(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】画像分析装置、画像分析方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/80 20180101AFI20221220BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20221220BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G16H50/80
G06T7/00 660B
G08B25/00 510M
(21)【出願番号】P 2020175076
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】森内 哲
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-083395(JP,A)
【文献】特開2019-160015(JP,A)
【文献】特開2014-137754(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038271(WO,A1)
【文献】特開2010-238976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06T 7/00
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
病院又は医療関連施設に入院又は通院している
感染者の
、予め登録された顔画像データを用いて、
時系列の画像データに写る任意の人物の顔と、予め登録された前記顔画像データに写る前記感染者の顔とを照合することによって、前記時系列の画像データから、
前記感染者
の顔が映る画像データを検出し、さらに、前記感染者
の顔が映る前記画像データから、
前記感染者と一定の距離内に一定時間以上にわたって滞在した人物を、前記感染者と接触した接触者
として検出する顔検出手段と、
前記感染者の顔が映り、かつ、前記接触者が検出された前記画像データにおいて、前記感染者の顔の領域からマスクを検出し、前記感染者
の顔の領域からマスク
が検出されない場合、前記接触者が前記感染者と濃厚接触したと判定する濃厚接触判定手段と、
前記感染者との濃厚接触又はその可能性があることを通知するサービスの利用者登録を行ったユーザに関する情報である利用者情報
に含まれる前記ユーザの顔の情報を用いて、
前記利用者情報に含まれる前記ユーザの顔と、前記接触者の顔とを照合することによって、前記感染者と濃厚接触したと判定された前記接触者のうち、前記サービスのユーザを特定する特定手段と、
前記ユーザの
前記利用者情報に含まれる前記ユーザの
電話番号またはメールアドレスを用いて
、前記感染者と濃厚接触したと判定された前記接触者
のうち、前記サービスの利用者登録を行った前記ユーザに対し、前記ユーザが感染症に感染した可能性があること
を通知する通知手段とを備えた
画像分析装置。
【請求項2】
病院又は医療関連施設に入院又は通院している
感染者の
、予め登録された顔画像データを用いて、
時系列の画像データに写る任意の人物の顔と、予め登録された前記顔画像データに写る前記感染者の顔とを照合することによって、前記時系列の画像データから、
前記感染者
の顔が映る画像データを検出し、さらに、前記感染者
の顔が映る前記画像データから、
前記感染者と一定の距離内に一定時間以上にわたって滞在した人物を、前記感染者と接触した接触者
として検出し、
前記感染者の顔が映り、かつ、前記接触者が検出された前記画像データにおいて、前記感染者の顔の領域から、マスクを検出し、前記感染者
の顔の領域からマスク
が検出されない場合、前記接触者が前記感染者と濃厚接触したと判定し、
前記感染者との濃厚接触又はその可能性があることを通知するサービスの利用者登録を行ったユーザに関する情報である利用者情報
に含まれる前記ユーザの顔の情報を用いて、
前記利用者情報に含まれる前記ユーザの顔と、前記接触者の顔とを照合することによって、前記感染者と濃厚接触したと判定された前記接触者のうち、前記サービスのユーザを特定し、
前記ユーザの
前記利用者情報に含まれる前記ユーザの
電話番号またはメールアドレスを用いて
、前記感染者と濃厚接触したと判定された前記接触者
のうち、前記サービスの利用者登録を行った前記ユーザに対し、前記ユーザが感染症に感染した可能性があること
を通知する
画像分析方法。
【請求項3】
病院又は医療関連施設に入院又は通院している
感染者の
、予め登録された顔画像データを用いて、
時系列の画像データに写る任意の人物の顔と、予め登録された前記顔画像データに写る前記感染者の顔とを照合することによって、前記時系列の画像データから、
前記感染者
の顔が映る画像データを検出し、さらに、前記感染者
の顔が映る前記画像データから、
前記感染者と一定の距離内に一定時間以上にわたって滞在した人物を、前記感染者と接触した接触者
として検出することと、
前記感染者の顔が映り、かつ、前記接触者が検出された前記画像データにおいて、前記感染者の顔の領域から、マスクを検出し、前記感染者
の顔の領域からマスク
が検出されない場合、前記接触者が前記感染者と濃厚接触したと判定することと、
前記感染者との濃厚接触又はその可能性があることを通知するサービスの利用者登録を行ったユーザに関する情報である利用者情報
に含まれる前記ユーザの顔の情報を用いて、
前記利用者情報に含まれる前記ユーザの顔と、前記接触者の顔とを照合することによって、前記感染者と濃厚接触したと判定された前記接触者のうち、前記サービスのユーザを特定することと、
前記ユーザの
前記利用者情報に含まれる前記ユーザの
電話番号またはメールアドレスを用いて
、前記感染者と濃厚接触したと判定された前記接触者
のうち、前記サービスの利用者登録を行った前記ユーザに対し、前記ユーザが感染症に感染した可能性があること
を通知することと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像分析装置、画像分析方法、およびプログラムに関し、特に、画像データを分析する画像分析装置、画像分析方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の関連する技術において、ナビゲーション装置が取得する経路情報に基づいて、ユーザが感染症などの疫病に罹患した人物と接触した可能性があることをユーザに通知する。例えば、特許文献1に記載の関連する技術では、ユーザが感染症の患者と濃厚接触した可能性があることを記載したメッセージを、ナビゲーション装置の画面に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5474075号
【文献】特開2003-6342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の関連する技術では、ナビゲーション装置が備えたGPS(Global Positioning System)受信機能によって、経路情報を取得する。しかしながら、例えば病院又は医療関連施設内において、GPS受信機能はOFFにされる場合が多いため、特許文献1に記載の関連する技術を病院又は医療関連施設内で利用することができない。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、感染症の拡大を防止することに貢献することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わる画像分析装置は、画像データから感染症の患者と直接または間接に接触した接触者を検出する接触検出手段と、前記接触者が前記患者と濃厚接触したか否かを判定する濃厚接触判定手段と、前記患者と濃厚接触した前記接触者にアラートを通知する通知手段とを備えている。
【0007】
本発明の一態様に係わる画像分析方法は、画像データから感染症の患者と直接または間接に接触した接触者を検出し、前記接触者が前記患者と濃厚接触したか否かを判定し、前記患者と濃厚接触した前記接触者にアラートを通知する。
【0008】
本発明の一態様に係わるプログラムは、画像データから感染症の患者と直接または間接に接触した接触者を検出し、前記接触者が前記患者と濃厚接触したか否かを判定し、前記患者と濃厚接触した前記接触者にアラートを通知することをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、感染症の拡大を防止することに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係わる画像分析装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】感染者と接触者との間の距離および接触の時間の基準の一例を示す。
【
図4】実施形態1に係わる画像分析装置の各部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】実施形態2に係わるシステムの構成を示すブロック図である。
【
図6】実施形態2に係わるシステムが備えた管理サーバ及び画像分析装置のそれぞれの動作を示すシーケンス図である。
【
図7】実施形態3に係わるシステムの構成を示すブロック図である。
【
図8】実施形態1から3のいずれかの一変形例を説明する図である。
【
図9】実施形態1から3のいずれかのハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、いくつかの実施形態について説明する。
【0012】
〔実施形態1〕
図1から
図4を参照して、実施形態1について説明する。病院での診察により、患者が感染症に罹患していることが判明したとき、感染症の拡大を防止するため、感染症の患者が接触していた人物に連絡し、検査を受けるよう、当該人物に勧告する必要がある。本実施形態1では、画像データを分析することによって、感染症の患者が濃厚接触していた人物を特定する画像分析装置100について説明する。
【0013】
(画像分析装置100)
図1は、本実施形態1に係わる画像分析装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、画像分析装置100は、接触検出部110、濃厚接触判定部120、および通知部130を備えている。
【0014】
接触検出部110は、画像データから感染症の患者と直接または間接に接触した接触者を検出する。接触検出部110は、接触検出手段の一例である。一例では、接触検出部110は、病院内の各所の天井に設置された監視カメラにより取得された画像データを、例えば病院の管理サーバ(図示せず)から取得する。
【0015】
接触検出部110は、管理サーバから取得された画像データの中から、患者と直接または間接に接触した接触者を検出する。一例では、接触検出部110は、時系列の画像データから、感染症の患者(以下、感染者と呼ぶ)の顔を検出する。このとき、接触検出部110は、病院の管理サーバ(図示せず)に格納された患者情報から、予め登録された感染者の顔画像データを取得し、時系列の画像データに写る任意の人物の顔と、管理サーバに登録された感染者の顔とを照合する。これにより、接触検出部110は、時系列の画像データにおいて、感染者が写る画像データを特定する。その後、接触検出部110は、感染者が写る画像データから、感染者と一定の距離内に一定時間以上にわたって滞在した人物を接触者として検出する。上記の一例は、直接接触に相当する。
【0016】
図2は、接触検出部110が画像データから接触者を検出する際に参照する基準の一例を示す。
図2に示す一例では、感染者と接触者との「距離」の基準が1mに設定されている。また、感染者と接触者とが接触した「時間」の基準が1分に設定されている。この場合、接触検出部110は、感染者から1mの距離内に1分以上にわたり滞在した人物を接触者として検出する。
【0017】
例えば、接触検出部110は、感染者の頭部の大きさまたは目の間の距離が既知または平均的であると仮定する。接触検出部110は、既知または平均的な頭部の大きさまたは目の間の距離の情報を参照し、感染者が写る画像データにおける感染者の頭部の大きさまたは目の間の距離に基づいて、感染者と人物との距離を計測してもよい。
【0018】
他の一例では、接触検出部110は、時系列の画像データから、感染者が日常的に使用することが多い特定の物体と密着(つまり距離ゼロで接触)した人物を、接触者として検出する。特定の物品は、例えば椅子、ベッド、室内履き用靴などである。特定の物品は、予め決められていて、接触検出部110は、画像データに写る特定の物体を検出する。接触検出部110が特定の物品を検出するために、特定の物品を識別する識別器の学習など、周知のオブジェクト検出の技法が用いられてよい。上記の他の一例は、間接接触に相当する。直接接触及び間接接触は上記の例に限定されない。
【0019】
接触検出部110は、画像データから検出した接触者の情報を、濃厚接触判定部120へ出力する。接触者の情報は、接触者が写る画像データと、接触者が感染者と直接接触したか、それとも間接接触したかを示す情報とを含む。
【0020】
濃厚接触判定部120は、接触者が患者と濃厚接触したか否かを判定する。濃厚接触判定部120は、濃厚接触判定手段の一例である。一例では、濃厚接触判定部120は、接触検出部110から、接触者の情報を受信する。濃厚接触判定部120は、接触者の情報と、接触者または患者の行動または状態に関係するパラメータとに基づいて、接触者が患者と濃厚接触したか否かを判定する。
【0021】
図3は、濃厚接触判定部120が参照するパラメータの一例を示す。
図3に示す一例では、パラメータとして、体温、マスクの装着の有無、除菌作業の有無、および(部屋に)仕切り板の有無が挙げられている。あるいは、別のパラメータは、接触者が患者と接触していた場所(例えば、病室、食堂、待合室など)に関係していてもよい。
【0022】
一例では、パラメータは、接触者が患者と直接接触していたとき、患者および接触者がマスクを装着していたか否かを示す第1の指標を含む。本例では、濃厚接触判定部120は、まず、接触者が写る画像データから、感染者の顔を検出する。このとき、濃厚接触判定部120は、病院の管理サーバ(図示せず)に格納された患者情報から、予め登録された感染者の顔画像データを取得する。そして、濃厚接触判定部120は、画像データに写る(接触者本人以外の)任意の人物の顔と、登録された感染者の顔とを照合する。これにより、濃厚接触判定部120は、接触者が写る画像データにおいて、感染者の顔を検出する。そして、濃厚接触判定部120は、検出した感染者の顔の領域から、マスクを検出する。マスクを検出するために、マスクを識別する識別器の学習など、周知のオブジェクト検出の技法が用いられる。また、濃厚接触判定部120は、接触者が写る画像データにおいて、接触検出部110により検出された接触者の顔の領域からも、マスクを同様に検出する。感染者の顔領域および接触者の顔領域の両方又は一方から、マスクを検出できなかった場合、濃厚接触判定部120は、接触者が感染者(すなわち患者)と濃厚接触したと判定する。
【0023】
他の例では、パラメータは、接触者が患者と直接接触していたとき、患者の体温が所定の閾値を超えていたか否かを示す第2の指標を含む。本例では、濃厚接触判定部120は、図示しない管理サーバに格納された患者情報から、接触者が感染者と接触した当日に病院で計測された感染者の体温の記録を取得する。そして、濃厚接触判定部120は、計測された感染者の体温と、所定の閾値とを比較する。計測された感染者の体温が所定の閾値を超えていた場合、濃厚接触判定部120は、接触者が感染者(すなわち患者)と濃厚接触したと判定する。
【0024】
さらに他の例では、パラメータは、接触者が患者と接触したのち、接触者が除菌作業を行ったか否かを示す第3の指標を含む。本例では、濃厚接触判定部120は、図示しない管理サーバに格納された利用者情報から、接触者が患者と接触した当日に、接触者がチェックシートに入力した訪問後の除菌作業の有無の記録を取得する。利用者情報とは、感染者との濃厚接触またはその可能性があることを通知するサービスのユーザに関する情報である。あるいは、利用者情報とは、病院又は医療関連施設を訪問する訪問者(以下では、訪問者もユーザと呼ぶ場合がある)に関する情報であってもよい。接触者が感染者の訪問後に除菌作業を行ったことを確認できない場合、濃厚接触判定部120は、接触者が感染者(すなわち患者)と濃厚接触したと判定する。
【0025】
濃厚接触判定部120は、
図3に例示されたこれらのパラメータのうち少なくとも1つに基づいて、接触者が患者と濃厚接触をしたか否かを判定してよい。一例では、パラメータが上述の第2の指標を含む場合、濃厚接触判定部120は、まず、接触者の情報に基づいて、接触者が感染者と直接接触したことを特定する。次に、濃厚接触判定部120は、患者情報に含まれる感染者の体温の記録に基づいて、接触者が患者と直接接触していたとき、感染者の体温が37.5度(所定の閾値の一例)を超えていたか否かを判定する。そして、感染者の体温が37.5度を超えていた場合、濃厚接触判定部120は、接触者が濃厚接触をしたと判定する。
【0026】
一変形例において、
図3に例示するパラメータには、それぞれ優先度(レベル)が設定されている。この場合、感染症の拡大の危機の段階、または、感染症の患者の数に応じて、濃厚接触判定部120は、どの優先度のパラメータを用いて、濃厚接触の判定を行うかを決定してもよい。
【0027】
濃厚接触判定部120は、患者と濃厚接触したと判定した接触者の情報を、通知部130に出力する。以下、濃厚接触判定部120が患者と濃厚接触したと判定した接触者のことを、患者(あるいは感染者)と濃厚接触した接触者、あるいは濃厚接触者と呼ぶ場合がある。
【0028】
通知部130は、患者と濃厚接触した接触者にアラートを通知する。通知部130は、通知手段の一例である。アラートが通知される接触者は、患者と濃厚接触した接触者全員あるいは接触者のうち、接触通知のサービスを利用する利用者であってもよい。一例では、通知部130は、利用者情報を格納した図示しない管理サーバを参照して、画像データから検出した接触者を特定する。
【0029】
通知部130は、利用者情報に含まれるそれぞれのユーザの顔と、画像データから検出した接触者の顔とを照合することによって、接触者を特定してもよい。そして、通知部130は、利用者情報に含まれるユーザ(つまり濃厚接触者)の個人情報(例えば、電話番号、メールアドレス)を用いて、ユーザが感染した可能性があることをユーザに通知する。例えば、通知部130は、ユーザの電話番号を宛先として、SNS(social networking service)メッセージを送信する。
【0030】
(画像分析装置100の動作)
図4を参照して、本実施形態1に係わる画像分析装置100の動作を説明する。
図4は、画像分析装置100の各部が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0031】
図4に示すように、接触検出部110は、画像データから、感染症の患者(以下、感染者と呼ぶ場合がある)と直接または間接に接触した接触者を検出する(S1)。一例では、病院の管理サーバの患者情報に、感染症に罹患した患者の情報が新規登録されたことをトリガとして、接触検出部110は、ステップS1に示す処理を実行する。
【0032】
ここで、感染者は、入院中であっても、通常、施設内を動き回ったり、訪問者に会ったりするため、さまざまな人々と直接または間接に接触しうる。このため、接触者は1人とは限らない。接触検出部110は、画像データから検出した1または複数の接触者の情報を、濃厚接触判定部120へ出力する。
【0033】
次に、濃厚接触判定部120は、接触者が患者と濃厚接触したか否かを判定する(S2)。濃厚接触判定部120は、接触者が患者と濃厚接触したか否かの判定結果を、通知部130に出力する。接触者が患者と濃厚接触していた場合(S2でYes)、通知部130は、感染者と濃厚接触した接触者に任意の手段でアラートを通知する(S3)。
【0034】
以上で、本実施形態1に係わる画像分析装置100の動作は終了する。
【0035】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、接触検出部110は、画像データから感染症の患者と直接または間接に接触した接触者を検出する。濃厚接触判定部120は、接触者が患者と濃厚接触したか否かを判定する。通知部130は、患者と濃厚接触した接触者にアラートを通知する。患者と濃厚接触した接触者は、アラートの通知を受け取る。通知を受けた濃厚接触者は、病院又は医療関連施設での検査などで、自分が感染症に罹患しているか否かを確認したり、その他の適切な対応を行ったりする。これにより、画像分析装置100は、感染症の拡大を防止することに貢献することができる。
【0036】
〔実施形態2〕
図5から
図6を参照して、実施形態2について説明する。本実施形態2では、前記実施形態1で説明した画像分析装置100をその一部として含むシステムの一例を説明する。
【0037】
(システム1)
図5は、本実施形態2に係わるシステム1の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、システム1は、管理サーバ10および画像分析装置100を備えている。
【0038】
図5に示すように、本実施形態2に係わるシステム1が備えた画像分析装置100は、接触検出部110、濃厚接触判定部120、および通知部130を備えている。本実施形態2に係わる画像分析装置100の構成は、前記実施形態1に係わる画像分析装置100の構成と同じである。本実施形態2では、画像分析装置100の構成に関する説明を省略する。
【0039】
管理サーバ10は、患者情報11、画像データ12、および利用者情報13を記憶及び管理している。患者情報11は、病院又は医療関連施設に入院または通院している患者の情報である。患者情報11には、患者の病歴、患者の連絡先、及び患者の顔画像が含まれる。画像データ12は、病院又は医療関連施設内に設置された監視または見守りのための1台以上のカメラが取得したものである。例えば、画像データ12は、現時点から一定時間前までの直近の一定期間において、1台以上のカメラからそれぞれ取得した時系列の画像データである。利用者情報13は、感染者との濃厚接触またはその可能性があることを通知するサービスの受用者に関する情報である。あるいは、利用者情報13は、病院又は医療関連施設などの施設を訪問する訪問者(以下では、訪問者もユーザと呼ぶ)に関する情報である。
【0040】
(システム1の動作)
図6は、本実施形態2に係わるシステム1が備えた管理サーバ10および画像分析装置100のそれぞれの動作を示すシーケンス図である。
【0041】
図6に示すように、管理サーバ10は、患者情報11を画像分析装置100に送信する(P1)。また、管理サーバ10は、画像データ12を画像分析装置100に送信する(P2)。
【0042】
次に、画像分析装置100の接触検出部110は、管理サーバ10から画像データ12を取得する。接触検出部110は、取得した画像データ12から患者と直接または間接に接触した接触者を検出する(P3)。
【0043】
次に、濃厚接触判定部120は、接触者が患者と濃厚接触したか否かを判定する(P4)。濃厚接触判定部120は、接触者が患者と濃厚接触したか否かの判定結果を、通知部130に出力する。一方、管理サーバ10は、利用者情報13を画像分析装置100へ送信する(P5)。
【0044】
接触者が患者と濃厚接触していた場合(P4でYes)、通知部130は、利用者情報13を参照して、感染者と濃厚接触した接触者に任意の手段でアラートを通知する(P6)。例えば、通知部130は、利用者情報13に含まれる電話番号を参照して、「感染の可能性がある」ことを記載したSNSメッセージを、接触者の携帯電話宛てに送信する。
【0045】
以上で、本実施形態2に係わるシステム1の動作は終了する。
【0046】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、接触検出部110は、画像データから感染症の患者と直接または間接に接触した接触者を検出する。濃厚接触判定部120は、接触者が患者と濃厚接触したか否かを判定する。通知部130は、患者と濃厚接触した接触者にアラートを通知する。患者と濃厚接触した接触者は、アラートの通知を受け取る。通知を受けた濃厚接触者は、病院又は医療関連施設での検査などで、自分が感染症に罹患しているか否かを確認したり、その他の適切な対応を行ったりする。これにより、画像分析装置100は、感染症の拡大を防止することに貢献することができる。
【0047】
〔実施形態3〕
図7を参照して、実施形態3について説明する。本実施形態3では、接触者が患者と接触したのち、接触者が感染症に罹患したか否かに基づいて、パラメータを調整する構成を説明する。
【0048】
(システム2)
図7は、本実施形態3に係わるシステム2の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、システム2は、管理サーバ10および画像分析装置200を備えている。
【0049】
図7に示すように、本実施形態3に係わるシステム2が備えた画像分析装置200は、接触検出部110、濃厚接触判定部120、および通知部130を備えている。そして、本実施形態3に係わる画像分析装置200は、調整部140をさらに備えている。本実施形態3に係わる管理サーバ10は、患者情報11、画像データ12、および利用者情報13を備えている。本実施形態3に係わる管理サーバ10の構成は、前記実施形態2の管理サーバ10の構成と同じである。本実施形態3では、管理サーバ10の構成に関する説明を省略する。
【0050】
上述したように、画像分析装置200は調整部140を備えている。調整部140は、接触者が患者と接触したのち、接触者が感染症に罹患したか否かに基づいて、実施形態1において説明したパラメータを調整する。調整部140は、調整手段の一例である。前記実施形態1において示したように、パラメータは、接触者または患者の行動または状態に関係する(
図3)。あるいは、別のパラメータは、接触者が患者と接触していた場所に関係していてもよい。
【0051】
一例では、調整部140は、濃厚接触判定部120から、接触者が患者と濃厚接触したか否かの判定結果を受信する。また、調整部140は、接触者の検査結果(カルテ)のデータベース(図示せず)から、感染症の患者と濃厚接触したと判定された接触者が感染したのか否かを示す検査結果を受信する。そして、調整部140は、接触者が患者と濃厚接触したか否かの判定結果と、患者と濃厚接触したと判定された接触者が感染したのか否かを示す検査結果とが一致するように、あるいは可能な限り一致するように、上述のパラメータを調整する。例えば、初期(オリジナル)のパラメータが、「体温」および「マスク装着」であるとする。このパラメータを「体温」および「マスク装着」および「除菌作業」に変更した場合、接触者が患者と濃厚接触したか否かの判定結果と、患者と濃厚接触したと判定された接触者が感染したのか否かを示す検査結果とが一致するとする。この場合、調整部140は、上述のパラメータを「体温」および「マスク装着」から、「体温」および「マスク装着」および「除菌作業」に変更する。
【0052】
このようにして、調整部140はパラメータを調整する。濃厚接触判定部120は、調整されたパラメータを用いて、感染した可能性がより高い濃厚接触者を判定することができるようになる。一変形例では、調整部140は、パラメータそのものを調整する代わりに、パラメータそれぞれの優先度を変更してもよい。
【0053】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、接触検出部110は、画像データから感染症の患者と直接または間接に接触した接触者を検出する。濃厚接触判定部120は、接触者が患者と濃厚接触したか否かを判定する。通知部130は、患者と濃厚接触した接触者にアラートを通知する。患者と濃厚接触した接触者は、アラートの通知を受け取る。通知を受けた濃厚接触者は、病院又は医療関連施設での検査などで、自分が感染症に罹患しているか否かを確認したり、その他の適切な対応を行ったりする。これにより、画像分析装置100は、感染症の拡大を防止することに貢献することができる。
【0054】
さらに、本実施形態の構成によれば、調整部140は、接触者が患者と接触したのち、接触者が感染症に罹患したか否かに基づいて、パラメータを調整する。これにより、調整されたパラメータを用いて、感染した可能性がより高い濃厚接触者を判定することができる。
【0055】
〔変形例〕
図8を参照して、前記実施形態1または前記実施形態2に係わる画像分析装置100、あるいは、前記実施形態3に係わる画像分析装置200の一変形例を説明する。
【0056】
図8は、感染者(感染症の患者)と、接触者および濃厚接触者と、二次接触者との間の関係を示す。
図8に示すように、二次接触者とは、濃厚接触者と直接または間接に接触した人物(感染者を除く)を意味する。
【0057】
本変形例では、接触検出部110は接触者と直接または間接に接触した二次接触者をさらに検出する。例えば、接触検出部110は、感染者と直接または間接に接触した接触者を検出する手法を応用して、接触者と直接または間接に接触した二次接触者をさらに検出する。濃厚接触判定部120は、二次接触者が接触者と濃厚接触したか否かをさらに判定する。濃厚接触の判定の基準の具体例は、前記実施形態1で説明したとおりである。通知部130は、接触者と濃厚接触した二次接触者にもアラートを通知する。
【0058】
本変形例の構成によれば、接触者と濃厚接触した二次接触者にもアラートが通知される。これにより、接触者だけでなく、二次接触者にも、適切な対応を促すことができる。ひいては、感染症の拡大を防止することに貢献することができる。
【0059】
〔ハードウェア構成について〕
前記実施形態1~3で説明した画像分析装置100,200の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。これらの構成要素の一部又は全部は、例えば
図9に示すような情報処理装置900により実現される。
図9は、情報処理装置900のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0060】
図9に示すように、情報処理装置900は、一例として、以下のような構成を含む。
【0061】
・CPU(Central Processing Unit)901
・ROM(Read Only Memory)902
・RAM(Random Access Memory)903
・RAM903にロードされるプログラム904
・プログラム904を格納する記憶装置905
・記録媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
・通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
・データの入出力を行う入出力インタフェース910
・各構成要素を接続するバス911
前記実施形態1~3で説明した画像分析装置100,200の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム904をCPU901が読み込んで実行することで実現される。各構成要素の機能を実現するプログラム904は、例えば、予め記憶装置905やROM902に格納されており、必要に応じてCPU901がRAM903にロードして実行される。なお、プログラム904は、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記録媒体906に格納されており、ドライブ装置907が当該プログラムを読み出してCPU901に供給してもよい。
【0062】
〔付記〕
本発明の一態様は以下のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0063】
(付記1)
画像データから感染症の患者と直接または間接に接触した接触者を検出する接触検出手段と、
前記接触者が前記患者と濃厚接触したか否かを判定する濃厚接触判定手段と、
前記患者と濃厚接触した前記接触者にアラートを通知する通知手段とを備えた
画像分析装置。
【0064】
(付記2)
前記接触検出手段は、
前記患者と一定の距離内に一定時間以上にわたって滞在した人物を前記接触者として検出する
ことを特徴とする付記1に記載の画像分析装置。
【0065】
(付記3)
前記濃厚接触判定手段は、
前記接触者または前記患者の行動または状態に関係するパラメータに基づいて、前記接触者が前記患者と濃厚接触したか否かを判定する
ことを特徴とする付記1または2に記載の画像分析装置。
【0066】
(付記4)
前記パラメータは、前記接触者が前記患者と接触していたとき、前記患者および前記接触者がマスクを装着していたか否かを示す第1の指標を含む
ことを特徴とする付記3に記載の画像分析装置。
【0067】
(付記5)
前記パラメータは、前記接触者が前記患者と接触していたとき、前記患者の体温が所定の閾値を超えていたか否かを示す第2の指標を含む
ことを特徴とする付記3に記載の画像分析装置。
【0068】
(付記6)
前記パラメータは、前記接触者が前記患者と接触したのち、前記接触者が除菌作業を行ったか否かを示す第3の指標を含む
ことを特徴とする付記3に記載の画像分析装置。
【0069】
(付記7)
前記接触者が前記患者と接触したのち、前記接触者が感染症に罹患したか否かに基づいて、前記パラメータを調整する調整手段をさらに備えた
ことを特徴とする付記1から6のいずれか1項に記載の画像分析装置。
【0070】
(付記8)
前記接触検出手段は、前記患者と濃厚接触した前記接触者と直接または間接に接触した二次接触者をさらに検出し、
前記濃厚接触判定手段は、前記二次接触者が前記接触者と濃厚接触したか否かをさらに判定し、
前記通知手段は、前記接触者と濃厚接触した前記二次接触者にもアラートを通知する
ことを特徴とする付記1から7のいずれか1項に記載の画像分析装置。
【0071】
(付記9)
画像データから感染症の患者と直接または間接に接触した接触者を検出し、
前記接触者が前記患者と濃厚接触したか否かを判定し、
前記患者と濃厚接触した前記接触者にアラートを通知する
画像分析方法。
【0072】
(付記10)
画像データから感染症の患者と直接または間接に接触した接触者を検出し、
前記接触者が前記患者と濃厚接触したか否かを判定し、
前記患者と濃厚接触した前記接触者にアラートを通知する
ことをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0073】
(付記11)
前記接触検出手段は、
前記患者が写る画像の中から、前記患者と直接接触した前記接触者を検出する
ことを特徴とする付記1から8のいずれか1項に記載の画像分析装置。
【0074】
(付記12)
前記濃厚接触判定手段は、
前記接触者が前記患者と接触していた場所に関係する別のパラメータに基づいて、前記接触者が前記患者と濃厚接触したか否かを判定する
ことを特徴とする付記1から8のいずれか1項に記載の画像分析装置。
【符号の説明】
【0075】
100 画像分析装置
110 接触検出部
120 濃厚接触判定部
130 通知部
140 調整部
200 画像分析装置