IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許-覚醒装置 図1
  • 特許-覚醒装置 図2
  • 特許-覚醒装置 図3
  • 特許-覚醒装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】覚醒装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221220BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20221220BHJP
   A61M 21/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G08B21/24
A61M21/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019219673
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2021089579
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2021-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】小谷 彩子
(72)【発明者】
【氏名】松脇 みちる
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-197916(JP,A)
【文献】特開2017-199270(JP,A)
【文献】特開2012-252497(JP,A)
【文献】特開2017-27180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
A61M 21/00-21/02
G08B 19/00-21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバを覚醒させる覚醒装置(1)であって、
前記ドライバの眠気レベルを測定するように構成された眠気レベル測定ユニット(9)と、
前記眠気レベルの変化を判断するように構成された変化判断ユニット(11)と、
前記眠気レベル測定ユニットが測定した前記眠気レベル、及び前記変化判断ユニットの判断結果に基づき、覚醒刺激の態様を設定するように構成された態様設定ユニット(13)と、
前記態様設定ユニットが設定した前記態様に応じて前記覚醒刺激を発生させるように構成された覚醒刺激発生ユニット(15)と、
を備え、
前記眠気レベルが上昇したと前記変化判断ユニットが判断した場合の少なくとも一部において、前記態様設定ユニットは、前記眠気レベルが上昇する前の前記態様に含まれる前記覚醒刺激に加えて、追加の覚醒刺激を含む前記態様を設定し、
前記眠気レベルが下降したと前記変化判断ユニットが判断した場合の少なくとも一部において、前記態様設定ユニットは、前記眠気レベルが下降する前の前記態様に含まれる前記覚醒刺激に代えて、新たな覚醒刺激を含む前記態様を設定し、
前記新たな覚醒刺激は、前記眠気レベルが下降する前の前記態様に含まれる光の覚醒刺激と同じ種類の覚醒刺激であって、特徴が異なる光の覚醒刺激である、
覚醒装置。
【請求項2】
請求項1に記載の覚醒装置であって、
前記眠気レベルが上昇したと前記変化判断ユニットが判断した場合の少なくとも一部において、前記態様設定ユニットは、一部の時間で前記追加の覚醒刺激を発生させる前記態様を設定する、
覚醒装置。
【請求項3】
ドライバを覚醒させる覚醒装置(1)であって、
前記ドライバの眠気レベルを測定するように構成された眠気レベル測定ユニット(9)と、
前記眠気レベルの変化を判断するように構成された変化判断ユニット(11)と、
前記眠気レベル測定ユニットが測定した前記眠気レベル、及び前記変化判断ユニットの判断結果に基づき、覚醒刺激の態様を設定するように構成された態様設定ユニット(13)と、
前記態様設定ユニットが設定した前記態様に応じて前記覚醒刺激を発生させるように構成された覚醒刺激発生ユニット(15)と、
を備え、
前記眠気レベルが上昇したと前記変化判断ユニットが判断した場合の少なくとも一部において、前記態様設定ユニットは、前記眠気レベルが上昇する前の前記態様に含まれる前記覚醒刺激に加えて、追加の覚醒刺激を含む前記態様を設定し、
前記眠気レベルが下降したと前記変化判断ユニットが判断した場合の少なくとも一部において、前記態様設定ユニットは、前記眠気レベルが下降する前の前記態様に含まれる前記覚醒刺激に代えて、新たな覚醒刺激を含む前記態様を設定し、
前記新たな覚醒刺激は、前記眠気レベルが下降する前の前記態様に含まれる前記覚醒刺激とは異なる種類の覚醒刺激である、
覚醒装置。
【請求項4】
ドライバを覚醒させる覚醒装置(1)であって、
前記ドライバの眠気レベルを測定するように構成された眠気レベル測定ユニット(9)と、
前記眠気レベルの変化を判断するように構成された変化判断ユニット(11)と、
前記眠気レベル測定ユニットが測定した前記眠気レベル、及び前記変化判断ユニットの判断結果に基づき、覚醒刺激の態様を設定するように構成された態様設定ユニット(13)と、
前記態様設定ユニットが設定した前記態様に応じて前記覚醒刺激を発生させるように構成された覚醒刺激発生ユニット(15)と、
を備え、
前記眠気レベルが上昇したと前記変化判断ユニットが判断した場合の少なくとも一部において、前記態様設定ユニットは、前記眠気レベルが上昇する前の前記態様に含まれる前記覚醒刺激に加えて、追加の覚醒刺激を含む前記態様を設定し、
前記眠気レベルが下降したと前記変化判断ユニットが判断した場合の少なくとも一部において、前記態様設定ユニットは、前記眠気レベルが下降する前の前記態様に含まれる前記覚醒刺激に代えて、新たな覚醒刺激を含む前記態様を設定し、
前記態様設定ユニットは、前記態様を変更する場合、変更後の前記態様の初期に、前記覚醒刺激が発生しない時間を設定する、
覚醒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は覚醒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に振動制御装置が開示されている。振動制御装置は、ドライバの眠気を検出した場合、振動を発生させる。振動は、ドライバを覚醒するための覚醒刺激である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-55527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
覚醒装置が覚醒刺激を発生させているとき、ドライバの眠気レベルが下降することがある。眠気レベルが一時的に下降しても、眠気レベルが再び上昇する可能性がある。そのため、覚醒装置が覚醒刺激を発生させているとき、ドライバの眠気レベルが下降しても、覚醒刺激を継続することが考えられる。ドライバは、眠気レベルが低下しているにもかかわらず、同じ覚醒刺激が継続すると、煩わしさを感じる。本開示の1つの局面では、ドライバが煩わしさを感じ難い覚醒装置を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの局面は、ドライバを覚醒させる覚醒装置(1)である。覚醒装置は、前記ドライバの眠気レベルを測定するように構成された眠気レベル測定ユニット(9)と、前記眠気レベルの変化を判断するように構成された変化判断ユニット(11)と、前記眠気レベル測定ユニットが測定した前記眠気レベル、及び前記変化判断ユニットの判断結果に基づき、覚醒刺激の態様を設定するように構成された態様設定ユニット(13)と、前記態様設定ユニットが設定した前記態様に応じて前記覚醒刺激を発生させるように構成された覚醒刺激発生ユニット(15)と、を備える。
【0006】
前記眠気レベルが上昇したと前記変化判断ユニットが判断した場合の少なくとも一部において、前記態様設定ユニットは、前記眠気レベルが上昇する前の前記態様に含まれる前記覚醒刺激に加えて、追加の覚醒刺激を含む前記態様を設定する。
【0007】
前記眠気レベルが下降したと前記変化判断ユニットが判断した場合の少なくとも一部において、前記態様設定ユニットは、前記眠気レベルが下降する前の前記態様に含まれる前記覚醒刺激に代えて、新たな覚醒刺激を含む前記態様を設定する。
【0008】
本開示の1つの局面である覚醒装置によれば、ドライバは、眠気レベルの下降に応じて覚醒刺激が変化していることに気付き易い。ドライバは、覚醒刺激が変化したため、煩わしさを感じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】覚醒装置の構成を表すブロック図である。
図2】覚醒装置の機能的構成を表すブロック図である。
図3】覚醒装置が実行する処理を表すフローチャートである。
図4】眠気レベルの変化と態様の変化とを表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
1.覚醒装置1の構成
覚醒装置1の構成を、図1に基づき説明する。覚醒装置1は車両3に搭載されている。車両3はドライバにより運転される。覚醒装置1は、CPU5と、例えば、RAM又はROM等の半導体メモリ(以下、メモリ7とする)と、を有するマイクロコンピュータを備える。
【0011】
覚醒装置1の各機能は、CPU5が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、メモリ7が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。なお、覚醒装置1は、1つのマイクロコンピュータを備えてもよいし、複数のマイクロコンピュータを備えてもよい。
【0012】
覚醒装置1は、図2に示すように、眠気レベル測定ユニット9と、変化判断ユニット11と、態様設定ユニット13と、覚醒刺激発生ユニット15と、表示ユニット17と、終了判断ユニット19と、を備える。
【0013】
覚醒装置1は、車両3に搭載されている他の構成と接続している。図1に示すように、覚醒装置1と接続している構成として、ドライバステイタスモニタ(DSM)21と、車載ネットワーク23と、発光装置25と、アロマシューター27と、対話装置29と、エアコン31と、振動スピーカー33と、ヘッドアップディスプレイ(HUD)35と、スピーカー37と、がある。
【0014】
DSM21はドライバの顔を撮影し、画像を生成する。DSM21は、生成した画像を覚醒装置1に送る。車載ネットワーク23は、車両3に搭載されたセンサの検出結果等を覚醒装置1に送る。センサとして、例えば、車速、加速度、操舵角、アクセルの踏み込み量、ブレーキの踏み込み量等を検出するセンサが挙げられる。
【0015】
発光装置25は、ドライバが視認可能な光を発生させる。発光装置25が発生させる光は覚醒刺激に対応する。覚醒刺激は、ドライバが五感で感じ取れる刺激であって、ドライバを覚醒させる刺激である。発光装置25は、輝度、光の色等を変化させることができる。発光装置25は、輝度を周期的に変化させることができる。発光装置25は、輝度が周期的に変化するとき、周期の長さ、波形、単位時間当たりの輝度の変化量等を調整することができる。発光装置25は、例えば、光源としてLEDを備える。
【0016】
アロマシューター27は、香料を車両3の車室内に噴射する。ドライバは、噴射された香料の香りを知覚する。アロマシューター27が発生させる香りは、覚醒刺激に対応する。アロマシューター27は、香りの種類、香りの強さ等を変化させることができる。
【0017】
対話装置29は、ドライバと対話を行う。すなわち、対話装置29は、ドライバが発音する音声を認識すること、ドライバの音声に対する回答を作成すること、及び回答を発音することを行う。対話装置29は、例えば、人工知能を用いて対話を行う。対話装置29が提供する対話は、覚醒刺激に対応する。
【0018】
エアコン31は、車両3の車室内に冷風を発生させる。冷風は覚醒刺激に対応する。エアコン31は、冷風の温度、風量、及びモードを変化させることができる。モードとして、オートモードと、ドライバ顔モードとがある。オートモードは、冷風の噴き出し方向を、予め設定されたアルゴリズムにより変化させるモードである。ドライバ顔モードは、常にドライバの顔に向けて冷風を吹き出すモードである。
【0019】
振動スピーカー33は、ドライバシートの臀部又は背中部に埋め込まれている。振動スピーカー33は振動を発生させる。振動は覚醒刺激に対応する。振動は、例えば、音楽における低音部に基づく振動である。
【0020】
HUD35は、車両3の前方の風景と重畳した画像を表示する。また、HUD35は光刺激を発生させることができる。光刺激は覚醒刺激に対応する。また、HUD35は、覚醒刺激に関する情報を提示することができる。覚醒刺激に関する情報として、起動の情報、継続の情報、起動休憩の情報、及び継続休憩の情報がある。なお、メータディスプレイ、又はセンターインフォーメーションディスプレイにより光刺激を発生させてもよい。また、メータディスプレイ、又はセンターインフォーメーションディスプレイにより、覚醒刺激に関する情報を提示してもよい。
【0021】
起動の情報は、覚醒刺激が発生する前に表示される。起動の情報は、これから覚醒刺激が起動することをドライバに知らせる。継続の情報は、覚醒刺激が継続しているときに表示される。継続の情報は、覚醒刺激が継続していることをドライバに知らせる。
【0022】
起動休憩の情報は、休憩提案が発生する前に表示される。なお、休憩提案とは、ドライバに対し休憩することを提案する内容の表示である。休憩提案は、例えば、HUD35、メータディスプレイ、及びセンターインフォーメーションディスプレイのうち1以上に表示される。
【0023】
起動休憩の情報は、これから休憩提案が起動することをドライバに知らせる。継続休憩の情報は、休憩提案が継続しているときに表示される。継続休憩の情報は、休憩提案が継続していることをドライバに知らせる。
【0024】
スピーカー37は、車両3の車室内で音声を発生させる。音声は覚醒刺激に対応する。音声として、音楽の音声と、アラームの音声とがある。
2.覚醒装置1が実行する処理
覚醒装置1が実行する処理を、図3に基づき説明する。図3に示す処理は、所定のきっかけがあったときに開始される。きっかけとして、例えば、車両3のイグニッションがオンになること、車両3の走行が開始されること、ドライバによる指示等が挙げられる。
【0025】
ステップ1では、眠気レベル測定ユニット9が、ドライバの眠気レベルを測定する。眠気レベルとして、Lv0~Lv5の6段階がある。覚醒装置1は、Lv4~Lv5の場合は、Lv3の場合と同様の処理を行う。以下では、Lv4~Lv5の場合の記載は省略する。Lv0は、最も眠気の程度が低いレベルである。Lv1、Lv2、Lv3の順に、眠気の程度が高くなる。眠気レベル測定ユニット9は、ドライバの眠気レベルが、Lv0~Lv3のうちのどれであるかを決定する。
【0026】
眠気レベルの測定方法として、公知の方法を用いることができる。例えば、眠気レベル測定ユニット9は、DSM21を用いて、ドライバの顔を表す画像を取得する。眠気レベル測定ユニット9は、ドライバの顔を表す画像から、眠気に関連する特徴を抽出する。特徴として、例えば、ドライバの眼の開眼量等が挙げられる。開眼量が小さいほど、ドライバの眠気レベルは高い。眠気レベル測定ユニット9は、抽出した特徴に基づき、眠気レベルを決定する。
【0027】
また、例えば、眠気レベル測定ユニット9は、車載ネットワーク23から、車両3に搭載されたセンサの検出結果を継続的に取得する。眠気レベル測定ユニット9は、センサの検出結果から、車両3の過去の走行状態を推定する。眠気レベル測定ユニット9は、推定した走行状態に基づき、眠気レベルを決定する。例えば、車両3の速度変化や操舵角の変化が少ないほど、眠気レベルは高くなる。
【0028】
ステップ2では、表示ユニット17が、前記ステップ1で測定した眠気レベルを、HUD35、メータディスプレイ、及びセンターインフォーメーションディスプレイのうち1以上に表示する。
【0029】
ステップ3では、態様設定ユニット13が、前記ステップ1で測定した眠気レベルに基づき、覚醒刺激の態様を設定する。覚醒刺激の態様として、表1に示すように、態様L0(A)、L0(B)、L1(A)、L1(B)、L2、L3がある。それぞれの態様では、表1に示すように、発生する覚醒刺激の種類が決められている。
【0030】
【表1】
【0031】
覚醒刺激の種類として、発光、香り、対話、冷風、振動、及び音声がある。発光は、発光装置25及びHUD35が発生させる光の覚醒刺激である。香りは、アロマシューター27が発生させる覚醒刺激である。対話は、対話装置29が発生させる覚醒刺激である。冷風は、エアコン31が発生させる覚醒刺激である。振動は、振動スピーカー33が発生させる覚醒刺激である。音声は、スピーカー37が発生させる覚醒刺激である。
【0032】
また、それぞれの態様では、覚醒刺激の種類ごとに、覚醒刺激の特徴が決められている。表1に示すように、発光装置25が発生させる光の覚醒刺激は、発光1~4に区別されている。発光1~4は、互いに異なる特徴を有する。特徴として、例えば、光の色、輝度、発光のパターン、光が発生する場所、光を発生させる装置等が挙げられる。ドライバを覚醒させる効果は、発光1よりも発光2が高く、発光2よりも発光3が高く、発光3よりも発光4が高い。
【0033】
表1に示すように、香りの覚醒刺激は、香り1~4に区別されている。香り1~4は、互いに異なる特徴を有する。特徴として、例えば、香りの種類、香りの強さ等が挙げられる。ドライバを覚醒させる効果は、香り1よりも香り2が高く、香り2よりも香り3が高く、香り3よりも香り4が高い。
【0034】
表1に示すように冷風の覚醒刺激は、冷風の温度、風量、及びモードの3要素から成る。冷風の温度は、オート又は低温である。オートとは、予め設定されたアルゴリズムにより、温度を設定することである。風量は、オート又は強である。オートとは、予め設定されたアルゴリズムにより、風量を設定することである。モードは、上述したオートモード、又はドライバ顔モードである。なお、冷風の温度、風量、及びモードが全てオートである場合は、冷風の覚醒刺激が発生していない場合である。ドライバを覚醒させる効果は、冷風の温度が低温である場合の方が、冷風の温度がオートである場合よりも高い。ドライバを覚醒させる効果は、冷風の風量が強である場合の方が、冷風の風量がオートである場合よりも高い。ドライバを覚醒させる効果は、ドライバ顔モードである場合の方が、オートモードである場合よりも高い。
【0035】
表1に示すように、音声の覚醒刺激は、オンとアラームとに区別されている。オンは、音楽の音声を出力する覚醒刺激である。アラームは、アラームの音声を出力する覚醒刺激である。ドライバを覚醒させる効果は、アラームの方がオンよりも高い。
【0036】
態様L0(B)、L1(B)は、パターンP0、P1から構成される。態様L0(B)、L1(B)が設定されているとき、パターンP0の時間帯と、パターンP1の時間帯とが、交互に繰り返される。パターンP0の時間帯では、覚醒刺激は発生しない。パターンP1の時間帯では、表1においてパターンP1に関連付けられた覚醒刺激が発生する。
【0037】
態様L1(A)は、パターンP0、P1、P2、P3、P4から構成される。態様L1(A)が設定されているとき、パターンP0の時間帯から、パターンP1の時間帯、パターンP2の時間帯、及びパターンP3の時間帯を順次経て、パターンP4の時間帯に順次移行する。パターンP4の時間帯が終了すると、再びパターンP0の時間帯に戻る。
【0038】
パターンP0の時間帯では、覚醒刺激は発生しない。パターンP1~P4の時間帯では、表1においてそれぞれのパターンに対応付けられた覚醒刺激が発生する。
態様L2、L3は、パターンP0、P1、P2、P3から構成される。態様L2、L3が設定されているとき、パターンP0の時間帯から、パターンP1の時間帯、及びパターンP2の時間帯を順次経て、パターンP3の時間帯に順次移行する。パターンP3の時間帯が終了すると、再びパターンP0の時間帯に戻る。
【0039】
パターンP0の時間帯では、覚醒刺激は発生しない。パターンP1~P3の時間帯では、表1においてそれぞれのパターンに対応付けられた覚醒刺激が発生する。
前記ステップ1で測定した眠気レベルがLv0であった場合、態様設定ユニット13は、態様L0(A)を設定する。前記ステップ1で測定した眠気レベルがLv1であった場合、態様設定ユニット13は、態様L1(A)を設定する。前記ステップ1で測定した眠気レベルがLv2であった場合、態様設定ユニット13は、態様L2を設定する。前記ステップ1で測定した眠気レベルがLv3であった場合、態様設定ユニット13は、態様L3を設定する。
【0040】
ステップ4では、覚醒刺激発生ユニット15が、前記ステップ3で設定された態様に応じて覚醒刺激を発生させる。覚醒刺激の発生は、後述するステップ8又は11で態様が新たに設定されるか、ステップ13で終了タイミングであると判断されるまで継続する。
【0041】
また、覚醒刺激発生ユニット15は、HUD35を用いて、覚醒刺激に関する情報を提示する。提示する情報は、表1に示すとおり、パターンごとに決められている。
ステップ5では、眠気レベル測定ユニット9が、ドライバの眠気レベルを測定する。眠気レベルを測定する方法は前記ステップ1と同様である。
【0042】
ステップ6では、表示ユニット17が、前記ステップ5で測定した眠気レベルを、HUD35、メータディスプレイ、及びセンターインフォーメーションディスプレイのうち1以上に表示する。
【0043】
ステップ7では、変化判断ユニット11が、眠気レベルの変化を判断する。眠気レベルの変化とは、最も新しく測定された眠気レベル(以下では最新の眠気レベルとする)の、その1回前に測定された眠気レベル(以下では前回の眠気レベルとする)に対する変化である。最新の眠気レベルは、直前の前記ステップ5で測定された眠気レベルである。前回の眠気レベルは、1サイクル前の前記ステップ5で測定された眠気レベル、又は、前記ステップ1で測定された眠気レベルである。なお、サイクルとは、ステップ5~13により構成されるサイクルである。
【0044】
眠気レベルの変化として、上昇、同一、及び下降がある。上昇とは、最新の眠気レベルが前回の眠気レベルよりも上昇していることを意味する。同一とは、最新の眠気レベルが前回の眠気レベルと同一であることを意味する。下降とは、最新の眠気レベルが前回の眠気レベルよりも下降していることを意味する。
【0045】
眠気レベルが上昇している場合、本処理はステップ8に進む。眠気レベルが同一である場合、本処理はステップ10に進む。眠気レベルが下降している場合、本処理はステップ11に進む。
ステップ8では、態様設定ユニット13が、最新の眠気レベル、及び、眠気レベルが上昇しているという前記ステップ7での判断結果に基づき、覚醒刺激の態様を設定する。
【0046】
最新の眠気レベルがLv1である場合、態様設定ユニット13は、態様L1(A)を設定する。最新の眠気レベルがLv2である場合、態様設定ユニット13は、態様L2を設定する。最新の眠気レベルがLv3である場合、態様設定ユニット13は、態様L3を設定する。なお、眠気レベルが上昇した場合の態様の変化を図4に示す。
【0047】
ステップ9では、覚醒刺激発生ユニット15が、直前の前記ステップ8で設定された態様に応じて覚醒刺激を発生させる。覚醒刺激の発生は、後に実行されるステップ8又は11で態様が新たに設定されるか、ステップ13で終了タイミングであると判断されるまで継続する。
【0048】
ステップ10では、態様設定ユニット13が、現状の態様を継続する。覚醒刺激発生ユニット15も、現状の態様に応じた覚醒刺激を継続する。
ステップ11では、態様設定ユニット13が、最新の眠気レベル、及び、眠気レベルが下降しているという前記ステップ7での判断結果に基づき、覚醒刺激の態様を設定する。
【0049】
最新の眠気レベルがLv0である場合、態様設定ユニット13は、態様L0(B)を設定する。最新の眠気レベルがLv1である場合、態様設定ユニット13は、態様L1(B)を設定する。なお、眠気レベルが一旦Lv3に上昇すると、その後、眠気レベルの測定結果によらず、眠気レベルはLv3を維持する。そのため、眠気レベルがLv3からLv2に下降することはない。眠気レベルが下降した場合の態様の変化を図4に示す。
【0050】
ステップ12では、覚醒刺激発生ユニット15が、直前の前記ステップ11で設定された態様に応じて覚醒刺激を発生させる。覚醒刺激の発生は、後に実行されるステップ8又は11で態様が新たに設定されるか、ステップ13で終了タイミングであると判断されるまで継続する。
【0051】
ステップ13では、現時点が終了タイミングであるか否かを終了判断ユニット19が判断する。終了タイミングとして、例えば、車両3のイグニッションが既にオフになっているタイミング、車両3の走行が既に終了しているタイミング、ドライバによる終了指示が既になされたタイミング等が挙げられる。現時点が終了タイミングではない場合、本処理はステップ5に進む。現時点が終了タイミングである場合、本処理は終了する。
【0052】
3.覚醒装置1が奏する効果
(1)態様L1(A)が設定されているときに、眠気レベルがLv1からLv2に上昇すると、覚醒装置1は、態様L2を新たに設定する。態様L2は、態様L1(A)に含まれる覚醒刺激に加えて、冷風の覚醒刺激を含む。態様L1(A)は、眠気レベルが上昇する前の態様に対応する。冷風の覚醒刺激は、追加の覚醒刺激に対応する。ドライバは、追加の覚醒刺激を体感し、眠気レベルの上昇に応じて覚醒刺激が変化していることに気付く。
また、態様L2が設定されているときに、眠気レベルがLv2からLv3に上昇すると、覚醒装置1は、態様L3を新たに設定する。態様L3は、態様L2に含まれる覚醒刺激に加えて、振動の覚醒刺激を含む。態様L2は、眠気レベルが上昇する前の態様に対応する。振動の覚醒刺激は、追加の覚醒刺激に対応する。ドライバは、追加の覚醒刺激を体感し、眠気レベルの上昇に応じて覚醒刺激が変化していることに気付く。
【0053】
態様L2は、一部の時間において冷風の覚醒刺激を発生させる態様である。全ての時間において冷風の覚醒刺激を発生させる場合に比べて、ドライバは、覚醒刺激を煩わしく感じ難い。
(2)態様L2が設定されているときに、眠気レベルがLv2からLv1に下降すると、覚醒装置1は、態様L1(B)を新たに設定する。態様L1(B)は、態様L2に含まれる覚醒刺激に代えて、HUD35による光刺激を含む。態様L2は、眠気レベルが下降する前の態様に対応する。HUD35による光刺激は、眠気レベルが下降する前の態様に含まれる覚醒刺激に代わる、新たな覚醒刺激に対応する。ドライバは、態様L1(B)が設定されると、覚醒刺激が大きく変化したことを体感し、眠気レベルの下降に応じて覚醒刺激が変化していることに気付く。そのため、ドライバは、眠気レベルが下降した後に覚醒刺激が継続しても、煩わしさを感じ難い。
【0054】
態様L2は、発光装置25による光刺激を含む。HUD35による光刺激は、発光装置25による光刺激と同じ種類の覚醒刺激であって、特徴が異なる覚醒刺激である。特徴が異なるため、ドライバは、覚醒刺激の変化を体感することができる。
【0055】
(3)態様L0(A)、L0(B)、L1(A)、L1(B)、L2、L3は、それぞれ、パターンP0を含む。パターンP0では、覚醒刺激が発生しない。態様が変更されたとき、変更後の態様の初期は、パターンP0である。そのため、態様が変更されたとき、変更後の態様の初期は、覚醒刺激が発生しない時間である。ドライバは、覚醒刺激が発生しない時間を体感することにより、眠気レベル及び態様が変化したことに気付く。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0056】
(1)態様L1(B)は、態様L2に含まれる覚醒刺激に代えて、態様L2に含まれる覚醒刺激とは異なる種類の覚醒刺激を含んでいてもよい。異なる種類の覚醒刺激として、例えば、対話の覚醒刺激、振動の覚醒刺激、音声の覚醒刺激等が挙げられる。上記の場合、態様L1(B)は異なる種類の覚醒刺激を含むため、ドライバは、覚醒刺激の変化を体感することができる。
【0057】
態様L1(B)は、態様L2に含まれる覚醒刺激のいずれも含んでいなくてもよい。また、態様L1(B)は、態様L2に含まれる覚醒刺激のうち一部を含んでいてもよい。
(2)本開示に記載の覚醒装置1及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の覚醒装置1及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の覚醒装置1及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。覚醒装置1に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0058】
(3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0059】
(4)上述した覚醒装置1の他、当該覚醒装置1を構成要素とするシステム、当該覚醒装置1としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、ドライバの覚醒の覚醒方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1…覚醒装置、3…車両、9…眠気レベル測定ユニット、11…変化判断ユニット、13…態様設定ユニット、15…覚醒刺激発生ユニット、17…表示ユニット、19…終了判断ユニット、23…車載ネットワーク、25…発光装置、27…アロマシューター、29…対話装置、31…エアコン、33…振動スピーカー、37…スピーカー
図1
図2
図3
図4