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  • 特許-発光装置およびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】発光装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20221220BHJP
【FI】
H01L33/60
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019188268
(22)【出願日】2019-10-14
(65)【公開番号】P2021064698
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】林 欣司
(72)【発明者】
【氏名】武田 重郎
(72)【発明者】
【氏名】松浦 健一
(72)【発明者】
【氏名】下西 正太
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0244939(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0190400(US,A1)
【文献】特開2011-138849(JP,A)
【文献】特開2018-195800(JP,A)
【文献】特開2010-232644(JP,A)
【文献】特開2002-368281(JP,A)
【文献】特開2013-153070(JP,A)
【文献】中国実用新案第204632804(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面上の所定位置に発光素子を実装する実装工程と、
前記基板上および前記発光素子上に封止樹脂を設け、前記発光素子を封止する封止工程と、
各発光装置ごとに分割を予定している分割予定ラインに沿って、ハーフダイシングを行って第1溝を形成し、前記第1溝の深さは、前記封止樹脂を貫通し、かつ前記基板を貫通しない深さに設定する第1溝形成工程と、
前記第1溝に白色樹脂を注入して前記第1溝を埋め、白色樹脂を硬化させて白壁を形成する白壁形成工程と、
前記分割予定ラインに沿って、ハーフダイシングを行って第2溝を形成し、前記第2溝の幅は、前記第1溝の幅よりも狭くし、前記第2溝の深さは、前記白壁を貫通して前記第1溝よりも深く、かつ前記基板を貫通しない深さに設定し、これにより前記白壁を前記分割予定ラインの左右で分割する第2溝形成工程と、
前記第2溝に黒色樹脂を注入して前記第2溝を埋め、黒色樹脂を硬化させて黒壁を形成する黒壁形成工程と、
前記分割予定ラインに沿ってダイシングを行い、前記黒壁および前記基板を分割予定ラインの左右で分割する分割工程と、
を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記黒壁形成工程後、前記分割工程前に、研磨によって前記封止樹脂上面、前記白壁上面、および前記黒壁上面を面一にする研磨工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記白色樹脂と前記黒色樹脂は、母材樹脂が同一材料である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
基板と、前記基板表面上に設けられた発光素子と、前記基板の端部に設けられた反射壁と、前記基板と前記反射壁とで囲まれた内部を埋めるようにして設けられ、前記発光素子を封止する封止樹脂と、を有した発光装置において、
前記反射壁は、内側が白色樹脂からなる白壁、外側が黒色樹脂からなる黒壁の二重構造であり、
前記基板は、端部に段差部を有し、
前記段差部は、内側から外側に向かって下っていく2段の段差構造であって、基板表面よりも1段低くなっている表面である第1段差表面と、前記第1段差表面よりもさらに1段低くなっている表面である第2段差表面とを有し、
前記白壁は、前記第1段差表面上に設けられ、
前記黒壁は、前記第2段差表面上に設けられている、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項5】
前記第1段差表面および前記第2段差表面は、前記基板表面よりも算術平均粗さが大きい、ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記封止樹脂上面、前記白壁上面、および前記黒壁上面は面一である、ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記白色樹脂と前記黒色樹脂は、母材樹脂が同一材料である、ことを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子の周囲を囲う反射壁が設けられた発光装置に関する。また、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子の周囲を囲う反射壁を設けた発光装置が広く知られている。反射壁の製造方法として、特許文献1に記載の方法がある。特許文献1には、基板上に実装された発光素子を樹脂封止した後、ハーフダイシングによって発光素子を囲う位置に溝を形成し、その溝に白色樹脂を充填して埋めることにより、反射壁を形成することが記載されている。
【0003】
また、特許文献2、3には、内側が白色樹脂、外側が黒色樹脂の二重構造とした反射壁を有する発光装置が示されている。このような二重構造とすることで、光漏れを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-22758号公報
【文献】特開2015-176946号公報
【文献】特開2012-216596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、反射壁から光が漏れてしまう問題があり、光束が低下したりコントラストが低下する問題があった。また、特許文献2、3のような二重構造の反射壁を簡便に形成する方法は確立されていなかった。
【0006】
そこで本発明の目的は、内側が白壁、外側が黒壁の二重構造の反射壁を簡便に形成することが可能な発光装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板表面上の所定位置に発光素子を実装する実装工程と、基板上および発光素子上に封止樹脂を設け、発光素子を封止する封止工程と、各発光装置ごとに分割を予定している分割予定ラインに沿って、ハーフダイシングを行って第1溝を形成し、第1溝の深さは、封止樹脂を貫通し、かつ基板を貫通しない深さに設定する第1溝形成工程と、第1溝に白色樹脂を注入して第1溝を埋め、白色樹脂を硬化させて白壁を形成する白壁形成工程と、分割予定ラインに沿って、ハーフダイシングを行って第2溝を形成し、第2溝の幅は、第1溝の幅よりも狭くし、第2溝の深さは、白壁を貫通して第1溝よりも深く、かつ基板を貫通しない深さに設定し、これにより白壁を分割予定ラインの左右で分割する第2溝形成工程と、第2溝に黒色樹脂を注入して第2溝を埋め、黒色樹脂を硬化させて黒壁を形成する黒壁形成工程と、分割予定ラインに沿ってダイシングを行い、黒壁および基板を分割予定ラインの左右で分割する分割工程と、を有することを特徴とする発光装置の製造方法である。
【0008】
また、本発明において、黒壁形成工程後、分割工程前に、研磨によって封止樹脂上面、白壁上面、および黒壁上面を面一にする研磨工程をさらに有していてもよい。
【0009】
また、本発明において、白色樹脂と黒色樹脂は、母材樹脂が同一材料であってもよい。
【0010】
また、本発明は、基板と、基板表面上に設けられた発光素子と、基板の端部に設けられた反射壁と、基板と反射壁とで囲まれた内部を埋めるようにして設けられ、発光素子を封止する封止樹脂と、を有した発光装置において、反射壁は、内側が白色樹脂からなる白壁、外側が黒色樹脂からなる黒壁の二重構造であり、基板は、端部に段差部を有し、段差部は、内側から外側に向かって下っていく2段の段差構造であって、基板表面よりも1段低くなっている表面である第1段差表面と、第1段差表面よりもさらに1段低くなっている表面である第2段差表面とを有し、白壁は、第1段差表面上に設けられ、黒壁は、第2段差表面上に設けられている、ことを特徴とする発光装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内側が白色樹脂、外側が黒色樹脂の二重構造の反射壁を簡便に形成することができる。また、反射壁を基板から剥がれにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の発光装置の構成を示した図。
図2】実施例1の発光装置の製造工程を示した図。
図3】実施例1の発光装置の製造工程を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1の発光装置の構成を示した図である。図1のように、実施例1の発光装置は、基板10と、発光素子11と、反射壁13と、封止樹脂12とを有している。
【0015】
基板10は、矩形の板状の部材である。基板10の材料は、セラミック、ガラス、ガラスエポキシ樹脂などである。基板10の表面10aには、配線パターン(図示しない)が形成されている。また、基板10の裏面10bには、外部の電気回路と接続するための電極パターン(図示しない)が形成されている。基板10に空けられた孔(図示しない)を介して表面側の配線パターンと裏面側の電極パターンとが接続されている。
【0016】
基板10の端部には、階段状の段差部14が設けられている。段差部14は、発光装置の内側から外側に向かって下っていく2段の段差構造である。この段差部14によって基板10表面10aよりも1段低くなっている表面を第1段差表面14a、第1段差表面14aよりもさらに1段低くなっている表面を第2段差表面14bとする。第1段差表面14aおよび第2段差表面14bは、基板10表面10aとおよそ平行であり、第2段差表面14bは基板10の側面と連続している。第1段差表面14aおよび第2段差表面14bは、基板10表面10aよりも算術平均粗さが大きくなっている。
【0017】
発光素子11は、基板10表面10a上に実装されていて、基板10表面10aの配線パターンと発光素子11の電極とが、ワイヤ、はんだ、バンプなどによって接続されている。発光素子11は任意の半導体材料、任意の構造でよく、発光色も問わない。また、発光素子11は1つである必要もなく、複数の発光素子11が基板10表面10a上に実装されていてよい。たとえば、青色発光の発光素子11、緑色発光の発光素子11、赤色発光の発光素子11を1組として、それらが1組~複数組実装されていてよい。青色、緑色、赤色の各出力を制御することで任意の発光色を発光可能な発光装置を実現できる。また、基板10表面には、発光素子11以外の電子部品が実装されていてもよい。たとえば、発光素子11の駆動回路、温度保護素子などが発光素子11とともに基板10表面10a上に実装されていてもよい。
【0018】
反射壁13は、基板10の段差部14上に壁状に設けられている。反射壁13は二重構造であり、発光装置の内側が白色の白壁15、外側が黒色の黒壁16である。白壁15と黒壁16とは接合している。白壁15、黒壁16は、いずれも直立した板状(壁状)である。
【0019】
白壁15は、段差部14のうち第1段差表面14a上に設けられている。第1段差表面14aは荒れて微細な凹凸を有しており、その凹凸に白壁15が入り込んでいるため、アンカー効果によって基板10から白壁15が剥離しにくくなっている。
【0020】
白壁15は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂にTiO、ZrO、Al、SiOの粒子などの光反射材を混合した白色樹脂からなる。この白壁15によって発光素子11から側方に放射される光を反射させ、発光装置の出力向上を図っている。なお、「白色」とは、本発明においては発光素子11からの光の反射率が十分に高い色であることを意味し、たとえば反射率が80%以上である。
【0021】
黒壁16は、白壁15の外側に接して位置し、段差部14のうち第2段差表面14b表面上に設けられている。また、黒壁16の上面は、白壁15の上面と面一になっていて、黒壁16の外側側面は、基板10の側面と面一になっている。第2段差表面14bは荒れて微細な凹凸を有しており、その凹凸に黒壁16が入り込んでいるため、アンカー効果によって基板10から黒壁16が剥離しにくくなっている。
【0022】
黒壁16は、シリコーンなどの樹脂にカーボンブラック、カーボンナノチューブなどの光吸収材を混合した黒色樹脂からなる。製造の簡便さや低コスト化の点から、白壁15と黒壁16とで母材樹脂は同一材料とすることが好ましい。なお、「黒色」とは、本発明においては発光素子11からの光の吸収率が十分に高い色であることを意味し、たとえば吸収率が80%以上である。
【0023】
黒壁16を設ける理由は次の通りである。発光素子11から側方に放射される光は、白壁15によって大部分が反射されるが、一部は白壁15を透過してしまう。このような発光装置の側方から漏れる光によって発光装置の光束が低下したりコントラストが低下してしまう。そこで、白壁15を透過する光を黒壁16により吸収させることで側方からの光の漏れを抑制し、光束の向上、コントラストの向上を図っている。特に、黒壁16は、白壁15の外側側面を完全に覆っているため、光の漏れをより抑制することができる。
【0024】
また、白壁15は第1段差表面14a上、黒壁16は第2段差表面14b上に設けられているため、黒壁16の下面は白壁15の下面よりも低くなっている。そのため、白壁15を斜め下方に透過する光も黒壁16によって吸収させることができ、光の漏れをさらに抑制することができる。
【0025】
基板10裏面10bから第1段差表面14a(白壁15の下面)までの高さH1は、基板10の厚さH0の0.3~0.7倍が好ましい。その理由は後述の製造工程において説明する。
【0026】
また、基板10裏面10bから第2段差表面14b(黒壁16の下面)までの高さH2は、H1の0.4~0.7倍が好ましい。この範囲であれば、白壁15を斜め下方に透過する光の漏れをより抑制することができる。
【0027】
白壁15の厚さは、発光素子11からの光の反射率が十分に高く、透過率を十分に低下できる範囲であればよい。たとえば、白壁15に対して垂直に入射する光の反射率が80%以上、透過率が10%以下となるように厚さを設定するとよい。
【0028】
黒壁16の厚さは、白壁15を透過してきた光の吸収率が高く、透過率を十分に低下できる範囲であればよい。たとえば、黒壁16に対して垂直に入射する光の吸収率が80%以上、透過率が10%以下となるように厚さを設定するとよい。
【0029】
封止樹脂12は、基板10表面10aと反射壁13により囲まれた内部を埋めるように設けられていて、その厚さは均一である。この封止樹脂12によって発光素子11が封止されている。また、封止樹脂12の表面は、反射壁13の上面と面一になっている。そのため、実施例1の発光装置は全体として直方体状となっている。
【0030】
封止樹脂12の材料は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など発光素子11から放射される光を透過可能な任意の樹脂材料である。封止樹脂12には光拡散材、蛍光体、熱拡散材など、任意の材料が添加されていてもよい。
【0031】
以上、実施例1の発光装置では、アンカー効果によって反射壁13と基板10との密着性が向上しており、応力の印加によって基板10から反射壁13が剥離してしまうことが抑制されている。また、白色樹脂からなる白壁15の外側側面の全面を黒色樹脂からなる黒壁16が覆っており、黒壁16の下面が白壁の下面よりも低くなっているため、反射壁13からの光の漏れが抑制されており、発光装置の光束が向上している。
【0032】
次に、実施例1の発光装置の製造方法について図2、3を参照に説明する。
【0033】
まず、基板10の表面10a上の所定位置に発光素子11を実装する。次に、基板10の表面10a上および発光素子11上に、均一な厚さに封止樹脂12を塗布して発光素子11を封止し、熱処理によって封止樹脂12を硬化させる(図2(a)参照)。発光素子11の実装方法は発光素子11の構造に応じて任意の方法を採用することができる。
【0034】
次に、後工程で各発光装置ごとに分割を予定しているライン(分割予定ラインL)に沿って、封止樹脂12表面側からハーフダイシングを行い、第1溝20を形成する(図2(b)参照)。第1溝20の角部は丸まっていてもよい。分割予定ラインLは平面視で格子状である。このハーフダイシングによって第1溝20の底面には微細な凹凸が形成され、基板10表面10aよりも粗い状態となる。なお、第1溝20の底面は、段差部14の第1段差表面14aとなる。
【0035】
第1溝20の幅は、反射壁13の幅の2倍と、後の素子分割のダイシングの切り代とを合わせた幅に設定し、第1溝20の幅方向の中心が分割予定ラインLと一致するように設定する。
【0036】
第1溝20の深さは、封止樹脂12を貫通して基板10の表面10aに達するよりも深く、基板10を貫通しない深さであればよい。たとえば、基板10裏面10bから第1溝20の底面までの高さH1が、基板10の厚さH0の0.3~0.7倍となるように深さを設定するとよい。この範囲であれば、ハーフダイシングの深さの誤差があっても確実に封止樹脂12を貫通させることができ、また基板10を貫通しないようにすることができる。また、基板10が薄くなって撓みや曲げ、割れが生じるのを抑制できる。
【0037】
次に、第1溝20に白色樹脂を注入して第1溝20を埋める。白色樹脂は第1溝20からはみ出してもよい。ここで、第1溝20の底面はハーフダイシングによって微細な凹凸が形成されているため、白色樹脂はこの微細な凹凸に入り込む。そして、白色樹脂を硬化させて白壁15を形成する(図2(c)参照)。白色樹脂が第1溝20の底面の微細な凹凸に入り込んだ状態で硬化するため、アンカー効果によって白壁15は基板10から剥離しにくくなる。
【0038】
次に、分割予定ラインLに沿って、白壁15上面側からハーフダイシングを行い、第2溝21を形成する(図3(a)参照)。第2溝21の角部は丸まっていてもよい。このハーフダイシングによって第2溝21の底面には微細な凹凸が形成され、基板10表面10aよりも粗い状態となる。なお、第2溝21の底面は、段差部14の第2段差表面14bとなる。
【0039】
第2溝21の幅は、第1溝20の幅よりも狭くし、第2溝21の幅方向の中心が分割予定ラインLと一致するように設定する。第2溝21の幅は、黒壁16の幅の2倍と、後の素子分割のダイシングの切り代とを合わせた幅になる。
【0040】
第2溝21の深さは、白壁15を貫通して第1溝20よりも深く、基板10を貫通しない深さとする。
【0041】
このように第2溝21の幅、深さを設定することにより、白壁15は分割予定ラインLの左右に分割され、一方の発光装置側の白壁15と、それに隣接する他方の発光装置側の白壁15に分割される。ここで、基板10裏面10bから第2溝21の底面までの高さH2が、基板10裏面10bから第1溝20の底面までの高さH1の0.4~0.7倍となるように深さを設定するとよい。ハーフダイシングの深さの誤差があっても確実に白壁15を貫通させることができ、また基板10を貫通しないようにすることができる。また、白壁15を斜め下方に透過する光の漏れをより抑制することができる。
【0042】
次に、第2溝21に黒色樹脂を注入して第2溝21を埋める。黒色樹脂は第2溝21からはみ出してもよい。ここで、第2溝21の底面はハーフダイシングによって微細な凹凸が形成されているため、黒色樹脂はこの微細な凹凸に入り込む。そして、黒色樹脂を硬化させて黒壁16を形成する(図3(b)参照)。黒色樹脂が第2溝21の底面の微細な凹凸に入り込んだ状態で硬化するため、アンカー効果によって黒壁16は基板10から剥離しにくくなる。また、黒壁16は、第2溝21に黒色樹脂を注入して形成しているので、第1溝20側面に露出する白壁15の全面を黒色樹脂が接して覆うことができる。そのため、白壁15を透過して漏れる光を効果的に黒壁16により吸収させることができる。また、第2溝21を第1溝20よりも深くしているため、黒壁16の下面は白壁15の下面よりも低くなる。そのため、白壁15を斜め下方に透過してくる光も黒壁16によって吸収させることができ、光の漏れをさらに抑制することができる。
【0043】
次に、封止樹脂12表面、白壁15表面、黒壁16表面を研磨し、面一となるようにするとともに、発光装置の高さ(基板10裏面から封止樹脂12表面までの距離)を調整する(図3(c)参照)。研磨方法は任意であり、機械研磨や化学機械研磨を用いることができる。
【0044】
次に、分割予定ラインLに沿ってダイシングを行う。黒壁16および基板10は分割予定ラインLの左右に分割され、一方の発光装置側の黒壁16および基板10と、それに隣接する他方の発光装置の黒壁16および基板10に分割される。これにより、個々の発光装置に分割する(図3(d)参照)。以上によって実施例1の発光装置が製造される。
【0045】
以上、実施例1の発光装置の製造方法によれば、内側が白壁15、外側が黒壁16の二重構造の反射壁13を簡便に作製することができる。また、反射壁13が基板10から剥がれることを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の発光装置は、各種光源として利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
10:基板
11:発光素子
12:封止樹脂
13:反射壁
14:段差部
14a:第1段差表面
14b:第2段差表面
15:白壁
16:黒壁
20:第1溝
21:第2溝
図1
図2
図3