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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】膨張装置、及び造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/26 20060101AFI20221220BHJP
   B41M 5/36 20060101ALI20221220BHJP
   B41M 3/06 20060101ALI20221220BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20221220BHJP
   B29C 44/60 20060101ALI20221220BHJP
   B29K 101/12 20060101ALN20221220BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20221220BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20221220BHJP
【FI】
B29C44/26
B41M5/36
B41M3/06 F
B41M3/06 C
B29C44/00 F
B29C44/60
B29K101:12
B29K105:04
B29L7:00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020178897
(22)【出願日】2020-10-26
(62)【分割の表示】P 2018228745の分割
【原出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2021037763
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】堀内 雄史
(72)【発明者】
【氏名】岩本 健士
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-150789(JP,A)
【文献】特開2001-130194(JP,A)
【文献】特開2017-094706(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03378647(EP,A1)
【文献】国際公開第2017/086191(WO,A1)
【文献】特開2017-170688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0274584(US,A1)
【文献】特開2006-231791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00-44/60,67/20
B41M 1/00-3/18,5/035,5/26,5/36-5/52,7/00-9/04
B44B 1/00-11/04
B44C 1/00-7/08
B44D 2/00-7/00
B44F 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と前記基材の第1主面にパターン形成された熱膨張層とを備える成形シートを加熱して、前記熱膨張層の少なくとも一部を膨張させる第1膨張手段と、
レーザ光を、前記熱膨張層の前記第1膨張手段が膨張させる領域の大きさよりも小さい領域に照射して、該領域を膨張させる第2膨張手段と、を備える、
膨張装置。
【請求項2】
前記第1膨張手段は、前記基材の前記第1主面と反対側の第2主面側から前記成形シートを加熱する電熱ヒータである、
請求項1に記載の膨張装置。
【請求項3】
基材と前記基材の第1主面に積層された熱膨張層とを備える成形シートを、前記基材の前記第1主面と反対側の第2主面側から加熱して、前記熱膨張層の少なくとも一部を膨張させる第1膨張手段としての電熱ヒータと、
レーザ光を、前記熱膨張層の前記電熱ヒータが膨張させる領域の大きさよりも小さい領域に照射して、該領域を膨張させる第2膨張手段と、を備える、
膨張装置。
【請求項4】
前記熱膨張層は、前記基材の前記第1主面に第1凸部に対応するようにパターン形成されていて、
前記第2膨張手段は、前記小さい領域として、前記第1凸部と第1凹部から構成される第1凹凸よりも細かい第2凹凸を構成する第2凸部と第2凹部とのうち前記第2凸部に対応する領域に、前記レーザ光を照射する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の膨張装置。
【請求項5】
前記第2膨張手段は、記憶手段に記憶されている前記第2凹凸に対応するデータに基づいて、前記小さい領域に前記レーザ光を照射する、
請求項4に記載の膨張装置。
【請求項6】
前記成形シートを搬送する搬送手段を備え、
前記第1膨張手段と前記第2膨張手段は、前記搬送手段が前記成形シートを搬送する方向に沿って、前記第2膨張手段、前記第1膨張手段の順に配置されている、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の膨張装置。
【請求項7】
基材と前記基材の第1主面に積層された熱膨張層とを備える成形シートを加熱して、前記成形シートの熱膨張層の少なくとも一部を膨張させる第1膨張工程と、
レーザ光を、前記熱膨張層の前記第1膨張工程において膨張させる領域の大きさよりも小さい領域に照射して、該領域を加熱し膨張させる第2膨張工程と、を含む、
造形物の製造方法。
【請求項8】
前記第1膨張工程は、前記基材の前記第1主面と反対側の第2主面側から前記成形シートを電熱ヒータにより加熱することを含む、
請求項7に記載の造形物の製造方法。
【請求項9】
前記熱膨張層は、前記基材の前記第1主面に第1凸部に対応するようにパターン形成されていて、
前記第2膨張工程は、前記小さい領域として、前記第1凸部と第1凹部から構成される第1凹凸よりも細かい第2凹凸を構成する第2凸部と第2凹部とのうち前記第2凸部に対応する領域に、前記レーザ光を照射することを含む、
請求項7又は8に記載の造形物の製造方法。
【請求項10】
前記第2膨張工程は、記憶手段に記憶されている前記第2凹凸に対応するデータに基づいて、前記小さい領域に前記レーザ光を照射することを含む、
請求項9に記載の造形物の製造方法。
【請求項11】
前記第1膨張工程と前記第2膨張工程は、前記第2膨張工程、前記第1膨張工程の順で実施される、
請求項7乃至10のいずれか1項に記載の造形物の製造方法。
【請求項12】
前記第1膨張工程と前記第2膨張工程は、前記第1膨張工程、前記第2膨張工程の順で実施される、
請求項7乃至10のいずれか1項に記載の造形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張装置、及び造形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材シートと熱膨張性微小球を含む被覆層とを有し、所定の画像を光吸収特性に優れた画像形成材料で形成された熱膨張性シートに、光を照射して、画像形成材料の光吸収特性を利用して選択的に画像部分を加熱することによって、被覆層の熱膨張性微小球を膨張させて、立体画像(造形物)を形成する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭64-28660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、画像を形成する画像形成材料が発する熱により、熱膨張性微小球を加熱するので、画像に対応する被覆層の熱膨張性微小球だけでなく、その周辺の熱膨張性微小球も加熱される。これにより、熱膨張性シートにおける画像部分の周辺も隆起するので、細かな凹凸を有する造形物を製造することは、困難である。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、より細かな凹凸を有する造形物を製造できる膨張装置、及び造形物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第の観点に係る膨張装置は、
基材と前記基材の第1主面にパターン形成された熱膨張層とを備える成形シートを加熱して、前記熱膨張層の少なくとも一部を膨張させる第1膨張手段と、
レーザ光を、前記熱膨張層の前記第1膨張手段が膨張させる領域の大きさよりも小さい領域に照射して、該領域を膨張させる第2膨張手段と、を備える。
本発明の第2の観点に係る膨張装置は、
基材と前記基材の第1主面に積層された熱膨張層とを備える成形シートを、前記基材の前記第1主面と反対側の第2主面側から加熱して、前記熱膨張層の少なくとも一部を膨張させる第1膨張手段としての電熱ヒータと、
レーザ光を、前記熱膨張層の前記電熱ヒータが膨張させる領域の大きさよりも小さい領域に照射して、該領域を膨張させる第2膨張手段と、を備える。
【0010】
本発明の第の観点に係る造形物の製造方法は、
基材と前記基材の第1主面に積層された熱膨張層とを備える成形シートを加熱して、前記成形シートの熱膨張層の少なくとも一部を膨張させる第1膨張工程と、
レーザ光を、前記熱膨張層の前記第1膨張工程において膨張させる領域の大きさよりも小さい領域に照射して、該領域を加熱し膨張させる第2膨張工程と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より細かな凹凸を有する造形物を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1に係る成形シートの断面を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態1に係る造形物を示す斜視図である。
図3図2に示す造形物をS-S線で矢視した断面図である。
図4】本発明の実施形態1に係る造形システムの構成を示す図である。
図5】本発明の実施形態1に係る制御ユニットの構成を示すブロック図である。
図6】本発明の実施形態1に係る制御ユニットのハードウェアの構成を示す図である。
図7】本発明の実施形態1に係る膨張装置を示す模式図である。
図8】本発明の実施形態1に係る造形物の製造方法を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態1に係るデータ生成処理を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態1に係る熱変換層を積層された成形シートの断面を示す模式図である。
図11】本発明の実施形態2に係る膨張装置を示す模式図である。
図12】本発明の実施形態2に係る造形物の製造方法を示すフローチャートである。
図13】本発明の実施形態3に係る膨張装置を示す模式図である。
図14】本発明の実施形態3に係る膨張装置を示す模式図である。
図15】本発明の実施形態3に係る膨張装置を示す模式図である。
図16】本発明の実施形態3に係る造形物の製造方法を示すフローチャートである。
図17】本発明の実施形態4に係る成形シートを示す斜視図である。
図18】本発明の実施形態4に係る造形物を示す斜視図である。
図19図18に示す造形物をT-T線で矢視した断面図である。
図20】本発明の実施形態4に係る造形システムの構成を示す図である。
図21】本発明の実施形態4に係る膨張装置を示す模式図である。
図22】本発明の実施形態4に係る造形物の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る膨張装置と、膨張装置を備える造形システムについて、図面を参照して説明する。
【0014】
<実施形態1>
本実施形態では、造形システム1は、熱膨張する成形シート10から造形物50を製造する。造形物50は、加飾シート、壁紙等として使用される。本明細書において、「造形物」は所定の面に凹凸を造型(形成)されているシートであり、凹凸は、幾何学形状、文字、模様、装飾等を構成する。ここで、「装飾」とは、視覚及び/又は触覚を通じて美感を想起させるものである。「造形(又は造型)」は、形のあるものを作り出すことを意味し、装飾を加える加飾、装飾を形成する造飾のような概念をも含む。また、本実施形態の造形物50は、所定の面に凹凸を有する立体物であるが、いわゆる3Dプリンタにより製造された立体物と区別するため、本実施形態の造形物50を2.5次元(2.5D)オブジェクト又は疑似三次元(Pseudo-3D)オブジェクトとも呼ぶ。本実施形態の造形物を製造する技術は、2.5D印刷技術又はPseudo-3D印刷技術とも呼べる。
【0015】
(成形シートと造形物)
まず、図1図3を参照して、成形シート10と造形物50を説明する。成形シート10は、図1に示すように、基材12と基材12の第1主面12aの上に積層された熱膨張層20とを備える。本実施形態では、熱膨張層20は第1主面12aの全面に積層されている。
【0016】
成形シート10の基材12は、熱膨張層20を積層される第1主面12aと、第1主面12aと反対側の第2主面12bとを有する。基材12は熱膨張層20を支持する。基材12は、例えば、シート状に形成される。基材12を構成する材料は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等)等の熱可塑性樹脂である。基材12を構成する材料の種類と基材12の厚さは、造形物50の用途に応じて選択される。
【0017】
成形シート10の熱膨張層20は、基材12の第1主面12aの上に積層される。熱膨張層20は、図示しないバインダと、バインダ中に分散された図示しない熱膨張材料とを含む。バインダは、酢酸ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマー等の任意の熱可塑性樹脂である。熱膨張材料は、例えば、熱膨張性マイクロカプセルであり、所定の温度以上に加熱されることにより、加熱される熱量(具体的には、加熱温度、加熱時間等)に応じた大きさに膨張する。熱膨張材料は、例えば、80℃~120℃以上に加熱されることによって膨張する。
【0018】
熱膨張性マイクロカプセルは、プロパン、ブタン、その他の低沸点物質から構成された発泡剤を、熱可塑性樹脂製の殻内に包み込んだマイクロカプセルである。熱膨張性マイクロカプセルの殻は、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、これらの共重合体等の熱可塑性樹脂から形成される。熱膨張性マイクロカプセルは、所定の温度以上に加熱されると、殻が軟化すると共に発泡剤が気化し、発泡剤が気化した圧力により、殻がバルーン状に膨張する。熱膨張性マイクロカプセルは、膨張前の粒径の5倍程度まで膨張する。膨張前の熱膨張性マイクロカプセルの平均粒径は、例えば、5~50μmである。
【0019】
成形シート10の熱膨張層20は、熱膨張材料の膨張により膨張し、基材12と反対側の面20aに、後述する第1凹凸60と第2凹凸70を形成される。
【0020】
造形物50は、図2図3に示すように、基材12と、基材12の第1主面12aの上に積層され、基材12と反対側に第1凹凸60と第2凹凸70とを有する熱膨張層20と、第1凹凸60に対応するパターンで積層された熱変換層80とを備える。
【0021】
造形物50は、シート状の造形物であり、表面に第1凹凸60と第2凹凸70とを有している。造形物50の基材12の構成は成形シート10の基材12と同様であるので、ここでは、造形物50の熱膨張層20と熱変換層80について、説明する。
【0022】
造形物50の熱膨張層20は、成形シート10の熱膨張層20の一部が膨張した層である。造形物50の熱膨張層20は、成形シート10の熱膨張層20のバインダと同様のバインダと、成形シート10の熱膨張層20の熱膨張材料と同様の熱膨張材料(膨張前の熱膨張材料)と、成形シート10の熱膨張層20の熱膨張材料が膨張した熱膨張材料とを含む。
【0023】
熱膨張層20の第1凹凸60は、成形シート10の熱膨張層20の熱膨張材料が膨張することにより形成される第1凸部62による凹凸であり、第1凸部62と第1凹部64とから構成されている。また、造形物50の熱膨張層20の第2凹凸70は、成形シート10の熱膨張層20の熱膨張材料が膨張することにより形成される第2凸部72による凹凸であり、第2凸部72と第2凹部74とから構成されている。ここで、第1凸部62は、幅(造形物50の長手方向の長さ)と長さ(造形物50の短手方向の長さ)がそれぞれの所定のしきい値以上であり、第2凸部は、幅と長さの少なくとも1つがそれぞれの所定のしきい値よりも小さい。すなわち、第1凹凸60と第2凹凸70とを比較すると、第2凹凸70は第1凹凸60よりも細かい凹凸となっている。
【0024】
造形物50の熱変換層80は、基材12の第2主面12bの上に、熱膨張層20の第1凹凸60に対応したパターンで積層される。熱変換層80は、照射された電磁波を熱に変換し、変換された熱を放出する。熱膨張材料は、熱変換層80から放出された熱により、加熱される。加熱された熱膨張材料は、加熱温度、加熱時間等に応じた大きさに膨張する。これにより、膨張した熱膨張材料が形成され、熱膨張層20が膨張する。熱変換層80は、成形シート10の他の部分に比べて速やかに、電磁波を熱に変換するので、熱変換層80の近傍の領域(熱膨張材料)を加熱できる。
【0025】
熱変換層80は、吸収した電磁波を熱に変換する熱変換材料から構成される。熱変換材料は、カーボン分子であるカーボンブラック、六ホウ化金属化合物、酸化タングステン系化合物等である。例えば、カーボンブラックは、可視光、赤外光等を吸収して熱に変換する。また、六ホウ化金属化合物と酸化タングステン系化合物は、近赤外光を吸収して熱に変換する。六ホウ化金属化合物と酸化タングステン系化合物の中では、近赤外光領域で吸収率が高く、かつ可視光領域の透過率が高いことから、六ホウ化ランタン(LaB)とセシウム酸化タングステン(CsWO)が好ましい。
【0026】
(造形システム)
次に、成形シート10から造形物50を製造する造形システム1を説明する。造形システム1は、図4に示すように、制御ユニット100と、成形シート10に熱変換層80を印刷する印刷装置200と、成形シート10の熱膨張層20の少なくとも一部を膨張させ、第1凸部62と第2凸部72(すなわち第1凹凸60と第2凹凸70)を形成する膨張装置300とを備える。
【0027】
制御ユニット100は、印刷装置200と膨張装置300とを制御する。制御ユニット100は、図5に示すように、制御部110と記憶部121と通信部122と記録媒体駆動部123と操作部124と表示部125とを備える。
【0028】
制御ユニット100の制御部110は、制御ユニット100の各部を制御すると共に、印刷装置200と膨張装置300の動作を制御する。また、制御部110は、造形物50の凹凸形状を表し、熱膨張層20における位置と隆起させる高さとを関連付けた凹凸データから、第1凸部62と第2凸部72を形成するためのデータを生成する。なお、制御部110は制御手段として機能する。
【0029】
制御部110は、凹凸データに基づいて第1凸部62と第2凸部72とを判別する判別部112と、判別された第1凸部62を形成するための第1凸データと第2凸部72を形成するための第2凸データとを生成する生成部114とを有する。判別部112と生成部114は、それぞれ、判別手段と生成手段として機能する。
【0030】
制御部110の判別部112は、例えば、凹凸データが表す凹凸形状の凸部分を判別する。次に、高さと幅と長さがそれぞれの所定のしきい値以上である凸部分を第1凸部62と、幅と長さの少なくとも1つがそれぞれの所定のしきい値よりも小さい凸部分を第2凸部72と判別する。そして、判別された第1凸部62と第2凸部72の位置を表す位置データを生成し、制御部110の生成部114に出力する。
【0031】
制御部110の生成部114は、例えば、判別部112から出力された位置データと、凹凸データとに基づいて、熱膨張層20における位置と第1凸部62として隆起させる高さとを関連付けた第1凸データと、熱膨張層20における位置と第2凸部72として隆起させる高さとを関連付けた第2凸データとを生成する。第1凸データは第1凸部62を表すデータであり、第2凸データは第2凸部72を表すデータである。制御部110は、生成された第1凸データと第2凸データに基づいて、印刷装置200と膨張装置300の動作を制御する。
【0032】
制御ユニット100の記憶部121は、印刷装置200と膨張装置300の制御に用いられる、データとプログラムとを記憶する。制御ユニット100の通信部122は、印刷装置200と膨張装置300と通信する。
【0033】
制御ユニット100の記録媒体駆動部123は、可搬型の記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す。可搬型の記録媒体とは、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、USB(Universal Serial Bus)規格のコネクタが備えられているフラッシュメモリ等である。
【0034】
制御ユニット100の操作部124は、ユーザから操作を受け付ける。ユーザは、操作部124を操作することによって、制御ユニット100に指令を入力できる。
【0035】
制御ユニット100の表示部125は、データ、印刷装置200と膨張装置300の状態を表す情報等を表示する。
【0036】
図6は、制御ユニット100のハードウェアの構成を示す。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)131とRAM(Random Access Memory)132から構成される。制御部110の機能は、CPU131が記憶部121に記憶されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部121は、ROM(Read Only Memory)133とハードディスク134とを備える。通信部122は通信インタフェース135である。記録媒体駆動部123は、例えば光学ディスクドライブ136である。操作部124は、例えば、タッチパネル137、キーボード、マウスである。表示部125は、例えば、液晶ディスプレイ138である。CPU131と各部は、バス139を介して接続する。
【0037】
図4に戻り、印刷装置200は、制御ユニット100により制御され、成形シート10の基材12の第2主面12bの上に熱変換層80を印刷する。印刷装置200は、例えば、インクジェットプリンタである。なお、印刷装置200は、図示しない、CPUから構成される制御部とROMとRAMから構成される記憶部とを備えている。
【0038】
印刷装置200は、制御ユニット100の制御部110により生成された、熱膨張層20における位置と第1凸部62として隆起させる高さとを関連付けた第1凸データに基づいて、第1凹凸60に対応したパターンで、熱変換層80を印刷する。具体的には、熱変換層80から放出される熱の熱量は、熱変換材料の濃度(すなわちインクの濃淡)と熱変換層80に照射される電磁波の単位面積と単位時間当たりのエネルギー量に依存するので、印刷装置200は、基材12の第2主面12bに、第1凸部62の高さに応じた濃淡パターンを印刷する。これにより、熱変換層80が基材12の第2主面12bに積層される。
【0039】
膨張装置300は、制御ユニット100により制御され、成形シート10の熱膨張層20の少なくとも一部を膨張させて、第1凸部62(すなわち第1凹凸60)と第2凸部72(すなわち第2凹凸70)とを形成する。膨張装置300は、図7に示すように、筐体301内に、搬送ローラ302a、302b、304a、304bと第1膨張手段310と第2膨張手段320とを備える。また、膨張装置300は、図示しない、CPUから構成される制御部とROMとRAMから構成される記憶部とを備えている。なお、理解を容易にするため、本明細書では、図7における膨張装置300の長手右方向(紙面の右方向)を+X軸方向、上方向(紙面の上方向)を+Z軸方向、+X軸方向と+Z軸方向に垂直な方向(紙面の手前方向)を+Y軸方向として説明する。
【0040】
搬送ローラ302aと搬送ローラ302bと、搬送ローラ304aと搬送ローラ304bは対をなし、熱変換層80を積層された成形シート10を挟持する。また、搬送ローラ302a、302b、304a、304bは、回転して、熱変換層80を積層された成形シート10を-X側から+X軸方向に搬送する。搬送ローラ302a、302b、304a、304bは、熱変換層80を積層された成形シート10を搬送する搬送手段として機能する。
【0041】
本実施形態では、熱変換層80を積層された成形シート10が、図示しない搬送ガイドに導かれ、熱膨張層20を+Z軸方向に、基材12の第2主面12bを-Z軸方向に向けて、-X側から+X軸方向に搬送される。また、膨張装置300は、熱変換層80を積層された成形シート10を搬送しつつ、第1膨張手段310と第2膨張手段320によって、成形シート10の熱膨張層20を膨張させる。
【0042】
膨張装置300の第1膨張手段310は、成形シート10に積層されている熱変換層80に電磁波を照射して、熱膨張層20の少なくとも一部を膨張させる。具体的には、第1膨張手段310は、成形シート10に積層されている熱変換層80に電磁波を照射して、電磁波を照射された領域A内の熱変換層80に熱を放出させ、熱膨張層20の熱変換層80に対応する部分の熱膨張材料を加熱し膨張させる。これによって、第1膨張手段310は、熱膨張層20の熱変換層80に対応する部分を膨張させる。熱変換層80は、熱膨張層20における位置と第1凸部62として隆起させる高さとを関連付けた第1凸データに基づいて形成されているので、第1凸部62が熱膨張層20に形成される。本実施形態では、第1膨張手段310は、熱変換層80を積層された成形シート10の搬送経路よりも-Z側に配置され、-Z側、すなわち基材12の第2主面12b側から電磁波を照射する。また、第1膨張手段310は、第2膨張手段320よりも-X側に配置されている。なお、本実施形態では、第1膨張手段310が電磁波を照射する領域Aは、後述する、第2膨張手段320がレーザ光を照射する領域Cよりも広い。
【0043】
第1膨張手段310は、例えば、カバー311とランプ312と反射板313とファン314とを備える。カバー311は、ランプ312と反射板313とファン314とを収納する。ランプ312は、例えば、直管状のハロゲンランプから構成される。ランプ312は、成形シート10に、近赤外領域(波長750nm~1400nm)、可視光領域(波長380nm~750nm)、中赤外領域(波長1400nm~4000nm)等の電磁波を照射する。反射板313は、ランプ312から照射された電磁波を成形シート10に向けて反射する反射板である。ファン314は、カバー311内に空気を送り込み、ランプ312と反射板313とを冷却する。
【0044】
膨張装置300の第2膨張手段320は、熱膨張層20の第1膨張手段310が膨張させる領域(すなわち、本実施形態では第1凸部62の領域B)の大きさよりも小さい領域Cに、レーザ光を照射して、領域Cを加熱し膨張させる。具体的には、第2膨張手段320は、制御ユニット100により生成された第2凸データに基づいて、熱膨張層20の第2凸部72が形成される位置に、第2凸部72の高さに応じた強度のレーザ光を照射して、熱膨張材料を加熱し膨張させる。これにより、熱膨張層20が膨張され、第2凸部72が熱膨張層20に形成される。本実施形態では、第2膨張手段320は、熱変換層80を積層された成形シート10の搬送経路よりも+Z側に配置され、+Z側、すなわち熱膨張層20側からレーザ光を照射する。また、第2膨張手段320は、第1膨張手段310よりも+X側に配置されている。
【0045】
第2膨張手段320は、例えば炭酸ガスレーザ照射器であり、炭酸ガスレーザ発振部、ポリゴンミラー、レンズ等(図示せず)を備える。第2膨張手段320は、炭酸ガスレーザ発振部で発振された炭酸ガスレーザ光をポリゴンミラーで反射させて、炭酸ガスレーザ光を+Y方向と-Y方向に走査し、熱膨張層20の第2凸部72が形成される位置に、炭酸ガスレーザ光を照射する。
【0046】
本実施形態では、第2膨張手段320が、成形シート10の熱膨張層20の小さい領域Cにレーザ光を照射して、小さい領域Cを局所的に加熱する。したがって、膨張装置300は、より小さな第2凸部72、すなわち、より細かな第2凹凸70を有する造形物50を製造できる。なお、本明細書において、レーザ光を照射して加熱するとは、レーザ光のエネルギーを熱エネルギーに変換せず(例えば、熱変換層80を介さず)、レーザ光により加熱することを指す。
【0047】
(造形物の製造方法)
次に、図8図10を参照して、造形物50の製造方法を説明する。本実施形態では、シート状(例えば、A4用紙サイズ)の成形シート10から、造形物50を製造する。
【0048】
図8は、造形物50の製造方法を示すフローチャートである。造形物50の製造方法は、成形シート10とデータとを準備する準備工程(ステップS10)と、成形シート10に、電磁波を熱に変換する熱変換層80を積層する熱変換層積層工程(ステップS20)と、熱変換層80に電磁波を照射して、熱変換層80から放出される熱により、成形シート10の熱膨張層20の少なくとも一部を加熱し膨張させる第1膨張工程(ステップS30)と、レーザ光を、熱膨張層20の第1膨張工程(ステップS30)において膨張させる領域の大きさよりも小さい領域に照射して、レーザ光を照射された領域を加熱し膨張させる第2膨張工程(ステップS40)と、を含む。
【0049】
準備工程(ステップS10)では、成形シート10と、熱膨張層20における位置と第1凸部62として隆起させる高さとを関連付けた第1凸データと、熱膨張層20における位置と第2凸部72として隆起させる高さとを関連付けた第2凸データとを準備する。
【0050】
成形シート10は、例えば、基材12の第1主面12aに、バインダと熱膨張材料とを混合した塗布液をスクリーン印刷し、印刷された塗布液を乾燥することにより製造される。
【0051】
第1凸データと第2凸データは、図9に示す、制御ユニット100により実行されるデータ生成処理により、凹凸データから生成される。凹凸データは、造形物50の凹凸形状を表し、熱膨張層20における位置と隆起させる高さとを関連付けたデータである。データ生成処理では、まず、制御部110の判別部112が、ユーザからの指示により、記憶部121に保存されている凹凸データを取得し、凹凸データが表す凸部分を判別する(ステップS2)。そして、判別部112は、高さと幅と長さがそれぞれの所定のしきい値以上である凸部分を第1凸部62と、幅と長さの少なくとも1つがそれぞれの所定のしきい値よりも小さい凸部分を第2凸部72と判別する(ステップS4)。判別部112は、判別された第1凸部62と第2凸部72の位置を表す位置データを生成し、制御部110の生成部114に出力する(ステップS6)。次に、生成部114は、判別部112から出力された位置データと、凹凸データとに基づいて、第1凸データと第2凸データとを生成する(ステップS8)。以上により、第1凸データと第2凸データを準備できる。なお、凹凸データは、造形物50のCAD(Computer-Aided Design)データから生成できる。
【0052】
図8に戻り、熱変換層積層工程(ステップS20)では、印刷装置200によって、第1凸データに基づいて、成形シート10の基材12の第2主面12bの上に、熱変換材料を含むインクを、第1凸部62の高さに応じた濃淡パターン(すなわち、第1凹凸60に対応したパターン)で印刷する。これにより、熱変換層80が、図10に示すように、成形シート10の基材12の第2主面12bの上に積層される。
【0053】
次に、第1膨張工程(ステップS30)では、熱変換層80を積層された成形シート10を搬送しつつ、膨張装置300の第1膨張手段310によって、熱変換層80に、熱変換層80が熱に変換する電磁波を照射する。そして、熱変換層80から放出される熱により、成形シート10の熱膨張層20の熱変換層80に対応する部分を加熱し膨張させる。これにより、第1凸部62が形成される。
【0054】
最後に、第2膨張工程(ステップS40)では、第1凸部62を形成された成形シート10を搬送しつつ、膨張装置300の第2膨張手段320によって、第1凸部62を形成された成形シート10の熱膨張層20にレーザ光を照射する。具体的には、第2膨張手段320によって、第2凸データに基づいて、熱膨張層20の第1膨張工程(ステップS30)において膨張させる領域Bの大きさよりも小さい領域Cに、レーザ光を照射して、領域Cを加熱し膨張させる。これにより、熱膨張層20が膨張され、第2凸部72が形成される。以上により、造形物50を製造できる。
【0055】
本実施形態では、膨張装置300の第2膨張手段320が、成形シート10の熱膨張層20の小さい領域Cを局所的に加熱するので、膨張装置300は、より細かな第2凹凸70を有する造形物50を製造できる。また、膨張装置300の第1膨張手段310は、熱変換層80を介して、熱膨張層20の大きい領域Bを熱膨張層20の厚さ方向全体に渡って加熱するので、大きく高い第1凹凸60を形成できる。したがって、膨張装置300は、高く細かい凹凸を有する造形物50を製造できる。
【0056】
<実施形態2>
実施形態1では、第1凸部62を形成した後に第2凸部72を形成しているが、第2凸部72を形成した後に第1凸部62を形成してもよい。
【0057】
本実施形態の成形シート10と造形物50と制御ユニット100と印刷装置200は、実施形態1と同様であるので、造形システム1の膨張装置300について説明する。
【0058】
本実施形態の膨張装置300は、図11に示すように、筐体301内に、搬送ローラ302a、302b、304a、304bと第1膨張手段310と第2膨張手段320とを備える。また、膨張装置300は、図示しない、CPUから構成される制御部とROMとRAMから構成される記憶部とを備えている。本実施形態では、第1膨張手段310と第2膨張手段320の配置が、実施形態1と異なる。その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0059】
本実施形態の第1膨張手段310は、実施形態1の第1膨張手段310と同様に、成形シート10に積層されている熱変換層80に電磁波を照射して、熱膨張層20の熱変換層80に対応する部分を膨張させる。本実施形態の第1膨張手段310は、第2膨張手段320よりも+X側に配置される。また、本実施形態の第1膨張手段310は、基材12の第2主面12b側から電磁波を照射する。本実施形態の第1膨張手段310は、実施形態1の第1膨張手段310と同様に、カバー311とランプ312と反射板313とファン314とを備える。カバー311とランプ312と反射板313とファン314の構成は、実施形態1と同様である。
【0060】
本実施形態の第2膨張手段320は、実施形態1の第2膨張手段320と同様に、熱膨張層20の第1膨張手段310が膨張させる領域(すなわち、第1凸部62の領域B)の大きさよりも小さい領域Cに、レーザ光を照射して、領域Cを加熱し膨張させる。本実施形態の第2膨張手段320は、第1膨張手段310よりも-X側に配置される。したがって、本実施形態では、第1膨張手段310と第2膨張手段320は、搬送ローラ302a、302b、304a、304bが成形シート10を搬送する方向に沿って、第2膨張手段320、第1膨張手段310の順に配置されている。
【0061】
また、本実施形態の第2膨張手段320は、熱膨張層20側から電磁波を照射する。本実施形態の第2膨張手段320は、実施形態1と同様に、炭酸ガスレーザ照射器である。
【0062】
次に、本実施形態の造形物50の製造方法を説明する。図12は、本実施形態の造形物50の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態の造形物50の製造方法は、準備工程(ステップS10)と熱変換層積層工程(ステップS20)と第2膨張工程(ステップS50)と第1膨張工程(ステップS60)と、を含む。本実施形態の準備工程(ステップS10)と熱変換層積層工程(ステップS20)は実施形態1と同様であるので、第2膨張工程(ステップS50)と第1膨張工程(ステップS60)について説明する。
【0063】
第2膨張工程(ステップS50)では、熱変換層80を積層された成形シート10を搬送しつつ、本実施形態の第2膨張手段320によって、第2凸データに基づいて、熱膨張層20の第1膨張工程(ステップS60)において膨張させる領域Bの大きさよりも小さい領域Cに、レーザ光を照射して、領域Cを加熱し膨張させる。これにより、熱膨張層20が膨張され、第2凸部72が形成される。
【0064】
第1膨張工程(ステップS60)では、第2凸部72を形成された成形シート10を搬送しつつ、本実施形態の第1膨張手段310によって、第2凸部72を形成された成形シート10に積層されている熱変換層80に電磁波を照射する。そして、熱変換層80により放出される熱により、熱膨張層20の熱変換層80に対応する部分を膨張させる。これにより、第1凸部62が形成される。以上により、造形物50を製造できる。
【0065】
本実施形態においても、第2膨張手段320が、成形シート10の小さい領域Cを局所的に加熱するので、膨張装置300は、より細かな第2凹凸70を有する造形物50を製造できる。また、第1膨張手段310は、熱変換層80を介して、成形シート10の大きい領域Bを熱膨張層20の厚さ方向全体に渡って加熱するので、大きく高い第1凹凸60を形成できる。したがって、膨張装置300は、高く細かい凹凸を有する造形物50を製造できる。
【0066】
さらに、第2膨張手段320は、レーザ光により熱膨張層20の領域Cを局所的に加熱し、領域Cの周囲をほとんど加熱しないので、第2膨張手段320によって第2凸部72を形成した後に、第1膨張手段310によって第1凸部62を形成することにより、第2凸部72を形成するための加熱の影響を受けずに、より正確に第1凸部62を形成できる。膨張装置300においては、本実施形態のように、第1膨張手段310と第2膨張手段320は、成形シート10が搬送される方向に沿って、第2膨張手段320、第1膨張手段310の順に配置さることが、好ましい。
【0067】
<実施形態3>
実施形態1と実施形態2では、第1膨張手段310と第2膨張手段320は筐体301に固定され、熱変換層80を積層された成形シート10が搬送されている。熱変換層80を積層された成形シート10は搬送されず、第1膨張手段310と第2膨張手段320が移動されてもよい。また、第1膨張手段310の電磁波と第2膨張手段320のレーザ光は、熱変換層80を積層された成形シート10に対して、同じ側から照射されてもよい。
【0068】
本実施形態の成形シート10と造形物50と制御ユニット100と印刷装置200は、実施形態1と同様であるので、造形システム1の膨張装置300について説明する。
【0069】
本実施形態の膨張装置300は、図13に示すように、筐体301内に、トレイ306と第1膨張手段310と第2膨張手段320とを備える。また、膨張装置300は、図示しない、CPUから構成される制御部とROMとRAMから構成される記憶部とを備えている。
【0070】
膨張装置300のトレイ306は、載置された成形シート10を膨張装置300における所定の位置に配置する。トレイ306は、例えば、+Z軸方向の面が開口した箱形状のケースである。熱変換層80を積層された成形シート10は、熱膨張層20を+Z軸方向に向けて、トレイ306に載置される。
【0071】
本実施形態の第1膨張手段310は、図14に示すように、熱変換層80を積層された成形シート10の上方を移動しつつ、成形シート10に積層された熱変換層80に電磁波を照射する。これにより、本実施形態の第1膨張手段310は、電磁波を照射された領域A内の熱変換層80に熱を放出させ、熱膨張層20の熱変換層80に対応する部分を加熱し膨張させる。熱変換層80は、実施形態1と同様に、第1凸データに基づいて形成されているので、第1凸部62が熱膨張層20に形成される。
【0072】
本実施形態では、第1膨張手段310は、+X側の退避位置から-X軸方向に移動しつつ、熱膨張層20側から電磁波を照射する。また、本実施形態の第1膨張手段310が電磁波を照射する領域Aは、実施形態1と同様に、本実施形態の第2膨張手段320が電磁波を照射する領域Cよりも広い。なお、退避位置とは、成形シート10の上方から退避している位置を指す。
【0073】
本実施形態の第1膨張手段310は、実施形態1と同様に、カバー311とランプ312と反射板313とファン314とを備える。また、本実施形態の第1膨張手段310は、図示しない移動機構により、成形シート10の上方を-X軸方向と+X軸方向に移動する。カバー311とランプ312と反射板313とファン314の構成は、実施形態1と同様である。
【0074】
本実施形態の第2膨張手段320は、第2凸データに基づいて、+X軸方向への移動とレーザ光の照射(走査)を繰り返す。第2膨張手段320は、熱膨張層20の第1膨張手段310が膨張させる領域Bの大きさよりも小さい領域Cに、レーザ光を照射して、領域Cを加熱し膨張させる。具体的には、本実施形態の第2膨張手段320は、図15に示すように、熱変換層80を積層された成形シート10の上方を移動し、第2凸データに基づいてレーザ光を照射して、熱膨張材料を加熱し膨張させる。これにより、熱膨張層20が膨張され、第2凸部72が熱膨張層20に形成される。
【0075】
本実施形態では、第2膨張手段320は、-X側の退避位置から+X軸方向に移動し、熱膨張層20側からレーザ光を照射する。
【0076】
本実施形態の第2膨張手段320は、実施形態1と同様に、炭酸ガスレーザ照射器である。本実施形態の第2膨張手段320は、図示しない移動機構により、成形シート10の上方を+X軸方向と-X軸方向に移動する。
【0077】
次に、本実施形態の造形物50の製造方法を説明する。図16は、本実施形態の造形物50の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態の造形物50の製造方法は、準備工程(ステップS10)と熱変換層積層工程(ステップS20)と第2膨張工程(ステップS70)と第1膨張工程(ステップS80)と、を含む。本実施形態の準備工程(ステップS10)と熱変換層積層工程(ステップS20)は、実施形態1と同様であるので、第2膨張工程(ステップS70)と第1膨張工程(ステップS80)について説明する。
【0078】
第2膨張工程(ステップS70)では、図15に示すように、第2膨張手段320を移動させ、第2膨張手段320によって、第2凸データに基づいて、熱膨張層20の第1膨張工程(ステップS80)において膨張させる領域Bの大きさよりも小さい領域Cに、レーザ光を照射して、領域Cを加熱し膨張させる。熱膨張層20が膨張される。第2膨張手段320の移動と第2膨張手段320によるレーザ光の照射とを繰り返すことにより、第2凸部72が形成される。
【0079】
第1膨張工程(ステップS80)では、図14に示すように、第1膨張手段310を移動させつつ、第1膨張手段310によって、第2凸部72が形成された成形シート10に積層されている熱変換層80に電磁波を照射して、熱変換層80から放出される熱により、熱膨張層20の熱変換層80に対応する部分を加熱し膨張させる。これにより、第1凸部62が形成される。以上により、造形物50を製造できる。
【0080】
本実施形態においても、第2膨張手段320が小さい領域Cを局所的に加熱するので、膨張装置300はより細かな第2凹凸70を有する造形物50を製造できる。また、膨張装置300は、実施形態1と同様に、高く細かい凹凸を有する造形物50を製造できる。さらに、第2膨張手段320によって第2凸部72が形成された後に、第1膨張手段310によって第1凸部62が形成されるので、実施形態3と同様に、第2凸部72を形成するための加熱の影響を受けずに、より正確に第1凸部62を形成できる。
【0081】
<実施形態4>
実施形態1~実施形態3では、第1膨張手段310は成形シート10に積層された熱変換層80に電磁波を照射するが、第1膨張手段310は他の手段であってもよい。
【0082】
(成形シートと造形物)
まず、図17図19を参照して、本実施形態の成形シート10と造形物50を説明する。成形シート10は、図17に示すように、基材12と熱膨張層20とを備える。本実施形態では、熱膨張層20は、後述する造形物50の第1凸部62の配置と形状に対応した所定のパターンで、基材12の第1主面12aの上に積層されている。基材12と熱膨張層20のその他の構成は、実施形態1と同様である。
【0083】
本実施形態の造形物50は、図18図19に示すように、基材12と、基材12の第1主面12aの上に積層され、第1凸部62と第2凸部72を構成する熱膨張層22とを備える。本実施形態の造形物50は、第1凸部62と第1凹部64から構成される第1凹凸60と、第2凸部72と第2凹部74から構成される第2凹凸70とを有している。第1凹凸60は第1凸部62による凹凸であり、第2凹凸70は第2凸部72による凹凸である。本実施形態の造形物50の基材12の構成は、実施形態1の基材12と同様であるので、ここでは、造形物50の熱膨張層22について説明する。本実施形態では、造形物50は熱変換層80を備えていない。
【0084】
造形物50の熱膨張層22は、成形シート10の熱膨張層20が膨張した層である。熱膨張層22は、成形シート10の熱膨張層20のバインダと同様のバインダと、成形シート10の熱膨張層20の熱膨張材料が膨張した熱膨張材料とを含む。
【0085】
また、熱膨張層22は、第1凸部62と第2凸部72を構成している。本実施形態の第1凸部62は、実施形態1の第1凸部62と同様に、幅と長さがそれぞれの所定のしきい値以上である。また、本実施形態の第2凸部72は、実施形態1の第2凸部72と同様に、幅と長さの少なくとも1つがそれぞれの所定のしきい値よりも小さい。すなわち、第1凹凸60と第2凹凸70とを比較すると、第2凹凸70は第1凹凸60よりも細かい凹凸となっている。
【0086】
(造形システム)
次に、本実施形態の造形システム1を説明する。本実施形態の造形システム1は、図20に示すように、制御ユニット100と、第1凸部62と第2凸部72(すなわち第1凹凸60と第2凹凸70)を形成する膨張装置300とを備える。本実施形態の造形システム1は、印刷装置200を備えていない。
【0087】
本実施形態の制御ユニット100は、膨張装置300を制御する。制御ユニット100は、実施形態1と同様に、制御部110と記憶部121と通信部122と記録媒体駆動部123と操作部124と表示部125とを備える。本実施形態の記憶部121と通信部122と記録媒体駆動部123と操作部124と表示部125の構成は、実施形態1と同様である。
【0088】
本実施形態の制御部110は、制御ユニット100の各部を制御すると共に、膨張装置300の動作を制御する。本実施形態の制御部110は、印刷装置200を制御しないことと、第1凸データと第2凸データを生成しないこととを除き、実施形態1の制御部110と同様である。本実施形態では、熱膨張層20における位置と第2凸部72として隆起させる高さとを関連付けた第2凸データは、ユーザによって作成され、記憶部121に予め記憶されている。
【0089】
本実施形態の膨張装置300は、図21に示すように、筐体301内に、搬送ローラ302a、302b、304a、304bと第1膨張手段310と第2膨張手段320とを備える。また、膨張装置300は、図示しない、CPUから構成される制御部とROMとRAMから構成される記憶部とを備えている。
【0090】
搬送ローラ302a、302b、304a、304bは、実施形態1と同様に、成形シート10を搬送する搬送手段として機能する。本実施形態では、成形シート10は、図示しない搬送ガイドに導かれ、熱膨張層20を+Z軸方向に向けて、-X側から+X軸方向に搬送される。
【0091】
本実施形態の第1膨張手段310は、搬送されている成形シート10を加熱して、熱膨張層20の少なくとも一部を膨張させる。本実施形態の第1膨張手段310は、例えば、領域Aを加熱する電熱ヒータである。本実施形態では、成形シート10の熱膨張層20は第1凸部62の配置と形状に対応したパターンで形成されている。したがって、本実施形態の第1膨張手段310が搬送されている成形シート10を加熱することにより、成形シート10の熱膨張層20が膨張され、第1凸部62が形成される。
【0092】
本実施形態では、第1膨張手段310は、成形シート10の搬送経路よりも-Z側に配置され、基材12の第2主面12b側から成形シート10を加熱する。また、第1膨張手段310は、第2膨張手段320よりも+X側に配置されている。なお、本実施形態では、第1膨張手段310が加熱する領域Aは、第2膨張手段320が電磁波を照射する領域Cよりも広い。
【0093】
本実施形態の第2膨張手段320は、実施形態1の第2膨張手段320と同様に、熱膨張層20の第1膨張手段310が膨張させる領域(すなわち、第1凸部62の領域B)の大きさよりも小さい領域Cに、レーザ光を照射して、領域Cを加熱し膨張させる。具体的には、本実施形態の第2膨張手段320は、制御ユニット100の記憶部121に記憶されている第2凸データに基づいて、熱膨張層20の第2凸部72が形成される位置に、第2凸部72の高さに応じた強度のレーザ光を照射して、熱膨張材料を加熱し膨張させる。これにより、熱膨張層20が膨張され、第2凸部72が形成される。
【0094】
本実施形態の第2膨張手段320は、第1膨張手段310よりも-X側に配置され、熱膨張層20側からレーザ光を照射する。本実施形態の第2膨張手段320は、実施形態1と同様に、炭酸ガスレーザ照射器である。
【0095】
(造形物の製造方法)
次に、本実施形態の造形物50の製造方法を説明する。本実施形態では、シート状(例えば、A4用紙サイズ)の成形シート10から、造形物50を製造する。
【0096】
図22は、本実施形態の造形物50の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態の造形物50の製造方法は、成形シート10とデータとを準備する準備工程(ステップS10)と、第1膨張工程(ステップS100)において膨張させる領域の大きさよりも小さい領域に、レーザ光を照射して、レーザ光を照射された領域を加熱し膨張させる第2膨張工程(ステップS90)と、成形シート10を加熱して、熱膨張層20の少なくとも一部を膨張させる第1膨張工程(ステップS100)と、を含む。本実施形態では、熱変換層積層工程(ステップS20)は含まれない。
【0097】
準備工程(ステップS10)では、成形シート10と、熱膨張層20における位置と第2凸部72として隆起させる高さとを関連付けた第2凸データと、を準備する。成形シート10は、例えば、基材12の第1主面12aに、バインダと熱膨張材料とを混合した塗布液を、造形物50の第1凸部62の配置と形状に対応したパターンでスクリーン印刷し、印刷された塗布液を乾燥することにより製造される。第2凸データは、ユーザによって作成される。
【0098】
第2膨張工程(ステップS90)では、実施形態1の第2膨張工程(ステップS30)と同様に、第2凸データに基づいて、第2膨張手段320によって、熱膨張層20の第2凸部72が形成される位置に、第2凸部72の高さに応じた強度のレーザ光を照射して、熱膨張材料を加熱し膨張させる。これにより、第2凸部72が熱膨張層20に形成される。
【0099】
第1膨張工程(ステップS100)では、成形シート10を搬送しつつ、膨張装置300の第1膨張手段310によって、成形シート10を加熱して、熱膨張層20を膨張させる。これにより、第1凸部62が形成される。以上により、造形物50を製造できる。
【0100】
本実施形態では、熱膨張層20が基材12の第1主面12aに所定のパターンで積層されているので、基材12に熱変換層80を積層せずに、造形物50を製造できる。また、実施形態においても、第2膨張手段320が小さい領域Cを局所的に加熱するので、膨張装置300はより細かな第2凹凸70を有する造形物50を製造できる。第1膨張手段310が、成形シート10の大きい領域Bを熱膨張層20の厚さ方向全体に渡って加熱するので、大きく高い第1凹凸60を形成できる。したがって、膨張装置300は、高く細かい凹凸を有する造形物50を製造できる。さらに、第2膨張手段320によって第2凸部72が形成された後に、第1膨張手段310によって第1凸部62が形成されるので、実施形態3と同様に、第2凸部72を形成するための加熱の影響を受けずに、より正確に第1凸部62を形成できる。
【0101】
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0102】
例えば、造形物50はロール状の成形シート10からロール状に製造されてもよい。
【0103】
基材12を構成する材料は、熱可塑性樹脂に限らず、紙、布等であってもよい。基材12を構成する熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂とポリエステル系樹脂に限らず、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)系樹脂、ポリイミド系樹脂等であってもよい。
【0104】
実施形態1~実施形態3では、熱変換層80は基材12の第2主面12bに積層されているが、熱変換層80は熱膨張層20に積層されてもよい。また、熱変換層80は、基材12の第2主面12bに設けられた剥離層に積層されてもよい。これにより、造形物50から剥離層を剥離して、造形物50から熱変換層80を除去できる。
【0105】
成形シート10と造形物50は、各層の間に他の任意の材料による層を形成されてもよい。例えば、基材12と熱膨張層20との間に、基材12と熱膨張層20とをより密着させる密着層が形成されてもよい。密着層は、例えば、表面改質剤から構成される。
【0106】
また、造形物50は、カラー画像を印刷されてもよい。例えば、造形物50は、熱膨張層20の上に、シアンとマゼンタとイエローとブラックの4色のインクから構成され、カラー画像を表すカラーインク層を積層されてもよい。
【0107】
印刷装置200は、インクジェットプリンタに限られない。例えば、印刷装置200はレーザプリンタであってもよい。また、印刷装置200は、造形物50にカラー画像を印刷してもよい。
【0108】
実施形態1~実施形態3の第1膨張手段310が電磁波を照射する方向は任意である。例えば、実施形態1と実施形態2の第1膨張手段310は、基材12の第2主面12b側から電磁波を照射しているが、実施形態1と実施形態2の第1膨張手段310は、熱膨張層20側から電磁波を照射してもよい。また、実施形態3においては、第1膨張手段310は、トレイ306に熱変換層80を+Z軸方向に向けて載置された成形シート10に対して、基材12の第2主面12b側から電磁波を照射してもよい。この場合、トレイ306は、熱膨張層20の膨張を妨げないように、底に開口部を有することが好ましい。
【0109】
第2膨張手段320が成形シート10にレーザ光を照射する方向は、任意であるが、第2膨張手段320は、熱変換層80によるレーザ光の吸収を避けるために、熱変換層80が積層されている側と反対側から、レーザ光を熱膨張層20に照射することが好ましい。
【0110】
さらに、実施形態3と実施形態4では、第2凸部72が形成された後に第1凸部62が形成されているが、第1凸部62が形成された後に第2凸部72が形成されてもよい。
【0111】
実施形態1~実施形態4において、制御ユニット100は、CPU131を備えており、CPU131の機能によって、印刷装置200と膨張装置300を制御している。本発明では、制御ユニット100は、CPU131に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、制御回路等の専用ハードウェアを備えてもよい。この場合、処理のそれぞれを、個別のハードウェアにより実行してもよい。また、処理のそれぞれをまとめて、単一のハードウェアにより実行してもよい。処理の一部を専用ハードウェアにより実行し、処理の他の一部をソフトウェア又はファームウェアにより実行してもよい。また、制御ユニット100の制御部110が実現する機能は、膨張装置300の制御部により実現されてもよい。
【0112】
なお、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた膨張装置として提供できることはもとより、プログラムの適用により、膨張装置を制御するコンピュータに、上記の実施形態で例示した膨張装置300による各機能構成を実現させることもできる。すなわち、上記の実施形態で例示した膨張装置300による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の情報処理装置等を制御するCPU等が実行できるように適用することができる。
【0113】
また、このようなプログラムの適用方法は任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0114】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0115】
(付記1)
基材と前記基材の第1主面に積層された熱膨張層とを備える成形シートに積層され、電磁波を熱に変換する熱変換層に、ランプから出射される前記電磁波を照射して、前記熱膨張層の少なくとも一部を膨張させる第1膨張手段と、
レーザ光を、前記熱膨張層の前記第1膨張手段が膨張させる領域の大きさよりも小さい領域に照射して、該領域を膨張させる第2膨張手段と、を備える、
膨張装置。
【0116】
(付記2)
前記成形シートを搬送する搬送手段を備え、
前記第1膨張手段と前記第2膨張手段は、前記搬送手段が前記成形シートを搬送する方向に沿って、前記第2膨張手段、前記第1膨張手段の順に配置されている、
付記1に記載の膨張装置。
【0117】
(付記3)
前記第2膨張手段は、前記熱変換層が前記成形シートに積層されている側と反対側から、前記レーザ光を照射する、
付記1又は2に記載の膨張装置。
【0118】
(付記4)
基材と前記基材の第1主面に積層された熱膨張層とを備える成形シートを加熱して、前記熱膨張層の少なくとも一部を膨張させる第1膨張手段と、
レーザ光を、前記熱膨張層の前記第1膨張手段が膨張させる領域の大きさよりも小さい領域に照射して、該領域を膨張させる第2膨張手段と、を備える、
膨張装置。
【0119】
(付記5)
前記成形シートを搬送する搬送手段を備え、
前記第1膨張手段と前記第2膨張手段は、前記搬送手段が前記成形シートを搬送する方向に沿って、前記第2膨張手段、前記第1膨張手段の順に配置されている、
付記4に記載の膨張装置。
【0120】
(付記6)
付記1乃至3のいずれか1つに記載の膨張装置と、
前記成形シートに前記熱変換層を印刷する印刷装置と、を備える、
造形システム。
【0121】
(付記7)
基材と前記基材の第1主面に積層された熱膨張層とを備える成形シートから、凹凸を有する造形物を製造する造形システムであって、
前記凹凸を表す凹凸データから、幅と長さがそれぞれの所定のしきい値以上である第1凸部と、幅と長さの少なくとも1つが前記それぞれの所定のしきい値よりも小さい第2凸部と、を判別する判別手段と、
前記判別手段により判別された前記第1凸部と前記第2凸部の位置と、前記凹凸データとに基づいて、前記第1凸部を表す第1凸データと前記第2凸部を表す第2凸データと、を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記第1凸データに基づいて、前記成形シートに、電磁波を熱に変換する熱変換層を印刷する印刷装置と、
前記熱変換層に、ランプから出射される前記電磁波を照射して、前記熱膨張層の少なくとも一部を膨張させる第1膨張手段と、前記生成手段により生成された前記第2凸データに基づいて、レーザ光を前記成形シートの前記第1凸部の領域の大きさよりも小さい領域に照射して、該領域を膨張させる第2膨張手段と、を有する膨張装置と、を備える、
造形システム。
【0122】
(付記8)
成形シートに積層され電磁波を熱に変換する熱変換層に、ランプから出射される前記電磁波を照射して、前記熱変換層から放出される熱により、前記成形シートの熱膨張層の少なくとも一部を加熱し膨張させる第1膨張工程と、
レーザ光を、前記熱膨張層の前記第1膨張工程において膨張させる領域の大きさよりも小さい領域に照射して、該領域を加熱し膨張させる第2膨張工程と、を含む、
造形物の製造方法。
【0123】
(付記9)
前記第1膨張工程と前記第2膨張工程は、前記第2膨張工程、前記第1膨張工程の順で実施される、
付記8に記載の造形物の製造方法。
【0124】
(付記10)
前記成形シートに前記熱変換層を積層する熱変換層積層工程を含む、
付記8又は9に記載の造形物の製造方法。
【符号の説明】
【0125】
1・・・造形システム、10・・・成形シート、12・・・基材、12a・・・基材の第1主面、12b・・・基材の第2主面、20,22・・・熱膨張層、20a・・・熱膨張層の基材と反対側の面、50・・・造形物、60・・・第1凹凸、62・・・第1凸部、64・・・第1凹部、70・・・第2凹凸、72・・・第2凸部、74・・・第2凹部、80・・・熱変換層、100・・・制御ユニット、110・・・制御部、112・・・判別部、114・・・生成部、121・・・記憶部、122・・・通信部、123・・・記憶媒体駆動部、124・・・操作部、125・・・表示部、131・・・CPU、132・・・RAM、133・・・ROM、134・・・ハードディスク、135・・・通信インタフェース、136・・・光学ドライブ、137・・・タッチパネル、138・・・液晶ディスプレイ、139・・・バス、200・・・印刷装置、300・・・膨張装置、301・・・筐体、302a,302b,304a,304b・・・搬送ローラ、306・・・トレイ、310・・・第1膨張手段、311・・・カバー、312・・・ランプ、313・・・反射板、314・・・ファン、320・・・第2膨張手段、A,B,C・・・領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図22