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特許7196898ストロークセンサモジュール、ストロークセンサモジュールの取り付け構造及びストロークセンサモジュールの取り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ストロークセンサモジュール、ストロークセンサモジュールの取り付け構造及びストロークセンサモジュールの取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/12 20060101AFI20221220BHJP
   G01D 5/14 20060101ALI20221220BHJP
   G01D 5/16 20060101ALI20221220BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G01D5/12 Q
G01D5/14 H
G01D5/16 M
G01B7/00 101H
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020201103
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022088955
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】石川原 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓史
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-121786(JP,A)
【文献】実開平3-28401(JP,U)
【文献】中国実用新案第211292945(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00- 5/252
G01D 5/39- 5/62
G01B 7/00- 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔と位置決め部とを有する支持部に取り付けられるストロークセンサモジュールであって、
第1の方向に移動する移動体と、
前記移動体と連動して前記第1の方向に移動する磁気発生体と、
前記磁気発生体の移動を検出する磁気検出素子と、
前記移動体の一部と前記磁気発生体とを収納する収納体と、を有し、
前記収納体は、前記貫通孔に挿通され前記貫通孔と嵌合する挿通部と、前記支持部の取付け面に固定される取付け部と、前記位置決め部と嵌合し前記収納体を前記第1の方向に位置決めする嵌合部と、を有し、
前記第1の方向からみて、前記取付け部と前記嵌合部は異なる角度位置にある、ストロークセンサモジュール。
【請求項2】
前記貫通孔と前記挿通部は円形である、請求項1に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項3】
前記嵌合部は前記収納体の周方向に延びる凸条部であり、前記位置決め部は前記凸条部に沿って延びる溝である、請求項1または2に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項4】
前記嵌合部は前記収納体の周方向に延びる溝を備えた凸条部であり、前記位置決め部は前記溝に沿って延びる他の凸条部である、請求項1または2に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項5】
前記嵌合部は前記収納体の周方向に延びる周方向溝であり、前記位置決め部は前記周方向溝に沿って延びる凸条部であり、前記収納体は前記周方向溝と接続される軸方向溝を有し、前記軸方向溝は前記収納体の側面から前記第1の方向に延びており、前記収納体を前記取付け部が前記支持部から離れる方向に所定の角度回転したときに、前記第1の方向からみて前記凸条部を内包する、請求項1または2に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項6】
前記収納体を前記取付け部が前記支持部から離れる方向に回転させる方向に関し、前記溝の前方部分は後方部分より幅広である、請求項3から5のいずれか1項に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項7】
前記取付け面は前記位置決め部の設けられた面と一致する、請求項3から6のいずれか1項に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項8】
前記取付け面は前記位置決め部の設けられた面と平行である、請求項3から6のいずれか1項に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項9】
前記取付け面は前記位置決め部の設けられた面と角度をなす、請求項3から6のいずれか1項に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項10】
前記取付け部は前記収納体から突き出す腕部を有し、前記腕部はボルトが挿通されるボルト穴を有し、前記取付け面は前記ボルトが係合するねじ穴を有する、請求項1から9のいずれか1項に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項11】
前記支持部は前記位置決め部の設けられた面から起立する壁部を有し、前記貫通孔は前記位置決め部の設けられた面から離隔するように前記壁部に設けられ、
前記収納体は前記挿通部より外径の大きい大径部を有し、前記大径部は前記取付け部と前記嵌合部を備え、前記挿通部と前記大径部との境界部が前記壁部と隣接している、請求項1から10のいずれか1項に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項12】
前記支持部は前記位置決め部の設けられた面から起立する壁部を有し、前記貫通孔は前記位置決め部の設けられた面と前記貫通孔の内面が連続するように前記壁部に設けられ、
前記嵌合部の側面が前記壁部に隣接している、請求項1から10のいずれか1項に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項13】
前記収納体を前記取付け部が前記支持部から離れる方向に回転させる方向に関し、前記収納体の前記嵌合部の後方は、所定の角度範囲に渡って円弧形状である、請求項1から12のいずれか1項に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項14】
前記取付け部と前記嵌合部は前記第1の方向に関し同じ位置にある、請求項1から13のいずれか1項に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項15】
前記移動体が可動部に接続された、請求項1から14のいずれか1項に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項16】
前記可動部はブレーキペダルである、請求項15に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項17】
前記可動部はアクセルペダルである、請求項15に記載のストロークセンサモジュール。
【請求項18】
貫通孔と位置決め部とを有する支持部にストロークセンサモジュールが取り付けられる、ストロークセンサモジュールの取り付け構造であって、
前記ストロークセンサモジュールは、
第1の方向に移動する移動体と、
前記移動体と連動して前記第1の方向に移動する磁気発生体と、
前記磁気発生体の移動を検出する磁気検出素子と、
前記移動体の一部と前記磁気発生体とを収納する収納体と、を有し、
前記収納体は、前記貫通孔に挿通される挿通部と、前記支持部の取付け面に固定される取付け部と、前記位置決め部と嵌合し前記収納体を前記第1の方向に位置決めする嵌合部と、を有し、
前記第1の方向からみて、前記取付け部と前記嵌合部は異なる角度位置にある、ストロークセンサモジュールの取り付け構造。
【請求項19】
貫通孔と位置決め部とを有する支持部へのストロークセンサモジュールの取り付け方法であって、
前記ストロークセンサモジュールは、
第1の方向に移動する移動体と、
前記移動体と連動して前記第1の方向に移動する磁気発生体と、
前記磁気発生体の移動を検出する磁気検出素子と、
前記移動体の一部と前記磁気発生体とを収納する収納体と、を有し、
前記収納体は、前記貫通孔に挿通される挿通部と、前記支持部の取付け面に固定される取付け部と、嵌合部と、を有し、
前記第1の方向からみて、前記取付け部と前記嵌合部は異なる角度位置にあり、
前記収納体の前記挿通部を前記貫通孔に挿通し、前記収納体を前記貫通孔の中心軸の周りで回転させることによって、前記嵌合部を前記位置決め部と嵌合させ、前記収納体を前記第1の方向に位置決めすることと、
前記第1の方向に位置決めされた前記収納体の前記取付け部を、前記支持部の前記取付け面に取り付けることと、を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストロークセンサモジュール、ストロークセンサモジュールの取り付け構造及びストロークセンサモジュールの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のブレーキペダルやアクセルペダルの踏み込み量など、直線的に移動する部材の変位を測定するストロークセンサが知られている。特許文献1には、固定部に沿って摺動可能な可動部と、固定部に取り付けられたホール素子と、を備えたレンジ検出装置が開示されている。可動部は磁石を内蔵し、シフトレバーと連動して移動可能である。可動部の変位に伴い変化する磁界をホール素子が検出することで、可動部の変位、すなわちシフトレバーの変位を検出することができる。固定部はバルブボディに支持されている。固定部には棒状の位置決め部と穴が設けられ、バルブボディには位置決め部を受け入れる凹部と、ねじ穴が形成されている。固定部の穴にボルトを挿通し、ねじ穴に係合させることで、固定部はバルブボディに固定される。この際、位置決め部が凹部に挿入されることで、固定部がバルブボディに対して位置決めされる。凹部はバルブボディの角部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-121786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ストロークセンサが取り付けられる支持部の形状は様々であり、特許文献1に開示されたような位置決め部を設けることができない場合がある。
【0005】
本発明は、位置決めの容易なストロークセンサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、貫通孔と位置決め部とを有する支持部に取り付けられるストロークセンサモジュールに関する。ストロークセンサモジュールは、第1の方向に移動する移動体と、移動体と連動して第1の方向に移動する磁気発生体と、磁気発生体の移動を検出する磁気検出素子と、移動体の一部と磁気発生体とを収納する収納体と、を有している。収納体は、貫通孔に挿通され貫通孔と嵌合する挿通部と、支持部の取付け面に固定される取付け部と、位置決め部と嵌合し収納体を第1の方向に位置決めする嵌合部と、を有している。第1の方向からみて、取付け部と嵌合部は異なる角度位置にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、位置決めの容易なストロークセンサモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係るストロークセンサモジュールの斜視図である。
図2図1に示すストロークセンサモジュールの側面図である。
図3図1に示すストロークセンサモジュールの断面図である。
図4】磁気発生体の外形図である。
図5】移動体の外形図である。
図6】第1の実施形態の変形例に係るストロークセンサモジュールの断面図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係るストロークセンサモジュールを示す図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係るストロークセンサモジュールを示す図である。
図9】本発明の第4の実施形態に係るストロークセンサモジュールを示す図である。
図10】本発明の第5の実施形態に係るストロークセンサモジュールを示す図である。
図11】ストロークセンサモジュールと支持部の斜視図である。
図12】位置決め部と嵌合部がない場合の課題を示す図である。
図13】ストロークセンサモジュールの取付方法を示す図である。
図14】第1の変形例に係るストロークセンサモジュールの収納体を示す図である。
図15】第1の変形例に係るストロークセンサモジュールの収納体を示す図である。
図16】第1の変形例に係るストロークセンサモジュールの収納体を示す図である。
図17】第2の変形例に係るストロークセンサモジュールの収納体を示す図である。
図18】第3の変形例に係るストロークセンサモジュールの収納体を示す図である。
図19】第4の変形例に係るストロークセンサモジュールの収納体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態について説明する。各実施形態において、移動体5の移動する方向をX方向(第1の方向)とする。移動体5が磁気発生体2を押す方向を+X方向、その反対方向を-X方向という。X方向と直交しストロークセンサモジュール1の取付面と平行な方向をY方向、X方向及びY方向と直交する方向、すなわち取付面と垂直な方向をZ方向とする。
【0010】
(第1の実施形態)
図1(a)はストロークセンサモジュール1の全体斜視図を、図1(b)はストロークセンサモジュール1の分解斜視図を示している。図2(a)はストロークセンサモジュール1の移動体5の側からみた側面図を、図2(b)はストロークセンサモジュール1のカバー部材9の側からみた側面図(ただし、カバー部材9と内部構造物は図示していない)を示している。図3(a)はストロークセンサモジュール1の断面図を、図3(b)は図3(a)のA-A線に沿った断面図を示している。ストロークセンサモジュール1は、磁気を発生する磁気発生体2と、磁気発生体2の移動を検出する磁気検出素子3と、これらを収容する収納体4と、磁気発生体2と連動してX方向に移動する移動体5と、を有している。ストロークセンサモジュール1は収納体4に設けられた取付け部49でX-Y面と平行な取付面に取り付けられている。以下、これらの部品について詳細に説明する。
【0011】
図4(a)は磁気発生体2の斜視図を、図4(b)は図4(a)のA方向からみた磁気発生体2の側面図を、図4(c)は図4(a)のB方向からみた磁気発生体2の上面図を、図4(d)は図4(a)のC方向からみた磁気発生体2の正面図を示している。磁気発生体2は、X方向に細長い概ね円筒形状の本体部21と、本体部21に沿ってX方向に延びる板状の基部22と、を有している。本体部21は磁石25とヨーク26を除き樹脂で形成される。本体部21は、後述する移動体5とバネ部材8とによって、+X方向と-X方向に移動することができる。本体部21は、X方向における両側に2つの磁石25を備えている。2つの磁石25の、磁気検出素子3と対向する面の極性は互いに異なる。このため、図3(a)に示すように、2つの磁石25の間には概ね正弦波状の磁束が発生する。2つの磁石25は軟磁性体からなるヨーク26に支持されている。ヨーク26は磁石25が発生する磁界の強度を高める。基部22はX方向に関し、本体部21の一端から他端まで延びている。基部22(及び後述の第1の突起23)は本体部21の頂部と底部に設けられている。すなわち、X方向からみて頂部を0度としたときに、基部22(及び第1の突起23)は0度の角度位置θと180度の角度位置θに設けられている(角度位置θの定義は図4(b)参照)。基部22(及び第1の突起23)の個数と設置位置はこれに限定されない。例えば、基部22(及び第1の突起23)は90度と270度の角度位置θに設置してもよい。3つ以上の基部22を設けることもできる。その場合、基部22(及び第1の突起23)は均等な角度間隔で配置されていることが好ましい。例えば、3つの基部22(及び第1の突起23)は120度間隔で設けることができる。
【0012】
基部22の頂部には複数の第1の突起23が形成されている。基部22を設けることによって、本体部21から長く突き出した突起を設ける場合と比べて、第1の突起23の強度が向上する。第1の突起23は基部22のX方向における両端にそれぞれ形成されている。従って、磁気発生体2は合計4つの第1の突起23を備え、その一部と他の一部は互いに異なる角度位置θに設けられている。第1の突起23を基部22のX方向における両端に設けることで、磁気発生体2の動きが安定する。また、第1の突起23の一部と他の一部を互いに異なる角度位置θに設けることで、磁気発生体2がY方向及びZ方向に拘束され、磁気発生体2の動きが安定する。特に、本実施形態では第1の突起23を磁気発生体2の互いに反対側の角度位置θに設けているため、最小の数の第1の突起23で磁気発生体2を安定させることができる。
【0013】
第1の突起23はすべて同一の形状を有している。第1の突起23はY方向に延びる突条である。第1の突起23はY方向に長軸ないし中心軸C1を有し、基部22の両面間をY方向に延びている。基部22と第1の突起23は樹脂で形成され、本体部21とともにインサート成形で形成される。磁気発生体2のX方向各端部に設けられた磁石25は対応する第1の突起23と対向している。例えば、一つの磁石25と対向する第1の突起23は、Z方向と平行に延びる同一直線上に位置している。各第1の突起23は中心軸C1と平行な方向(Y方向)の両端に、曲面状の第1の端部突起24を有する。
【0014】
収納体4はX方向に細長い概ね円筒状の内部空間41を備え、内部空間41に磁気発生体2が収容されている。収納体4は樹脂で形成されている。内部空間41の0度及び180度の角度位置θに、磁気発生体2の第1の突起23をガイドする第1のガイド部42が形成されている。第1のガイド部42は、磁気発生体2の各第1の突起23を収容する、X方向に延びる第1の溝部42である。図2(b)に示すように、第1の溝部42はX方向にみてT字形状の断面を有している。第1の溝部42は、内部空間41に接続され基部22を収容する基部収容部42Aと、基部収容部42Aに接続され両側の第1の突起23を収容する突起収容部42Bと、を有している。基部収容部42Aは内部空間41の内周面から径方向(Z方向)に延び、突起収容部42Bは基部収容部42Aの端部から内部空間41の接線方向(Y方向)に延びている。
【0015】
収納体4の磁気発生体2と対向するX方向端面には、内部空間41と連通する円形の貫通孔43が形成されている。貫通孔43は、後述する移動体5のロッド6の外径より大きな内径を有している。内部空間41の、磁気発生体2を挟んで移動体5ないし貫通孔43の反対側には、ステンレス鋼で形成されたバネ部材8が設けられている。収納体4の貫通孔43と反対側のX方向端面は開口とされ、樹脂からなるカバー部材9で閉じられている。バネ部材8は磁気発生体2を移動体5に向けて-X方向に付勢する。ストロークセンサモジュール1を組み立てる際は、移動体5を、ロッド6が貫通孔43から出るように、開口から収納体4の内部空間41に設置し、次いで磁気発生体2を内部空間41に収容し、次いでバネ部材8を内部空間41に収容し、最後にカバー部材9で開口を閉じる。バネ部材8は両端を磁気発生体2とカバー部材9に保持されて圧縮されている。
【0016】
図5(a)は移動体5の分解斜視図を、図5(b)は連結部7の斜視図を、図5(c)は移動体5と磁気発生体2の上面図を示している。移動体5は、検出対象物(図示せず)に接続された棒状のロッド6と、ロッド6の先端部に取り付けられた連結部7と、を有している。ロッド6はステンレス鋼で、連結部7は樹脂で形成され、これらはインサート成形によって一体的に形成されている。貫通孔43は連結部7が挿通不能な大きさを有しており、連結部7は内部空間41に保持される。ロッド6は貫通孔43に移動可能に挿通される。連結部7は、ロッド6に取り付けられY方向に延びるベース部71と、ベース部71のY方向両端部からX方向に延びる一対のアーム部72と、を有している。磁気発生体2はバネ部材8の付勢力によってベース部71に当接するとともに一対のアーム部72に挟まれている。連結部7と磁気発生体2は接着などの手段で固定されておらず、磁気発生体2はロッド6の動きに連動してX方向に動くだけである。
【0017】
連結部7は第1の突起23と同様の形状の複数の第2の突起73を備えている。連結部7の上面には、各アーム部72のX方向先端部とベース部71のY方向両端部に4つの第2の突起73が設けられ、連結部7の下面にも同様の位置に4つの第2の突起73が設けられている。第2の突起73はY方向に延びる突条である。アーム部72の先端部に設けられた第2の突起73はY方向に長軸ないし中心軸C2を有し、アーム部72の両面間をY方向に延びている。ベース部71のY方向両端部に設けられた第2の突起73もアーム部72の先端に設けられた第2の突起73と同様の形状を有している。各第2の突起73は中心軸C2と平行な方向(Y方向)の両端に、曲面状の第2の端部突起74を有する。連結部7の第2の端部突起74も磁気発生体2の第1の端部突起24と同様の効果を奏する。収納体4の内部空間41の90度及び270度の角度位置θには、連結部7の第2の突起73をガイドする第2のガイド部44が形成されている。第2のガイド部44は、連結部7の各第2の突起73を収容する、X方向に延びる第2の溝部44である。第2の溝部44はX方向にみて概ね矩形の断面を有している。
【0018】
磁気検出素子3は磁気発生体2の発生する磁界を検出する。磁気検出素子3は内部空間41の外側で収納体4に搭載されている。磁気検出素子3はホール素子であるが、TMR素子などの磁気抵抗効果素子であってもよい。磁気検出素子3はX方向の磁束密度Bxを検出するホール素子31と、Z方向の磁束密度Bzを検出するホール素子32と、処理部33と、を備えている。処理部33は磁界角度=arctan(Bz/Bx)を算出する。磁界角度と、磁石25の磁気検出素子3に対するX方向相対位置との関係は予め求められている。処理部33は変換手段によって、磁界角度をX方向相対位置に対応した出力電圧に変換して出力する。
【0019】
ストロークセンサモジュール1は以下のように作動する。図3(a)において、検出対象物の移動に伴いロッド6と連結部7が+X方向に移動すると、連結部7のベース部71はバネ部材8の付勢力に抗して、磁気発生体2を+X方向に押し出す。磁石25と磁気検出素子3のX方向相対位置が変化し、磁気検出素子3はそれに応じた出力電圧を出力する。ロッド6と連結部7が-X方向に動くと、磁気発生体2はバネ部材8の付勢力によって、-X方向に移動する。バネ部材8の付勢力のため、連結部7と磁気発生体2の接触は維持される。
【0020】
磁気発生体2が収納体4の内部空間41をX方向に移動する際、複数の第1の突起23は第1のガイド部42でガイドされる。第1の突起23と第1の溝部42との間には僅かなギャップが存在するだけである。第1の突起23が第1の溝部42によってY方向及びZ方向に実質的に拘束されるため、磁石25の磁気検出素子3との相対位置はY方向及びZ方向に実質的に不変となる。この結果、ストロークセンサモジュール1の精度が向上する。磁気発生体2のX軸周りの回転も実質的に拘束されるため、磁気発生体2の磁石25の法線はZ方向と一致した状態を維持する。この結果、磁石25の回転による測定誤差を軽減することができる。さらに、磁気発生体2が収納体4の内部空間41をX方向に移動する際、複数の第1の突起23のZ方向頂部は第1のガイド部42と線接触する。これは、第1の突起23のZ方向頂部の第1のガイド部42と線接触する部位が、第1の突起23の中心軸C1から離れる方向に突き出す曲面の一部であるためである。このため、磁気発生体2が収納体4の内壁と摺動する部分の面積は、磁気発生体2が収納体4の内壁と面接触する場合と比べて大幅に低減する。この結果、摺動に伴う微粉の発生が抑制される。さらに、第1の突起23のY方向両側の第1の端部突起24は第1のガイド部42と点接触する。この結果、摺動に伴う微粉の発生がさらに抑制される。摺動に伴う微粉の発生が抑制されるため、磁気発生体2のスムーズな移動が経時的に損なわれることが抑制される。
【0021】
同様に、移動体5の連結部7が収納体4の内部空間41をX方向に移動する際、複数の第2の突起73は第2のガイド部44でガイドされる。第2の突起73が第2の溝部44によってY方向及びZ方向に拘束され、移動体5、特にロッド6のX軸周りの回転も拘束される。さらに、移動体5の連結部7が収納体4の内部空間41をX方向に移動する際、第2の突起73のZ方向頂部は第2のガイド部44と線接触する。また、第2の突起73の第2の端部突起74は第2のガイド部44と点接触する。このため、第1の突起23と同様の理由により、摺動に伴う微粉の発生が抑制され、磁気発生体2のスムーズな移動が経時的に損なわれることが抑制される。第2の突起73と第2の溝部44との間には僅かなギャップがあるため、ロッド6のX軸回りの回転を完全に防止することはできない。しかし、移動体5は磁気発生体2と別体とされ、磁気発生体2にX方向に当接するだけであるため、ロッド6のX軸回りの回転に起因する回転モーメントはほとんど磁気発生体2に伝達されない。この結果、磁石25の回転による測定誤差をさらに軽減することができる。
【0022】
本実施形態では第1の突起23と第2の突起73が設けられているが、いずれか一方の突起23,73を設けるだけでも微粉の発生を抑制することができる。図6(a)に示すように、磁気発生体2は1つの磁石25だけを有することもできる。磁束は磁石25の両側に対称に形成されるためBxを検知することで磁気発生体2の相対位置を検知することができる。この場合、磁石25は磁気発生体2のX方向における中央部に配置することが好ましい。あるいは、図6(b)に示すように、磁気発生体2は、本体部21にX方向に等間隔で離間して設けられた3つ以上の磁石25を有していてもよい。X方向両端の磁石25は対応する第1の突起23と対向していることが好ましい。例えば、磁石25と第1の突起23は、Z方向と平行に延びる同一直線上に位置している。磁石25の個数は制限されず、ストロークセンサモジュール1の使用目的、求められる測定精度などを考慮して適宜決定することができる。第1の突起23の一部は他の第1の突起23と異なる形状を有していてもよい。例えば、上側の第1の突起23の高さを下側の第1の突起23の高さより低くすることで、磁気発生体2の全高(Z方向寸法)を抑えることができる。この結果、ストロークセンサモジュール1を低背化することができる。
【0023】
本実施形態では、磁石25と移動体5がストロークセンサモジュール1に組み込まれ、ストロークセンサモジュール1と一体化している。つまり、移動体5が収納体4及び磁気発生体2と一体化されているので、高精度のキャリブレーションが可能である。第1の理由は、ストロークセンサモジュール1を実機に組み込む前に、多点の測定結果を使ってキャリブレーションができることである。例えば、測定対象物が、プランジャのように、可動範囲の両端のみで停止するように構成された部材に接続されることがある。ストロークセンサを実機に組み込んだ後にストロークセンサモジュール1のキャリブレーションを行う場合、キャリブレーションに使用できるのは2点の測定結果だけである。本実施形態では予めキャリブレーションが可能であるため、キャリブレーションの測定精度が向上する。一体型のストロークセンサモジュール1であるため、据付時の誤差を考慮する必要もない。据付時の誤差は余計なマージンにつながるが、このようなマージンも最小化できる。各部材が熱膨張によって位置ずれする場合も熱膨張を考慮したキャリブレーションが可能である。第2の理由は、キャリブレーションが効率的に行えることである。例えば、磁気発生体2と磁気検出素子3を別々に実機に取り付ける場合、多くの部品が周囲に存在する環境でキャリブレーションを行う必要がある。本実施形態では、ストロークセンサモジュール1の製造施設において、専用の設備を使用して、効率的にキャリブレーションを行うことができる。
【0024】
(第2の実施形態)
図7(a)は、第2の実施形態のストロークセンサモジュール101の側方断面図を、図7(b)は、磁気発生体102の斜視図を、図7(c)、7(d)はそれぞれ、図7(a)のA-A線とB-B線に沿った断面図を示している。本実施形態は、基部122と第1の突起123の構成が第1の実施形態と異なる。移動体5とバネ部材8の構成は第1の実施形態と同様である。収納体104は、第1の突起123に合わせて第1の溝部142の形状が異なる点を除き、第1の実施形態と同様である。磁気発生体102は1つの磁石125だけを有している。基部122は磁気発生体102のX方向における中央部に配置され、X方向に延びている。第1の突起123は、基部122の先端に形成されX方向に延びる突条である。この結果、第1の突起123は磁気発生体102のX方向における中央部に配置され、1つの磁石125が複数の第1の突起123と対向する。基部122は第1の突起123の基礎として機能する。基部122を設けることによって、本体部21から長く突き出した突起を設ける場合と比べて、第1の突起123の強度が向上する。第1の突起123のX方向長さは第1の実施形態の第1の突起23のY方向長さより長く、少なくとも磁石125のX方向長さより長いことが好ましい。これによって、磁気発生体102がY方向及びZ方向に効果的に拘束され、ストロークセンサモジュール101の精度が向上する。第1の突起123は0度と180度の角度位置θに設けられているが、第1の実施形態と同様、様々な個数の第1の突起123を様々な位置に配置することができる。第1の突起123はほぼ円筒形の形状を有しているため、第1の溝部142の3面で線接触する。これによって、微粉の発生を抑制することができる。本実施形態では磁石125が一つしか設けられていないため、ストロークセンサモジュール101を小型化することができる。図示は省略するが、第1の実施形態と同様、磁気発生体102は、本体部21の両端付近に2つの磁石を有していてもよいし、第1の方向Xに等間隔で離間して設けられた3つ以上の磁石を有していてもよい。第1の突起123は、Z方向に両端の磁石と対向する位置まで延びていてもよいし、Z方向に両端の磁石と重ならないように、両端の磁石の間に設けてもよい。
【0025】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態のストロークセンサモジュール201の図2と同様の図である。本実施形態では、収納体204は、複数の第1の突起245を備えた第1のガイド部242を有し、磁気発生体202が、第1のガイド部242によってガイドされる複数の面227を備える。同様に、収納体204は、複数の第2の突起243を備えた第2のガイド部244を有し、移動体205の連結部207が、第2のガイド部244によってガイドされる複数の面275を備える。すなわち、本実施形態では、突起とガイド部の関係が第1の実施形態と逆になっている。本実施形態は第1の実施形態と同様の効果を奏する。図示は省略するが、磁気発生体202が複数の第1の突起23を備え、収納体204が複数の第2の突起243を備えてもよい。同様に、収納体204が複数の第1の突起245を備え、連結部207が複数の第2の突起73を備えてもよい。
【0026】
(第4の実施形態)
図9は第1~第3の実施形態に係るストロークセンサモジュール1をハイブリッド車両に適用した例を示す。ハイブリッド車両はエンジン301と、モータ302と、エンジン301及びモータ302を制御する制御部303と、モータ302に接続されたバッテリー304と、を有している。可動部であるブレーキペダル305は、第1~第3の実施形態に係るストロークセンサモジュール1と同じ構成の第1のストロークセンサモジュール1Aのロッド6に接続され、同じく可動部であるアクセルペダル306は、第1~第3の実施形態に係るストロークセンサモジュール1と同じ構成の第2のストロークセンサモジュール1Bのロッド6に接続されている。第1のストロークセンサモジュール1Aはブレーキペダル305の踏み込み量を測定し制御部303に送信する。第2のストロークセンサモジュール1Bはアクセルペダル306の踏み込み量を測定し制御部303に送信する。制御部303はアクセルペダル306の踏み込み量や別途測定された車速等に応じて要求トルクを算出し、この要求トルクに基づきエンジン301とモータ302を制御する。制御部303はブレーキペダル305の踏み込み量や別途測定された車速等に応じてモータ302で回生するエネルギーを算出する。なお、可動部はブレーキペダル305とアクセルペダル306に限定されず、ストロークセンサモジュール1のロッド6に接続されて、ロッド6を直線運動させるものであればよい。
【0027】
(第5の実施形態)
図10は、第5の実施形態のストロークセンサモジュール301の概要図であり、図10(a)は支持部11に取り付けられたストロークセンサモジュール301の斜視図を、図10(b)は側方断面図を示している。図11(a)はストロークセンサモジュール301の斜め下方からみた斜視図を、図11(b)は、ストロークセンサモジュール301が取り付けられる近傍の、支持部11の斜視図を示している。本実施形態はストロークセンサモジュール301の取付け構造に特徴があり、ストロークセンサモジュール301の内部構造は第1~第3の実施形態のいずれであってもよい。
【0028】
センサモジュール301は支持部11に取り付けられる。支持部11は、ストロークセンサモジュール301の長軸(X方向と平行な軸)とほぼ平行に延びる面(以下、主面12という)を有している。主面12はセンサモジュール301の取付け部49が取り付けられる取付け面18である。主面12は後述する位置決め部13をさらに有している。従って、本実施形態では、ストロークセンサモジュール301の取付け面18は、位置決め部13の設けられた面と一致している。支持部11は主面12から起立する壁部14を有し、壁部14に貫通孔15が設けられている。壁部14は主面12と直交しているが、直角以外の角度で主面12と交差していてもよい。主面12と貫通孔15との間には段差16が設けられ、貫通孔15は主面12から離隔している。すなわち、壁部14には、貫通孔15の開口の全周に沿って所定の幅の領域が設けられている。
【0029】
ストロークセンサモジュール301の収納体4は、貫通孔15に挿通されている。収納体4の貫通孔15に挿通された部分(以下、挿通部45という)は貫通孔15と嵌合している。貫通孔15と挿通部45は好ましくは円形であり、貫通孔15の内径が挿通部45の外径よりわずかに大きい。貫通孔15と挿通部45が円形であるため、挿通部45を貫通孔15に対し任意の角度で回転させることができる。従って、後述するストロークセンサモジュール301の取付けを容易に行うことができる。挿通部45の外周面の取付け溝47にはOリング46が装着されている。Oリング46は、壁部14の一方の側の空間を他方の側の空間からシールする目的で設置される。例えば、壁部14が自動車のエンジンルームと車室の仕切り壁である場合、Oリング46は油分がエンジンルームから車室に漏洩することを防止する。この様な必要性が無い場合、Oリング46は省略することもできる。収納体4は、挿通部45より外径が大きく挿通部45と同心の大径部48を有している。大径部48は取付け部49を備え、挿通部45と大径部48との境界部が段差16ないし壁部14と隣接している。収納体4の取付け部49は収納体4の円筒状の本体から突き出す腕部141を有し、腕部141はボルトBが挿通されるボルト穴142を有している。主面12はボルトBが係合するねじ穴17を有し、収納体4の取付け部49は、ボルトBによって支持部11の主面12に固定される。後述のように、大径部48はストロークセンサモジュール301の取付け時に、壁部14と当接するストッパとして機能する。これによって、ストロークセンサモジュール301の取付けが容易となる。
【0030】
収納体4の大径部48は嵌合部143を有している。嵌合部143は収納体4の本体の周方向に延びる凸条部である。支持部11の主面12に設けられた位置決め部13は、嵌合部143(凸条部)に沿って延びる溝である。嵌合部143が位置決め部13と嵌合することで、収納体4は第1の方向Xに位置決めされる。収納体4は樹脂や金属で形成され、支持部11も樹脂や金属で形成される。従って、これらの寸法精度は高く、溝の幅は、溝と凸条部との間にわずかなギャップが生じる程度である。図12は位置決め部13と嵌合部143がない場合の課題を示す図であり、図12(a)はストロークセンサモジュールの上面図、図12(b)はストロークセンサモジュールの側方断面図を示している。図12(a)の上図と下図はそれぞれ、取付け部49のボルト穴142に対してボルトBが最も左側に寄った状態と最も右側に寄った状態を示している。図12(b)の上図と下図は図12(a)の上図と下図に対応している。ボルト穴142はボルトBを通す際の作業性を考慮し、ボルト径より大きな内径を有している。従って、収納体4は支持部11に対して、ボルト穴142の内径とボルト径の差に等しい取付け誤差Rで取り付けられることになる。一方、磁気発生体2は支持部11に対して正確な位置関係で取り付けられるため、磁気検出素子3と磁気発生体2の相対位置は取付け誤差Rと同程度の幅でばらつく。しかし、磁気検出素子3は磁気発生体2との特定の相対位置関係で校正されるため、相対位置がずれると校正値に対して誤差を生じ、測定誤差を生じる。また、磁気発生体2が支持部11に正しい位置で取り付けられても、使用中の振動や衝撃などによる取付け部49とボルトBの位置ずれによって、測定誤差を生じる可能性もある。本実施形態では、位置決め部13と嵌合部143との間のギャップが取付け誤差Rよりはるかに小さい。このため、位置決め部13と嵌合部143によって第1の方向Xの取付け誤差や、取付け後の第1の方向Xの位置ずれが抑えられ、このような課題が軽減される。
【0031】
次に、図13を参照してストロークセンサモジュール301の支持部11への取付け方法について説明する。まず、図13(a)に示すように、収納体4の挿通部45を貫通孔15に挿通する。すなわち、ロッド6を前方として収納体4を第1の方向Xに動かし、挿通部45を貫通孔15に配置する。挿通部45と大径部48との境界部を壁部14に当接させることによって、概略の位置決めが可能となり、位置決め部13と嵌合部143の位置関係を目視で確認する手間が省ける。次に、図13(b)及びそのA-A線に沿った断面図である図13(c)に示すように、収納体4を貫通孔15の中心軸C3の周りで第1の回転方向R1に回転させる。図11(b)に示すように、溝は収納体4の第1の回転方向R1に関し、手前側が幅広になっている。別言すれば、支持部11に取り付けられた取付け部49を支持部11から離れる方向に回転させる第2の回転方向R2(第1の回転方向R1と逆方向)に関し、溝の前方部分19Fが後方部分19Rより幅広となっている。後方部分19Rは嵌合部143が最終的に嵌合する部位であり、前方部分19Fは収納体4が回転する途中に嵌合部143と対向する部位である。溝の前方部分19Fの幅t1は後方部分19Rの幅t2より大きくなっている。そして、前方部分19Fと後方部分19Rの間の遷移部分19Mは、徐々に幅が変化している。このような溝の構成によって、嵌合部143が、初期位置で溝の後方部分19Rにおける中心線から第1の方向Xにずれていても、収納体4を回転させながら、第1の方向Xにおける収納体4の位置決めが自動的になされる。以上の操作によって、嵌合部143が位置決め部13である溝と嵌合し、収納体4が第1の方向Xに位置決めされる。次に、図13(d)及びそのB-B線に沿った断面図である図13(e)に示すように、第1の方向Xに位置決めされた収納体4の取付け部49を、支持部11の取付け面18(主面12)に取り付ける。すなわち、ボルトBを取付け部49のボルト穴142に挿入し、支持部11のねじ穴17に累合させる。
【0032】
以上説明したように、収納体4を貫通孔15に挿入し、安定した状態で回転させるため、収納体4の取付作業を容易に行うことができる。取付中も取り付け後も、収納体4はボルトBと貫通孔15で支持されるため、複数の取付け部49を設ける必要がない。つまり、比較的サイズの大きい腕部141を1つ設けるだけですみ、ボルトBも1本あればよい。これによって、コストダウンと取付工程の合理化が可能となる。また、第1の方向Xからみて、取付け部49と嵌合部143は異なる角度位置にある。例えば、図13(c)を参照すると、嵌合部143は時計の3時の位置にあり、取付け部49は1時半頃の位置にある。これによって、嵌合部143と位置決め部13が嵌合するところから離れた位置で、ボルトBによる固定作業が可能となる。
【0033】
また、第1の回転方向R1に関し嵌合部143の前方、あるいは第2の回転方向R2に関し嵌合部143の後方で、収納体4の外周面は所定の角度範囲θ1に渡って円弧形状144とされている。このため、支持部11の外周面を主面12上で摺動させながら、収納体4を回転させることができる。なお、所定の角度範囲θ1は、収納体4が回転中に主面12と対向する角度範囲のことで、収納体4を貫通孔15に挿入したときの初期角度位置と、嵌合部143と位置決め部13が嵌合するときの最終角度位置との間の角度範囲である。他の変形例では、収納体4の回転が支持部11で阻害されないよう、回転中に主面12と対向する部分が、主面12から引き込んだ形状となっていてもよい。
【0034】
嵌合部143と取付け部49の第1の方向Xにおける位置は限定されない。本実施形態では、図10(b)に示すように、嵌合部143が取付け部49と壁部14の間にあるが、取付け部49が嵌合部143と壁部14の間にあってもよい。また、嵌合部143と取付け部49が第1の方向Xに関し同じ位置にあることも好ましい。取付け部49を回転させる際、取付け部49が主面12に押し付けられるために、捩じりモーメントが発生する。嵌合部143と取付け部49のX方向距離が小さいと力点と作用点が近くなり、捩じりモーメントが減少するため、収納体4や嵌合部143へのストレスを軽減できる。
【0035】
次に、本実施形態のいくつかの変形例について説明する。図14は第1の変形例に係るストロークセンサモジュール301の収納体4を示している。図14(a),(b)はそれぞれ、ストロークセンサモジュール301の取付け前と取り付け後の断面図である。取付け面18は位置決め部13の設けられた主面12と平行である。つまり、取付け面18は主面12と異なる高さ位置にある。本変形例では、取付け面18は収納体4の第1の方向Xの中心C4と主面12の間にある。図15(a),(b)はそれぞれ、ストロークセンサモジュール301の取付け前と取り付け後の断面図である。取付け面18は収納体4の第1の方向Xの中心C4を挟んで主面12の反対側にある。このように、取付け面18の高さは限定されない。図16(a),(b)はそれぞれ、ストロークセンサモジュール301の取付け前と取り付け後の断面図である。同図に示すように、取付け面18は位置決め部13の設けられた主面12と直交している。取付け面18と主面12の角度は限定されず、取付け面18は主面12に対し任意の角度(0度を超え180度未満の角度)をなすことができる。図14~16に示す変形例は支持部11の形状によって適宜選択可能であり、どの変形例も本実施形態と同様の効果を奏する。
【0036】
図17は第2の変形例に係るストロークセンサモジュール301の収納体4を示している。図17(a)は、ストロークセンサモジュール301の第1の方向Xからみた断面図を,図17(b)はこれと直交する方向からみた断面図である。嵌合部143は収納体4の周方向に延びる溝145を備えた凸条部であり、位置決め部13は溝145に沿って延びる他の凸条部である。すなわち、本変形例では溝145が収納体4に形成されている。主面12と収納体4の間隔が位置決め部13の高さより大きいため、収納体4を貫通孔15に挿入する際の位置決め部13との干渉が防止される。詳細な説明は省略するが、溝145は上述の実施形態における溝と同様の形状を取ることができる。
【0037】
図18は第3の変形例に係るストロークセンサモジュール301の収納体4を示している。図18(a)は、ストロークセンサモジュール301の第1の方向Xと直交する方向からみた断面図を,図18(b)は第1の方向Xからみたストロークセンサモジュール301の取付け前の断面図である。貫通孔15は壁部14に設けられているが、位置決め部13の設けられた主面12と貫通孔15の内面が連続しており、上述の実施形態のような段差16がない。このため、本変形例では、嵌合部143を第1の方向Xに関し、貫通孔15の開口の周縁部ないし壁部14に隣接する位置に設けている。これによって、収納体4を貫通孔15に挿入する際、嵌合部143の側面が貫通孔15の開口の周縁部ないし壁部14に当接する。本変形例では嵌合部143がストッパとして機能するため、前述の実施形態と同様の工程でストロークセンサモジュール301を支持部11に取り付けることができる。
【0038】
図19は第4の変形例に係るストロークセンサモジュール301の収納体4を示している。図19(a)は、ストロークセンサモジュール301の第1の方向Xと直交する方向からみた断面図を、図19(b)は、図19(a)のA-A線に沿った断面図を示している。図19(c)は、図19(a)の方向Bからみた収納体4の下面図であり、支持部11に取り付ける途中のストロークセンサモジュール301を示している。嵌合部143は収納体4の周方向に延びる周方向溝146であり、位置決め部13は周方向溝146に沿って延びる凸条部である。本変形例でも、第2の変形例と同様、溝が収納体4に形成されているが、周方向溝146は収容体4の側面に形成されている。収納体4は周方向溝146と接続される軸方向溝147を有している。軸方向溝147は収納体4の大径部48の側面148から第1の方向Xに延びている。
【0039】
ストロークセンサモジュール301は、図13に示す手順と同様にして取り付けることができる。すなわち、まず図13(a)に示すように、収納体4を第1の方向Xに動かし、挿通部45を貫通孔15に挿通する。図19(c)はこのときの状態を示している。収納体4を第1の方向Xに動かすとき、位置決め部13(凸条部)が軸方向溝147の内部を相対移動する。このため、位置決め部13と収納体4の干渉が防止される。つまり、収納体4を取付け部49が支持部11から離れる方向(第2の回転方向R2)に所定の角度回転したときに、第1の方向Xからみて、軸方向溝147は位置決め部13(凸条部)を内包する。次に、図13(b),13(c)に示すように、収納体4を貫通孔15の中心軸C3の周りで第1の回転方向R1に回転させる。図13(b),(c)に示す手順は前述の第5の実施形態と同様に行うことができる。
【0040】
本変形例は第2の変形例と比べて、位置決め部13の高さと周方向溝146の深さを確保しやすいため、位置決め部13の強度の確保が容易である。また、軸方向溝147は収納体4の挿通部45を貫通孔15に挿通する際に、収納体4の第1の方向Xへの移動をガイドするガイド部として機能する。従って、本変形例では、ストロークセンサモジュール301の取付けが一層容易になる。周方向溝146とストロークセンサモジュール301の内部機構との干渉を防止すため、大径部48は周方向溝146が外側に張り出した楕円形状、卵形状等としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
X 第1の方向
1,101,201,301 ストロークセンサモジュール
2,102 磁気発生体
21 本体部
22,122 基部
23,123,245 第1の突起
25,125 磁石
3 磁気検出素子
4,204 収納体
41 内部空間
42,242 第1のガイド部
43 貫通孔15
44,244 第2のガイド部
45 挿通部
48 大径部
49 取付け部
5 移動体
6 ロッド
7 連結部
71 ベース部
72 アーム部
73,243 第2の突起
8 バネ部材
11 支持部
13 位置決め部
14 壁部
15 貫通孔
141 腕部
142 ボルト穴
143 嵌合部
17 ねじ穴
18 取付け面
B ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19