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特許7196902基地局、方法、プログラム、及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】基地局、方法、プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/12 20090101AFI20221220BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20221220BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20221220BHJP
【FI】
H04W72/12 130
H04W24/10
H04W16/28
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020505719
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2019006010
(87)【国際公開番号】W WO2019176468
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2018046388
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、総務省研究開発委託「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発~高周波数帯・広帯域超多素子アンテナによる高速・低消費電力無線アクセス技術の研究開発~」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】野勢 大輔
(72)【発明者】
【氏名】丸田 靖
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/081857(WO,A1)
【文献】特表2006-520109(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0153427(US,A1)
【文献】Mitsubishi Electric,Necessity of checking channel reciprocity in TDD[online], 3GPP TSG-RAN WG1#58 R1-093147,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_58/Docs/R1-093147.zip>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局であって、
ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得する情報取得手段と、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行う制御手段と、
を備え、
前記制御は、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との前記相関関係が相対的に良い無線リソースを、前記基地局と通信する端末装置の多重数が多い無線リソースに優先的に割り当てることと、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との前記相関関係が相対的に悪い無線リソースを、前記基地局と通信する端末装置の多重数が少ない無線リソースに優先的に割り当てることと、
を含む、
基地局。
【請求項2】
アップリンクで端末装置から前記ダウンリンクチャネル推定値に関する情報を受信する通信処理手段を更に備える、請求項1記載の基地局。
【請求項3】
前記ダウンリンクチャネル推定値は、当該基地局がダウンリンクで送信するダウンリンクリファレンス信号に基づいて推定される値である、請求項1又は2記載の基地局。
【請求項4】
前記ダウンリンクチャネル情報は、時間方向及び周波数方向の少なくとも一の方向で規定されるダウンリンクの無線リソース位置で送信される複数のダウンリンクリファレンス信号に基づいて推定される複数のダウンリンクチャネル推定値の平均値に関する情報である、請求項3記載の基地局。
【請求項5】
前記ダウンリンクリファレンス信号は、CSI(Channel State Information)-RS(Reference Signal)である、請求項3又は4記載の基地局。
【請求項6】
前記アップリンクチャネル推定値は、アップリンクで端末装置から送信されるアップリンクリファレンス信号に基づいて推定される値である、請求項1乃至5のうち何れか1項記載の基地局。
【請求項7】
前記アップリンクチャネル情報は、時間方向及び周波数方向の少なくとも一の方向で規定されるアップリンクの無線リソース位置で送信される複数のアップリンクリファレンス信号に基づいて推定される複数のアップリンクチャネル推定値の平均値に基づいて導出される情報である、請求項6記載の基地局。
【請求項8】
前記アップリンクリファレンス信号は、SRS(Sounding Reference Signal)である、請求項6又は7記載の基地局。
【請求項9】
基地局のための方法であって、
ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得することと、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行うことと、
含み、
前記制御は、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との前記相関関係が相対的に良い無線リソースを、前記基地局と通信する端末装置の多重数が多い無線リソースに優先的に割り当てることと、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との前記相関関係が相対的に悪い無線リソースを、前記基地局と通信する端末装置の多重数が少ない無線リソースに優先的に割り当てることと、
を含む、
方法。
【請求項10】
ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得することと、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行うことと、
をプロセッサに実行させるプログラムであって、
前記制御は、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との前記相関関係が相対的に良い無線リソースを、基地局と通信する端末装置の多重数が多い無線リソースに優先的に割り当てることと、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との前記相関関係が相対的に悪い無線リソースを、前記基地局と通信する端末装置の多重数が少ない無線リソースに優先的に割り当てることと、
を含む、
プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセスネットワークの基地局、方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
無線アクセスネットワークでは、アップリンクとダウンリンクの間に成り立つチャネル相互関係(channel reciprocity)に基づいて、チャネル品質を推定することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アップリンクとダウンリンクの間の相互関係誤差の較正の精度を高める目的で、複数のユーザ端末と基地局の間のチャネル品質関連情報に従って、少なくとも1つのユーザ端末を、アップリンクとダウンリンクの間の相互関係誤差を較正するための較正ユーザ端末として選択することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2013-538484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1を含む技術では、アップリンクとダウンリンクの間に成り立つチャネル相互関係(channel reciprocity)が理想的ではなく劣化している場合、例えば、ダウンリンクでのスケジューリングなど、基地局がダウンリンクでの送信に関する制御を適切に行うことができなかった。
【0006】
本発明の目的は、アップリンクとダウンリンクの間に成り立つチャネル相互関係(channel reciprocity)が劣化している場合であっても、ダウンリンクでの送信に関する制御を適切に行うことを可能にする基地局、方法、プログラム、及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、基地局は、ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得する情報取得部と、前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行う制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様によれば、方法は、ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得することと、前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行うことと、含む。
【0009】
本発明の一態様によれば、プログラムは、ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得することと、前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行うことと、をプロセッサに実行させる。
【0010】
本発明の一態様によれば、記録媒体は、ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得することと、前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行うことと、をプロセッサに実行させるプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アップリンクとダウンリンクの間に成り立つチャネル相互関係(channel reciprocity)が劣化している場合であっても、ダウンリンクでの送信に関する制御を適切に行うことが可能になる。なお、本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果とともに、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係るシステム1の概略的な構成の一例を示す説明図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る基地局100の概略的な構成の例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る端末装置200の概略的な構成の例を示すブロック図である。
図4図4は、ダウンリンクおよびアップリンクで送信される各信号の送信スケジュールを示すタイムチャート図である。
図5図5は、CSI-RS及びSRSがそれぞれ割り当てられるリソースブロックの概略的な構成を示す図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る基地局100の概略的な構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0014】
説明は、以下の順序で行われる。
1.本発明の実施形態の概要
2.システムの構成
3.第1の実施形態
3.1.基地局100の構成
3.2.端末装置200の構成
3.3.技術的特徴
3.4.実施例
4.第2の実施形態
4.1.基地局100の構成
4.2.技術的特徴
5.他の形態
【0015】
<<1.本発明の実施形態の概要>>
まず、本発明の実施形態の概要を説明する。
【0016】
(1)技術的課題
無線アクセスネットワークでは、アップリンクとダウンリンクの間に成り立つチャネル相互関係(channel reciprocity)に基づいて、チャネル品質を推定することが行われている。
【0017】
しかしながら、アップリンクとダウンリンクの間に成立するUL(Uplink)-DL(Downlink) channel reciprocity)が理想的ではなく劣化している場合、基地局によりアップリンクチャネル推定値を使っても、多素子アンテナによるダウンリンクのビームフォーミング/プリコーディングウェイトを精度良く算出することができない。つまり、上記ビームフォーミング/プリコーディングウェイトは、実際のダウンリンクチャネルに対して最適ではないため、端末装置の受信信号品質が劣化しうる。
【0018】
また、端末の受信信号品質の劣化を考慮しない端末装置当たりのレイヤ数(Rank)、及びレイヤごとのMCS(Modulation Coding Scheme)を用いて基地局によるダウンリンク送信が行われるため、端末装置のデータ復号誤り率が増加する。
【0019】
さらに、UL-DL Channel Reciprocityが劣化している端末装置が、DL MU(Multi-User)-MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術を使用すると、同一時間/周波数リソースに多重している他の端末装置の受信信号品質を劣化させることになる。
【0020】
ここで、UL-DL Channel Reciprocityの劣化要因として、次の例を挙げることができる。
【0021】
例えば第1に、端末装置の移動などの理由で、アップリンクチャネル推定値算出時のアップリンク伝送路とダウンリンクチャネル推定値算出時のダウンリンク伝搬路が異なる場合が、上記劣化要因として考えられる。
【0022】
例えば第2に、基地局が備える複数の送受信アンテナ(送受信機)に対して、送信アンテナ同士、受信アンテナ同士、および送信アンテナ群と受信アンテナ群の間で、位相と振幅を揃えるキャリブレーションが理想的に実現できていない場合が、上記劣化要因として考えられる。
【0023】
例えば第3に、端末装置が複数の送受信アンテナ(送受信機)を備えていた場合に、相対的な送信機間の特性差(例えば位相、振幅など)に対して、相対的な受信機間の特性差(例えば位相、振幅など)が大きく異なる場合が、上記劣化要因として考えられる。
【0024】
そこで、本実施形態の目的は、アップリンクとダウンリンクの間に成り立つチャネル相互関係(channel reciprocity)が劣化している場合であっても、ダウンリンクでの送信に関する制御を適切に行うことを可能にすることである。
【0025】
(2)技術的特徴
本発明の実施形態では、例えば、基地局は、ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得し、上記ダウンリンクチャネル情報と上記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行う。
【0026】
これにより、例えばアップリンクとダウンリンクの間に成り立つチャネル相互関係(channel reciprocity)が劣化している場合であっても、ダウンリンクでの送信に関する制御を適切に行うことが可能になる。なお、上述した技術的特徴は本発明の実施形態の具体的な一例であり、当然ながら、本発明の実施形態は上述した技術的特徴に限定されない。
【0027】
<<2.システムの構成>>
図1を参照して、本発明の実施形態に係るシステム1の構成の例を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシステム1の概略的な構成の一例を示す説明図である。図1を参照すると、システム1は、基地局100、及び端末装置200、を含む。
【0028】
例えば、システム1は、3GPP(Third Generation Partnership Project)の規格(standard)/仕様(specification)に準拠したシステムである。より具体的には、例えば、システム1は、LTE/LTE-Advanced及び/又はSAE(System Architecture Evolution)の規格/仕様に準拠したシステムであってもよい。あるいは、システム1は、第5世代(5G)/NR(New Radio)の規格/仕様に準拠したシステムであってもよい。当然ながら、システム1は、これらの例に限定されない。
【0029】
(1)基地局100
基地局100は、無線アクセスネットワーク(Radio Access Network:RAN)のノードであり、カバレッジエリア10内に位置する端末装置(例えば、端末装置200)との無線通信を行う。
【0030】
例えば、基地局100は、eNB(evolved Node B)であってもよく、又は、5GにおけるgNB(generation Node B)であってもよい。基地局100は、複数のユニット(又は複数のノード)を含んでもよい。当該複数のユニット(又は複数のノード)は、上位のプロトコルレイヤの処理を行う第1ユニット(又は第1ノード)と、下位のプロトコルレイヤの処理を行う第2ユニット(又は第2ノード)とを含んでもよい。一例として、上記第1ユニットは、中央ユニット(Center/Central Unit:CU)と呼ばれてもよく、上記第2のユニットは、分散ユニット(Distributed Unit:DU)又はアクセスユニット(Access Unit:AU)と呼ばれてもよい。別の例として、上記第1ユニットは、デジタルユニット(Digital Unit:DU)と呼ばれてもよく、上記第2ユニットは、無線ユニット(Radio Unit:RU)又はリモートユニット(Remote Unit:RU)と呼ばれてもよい。上記DU(Digital Unit)は、BBU(Base Band Unit)であってもよく、上記RUは、RRH(Remote Radio Head)又はRRU(Remote Radio Unit)であってもよい。当然ながら、上記第1ユニット(又は第1のノード)及び上記第2ユニット(又は第2のノード)の呼称は、この例に限定されない。あるいは、基地局100は、単一のユニット(又は単一のノード)であってもよい。この場合に、基地局100は、上記複数のユニットのうちの1つ(例えば、上記第1ユニット及び上記第2ユニットの一方)であってもよく、上記複数のユニットのうちの他のユニット(例えば、上記第1ユニット及び上記第2ユニットの他方)と接続されていてもよい。
【0031】
(2)端末装置200
端末装置200は、基地局との無線通信を行う。例えば、端末装置200は、基地局100のカバレッジエリア10内に位置する場合に、基地局100との無線通信を行う。例えば、端末装置200は、UE(User Equipment)である。
【0032】
<<3.第1の実施形態>>
続いて、図2図5を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
【0033】
<3.1.基地局100の構成>
次に、図2を参照して、第1の実施形態に係る基地局100の構成の例を説明する。図2は、第1の実施形態に係る基地局100の概略的な構成の例を示すブロック図である。図2を参照すると、基地局100は、無線通信部110、ネットワーク通信部120、記憶部130及び処理部140を備える。
【0034】
(1)無線通信部110
無線通信部110は、信号を無線で送受信する。例えば、無線通信部110は、端末装置からの信号を受信し、端末装置への信号を送信する。
【0035】
(2)ネットワーク通信部120
ネットワーク通信部120は、ネットワークから信号を受信し、ネットワークへ信号を送信する。
【0036】
(3)記憶部130
記憶部130は、基地局100の動作のためのプログラム(命令)及びパラメータ、並びに様々なデータを、一時的に又は恒久的に記憶する。当該プログラムは、基地局100の動作のための1つ以上の命令を含む。
【0037】
(4)処理部140
処理部140は、基地局100の様々な機能を提供する。処理部140は、通信処理部141、情報取得部143、及び制御部145を含む。なお、処理部140は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。即ち、処理部140は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。通信処理部141、情報取得部143、及び制御部145の具体的な動作は、後に詳細に説明する。
【0038】
例えば、処理部140(通信処理部141)は、無線通信部110を介して端末装置(例えば、端末装置200)と通信する。例えば、処理部140(通信処理部141)は、ネットワーク通信部120を介して他のネットワークノードと通信する。
【0039】
(5)実装例
無線通信部110は、アンテナ及び高周波(Radio Frequency:RF)回路等により実装されてもよく、当該アンテナは、指向性アンテナであってもよい。ネットワーク通信部120は、ネットワークアダプタ並びに/又はネットワークインタフェースカード等により実装されてもよい。記憶部130は、メモリ(例えば、不揮発性メモリ及び/若しくは揮発性メモリ)並びに/又はハードディスク等により実装されてもよい。処理部140は、ベースバンド(Baseband:BB)プロセッサ及び/又は他の種類のプロセッサ等の1つ以上のプロセッサにより実装されてもよい。通信処理部141、情報取得部143、及び制御部145は、同一のプロセッサにより実装されてもよく、別々に異なるプロセッサにより実装されてもよい。上記メモリ(記憶部130)は、上記1つ以上のプロセッサ内に含まれていてもよく、又は、上記1つ以上のプロセッサ外にあってもよい。
【0040】
基地局100は、プログラム(命令)を記憶するメモリと、当該プログラム(命令)を実行可能な1つ以上のプロセッサとを含んでもよい。当該1つ以上のプロセッサは、上記プログラムを実行して、処理部140の動作(通信処理部141、情報取得部143、及び/又は制御部145の動作)を行ってもよい。上記プログラムは、処理部140の動作(通信処理部141、情報取得部143、及び/又は制御部145の動作)をプロセッサに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0041】
なお、基地局100は、仮想化されていてもよい。即ち、基地局100は、仮想マシンとして実装されてもよい。この場合に、基地局100(仮想マシン)は、プロセッサ及びメモリ等を含む物理マシン(ハードウェア)及びハイパーバイザ上で仮想マシンとして動作してもよい。
【0042】
<3.2.端末装置200の構成>
次に、図3を参照して、第1の実施形態に係る端末装置200の構成の例を説明する。図3は、第1の実施形態に係る端末装置200の概略的な構成の例を示すブロック図である。図3を参照すると、端末装置200は、無線通信部210、記憶部220及び処理部230を備える。
【0043】
(1)無線通信部210
無線通信部210は、信号を無線で送受信する。例えば、無線通信部210は、基地局100からの信号を受信し、基地局100への信号を送信する。
【0044】
(2)記憶部220
記憶部220は、端末装置200の動作のためのプログラム(命令)及びパラメータ、並びに様々なデータを、一時的に又は恒久的に記憶する。当該プログラムは、端末装置200の動作のための1つ以上の命令を含む。
【0045】
(3)処理部230
処理部230は、端末装置200の様々な機能を提供する。処理部230は、通信処理部231、及び制御部233を含む。なお、処理部230は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。即ち、処理部230は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。通信処理部231、及び制御部233の具体的な動作は、後に詳細に説明する。
【0046】
例えば、処理部230(通信処理部231)は、無線通信部210を介して基地局100と通信する。
【0047】
(4)実装例
無線通信部210は、アンテナ及び高周波(RF)回路等により実装されてもよい。記憶部220は、メモリ(例えば、不揮発性メモリ及び/若しくは揮発性メモリ)並びに/又はハードディスク等により実装されてもよい。処理部230は、ベースバンド(BB)プロセッサ及び/又は他の種類のプロセッサ等の1つ以上のプロセッサにより実装されてもよい。通信処理部231、及び制御部233は、同一のプロセッサにより実装されてもよく、別々に異なるプロセッサにより実装されてもよい。上記メモリ(記憶部220)は、上記1つ以上のプロセッサ内に含まれていてもよく、又は、上記1つ以上のプロセッサ外にあってもよい。一例として、処理部230は、SoC(System on Chip)内で実装されてもよい。
【0048】
端末装置200は、プログラム(命令)を記憶するメモリと、当該プログラム(命令)を実行可能な1つ以上のプロセッサとを含んでもよい。当該1つ以上のプロセッサは、上記プログラムを実行して、処理部230の動作(通信処理部231、及び制御部233の動作)を行ってもよい。上記プログラムは、処理部230の動作(通信処理部231、及び制御部233の動作)をプロセッサに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0049】
<3.3.技術的特徴>
次に、第1の実施形態の技術的特徴を説明する。
【0050】
基地局100(情報取得部143)は、ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得する。そして、基地局100(制御部145)は、上記ダウンリンクチャネル情報と上記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行う。
【0051】
(1)ダウンリンクチャネル情報
上記ダウンリンクチャネル情報は、例えば基地局100(情報取得部143)により、上記ダウンリンクチャネル推定値に基づいて導出される情報である。以下では、まず、上記ダウンリンクチャネル推定値について説明する。
【0052】
具体的に、上記ダウンリンクチャネル推定値は、ダウンリンクの伝送路品質を示す推定値である。また、上記ダウンリンクチャネル推定値に関する情報は、例えば、アップリンクで端末装置200(通信処理部231)から送信される。すなわち、基地局100(通信処理部141)は、アップリンクで端末装置200(通信処理部231)から上記ダウンリンクチャネル推定値に関する上記情報を受信する。
【0053】
より具体的に、上記ダウンリンクチャネル推定値は、基地局100がダウンリンクで送信するダウンリンクリファレンス信号に基づいて、例えば端末装置200(制御部233)により推定される値である。
【0054】
ここで、上記ダウンリンクリファレンス信号として、例えば、CSI(Channel State Information)-RS(Reference Signal)が用いられる。つまり、端末装置200(制御部145)は、基地局100からダウンリンクで送信される上記CSI-RSの信号強度などを測定し、当該測定結果に基づいて上記ダウンリンクチャネル推定値を算出する。
【0055】
基地局100(情報取得部143)は、例えば、端末装置200からアップリンクで受信した上記ダウンリンクチャネル推定値を、上記ダウンリンクチャネル情報に関する上記情報として取得してもよい。
【0056】
とりわけ、基地局100(情報取得部143)は、例えば、複数のダウンリンクチャネル推定値の平均値を、上記ダウンリンクチャネル情報に関する上記情報として取得してもよい。
【0057】
ここで、上記複数のダウンリンクチャネル推定値は、時間方向及び周波数方向の少なくとも一の方向で規定されるダウンリンクの無線リソース位置で送信される複数のダウンリンクリファレンス信号に基づいて推定される値である。ここで、上記複数のダウンリンクリファレンス信号とは、例えば、ダウンリンクで用いられるPRB(Physical Resource Block)内、RBG(Resource Block Group)内、又はシステム帯域内などに含まれる複数のリソースエレメントで送信される複数のCSI-RSである。つまり、上記ダウンリンクチャネル情報は、上記複数のダウンリンクリファレンス信号に基づいて推定される複数のダウンリンクチャネル推定値の平均値であってもよい。
【0058】
(2)アップリンクチャネル情報
上記アップリンクチャネル情報は、例えば、上記アップリンクチャネル推定値に基づいて導出される情報である。以下では、まず、上記アップリンクチャネル推定値について説明する。
【0059】
具体的に、上記アップリンクチャネル推定値は、アップリンクの伝送路品質を示す推定値である。具体的に、上記アップリンクチャネル推定値は、アップリンクで端末装置200(通信処理部231)から送信されるアップリンクリファレンス信号に基づいて、例えば基地局100により推定される値である。
【0060】
ここで、上記アップリンクリファレンス信号として、例えばSRS(Sounding Reference Signal)が用いられる。つまり、基地局100(例えば、情報取得部143)は、端末装置200からアップリンクで送信される上記SRSの信号強度などを測定し、当該測定結果に基づいて上記アップリンクチャネル推定値を算出する。
【0061】
基地局100(情報取得部143)は、例えば、上記アップリンク推定値を、上記アップリンクチャネル情報として取得してもよい。
【0062】
とりわけ、基地局100(情報取得部143)は、例えば、複数のアップリンクチャネル推定値の平均値を、上記アップリンクチャネル情報として取得してもよい。
【0063】
ここで、上記複数のアップリンクチャネル推定値は、時間方向及び周波数方向の少なくとも一の方向で規定されるアップリンクの無線リソース位置で送信される複数のアップリンクリファレンス信号に基づいて推定される値である。ここで、上記複数のアップリンクリファレンス信号とは、例えば、アップリンクに用いられるPRB(Physical Resource Block)内、RBG(Resource Block Group)内、又はシステム帯域内などに含まれる複数のリソースエレメントで送信される複数のSRSである。つまり、上記アップリンクチャネル情報は、上記複数のSRSに基づいて推定される複数のアップリンクチャネル推定値の平均値であってもよい。
【0064】
(3)ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御
基地局100(制御部145)は、上記ダウンリンクチャネル情報と上記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行う。
【0065】
具体的に、基地局100および端末装置200のそれぞれが、多素子アンテナを備えている場合には、次のようにして、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行う。
【0066】
まず、基地局100(制御部145)は、例えば、カバレッジエリア10内に位置する各々の端末装置(例えば端末装置200)に対応する上記ダウンリンクチャネル情報及び上記アップリンクチャネル情報が、どの程度一致するかについての評価指標として、UL-DL Channel Reciprocityを算出する。
【0067】
そして、基地局100(制御部145)は、端末装置ごとに算出したUL-DL Channel Reciprocityを用いて、各々の端末装置のダウンリンクにおける時間/周波数リソースの割り当て、ダウンリンクのMU-MIMO多重端末数の決定、多重端末の選択、端末装置当たりのレイヤ数の決定、レイヤごとのMCS選択、レイヤごとの送信電力制御、及び、レイヤごとのダウンリンクのビームフォーミング/プリコーディングウェイト算出などを行う。
【0068】
(4)情報の通知
基地局100(通信処理部141)は、例えば上記ダウンリンク推定値を取得する前に、上記ダウンリンク推定値を得るために用いられる上記アップリンクリファレンス信号が割り当てられる無線リソースの位置に関する情報を、端末装置200に送信してもよい。
【0069】
ここで、上記アップリンクリファレンス信号(例えばSRS)が割り当てられる上記無線リソース(リソースエレメント)の上記位置は、上記ダウンリンクリファレンス信号(CSI-RS)が割り当てられる無線リソースの位置に基づいて決まる無線リソース(リソースエレメント)の位置である。
【0070】
例えば、SRSが割り当てられるリソースエレメントの位置は、CSI-RSが割り当てられるリソースエレメントの位置を基準として、時間軸の前後方向に1サブフレームの範囲に含まれるように決定される。
【0071】
これにより、ほぼ同時刻にCSI-RSおよびSRSが送信されることになるため、上記ダウンリンクチャネル情報と上記アップリンクチャネル情報との相関関係、すなわち、上記UL-DL Channel Reciprocityをより精度良く算出することができる。
【0072】
<3.4.実施例>
次に、第1の実施形態の実施例を説明する。
【0073】
まず、m個(mは0~Nの自然数。)の端末装置200(通信処理部231)のそれぞれは、基地局100により指定された無線リソースを用いて、SRSを生成してアップリンクで送信する。ここで、端末装置200の無線通信部210が複数の送信アンテナ(送信機)を備える場合は、端末装置200(通信処理部231)は、各々の送信アンテナごとに異なるSRSを生成してアップリンクで送信してもよい。
【0074】
一方、基地局100(通信処理部141、情報取得部143)は、端末装置200から送信されたSRSを受信し、無線通信部110が備える受信アンテナ(受信機)ごとにアップリンクチャネル推定値を算出する。ここで、チャネル推定精度を高めるために、PRB内、RBG内、システム帯域内などで、アップリンクチャネル推定値の平均化処理を行い、その平均値をアップリンクチャネル情報として用いてもよい。また、端末装置200が送信アンテナごとに異なるSRSを送信する場合、基地局100は、端末装置200の送信アンテナごとに、及び、基地局100の受信アンテナごとに、アップリンクチャネル推定値を算出してもよい。
【0075】
次に、基地局100(通信処理部141)は、個々の端末装置に関係なく、無線通信部110が備える送信アンテナごとに異なるチャネル推定用信号(CSI-RS)を生成してダウンリンクで送信する。
【0076】
一方、端末装置200(通信処理部231)は、基地局100から送信されたCSI-RSを受信し、基地局100の送信アンテナごとに対応するダウンリンクチャネル推定値を算出する。ここで、チャネル推定精度を高めるために、PRB内、RBG内、又はシステム帯域内などで、ダウンリンクチャネル推定値の平均化処理を行い、その平均値をダウンリンクチャネル情報として用いてもよい。また、端末装置200の無線通信部210が複数の受信アンテナ(受信機)を備える場合は、端末装置200側の受信アンテナごとに、及び、基地局100側の送信アンテナごとに、アップリンクチャネル推定値を算出してもよい。
【0077】
次に、端末装置200(通信処理部231)は、ダウンリンクチャネル推定値に関する情報(例えば、ダウンリンクチャネル推定値、又はダウンリンクチャネル情報)を、PUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)もしくはPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)の送信フォーマットへのデータ変換を行う。この送信フォーマットは、ダウンリンクチャネル推定値に関する情報に対して、圧縮や離散化などビット数削減のための処理を行ってもよい。
【0078】
一方、基地局100(通信処理部141、情報取得部143)は、各々の端末装置200から送信されるダウンリンクチャネル推定値に関する情報を受信する。そして、基地局100(制御部145)は、ダウンリンクチャネル情報とアップリンクチャネル情報とを用いて、例えば各々のPRBにおけるアンテナごとの相関を算出することにより、UL-DL Channel Reciprocityを得る。さらに、基地局100(制御部145)は、各々の端末装置200について得たUL-DL Channel Reciprocityの良否結果に基づいて、ダウンリンクでの通信に関する制御を行う。すなわち、基地局100は、各々の端末装置200ごとに取得したUL-DL Channel Reciprocityを用いて、各端末装置のダウンリンクにおける時間/周波数リソースの割り当て、ダウンリンクMU-MIMO多重端末数の決定、多重端末の選択、端末装置当たりのレイヤ数の決定、レイヤごとのMCS選択、レイヤごとの送信電力制御、及び、レイヤごとのダウンリンクビームフォーミング/プリコーディングウェイトの算出を行う。
【0079】
-各リファレンス信号の送信スケジュール
次に、図4を参照して、各信号の送信スケジュールについて説明する。図4は、ダウンリンクおよびアップリンクで送信される各信号の送信スケジュールを示すタイムチャート図である。
【0080】
まず、タイミングT201において、基地局100(eNB)は、PDCCH又はEPDCCH(Enhanced Physical Downlink Control CHannel)を用いて、端末装置200(UE)に、SRSの送信タイミングを通知する。なお、当該タイミングT201において、基地局100(通信処理部141)は、ダウンリンクチャネル推定値に関する情報の送信タイミングも、端末装置200(UE)に通知してもよい。
【0081】
次に、ほぼ同時刻であるタイミングT202、及びタイミングT203において、基地局100と端末装置は、それぞれリファレンス信号(RS)を送信する。すなわち、タイミングT202において基地局100はCSI-RSを送信し、タイミングT203において端末装置200はSRSを送信する。
【0082】
次に、タイミングT204において、基地局100(eNB)は、SRSの測定結果に基づいて、アップリンクチャネル推定値を算出する。一方、タイミングT205において、端末装置200は、CSI-RSの測定結果に基づいてダウンリンクチャネル推定値を算出する。
【0083】
続いて、タイミングT206において、端末装置200は、基地局100に、ダウンリンクチャネル推定値をフィードバックするため、ダウンリンクチャネル推定値に関する情報をPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)またはPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)で送信する。
【0084】
続いて、タイミング207において、基地局100は、UL-DL Channel Reciprocityを算出し、その結果を用いて、ダウンリンクでのスケジューリングやビームフォーミングなど、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行う。
【0085】
なお、端末装置200(UE)は、上記タイミングT202及びタイミングT203のような送信タイミングによらずにCSI-RS及びSRSをそれぞれ周期的に送信してもよい。例えば、LTE規格においては、SRSは最短2ms周期で送信され、CSI-RSは最短5ms周期で送信される。このため、例えば、サブフレーム間隔が隣り合うようなリソースエレメントにCSI-RSおよびSRSを割り当ててもよい。
【0086】
-各リファレンス信号のリソース割り当て
図5を参照して、各リファレンス信号(CSI-RS、SRS)のリソース割り当ての構成を説明する。図5は、CSI-RS及びSRSがそれぞれ割り当てられるリソースブロックの概略的な構成を示す図である。
【0087】
例えば、図5(A)は、TDD(Time Division Duplex)におけるSpecial Subframeを用いてリファレンス信号を送信する具体例を示す図である。すなわち、図5(A)に示すように、例えば、CSI-RS511は、Special Sub FrameにおけるDwPTS(Downlink Pilot Time Slot)のリソースエレメントに割り当てられる。また、SRS512は、Special Sub FrameにおけるUpPTS(Uplink Pilot Time Slot)のリソースエレメントに割り当てられる。
【0088】
また、図5(B)及び図5(C)は、TDDのアップリンクサブフレームからダウンリンクサブフレームへと切り替わるリソースを用いた具体例を示す図である。すなわち、図5(B)に示すように、TDDにおいてアップリンクサブフレームからダウンリンクサブフレームに切り替わる場合には、SRS522は、アップリンクサブフレーム内のリソースエレメントに割り当てられ、CSI-RS521は、上記アップリンクサブフレームに近いダウンリンクサブフレーム内のリソースエレメントに割り当てられる。なお、各推定値について平均化処理を行う場合には、例えば図5(C)に示すような周期的もしくは非周期的に送信されるSRS522とCSI-RS521を、チャネル変動が大きくない範囲で所望サブフレーム分を測定対象(推定対象)に設定することが望ましい。例えば、1サブフレーム(12サブキャリア、14シンボル)が測定対象に設定され、サブフレーム間で各推定値に対して位相補正処理およびベクトル平均化処理が行われる。これにより、チャネル推定精度を上げることが可能になる。
【0089】
また、端末装置200に対して割り当てられる周波数リソース、アンテナポート数などには限りがある。このため、複数サブフレームを取得する際に時間で分割して全PRB、全アンテナ分に対応するアップリンク/ダウンリンクチャネル情報の相関を用いることで、ダウンリンクでの送信に関する制御(スケジューリングなど)をより高い自由度で行うことが可能になる。
【0090】
-ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御の具体例
(UL-DL Channel Reciprocityの算出例)
例えば、基地局100(制御部145)は、例えば下記の数式を用いて、UL-DL Channel Reciprocityを算出することができる。
【0091】
【数1】
【0092】
上記数式において、UL Channel Estimation vectorは、上記アップリンクチャネル情報に当たる。また、DL Channel Estimation vectorは、上記ダウンリンクチャネル情報に当たる。
【0093】
(時間/周波数リソース割当に関する制御の例)
例えば、基地局100(制御部145)は、UL-DL Channel Reciprocityが相対的に良いPRB又はRBGを、端末多重数の多い時間リソースに優先的に割り当てる。「UL-DL Channel Reciprocityが良い」とはアップリンクチャネル情報とダウンリンクチャネル情報との相関が高いことを意味する。
【0094】
一方、基地局100(制御部145)は、UL-DL Channel Reciprocityが相対的に悪いPRB又はRBGを、端末多重数の少ない時間リソースに優先的に割り当てる。もしくは、基地局100は、当該PRB又はRBGを、互いに異なる周波数リソースに割当てる。「UL-DL Channel Reciprocityが悪い」とはアップリンクチャネル情報とダウンリンクチャネル情報との相関が低いことを意味する。
【0095】
(多重端末選択/多重端末数決定に関する制御の例)
基地局100(制御部145)は、UL-DL Channel Reciprocityが相対的に良い端末装置を、多重端末数の多いリソースに優先的に割り当てる。
【0096】
また、基地局100(制御部145)は、UL-DL Channel Reciprocityが相対的に悪い端末装置に割り当てられるリソースについて、その多重端末数を減少させる。
【0097】
(端末装置当たりのレイヤ数(Rank)決定に関する制御の例)
基地局100(制御部145)は、UL-DL Channel Reciprocityが相対的に悪い端末装置に割り当てられるリソースについて、当該端末装置当たりのレイヤ数(Rank)を下げる。
【0098】
(レイヤごとのMCS選択に関する制御の例)
基地局100(制御部145)は、UL-DL Channel Reciprocityが相対的に悪い端末装置のリソースについて、そのリソースに用いられるMCSを小さくする。
【0099】
(送信電力に基づいた制御の例)
基地局100(制御部145)は、UL-DL Channel Reciprocityが相対的に悪い端末装置の送信電力が最適でない可能性があるため、DL DM-RS(DeModulation Reference Signal)を用いて端末装置側で算出して送信されるCQI(Channel Quality Indicator)に基づいて送信電力を調整し、再度アップリンクチャネル情報及びダウンリンクチャネル情報に基づいてUL-DL Channel Reciprocityを算出して、ダウンリンクでの送信に関する制御を行う。
【0100】
-効果
本実施例においては、例えば以下のような効果がある。
【0101】
本実施例によれば、例えば、基地局と端末装置間の伝搬路相反性であるUL-DL Channel Reciprocityに基づいて、ダウンリンクでの送信に関する制御を行うことにより、伝搬路相反性が劣化している場合でも、端末装置でのデータ復号誤り率の増加を抑え、他の端末装置の受信信号品質劣化を防ぐことができる。したがって、本実施例によれば、安定して高いダウンリンク受信信号品質と高いシステムスループットを実現することが可能となる。
【0102】
-他の実施例
次に、他の実施例を説明する。
【0103】
(第1の例)
例えば、端末装置200が複数の基地局のセル端(カバレッジエリアの端)に位置する場合、上記複数の基地局がそれぞれUL-DL Channel Reciprocityを算出する。そして、上記複数の基地局を集約する基地局(例えば基地局100)が、UL-DL Channel Reciprocityが相対的に良い基地局を優先して、ハンドオーバのためのスケジューリングをする。これにより、高いダウンリンク受信信号品質と高いダウンリンクシステムスループットを実現することが可能となる。
【0104】
(第2の例)
例えば、端末装置200と基地局100との間でキャリアアグリゲーションを行うことが可能な場合、基地局100は、各PRB又はRBGごとについて算出されたUL-DL Channel Reciprocityを用いて、キャリアアグリゲーションを行うためのCC(Component Carrier)を選択する。これにより、高いダウンリンク受信信号品質と高いダウンリンクシステムスループットを実現することが可能となる。
【0105】
(第3の例)
コードブックによる複数の固定ビーム(ダウンリンクアンテナウェイト)から選択されるビームを用いたビームフォーミングが行われる場合、基地局100は、各コードブックインデックスに対応するビームから推測されるダウンリンクチャネル推定値とアップリンクチャネル推定値に基づいてUL-DL Channel Reciprocityを算出する。そして、基地局100は、UL-DL Channel Reciprocityが最も良いコードブックインデックスを選択することで、ダウンリンクチャネル情報がなくても、準最適なダインリンクウェイトを簡易に選択でき、比較的高いダウンリンク受信信号品質と比較的高いダウンリンクシステムスループットを実現することが可能となる。
【0106】
(第4の例)
UL-DL Channel Reciprocityを算出するために用いられる測定対象は、Wide band(全システム帯域)だけでなく、Sub band (帯域の一部)であってもよい。これにより演算量の削減が可能となる。
【0107】
(第5の例)
UL-DL Channel Reciprocityが劣化している端末装置は、送信電力が最適でない可能性がある。このため、短周期で送信電力調整が行われたUL/DLチャネルを測定対象として算出されるUL-DL Channel Reciprocityに基づいて最適な送信電力制御を行うことにより、DL MU-MIMOでの高いダウンリンク受信信号品質と高いダウンリンクシステムスループットを実現することが可能となる。
【0108】
(第6の例)
アップリンク及び/又はダウンリンクのどちらかの送受信タイミングが合っていない場合、UL-DL Channel Reciprocityが劣化する。このため、基地局100は、UL-DL Channel Reciprocityの良否結果に基づいてアップリンク及び/又はダウンリンクの送信タイミングを制御することで、安定した通信品質を実現することが可能となる。
【0109】
<<4.第2の実施形態>>
続いて、図6を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。上述した第1の実施形態は、具体的な実施形態であるが、第2の実施形態は、より一般化された実施形態である。
【0110】
<4.1.基地局100の構成>
まず、図6を参照して、第2の実施形態に係る基地局100の構成の例を説明する。図6は、第2の実施形態に係る基地局100の概略的な構成の例を示すブロック図である。図6を参照すると、基地局100は、情報取得部151、及び制御部153を含む。情報取得部151及び制御部153の具体的な動作は、後に説明する。
【0111】
情報取得部151及び制御部153は、同一のプロセッサにより実装されてもよく、別々に異なるプロセッサにより実装されてもよい。情報取得部151及び制御部153は、プログラム(命令)を記憶するメモリと、当該プログラム(命令)を実行可能な1つ以上のプロセッサとを含んでもよく、当該1つ以上のプロセッサは、情報取得部151及び制御部153の動作を行ってもよい。上記プログラムは、情報取得部151及び制御部153の動作をプロセッサに実行させるためのプログラムであってもよい。
【0112】
なお、上述した各々のプロセッサは、例えば汎用なコンピュータにインストールされたハイパーバイザなどにより実現される仮想プロセッサであってもよい。また、上述した各々のメモリは、例えば汎用なコンピュータにインストールされたハイパーバイザなどにより実現される仮想メモリであってもよい。
【0113】
<4.2.技術的特徴>
次に、第2の実施形態の技術的特徴を説明する。
【0114】
第2の実施形態では、基地局100(情報取得部151)は、ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得する。そして、基地局100(制御部153)は、上記ダウンリンクチャネル情報と上記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行う。
【0115】
例えば、情報取得部151は、上述した第1の実施形態に係る情報取得部143の動作を行ってもよい。また、制御部153は、上述した第1の実施形態に係る制御部145の動作を行ってもよい。
【0116】
以上、第2の実施形態を説明した。第2の実施形態によれば、例えば、アップリンクとダウンリンクの間に成り立つチャネル相互関係(channel reciprocity)が劣化している場合でも、ダウンリンクでの送信に関する制御を適切に行うことが可能になる。
【0117】
<<5.他の形態>>
【0118】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。
【0119】
例えば、本明細書に記載されている処理におけるステップは、必ずしもシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、処理におけるステップは、シーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、処理におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
【0120】
また、本明細書において説明した基地局の構成要素(例えば、情報取得部及び/又は制御部)を備える装置(例えば、基地局を構成する複数の装置(又はユニット)のうちの1つ以上の装置(又はユニット)、又は上記複数の装置(又はユニット)のうちの1つのためのモジュール)が提供されてもよい。また、上記構成要素の処理を含む方法が提供されてもよく、上記構成要素の処理をプロセッサに実行させるためのプログラムが提供されてもよい。また、当該プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体(Non-transitory computer readable medium)が提供されてもよい。当然ながら、このような装置、モジュール、方法、プログラム、及びコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体も本発明に含まれる。
【0121】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0122】
(付記1)
ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得する情報取得部と、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行う制御部と、
を備える基地局。
【0123】
(付記2)
アップリンクで端末装置から前記ダウンリンクチャネル推定値に関する情報を受信する通信処理部を更に備える、付記1記載の基地局。
【0124】
(付記3)
前記ダウンリンクチャネル推定値は、当該基地局がダウンリンクで送信するダウンリンクリファレンス信号に基づいて推定される値である、付記1又は2記載の基地局。
【0125】
(付記4)
前記ダウンリンクチャネル情報は、時間方向及び周波数方向の少なくとも一の方向で規定されるダウンリンクの無線リソース位置で送信される複数のダウンリンクリファレンス信号に基づいて推定される複数のダウンリンクチャネル推定値の平均値に関する情報である、付記3記載の基地局。
【0126】
(付記5)
前記ダウンリンクリファレンス信号は、CSI(Channel State Information)-RS(Reference Signal)である、付記3又は4記載の基地局。
【0127】
(付記6)
前記アップリンクチャネル推定値は、アップリンクで端末装置から送信されるアップリンクリファレンス信号に基づいて推定される値である、付記1乃至5のうち何れか1項記載の基地局。
【0128】
(付記7)
前記アップリンクチャネル情報は、時間方向及び周波数方向の少なくとも一の方向で規定されるアップリンクの無線リソース位置で送信される複数のアップリンクリファレンス信号に基づいて推定される複数のアップリンクチャネル推定値の平均値に基づいて導出される情報である、付記6記載の基地局。
【0129】
(付記8)
前記アップリンクリファレンス信号は、SRS(Sounding Reference Signal)である、付記6又は7記載の基地局。
【0130】
(付記9)
前記アップリンクリファレンス信号が割り当てられる無線リソースの位置に関する情報を、前記端末装置に送信する通信処理部を更に備える付記6乃至8のうち何れか1項記載の基地局。
【0131】
(付記10)
前記ダウンリンクチャネル推定値は、当該基地局がダウンリンクで送信するダウンリンクリファレンス信号に基づいて推定される値であり、
前記アップリンクリファレンス信号が割り当てられる前記無線リソースの前記位置は、前記ダウンリンクリファレンス信号が割り当てられる無線リソースの位置に基づいて決まる無線リソースの位置である、付記9記載の基地局。
【0132】
(付記11)
ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得することと、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行うことと、
含む方法。
【0133】
(付記12)
ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得することと、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行うことと、
をプロセッサに実行させるプログラム。
【0134】
(付記13)
ダウンリンクチャネル推定値に基づいたダウンリンクチャネル情報と、アップリンクチャネル推定値に基づいたアップリンクチャネル情報と、を取得することと、
前記ダウンリンクチャネル情報と前記アップリンクチャネル情報との相関関係に基づいて、ダウンリンクチャネルでの送信に関する制御を行うことと、
をプロセッサに実行させるプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な非一時的記録媒体。
【0135】
この出願は、2018年3月14日に出願された日本出願特願2018-046388を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0136】
移動体通信システムにおいて、アップリンクとダウンリンクの間に成り立つチャネル相互関係(channel reciprocity)が劣化している場合でも、ダウンリンクでの送信に関する制御を適切に行うことができる。
【符号の説明】
【0137】
1 システム
100 基地局
141、231 通信処理部
143、151 情報取得部
145、153、233 制御部
200 端末装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6