(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】光増幅器、光増幅器の制御方法及び光通信システム
(51)【国際特許分類】
H04B 10/291 20130101AFI20221220BHJP
H01S 3/10 20060101ALI20221220BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H04B10/291
H01S3/10 D
G02B6/02 461
(21)【出願番号】P 2020508826
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2018013773
(87)【国際公開番号】W WO2019187051
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-09-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/空間多重フォトニックノード基盤技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】松本 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ル タヤンディエ ドゥ ガボリ エマニュエル
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-231838(JP,A)
【文献】YAMADA M. et al.,Gain Control in Multi-Core Erbium/Ytterbium-Doped Fiber Amplifier with Hybrid Pumping,OECC/PS2016,IEICE,2016年
【文献】DE GABORY EMMANUEL LE TAILLANDIER et al.,Transmission of 256Gb/s PM-16QAM signal through hybrid cladding and core pumping scheme MC-EDFA controlled for reduced power consumption,OFC2017,米国,OSA,2017年03月,Th1C.1
【文献】TSUCHIDA Y. et al.,Simultaneous 7-Core Pumped Amplification in Multicore EDF through Fibre Based Fan-In/Out,ECOC 2012 Technical Digest,OSA,2012年09月,Tu.4.F.2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
H01S 3/00-3/02
H01S 3/04-3/0959
H01S 3/098-3/102
H01S 3/105-3/131
H01S 3/136-3/213
H01S 3/23-4/00
G02B 6/02-6/10
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコアがクラッドに包含されたマルチコア光ファイバ増幅器と、
前記複数のコアを励起する複数の第1の励起光を出力する第1の励起光源と、
前記クラッドを励起する第2の励起光を出力する第2の励起光源と、
前記第1の励起光を前記複数のコアに結合する第1の合波器と、
前記第2の励起光を前記クラッドに結合する第2の合波器と、
前記第1の励起光源を駆動する第1の励起光源駆動部と、
前記第2の励起光源を駆動する第2の励起光源駆動部と、
前記マルチコア光ファイバ増幅器の前記複数のコアで増幅される複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数のモニタ結果を示す第1のモニタ信号と、前記複数の光信号の信号品質が所望の範囲に収まっているかを示す第2のモニタ信号と、を出力するモニタ部と、
前記第1のモニタ信号に基づいて前記第1の励起光源駆動部を制御することで前記複数の第1の励起光のパワーを制御し、前記第2のモニタ信号に基づいて前記第2の励起光源駆動部を制御することで前記第2の励起光のパワーを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数に応じて、前記複数の第1の励起光のパワーのそれぞれを制御し、
前記複数の光信号の信号品質が所定の範囲に収まるように、前記第2の励起光のパワーを制御し、
前記モニタ部は、
前記マルチコア光ファイバ増幅器の前記複数のコアで増幅される複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数をモニタし、前記第1のモニタ信号を出力する波長モニタ部と、
前記第1のモニタ信号を参照し、前記複数の光信号のうちで用いられる波長数が最も少ない光信号を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、用いられる波長数が最も少ない前記光信号の所定の信号特性を第1の値と比較し、比較結果を示す前記第2のモニタ信号を出力する特性モニタ部と、を備える、
光増幅器。
【請求項2】
前記所定の信号特性は、用いられる波長数が最も少ない前記光信号の雑音指数、用いられる波長数が最も少ない前記光信号に含まれる自然放射増幅光のレベル及び前記自然放射増幅光のレベルから換算された前記雑音指数のいずれかであり、
前記制御部は、前記所定の信号特性が前記第1の値よりも大きい場合、前記第2の励起光のパワーを低下させる、
請求項1に記載の光増幅器。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定の信号特性が前記第1の値よりも大きい場合、前記複数の第1の励起光のパワーを増大させる、
請求項2に記載の光増幅器。
【請求項4】
複数のコアがクラッドに包含されたマルチコア光ファイバ増幅器と、
前記複数のコアを励起する複数の第1の励起光を出力する第1の励起光源と、
前記クラッドを励起する第2の励起光を出力する第2の励起光源と、
前記第1の励起光を前記複数のコアに結合する第1の合波器と、
前記第2の励起光を前記クラッドに結合する第2の合波器と、
前記第1の励起光源を駆動する第1の励起光源駆動部と、
前記第2の励起光源を駆動する第2の励起光源駆動部と、
前記マルチコア光ファイバ増幅器の前記複数のコアで増幅される複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数のモニタ結果を示す第1のモニタ信号を出力するモニタ部と、
前記第1のモニタ信号に基づいて前記第1の励起光源駆動部を制御することで前記複数の第1の励起光のパワーを制御し、第2のモニタ信号に基づいて前記第2の励起光源駆動部を制御することで前記第2の励起光のパワーを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数に応じて、前記複数の第1の励起光のパワーのそれぞれを制御し、
前記複数の光信号の信号品質が所定の範囲に収まるように、前記第2の励起光のパワーを制御し、
前記
マルチコア光ファイバ増幅器で増幅された前記複数の光信号を受信する受信器が、前記複数の光信号の信号品質が所望の範囲に収まっているか示す前記第2のモニタ信号を出力し、
所定の信号特性は、受信した前記複数の光信号のQ値、雑音指数、自然放射増幅光のレベル、前記自然放射増幅光のレベルから換算された前記雑音指数及び符号誤り率のいずれかであり、
前記制御部は、前記複数の光信号うちで信号品質が最も低いものの前記所定の信号特性が第1の値よりも大きい場合、前記第2の励起光のパワーを低下させる、
光増幅器。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の光信号うちで信号品質が最も低いものの前記所定の信号特性が前記第1の値よりも大きい場合、前記複数の第1の励起光のパワーを増大させる、
請求項4に記載の光増幅器。
【請求項6】
マルチコア光ファイバ増幅器の複数のコアで増幅される複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数をモニタし、モニタ結果を示す第1のモニタ信号を出力し、
前記複数の光信号の信号品質が所望の範囲に収まっているかを示す第2のモニタ信号を出力し、
前記第1のモニタ信号に基づいて、前記複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数に応じて、前記複数のコアを励起する複数の第1の励起光のパワーのそれぞれを制御し、
前記第2のモニタ信号に基づいて、前記複数の光信号の信号品質が所定の範囲に収まるように、前記複数のコアを包含するクラッドに結合される第2の励起光のパワーを制御し、
前記マルチコア光ファイバ増幅器の前記複数のコアで増幅される複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数をモニタして、前記第1のモニタ信号を出力し、
前記第1のモニタ信号を参照して、前記複数の光信号のうちで用いられる波長数が最も少ない光信号を判定し、
前記判定の結果に基づいて、用いられる波長数が最も少ない前記光信号の所定の信号特性を第1の値と比較し、比較結果を示す前記第2のモニタ信号を出力する、
光増幅器の制御方法。
【請求項7】
マルチコア光ファイバ増幅器の複数のコアで増幅される複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数をモニタし、モニタ結果を示す第1のモニタ信号を出力し、
増幅された前記複数の光信号を受信する受信器が、前記複数の光信号の信号品質が所望の範囲に収まっているか示す第2のモニタ信号を出力し、
前記第1のモニタ信号に基づいて、前記複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数に応じて、前記複数のコアを励起する複数の第1の励起光のパワーのそれぞれを制御し、
前記第2のモニタ信号に基づいて、前記複数の光信号の信号品質が所定の範囲に収まるように、前記複数のコアを包含するクラッドに結合される第2の励起光のパワーを制御し、
所定の信号特性は、受信した前記複数の光信号のQ値、雑音指数、自然放射増幅光のレベル、前記自然放射増幅光のレベルから換算された前記雑音指数及び符号誤り率のいずれかであり、
前記複数の光信号うちで信号品質が最も低いものの前記所定の信号特性が第1の値よりも大きい場合、前記第2の励起光のパワーを低下させる、
光増幅器の制御方法。
【請求項8】
複数の光信号を出力する送信器と、
前記送信器が出力する前記複数の光信号を増幅する光増幅器と、を備え、
前記光増幅器は、
複数のコアがクラッドに包含されたマルチコア光ファイバ増幅器と、
前記複数のコアを励起する複数の第1の励起光を出力する第1の励起光源と、
前記クラッドを励起する第2の励起光を出力する第2の励起光源と、
前記第1の励起光を前記複数のコアに結合する第1の合波器と、
前記第2の励起光を前記クラッドに結合する第2の合波器と、
前記第1の励起光源を駆動する第1の励起光源駆動部と、
前記第2の励起光源を駆動する第2の励起光源駆動部と、
前記マルチコア光ファイバ増幅器の前記複数のコアで増幅される前記複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数のモニタ結果を示す第1のモニタ信号と、前記複数の光信号の信号品質が所望の範囲に収まっているかを示す第2のモニタ信号と、を出力するモニタ部と、
前記第1のモニタ信号に基づいて前記第1の励起光源駆動部を制御することで前記複数の第1の励起光のパワーを制御し、前記第2のモニタ信号に基づいて前記第2の励起光源駆動部を制御することで前記第2の励起光のパワーを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数に応じて、前記複数の第1の励起光のパワーのそれぞれを制御し、
前記複数の光信号の信号品質が所定の範囲に収まるように、前記第2の励起光のパワーを制御し、
前記モニタ部は、
前記マルチコア光ファイバ増幅器の前記複数のコアで増幅される複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数をモニタし、前記第1のモニタ信号を出力する波長モニタ部と、
前記第1のモニタ信号を参照し、前記複数の光信号のうちで用いられる波長数が最も少ない光信号を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、用いられる波長数が最も少ない前記光信号の所定の信号特性を第1の値と比較し、比較結果を示す前記第2のモニタ信号を出力する特性モニタ部と、を備える、
光通信システム。
【請求項9】
複数の光信号を出力する送信器と、
前記送信器が出力する前記複数の光信号を増幅する光増幅器と、を備え、
前記光増幅器は、
複数のコアがクラッドに包含されたマルチコア光ファイバ増幅器と、
前記複数のコアを励起する複数の第1の励起光を出力する第1の励起光源と、
前記クラッドを励起する第2の励起光を出力する第2の励起光源と、
前記第1の励起光を前記複数のコアに結合する第1の合波器と、
前記第2の励起光を前記クラッドに結合する第2の合波器と、
前記第1の励起光源を駆動する第1の励起光源駆動部と、
前記第2の励起光源を駆動する第2の励起光源駆動部と、
前記マルチコア光ファイバ増幅器の前記複数のコアで増幅される前記複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数のモニタ結果を示す第1のモニタ信号を出力するモニタ部と、
前記第1のモニタ信号に基づいて前記第1の励起光源駆動部を制御することで前記複数の第1の励起光のパワーを制御し、第2のモニタ信号に基づいて前記第2の励起光源駆動部を制御することで前記第2の励起光のパワーを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数に応じて、前記複数の第1の励起光のパワーのそれぞれを制御し、
前記複数の光信号の信号品質が所定の範囲に収まるように、前記第2の励起光のパワーを制御し、
前記光増幅器で増幅された前記複数の光信号を受信する受信器が、前記複数の光信号の信号品質が所望の範囲に収まっているか示す前記第2のモニタ信号を出力し、
所定の信号特性は、受信した前記複数の光信号のQ値、雑音指数、自然放射増幅光のレベル、前記自然放射増幅光のレベルから換算された前記雑音指数及び符号誤り率のいずれかであり、
前記制御部は、前記複数の光信号うちで信号品質が最も低いものの前記所定の信号特性が第1の値よりも大きい場合、前記第2の励起光のパワーを低下させる、
光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光増幅器、光増幅器の制御方法及び光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムでは、長距離伝送による光信号の減衰を補償するため、エルビウムなどの希土類を添加した光ファイバを用いた光増幅器により、光信号を増幅する構成が知られている。こうした光増幅器は、高効率、高利得であり、利得がほぼ偏波無依存であることから、光通信システムの光信号中継用の増幅器として用いられる(特許文献1~4)。
【0003】
光通信システムでは、通信容量を増大させるため、多重化技術の開発が進展している。例えば、1本のクラッド内に複数のコアを配置したマルチコア光ファイバ増幅器が知られている。マルチコア光ファイバ増幅器として、コアのそれぞれに励起光を伝搬させることで信号光を増幅するコア個別励起が行われる構成が知られている(特許文献5)。
【0004】
コア個別励起では、一般に、コアのそれぞれに励起光を結合するために、コアの数と同数の半導体レーザダイオードが設けられる。そのため、コア数に比例して半導体レーザダイオードの消費電力が増大してしまう。これに対して、高出力な単一の半導体レーザダイオードからの励起光をクラッドに結合して、クラッドからコアに入射する励起光を用いて複数のコアを一括して励起するクラッド一括励起を行う構成が知られている(特許文献6及び非特許文献1)。クラッド一括励起を用いることで、コア個別励起に用いられる消費電力を低減し、光増幅器全体の消費電力を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-116506号公報
【文献】特開平11-112434号公報
【文献】特開2005-5744号公報
【文献】特開平11-112069号公報
【文献】特開2017-21070号公報
【文献】特開2016-167489号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】”Transmission of 256Gb/s PM-16QAM Signal through Hybrid Cladding and Core Pumping Scheme MC-EDFA Controlled for Reduced Power Consumption”, Paper Th1C.1, OFC, 2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、励起光波長や励起光の伝搬方向(いわゆる前方励起又は後方励起)によっては、クラッド一括励起を過度に用いると、信号光の品質が劣化してしまう。そのため、光増幅器の増幅率を大きくできず、光増幅器間の距離が短くなってしまう。その結果、光通信システムに設けられる光増幅器の数が増大し、光通信システム全体での消費電力が増大してしまう。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、コア個別励起とクラッド一括励起を併用して、所望の品質の確保しつつ光信号を増幅し、かつ、消費電力を低減できる光増幅器、光増幅器の制御方法及び光通信システムを提供すること目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様である光増幅器は、複数のコアがクラッドに包含されたマルチコア光ファイバ増幅器と、前記複数のコアを励起する複数の第1の励起光を出力する第1の励起光源と、前記クラッドを励起する第2の励起光を出力する第2の励起光源と、前記第1の励起光を前記複数のコアに結合する第1の合波器と、前記第2の励起光を前記クラッドに結合する第2の合波器と、前記第1の励起光源を駆動する第1の励起光源駆動部と、前記第2の励起光源を駆動する第2の励起光源駆動部と、前記マルチコア光ファイバ増幅器の前記複数のコアで増幅される複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数のモニタ結果を示す第1のモニタ信号を出力するモニタ部と、前記第1のモニタ信号に基づいて前記第1の励起光源駆動部を制御することで前記複数の第1の励起光のパワーを制御し、前記第2の励起光源駆動部を制御することで前記第2の励起光のパワーを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数に応じて、前記複数の第1の励起光のパワーのそれぞれを制御し、前記複数の光信号の信号品質が所定の範囲に収まるように、前記第2の励起光のパワーを制御する、ものである。
【0010】
本発明の一態様である光増幅器の制御方法は、マルチコア光ファイバ増幅器の複数のコアで増幅される複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数をモニタし、モニタ結果を示す第1のモニタ信号を出力し、前記第1のモニタ信号に基づいて、前記複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数に応じて、前記複数のコアを励起する複数の第1の励起光のパワーのそれぞれを制御し、前記複数の光信号の信号品質が所定の範囲に収まるように、前記複数のコアを包含するクラッドに結合される前記第2の励起光のパワーを制御する、ものである。
【0011】
本発明の一態様である光通信システムは、複数の光信号を出力する送信器と、前記送信器が出力する前記複数の光信号を増幅する光増幅器と、を有し、前記光増幅器は、複数のコアがクラッドに包含されたマルチコア光ファイバ増幅器と、前記複数のコアを励起する複数の第1の励起光を出力する第1の励起光源と、前記クラッドを励起する第2の励起光を出力する第2の励起光源と、前記第1の励起光を前記複数のコアに結合する第1の合波器と、前記第2の励起光を前記クラッドに結合する第2の合波器と、前記第1の励起光源を駆動する第1の励起光源駆動部と、前記第2の励起光源を駆動する第2の励起光源駆動部と、前記マルチコア光ファイバ増幅器の前記複数のコアで増幅される前記複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数のモニタ結果を示す第1のモニタ信号を出力するモニタ部と、前記第1のモニタ信号に基づいて前記第1の励起光源駆動部を制御することで前記複数の第1の励起光のパワーを制御し、前記第2の励起光源駆動部を制御することで前記第2の励起光のパワーを制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記複数の光信号のそれぞれで用いられる波長数に応じて、前記複数の第1の励起光のパワーのそれぞれを制御し、前記複数の光信号の信号品質が所定の範囲に収まるように、前記第2の励起光のパワーを制御する、ものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コア個別励起とクラッド一括励起を併用して、所望の品質の確保しつつ光信号を増幅し、かつ、消費電力を低減できる光増幅器、光増幅器の制御方法及び光通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1にかかる光増幅器の構成を模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態1にかかるモニタ部の構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態1にかかる制御部の構成を模式的に示す図である。
【
図4】クラッド一括励起の割合と雑音指数の関係を示す図である。
【
図5】実施の形態1にかかる光増幅器に光アイソレータを設けた例を模式的に示す図である。
【
図6】実施の形態2にかかる光増幅器の構成を模式的に示す図である。
【
図7】光増幅器が複数従属接続された光通信システムの構成を模式的に示す図である。
【
図8】実施の形態3にかかる光増幅器の構成を模式的に示す図である。
【
図9】実施の形態4にかかる光増幅器の構成を模式的に示す図である。
【
図10】実施の形態5にかかる光増幅器の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0015】
実施の形態1
実施の形態1にかかる光増幅器100について説明する。
図1に、実施の形態1にかかる光増幅器100の構成を模式的に示す。光増幅器100は、マルチコア光ファイバ1、モニタ部2、EDF3、制御部4、励起光源駆動部5、励起光源駆動部6、発光素子SA1~SAn、励起光源SB、光合波器MA1~MAn及び光合波器MBを有する。
【0016】
発光素子SA1~SAnは、マルチコア光ファイバ1に挿入された光合波器MA1~MAn(第1の光合波器とも称する)にそれぞれ励起光LA1~LAn(nは、2以上の整数)を出力する。励起光LA1~LAnのそれぞれを、第1の励起光とも称する。光合波器MA1~MAnは、励起光LA1~LAnを、マルチコア光ファイバ1に設けられたn本のコアのそれぞれに結合する。n本のコアに結合された励起光LA1~LAnは、モニタ部2を介してEDF3に伝搬してEDF3のコアを励起する。発光素子SA1~SAnは、コア個別励起に用いる励起光LA1~LAnを出力する励起光源SU1を構成する。励起光源SU1を、第1の励起光源とも称する。
【0017】
この例では、励起光LA1~LAnは、光信号S1~Snの伝搬方向と同じ方向からEDF3に伝搬する。励起光と光信号の伝搬方向が同じである構成を、前方励起と称する。
【0018】
励起光源SBは、マルチコア光ファイバ1に挿入された光合波器MB(第2の光合波器とも称する)に励起光LBを出力する。励起光源SBを、第2の励起光源とも称する。光合波器MBは、励起光LBを、マルチコア光ファイバ1に設けられたn本のコアを包含しているクラッドに結合する。励起光LBを、第2の励起光とも称する。クラッドに結合された励起光LBは、EDF3に伝搬してEDF3のコアを励起する。
【0019】
この例では、励起光LBは、光信号S1~Snの伝搬方向とは逆の方向からEDF3に伝搬する。励起光と光信号の伝搬方向が逆である構成を、後方励起と称する。
【0020】
モニタ部2は、マルチコア光ファイバ1のn本コアを伝搬する光をモニタし、モニタ結果を制御部4へ出力する。
【0021】
図2に、実施の形態1にかかるモニタ部2の構成を模式的に示す。モニタ部2は、光分波器21、光分波器22、波長モニタ部23、判定部24及び雑音モニタ部25を有する。
【0022】
光分波器21は、マルチコア光ファイバ1を伝搬する光の一部を分岐し、光分波器22へ出力する。ここで、分岐される光のパワーは、マルチコア光ファイバ1を伝搬する光のパワーよりも十分に小さい。そのため、マルチコア光ファイバ1を伝搬する光のパワーの減少は実質的な影響を与えることはない。
【0023】
光分波器22は、光分波器21から出力される光を、波長モニタ部23と雑音モニタ部25とに分岐する。
【0024】
波長モニタ部23は、光分波器22が出力した光に含まれる光信号S1~Snのそれぞれについて、光信号の伝送に用いられている波長の数、すなわち多重化された波長数をモニタし、モニタ結果を示すモニタ信号MON1(第1のモニタ光とも称する)を判定部24と制御部4とへ出力する。
【0025】
判定部24は、モニタ信号MON1に基づき、光信号S1~Snから、多重化された波長数が最も少ない光信号を判定する。判定部24は、判定結果を示す判定信号DETを雑音モニタ部25へ出力する。
【0026】
雑音モニタ部25は、判定信号DETに基づき、多重化された波長数が最も少ない光信号の雑音をモニタする。雑音モニタ部25は、雑音指数と閾値TH(第1の値とも称する)とを比較し、比較結果を示すモニタ信号MON2(第2のモニタ光とも称する)を制御部4へ出力する。閾値THは、例えば、図示しない記憶部に予め格納されていてもよい。
【0027】
制御部4は、モニタ信号MON1に基づいて、発光素子SA1~SAnの制御を指示する制御信号CON1を励起光源駆動部5(第1の励起光源駆動部とも称する)に出力する。励起光源駆動部5は、制御信号CON1に応じて、発光素子SA1~SAnへ駆動信号DA1~DAnを出力することで、発光素子SA1~SAnが出力する励起光LA1~LAnのパワーを制御する。
【0028】
また、制御部4は、モニタ信号MON2に基づいて、励起光源SBの制御を指示する制御信号CON2を励起光源駆動部6(第2の励起光源駆動部とも称する)に出力する。励起光源駆動部6は、制御信号CON2に応じて、励起光源SBへ駆動信号DBを出力することで、励起光源SBが出力する励起光LBのパワーを制御する。
【0029】
図3に、実施の形態1にかかる制御部4の構成を模式的に示す。制御部4は、演算部41及び記憶部42を有する。演算部41は、モニタ信号MON1に基づいて、記憶部42に格納されたルックアップテーブルLUTを参照し、光信号S1~Snの光パワーが多重化された波長数に対応した適切な値となるように、制御信号CON1によって励起光源駆動部5を制御する。
【0030】
演算部41は、モニタ信号MON2を参照し、雑音指数が閾値THよりも大きい場合、制御信号CON1によって励起光源駆動部5に指令を与えることで、励起光LA1~LAnの光パワーを増大させる。また、演算部41は、制御信号CON2によって励起光源駆動部6に指令を与えることで、励起光LBの光パワーを減少させる。
【0031】
つまり、本構成では、励起光LBによるクラッド一括励起を行いつつ、励起光LA1~LAnによるコア個別励起を、励起光LA1~LAnのそれぞれの光パワーを多重化された波長数に対応した適切な値に維持した状態で行うことができる。
【0032】
さらに、モニタ部2は、多重化された波長数が最も少ない光信号の雑音をモニタしている。そして、雑音が所定のレベルを超えた場合、コアに入力される励起光LA1~LAnのパワーが増大し、クラッドに入力される励起光LBのパワーが減少するように、励起光源が制御される。その結果、雑音の要因となるクラッド一括励起の割合が減少するので、多重化された波長数が最も少ない光信号の雑音指数を減少させることができる。
【0033】
雑音指数が減少して所定の値よりも小さくなった場合、制御部4は、励起光LA1~LAn及び励起光LBのパワーが、雑音指数が減少して所定の値よりも小さくなった時点で固定されるように、励起光源を制御してもよい。
【0034】
光信号の雑音指数は、多重化された波長数の逆数に比例して劣化する。そのため、マルチコア光ファイバ光増幅器においてクラッド一括励起を行う場合、多重化された波長数が少ないほど、光信号の雑音指数が劣化することが理解できる。
【0035】
本構成では、光信号S1~Snのうちで多重化された波長数が最も少ない光信号の雑音指数が所望の範囲に収まるように、コア個別励起に用いる励起光LA1~LAnの光パワーとクラッド一括励起に用いる励起光LBの光パワーを調整して、クラッド一括励起の割合を最大化している。その結果、光信号S1~Snのうちで多重化された波長数が最も少ない光信号以外の光信号の雑音指数も所望の範囲に収めることが可能となる。
【0036】
図4に、クラッド一括励起の割合と雑音指数の関係を示す。光信号S1~Snのうちで多重化された波長数が最も少ない光信号の雑音指数N
MINは、クラッド一括励起の割合が増えると共に増加する。しかし、本構成によれば、光信号S1~Snのうちで多重化された波長数が最も少ない光信号の雑音指数N
MINは、閾値THよりも小さな許容範囲に収めることができる。なお、
図4では、閾値THに対応するクラッド一括励起の割合をRTHとして表示している。
【0037】
また、
図4には、光信号S1~Snのうちで多重化された波長数が最も少ない光信号以外の光信号の雑音指数N
OTHERを示した。クラッド一括励起の割合がいかなる値でも、雑音指数N
OTHERは雑音指数N
MINよりも常に小さくなるので、常に許容範囲内に収まることがわかる。
【0038】
以上、本構成によれば、マルチコア光ファイバのそれぞれを伝搬する光信号の信号品質を所望の範囲に収めつつ、クラッド一括励起の割合を最大化して、光増幅器全体の消費電力を低減できる。
【0039】
なお、EDF3などの希土類を添加した光ファイバを用いる光増幅器では、光信号の増幅方向には可逆性がある。そのため、光信号の多重反射による光増幅器の発振を防止するため、光信号の入力端と出力端とに光アイソレータを設けてもよい。
図5に、実施の形態1にかかる光増幅器100に光アイソレータを設けた例を模式的に示す。
図5では、光信号S1~Snの入力端に光アイソレータ11が設けられ、光信号S1~Snの出力端に光アイソレータ12が設けられている。これにより、光信号S1~Snの多重反射による光増幅器100の発振を防止することができる。
【0040】
なお、本実施の形態では、光信号の品質を維持するために雑音指数をモニタしたが、これは例示に過ぎない。すなわち、雑音指数以外の他の信号特性をモニタしてもよい。例えば、光信号S1~Snのそれぞれに含まれる自然放射増幅光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)のレベルを雑音指数に代えて用いてもよい。また、ASE光をモニタし、制御部でASE光のレベルを雑音指数に換算して用いてもよい。
【0041】
実施の形態2
実施の形態2にかかる光増幅器200について説明する。
図6に、実施の形態2にかかる光増幅器200の構成を模式的に示す。光増幅器200は、実施の形態1にかかる光増幅器100のモニタ部2をモニタ部7に置換した構成を有する。
【0042】
モニタ部7は、モニタ部2から光分波器22、判定部24及び雑音モニタ部25を除去した構成を有する。
【0043】
この例では、モニタ信号MON2は、光増幅器100で増幅された後に出力された光信号S1~Snを受信する受信器201から受け取る。
【0044】
受信器201は、判定部201A及びQ値モニタ部201Bを有する。
【0045】
判定部201Aは、受信した光信号S1~Snのうちで、信号品質が最も低いものを検出する。判定部201Aは、検出結果を示す判定信号DETをQ値モニタ部201Bへ出力する。
【0046】
Q値モニタ部201Bは、判定信号DETに基づき、信号品質が最も低い光信号のQ値をモニタする。Q値モニタ部201Bは、選択した光信号の品質レベルと所定の品質レベルとを比較し、比較結果を示すモニタ信号MON2を制御部4へ出力する。
【0047】
以上、本構成によれば、光増幅器から光信号を受け取った受信器が光信号の品質をモニタし、そのモニタ結果を光増幅器へ通知する。これにより、コア個別励起とクラッド一括励起の割合を調整して、光信号の品質レベルを所望の範囲に収めることが可能となる。
【0048】
なお、本実施の形態では、光信号の品質を維持するためにQ値をモニタしたが、これは例示に過ぎない。すなわち、Q値以外の信号特性をモニタしてもよい。例えば、雑音指数、符号誤り率、光信号S1~Snのそれぞれに含まれる自然放射増幅光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)のレベルをQ値に代えて用いてもよい。また、ASE光をモニタし、制御部でASE光のレベルを雑音指数に換算して用いてもよい。
【0049】
また、本実施の形態では、光増幅器が複数従属接続されている場合でも、効率的に光増幅器のそれぞれを制御できる。
図7に、光増幅器が複数従属接続された光通信システムの構成を模式的に示す。
【0050】
送信器202は、複数の光増幅器200を介して、受信器201へ光信号S1~Snを出力する。受信器201は、上述したように光信号S1~Snのモニタ結果を示すモニタ信号MON2を、光増幅器200のそれぞれへ出力する。光増幅器200のそれぞれは、モニタ信号MON2に応じて、コア個別励起とクラッド一括励起との比率を調整することができる。
【0051】
受信器201が光増幅器200へモニタ信号MON2を出力する方法は、種々の方法を適用することができる。受信器201は、専用通信回線を用いて、受信器201が光増幅器200へモニタ信号MON2を出力してもよい。専用通信回線は、有線通信回線でもよいし、無線通信回線でもよい。また、モニタ信号MON2は、電気信号であってもよいし、光信号であってもよい。
【0052】
モニタ信号MON2が光信号である場合、モニタ信号MON2はデータ伝送用のメイン光信号の伝送に用いる光ファイバを介して光増幅器200に伝送されてもよい。光増幅器200は、受け取ったモニタ信号MON2をフォトダイオードなどの図示しない素子を用いて光信号から電気信号に変換して用いてもよい。
【0053】
また、受信器201は、専用通信回線ではない通信ネットワークを介して、光増幅器200へモニタ信号MON2を出力してもよい。通信ネットワークとしては、光増幅器200が組み込まれた光通信システムの制御に用いられるネットワークや、他の汎用のネットワークなどを用いることができる。
【0054】
実施の形態3
実施の形態3にかかる光増幅器300について説明する。
図8に、実施の形態3にかかる光増幅器300の構成を模式的に示す。光増幅器300は、実施の形態1にかかる光増幅器100の発光素子SA1~SAnを発光素子SAに置換し、可変光分波器30を追加した構成を有する。
【0055】
励起光源駆動部5は、制御信号CON1に応じて、発光素子SAから出力される光LAのパワーを制御する。可変光分波器30は、発光素子SAから出力される光LAをn本の励起光LA1~LAnに分岐し、光合波器MA1~MAnのそれぞれに分配する。発光素子SAと可変光分波器30とは、コア個別励起に用いる励起光LA1~LAnを出力する励起光源SU2を構成する。励起光源SU2を、第1の励起光源とも称する。
【0056】
制御部4は、可変光分波器30に制御信号CON3を出力して、励起光LA1~LAnのパワーを制御する。
【0057】
光増幅器300のその他の構成及び動作は、実施の形態1にかかる光増幅器100と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
本構成によれば、実施の形態1と同様に、コア個別励起とクラッド一括励起の割合を調整して、光信号の品質レベルを所望の範囲に収めることが可能となる。
【0059】
また、本構成によれば、コア個別励起に用いる励起光源の数を削減できるので、光増幅器の低コスト化を実現できる。更に、励起光源を冷却するために設けられるペルチェ冷却器などの冷却部の消費電力を低減することが可能である。その結果、光増幅器の消費電力を低減することができる。
【0060】
実施の形態4
実施の形態4にかかる光増幅器400について説明する。
図9に、実施の形態4にかかる光増幅器400の構成を模式的に示す。光増幅器400は、実施の形態1にかかる光増幅器100の制御部4を制御部8に置換した構成を有する。
【0061】
制御部8は、制御部4と同様に、モニタ信号MON1を受け取り、発光素子SA1~SAnの制御を指示する制御信号CON1を励起光源駆動部5に出力する。励起光源駆動部5は、制御信号CON1に応じて、発光素子SA1~SAnへ駆動信号DA1~DAnを出力することで、発光素子SA1~SAnが出力する励起光LA1~LAnのパワーを制御する。
【0062】
更に、制御部8は、モニタ信号MON1に基づいて、光信号S1~Snのそれぞれの多重された波長数を閾値TH2と比較する。光信号S1~Snのそれぞれの多重波長数が閾値TH2よりも大きな場合、制御部8は、制御信号CON2によって、励起光源駆動部6へ励起光源SBの光出力の停止を指令する。これにより、励起光源駆動部6は、励起光源SBの光出力を停止する。
【0063】
本実施の形態では、コア個別励起とクラッド一括励起とを併用するよりもコア個別励起のみを用いた方が光増幅器の消費電力を低減できる波長数が、閾値TH2として設定される。すなわち、光信号S1~Snのそれぞれの多重波長数が閾値TH2よりも大きな場合、励起光源SBを停止してコア個別励起のみが行われる。これにより、光増幅器全体の消費電力を低減することができる。
【0064】
光信号S1~Snのそれぞれの多重波長数が閾値TH2よりも小さい場合、コア個別励起とクラッド一括励起とを併用して、消費電量を最小化しつつ光信号を増幅することができる。
【0065】
実施の形態5
実施の形態5にかかる光増幅器500について説明する。
図10に、実施の形態5にかかる光増幅器500の構成を模式的に示す。光増幅器500は、実施の形態1にかかる光増幅器100の制御部4を制御部9に置換した構成を有する。
【0066】
制御部9は、制御部4と同様に、モニタ信号MON1を受け取り、発光素子SA1~SAnの制御を指示する制御信号CON1を励起光源駆動部5に出力する。励起光源駆動部5は、制御信号CON1に応じて、発光素子SA1~SAnへ駆動信号DA1~DAnを出力することで、発光素子SA1~SAnが出力する励起光LA1~LAnのパワーを制御する。
【0067】
更に、制御部9は、発光素子SA1~SAnから励起光LA1~LAnのパワーを示す通知信号PA1~PAnを受けとり、励起光源SBから励起光LBのパワーを示す通知信号PBを受けとる。
【0068】
制御部9は、通知信号PA1~PAnに基づいて、励起光LA1~LAnのパワーと閾値TH3とを比較する。励起光LA1~LAnのパワーが閾値TH3よりも大きな場合、制御部9は、制御信号CON1によって、励起光源駆動部5へ発光素子SA1~SAnの光出力の停止を指令する。これにより、励起光源駆動部5は、発光素子SA1~SAnの光出力を停止する。
【0069】
制御部9は、通知信号PBに基づいて、励起光LBのパワーと閾値TH4とを比較する。励起光LBのパワーが閾値TH4よりも大きな場合、制御部9は、制御信号CON2によって、励起光源駆動部6へ励起光源SBの光出力の停止を指令する。これにより、励起光源駆動部6は、励起光源SBの光出力を停止する。
【0070】
以上、本構成によれば、励起光のパワーが過大となる前に励起光源を停止し、消費電力の上昇を抑制することができる。
【0071】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、コア個別励起を前方励起によって行い、クラッド一括励起を後方励起によって行ったが、これは例示にすぎず、EDF3の励起はこの構成に限られない。コア個別励起を後方励起によって行い、クラッド一括励起を前方励起によって行ってもよい。コア個別励起及びクラッド一括励起の両方を、前方励起によって行ってもよく、後方励起によって行ってもよい。
【0072】
また、EDF3は、エルビウム添加ファイバ光増幅器以外の、他の希土類元素が添加された他の光ファイバ増幅器に置き換えることが可能である。また、上述の実施の形態にかかる光増幅器では、ファイバ光増幅器の数が1つに限られず、2つ以上のファイバ光増幅器が設けられてもよい。
【0073】
上述の実施の形態1~3にかかる光増幅器では、複数のコアを伝搬する光信号が比較的少ない数の波長を用いている場合に有効である。この場合、クラッド一括励起の割合が比較的高くなるため、クラッド一括励起に用いる励起光の出力を調整することで消費電力を効果的に低減できる。これに対し、実施の形態4及び5にかかる光増幅器は、複数のコアを伝搬する光信号が比較的多くの数の波長を用いている場合に有効である。この場合、コア個別励起に用いられる励起光のパワーが比較的大きくなるため、コア個別励起用の光源を制御することで、消費電力を効果的に低減できる。
【0074】
実施の形態3~5にかかる光増幅器においても、実施の形態2と同様に、モニタ部2をモニタ部7に置換し、受信器201からモニタ信号MON2を受け取る構成としてもよいことは、言うまでもない。
【0075】
実施の形態2、4及び5かかる光増幅器においても、実施の形態2と同様に、励起光源SU1に代えて励起光源SU2を用いてもよいことは、いうまでもない。
【0076】
実施の形態4及び5にかかる励起光源の制御は、適宜組み合わせて用いてもよい。
【0077】
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、制御部の動作を、CPU(Central Processing Unit)を有する演算部にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0078】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0079】
1 マルチコア光ファイバ
2、7 モニタ部
3 EDF
4 制御部
5、6 励起光源駆動部
8、9 制御部
11、12 光アイソレータ
21、22 光分波器
23 波長モニタ部
24 判定部
25 雑音モニタ部
30 可変光分波器
41 演算部
42 記憶部
100、200、300、400、500 光増幅器
201 受信器
201A 判定部
201B Q値モニタ部
202 送信器
SA、SA1~SAn 発光素子
SB、SU1、SU2 励起光源
MA1~MAn、MB 光合波器
CON1~CON3 制御信号