(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ノズルベーン
(51)【国際特許分類】
F02B 37/24 20060101AFI20221220BHJP
F01D 9/02 20060101ALI20221220BHJP
F01D 17/16 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F02B37/24
F01D9/02 101
F01D17/16 A
(21)【出願番号】P 2019201417
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋田 涼平
(72)【発明者】
【氏名】樹杉 剛
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-003802(JP,A)
【文献】特開2009-293417(JP,A)
【文献】実開昭63-14843(JP,U)
【文献】実開昭62-108501(JP,U)
【文献】特開2017-227159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/24
F01D 9/02
F01D 11/08
F01D 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクロール流路からタービン翼車へ流入するガスを通過させるガス流入路と、前記タービン翼車の回転軸線に沿う方向に互いに対面し前記ガス流入路を形成する第1流路壁面および第2流路壁面と、を有するタービンに用いられるノズルベーンであって、
前記ガス流入路内で前記タービン翼車の前記回転軸線に平行な回動軸線周りに回動し、前記回動軸線に平行な短手方向、前記回動軸線に直交する長手方向、並びに、前記短手方向および前記長手方向の両方に直交する厚さ方向を有する、ベーンと、
前記ベーンを回動可能に支持する回転軸部とを備え、
前記ベーンは、前記第1流路壁面に対向する第1対向面、前記第2流路壁面に対向する第2対向面、前記厚さ方向の一方側に位置する第1側面、および、前記厚さ方向の他方側に位置する第2側面を有し、
前記第1対向面には、前記第1流路壁面に沿いつつ前記長手方向に沿って延在し、前記第1流路壁面と前記第1対向面との間に一定のクリアランスを規定する第1先端部が設けられており、
前記第2対向面には、前記第2流路壁面に沿いつつ前記長手方向に沿って延在し、前記第2流路壁面と前記第2対向面との間に一定のクリアランスを規定する第2先端部が設けられており、
前記第1対向面において前記第1先端部より前記第1流路壁面から前記短手方向に離れて位置する段部、および、前記第2対向面において前記第2先端部より前記第2流路壁面から前記短手方向に離れて位置する段部の、少なくとも一方が設けられており、
前記第1先端部および前記第2先端部の少なくとも一方は、前記厚さ方向において、前記第1側面および前記第2側面の少なくとも一方に対して前記段部を介して離間している、ノズルベーン。
【請求項2】
前記第1先端部は、前記厚さ方向において、前記第1側面および前記第2側面の両方に対して離間している、請求項1に記載のノズルベーン。
【請求項3】
前記第1先端部は、前記短手方向から見て、前記長手方向に対して斜めに延在している、請求項2に記載のノズルベーン。
【請求項4】
前記第1対向面における前記第1側面および前記第2側面の各々との角部が面取りされている、請求項2または請求項3に記載のノズルベーン。
【請求項5】
前記第1対向面における前記第1側面および前記第2側面の少なくとも一方と前記第1先端部との間の位置に、前記長手方向に沿って延在する突条部が設けられている、請求項2または請求項3に記載のノズルベーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルベーンに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルベーンの構成を開示した先行文献として、特開2001-173449号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載されたノズルベーンにおいては、ベーンの軸方向端部とタービンに連通する流路の内壁とのクリアランスが、ベーンの軸方向と直交する方向における位置に応じて異なっている。ベーンは、上記軸方向と直交する方向における先端ほど上記軸方向の幅が小さくなるように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ベーンと流路壁面とのクリアランスが大きい場合、そのクリアランスを通過するガス量が増加してターボチャージャの効率が低下する。ベーンと流路壁面とのクリアランスが小さい場合、排気ガスに含まれる異物がベーンの流路壁面側の端部に衝突すると、ベーンの形状が変化して流路壁面と干渉することによりベーンの回動時の摺動抵抗が大きくなることがある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ターボチャージャの効率を維持しつつ、ベーンと流路壁面との干渉を起きにくくしてロバスト性を向上することができる、ノズルベーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づくノズルベーンは、スクロール流路からタービン翼車へ流入するガスを通過させるガス流入路と、タービン翼車の回転軸線に沿う方向に互いに対面しガス流入路を形成する第1流路壁面および第2流路壁面と、を有するタービンに用いられるノズルベーンである。ノズルベーンは、ベーンと、回転軸部とを備える。ベーンは、ガス流入路内でタービン翼車の上記回転軸線に平行な回動軸線周りに回動し、上記回動軸線に平行な短手方向、上記回動軸線に直交する長手方向、並びに、上記短手方向および上記長手方向の両方に直交する厚さ方向を有する。回転軸部は、ベーンを回動可能に支持する。ベーンは、第1流路壁面に対向する第1対向面、第2流路壁面に対向する第2対向面、上記厚さ方向の一方側に位置する第1側面、および、上記厚さ方向の他方側に位置する第2側面を有する。第1対向面には、第1流路壁面に沿いつつ上記長手方向に沿って延在し、第1流路壁面と第1対向面との間に一定のクリアランスを規定する第1先端部が設けられている。第2対向面には、第2流路壁面に沿いつつ上記長手方向に沿って延在し、第2流路壁面と第2対向面との間に一定のクリアランスを規定する第2先端部が設けられている。第1対向面において第1先端部より第1流路壁面から上記短手方向に離れて位置する段部、および、第2対向面において第2先端部より第2流路壁面から上記短手方向に離れて位置する段部の、少なくとも一方が設けられている。第1先端部および第2先端部の少なくとも一方は、上記厚さ方向において、第1側面および第2側面の少なくとも一方に対して上記段部を介して離間している。
【0007】
本発明の一形態においては、第1先端部は、上記厚さ方向において、第1側面および第2側面の両方に対して離間している。
【0008】
本発明の一形態においては、第1先端部は、上記短手方向から見て、上記長手方向に対して斜めに延在している。
【0009】
本発明の一形態においては、第1対向面における第1側面および第2側面の各々との角部が面取りされている。
【0010】
本発明の一形態においては、第1対向面における第1側面および第2側面の少なくとも一方と第1先端部との間の位置に、上記長手方向に沿って延在する突条部が設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ターボチャージャの効率を維持しつつ、ベーンと流路壁面との干渉を起きにくくしてロバスト性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態1に係るノズルベーンを含むターボチャージャの一部の構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係るノズルベーンをタービン翼車の回転軸線に沿う方向から見た図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係るノズルベーンをベーンの厚さ方向から見た図である。
【
図4】
図3のノズルベーンを矢印IV方向から見た図である。
【
図5】
図3のノズルベーンを矢印V方向から見た図である。
【
図6】
図3のベーンのVI部を拡大して示す図である。
【
図7】本発明の実施形態1に係るノズルベーンが備えるベーンと第1流路壁面および第2流路壁面との配置関係を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係るノズルベーンをベーンの短手方向から見た図である。
【
図9】
図8のノズルベーンをベーンの長手方向から見た図である。
【
図10】本発明の実施形態3に係るノズルベーンをベーンの短手方向から見た図である。
【
図11】
図10のノズルベーンをベーンの長手方向から見た図である。
【
図12】本発明の実施形態4に係るノズルベーンをベーンの長手方向から見た図である。
【
図13】本発明の実施形態5に係るノズルベーンをベーンの短手方向から見た図である。
【
図14】
図13のノズルベーンをベーンの長手方向から見た図である。
【
図15】本発明の実施形態6に係るノズルベーンをベーンの短手方向から見た図である。
【
図16】
図15のノズルベーンをベーンの長手方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態に係るノズルベーンについて図を参照して説明する。以下の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0014】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るノズルベーンを含むターボチャージャの一部の構成を示す断面図である。
図2は、本発明の実施形態1に係るノズルベーンをタービン翼車の回転軸線に沿う方向から見た図である。
図2においては、ノズルベーン100が全開時の状態のベーン110を実線、ノズルベーン100が全閉時の状態のベーン110を2点鎖線で示している。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施形態1に係るノズルベーン100は、ターボチャージャ1に組み込まれている。具体的には、ノズルベーン100は、タービンハウジング10内に配置されている。タービンハウジング10は、ベアリングハウジング30と接続されている。
【0016】
タービンハウジング10には、内燃機関の排気ポートに連通する排気入口ポート14が設けられている。排気入口ポート14は、スクロール室11と連通している。スクロール室11は、タービン翼車20を取り囲むように形成されており、排気入口ポート14から遠ざかるにしたがってその断面積が小さくなるように形成されている。スクロール室11の内周側は、タービン室13に連通している。スクロール室11は、内燃機関から排出された排気ガスをタービン室13に向けて圧送する機能を有している。
【0017】
スクロール室11とタービン室13との間に、複数のノズルベーン100が配設されている。複数のノズルベーン100は、スクロール室11とタービン室13との間の流路の有効断面積を可変する可変ノズルを構成している。
【0018】
タービン室13の内部には、外周部がスクロール室11に向けて対向するタービン翼車20が収納されている。タービン翼車20は、タービン翼車20の回転軸線C1の軸周りに等間隔に設けられた図示しない複数のブレードを有している。タービン翼車20は、
図2に示すように、スクロール室11により圧送された排気ガスGがタービン室13に流入した後にブレードを押圧することにより回転する。
図1に示すように、タービン室13には、大気に連通する排気出口ポート17が連通している。スクロール室11からタービン室13に流入した排気ガスは、排気出口ポート17を介して大気に排出される。
【0019】
ノズルベーン100は、スクロール流路であるスクロール室11からタービン翼車20へ流入する排気ガスGを通過させるガス流入路12と、タービン翼車20の回転軸線C1に沿う方向に互いに対面しガス流入路12を形成する第1流路壁面15および第2流路壁面16と、を有するタービンに用いられる。
【0020】
図1および
図2に示すように、ノズルベーン100は、タービン翼車20の外周に等間隔に配設された、ベーン110と回転軸部120とを備える。
図1に示すように、ベーン110は、ガス流入路12内でタービン翼車20の回転軸線C1に平行な回動軸線C2周りに回動する。回転軸部120は、ベーン110を回動可能に支持する。
【0021】
図3は、本発明の実施形態1に係るノズルベーンをベーンの厚さ方向から見た図である。
図4は、
図3のノズルベーンを矢印IV方向から見た図である。
図5は、
図3のノズルベーンを矢印V方向から見た図である。
図6は、
図3のベーンのVI部を拡大して示す図である。
図7は、本発明の実施形態1に係るノズルベーンが備えるベーンと第1流路壁面および第2流路壁面との配置関係を示す図である。
【0022】
図3および
図5に示すように、回転軸部120は、ベーン110の短手方向Sに延在しており、ベーン110から第1流路壁面15側に突出した第1軸部121、および、ベーン110から第2流路壁面16側に突出した第2軸部122を有する。第1軸部121および第2軸部122の各々は、回動軸線C2を軸中心として短手方向Sに延在している。
【0023】
図1および
図3に示すように、第1軸部121は、図示しないベアリングを介してタービンハウジング10に回動可能に支持されている。第2軸部122は、図示しないベアリングを介してベアリングハウジング30に回動可能に支持されている。
【0024】
図3~
図7に示すように、ベーン110は、回動軸線C2に平行な短手方向S、回動軸線C2に直交する長手方向L、並びに、短手方向Sおよび長手方向Lの両方に直交する厚さ方向Tを有する。
【0025】
ベーン110は、第1流路壁面15に対向する第1対向面F1、第2流路壁面16に対向する第2対向面F2、厚さ方向Tの一方側に位置する第1側面S1、および、厚さ方向Tの他方側に位置する第2側面S2を有する。
図2および
図4に示すように、ベーン110は、翼状の形状を有している。
【0026】
第1対向面F1には、第1流路壁面15に沿いつつ長手方向Lに沿って延在し、第1流路壁面15と第1対向面F1との間に一定のクリアランスCL1を規定する第1先端部E1が設けられている。第1先端部E1は、第1流路壁面15と平行に位置している。
【0027】
本実施形態においては、
図4に示すように、第1対向面F1の外周の全周に亘って、第1流路壁面15から遠ざかるように第1先端部E1から切り下げられている段部T1が設けられていることにより、第1流路壁面15と第1先端部E1との間に一定のクリアランスCL1が規定されている。
図5および
図6に示すように、段部T1は、第1先端部E1に対して短手方向Sの他方側に深さD1だけ1段下がった段部である。なお、段部T1は、1段に限られず、複数段で第1先端部E1に対して短手方向Sの他方側に深さD1だけ下がるように構成されていてもよい。段部T1は、第1流路壁面15と略平行に位置しつつ対向している。
図7に示すように、第1流路壁面15と段部T1との間の最大クリアランスCL3は、CL1+D1の関係を満たす。
【0028】
図4に示すように、第1先端部E1は、厚さ方向Tにおいて、第1側面S1および第2側面S2の両方に対して離間している。本実施形態においては、第1先端部E1と第1側面S1との離間距離G1と、第1先端部E1と第2側面S2との離間距離G2とは略同一である。
【0029】
図3、
図5~
図7に示すように、第2対向面F2には、第2流路壁面16に沿いつつ長手方向Lに沿って延在し、第2流路壁面16と第2対向面F2との間に一定のクリアランスCL2を規定する第2先端部E2が設けられている。第2先端部E2は、第2流路壁面16と平行に位置している。
【0030】
本実施形態においては、第2対向面F2の外周の全周に亘って、第2流路壁面16から遠ざかるように第2先端部E2から切り下げられている段部T2が設けられていることにより、第2流路壁面16と第2先端部E2との間に一定のクリアランスCL2が規定されている。段部T2は、第2先端部E2に対して短手方向Sの一方側に深さD2だけ1段下がった段部である。なお、段部T2は、1段に限られず、複数段で第2先端部E2に対して短手方向Sの一方側に深さD2だけ下がるように構成されていてもよい。段部T2は、第2流路壁面16と略平行に位置しつつ対向している。
図7に示すように、第2流路壁面16と段部T2との間の最大クリアランスCL4は、CL2+D2の関係を満たす。
【0031】
第1先端部E1と同様に、第2先端部E2は、厚さ方向Tにおいて、第1側面S1および第2側面S2の両方に対して離間している。ただし、第1先端部E1および第2先端部E2の少なくとも一方が、厚さ方向Tにおいて、第1側面S1および第2側面S2の少なくとも一方に対して離間していればよい。本実施形態においては、第1先端部E1および第2先端部E2の各々は、平坦面であるが、必ずしも平坦面でなくてもよく、たとえば、長手方向Lから見て湾曲している湾曲面であってもよい。
【0032】
本発明の実施形態1に係るノズルベーン100においては、第1流路壁面15と第1対向面F1との間に一定のクリアランスCL1を規定する第1先端部E1が設けられており、第2流路壁面16と第2対向面F2との間に一定のクリアランスCL2を規定する第2先端部E2が設けられている。これにより、ベーン110とガス流入路12とのクリアランスを小さく維持して、クリアランスCL1およびクリアランスCL2を通過する排気ガスGの量が増加することを抑制することができ、ひいては、ターボチャージャの効率を維持することができる。
【0033】
また、第1先端部E1は、厚さ方向Tにおいて、第1側面S1および第2側面S2の両方に対して段部T1を介して離間しており、第2先端部E2は、厚さ方向Tにおいて、第1側面S1および第2側面S2の両方に対して段部T2を介して離間している。すなわち、ベーン110に、段部T1および段部T2が形成されている。
【0034】
第1流路壁面15と段部T1との最大クリアランスCL3が、クリアランスCL1より大きく確保されているため、仮に、排気ガスに含まれる異物が、ベーン110の第1側面S1または第2側面S2における第1流路壁面15側の端部に衝突してベーン110の形状が変化した場合に、第1対向面F1と第1流路壁面15との干渉を起きにくくしてロバスト性を向上することができる。
【0035】
また、径がCL3以上である異物は、第1先端部E1に衝突することができないため、径が大きい異物が第1先端部E1に衝突することを抑制することができる。これにより、第1先端部E1が異物の衝突により変形することを抑制して、第1先端部E1と第1流路壁面15との干渉を起きにくくすることができる。その結果、クリアランスCL1を小さく維持することが可能となる。
【0036】
同様に、第2流路壁面16と段部T2との最大クリアランスCL4が、クリアランスCL2より大きく確保されているため、仮に、排気ガスに含まれる異物が、ベーン110の第1側面S1または第2側面S2における第2流路壁面16側の端部に衝突してベーン110の形状が変化した場合に、第2対向面F2と第2流路壁面16との干渉を起きにくくしてロバスト性を向上することができる。
【0037】
また、径がCL3以上である異物は、第2先端部E2に衝突することができないため、径が大きい異物が第2先端部E2に衝突することを抑制することができる。これにより、第2先端部E2が異物の衝突により変形することを抑制して、第2先端部E2と第2流路壁面16との干渉を起きにくくすることができる。その結果、クリアランスCL2を小さく維持することが可能となる。
【0038】
本発明の実施形態1に係るノズルベーン100においては、第1先端部E1および第2先端部E2の各々は、厚さ方向Tにおいて、第1側面S1および第2側面S2の両方に対して段部T1,T2を介して離間している。これにより、全開時に異物が主に衝突する第1側面S1、および、全閉時に異物が主に衝突する第2側面S2の、両方の変形によるベーン110の回動時の摺動抵抗の増加を抑制することができる。
【0039】
なお、ベーン110には、段部T1および段部T2の少なくとも一方が設けられていればよい。また、段部T1および段部T2の形状は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。段部T1および段部T2の各々の形状は、上記に限られず、たとえば、段部の角が丸みを帯びていてもよい。
【0040】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係るノズルベーンについて図を参照して説明する。なお、本発明の実施形態2に係るノズルベーンは、第1先端部E1および第2先端部E2の形状が主に、実施形態1に係るノズルベーン100と異なるため、実施形態1に係るノズルベーン100と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0041】
図8は、本発明の実施形態2に係るノズルベーンをベーンの短手方向から見た図である。
図9は、
図8のノズルベーンをベーンの長手方向から見た図である。
図8においては、
図4と同一方向から見て図示している。
図9においては、
図5と同一方向から見て図示している。
【0042】
図8および
図9に示すように、本発明の実施形態2に係るノズルベーン200は、ベーン210と回転軸部120とを備える。
【0043】
図8に示すように、本発明の実施形態2に係るノズルベーン200においては、第1先端部E1は、短手方向Sから見て、長手方向Lに対して斜めに延在している。具体的には、第1先端部E1と第1側面S1との離間距離G21と第1先端部E1と第2側面S2との離間距離G22とが同一である位置から長手方向Lの他方側に行くにしたがって、第1先端部E1と第1側面S1との離間距離G21’が第1先端部E1と第2側面S2との離間距離G22’より長くなるように、第1先端部E1が長手方向Lに対して斜めに延在している。
【0044】
第1先端部E1と同様に、第2先端部E2は、長手方向Lに対して斜めに延在している。なお、第1先端部E1および第2先端部E2の少なくとも一方は、長手方向Lに平行に延在していてもよい。
【0045】
本発明の実施形態2に係るノズルベーン200においては、第1先端部E1は、短手方向Sから見て、長手方向Lに対して斜めに延在していることにより、ベーン210の厚さが薄くなっている長手方向Lの他方側において、第1側面S1側から第1先端部E1および第2先端部E2の各々に異物が衝突することを重点的に抑制することができる。
【0046】
また、第1先端部E1および第2先端部E2の各々の傾いている向きが逆でもよい。この場合は、ベーン210の厚さが薄くなっている長手方向Lの他方側において、第2側面S2側から第1先端部E1および第2先端部E2の各々に異物が衝突することを重点的に抑制することができる。
【0047】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係るノズルベーンについて図を参照して説明する。なお、本発明の実施形態3に係るノズルベーンは、第1先端部E1および第2先端部E2の形状が主に、実施形態1に係るノズルベーン100と異なるため、実施形態1に係るノズルベーン100と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0048】
図10は、本発明の実施形態3に係るノズルベーンをベーンの短手方向から見た図である。
図11は、
図10のノズルベーンをベーンの長手方向から見た図である。
図10においては、
図4と同一方向から見て図示している。
図11においては、
図5と同一方向から見て図示している。
【0049】
図10および
図11に示すように、本発明の実施形態3に係るノズルベーン300は、ベーン310と回転軸部120とを備える。
【0050】
図10に示すように、本発明の実施形態3に係るノズルベーン300においては、第1先端部E1は、厚さ方向Tにおいて、第1側面S1に対して段部T1を介して離間しており、第2側面S2に対して離間していない。本実施形態においては、第1先端部E1と第1側面S1との離間距離は、G31である。第1対向面F1の外周の略半周に亘って、第1流路壁面15から遠ざかるように第1先端部E1から切り下げられている段部T1が設けられている。
【0051】
図11に示すように、第1先端部E1と同様に、第2先端部E2は、厚さ方向Tにおいて、第1側面S1に対して段部T2を介して離間しており、第2側面S2に対して離間していない。本実施形態においては、第2対向面F2の外周の略半周に亘って、第2流路壁面16から遠ざかるように第2先端部E2から切り下げられている段部T2が設けられている。
【0052】
本発明の実施形態3に係るノズルベーン300においては、第1先端部E1および第2先端部E2の各々が、厚さ方向Tにおいて、第1側面S1に対して段部T1,T2を介して離間していることにより、第1側面S1側から第1先端部E1および第2先端部E2の各々に異物が衝突することを抑制することができる。
【0053】
なお、第1先端部E1および第2先端部E2の各々が、厚さ方向Tにおいて、第2側面S2に対して段部T1,T2を介して離間していてもよい。この場合は、第2側面S2側から第1先端部E1および第2先端部E2の各々に異物が衝突することを抑制することができる。
【0054】
(実施形態4)
以下、本発明の実施形態4に係るノズルベーンについて図を参照して説明する。なお、本発明の実施形態4に係るノズルベーンは、第1対向面における第1側面および第2側面の各々との角部が面取りされている点が主に、実施形態1に係るノズルベーン100と異なるため、実施形態1に係るノズルベーン100と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0055】
図12は、本発明の実施形態4に係るノズルベーンをベーンの長手方向から見た図である。
図12においては、
図5と同一方向から見て図示している。
【0056】
図12に示すように、本発明の実施形態4に係るノズルベーン400は、ベーン410と回転軸部120とを備える。
【0057】
図12に示すように、本発明の実施形態4に係るノズルベーン400においては、第1対向面F1における第1側面S1および第2側面S2の各々との角部K1が面取りされている。同様に、第2対向面F2における第1側面S1および第2側面S2の各々との角部K2が面取りされている。
【0058】
本実施形態においては、角部K1および角部K2の各々が、C面取りされているが、R面取りされていてもよい。また、角部K1および角部K2の一方のみ面取りされていてもよい。
【0059】
本発明の実施形態4に係るノズルベーン400においては、角部K1が面取りされていることにより、仮に、角部K1が異物の衝突によって形状変化した場合に、角部K1と第1流路壁面15との干渉を起きにくくしてロバスト性を向上することができる。同様に、角部K2が面取りされていることにより、仮に、角部K2が異物の衝突によって形状変化した場合に、角部K2と第2流路壁面16との干渉を起きにくくしてロバスト性を向上することができる。
【0060】
(実施形態5)
以下、本発明の実施形態5に係るノズルベーンについて図を参照して説明する。なお、本発明の実施形態5に係るノズルベーンは、第1先端部E1および第2先端部E2の形状が主に、実施形態1に係るノズルベーン100と異なるため、実施形態1に係るノズルベーン100と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0061】
図13は、本発明の実施形態5に係るノズルベーンをベーンの短手方向から見た図である。
図14は、
図13のノズルベーンをベーンの長手方向から見た図である。
図13においては、
図4と同一方向から見て図示している。
図14においては、
図5と同一方向から見て図示している。
【0062】
図13および
図14に示すように、本発明の実施形態5に係るノズルベーン500は、ベーン510と回転軸部120とを備える。
【0063】
図13および
図14に示すように、本発明の実施形態5に係るノズルベーン500においては、第1先端部E1は、長手方向Lに対して平行に延在している。第1先端部E1と段部T1との間に、第1先端部E1に対して短手方向Sの他方側に深さD1だけ漸次下がった傾斜部N1が設けられている。第1先端部E1は、厚さ方向Tにおいて、第1側面S1および第2側面S2の両方に対して段部T1および傾斜部N1を介して離間している。
【0064】
第2先端部E2は、長手方向Lに対して平行に延在している。第2先端部E2と段部T2との間に、第2先端部E2に対して短手方向Sの一方側に深さD2だけ漸次下がった傾斜部N2が設けられている。
【0065】
図13に示すように、第1先端部E1と第1側面S1との離間距離G51と、第1先端部E1と第2側面S2との離間距離G52とは略同一である。第1先端部E1と同様に、第2先端部E2は、厚さ方向Tにおいて、第1側面S1および第2側面S2の両方に対して段部T2および傾斜部N2を介して離間している。
【0066】
本発明の実施形態5に係るノズルベーン500においては、第1先端部E1と段部T1との間に傾斜部N1が設けられており、第2先端部E2と段部T2との間に傾斜部N2が設けられていることにより、仮に、傾斜部N1が異物の衝突によって形状変化した場合に、傾斜部N1と第1流路壁面15との干渉を起きにくくしてロバスト性を向上することができる。同様に、仮に、傾斜部N2が異物の衝突によって形状変化した場合に、傾斜部N2と第2流路壁面16との干渉を起きにくくしてロバスト性を向上することができる。
【0067】
(実施形態6)
以下、本発明の実施形態6に係るノズルベーンについて図を参照して説明する。なお、本発明の実施形態6に係るノズルベーンは、第1対向面に突条部が設けられている点が主に、実施形態2に係るノズルベーン200と異なるため、実施形態2に係るノズルベーン200と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0068】
図15は、本発明の実施形態6に係るノズルベーンをベーンの短手方向から見た図である。
図16は、
図15のノズルベーンをベーンの長手方向から見た図である。
図15においては、
図8と同一方向から見て図示している。
図16においては、
図9と同一方向から見て図示している。
【0069】
図15および
図16に示すように、本発明の実施形態6に係るノズルベーン600は、ベーン610と回転軸部120とを備える。
【0070】
図15および
図16に示すように、本発明の実施形態6に係るノズルベーン600においては、第1対向面F1における第1側面S1および第2側面S2の各々と第1先端部E1との間の位置に、長手方向Lに沿って延在する突条部M1が設けられている。
【0071】
本実施形態においては、
図15に示すように、第1対向面F1の外周の全周に亘って、段部T1から突出している突条部M1が設けられている。突条部M1は、段部T1に対して短手方向Sの一方側に高さD3だけ1段上がった段部である。突条部M1の高さD3の寸法は、段部T1の深さD1の寸法より小さい。なお、突条部M1は、第1対向面F1における第1側面S1および第2側面S2の少なくとも一方と第1先端部E1との間の位置にしていればよい。
【0072】
同様に、第2対向面F2における第1側面S1および第2側面S2の各々と第2先端部E2との間の位置に、長手方向Lに沿って延在する突条部M2が設けられている。
【0073】
本実施形態においては、第2対向面F2の外周の全周に亘って、段部T2から突出している突条部M2が設けられている。突条部M2は、段部T2に対して短手方向Sの他方側に高さD4だけ1段上がった段部である。突条部M2の高さD4の寸法は、段部T2の深さD2の寸法より小さい。なお、突条部M2は、第2対向面F2における第1側面S1および第2側面S2の少なくとも一方と第2先端部E2との間の位置にしていればよい。
【0074】
本発明の実施形態6に係るノズルベーン600においては、突条部M1が設けられていることにより、突条部M1が障壁となって第1先端部E1に異物が衝突することを抑制できる。また、突条部M1は段部T1と隣接しているため、仮に、突条部M1に異物が衝突した場合、突条部M1は、段部T1側に向けて変形できるため、突条部M1が第1流路壁面15と干渉することを抑制することができる。
【0075】
同様に、突条部M2が設けられていることにより、突条部M2が障壁となって第2先端部E2に異物が衝突することを抑制できる。また、突条部M2は段部T2と隣接しているため、仮に、突条部M2に異物が衝突した場合、突条部M2は、段部T2側に向けて変形できるため、突条部M2が第2流路壁面16と干渉することを抑制することができる。
【0076】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
1 ターボチャージャ、10 タービンハウジング、11 スクロール室、12 ガス流入路、13 タービン室、14 排気入口ポート、15 第1流路壁面、16 第2流路壁面、17 排気出口ポート、20 タービン翼車、30 ベアリングハウジング、100,200,300,400,500,600 ノズルベーン、110,210,310,410,510,610 ベーン、120 回転軸部、121 第1軸部、122 第2軸部、C1 回転軸線、C2 回動軸線、CL1,CL2 クリアランス、CL3,CL4 最大クリアランス、D1,D2 深さ、D3,D4 高さ、E1 第1先端部、E2 第2先端部、F1 第1対向面、F2 第2対向面、G 排気ガス、G1,G2,G21,G22,G51,G52 離間距離、K1,K2 角部、L 長手方向、M1 突条部、N1,N2 傾斜部、S 短手方向、S1 第1側面、S2 第2側面、T 厚さ方向、T1,T2 段部。