(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
A63F7/02 308G
A63F7/02 326B
(21)【出願番号】P 2020003365
(22)【出願日】2020-01-14
(62)【分割の表示】P 2018107351の分割
【原出願日】2010-05-11
【審査請求日】2020-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000144522
【氏名又は名称】株式会社三洋物産
(74)【代理人】
【識別番号】100143063
【氏名又は名称】安藤 悟
(72)【発明者】
【氏名】江島 浩二
(72)【発明者】
【氏名】今村 真也
【審査官】渡辺 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特許第6579228(JP,B2)
【文献】特開2007-111331(JP,A)
【文献】特開2008-006205(JP,A)
【文献】特許第5477143(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技部を有し、支持側の対象に対して回動可能に支持されるベース体と、
遊技機前面に設けられ、前記遊技領域を遊技機前方から視認可能とする窓部と、
前記遊技機前面に設けられ、前記遊技領域に向けて遊技球を発射させるべく遊技者により操作される発射操作手段と、
前記ベース体において前記遊技領域の下方に設けられ、前記遊技領域に向けて遊技球を発射する発射手段と、
前記遊技領域に設けられた入球部への遊技球の入球が発生したことに基づいて、それに応じた遊技進行用の制御を実行する進行制御手段と、
前記発射操作手段が操作されたことに基づいて、前記遊技領域に向けて遊技球を発射するよう前記発射手段を制御する発射制御手段と、
前記ベース体の背面に設けられ、遊技球を払い出すための払出手段が搭載されたユニットと、
を備え、
前記発射制御手段は、前記ベース体と前記ユニットとの間に存在するように設けられているとともに、前記ベース体において前記発射手段が表面に設置された支持部の背面であって前記ベース体の回動先端側の位置にて、当該支持部の背面に対して遊技機後方側に突出させて設けられており、
前記ベース体は、前記発射制御手段に対して縦方向に対向するベース側対向部を備えており、
前記ベース体には、前記発射制御手段と前記発射手段とを電気的に接続するための接続用孔部が設けられており、
前記接続用孔部の位置が、前記支持部において、前記発射手段に対して遊技機後方側にて対向する位置、及び前記発射制御手段に対して遊技機前方側にて対向する位置のうち少なくとも一方の位置となるように、前記接続用孔部が形成されており、
前記進行制御手段は、前記ベース体の背面に設置されており、
前記発射制御手段による発射制御が行われる場合、前記発射制御手段から前記進行制御手段に向けた信号の送信及び前記進行制御手段から前記発射制御手段に向けた信号の送信のうち少なくとも一方が行われる構成であり、
前記進行制御手段と前記発射制御手段との間の発射制御に係る通信を行うための経路の途中位置には、前記ユニットに設けられた特定基板が介在しており、当該特定基板には前記発射制御手段から特定配線が接続されていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種であるパチンコ機は、遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤がベース体に支持されているとともに、パチンコ機前面には遊技領域をパチンコ機前方から視認可能とする窓部が形成されている。また、ベース体において遊技盤の下方には遊技領域に向けて遊技球を発射するための発射手段が設けられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
発射手段としては、例えば、電磁式のソレノイドと、発射レールと、球送り装置と、を備えている。そして、パチンコ機前面の貯留部に貯留された遊技球が球送り装置により発射レール上に1個ずつ供給されるとともに、パチンコ機前面の発射操作装置が遊技者により手動操作されることに基づき上記ソレノイドが駆動されて発射レール上の遊技球が遊技領域に向けて打出される。
【0004】
上記のような発射操作装置が手動操作されたことに基づく遊技球の発射制御は、遊技を統括管理する主制御装置とは別に設けられた発射制御装置により実行される。例えば発射操作装置には遊技者が発射操作装置を触れていることを検知するセンサや、遊技者の操作量を検知するセンサが設けられており、それらセンサの検知結果は発射制御装置にて把握される。そして、発射制御装置では、それらセンサの検知結果に基づいて、発射装置のソレノイドに駆動信号を出力し、遊技球の打ち出しを行わせる。
【0005】
なお、主制御装置から出力された信号を利用して発射制御装置にて発射制御が行われる構成も考えられ、さらにまた発射制御装置が発射制御以外の機能を有している構成も考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記例示等のような遊技機においては、発射制御装置の設置を良好に行うことが可能な構成が求められており、この点について未だ改良の余地がある。
【0008】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、発射制御手段の設置を良好に行うことが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく請求項1記載の発明は、遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技部を有し、支持側の対象に対して回動可能に支持されるベース体と、
遊技機前面に設けられ、前記遊技領域を遊技機前方から視認可能とする窓部と、
前記遊技機前面に設けられ、前記遊技領域に向けて遊技球を発射させるべく遊技者により操作される発射操作手段と、
前記ベース体において前記遊技領域の下方に設けられ、前記遊技領域に向けて遊技球を発射する発射手段と、
前記遊技領域に設けられた入球部への遊技球の入球が発生したことに基づいて、それに応じた遊技進行用の制御を実行する進行制御手段と、
前記発射操作手段が操作されたことに基づいて、前記遊技領域に向けて遊技球を発射するよう前記発射手段を制御する発射制御手段と、
前記ベース体の背面に設けられ、遊技球を払い出すための払出手段が搭載されたユニットと、
を備え、
前記発射制御手段は、前記ベース体と前記ユニットとの間に存在するように設けられているとともに、前記ベース体において前記発射手段が表面に設置された支持部の背面であって前記ベース体の回動先端側の位置にて、当該支持部の背面に対して遊技機後方側に突出させて設けられており、
前記ベース体は、前記発射制御手段に対して縦方向に対向するベース側対向部を備えており、
前記ベース体には、前記発射制御手段と前記発射手段とを電気的に接続するための接続用孔部が設けられており、
前記接続用孔部の位置が、前記支持部において、前記発射手段に対して遊技機後方側にて対向する位置、及び前記発射制御手段に対して遊技機前方側にて対向する位置のうち少なくとも一方の位置となるように、前記接続用孔部が形成されており、
前記進行制御手段は、前記ベース体の背面に設置されており、
前記発射制御手段による発射制御が行われる場合、前記発射制御手段から前記進行制御手段に向けた信号の送信及び前記進行制御手段から前記発射制御手段に向けた信号の送信のうち少なくとも一方が行われる構成であり、
前記進行制御手段と前記発射制御手段との間の発射制御に係る通信を行うための経路の途中位置には、前記ユニットに設けられた特定基板が介在しており、当該特定基板には前記発射制御手段から特定配線が接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発射制御手段の設置を良好に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態におけるパチンコ機を示す正面図である。
【
図2】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【
図3】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【
図7】(a)は後方から見た裏パックユニットの斜視図であり、(b)は前方から見た裏パックユニットの斜視図である。
【
図8】遊技盤を取り外し状態における中間ユニットの背面図である。
【
図9】(a)は発射制御装置の正面図であり、(b)は発射制御装置の縦断面図である。
【
図10】(a)は中間ユニットの背面において発射制御装置が取り付けられている周辺を拡大して示す斜視図であり、(b)は(a)の状態から発射制御装置を分離させた状態を示す斜視図である。
【
図11】発射制御装置が設けられた領域及びその周辺の縦断面図である。
【
図13】払出ユニットの主要な構成部品を分解して示す分解斜視図である。
【
図14】(a)は上流側縦通路ユニットの正面図であり、(b)は上流側縦通路ユニットの側面図である。
【
図15】上流側縦通路ユニットの分解斜視図である。
【
図16】(a)は払出装置において下流通路領域が形成された部分の横断面図であり、(b)は(a)においてA―A線部分で示す位置にて切断した払出装置の縦断面図である。
【
図17】払出ユニットの待機通路において遊技球が待機している状態を示す払出ユニットの縦断面図である。
【
図18】(a),(b)は整流カバー内における球詰まりを生じづらくするための構成を説明するための説明図である。
【
図19】(a)~(c)は2段目の遊技球の動きを説明するための説明図である。
【
図20】斜め上方から見た上皿ユニットの分解斜視図である。
【
図21】斜め下方から見た上皿ユニットの分解斜視図である。
【
図22】(a),(b)操作面部材から遊技用操作装置を分解した状態を示す上側カバーユニットの分解斜視図である。
【
図23】(a)は前側皿形成部材の平面図であり、(b)は前側皿形成部材の正面図である。
【
図24】(a)は
図23(b)のA―A線断面図であり、(b)は
図23(b)のB―B線断面図であり、(c)は
図23(b)のC―C線断面図であり、(d)は
図23(b)のD―D線断面図であり、(e)は
図23(b)のE―E線断面図である。
【
図25】(a)は下端側を拡大して示す前扉枠の正面図であり、(b)は
図25(a)のA―A線断面図である。
【
図28】(a)は下端側を拡大して示す前扉枠の背面図であって前側通路形成ユニットを省略した図であり、(b)は
図26のA―A線断面図であり、(c)及び(d)は窓パネルユニットの固定に係る構成を説明するための図である。
【
図29】前扉枠の背面を示す斜視図であって窓パネルユニットを背面側に回動させた状態を示す図である。
【
図30】(a)は
図26のB―B線断面図であり、(b)は窓パネルユニットがガイドリブによりガイドされる様子を説明するための図である。
【
図31】発光カバーユニット及びスピーカカバーを分解して示す前扉枠の前面側の分解斜視図である。
【
図32】背面側から見た発光カバーユニットの分解斜視図である。
【
図34】(a)は下枠部を拡大して示す前方から見た斜視図であり、(b)は下枠部を拡大して示す後方から見た斜視図である。
【
図35】(a)は下枠部の平面図であり、(b)は重ね合わせ部材の作用を説明するための下枠部及びその周辺の縦断面図である。
【
図36】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図37】第2の実施の形態におけるガイド構造に係る構成を説明するためのガイドリブ周辺の縦断面図である。
【
図38】(a)は第3の実施の形態における下枠部を拡大して示す前方から見た斜視図であり、(b)は同実施の形態における下枠部を拡大して示す後方から見た斜視図である。
【
図39】同実施の形態における下枠部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1はパチンコ機10の正面図、
図2及び
図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【0013】
なお、
図2では便宜上、パチンコ機10の遊技領域23a内の構成を省略している。また、
図1~
図3を含めて各図面においては、基本的に電気機器間を接続する電気配線を省略する。
【0014】
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12と、を有する。外枠11は木製や金属製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
【0015】
遊技機本体12は、
図2に示すように、中間ユニット13と、その中間ユニット13の前方に配置される前扉枠14と、中間ユニット13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち中間ユニット13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし、右側を回動先端側(開閉先端側)として中間ユニット13が前方へ回動可能とされている。この場合、中間ユニット13の側部に形成された軸部が外枠11の軸金具により下方から受けられることで、中間ユニット13が回動可能とされている。
【0016】
外枠11において遊技機本体12を軸支するための下側軸金具11aには、当該下側軸金具11aの外枠11への固定を良好に行わせる形状としながら、遊技機本体12を下方から良好に受ける形状とするために、図示しない切り込みが形成されている。この切り込みは、下側軸金具11aを縦方向に貫通しているが、遊技機本体12を外枠11に対して閉鎖状態とした際に遊技機本体12の底面と重なる。これにより、パチンコ機10の下方から見た場合に上記切り込みは遊技機本体12の底面により閉塞された状態となり、切り込みを介してパチンコ機10外部から不正用治具を挿入しようとしてもそれが行いづらくなる。
【0017】
中間ユニット13には、
図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし、右側を回動先端側(開閉先端側)として前方へ回動可能とされている。また、中間ユニット13には、
図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側(開閉基端側)とし、右側を回動先端側(開閉先端側)として後方へ回動可能とされている。
【0018】
遊技機本体12には、
図3に示すように、その回動先端部に施錠装置16が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠14を中間ユニット13に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、
図1に示すようにパチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して、解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
【0019】
中間ユニット13の背面側には、シリンダ錠17と係止するとともに、シリンダ錠17への解錠操作に応じて遊技機本体12と外枠11との施錠状態を解除するための連動部材が設けられているが、
図3に示すように、シリンダ錠17の背面側及び上記連動部材は、透明カバー18により中間ユニット13の後方から覆われている。また、当該透明カバー18は、シリンダ錠17の背面側の位置から中間ユニット13の下縁寄りの位置に亘って設けられている。このように透明カバー18が設けられていることにより、シリンダ錠17や上記連動部材に対する中間ユニット13の背面側からの不正アクセスを行いづらくすることが可能となる。また、このように不正アクセスを抑制しながらも、透明カバー18はその外部からシリンダ錠17の背面側や上記連動部材を目視確認可能な程度の透明性を有するようなカバー体として設けられているため、メンテナンスなどに際しての目視確認は容易に行うことが可能である。
【0020】
次に、遊技機本体12の前面側及び背面側の構成についてそれぞれ詳細に説明する。先ず、遊技機本体12の前面側の構成について説明する。以下の前面側の構成については、
図1及び
図2に加え、
図4を参照しながら説明する。
図4は、中間ユニット13の正面図である。なお、
図4では便宜上、遊技領域23a内の構成を省略している。
【0021】
中間ユニット13は、
図2に示すように、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース21を主体に構成されている。樹脂ベース21の中央部には、
図4に示すように、略楕円形状の窓孔22が形成されている。この窓孔22は、樹脂ベース21に対して着脱可能に取り付けられている遊技盤23に形成された遊技領域23aを中間ユニット13の前面側に露出させている。
【0022】
遊技領域23aは、遊技盤23の前面において誘導レールにより区画されるようにして形成されている。誘導レールは、内レール部24と外レール部25とからなり、前扉枠14において回動先端側であって下縁寄りの位置に設けられた発射操作装置31(
図1参照)が遊技者により手動操作された場合に、中間ユニット13において窓孔22の下方に設けられた遊技球発射機構41(
図4参照)から発射された遊技球を遊技領域23aの上部に導くためのものである。
【0023】
ちなみに、遊技盤23の前面において遊技領域23aの外側となる右上部分及び右下部分には、それぞれ機種名やメーカー名などの各種情報が印字された証紙26a,26bが貼り付けられており、これら証紙26a,26bは中間ユニット13において窓孔22に隣接させて形成された各開口部27a,27bを介して、中間ユニット13の前面側にて露出している。但し、これら証紙26a,26bのうち一方である右上側の証紙26aは前扉枠14を介してパチンコ機10前方から視認しようとしても視認できない位置に配置されており、他方である右下側の証紙26bは前扉枠14を介してパチンコ機10前方から視認可能な位置に配置されている。なお、両方の証紙26a,26bが遊技盤23に貼り付けられる使用方法に限定されることはなく、所定の証紙をパチンコ機10前方から視認可能としたい遊技ホールではその証紙を右下に貼り付け、パチンコ機10前方からは視認不可としたい遊技ホールではその証紙を右上に貼り付けるようしてもよい。
【0024】
遊技領域23aに遊技球を発射すべく操作される上記発射操作装置31は、
図1に示すように、操作ベース32に対して、環状の操作ハンドル33が回転可能に軸支されてなり、遊技球の発射操作に際して操作ハンドル33が遊技者により回転操作されるものである。この場合、操作ハンドル33の回転操作量は、操作ベース32に内蔵された操作量検出手段としての可変抵抗器34により検出される。また、操作ベース32には、操作ハンドル33を遊技者が触れていることを検知するためのタッチセンサ35が設けられているとともに、操作ハンドル33を回転操作した状態において遊技球の発射を停止させるために操作される発射止めスイッチ36が設けられている。
【0025】
遊技球発射機構41は、
図4に示すように、発射駆動部として設けられた電磁式のソレノイド42と、発射レール43と、球送り装置44とを備えている。球送り装置44は、後述する上皿83に貯留された遊技球を発射レール43上に1個ずつ供給する。この場合、この供給される遊技球はソレノイド42において打出し部として設けられたプランジャ45の突出経路上に配置される。そして、ソレノイド42への電気的な信号の入力により、プランジャ45が発射レール43上の遊技球に向けて移動し、当該遊技球は遊技領域23aに向けて打出される。なお、遊技球発射機構41の電動アクチュエータは、ソレノイド42に限定されることはなく、発射モータなどを用いてもよい。
【0026】
遊技球発射機構41の動作に基づき遊技球が発射されることとなる遊技領域23aの構成を、
図5に基づいて説明する。
図5は遊技盤23の正面図である。
【0027】
遊技盤23には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口51,可変入賞装置52,上作動口53,下作動口54,スルーゲート55、可変表示ユニット56、メイン表示部57及び役物用表示部58等がそれぞれ設けられている。
【0028】
一般入賞口51、可変入賞装置52、上作動口53及び下作動口54への入球が発生すると、それが遊技盤23の背面側に配設された検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。この場合、上作動口53への入球が発生した場合及び下作動口54への入球が発生した場合には3個の賞球の払い出しが実行され、一般入賞口51への入球が発生した場合には10個の賞球の払い出しが実行され、可変入賞装置52への入球が発生した場合には15個の賞球の払い出しが実行される。但し、これら賞球の個数は任意であり、例えば上作動口53に係る賞球個数よりも下作動口54に係る賞球個数が多いといったように、両作動口53,54の賞球個数が相違していてもよい。また、可変入賞装置52に係る賞球個数が他の賞球個数に比べて多い構成に限定されることはなく、例えば一般入賞口51に係る賞球個数よりも少ない構成としてもよい。
【0029】
その他に、遊技盤23の最下部にはアウト口59が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口59を通って遊技領域23aから排出される。また、遊技盤23には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘61が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0030】
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域23aから排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域23aから排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口59への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口51、可変入賞装置52、上作動口53、下作動口54又はスルーゲート55への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
【0031】
上作動口53及び下作動口54は、作動口装置としてユニット化されて遊技盤23に設置されている。上作動口53及び下作動口54は共に上向きに開放されている。また、上作動口53が上方となるようにして両作動口53,54は鉛直方向に並んでいる。下作動口54には、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物54aが設けられている。
【0032】
電動役物54aは遊技盤23の背面側に搭載された電動役物駆動部54bに連結されており、当該電動役物駆動部54bにより駆動されて閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)及び開放状態(サポート状態又はガイド状態)のいずれかに配置される。電動役物54aの閉鎖状態では遊技球が下作動口54に入賞できず、電動役物54aが開放状態となることで下作動口54への入賞が可能となる。
【0033】
可変入賞装置52は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり当選といった開閉実行モード(特別遊技状態)への移行当選となった際に、遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置52の開放態様として具体的には、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置52が繰り返し開放される。
【0034】
メイン表示部57では、上作動口53又は下作動口54への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口53又は下作動口54への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。つまり、本パチンコ機10では、上作動口53への入賞と下作動口54への入賞とが内部抽選において区別されておらず、上作動口53又は下作動口54への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が共通の表示領域であるメイン表示部57にて明示される。そして、上作動口53又は下作動口54への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、メイン表示部57にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。
【0035】
なお、メイン表示部57は、複数のセグメント発光部が所定の態様で配列されてなるセグメント表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT又はドットマトリックス表示器等その他のタイプの表示装置によって構成されていてもよい。また、メイン表示部57にて変動表示される絵柄としては、複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成などが考えられる。
【0036】
役物用表示部58では、スルーゲート55への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート55への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート55への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用表示部58にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口54に設けられた電動役物54aが所定の態様で開放状態となる。
【0037】
可変表示ユニット56には、絵柄の一種である図柄を変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)する図柄表示装置62が設けられているとともに、図柄表示装置62を囲むようにしてセンターフレーム63が配設されている。図柄表示装置62は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置62は、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった表示画面を有する他の表示装置であってもよく、ドットマトリクス表示器であってもよい。
【0038】
図柄表示装置62では、上作動口53又は下作動口54への入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。すなわち、メイン表示部57において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置62において変動表示が行われる。例えば上、中及び下に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合わせの図柄が停止表示された場合には、開閉実行モードが発生することとなる。
【0039】
なお、いずれかの作動口53,54への入賞に基づいて、メイン表示部57及び図柄表示装置62にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
【0040】
センターフレーム63の前面側における左上部分には、メイン表示部57及び図柄表示装置62に対応した第1保留ランプ部64が設けられている。遊技球が上作動口53又は下作動口54に入賞した個数は最大4個まで保留され、第1保留ランプ部64の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
【0041】
センターフレーム63の右上部分には、役物用表示部58に対応した第2保留ランプ部65が設けられている。遊技球がスルーゲート55を通過した回数は最大4回まで保留され、第2保留ランプ部65の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
【0042】
遊技領域23a内の様子は、
図2に示すように、前扉枠14に設けられた窓パネルユニット71を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっている。窓パネルユニット71は、
図4に示すように、前後一対の透明ガラス72a,72bが前後方向に対向配置された状態で、周縁部にて固定枠73により一体化された構成である。つまり、窓パネルユニット71として複層ガラスが利用されている。窓パネルユニット71は
図2に示すように、前扉枠14に形成された窓部74を後方から覆うように取り付けられており、固定枠73が窓部74の周縁部に対して後方から当接された状態で前扉枠14に固定されている。
【0043】
なお、窓パネルユニット71は、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成されていてもよく、パチンコ機10前方から窓パネルユニット71を通じて遊技領域23aを視認可能であれば有色透明に形成されていてもよい。
【0044】
ここで、窓パネルユニット71は、上記のとおり前扉枠14に対して、その背面側から固定されているが、窓部74の周縁部と窓パネルユニット71の周縁部との間には若干の隙間が生じ得る。そうすると、当該隙間を通じて、パチンコ機10前方から不正用治具を遊技領域23aに導入しようとする不正行為が想定される。これに対して、
図4に示すように、中間ユニット13の樹脂ベース21において窓パネルユニット71の周縁部に対して後方にて対向する領域には、パチンコ機10後方へと凹んだ溝部75が形成されている。当該溝部75は、窓パネルユニット71の周縁部に沿うようにして正面視で湾曲状に形成されており、さらに所定の隙間を置いて、複数形成されている。上記のように溝部75が形成されていることにより、
図4において部分拡大の縦断面図に示すように、パチンコ機10前方から上記隙間に挿入された不正用治具は溝部75に入り込み、遊技領域23a側への入り込みが規制される。
【0045】
ちなみに、樹脂ベース21の上縁寄りに形成された溝部75内には一対のリブ76が形成されている。当該一対のリブ76間には、前扉枠14を中間ユニット13に対して閉鎖した際に窓パネルユニット71の一部が入り込むこととなる。これにより、窓パネルユニット71の周縁部と溝部75との位置合わせが良好に行われる。
【0046】
前扉枠14の説明に戻り、当該前扉枠14において窓部74の周囲には、
図1に示すように、各種ランプ部等の発光手段が設けられている。各種ランプ部の一部として発光カバーユニット361が窓部74の上方に設けられている。また、発光カバーユニット361の左右両側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ装置を覆うスピーカカバー362,363が設けられている。
【0047】
前扉枠14における窓部74の下方には、上方に開口した上皿83と、同じく上方に開口した下皿84とが上下に並設されている。上皿83は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構41側へ導くための機能を有する。また、下皿84は、上皿83内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。なお、下皿84の右方においてパチンコ機10前方に突出させるようにして、上記発射操作装置31が設けられている。
【0048】
次に、遊技機本体12の背面側の構成について説明する。以下の背面側の構成については、
図3に加え、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
図6は、パチンコ機10の背面図である。また、
図7(a)は裏パックユニット15の後方から見た斜視図であり、
図7(b)は裏パックユニット15の前方から見た斜視図である。
【0049】
図3に示すように、中間ユニット13(具体的には、遊技盤23)の背面には、遊技の主たる制御を司る主制御装置91と、図柄表示装置62の表示制御を司る表示制御装置92と、音声やランプ表示の制御及び表示制御装置92の制御を司る音声発光制御装置93と、が搭載されている。
【0050】
なお、主制御装置91の基板ボックス91aに対して、その開放の痕跡を残すための痕跡手段を付与する又はその開放の痕跡を残すための痕跡構造を設けてもよい。当該痕跡手段としては、基板ボックス91aを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともにその分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)の構成や、引き剥がしに際して粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成が考えられる。また、痕跡構造としては、基板ボックス91aを構成する複数のケース体間の境界に対して接着剤を塗布する構成が考えられる。
【0051】
主制御装置91の少なくとも一部や音声発光制御装置93を含めて中間ユニット13の背面側を覆うようにして、
図6に示すように、裏パックユニット15が設置されている。
【0052】
裏パックユニット15は、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、透明性を有する合成樹脂により形成された裏パック101を備えている。裏パック101は、当該裏パック101の周縁部を構成する裏ベース部102と、当該裏ベース部102から後方へ張り出すようにして形成された保護カバー部103と、が一体形成されてなる。保護カバー部103は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、保護カバー部103と、裏ベース部102の下部領域102aとの間には前後方向に貫通した開口部104が形成されている。
【0053】
裏パックユニット15は、既に説明したとおり、中間ユニット13の背面に対して回動可能に軸支されているが、当該裏パックユニット15を中間ユニット13に対して背面側から重ね合わせた状態では、
図6に示すように、保護カバー部103により音声発光制御装置93の全体が覆われている。また、主制御装置91については、その大半が開口部104を介して背面側に露出しているが、主制御装置91の上縁及び左右両縁は保護カバー部103により覆われている。また、裏ベース部102には、複数のロック部材105~108が設けられており、これらロック部材105~108を手動操作してロック状態とすることで、上記のように音声発光制御装置93や主制御装置91を覆った状態で裏パックユニット15が回動不能とされている。
【0054】
複数のロック部材105~108について詳細には、これらロック部材105~108は、ロック状態と解除状態との間での手動操作がパチンコ機10背面側から行われるものと、中間ユニット13の前面側から行われるものとに大別される。前者のものとしては、
図6に示すように、裏ベース部102の上部領域102bの後面における回動基端寄りの位置(ロック部材105)と、裏ベース部102の下部領域102aの後面における回動先端寄りの位置(ロック部材106)とに、それぞれ1個ずつ設けられている。後者のものとしては、
図7(b)に示すように、裏ベース部102の上部領域102bの前面における回動先端寄りの位置(ロック部材107)と、裏ベース部102の下部領域102aの前面における中央寄りの位置(ロック部材108)とに、それぞれ1個ずつ設けられている。
【0055】
中間ユニット13の前面側から手動操作されるロック部材107,108について詳細には、これらロック部材107,108は前後方向を回動軸として裏ベース部102に回動可能に軸支されており、さらに各操作部107a,108aは中間ユニット13側に突出している。樹脂ベース21には、これらロック部材107,108に対応させて、前後方向に貫通する貫通孔109a,109bが形成されており(
図4参照)、裏パックユニット15を中間ユニット13に重ね合わせた状態において各ロック部材107,108の操作部107a,108aは中間ユニット13の前面側に露出するとともに、中間ユニット13の前面側からロック部材107,108の回動操作が可能となっている。但し、これらロック部材107,108は、前扉枠14を中間ユニット13に対して閉鎖した状態において前扉枠14により覆われ、前扉枠14を開放状態としない限り、操作不能となっている。
【0056】
このように中間ユニット13の前面側からの手動操作を要するロック部材107,108が設けられていることにより、遊技機本体12の背面を露出させたとしても前扉枠14を開いた状態としない限り、中間ユニット13に対する裏パックユニット15のロック状態を解除することができない。よって、主制御装置91などを不正に取り外そうとする行為が行いづらくなる。
【0057】
なお、
図7(b)に示すように、裏パック101におけるパチンコ機10前方へと開放された開口の周縁部において、中間ユニット13に回動支持させるための上側軸金具111の上方位置には、中間ユニット13と裏パック101との隙間を狭くする又は閉塞するための閉塞カバー112が設けられている。これにより、当該上方位置から中間ユニット13の背面に不正用治具を挿入しようとしても、その行為が行いづらくなっている。ちなみに、裏パックユニット15には図示しないアース線が設けられているが、上記閉塞カバー112と裏ベース部102との間には当該アース線の一部を収容するための収容空間が形成されている。
【0058】
裏パックユニット15は、
図7(a)に示すように、上記裏パック101の他に、保護カバー部103を迂回するようにして裏ベース部102に取り付けられている払出ユニット113と、裏ベース部102の上部領域102bであって回動基端側の隅部に設けられた外部端子板114と、裏ベース部102の下部領域102aに取り付けられた各種基板装置116~118と、を備えている。これらのうち、払出ユニット113は、上皿83や下皿84に向けた遊技球の払い出しを行うためのものであるが、詳細な構成は後に説明する。
【0059】
外部端子板114は、パチンコ機10の状態を遊技ホールの管理コンピュータに認識させるために、所定の信号出力を行うための基板である。外部端子板114には、
図6に示すように、各出力端子115として、開閉実行モード中に信号出力するための出力端子、下作動口54の電動役物54aが高頻度で開放状態となる高頻度サポートモード中に信号出力するための出力端子、払出ユニット113において遊技球が不足した場合に信号出力するための出力端子、所定個数の賞球を払い出す毎に信号出力するための出力端子、所定個数の遊技球を貸し出す毎に信号出力するための出力端子、中間ユニット13の開放時に信号出力するための出力端子、及び前扉枠14の開放時に信号出力するための出力端子などが設けられている。
【0060】
出力信号の種類に対応した各出力端子115は、主制御装置91などといったパチンコ機10側の制御装置からの信号線が接続される端子と、遊技ホールの管理コンピュータへと続く信号線が接続される端子とを上下一対として備えており、各出力端子115は横方向に並設されている。この場合に、各出力端子115には、対応する信号線を外部端子板114に接続させるために操作される操作部が設けられているが、それら操作部は、横方向に隣り合う出力端子115間で、外部端子板114の基板面に対するパチンコ機10後方への突出量が相違している。具体的には、それぞれ1個の出力端子115を挟んで隣り合う各出力端子115は、それら出力端子115間に設けられた各出力端子115に比べて操作部はパチンコ機10後方へ突出している。これにより、横方向に並設された出力端子115間の距離を狭めたとしても、各出力端子115に信号線を接続するための操作性が低下してしまうことが抑制される。
【0061】
各種基板装置として、払出ユニット113を通じた遊技球の払い出しを制御するための払出制御装置116と、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力される電源装置117と、パチンコ機10の側方に並設されることとなる球貸装置LD(
図1参照)と電気的な接続を行うための球貸用接続端子板118と、が設けられている。これらのうち、払出制御装置116と電源装置117とは、払出制御装置116がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。また、球貸用接続端子板118は、払出制御装置116及び電源装置117の一体物に対して、裏パックユニット15の回動基端側の位置に設けられている。
【0062】
払出制御装置116において基板を収容するために設けられた透明性を有する基板ボックス116aには、その開放に際して痕跡を残す痕跡手段としてカシメ部が設けられている。この場合に、当該カシメ部は解除操作を一度行うと再結合を不可とするものであり、結果的に払出制御装置116の基板ボックス116aは一度開放操作を行うと、再度封印状態とすることが不可となっている。また、電源装置117には、電源スイッチ機能が付与されており、電圧変換器を介して例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ117aの切換操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0063】
払出制御装置116、電源装置117及び球貸用接続端子板118の搭載領域を構成する裏ベース部102の下部領域102aは、遊技領域23aを流下しいずれかの開口を介して遊技盤23の背面へと導かれた遊技球を遊技ホールの島設備に排出するための機能も有している。具体的には、
図7(b)に示すように、下部領域102aにおいて中間ユニット13の背面側と対向する領域に、板部119が一体形成されており、当該板部119により排出通路119aが形成されている。
【0064】
なお、板部119では遊技盤23側から落下してきた遊技球を下方から受けられることとなるが、その落下球を受ける際の強度を高めるために板部119にはその下面から下方へと突出する図示しないリブが一体形成されている。当該リブは、板部119に対して垂直に延びるように形成されている。
【0065】
<発射制御装置121>
次に、上記下部領域102aのパチンコ機10前方に配置される発射制御装置121について、
図7に加えて
図8~
図11を参照しながら説明する。
【0066】
図8は遊技盤23を取り外した状態における中間ユニット13の背面図である。また、
図9(a)は発射制御装置121の正面図であり、
図9(b)は発射制御装置121の縦断面図である。また、
図10(a),(b)は中間ユニット13の背面において発射制御装置121が取り付けられる周辺を拡大して示す斜視図であり、
図10(a)は発射制御装置121が取り付けられている状態を示し、
図10(b)は発射制御装置121が取り外された状態を示している。また、
図11は発射制御装置121が設けられた領域及びその周辺の縦断面図である。なお、
図11では前扉枠14を省略している。
【0067】
図8に示すように、発射制御装置121は樹脂ベース21の背面に固定されている。発射制御装置121は、
図9(b)に示すように、発射操作装置31の操作に基づき遊技球発射機構41を駆動制御するための発射制御基板122が発射用基板ボックス123に収容されてなる。発射制御基板122には、発射制御を行うための発射用IC124a、及び遊技球発射機構41に駆動信号を出力するためのコンデンサ124bといった各種素子や、外部の機器と電気的な接続を行うためのコネクタ125a~125eが搭載されている。これら各種素子やコネクタ125a~125eは全て同一の板面上に搭載されており、その逆側の板面にて半田付けされている。つまり、発射制御基板122は、一方の板面が素子搭載面122aとなっており、その逆側の板面が半田面122bとなっている。なお、半田面122bとは、素子搭載面122aに搭載される各種素子の半田付け部分が存在する面であるが、当該半田面122bに対して回路パターンが形成されていてもよい。
【0068】
発射用基板ボックス123は、複数のケース体として、表ケース体(ボックスカバー)131と、裏ケース体(ボックスベース)132とを備えている。これら表ケース体131及び裏ケース体132は、発射用基板ボックス123内に収容された発射制御基板122の素子搭載面122a及び半田面122bを発射用基板ボックス123外から視認可能なように透明性を有する材料により形成されている。具体的には、無色透明のポリカーボネート樹脂により形成されているが、これに限定されることはなく、アクリル樹脂等であってもよい。
【0069】
表ケース体131及び裏ケース体132が組み合わされることにより、発射用基板ボックス123は箱状に形成されており、所定の内部空間を有している。詳細には、表ケース体131は、
図9(a)及び
図9(b)に示すように、表側周縁部133と、当該表側周縁部133から一方に膨出するようにして形成された膨出部134とが一体形成されている。これら表側周縁部133と膨出部134とにより、表ケース体131は膨出部134の膨出側とは反対側に開放された形状をなしている。
【0070】
表ケース体131において背面側へと開放された領域を閉塞するようにして、且つ素子搭載面122aに搭載された各種素子のうち、背の高い素子が膨出部134内に入り込むようにして発射制御基板122が配置されており、さらに当該発射制御基板122の周縁部を表ケース体131とともに挟持するようにして裏ケース体132が取り付けられている。そして、その状態で表ケース体131の周縁部に形成された係止受け部に対して、裏ケース体132の周縁部に形成された係止部を引掛けて両者が係止されていることにより、両ケース体131,132の分離が規制されている。
【0071】
当該係止は、解除用の工具を利用することなく上記係止部を指などで撓み変形させることで解除可能となっており、当該解除に際して表ケース体131や裏ケース体132の破壊を要しない構成となっている。但し、これに限定されることはなく、両ケース体131,132がネジ固定されている構成としてもよく、発射用基板ボックス123の内部空間の開放に際して所定の部位の破壊を要する構成としてもよく、発射用基板ボックス123の内部空間の開放に際してその痕跡が残る構成としてもよい。
【0072】
発射制御基板122のコネクタ125a~125eは、既に説明したとおり、全て素子搭載面122aに設けられているが、これら各コネクタ125a~125eは、
図9(a)に示すように、表ケース体131において各コネクタ125a~125eに1対1で対応させて形成された貫通孔135a~135eを介して発射用基板ボックス123の外部に露出している。
【0073】
発射制御装置121は、
図10(a)及び
図10(b)に示すように、裏ケース体132の表面を中間ユニット13の樹脂ベース21における下枠領域141の背面に対向させた状態で、当該下枠領域141に固定されている。この固定に関して具体的には、
図9(a)に示すように、表ケース体131の左右の側面にはそれぞれ側方へと突出させて係止部としての引掛け部136a,136bが一体形成されている。また、これら引掛け部136a,136bに対応させて下枠領域141の背面には係止受け部としての引掛け受け部142a,142bが一体形成されている。そして、発射制御装置121を下枠領域141に固定する際には、一方の引掛け部136aを対応する引掛け受け部142aに引掛けた状態で、裏ケース体132を下枠領域141の背面に重ね合わせるように発射制御装置121を配置することで、他方の引掛け部136bが対応する引掛け受け部142bに引掛けられた状態となる。また、他方の引掛け部136bは発射制御装置121の設置状態であっても外力を加えることで撓み変形可能となっており、当該引掛け部136bを撓み変形させた状態で発射制御装置121を下枠領域141から分離方向に移動させることで、所定の工具や所定の部位の破壊を要することなく発射制御装置121を取り外すことが可能である。
【0074】
ちなみに、
図9(b)に示すように、裏ケース体132には樹脂ベース21側に突出するようにして変位規制突起137が一体形成されており、当該変位規制突起137に対応させて樹脂ベース21の下枠領域141には変位規制穴143が形成されている。そして、発射制御装置121が下枠領域141に固定された状態において、発射制御装置121を下枠領域141に沿って変位させようとしても、それが変位規制突起137と変位規制穴143との当接により規制される。なお、変位規制突起137を樹脂ベース21に形成するとともに、変位規制穴143を裏ケース体132に形成してもよい。
【0075】
発射制御装置121が搭載された位置は、
図10(a)及び
図10(b)に示すように、中間ユニット13の回動先端側であって、樹脂ベース21の下枠領域141において遊技球発射機構41が設けられた領域の背面側の領域となっている。つまり、発射制御装置121は遊技球発射機構41に対して樹脂ベース21を挟んで前後に並んでいる。
【0076】
また、発射制御装置121が設けられた位置は、樹脂ベース21において遊技盤23を下方から支えるための段差板部144に対して、発射制御装置121の上面123aがその下方にて隣接する位置となっている。より詳細には、樹脂ベース21の背面において段差板部144の下方には、段差板部144にて遊技盤23の重量を受けている状態での下枠領域141の強度を向上させるために、金属プレート145が横方向に延在するようにして配置されているが、発射制御装置121はその上側部分が金属プレート145における横方向の一部の領域に対してパチンコ機10後方から重なるように配置されている。そして、発射制御装置121は下枠領域141から後方に突出しており、段差板部144よりも後方であって若干下方の位置に発射制御装置121の上面123aが存在している状態となっている。
【0077】
ここで、遊技盤23の装着は、樹脂ベース21の後方から段差板部144上に遊技盤23の底面を載せた状態で、樹脂ベース21に設けられた固定具146を固定位置に配置することで行われている。この場合に、遊技盤23の装着作業や取り外し作業に際して、遊技盤23が発射制御装置121の上面123aに載ることが想定される。これに対して、発射制御装置121の上面123aには、発射制御用の補強手段又は発射制御用の補強構造として、上方に突出させて補強リブ138が一体形成されており、当該補強リブ138は横方向に複数設けられている。これにより、遊技盤23が発射制御装置121に対してその上方から載ったとしても、発射用基板ボックス123が破損してしまうことが抑制されている。
【0078】
発射制御装置121が下枠領域141に搭載された状態では、表ケース体131の表面131aがパチンコ機10後方を向くこととなる。この表面131aには、中間ユニット13に対して裏パックユニット15を閉鎖している状態において、当該裏パックユニット15の裏パック101における下部領域102aがパチンコ機10後方から重なり合うこととなる。
【0079】
具体的には、
図7(b)に示すように、裏パック101の下部領域102aにおいて発射制御装置121と対向する領域は、下部領域102aの周囲の領域に比べてパチンコ機10後方へと凹んでおり、この凹んだ領域が発射制御装置121との重ね合わせ領域151となっている。そして、裏パックユニット15が中間ユニット13に対して閉鎖状態となっている場合には、
図11に示すように、発射制御装置121が重ね合わせ領域151内に入り込み、重ね合わせ領域151の凹み先の面と発射制御装置121の表面131aとは隣接した位置にて前後に対向することとなる。これにより、裏パックユニット15を中間ユニット13に対して開放状態としない限り、発射制御装置121を樹脂ベース21から取り外すことが困難なものとなっている。
【0080】
発射制御装置121が樹脂ベース21の下枠領域141と裏パック101の下部領域102aとにより前後に挟み込まれる構成において、発射制御装置121は樹脂ベース21よりもパチンコ機10前方に設けられた機器に対して電気的に接続されているとともに、裏パック101よりもパチンコ機10後方に設けられた機器に対して電気的に接続されている。以下、この電気的な接続に係る構成について説明する。
【0081】
既に説明したとおり、発射制御基板122の素子搭載面122aには複数のコネクタ125a~125eが設けられているとともに、これら各コネクタ125a~125eは貫通孔135a~135eを介して発射用基板ボックス123の外部に露出している。これら各コネクタ125a~125eは全て、
図9(a)に示すように、表ケース体131においてパチンコ機10後方を向く表面131aであって当該表面131aの外縁寄りの位置に配置されている。但し、当該表面131aの一辺に対して全てのコネクタ125a~125eが沿わせて配置されているのではなく、一部のコネクタ125a~125dは所定の一辺に沿わせて配置されており、残りのコネクタ125eは他の一辺側に設けられている。
【0082】
先ず、前者のコネクタ125a~125d及びそれに接続される電気配線152a~152eについて説明する。なお、以下の説明において、電気配線は、接続先コネクタからの離脱を手動操作により可能とするコネクタが複数の配線の両端においてそれら配線を集約するようにして設けられたコネクタユニットを含む。
【0083】
発射操作装置31に設けられたタッチセンサ35、発射止めスイッチ36及び可変抵抗器34のそれぞれからの信号を送信するための電気配線152b,152cが接続されているコネクタ125b,125cと、遊技球発射機構41を構成するソレノイド42及び球送り装置44のそれぞれへと駆動信号を送信するための電気配線152a,152dが接続されているコネクタ125a,125dとは、表ケース体131の表面131aにおける上辺寄りの位置において当該上辺に沿わせて横方向に並設されている。これら上辺寄りの位置のコネクタ125a~125dに接続される電気配線152a~152dは、表ケース体131において膨出部134の側面を利用して形成された集約部153により束ねられた状態で簡易的に拘束されながら、発射制御装置121の下端部へと導かれる。そして、下端部から樹脂ベース21の前方へと導かれる。
【0084】
この場合、樹脂ベース21の下枠領域141には、
図4及び
図10(b)に示すように、前後方向に貫通する挿通孔154,155が複数形成されている。これら挿通孔154,155のうち一方の挿通孔154は、
図10(b)に示すように、遊技球発射機構41のソレノイド42に対してパチンコ機10後方にて対向する領域に形成されており、ソレノイド42へと通じる電気配線152a及び球送り装置44へと通じる電気配線152dは当該挿通孔154を通じて樹脂ベース21の前方へと導かれ、それぞれ対応する側に接続されている。なお、
図11においては、ソレノイド42へと通じる電気配線152aが挿通孔154を介してソレノイド42に接続されている様子を示す。
【0085】
他方の挿通孔155は、
図4に示すように、樹脂ベース21の下枠領域141においてソレノイド42よりも下方の位置に形成されており、この位置は下枠領域141の底部141aに隣接した位置となっている。また、当該底部141aには挿通孔155の横方の位置に、横方向に延びるとともに前方に開放された集約溝部156が形成されている。タッチセンサ35、発射止めスイッチ36及び可変抵抗器34のそれぞれからの信号を送信するための電気配線152b,152cは、挿通孔155を通じて樹脂ベース21の前方へと導かれ、さらに集約溝部156に集約された状態で中間ユニット13の回動基端側へと導かれる。そして、下枠領域141の回動基端側に設けられた中継基板157に接続されている。この中継基板157にはタッチセンサ35、発射止めスイッチ36及び可変抵抗器34のそれぞれから延びる図示しない電気配線が接続されているため、中継基板157を介して発射制御装置121がタッチセンサ35、発射止めスイッチ36及び可変抵抗器34と電気的に接続されている。なお、
図11においては、タッチセンサ35側へと延びる電気配線152bが挿通孔155を介して樹脂ベース21の前方へと導かれている様子を示す。
【0086】
以上のように樹脂ベース21よりも前方に設けられた機器との間で発射制御装置121を電気的に接続するための電気配線152a~152dを、樹脂ベース21の側部を回り込むようにして引き回すのではなく、各挿通孔154,155を介して樹脂ベース21の前方に導くことで、中間ユニット13の回動操作に際して当該電気配線152a~152dが中間ユニット13と外枠11との間に噛み込まれてしまうことを防止できる。
【0087】
各電気配線152a~152dを樹脂ベース21の前方に導くための挿通孔154,155が形成された位置は、
図11に示すように、発射制御装置121の裏ケース体132と対向する領域となっている。つまり、挿通孔154,155は樹脂ベース21の背面にて露出していない。これにより、挿通孔154,155を介して、樹脂ベース21の前方から樹脂ベース21の後方へ不正用治具を挿入しようとする行為や、樹脂ベース21の後方から樹脂ベース21の前方へ不正用治具を挿入しようとする行為が行いづらくなっている。また、かかる挿入作業の困難性は、挿通孔154,155のそれぞれを電気配線152a~152dが複数挿通されていることからも奏される。さらにまた、一方の挿通孔154はソレノイド42に対してその後方にて対向する領域に形成されているため、当該挿通孔154を通じた不正用治具の挿入作業はより行いづらくなっている。
【0088】
次に、発射制御装置121に設けられた各コネクタ125a~125eのうち残りのコネクタ125e及びそれに接続される電気配線152eについて説明する。
【0089】
残りのコネクタ125eは、
図9(a)に示すように、表ケース体131の表面131aにおいて下辺寄りの位置に配置されている。このコネクタ125eには、特定基板として裏パックユニット15に設けられた電源装置117との間で通信を行うための特定配線として、電気配線152eが接続されている。
【0090】
ここで、発射制御装置121は、タッチセンサ35及び発射止めスイッチ36から入力している信号が遊技者による発射操作が行われている状態であることに対応した信号であって、他の要因による発射停止状況ではないことを条件として、条件成立信号を出力する。この条件成立信号は最終的に主制御装置91にて受信され、主制御装置91では当該条件成立信号を受信している場合、遊技球の発射を停止すべき異常がパチンコ機10にて発生していないことを条件として発射許可信号を出力する。そして、発射制御装置121では、発射許可信号を受信していることを条件として、遊技球の発射用の駆動信号を遊技球発射機構41に対して出力する。
【0091】
上記のように信号の通信が行われる構成において、発射制御装置121は、同じく中間ユニット13に設けられた主制御装置91に対して電気的な接続が直接行われているのではなく、上記条件成立信号の送信及び上記発射許可信号の受信は、裏パックユニット15に設けられた電源装置117を介して行われている。これにより、主制御装置91において他の機器から信号を受信するためのコネクタの数を減らすことが可能となる。
【0092】
つまり、電源装置117は、既に説明したとおり、主制御装置91を含めて各種制御装置が動作するために必要な動作電力を供給する機能を有しているため、主制御装置91との間で電気的な接続が行われることが必須である。この場合に、発射制御装置121において条件成立信号の送信及び発射許可信号の受信を行うための電気配線152eは、先ず電源装置117に接続することで、条件成立信号及び発射許可信号を伝送させるための電気配線は上記動作電力の供給を行うための電気配線とともに主制御装置91に接続することが可能となる。具体的には、
図6に示すように、電源装置117に設けられたコネクタ117bと、主制御装置91に設けられたコネクタ91bとを電気的に接続するコネクタユニット175に、条件成立信号を伝送させるための電気配線、発射許可信号を伝送させるための電気配線、及び動作電力の供給を行うための電気配線が含まれている。ちなみに、コネクタユニット175は、複数の電気配線の一端にそれら電気配線が接続される単一のコネクタと、複数の電気配線の他端にそれら電気配線が接続される単一のコネクタと、を有するものである。以上のように電気的な接続を行うことにより、主制御装置91において他の機器からの信号を受信するためのコネクタの数を減らすことが可能となる。よって、メンテナンスに際して主制御装置91を取り外す場合や、遊技盤23の交換を行う際に、取り外し操作が必要となるコネクタの数が抑えられ、当該作業の作業性を向上させることが可能となる。
【0093】
電源装置117との間で通信を行うための電気配線152eが接続されるコネクタ125eの位置について詳細に説明する。
【0094】
既に説明したとおり、発射制御装置121の表ケース体131の表面131aには裏パック101の重ね合わせ領域151がパチンコ機10後方から重なり合うこととなるが、
図11に示すように、発射制御装置121の下端部の高さ位置は、下部領域102aの下端部の高さ位置よりも下方となっており、発射制御装置121の表面131aの下端寄りの領域は下部領域102aにより覆われていない。この覆われていない下端寄りの領域に対して上記コネクタ125e(以下、下側コネクタ125eともいう)が配置されている。また、当該下側コネクタ125eから延びる電気配線152eは、電源装置117に設けられたコネクタ158(以下、上側コネクタ158ともいう)に接続されるが、当該コネクタ158は下側コネクタ125eよりも上方の位置においてパチンコ機10背面に露出している。
【0095】
これら上側コネクタ158及び下側コネクタ125eを電気的に接続するようにして電気配線152eが接続されている。この場合、当該電気配線152eは裏パック101の底部を下方から回り込むようにして引き回されている。また、当該電気配線152eの長さ寸法は、上側コネクタ158及び下側コネクタ125eに接続した状態で、最も下方へと撓んだ箇所の高さ位置が、中間ユニット13の底部よりも上方の位置となるように設定されている。これにより、遊技機本体12を外枠11に対して回動させる場合に、遊技機本体12と外枠11との間に電気配線152eが噛み込まれてしまうことが防止されている。
【0096】
さらにまた、電気配線152eの長さ寸法は、上側コネクタ158及び下側コネクタ125eに接続した状態で、裏パックユニット15を中間ユニット13に対して回動させることが不可となるように設定されている。これにより、裏パックユニット15を開放させようとする場合には、電気配線152eの一方のコネクタ125e,158からの取り外し操作や、電気配線152eの切断操作を行う必要が生じる。よって、裏パックユニット15を不正に開放させようとする行為が行いづらくなっている。
【0097】
特に、裏パックユニット15の下端部のみを中間ユニット13に対して後方に変位させて、主制御装置91に向けた不正用治具の挿入を行い易くしようとする行為が想定される。これに対して、上記のように電気配線152eが裏パックユニット15の下端部を回り込むようにして設けられていることにより、裏パックユニット15の下端部のみを後方に変位させようとしてもそれを行いづらくすることが可能となる。
【0098】
次に、中間ユニット13と裏パックユニット15との隙間を介してパチンコ機10下方から不正用治具を挿入しようとする行為を抑制可能な構成について説明する。
【0099】
裏パック101の下部領域102aにおいて中間ユニット13を向く側には、
図7(b)に示すように、中間ユニット13側に起立させて複数の後側リブ161が一体形成されている。これにより、パチンコ機10下方から不正用治具を挿入しようとしても、当該不正用治具がいずれかの後側リブ161と当接することで、又は当該不正用治具が複数の後側リブ161により区画された空間内に入り込むことで、それ以上の侵入が規制されることが期待される。
【0100】
上記後側リブ161は、下部領域102aの横方向において、発射制御装置121に対する重ね合わせ領域151以外の領域に対しては略全体に亘って設けられているが、重ね合わせ領域151に対しては設けられていない。但し、当該重ね合わせ領域151を区画するとともに下方を向くように形成された上側区画面162は、
図11に示すように、発射制御装置121の上面123aに対してその上方にて対向している。これにより、発射制御装置121と重ね合わせ領域151との間から不正用治具を上方へと侵入させようとしても、当該不正用治具が上側区画面162に当接することで、それ以上の侵入が規制されることが期待される。また、
図7(b)に示すように、重ね合わせ領域151を区画するとともに横方向の中央側から発射制御装置121の側面を向くようにして横側区画面163が形成されている。これにより、発射制御装置121と重ね合わせ領域151との間に不正用治具を挿入するとともに、横方向の中央側から不正用治具をさらに先へと進めようとしても、当該不正用治具が横側区画面163に当接することで、それ以上の侵入が規制されることが期待される。
【0101】
不正用治具の侵入は、樹脂ベース21と発射制御装置121との間から行われることも想定される。これに対して、
図10(b)に示すように、樹脂ベース21の下枠領域141において発射制御装置121と対向する領域には、発射制御装置121側に起立させて複数の前側リブ164が一体形成されている。これにより、パチンコ機10下方から不正用治具を挿入しようとしても、当該不正用治具がいずれかの前側リブ164と当接することで、又は当該不正用治具が複数の前側リブ164により区画された空間内に入り込むことで、それ以上の侵入が規制されることが期待される。
【0102】
上記のような不正用治具の侵入を抑制する構造は、樹脂ベース21の段差板部144と発射制御装置121との位置関係によっても生じている。つまり、発射制御装置121の裏ケース体132において下枠領域141と対向することとなる面には、
図9(b)に示すように、その上方寄りの位置に、パチンコ機10後方への発射制御側の段差部165が一体形成されており、当該対向面は、当該段差部165によって、上方寄りの領域がそれよりも下方の領域に比べてパチンコ機10後方へ凹んだ形状となっている。この発射制御側の段差部165は上記対向面の横方向の略全体に亘って形成されており、さらに
図11に示すように、樹脂ベース21の段差板部144に対してその下方にて縦方向に対向している。これにより、発射制御装置121と樹脂ベース21との間から不正用治具を上方へと侵入させようとしても当該不正用治具が段差板部144に当接し易くなり、当該段差板部144に当接することで、それ以上の侵入が規制される。
【0103】
ちなみに、中間ユニット13と裏パックユニット15との隙間を介した不正用治具の挿入は遊技機本体12の回動基端側からも想定されるが、
図8に示すように、中間ユニット13において回動基端側の端部には金属プレート171が縦方向の略全体に亘って設けられており、上記挿入作業が行いづらくなっている。この場合に、金属プレート171と樹脂ベース21との間には、
図8の部分拡大図に示すように、パチンコ機10前方側に凹ませて溝部172が形成されており、中間ユニット13の縦方向の略全体に亘って形成された当該溝部172には中間ユニット13の下端部から上端部に向けて延びるアース線173が挿通されている。これにより、上記金属プレート171を利用しながら、アース線173の収容領域を形成することが可能となる。
【0104】
なお、上記溝部172への収容対象はアース線173に限定されることはなく、例えば外枠11の下枠部分といったように下部にスピーカ装置が設けられた構成においては、当該スピーカ装置から繋がる電気配線を中間ユニット13の上端へと導くために溝部172内に収容するようにしてもよい。この場合、前扉枠14の上部に設けられたスピーカ装置からの電気配線と下部のスピーカ装置からの電気配線とを中間ユニット13の上端部分で中継基板などを利用して集約し、その集約後のハーネスを音声発光制御装置93に接続するようにしてもよい。
【0105】
<払出ユニット113>
次に、裏パック101に設けられた払出ユニット113について詳細に説明する。
図12は払出ユニット113の斜視図であり、
図13は払出ユニット113の主要な構成部品181~185を分解して示す分解斜視図である。
【0106】
払出ユニット113は、
図12に示すように、遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給されるタンク181と、当該タンク181に貯留された遊技球を遊技機本体12の回動基端側へと導くための横通路ユニット182と、横通路ユニット182により誘導された遊技球を下方へと導くための上流側縦通路ユニット183と、当該上流側縦通路ユニット183により誘導された遊技球の下流側への流出を阻止又は許容する払出装置184と、払出装置184により誘導された遊技球を樹脂ベース21側へと導くための下流側縦通路ユニット185と、を備えている。
【0107】
タンク181は、上方に開放されており、裏パック101の最上部に配置されている。また、タンク181の横方向の端部は、遊技機本体12の回動先端寄りの位置に配置されている。島設備から供給されてタンク181に貯留されている多数の遊技球は、横通路ユニット182、上流側縦通路ユニット183及び払出装置184に形成された待機通路へと流入することとなる。当該待機通路について詳細には、
図13に示すように、待機通路のうち上流通路領域191が横通路ユニット182に形成されている。
【0108】
上流通路領域191は、遊技機本体12の回動先端側の位置から遊技機本体12の回動基端側に向けて緩やかに下る傾斜状となっており、横方向に延びている。そして、当該上流通路領域191の最上流部はタンク181の出口に連通されており、タンク181に貯留された遊技球は先ず上流通路領域191に流入する。この場合に、上流通路領域191はタンク181に対して上下に並んでおらず、タンク181の上面開口部に対してパチンコ機10後方にずれた位置に配置されている。これにより、裏パック101の内部空間をタンク181の真下位置まで拡張することが可能となる。
【0109】
横通路ユニット182の通路形成部192には、
図13に示すように、その底面から上方に起立するようにして仕切壁193が一体形成されており、当該仕切壁193は、通路方向の途中位置から上流通路領域191の最下流部に亘って形成されている。これにより、上流通路領域191は、その途中位置から複数、具体的には2条の通路に分岐しており、それら分岐通路は横通路ユニット182においては仕切壁193を挟んで前後に並んでいる。以下、一方の上流通路領域191を第1上流通路領域191aと称するとともに、他方の上流通路領域191を第2上流通路領域191bと称する。また、第1上流通路領域191aを含む待機通路を第1待機通路と称するとともに、第2上流通路領域191bを含む待機通路を第2待機通路と称する。
【0110】
なお、横通路ユニット182の底部には上流通路領域191a,191b内に異物が留まらないようにするための開口部194が形成されているが、当該開口部194を通じた異物の排出を良好に行えるようにするために、
図6に示すように、保護カバー部103の上面に対して横通路ユニット182の底面は上方に離間されている。
【0111】
横通路ユニット182において通路形成部192は、上流通路領域191a,191bを上方に開放するようにして溝状に形成されているが、横通路ユニット182には、
図13に示すように、タンク181の出口に連通された箇所から通路方向の途中位置まで、具体的にはタンク181と前後に並ぶ領域に、上流通路領域191a,191bを上方へ開放させないようにするための天井カバー195が設けられている。これにより、上流通路領域191a,191bがタンク181に対してパチンコ機10後方にずらした位置に形成された構成において、上流通路領域191a,191b内に島設備側の補給機のレバーが入り込んでしまうことが防止されている。なお、天井カバー195は、横通路ユニット182の上方から上流通路領域191a,191b内を視認可能とするように無色透明の合成樹脂により形成されている。
【0112】
前後に並設された上流通路領域191a,191bにおいて天井カバー195が設けられた位置よりも下流側には、上流通路領域191a,191b内において積層される遊技球の数を最大で2個とするための積層規制部材196が設けられている。積層規制部材196は横通路ユニット182において縦方向に起立した一対の通路壁部に対して前後方向を回動軸として回動可能に支持されている。上流通路領域191a,191bにて待機する遊技球は、積層規制部材196の位置を通過する場合に積層数が最大で2個となるように規制される。
【0113】
積層規制部材196が設けられた位置よりも下流側であって上流通路領域191a,191bの最下流部を構成する領域には、上流通路領域191a,191bから下流側へと誘導される遊技球が各待機通路において一列となるように規制する、すなわち上方への遊技球の積層を完全に規制するための整流カバー197が設けられている。この整流カバー197の詳細な内容については後に説明する。
【0114】
上流通路領域191a,191bを通過した遊技球は、上流側縦通路ユニット183に形成された中間通路領域201a,201bに流入する。この中間通路領域201a,201bについて、
図14及び
図15を参照しながら詳細に説明する。
図14(a)は上流側縦通路ユニット183の正面図であり、
図14(b)は上流側縦通路ユニット183の側面図であり、
図15は上流側縦通路ユニット183の分解斜視図である。
【0115】
中間通路領域201a,201bは上流通路領域191a,191bと同様に、複数並設されている。具体的には、第1待機通路を構成するとともに第1上流通路領域191aに対して下流側にて連続する第1中間通路領域201aと、第2待機通路を構成するとともに第2上流通路領域191bに対して下流側にて連続する第2中間通路領域201bとが上流側縦通路ユニット183のハウジング202に形成されている。これら第1中間通路領域201a及び第2中間通路領域201bは、
図15に示すように、相互に対向する側に向けて通路壁が起立させて一体形成された表側ハウジング部材203及び裏側ハウジング部材204が、中間板部205を間に挟むようにして前後に重ね合わされてネジ固定されていることで形成されている。また、第1中間通路領域201a及び第2中間通路領域201bの入口部分は、表側ハウジング部材203及び裏側ハウジング部材204が組み合わされてなるハウジングの上端部分において横向きに形成されており、さらには前後に並設されている。
【0116】
第1中間通路領域201a及び第2中間通路領域201bはいずれも、遊技球を一列に並べた状態で下流側へと誘導するように通路断面の面積が設定されている。また、第1中間通路領域201a及び第2中間通路領域201bは、
図14(a)に示すように、その通路方向の途中位置までは、上流通路領域191a,191bと同様に前後に並設されている。各中間通路領域201a,201bにおいて前後に並設された部分には複数の曲がり部が形成されており、その曲がり部を構成する通路壁と遊技球との当接により、中間通路領域201a,201b内において待機する遊技球の減圧が行われている。
【0117】
中間通路領域201a,201bにおいて前後に並設された部分には、各待機通路内の遊技球を島設備側に排出するための排出通路206が分岐させて形成されており、さらに当該排出通路206への遊技球の流入を阻止又は許容する切換部材207が設けられている。切換部材207は、
図15に示すように、両中間通路領域201a,201bの状態をまとめて切り換え可能に形成されており、さらに当該切換部材207の位置は表側ハウジング部材203からパチンコ機10後方へ突出させて形成された球抜きレバー208が手動されることで切り換えられる。
【0118】
これら切換部材207及び球抜きレバー208が設けられた位置は、中間通路領域201a,201bにおいて前後に並設された部分であるため、回動軸207a,208aは前後方向に設定されている。また、球抜きレバー208の回動軸208aから放射方向に突出させて形成された手動操作部208bは、回動軸208aにおいて表側ハウジング部材203からパチンコ機10後方に突出した部分から延びており、パチンコ機10背面から手動操作部208bを操作し易くなっている。そして、排出通路206を通じて遊技球の排出を行うべく手動操作部208bを操作した場合には、球抜きレバー208の押圧部208cによる切換部材207の押圧が解除されて、切換部材207が排出阻止位置から排出許容位置へ切換配置される。
【0119】
中間通路領域201a,201bにおいて前後に並設された部分であって切換部材207よりも上流側に球無センサ209が設けられている。球無センサ209は、
図15に示すように、本体部209cの一端側に、第1中間通路領域201a及び第2中間通路領域201bのそれぞれに対応させて縦方向に貫通する通過部209a,209bが形成されており、各待機通路が球無状態であるか否かが個別に検知される。
【0120】
通過部209a,209bは、中間通路領域201a,201bにおいて前後に並設された部分に対応させて前後に並設されており、本体部209cにおいて図示しないセンサ基板が設けられる領域は、それら通過部209a,209bに対して横方向、具体的には遊技機本体12の回動基端側となる方向に並設されている。そして、各通過部209a,209bとは反対側の端部には払出制御装置116側に向けて検知結果を送信するための電気配線が接続されるコネクタ209dが設けられている。上記のように球無センサ209が設けられていることにより、本体部209cにおいて相対的に寸法が大きい方向が横方向となり、前後方向の寸法を抑えることが可能となる。
【0121】
ちなみに、球無センサ209は、表側ハウジング部材203と裏側ハウジング部材204とにより挟まされた空間内に収容されているため、例えば中間通路領域201a,201b内にて球詰まりが発生した際に球無センサ209を強引に引っ張ってその球詰まり状態を解消しようとしても、その引っ張る行為ができなくなっている。
【0122】
第1中間通路領域201aと第2中間通路領域201bとは、
図14(a)に示すように、その途中位置から前後方向に並ばなくなる。具体的には、第1中間通路領域201a及び第2中間通路領域201bはいずれも、U字状の曲がり部201cを有しているが、その下流側において第1中間通路領域201aに比べて第2中間通路領域201bの方がパチンコ機10における横方向の中央側に入り込んでいる。つまり、第2中間通路領域201bには、第1中間通路領域201aに対して通路長を長くするための延長領域201dが形成されている。この場合、第1中間通路領域201aと第2中間通路領域201bとは通路の幅方向の寸法分(遊技球1個分(遊技球の直径分)よりも若干大きい幅分)、横方向に離間されている。
【0123】
中間通路領域201a,201bが横方向に離間され出した部分では、これら第1中間通路領域201aと第2中間通路領域201bとは前後方向であって横方向に離間された状態となっているが、これら中間通路領域201a,201bの最下流部では横方向に並設された状態となる。具体的には、
図14(b)に示すように、相対的にパチンコ機10後方に位置している第1中間通路領域201aは、パチンコ機10前方に向けて下る傾斜部211aを通じて最下流部が前方へと変位しているとともに、相対的にパチンコ機10前方に位置している第2中間通路領域201bは、パチンコ機10後方に向けて下る傾斜部211bを通じて最下流部が後方へと変位している。この場合、第1中間通路領域201a側の傾斜部211aの方が、第2中間通路領域201b側の傾斜部211bよりも傾斜が緩やかであって傾斜している領域の通路長が長く形成されている。また、各傾斜部211a,211bにより、第1待機通路及び第2待機通路の両方について、遊技球の重量負荷が減圧される。
【0124】
上記のように中間通路領域201a,201bが形成されていることにより、第1待機通路及び第2待機通路は前後方向に並設されていた状態から横方向に並設されている状態へと並設方向が変更されることとなる(遷移することとなる)。これら横方向に並設された中間通路領域201a,201bの最下流部を通過した遊技球は、払出装置184に形成された下流通路領域224a,224bに流入する。払出装置184の構成について、
図13に加え
図16を参照しながら詳細に説明する。
図16(a)は払出装置184において下流通路領域224a,224bが形成された部分の横断面図であり、
図16(b)は
図16(a)においてA―A線部分で示す位置にて切断した払出装置184の縦断面図である。
【0125】
図13に示すように、払出装置184は、複数の払出ケース221a~221cが組み合わされてなる払出ハウジング221を備えている。払出ハウジング221には、
図16(a)に示すように、中間通路領域201a,201bから供給された遊技球を下流側縦通路ユニット185へと導くための通路が形成された通路形成部222と、当該通路形成部222内の遊技球の通過を阻止又は許容する球止め手段を駆動する駆動手段の本体部を収容するための駆動収容部223とが形成されており、これら通路形成部222及び駆動収容部223は横方向に並設されている。
【0126】
通路形成部222について詳細には、当該通路形成部222には、
図16(a)及び
図16(b)に示すように、第1待機通路を構成するとともに第1中間通路領域201aに対して下流側に連続する第1下流通路領域224aと、第2待機通路を構成するとともに第2中間通路領域201bに対して下流側に連続する第2下流通路領域224bとが、仕切部225を間に挟むようにして左右に並設されている。つまり、第1下流通路領域224a及び第2下流通路領域224bは、その入口部分が払出ハウジング221の上面にて上方に開放されており、その入口部分は、
図16(a)に示すように、第1中間通路領域201a及び第2中間通路領域201bがその最下流部において横方向に並設されていることに対応させて横方向に並設されている。この場合、各下流通路領域224a,224bの入口部分の面積は、対応する中間通路領域201a,201bの出口部分の面積と同程度となっており、縦方向、具体的には鉛直方向に重なり合っている。
【0127】
第1下流通路領域224a及び第2下流通路領域224bは、
図16(b)に示すように、入口部分から縦方向、具体的には鉛直方向に延びており、いずれも遊技球を一列に並べた状態で下流側へと誘導するように通路断面の面積が設定されている。第1下流通路領域224a及び第2下流通路領域224bは、通路形成部222の縦方向の中間部分に形成された集合領域226に連通されている。
【0128】
集合領域226は、その横方向の寸法が、第1下流通路領域224aを鉛直方向に延長させた範囲、及び第2下流通路領域224bを鉛直方向に延長させた範囲の全てを含むようにして設定されており、さらに前後方向の寸法が各下流通路領域224a,224bの前後方向の寸法よりも大きく設定されている。集合領域226には、球止め手段を構成する回転体231が設けられている。
【0129】
回転体231は、
図16(a)に示すように、横方向に延びるとともに集合領域226の横方向の略全体に亘って配置された回転軸部232と、当該回転軸部232から放射方向に延びるように一体形成された一対の球止め部233,234と、を備えている。一対の球止め部233,234は、所定の間隔を置いて横方向に並設されている。一方の球止め部233は第1下流通路領域224aの鉛直方向の先側に配置されており、当該第1下流通路領域224aを含めて第1待機通路において一列に並んだ状態で待機する遊技球の重量を下方から受けて、下流側への遊技球の流出を阻止可能に形成されている。また、他方の球止め部234は第2下流通路領域224bの鉛直方向の先側に配置されており、当該第2下流通路領域224bを含めて第2待機通路において一列に並んだ状態で待機する遊技球の重量を下方から受けて、下流側への遊技球の流出を阻止可能に形成されている。
【0130】
一対の球止め部233,234が一体形成された回転軸部232には、球止め手段を駆動するための駆動手段として設けられた電動アクチュエータである払出モータ235の出力軸235aが、回転軸部232と同一軸線上に配置されるようにして内挿されて固定されている。これにより、払出モータ235の本体部235bに駆動信号が供給されて出力軸235aが軸周りに回転した場合には一対の球止め部233,234が軸周りに回転することとなる。
【0131】
払出モータ235の本体部235bは、第1下流通路領域224a及び第2下流通路領域224bが形成された通路形成部222に対して、これら下流通路領域224a,224bの並設方向と同一方向に並設された駆動収容部223に収容されている。具体的には、駆動収容部223は、通路形成部222に対して遊技機本体12の回動基端側に配置されており、この駆動収容部223に本体部235bが収容されている。
【0132】
ここで、払出モータ235は、複数の待機通路のそれぞれから遊技球の重量負荷を受けている状態で、一対の球止め部233,234を同時に回転させる駆動力を生じさせる必要があるため、払出モータ235の本体部235bは比較的大型となり、軸方向の寸法はそれに対して直交する方向よりも大きくなる。さらにまた、本体部235bは、通路形成部222に対して、第1下流通路領域224a及び第2下流通路領域224bの並設方向に並設する必要がある。そうすると、払出装置184は上記並設方向の寸法が、当該並設方向及び高さ方向に直交する方向の寸法に比べて大きくなる。これに対して、第1待機通路及び第2待機通路の途中位置においてこれら待機通路の並設方向を前後方向から横方向に変更したことで、払出装置184において第1下流通路領域224a及び第2下流通路領域224bが横方向に並設されているとともに、通路形成部222に対して駆動収容部223は横方向に並設されている。これにより、パチンコ機10背面において後方に向けて払出装置184が張り出してしまうことを抑えながら、払出装置184を配置することが可能となる。
【0133】
払出装置184の通路形成部222において集合領域226の下方には、
図16(b)に示すように、各球止め部233,234により下流側へと誘導された遊技球を、下流側縦通路ユニット185に形成された通路へと導くための払出通路236が形成されている。払出通路236は、複数の遊技球を前後方向及び横方向に並べた状態で同時に通過させることを不可とするように、その通路断面の面積が設定されている。
【0134】
また、払出通路236には、同時に2個の遊技球が導入されない構成となっている。つまり、各球止め部233,234のそれぞれは、外周部から軸側へと凹ませるようにして所定数、具体的には2個の凹部233a,233b,234a,234bを備えており、凹部233a,233b,234a,234bに入り込んだ遊技球のみを自身の回転に伴って払出通路236へと誘導する構成となっている。この場合に、一方の球止め部233に形成された凹部233a,233bの回転方向の位置と、他方の球止め部234に形成された凹部234a,234bの回転方向の位置とが異なるように設定されている。具体的には、各球止め部233,234において一対の凹部233a,233b,234a,234bは180度間隔で形成されているとともに、各球止め部233,234間においては各凹部233a,233b,234a,234bが90度間隔で存在するように形成されている。これにより、払出通路236には、回転体231の回転に伴って遊技球が1個ずつ導出されることとなる。
【0135】
払出通路236には、当該払出通路236を通過する遊技球を1個ずつ検知するための払出検知センサ237の検知領域237aが存在している。当該検知領域237aは払出検知センサ237における箱状の本体部237bの一端に設けられており、当該本体部237bの他端側には、
図16(a)に示すように、コネクタ237cが設けられている。この本体部237bにおいてコネクタ237cが設けられた側は、駆動収容部223内に入り込んでおり、当該駆動収容部223内に収容されている。
【0136】
ちなみに、駆動収容部223には払出検知センサ237における検知結果を払出制御装置116に送信するための信号経路を構成する中継基板239が収容されている。この中継基板239は、払出モータ235への駆動信号を払出制御装置116から送信するための信号経路も構成している。
【0137】
ここで、
図13に示すように、駆動収容部223を構成する払出ケース221cは、通路形成部222を構成する払出ケース221bに対して、挿通孔221dを介して、遊技機本体12の回動基端側からネジ止めされている。また、このネジ止めは、螺着後においてネジ穴が形成された箇所の分離を可能として、螺着に際して利用した工具による固定解除操作を不可とするワンウェイネジ221eにより行われている。つまり、駆動収容部223内の開放を不可又は開放しづらい構成となっている。
【0138】
払出検知センサ237にて検知された遊技球は、入口部分が上方に向けて開放されているとともに払出通路236に連通するようにして形成された下流側縦通路ユニット185の誘導通路238に導入される。そして、当該誘導通路238を通過することで、最終的に上皿83又は下皿84に排出される。
【0139】
次に、払出装置184の設置に関する構成について、
図13を参照しながら説明する。
【0140】
払出ユニット113の各構成部品181~185のうち、
図13に示すように、タンク181、横通路ユニット182、上流側縦通路ユニット183及び下流側縦通路ユニット185は、裏パック101に対して個別に固定されているが、払出装置184は個別に裏パック101に固定されているのではなく、上流側縦通路ユニット183に固定されている。
【0141】
詳細には、上流側縦通路ユニット183の裏側ハウジング部材204は、表側ハウジング部材203よりも下方に延長させて延長板部241が形成されている。延長板部241は、裏側ハウジング部材204においてパチンコ機10前方を向く面から連続する背板部242と、裏側ハウジング部材204においてパチンコ機10の中央側を向く面から連続する側板部243と、これら背板部242及び側板部243の下端から連続するとともに上方を向く面を有する底板部244とが一体形成されてなる。この延長板部241により、パチンコ機10後方に向けて開放されているとともに、裏パックユニット15の回動基端側、すなわち遊技機本体12の回動基端側に向けて開放された払出装置184の設置領域245が形成されている。
【0142】
表側ハウジング部材203においてパチンコ機10後方を向く面であって、設置領域245に対して上方にて隣接する箇所には、パチンコ機10後方に向けて起立させて、払出固定手段の一部を構成する固定用ボス246が一体形成されている。当該固定用ボス246には、軸線方向が横方向となり且つ遊技機本体12の回動基端側に向けて開放されたネジ孔246aが形成されている。固定用ボス246に対応させて払出装置184の払出ハウジング221には、その上面から上方に起立させて、上記払出固定手段の一部を構成する固定用フランジ247が一体形成されている。固定用フランジ247には軸線方向が横方向となるように貫通孔247aが形成されている。
【0143】
固定用フランジ247は、固定用ボス246に対して回動基端側から当接している。また、固定用ボス246のネジ孔246aと固定用フランジ247の貫通孔247aとが同一軸線上に配置されている。この状態において、上記払出固定手段の一部を構成する固定具としてのネジ248が、回動基端側から螺着されていることにより、払出装置184が設置領域245に固定されている。
【0144】
次に、払出装置184の設置作業及び取り外し作業について説明する。
【0145】
払出装置184の設置作業に際しては、先ず、遊技機本体12を外枠11に対して回動させた状態で、設置領域245に対面する位置から、当該設置領域245においてパチンコ機10後方に開放された後方開放部を介して払出装置184を設置領域245に配置する。この場合、延長板部241には上記のとおり背板部242、側板部243及び底板部244が形成されているため、払出装置184を設置領域245内に配置した状態で払出装置184から手を離しても、払出装置184が設置領域245に配置された状態が保持される。
【0146】
この場合、背板部242及び側板部243が払出装置184の位置決め部として機能し、払出ハウジング221の所定の面をそれぞれ背板部242及び側板部243に当接させることで、固定用ボス246に固定用フランジ247が回動基端側から当接し、固定用ボス246のネジ孔246aと固定用フランジ247の貫通孔247aとが同一軸線上に配置された状態となる。この状態において、貫通孔247aを介してネジ孔246aに対して、ネジ248を回動基端側から螺着することで、払出装置184が設置領域245に固定され、当該払出装置184の設置作業が完了する。
【0147】
上記のように払出装置184の設置に際しては、背板部242、側板部243及び底板部244が仮保持部として機能するため、払出装置184の固定に際して回動基端側からのネジ248の固定操作を行う必要があるとしても、設置作業の作業性を向上させることが可能となる。また、背板部242、側板部243及び底板部244は位置決め部としても機能するため、この点からも、払出装置184の固定に際して回動基端側からのネジ248の固定操作を行う必要があるとしても、設置作業の作業性を向上させることが可能となる。さらにまた、設置領域245はパチンコ機10後方に向けて開放されており、その開放された部位から設置領域245内に払出装置184を設置することが可能となっている。この点からも、払出装置184の固定に際して回動基端側からのネジ248の固定操作を行う必要があるとしても、設置作業の作業性を向上させることが可能となる。
【0148】
一方、メンテナンス時といったように払出装置184を取り外す必要がある場合には、先ず遊技機本体12を外枠11に対して回動させる。この際、払出装置184は遊技機本体12の回動基端側に設けられているとともに当該払出装置184を固定するためのネジ248の頭部は回動基端側を向いているため、ネジ248の頭部へのアクセスを可能とするためには遊技機本体12を大きく回動させる必要がある。
【0149】
その後、ネジ248の固定を解除するための工具をネジ248に対して回動基端側から近付け、ネジ248の固定解除操作を行う。これにより、払出装置184を設置領域245から取り外すことが可能となる。この場合に、上記のとおり延長板部241の背板部242、側板部243及び底板部244が仮保持部として機能するため、払出装置184を手で抑えておく必要がない。そして、払出装置184に対して裏パックユニット15の正面側から対峙する位置から払出装置184を引き抜くことで、当該払出装置184の取り外し作業が完了する。
【0150】
上記のように払出装置184の取り外しに際しては、回動基端側から固定解除操作を行う必要があるため、払出装置184を不正に取り外そうとしても、その行為が行いづらくなっている。特に、回動基端側に払出装置184が設けられた構成において回動基端側から固定解除操作を行う必要がある構成としたことにより、払出装置184を不正に取り外そうとしても、外枠11に対して遊技機本体12を大きく回動させる必要が生じるため、当該不正行為の途中において遊技ホールの管理者がそれを発見し易くなる。
【0151】
ちなみに、払出装置184を上流側縦通路ユニット183に設置する構成としたことにより、払出装置184と上流側縦通路ユニット183とを個別に裏パック101に固定する構成に比べて、位置合わせ精度の向上が図られる。
【0152】
次に、横通路ユニット182に設けられた整流カバー197について、
図17を参照しながら詳細に説明する。
【0153】
図17は、払出ユニット113の待機通路において遊技球が待機している状態を示す払出ユニット113の縦断面図である。なお、
図17では、第1待機通路及び第2待機通路のうち第1待機通路内の構成を示しているとともに、説明の便宜上、払出装置184の切断面は横通路ユニット182及び上流側縦通路ユニット183の切断面に対して直交する方向の切断面となっている。
【0154】
払出装置184に設けられた回転体231の回転が停止されている状況では、第1球止め部233に対して上方から接している遊技球を先頭にした遊技球列が、第1下流通路領域224a、第1中間通路領域201a及び第1上流通路領域191aから構成される第1待機通路251内に形成される。当該遊技球列は、タンク181から続く第1上流通路領域191aにおいて一列に整列される。つまり、既に説明したように、第1上流通路領域191aに対しては、横通路ユニット182に対して回動可能に支持された積層規制部材196が設けられているとともに、当該積層規制部材196の下流側に整流カバー197が設けられている。
【0155】
積層規制部材196では、それよりも上流側において例えば3個以上の遊技球が積層された状態を、積層個数が最大で2個となるように遊技球の整流が行われる。具体的には、積層規制部材196は、上端部分を軸支されており、外力が加えられていない自然状態においては、縦断面が円形で曲面上の周面を有する規制部196aが回動軸196bに対して真下の位置に配置される。この場合、規制部196aと第1上流通路領域191aの底面252との間の距離は、遊技球2個分よりも小さい距離であって遊技球1個分(遊技球の直径分)よりも若干大きい程度となっている。これにより、積層規制部材196よりも上流側において第1待機通路251内の遊技球列に3個分以上の遊技球が積層されていたとしても、規制部196aの重みによる規制力により、積層個数が最大で2個となる。また、規制部196aは2段目の遊技球に下流側から当接し、当該遊技球に対して上流側であって下方に向けた力を付与する。但し、この力は、2段目の遊技球を、1段目の遊技球列において通路方向に連続する遊技球の当接を解除させるほど入り込ませることがない程度となっている。これにより、2段目の遊技球は、1段目において連続する2個の遊技球の両方に対して斜め上方から当接した位置に配置される。
【0156】
なお、第2上流通路領域191bは第1上流通路領域191aと同一の通路形状をなしており、さらに積層規制部材196は第1上流通路領域191a及び第2上流通路領域191bの両方に亘って形成されている。そして、第1上流通路領域191aの遊技球列に生じるとして説明した積層規制部材196の作用は第2上流通路領域191bの遊技球列に対しても生じる。
【0157】
整流カバー197は、第1上流通路領域191aの最下流部から連続している遊技球を整流カバー197の上方から視認可能とする程度の透明性を有するように、具体的には無色透明となるようにポリカーボネートなどの合成樹脂により形成されている。整流カバー197は、第1上流通路領域191aの途中位置、詳細には積層規制部材196が設けられた位置よりも下流側から、第1中間通路領域201aとの連通箇所に亘って存在するように設けられている。
【0158】
整流カバー197の底面253は、整流カバー197の最上流部から通路方向の途中位置に亘って、第1上流通路領域191aの底面252よりも傾斜が大きい下り傾斜となる天井傾斜面として形成された傾斜面253aを備えている。また、整流カバー197の底面253は、傾斜面253aに対して下流側にて連続するとともに第1上流通路領域191aの底面252に対して平行又は略平行となるように形成された連続面253bと、を備えている。
【0159】
連続面253bと第1上流通路領域191aの底面252との間の距離は、遊技球1個分よりも若干大きい程度となっている。その一方、傾斜面253aと第1上流通路領域191aの底面252との間の距離は、整流カバー197の最上流部において、遊技球2個までの積層は可能とする距離、具体的には、遊技球2個分と同一又はそれよりも若干大きい程度となっている。そして、傾斜面253aは連続面253bに向けて、当該傾斜面253aと第1上流通路領域191aの底面252との間の距離を連続的に減少させるように傾斜させて形成されており、傾斜面253aの最下流部は連続面253bに連続している。
【0160】
上記のように整流カバー197が形成されていることにより、第1待機通路251内に形成された遊技球列が積層規制部材196の下流側において2個の遊技球が積層されていたとしても、その上側に位置する遊技球は遊技球列の下流側への移動に伴って整流カバー197の傾斜面253aに上流側から当接する。これにより、当該上側の遊技球の高さ位置が除々に第1上流通路領域191aの底面側へと変位され、最終的に当該上側の遊技球は第1上流通路領域191aの底面252上に載ることとなる。よって、第1待機通路251内に形成されている遊技球列は、整流カバー197の傾斜面253aよりも下流側においては一列に整列された状態となる。
【0161】
なお、整流カバー197は第1上流通路領域191a及び第2上流通路領域191bの両方に亘って形成されており、第1上流通路領域191aの底面252に対する傾斜面253a及び連続面253bの位置関係は、第2上流通路領域191bの底面に対する傾斜面253a及び連続面253bの位置関係と同一となっている。これにより、第1上流通路領域191aの遊技球列に生じるとして説明した整流カバー197の作用は、第2上流通路領域191bの遊技球列に対しても生じる。
【0162】
次に、整流カバー197内における球詰まりを生じづらくするための構成について、
図17に加えて、
図18(a),(b)を参照しながら説明する。
【0163】
図18(a)は、回転体231が停止している状況において第1待機通路251内の遊技球列における先頭の遊技球B1(
図17参照)が最も下方に位置する状態(以下、第1の状態という)である。この場合、第1待機通路251において傾斜面253aの最上流部よりも下流側の通路長及び当該傾斜面253aの傾きは、第1上流通路領域191aの底面252上において通路方向に連続するように一列に整列された遊技球列に積層された2段目であって最も先頭に位置している遊技球B2が傾斜面253aに対して上流側から接しないように設定されている。
【0164】
ちなみに、第1上流通路領域191a、第1中間通路領域201a及び第1下流通路領域224aは、上記第1の状態において基本的に1列に整列された遊技球列の各遊技球の位置が概ね同一の位置となるように形成されている。但し、若干の位置ずれが生じ得るが、その位置ずれを加味したとしても、第1の状態では、2段目の遊技球であって最も先頭に位置している遊技球B2が傾斜面253aに対して上流側から接しないように、上記通路長及び傾斜面253aの傾きが設定されている。また、既に説明したとおり、積層規制部材196の作用により、2段目の遊技球は1段目において連続する2個の遊技球の両方に対して斜め上方から当接した位置に配置されるため、1段目の遊技球列を構成する各遊技球の位置が上記のように概ね定まれば、2段目の遊技球の位置も概ね定まる。
【0165】
一方、
図18(b)は、回転体231が停止している状況において第1待機通路251内の遊技球列における先頭の遊技球B1が最も上方に位置する状態(以下、第2の状態という)である。当該第2の状態では、
図17に示すように、先頭の遊技球B1の位置は、第1の状態と比べて、遊技球1個分よりも短い分、具体的には、遊技球の半径分、上方の位置となる。そうすると、
図18(b)に示すように、2段目であって最も先頭に位置している遊技球B2と、傾斜面253aとの間の距離は第1の状態に比べて広くなる。
【0166】
但し、このように両者の距離が広くなった構成であっても、2段目であって最も先頭に位置している遊技球B2と、傾斜面253aとの間の距離は、両者の間に遊技球の入り込みを不可とする距離に設定されている。よって、第2の状態では、
図18(b)に示す状態となる。
【0167】
ここで、回転体231は、遊技球の払出を実行すべき状態となった際に所定方向の回転(正回転)が開始されて、予め定められた数の遊技球が払い出されたことが払出検知センサ237にて検知されたことに基づき停止される。この場合に、回転体231を停止させる際には、2段目であって最も先頭に位置している遊技球B2が傾斜面253aに当接していない回転位置となるように払出制御装置116により停止制御される。この停止させる際の回転位置は、パチンコ機10の設計段階において実験などを通じて定められている。そして、払出モータ235がステッピングモータであり、払出制御装置116が、出力軸235aの回転位置、すなわち回転体231の回転位置をステップ数で制御する構成では、予め定められた回転位置であって、払い出すべき個数を超えた遊技球の払い出しが実行されない範囲で回転体231が停止するように、払出制御装置116においてステップ数を制御する。
【0168】
ちなみに、回転体231が1周する度に、それを払出制御装置116にて把握できるようにして、その基準回転位置との関係で停止させる際のステップ数が定められている構成としてもよい。この場合、回転体231の回転位置が基準回転位置となっていることを払出制御装置116にて特定するための検知手段を払出装置184に設けることが好ましく、例えば、フォトセンサ及びカット板の一方を回転体231に設けるととともに、他方を払出ハウジング221において回転体231と一体的に回転しない側に設ける構成が考えられる。また、上記予め定められた回転位置は、上記第1の状態となる位置又は上記第2の状態となる位置として定められていてもよく、上記第2の状態となる位置から上記第1の状態となる位置までの間の位置として定められていてもよい。
【0169】
次に、回転体231の回転が開始された場合における上記2段目の遊技球B2の動きについて、
図19(a)~
図19(c)を参照しながら説明する。
図19(a)~(c)は2段目の遊技球B2の動きを説明するための説明図であって、
図19(a)→
図19(b)→
図19(c)の順に遊技球列の状態が遷移していくこととなる。
【0170】
上記第1の状態で回転体231の回転が開始された場合には、
図19(a)の状態から遊技球列の下流側に向けた移動が開始される。また、上記第2の状態で回転体231の回転が開始された場合には、遊技球列の下流側に向けた移動の過程で、
図19(a)の状態となる。
【0171】
図19(a)の状態から遊技球列の下流側に向けた移動が継続されることで、
図19(b)に示すように、2段目であって最も先頭の遊技球B2が傾斜面253aに対して下流側から当接する。この際、当該遊技球B2に対して傾斜面253aからの下方に向けた押圧力の付与が開始されることとなる。
【0172】
その後、
図19(c)に示すように、2段目であって最も先頭に配置されていた遊技球B2は、1段目の遊技球列において当該遊技球B2が当初接していた連続する遊技球B3,B4のうち、前側の遊技球B3と後側の遊技球B4との間に入り込む。これにより、整流カバー197において球詰まりを生じさせることなく、1列の遊技球列が形成される。
【0173】
例えば、回転体231が停止している状況で、1段目の遊技球列において接した状態で連続する遊技球B3,B4の両方に上方から接している遊技球B2が傾斜面253aに対して上流側から接している構成を想定すると、回転体231が開始された際に、1段目において後側の遊技球B4と、傾斜面253aとの間に、上記2段目の遊技球B2が嵌り込んだ状態となり、球詰まりが発生してしまうことが懸念される。これに対して、本パチンコ機10のように、回転体231が停止している状況では、上記2段目の遊技球B2が傾斜面253aに接していないようにすることで、当該2段目の遊技球が傾斜面253aに接した際の摩擦力が動摩擦力となり、上記例示した場合の静摩擦力に比べて摩擦力が小さくなる。よって、
図19(a)~
図19(c)にて示したように、球詰まりが生じづらくなっている。
【0174】
なお、当該球詰まりの発生をより積極的に抑える上では、整流カバー197を低摩擦材料により形成する、又は傾斜面253aに低摩擦化用のコーティングを施すといったように、低摩擦用の構造を付与するとよい。この場合であっても、回転体231が停止している状況における2段目の遊技球B2と、傾斜面253aとの関係を
図18(a)及び
図18(b)のように設定することで、低摩擦用の構造が付与されている構成において、球詰まりの発生をより確実に抑えることが可能となる。
【0175】
ここで、上記のように説明した球詰まり発生の抑制効果は、第1待機通路251に対してだけでなく、第2待機通路に対しても奏される。この場合に、第1待機通路251と第2待機通路とは、上流側では前後に並設されているが、下流側では横方向に並設された状態となる。このため両者の通路形状は相違しているが、第2待機通路の通路長は、第1待機通路251における通路の状態が第1の状態では、第2待機通路における通路の状態が第2の状態となり、第1待機通路251における通路の状態が第2の状態では、第2待機通路における通路の状態が第1の状態となるように設定されている。つまり、第2待機通路においても、回転体231が停止している状況では2段目の遊技球が整流カバー197の傾斜面253aに接していない状態となるように構成されている。そして、この第2待機通路の通路長の設定は、第2中間通路領域201bの延長領域201dを利用して行われている。
【0176】
<前扉枠14>
次に、前扉枠14の構成について詳細に説明する。
【0177】
<上皿ユニット261>
先ず、上皿ユニット261の構成について、詳細に説明する。
図20は斜め上方から見た上皿ユニット261の分解斜視図であり、
図21は斜め下方から見た上皿ユニット261の分解斜視図である。
【0178】
図20及び
図21に示すように、上皿ユニット261は、上皿83を区画形成するための前後一対の皿形成部材262,263を備えているとともに、これら皿形成部材262,263をパチンコ機10前方から覆うように設けられた複数のカバー281,282,291を備えている。皿形成部材262,263のうち後側に設けられた後側皿形成部材262は、
図20に示すように、略板状に形成されており、上皿83の奥壁部264を規定している。また、当該後側皿形成部材262には、既に説明した払出装置184から払い出された遊技球を上皿83上に導入する導入口265と、上皿83内に貯留された遊技球を遊技球発射機構41側へ導出するための導出口266とが、奥壁部264を前後方向に貫通するようにして形成されている。ちなみに、導入口265は遊技機本体12の回動基端側に設けられており、導出口266は横方向の中央位置よりも遊技機本体12の回動先端側に設けられている。
【0179】
皿形成部材262,263のうち前側に設けられた前側皿形成部材263は、上皿83の底面271を規定しているとともに、上皿83の前壁部272を規定している。そして、前側皿形成部材263と後側皿形成部材262とが前後に組み付けられていることにより、底面271が上方に開放された上皿83が形成されている。
【0180】
複数のカバー281,282,291は、各皿形成部材262,263のうち、上皿83の内面を規定する面以外の面をパチンコ機10前方から覆うように設けられている。これらカバー281,282,291のうち、横側カバー281は、上皿83側から下皿84側へと延びる縦領域281aを有しており、当該縦領域281aの下端部は
図1に示すように、前扉枠14の下端部に存在している。また、横側カバー281は、
図20に示すように、縦領域281aの上端部から横方向へと延びる横延出領域281bを有しており、当該横延出領域281bは前側皿形成部材263の前壁部272の一部に沿うようにして形成されている。
【0181】
当該横延出領域281bに対して前方から重なり、且つ前側皿形成部材263の前壁部272のうち横延出領域281bが並設されていない領域に沿わせるようにして上側カバーユニット282が設けられている。当該上側カバーユニット282は、上皿83よりもパチンコ機10前方の位置に、上方を向く、より詳細には、パチンコ機10前方に向けて緩やかに下り傾斜させて形成された操作面283aを有する操作面部材283を備えている。
【0182】
操作面部材283には、図柄表示装置62にて遊技回用の演出や、開閉実行モード用の演出が行われている状況において、遊技者による手動操作に伴って進行先の演出の選択や演出の変更を可能とする遊技用操作装置284が設けられている。遊技用操作装置284は、押しボタン式の複数の操作部284a~284cが操作面283a内に存在するように設けられている。なお、操作部として、スティック式の操作部や軸回転式の操作部を用いてもよい。
【0183】
操作面部材283における遊技用操作装置284の支持に係る構成を、
図22を参照しながら詳細に説明する。
図22(a),(b)は、操作面部材283から遊技用操作装置284を分解した状態を示す上側カバーユニット282の分解斜視図である。
【0184】
図22(a),(b)に示すように、操作面部材283には、操作面283aにて上方に開放されるようにして装置収容部285が一体形成されている。遊技用操作装置284は、操作面283aに形成された開口部286を上方から覆うようにして装置収容部285に収容されており、遊技用操作装置284の一部が開口部286の周縁部に挿入先から係止されることで取り外しが規制されている。
【0185】
装置収容部285は、操作面283aを形成するベース部分から下方に起立させて形成された収容壁部287を有しており、当該収容壁部287により、遊技用操作装置284のハウジング284dを収容する空間が規定されている。そして、当該収容壁部287は、遊技用操作装置284のハウジング284dにおいてパチンコ機10後方を向く面の略全体と対向するように形成されている。これにより、開口部286の周縁部と遊技用操作装置284との間から装置収容部285内に不正用治具が挿入されたとしても、当該不正用治具が遊技盤23側へ侵入していってしまうことを抑制することが可能となる。また、収容壁部287は、遊技用操作装置284のハウジング284dに対して左右の面の略全体と対向するように形成されているとともに、その対向部分はハウジング284dに対してパチンコ機10後側にて対向する部分と連続している。さらに、それらに連続する底部も形成されている。これにより、遊技用操作装置284を迂回して不正用治具を侵入させようとする行為を抑制することが可能となる。
【0186】
なお、収容壁部287は、ハウジング284dの側面の略全体と対向するように形成されていてもよい。但し、当該構成であっても、遊技用操作装置284から延びる電気配線を音声発光制御装置93に向けて引き出すための開口を、収容壁部287に形成する必要がある。
【0187】
図20の説明に戻り、操作面部材283には、遊技用操作装置284の他に、上皿83に貯留されている遊技球を下皿84に排出させるための排出操作装置288が設けられている。上皿83の導出口266に対しては当該導出口266を下皿84に連通させるための連通通路部材289が設けられており、上記排出操作装置288が操作されることにより、通常は導出口266から遊技球発射機構41へと導かれる遊技球の流れが、導出口266から下皿84へと導かれる遊技球の流れに切り換えられる(切り換えに係る構成は図示略)。よって、遊技者は排出操作装置288を手動操作することで、上皿83に貯留された遊技球を下皿84に排出させることができる。
【0188】
上側カバーユニット282の下方には、下側2重カバー291が設けられている。下側2重カバー291は、内側皿カバー部材292と、当該内側皿カバー部材292の表面に沿うようにして形成された外側皿カバー部材293と、を備えており、これら内側皿カバー部材292及び外側皿カバー部材293が前後に重ね合わせられている。内側皿カバー部材292及び外側皿カバー部材293のうち、内側皿カバー部材292は有色不透明に形成されているのに対して、外側皿カバー部材293は有色透明に形成されており、2重カバーによる装飾性を高めながら、両皿形成部材262,263において非露出状態とすべき面を視認不可としている。
【0189】
図1に示すように、下側2重カバー291は下皿84の底面に対して上方にて対向する対向面294を有している。この場合に、当該対向面294には、
図21に示すように、周囲の面に比べて上方へと凹んだ上方凹部295が形成されている。当該上方凹部295は、対向面294の前後方向の略全体に亘って形成されており、下側2重カバー291の前縁にてパチンコ機10前方に向けて開放されている。また、上方凹部295は、当該上方凹部295内に人の手を挿入可能な程度の幅寸法を有している。上方凹部295が形成されていることにより、下皿84の上方に上皿83が存在している構成であっても、当該下皿84から遊技球を取り出す際の操作性を向上させることが可能となる。
【0190】
次に、上皿83の形状について、
図23及び
図24を参照しながら、詳細に説明する。
【0191】
図23(a)は、前側皿形成部材263の平面図であり、
図23(b)は、前側皿形成部材263の正面図である。また、
図24(a)は
図23(b)のA―A線断面図であり、
図24(b)は
図23(b)のB―B線断面図であり、
図24(c)は
図23(b)のC―C線断面図であり、
図24(d)は
図23(b)のD―D線断面図であり、
図24(e)は
図23(b)のE―E線断面図である。
【0192】
前側皿形成部材263は、
図23(a)に示すように、上皿83の導入口265側の方が導出口266側に比べてパチンコ機10前方に張り出しており、上皿83の底面271は導入口265側の方が導出口266側よりも幅広となっている。より詳細には、上皿83の奥壁部264は、横方向の全体に亘って前後方向の変位が生じないように形成されているのに対して、上皿83の前壁部272は、横方向の両端部よりも横方向の中央側の方がパチンコ機10前方に張り出すように形成されている。この場合に、上皿83の前壁部272において最も前方に張り出した頂点部分は、横方向の中央よりも導入口265側の端部寄りとなっている。
【0193】
上皿83の底面271は、全体的にパチンコ機10後方に向けて下り傾斜となっているとともに、導出口266側に向けて下り傾斜となっている。そして、導出口266側には、当該導出口266に向けて遊技球を一列で整列させる整列通路部273が形成されている。整列通路部273は、横方向に延びており、最下流部は導出口266に連通されている。また、整列通路部273において、最下流部から通路方向の途中位置までは、前側皿形成部材263に形成された縦方向の通路段差部274と、奥壁部264と、により前後に挟まれており、当該領域において通路方向に対して直交する方向に複数の遊技球が並ぶことが規制されている。なお、通路段差部274の高さ寸法は、遊技球の半径以上、より詳細には、遊技球の直径分程度となっている。
【0194】
上記のように底面271が形成されていることにより、上皿83内に供給された遊技球は自重により導出口266側へ向けて流下し、整列通路部273にて一列に整列することとなる。これにより、遊技球発射機構41に向けた遊技球の導出を、球詰まりの発生などを抑えながら、良好に行うことが可能となる。
【0195】
上皿83への遊技球の供給は、払出装置184の払出動作に伴い導出口266から遊技球が導出された場合に生じるが、それ以外にも、遊技ホールにおいてパチンコ機10の横に並設される球貸装置LDから遊技球が導出される場合にも生じる。球貸装置LDは、
図1に示すように、パチンコ機10の開閉基端側の側部に沿って縦方向に延びる球貸本体LD1と、当該球貸本体LD1に回動可能に支持された球導出部材LD2と、を備えており、当該球導出部材LD2の先端に設けられた出口LD3から上皿83の底面271に向けて遊技球が導出される。
【0196】
球導出部材LD2は、パチンコ機10の前面に近付く側及び遠ざかる側への変位と、出口LD3の高さ位置を変更させる変位とを許容するように、基端側が球貸本体LD1に支持されている。そして、上皿83に向けて遊技球を導出させる際には、出口LD3の位置が上皿83の底面271における導出口266寄りの位置において当該底面271から上方に離間された位置となるように、球導出部材LD2が配置される。この場合、出口LD3から導出された遊技球は上皿83の底面271に向けて重力落下することとなるが、底面271に達した際にその遊技球が跳ねて上皿83から零れてしまうことが懸念される。これに対して、上皿ユニット261には、遊技球が底面271上に達した際の衝撃を吸収する構成が設けられている。
【0197】
【0198】
図20及び
図21に示すように、上皿ユニット261は、皿形成部材262,263及びカバー281,282,291の他に、衝撃吸収用ゴム板301を有しているとともに、当該衝撃吸収用ゴム板301を前側皿形成部材263に取り付けるための支持部材302を有している。
【0199】
衝撃吸収用ゴム板301としては、低反発ゴムが用いられており、具体的にはハネナイト(登録商標)が用いられている。但し、これに限定されることはなく、ウレタンゴムやシリコンゴムといった他の合成ゴムを用いてもよく、天然ゴムを用いてもよい。また、前側皿形成部材263において底面271を形成している部位よりも低反発であれば、上記以外の合成樹脂や、複数の合成樹脂をブレンドしたものを用いてもよい。
【0200】
支持部材302は、
図20に示すように、板状に形成されており、その上面に、衝撃吸収用ゴム板301における一方の板面の全体を下方から受ける支持面303が形成されている。衝撃吸収用ゴム板301は、支持部材302の支持面303に載置されている。この場合、衝撃吸収用ゴム板301は、接着や溶着を伴わずに支持面303上に載置されているとともに、固定具も不具備となっている。
【0201】
衝撃吸収用ゴム板301が載置された支持部材302は、前側皿形成部材263において底面271を形成する底形成板部275の裏面側に設けられている。具体的には、
図21及び
図23(b)に示すように、前側皿形成部材263において底形成板部275よりも下方に延出する延出壁部276には、支持部材302を下方から受ける受け部として、延出壁部276の壁面からパチンコ機10前方へ延びるボス277や、受け板部278が一体形成されている。これに対して、支持部材302において支持面303が形成された支持部位の裏面には下方へと突出するとともに前後方向に延びる複数のリブ304が一体形成されている。
【0202】
衝撃吸収用ゴム板301が載置された支持部材302は、ボス277及び受け板部278により下方から受けられるように、これらボス277及び受け板部278と、底形成板部275と、の間に前方から挿入されている。この場合、支持部材302の複数のリブ304と、ボス277及び受け板部278を含めた延出壁部276側との係止により、支持部材302及び衝撃吸収用ゴム板301の横方向及び前後方向の移動が規制されている。また、衝撃吸収用ゴム板301は底形成板部275の裏面に対して接着や溶着は行われておらず、衝撃吸収用ゴム板301と底形成板部275の裏面との間には他の部材が介在していない。
【0203】
上皿ユニット261において、支持部材302及び衝撃吸収用ゴム板301のパチンコ機10前方には、既に説明した下側2重カバー291が存在しており、これら支持部材302及び衝撃吸収用ゴム板301は、前側皿形成部材263の延出壁部276と、下側2重カバー291とにより区画された空間内に収容された状態となっている。つまり、支持部材302及び衝撃吸収用ゴム板301は、非露出状態となっており、パチンコ機10前方からアクセス不可となっているとともに、さらには上皿ユニット261を分解しないとアクセス不可となっている。これにより、遊技者などにより衝撃吸収用ゴム板301が傷付けられてしまうといった不都合の発生が抑制される。
【0204】
衝撃吸収用ゴム板301は、
図24(a)~
図24(c)に示すように、その上面が、前側皿形成部材263における底形成板部275の裏面に下方から接している。より詳細には、衝撃吸収用ゴム板301の上面は、底形成板部275の裏面に下方から密着している。そして、衝撃吸収用ゴム板301は、底形成板部275と支持部材302とにより上下に挟まれた状態となっている。
【0205】
衝撃吸収用ゴム板301は、
図23(a)及び
図23(b)に示すように、上皿83の導入口265側の端部付近から、前壁部272にて最も前方に張り出した頂点部分付近までの領域において、上皿83の底面271の略全体に対してその下方(すなわち鉛直下方)にて重なるように設けられている。この範囲は、横方向及び前後方向のいずれの寸法についても、遊技球の複数個分となっている。
【0206】
上皿83の底面271において衝撃吸収用ゴム板301が設けられた範囲の中央寄りの位置に、球貸装置LDの球導出部材LD2から導出されて落下した遊技球が達することとなる。この場合、底形成板部275は遊技球が達した箇所がその衝撃により下方に撓もうとするが、その衝撃が衝撃吸収用ゴム板301により吸収されることとなる。特に、衝撃吸収用ゴム板301は、底形成板部275とは別に設けられた支持部材302により下方から支持されているため、上記衝撃が衝撃吸収用ゴム板301の肉厚方向の変形により吸収される。これにより、その遊技球が上皿83の底面271上で大きく跳ねてしまうことが抑制され、当該遊技球が上皿83から零れてしまうことを抑制できる。
【0207】
なお、当該衝撃吸収用ゴム板301は、底形成板部275を通じた遊技球の落下の衝撃を十分に吸収できる程度の厚み寸法を有している。また、衝撃吸収用ゴム板301が上皿83の底面271との関係で存在している範囲は、上記のものに限定されることはなく、例えば上皿83の底面271の略全体に対してその下方にて重なるように設けられている構成としてもよく、整列通路部273の最上流部の位置まで存在している構成としてもよい。また、衝撃吸収用ゴム板301により上記落下した遊技球の衝撃を吸収することができるのであれば、衝撃吸収用ゴム板301の上面が底形成板部275の裏面に接していることは必須ではなく、落下してきた遊技球を受けて底形成板部275が下方に若干撓んだ際に当該底形成板部275の裏面が衝撃吸収用ゴム板301に接する範囲で、両者の間に隙間が存在していてもよい。
【0208】
次に、
図23及び
図24を参照しながら、上皿83の前壁部272の構成について詳細に説明する。
【0209】
前側皿形成部材263に形成された上皿83の前壁部272は、
図23(b)に示すように、横方向の両端側に比べて、最も前方に張り出した頂点部分の方が低くなるように形成されている。このように前壁部272において横方向の中央側が低く形成されていることにより、上皿83に手入れで遊技球を供給する場合や、上皿83から手により遊技球を取り出す場合に、その作業を行い易くなる。ちなみに、横方向のいずれの位置であっても、上皿83の底面271において接する箇所に対する前壁部272の高さ寸法は遊技球1個分以上となっている。
【0210】
前壁部272における上皿83の内側を向く面において、上皿83の導入口265にその前方にて対向する箇所から、最も前方に張り出した頂点部分の位置に亘る範囲には、
図24(a)~
図24(c)に示すように、パチンコ機10前方へ凹んだ上流側凹部305が形成されている。当該上流側凹部305は、上記範囲に亘って連続して形成されており、上流側凹部305の下面は上皿83の底面271の一部を構成している。そして、上流側凹部305の下面は、パチンコ機10後方に向けて下り傾斜となっているとともに、導出口266に向けて下り傾斜となっている。
【0211】
上流側凹部305の高さ寸法H1は、遊技球の直径よりも大きく設定されており、上流側凹部305内に遊技球が入り込み可能となっている。ちなみに、高さ寸法H1は、遊技球の直径の2倍よりも小さく設定されているが、直径の2倍程度であってもよく、それよりも大きくてもよい。また、横方向の全体に亘って高さ寸法H1は一定となっているが、横方向に沿って高さ寸法H1が変化していてもよい。
【0212】
上流側凹部305の深さ寸法は、遊技球の直径よりも小さく、より詳細には遊技球の半径よりも小さく設定されている。これにより、上流側凹部305内に入り込んでいる遊技球は、一部が当該上流側凹部305から奥壁部264側に突出することとなり、上流側凹部305内に遊技球が入り込んでいたとしても、それを容易に目視確認することが可能となっている。
【0213】
上記のように上流側凹部305が形成されていることにより、前壁部272において導入口265と対面する箇所及びそれよりも下流側に向けた所定の範囲には、上皿83の底面271よりも遊技球1個分以上高い位置に、上皿83の内側へと突出した突条規制部306が存在することとなる。このように突条規制部306が形成されていることにより、導入口265から上皿83に遊技球が勢いよく導入され、その遊技球が前壁部272に勢いよく衝突したとしても、当該遊技球が突条規制部306に下方から当接し、上皿83の前後方向の中央側に戻ることとなる。これにより、導入口265から導入された遊技球が前壁部272を越えて上皿83から零れてしまうといった事象の発生が抑制されている。
【0214】
特に、既に説明したとおり上皿ユニット261に衝撃吸収用ゴム板301が設けられていることで落下球の跳ね返りが低減されていることに伴って、上皿83内の遊技球の視認性を高めるべく前壁部272が従来のパチンコ機よりも低く形成されている。この場合、球貸装置LDから導出された遊技球が上皿83から零れてしまう可能性は低いが、導入口265から導入された遊技球が上皿83から零れてしまう可能性が高まる。これに対して、突条規制部306が形成されていることにより、導入口265から導入された遊技球が上皿83から零れてしまうことも抑制することが可能となる。
【0215】
前壁部272において上流側凹部305よりも導出口266側、すなわち右側には、
図23(a)及び
図24(d)に示すように、パチンコ機10後方に向けて下り傾斜となった皿傾斜面307が形成されている。当該皿傾斜面307は上流側凹部305と連続する位置から導出口266の位置に亘って形成されており、導出口266側の方が幅狭に形成されている。皿傾斜面307が形成されていることにより、手入れでの上皿83への遊技球の供給作業に際して前壁部272の上端部分から遊技球を供給した場合に、その遊技球は皿傾斜面307を自重により下ることとなり、その遊技球が上皿83の底面271上で跳ねて上皿83から零れてしまうといった事象の発生が抑制される。これにより、衝撃吸収用ゴム板301が導入口265側にしか設けられていないとしても、手入れでの遊技球の供給に際して、上皿83から遊技球が零れてしまうことが抑制される。
【0216】
ちなみに、遊技者が手入れで遊技球を上皿83に供給する場合、上皿83の横方向の中央側であって前壁部272において最も背が低い箇所から遊技球を供給するものと考えられる。これに対して、皿傾斜面307の導入口265側の端部は当該箇所に設定されているため、手入れに際しての球零れの発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0217】
前壁部272における上皿83の内側を向く面において、上皿83の導出口266にその前方にて対向する箇所から、整列通路部273において通路段差部274と奥壁部264とにより前後に挟まれた領域よりも上流側であって整列通路部273の最上流部よりも下流側の位置に亘る範囲には、
図23(b)及び
図24(e)に示すように、パチンコ機10前方へ凹んだ下流側凹部308が形成されている。当該下流側凹部308は、上記範囲に亘って連続して形成されている。
【0218】
下流側凹部308は、
図24(e)に示すように、整列通路部273の底面よりも上方に位置している。詳細には、整列通路部273の底面に連続するようにして上述した通路段差部274が存在しているとともに、当該通路段差部274と下流側凹部308との間には、皿傾斜面307が介在している。したがって、下流側凹部308の下面は、整列通路部273の底面に対して、遊技球の半径分以上、より詳細には、遊技球の直径分以上、上方に位置している。
【0219】
下流側凹部308の高さ寸法H2は、遊技球の直径よりも大きく設定されており、下流側凹部308内に遊技球が入り込み可能となっている。ちなみに、高さ寸法H2は、遊技球の直径の2倍よりも小さく設定されているが、直径の2倍程度であってもよく、それよりも大きくてもよい。また、横方向の全体に亘って高さ寸法H2は一定となっているが、横方向に沿って高さ寸法H2が変化していてもよい。
【0220】
下流側凹部308の深さ寸法は、遊技球の直径よりも小さく、より詳細には遊技球の半径よりも小さく設定されている。これにより、下流側凹部308内に入り込んでいる遊技球は、一部が当該下流側凹部308から奥壁部264側に突出することとなり、下流側凹部308内に遊技球が入り込んでいたとしても、それを容易に目視確認することが可能となっている。
【0221】
上記のように下流側凹部308が形成されていることにより、整列通路部273において複数の遊技球が積層した場合に、その遊技球を単に整列通路部273上にて積層させるのではなく、下流側凹部308側に逃がすことが可能となる。これにより、整列通路部273の位置にて球詰まりが発生してしまう可能性が低減される。また、上記のとおり、下流側凹部308の下面は、整列通路部273の底面に対して、遊技球の直径分以上、上方に位置しているため、整列通路部273の底面上にて整列している遊技球が下流側凹部308内に入り込んでしまうことはなく、整列通路部273における遊技球列の形成を阻害しないようにしながら、球詰まりの発生を抑制することが可能となる。
【0222】
ちなみに、下流側凹部308の下面は整列通路部273に向けて下り傾斜となっているため、下流側凹部308内に入り込んだ遊技球は自ずと整列通路部273に向けて流下することとなる。また、下流側凹部308の上面308aにより、下流側凹部308内に入り込んだ遊技球が前壁部272を越えて上皿83から零れてしまうことが抑制される。
【0223】
<前扉枠14の装飾キャラクタユニット311>
次に、前扉枠14の前面に設けられた装飾キャラクタユニット311について、
図25を参照しながら詳細に説明する。
図25(a)は下端側を拡大して示す前扉枠14の正面図であり、
図25(b)は
図25(a)のA―A線断面図である。
【0224】
図25(a)に示すように、装飾キャラクタユニット311は、前扉枠14の右下側の隅角部分(回動先端側であって下側の隅角部分)に設けられている。装飾キャラクタユニット311は、動物、詳細には鯨を表したキャラクタとなっており、一対の目の部分311a,311bが形成された頭側が上方となり、尻尾の部分311cが下方となるように配置されている。
【0225】
装飾キャラクタユニット311が設けられた位置は、窓パネルユニット71の下方の位置において、上述した上皿ユニット261に対して回動先端側にて横並びとなる位置であって、上述した下皿84が形成された下皿ユニット312に対して回動先端側にて横並びとなる位置である。この場合に、上皿ユニット261の右側端部の位置、及び下皿ユニット312の右側端部の位置は、従来のパチンコ機に比べて左側となっており、その分、装飾キャラクタユニット311が左側に向けて拡張されている。これにより、装飾キャラクタユニット311の大型化が図られている。
【0226】
装飾キャラクタユニット311は、
図25(b)に示すように、パチンコ機10前方に膨出している。この場合、上皿ユニット261の方が装飾キャラクタユニット311よりもパチンコ機10前方に膨出しているが、膨出量が同程度であってもよく、装飾キャラクタユニット311の方が上皿ユニット261よりもパチンコ機10前方に膨出している構成としてもよい。このように装飾キャラクタユニット311を膨出させることで、装飾が立体的なものとなり、装飾性が高められる。
【0227】
上記のように装飾キャラクタユニット311が膨出させて形成された構成において、
図25(a)に示すように、装飾キャラクタユニット311の左側の側面は、上皿ユニット261の右側端部から下皿ユニット312の右側端部に亘って連続している。これにより、下皿84の側壁部の一部が装飾キャラクタユニット311により構成されることとなる。さらにまた、装飾キャラクタユニット311の一部、詳細には手の部分311dは上皿ユニット261と下皿ユニット312との間に入り込んでいる。このように装飾キャラクタユニット311を設けることで、当該装飾キャラクタユニット311の大型化を実現することが可能となる。
【0228】
装飾キャラクタユニット311の上端部分にて上方を向いた面には、歯の部分311eが形成されており、この歯の部分311eの一部は、遊技球の球貸操作を遊技者が手動で行うための球貸用操作部313a,313bとなっている。これら球貸用操作部313a,313bのうち一方の球貸用操作部313aは、球貸指示を与えるために操作されるものであり、他方の球貸用操作部313bは球貸可能な数の情報を記憶した記憶媒体を上述した球貸装置LDから排出させるために操作されるものである。このように装飾キャラクタユニット311に対して球貸用操作部313a,313bを設けることで、当該装飾キャラクタユニット311の大型化を実現することが可能となる。
【0229】
装飾キャラクタユニット311の目の部分311a,311bには、液晶表示装置といった表示部が設けられており、例えば球貸可能な数の情報の表示や、図柄表示装置62における遊技回用の演出や開閉実行モード用の演出と連動した演出表示が行われる。このように装飾キャラクタユニット311に対して表示部を設けることで、当該装飾キャラクタユニット311の大型化を実現することが可能となる。
【0230】
装飾キャラクタユニット311の縦方向の途中位置から尻尾の部分311cに亘ってはパチンコ機10後方に向けて凹んでいるとともに、下端側ほどパチンコ機10後方側となるように傾斜している。そして、この後方傾斜領域314に、上述した発射操作装置31が設けられている。このように装飾キャラクタユニット311に対して発射操作装置31を設けることで、当該装飾キャラクタユニット311の大型化を実現することが可能となる。
【0231】
ここで、上記のようにパチンコ機10前方に向けて膨出する装飾キャラクタユニット311が上皿ユニット261に対して横並びで設けられた構成においては、横並びとなった膨出部分の境界が窓パネルユニット71の下方に存在するととなる。当該構成においては、上皿が横方向の略全体に亘って形成されていた従来のパチンコ機に比べて、上記境界部分が強度的に弱い部分となり、例えば上皿83の前壁部272をパチンコ機10前方に引っ張った場合に上記境界部分が手前側に変形し易くなる。
【0232】
そうすると、前扉枠14のベースとなる金属製の前扉ベース14a(
図25(b)参照)と、上記窓パネルユニット71との間に隙間が生じ易くなり、その隙間を通じて不正用治具が遊技領域23a又は遊技盤23の背面側へ挿入されてしまうことが懸念される。特に、窓パネルユニット71の下端部の後方には遊技領域23aのアウト口59が形成されているため、当該アウト口59を通じて遊技盤23の背面側へと不正用治具を挿入させ易くなってしまう。
【0233】
また、それだけでなく、前壁部272をパチンコ機10前方に引っ張ることで窓パネルユニット71の裏面と遊技領域23aとの間の距離を広げる行為が想定される。この場合、遊技領域23a内において遊技球が通過可能な空間の前後方向の寸法が拡張されることとなるため、遊技領域23a内における遊技球の挙動に影響を与えることとなってしまう。そして、例えば上作動口53や一般入賞口51への入賞頻度が不正に高められてしまうおそれがある。
【0234】
これに対して、前扉枠14の背面側には、上記不正行為による被害の発生を抑制するための構成が設けられている。以下、当該構成について、
図26~
図28を参照しながら詳細に説明する。
【0235】
図26は前扉枠14の背面図であり、
図27は前扉枠14の背面側の分解斜視図である。また、
図28(a)は下端側を拡大して示す前扉枠14の背面図であって前側通路形成ユニット321を省略した図であり、
図28(b)は
図26のA―A線断面図であり、
図28(c)及び
図28(d)は窓パネルユニット71の固定に係る構成を説明するための図である。
【0236】
図26及び
図27に示すように、前扉枠14の背面には、前扉ベース14aに背面側から支持させるようにして前側通路形成ユニット321が設けられている。前側通路形成ユニット321は、払出装置184から払い出された遊技球を上皿83又は下皿84に導くための図示しない各通路を形成している。前側通路形成ユニット321の上側の隅角部分には、
図27に示すように、上方に向けて開放された開口322a,322bが横方向に並設された受け口部322が一体形成されている。払出装置184により払い出された遊技球は、裏パックユニット15の下流側縦通路ユニット185にて上皿83側及び下皿84側のいずれかに分配されることとなるが、それらのうち上皿83側に分配された遊技球は、受け口部322の内側の開口322aに流入することとなる。当該開口322aは上皿83の導入口265に連通している。一方、下皿84側に分配された遊技球は、受け口部322の外側の開口322bに流入することとなる。当該開口322bは下皿84の導入口84aに連通している。また、前側通路形成ユニット321には、ファール球回収口323が形成されており、遊技球発射機構41から発射されたものの遊技領域23aに到達しなかった遊技球は、当該ファール球回収口323を通じて下皿84に排出される。
【0237】
なお、前側通路形成ユニット321は基本的に合成樹脂により形成されているが、受け口部322及び下皿84の導入口84aを構成する部位に対しては、金属カバー324a,324bが設けられている。これにより、前側通路形成ユニット321を貫通させて不正用治具をパチンコ機10内部に挿入しようとする行為を阻止することが可能となる。
【0238】
上記のように前側通路形成ユニット321が設けられた構成において、
図26及び
図27に示すように、当該前側通路形成ユニット321により一部がパチンコ機10後側から覆われるようにして補強プレート331が設けられている。補強プレート331は、鋼などの硬質金属を利用して形成されており、
図27に示すように、長手方向を有するように長尺状に形成されている。また、長手方向に対して直交する方向の横断面は、コ字状となっている。つまり、長尺状の補強ベース部332と、当該補強ベース部332の短手方向の両端から起立するように一体形成され、且つ相互に対向するように形成された起立壁部333,334と、を備えている。
【0239】
補強プレート331は、補強ベース部332の両板面のうち、起立壁部333,334が起立している方向側とは逆側の面を前扉ベース14aの背面に重ね、且つ補強プレート331の長手方向が横方向となるようにして、前扉ベース14aに背面側から固定されている。この固定について詳細には、補強ベース部332にはその厚み方向に貫通する貫通孔が複数形成されており、それら貫通孔に対応させて前扉ベース14aにはネジ孔が形成されている。そして、前後に連通された貫通孔とネジ孔との各組合せに対して、繰り返し着脱を行うことが可能なネジ335が前扉ベース14aの背面側から螺着されていることで、補強プレート331が前扉ベース14aに固定されている。
【0240】
また、
図26に示すように、複数のネジ335の一部を含めて、補強プレート331の一部を背面側から覆った状態で上記前側通路形成ユニット321が前扉ベース14aに固定されている。これにより、補強プレート331を不正に取り外すためには、先ず前側通路形成ユニット321を取り外す必要が生じ、当該不正な取り外しを行いづらくなっている。その一方、補強プレート331及び前側通路形成ユニット321は両方とも、繰り返し着脱を行うことが可能なネジ335,336により固定されているため、メンテナンスや再利用を行い易くなっている。
【0241】
補強プレート331は、
図28(a)に示すように、上皿83の導入口265に隣接した位置に長手方向の一端が存在し、上皿83の導出口266から遊技球発射機構41へと通じる誘導通路の前扉枠14側の出口部分337の位置に長手方向の他端が存在するようにして、横方向に延在している。そして、その横方向に延在している途中位置に、前扉枠14の前面における上皿ユニット261と装飾キャラクタユニット311との境界部分Lが存在している。つまり、補強プレート331は、上皿ユニット261と装飾キャラクタユニット311との境界部分Lを前扉ベース14aの背面側にて跨ぐように設けられている。これにより、比較的大型の装飾キャラクタユニット311を前扉枠14の前面において上皿ユニット261に対して並設させたとしても、補強プレート331により前扉枠14が補強されるため、装飾キャラクタユニット311と上皿ユニット261との境界部分Lにて強度が低下することが抑えられる。よって、当該境界部分Lを基準にして前扉枠14をパチンコ機10に前方に撓ませようとしても、それが行いづらくなる。
【0242】
前扉枠14の背面における補強プレート331の位置関係についてさらに説明すると、補強プレート331において横方向に延在している部分の途中位置の下方には、下皿84の導入口84aが存在しているとともに、上記出口部分337が存在している。また、補強プレート331において横方向に延在している部分の途中位置の上方には、遊技領域23aのアウト口59が存在している。つまり、下皿84の導入口84aとアウト口59との間に補強プレート331が存在しているとともに、出口部分337とアウト口59との間に補強プレート331が存在している。この場合に、
図28(b)に示すように、補強プレート331には一対の起立壁部333,334が一体形成されていることにより、前扉ベース14aの背面に対してパチンコ機10後方に向けて突出した状態となっている。
【0243】
上記構成であることにより、下皿84の導入口84aや上記出口部分337から遊技領域23aに向けて不正用治具を挿入しようとしても、当該不正用治具の先端が補強プレート331の起立壁部333,334に下方から当接し、それ以上の侵入が抑制されることが期待される。さらにまた、下皿84の導入口84aや上記出口部分337から挿入した不正用治具を、さらにアウト口59から遊技盤23の背面側へと侵入させていく行為が想定されるが、不正用治具の先端がアウト口59に到達してしまうことを補強プレート331により阻止することが可能となる。
【0244】
ちなみに、補強プレート331は、窓パネルユニット71の真下の位置に上端部分が存在することとなる前側通路形成ユニット321により一部が覆われるようにしながら、上記出口部分337の上方に位置するようにするために、長手方向の途中位置に曲げ部338が形成されている。これにより、補強プレート331は、上記出口部分337側の端部の方が、上皿83の導入口265側の端部よりも上方に位置する構成となっている。
【0245】
なお、補強プレート331をさらに横方向に延ばして、上皿83の導入口265の一部又は全体に対して鉛直上方の位置に補強プレート331が存在する構成としてもよい。
【0246】
補強プレート331は、窓パネルユニット71を前扉ベース14aに固定させるためのロック部材345の一部を背面側から覆っている。当該構成について以下に詳細に説明する。
【0247】
図27に示すように、前扉ベース14aには窓部74が形成されており、当該窓部74を背面側から覆うようにして窓パネルユニット71が設けられている。窓パネルユニット71の固定枠73には、横方向の一端、詳細には遊技機本体12の回動基端側となる端部に、縦方向に一対の回動軸部73a,73bが一体形成されている。この場合、固定枠73がABS樹脂といった合成樹脂製であるため、回動軸部73a,73bも合成樹脂製となっている。これら回動軸部73a,73bに対応させて、
図26に示すように、前扉ベース14aにはパチンコ機10後方に起立させて金属製の軸受け部14b,14cが設けられている。そして、回動軸部73a,73bが軸受け部14b,14cにより下方から支持されていることで、窓パネルユニット71は前扉ベース14aに対して回動可能に支持されている。
【0248】
窓パネルユニット71の固定枠73は、前扉ベース14aの窓部74の周縁部341に対して背面側から当接するように形成されている。この場合、前扉ベース14aの窓部74の周縁部341は、その周囲の後方段差部342を介して、後方段差部342よりも外側の面よりもパチンコ機10前方に向けて凹んでおり、さらにその凹みが窓部74に沿って環状となるように形成されている。この環状の凹みがパネル当接面343であり、当該パネル当接面343に対して窓パネルユニット71の固定枠73が背面側から当接している。
【0249】
固定枠73の周縁部には、外方へと起立する複数の支持フランジ344a~344cが一体形成されている。これら支持フランジ344a~344cに対応させて、窓部74の周縁部341には、複数のロック部材345~347が設けられている。これらロック部材345~347は、支持フランジ344a~344cの背面側への変位を規制して窓パネルユニット71の背面側への回動を阻止するロック位置と、当該回動を阻止しない非ロック位置とに変位可能であって、その変位操作を前扉枠14の背面側から行うことが可能なように設けられている。窓パネルユニット71の固定枠73を窓部74の周縁部341に背面側から重ねた状態で、各ロック部材345~347をロック位置に配置することで、窓パネルユニット71の前面がパネル当接面343にパチンコ機10後方から当接した状態で、当該窓パネルユニット71が前扉ベース14aに固定された状態となる。
【0250】
ここで、上記支持フランジ344a~344cとロック部材345~347との組合せのうち、一組は、窓パネルユニット71の下端部分をロックするように設けられている。以下、当該一組を構成する支持フランジ344aを下端側支持フランジ344aと言うとともに、当該一組を構成するロック部材345を下端側ロック部材345と言う。
【0251】
図27に示すように、前扉ベース14aの背面において窓部74の下方には、窓部74の周縁部341における凹みを下方へと延ばすようにロック収容溝348が形成されている。このロック収容溝348に、下端側ロック部材345が収容されている。下端側ロック部材345は、縦方向の途中位置に曲げ部345aが形成されており、当該曲げ部345aよりも上端側が下端側支持フランジ344aをロックするためのロック部345bとなっており、当該曲げ部345aよりも下端側が手動操作を可能とする手動操作部345cとなっている。これらロック部345b及び手動操作部345cのそれぞれには、前後方向に貫通するとともに、下端側ロック部材345の移動方向に延びるように固定用スリット345d,345eが形成されており、当該固定用スリット345d,345eに背面側から挿通させるようにして固定用ネジ349a,349bが設けられている。そして、当該固定用ネジ349a,349bはロック収容溝348に対してネジ止めされている。これにより、下端側ロック部材345のロック収容溝348からの離脱が防止されている。
【0252】
但し、固定用ネジ349a,349bは、固定用スリット345d,345eの周縁部をロック収容溝348との間で完全に挟み込まないように設けられている。これにより、下端側ロック部材345は、
図28(c)に示す非ロック位置と、
図28(d)に示すロック位置との間で変位可能となっている。
【0253】
下端側ロック部材345の各固定用ネジ349a,349bは、
図28(c)及び
図28(d)に示すように、前側通路形成ユニット321により背面側から覆われている。これにより、下端側ロック部材345をロック収容溝348から不正に取り外そうとする行為が行いづらくなっている。このように各固定用ネジ349a,349bが前側通路形成ユニット321により背面側から覆われた構成であっても、下端側ロック部材345の手動操作部345cの下端は、前側通路形成ユニット321よりも下方に突出しており、前扉枠14の背面にて露出している。そして、この露出状態は、下端側ロック部材345が非ロック位置及びロック位置のいずれに配置されている場合も継続される。これにより、各固定用ネジ349a,349bが前側通路形成ユニット321により背面側から覆われる構成であっても、下端側ロック部材345を手動操作することが可能となっている。
【0254】
図28(c)に示す位置に窓パネルユニット71を配置した状態で、
図28(d)に示すように、下端側ロック部材345を非ロック位置からロック位置に移動させることで、
図28(b)に示すように、当該下端側ロック部材345が下端側支持フランジ344aに対して背面側から接し、当該下端側ロック部材345によるロックが行われる。その一方、下端側ロック部材345をロック位置から非ロック位置に移動させることで、
図28(c)に示すように、下端側ロック部材345が下端側支持フランジ344aに対してその背面側から接している状態が解除されて、窓パネルユニット71を回動させることが可能となる。
【0255】
上記のように下端側ロック部材345が設けられた構成において、補強プレート331は、
図28(a)に示すように、ロック収容溝348において下端側ロック部材345のロック部345bが存在している箇所を、下端側ロック部材345の背面側にて橋渡すように存在している。つまり、補強プレート331は、ロック収容溝348において下端側ロック部材345のロック部345bが存在している箇所を、下端側ロック部材345の背面側にて横切るように存在している。そして、
図28(b)に示すように、補強プレート331の補強ベース部332は、下端側ロック部材345のロック部345bに対してその背面側から接している、又は若干離間されているがその隙間は下端側ロック部材345をロック収容溝348から離脱させることを不可とする程度となっている。これにより、パチンコ機10前方から、窓パネルユニット71の下端部を後方へと変位させるように外力を加えて、窓パネルユニット71と窓部74の周縁部341との間に隙間を生じさせようとしても、下端側ロック部材345の後方への変位が補強ベース部332により規制される。よって、上記行為が行われたとしても、それに対して隙間が生じてしまう可能性が低減される、又は隙間が生じたとしても不正用治具の挿入を不可とする程度に抑えることが可能となる。
【0256】
補強プレート331は、
図28(a)に示すように、ロック収容溝348を斜め方向に横切っており、下端側ロック部材345のロック部345bに対しても斜め方向に交差している。したがって、ロック部345bとの接触面積を広く確保することが可能となり、当該ロック部345bを背面側から抑える強度が高められている。
【0257】
図28(c)に示すように、前側通路形成ユニット321及び補強プレート331は下端側支持フランジ344aに対してパチンコ機10後方にて対向しないように設けられている。これにより、窓パネルユニット71を回動操作した際に、下端側支持フランジ344aが前側通路形成ユニット321や補強プレート331と干渉してしまわないようにすることができる。
【0258】
<窓パネルユニット71のガイド構造>
次に、窓パネルユニット71のガイド構造について、
図29及び
図30を参照しながら説明する。
【0259】
図29は、前扉枠14の背面を示す斜視図であって窓パネルユニット71を背面側に回動させた状態を示す図である。また、
図30(a)は
図26のB―B線断面図であり、
図30(b)は窓パネルユニット71がガイドされる様子を説明するための図である。
【0260】
図29に示すように、前側通路形成ユニット321は、ファール球回収口323よりも上方の位置に、上記補強プレート331の一部や、下端側ロック部材345の固定用ネジ349a,349bを背面側から覆う被覆壁部351を有している。被覆壁部351は、補強プレート331よりも上方の位置まで延在しており、横方向に延びる上端面352を有している。この上端面352は、窓部74の周縁部341における下端部分の後方段差部342からパチンコ機10後方へと突出するように形成されている。
【0261】
当該上端面352には、前後方向に延びる突条となるように一体形成されたガイドリブ353~355が横方向に複数並設されているとともに、これらガイドリブ353~355の前側端部を連結するように横方向に延びる連結壁部356が一体形成されている。各ガイドリブ353~355は同一の構成となっており、
図30(a)に示すように、その後端から前後方向の途中位置に亘って、前側ほど高位となるように傾斜させて形成されたガイド傾斜部353a~355aと、当該ガイド傾斜部353a~355aに対してその前方にて連続し高さが一定となったガイド平坦部353b~355bと、を有している。また、これらガイド平坦部353b~355bを連結するようにして連結壁部356が形成されている。連結壁部356は、その上面がガイド平坦部353b~355bに対して面一となっている。
【0262】
連結壁部356の上面は、後方段差部342において当該連結壁部356の前方に位置する領域よりも高位となっており、連結壁部356の前側端面により、連結壁部356の上面と後方段差部342との間にはガイド段差部357が形成されている。当該ガイド段差部357は横方向の所定範囲に亘って延在しており、窓部74の周縁部341におけるパネル当接面343のうち、連結壁部356の前方に位置する領域と前後に対向している。ちなみに、
図26に示すように、連結壁部356の上方には遊技領域23aのアウト口59が存在している。
【0263】
窓パネルユニット71の固定枠73において連結壁部356と対応する位置には、
図30(a)に示すように、固定枠73の周縁部から外方へ突出し、上記ガイド段差部357とパネル当接面343との間に入り込む入り込み部358が一体形成されている。当該入り込み部358は、横方向の所定範囲に亘って延在しており、入り込み部358においてパチンコ機10後方を向く後端面358aは、ガイド段差部357の略全体に対してパチンコ機10前側から対向しており、より詳細には、後端面358aはガイド段差部357の略全体に対してパチンコ機10前側から接している。また、入り込み部358を含めて窓パネルユニット71の固定枠73は、上記パネル当接面343に対してパチンコ機10後側から対向しており、より詳細には、固定枠73はパネル当接面343に対してパチンコ機10後側から接している。
【0264】
上記のようにガイドリブ353~355及び連結壁部356が形成されていることにより、パネル当接面343にパチンコ機10後方から当接する使用状態となる位置に向けて窓パネルユニット71を回動操作する場合には、
図30(b)に示すように、窓パネルユニット71の入り込み部358をガイドリブ353~355上で摺動させながら上記回動操作を行うことが可能となる。
【0265】
ここで、窓パネルユニット71は、パチンコ機10の異なる機種間で共通して使用することが可能であるため、再利用することが可能である。この場合に、窓パネルユニット71の回動軸部73a,73bは合成樹脂製であるため、再利用するたびに磨耗することが考えられ、回動軸部73a,73bが磨耗すると、窓パネルユニット71が軸受け部14b,14cに片持ち支持された状態において窓パネルユニット71の下端部の位置が製造直後の位置よりも下方となってしまうことが考えられる。これに対して、上記のようにガイドリブ353~355が形成されていることで、回動軸部73a,73bが磨耗していたとしても、窓パネルユニット71の使用状態となる位置への回動操作の容易化が図られる。また、窓パネルユニット71を使用状態となる位置から背面側へと回動させる場合においても、窓パネルユニット71を若干上方に持ち上げて、入り込み部358をガイドリブ353~355上に乗り上げさせさえすれば、当該ガイドリブ353~355に沿って窓パネルユニット71を後方に回動させることができ当該回動操作の容易化も図られる。
【0266】
窓パネルユニット71が使用状態となる位置に配置されている場合には、上記のとおり入り込み部358がガイド段差部357に対してパチンコ機10前側から接することとなる。これにより、窓パネルユニット71の下端側にパチンコ機10前方から外力を加えて、当該窓パネルユニット71と窓部74の周縁部341との間に隙間を生じさせ、当該隙間から不正用治具を挿入しようとしても、窓パネルユニット71がガイド段差部357により後方から受けられる。よって、上記行為が行われたとしても、それに対して隙間が生じてしまう可能性が低減される、又は隙間が生じたとしても不正用治具の挿入を不可とする程度に抑えることが可能となる。
【0267】
また、パネル当接面343及びガイド段差部357により前後の空間が規定され、さらに後方段差部342により底面が規定されるようにして、窓パネルユニット71の中央側に向けて開放された溝が窓部74に形成された状態となる。これにより、仮に不正用治具の先端が挿入されたとしても、当該不正用治具の先端はその溝内の空間から抜け出ることが困難なものとなり、結果的に当該不正用治具が挿入されたことによる損害を生じさせないようにすることが可能となる。
【0268】
特に、窓パネルユニット71の下端部は、遊技領域23aのアウト口59に隣接しており、より詳細には、窓パネルユニット71の下端部はアウト口59よりも下方に位置している。そうすると、窓パネルユニット71の下端部に生じさせた隙間から不正用治具を挿入するとともに、アウト口59を通じてその不正用治具を遊技盤23の背面側へと侵入させる行為が想定される。これに対して、窓パネルユニット71の下端部に、上記のような隙間の発生を抑制する構造が設けられていることにより、遊技盤23の背面側への不正用治具の侵入を阻止することが可能となる。
【0269】
<発光カバーユニット361>
次に、前扉枠14の前面において窓パネルユニット71の上方に設けられた発光カバーユニット361について、
図31~
図33を参照しながら詳細に説明する。
【0270】
図31は、発光カバーユニット361及びスピーカカバー362,363を分解して示す前扉枠14の前面側の分解斜視図であり、
図32は、背面側から見た発光カバーユニット361の分解斜視図であり、
図33は、
図1のA―A線断面図である。
【0271】
図31に示すように、前扉ベース14aの前面において窓部74の上方に位置する上縁部364には、LEDよりなる発光体365が搭載された基板搭載面366aをパチンコ機10前方に向けるようにして発光基板366が設けられている。発光基板366は、横長に形成されており、横方向に離間させて複数の発光体365が設けられている。また、上縁部364において発光基板366が設けられた位置の左右両側には、それぞれスピーカ装置367,368が設けられている。
【0272】
前扉ベース14aの上縁部364には、発光基板366をパチンコ機10前方から覆うようにして発光カバーユニット361が装着されているとともに、スピーカ装置367,368を前方から覆うようにして左右一対のスピーカカバー362,363が装着されている。この場合、発光カバーユニット361の横方向の両端側はスピーカカバー362,363に対して後方から対向しており、当該両端側を利用して背面側からネジ止めされていることで、発光カバーユニット361とスピーカカバー362,363とが一体化されている。
【0273】
つまり、発光カバーユニット361及びスピーカカバー362,363を前扉ベース14aの上縁部364に固定する際には、それぞれが個別に固定されるのではなく、これら発光カバーユニット361及びスピーカカバー362,363を一体化させた後に、それら一体物が前扉ベース14aの上縁部364に固定されている。当該一体物の前扉ベース14aへの固定は、前扉ベース14aの背面側から行われているが、その固定箇所は発光カバーユニット361側及びスピーカカバー362,363側の両方に存在している。より詳細には、その固定箇所は、発光カバーユニット361側に比べてスピーカカバー362,363側の方が多く設定されている。
【0274】
以下に発光カバーユニット361の構成についてより詳細に説明する。
【0275】
発光カバーユニット361は、
図32に示すように、外側発光カバー371と内側発光カバー381とを有する2重カバーとして構成されている。外側発光カバー371及び内側発光カバー381は、いずれもポリカーボネートなどの合成樹脂により形成されており、光を透過可能なように有色透明となっている。
【0276】
外側発光カバー371及び内側発光カバー381はいずれも、膨出方向とは反対側に向けて内部空間が開放された箱状に形成されており、各開口372,382は、一対の長辺部と、一対の短辺部とが存在するように形成されている。そして、外側発光カバー371は内側発光カバー381よりも一回り大きく形成されており、
図33に示すように、外側発光カバー371の外側開口372側から内側発光カバー381が挿入されており、2重カバーが形成されている。
【0277】
なお、外側発光カバー371及び内側発光カバー381はいずれも、金型を利用して形成されており、板厚は概ね一定となっている。
【0278】
内側発光カバー381において内側開口382の周縁部の短辺部から膨出先の内側膨出部383に亘る周面を規定する一対の内側短板部384a,384bには、
図32に示すように、当該内側短板部384a,384bの他の外周面に比べて外方に張り出した一対の張出部385a,385bが一体形成されている。当該張出部385a,385bに対応させて、外側発光カバー371において内側短板部384a,384bに外側から重なる一対の外側短板部374a,374bには、外側開口372の周縁部から膨出方向へと凹んだ位置合わせ凹部375a,375bが形成されている。外側発光カバー371内に内側発光カバー381を挿入した場合には、位置合わせ凹部375a,375bに対して挿入元側から各張出部385a,385bが当接することで、外側発光カバー371に対する内側発光カバー381の挿入方向の位置が定められる。また、このように挿入方向の位置が定められた状態において、外側発光カバー371における膨出先の外側膨出部373は内側膨出部383に外側から重なっている。
【0279】
ちなみに、各張出部385a,385bには、既に説明したとおり、スピーカカバー362,363を固定するためのネジが挿通されるフランジが形成されているとともに、それ以外にも、発光カバーユニット361を前扉ベース14aの上縁部364に係止させるためのフック部386a,386bと、発光カバーユニット361を前扉ベース14aの上縁部364にネジ止めするためのネジ孔が形成されたボス387a,387bと、が一体形成されている。
【0280】
内側発光カバー381において内側開口382の周縁部の長辺部から膨出先の内側膨出部383に亘る周面を規定する一対の内側長板部388a,388bには、内側開口382の周縁部寄りの位置に、外方へと起立させて爪部391が一体形成されている。当該爪部391は、各内側長板部388a,388bにおいて所定間隔を置いて複数(具体的には2個)形成されている。
【0281】
当該爪部391に対応させて、外側発光カバー371において内側長板部388a,388bに外側から重なる一対の外側長板部376a,376bには爪受け用の孔部392が形成されている。各爪受け用の孔部392に対して対応する爪部391が挿入されていることにより、外側発光カバー371に対して内側発光カバー381が仮止めされ、外側発光カバー371からの内側発光カバー381の抜けが防止される。
【0282】
ここで、上記のように所定方向に膨出しているとともに開口372,382が長辺部を有するように形成された構成においては、長辺方向の中央側において内側発光カバー381及び外側発光カバー371が内側へと撓んでしまうことが懸念される。そのような撓みが発生すると、発光基板366や上縁部364のパチンコ機10前方からの被覆を良好に行えず、装飾性を低下させてしまう可能性がある。その一方、内側発光カバー381の内部空間において、内側長板部388a,388b間に亘るリブを形成する構成が考えられるが、この場合、内側発光カバー381を製造するための金型の形状が複雑化してしまい、製造が難しくなってしまう。また、内側発光カバー381及び外側発光カバー371が透過性を有していることに起因して、リブがパチンコ機10前方から視認可能となってしまい、装飾性を低下させてしまう可能性がある。かかる問題を解決するために、発光カバーユニット361にはスペーサ部材393が設けられている。
【0283】
スペーサ部材393は、ポリカーボネートなどの合成樹脂により形成されており、無色透明となっている。また、スペーサ部材393は、四角板状に形成されており、所定の辺方向(詳細には長辺方向)の長さ寸法は、一対の外側長板部376a,376b間の長さ寸法となっている。
【0284】
内側発光カバー381における一対の内側長板部388a,388bには、内側開口382の周縁部寄りの位置であって長辺方向の中央又は中央付近の位置に、スペーサ部材393における上記所定の辺方向の両端部394a,394bを内側から挿入可能とするように内外に貫通した一対のスペーサ用孔395a,395bが形成されている。これらスペーサ用孔395a,395bは、内側開口382の短辺方向に延びる仮想直線上に位置しており、具体的には縦方向において同一直線上に位置している。
【0285】
また、スペーサ部材393には、
図33に示すように、上記所定の辺方向の両端部394a,394bをスペーサ用孔395a,395bに挿入した状態においてこれらスペーサ用孔395a,395bの周縁部に内側から当接する一対の内側当接部396a,396bが一体形成されている。これにより、両端部394a,394bをスペーサ用孔395a,395bに挿入するように、スペーサ部材393が内側長板部388a,388b間に配置されている状態では、各内側当接部396a,396bにより内側長板部388a,388bが外側に向けて押される。これにより、内側発光カバー381の撓みが抑制される。
【0286】
ちなみに、各スペーサ用孔395a,395bは、対応する内側長板部388a,388bに形成された一対の各爪受け用の孔部392に挟まれた位置に設けられている。
【0287】
スペーサ部材393の両端部394a,394bは、内側当接部396a,396bがスペーサ用孔395a,395bの周縁部に内側から当接している状態において、スペーサ用孔395a,395bよりも若干外側に突出し、その突出先側が、外側発光カバー371における一対の外側長板部376a,376bに対して内側から当接する。そして、これら両端部394a,394bにより外側長板部376a,376bは外側に向けて押される。これにより、外側発光カバー371の撓みが抑制される。
【0288】
この場合、外側長板部376a,376bには、スペーサ部材393の両端部394a,394bを挿入させるための孔部などは形成されておらず、外側長板部376a,376bの内周面の任意の位置にスペーサ部材393の両端部394a,394bを当接させることが可能となっている。これにより、スペーサ部材393を設ける場合において、外側発光カバー371と内側発光カバー381との位置合わせ精度をそれほど高くしなくても、外側長板部376a,376b間にスペーサ部材393を起立させることが可能となる。
【0289】
上記のようにスペーサ部材393が設けられていることにより、内側発光カバー381及び外側発光カバー371は、各開口372,382側における長辺方向の中央寄りの位置での撓みが抑制された状態で一体化され、発光カバーユニット361とされている。そして、この発光カバーユニット361は、既に説明したとおり、発光基板366を覆うようにして前扉ベース14aの上縁部364にパチンコ機10前側から設けられている。この場合に、上述したフック部386a,386bによる係止や、ボス387a,387bに対するネジ止めが行われるが、このネジ止めは、スペーサ部材393に対しても行われる。
【0290】
つまり、スペーサ部材393には、
図32に示すように、開口372,382側の板面に当該開口372,382に向けて起立させて形成された一対のスペーサ側ボス397が一体形成されている。そして、これらスペーサ側ボス397に対して、
図33に示すように、前扉ベース14aの背面側からネジ止めされていることで、スペーサ部材393が前扉ベース14aの上縁部364に固定されており、それに伴って発光カバーユニット361が上縁部364に固定されている。
【0291】
このように発光カバーユニット361が固定された状態では、内側発光カバー381及び外側発光カバー371の膨出方向は、パチンコ機10前方に向けた方向となり、さらに各開口372,382の長辺方向は横方向であって短辺方向は縦方向となる。そして、内側発光カバー381の内部空間内に発光基板366が収容された状態となっている。当該発光基板366の複数の発光体365から照射された光は、内側発光カバー381及び外側発光カバー371を透過することでパチンコ機10前方から視認することができる。この場合、内側発光カバー381及び外側発光カバー371の周面には装飾用の凹凸が連続的に形成されており、当該凹凸での乱反射を通じて発光効果が高められている。
【0292】
また、発光基板366よりも前方にスペーサ部材393が存在しているが、当該スペーサ部材393は比較的小さく、さらに無色透明に形成されているため、パチンコ機10前方からはスペーサ部材393を視認しづらくなっている。したがって、スペーサ部材393を設けたとしても、装飾性が低下することはない。
【0293】
<外枠11の重ね合わせ構造>
次に、外枠11において遊技機本体12が上方から載ることとなる下枠部402に設けられた重ね合わせ部材411について、
図3、
図34及び
図35を参照しながら詳細に説明する。
【0294】
図34(a)は下枠部402を拡大して示す前方から見た斜視図であり、
図34(b)は下枠部402を拡大して示す後方から見た斜視図である。また、
図35(a)は下枠部402の平面図であり、
図35(b)は重ね合わせ部材411の作用を説明するための下枠部402及びその周辺の縦断面図である。
【0295】
既に説明したとおり、外枠11は、板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。詳細には、
図3に示すように、上下一対の上枠部401及び下枠部402を有しているとともに、これら上枠部401及び下枠部402の左右両端を縦方向に連結する左右一対の左枠部403及び右枠部404を有している。これら各枠部401~404のうち、左枠部403及び右枠部404は金属製の板材により構成されており、上枠部401は木製の板材により構成されている。
【0296】
一方、下枠部402は、
図34(a)及び
図34(b)に示すように、木製の下枠ベース405を有しているとともに、当該下枠ベース405の上方に横長の台座406が搭載されている。台座406は、ABS樹脂などの合成樹脂により形成されており、下枠ベース405の横方向の全体に亘って存在している。
【0297】
台座406の組み付けについて詳細には、左枠部403及び右枠部404の下端部はそれぞれ下枠ベース405の上面に存在しているため、左枠部403及び右枠部404間の距離に比べて下枠ベース405の横方向の寸法は大きい。また、左枠部403及び右枠部404は下枠ベース405の後方寄りの位置に設けられているため、下枠ベース405にはこれら両枠部403,404よりもパチンコ機10前方へと延出した延出領域405aが存在している。
【0298】
台座406は、前側の方が後側に比べて横方向の寸法が大きくなるように箱状又は角柱状に形成されており、下枠ベース405の上面において延出領域405aの全体に対してその上方に位置しているとともに、左枠部403及び右枠部404間にも入り込んでいる。この場合、台座406の横方向の両端部には、台座406の前側の横方向寸法を後側の横方向寸法よりも大きくさせる一対の段差部406aが形成されており、これら段差部406aが左枠部403及び右枠部404に対してパチンコ機10前方から当接している。また、台座406の前後方向の寸法は、
図35(a)に示すように、下枠ベース405の前後方向の寸法よりも小さいため、台座406は下枠ベース405の後端部にまでは至っておらず、下枠ベース405上において台座406の後方には所定の空間が確保されている。
【0299】
台座406は、
図34(a)に示すように、パチンコ機10前方を向く前面407を有しており、当該前面407は例えばパチンコ機10のメーカー名などが付される幕板部として機能する。また、台座406において上方を向く上面408には、
図34(a)及び
図35(a)に示すように、複数の金具11a,409a,409bが設けられている。当該金具11a,409a,409bの一つとして、既に説明した下側軸金具11aが設けられている。当該下側軸金具11aは、板状に形成されており、台座406の上面408において左枠部403側の隅部に設けられている。また、上記金具11a,409a,409bとして、台座406の上面408において右枠部404側の隅部と、横方向の途中位置とに、それぞれ支持用金具409a,409bが設けられている。
【0300】
遊技機本体12を外枠11に対して閉鎖状態とした際には、
図35(b)に示すように、中間ユニット13における樹脂ベース21の下端部21aが台座406の上方に載ることとなるが、当該下端部21aが直接載る箇所は、上記金具11a,409a,409b上となっている。この場合に、台座406の上面408において樹脂ベース21の下端部21aが載る領域は、当該上面408の前寄りの領域となっており、後寄りの領域には樹脂ベース21が載っておらず、樹脂ベース21は当該後寄りの領域に対して縦方向に離間されている。この後寄りの領域に対して、重ね合わせ部材411が設けられている。
【0301】
重ね合わせ部材411は、ポリカーボネートなどの合成樹脂により透過性を有するように形成されている。より詳細には、重ね合わせ部材411により規定される内部の空間を、重ね合わせ部材411の外部から視認可能となるように形成されている。
【0302】
重ね合わせ部材411は、
図34(a)に示すように、台座406の上面408上において左枠部403及び右枠部404間の全体に亘って存在するように横長に形成されている。また、重ね合わせ部材411は、奥側起立壁412と、当該奥側起立壁412の上端からパチンコ機10前方へと延出するように一体形成された庇部413と、を備えている。そして、これら奥側起立壁412、庇部413及び台座406の上面408により区画されることで、パチンコ機10後方に向けて凹むとともに、パチンコ機10前方に向けて開放された重ね合わせ溝414が形成されている。
【0303】
重ね合わせ溝414は、重ね合わせ部材411の横方向の全体に亘って一連となるように形成されているのではなく、横方向に断続的となるように形成されている。つまり、重ね合わせ部材411の奥側起立壁412は、
図34(b)に示すように、重ね合わせ部材411の台座406への固定に際して利用される固定箇所415a~415cを横方向に複数形成するために、パチンコ機10前方へと変位した前方変位部412a~412cが形成されている。これら前方変位部412a~412cは、所定の間隔を置いて横方向に複数(具体的には3箇所)形成されている。これら前方変位部412a~412cが形成されていることにより、
図35(a)に示すように、重ね合わせ部材411には上方を向く固定箇所415a~415cが存在しており、当該固定箇所415a~415cに対して上方から着脱自在のネジ416によるネジ固定が行われていることで、重ね合わせ部材411が台座406に固定されている。
【0304】
ちなみに、前方変位部412a~412cの横方向の寸法は、比較的小さく、遊技球の直径未満、より詳細には遊技球の半径未満となっている。また、前方変位部412a~412cが形成されていることにより、上記のように固定箇所415a~415cを形成可能となるだけでなく、庇部413に対して柱部として機能し、横長の当該庇部413が下方に撓んでしまうことが防止される。
【0305】
重ね合わせ溝414の説明に戻り、当該重ね合わせ溝414は、
図35(a)に示すように、重ね合わせ部材411の左側の側壁部411a、上記各前方変位部412a~412c、及び右側の側壁部411bにより区画されることで、上記のとおり横方向に断続的となるように、すなわち横方向に複数形成されている。以下、各重ね合わせ溝414a~414dとも言う。
【0306】
各重ね合わせ溝414a~414dは、
図35(b)に示すように、その高さ寸法X1は、遊技球の直径Rよりも大きく且つ遊技球の直径Rの2倍よりも小さく設定されている。また、各重ね合わせ溝414a~414dの奥行き寸法X2は、遊技球の直径R程度に設定されている。また、
図35(a)に示すように、各重ね合わせ溝414a~414dの横方向の寸法Y1~Y4はいずれも、遊技球の直径Rよりも大きく設定されており、さらに言うと、複数の遊技球を横に並べることが可能な大きさに設定されている。ちなみに、各重ね合わせ溝414a~414dは、パチンコ機10前方に向けて広口となるように、両側面は傾斜させて形成されている。
【0307】
また、台座406の上面408において重ね合わせ部材411の庇部413に対して対向する領域、すなわち台座406の上面408において各重ね合わせ溝414a~414dを形成する領域は、
図35(b)に示すように、パチンコ機10前方に向けて下るように傾斜している。この底側傾斜面408aは、庇部413と対向する領域をパチンコ機10前方に越えた位置まで形成されている。
【0308】
ちなみに、台座406の上面408において底側傾斜面408aに対してパチンコ機10前方にて連続する領域は、水平又は略水平の平坦面408bとなっている。そして、この平坦面408bの上方に上記複数の金具11a,409a,409bが設けられており、これら複数の金具11a,409a,409bにおいて平坦面408bの上方に位置する領域に中間ユニット13の下端部21aが載る構成であるため、上記のように底側傾斜面408aが形成された構成であっても、遊技機本体12を外枠11の下枠部402上に安定した状態で保持することが可能となる。
【0309】
各重ね合わせ溝414a~414dは、遊技機本体12を外枠11に対して閉鎖状態とした場合に、
図35(b)に示すように、樹脂ベース21において下端部21aから連続するとともにパチンコ機10後方を向く本体側対向面21bに対して、パチンコ機10後側から対向することとなる。そして、本体側対向面21bは、樹脂ベース21の横方向の全体又は略全体に亘って形成されているため、本体側対向面21bと重ね合わせ溝414a~414dとの対向状態は、横方向の全体又は略全体に亘って存在することとなる。これにより、遊技機本体12の下端部21aと外枠11の下枠部402との間から不正用治具をパチンコ機10の内部や背面側に挿入しようとしても、不正用治具の先端が重ね合わせ溝414a~414d内に入り込むことで、それ以上の侵入を阻止することが可能となる。
【0310】
各重ね合わせ溝414a~414dは既に説明したとおりその奥行き寸法X2が遊技球の直径R程度となっており、さらに各重ね合わせ溝414a~414dの前方開口部と本体側対向面21bとは前後に若干離間されていることにより、各重ね合わせ溝414a~414dの奥面と、本体側対向面21bとの間の距離X3は遊技球の直径Rよりも大きく且つ遊技球の直径Rの2倍よりも小さく設定されている。また、既に説明したとおり、各重ね合わせ溝414a~414dの高さ寸法X1は、遊技球の直径Rよりも大きく、さらには各重ね合わせ溝414a~414dの横方向の寸法Y1~Y4も遊技球の直径Rよりも大きく設定されている。これにより、外枠11の下枠部402上に遊技球が載っている状態で遊技機本体12が閉鎖されたとしても、その遊技球は各重ね合わせ溝414a~414d内に入り込むことで、当該閉鎖操作を阻害することはない。よって、メンテナンスに際しての作業性を低下させることなく、さらにはメンテナンスに際しての球噛みの発生による部材の破損などを防止しながら、上記不正行為を抑制する構造を設けることができる。
【0311】
特に、遊技ホールにおいて遊技機本体12を外枠11に対して開放した場合、タンク181に貯留された遊技球などが零れて下枠部402上に載ることが懸念される。また、遊技機本体12には多数の遊技機構成部品が搭載されているため、比較的重く、遊技機本体12を外枠11に対して閉鎖する場合には勢いよく閉鎖される。この場合、下枠部402上に遊技球が載っていると、遊技機本体12の閉鎖に際して当該遊技球により樹脂ベース21や重ね合わせ部材411に対して大きな衝撃を与えてしまうことが懸念される。これに対して、上記のように遊技球を逃がして収容する構造が設けられていることにより、かかる不都合の発生を抑制することが可能となる。
【0312】
一方、既に説明したとおり、各重ね合わせ溝414a~414dの底面は底側傾斜面408aにより形成されているため、上記のように遊技球が重ね合わせ溝414a~414d内に収容されたとしても、次回の遊技機本体12の開放操作に際して当該遊技球は自重により下り、下枠部402上からパチンコ機10前方へと排出されることとなる。
【0313】
上記のとおり、各重ね合わせ溝414a~414dの前方開口部は本体側対向面21bに対してパチンコ機10後方に若干離間されている。また、
図35(b)に示すように、下枠部402において遊技機本体12の重量を下方から支える部位は、台座406において重ね合わせ部材411よりも前方に位置する領域であり、重ね合わせ部材411に対しては遊技機本体12は上方から載らない構成となっている。これにより、遊技機本体12の閉鎖操作に際して、その閉鎖操作に伴う外力が重ね合わせ部材411に直接付与されてしまうことが抑えられ、さらに遊技機本体12の閉鎖状態において当該遊技機本体12の重量負荷が重ね合わせ部材411に付与されてしまうこともない。
【0314】
また、中間ユニット13の樹脂ベース21には、本体側対向面21bと重ね合わせ溝414a~414dとの境界に対して、その上方にて対向し、当該境界を概ね閉塞する塞ぎ壁21cが形成されている。これにより、本体側対向面21bと重ね合わせ溝414との境界から不正用治具を上方へと侵入させようとしても、それが塞ぎ壁21cとの当接により阻止される。
【0315】
<電気的構成>
図36は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
【0316】
主制御装置91は、遊技の主たる制御を司る主制御基板421と、電源を監視する停電監視基板422と、を具備している。主制御基板421には、MPU423が搭載されている。MPU423には、ROM424及びRWM425が内蔵されている。
【0317】
ROM424は、MPU423により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶している。RWM425は、SRAMやDRAMからなり、ROM424内に記憶されている制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶する。また、MPU423又は主制御基板421には、上記素子以外に、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが設けられている。
【0318】
MPU423には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU423の入力側及び出力側には、各種制御装置が接続されているとともに、各種センサ、各種駆動部及び各種表示部が接続されている。先ず各種センサ、各種駆動部及び各種表示部との接続に係る構成について説明する。
【0319】
MPU423の入力側には、遊技領域の一般入賞口51、可変入賞装置52、上作動口53、下作動口54及びスルーゲート55に対して設けられた各入賞用検知センサ426a~426eが電気配線を介して電気的に接続されている。MPU423では、各入賞用検知センサ426a~426eから信号を受信し、その受信結果に基づいて各入賞部への入賞判定(入球判定)が行われる。この場合、一般入賞口51、可変入賞装置52、上作動口53又は下作動口54への入賞を特定した場合には、各入賞対象に対応した遊技球の払い出しが実行されるようにするための処理を実行する。また、上作動口53又は下作動口54への入賞を特定した場合には、所定の更新タイミングとなる度に数値情報の更新が行われる各種カウンタから数値情報を取得して保留情報として記憶するとともに、保留情報が記憶されている場合には、可変入賞装置52が複数回に亘って開閉される開閉実行モードに移行させるか否かの当否判定や当該開閉実行モード後の遊技状態を決定するための振分判定を行う。そして、それら当否判定や振分判定の結果に基づいて、遊技を進行させる。
【0320】
MPU423の出力側には、可変入賞装置52を開閉動作させる可変入賞駆動部52aと、下作動口54の電動役物54aを開閉動作させる電動役物駆動部54bと、が電気配線を介して電気的に接続されている。また、MPU423の出力側には、メイン表示部57と、役物用表示部58と、が電気配線を介して電気的に接続されている。主制御基板421には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU423は各種駆動部52a,54bの駆動制御を実行するとともに各種表示部57,58の表示制御を実行する。
【0321】
つまり、開閉実行モードにおいては可変入賞装置52が開閉されるように、MPU423において可変入賞駆動部52aの駆動制御が実行される。また、電動役物54aの開放状態当選となった場合には、電動役物54aが開閉されるようにMPU423において電動役物駆動部54bの駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、MPU423においてメイン表示部57の表示制御が実行される。また、電動役物54aを開放状態とするか否かの抽選結果を明示する場合に、MPU423において役物用表示部58の表示制御が実行される。
【0322】
払出制御装置116は、払出装置184を通じた遊技球の払出の制御を司る払出制御基板431を具備している。払出制御基板431には、MPU432が搭載されている。MPU432には、ROM433及びRWM434が内蔵されている。なお、以下の説明では、主制御装置91に設けられたMPU423、ROM424及びRWM425と区別するために、主制御装置91に設けられたMPU423、ROM424及びRWM425を主側MPU423、主側ROM424及び主側RWM425と称し、払出制御装置116に設けられたMPU432、ROM433及びRWM434を払出側MPU432、払出側ROM433及び払出側RWM434と称する。
【0323】
払出側ROM433は、払出側MPU432により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶している。払出側RWM434は、SRAMやDRAMからなり、払出側ROM433内に記憶されている制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶する。また、払出側MPU432又は払出制御基板431には、上記素子以外に、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが設けられている。
【0324】
払出側MPU432は払出装置184と電気的に接続されている。具体的には、払出側MPU432の出力側には払出モータ235が電気配線を介して電気的に接続されているとともに、払出側MPU432の入力側には払出検知センサ237が電気配線を介して電気的に接続されている。払出側MPU432では、払出制御基板431に設けられたドライバ回路を通じて払出モータ235に駆動信号を供給することで遊技球の払出を実行させるとともに、払出検知センサ237の検知結果に基づいて払出が完了した遊技球の個数を把握する。
【0325】
また、払出側MPU432は、裏パックユニット15に設けられた球貸用接続端子板118と電気配線を通じて電気的に接続されているとともに、当該球貸用接続端子板118が電気配線を通じて球貸装置LDと電気的に接続されている。
【0326】
球貸装置LDは所謂CRユニットであり、図示による説明は省略するが外枠11の側方に設けられており、球貸装置LDの前面側にはカード挿入口が設けられている。そのカード挿入口へのカードの挿入を行うとともに、パチンコ機10に設けられた貸球操作装置(図示略)を適宜手動操作することによりカードに記憶された金額に相当する数の遊技球の貸し出しを受けることができるようになっている。払出側MPU432は、球貸装置LDとの間で電気信号の送受信を行うことで貸球の制御を実行する。
【0327】
なお、払出側MPU432には上記払出装置184や球貸装置LD以外にも、下皿84といった球受け皿が遊技球の満杯状態となっているかを検知する満杯検知センサが電気的に接続されているとともに、タンク181が球無状態となっているかを検知する球無センサ209が電気的に接続されている。
【0328】
払出側MPU432は、主側MPU423との間で通信を行うことに基づき、遊技球の払出を制御する。具体的には、主側MPU423では入賞用検知センサ426a~426eの検知結果に基づいて賞球の発生に対応した入賞部への入賞を確認した場合に払出側MPU432に向けて賞球コマンド(払出指令情報)を送信する。この場合、賞球コマンドには自身が賞球コマンドであることを示す情報及び賞球を実行すべき個数の情報が含まれており、複数ビットの情報として構成されている。当該賞球コマンドを受信することで、払出側MPU432は、その賞球コマンドにより指示された個数の遊技球が払い出されるように払出モータ235を駆動制御する。そして、払出検知センサ237の検知結果に基づいて、上記指示に係る個数の遊技球の払い出しが完了したと判断した際には、払出モータ235の駆動制御を停止する。この際、払出モータ235に接続されている回転体231の回転位置は既に説明した位置となるように制御される。
【0329】
電源装置117は、電入時用電源部441と、電断時用電源部442とが設けられている。電入時用電源部441は、例えば遊技ホール等における商用電源(外部電源)に接続されており、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御装置91や払出制御装置116等の各々に必要な動作電圧を生成するとともに、その生成した動作電圧を主制御装置91や払出制御装置116等に対して供給する。
【0330】
電入時用電源部441と主側MPU423との電力供給経路の途中位置には停電監視基板422が設けられている。停電監視基板422は、電入時用電源部441から供給される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。そして、この電圧が22ボルト未満になると電源遮断の発生と判断し、主側MPU423に対する停電信号(電断信号)の出力設定を停電(電源遮断)の発生に対応したものとする。
【0331】
電断時用電源部442はコンデンサからなり、パチンコ機10の電源がON状態の場合(商用電源からの電力供給が行われている場合)に電入時用電源部441から供給される電力により充電される。また、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における停電発生時といった電源遮断状態(商用電源からの電力供給が遮断されている場合)では、電断時用電源部442から放電され主側RWM425や払出側RWM434に対して記憶保持用電力(バックアップ電力)が供給される。よって、かかる状況であっても、電断時用電源部442から記憶保持用電力が供給されている間は主側RWM425及び払出側RWM434に記憶された情報が消去されることなく記憶保持される。
【0332】
発射制御装置121には、発射制御基板122が設けられている。発射制御基板122には、条件成立の送信回路451と、発射許可の受信回路452と、発射用IC124aと、が設けられている。
【0333】
条件成立の送信回路451は、予め定められた遊技球の発射条件が成立している場合において主側MPU423に対して所定の信号形態の条件成立信号を送信する機能を有している。具体的には、発射制御基板122は、発射操作装置31の操作ハンドル33が遊技者により触れられていることを検知するタッチセンサ35と、操作ハンドル33を回転操作している状況であっても遊技球の発射を停止させるべく遊技者により手動操作される発射止めスイッチ36と、が電気的に接続されている。また、発射制御基板122は、払出制御基板431と電気的に接続されており、球貸装置LDが球貸用接続端子板118に対して電気的に接続されているか否かを示す信号を入力する。
【0334】
条件成立の送信回路451は、タッチセンサ35から操作ハンドル33が遊技者により触れられていることを示す信号を受信するとともに、発射止めスイッチ36から遊技者により手動操作されていないことを示す信号を受信し、さらに払出側MPU432から球貸装置LDが接続されている旨の信号を受信している場合に、主側MPU423に対してHIレベルの条件成立信号(条件成立に対応した信号)を送信する。なお、上記各信号のいずれかを受信していない場合には、主側MPU423に対してLOWレベルの条件成立信号(条件成立に対応していない信号)を送信する。但し、かかる構成に限定されることはなく、LOWレベルとHIレベルとの関係が逆であってもよい。
【0335】
発射許可の受信回路452は、条件成立の送信回路451から主側MPU423に対してHIレベルの条件成立信号が送信されていることを一の条件として主側MPU423から送信されるHIレベルの発射許可信号(発射許可に対応した信号)を受信するとともに、当該発射許可信号を受信している場合にそれに対応した信号を発射用IC124aに継続して供給する機能を有している。なお、主側MPU423は、条件成立の送信回路451からHIレベルの条件成立信号を受信していない場合にはLOWレベルの発射許可信号(発射許可に対応していない信号)を送信するが、発射許可信号のLOWレベル信号とHIレベル信号との関係が逆であってもよい。また、主側MPU423は、HIレベルの条件成立信号の受信を開始するたびにHIレベルの発射許可信号の送信を新たに開始するとともにHIレベルの条件成立信号の受信が終了した場合にはHIレベルの発射許可信号の送信を終了する。
【0336】
発射用IC124aは、発射許可の受信回路452からHIレベルの発射許可信号又はそれに対応した信号を受信している場合に、遊技球発射機構41のソレノイド42及び球送り装置44のそれぞれに対して定期的に駆動信号を出力する機能を有している。この場合、発射用IC124aは、パルス信号として各駆動信号を出力するとともに、その出力周期は0.6secとなっている。また、発射レール43に1個の遊技球が供給された後に、当該遊技球が発射されるように、駆動信号の出力タイミングは球送り装置44の方がソレノイド42よりも早く設定されている。
【0337】
なお、発射操作装置31には上記のとおり操作ハンドル33が設けられており、当該操作ハンドル33の操作量が多いほどソレノイド42による遊技球の発射強度が強くなる。この場合、発射操作装置31には操作ハンドル33の操作量を検知するための可変抵抗器34が設けられており、発射用IC124aでは当該可変抵抗器34から入力する電圧を通じてソレノイド42に供給する駆動信号の電圧を調整して発射強度を調整する。
【0338】
音声発光制御装置93は、主側MPU423から受信したコマンドに基づき、発光体365及びスピーカ装置367,368を駆動制御するとともに、表示制御装置92にコマンドを送信する。表示制御装置92は、音声発光制御装置93から受信した各種コマンドを解析し又は受信した各種コマンドに基づき所定の演算処理を行って、図柄表示装置62における画像の表示を制御する。
【0339】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0340】
タンク181の出口部分から払出装置184の回転体231の位置に亘って設けられた待機通路に、下り傾斜させて形成された上流通路領域191a,191bが形成されていることにより、タンク181から流下してくる遊技球の重量負荷を良好に受けながら、遊技球を下流側へと整列させていくことが可能となる。そして、この整流効果は、整流カバー197が設けられていることにより高められている。
【0341】
この場合に、待機通路において整流カバー197の傾斜面253aの最上流部に対応する位置までの通路長及び当該傾斜面253aの傾きは、各上流通路領域191a,191bの底面上に一列に整列された遊技球列に対して積層された2段目であって最も先頭に位置している遊技球B2が傾斜面253aに対して上流側から接しないように設定されている。
【0342】
例えば、回転体231が停止している状況で、1段目の遊技球列において接した状態で連続する遊技球B3,B4の両方に上方から接している遊技球B2が傾斜面253aに対して上流側から接している構成を想定すると、回転体231の回転が開始された際に、1段目において後側の遊技球B4と、傾斜面253aとの間に、上記2段目の遊技球B2が嵌り込んだ状態となり、球詰まりが発生してしまうことが懸念される。これに対して、回転体231が停止している状況では、上記2段目の遊技球B2が傾斜面253aに接していないようにすることで、当該2段目の遊技球が傾斜面253aに接した際の摩擦力が動摩擦力となり、上記例示した場合の静摩擦力に比べて摩擦力が小さくなる。よって、球詰まりが生じづらくなっている。
【0343】
また、整流カバー197よりも上流側には積層規制部材196が設けられており、当該積層規制部材196では、それよりも上流側において例えば3個以上の遊技球が積層された状態を積層個数が最大で2個となるように整流が行われる。これにより、遊技球の積層数を段階的に減少させることが可能となる。さらにまた、積層規制部材196の規制部196aは、2段目の遊技球に下流側から当接し、当該遊技球に対して上流側であって下方に向けた力を付与する。これにより、1段目において一列に整列している遊技球列に対して積層された2段目の遊技球は、1段目において連続する2個の遊技球のそれぞれに対して斜め上方から当接した位置に配置される。
【0344】
払出装置184が遊技機本体12の背面にてその回動基端側に設けられた構成において、当該払出装置184の取り外しに際しては、回動基端側から固定解除操作を行う必要がある。これにより、払出装置184を不正に取り外そうとしても、その行為が行いづらくなっている。特に、回動基端側に払出装置184が設けられた構成において回動基端側から固定解除操作を行う必要がある構成としたことにより、払出装置184を不正に取り外そうとしても、外枠11に対して遊技機本体12を大きく回動させる必要が生じるため、当該不正行為の途中において遊技ホールの管理者がそれを発見し易くなる。
【0345】
タンク181の出口部分から払出装置184の回転体231の位置に亘って形成される待機通路として、第1待機通路及び第2待機通路という複数の通路が設けられていることにより、遊技球の払出動作の高速化が図られる。また、回転体231の各球止め部233,234は単一の払出モータ235により駆動されるため、これら球止め部233,234に対して個別に払出モータを設ける構成に比べて払出装置184の小型化が図られる。
【0346】
ここで、払出モータ235は、複数の待機通路のそれぞれから遊技球の重量負荷を受けている状態で、一対の球止め部233,234を同時に回転させる駆動力を生じさせる必要があるため、払出モータ235の本体部235bは比較的大型となり、軸方向の寸法はそれに対して直交する方向よりも大きくなる。さらにまた、払出モータ235の本体部235bは、通路形成部222に対して、第1下流通路領域224a及び第2下流通路領域224bの並設方向に並設する必要がある。そうすると、払出装置184は上記並設方向の寸法が、当該並設方向及び高さ方向に直交する方向の寸法に比べて大きくなる。これに対して、払出装置184において第1下流通路領域224a及び第2下流通路領域224bが横方向に並設されているとともに、通路形成部222に対して駆動収容部223は横方向に並設されている。これにより、パチンコ機10背面において後方に向けて払出装置184が大きく張り出してしまうことを抑えながら、払出装置184を配置することが可能となる。
【0347】
また、第1待機通路及び第2待機通路は、タンク181に連通された箇所から下り傾斜させて設けられた上流通路領域191a,191bを備えていることにより、これら待機通路に待機する遊技球の球圧を好適に低減することが可能となる。また、これら上流通路領域191a,191bは横方向に下り傾斜させて設けられているとともに、前後に並設されているため、これら上流通路領域191a,191bを設けるための空間の縮小化が図られる。当該構成において、第1待機通路及び第2待機通路には、第1待機通路及び第2待機通路を前後に並設させた状態から横方向に並設させた状態へ遷移させる遷移領域を有する中間通路領域201a,201bが形成されている。これにより、待機通路の上流側では遊技球の減圧を良好に行いながら、既に説明したように払出装置184がパチンコ機10背面において後方に向けて大きく張り出してしまうことが抑えられる。
【0348】
また、通路形成部222に対して駆動収容部223を横方向に並設する場合において、当該駆動収容部223は通路形成部222に対して遊技機本体12の回動基端側に並設される。駆動収容部223には、払出モータ235の本体部235bだけでなく、払出検知センサ237のコネクタ237cや、払出制御装置116に対して電気的な接続を行うための中継基板239が収容されているため、不正の対象となることが想定される。これに対して、遊技機本体12の背面にてその回動基端側に払出装置184が設けられた構成において、駆動収容部223を回動基端側に配置することで、払出検知センサ237のコネクタ237cや、中継基板239に対する不正を抑制することが可能となる。
【0349】
主制御装置91と発射制御装置121とが個別に設けられていることにより、発射制御装置121の機能が主制御装置91に集約される構成に比べて、主制御装置91の制御負荷の軽減が図られる。また、主制御装置91と発射制御装置121とが個別に設けられていることで、それぞれにとって適した位置にそれら制御装置91,121を配置することが可能となる。この場合に、発射制御装置121は、樹脂ベース21において遊技球発射機構41が表面に設置された下枠領域141の背面に設置されているため、当該発射制御装置121を遊技者が簡単に触れることができないようにしつつ、発射制御装置121と遊技球発射機構41とを電気的に接続するための電気配線152a,152dの短縮化が図られる。よって、発射制御装置121の設置を良好に行うことが可能となる。
【0350】
上皿83の底形成板部275の下方に衝撃吸収用ゴム板301が設けられており、底形成板部275が下方に撓もうとした場合には、厚み方向に圧縮されるように衝撃吸収用ゴム板301が変形する。これにより、球貸装置LDの球導出部材LD2から上皿83の底面271に遊技球が落下した際の衝撃を衝撃吸収用ゴム板301により吸収することが可能となる。よって、球貸装置LDの球導出部材LD2から供給された遊技球が上皿83の底面271上で大きく跳ねてしまうことが抑制され、当該遊技球が上皿83から零れてしまうことを抑制できる。
【0351】
また、衝撃吸収用ゴム板301は、上皿83の底面271上に設けられているのではなく、底形成板部275の下方に設けられている。衝撃吸収用ゴム板301は底形成板部275よりも柔らかい材料により形成されているため損傷し易い。この衝撃吸収用ゴム板301を上皿83の底面271上に設けると、継続的な使用による損傷や、遊技者の故意による損傷が生じ易くなってしまう。そして、上皿83の底面271にそのような損傷が生じると、上皿83における遊技球の流れが阻害されてしまうおそれがあり、さらには見た目上も好ましくない。これに対して、衝撃吸収用ゴム板301を底形成板部275の下方に設けたことにより、衝撃吸収用ゴム板301の上記のような損傷の発生を抑制しながら、上皿83から遊技球が零れてしまうことが抑制される。
【0352】
また、衝撃吸収用ゴム板301は、支持部材302により下方から受けられることで設けられており、底形成板部275に対して非接着状態及び非溶着状態で設けられている。底形成板部275に衝撃吸収用ゴム板301を接着又は溶着させた構成においては、接着層や溶着層が底形成板部275と衝撃吸収用ゴム板301との境界部分に生じ、衝撃吸収用ゴム板301における衝撃の吸収性が低下してしまうことが懸念される。これに対して、底形成板部275に対して衝撃吸収用ゴム板301が非接着状態及び非溶着状態で設けられていることにより、上記のような不都合が発生しないようにすることができ、衝撃吸収用ゴム板301における衝撃の吸収性を好適に発揮させることが可能となる。
【0353】
前扉枠14の前面において上皿ユニット261及び下皿ユニット312と横並びとなる位置に、パチンコ機10前方へ膨出するように形成された装飾キャラクタユニット311が設けられており、さらに当該装飾キャラクタユニット311は一部が上皿ユニット261と下皿ユニット312との間に入り込むように形成されている。これにより、比較的大型な装飾キャラクタを前扉枠14の前面に設けることが可能となり、パチンコ機10の装飾性が高められる。
【0354】
また、パチンコ機10前方に向けて膨出する上皿ユニット261と、同じくパチンコ機10前方に向けて膨出する装飾キャラクタユニット311とが、窓パネルユニット71の下方において横方向に並設された構成において、前扉ベース14aの背面には上皿ユニット261と装飾キャラクタユニット311との境界部分Lを跨ぐようにして補強プレート331が設けられている。これにより、境界部分Lにて前扉枠14の曲げ強度が低下してしまうことが抑えられ、窓パネルユニット71の下方の部分を、上記境界部分Lを基準としてパチンコ機10前方に撓ませようとしても、それが行いづらくなる。窓パネルユニット71の下方の部分がパチンコ機10前方に撓ませられると、窓パネルユニット71と窓部74との間に隙間が生じてしまい、その隙間から不正用治具が挿入されてしまうことが懸念される。また、遊技領域23aの前側を規定する窓パネルユニット71が遊技盤23の前面に対して前方に離れてしまい、遊技領域23aにおける遊技球の挙動に影響を与えてしまうことが懸念される。これに対して、上記のように補強プレート331が設けられていることで、窓パネルユニット71の下方の部分をパチンコ機10前方に撓ませようとしても、それが行いづらくなり、不正行為に対する耐性を高めながら、装飾性を高めることが可能となる。
【0355】
前扉枠14の窓部74において窓パネルユニット71の下端部(具体的には入り込み部358)を下方から受ける部位に対して、ガイドリブ353~355が設けられていることにより、窓パネルユニット71を窓部74のパネル当接面343にパチンコ機10後側から当接させるように回動操作する場合には、上記下端部をガイドリブ353~355上で摺動させながら当該回動操作を行うことが可能となる。これにより、窓パネルユニット71の交換や設置に際しての作業の容易化が図られる。
【0356】
また、窓パネルユニット71が前扉ベース14aに対して回動可能に支持された構成において、上記ガイドリブ353~355上を摺動させていくと、上記下端部である入り込み部358が、上記ガイドリブ353~355により形成されたガイド段差部357と、窓部74のパネル当接面343との間に入り込み、窓パネルユニット71は使用状態となる位置に自ずと配置される。これにより、比較的大型の窓パネルユニット71を使用状態となる位置に配置する際に位置合わせをも行う必要がある構成に比べて、当該配置作業の容易化が図られる。
【0357】
また、上記のようにガイド段差部357とパネル当接面343との間に窓パネルユニット71の入り込み部358が入り込んだ状態では、パチンコ機10前方から窓パネルユニット71を押したとしても、ガイド段差部357が入り込み部358に対してパチンコ機10後側から当接することで窓パネルユニット71の後方への変位が阻止される。これにより、窓パネルユニット71の下端部において窓部74との間に隙間を生じさせ、アウト口59に向けて不正用治具を挿入しようとしても、それが行いづらくなる。
【0358】
また、上記パネル当接面343及びガイド段差部357により区画されるようにして、窓パネルユニット71の中央側に向けて開放された溝が形成されている。これにより、仮に窓パネルユニット71の下端部において窓部74との間に隙間が形成され、不正用治具が挿入されたとしても、不正用治具の先端はその溝内に入り込むこととなり、それ以上の侵入を阻止することが可能となる。
【0359】
また、上記のように不正行為を抑制する構成がガイドリブ353~355を利用して実現されているため、例えば窓パネルユニット71をパネル当接面343に当接させた後に上記隙間の形成を阻止する別部材を装着する構成とは異なり、窓パネルユニット71の設置作業の作業性を低下させることなく、上記不正行為に対する耐性が高められる。
【0360】
また、ガイドリブ353~355は、前側通路形成ユニット321に形成されているため、ガイドリブ353~355専用の部材を設ける構成に比べて、部材点数の削減が図られる。
【0361】
膨出方向とは反対側に内部空間を開放させて形成されているとともに、内側開口382が長手方向と短手方向とを有するように形成された内側発光カバー381を備えた構成において、当該内側発光カバー381の内側長板部388a,388b間にスペーサ部材393が取り付けられており、当該スペーサ部材393により内側長板部388a,388bが外側に向けて押圧されている。これにより、内側発光カバー381の製造の容易化を図りながら、内側発光カバー381の内側への撓みを阻止することが可能となる。
【0362】
また、内側発光カバー381の外周面を覆うように外側発光カバー371が設けられており、内外2重の発光カバーユニット361が設けられた構成において、スペーサ部材393は内側発光カバー381の一対の内側長板部388a,388bだけでなく、外側発光カバー371の一対の外側長板部376a,376bも外側に向けて押圧している。これにより、構成の簡素化を図りながら、内側発光カバー381だけでなく、外側発光カバー371の内側への撓みをも阻止することが可能となる。
【0363】
外枠11の下枠部402に重ね合わせ部材411が設けられており、遊技機本体12を閉鎖状態とした場合には、当該遊技機本体12の下端部21aが下枠部402上に乗った状態で、遊技機本体12の本体側対向面21bに対してその後方にて重ね合わせ部材411が対向した状態となる。これにより、遊技機本体12と下枠部402との間から不正用治具を挿入しようとしても、それが重ね合わせ部材411に対して前方から当接することとなり、それ以上の侵入を阻止することが可能となる。
【0364】
また、重ね合わせ部材411には、パチンコ機10前方に向けて開放された重ね合わせ溝414a~414dが形成されているため、上記不正用治具は重ね合わせ溝414a~414d内に入り込むこととなり、当該不正用治具のそれ以上の侵入をより確実に阻止することが可能となる。
【0365】
また、重ね合わせ溝414a~414dは、遊技球が入り込み可能な大きさに形成されており、遊技機本体12を閉鎖した状態において、本体側対向面21bと、重ね合わせ溝414a~414dの奥面との間に遊技球が待機可能な構成となっている。これにより、下枠部402上に遊技球が載っている状態で遊技機本体12が閉鎖されたとしても、その遊技球を重ね合わせ部材411と本体側対向面21bとの間で噛み込んでしまう可能性が低減される。よって、遊技機本体12の閉鎖操作に支障をきたすことなく、外枠11の下枠部402と遊技機本体12との隙間からの不正用治具の挿入を阻止することが可能となる。
【0366】
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、窓パネルユニット71のガイド構造に係る構成が上記第1の実施の形態と異なっている。
図37は、本実施の形態におけるガイド構造に係る構成を説明するためのガイドリブ353~355周辺の縦断面図である。
【0367】
図37に示すように、本実施の形態における窓パネルユニット71の固定枠461には、上記第1の実施の形態における固定枠73と異なり、パネル当接面343とガイド段差部357との間に入り込む入り込み部358は形成されていない。当該構成の場合、ガイド段差部357が固定枠461に対してパチンコ機10後側から当接した状態とならないため、窓パネルユニット71がパチンコ機10後方に向けて押されたとしても、それをガイド段差部357にて受けることができないが、その分、窓パネルユニット71を背面側へと回動させる際にガイド段差部357が干渉しないため、当該回動操作の作業性は向上する。
【0368】
また、ガイド段差部357が固定枠461に対してパチンコ機10後側から当接しないとしても、ガイド段差部357、後方段差部342及びパネル当接面343により、窓パネルユニット71側に向けた溝部462が形成された状態となる。この溝部462の底面は、窓部74においてパチンコ機10前方に露出する縁部分よりも外側に存在しており、窓パネルユニット71における前側の透明ガラス72aと、パネル当接面343との境界部分に不正用治具を挿入した場合に、その挿入先側に存在することとなる。そして、溝部462の底面に不正用治具の先端が達したとしても、その先端はガイド段差部357を越えることは難しい。
【0369】
さらには、窓パネルユニット71が僅かに後方に変位されたとしても、固定枠461は依然としてガイドリブ353~355上に載った状態となることが期待され、不正用治具の先端がガイド段差部357を越えようとしても、それが固定枠461の周面に当接し、それ以上の侵入が規制されることが期待される。この固定枠461の周面による侵入規制の作用は、窓パネルユニット71を使用状態に配置している場合において、固定枠461の周面が溝部462の底面に対して内側にて対向した状態となっている構成とすることで生じさせることが可能となる。
【0370】
<第3の実施の形態>
本実施の形態では、外枠11の下枠部471の構成が上記第1の実施の形態と異なっている。
図38(a)は本実施の形態にける下枠部471を拡大して示す前方から見た斜視図であり、
図38(b)は本実施の形態における下枠部471を拡大して示す後方から見た斜視図である。また、
図39は下枠部471の分解斜視図である。
【0371】
図39に示すように、本実施の形態における台座472は内部が空洞となっており、その内部空間にはスピーカ装置473が設置されている。当該スピーカ装置473は遊技機本体12の回動先端側の端部に設けられており、さらに前面を下方に向けて設置されている。台座472の表面を形成する前板部474には前後に貫通する多数の貫通孔が形成されており、当該貫通孔によりスピーカ装置473の前面から出力された音をパチンコ機10前方に向けて放出するための第1の音出口475が形成されている。また、台座472の内部空間はスピーカ装置473の後面から出力された音を回動基端側に形成された第2の音出口476へ導く音通路を形成しており、当該第2の音出口476を通じて、スピーカ装置473の後面から出力された音がパチンコ機10前方に向けて放出される。
【0372】
台座472は上蓋部材481を備えており、台座ベース482から取り外すことで、台座472の内部空間を開放させることが可能となり、例えばスピーカ装置473の交換やメンテナンスを行うことが可能となる。なお、上蓋部材481及び台座ベース482を含めて台座472はABS樹脂などの合成樹脂により形成されている。
【0373】
上蓋部材481は、回動基端側に設けられた下側軸金具11aと、回動先端側に設けられた支持用金具409bとの間に亘って延在しており、その上面には支持用金具409aが設けられている。また、上蓋部材481の上面には、スピーカ装置473を音声発光制御装置93などに対して電気的に接続するためのコネクタ483が設けられている。
【0374】
下側軸金具11a及び上蓋部材481上に、
図38(a)に示すように、合成樹脂製の重ね合わせ部材484が設けられている。当該重ね合わせ部材484は、上記第1の実施の形態における重ね合わせ部材411と同様に、複数の重ね合わせ溝485を区画形成している。これにより、遊技機本体12と下枠部471との間から不正用治具を侵入させる行為を抑制することが可能となるとともに、下枠部471上に遊技球が載っている状態で遊技機本体12が閉鎖されたとしても、その遊技球を重ね合わせ溝485側に逃がすことが可能となる。さらに、上蓋部材481の上面において重ね合わせ溝485の底面を構成する領域はパチンコ機10前方に向けて下り傾斜となっているため、重ね合わせ溝485内に収容された遊技球は、次回の遊技機本体12の開放操作に際して自重により前方へと下り、下枠部471上から排出される。
【0375】
また、既に説明したとおり、上蓋部材481の上面にはコネクタ483が設けられているため、重ね合わせ部材484は当該コネクタ483を避けるようにして設けられており、当該コネクタ483が設けられた領域では重ね合わせ溝485が形成されていない。コネクタ483は、
図38(b)に示すように、パチンコ機10背面側に露出しており、遊技機本体12を外枠11に対して前方に回動させさえすれば、コネクタ483にアクセス可能となる。これにより、配線の接続作業の容易化が図られる。
【0376】
<他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組み合わせて適用してもよい。
【0377】
(1)タンク181の出口部分から払出装置184の回転体231の位置に亘って形成された待機通路において球詰まりの発生を抑制しながら遊技球の整列を良好に行えることができるという傾斜面253aの機能に着目した場合、待機通路は2列に限定されることはなく、3列以上であってもよく、一列であってもよい。また、当該機能を発揮する待機通路及び傾斜面253aの構成は、タンク181から流下してきた遊技球であって遊技者に払い出すための遊技球が待機する通路以外の待機通路に対して適用してもよい。
【0378】
例えば、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体の前面側に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機において、貯留部から取込装置へと続く待機通路に対して適用してもよい。この場合、取込装置における遊技球の取込を良好に行えるようにしながら、球詰まりの発生を抑制できる。
【0379】
(2)払出装置184を固定するために利用されるネジ248の頭部に対して回動基端側から対向する対向板部を、外枠11に設けてもよい。この場合、払出装置184を取り外すためには、外枠11に対して遊技機本体12を回動させる必要が生じる。
【0380】
(3)設置領域245と払出装置184とに、ネジ248による固定を行わなくても、設置領域245に設置された払出装置184の変位を規制する仮止め構造を設けてもよい。例えば、設置領域245及び払出装置184の一方に係止部としてフック部を設けるとともに、他方に係止受け部としてフック受け部を設ける。これにより、設置領域245に払出装置184を固定する際にネジ248の螺着操作を回動基端側から行う必要がある構成において、払出装置184の設置作業の作業性を向上させることが可能となる。
【0381】
(4)設置領域245に固定用ボス246が設けられており、払出装置184に固定用フランジ247が設けられている構成に限定されることはなく、払出装置184に固定用ボス246が設けられており、設置領域245に当該固定用ボス246に対して遊技機本体12の回動基端側から並設される固定用フランジ247が設けられている構成としてもよい。
【0382】
(5)払出装置184に設けられる球止め手段は、回転体231に限定されることはなく、下流通路領域224a,224bの下流側に出没する開閉部材や、開口部と閉塞部とがスライド移動方向に並設されたゲート部材であってもよい。
【0383】
前者の開閉部材であっても、各開閉部材が軸部を中心に回動することで出没動作する構成とするとともに、当該軸部を回動させる駆動手段として単一の払出モータを設ける構成とし、当該軸部及び払出モータの軸線方向が横方向となるようにすれば、パチンコ機10背面における払出装置184の後方への張り出しを抑制することが可能となる。
【0384】
また、後者のゲート部材であっても、一の待機通路に対応した開口部と閉塞部とは横方向に並設するとともに各待機通路に対応した開口部と閉塞部との組み合わせは前後方向に並設する。そして、駆動手段として、出力軸が横方向に往復動するように単一のソレノイドを設ける構成とすれば、パチンコ機10背面における払出装置184の後方への張り出しを抑制することが可能となる。
【0385】
(6)払出ユニット113においてタンク181が設けられていることは必須ではなく、当該タンク181が不具備であってもよい。この場合、島設備側に接続された通路樋から上流通路領域191a,191bに遊技球が直接供給される構成としてもよい。
【0386】
(7)第1待機通路及び第2待機通路はその途中で前後方向に並設された状態から横方向に並設された状態へ遷移されるのではなく、全体に亘って横方向に並設された構成としてもよく、少なくとも途中位置では前後方向にも横方向にも並設されておらず途中位置から最下流部に亘って横方向に並設される構成としてもよい。
【0387】
(8)発射制御装置121の裏ケース体132において下枠領域141と対向する面に、例えば複数のリブを形成することで、前後方向の凹凸を形成してもよい。この場合、下枠領域141と発射制御装置121との間の隙間を介して主制御装置91側などへ不正用治具を挿入しようとする行為を行いづらくすることが可能となる。特に、裏ケース体132において下枠領域141と対向する面と、下枠領域141において裏ケース体132と対向する背面との両方に前後方向の凹凸が形成されている場合には、上記のような挿入抑制効果が高められる。
【0388】
(9)発射制御装置121において主制御装置91との間で通信を行うために利用される電気配線152e(特定配線)は、電源装置117ではなく、払出制御装置116に接続されている構成としてもよく、球貸用接続端子板118に接続されている構成としてもよく、さらには裏パックユニット15に設けられた他の中継基板に接続されている構成としてもよい。払出制御装置116に接続する場合、当該払出制御装置116において遊技球の払い出しを実行するための通信用の電気配線と、発射制御を実行するための通信用の電気配線とが、コネクタユニットとしてまとめて主制御装置91に接続される構成とするとよい。また、中継基板に接続する場合、遊技球の払い出しを実行するための通信用の電気配線と、発射制御を実行するための通信用の電気配線とを、コネクタユニットとしてまとめて主制御装置91に接続する構成としてもよく、これに加えて又は前者の通信用の電気配線に代えて、電源装置117による電力供給用の電気配線を、コネクタユニットとしてまとめて主制御装置91に接続する構成としてもよい。これらの構成であっても、裏パックユニット15の不正開放を、特定配線を利用して行いづらくすることが可能となるとともに、主制御装置91に設けられるコネクタの数を抑えることが可能となる。
【0389】
(10)裏パック101の下部領域102aと、発射制御装置121との縦方向の対向は、発射制御装置121の上方にて行われる構成に限定されることはなく、それに加えて又は代えて、発射制御装置121の下方にて行われる構成としてもよく、発射制御装置121の縦方向の途中位置にて行われる構成としてもよい。
【0390】
(11)発射制御装置121から延びる裏パックユニット15側に向けて延びる電気配線152e(特定配線)は、その長さ寸法が、裏パックユニット15の不正な開放操作を行いづらくするように設定されている構成に限定されることはなく、裏パックユニット15を開放操作するのに十分な長さ寸法を有しているが、途中の領域を束ねたりすることで、結果的に、裏パックユニット15の不正な開放操作が電気配線152eの存在によって行いづらくなっている構成としてもよい。なお、電気配線152eを通じて裏パックユニット15の不正な開放操作を行いづらくする上では、電気配線152eが接続されている場合には、少なくとも主制御装置91を取り外すことが可能な回動位置までの裏パックユニット15の回動が阻止される構成とすることが好ましい。
【0391】
(12)発射制御装置121は、遊技球の発射に際して主制御装置91からの信号の受信を要しない構成としてもよい。この場合であっても、発射制御装置121から主制御装置91に向けて遊技球の発射中であることを示す信号が出力されるようにしてもよく、当該構成においては当該信号が裏パックユニット15に設けられた特定基板を介して主制御装置91側に送信される構成としてもよい。
【0392】
また、発射制御装置121は、遊技球の発射に際して主制御装置91に向けた信号の送信を行わない構成としてもよい。この場合であっても、主制御装置91から発射制御装置121に向けて遊技球の発射を許可する信号や、遊技球の発射周期を調整するための信号が出力されるようにしてもよく、当該構成においては当該信号が裏パックユニット15に設けられた特定基板を介して発射制御装置121側に送信される構成としてもよい。
【0393】
(13)前扉ベース14aにおいて上皿ユニット261と装飾キャラクタユニット311との境界部分Lを補強するための補強手段として、当該前扉ベース14aとは別体の金属製の補強プレート331を設ける構成としたが、これに限定されることはなく、合成樹脂製の補強プレートを設けてもよい。また、上記補強手段として補強プレート331に代えて又は加えて、上記境界部分Lを跨ぐ補強リブを前扉ベース14aに一体形成してもよい。但し、下端側ロック部材345のロック収容溝348を橋渡すように補強手段を設ける構成においては、当該補強手段を前扉ベース14aとは別体で設けることが好ましい。
【0394】
(14)前扉ベース14aにおいて上皿ユニット261と装飾キャラクタユニット311との境界部分Lを補強するための補強手段は、前扉ベース14aの背面に設けられていることは必須ではなく、前扉ベース14aの前面において上皿ユニット261及び装飾キャラクタユニット311により隠れる部分に設けられていてもよい。また、当該構成においては、上記境界部分Lを跨ぐための補強手段が上皿ユニット261及び装飾キャラクタユニット311の少なくとも一方に設けられている構成としてもよい。
【0395】
(15)補強プレート331が下端側ロック部材345の固定用ネジ349a,349bに対してパチンコ機10後方から対向するように設けられていてもよい。この場合、補強プレート331を取り外さない限り、下端側ロック部材345を取り外すことが不可となるようにすることができる。
【0396】
(16)前扉ベース14aにおいて上皿ユニット261と装飾キャラクタユニット311との境界部分Lを補強するための補強手段は、単一の部材により形成されている必要はなく、複数部材が連結されて形成されている構成としてもよい。この場合、複数部材の繋ぎ目の部分が境界部分Lと重ならないように配置することが好ましい。
【0397】
(17)窓パネルユニット71を窓部74の周縁部341に対して閉鎖する際に、当該窓パネルユニット71を下方から受けることが可能な機能が補強プレート331により果たされるように、当該補強プレート331を後方段差部342の後端部から後方へと突出させて設けてもよい。また、当該構成においては、補強プレート331により上記第1の実施の形態におけるガイドリブ353~355の機能や、ガイド段差部357の機能が果たされる構成としてもよい。
【0398】
(18)装飾キャラクタユニット311で表されるキャラクタは、鯨に限定されることはなく、任意である。また、装飾キャラクタユニット311に遊技用操作装置284が設けられていてもよい。
【0399】
また、遊技機前面部に設けられる球受け皿として、上下一対の上皿83と下皿84とが設けられている必要はなく、払出装置184から払い出された遊技球を貯留可能であるとともにその貯留している遊技球を遊技球発射機構41に向けて導出することが可能な単一の球受け皿が設けられている構成としてもよい。当該球受け皿との関係で装飾キャラクタユニット311の大型化を図る場合には、当該装飾キャラクタユニット311の一部が球受け皿の上方又は下方に入り込むようにしてもよく、球受け皿の前面に装飾キャラクタユニット311の一部が入り込む構成としてもよい。後者の構成においては、その入り込んだ部分を利用して、球受け皿と装飾キャラクタユニット311との境界部分の補強を行う構成としてもよい。
【0400】
(19)補強プレート331といった補強手段を設けることで、前扉枠14の前面において窓パネルユニット71の周囲に膨出部が複数並設されていたとしても、それら膨出部間の境界部分の補強を行うことができるという効果に着目した場合、それら複数の膨出部は上皿ユニット261と装飾キャラクタユニット311との組合せに限定されることはなく、例えば上皿ユニット261と遊技用操作装置284とが各々前方に膨出させて並設されている構成においては、それらの境界部分を跨ぐように補強手段が設けられていてもよい。また、装飾キャラクタユニット311と発光ユニットとが窓パネルユニット71の側方において上下に並設されている構成においては、それらの境界部分を縦方向に跨ぐように補強手段が設けられていてもよい。
【0401】
(20)窓パネルユニット71の閉鎖に際して当該窓パネルユニット71を下方から受けるガイドリブ353~355は、その上面がパチンコ機10前方に向けて上り傾斜となっている構成に限定されることはなく、水平又は略水平となっている構成としてもよい。この場合であっても、窓パネルユニット71の閉鎖方向の移動を、ガイドリブ353~355によりガイドすることが可能となる。また、ガイドリブ353~355の上面がパチンコ機10前方に向けて下り傾斜となっており、その下り傾斜面が上記各実施の形態におけるガイド段差部357として機能する構成としてもよい。
【0402】
(21)ガイドリブ353~355は窓パネルユニット71の下端部をガイドするように設けられていることは必須ではなく、例えば窓パネルユニット71の回動先端側の側部を下方から受けてガイドするように設けられていてもよい。この場合であっても、ガイドリブ353~355又は連結壁部356を利用してガイド段差部357を形成して、パネル当接面343との間に溝を形成することで、窓パネルユニット71の回動先端側の側部において窓部74との間に隙間を生じさせて不正用治具を挿入しようとしても、それを行いづらくすることが可能となる。また、その溝内に窓パネルユニット71の一部が入り込むようにすることで、回動先端側の側部において窓パネルユニット71を後方に変位させようとする行為を阻止することが可能となる。
【0403】
(22)ガイドリブ353~355の上面や窓パネルユニット71の下端部を、低摩擦化してもよく、この場合、両者の摺動抵抗を低減することが可能となる。また、窓パネルユニット71が前扉ベース14aに回動可能に支持されている構成に限定されることはなく、非回動式に支持されている構成としてもよい。この場合、回動式に比べて窓パネルユニット71の設置作業が行いづらくなるが、ガイドリブ353~355により下方から受けるようにすることで、その設置作業の容易化が図られる。
【0404】
(23)ガイドリブ353~355及び連結壁部356は、前側通路形成ユニット321に形成されている必要はなく、前扉ベース14aに形成されていてもよく、専用の部材に形成されていてもよい。
【0405】
(24)衝撃吸収用ゴム板301を下皿84の底部の下方に設けてもよい。また、球受け皿として、上下一対の上皿83と下皿84とが設けられているのではなく、払出装置184から払い出された遊技球を貯留可能であるとともにその貯留している遊技球を遊技球発射機構41に向けて導出することが可能な単一の球受け皿が設けられている構成において、その球受け皿の底部の下方に衝撃吸収用ゴム板301を設けてもよい。
【0406】
(25)衝撃吸収用ゴム板301は、底形成板部275に対して隅角部分を接着、溶着又はネジ止めすることで設けられていてもよい。但し、衝撃吸収用ゴム板301における衝撃の吸収を良好に行わせるためには、上記実施の形態のように支持部材302により、衝撃吸収用ゴム板301の下面の全体を受けさせる構成とすることが好ましい。また、衝撃吸収用ゴム板301が支持部材302に対して接着又は溶着されている構成としてもよい。
【0407】
(26)衝撃吸収用ゴム板301を底形成板部275に対して下方から密着させた状態とするために、支持部材302は衝撃吸収用ゴム板301を底形成板部275に向けて押圧した状態で当該衝撃吸収用ゴム板301を下方から支持する構成としてもよい。
【0408】
(27)整列通路部273に対して並設される下流側凹部308は、上皿83の前壁部272に形成される構成に代えて又は加えて、上皿83の奥壁部264に形成されている構成としてもよい。
【0409】
(28)単層で設けられた発光カバーユニット361に対して、上記実施の形態におけるスペーサ部材393の構成を適用してもよい。例えば、上記実施の形態における内側発光カバー381による単層のカバーに対して、スペーサ部材393を設けてもよい。この場合、スペーサ部材393の両端部394a,394bが発光カバーユニット361の外部に露出しないように、スペーサ用孔395a,395bを貫通孔として設けるのではなく、内側から外側に向けて凹んだ凹部として設ける構成としてもよく、スペーサ用孔395a,395bを貫通孔としながら、前扉ベース14aや他の部材によりその貫通孔が外側から塞がれる構成としてもよい。
【0410】
(29)3層以上で設けられた発光カバーユニット361に対して、上記実施の形態におけるスペーサ部材393の構成を適用してもよい。例えば、3層であれば、中間のカバーについては、内側発光カバー381への押圧力を当該内側発光カバー381から中間のカバーに伝達させ、外側発光カバー371については上記実施の形態と同様にスペーサ部材393により直接的に押圧する構成としてもよい。また、これに代えて、上記実施の形態における内側当接部396a,396bを、内側発光カバー381用と、中間のカバー用とで段階的に形成し、各内側当接部により内側発光カバー381及び中間のカバーの両方を直接的に押圧する構成としてもよい。
【0411】
(30)スペーサ部材393により外側発光カバー371を直接的に押圧する構成に代えて、スペーサ部材393は内側発光カバー381のみを直接的に押圧し、その押圧力が内側発光カバー381から外側発光カバー371に伝達される構成としてもよい。
【0412】
(31)スペーサ部材393が1個のみ設けられた構成に限定されることはなく、スペーサ部材393が複数設けられていてもよく、この場合、開口372,382側に1個のスペーサ部材393を設けるとともに、それよりも膨出方向側に他のスペーサ部材393を設けてもよい。また、内側発光カバー381用と、外側発光カバー371用とで個別に設けられていてもよい。
【0413】
(32)内側発光カバー381においてスペーサ部材393の両端部394a,394bが挿入される挿入部は、内外に貫通したスペーサ用孔395a,395bである必要はなく、内側開口382の周縁部から膨出側へと凹んだ凹みにより挿入部が形成されていてもよい。
【0414】
(33)スペーサ部材393により撓みを阻止する構成を、発光カバー以外のカバーに適用してもよい。例えば、スピーカカバー362,363に適用してもよい。
【0415】
(34)境界溝部としての重ね合わせ溝414a~414dは、外枠11の下枠部402側にのみ設けられている構成に限定されることはなく、重ね合わせ部材411には重ね合わせ溝を形成しない代わりに、本体側対向面21bに重ね合わせ溝を形成してもよい。また、重ね合わせ部材411と本体側対向面21bとの両方に重ね合わせ溝を形成してもよい。
【0416】
両者に重ね合わせ溝を形成する構成においては、全ての重ね合わせ溝が前後に対向する構成としてもよく、前側の重ね合わせ溝と後者の重ね合わせ溝とは境界の延びる方向にずれているが各重ね合わせ溝において遊技球を待機させることが可能な構成としてもよい。
【0417】
(35)重ね合わせ溝414a~414dの高さ寸法は遊技球1個分未満であるが、本体側対向面21bと、重ね合わせ溝414a~414dの奥面との間の距離が、遊技機本体12を閉鎖した状態において両者の間に遊技球を待機させることが可能なように設定されている構成としてもよい。
【0418】
(36)重ね合わせ部材411の固定箇所415a~415cが重ね合わせ溝414a~414dの奥面よりも後方に設定することで、奥側起立壁412の前方変位部412a~412cを不具備としてもよい。この場合、重ね合わせ溝414を断続的なものではなく、一連のものとして形成することが可能となる。
【0419】
(37)外枠11の左枠部403や右枠部404において上方を向く面が形成されている構成においては、その面に対して、本体側対向面21bと重ね合わせ部材411との前後の重なりに係る構成を適用してもよい。
【0420】
(38)遊技回用の演出が実行される装置は、図柄表示装置62に限定されることはなく、可動式に設けられた装飾部材が動作することで遊技回用の演出が実行される構成としてもよく、所定の発光部を点灯させることで遊技回用の演出が実行される構成としてもよく、上記各態様の全部又は一部の組み合わせによって遊技回用の演出が実行される構成としてもよい。
【0421】
(39)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
【0422】
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
【0423】
また、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも、本発明を適用できる。
【0424】
<上記各実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0425】
<特徴A群>
特徴A1.所定領域に向けて誘導される遊技球が待機することとなる待機通路(第1待機通路191a,201a,224a、第2待機通路191b,201b,224b)と、
当該待機通路の下流側に設けられ、当該待機通路内の遊技球が下流側へ流下することを阻止又は許容する球止め手段(回転体231)と、
を備えた遊技機において、
前記待機通路は、所定方向に下り傾斜となるように形成された傾斜通路領域(第1上流通路領域191a、第2上流通路領域191b)を備えており、
当該傾斜通路領域においてその底面(底面252)の上方に設けられ、当該傾斜通路領域において積層されている遊技球に対して下流側から当接することで、それよりも下流側にて前記傾斜通路領域の底面上に遊技球が積層されることを規制する天井傾斜面(傾斜面253a)を備え、
遊技球の流下が阻止されている状態で前記球止め手段にて受けられている遊技球(遊技球B1)を先頭にして一列の遊技球列が前記天井傾斜面よりも上流側の位置に亘って形成されているとともに、当該天井傾斜面よりも上流側の位置にて当該遊技球列の上方に遊技球が積層されている状況において、その積層されている遊技球のうち最も流下方向の先側に位置している遊技球(遊技球B2)が前記天井傾斜面に接していない状態で前記待機通路内の遊技球が待機するように、前記待機通路及び前記天井傾斜面が形成されていることを特徴とする遊技機。
【0426】
特徴A1によれば、天井傾斜面が設けられていることにより、傾斜通路領域において遊技球を一列に整列させることが可能となる。この場合に、球止め手段にて受けられている遊技球を先頭にして一列の遊技球列が天井傾斜面よりも上流側の位置に亘って形成されているとともに、当該天井傾斜面よりも上流側の位置にて当該遊技球列の上方に遊技球が積層されている状況において、その積層されている遊技球のうち最も流下方向の先側に位置している遊技球が天井傾斜面に接していない状態で待機通路内の遊技球が待機する。これにより、遊技球が下流側へ移動している過程で、積層されている遊技球が天井傾斜面に当接することとなり、当該積層されている遊技球が天井傾斜面に当接している状態で遊技球の下流側への移動が開始される構成に比べて、天井傾斜面と遊技球との間の摩擦力が小さくなる。したがって、天井傾斜面と遊技球列との間で球詰まりが生じてしまう可能性が低減され、待機通路における遊技球の整流を良好に行うことが可能となる。
【0427】
特徴A2.前記積層されている遊技球のうち最も流下方向の先側に位置している遊技球は、前記傾斜通路領域の底面上に形成されている遊技球列のうち流下方向に連続する2個の遊技球(遊技球B3、遊技球B4)のそれぞれに対して上方から当接するように配置され、
前記球止め手段において遊技球の流下が許容された場合に、前記流下方向の先側に位置している遊技球が前記天井傾斜面に上流側から当接することで、前記連続する2個の遊技球の間に入り込むように、前記天井傾斜面が形成されていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0428】
特徴A2によれば、天井傾斜面と遊技球列との間で球詰まりが生じてしまう可能性が低減される。
【0429】
特徴A3.前記天井傾斜面よりも上流側に設けられ、前記遊技球列の上方に積層されている遊技球に対して上流側から当接することで、その積層されている遊技球が前記遊技球列において流下方向に連続する2個の遊技球のそれぞれに対して上方から当接する位置に配置されるようにする規制手段(積層規制部材196)を備えていることを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
【0430】
特徴A3によれば、天井傾斜面の上流側にて予備整流が行われるため、天井傾斜面における整流を良好に行うことが可能となる。
【0431】
特徴A4.前記規制手段は、当該規制手段よりも下流側にて前記傾斜通路領域の底面上に3個の遊技球が積層されることを規制するものであることを特徴とする特徴A3に記載の遊技機。
【0432】
特徴A4によれば、傾斜通路領域の底面上に積層される遊技球の数を段階的に減少させることが可能となり、遊技球の整流を良好に行うことが可能となる。
【0433】
特徴A5.前記球止め手段は、遊技球の流下を阻止している状態において前記遊技球列の先頭に配置される遊技球の位置が所定の範囲内において変位し得る構成であり、
前記待機通路及び前記天井傾斜面は、前記遊技球列の先頭に配置される遊技球の位置が前記所定の範囲内で変位したとしても、前記遊技球列が前記天井傾斜面よりも上流側の位置に亘って形成されているとともに当該天井傾斜面よりも上流側の位置にて当該遊技球列の上方に遊技球が積層されている状況において、その積層されている遊技球のうち最も流下方向の先側に位置している遊技球が前記天井傾斜面に接していない状態で前記待機通路内の遊技球が待機するように形成されていることを特徴とする特徴A1乃至A4のいずれか1に記載の遊技機。
【0434】
特徴A5によれば、球止め手段において遊技球の流下が阻止されている状態がいずれの状態であったとしても、天井傾斜面と遊技球列との間で球詰まりが生じてしまう可能性が低減され、待機通路における遊技球の整流を良好に行うことが可能となる。
【0435】
特徴A6.前記待機通路は第1待機通路(第1待機通路191a,201a,224a)であるとともに当該第1待機通路に対して並設された第2待機通路(第2待機通路191b,201b,224b)を備え、
前記球止め手段は、前記第1待機通路の遊技球が下流側へ流下することを阻止又は許容し、さらに前記第2待機通路の遊技球が下流側へ流下することを阻止又は許容するものであり、
前記天井傾斜面は、前記第1待機通路の前記傾斜通路領域及び前記第2待機通路の前記傾斜通路領域の両方に対して設けられており、
前記第2待機通路は、前記天井傾斜面が設けられた位置よりも下流側の通路長が前記第1待機通路とは異なるように設定されており、
当該第2待機通路の通路長は、遊技球の流下が阻止されている状態で前記球止め手段にて受けられている遊技球を先頭にして一列の遊技球列が前記天井傾斜面よりも上流側の位置に亘って形成されているとともに、当該天井傾斜面よりも上流側の位置にて当該遊技球列の上方に遊技球が積層されている状況において、その積層されている遊技球のうち最も流下方向の先側に位置している遊技球が前記天井傾斜面に接していない状態で前記第2待機通路内の遊技球が待機するように設定されていることを特徴とする特徴A1乃至A5のいずれか1に記載の遊技機。
【0436】
特徴A6によれば、待機通路が複数並設されているとともに両待機通路の通路長が相違しているとしても、天井傾斜面について同様の構成を利用して、それら待機通路のいずれについても球詰まりの発生を抑制することが可能となる。
【0437】
特徴A7.上方に開放され、多数の遊技球を貯留するタンク(タンク181)を備え、
前記待機通路は、前記タンクの位置から前記球止め手段の位置に亘って設けられており、当該待機通路に待機する遊技球は、前記所定領域として遊技機前面の貯留部(上皿83、下皿84)に向けて払い出すための遊技球であることを特徴とする特徴A1乃至A6のいずれか1に記載の遊技機。
【0438】
特徴A7によれば、タンクには多数の遊技球が貯留されるため、待機通路に掛かる遊技球の重量負荷は大きなものとなる。この場合、球詰まりが発生し易くなるが、上記特徴A1の構成を備えていることにより、天井傾斜面と遊技球列との間で球詰まりが生じてしまう可能性が低減され、待機通路における遊技球の整流を良好に行うことが可能となる。
【0439】
上記特徴A群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【0440】
遊技機の一種であるパチンコ機は、例えばパチンコ機内部にて遊技球を貯留するためのタンクを備えており、当該タンクには島設備から遊技球が供給される。タンクに貯留されている遊技球は、所定の通路を通じて、遊技機前面の貯留部へ誘導される。また、当該所定の通路の途中位置には払出装置が設けられている。
【0441】
払出装置には回転体などの球止め手段が設けられており、当該球止め手段が通過を阻止している状況では当該球止め手段よりも上流側の待機通路にて遊技球が待機することとなる。その一方、球止め手段が通過を許容する状態となるように駆動されることで、待機通路にて待機している遊技球が貯留部に向けて払い出されることとなる。
【0442】
ここで、球止め手段による遊技球の払い出しを良好に行う上では、一の待機通路において球止め手段に向けて遊技球が一列に並んでいることが好ましい。その一方で、タンクから待機通路への遊技球の流れを最初から一列に制限するとタンクの出口部分において球詰まりが発生してしまうことが懸念される。そうすると、一の待機通路の途中位置で一列となるように整流することが好ましい。しかしながら、その整流に際して球詰まりが発生してしまう可能性がある。
【0443】
なお、以上の問題は、タンクから球止め手段へ向けた待機通路に限定されることはなく、所定方向に誘導される遊技球が待機することとなる待機通路を備える他の遊技機においても同様に発生する問題である。
【0444】
<特徴B群>
特徴B1.横方向の一方側が回動基端側となるようにして支持側の対象(外枠11)に回動可能に支持される遊技機本体(遊技機本体12)と、
遊技機前面の貯留部(上皿83、下皿84)に向けた遊技球の払出を阻止又は許容する球止め手段(回転体231)、及び払い出される遊技球を検知する払出検知手段(払出検知センサ237)を有する払出装置(払出装置184)と、
を備え、
当該払出装置は、前記遊技機本体の回動基端側に設けられた設置箇所(設置領域245)に設置されており、
前記設置箇所に対して前記払出装置を固定するとともに、固定解除操作が行われることにより当該設置箇所に対する前記払出装置の固定を解除する固定手段(固定用ボス246、固定用フランジ247、ネジ248)を備え、
当該固定手段は、前記固定解除操作を当該固定手段に対して前記遊技機本体の回動基端側から行う必要があるように設けられていることを特徴とする遊技機。
【0445】
特徴B1によれば、払出装置を不正に取り外そうとしても、遊技機本体の回動基端側に設けられた固定手段に対する固定解除操作を当該固定手段の回動基端側から行う必要がある。したがって、当該払出装置を不正に取り外そうとする行為を行いづらくすることが可能となる。
【0446】
特徴B2.前記設置箇所は、少なくとも前記固定手段による固定が行われていない状態において前記払出装置の重量を受けることで当該払出装置が前記設置箇所に設置された状態を保持する保持部(底板部244)を備えていることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
【0447】
特徴B2によれば、払出装置の設置や取り外しに際しては、固定手段による固定が行われていない状態であっても払出装置を設置箇所に保持させることが可能である。これにより、上記特徴B1の構成を備え、払出装置の取り外しを行いづらくした構成において、払出装置の正規の設置作業や取り外し作業の作業性が低下してしまうことを抑制できる。
【0448】
特徴B3.前記固定手段は、前記設置箇所の周縁部に設けられた設置側固定部(固定用ボス246)と、前記払出装置のハウジング(払出ハウジング221)に設けられた払出側固定部(固定用フランジ247)と、を備え、前記設置側固定部及び前記払出側固定部が横方向に重なることで連通する孔部(ネジ孔246a、貫通孔247a)に固定部材(ネジ248)が挿入されることで前記設置箇所に対する前記払出装置の固定を行う構成であり、
前記設置箇所は、前記払出装置との当接により、前記設置側固定部と前記払出側固定部とが自ずと横方向に重なった状態とする位置決め部(背板部242、側板部243)を備えていることを特徴とする特徴B1又はB2に記載の遊技機。
【0449】
特徴B3によれば、払出装置の設置に際しては、位置決め部により位置決めされる位置に払出装置を配置することで、自ずと装置側固定部と払出側固定部とが横並びの状態となる。これにより、上記特徴B1の構成を備え、払出装置の取り外しを行いづらくした構成において、払出装置の正規の設置作業や取り外し作業の作業性が低下してしまうことを抑制できる。
【0450】
特徴B4.前記遊技機本体の内部又は前記遊技機本体の背面に設けられ、所定の開放操作を行うことで遊技機前方に露出させることが可能な特定面(上流側縦通路ユニット183においてパチンコ機10後方を向く面)に前記設置箇所を有する払出用支持部(上流側縦通路ユニット183)を備えており、
前記設置箇所は、前記特定面の向く方向の先から当該方向の元側に前記払出装置を移動させることで当該払出装置を前記設置箇所に設置することができるように、前記特定面の向く方向に開放されていることを特徴とする特徴B1乃至B3のいずれか1に記載の遊技機。
【0451】
特徴B4によれば、払出装置の設置に際しては、所定の開放操作を行って特定面を露出させるとともに、特定面の向く方向の先から当該方向の元側に払出装置を移動させることで、当該払出装置を設置箇所に設置することができる。つまり、払出装置の設置作業に際して回動基端側から設置箇所に払出装置を設置する必要がない。これにより、上記特徴B1の構成を備え、払出装置の取り外しを行いづらくした構成において、払出装置の正規の設置作業や取り外し作業の作業性が低下してしまうことを抑制できる。
【0452】
特徴B5.前記設置箇所は、前記遊技機本体の背面に設けられているとともに、当該遊技機本体の背面の向く方向の先から当該方向の元側に前記払出装置を移動させることで当該払出装置を前記設置箇所に設置することができるように、前記遊技機本体の背面の向く方向に開放されていることを特徴とする特徴B1乃至B4のいずれか1に記載の遊技機。
【0453】
特徴B5によれば、払出装置の設置に際しては、遊技機本体を回動させて当該遊技機本体の背面を露出させるとともに、当該背面の向く方向の先から当該方向の元側に払出装置を移動させることで、当該払出装置を設置箇所に設置することができる。これにより、上記特徴B1の構成を備え、払出装置の取り外しを行いづらくした構成において、払出装置の正規の設置作業や取り外し作業の作業性が低下してしまうことを抑制できる。
【0454】
上記特徴B群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【0455】
遊技機の一種であるパチンコ機は、例えばパチンコ機内部にて遊技球を貯留するためのタンクを備えている。タンクに貯留されている遊技球は、所定の通路を通じて、遊技機前面の貯留部へ誘導される。また、当該所定の通路の途中位置には払出装置が設けられている。払出装置には回転体などの球止め手段が設けられており、当該球止め手段が払出の阻止状態となることで、当該球止め手段よりも上流側の待機通路にて遊技球が待機することとなる。
【0456】
球止め手段は制御装置と電気的に接続されている。そして、遊技領域に設けられた入球部へ遊技球が入球したこと又はCRユニットといった貸球装置が設けられた構成において当該貸球装置に対して貸出操作が行われたことに基づいて、制御装置に払出数情報が記憶され、払出動作を実行するように制御装置により球止め手段が駆動制御されることで、上記一旦停止されていた遊技球は貯留部に払い出される。
【0457】
また、払出装置には球止め手段よりも下流側に払出検知手段として払出検知センサを備えており、球止め手段の払出動作により下流側へ導出された遊技球は払出検知センサにて検知される。制御装置では当該払出検知センサの検知結果に基づいて、払い出された遊技球の個数を把握し、上記払出数情報に対応した数の遊技球が払い出された場合に球止め手段の払出動作を終了させる。
【0458】
ここで、上記パチンコ機においては、遊技球の不正な払出を行わせるべく、正規の払出装置を取り外してそれに不正を施した後に再度設置する行為や、正規の払出装置を不正な払出装置に交換する行為が想定される。この場合に、遊技球の不正な払い出しが実行されてしまうことが懸念される。
【0459】
<特徴C群>
特徴C1.遊技機前面の貯留部(上皿83、下皿84)に払い出すための遊技球が待機することとなる待機通路(第1待機通路191a,201a,224a、第2待機通路191b,201b,224b)として、第1待機通路(第1待機通路191a,201a,224a)及び第2待機通路(第2待機通路191b,201b,224b)を遊技機背面に備えており、
前記第1待機通路の下流側に設けられ、当該第1待機通路内の遊技球が下流側へ流下することを阻止又は許容する第1球止め手段(回転体231の球止め部233)と、
前記第2待機通路の下流側に設けられ、当該第2待機通路内の遊技球が下流側へ流下することを阻止又は許容する第2球止め手段(回転体231の球止め部234)と、
これら第1球止め手段及び第2球止め手段を動作させる駆動手段(払出モータ235)と、
を備え、
当該駆動手段は、前記第1球止め手段及び前記第2球止め手段の両方に動力を与える出力軸(出力軸235a)と、駆動状態となることで前記出力軸を動作させる本体部(本体部235b)と、を備えており、
前記第1待機通路及び前記第2待機通路は、少なくとも前記各球止め手段に向けた最下流部において横方向に並設されているとともに、
前記駆動手段は、前記出力軸の軸線方向が横方向となり、且つ前記第1球止め手段及び前記第2球止め手段に対して前記本体部が横方向に位置するように設けられていることを特徴とする遊技機。
【0460】
特徴C1によれば、第1球止め手段及び第2球止め手段が単一の駆動手段により駆動されるため、これら球止め手段に対して個別に駆動手段を設ける構成に比べて、駆動手段が設けられた部分の小型化が図られる。この場合に、第1待機通路及び第2待機通路は少なくとも各球止め手段に向けた最下流部において横方向に並設されているとともに、駆動手段は、出力軸の軸線方向が横方向となり、且つ第1球止め手段及び第2球止め手段に対して本体部が横方向に位置するように設けられている。これにより、駆動手段が設けられた部分の前後方向の寸法を抑えることが可能となる。
【0461】
特徴C2.上方に開放され、多数の遊技球を貯留するタンク(タンク181)を備え、
当該タンクの位置から前記各球止め手段の位置に亘って前記第1待機通路及び前記第2待機通路が設けられており、
これら第1待機通路及び第2待機通路は、
前記タンクに連通された箇所から横方向に下り傾斜させて設けられ、第1待機通路及び第2待機通路を前後に並設させる上流通路領域(第1上流通路領域191a、第2上流通路領域191b)と、
前記各球止め手段に向けた最下流部を含み、第1待機通路及び第2待機通路を横方向に並設させる下流通路領域(第1下流通路領域224a、第2下流通路領域224b)と、
前記上流通路領域と前記下流通路領域との間に設けられ、遊技球の流下方向において第1待機通路及び第2待機通路を前後に並設させた状態から横方向に並設させた状態へ遷移させる遷移領域(延長領域201d及びその周辺の領域)を有する中間通路領域(第1中間通路領域201a、第2中間通路領域201b)と、
を備えていることを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
【0462】
特徴C2によれば、第1待機通路及び第2待機通路は、タンクに連通された箇所から下り傾斜させて設けられた上流通路領域を備えていることにより、これら各待機通路に待機する遊技球の球圧を好適に低減することが可能となる。また、これら第1待機通路及び第2待機通路の上流通路領域は横方向に下り傾斜させて設けられているとともに、前後に並設されているため、これら上流通路領域を設けるための空間の縮小化が図られる。
【0463】
当該構成において、第1待機通路及び第2待機通路には、遊技球の流下方向において第1待機通路及び第2待機通路を前後に並設させた状態から横方向に並設させた状態へ遷移させる遷移領域を有する中間通路領域が形成されている。これにより、待機通路の上流側では遊技球の減圧を良好に行いながら、上記特徴C1にて説明したような優れた効果を奏することができる。
【0464】
特徴C3.前記第1待機通路及び前記第2待機通路において前記遷移領域よりも上流側に、これら第1待機通路及び第2待機通路に待機している遊技球を排出するための排出通路(排出通路206)の分岐位置が設定されているとともに、前記第1待機通路及び前記第2待機通路に待機している遊技球の前記排出通路への流入を阻止する阻止位置と許容する許容位置とに手動操作により切換配置可能に設けられた切換部材(切換部材207)を備えていることを特徴とする特徴C2に記載の遊技機。
【0465】
特徴C3によれば、第1待機通路及び第2待機通路が最下流部側において横方向に並設される構成において、遷移領域よりも上流側に切換部材が設けられているため、第1待機通路及び第2待機通路が形成された部位に対して遊技機後方側から切換部材の手動操作を行うことが可能である。これにより、切換部材の操作性を低下させないようにしながら、上記特徴C1にて説明したような優れた効果を奏することができる。
【0466】
特徴C4.前記第1待機通路に対応した遊技球の通過部及び前記第2待機通路に対応した遊技球の通過部(通過部209a,209b)が並設されているとともに、これら通過部に対してその並設方向及び遊技球の通過方向に対して直交する方向に延びる検知本体部(本体部209c)を有し、前記第1待機通路及び前記第2待機通路に遊技球が待機しているか否かを検知するための待機側検知手段(球無センサ209)を備え、
当該待機側検知手段は、前記第1待機通路及び前記第2待機通路における前記遷移領域よりも上流側において前記各通過部の並設方向が前後方向となるようにして設けられていることを特徴とする特徴C2又はC3に記載の遊技機。
【0467】
特徴C4によれば、第1待機通路及び第2待機通路が最下流部側において横方向に並設される構成において、遷移領域よりも上流側に待機側検知手段が設けられているため、待機側検知手段の前後方向の寸法を抑えながら、上記特徴C1にて説明したような優れた効果を奏することができる。
【0468】
特徴C5.前記第1待機通路の前記遷移領域及び前記第2待機通路の前記遷移領域は、
これら第1待機通路と第2待機通路とが前後に並設された状態から横方向に分離させた状態とする分離領域(延長領域201d)と、
当該分離領域よりも下流側において、前記第1待機通路の前記遷移領域及び前記第2待機通路の前記遷移領域のうち一方を遊技機前方に向けて下り傾斜させるとともに、他方を遊技機後方に向けて下り傾斜させることで第1待機通路及び第2待機通路を横方向に並設させる傾斜領域(傾斜部211a,211b)と、
を備えていることを特徴とする特徴C2乃至C4のいずれか1に記載の遊技機。
【0469】
特徴C5によれば、第1待機通路及び第2待機通路が前後に並設された状態から横方向に並設された状態へ遷移させる遷移領域には、第1待機通路及び第2待機通路のそれぞれに対して傾斜領域が設けられている。これにより、当該遷移領域の構成を利用して、第1球止め手段にかかる遊技球の重量負荷及び第2球止め手段にかかる遊技球の重量負荷の両方について減圧を行うことができる。
【0470】
特徴C6.横方向の一方側が回動基端側となるようにして支持側の対象(外枠11)に回動可能に支持される遊技機本体(遊技機本体12)を備え、
前記第1球止め手段、前記第2球止め手段及び前記駆動手段は払出装置(払出装置184)としてユニット化して設けられているとともに、当該払出装置には払い出される遊技球を検知する払出検知手段(払出検知センサ237)が設けられており、
前記払出装置は、前記遊技機本体の回動基端側に設けられており、さらに、前記駆動手段の本体部と前記払出検知手段の本体部(本体部237b)が収容される収容部(駆動収容部223)が、前記第1球止め手段及び前記第2球止め手段が設けられる通路形成部(通路形成部222)に対して回動基端側に配置されるように設けられていることを特徴とする特徴C1乃至C5のいずれか1に記載の遊技機。
【0471】
特徴C6によれば、払出装置の通路形成部と収容部とが横方向に並設される構成において、収容部が回動基端側に配置されるため、払出検知手段の本体部に対する不正行為が行いづらくなる。
【0472】
特徴C7.前記第1球止め手段及び前記第2球止め手段は、前記出力軸が固定される軸部(回転軸部232)を有する回転体(回転体231)であるとともに、前記駆動手段は、前記出力軸を軸周りに回転させることで前記回転体を回転させるものであることを特徴とする特徴C1乃至C6のいずれか1に記載の遊技機。
【0473】
特徴C7によれば、第1球止め手段及び第2球止め手段が回転体であるとともに、駆動手段が出力軸を回転させるものである構成において、上記特徴C1にて説明したような優れた効果を奏することができる。
【0474】
上記特徴C群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【0475】
遊技機の一種であるパチンコ機は、例えばパチンコ機内部にて遊技球を貯留するためのタンクを備えており、当該タンクには島設備から遊技球が供給される。タンクに貯留されている遊技球は、所定の通路を通じて、遊技機前面の貯留部へ誘導される。また、当該所定の通路の途中位置には払出装置が設けられている。
【0476】
払出装置には回転体などの球止め手段が設けられており、当該球止め手段が通過を阻止している状況では当該球止め手段よりも上流側の待機通路にて遊技球が待機することとなる。その一方、球止め手段が通過を許容する状態となるように駆動されることで、待機通路にて待機している遊技球が貯留部に向けて払い出されることとなる。
【0477】
上記のようにタンク及び払出装置を備えたパチンコ機として、タンクから払出装置の球止め手段へと通じる待機通路を前後方向に並設させて2列設ける構成が知られている。この場合、所定個数の遊技球の払い出しに要する時間の短縮化が図られる。
【0478】
ここで、上記のように待機通路が2列設けられた構成においては、各待機通路について遊技球の払い出しが阻止又は許容される必要がある。この場合に、各待機通路に対して個別に球止め手段を設けるとともに、各球止め手段に対して個別に電動アクチュエータを設ける構成が考えられる。
【0479】
しかしながら、当該構成では払出装置が大型化してしまうため、好ましくない。これに対して、各待機通路に対して個別に球止め手段を設けながら、それら球止め手段を単一の電動アクチュエータにより動作させる構成とすることで、個別に電動アクチュエータを設ける構成に比べて払出装置の小型化が図られる。
【0480】
しかしながら、各待機通路のそれぞれについて遊技球の払出動作を行わせるためには、電動アクチュエータにおいてある程度の駆動力が必要となるため、電動アクチュエータの本体部はある程度のサイズを有することとなる。さらにまた、待機通路は前後方向に並設されているため、それら待機通路に対して単一の電動アクチュエータの構成を適用しようとすると、待機通路の並設方向に電動アクチュエータの本体部が並ぶこととなる。そうすると、払出装置の前後方向の厚みが大きくなってしまう。この場合、例えば演出用の装置などの大型化に起因して、払出装置の位置が従来の位置よりも後方へと設計変更されると、遊技ホールの島設備において背面を対向させた状態でパチンコ機が設置された際に、両パチンコ機間の隙間が極端に狭くなってしまうことが懸念され、さらには両パチンコ機が干渉してしまうことも懸念される。
【0481】
<特徴D群>
特徴D1.遊技球が流下する遊技領域(遊技領域23a)が前面に形成された遊技部(遊技盤23)を有するとともに、支持側の対象(外枠11)に対して回動可能に支持されるベース体(樹脂ベース21)と、
遊技機前面に設けられ、前記遊技領域を遊技機前方から視認可能とする窓部(窓部74)と、
前記遊技機前面に設けられ、前記遊技領域に向けて遊技球を発射させるべく遊技者により操作される発射操作手段(発射操作装置31)と、
前記ベース体において前記遊技領域の下方に設けられ、前記遊技領域に向けて遊技球を発射する発射手段(遊技球発射機構41)と、
前記遊技領域に設けられた入球部への遊技球の入球が発生したことに基づいて、それに応じた遊技進行用の制御を実行する進行制御手段(主制御装置91)と、
前記発射操作手段が操作されたことに基づいて、前記遊技領域に向けて遊技球を発射するよう前記発射手段を制御する発射制御手段(発射制御装置121)と、
を備え、
前記発射制御手段は、前記ベース体において前記発射手段が表面に設置された支持部(下枠領域141)の背面に設置されていることを特徴とする遊技機。
【0482】
特徴D1によれば、進行制御手段と発射制御手段とが個別に設けられているため、発射制御手段の機能が進行制御手段に集約される構成に比べて、進行制御手段の制御負荷の軽減が図られる。また、進行制御手段と発射制御手段とが個別に設けられていることで、それぞれにとって適した位置にそれら制御手段を配置することが可能となる。
【0483】
この場合に、発射制御手段は、ベース体において発射手段が表面に設置された支持部の背面に設置されているため、当該発射制御手段を遊技者が簡単に触れることができないようにしつつ、発射制御手段と発射手段とを電気的に接続する配線の短縮化が図られる。よって、発射制御手段の設置を良好に行うことが可能となる。
【0484】
特徴D2.前記ベース体の背面には遊技球の払出機構(払出ユニット113)が搭載された裏ユニット(裏パックユニット15)を備えており、
前記発射制御手段は前記支持部と前記裏ユニットとの間に設置されていることを特徴とする特徴D1に記載の遊技機。
【0485】
特徴D2によれば、発射制御手段を裏ユニットにより後方から保護することが可能となる。また、発射制御手段を不正に取り外そうとする行為を行いづらくすることが可能となる。
【0486】
特徴D3.前記進行制御手段は、前記ベース体の背面に設置されており、
前記発射制御が行われる場合、前記発射制御手段から前記進行制御手段側に向けた信号の送信及び前記進行制御手段から前記発射制御手段側に向けた信号の送信のうち少なくとも一方が行われる構成であり、
当該発射制御に係る通信を行うための経路の途中位置には、前記裏ユニットに設けられた特定基板(電源装置117)が介在しており、当該特定基板には前記ベース体側から特定配線(電気配線152e)が接続されていることを特徴とする特徴D2に記載の遊技機。
【0487】
特徴D3によれば、進行制御手段がベース体の背面に設けられていることにより、遊技機背面から進行制御手段に不正にアクセスしようとする行為を、裏パックの存在により行いづらくさせることが可能となる。当該構成において、特定基板は裏ユニットに設けられている。これにより、裏ユニットをベース体から不正に分離させようとする行為を、特定配線により行いづらくさせることが可能となる。
【0488】
特徴D4.前記特定基板と前記進行制御手段とを電気的に接続するように設けられ、前記発射制御に係る通信を行うための配線と、当該発射制御に係る通信とは異なる通信を行うため又は電力を供給するための配線とを、一のコネクタにより前記進行制御手段側に接続する接続ユニット(コネクタユニット175)を備えていることを特徴とする特徴D3に記載の遊技機。
【0489】
特徴D4によれば、特定基板を利用して、発射制御に係る通信を行うための配線と、当該発射制御に係る通信とは異なる通信又は電力を供給するための配線とを、一のコネクタにより進行制御手段に接続する構成とすることにより、各配線が特定基板に直接接続される構成に比べて、進行制御手段に設けられる接続部の数を減らすことが可能となる。これにより、メンテナンスなどに際して進行制御手段を取り外す場合の作業性が向上する。当該構成において、特定基板は裏ユニットに設けられている。これにより、裏ユニットをベース体から不正に分離させようとする行為を、特定配線により行いづらくさせることが可能となる。
【0490】
特徴D5.前記裏ユニットは、前記発射制御手段に対して遊技機後方から対向する面を有する後方部(下部領域102a)を備えており、
前記特定基板は、前記後方部において前記対向する面とは逆側の面に設けられており、
前記特定配線は、前記発射制御手段において遊技機後方を向く面であって前記後方部と対向しない面に設けられた接続部(コネクタ125e)に接続されているとともに、前記特定基板において前記後方部を向く側とは逆側の面に設けられた接続部(コネクタ158)に接続されていることを特徴とする特徴D3又はD4に記載の遊技機。
【0491】
特徴D5によれば、特定配線の装着や取り外しを行う際の作業性を向上させることが可能となる。
【0492】
特徴D6.前記裏ユニットは、前記ベース体の背面に遊技機後方から重なる位置と、当該重なる位置よりも前記ベース体の背面に対して遊技機後方に離間された位置とに変位可能に設けられており、
前記特定配線の長さ寸法は、前記ベース体側及び前記特定基板の両方に接続されている状態において、前記裏ユニットの前記重なる位置から前記離間された位置への変位を行いづらくする長さ寸法に設定されていることを特徴とする特徴D3乃至D5のいずれか1に記載の遊技機。
【0493】
特徴D6によれば、裏ユニットをベース体から不正に分離させようとする行為を、特定配線により行いづらくさせることが可能となる。
【0494】
特徴D7.前記裏ユニットは、前記発射制御手段に対して縦方向に対向する裏側対向部(上側区画面162)を備えていることを特徴とする特徴D2乃至D6のいずれか1に記載の遊技機。
【0495】
特徴D7によれば、裏ユニットとベース体との隙間を介して、これらの間の空間内に不正用治具が挿入されたとしても、当該不正用治具が発射制御手段と裏側対向部との間に入り込んだ際に当該不正用治具のそれ以上の侵入を規制することが可能となる。そして、当該侵入規制の機能を、裏ユニットと発射制御手段とを利用して付与することができる。
【0496】
特徴D8.前記ベース体は、前後方向に貫通させて設けられ、前記発射制御手段と前記発射手段とを電気的に接続する配線が通される配線用孔部(挿通孔154)を有していることを特徴とする特徴D1乃至D7のいずれか1に記載の遊技機。
【0497】
特徴D8によれば、発射制御手段と発射手段とを接続する配線は、ベース体の周縁部の外側から回りこませるのではなく、ベース体の支持部に形成された配線用孔部を介して引き回されている。これにより、当該配線がベース体の回動操作に際して噛み込まれてしまうことを抑制できる。
【0498】
特徴D9.前記配線用孔部の位置が、前記支持部において、前記発射手段に対して遊技機後方側にて対向する位置、及び前記発射制御手段に対して遊技機前方側にて対向する位置のうち少なくとも一方の位置となるように、前記配線用孔部が形成されていることを特徴とする特徴D8に記載の遊技機。
【0499】
特徴D9によれば、支持部に配線用孔部が形成された構成において、当該配線用孔部に対して発射手段がその前方にて対向している、又は発射制御手段がその後方にて対向している。これにより、配線用孔部を介して、支持部の前方から支持部の後方へと不正用治具を挿入しようとする行為や、支持部の後方から支持部の前方へと不正用治具を挿入しようとする行為を、発射手段や発射制御手段を利用して抑制することが可能となる。
【0500】
特徴D10.前記発射制御手段は、前記支持部の背面に対して遊技機後方側に突出させて設けられており、
前記ベース体は、前記発射制御手段に対して縦方向に対向するベース側対向部(段差板部144)を備えていることを特徴とする特徴D1乃至D9のいずれか1に記載の遊技機。
【0501】
特徴D10によれば、ベース体と発射制御手段との隙間を介して、遊技部に向けて不正用治具が挿入されようとしたとしても、当該不正用治具が発射制御手段とベース側対向部との間に入り込んだ際に当該不正用治具のそれ以上の侵入を規制することが可能となる。そして、当該侵入規制の機能を、ベース体と発射制御手段とを利用して付与することができる。
【0502】
特徴D11.前記ベース体は、前記遊技部を下方から受ける受け部(段差板部144)を備えており、
前記遊技部は、前記ベース体の背面側から当該ベース体に固定されているとともに、前記受け部に下方から受けられた状態で当該ベース体に固定されており、
前記発射制御手段は、発射制御基板を有するとともに、当該発射制御基板を収容する基板ボックスを有しており、さらに当該基板ボックスにおいて上方を向く所定の面が前記受け部の下方であって当該受け部よりも遊技機後方側に位置するように設置されていることを特徴とする特徴D1乃至D10のいずれか1に記載の遊技機。
【0503】
特徴D11によれば、遊技部の装着や取り外しに際して、遊技部を仮置きする機能が発射制御手段により果たされる。これにより、発射制御手段の多機能化が図られる。
【0504】
上記特徴D群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【0505】
遊技機の一種であるパチンコ機は、遊技球が流下する遊技領域が形成された遊技盤がベース体に支持されているとともに、パチンコ機前面には遊技領域をパチンコ機前方から視認可能とする窓部が形成されている。また、ベース体において遊技盤の下方には遊技領域に向けて遊技球を発射するための発射手段が設けられている。
【0506】
発射手段としては、例えば、電磁式のソレノイドと、発射レールと、球送り装置と、を備えている。そして、パチンコ機前面の貯留部に貯留された遊技球が球送り装置により発射レール上に1個ずつ供給されるとともに、パチンコ機前面の発射操作装置が遊技者により手動操作されることに基づき上記ソレノイドが駆動されて発射レール上の遊技球が遊技領域に向けて打出される。
【0507】
上記のような発射操作装置が手動操作されたことに基づく遊技球の発射制御は、遊技を統括管理する主制御装置とは別に設けられた発射制御装置により実行される。例えば発射操作装置には遊技者が発射操作装置を触れていることを検知するセンサや、遊技者の操作量を検知するセンサが設けられており、それらセンサの検知結果は発射制御装置にて把握される。そして、発射制御装置では、それらセンサの検知結果に基づいて、発射装置のソレノイドに駆動信号を出力し、遊技球の打ち出しを行わせる。
【0508】
なお、主制御装置から出力された信号を利用して発射制御装置にて発射制御が行われる構成も考えられ、さらにまた発射制御装置が発射制御以外の機能を有している構成も考えられる。
【0509】
ここで、発射制御装置には、少なくとも発射装置側への電気配線を接続する必要がある。この場合に、上記ベース体は外枠などに回動可能な状態で支持されていることが一般的であり、その回動に際して電気配線が噛み込まれてしまうことは好ましくない。その一方、発射制御装置は遊技球の発射制御というパチンコ機での遊技を可能とする上で必須の動作を制御するものであるため、遊技者が簡単に触れることができるのは好ましくない。
【0510】
<特徴E群>
特徴E1.遊技機内部を遊技機前方から視認可能とする窓部(窓部74)と、
当該窓部の下方にて遊技機前方に膨出し、多数の遊技球を貯留可能な球受け皿(上皿83)と、
を遊技機前面部(前扉枠14の前面)に備えた遊技機において、
前記遊技機前面部には、遊技機前方に膨らみ出すように形成され、一部が前記球受け皿よりも横方に存在するように設けられた装飾キャラクタ部(装飾キャラクタユニット311)を備え、
当該装飾キャラクタ部は、その一部(手の部分311d)が横方向の位置において前記球受け皿の一部と同じ位置となるように前記球受け皿側に入り込むように形成されていることを特徴とする遊技機。
【0511】
特徴E1によれば、遊技機前方に膨らみ出すように形成された装飾キャラクタ部が遊技機前面部に設けられていることにより、当該遊技機前面部の装飾性が高められる。また、当該装飾キャラクタ部は、一部が球受け皿よりも横方に存在するように設けられているとともに、一部が横方向の位置において球受け皿と同じ位置となるように形成されているため、比較的大型なものを用いることが可能となり、この点からも装飾性が高められる。
【0512】
なお、「当該窓部の下方にて遊技機前方に膨出」する対象は、「多数の遊技球を貯留可能な球受け皿」ではなく、「多数の遊技球を貯留可能な球受け皿を有する皿部(又は皿ユニット)」であってもよく、「多数の遊技球を貯留可能な球受け皿を有する膨出部」であってもよい。
【0513】
特徴E2.支持ベース(前扉ベース14a)を前後に貫通するように形成された窓部(窓部74)と、
当該窓部による開口を遊技機後方側から塞ぐように前記支持ベースの背面側に設けられ、遊技機内部を遊技機前方から視認可能とする窓パネル(窓パネルユニット71)と、
当該窓パネルの下方にて遊技機前方に膨出し、多数の遊技球を貯留可能な球受け皿(上皿83)と、
を遊技機前面部(前扉枠14の前面)に備えた遊技機において、
前記遊技機前面部には、遊技機前方に膨らみ出すように形成された装飾キャラクタ部(装飾キャラクタユニット311)を備え、
当該装飾キャラクタ部は、前記球受け皿に対して横方向に並設されており、
前記球受け皿及び前記装飾キャラクタ部を支持する前記支持ベースには、前記球受け皿と前記装飾キャラクタ部との境界に対応した部分(境界部分L)を跨ぐように補強手段(補強プレート331)が設けられていることを特徴とする遊技機。
【0514】
特徴E2によれば、遊技機前方に膨らみ出すように形成された装飾キャラクタ部が、同じく遊技機前方に膨らみ出すように形成された球受け皿に対して横方向に並設されていることにより、遊技機前面部の装飾性が高められる。
【0515】
但し、このように前方へと膨出した部位が並設されていると、遊技機前面部にてそれら膨出部位の境界部分が生じるため、横方向の全体に亘って球受け皿が設けられている従来の遊技機に比べて、窓パネルの下方に曲げ強度が弱い箇所が存在してしまうこととなる。そして、このように曲げ強度が弱い箇所が存在していると、例えばその境界部分を遊技機前方に引っ張ることで窓部に隙間を生じさせる行為が想定される。当該行為が行われた場合、隙間を介して遊技機内部に不正用治具が挿入されてしまうことが懸念される。
【0516】
これに対して、支持ベースには、球受け皿と装飾キャラクタ部との境界に対応した部分を跨ぐように補強手段が設けられている。これにより、支持ベースにおいて補強手段が設けられた領域は、支持ベースにおける当該補強手段が設けられた領域に比べて強度が高められる。よって、上記のように遊技機前面部における窓部の下方の位置にて、遊技機前方に膨出する箇所が横方向に並設されていたとしても、境界部分における強度低下を抑制することが可能となり、上記不正行為に対する耐性が高められる。
【0517】
なお、「当該窓パネルの下方にて遊技機前方に膨出」する対象は、「多数の遊技球を貯留可能な球受け皿」ではなく、「多数の遊技球を貯留可能な球受け皿を有する皿部(又は皿ユニット)」であってもよく、「多数の遊技球を貯留可能な球受け皿を有する膨出部」であってもよい。
【0518】
特徴E3.遊技球が流下する遊技領域(遊技領域23a)が前記窓パネルを通じて遊技機前方から視認可能な構成であり、
前記補強手段は、前記支持ベースの背面において当該背面の周囲の領域よりも遊技機後方に向けて起立させて設けられていることを特徴とする特徴E2に記載の遊技機。
【0519】
特徴E3によれば、遊技機下部側から遊技領域に向けて不正用治具が挿入されたとしても、それが補強手段に対して下方から当接し、それ以上の侵入を阻止することが可能となる。つまり、上記のように境界部分の強度を高める機能を生じさせる補強手段を利用して、不正用治具の遊技領域に向けた侵入を阻止することが可能となり、補強手段の多機能化が図られる。
【0520】
特徴E4.前記支持ベースには遊技球を当該支持ベースの前後に流通させるための流通用開口部(導入口84a、出口部分337)が形成されており、
前記補強手段は、前記遊技領域よりも下方であって前記流通用開口部よりも上方において、両者に挟まれた領域に設けられていることを特徴とする特徴E3に記載の遊技機。
【0521】
特徴E4によれば、流通用開口部を通じて、遊技機前方から支持ベースの後方へ不正用治具を挿入し、さらにその不正用治具を遊技領域に侵入させようとする行為が行われたとしても、当該不正用治具が補強手段に下方から当接することで、当該不正用治具のそれ以上の侵入を阻止することが可能となる。
【0522】
特徴E5.前記遊技領域は遊技盤(遊技盤23)の前面に形成されているとともに、当該遊技盤の背面側には遊技の進行を制御する制御装置(主制御装置91)が設けられており、
さらに当該遊技盤には、前記遊技領域において特典の付与に対応した入球部(一般入賞口51及び上作動口53)に入球しなかった遊技球を当該遊技盤の背面側へ排出させるためのアウト口(アウト口59)が形成されており、
前記補強手段は、前記アウト口よりも下方であって前記流通用開口部よりも上方において、両者に挟まれた領域に設けられていることを特徴とする特徴E4に記載の遊技機。
【0523】
流通用開口部を通じて、遊技機前方から支持ベースの後方へ不正用治具を挿入し、さらにその不正用治具をアウト口の位置から遊技盤の後方へと侵入させて制御装置に不正を施す行為が想定される。これに対して、特徴E5によれば、補強手段は、支持ベースの背面側において、アウト口よりも下方であって流通用開口部よりも上方において、両者に挟まれた領域に設けられているため、上記不正用治具がアウト口に達してしまうことを阻止することが可能となり、制御装置に対して不正が施されてしまうことを阻止することが可能となる。
【0524】
特徴E6.前記補強手段は、前記支持ベースとは別体で設けられ、当該支持ベースの背面に固定された補強体(補強プレート331)であり、
前記支持ベースの背面には、前記補強体の前記支持ベースからの分離を規制するように当該補強体に対して遊技機後方から対向する分離規制手段(前側通路形成ユニット321の被覆壁部351)が設けられていることを特徴とする特徴E2乃至E5のいずれか1に記載の遊技機。
【0525】
特徴E6によれば、補強手段としての機能を支持ベースとは別体の補強体により付与することで、製造の容易化を図りながら、補強手段としての機能を付与することが可能となる。また、このように補強体が別体で設けられた構成であっても、支持ベースの背面には、補強体の分離を規制する分離規制手段が設けられているため、補強体が不正に取り外されてしまうことを抑制することが可能となる。
【0526】
特徴E7.前記支持ベースの背面には、払出手段(払出装置184)により払い出された遊技球を前記球受け皿又は当該球受け皿とは異なる球受け皿(下皿84)に導くための導出通路を形成する通路形成ユニット(前側通路形成ユニット321)が設けられており、
当該通路形成ユニットが、前記分離規制手段であることを特徴とする特徴E6に記載の遊技機。
【0527】
特徴E7によれば、通路形成ユニットは球受け皿に向けて遊技球を導出するために必須の構成であり、当該通路形成ユニットにより補強体の分離を規制することで、構成の簡素化を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【0528】
特徴E8.遊技球が流下する遊技領域(遊技領域23a)が前記窓パネルを通じて遊技機前方から視認可能な構成であり、
前記窓パネルは、前記窓部の周縁部に遊技機後方側から当接した状態と、そこから遊技機後方に向けて分離した状態とに変位可能に設けられており、
前記支持ベースの背面側には、前記窓部の下端部付近から後方へと突出し、前記窓パネルの変位に際して当該窓パネルを下方から受けることが可能な上面を有する受け手段(被覆壁部351)が設けられており、
当該受け手段が、前記分離規制手段であり、
さらに、前記支持ベースには、前記受け手段の横方の位置に、遊技球を当該支持ベースの前後に流通させるための流通用開口部(出口部分337)が形成されており、
前記補強体は、前記受け手段の前方に位置し且つ前記流通用開口部の上方に位置するように、横方向に延在させて設けられており、さらに一部が前記受け手段の前記上面よりも下方に位置するとともに他の部位が前記流通用開口部の上方に位置するように横方向の途中位置にて曲げられていることを特徴とする特徴E6又はE7に記載の遊技機。
【0529】
特徴E8によれば、窓パネルの変位作業に際して当該窓パネルを下方から受けることを可能とする受け手段が設けられていることにより、窓パネルの変位作業の容易化が図られる。そして、このような受け手段により補強体の分離を規制することで、構成の簡素化を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【0530】
また、支持ベースに流通用開口部が設けられた構成においては、当該流通用開口部を通じて、遊技機前方から遊技領域に向けて不正用治具を挿入しようとする行為が想定される。これに対して、補強体は流通用開口部の上方に位置するように横方向に延在させて設けられているため、不正用治具が挿入されたとしても、それが補強体に対して下方から当接し、それ以上の侵入を阻止することが可能となる。
【0531】
さらにまた、補強体は、一部が受け手段の上面よりも下方に位置するとともに他の部位が流通用開口部の上方に位置するように横方向の途中位置にて曲げられているため、受け手段の位置や流通用開口部の位置を変更しなくても上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【0532】
特徴E9.前記補強手段は、前記窓パネルの遊技機後方への変位を規制するように設けられていることを特徴とする特徴E2乃至E8のいずれか1に記載の遊技機。
【0533】
特徴E9によれば、窓パネルを遊技機後方へ変位させて当該窓パネルと窓部との隙間から不正用治具を挿入させようとしても、それを補強手段により阻止することが可能となる。これにより、補強手段の多機能化が図られる。
【0534】
特徴E10.前記支持ベースには、前記窓パネルが前記窓部の周縁部に遊技機後方側から当接した状態を保持させるロック位置と、前記窓パネルの遊技機後方側への変位を許容する非ロック位置とに変位可能なロック手段(下端側ロック部材345)を備え、
当該ロック手段は、前記ロック位置では前記窓パネルの周縁部の一部(下端側支持フランジ344a)に対して遊技機後方側から当接することで前記当接した状態を保持させるものであり、
前記補強手段は、前記窓パネルに対して対向しないように設けられているとともに、前記ロック手段に遊技機後方側から対向するように設けられていることを特徴とする特徴E9に記載の遊技機。
【0535】
特徴E10によれば、窓パネルの正規の変位作業に影響を与えないようにしながら、遊技機前方から窓パネルを遊技機後方へ不正に変位させようとする行為を補強手段により阻止することが可能となる。
【0536】
特徴E11.前記球受け皿は上皿(上皿83)であるとともに、前記遊技機前面部には当該上皿の下方に遊技球を貯留可能な下皿(下皿84)を備えており、
前記装飾キャラクタ部は、前記上皿と前記下皿との間に入り込んでいることを特徴とする特徴E1乃至E10のいずれか1に記載の遊技機。
【0537】
特徴E11によれば、遊技機前面部という限られた領域において、上皿と下皿との間に入り込むように装飾キャラクタ部を設けることで、当該装飾キャラクタ部の大型化を好適に実現することが可能となる。
【0538】
特徴E12.遊技球が流下する遊技領域(遊技領域23a)が前記窓パネルを通じて遊技機前方から視認可能な構成であり、
前記遊技領域に向けて遊技球を発射すべく遊技者により手動される発射操作手段(発射操作装置31)は、前記装飾キャラクタ部に設けられていることを特徴とする特徴E1乃至E11のいずれか1に記載の遊技機。
【0539】
特徴E12によれば、発射操作手段の設置領域として装飾キャラクタ部を利用することで、当該装飾キャラクタ部の大型化を好適に実現することが可能となる。
【0540】
特徴E13.遊技球が流下する遊技領域(遊技領域23a)が前記窓パネルを通じて遊技機前方から視認可能な構成であり、
前記遊技領域に向けて遊技球を発射すべく遊技者により手動される発射操作手段(発射操作装置31)を備え、
前記装飾キャラクタ部には、遊技機にて所定の動作を行わせるための前記発射操作手段とは異なる操作部(球貸用操作部313a,313b)が設けられていることを特徴とする特徴E1乃至E12のいずれか1に記載の遊技機。
【0541】
特徴E13によれば、操作部の設置領域として装飾キャラクタ部を利用することで、当該装飾キャラクタ部の大型化を好適に実現することが可能となる。
【0542】
上記特徴E群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【0543】
遊技機の一種であるパチンコ機は、その遊技機前面部に、遊技球を貯留する球受け皿が設けられている。当該球受け皿に貯留された遊技球は遊技球発射機構に案内される。また、遊技機前面部には遊技者によって発射操作がなされる発射操作装置が設けられており、当該発射操作装置が遊技者によって操作されることで、上記遊技球発射機構に案内された遊技球が遊技領域へ打ち出される。そして、例えば遊技領域に設けられた入賞口に遊技球が入球することにより、球受け皿に対して所定数の遊技球が払い出される。また、遊技機前面部における球受け皿の上方には窓パネル部が設けられており、当該窓パネル部を通じて遊技機前方から遊技領域が視認可能となっている。
【0544】
ここで、遊技機前面部は遊技者により最初に注目される領域であるため、その装飾性が高いことが好ましい。かかる装飾性を高めるために、例えばランプの配列を工夫する構成が知られている。
【0545】
しかしながら、ランプの配列の仕方のみでは、装飾性を高めようとしても限界がある。その一方、遊技機前面部には上記のとおり様々な遊技機部品が搭載されるため、装飾部品を設置しようとしても設置領域に制約が生じ、結局はランプの配列のみに頼らざるを得なかった。
【0546】
なお、上記問題は、パチンコ機に限られた問題ではなく、遊技機前面部を有する他の遊技機においても同様に発生する問題である。
【0547】
<特徴F>
特徴F.支持ベース(前扉ベース14a)を前後に貫通するように形成された窓部(窓部74)と、
当該窓部による開口を遊技機後方側から塞ぐように前記支持ベースの背面側に設けられ、遊技機内部を遊技機前方から視認可能とする窓パネル(窓パネルユニット71)と、
を遊技機前面部(前扉枠14の前面)に備えた遊技機において、
前記遊技機前面部において前記窓部の周囲には、遊技機前方に膨らみ出すように形成された複数の膨出部(上皿ユニット261、装飾キャラクタユニット311)が所定方向に並設されており、
前記複数の膨出部を支持する支持ベースには、これら複数の膨出部の境界に対応した部分(境界部分L)を跨ぐように補強手段(補強プレート331)が設けられていることを特徴とする遊技機。
【0548】
前方へと膨出した部位が並設されていると、遊技機前面部にてそれら膨出部の境界部分が生じるため、それら膨出部が並設された領域の全体に亘って単一の膨出部が設けられている構成に比べて、窓部の周囲に曲げ強度が弱い箇所が存在してしまうこととなる。そして、このように曲げ強度が弱い箇所が存在していると、例えばその境界部分を遊技機前方に引っ張ることで窓部に隙間を生じさせる行為が想定される。当該行為が行われた場合、隙間を介して遊技機内部に不正用治具が挿入されてしまうことが懸念される。
【0549】
これに対して、支持ベースには、上記複数の膨出部の境界に対応した部分を跨ぐように補強手段が設けられている。これにより、支持ベースにおいて補強手段が設けられた領域は、支持ベースにおける当該補強手段が設けられた領域に比べて強度が高められる。よって、上記のように遊技機前面部における窓部の周囲の位置にて、複数の膨出部が並設されていたとしても、境界部分における強度低下を抑制することが可能となり、上記不正行為に対する耐性が高められる。
【0550】
なお、当該特徴Fの構成に対して、上記特徴E3乃至E10のいずれか1にて限定した構成を適用することで、各構成に基づく相乗的な効果を得ることが可能となる。
【0551】
上記特徴Fの発明は、以下の課題に対して効果的である。
【0552】
遊技機の一種であるパチンコ機は、その遊技機前面部に、遊技球を貯留する球受け皿が設けられている。当該球受け皿に貯留された遊技球は遊技球発射機構に案内される。また、遊技機前面部には遊技者によって発射操作がなされる発射操作装置が設けられており、当該発射操作装置が遊技者によって操作されることで、上記遊技球発射機構に案内された遊技球が遊技領域へ打ち出される。そして、例えば遊技領域に設けられた入賞口に遊技球が入球することにより、球受け皿に対して所定数の遊技球が払い出される。
【0553】
また、遊技機前面部における球受け皿の上方には窓パネル部が設けられており、当該窓パネル部を通じて遊技機前方から遊技領域が視認可能となっている。さらにまた、遊技機前面部には各種装飾が設けられている。
【0554】
ここで、遊技機前面部の設計の自由度を高めることが好ましく、例えば遊技機前方に膨出する部位を窓部の周囲にて並べて配置する構成が考えられる。しかしながら、このように遊技機前方に膨出する部位を窓部の周囲にて並べると、両者の境界にて若干強度が低下することを狙って、例えば境界付近を遊技機前方に引っ張ることで、窓部に隙間を生じさせて不正用治具を挿入させるという行為の発生が懸念される。
【0555】
<特徴G群>
特徴G1.遊技機前面部の支持ベース(前扉ベース14a)に形成された窓部(窓部74)と、
当該窓部による開口を遊技機後方側から塞ぐように前記支持ベースの背面に設けられた窓パネル(窓パネルユニット71)と、
を備え、
当該窓パネルを通じて、遊技機内部が遊技機前方から視認可能とされた遊技機において、
前記窓パネルは、前記窓部の周縁部において遊技機後方を向く後向き面(パネル当接面343)に遊技機後方側から当接した状態と、そこから遊技機後方に向けて分離した状態と、に変位可能に設けられており、
前記支持ベースの背面側には、前記窓部の周縁部から後方へと突出し、前記窓パネルの変位に際して当該窓パネルを下方から受けることが可能なパネル受け部(ガイドリブ353~355及び連結壁部356)が設けられており、
当該パネル受け部は、前記後向き面に対して後方に離間された位置にて、当該後向き面側を向く前向き面(ガイド段差部357)を有していることを特徴とする遊技機。
【0556】
特徴G1によれば、パネル受け部が設けられていることにより、窓パネルを窓部の周縁部に遊技機後方側から当接した状態とさせる場合には、窓パネルの重量負荷をパネル受け部にて受けさせながら当該作業を行うことが可能となり、当該作業の容易化が図られる。
【0557】
また、パネル受け部は、窓部の周縁部における後向き面に対して後方に離間された位置にて当該後向き面側を向く前向き面を有しているため、窓パネルと窓部の周縁部との隙間から不正用治具が挿入されたとしても、その不正用治具の先端が前向き面に当接することでそれ以上の侵入が阻止されることが期待される。よって、当該不正行為に対する耐性が高められる。
【0558】
さらにまた、上記不正行為を抑制するための機能をパネル受け部が生じさせる構成であるため、窓パネルを上記当接した状態とした後に別部材を装着することにより上記隙間を閉塞させるような構成とは異なり、窓パネルを窓部の周縁部に当接させる作業の作業性を低下させることなく、上記不正行為に対する耐性が高められる。
【0559】
特徴G2.前記窓パネルを通じて遊技機前方から視認可能な遊技領域(遊技領域23a)が前面に形成された遊技盤(遊技盤23)を備え、当該遊技盤の背面側には遊技の進行を制御する制御装置(主制御装置91)が設けられており、
さらに、前記遊技盤には、前記遊技領域において特典の付与に対応した入球部(一般入賞口51及び上作動口53)に入球しなかった遊技球を当該遊技盤の背面側へ排出させるためのアウト口(アウト口59)が形成されており、
前記パネル受け部は、前記アウト口の周囲の少なくとも一部に設けられていることを特徴とする特徴G1に記載の遊技機。
【0560】
窓パネルと窓部の周縁部との隙間から不正用治具を挿入し、さらにその不正用治具をアウト口の位置から遊技盤の後方へと侵入させて制御装置に不正を施す行為が想定される。これに対して、特徴G2によれば、パネル受け部は、アウト口の周囲に設けられているため、不正用治具のアウト口に向けた侵入を阻止することが可能となる。
【0561】
なお、「パネル受け部」は、窓パネルの下端がアウト口よりも下方に存在する場合には、当該窓パネルの下端以上の高さ位置であって、アウト口以下の高さ位置に配置されていればよく、窓パネルの下端がアウト口よりも上方に存在する場合には、当該窓パネルの下端以下の高さ位置であって、アウト口以上の高さ位置に配置されていればよい。
【0562】
特徴G3.前記窓部の周縁部には、前記後向き面と前記前向き面とにより前後方向が区画されているとともに、前記窓パネルの中央側に向けて開放された溝(溝部462)が形成されていることを特徴G1又はG2に記載の遊技機。
【0563】
特徴G3によれば、窓パネルと窓部の周縁部との隙間から不正用治具が挿入されたとしても、その不正用治具は溝内に入り込み、それ以上の侵入が阻止される。
【0564】
特徴G4.前記窓パネルは、前記後向き面と前記前向き面との間の空間に入り込む入り込み部(入り込み部358)を備えていることを特徴とする特徴G1乃至G3のいずれか1に記載の遊技機。
【0565】
特徴G4によれば、窓パネルと窓部の周縁部との間に隙間を生じさせるべく、窓パネルが遊技機前方から後方へと押されたとしても、窓パネルの後方への変位をパネル受け部にて受けることが可能となる。これにより、隙間が生じづらくなる。
【0566】
特徴G5.前記パネル受け部は、その上面が遊技機前方に向けて上るように傾斜させて形成されており、
前記窓パネルを前記分離した状態から前記当接した状態へ変位させる場合、前記入り込み部が前記パネル受け部の前記上面を摺動するように前記窓パネルを変位させることで、当該窓パネルが前記当接した状態となる構成であり、さらに当該当接した状態となった場合に前記入り込み部が前記後向き面と前記前向き面との間の空間に入り込む構成であることを特徴とする特徴G4に記載の遊技機。
【0567】
特徴G5によれば、パネル受け部上を摺動させて窓パネルを窓部の周縁部に背面側から当接させることで、当該窓パネルの設置と、当該窓パネルの入り込み部が後向き面及び前向き面の間の空間に入り込んだ状態になることとが同時に完了する。これにより、パネル受け部により窓パネルの後方への変位を規制した構成であっても、当該窓パネルの設置作業の作業性が向上する。
【0568】
特徴G6.前記支持ベースは、前記窓パネルの側部に回動軸が存在するようにして当該窓パネルを回動可能に支持するパネル支持手段(軸受け部14b,14c)を備えていることを特徴とする特徴G1乃至G5のいずれか1に記載の遊技機。
【0569】
特徴G6によれば、窓パネルを窓部の周縁部に背面側から当接させた状態とする際には、当該窓パネルを回動操作すればよいため、当該作業の容易化が図られる。但し、窓パネルが再利用されたりすることで回動軸の部分が磨耗したりすると、窓パネルは正規の位置よりも下方に変位した状態となる。これに対して、パネル受け部が設けられているため、窓パネルをパネル受け部上に載せた状態で窓パネルを回動操作することができるため、上記のように回動軸の部分が磨耗したとしても、窓パネルの装着作業の作業性が向上する。
【0570】
特徴G7.前記支持ベースの背面には、払出手段(払出装置184)により払い出された遊技球を、遊技機前面部に設けられた球受け皿(上皿83)に導くための導出通路を形成する通路形成ユニット(前側通路形成ユニット321)が設けられており、
前記パネル受け部は、前記通路形成ユニットに形成されていることを特徴とする特徴G1乃至G6のいずれか1に記載の遊技機。
【0571】
特徴G7によれば、通路形成ユニットは球受け皿に向けて遊技球を導出するために必須の構成であり、当該通路形成ユニットにパネル受け部を設けることで、構成の簡素化を図りながら、上記のような優れた効果を奏することが可能となる。
【0572】
特徴G8.前記窓パネルを通じて遊技機前方から視認可能な遊技領域(遊技領域23a)が前面に形成された遊技盤(遊技盤23)を備え、
前記支持ベースの背面において前記遊技領域よりも外方となる位置には、当該背面において周囲の領域よりも遊技機後方に向けて起立させて設けられた起立手段(補強プレート331)を備えており、
当該起立手段は、前記窓パネルの遊技機後方への変位を規制するように設けられていることを特徴とする特徴G1乃至G7のいずれか1に記載の遊技機。
【0573】
特徴G8によれば、遊技機の周縁部から遊技領域に向けて不正用治具が挿入されたとしても、それが起立手段に対して外側から当接し、それ以上の侵入を阻止することが可能となる。また、窓パネルを遊技機後方へ変位させて当該窓パネルと窓部との隙間から不正用治具を挿入させようとしても、それを起立手段により阻止することが可能となる。
【0574】
特徴G9.前記支持ベースには、前記窓パネルが前記窓部の周縁部に遊技機後方側から当接した状態を保持させるロック位置と、前記窓パネルの遊技機後方側への変位を許容する非ロック位置とに変位可能なロック手段(下端側ロック部材345)を備え、
当該ロック手段は、前記ロック位置では前記窓パネルの周縁部の一部(下端側支持フランジ344a)に対して遊技機後方側から当接することで前記当接した状態を保持させるものであり、
前記起立手段は、前記窓パネルに対して対向しないように設けられているとともに、前記ロック手段に遊技機後方側から対向するように設けられていることを特徴とする特徴G8に記載の遊技機。
【0575】
特徴G9によれば、窓パネルの正規の変位作業に影響を与えないようにしながら、遊技機前方から窓パネルを遊技機後方へ不正に変位させようとする行為を補強手段により阻止することが可能となる。
【0576】
上記特徴G群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【0577】
遊技機の一種であるパチンコ機は、その遊技機前面部に、遊技球を貯留する球受け皿が設けられている。当該球受け皿に貯留された遊技球は遊技球発射機構に案内される。また、遊技機前面部には遊技者によって発射操作がなされる発射操作装置が設けられており、当該発射操作装置が遊技者によって操作されることで、上記遊技球発射機構に案内された遊技球が遊技領域へ打ち出される。そして、例えば遊技領域に設けられた入賞口に遊技球が入球することにより、球受け皿に対して所定数の遊技球が払い出される。また、遊技機前面部における球受け皿の上方には窓パネルが設けられており、当該窓パネルを通じて遊技機前方から遊技領域が視認可能となっている。
【0578】
ここで、例えば遊技ホールにおいて窓パネルが破損してしまうことが考えられる。この場合、当該窓パネルを交換する必要が生じる。また、窓パネルは機種間で共通して使用することが可能であるため、窓パネルの再利用を行うことも可能である。そして、これら各作業に際しては窓パネルの装着作業が行われるが、当該装着作業に際しては比較的大型の窓パネルを窓部に対して位置合わせする必要があるため、その作業の容易化が図られることが好ましい。
【0579】
その一方、窓パネルは遊技領域に対向させて設けられているため、遊技機前面部に形成された窓部と窓パネルとの間の隙間から不正用治具を挿入し、当該不正用治具を遊技領域側へ侵入させる行為が想定される。したがって、当該不正行為に対する耐性を高めることが好ましい。しかしながら、当該不正行為に対する耐性を高めるために、上記装着作業に新たな手間を生じさせることは好ましくない。
【0580】
なお、以上の問題は、遊技機前面部に窓パネルが設けられた他の遊技機においても同様に発生する問題である。
【0581】
<特徴H群>
特徴H1.多数の遊技球を貯留可能な球受け皿(上皿83)を遊技機前面部(前扉枠14の前面)に備えた遊技機において、
前記球受け皿の底面(底面271)を形成する合成樹脂製の底形成板部(底形成板部275)と、
当該底形成板部よりも衝撃吸収性の高い材料により形成され、前記底形成板部において前記底面側とは逆側の板面側に設けられた衝撃吸収手段(衝撃吸収用ゴム板301)と、を備え、
当該衝撃吸収手段は、少なくとも前記底面上に遊技球が落下して前記底形成板部が下方に撓もうとした状況において、当該底形成板部の前記逆側の板面に下方から当接してその衝撃を吸収するように設けられていることを特徴とする遊技機。
【0582】
特徴H1によれば、球受け皿の底面に対して比較的高い位置から供給された遊技球が球受け皿の底面上に落下したとしても、底形成板部の下方への撓みが衝撃吸収手段にて吸収される。これにより、上記遊技球が球受け皿から飛び出してしまうことが抑制される。
【0583】
また、衝撃吸収手段は球受け皿の底面上に設けられているのではなく、底形成板部における底面側とは逆側の板面側に設けられているため、衝撃吸収手段が底形成板部に比べて損傷し易いものであったとしても、その損傷の発生が抑制される。
【0584】
以上より、球受け皿の底面にて遊技球が跳ねてしまうことを好適に抑制することが可能となる。
【0585】
特徴H2.前記衝撃吸収手段は、前記底形成板部の前記逆側の板面に下方から当接させて設けられていることを特徴とする特徴H1に記載の遊技機。
【0586】
特徴H2によれば、衝撃吸収手段にて底形成板部の撓みを直接的に吸収することが可能となる。
【0587】
特徴H3.前記衝撃吸収手段は板状に形成されており、
前記衝撃吸収手段の下側の板面を下方から受ける受け面(支持面303)を有し、前記衝撃吸収手段を前記底形成板部の下方にて支持する支持手段(支持部材302)を備えていることを特徴とする特徴H1又はH2に記載の遊技機。
【0588】
特徴H3によれば、衝撃吸収手段自身の下方への変位が支持手段により規制されているため、底形成板部が下方に撓もうとした場合には、衝撃吸収手段にて確実に変形が発生し、底形成板部に付与された衝撃を当該衝撃吸収手段にて吸収することが可能となる。
【0589】
特徴H4.前記衝撃吸収手段は、前記底形成板部の前記逆側の板面に対して非接着状態及び非溶着状態とされており、前記底形成板部の下方にて支持手段(支持部材302)により下方から受けられていることで設置されていることを特徴とする特徴H1乃至H3のいずれか1に記載の遊技機。
【0590】
特徴H4によれば、衝撃吸収手段を底形成板部に接着させたり溶着させたりしなくても、底形成板部の下方に衝撃吸収手段を設けることが可能となる。底形成板部に衝撃吸収手段を接着又は溶着させた構成においては、接着層や溶着層が底形成板部と衝撃吸収手段との境界部分に生じ、衝撃吸収手段における衝撃の吸収性が低下してしまうことが懸念される。これに対して、底形成板部に対して衝撃吸収手段が非接着状態及び非溶着状態で設けられていることにより、上記のような不都合が発生しないようにすることができ、衝撃吸収手段における衝撃の吸収性を好適に発揮させることが可能となる。
【0591】
特徴H5.本遊技機は一方の側部が外枠(外枠11)に対して支持されるとともに、その支持された箇所を開閉基端側として前記外枠に開閉可能に支持される構成であり、
前記球受け皿の前記底面は、前記遊技機前面部にて上方に向けて開放されていることで、遊技ホールにおいて遊技機の開閉基端側に並設される球貸装置(球貸装置LD)から落下してくる遊技球を受けることが可能な構成であり、
前記衝撃吸収手段は、前記底形成板部における少なくとも前記開閉基端側の領域に対して設けられていることを特徴とする特徴H1乃至H4のいずれか1に記載の遊技機。
【0592】
特徴H5によれば、球貸装置から球受け皿の底面上に遊技球が落下してきたとしても、その落下による衝撃が衝撃吸収手段にて好適に受けられる。
【0593】
特徴H6.前記球受け皿の前壁部(前壁部272)は、前記開閉基端側に比べて横方向の中央側の方が低く形成されており、
前記衝撃吸収手段は、前記底形成板部における前記開閉基端側の領域から、少なくとも前記前壁部が低く形成された領域に対応した位置まで横方向に延在させて設けられていることを特徴とする特徴H5に記載の遊技機。
【0594】
特徴H6によれば、球受け皿の前壁部が開閉基端側に比べて横方向の中央側の方が低く形成されていることにより、遊技者が手入れにより遊技球を球受け皿に供給する場合において、その供給作業を行い易くなる。また、この場合であっても、衝撃吸収手段は、底形成板部における開閉基端側の領域から少なくとも前壁部が低く形成された領域に対応した位置まで横方向に延在させて設けられているため、手入れで遊技球が供給された際における底形成板部の衝撃をも衝撃吸収手段にて吸収することが可能となる。
【0595】
特徴H7.前記球受け皿には、前記遊技機前面部よりも後方に設けられた払出手段(払出装置184)から払い出された遊技球を当該球受け皿に導入する導入口(導入口265)が形成されており、
前記球受け皿の前壁部において前記導入口の前方箇所を含む領域には、前記球受け皿の底面よりも遊技球1個分以上離れた位置に当該球受け皿の内側に向けて起立した前壁側規制手段(突条規制部306)が設けられていることを特徴とする特徴H1乃至H6のいずれか1に記載の遊技機。
【0596】
衝撃吸収手段が設けられた構成においては、遊技球が跳ねることが抑制されるため、球受け皿の前壁部を低く形成することが可能となる。但し、衝撃吸収手段が設けられていたとしても、導入口から勢いよく排出された遊技球が前壁部を越えていってしまうことは抑制できない。そうすると、結果的に前壁部を低く形成することが難しくなる。
【0597】
これに対して、特徴H7によれば、球受け皿の前壁部において導入口の前方箇所を含む領域には、球受け皿の底面よりも遊技球1個分以上離れた位置に当該球受け皿の内側に向けて起立した前壁側規制手段が設けられている。これにより、導入口から勢いよく遊技球が排出されたとしても、その遊技球は前壁側規制手段に下方から当接することで、勢いが減じられ、前壁部を越えていってしまうことが抑制される。したがって、前壁部を低く形成することが可能となる。そして、前壁部を低く形成することで、球受け皿内に貯留されている遊技球の視認性が高められるとともに、球受け皿からの手による遊技球の取り出しを行い易くなる。
【0598】
特徴H8.前記衝撃吸収手段が設けられた領域を覆うように前記球受け皿の前方にカバー(下側2重カバー291)が設けられていることを特徴とする特徴H1乃至H7のいずれか1に記載の遊技機。
【0599】
特徴H8によれば、衝撃吸収手段が遊技機前面部にて露出してしまうことが抑制され、当該衝撃吸収手段への不要なアクセスを阻止することが可能となる。
【0600】
上記特徴H群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【0601】
遊技機の一種であるパチンコ機は、その遊技機前面部に、遊技球を貯留する球受け皿が設けられている。当該球受け皿に貯留された遊技球は遊技球発射機構に案内される。また、遊技機前面部には遊技者によって発射操作がなされる発射操作装置が設けられており、当該発射操作装置が遊技者によって操作されることで、上記遊技球発射機構に案内された遊技球が遊技領域へ打ち出される。そして、例えば遊技領域に設けられた入賞口に遊技球が入球することにより、球受け皿に対して所定数の遊技球が払い出される。
【0602】
また、球受け皿には、遊技者の手入れにより遊技球が供給されることもあれば、遊技ホールにおいてパチンコ機に並設させて設けられた球貸装置から遊技球が供給されることもある。
【0603】
ここで、球受け皿の底面に対して比較的高い位置から遊技球が供給されると、その遊技球が球受け皿の底面にて跳ねて、当該球受け皿から飛び出してしまうことが懸念される。これに対して、球受け皿の底面などの柔軟性を高めることで上記飛び出しを抑制する構成も考えられる。
【0604】
しかしながら、球受け皿の底面の柔軟性を高めると継続的な使用による損傷が当該底面に生じ易くなり、また遊技者が故意に傷つけてしまう可能性もある。球受け皿の底面が損傷したり傷ついたりすると、遊技機前面部の見た目が悪くなってしまう。
【0605】
なお、上記問題は、遊技機前面部に球受け皿を備えた他の遊技機においても同様に発生する問題である。
【0606】
<特徴I群>
特徴I1.多数の遊技球を貯留可能であるとともにその貯留している遊技球を遊技機内部に導出する球受け皿(上皿83)を備えた遊技機において、
前記球受け皿の底面(底面271)には、当該球受け皿から遊技機内部に遊技球を導出するための導出口(導出口266)に向けて遊技球を一列で整列させる整列通路部(整列通路部273)を備え、
当該整列通路部は、少なくとも前記導出口へと続く下流側において通路方向に直交する方向の両側に、当該整列通路部の底面上にて当該直交する方向に複数の遊技球が並んだ状態となることを阻止する一対の通路壁部(奥壁部264及び通路段差部274)を有しており、
それら一対の通路壁部の少なくとも一方には、前記整列通路部の底面よりも高い位置にて整列通路部側とは逆側に凹む下流側凹部(下流側凹部308)が形成されていることを特徴とする遊技機。
【0607】
特徴I1によれば、整列通路部上にて複数の遊技球が積層した状態となったとしても、整列通路部上の遊技球よりも上側の遊技球は下流側凹部に逃げることが可能となる。これにより、整列通路部上にて球詰まりが発生してしまうことを抑制することが可能となる。
【0608】
また、下流側凹部は整列通路部の底面よりも高い位置に形成されているため、整列通路部上における遊技球の整列を上記下流側凹部が邪魔してしまわないようにすることが可能となる。さらにまた、下流側凹部に入り込んだ遊技球の上方には下流側凹部の上面が存在することとなるため、当該入り込んだ遊技球の移動をある程度制限することが可能となる。
【0609】
特徴I2.前記整列通路部は横方向に延びるように設けられており、
前記下流側凹部は、前記一対の通路壁部のうち、前記球受け皿の前壁部側の通路壁部(前壁部272)に形成されていることを特徴とする特徴I1に記載の遊技機。
【0610】
特徴I2によれば、球受け皿の奥壁部側に比べて前壁部側の方が空間的な余裕があるため、この前壁部に下流側凹部を設けることで空間的な制約を生じさせないようにしながら、当該下流側凹部を設けることが可能となる。また、前壁部側に下流側凹部を設けたとしても、当該下流側凹部には上面が存在するため、下流側凹部に入り込んだ遊技球が球受け皿から零れてしまうことを抑制することが可能である。
【0611】
上記特徴I群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【0612】
遊技機の一種であるパチンコ機は、その遊技機前面部に、遊技球を貯留する球受け皿が設けられている。当該球受け皿に貯留された遊技球は遊技球発射機構に案内される。また、遊技機前面部には遊技者によって発射操作がなされる発射操作装置が設けられており、当該発射操作装置が遊技者によって操作されることで、上記遊技球発射機構に案内された遊技球が遊技領域へ打ち出される。そして、例えば遊技領域に設けられた入賞口に遊技球が入球することにより、球受け皿に対して所定数の遊技球が払い出される。
【0613】
上記構成において、遊技球発射機構に向けて遊技球を1個ずつ供給するために、球受け皿の導出口へと続く領域に整列通路部を設ける構成が考えられる。しかしながら、このように整列通路部を設けた構成においては、遊技球を事前に整列させておくことができる反面、当該整列通路部において遊技球の移動方向が大きく制限されることに起因して、球詰まりが発生する可能性が高くなる。
【0614】
なお、上記問題は、遊技球を貯留するとともにその貯留している遊技球を遊技機内部に導出する球受け皿を備えた他の遊技機においても同様に発生する問題である。
【0615】
<特徴J群>
特徴J1.膨出方向とは反対側に内部空間を開放させて形成された膨出カバー(内側発光カバー381)を備え、
当該膨出カバーは、前記内部空間を開放させる開口部(内側開口382)が長手方向と短手方向とを有するように形成されているとともに、前記開口部において前記長手方向に延びる周縁部を構成し且つ前記内部空間を挟んで対向する一対の長板部(内側長板部388a,388b)を備え、
さらに、前記一対の長板部間に設けられ、これら長板部を前記内部空間側から外側に向けて押圧するスペーサ部材(スペーサ部材393)を備えていることを特徴とする遊技機。
【0616】
特徴J1によれば、スペーサ部材により一対の長板部が内部空間側から外側に向けて押圧されるため、膨出カバーが開口部側における長手方向の中央側において内側に撓んでしまわないようにすることが可能となる。また、膨出カバーとは別体のスペーサ部材により上記機能が果たされるため、膨出カバーの形状が複雑化してしまうこともない。
【0617】
特徴J2.前記一対の長板部には、前記スペーサ部材の一対の端部(両端部394a,394b)をそれぞれ挿入可能な一対の挿入部(スペーサ用孔395a,395b)が形成されており、
前記スペーサ部材は、前記端部よりも中央側に、対応する前記長板部の内周面側を向くとともに、前記端部が対応する前記挿入部に挿入された状態において前記長板部の内周面に対して前記内部空間側から当接する一対の内側当接面(内側当接部396a,396b)を備えていることを特徴とする特徴J1に記載の遊技機。
【0618】
特徴J2によれば、膨出カバーにスペーサ部材を一体化させる場合には、当該スペーサ部材の一対の端部を対応する長板部の挿入部に挿入するだけでよい。したがって、当該一体化作業の容易化が図られる。また、挿入部にスペーサ部材の端部が挿入される構成であるため、膨出カバーに対するスペーサ部材の位置ズレの発生も抑制することが可能となる。
【0619】
特徴J3.前記膨出カバーは内側カバー(内側発光カバー381)であり、
当該内側カバーよりも一回り大きく形成され、当該内側カバーの外周面を覆う外側カバー(外側発光カバー371)を備え、
当該外側カバーに内側カバーが挿入されていることにより、膨出方向とは反対側に前記内部空間を開放させ、さらに前記内部空間を開放させる前記開口部が前記長手方向と前記短手方向とを有する複数層カバーユニット(発光カバーユニット361)が形成されており、
前記スペーサ部材は、前記一対の端部が対応する前記挿入部を越えて前記外側カバーの内周面に当接しており、その当接により当該外側カバーにおける一対の外側長板部(外側長板部376a,376b)を前記内部空間側から外側に向けて押圧していることを特徴とする特徴J2に記載の遊技機。
【0620】
特徴J3によれば、スペーサ部材により内側カバーの撓みだけでなく、外側カバーの撓みをも直接的に阻止することが可能となる。
【0621】
特徴J4.前記一対の外側長板部には、前記スペーサ部材の前記一対の端部を挿入させるための挿入部が形成されておらず、
前記スペーサ部材の前記一対の端部は、対応する前記外側長板部の内周面に内側から当接していることを特徴とする特徴J3に記載の遊技機。
【0622】
特徴J4によれば、外側カバーにおいてはスペーサ部材に対する位置をアバウトなものとすることが可能となり、高い位置合わせ精度を要することなく、上記のような優れた効果を得ることが可能となる。
【0623】
特徴J5.前記内側カバー及び前記外側カバーの一方に設けられた爪部(爪部391)と、
前記内側カバー及び前記外側カバーの他方に設けられ、前記爪部が挿入されることで前記外側カバーに対する前記内側カバーの取り外し方向の移動を規制する爪受け部(爪受け用の孔部392)と、
を備えていることを特徴とする特徴J3又はJ4に記載の遊技機。
【0624】
特徴J5によれば、外側カバーに対する内側カバーの変位を規制した状態でスペーサ部材の設置作業を行うことができるため、当該設置作業の容易化が図られる。
【0625】
特徴J6.前記複数層カバーユニットは、発光体(発光体365)を覆うためのものであり、
前記内側カバーは、合成樹脂を用いて形成されているとともに、前記発光体からの光を透過可能に形成されており、
前記外側カバーは、合成樹脂を用いて形成されているとともに、前記発光体からの光を透過可能に形成されており、
さらに、前記スペーサ部材は、合成樹脂を用いて形成されているとともに、前記発光体からの光を透過可能に形成されていることを特徴とする特徴J3乃至J5のいずれか1に記載の遊技機。
【0626】
特徴J6によれば、発光体からの光の照射を邪魔することなく、内側カバー及び外側カバーの撓みを阻止することが可能となる。
【0627】
特徴J7.前記膨出カバーは、発光体(発光体365)を覆うためのものであって、合成樹脂を用いて形成されているとともに、前記発光体からの光を透過可能に形成されており、
前記スペーサ部材は、合成樹脂を用いて形成されているとともに、前記発光体からの光を透過可能に形成されていることを特徴とする特徴J1乃至J6のいずれか1に記載の遊技機。
【0628】
特徴J7によれば、発光体からの光の照射を邪魔することなく、膨出カバーの撓みを阻止することが可能となる。
【0629】
特徴J8.前記スペーサ部材には、前記膨出カバーを設置対象に固定する場合に用いられる固定部(スペーサ側ボス397)が設けられていることを特徴とする特徴J1乃至J7のいずれか1に記載の遊技機。
【0630】
特徴J8によれば、スペーサ部材を用いて膨出カバーを設置対象に固定することができるため、別途固定用の部材を膨出カバーに取り付ける構成に比べて、部品点数の削減が図られる。
【0631】
上記特徴J群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【0632】
遊技機の一種であるパチンコ機は、その遊技機前面部に、遊技球を貯留する球受け皿が設けられている。当該球受け皿に貯留された遊技球は遊技球発射機構に案内される。また、遊技機前面部には遊技者によって発射操作がなされる発射操作装置が設けられており、当該発射操作装置が遊技者によって操作されることで、上記遊技球発射機構に案内された遊技球が遊技領域へ打ち出される。そして、例えば遊技領域に設けられた入賞口に遊技球が入球することにより、球受け皿に対して所定数の遊技球が払い出される。また、遊技機前面部における球受け皿の上方には窓パネル部が設けられており、当該窓パネル部を通じて遊技機前方から遊技領域が視認可能となっている。
【0633】
上記遊技機前面部は遊技者により最初に注目される領域であるため、その装飾性が高いことが好ましい。かかる装飾性を高めるために、例えば発光体の配列を工夫する構成が知られている。
【0634】
上記のように発光体が設けられた構成においては、その発光体自身を露出させないように発光体用のカバーが設けられる。当該発光体用のカバーは、光を透過可能となるように合成樹脂を用いて形成されており、さらに発光体が搭載された側に向けて内部空間を開放させるように当該発光体の照射方向に向けて膨出させて形成されている。
【0635】
ここで、複数の発光体をまとめて覆うために、発光体用のカバーが所定方向に長く形成される構成が考えられる。この場合、発光体用のカバーの数を少なく抑えることが可能となる。
【0636】
しかしながら、上記のように膨出させて形成された発光体用のカバーを所定方向に長く形成すると、その長手方向の中央側が撓み易くなる。これに対して、発光体用のカバーの内部に短手方向に延びるリブを形成する構成も考えられるが、この場合、発光体用のカバーの形状が複雑化してしまう。
【0637】
なお、上記問題は、発光体用のカバー以外のカバーにおいても同様に発生する問題である。
【0638】
<特徴K群>
特徴K1.遊技ホールに設置する際に利用される外枠(外枠11)と、
当該外枠に対して開閉可能に支持された遊技機本体(遊技機本体12)と、
を備えた遊技機において、
前記遊技機本体と前記外枠との境界部分であって上方を向く面(上面408)が存在する箇所に、一方が前記遊技機本体に設けられているとともに他方が前記外枠に設けられた前後一対の境界対向部(本体側対向面21b、重ね合わせ部材411、重ね合わせ部材484)を有し、
当該前後一対の境界対向部の少なくとも一方には、対向方向とは逆方向に凹むように形成された境界溝部(重ね合わせ溝414a~414d、重ね合わせ溝485)が形成されており、
当該境界溝部は、前記上方を向く面に遊技球が載っている状態で前記外枠に対する前記遊技機本体の閉鎖操作が行われた場合に、その遊技球が当該境界溝部内に入り込むことで、前記境界対向部間での遊技球の噛み込みの発生を抑えることが可能なように設けられていることを特徴とする遊技機。
【0639】
特徴K1によれば、前後一対の境界対向部が設けられていることにより、遊技機本体と外枠との境界部分を介して不正用治具を挿入しようとする行為を阻止することが可能となる。また、前後一対の境界対向部の少なくとも一方には境界溝部が形成されている。そして、上方を向く面に遊技球が載っている状態で遊技機本体の閉鎖操作が行われた場合に、その遊技球が境界溝部内に入り込むことで、境界対向部間での遊技球の噛み込みの発生を抑えることが可能となっている。これにより、球噛みの発生を抑えながら、上記不正行為を阻止することが可能となる。
【0640】
特徴K2.前記境界溝部は、その内部空間の高さ寸法及び幅寸法が遊技球1個分以上となっており、
さらに、前記前後一対の境界対向部は、前記境界溝部が形成されていることにより、前記外枠に対して前記遊技機本体を閉鎖状態とした場合に、それら境界対向部間に遊技球1個分以上の前後寸法を有する空間が生じるよう形成されていることを特徴とする特徴K1に記載の遊技機。
【0641】
特徴K2によれば、上方を向く面に遊技球が載っている状態で遊技機本体の閉鎖操作が行われたとしても、その遊技球は境界溝部に入り込み可能であり、境界溝部にその遊技球が入り込むことで、境界対向部間にて球噛みが発生しなくなる。
【0642】
特徴K3.前記境界溝部の底面(底側傾斜面408a)は、当該境界溝部が開放された方向に向けて下り傾斜となるように形成されていることを特徴とする特徴K1又はK2に記載の遊技機。
【0643】
特徴K3によれば、境界溝部に入り込んだ遊技球は、遊技機本体が開放された場合に、自ずと境界溝部から排出されるため、境界溝部に遊技球が蓄積されていくことが抑えられる。境界溝部に遊技球が蓄積されていくと、境界溝部を形成したにも関わらず、最終的に境界対向部間で球噛みが生じてしまうことが懸念されるが、本構成によれば、このような不都合の発生が抑えられる。
【0644】
特徴K4.前記境界溝部が形成された前記境界対向部は、前記境界部分に沿って延在しており、
当該境界対向部は、その延在方向の途中位置に前記境界溝部の底面と上面との間に亘って形成された柱部(前方変位部412a~412c)を備えているとともに、当該柱部を挟んだ前記延在方向の両側に前記境界溝部が形成されていることを特徴とする特徴K1乃至K3のいずれか1に記載の遊技機。
【0645】
特徴K4によれば、境界溝部の上面が底面側に撓んでしまうことを抑制することが可能となる。
【0646】
特徴K5.前記境界溝部は、前記前後一対の境界対向部のうち少なくとも後側の境界対向部(重ね合わせ部材411、重ね合わせ部材484)に形成されていることを特徴とする特徴K1乃至K3のいずれか1に記載の遊技機。
【0647】
特徴K5によれば、遊技機本体と外枠との境界部分から不正用治具を挿入したとしても、その不正用治具の先端が境界溝部に入り込む。これにより、それ以上の侵入を阻止することが可能となる。
【0648】
特徴K6.前記上方を向く面は、前記外枠の下枠部(下枠部402、下枠部471)上の面であり、
前記前後一対の境界対向部のうち後側の境界対向部(重ね合わせ部材411、重ね合わせ部材484)は、前記下枠部に設けられているとともに、
前記前後一対の境界対向部のうち前側の境界対向部(本体側対向面21b)は、前記遊技機本体において前記下枠部上に乗り上げる部位であって、前記後側の境界対向部に対して前方から対向する部位に設けられていることを特徴とする特徴K1乃至K5のいずれか1に記載の遊技機。
【0649】
特徴K6によれば、下枠部における境界部分に対して前後一対の境界対向部が設けられていることにより、下枠部と遊技機本体との間の隙間から不正用治具を挿入しようとすることを阻止することが可能となる。また、遊技機本体を開放させた場合には、下枠部上には遊技球が載った状態となり得る。これに対して、上記のとおり境界溝部が設けられていることにより、その遊技球を噛み込んでしまうことを抑制することが可能となる。
【0650】
特徴K7.前記遊技機本体は、前記下枠部において前記後側の境界対向部よりも前方に位置する領域(平坦面408b)により下方から受けられ、前記後側の境界対向部を形成する部位に対しては乗り上げないように設けられていることを特徴とする特徴K6に記載の遊技機。
【0651】
特徴K7によれば、後側の境界対向部を形成する部位にて遊技機本体の重量負荷を受ける必要がないため、当該部位が破損してしまわないようにすることが可能となる。
【0652】
特徴K8.前記遊技機本体には、前記前側の境界対向部と前記後側の境界対向部との境界をその上方にて跨ぐ部位(塞ぎ壁21c)を有していることを特徴とする特徴K6又はK7に記載の遊技機。
【0653】
特徴K8によれば、前側の境界対向部と後側の境界対向部との間の境界から不正用治具を侵入させていこうとしても、それを阻止することが可能となる。
【0654】
特徴K9.音を出力するスピーカ装置(スピーカ装置473)を備え、
前記境界溝部は、前記スピーカ装置が搭載された樹脂部材(台座472)に対して設けられていることを特徴とする特徴K1乃至K8のいずれか1に記載の遊技機。
【0655】
特徴K9によれば、スピーカ装置が搭載される領域を利用して、既に説明したような優れた効果を得ることができる。
【0656】
上記特徴K群の発明は、以下の課題に対して効果的である。
【0657】
遊技機の一種であるパチンコ機は、遊技盤が搭載された遊技機本体を備えており、当該遊技盤の遊技領域における遊技球の流下態様を視認したりすることにより当該パチンコ機での遊技が行われる。また、遊技機本体には遊技の進行を制御するための制御装置が設けられており、当該制御装置による制御に基づき遊技が進行していくこととなる。
【0658】
遊技機本体は、外枠を利用して遊技ホールの島設備に固定される。外枠は、板材を四辺に連結して構成されており、矩形枠状をなしている。遊技機本体は一方の側部が外枠に支持されており、当該外枠に対して開閉可能となっている。例えば遊技機本体の背面側のメンテナンスを遊技ホールにて行う場合には、遊技機本体が外枠に対して遊技機前方に開放される。そして、メンテナンス後には遊技機本体が外枠に対して閉鎖され、当該遊技機本体は外枠の下枠部上に乗り上げることとなる。
【0659】
ここで、遊技機に対しては各種の不正が行われている。そして、当該不正行為として、例えば外枠と遊技機本体との間の隙間から不正用治具を挿入する行為が想定される。
【0660】
これに対して、本件発明者は、外枠と遊技機本体との間の隙間を、これら外枠と遊技機本体との前後方向の重ね合わせにより埋める構成を考え出した。しかしながら、外枠の下枠部等といったように上方を向く面には遊技球が載ってしまうことがあり、上記のような重ね合わせ構造を採用した場合には、そのように遊技球が載った状態で遊技機本体の閉鎖操作を行うと、その衝撃で遊技機本体や外枠などが破損してしまう可能性を見出した。
【符号の説明】
【0661】
10…パチンコ機、11…支持用の対象としての外枠、12…遊技機本体、14…前扉枠、14a…前扉ベース、15…裏ユニットとしての裏パックユニット、21b…本体側対向面、31…発射操作装置、41…遊技球発射機構、71…窓パネルユニット、74…窓部、83…上皿、91…主制御装置、102a…下部領域、113…払出機構としての払出ユニット、121…発射制御装置、141…下枠領域、184…払出装置、196…規制手段としての積層規制部材、222…通路形成部、223…駆動収容部、231…回転体、235…駆動手段としての払出モータ、235a…出力軸、235b…本体部、237…払出検知手段としての払出検知センサ、245…設置領域、246…設置側固定部としての固定用ボス、247…払出側固定部としての固定用フランジ、248…ネジ、253a…天井傾斜面としての傾斜面、261…上皿ユニット、271…底面、275…底形成板部、301…衝撃吸収用ゴム板、311…装飾キャラクタユニット、311d…手の部分、331…補強プレート、343…パネル当接面、353~355…ガイドリブ、356…連結壁部、357…ガイド段差部、361…発光カバーユニット、371…外側発光カバー、381…内側発光カバー、382…内側開口、388a,388b…内側長板部、393…スペーサ部材、408…上面、411…重ね合わせ部材、414a~414d…重ね合わせ溝、484…重ね合わせ部材、485…重ね合わせ溝。