IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 味の素株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ポリリジン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C08G 81/00 20060101AFI20221220BHJP
   C08G 69/14 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 8/88 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20221220BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20221220BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20221220BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20221220BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20221220BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
C08G81/00
C08G69/14
A61K8/88
A61K8/64
A61K8/04
A61Q1/00
A61Q19/00
A61Q19/10
A61Q11/00
A61Q5/02
A61Q5/06
A61Q5/12
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019540967
(86)(22)【出願日】2018-09-04
(86)【国際出願番号】 JP2018032749
(87)【国際公開番号】W WO2019049862
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2017170177
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直哉
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105418944(CN,A)
【文献】特表2001-525357(JP,A)
【文献】特表2009-520040(JP,A)
【文献】特表2000-511189(JP,A)
【文献】特表2010-519215(JP,A)
【文献】特表2013-524940(JP,A)
【文献】特開平07-109339(JP,A)
【文献】特開平07-070311(JP,A)
【文献】特表2004-507600(JP,A)
【文献】特開2017-203143(JP,A)
【文献】特開2004-161820(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10041559(DE,A1)
【文献】特開2009-132702(JP,A)
【文献】米国特許第5137874(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G81/00-85/00
C08G69/00-69/50
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側鎖にポリエステルを有する、ポリリジン誘導体であって、
下記一般式(1)で表される構造単位を有する、ポリリジン誘導体
【化1】
(一般式(1)中、A は、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、又は一般式(5)で表される基を表す。iは0又は4を表し、jは、iが0を表す場合4を表し、iが4を表す場合0を表す。)
【化2】
(一般式(2)~(3)中、a個のR は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、R は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、又は-CO-R’で表される基(R’は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基を表す)を表し、aは2~100の整数を表す。a個のR は互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(4)及び(5)中、b個のR は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、R は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、又は-CO-R’で表される基(R’は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基を表す)を表し、b個のR は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、bは1~100の整数を表す。b個のR 及びR は互いに同一でも異なっていてもよい。
但し、一般式(2)~(5)中、R の少なくとも1つは、置換基を有していてもよい、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、デカヒドロナフタニレン基、及び1-ヘキシルウンデシレン基からなる群より選択される少なくとも1つを表す。)
【請求項2】
重量平均分子量が、5000~1000000である、請求項1に記載のポリリジン誘導体。
【請求項3】
一分子中に少なくとも一般式(1)で表される構造単位を2以上有する、請求項1又は2に記載のポリリジン誘導体。
【請求項4】
側鎖質量/主鎖質量が、1~100である、請求項1~のいずれか1項に記載のポリリジン誘導体。
【請求項5】
アミン価が、0mgKOH/g~220mgKOH/gである、請求項1~のいずれか1項に記載のポリリジン誘導体。
【請求項6】
酸価が、0mgKOH/g~100mgKOH/gである、請求項1~のいずれか1項に記載のポリリジン誘導体。
【請求項7】
一般式(2)~(5)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数2~30のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2~30のアルケニル基を表す、請求項のいずれか1項に記載のポリリジン誘導体。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載のポリリジン誘導体を含有する、分散剤。
【請求項9】
請求項に記載の分散剤で粒子を処理した、処理粒子。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載のポリリジン誘導体、及び粒子を含む、粒子含有組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の粒子含有組成物を含有する化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリリジン誘導体に関する。さらには、当該ポリリジン誘導体を含有する、分散剤、処理粒子、粒子含有組成物、及び化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶カラーディスプレイや撮像素子等を製造するために使用されるカラーフィルタは、分散顔料を用いて製造される。このような分散顔料としては、例えば、特許文献1に記載の顔料分散剤を用いて調製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-169821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の顔料分散剤は、肌等の影響を考慮すると、化粧料への配合は限定的であった。そのため、広範な用途への適用を可能にする観点から、新規な分散剤の開発が求められている。本発明は、新規なポリリジン誘導体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] 側鎖にポリエステルを有する、ポリリジン誘導体。
[2] 重量平均分子量が、5000~1000000である、[1]に記載のポリリジン誘導体。
[3] 下記一般式(1)で表される構造単位を有する、[1]又は[2]に記載のポリリジン誘導体。
【化1】
(一般式(1)中、Aは、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、又は一般式(5)で表される基を表す。iは0又は4を表し、jは、iが0を表す場合4を表し、iが4を表す場合0を表す。)
【化2】
(一般式(2)~(3)中、a個のRは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、又は-CO-R’で表される基(R’は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基を表す)を表し、aは2~100の整数を表す。a個のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(4)及び(5)中、b個のRは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、又は-CO-R’で表される基(R’は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基を表す)を表し、b個のRは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、bは1~100の整数を表す。b個のR及びRは互いに同一でも異なっていてもよい。)
[4] 一分子中に少なくとも一般式(1)で表される構造単位を2以上有する、[3]に記載のポリリジン誘導体。
[5] 側鎖質量/主鎖質量が、1~100である、[1]~[4]のいずれかに記載のポリリジン誘導体。
[6] アミン価が、0mgKOH/g~220mgKOH/gである、[1]~[5]のいずれかに記載のポリリジン誘導体。
[7] 酸価が、0mgKOH/g~100mgKOH/gである、[1]~[6]のいずれかに記載のポリリジン誘導体。
[8] 一般式(2)~(5)中、Rの少なくとも1つは、置換基を有していてもよい炭素原子数10~30のアルキレン基を表す、[3]~[7]のいずれかに記載のポリリジン誘導体。
[9] 一般式(2)~(5)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数2~30のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2~30のアルケニル基を表す、[3]~[8]のいずれかに記載のポリリジン誘導体。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載のポリリジン誘導体を含有する、分散剤。
[11] [10]に記載の分散剤で粒子を処理した、処理粒子。
[12] [1]~[9]のいずれかに記載のポリリジン誘導体、及び粒子を含む、粒子含有組成物。
[13] [12]に記載の粒子含有組成物を含有する化粧料。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、分散剤として使用可能な新規なポリリジン誘導体;このポリリジン誘導体を含有する、分散剤、処理粒子、粒子含有組成物、及び化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明のポリリジン誘導体、当該ポリリジン誘導体を含有する、分散剤、処理粒子、粒子含有組成物、及び化粧料について詳細に説明する。
【0008】
本明細書において、化合物又は基の直前に付されている「置換基を有していてもよい」という用語は、特に断りのない限り、該化合物又は基の水素原子が置換基で置換されていない場合、及び、該化合物又は基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている場合の双方を意味する。
【0009】
本明細書において、「C~C」(r及びsは正の整数であり、r<sを満たす。)という用語は、特に断りのない限り、この用語の直後に記載された有機基の炭素原子数がr~sであることを表す。例えば、「C~C10アルキル基」は、炭素原子数1~10のアルキル基を示し、「C~C10アルキルエステル」は、炭素原子数1~10のアルキル基とのエステルを示す。
【0010】
本明細書において、アルキレン基とは、特に断りのない限り、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキレン基の総称である。また、環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。他の官能基についても同様である。
【0011】
<ポリリジン誘導体>
ポリリジン誘導体は、側鎖にポリエステル(ポリエステル部位)を有する。ポリリジン誘導体の主鎖であるポリリジン部位は、α-リジン由来及びε-リジン由来のいずれであってもよく、混合物であってもよい。また、ポリリジン部位の構成単位は、L体、D体のいずれであってもよく、ラセミ体であってもよい。ポリリジン誘導体の側鎖に有するポリエステル部位は、ポリエステル鎖であれば特に限定されないが、例えば、12-ヒドロキシステアリン酸由来のポリエステル鎖、ε-カプロラクトン鎖由来のポリエステル鎖、及びこれらを組み合わせたポリエステル鎖等が挙げられる。また、ポリリジン誘導体は、全ての側鎖がポリエステル部位を有していなくてもよく、一部の側鎖がポリエステル部位を有していてもよい。よって、ポリリジン誘導体は、例えば、側鎖がポリエステルの構造単位と側鎖がアミノ基の構造単位との共重合体であってもよい。
【0012】
ポリリジン誘導体としては、下記一般式(1)で表される構造単位を有することが好ましい。
【化3】
(一般式(1)中、Aは、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、又は一般式(5)で表される基を表す。iは0又は4を表し、jは、iが0を表す場合4を表し、iが4を表す場合0を表す。)
【0013】
【化4】
(一般式(2)~(3)中、a個のRは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、又は-CO-R’で表される基(R’は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基を表す)を表し、aは2~100の整数を表す。a個のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(4)及び(5)中、b個のRは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、又は-CO-R’で表される基(R’は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基を表す)を表し、b個のRは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、bは1~100の整数を表す。b個のR及びRは互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0014】
一般式(1)中、Aは、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、又は一般式(5)で表される基を表す。複数のAは、一般式(2)、及び一般式(3)の組み合わせ、又は一般式(3)、及び一般式(4)の組み合わせであることが好ましい。
【0015】
一般式(1)中、iは0又は4を表し、jは、iが0を表す場合4を表し、iが4を表す場合0を表す。iは4を表し、jは0を表すことが好ましい。
【0016】
ポリリジン誘導体は、一分子中に少なくとも一般式(1)で表される構造単位を2以上有することが好ましい。該構成単位は、同一の構成単位であってもよく、異なる構成単位であってもよい。同一の構成単位とは、2以上の一般式(1)で表される構造単位における、各Aが表す基が全て同一である構成単位であり、異なる構成単位とは、各Aが表す基がそれぞれ異なる構成単位である。
【0017】
一般式(2)及び一般式(3)中、Rはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表す。
【0018】
置換基を有していてもよいアルキレン基としては、炭素原子数が10以上のアルキレン基が好ましく、炭素原子数が13以上のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数が15以上のアルキレン基がさらに好ましい。また、炭素原子数が30以下のアルキレン基が好ましく、炭素原子数が28以下のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数が25以下のアルキレン基がさらに好ましい。上記炭素原子数は置換基の炭素原子数も含まれる。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルキレン基が好ましく、分岐のアルキレン基がより好ましい。このようなアルキレン基としては、例えば、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、デカヒドロナフタニレン基、1-ヘキシルウンデシレン基等が挙げられ、ウンデシレン基、1-ヘキシルウンデシレン基が好ましい。
【0019】
置換基を有していてもよいアルケニレン基としては、炭素原子数が10以上のアルケニレン基が好ましく、炭素原子数が13以上のアルケニレン基がより好ましく、炭素原子数が15以上のアルケニレン基がさらに好ましい。また、炭素原子数が30以下のアルケニレン基が好ましく、炭素原子数が28以下のアルケニレン基がより好ましく、炭素原子数が25以下のアルケニレン基がさらに好ましい。上記炭素原子数は置換基の炭素原子数も含まれる。アルケニレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルケニレン基が好ましい。このようなアルケニレン基としては、例えば、デセニレン基、ウンデセニレン基、ドデセニレン基、トリデセニレン基、テトラデセニレン基、ペンタデセニレン基等が挙げられる。
【0020】
置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基としては、オキシアルキレン基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレンオキシ基、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンオキシアルキレンオキシアルキレン基等が挙げられる。置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基としては、炭素原子数が10以上のエーテル結合を有するアルキレン基が好ましく、炭素原子数が13以上のエーテル結合を有するアルキレン基がより好ましく、炭素原子数が15以上のエーテル結合を有するアルキレン基がさらに好ましい。また、炭素原子数が30以下のエーテル結合を有するアルキレン基が好ましく、炭素原子数が28以下のエーテル結合を有するアルキレン基がより好ましく、炭素原子数が25以下のエーテル結合を有するアルキレン基がさらに好ましい。上記炭素原子数は置換基の炭素原子数も含まれる。エーテル結合を有するアルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐であることが好ましい。このようなエーテル結合を有するアルキレン基としては、例えば、オキシデシレン基、オキシウンデシレン基、オキシドデシレン基、オキシトリデシレン基、オキシテトラデシレン基、オキシペンタデシレン基、オキシシクロプロピレン基、オキシシクロブチレン基、オキシシクロペンチレン基、オキシシクロへキシレン基、オキシデカヒドロナフタニレン基、オキシノルボルナニレン基、オキシアダマンタニレン基等が挙げられる。
【0021】
これらの中でも、Rの少なくとも1つは、化粧料などで使用される親油性材料中での溶解性、分散剤特性の向上という観点から、置換基を有していてもよい炭素原子数が10~30のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素原子数が10~30のアルケニレン基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数が10~30のエーテル結合を有するアルキレン基を表すことが好ましく、置換基を有していてもよい炭素原子数が10~30のアルキレン基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数10~30の分岐のアルキレン基を表すことがより好ましい。
【0022】
が表すアルキレン基、アルケニレン基、及びエーテル結合を有するアルキレン基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、特に制限はなく、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、1価の複素環基、アルキリデン基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、オキソ基等が挙げられる。
【0023】
置換基として用いられるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0024】
置換基として用いられるアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~14、さらに好ましくは1~12、さらにより好ましくは1~6である。該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基が挙げられ、ヘキシル基が好ましい。置換基として用いられるアルキル基は、さらに置換基(「二次置換基」)を有していてもよい。斯かる二次置換基を有するアルキル基としては、例えば、ハロゲン原子で置換されたアルキル基が挙げられ、具体的には、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、テトラフルオロエチル基、テトラクロロエチル基等が挙げられる。
【0025】
置換基として用いられるシクロアルキル基の炭素原子数は、好ましくは3~20、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~6である。該シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0026】
置換基として用いられるアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、さらに好ましくは1~6である。該アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、及びデシルオキシ基が挙げられる。
【0027】
置換基として用いられるシクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは3~20、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~6である。該シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、及びシクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
【0028】
置換基として用いられるアリール基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を1個除いた基である。置換基として用いられるアリール基の炭素原子数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~18、さらに好ましくは6~14、さらにより好ましくは6~10である。該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が挙げられる。
【0029】
置換基として用いられるアリールオキシ基の炭素原子数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~18、さらに好ましくは6~14、さらにより好ましくは6~10である。置換基として用いられるアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、及び2-ナフチルオキシ基が挙げられる。
【0030】
置換基として用いられるアリールアルキル基の炭素原子数は、好ましくは7~25、より好ましくは7~19、さらに好ましくは7~15、さらにより好ましくは7~11である。該アリールアルキル基としては、例えば、フェニル-C~C12アルキル基、ナフチル-C~C12アルキル基、及びアントラセニル-C~C12アルキル基が挙げられる。
【0031】
置換基として用いられるアリールアルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは7~25、より好ましくは7~19、さらに好ましくは7~15、さらにより好ましくは7~11である。該アリールアルコキシ基としては、例えば、フェニル-C~C12アルコキシ基、及びナフチル-C~C12アルコキシ基が挙げられる。
【0032】
置換基として用いられる1価の複素環基とは、複素環式化合物の複素環から水素原子1個を除いた基をいう。該1価の複素環基の炭素原子数は、好ましくは3~21、より好ましくは3~15、さらに好ましくは3~9である。該1価の複素環基には、1価の芳香族複素環基(ヘテロアリール基)も含まれる。該1価の複素環としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フラニル基、フリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、及びイソキノリル基が挙げられる。
【0033】
置換基として用いられるアルキリデン基とは、アルカンの同一の炭素原子から水素原子を2個除いた基をいう。該アルキリデン基の炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~14、さらに好ましくは1~12、さらにより好ましくは1~6、特に好ましくは1~3である。該アルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、ブチリデン基、sec-ブチリデン基、イソブチリデン基、tert-ブチリデン基、ペンチリデン基、ヘキシリデン基、ヘプチリデン基、オクチリデン基、ノニリデン基、及びデシリデン基が挙げられる。
【0034】
置換基として用いられるアシル基は、式:-C(=O)-Rで表される基(式中、Rはアルキル基又はアリール基)をいう。Rで表されるアルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が挙げられる。該アシル基の炭素原子数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~13、さらに好ましくは2~7である。該アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、及びベンゾイル基が挙げられる。
【0035】
置換基として用いられるアシルオキシ基は、式:-O-C(=O)-Rで表される基(式中、Rはアルキル基又はアリール基)をいう。Rで表されるアルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。Rで表されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基が挙げられる。該アシルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~13、さらに好ましくは2~7である。該アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、及びベンゾイルオキシ基が挙げられる。
【0036】
上述の置換基は、さらに置換基(以下、「二次置換基」という場合がある。)を有していてもよい。二次置換基としては、特に記載のない限り、上述の置換基と同じものを用いてよい。
【0037】
一般式(2)及び一般式(3)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、又は-CO-R’で表される基(R’は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基を表す)を表す。
【0038】
置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素原子数が1~30のアルキル基が好ましく、炭素原子数が1~20のアルキル基がより好ましく、炭素原子数が1~10のアルキル基、炭素原子数が1~6のアルキル基がさらに好ましい。上記炭素原子数は置換基の炭素原子数も含まれる。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
【0039】
置換基を有していてもよいアルケニル基としては、炭素原子数が2~30のアルケニルが好ましく、炭素原子数2~20のアルケニル基がより好ましく、炭素原子数2~10のアルケニル基がさらに好ましい。上記炭素原子数は置換基の炭素原子数も含まれる。アルケニル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルケニル基が好ましい。このようなアルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、へキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等が挙げられる。
【0040】
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素原子数が6~30のアリール基が好ましく、炭素原子が6~20のアリール基がより好ましく、炭素原子数が6~10のアリール基がさらに好ましい。上記炭素原子数は置換基の炭素原子数も含まれる。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0041】
置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基としては、アルキレンオキシアルキル基、アルキレンオキシアルキレンオキシアルキル基等が挙げられる。置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基としては、炭素原子数2~30のエーテル結合を有するアルキル基が好ましく、炭素原子数2~20のエーテル結合を有するアルキル基がより好ましく、炭素原子数2~10のエーテル結合を有するアルキル基がさらに好ましい。上記炭素原子数は置換基の炭素原子数も含まれる。該アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。このようなエーテル結合を有するアルキレン基としては、メチレンオキシメチル基、メチレンオキシエチル基、メチレンオキシプロピル基、メチレンオキシブチル基、メチレンオキシペンチル基、メチレンオキシへキシル基、メチレンオキシヘプチル基、メチレンオキシオクチル基、メチレンオキシノニル基、メチレンオキシデシル基、メチレンオキシウンデシル基、メチレンオキシドデシル基、メチレンオキシトリデシル基、メチレンオキシテトラデシル基、メチレンオキシペンタデシル基、メチレンオキシシクロプロピル基、メチレンオキシシクロブチル基、メチレンオキシシクロペンチル基、メチレンオキシシクロへキシル基、メチレンオキシデカヒドロナフタニル基、メチレンオキシノルボルナニル基、メチレンオキシアダマンタニル基等が挙げられる。
【0042】
置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基としては、アルケニレンオキシアルケニル基、アルケニレンオキシアルケニレンオキシアルケニル基等が挙げられる。置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基としては、炭素原子数が3~30のエーテル結合を有するアルケニル基が好ましく、炭素原子数3~20のエーテル結合を有するアルケニル基がより好ましく、炭素原子数3~10のエーテル結合を有するアルケニル基がさらに好ましい。上記炭素原子数は置換基の炭素原子数も含まれる。該アルケニル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルケニル基が好ましい。このようなエーテル結合を有するアルケニル基としては、例えば、エテニレンオキシエテニル基、エテニレンオキシプロペニル基、エテニレンオキシブテニル基、エテニレンオキシヘキセニル基、エテニレンオキシヘプテニル基、エテニレンオキシオクテニル基、エテニレンオキシデセニル基等が挙げられる。
【0043】
-CO-R’で表される基中のR’は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基を表す。置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、及び置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基は、それぞれ、Rが表す、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、及び置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基と同様であり、好ましい範囲も同様である。-CO-R’で表される基は、カルボニルアルキル基、ベンゾイル基であることが好ましい。
【0044】
これらの中でも、Rは、化粧料などで使用される親油性材料中での溶解性、分散剤特性の向上という観点から、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数2~30のアルキル基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2~30のアルケニル基を表すことが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0045】
aは、2~100の整数を表し、3~50の整数を表すことが好ましく、4~40の整数を表すことがより好ましく、5~30の整数を表すことがさらにより好ましい。
【0046】
が表す、アルキル基、アルケニル基、アリール基、エーテル結合を有するアルキル基、及びエーテル結合を有するアルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基としては、Rが表すアルキレン基が有してもよい置換基と同様である。また、R’が表す、アルキル基、アルケニル基、アリール基、エーテル結合を有するアルキル基、及びエーテル結合を有するアルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基としては、Rが表すアルキレン基が有していてもよい置換基と同様である。
【0047】
一般式(4)及び(5)中、Rは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表す。
【0048】
が表す、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、及び置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基は、式(2)中のRが表す、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、及び置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0049】
一般式(4)及び(5)中、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、又は-CO-R’で表される基(R’は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基を表す)を表す。
【0050】
が表す、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、及び-CO-R’で表される基は、式(2)中のRが表す、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、及び-CO-R’で表される基と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0051】
一般式(4)及び(5)中、Rは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表す。
【0052】
置換基を有していてもよいアルキレン基としては、炭素原子数が1以上のアルキレン基が好ましく、炭素原子数が2以上のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数が3以上のアルキレン基がさらに好ましく、炭素原子数が4以上のアルキレン基が特に好ましい。また、炭素原子数が30以下のアルキレン基が好ましく、炭素原子数が20以下のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数が15以下のアルキレン基がさらに好ましく、炭素原子数が10以下のアルキレン基が特に好ましい。上記炭素原子数は置換基の炭素原子数も含まれる。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルキレン基が好ましく、直鎖のアルキレン基がより好ましい。このようなアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、デカヒドロナフタニレン基、1-ヘキシルウンデシレン基等が挙げられ、ペンチレン基、ウンデシレン基、1-ヘキシルウンデシレン基が好ましい。
【0053】
置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基としては、オキシアルキレン基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレンオキシ基、アルキレンオキシアルキレン基、アルキレンオキシアルキレンオキシアルキレン基等が挙げられる。置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基としては、炭素原子数が2以上のエーテル結合を有するアルキレン基が好ましく、炭素原子数が3以上のエーテル結合を有するアルキレン基がより好ましく、炭素原子数が4以上のエーテル結合を有するアルキレン基がさらに好ましい。また、炭素原子数が20以下のエーテル結合を有するアルキレン基が好ましく、炭素原子数が15以下のエーテル結合を有するアルキレン基がより好ましく、炭素原子数が10以下のエーテル結合を有するアルキレン基がさらに好ましい。上記炭素原子数は置換基の炭素原子数も含まれる。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルキレン基が好ましい。このようなエーテル結合を有するアルキレン基としては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシヘプチレン基、オキシオクチレン基、オキシノニレン基、オキシデシレン基、オキシウンデシレン基、オキシドデシレン基、オキシトリデシレン基、オキシテトラデシレン基、オキシペンタデシレン基、オキシシクロプロピレン基、オキシシクロブチレン基、オキシシクロペンチレン基、オキシシクロへキシレン基、オキシデカヒドロナフタニレン基、オキシノルボルナニレン基、オキシアダマンタニレン基等が挙げられる。
【0054】
としては、化粧料などで使用される親油性材料中での溶解性、分散剤特性の向上の観点から、少なくとも1つが、置換基を有していてもよい炭素原子数2~30のアルキレン基を表すことが好ましく、置換基を有していてもよい炭素原子数2~30の直鎖のアルキレン基を表すことがより好ましい。
【0055】
bは1~100の整数を表し、1~50の整数を表すことが好ましく、2~40の整数を表すことがより好ましく、3~30の整数を表すことがさらにより好ましい。
【0056】
一般式(1)で表される構造単位は、下記一般式(1-1)で表される構造単位であることが好ましい。
【化5】
(一般式(1-1)中、Aは、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)、又は一般式(5)で表される基を表す。)
【0057】
一般式(1-1)中のAは、一般式(1)中のAと同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0058】
ポリリジン誘導体は、下記一般式(6)で表される構造単位を有することが好ましい。一般式(6)で表される構造単位は、ポリリジン誘導体の前駆体としてのポリリジンが含んでいた構造単位のうち、ポリエステル鎖と結合しなかったものに相当し得る。
【化6】
(一般式(6)中、mは0又は4を表し、nは、mが0を表す場合4を表し、mが4を表す場合0を表す。)
【0059】
一般式(6)中、mは0又は4を表し、nは、mが0を表す場合4を表し、mが4を表す場合0を表す。mは4を表し、nは0を表すことが好ましい。
【0060】
ポリリジン誘導体は、一般式(1)で表される構造単位とともに、一般式(6)で表される構造単位を有することが好ましい。ポリリジン誘導体が一般式(6)で表される構造単位を有する場合、一般式(1)で表される構造単位と、一般式(6)で表される構造単位との質量比(一般式(1)で表される構造単位の質量/一般式(6)で表される構造単位の質量)としては、化粧料などで使用される親油性材料中での溶解性、分散剤特性の向上という観点から、1/19以上が好ましく、1/9以上がより好ましく、1/4以上がさらに好ましい。質量比を斯かる範囲内とすることで優れた溶解性と分散性という効果を奏するようになる。
【0061】
ポリリジン誘導体の側鎖質量/主鎖質量は、化粧料などで使用される親油性材料中での溶解性、分散剤特性の向上という観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上である。上限は、好ましくは100以下、より好ましくは70以下、さらに好ましくは40以下である。ポリリジン誘導体の側鎖質量/主鎖質量は、後述する<ポリリジン誘導体の側鎖質量/主鎖質量>の記載に従って測定することができる。
【0062】
ポリリジン誘導体のアミン価は、化粧料などで使用される親油性材料中での溶解性、分散剤特性の向上という観点から、好ましくは0mgKOH/g以上、より好ましくは3mgKOH/g以上、さらに好ましくは5mgKOH/g以上である。上限は、好ましくは220mgKOH/g以下、より好ましくは160mgKOH/g以下、さらに好ましくは100mgKOH/g以下である。ポリリジン誘導体のアミン価は、後述する<ポリリジン誘導体のアミン価の測定>の記載に従って測定することができる。
【0063】
ポリリジン誘導体の酸価は、化粧料などで使用される親油性材料中での溶解性、分散剤特性の向上という観点から、好ましくは0mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上、さらに好ましくは4mgKOH/g以上である。上限は、好ましくは100mgKOH/g以下、より好ましくは70mgKOH/g以下、さらに好ましくは40mgKOH/g以下である。ポリリジン誘導体の酸価は、後述する<ポリリジン誘導体の酸価の測定>の記載に従って測定することができる。
【0064】
ポリリジン誘導体の重量平均分子量は、化粧料などで使用される親油性材料中での溶解性、分散剤特性の向上という観点から、好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上、さらに好ましくは20000以上である。上限は、好ましくは1000000以下、より好ましくは500000以下、さらに好ましくは100000以下である。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定することができる。
【0065】
<ポリリジン誘導体の製造方法>
ポリリジン誘導体の製造方法は特に限定されず、種々の方法に従って製造することができる。好適な一実施形態として、ポリリジンにポリエステルを反応させることによって製造することができる。
【0066】
ポリリジンを構成するリジンはL体であってもD体であってもよく、ポリリジンには、L-リジンが連結したポリ-L-リジン、D-リジンが連結したポリ-D-リジンが含まれる。また、ポリリジンには、リジンのα-アミノ基とカルボキシル基がペプチド結合したα-ポリリジン、リジンのε-アミノ基とカルボキシル基がペプチド結合したε-ポリリジンが含まれる。本発明で使用し得るポリリジンには、例えば、α-ポリ-L-リジン、α-ポリ-D-リジン、ε-ポリ-L-リジン、ε-ポリ-D-リジンなどが含まれ、α-ポリ-L-リジン、ε-ポリ-L-リジンが好ましい。
【0067】
ポリリジンは、市販品を用いることも可能である。また、ポリリジンは、(1)化学的に合成する方法、又は(2)酵素的な反応により合成する方法等の公知手法を適宜用いることによって得ることができる。
【0068】
化学的に合成する方法としては、例えばポリリジンをペプチド合成機を用いて合成あるいは半合成することにより行うことができる。一実施形態として、化学的に合成する方法としては、例えばペプチド固相合成法によりポリリジンを得る。そのようにして合成したポリリジンは、通常、例えばイオン交換クロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等によって精製することができる。
【0069】
酵素的な反応により合成する方法としては、例えば、国際公開第2004/011653号に記載の方法が挙げられる。即ち、一方のリジン又はジペプチドのカルボキシル末端をエステル化又はアミド化したリジン又はジペプチドと、アミノ基がフリーの状態であるリジン(例えばカルボキシル基が保護されたリジン)とを、ペプチド生成酵素の存在下において反応せしめ、生成したポリリジンを精製することによって得る。ペプチド生成酵素としては、例えばペプチドを生成する能力を有する微生物(例えば放線菌)の培養物、該培養物より分離した微生物菌体、該微生物の菌体処理物、又は該微生物に由来するペプチド生成酵素が挙げられる。
【0070】
ポリリジンの重量平均分子量としては、連結するリジンの数により異なるが、650~300000が好ましく、1000~70000がより好ましい。
【0071】
ポリリジンの数平均分子量としては、150~100000が好ましく、600~20000がより好ましい。数平均分子量が150以上であると、顔料に対する吸着力が向上して顔料分散性が向上し、数平均分子量が100000以下であると、顔料同士の凝集を抑制でき、顔料分散性が向上する。
【0072】
ポリリジンは、市販品を用いることができる。ポリリジンの市販品としては、例えば、Foodchem International Corporation社製のε-poly-lysine(ε-ポリリジン、重量平均分子量3600~4300)等が挙げられる。
ポリリジンは、ポリリジン塩酸塩から精製してもよい。精製方法としては、例えばОH形強塩基性アニオン交換樹脂等のイオン交換樹脂で塩酸を除去すればよい。
【0073】
ポリリジン誘導体の製造方法で用いるポリエステルは特に限定されないが、下記一般式(I)で表されるポリエステル、下記一般式(II)で表されるポリエステル、一般式(I)で表されるポリエステルと一般式(II)で表されるポリエステルとの繰り返し成分がランダムに重合したポリエステル等が挙げられる。
【化7】
(一般式(I)中、Rは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、又は-CO-R’で表される基(R’は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基を表す)を表し、aは2~100の整数を表す。複数のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(II)中、Rは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、Rは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、又は-CO-R’で表される基(R’は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基を表す)を表し、Rは、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表し、bは1~100の整数を表す。複数のR及びRは互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0074】
一般式(I)中のR、R及びaは、一般式(2)及び一般式(3)中のR及びaと同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0075】
一般式(II)中のR、R、R及びbは、一般式(4)及び一般式(5)中のR、R及びbと同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0076】
一般式(I)及び一般式(II)で表されるポリエステルは、下記一般式(III)及び/又は一般式(IV)で表されるヒドロキシ酸、並びに/もしくは下記一般式(V)で表されるラクトンから製造され得る。また、必要に応じて、ポリエステルを製造するための反応系に、下記一般式(VI)で表される化合物を混合してもよい。
【化8】
(一般式(III)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表す。
一般式(IV)及び一般式(V)中、Rは、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキレン基を表す。
一般式(VI)中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基、又は-CO-R’で表される基(R’は置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルキル基、又は置換基を有していてもよいエーテル結合を有するアルケニル基を表す)を表す。)
【0077】
一般式(III)中のRは、一般式(I)~(II)中のRと同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0078】
一般式(IV)及び一般式(V)中のRは、一般式(II)中のRと同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0079】
一般式(VI)中のRは、一般式(I)~(II)中のRと同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0080】
一般式(I)及び一般式(II)で表されるポリエステルは、一般式(III)及び/又は一般式(IV)で表されるヒドロキシ酸、並びに/もしくは一般式(V)で表されるラクトンの混合物を加熱することにより得ることができる。また、必要に応じて、ポリエステルを製造するための反応系に、一般式(VI)で表される化合物、重合触媒、又は重合開始剤を加えて加熱してもよい。加熱温度、加熱時間は、ヒドロキシ酸の種類等によって適宜調整でき、例えば、50~300℃で0.5~48時間等とし得る。
【0081】
一般式(III)及び一般式(IV)で表されるヒドロキシ酸としては、例えば、グリコール酸、リシノール酸、リシノレン酸、9及び10-ヒドロキシステアリン酸の混合物、12-ヒドロキシステアリン酸、ヒマシ油脂肪酸、水添ヒマシ油脂肪酸、乳酸等が挙げられ、12-ヒドロキシステアリン酸が好ましい。
【0082】
一般式(V)で表されるラクトンとしては、例えば、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、4-メチルカプロラクトン、2-メチルカプロラクトン等が挙げられ、ε-カプロラクトンが好ましい。
一般式(VI)で表される化合物としては、例えば、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、フェノール等が挙げられる。
【0083】
重合触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミドテトラメチルアンモニウムヨード、テトラブチルアンモニウムヨード、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヨード等の四級アンモニウム塩、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムヨード、テトラブチルホスホニウムヨード、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリメチルホスホニウムブロミド、ベンジルトリメチルホスホニウムヨード、テトラフェニルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムヨード等の四級ホスホニウム塩の他、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム等の有機カルボン酸塩、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラート等のアルカリ金属アルコラートの他、三級アミン類、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、テトラブチルチタネート等の有機チタネート化合物、及び塩化亜鉛等の亜鉛化合物等が挙げられる。
【0084】
重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトン等のケトンパーオキシド類、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキシド類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;1、1-ビス(t-ブチルパーロキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類;t-ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類;t-ブチルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソノナン酸、アラキン酸等の脂肪族モノカルボン酸;安息香酸、p-ブチル安息香酸等の芳香族モノカルボン酸;その他アゾビスイソプチロニリトリル、過酸化水素、第一鉄塩等を挙げることができる。さらに特公平2-14364号公報に記載の重合開始剤を用いてもよい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0085】
ポリリジン誘導体の製造方法で用いるポリエステルの計算分子量は、顔料の分散性能の観点から、300~20000が好ましく、1000~10000がより好ましい。ポリエステルの分子量は、ポリエステルの酸価から計算することができる。このような分子量のポリエステルを得るためには、重合開始剤と原料となるヒドロキシ酸、及びラクトンのモル比を設定すること、また途中における反応生成物の酸価を観察し適当な反応時間を見い出すことによって可能となる。ポリエステルの計算分子量は、後述する<ポリエステルの計算分子量>の記載に従って測定することができる。
【0086】
ポリリジン誘導体の製造方法で用いるポリエステルの酸価は、化粧料などで使用される親油性材料中での溶解性、分散剤特性の向上との観点から、3~190mgKOH/gが好ましく、6~60mgKOH/gがより好ましい。ポリエステルの酸価は、後述する<ポリエステルの酸価の測定>の記載に従って測定することができる。
【0087】
ポリリジン誘導体の製造方法の好適な一実施形態としては、ポリリジンにポリエステルを反応させる。ポリリジンとポリエステルとは、側鎖質量/主鎖質量が上記した範囲内となるように反応仕込量を適宜設定することができる。反応温度としては、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは90℃以上である。上限は好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは160℃以下である。
【0088】
ポリリジンにポリエステルを反応させる反応時間としては、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上である。上限は好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以下、さらに好ましくは10時間以下である。
【0089】
ポリリジンにポリエステルを反応させるにあたって、反応を穏やかに進行させる観点から、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、例えば、トルエン等が挙げられる。
【0090】
ポリリジンにポリエステルを反応させるにあたって、反応を進行しやすくする観点から、触媒及び/又は重合開始剤を添加してもよい。触媒としては、塩化第2鉄等が挙げられる。また重合開始剤としては、一般式(I)で表されるポリエステルを得る際に用いる重合開始剤と同様のものを用いることができる。
【0091】
<分散剤>
分散剤は、ポリリジン誘導体を含有する。ポリリジン誘導体は、樹脂及び有機溶剤に対して顔料をよく分散させる性質を有するので、顔料用の分散剤(顔料分散剤)として有用である。例えば、ポリリジン誘導体は、カーボン粒子の分散性にも優れるため、潤滑油用スラッジ分散剤としても使用することができる。内燃機関(例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン)用潤滑油や駆動系潤滑油(例えば、自動車用などのギヤ油、作動油、自動変速機油、無断変速機油、パワーステアリング油など)は、長時間使用する場合、スラッジを生成することによる潤滑部位の汚れや摩耗の増大、動力損失を増大させる等、内燃機関や駆動系部位に対し種々の不具合を誘発する。ポリリジン誘導体をスラッジ分散剤として潤滑油に添加しておくことでスラッジの成長を抑制し潤滑油としての性能を長期間維持することができる。また、ポリリジン誘導体は、人体の肌への影響が少ないことから、化粧品等の化粧料に含まれる顔料等の分散剤として使用することができる。
【0092】
<処理粒子>
処理粒子は、上記分散剤で粒子を処理したものである。処理粒子としては、例えば、処理無機粒子、処理有機粒子等が挙げられる。
【0093】
粒子としては、無機粒子、有機粒子であれば特に限定されない。無機粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、硫化カドミウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、黄鉛、カーボンブラック、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、弁柄、鉄黒、亜鉛華、紺青、群青等の無機顔料が挙げられる。有機粒子としては、例えば、ジケトピロロピロール等のピロール系、モノアゾ系、ジアゾ系、アゾレーキ系、縮合アゾ系、キレートアゾ系、インジゴ系、チオインジゴ系、アンスラキノン系、ジアンスラキノニル系、ベンゾイミダゾロン系、ピランスロン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、フラバンスロン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インダンスロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、キノフタロン系、ペリレン系、ペリノン系、酸性染料系、塩基性染料系、アジン系、昼光けい光系、ニトロソ系、ニトロ系等の有機顔料が挙げられる。
【0094】
無機粒子としては上記顔料に示した物の他に、例えば、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、ドロマイト、焼成ドロマイト、消火ドロマイト、ハイドロタルサイト、二酸化ケイ素、ガラス粒子、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化鉄、フェライト、ストロンチウムフェライト、バリウムフェライト、カーボン粒子、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、磁性体(例えばサマリウムコバルト、ネオジウム鉄ホウ素、プラセオジムコバルト、サマリウム鉄窒素等)、ダイヤモンドの粒子が挙げられる。
【0095】
有機粒子としては上記顔料に示した物の他に、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエステル、ポリスチレン、シリコーン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ABS、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、エポキシ樹脂等からなる樹脂が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの粒子を含む。
【0096】
粒子の平均粒径としては、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。上限は好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。粒子の平均粒径は、例えば、レーザー回折法や動的光散乱法等によって測定することができる。
【0097】
分散剤による粒子の処理や分散の方法は、例えば、ヘンシェルミキサー、ビーズミル、ボールミル、プラネタリーミキサー、ペイントシェーカー、アトマイザーコロイドミル、バンバリミキサ等を用いて処理する方法、乾式法、湿式法、インテグラルブレンド法等が挙げられる。先に粒子の表面を分散剤で処理し、その後に溶剤、樹脂やゴム等と配合することもでき、粒子を溶剤、樹脂やゴム等と配合する際に分散剤を添加する方法であってもよい。湿式法を用いる場合には、溶剤中で処理した後、溶剤を除去して表面を分散剤で処理した粒子を取り出してもよい。湿式溶剤法で用いる溶剤としては、分散剤を溶解する溶剤を用いることができ、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族類、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素類、MIBK(メチルイソブチルケトン)、MEK(メチルエチルケトン)等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等を挙げることができる。また、分散剤を溶解した溶液中で高速撹拌等による懸濁法や懸濁重合法等で粒子を形成しながら分散を行ってもよい。
【0098】
処理粒子において、分散剤は、粒子に対して1~200質量%(ポリリジン誘導体換算)含むことが好ましい。
【0099】
<粒子含有組成物>
粒子含有組成物は、本発明のポリリジン誘導体、及び粒子を含む。粒子含有組成物としては、例えば、顔料分散液、無機粒子分散液、有機粒子分散液、顔料含有ポリマー組成物、無機粒子含有ポリマー組成物、有機粒子含有ポリマー組成物等が挙げられる。ポリマーには樹脂やゴム等が含まれる。粒子含有組成物は、本発明の効果を阻害しない程度に樹脂、ゴム、有機溶剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、分散助剤等の添加剤を含んでいてもよい。粒子含有組成物における粒子は、分散剤で処理された粒子であってもよく、分散剤で処理されていない粒子であってもよい。該粒子は、上述した<処理粒子>に記載の粒子と同様のものを使用することができる。
【0100】
樹脂としては、例えば、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン樹脂、スチレン樹脂、酸基含有樹脂及びこれらの共重合体(例えば、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、スチレン/ステアリルメタクリレート/アクリル酸共重合体)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。(メタ)アクリル樹脂とは、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂を含む。
【0101】
ゴムとしては、例えば、天然ゴムの他、合成ゴムとしてイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0102】
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、高沸点石油炭化水素、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタンなどの炭化水素系溶剤;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロルエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2-メトキシプロピルアセテートなどのエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールのモノエーテル系溶剤;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく分散剤を溶解するものであればよい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
【0103】
粒子含有組成物は、本発明の分散剤、粒子、ポリマー、及び有機溶剤等と混練して直接調製することができる。また、いわゆる粒子分散ベースの形態とした後に、ポリマー、有機溶剤等を使用して粒子含有組成物とすることもできる。
【0104】
粒子分散ベース及び粒子含有組成物は、所要の成分原料を自転・公転ミキサー、ロールミル、ボールミル、サンドグランドミル、ペイントシェーカー、ニーダー、ディゾルバー、超音波分散機等を適宜用いて分散することで調製してもよい。この場合、処理粒子をポリマーと混練してもよく、また分散剤、顔料及びポリマーを同時に混練するインテグラルブレンド法を用いてもよい。
【0105】
粒子分散ベース及び粒子含有組成物は、さらにバインダー用ポリマー(樹脂やゴム)やその他のポリマーを加えることで塗料や印刷インキとして使用でき、そのままで塗料や印刷インキとして使用することもできる。
【0106】
粒子含有組成物において、分散剤を、顔料に対して1~200質量%(ポリリジン誘導体換算)含むことが好ましい。
【0107】
粒子含有組成物は、塗膜、フィルム状組成物としても使用することができる。
【0108】
粒子含有組成物の用途は特に限定されず、上述の粒子を含む樹脂又はゴム製品に使用することができ、例えば、化粧料(香粧品)、塗料、インキ組成物、液体現像剤、アンチブロッキング剤、コーティング材(着色コーティング、導電コーティング、帯電防止コーティング等)、セラミックスラリー、電池電極等の導電助剤、複写用乾式トナー、複写用湿式トナー、セラミックス成形体、ボンド磁石、複写機等に使用されるゴムマグネット、磁気テープ、家庭用品や建築材料に使用されているカラープラスチック成形品、建築用等に使用されるシーリング剤等が挙げられる。
【0109】
化粧料の具体例としては、クリーム、乳液、化粧水、美容液等の基礎化粧品、石鹸、洗顔料、ボディーシャンプー、シャンプー、リンス、ヘアトニック、整髪料等のヘアケア製品、ファンデーション、アイライナー、マスカラ、口紅等のメイクアップ化粧品、うがい薬、歯磨き等の口腔製品等が挙げられる。化粧料は、本発明の効果を阻害しない程度に安定剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、分散助剤等の添加剤を含んでいることが好ましい。ポリリジン誘導体は人体の肌への影響が少なく、粒子含有組成物は粒子の分散性が高いため、化粧料として使用することができる。
【0110】
化粧料に含有する粒子含有組成物の含有量は、化粧料に含まれる成分全体に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。粒子含有組成物の含有量を斯かる範囲内とすることで、化粧料中に含まれる顔料等の成分を分散させることができる。
【0111】
塗料の具体例としては、着色塗料、導電塗料、帯電防止塗料等が挙げられる。インキ組成物の具体例としては、印刷インキ、導電インキ等が挙げられる。塗料又はインキ組成物は、本発明の効果を阻害しない程度に安定剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、分散助剤等の添加剤を含んでいることが好ましい。
【0112】
液体現像剤は、誘電性液体中にトナー粒子を懸濁したものであり電気泳動現像法で用い得る。液体現像剤は、機能性粒子、カーボンブラック、有機顔料、無機顔料等に帯電性と定着性を付与する樹脂等を混合し、更にポリリジン誘導体を加えて誘電性液体中で懸濁等することで粒子化し、ポリリジン誘導体を含む粒子含有組成物を形成することにより製造することができる。その他、必要に応じて分散剤、電荷制御剤、安定剤等を併用することが好ましい。液体現像剤は、ポリリジン誘導体を含む粒子含有組成物を用いるため、優れた粒子分散性、電気泳動性を示し、液体現像剤における粒子は凝集することなくスムーズに泳動する。
【0113】
トナー粒子の平均粒子径としては、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下、5μm以下、又は3μm以下である。下限は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上である。平均粒子径は、例えばデジタルマイクロスコープを用いて測定することができる。
【0114】
アンチブロッキング剤は、フィルムに練り込み、または塗工することでフィルムに凹凸性を付与し、フィルム同士の密着を抑制(アンチブロッキング)するために用いられる。粒子含有組成物は粒子の分散性が高いため少量でも高いアンチブロッキング性が得られ、また粒子凝集による外観不良を抑制することができる。
【実施例
【0115】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0116】
<ポリエステルの酸価の測定>
ポリエステルの酸価は、ポリエステル0.5gをキシレン(オルト体、メタ体、パラ体の混合体)/エタノール混液(1/1質量比)40mLで溶解したポリエステル溶液を、水酸化カリウム・エタノール溶液(0.1mol/L)で滴定し、フェノールフタレイン指薬による変色点を読むことで測定した。
【0117】
<ポリエステルの計算分子量>
上記<ポリエステルの酸価の測定>で求めた酸価を用いて平均分子量値を計算(56100/ポリエステルの酸価)により求めた。
【0118】
<合成例1:ポリエステルPES-1の合成>
温度計、攪拌機、窒素導入口、還流管、水分離器及び減圧口を備えた反応フラスコ中に、12-ヒドロキシステアリン酸(商品名:12-ヒドロ酸(小倉合成工業社製))100部を仕込み、窒素雰囲気下150℃で3時間反応後、さらに減圧下200℃で2時間加熱した。次いで室温まで冷却して、反応物(「ポリエステルPES-1」と称する)を得た。ポリエステルPES-1の酸価は50.0mgKOH/g、計算分子量は1120であった。
【0119】
<合成例2:ポリエステルPES-2の合成>
合成例1と同じ反応フラスコ内に、12-ヒドロキシステアリン酸(商品名:12-ヒドロ酸(小倉合成工業社製))100部を仕込み、窒素雰囲気下150℃で3時間反応後、さらに減圧下200℃で6時間加熱した。次いで室温まで冷却して、反応物(「ポリエステルPES-2」と称する)を得た。ポリエステルPES-2の酸価は32.0mgKOH/g、計算分子量は1750であった。
【0120】
<合成例3:ポリエステルPES-3の合成>
合成例1と同じ反応フラスコ内に、12-ヒドロキシステアリン酸10部及びε-カプロラクトン(純正化学社製)35部、テトラブチルチタネート0.1部を仕込み、窒素気流下で160℃まで2時間かけて昇温し、160℃で4時間加熱した後、ε-カプロラクトンの残量が1%以下になるまで加熱を行った。次いで室温まで冷却し、ポリエステルPES-3を得た。ポリエステルPES-3の酸価は41.5mgKOH/g、計算分子量は1352であった。
【0121】
<合成例4:ポリエステルPES-4の合成>
合成例1と同じ反応フラスコ内に、12-ヒドロキシステアリン酸10部及びε-カプロラクトン(純正化学社製)190部、テトラブチルチタネート0.1部を仕込み、窒素気流下で160℃まで2時間かけて昇温し、160℃で4時間加熱した後、ε-カプロラクトンの残量が1%以下になるまで加熱を行った。次いで室温まで冷却し、ポリエステルPES-4を得た。ポリエステルPES-4の酸価は8.5mgKOH/g、計算分子量は6580であった。
【0122】
<ポリリジン誘導体の作製>
(実施例1)
PLIS-1(Foodchem International Corporation社製、ε-poly-lysine(ε-ポリリジン)、重量平均分子量3600~4300)をОH形強塩基性アニオン交換樹脂SA10AOH(三菱ケミカル社製)で処理し、精製したε-ポリリジン25%水溶液を得た。
温度計、攪拌機、窒素導入口、還流管および水分離器、減圧口を備えた反応フラスコ内に、得られたε-ポリリジン25%水溶液4部(ポリリジン量は1部)、及び合成例1で得たポリエステルPES-1 30部を140℃で混合し、水を留去しながら加熱して、4時間反応を行った後、室温まで冷却して、ポリリジン誘導体1を得た。
【0123】
(実施例2~16)
実施例1において、下記表に示すようにポリエステルの種類、量が異なるポリエステルに変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にしてポリリジン誘導体2~16を得た。
【0124】
<ポリリジン誘導体の側鎖質量/主鎖質量>
側鎖として使用するポリエステルの純分質量を側鎖質量とし、主鎖として使用するポリリジンの純分質量を主鎖質量とし、側鎖質量/主鎖質量を算出した。
【0125】
<ポリリジン誘導体のアミン価の測定>
ポリリジン誘導体1gをトルエン/エタノール混液(20/20質量比)40mLで溶解した液を、塩酸水溶液(0.5mol/L)で滴定し、チモールブルー試液による変色点を読むことで測定した。
【0126】
<ポリリジン誘導体の酸価の測定>
ポリリジン誘導体1gをキシレン(オルト体、メタ体、パラ体の混合体)/エタノール混液(20/20質量比)40mLで溶解した液を、水酸化カリウム・エタノール溶液(0.1mol/L)で滴定し、フェノールフタレイン指薬による変色点を読むことで測定した。
【0127】
<ポリリジン誘導体の重量平均分子量>
ゲル浸透クロマトグラフ法(Shodex GPC-101、カラム:Shodex LF-G+Shodex KF800RH、昭和電工社製)を用いて、各ポリリジン誘導体の重量平均分子量を測定した。
【0128】
<評価>
(分散媒との馴染み)
ポリリジン誘導体1質量部を、軽質流動パラフィン(ハイコールM-52、カネダ社製)9質量部に加え、超音波洗浄機を用いて25℃で1時間溶解させた後、目視で不溶物の有無を確認、下記の基準で評価した。
○:不溶物なし
△:少し白濁
【0129】
(分散性評価1)
ポリリジン誘導体5質量部を、軽質流動パラフィン(「ハイコールM-52」(カネダ社製)80質量部に溶解させ、その後、マゼンタ顔料(「Cinquasia Magenta L 4540」(BASF社製)、キナクリドン系有機顔料)15質量部を配合し、直径1.0mmのガラスビーズを加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)で6時間分散を行った。分散後、濾過によりガラスビーズを除去し顔料分散液を調製した。得られた顔料分散液を軽質流動パラフィンで1000倍希釈し、ゼータサイザーナノZSP(Malvern Instruments Ltd社製)を用いた動的光散乱法により平均粒径を測定し、分散性を下記の基準で評価した。
◎:分散後の平均粒径が200nm未満
○:分散後の平均粒径が200nm以上400nm未満
△:分散後の平均粒径が400nm以上600nm未満
【0130】
(分散性評価2)
ポリリジン誘導体1質量部を、軽質流動パラフィン(「ハイコールM-52」(カネダ社製))100質量部に溶解させ、その後、酸化チタン「TTO-S-3」(石原産業社製)5質量部を配合し、直径1.0mmのガラスビーズを加え、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)で6時間分散を行った。分散後、濾過によりガラスビーズを除去し顔料分散液を調製した。得られた顔料分散液を軽質流動パラフィンで1000倍希釈し、ゼータサイザーナノZSP(Malvern Instruments Ltd社製)を用いた動的光散乱法により平均粒径を測定し、分散性を下記の基準で評価した。
◎:分散後の平均粒径が200nm未満
○:分散後の平均粒径が200nm以上400nm未満
△:分散後の平均粒径が400nm以上600nm未満
【0131】
【表1】