ角センサ25、障害物センサ20(前方センサ21および後方センサ22)、リフトアームセンサ26、レバーセンサ35などの各種センサ類やロック操作検出スイッチ138、モード選択スイッチ223、公道走行ボタン91、上げ高さダイヤル90などの各種スイッチ類が接続される。なお、エンジン回転センサ23は、エンジンEの回転数を検知する。車速センサ24は、走行車体2(図1参照)の走行速度(車速)を検知する。切れ角センサ25は、操舵輪である前輪4(図1参照)の切れ角を検知する。切れ角センサ25は、機体の旋回を検知する。レバーセンサ35は副変速レバー14が少なくとも高速位置に操作されていることを検出する。
【0077】
制御装置40には、車体測位装置30から走行車体2の位置情報、作業機測位装置31から作業機Wの位置情報、エンジン回転センサ23からエンジンEの回転数、車速センサ24から走行車体2の走行速度、切れ角センサ25から前輪4の切れ角、障害物センサ20から障害物の検知結果、リフトアームセンサ26から作業機Wの高さ、レバーセンサ35から副変速レバー14の高速位置操作の有無がそれぞれ入力される。制御装置40は、トラクタ1を自律走行させる場合、切れ角センサ25の検知結果を用いて、前輪4の切れ角をフィードバックしながらステアリングホイール9に連結されたステアリングシリンダを制御することで、ステアリングホイール9を自動操舵する。
【0078】
また、制御装置40には、エンジンECU41がエンジンEに接続され、走行系ECU42が、操舵装置51、変速装置52および制動装置53などに接続され、作業機昇降系ECU43が昇降装置12に接続される。
【0079】
このうち、作業機昇降系ECU43は、昇降装置12に向けて作業機昇降信号を出力する。昇降装置12は、作業機昇降系ECU43から出力された作業機昇降信号に基づいて作業機Wを昇降駆動する。また、作業機Wの走行車体2に対するローリング角度を調整する水平シリンダ33を制御する。水平シリンダ33は右側のリフトロッド123に設けられ、伸縮して長さを変更することにより、ローリング角度が調整される。
【0080】
また、制御装置40は、たとえば、作業者が携行可能な情報処理端末100と無線接続される。制御装置40は、作業者の操作による情報処理端末100からの指示信号に基づいてトラクタ1の各部を制御する。また、制御装置40は、トラクタ1の機体情報データベースを保持し、型式などの情報の受け渡しを情報処理端末100などからも行うことができるように構成してもよい。
【0081】
また、制御装置40は、前方センサ21、または後方センサ22によって障害物が検知された場合には、走行車体2を停止させる。また、制御装置40は、前方センサ21、または後方センサ22によって障害物が検知された場合には、エンジンEを停止させたり、PTO軸16への回転動力の伝達を中止させたりする。また、制御装置40は、制御装置40は、前方センサ21、または後方センサ22によって障害物が検知された場合には、警報器(不図示)を作動させて、障害物が検知されたことを報知してもよい。
【0082】
また、制御装置40は、トラクタ1が自律走行しつつ作業を行うモードである「自動運転モード」を有する。制御装置40は、自動運転モードにおいては、作業機Wによる作業内容に応じた予定走行経路が予め圃場ごとに定められ、データ化されて記憶部に記憶され、測位装置30の測定結果に基づいて、記憶された予定走行経路に沿って走行するように、エンジンE、操舵装置51、変速装置52、制動装置53および昇降装置12などの各部を制御する。なお、予定走行経路は、圃場の形状、大きさ、圃場内に形成された畝の幅、長さおよび本数、さらには作物の種類などに応じて設定される。
【0083】
また、制御装置40は、上述した通り、ロック操作検出スイッチ138ロック状態を検出している場合、副変速レバー14高速に操作されていて、モード選択スイッチ223が
路上モードに設定されている場合、または制御装置40に予め登録されている圃場の位置情報および形状情報と作業機測位装置31により、走行車体2に取り付けられた作業機Wが圃場外にいることを検知した場合に、作業機Wを予め定められた位置になるように昇降する。この時、作業機Wのローリング角度が走行車体2に対して略水平になるよう水平シリンダ33により自動的に調整されることで、より路上走行に適した姿勢にすることができる。
【0084】
予め定められた作業機Wの位置は例えばポジションレバー152を手動操作して高さ調節後、ヒューズを抜いた状態で特定のボタン(例えば、公道走行ボタン91)を押すなどの操作により設定される。また予め定められた作業機Wの位置を情報処理端末100の操作により設定してもよいし、昇降位置設定手段(上げ高さダイヤル)90で設定してもよい。これにより、路上走行時の作業機Wの昇降位置を任意の位置に設定できるため、どのような作業機Wを装着しても、路上走行時において適切な昇降位置に作業機Wを昇降できる。
【0085】
また、予め定められた作業機Wの位置が設定された後、例えば、抜いたヒューズを戻すなどした通常の状態で公道走行ボタン91が押下された場合、作業機Wをポジションレバー152の操作位置にかかわらず、予め定められた位置に制御してその後公道走行ボタン91を再度押すまでポジションレバー152による操作を受け付けず、上げ高さダイヤル90によってのみ作業機Wの昇降位置を微調整できる構成としてもよい。これにより、路上走行中に不意に作業機Wを昇降操作してしまい、不適切な位置で走行することを防止できる。
【0086】
また、予め登録されている圃場の位置と範囲の情報と作業機測位装置31により、走行車体2に取り付けられた作業機Wが圃場外から圃場内に入ったことを検知した場合、作業機Wを予め定められた位置から最上げ位置に上昇させるとよい。これにより圃場内では小回りが利くようになり、畔などとの接触も抑制できる。また作業機測位装置31により判定することにより、走行車両が作業機をつけずに圃場内に入った場合に、不要な上昇制御を実行しないような構成とすることができる。
【0087】
さらに、作業機測位装置31から作業機Wの移動速度を算出して、これが所定の速度(例えば、15km/h)以上となる場合、運転者に警告を報知する。これにより作業機Wを取り付けた状態で高速走行することを抑制し、転倒しやすい状態での走行を抑制できる。作業機測位装置31から作業機Wの移動速度を算出して判定することで、作業機Wをつけない状態など、問題なく走行できる状態での不要な報知を防止できる。
【0088】
図8から図11は作業機の斜視図および断面図である。図8は作業機を右後ろから見た斜視図である。図9は作業機を右前から見た斜視図である。図10図8の断面Cを矢印Aの方向から見た断面図である。図11は作業機を左後ろから見た斜視図である。
【0089】
車両が路上で低速走行することを後続車に表示する第1後方表示器110は作業機Wの左端にあるチェンケース115に取り付けられている。第1後方表示器110はチェンケース115に固定される表示器基部111と、低速走行中であることを後続車に示す表示器表示部113と、表示器基部111と表示器表示部113を接続する表示器中間部112を有する。
【0090】
表示器中間部112と表示器中間部112はボルト2本で締結するが表示器中間部112のボルトを通す穴は長穴になっているため、表示器基部111に対する表示器表示部113の角度を調整することができる。これにより、作業機Wが昇降に伴って回転しても、後方から見やすい姿勢に調整して表示器表示部113を取り付けることができる。
【0091】
また、上記実施例では、第1後方表示器110は作業機Wの左側にあるチェンケース115に取り付けられている例を示したが、これに限らずたとえば、右側のプレートに取り付けても良い。たとえば、片培土板を右に取り付ける場合は第1後方表示器110は左に取り付ける等、作業機Wに取り付けるアタッチメントに合わせてつけ変えることができる。第1後方表示器110を右側に取り付ける場合は、右から追い越していく乗用車からの視認性が向上する。第1後方表示器110を反射素材等で構成すれば、後続車がトラクタ1の車幅を把握できる。また、運転席の上部を囲む安全フレーム(ROPS)の上部に第1後方表示器110を取り付けても良い。この場合、車両の上部に取り付けられるため、視認性が向上する。
【0092】
第1後方表示器110の取り付け位置近傍には表示器の装着を検出する表示器装着センサ114を備え、第1後方表示器110が取り付けられていれば、所定の速度(例えば、15km/h)以上にならないように副変速部73の高速段への切り替えを規制しても良い。これにより作業機を装着した状態で路上を走行しても不適切な高速走行が規制されるため、安全に走行できる。
【0093】
また、作業機Wに様々なアタッチメントを連結するためのスライドヒッチ118を作業機の上部に設け、スライドヒッチ118に第2後方表示器117を装着している。第2後方表示器117はヒンジ117aを介して取り付けられているため、作業機Wが昇降に伴って回転しても、重力により後方から見やすい姿勢に保たれる。また、スライドヒッチ118の上側や運転席の上部を囲む安全フレーム(ROPS)の上部またはキャビンの上部に第2後方表示器110を取り付けても良い。この場合、車両の上部に取り付けられるため、視認性が向上する。
【0094】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 トラクタ(作業車両)
2 走行車体
4 前輪(駆動輪)
5 後輪(駆動輪)
40 制御装置
70 変速装置
71 動力伝達装置
74 副変速部
91 公道走行ボタン
111a長穴
110 後方表示器(第1後方表示器)
115 チェンケース
117 後方表示器(第2後方表示器)
118 スライドヒッチ
E エンジン
W 作業機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11