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特許7196861コア・シェル粒子、その製造方法、及び組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】コア・シェル粒子、その製造方法、及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/152 20060101AFI20221220BHJP
   C30B 29/20 20060101ALI20221220BHJP
   C30B 29/16 20060101ALI20221220BHJP
   C30B 1/04 20060101ALI20221220BHJP
   C30B 1/12 20060101ALI20221220BHJP
   C01G 5/00 20060101ALI20221220BHJP
   C01G 23/053 20060101ALI20221220BHJP
   C01G 25/02 20060101ALI20221220BHJP
   C01G 31/02 20060101ALI20221220BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20221220BHJP
【FI】
C01B33/152 B
C30B29/20
C30B29/16
C30B1/04
C30B1/12
C01G5/00 Z
C01G23/053
C01G25/02
C01G31/02
H01L33/50 ZNM
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019562940
(86)(22)【出願日】2018-12-11
(86)【国際出願番号】 JP2018045487
(87)【国際公開番号】W WO2019131112
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2017251287
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 智広
(72)【発明者】
【氏名】加藤 高行
(72)【発明者】
【氏名】小島 良和
(72)【発明者】
【氏名】荒井 健夫
(72)【発明者】
【氏名】中島 彰久
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-239460(JP,A)
【文献】特開2001-155791(JP,A)
【文献】特開2003-064278(JP,A)
【文献】特開2009-221288(JP,A)
【文献】国際公開第2017/212778(WO,A1)
【文献】特表2009-541588(JP,A)
【文献】国際公開第2014/141742(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00-33/193
C01G 1/00-47/00
49/10-99/00
C30B 1/00-35/00
H01L 33/00
33/48-33/64
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機物を含有するシェルでコア粒子が被覆されたコア・シェル粒子であって、
前記コア粒子が、銀、VO 、(Y 0.72 Gd 0.24 )Al 12 :Ce 0.04 またはInP/ZnSのいずれかであり、
前記シェルが、結晶性を有し、アモルファス(非晶質)状から結晶化された構造を有し、SiO 、Al 、TiO 、ZrO のいずれかであり、
2次粒子径が、3~500nmの範囲内であり、かつ、被覆率が80%以上であるコア・シェル粒子。
【請求項2】
前記シェルの厚さが、1~30nmの範囲内である請求項1に記載のコア・シェル粒子。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載のコア・シェル粒子を製造するコア・シェル粒子の製造方法であって、
アモルファス(非晶質)状のシェルを形成する工程と、
超臨界又は亜臨界流体を用いて前記シェルを結晶化する工程と、
を有するコア・シェル粒子の製造方法。
【請求項4】
前記シェルをゾル・ゲル法を用いて形成する請求項に記載のコア・シェル粒子の製造方法。
【請求項5】
前記シェルを酸性条件下で形成する請求項又は請求項に記載のコア・シェル粒子の製造方法。
【請求項6】
前記超臨界流体又は亜臨界流体が、超臨界水又は亜臨界水である請求項から請求項までのいずれか一項に記載のコア・シェル粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1又は請求項に記載のコア・シェル粒子を含有する組成物。
【請求項8】
前記組成物が、インク、塗布液、塗料、樹脂フィルム又は紙である請求項に記載の組成物。
【請求項9】
前記インクが、インクジェット記録用インクである請求項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、発光性、光波長変換性、色域拡大性、光反射性又はサーモクロミック性を有する請求項から請求項までのいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア・シェル粒子、その製造方法、及び組成物に関する。より詳しくは、酸素、水又は硫黄等を含む環境下における耐久性が向上したコア・シェル粒子、その製造方法及び当該コア・シェル粒子を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多くの技術分野において、種々の組成のコア・シェル粒子(「コア・シェル型粒子」ともいう。)が研究・開発され、また実際に、使用されている。例えば、半導体ナノ粒子(「量子ドット」ともいう。)を始め各種蛍光体粒子、写真感光材用ハロゲン化銀粒子、電子写真用のトナー粒子等の実用が知られている。
コア・シェル粒子は、一般に、コア粒子(単に「コア」又は「核」ともいう。)を構成する物質を物理・化学的に保護するため又は特別な機能を持たせるため、前記物質とは機能・性質が異なるシェル(「殻」ともいう。)で被覆された層構造すなわちコア/シェル構造を有している。
上記のようなコア・シェル粒子を、使用目的に応じて、所望の性質・機能を発現することができるように形成又は製造するためには、様々のパラメータについて検討する必要があり、例えば、目的効果に応じて所望の形状・組成のコア・シェル粒子を得るのは容易ではないことが知られている。
【0003】
このような、技術的背景を踏まえて、種々の観点から種々のコア・シェル粒子及びその製造方法が提案されてきている。
例えば、特許文献1には、コアを結晶性無機物質のシェルで被覆し、その後、当該シェルが結晶化又は結晶性を良化する温度で熱処理を行うことによって、前記コアの表面に前記結晶性無機物質シェルを形成する方法が開示されている。
特許文献2には、金属酸化物を金属塩水溶液と接触処理し、この接触処理された混合液を亜臨界又は超臨界状態の水と混合して亜臨界又は超臨界反応させることにより、金属酸化物の表面に金属酸化物超微粒子を生成させてコア・シェル粒子を形成する方法が開示されている。
特許文献3には、超臨界状態又は亜臨界状態を反応場として、少なくとも1種の金属元素を有する金属酸化物微粒子上に、前記金属酸化物微粒子とは異なる少なくとも1種の金属元素を含有する溶液を用いて、金属酸化物層を設けることによりコア・シェル型の複合金属酸化物微粒子を合成する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、本願発明者の検討において、コア粒子に無機物のシェルを被覆したコア・シェル粒子を形成・製造する場合、上記特許文献等に開示されている方法では、結晶成長の完全な制御の困難性等に起因して、シェルがコア粒子を完全に被覆している粒子を得ることが困難であり、実際には、シェルが非連続的に形成され、部分的にコア粒子が被覆されていない粒子になってしまうことと、かつ、多くの場合、シェルがアモルファス状に形成されるために、得られるコア・シェル粒子の酸素、水及び/又は硫黄等を含む環境下における耐久性が、実用上、必ずしも十分ではないことが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-232919号公報
【文献】特表2009-507751号公報
【文献】特開2008-133386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、酸素、水又は硫黄等を含む環境下における耐久性が向上したコア・シェル粒子、その製造方法及び当該コア・シェル粒子を含有する組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程においてコア・シェル粒子のシェル層の連続性及び結晶性が、コア粒子の性能及び耐久性に非常に影響していることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
【0008】
1.無機物を含有するシェルでコア粒子が被覆されたコア・シェル粒子であって、
前記コア粒子が、銀、VO 、(Y 0.72 Gd 0.24 )Al 12 :Ce 0.04 またはInP/ZnSのいずれかであり、
前記シェルが、結晶性を有し、アモルファス(非晶質)状から結晶化された構造を有し、SiO 、Al 、TiO 、ZrO のいずれかであり、
2次粒子径が、3~500nmの範囲内であり、かつ、被覆率が80%以上であるコア・シェル粒子。
.前記シェルの厚さが、1~30nmの範囲内である第記載のコア・シェル粒子。
.第1項又は項に記載のコア・シェル粒子を製造するコア・シェル粒子の製造方法であって、
アモルファス(非晶質)状のシェルを形成する工程と、
超臨界又は亜臨界流体を用いて前記シェルを結晶化する工程と、
を有するコア・シェル粒子の製造方法。
.前記シェルをゾル・ゲル法を用いて形成する第項に記載のコア・シェル粒子の製造方法。
.前記シェルを酸性条件下で形成する第項又は第項に記載のコア・シェル粒子の製造方法。
.前記超臨界流体又は亜臨界流体が、超臨界水又は亜臨界水である第項から第項までのいずれか一項に記載のコア・シェル粒子の製造方法。
.第1項又は項に記載のコア・シェル粒子を含有する組成物。
.前記組成物が、インク、塗布液、塗料、樹脂フィルム又は紙である第項に記載の組成物。
.前記インクが、インクジェット記録用インクである第項に記載の組成物。
10.前記組成物が、発光性、光波長変換性、色域拡大性、光反射性又はサーモクロミック性を有する第項から第項までのいずれか一項に記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記手段により、酸素、水又は硫黄等を含む環境下における耐久性が向上したコア・シェル粒子、その製造方法及び当該コア・シェル粒子を含有する組成物を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については明確にはなっていないが、以下のように推測している。
本発明のコア・シェル粒子は、結晶化されたシェルで80%以上被覆された特定粒径範囲内の粒子であるため、酸素、水及び/又は硫黄等を含む環境下における耐久性が優れていると考えられる。特に、アモルファスな連続層(相)からなるシェルが結晶化された状態の粒子である場合は、当該耐久性が一層向上されると推察される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】コア・シェル粒子のシェルを形成するための流通式反応装置の概念図
図2】蛍光体分散液の塗布装置の概念図
図3】波長変換蛍光体層を備えたLED装置の概念図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のコア・シェル粒子は、無機物を含有するシェルでコア粒子が被覆されたコア・シェル粒子であって、前記シェルが、結晶性を有し、2次粒子径が、3~500nmの範囲内であり、かつ、被覆率が80%以上であることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に共通する又は対応する技術的特徴である。
【0012】
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記シェルが、アモルファス(非晶質)状から結晶化された構造を有することが好ましい。
また、前記コア粒子が、無機物を含有すること、すなわち、金属、金属酸化物、金属複合酸化物又は蛍光体を含有することが、応用技術分野の広域性、耐久性等の観点から、好ましい。当該コア粒子が、半導体ナノ粒子であることも好ましい。
【0013】
一方、本発明においては、前記シェルが、金属、金属酸化物又は金属複合酸化物を含有することが結晶性の観点から好ましい。さらに、当該シェルの厚さが、コア粒子の保護・耐久性の観点から、1~30nmの範囲内であることが好ましい。
【0014】
本発明のコア・シェル粒子の製造方法としては、本発明の課題解決及び目的効果の観点から、アモルファス(非晶質)状のシェルを形成する工程と、超臨界或いは亜臨界流体を用いて前記シェルを結晶化する工程と、を有する製造方法であることが好ましい。
【0015】
また、同様の観点から、前記シェルをゾル・ゲル法を用いて形成することが好ましく、さらに、前記シェルを酸性条件下で形成すること、前記超臨界流体又は亜臨界流体が、超臨界水又は亜臨界水であること等が好ましい条件である。
【0016】
本発明のコア・シェル粒子は、種々の目的を持った組成物に好ましく適用され得る。当該組成物が、インク、塗布液、塗料、樹脂フィルム又は紙であることが好ましい。なお、前記インクが、インクジェット記録用インクであることが好ましい。
また、本発明のコア・シェル粒子を含有させた前記組成物が、発光性、光波長変換性、色域拡大性、光反射性又はサーモクロミック性等を有するものであることが好ましい。
【0017】
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。なお、各図の説明において、構成要素の末尾に括弧内で記載した数字は、説明する図面に記載した符号を表す。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0018】
《本発明のコア・シェル粒子の概要》
本発明のコア・シェル粒子は、無機物を含有するシェルでコア粒子が被覆されたコア・シェル粒子であって、前記シェルが、結晶性を有し、2次粒子径が、3~500nmの範囲内であり、かつ、被覆率が80%以上である。
本発明においては、前記シェルが、アモルファス(非晶質)状から結晶化された構造を有することが好ましい、この点については、製造方法の説明において併せて説明する。以下において、コア粒子及びシェルについて説明する。
【0019】
<コア粒子>
本発明に係るコア粒子は、無機物を含有することが好ましい。具体的には、コア・シェル粒子の目的用途に応じて、当該コア粒子が、以下において例示する金属、金属酸化物、金属複合酸化物又は蛍光体を含有することが好ましい。
【0020】
(金属)
本発明において用いられる金属としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)等が挙げられる。これらの金属は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に係るコア粒子は、さらに、上記金属以外の金属を含んでいてもよい。
上記金属以外の金属としては、特に限定はなく、例えば、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、ケイ素(Si)等が挙げられる。これらの金属は1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。特に、銀ナノ粒子等を使用することが好ましい。
【0021】
なお、本発明においては、上記金属が、単体及び金属酸化物以外の化合物として、含有されていてもよい。例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、GaAs、GaP、GaSb、InGaAs、InP、InN、InSb、InAs、AlAs、AlP、AlSb、AlS、PbS、及びPbSe等が挙げられる。なお、これらの化合物は後記する半導体ナノ粒子の半導体材料としても使用できる。
【0022】
(金属酸化物及び金属複合酸化物)
本発明において用いることができる金属酸化物又は金属複合酸化物としては、VO、SnO、GaP、In、Ga、Ga、In、ZnO、CdO、BaTiO、SrTiO、HfO、SiO、TiO、Al、Y、Ta、BaTa、Sr(Zr、Ti)O、PbTiO、ZrO、PbNbO、Pb(Zr、Ti)O等が挙げられる。
【0023】
(蛍光体)
本願において蛍光体とは、光、X線等の放射線、電界、熱、及び圧力等の物理/化学的
刺激によって原子/分子軌道中の電子が励起され発光する性能を有する物体をいう。なお、本発明の範囲にはリン光を発光する物体も含めることにする。
上記の金属酸化物及び金属複合酸化物の中には、半導体又は蛍光体として機能し得る化合物が含まれているが、それら以外の蛍光体としては、例えば、(Y0.72Gd0.24・Al12:Ce0.04、ZnF:Gd、BaAl:Eu、CaS:Pb、SrS:Ce、SrS:Cu、CaGa:Ce、(Zn,Mg)S:Mn
、ZnS:Tb,F、Ga:Mn、(Zn,Mg)S:Mn、CaS:Eu、ZnS:Sm,F、Ga:Cr等を挙げることができる。
【0024】
(半導体ナノ粒子)
本発明においては、コア粒子として半導体ナノ粒子を用いることも好ましい一つの実施形態である。
なお、本発明のコア・シェル粒子自体も半導体ナノ粒子であってもよい。
本願において、半導体ナノ粒子とは、半導体として機能する材料を用いて形成されたナノメートル(nm)・オーダーの粒径を有する粒子をいう。また、ナノメートル・オーダーの粒径とは、1マイクロメートル(μm)、すなわち、1000nm未満の粒径をいうことにする。
【0025】
本発明に係るコア・シェル構造を有する半導体ナノ粒子のうち、電子の波長(10nm程度)より小さい粒子径を有するナノサイズの粒子は、量子サイズ効果として電子の運動に対するサイズ有限性の影響が大きくなってくるために、バルク体とは異なる特異な物性を示すことが知られている。
一般に、ナノ・メートルサイズの半導体物質で量子閉じ込め(quantum confinement)効果を示す半導体ナノ粒子は、「量子ドット」とも称されている。このような量子ドットは、半導体原子が数百個から数千個集まった十数nm程度以内の小さな塊であるが、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドットのエネルギーバンドギャップに相当するエネルギーを放出する。
したがって、量子ドットの大きさ又は物質組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができて様々な水準の波長帯のエネルギーを利用することができる。また、量子ドット、すなわち半導体ナノ粒子は、同一組成で粒径を変化させることで発光波長をコントロールできるという特徴を持つ。
本発明に係るコア/シェル型半導体ナノ粒子は、350~1100nmの範囲の蛍光を発光するように調整することができる。
【0026】
<シェル>
本発明に係るシェルの材料としては、本発明のコア・シェル粒子の目的用途に応じて、コア粒子の材料との関係を考慮して選択することが好ましい。
本発明においては、コア粒子の材料として例示した、金属、金属酸化物、金属複合酸化物及び蛍光体から選択することができるが、特に、SiO、Al、TiO、ZrO等が好ましい。
本発明に係るシェルは、結晶性を有するが、コア粒子の表面に対する結晶性シェルの被覆率は、必ずしも100%でなくてもよいが、80%以上、好ましくは90%以上である。当該被覆率の算定法は、後述する。
本発明に係るシェルの厚さは、コア粒子の保護・耐久性の観点から、1~30nmの範囲内であることが好ましい。
【0027】
(結晶性)
結晶は、長周期的構造を有しているが、アモルファス状物質(非晶質物質)は、結晶のような長周期構造を有していない。このため、結晶のX線回折では、回折パターンにおいて格子面に対応した不連続で鋭いピークが現れる。これに対し、非晶質のX線散乱測定では、連続的でブロードなピークが得られる。
したがって、本発明においては、X線解析法(X-ray Diffraction:XRD)によって、結晶性の有無を判断することにする。具体的測定条件については、後述する実施例において説明する。
【0028】
(シェルの厚さ、被覆率等)
シェルの厚さ及びシェルの被覆率については、透過型電子顕微鏡観察において得た写真(TEM写真)を利用して算定する。
シェルの厚さについては、具体的には、TEM写真において、無作為的に粒子を30個を選定し、1つの粒子につき、無作為的に10ヶ所のシェルの厚さを測定し、その平均値を求め、これを平均シェル厚さとする。
【0029】
被覆率については、得られた上記TEM写真において、無作為的にコア・シェル粒子を30個を選定し、各粒子表面においてシェルが形成されていない部分の周長(シェルが形成されていない部分が複数に分かれてある場合はその全て)を測定しその合計値を各粒子ごとに求めた。すなわち、各粒子ごとに、下記計算式によりシェル被覆率を求める。
シェル被覆率=
(コア粒子の1次粒子径と等しい直径を持つ円の円周-シェルが形成されていない部分の周長の合計)/(コア粒子の1次粒子径と等しい直径を持つ円の円周)×100 [%]
なお、無作為的に選定した30個の粒子について、粒子ごとのシェル被覆率の平均値を求め、平均シェル被覆率とする。
また、コア粒子の平均一次粒子径についても、上記と同様に、TEM写真において、無作為的に粒子を30個を選定し、各粒子のコアの投影面積を測定し、同一の面積を有する円の直径を粒子の粒径としてその平均値を求め、これを平均一次粒子径とした。
【0030】
≪コア・シェル粒子の製造方法≫
本発明のコア・シェル粒子の製造方法としては、種々の方法を採用できるが、アモルファス(非晶質)状のシェルを形成する工程と、超臨界又は亜臨界流体を用いて前記シェルを結晶化する工程と、を有する態様の製造方法であることが好ましい。
【0031】
(コア粒子を形成する工程)
本発明に係るコア粒子は、従来公知の種々の方法を採用することによって形成することができる。具体的な好ましい形成条件は、コア粒子を形成する材料・所望の構造・性能等によって異なるため、それぞれ適した条件を採用することが好ましい。
例えば、国際公開第02/080626号パンフレット、特許公開2000-195674号公報、特許公開2002-180041号公報、特表2009-507751号公報及び特開2006-232919号公報、特開2008-049336号公報、特開2012-041581号公報、特開2004-006661号公報、特開2016-108635等に開示されているコア粒子の作製方法が参考となる。
【0032】
(アモルファス状のシェルを形成する工程)
アモルファス(非晶質)状のシェルを形成する方法についても、従来公知の種々の方法を採用することができる。
なお、本発明においては、シェルをゾル・ゲル法を用いて形成することが、シェルの厚みの制御という点で好ましい。また、シェルを酸性条件下で形成することが連続的なシェルの形成の点で好ましい。
当該シェルの製造方法についても、コア粒子の場合と同様に上記特許文献等が参考となる。
【0033】
(超臨界又は亜臨界流体を用いて前記シェルを結晶化する工程)
本発明においては、超臨界又は亜臨界流体を用いてシェルを結晶化することが好ましい。超臨界状態又は亜臨界状態の反応条件下では、低温で形成されたシェルと比較して、昇温時の結晶内部からの脱水による質量変化が小さく、X線回折でシャープなピークを有していることから結晶性が高い微粒子を得ることができる。
具体的な反応条件は、作製するコア・シェル粒子の組成、構造等により適切な条件を採用することが好ましい。一般的には、温度条件として250~500℃の範囲内で、圧力条件として10~30MPaの範囲内であることが好ましいが、臨界点又はそれを超える圧力及び/又は温度条件の反応場であれば、その限りではない。
また、本発明に係る製造方法においては、反応条件を制御することにより粒径分布の狭い単分散粒子を得ることができる。
【0034】
なお、ここで、超臨界(又は亜臨界)流体とは、超臨界(又は亜臨界)状態にある物質をいう。さらに、超臨界(又は亜臨界)状態等について、幾らか詳しく説明する。
物質は、温度、圧力(又は体積)等の環境条件の変化により気体、液体及び固体の三つの状態の間を移り変わるが、これは分子間力と運動エネルギーとのバランスで決定される。横軸に温度を、縦軸に圧力をとって気液固三態の移り変わりを表したものを状態図(相図)というが、その中で気体、液体及び固体の三相が共存し、平衡にある点を三重点という。三重点より温度が高い場合は、液体とその蒸気が平衡になる。この時の圧力は飽和蒸気圧であり、蒸発曲線(蒸気圧線)で表される。この曲線で表される圧力よりも低い圧力では液体は全部気化し、またこれよりも高い圧力を加えれば蒸気は全部液化する。圧力を一定にして温度も変化させてもこの曲線を超えると液体が蒸気に、また蒸気が液体になる。この蒸発曲線には、高温、高圧側に終点があり、これを臨界点(critical point)と呼ぶ。臨界点は物質を特徴づける重要な点であり、液体と蒸気との区別がつかなくなる状態で、気液の境界面も消失する。
臨界点より高温の状態では、気液共存状態を生じることなく液体と気体の間を移り変わることができる。
【0035】
臨界温度以上でかつ臨界圧力以上の状態にある流体を超臨界流体といい、超臨界流体を与える温度・圧力領域を超臨界領域という。また、臨界温度以上又は臨界圧力以上のいずれかを満たした状態を亜臨界(膨張液体)状態といい、亜臨界状態にある流体を亜臨界流体という。
超臨界流体及び亜臨界流体は、高い運動エネルギーを有する高密度流体であり、溶質を溶解するという点では液体的な挙動を示し、密度の可変性という点では気体的な特徴を示す。超臨界流体の溶媒特性はいろいろあるが、低粘性で高拡散性であり固体材料への浸透性が優れていることが重要な特性である。
超臨界状態は、例えば、二酸化炭素であれば、臨界温度(以下、Tcともいう)31℃、臨界圧力(以下、Pcともいう)は7.38×106Pa、プロパン(Tc=96.7℃、Pc=43.4×10Pa)、エチレン(Tc=9.9℃、Pc=52.2×10Pa)等、この領域以上では流体は拡散係数が大きくかつ粘性が小さくなり物質移動、濃度平衡への到達が速く、かつ液体のように密度が高いため、効率のよい分離が可能となる。しかも、例えば二酸化炭素のような常圧、常温で気体となる物質を用いることにより回収が迅速になる。また、液体溶媒を用いる精製法で不可避の微量の溶媒の残留に起因する種々の障害はない。
【0036】
超臨界流体又は亜臨界流体として用いられる溶媒としては、二酸化炭素、一酸化二窒素、アンモニア、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、ペンタン等が好ましく用いられるが、この中でも水を好ましく用いることができる。
超臨界流体又は亜臨界流体として用いる溶媒は1種類を単独で用いることも可能であるし、極性を調整するためのいわゆるモディファイヤ(エントレーナ)と呼ばれる物質を添加することも可能である。
【0037】
モディファイヤとしては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、塩化メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトアルデヒドジエチルアセタール等のアセタール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸系溶媒、アセトニトリル、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド等の窒素化合物系溶媒、二硫化炭素、ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物系溶媒、さらに水、硝酸、硫酸等が挙げられる。
【0038】
超臨界流体又は亜臨界流体の使用温度は、基本的に、本発明に係る溶質として用いる化合物が溶解する温度以上であれば特に限定はないが、使用温度は20~600℃、好ましくは、250~500℃の範囲内である。
超臨界流体又は亜臨界流体の使用圧力は、基本的に用いる物質の臨界圧力以上であれば特に限定はないが、製造装置の耐久性、操作時の安全性等の観点から、使用圧力は1~100MPa、好ましくは、10~30MPaの範囲内である。
超臨界流体又は亜臨界流体を使用する装置は、閉鎖系で使用するバッチ方式、超臨界流体又は亜臨界流体を循環させて使用する流通方式、バッチ方式と流通方式とを組み合わせた複合方式等の使用が可能である。
本発明においては、前記超臨界流体又は亜臨界流体が、超臨界水又は亜臨界水であることが高結晶なシェルの形成の点で好ましい。
【0039】
≪コア・シェル粒子の応用分野≫
本発明のコア・シェル粒子は、その耐久性等の特長を生かす種々の目的用途をもった各種組成物に好適に用いることができる。当該組成物としては、例えば、インク、塗布液、塗料、樹脂フィルム及び紙等を挙げることができるが、これらに限定されることなく広範囲の組成物に適用できる。
例えば、前記インクとしては、インクジェット記録用インク、一般印刷用インク、筆記用インク等各種インクに適用することができる。
また、組成物の機能・特性としては、本発明のコア・シェル粒子の機能・特性に応じて、発光性、光波長変換性、色域拡大性、光反射性又はサーモクロミック性等を付与することができる。
【実施例
【0040】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
1.銀コア・シェル粒子含有膜(組成物)(試料101~113)の作製
<銀コア・シェル粒子の作製>
(比較例1)
平板状の撹拌翼と邪魔板を有する1Lのセパラブルフラスコに、8.4gのDISPERBYK-190(ビックケミー社製)及び269gのイオン交換水を投入し、撹拌を行ってDISPERBYK-190を溶解させた。
続いて、上記セパラブルフラスコに、269gのイオン交換水に溶解させた70gの硝酸銀を撹拌しながら投入した。さらに、アンモニア水70gを添加して撹拌を行い、その後、上記セパラブルフラスコをウォーターバスに入れ、溶液の温度が80℃に安定するまで加熱撹拌した。その後、183gのジメチルアミノエタノールをセパラブルフラスコに添加し、さらに80℃に保ちながら3時間撹拌を続け、銀ナノ粒子を含む反応液を得た。
得られた反応液をステンレスカップに入れて、さらに2Lのイオン交換水を加えてから、ポンプを稼働して限外濾過を行った。ステンレスカップ内の溶液が減少したら、再びイオン交換水を入れて、ろ液の伝導度が100μS/cm以下になるまで精製を繰り返し行った。その後、ろ液を濃縮して、固形分10質量%の銀ナノ粒子分散液を得た。
なお、限外濾過装置は、限外濾過モジュールAHP1010(旭化成株式会社製、分画分子量:50000、使用膜本数:400本)、チューブポンプ(Masterflex社製)をタイゴンチューブでつないだものを使用した。
【0041】
(比較例2)
比較例1で得られた銀ナノ粒子分散液20.5gとエタノール(和光純薬工業(株))250gを室温で撹拌しながら混合し、次いで、10質量%のアンモニア水(和光純薬工業(株))でpH11となるように添加した。その後、シェルの前駆体であるテトラエトキシシラン(和光純薬工業(株))を8g添加し、24時間撹拌した。その後、遠心分離機にて2回水で洗浄し、銀コア・シェル粒子が10質量%になるように濃縮し銀コア・シェル粒子分散液を得た。
【0042】
(比較例3)
比較例1で得られた銀ナノ粒子分散液を0.5質量%まで水で希釈した後、テトラエトキシシランを2.4g添加し、図1に示す流通式反応装置(101)の原料液容器1(105)に、原料液1として300mL投入した。一方、流通式反応装置101の原料液容器2(102)にはイオン交換水を原料液2として投入した。原料液1を、原料液容器1(105)からポンプ(107)により流路(106)内に送液し、加熱媒体(115)で、25℃で、30MPaの条件となるように加圧した。
一方、原料液2を、原料液容器2(102)からポンプ(104)により流路(103)内に送液し、加熱媒体(113)で、加熱加圧して、超臨界水を得た。
次いで、合流点MPで原料液1と、超臨界水である原料液2とを、原料液1:原料液2=1:4(体積比)となる条件で混合して、反応液2を調製し、水熱反応部である水熱反応部(116)に送液した。水熱反応部(116)では、加熱媒体(114)内に配置されている加熱部配管(117)に送液した。加熱部配管(117)における水熱反応は、400℃、30MPa、処理時間(通過時間)2秒となる条件で行った。次いで、冷却部(118)にて反応液2を冷却し、銀コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0043】
(比較例4)
比較例2と同じフローで得た銀コア・シェル粒子分散液を100℃で乾燥させ粉体としたのちに、アルゴン雰囲気下で400℃で1時間焼成した。
【0044】
(実施例1)
比較例2におけるテトラエトキシシランの添加量を1gに変更した以外は、比較例2と同様にして銀コア・シェル粒子分散液を得た。得られた銀コア・シェル粒子分散液を原料液1として原料液容器1(105)に投入し、その後のフローは、比較例3と同様にして銀コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0045】
(実施例2)
比較例2におけるテトラエトキシシランの添加量を40gに変更した以外は、比較例2と同様にして銀コア・シェル粒子分散液を得た。得られた銀コア・シェル粒子分散液を原料液1として原料液容器1(105)に投入した。
原料液2として、水を、原料液容器2(102)からポンプ(104)により流路(103)内に送液し、加熱媒体(113)で、加熱加圧して、亜臨界水を得た。
次いで、合流点MPで原料液1と、亜臨界水である原料液2とを、原料液1:原料液2=1:4(体積比)となる条件で混合して、反応液2を調製し、水熱反応部である水熱反応部(116)に送液した。水熱反応部(116)では、加熱媒体(114)内に配置されている加熱部配管(117)に送液した。加熱部配管(117)における水熱反応は、250℃、30MPa、処理時間(通過時間)2秒となる条件で行った。次いで、冷却部(118)にて反応液2を冷却し、銀コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0046】
(実施例3)
実施例2における原料液2の亜臨界水を超臨界水とし、加熱部配管(117)における水熱反応を、400℃に変更した以外は、実施例2と同様にして、銀コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0047】
(実施例4)
実施例2におけるテトラエトキシシランの添加量を8gに変更し、原料液2を超臨界COに変更し、かつ加熱部配管(117)における水熱反応は、250℃及び30MPaの条件下で行った以外は、実施例2と同様にして、銀コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0048】
(実施例5)
実施例2におけるテトラエトキシシランの添加量を8gに変更し、原料液2を超臨界水に変更し、かつ加熱部配管(117)における水熱反応は、400℃、30MPaの条件下で行った以外は、実施2と同様にして、銀コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0049】
(実施例6)
実施例5におけるテトラエトキシシランの添加量を20gに変更し、アンモニア水を10質量%の酢酸水溶液にしてpHを4にする調整をした。得られた銀コア・シェル粒子分散液を原料液1として原料液容器1(101)に投入した。その後は、実施例5と同様に行った。
【0050】
(実施例7)
実施例5におけるテトラエトキシシランをアルミニウムセカンダリーブトキシド(マツモトファインケミカル)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
【0051】
(実施例8)
実施例5におけるテトラエトキシシランをテトラノルマルブチルチタネート(マツモトファインケミカル)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
【0052】
(実施例9)
実施例5におけるテトラエトキシシランをノルマルブチルジルコネート(マツモトファインケミカル)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
【0053】
<銀コア・シェル粒子含有膜の作製>
上記方法によって得られた銀コア・シェル粒子の濃度が10質量%となるようにコア・シェル粒子水分散液を調製した後、スライドガラス上にスピンコート法を用いて500rpmで銀コア・シェル粒子含有膜を作製した。
【0054】
<解析・評価>
上記で得たコア・シェル粒子及び銀コア・シェル粒子含有膜の作製の解析・評価方法及び結果は、下記のとおりである。
【0055】
(コア粒子の平均一次粒子径)
透過型電子顕微鏡(メーカー機種確認)により、上記調製したコア・シェル粒子を撮影し、TEM写真(1100nm×950nm)を得た。得られたTEM写真において、無作為的に粒子を30個を選定し、各粒子のコアの面積を測定し、同一の面積を有する円の直径を粒子の粒径としてその平均値を求め、これを平均一次粒子径とした。
【0056】
(平均シェル厚さ)
得られた上記TEM写真において、無作為的に粒子を30個を選定し、1つの粒子につき、無作為的に10ヶ所のシェルの厚さを測定し、その平均値を求め、これを平均シェル厚さとした。
次いで、上記測定した平均シェル厚さについて、下記の判断基準により評価した。
○:平均シェル厚さが、1nm以上、30nm以下
△:平均シェル厚さが、30nm超70nm以下
×:平均シェル厚さが、1nm未満又は70nm超
【0057】
(平均シェル被覆率)
得られた上記TEM写真において、無作為的にコア・シェル粒子を30個を選定し、各粒子表面においてシェルが形成されていない部分の周長(シェルが形成されていない部分が複数に分かれてある場合はそのすべて)を測定しその合計値を各粒子ごとに求めた。
各粒子ごとに、以下の計算によりシェル被覆率を求めた。
シェル被覆率=
(コア粒子の1次粒子径と等しい直径を持つ円の円周-シェルが形成されていない部分の周長の合計)/(コア粒子の1次粒子径と等しい直径を持つ円の円周)×100 [%]無作為的に選定した30個の粒子について、粒子ごとのシェル被覆率の平均値を求め、平均シェル被覆率とする。
次いで、上記測定した平均シェル被覆率について、下記の判断基準により評価した。
○:平均シェル被覆率が、90%以上
△:平均シェル被覆率が、80%以上90%未満
×:平均シェル被覆率が、80%未満
【0058】
(コア・シェル粒子の平均二次粒子径)
測定対象である各種コア・シェル粒子及び当該測定対象のコア・シェル粒子それぞれにとって分散性の良い所定の溶媒を含有する分散液を、それぞれ分散液の総質量に対してコア・シェル粒子の濃度が0.01質量%となるよう所定の溶媒と混合して希釈し、これを超音波で15分間分散して測定用サンプルを調製する。なお希釈時の凝集を防ぐためにあらかじめ25℃においてpHと活性剤濃度を調整した希釈溶媒を用い、希釈することによるpH、活性剤濃度の変化はないものとした。更に溶媒が混合溶媒の場合は、希釈する溶媒も同じ混合比の混合溶媒を用いた。次いで、動的光散乱解析装置(Malvern社製ZetasizerNano S)を用いて、動的光散乱(Dynamic Light
Scattering:DLS)法によって、平均粒径(Z平均)を求め、この値をコア・シェル粒子の平均二次粒子径とした。
測定条件は、下記のとおりである;
試料濃度:0.01質量%
試料屈折(RI値):コア・シェル粒子の屈折率
溶媒:コア・シェル粒子分散液の溶媒
測定回数:3回
次いで、上記測定した平均2次粒子径について、下記の判断基準により評価した。
○:平均2次粒子径が、3nm以上、100nm以下
△:平均2次粒子径が、100nm超、500nm以下
×:平均2次粒子径が、3nm未満又は500nm超
【0059】
(シェルの結晶性のX線回折)
シェルの結晶性は、例えば以下の条件によりXRD測定を行うことによりシェルの回析解析線の積分強度(ピーク強度)により確認した。
【0060】
(XRD測定条件)
X線回折装置 : RINT2000(株式会社リガク)
線源 : CuKα線
測定角 : 2θ=10~70°
散乱スリット : 1/3°
サンプリング幅: 0.02°
スキャン速度 : 1.2°/分。
シェルの結晶性は、コア粒子由来のピーク強度に対するシェル由来のピーク強度(Pシェル/Pコア)により結晶性の評価を行った。評価判断基準は下記のとおりである。Pシェル、コアともに最大のピーク値を持つピーク
〈結晶性の良否〉
○:Pシェル/Pコアの値が、0.25以上
△:Pシェル/Pコアの値が、0.05以上0.25未満
×:Pシェル/Pコアの値が、0.05未満
【0061】
(光反射率の評価)
日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計(U-4100)を用いてコア・シェル粒子及び銀コア・シェル粒子含有膜の反射率を380nm~780nmの範囲で測定し、550nmにおける反射率を代表値とした。
〈光反射率の良否〉
○:550nmにおける反射率の値が、50%以上
△:550nmにおける反射率の値が、20%以上50%未満
×:550nmにおける反射率の値が、20%未満
【0062】
(硫化耐性)
密閉可能なガラス瓶内に、硫黄粉末を入れたシャーレを置いた。続いて、銀コア・シェルナノ粒子膜が形成されたスライドガラスを硫黄粉末の入ったシャーレから10cm離した位置に置き、容器を密閉した。そして、容器を80℃で95時間加熱し、コア・シェル銀粒子含有膜が形成されたスライドガラスを硫黄蒸気雰囲気下に曝露した。その後、ガラス瓶からスライドガラスを取出し、可視光領域での光反射率の変化を測定した。
なお、光反射率からL*、a*、b*を算出し、色差ΔE*abを用いて耐硫化性を評価した。ΔE*abの値が大きいほど、反射率と色味の変化が大きく、金属光沢層中の銀ナノ粒子の硫化が進行しているといえる。ΔE*abは、以下の式から導き出した。また、算出したΔE*abに基づいて、耐硫化性を以下の基準で評価した。
ΔE*ab=〔(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2
◎: ΔE*abが5未満
○: ΔE*abが5以上、25未満
△: ΔE*abが25以上、50未満
×: ΔE*abが50以上
以上の解析・評価結果を表Iに示す。
【0063】
【表1】
【0064】
上記表に示した結果より、本発明の実施例は、比較例に比べ、良好な特性を有していることがわかる。
【0065】
2.サーモクロミックフィルム(試料201~213)の作製
<二酸化バナジウムコア・シェル粒子の作製>
(比較例1)
図1に示す流通式反応装置(101)の原料液容器1(105)に、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO)19.0gを投入し、イオン交換水に溶解して300mLとし、この液を撹拌しながら、アルカリとして3.0mol/LのNH水溶液を68mL添加して、液温25℃におけるpHが8.0の原料液1を調製した。一方、流通式反応装置101の原料液容器2(102)にはイオン交換水を原料液2として投入した。
酸化硫酸バナジウム(IV)とアルカリを含む原料液1を、原料液容器1(105)からポンプ(107)により流路(106)内に送液し、加熱媒体(115)で、25℃で、30MPaの条件となるように加圧した。
一方、原料液2であるイオン交換水を、原料液容器2(102)からポンプ(104)により流路(103)内に送液し、加熱媒体(113)で、440℃で、30MPaの条件で加熱加圧して、超臨界水を得た。
次いで、合流点MPで酸化硫酸バナジウム(IV)とアルカリを含む原料液1と、超臨界水である原料液2とを、原料液1:原料液2=1:4(体積比)となる条件で混合して、反応液2を調製し、水熱反応部である水熱反応部(116)に送液した。水熱反応部(116)では、加熱媒体(114)内に配置されている加熱部配管(117)に送液した。加熱部配管(117)における水熱反応は、400℃、30MPa、処理時間(通過時間)2秒となる条件で行った。次いで、冷却部(118)にて反応液2を冷却し、二酸化バナジウム含有粒子前駆体及び水を含有する分散液を調製した。
調製した分散液をろ過し、残渣を水及びエタノールで洗浄し、10質量%の分散液を得た。得られた分散液中の二酸化バナジウム粒子に対して4.5質量%となるようにDISPERBYK-190(ビックケミー社製)を添加し、二酸化バナジウム分散液を得た。
【0066】
(比較例2)
比較例1で得られた二酸化バナジウム分散液20.5gとエタノール(和光純薬工業(株))250gを室温で撹拌しながら混合し、次いで、10質量%のアンモニア水(和光純薬工業(株))でpH11となるように添加した。その後、シェルの前駆体であるテトラエトキシシラン(和光純薬工業(株))を8g添加し、24時間撹拌した。その後、遠心分離機にて2回水で洗浄し、二酸化バナジウムコア・シェル粒子が10質量%になるように濃縮し二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を得た。
【0067】
(比較例3)
比較例1で得られた二酸化バナジウム分散液を0.5質量%まで水で希釈した後、テトラエトキシシランを2.4g添加し、図1に示す流通式反応装置(101)の原料液容器1(105)に、原料液1として300mL投入した。一方、流通式反応装置101の原料液容器2(102)にはイオン交換水を原料液2として投入した。原料液1を、原料液容器1(105)からポンプ(107)により流路(106)内に送液し、加熱媒体(115)で、25℃で、30MPaの条件となるように加圧した。
一方、原料液2を、原料液容器2(102)からポンプ(104)により流路(103)内に送液し、加熱媒体(113)で、加熱加圧して、超臨界水を得た。
次いで、合流点MPで原料液1と、超臨界水である原料液2とを、原料液1:原料液2=1:4(体積比)となる条件で混合して、反応液2を調製し、水熱反応部である水熱反応部(116)に送液した。水熱反応部(116)では、加熱媒体(114)内に配置されている加熱部配管(117)に送液した。加熱部配管(117)における水熱反応は、400℃、30MPa、処理時間(通過時間)2秒となる条件で行った。次いで、冷却部(118)にて反応液2を冷却し、二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を調製した。
【0068】
(比較例4)
比較例2と同じフローで得た二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を100℃で乾燥させ粉体としたのちに、アルゴン雰囲気下で400℃で1時間焼成した。
【0069】
(実施例1)
比較例2におけるテトラエトキシシランの添加量を1gに変更した以外は、比較例2と同様にして二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を得た。得られた二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を原料液1として原料液容器1(105)に投入し、その後のフローは、比較例3と同様にして二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を調製した。
【0070】
(実施例2)
比較例2におけるテトラエトキシシランの添加量を40gに変更した以外は、比較例2と同様にして二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を得た。得られた二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を原料液1として原料液容器1(105)に投入した。
原料液2として、水を、原料液容器2(102)からポンプ(104)により流路(103)内に送液し、加熱媒体(113)で、加熱加圧して、亜臨界水を得た。
次いで、合流点MPで原料液1と、亜臨界水である原料液2とを、原料液1:原料液2=1:4(体積比)となる条件で混合して、反応液2を調製し、水熱反応部である水熱反応部(116)に送液した。水熱反応部(116)では、加熱媒体(114)内に配置されている加熱部配管(117)に送液した。加熱部配管(117)における水熱反応は、250℃、30MPa、処理時間(通過時間)2秒となる条件で行った。次いで、冷却部(118)にて反応液2を冷却し、二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を調製した。
【0071】
(実施例3)
実施例2における原料液2の亜臨界水を超臨界水とし、加熱部配管(117)における水熱反応を、400℃に変更した以外は、実施例2と同様にして、二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を調製した。
【0072】
(実施例4)
実施例2におけるテトラエトキシシランの添加量を8gに変更し、原料液2を超臨界COに変更し、かつ加熱部配管(117)における水熱反応は、250℃及び30MPaの条件下で行った以外は、実施例2と同様にして、二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を調製した。
【0073】
(実施例5)
実施例2におけるテトラエトキシシランの添加量を8gに変更し、原料液2を超臨界水に変更し、かつ加熱部配管(117)における水熱反応は、400℃、30MPaの条件下で行った以外は、実施2と同様にして、二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を調製した。
【0074】
(実施例6)
実施例5におけるテトラエトキシシランの添加量を20gに変更し、アンモニア水を10質量%の酢酸水溶液にしてpHを4にする調整をした。得られた二酸化バナジウムコア・シェル粒子分散液を原料液1として原料液容器1(101)に投入した。その後は、実施例5と同様に行った。
【0075】
(実施例7)
実施例5におけるテトラエトキシシランをアルミニウムセカンダリーブトキシド(マツモトファインケミカル)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
【0076】
(実施例8)
実施例5におけるテトラエトキシシランをテトラノルマルブチルチタネート(マツモトファインケミカル)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
【0077】
(実施例9)
実施例5におけるテトラエトキシシランをノルマルブチルジルコネート(マツモトファインケミカル)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
【0078】
<サーモクロミックフィルムの作製>
上記方法で得られたコア・シェル二酸化バナジウム粒子濃度が15質量%となるように二酸化バナジウムコア・シェル粒子水分散液を調整した後、25℃におけるpHが6.5になるようにアンモニア水を添加し、二酸化バナジウムコア・シェル粒子水系分散液を調製した。
下記の各構成材料を下記比率になるように混合し、最終的に水を溶媒として固形分が4質量%になるように調製した。
・二酸化バナジウムコア・シェル粒子水分散液の二酸化バナジウムコア・シェル粒子量:13質量%
・ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルの共重合体S-630(アイエスピー・ジャパン社製):76質量%
・システイン(ペプチド研究所製):0.5質量%
・オルガチックス TC-400(マツモトファインケミカル社製、チタネートカップリング剤):10質量%
厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製U40、両面易接着層)の透明基材上に、押出コーターを用いて、上記調製した塗布液1を、乾燥後の層厚が1.5μmとなる条件で湿式塗布を行い、次いで90℃の温風を1分間吹きつけて乾燥させて、膜を形成して、サーモクロミックフィルムを作製した。
【0079】
<解析・評価>
コア・シェル粒子の解析・評価は、銀コア・シェル粒子と同様の方法によって行った。
湿熱耐性及びサーモクロミック性については下記の方法により評価した。
【0080】
(湿熱耐性)
各サーモクロミックフィルムを85℃・85%RH環境下で500時間静置した。そして、500時間経過後の各サーモクロミックフィルムについて、同様に分光光度計V-670(日本分光社製)を用いて、250~2500nmまでのスペクトルを測定し、色調の変化幅である変色度ΔE(下記式)を測定した。変色度ΔEは、明度L及び色味の座標空間値であるa、bで表されるCIE Lab系の表色系である。L=0は黒、L=100は白で表され、aは赤と緑の位置(負の値は緑、正の値は赤)を表し、bは黄と青の位置(負の値は青、正の値は黄)に対応している。
ΔE=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
次いで、上記測定した湿熱耐性について、下記の判断基準により評価した。
○:ΔEが、3未満
△:ΔEが、3以上、10未満
×:ΔEが、10以上
【0081】
(サーモクロミック性)
上記作製した各サーモクロミックフィルムを、25℃・50%RHの環境下で24時間保存したのち、下記の方法に従って、サーモクロミック性の評価を行った。
具体的には、25℃・50%RHの環境下における波長2000nmでの透過率(T25℃)、及び85℃・50%RHの環境下における波長2000nmでの透過率(T85℃)を測定し、透過率差(T85℃-T25℃)を求め、下記の基準に従って分類し、これをサーモクロミック性の尺度とした。測定は、分光光度計V-670(日本分光株式会社製)に温調ユニット(日本分光株式会社製)を取り付けて行った。次いで、上記測定したサーモクロミック性について、下記の判断基準により評価した。
○:透過率差が、50%以上である
△:透過率差が、25%以上、50%未満である
×:透過率差が、25%未満である
以上の解析・評価結果を表IIに示す。
【0082】
【表2】
【0083】
上記表に示した結果より、本発明の実施例は、比較例に比べ、良好な特性を有していることがわかる。
【0084】
3.LED装置(試料301~313)の作製
<蛍光体コア・シェル粒子の作製>
(比較例1)
以下の手順で黄色蛍光体粒子を作製した。下記に示す組成の蛍光体原料を十分に混合した混合物を、アルミ坩堝に充填し、これにフラックスとしてフッ化アンモニウムを適量混合した。充填物を、水素含有窒素ガスを流通させた還元雰囲気中において1350~1450℃の温度範囲で2~5時間焼成して、焼成品((Y0.72Gd0.24・Al12:Ce0.04)を得た。
[原料組成]
・・・・・7.41g
Gd ・・・・4.01g
CeO ・・・・ 0.63g
Al ・・・・7.77g
得られた焼成品を粉砕、洗浄、分離、乾燥することで所望の蛍光体を得た。得られた蛍光体を粉砕して100nmの粒径の蛍光体粒子とした。得られた蛍光体粒子の組成を調べて、所望の蛍光体であることを確認した。波長465nmの励起光に対する発光波長を調べたところ、おおよそ波長570nmにピーク波長を有していた。平板状の撹拌翼と邪魔板を有する1Lのセパラブルフラスコに、3.6gのDISPERBYK-190(ビックケミー社製)及び720gのイオン交換水を投入し、撹拌を行ってDISPERBYK-190を溶解させた。その中に得られた蛍光体粒子80gを撹拌しながら投入し、固形分10質量%の蛍光体粒子分散液を得た。
【0085】
(比較例2)
比較例1で得られた蛍光体粒子分散液20.5gとエタノール(和光純薬工業(株))250gを室温で撹拌しながら混合し、次いで、10質量%のアンモニア水(和光純薬工業(株))でpH11となるように添加した。その後、シェルの前駆体であるテトラエトキシシラン(和光純薬工業(株))を8g添加し、24時間撹拌した。その後、遠心分離機にて2回水で洗浄し、蛍光体コア・シェル粒子が10質量%になるように濃縮し蛍光体コア・シェル粒子分散液を得た。
【0086】
(比較例3)
比較例1で得られた蛍光体粒子分散液を0.5質量%まで水で希釈した後、テトラエトキシシランを8g添加し、図1に示す流通式反応装置(101)の原料液容器1(105)に、原料液1として300mL投入した。一方、流通式反応装置101の原料液容器2(102)にはイオン交換水を原料液2として投入した。原料液1を、原料液容器1(105)からポンプ(107)により流路(106)内に送液し、加熱媒体(115)で、25℃で、30MPaの条件となるように加圧した。
一方、原料液2を、原料液容器2(102)からポンプ(104)により流路(103)内に送液し、加熱媒体(113)で、加熱加圧して、超臨界水を得た。
次いで、合流点MPで原料液1と、超臨界水である原料液2とを、原料液1:原料液2=1:4(体積比)となる条件で混合して、反応液2を調製し、水熱反応部である水熱反応部(116)に送液した。水熱反応部(116)では、加熱媒体(114)内に配置されている加熱部配管(117)に送液した。加熱部配管(117)における水熱反応は、400℃、30MPa、処理時間(通過時間)2秒となる条件で行った。次いで、冷却部(118)にて反応液2を冷却し、蛍光体コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0087】
(比較例4)
比較例2と同じフローで得た蛍光体コア・シェル粒子分散液を100℃で乾燥させ紛体としたのちに、アルゴン雰囲気下で400℃にて1時間焼成した。
【0088】
(実施例1)
比較例2におけるテトラエトキシシランの添加量を1gに変更した以外は、比較例2と同様にして蛍光体コア・シェル粒子分散液を得た。得られた蛍光体コア・シェル粒子分散液を原料液1として原料液容器1(105)に投入し、その後のフローは、比較例3と同様にして蛍光体コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0089】
(実施例2)
比較例2におけるテトラエトキシシランの添加量を40gに変更した以外は、比較例2と同様にして蛍光体コア・シェル粒子分散液を得た。得られた蛍光体コア・シェル粒子分散液を原料液1として原料液容器1(105)に投入した。
原料液2として、水を、原料液容器2(102)からポンプ(104)により流路(103)内に送液し、加熱媒体(113)で、加熱加圧して、亜臨界水を得た。
次いで、合流点MPで原料液1と、亜臨界水である原料液2とを、原料液1:原料液2=1:4(体積比)となる条件で混合して、反応液2を調製し、水熱反応部である水熱反応部(116)に送液した。水熱反応部(116)では、加熱媒体(114)内に配置されている加熱部配管(117)に送液した。加熱部配管(117)における水熱反応は、250℃、30MPa、処理時間(通過時間)2秒となる条件で行った。次いで、冷却部(118)にて反応液2を冷却し、蛍光体コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0090】
(実施例3)
実施例2における原料液2の亜臨界水を超臨界水とし、加熱部配管(117)における水熱反応を、400℃に変更した以外は、実施例18と同様にして、蛍光体コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0091】
(実施例4)
実施例2におけるテトラエトキシシランの添加量を8gに変更し、原料液2を超臨界COに変更し、かつ加熱部配管(117)における水熱反応は、250℃及び30MPaの条件下で行った以外は、実施例2と同様にして、蛍光体コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0092】
(実施例5)
実施例2におけるテトラエトキシシランの添加量を8gに変更し、原料液2を超臨界水に変更し、かつ加熱部配管(117)における水熱反応は、400℃、30MPaの条件下で行った以外は、実施例2と同様にして、蛍光体コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0093】
(実施例6)
実施例5におけるテトラエトキシシランの添加量を20gに変更し、アンモニア水を10質量%の酢酸水溶液にしてpHを4にする調整をした。得られた蛍光体コア・シェル粒子分散液を原料液1として原料液容器1(101)に投入した。その後は、実施例5と同様に行った。
【0094】
(実施例7)
実施例5におけるテトラエトキシシランをアルミニウムセカンダリーブトキシド(マツモトファインケミカル)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
【0095】
(実施例8)
実施例5におけるテトラエトキシシランをテトラノルマルブチルチタネート(マツモトファインケミカル)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
【0096】
(実施例9)
実施例5におけるテトラエトキシシランをノルマルブチルジルコネート(マツモトファインケミカル)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
【0097】
<LED装置の作製>
上記で調製した蛍光体粒子分散液又は蛍光体コア・シェル粒子分散液を、図2の塗布装置を用いてスプレー圧0.2MPa、ステージロボットの移動速度100mm/sにてLED装置上にスプレー塗布し、50℃で1時間乾燥させ蛍光体層を成膜した。
その後、蛍光体層に、前駆体溶液としてポリシロキサン分散液(ポリシロキサン14質量%、IPA86質量%)を、スプレー圧0.1MPa、ステージロボットの移動速度100mm/sにてスプレー塗布した。その後、150℃で1時間焼成することで蛍光体層の蛍光体を固着させ、透光性セラミック層を成膜した。図3に示すような波長変換部付きLED装置を作製した。このスプレー工程を5回繰り返し、波長変換部の付いたLED装置を5個作製した。なお、当該LED装置の作製に際しては、国際公開第2013/051281号に開示されている方法に従って行った。
【0098】
<解析・評価>
蛍光体コア・シェル粒子の解析・評価は、銀コア・シェル粒子と同様の方法によって行った。
色度及び発光強度変化について、下記の方法により評価した。
【0099】
(発光の色度)
上記で作製した発光装置の各々5サンプルずつの発光の色度を分光放射輝度計(CS-1000A、コニカミノルタセンシング社製)を用いて測定した。測定結果を表IIIに示
す。
表IIIに示された色度は、色空間をXYZ座標系で表したCIE-XYZ表色系で、あ
る点と原点を結ぶ直線が平面x+y+z=1と交わる点で定義される。色度はxとyの値で表し、x+y+z=1の関係から得られるz座標は省略されている。白色光の色度は(0.33,0.33)であり、色度がこの値に近いほど白色光に近くなる。x座標の値が小さくなると青色がかった白色になり、x座標の値が大きくなると黄色がかった白色になる。表中の色度は、LED装置5個の塗布サンプルそれぞれの色度である。
5つの測定値から標準偏差を算出し、色度の均一性を比較・評価した。評価の指標として、標準偏差が0.02以下であれば色度のバラツキにおいて実用上問題がないものとした。評価は標準偏差の平均値で行い、下記の基準に基づき評価した。
○:0.01以下である
△:0.01より大きく、0.02以下である
×:0.02より大きい
【0100】
(発光強度変化)
被覆膜形成前後におけるPL(Photo Luminescence)発光強度と、シリコーン樹脂JCR6175A/Bに練り込んだ被覆膜付き蛍光体粒子の耐湿試験前後におけるPL発光強度を測定した。PL発光強度は、日本分光株式会社製の分光蛍光光度計FP6500により、450nmの励起光での発光スペクトルの強度から求めた。なお、耐湿試験の条件は85℃、85%RH、250時間とした。
なお、発光スペクトルの強度が、0.90以上であれば実用上問題がないものとし、0.95以上をより好ましい範囲とする。また、0.90未満であれば実用上好ましくない。
以上の解析・評価結果を表III-1及び表III-IIに示す。
【0101】
【表3】
【表4】
【0102】
上記表に示した結果より、本発明の実施例は、比較例に比べ、良好な特性を有していることがわかる。
【0103】
4.色域拡大フィルム(試料401~413)の作製
<半導体ナノ粒子の合成>
(比較例1)
〈半導体ナノ粒子の合成:InP/ZnS半導体ナノ粒子の合成〉
ミリスチン酸インジウム1.5mmol、ミリスチン酸1.5mmol、トリメチルシリルホスフィン1.5mmol、ドデカンチオール1.5mmol、及びウンデシレン酸亜鉛1.5mmolを、オクタデセン120mLとともに三口フラスコに入れ、窒素雰囲気下で還流を行いながら300℃で1時間加熱し、InP/ZnS(半導体ナノ粒子)を含むオクタデセン溶液を得た。
次に、真空下で乾燥して、InP/ZnS半導体ナノ粒子の粉末を得た。なお、本明細書中において、コア・シェル構造を有する半導体ナノ粒子の表記方法として、例えば、コアがInPであり、シェルがZnSである場合には、InP/ZnSと表記する。
得られた半導体ナノ粒子を透過型電子顕微鏡により直接観察することで、InPコア部の表面をZnSシェルが覆ったコア・シェル構造であることを確認することができた。また、当該観察により、本合成方法で合成したInP/ZnS半導体ナノ粒子は、コア部の粒子径が1.6~2.4nm、コア部の粒子径分布が6~40%であった。ここで、当該観察には、日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡JEM-2100を用いた。
また、上記で得られた半導体ナノ粒子を含むオクタデセン溶液を用いて、InP/ZnS半導体ナノ粒子の光学特性を測定した。発光ピーク波長が430~720nmであり、発光半値幅が35~90nmであることを確認した。発光効率が、最大で70.9%に達した。本発明において、InP/ZnS半導体ナノ粒子の発光特性の測定には、JOBIN YVON社製の蛍光分光光度計FluoroMax-4を使用し、InP/ZnS半導体微粒子蛍光体の吸収スペクトル測定には、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計U-4100を用いた。
InP/ZnS半導体ナノ粒子のオクタデセン溶液(濃度:5mg/ml)を遠心分離(6000rpm、約1分間)し、上澄みを排液した。メタノールによる洗浄を繰り返し、その後、トルエン中に10質量%となるように再分散させて、ミリスチン酸で表面修飾されたInP/ZnS半導体ナノ粒子分散液を得た。
【0104】
(比較例2)
比較例1で得られたInP/ZnS半導体ナノ粒子分散液20.5gと純水18.5gとエタノール(和光純薬工業(株))250gをグローブボックス中、室温下、暗所で撹拌しながら混合し、次いで10質量%のアンモニア水(和光純薬工業(株))でpH11となるように添加した。その後、シェルの前駆体であるテトラエトキシシラン(和光純薬工業(株))を8g添加し、24時間撹拌した。その後、遠心分離機にて2回エタノールで洗浄後、トルエン溶媒のInP/ZnS半導体ナノ粒子の10質量%分散液を得た。
【0105】
(比較例3)
比較例1で得られたInP/ZnS半導体ナノ粒子分散液を0.5質量%までトルエンで希釈した後、テトラエトキシシランを8g添加し、図1に示す流通式反応装置(101)の原料液容器1(105)に、原料液1として300mL投入した。一方、流通式反応装置101の原料液容器2(102)にはイオン交換水を原料液2として投入した。原料液1を、原料液容器1(105)からポンプ(107)により流路(106)内に送液し、加熱媒体(115)で、25℃で、30MPaの条件となるように加圧した。
一方、原料液2を、原料液容器2(102)からポンプ(104)により流路(103)内に送液し、加熱媒体(113)で、加熱加圧して、超臨界水を得た。
次いで、合流点MPで原料液1と、超臨界水である原料液2とを、原料液1:原料液2=1:4(体積比)となる条件で混合して、反応液2を調製し、水熱反応部である水熱反応部(116)に送液した。水熱反応部(116)では、加熱媒体(114)内に配置されている加熱部配管(117)に送液した。加熱部配管(117)における水熱反応は、400℃、30MPa、処理時間(通過時間)2秒となる条件で行った。次いで、冷却部(118)にて反応液2を冷却し、InP/ZnS半導体ナノ粒子分散液を調製した。遠心分離機にて2回エタノールで洗浄後濃縮し、トルエン溶媒のInP/ZnS半導体ナノ粒子の10質量%分散液を得た。
【0106】
(比較例4)
比較例2と同じフローで得たInP/ZnS半導体ナノ粒子分散液をアルゴン雰囲気下100℃で乾燥させ粉体としたのちに、アルゴン雰囲気下で400℃にて1時間焼成した。その後、トルエンで10質量%に希釈しInP/ZnS半導体ナノ粒子の分散液を得た。
【0107】
(実施例1)
比較例2におけるテトラエトキシシランの添加量を1gに変更した以外は、比較例2と同様にしてInP/ZnS半導体ナノ粒子分散液を得た。得られたInP/ZnS半導体ナノ粒子分散液を原料液1として原料液容器1(105)に投入し、その後のフローは、比較例3と同様にして蛍光体コア・シェル粒子分散液を調製した。
【0108】
(実施例2)
比較例2におけるテトラエトキシシランの添加量を40gに変更した以外は、比較例2と同様にしてInP/ZnS半導体ナノ粒子分散液を得た。得られたInP/ZnS半導体ナノ粒子分散液を原料液1として原料液容器1(105)に投入した。
原料液2として、水を、原料液容器2(102)からポンプ(104)により流路(103)内に送液し、加熱媒体(113)で、加熱加圧して、亜臨界水を得た。
次いで、合流点MPで原料液1と、亜臨界水である原料液2とを、原料液1:原料液2=1:4(体積比)となる条件で混合して、反応液2を調製し、水熱反応部である水熱反応部(116)に送液した。水熱反応部(116)では、加熱媒体(114)内に配置されている加熱部配管(117)に送液した。加熱部配管(117)における水熱反応は、250℃、30MPa、処理時間(通過時間)2秒となる条件で行った。次いで、冷却部(118)にて反応液2を冷却し、遠心分離機にて2回エタノールで洗浄後濃縮し、トルエン溶媒のInP/ZnS半導体ナノ粒子の10質量%分散液を得た。
【0109】
(実施例3)
実施例2における原料液2の亜臨界水を超臨界水とし、加熱部配管(117)における水熱反応を、400℃に変更した以外は、実施例18と同様にして、InP/ZnS半導体ナノ粒子分散液を調製した。
【0110】
(実施例4)
実施例2におけるテトラエトキシシランの添加量を8gに変更し、原料液2を超臨界COに変更し、かつ加熱部配管(117)における水熱反応は、250℃及び30MPaの条件下で行った以外は、実施例2と同様にして、InP/ZnS半導体ナノ粒子分散液を調製した。
【0111】
(実施例5)
実施例2におけるテトラエトキシシランの添加量を8gに変更し、原料液2を超臨界水に変更し、かつ加熱部配管(117)における水熱反応は、400℃、30MPaの条件下で行った以外は、実施例2と同様にして、InP/ZnS半導体ナノ粒子分散液を調製した。
【0112】
(実施例6)
実施例5におけるテトラエトキシシランの添加量を20gに変更し、アンモニア水を10質量%の酢酸水溶液にしてpHを4にする調整をした。得られたInP/ZnS半導体ナノ粒子分散液を原料液1として原料液容器1(101)に投入した。その後は、実施例5と同様に行った。
【0113】
(実施例7)
実施例5におけるテトラエトキシシランをアルミニウムセカンダリーブトキシド(マツモトファインケミカル)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
【0114】
(実施例8)
実施例5におけるテトラエトキシシランをテトラノルマルブチルチタネート(マツモトファインケミカル)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
【0115】
(実施例9)
実施例5におけるテトラエトキシシランをノルマルブチルジルコネート(マツモトファインケミカル)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
【0116】
<色域拡大フィルムの作製>
(微粒子分散液の調製)
微粒子(平均一次粒径:16nm)(アエロジル(登録商標)R972V 日本アエロジル株式会社製) 9質量部
エタノール 89質量部
微粒子及びエタノールを上記の割合で、ディゾルバーを用いて50分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散させて、微粒子分散液1-1を調製した。
【0117】
(微粒子添加液の調製)
メチレンクロライド 100質量部
微粒子分散液1-1 4.3質量部
メチレンクロライドを容器に投入し、上記で調製した微粒子分散液1-1を上記の添加量で、十分撹拌しながらゆっくりと添加した。次いで、微粒子の二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散させた後、ファインメット(登録商標)NF(日本精線株式会社製)でろ過して、微粒子添加液を得た。
【0118】
(主ドープの調製)
メチレンクロライド: 15mL
バインダーとしてセルロースアセテートプロピオネート CAP482-20
(重量平均分子量215000、イーストマンケミカル社製): 3g
半導体ナノ粒子分散液: 15mL
微粒子添加液: 0.03g
上記メチレンクロライドと上記で調製した各InP/ZnS半導体ナノ粒子分散液とを混合した。次いで、バインダー成分である上記セルロースアセテートプロピオネート、及び上記で調製した微粒子添加液を撹拌しながら投入し、暗所で、撹拌して完全に溶解させ、主ドープを調製した。
【0119】
(色域拡大フィルムの作製)
得られた主ドープを、ガラスステージ上に流し、このステージに対して所定の間隔を保って相対的に水平に移動可能なブレードコーターを引いて、流延(キャスト)した。このキャストした膜中の溶媒を、残留溶媒量が75質量%になるまで蒸発させ、得られた膜をガラスステージから剥離して乾燥させて、色域拡大フィルムを得た。色域拡大フィルムの膜厚は、100μmであった。
【0120】
<解析・評価>
半導体コア・シェル粒子の解析・評価は、銀コア・シェル粒子と同様の方法によって行った。
発光特性、フィルム外観及び耐久性について、下記の方法により評価した。
【0121】
(発光特性;発光波長安定性)
色域拡大フィルムを365nmの光で励起したときの発光の色度を分光放射輝度計(CS-1000A、コニカミノルタセンシング社製)を用いて測定した。無機シェルを形成していない粒子(比較例1:試料401)と比較し、下記の基準に沿って評価した。
○:x、yともに色度の差異が0.1未満
×:x、yいずれかの色度の差異が0.1以上
【0122】
(耐久性)
上記で作製した色域拡大フィルムを、85℃、85%RHの環境下で1000時間の加速劣化処理を施した。その後、上記発光特性の評価と同様の方法によりそれぞれの発光効率を測定し、加速劣化処理前の発光効率に対する加速劣化処理後の発光効率の比(加速劣化処理後の発光効率/加速劣化処理前の発光効率)の値を求め、下記の基準に従って、耐久性を評価した。
◎:比の値が0.95以上である
○:比の値が0.85以上0.95未満である
○△:比の値が0.75以上0.85未満である
△:比の値が0.50以上0.75未満である
×:比の値が0.50未満である。
以上の解析・評価結果を表IVに示す。
【0123】
(フィルム外観)
上記で作成した色域拡大フィルムを、つやの無い黒色の台に置き、三波長蛍光灯下で光源に対し、45度の角度からフィルムの表面を観察し、下記の基準に従って評価した。この時、フィルムの1mm以上の凹凸やうねり、爪折れといった、製膜上の欠陥は除外する。
○:粒子状の凹凸がみられない
×:明らかな粒子状の凹凸がみられる
【0124】
【表5】
上記表に示した結果より、本発明の実施例は、比較例に比べ、良好な特性を有していることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、耐久性等の特長を生かす種々の目的用途を持った各種組成物に好適に用いることができ、例えば、インク、塗布液、塗料、樹脂フィルム及び紙等に利用することができる。
【符号の説明】
【0126】
101: 流通式反応装置
102: 原料液容器2
103、106: 流路
104、107、112: ポンプ
105: 原料液容器1
106: 流路
108: 冷却部
109、110:タンク
111: 流路
113、114、115: 加熱媒体
116: 水熱反応部
117: 加熱部配管
118: 冷却部
119: 制御弁
10: 塗布装置
20: 移動台
30: スプレー装置
32: ノズル
34: 連結管
36: タンク
40: 蛍光体分散液
1: パッケージ
2: メタル部(メタル配線)
3: LEDチップ
4: 突起電極
6: 波長変換部位
7: 透光性セラミック層
8: 保護層
図1
図2
図3