(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】監視装置および監視方法
(51)【国際特許分類】
H02S 50/00 20140101AFI20221220BHJP
【FI】
H02S50/00
(21)【出願番号】P 2020518163
(86)(22)【出願日】2019-03-07
(86)【国際出願番号】 JP2019009184
(87)【国際公開番号】W WO2019216013
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2018092169
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、経済産業省、「新エネルギー等の保安規制高度化事業(電気施設保安技術高度化の評価・検証事業)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】池上 洋行
(72)【発明者】
【氏名】下口 剛史
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-071346(JP,A)
【文献】特開2015-128335(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0101336(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 50/00-50/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が1または複数の太陽電池パネルを含む複数の発電部と、前記発電部からの出力ラインを集約する集約部と、前記集約部によって集約された前記出力ラインが電気的に接続される電力変換装置とを備える太陽光発電システムに用いられる監視装置であって、
前記電力変換装置の停止状態における、前記発電部および前記集約部間の電流の第1の計測結果、ならびに前記停止状態における、前記集約部および前記電力変換装置間の電流の第2の計測結果の少なくともいずれか一方を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された計測結果に基づいて、前記太陽光発電システムの異常を判定する判定処理を行う判定部とを備
え、
前記判定部は、前記第1の計測結果が前記発電部および前記集約部間の正側ラインにおける前記発電部への電流を示す場合、前記第1の計測結果に基づいて前記判定処理を行う、監視装置。
【請求項2】
各々が1または複数の太陽電池パネルを含む複数の発電部と、前記発電部からの出力ラインを集約する集約部と、前記集約部によって集約された前記出力ラインが電気的に接続される電力変換装置とを備える太陽光発電システムに用いられる監視装置であって、
前記電力変換装置の停止状態における、前記発電部および前記集約部間の電流の第1の計測結果、ならびに前記停止状態における、前記集約部および前記電力変換装置間の電流の第2の計測結果の少なくともいずれか一方を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された計測結果に基づいて、前記太陽光発電システムの異常を判定する判定処理を行う判定部とを備え、
前記判定部は、前記第1の計測結果が前記発電部および前記集約部間の負側ラインにおける前記集約部への電流を示す場合、前記第1の計測結果に基づいて前記判定処理を行う、監視装置。
【請求項3】
各々が1または複数の太陽電池パネルを含む複数の発電部と、前記発電部からの出力ラインを集約する集約部と、前記集約部によって集約された前記出力ラインが電気的に接続される電力変換装置とを備える太陽光発電システムに用いられる監視装置であって、
前記電力変換装置の停止状態における、前記集約部および前記電力変換装置間の電流の第2の計測結果を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記第2の計測結果に基づいて、前記太陽光発電システムの異常を判定する判定処理を行う判定部とを備える、監視装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第2の計測結果が前記集約部および前記電力変換装置間の正側ラインにおける前記電力変換装置への電流を示す場合、前記第2の計測結果に基づいて前記判定処理を行う、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記第2の計測結果が前記集約部および前記電力変換装置間の負側ラインにおける前記電力変換装置への電流を示す場合、前記第2の計測結果に基づいて前記判定処理を行う、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項6】
各々が1または複数の太陽電池パネルを含む複数の発電部と、前記発電部からの出力ラインを集約する集約部と、前記集約部によって集約された前記出力ラインが電気的に接続される電力変換装置とを備える太陽光発電システムに用いられる監視装置における監視方法であって、
前記電力変換装置の停止状態における、前記発電部および前記集約部間の電流の第1の計測結果、ならびに前記停止状態における、前記集約部および前記電力変換装置間の電流の第2の計測結果の少なくともいずれか一方を取得するステップと、
取得した計測結果に基づいて、前記太陽光発電システムの異常を判定する判定処理を行うステップとを含
み、
前記判定処理を行うステップにおいては、前記第1の計測結果が前記発電部および前記集約部間の正側ラインにおける前記発電部への電流を示す場合、前記第1の計測結果に基づいて前記判定処理を行う、監視方法。
【請求項7】
各々が1または複数の太陽電池パネルを含む複数の発電部と、前記発電部からの出力ラインを集約する集約部と、前記集約部によって集約された前記出力ラインが電気的に接続される電力変換装置とを備える太陽光発電システムに用いられる監視装置における監視方法であって、
前記電力変換装置の停止状態における、前記発電部および前記集約部間の電流の第1の計測結果、ならびに前記停止状態における、前記集約部および前記電力変換装置間の電流の第2の計測結果の少なくともいずれか一方を取得するステップと、
取得した計測結果に基づいて、前記太陽光発電システムの異常を判定する判定処理を行うステップとを含み、
前記判定処理を行うステップにおいては、前記第1の計測結果が前記発電部および前記集約部間の負側ラインにおける前記集約部への電流を示す場合、前記第1の計測結果に基づいて前記判定処理を行う、監視方法。
【請求項8】
各々が1または複数の太陽電池パネルを含む複数の発電部と、前記発電部からの出力ラインを集約する集約部と、前記集約部によって集約された前記出力ラインが電気的に接続される電力変換装置とを備える太陽光発電システムに用いられる監視装置における監視方法であって、
前記電力変換装置の停止状態における、前記集約部および前記電力変換装置間の電流の第2の計測結果を取得するステップと、
取得した前記第2の計測結果に基づいて、前記太陽光発電システムの異常を判定する判定処理を行うステップとを含む、監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置および監視方法に関する。
この出願は、2018年5月11日に出願された日本出願特願2018-92169号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
特開2012-205078号公報(特許文献1)には、以下のような太陽光発電用監視システムが開示されている。すなわち、太陽光発電用監視システムは、複数の太陽電池パネルからの出力を集約して電力変換装置に送り込む太陽光発電システムについて、前記太陽電池パネルの発電状況を監視する太陽光発電用監視システムであって、前記複数の太陽電池パネルからの出力電路が集約された場所に設けられ、各太陽電池パネルの発電量を計測する計測装置と、前記計測装置に接続され、前記計測装置による発電量の計測データを送信する機能を有する下位側通信装置と、前記下位側通信装置から送信される前記計測データを受信する機能を有する上位側通信装置と、前記上位側通信装置を介して前記太陽電池パネルごとの前記計測データを収集する機能を有する管理装置とを備える。前記管理装置は、前記各太陽電池パネルについての、同一時点における発電量の差に基づいて異常の有無を判定するか、または前記各太陽電池パネルについての、所定期間の発電量の最大値又は積算値に基づいて異常の有無を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-205078号公報
【文献】特許第6185206号公報
【文献】特開2014-165277号公報
【0004】
【文献】Ye Zhao、外3名、“Fault Evolution in Photovoltaic Array During Night-to-Day Transition”、2010 IEEE 12th Workshop on Control and Modeling for Power Electronics (COMPEL)、2010年7月
【発明の概要】
【0005】
(1)本開示の監視装置は、各々が1または複数の太陽電池パネルを含む複数の発電部と、前記発電部からの出力ラインを集約する集約部と、前記集約部によって集約された前記出力ラインが電気的に接続される電力変換装置とを備える太陽光発電システムに用いられる監視装置であって、前記電力変換装置の停止状態における、前記発電部および前記集約部間の電流の第1の計測結果、ならびに前記停止状態における、前記集約部および前記電力変換装置間の電流の第2の計測結果の少なくともいずれか一方を取得する取得部と、前記取得部によって取得された計測結果に基づいて、前記太陽光発電システムの異常を判定する判定処理を行う判定部とを備える。
【0006】
(6)本開示の監視方法は、各々が1または複数の太陽電池パネルを含む複数の発電部と、前記発電部からの出力ラインを集約する集約部と、前記集約部によって集約された前記出力ラインが電気的に接続される電力変換装置とを備える太陽光発電システムに用いられる監視装置における監視方法であって、前記電力変換装置の停止状態における、前記発電部および前記集約部間の電流の第1の計測結果、ならびに前記停止状態における、前記集約部および前記電力変換装置間の電流の第2の計測結果の少なくともいずれか一方を取得するステップと、取得した計測結果に基づいて、前記太陽光発電システムの異常を判定する判定処理を行うステップとを含む。
【0007】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える監視装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、監視装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、監視装置を含むシステムとして実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係るPCSユニットの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る集電ユニットの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る太陽電池ユニットの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る監視システムの構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る太陽電池ユニットにおいて地絡した状態の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態に係る太陽電池ユニットにおいて地絡した状態の他の例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態に係る集電ユニットにおける集約ラインにおいて地絡した状態の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態に係る太陽電池ユニットにおいて地絡した状態の他の例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置が判定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置が、電流センサ16Aの計測結果を用いて判定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図13】
図13は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置が、電流センサ16Bの計測結果を用いて判定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図14】
図14は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置が、電流センサ16Cの計測結果を用いて判定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図15】
図15は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置が、電流センサ16Dの計測結果を用いて判定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
近年、太陽光発電システムを監視して異常を判別するための技術が開発されている。
【0010】
[本開示が解決しようとする課題]
このような特許文献1に記載の技術を超えて、太陽光発電システムの異常判定を向上させることが可能な技術が望まれる。
【0011】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、太陽光発電システムの異常判定を向上させることが可能な監視装置および監視方法を提供することである。
【0012】
[本開示の効果]
本開示によれば、太陽光発電システムの異常判定を向上させることができる。
【0013】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0014】
(1)本発明の実施の形態に係る監視装置は、各々が1または複数の太陽電池パネルを含む複数の発電部と、前記発電部からの出力ラインを集約する集約部と、前記集約部によって集約された前記出力ラインが電気的に接続される電力変換装置とを備える太陽光発電システムに用いられる監視装置であって、前記電力変換装置の停止状態における、前記発電部および前記集約部間の電流の第1の計測結果、ならびに前記停止状態における、前記集約部および前記電力変換装置間の電流の第2の計測結果の少なくともいずれか一方を取得する取得部と、前記取得部によって取得された計測結果に基づいて、前記太陽光発電システムの異常を判定する判定処理を行う判定部とを備える。
【0015】
このように、電力変換装置の停止状態において太陽光発電システムの回路を流れる電流に着目し、異常時に起こる現象を解析する構成により、太陽光発電システムにおいて短絡等の状態を強制的に発生させることなく、太陽光発電システムの異常をより確実に検出することができる。したがって、太陽光発電システムの異常判定を向上させることができる。
【0016】
(2)好ましくは、前記判定部は、前記第1の計測結果が前記発電部への電流を示す場合、前記第1の計測結果に基づいて前記判定処理を行う。
【0017】
このような構成により、複数の太陽電池パネルのうちの一部の出力電圧が低下した場合、および太陽電池ユニットにおいて地絡した場合等に流れる、通常と逆向きの電流を検出し、異常をより確実に検出することができる。
【0018】
(3)好ましくは、前記判定部は、前記第1の計測結果が前記発電部および前記集約部間の負側ラインにおける前記集約部への電流を示す場合、前記第1の計測結果に基づいて前記判定処理を行う。
【0019】
このような構成により、たとえば、太陽電池パネルの絶縁不良等による地絡が発生した場合に流れる、通常と逆向きの電流を検出し、異常をより確実に検出することができる。
【0020】
(4)好ましくは、前記判定部は、前記第2の計測結果が前記集約部および前記電力変換装置間の正側ラインにおける前記電力変換装置への電流を示す場合、前記第2の計測結果に基づいて前記判定処理を行う。
【0021】
このような構成により、たとえば、発電部および電力変換装置間の回路において、地絡等の異常の発生箇所が電流の測定箇所より発電部側であるかまたは電力変換装置側であるかを特定することができる。
【0022】
(5)好ましくは、前記判定部は、前記第2の計測結果が前記集約部および前記電力変換装置間の負側ラインにおける前記電力変換装置への電流を示す場合、前記第2の計測結果に基づいて前記判定処理を行う。
【0023】
このような構成により、たとえば、他の接続箱との地絡電流を検出し、より広い範囲で異常を検出することができる。
【0024】
(6)本発明の実施の形態に係る監視方法は、各々が1または複数の太陽電池パネルを含む複数の発電部と、前記発電部からの出力ラインを集約する集約部と、前記集約部によって集約された前記出力ラインが電気的に接続される電力変換装置とを備える太陽光発電システムに用いられる監視装置における監視方法であって、前記電力変換装置の停止状態における、前記発電部および前記集約部間の電流の第1の計測結果、ならびに前記停止状態における、前記集約部および前記電力変換装置間の電流の第2の計測結果の少なくともいずれか一方を取得するステップと、取得した計測結果に基づいて、前記太陽光発電システムの異常を判定する判定処理を行うステップとを含む。
【0025】
このように、電力変換装置の停止状態において太陽光発電システムの回路を流れる電流に着目し、異常時に起こる現象を解析する構成により、太陽光発電システムにおいて短絡等の状態を強制的に発生させることなく、太陽光発電システムの異常をより確実に検出することができる。したがって、太陽光発電システムの異常判定を向上させることができる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0027】
[太陽光発電システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。
【0028】
図1を参照して、太陽光発電システム401は、4つのPCS(Power Conditioning Subsystem)ユニット80と、キュービクル6とを備える。キュービクル6は、銅バー73を含む。
【0029】
図1では、4つのPCSユニット80を代表的に示しているが、さらに多数または少数のPCSユニット80が設けられてもよい。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態に係るPCSユニットの構成を示す図である。
【0031】
図2を参照して、PCSユニット80は、4つの集電ユニット60と、PCS(電力変換装置)8とを備える。PCS8は、銅バー7と、電力変換部9とを含む。
【0032】
図2では、4つの集電ユニット60を代表的に示しているが、さらに多数または少数の集電ユニット60が設けられてもよい。
【0033】
図3は、本発明の実施の形態に係る集電ユニットの構成を示す図である。
【0034】
図3を参照して、集電ユニット60は、4つの太陽電池ユニット74と、集電箱71とを含む。集電箱71は、銅バー72を有する。
【0035】
図3では、4つの太陽電池ユニット74を代表的に示しているが、さらに多数または少数の太陽電池ユニット74が設けられてもよい。
【0036】
図4は、本発明の実施の形態に係る太陽電池ユニットの構成を示す図である。
【0037】
図4を参照して、太陽電池ユニット74は、4つの発電部78A,78B,78C,78Dと、接続箱76とを含む。以下、発電部78A,78B,78C,78Dの各々を発電部78とも称する。発電部78は、1または複数の太陽電池パネル79を有する。接続箱76は、銅バー77を有する。
【0038】
図4では、4つの発電部78を代表的に示しているが、さらに多数または少数の発電部78が設けられてもよい。
【0039】
発電部78は、この例では4つの太陽電池パネル79が直列接続されたストリングである。
【0040】
図4では、4つの太陽電池パネル79を代表的に示しているが、さらに多数または少数の太陽電池パネル79が設けられてもよい。
【0041】
太陽光発電システム401では、複数の発電部78からの出力ラインおよび集約ラインすなわち電力線がそれぞれキュービクル6に電気的に接続される。
【0042】
より詳細には、発電部78の出力ライン1は、発電部78に接続された第1端と、銅バー77に接続された第2端とを有する。各出力ライン1は、銅バー77を介して集約ライン5に集約される。銅バー77は、たとえば接続箱76の内部に設けられている。
【0043】
発電部78は、太陽光を受けると、受けた太陽光のエネルギーを直流電力に変換し、変換した直流電力を出力ライン1へ出力する。
【0044】
図3および
図4を参照して、集約ライン5は、対応の太陽電池ユニット74における銅バー77に接続された第1端と、銅バー72に接続された第2端とを有する。各集約ライン5は、銅バー72を介して集約ライン2に集約される。銅バー72は、たとえば集電箱71の内部に設けられている。
【0045】
図1~
図4を参照して、太陽光発電システム401では、上述のように複数の発電部78からの各出力ライン1が集約ライン5に集約され、各集約ライン5が集約ライン2に集約され、各集約ライン2が集約ライン4に集約され、各集約ライン4がキュービクル6に電気的に接続される。
【0046】
より詳細には、各集約ライン2は、対応の集電ユニット60における銅バー72に接続された第1端と、銅バー7に接続された第2端とを有する。PCS8において、内部ライン3は、銅バー7に接続された第1端と、電力変換部9に接続された第2端とを有する。
【0047】
PCS8において、電力変換部9は、たとえば、各発電部78において発電された直流電力を出力ライン1、銅バー77、集約ライン5、銅バー72、集約ライン2、銅バー7および内部ライン3経由で受けると、受けた直流電力を交流電力に変換して集約ライン4へ出力する。
【0048】
集約ライン4は、電力変換部9に接続された第1端と、銅バー73に接続された第2端とを有する。
【0049】
キュービクル6において、各PCS8における電力変換部9から各集約ライン4へ出力された交流電力は、銅バー73を介して系統へ出力される。
【0050】
[監視システム301の構成]
図5は、本発明の実施の形態に係る監視システムの構成を示す図である。
【0051】
図5を参照して、太陽光発電システム401は、監視システム301を備える。監視システム301は、管理装置101と、複数の監視装置111と、収集装置151とを含む。
【0052】
図5では、1つの集電ユニット60に対応して設けられた4つの監視装置111を代表的に示しているが、さらに多数または少数の監視装置111が設けられてもよい。また、監視システム301は、1つの収集装置151を備えているが、複数の収集装置151を備えてもよい。
【0053】
監視システム301では、子機である監視装置111におけるセンサの情報が、収集装置151へ定期的または不定期に伝送される。
【0054】
監視装置111は、たとえば集電ユニット60に設けられている。より詳細には、監視装置111は、4つの太陽電池ユニット74にそれぞれ対応して4つ設けられている。各監視装置111は、たとえば、対応の太陽電池ユニット74における出力ライン1、および対応の集約ライン5に電気的に接続されている。
【0055】
監視装置111は、対応の太陽電池ユニット74における各出力ライン1の電流をセンサにより計測する。また、監視装置111は、対応の太陽電池ユニット74における各出力ライン1の電圧をセンサにより計測する。
【0056】
収集装置151は、たとえばPCS8の近傍に設けられている。より詳細には、収集装置151は、PCS8に対応して設けられ、信号線46を介して銅バー7に電気的に接続されている。
【0057】
監視装置111および収集装置151は、集約ライン2,5を介して電力線通信(PLC:Power Line Communication)を行うことにより情報の送受信を行う。
【0058】
より詳細には、各監視装置111は、対応の出力ラインの電流および電圧の計測結果を示す監視情報を送信する。収集装置151は、各監視装置111の計測結果を収集する。
【0059】
また、収集装置151は、ネットワークを介して、管理装置101等の他の装置と情報の送受信を行う。
【0060】
[課題]
太陽光発電システムにおいて、過去の平均値または太陽電池パネルの発電量の予想に基づいた単純な閾値を設定し、異常を判定する方法では、発電量が時間または天候等の影響により大きく変動するため、たとえば国際規格において正常とされる範囲は、予測される発電量の60%以上で良く、誤検出することが多くなる。
【0061】
また、特許第6185206号公報(特許文献2)には、機械学習を用いることにより、異常検出の精度を高める方法が記載されている。しかしながら、この方法では、異常となる現象を捉えている訳ではなく確実性が低い。
【0062】
また、特開2014-165277号(特許文献3)には、太陽電池パネル等を作為的に短絡させることにより流れる電流を用いることにより異常検出を行う方法が記載されている。この方法では、異常検出のための短絡を、他の監視システム等が異常と判断する可能性がある。また、太陽電池パネル等を短絡させる行為が太陽光発電システムに悪影響を及ぼすおそれがある。
【0063】
これに対して、本発明の実施の形態に係る監視装置では、以下のような構成および動作により、上記課題を解決する。
【0064】
[監視装置111の構成]
図6は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置の構成を示す図である。
図6では、出力ライン1、集約ライン5および銅バー77がより詳細に示されている。
【0065】
図6を参照して、接続箱76は、集約部91と、開閉器93A,93B,93C,93D,93Eと、出力ライン1と、集約ライン5とを含む。出力ライン1は、プラス側出力ライン1pと、マイナス側出力ライン1nとを含む。集約ライン5は、プラス側集約ライン5pと、マイナス側集約ライン5nとを含む。
【0066】
以下、開閉器93A,93B,93C,93D,93Eの各々を、開閉器93とも称する。ここで、
図6ならびに後述の
図7および
図8は開閉器93の開状態を示しているが、監視装置111による後述の判定処理を含む通常状態において、開閉器93は閉状態である。
【0067】
プラス側出力ライン1pは、プラス側出力ライン1pa,1pbを含む。マイナス側出力ライン1nは、マイナス側出力ライン1na,1nbを含む。
【0068】
集約ライン5は、プラス側集約ライン5pと、マイナス側集約ライン5nとを含む。集約部91は、銅バー77を含み、複数の発電部78からの出力ライン1を集約する。銅バー77は、プラス側銅バー77pと、マイナス側銅バー77nとを有する。
【0069】
プラス側集約ライン5pは、プラス側集約ライン5pa,5pbを含む。マイナス側集約ライン5nは、マイナス側集約ライン5na,5nbを含む。
【0070】
図示しないが、
図3に示す集電箱71における銅バー72は、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nにそれぞれ対応して、プラス側銅バー72pおよびマイナス側銅バー72nを含む。
【0071】
プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nは、プラス側銅バー72pおよびマイナス側銅バー72nにおいて、それぞれ、他の太陽電池ユニット74からのプラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nとともに図示しないプラス側集約ライン2pおよびマイナス側集約ライン2nに集約される。
【0072】
集約されたプラス側集約ライン2pおよびマイナス側集約ライン2nは、PCS8における図示しないプラス側銅バー7pおよびマイナス側銅バー7nに電気的に接続される。
【0073】
プラス側出力ライン1paは、対応の発電部78に接続された第1端と、対応の開閉器93に接続された第2端とを有する。プラス側出力ライン1pbは、対応の開閉器93に接続された第1端と、プラス側銅バー77pに接続された第2端とを有する。
【0074】
マイナス側出力ライン1naは、対応の発電部78に接続された第1端と、対応の開閉器93に接続された第2端とを有する。マイナス側出力ライン1nbは、対応の開閉器93に接続された第1端と、マイナス側銅バー77nに接続された第2端とを有する。
【0075】
プラス側集約ライン5paは、プラス側銅バー77pに接続された第1端と、開閉器93Eに接続された第2端とを有する。プラス側集約ライン5pbは、開閉器93Eに接続された第1端と、集電箱71におけるプラス側銅バー72pに接続された第2端とを有する。マイナス側集約ライン5naは、マイナス側銅バー77nに接続された第1端と、開閉器93Eに接続された第2端を有する。マイナス側集約ライン5nbは、開閉器93Eに接続された第1端と、集電箱71におけるマイナス側銅バー72nに接続された第2端とを有する。
【0076】
監視装置111は、検出処理部11と、取得部13と、通信部14と、判定部15と、4つの電流センサ16Aと、4つの電流センサ16Bと、電流センサ16Cと、電流センサ16Dと、電圧センサ17とを備える。以下、電流センサ16A,16B,16C,16Dの各々を、電流センサ16とも称する。
【0077】
電流センサ16Aおよび電流センサ16Bは、それぞれ、プラス側出力ライン1pおよびマイナス側出力ライン1nにおいて1つ設けられる。監視装置111は、プラス側出力ライン1pおよびマイナス側出力ライン1nの数に応じて、さらに多数または少数の電流センサ16Aおよび電流センサ16Bを備えてもよい。
【0078】
電流センサ16Cおよび電流センサ16Dは、それぞれ、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nにおいて1つ設けられる。監視装置111は、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nの数に応じて、さらに多数または少数の電流センサ16Cおよび電流センサ16Dを備えてもよい。
【0079】
監視装置111は、たとえば、発電部78の近傍に設けられている。具体的には、監視装置111は、たとえば、計測対象の出力ライン1が接続された銅バー77が設けられた接続箱76の内部に設けられている。なお、監視装置111は、接続箱76の外部に設けられてもよい。
【0080】
監視装置111は、たとえば、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nとそれぞれプラス側電源線26pおよびマイナス側電源線26nを介して電気的に接続されている。以下、プラス側電源線26pおよびマイナス側電源線26nの各々を、電源線26とも称する。
【0081】
各監視装置111は、対応の発電部78に関する計測結果を示す監視情報を、自己および収集装置151に接続される電力線を介して送信する。
【0082】
詳細には、監視装置111における通信部14は、集約ラインを介した電力線通信を、複数の監視装置111の計測結果を収集する収集装置151と行うことが可能である。より詳細には、通信部14は、集約ライン2,5経由で情報を送受信することが可能である。具体的には、通信部14は、電源線26および集約ライン2,5を介して収集装置151と電力線通信を行う。
【0083】
検出処理部11は、たとえば、対応の出力ライン1または対応の集約ライン5における電流の計測結果、および出力ライン1の電圧の計測結果を示す監視情報を所定時間ごとに作成するように設定されている。
【0084】
より詳細には、電流センサ16は、出力ライン1または集約ライン5における電流を計測する。電流センサ16は、たとえば、ホール素子タイプの電流プローブである。電流センサ16は、監視装置111の図示しない電源回路から受けた電力を用いて、対応の出力ライン1または対応の集約ライン5を通して流れる電流を計測し、計測結果を示す計測信号を検出処理部11へ出力する。
【0085】
より詳細には、電流センサ16Aは、対応のプラス側出力ライン1pbを通して流れる電流を計測する。電流センサ16Aは、発電部78から集約部91への方向の電流をプラスの電流値として示す信号を検出処理部11へ出力する。
【0086】
電流センサ16Bは、対応のマイナス側出力ライン1nbを通して流れる電流を計測する。電流センサ16Bは、集約部91から発電部78への方向の電流をプラスの電流値として示す信号を検出処理部11へ出力する。
【0087】
電流センサ16Cは、対応のプラス側集約ライン5pを通して流れる電流を計測する。電流センサ16Cは、集約部91からPCS8への方向のプラスの電流値として示す信号を検出処理部11へ出力する。
【0088】
電流センサ16Dは、対応のマイナス側集約ライン5nを通して流れる電流を計測する。電流センサ16Dは、PCS8から集約部91への方向の電流をプラスの電流値として示す信号を検出処理部11へ出力する。
【0089】
電圧センサ17は、出力ライン1の電圧を計測する。より詳細には、電圧センサ17は、プラス側銅バー77pおよびマイナス側銅バー77n間の電圧を計測し、計測結果を示す計測信号を検出処理部11へ出力する。
【0090】
検出処理部11は、たとえば、所定時間ごとに、各電流センサ16から受けた各計測信号に対して平均化およびフィルタリング等の信号処理を行った信号をデジタル信号に変換する。そして、検出処理部11は、電流センサ16ごとに、変換したデジタル信号に当該電流センサ16固有のID(以下、電流センサIDとも称する。)を対応づける。
【0091】
また、検出処理部11は、たとえば、所定時間ごとに、電圧センサ17からから受けた計測信号に対して平均化およびフィルタリング等の信号処理を行った信号をデジタル信号に変換する。そして、検出処理部11は、変換したデジタル信号に電圧センサ17固有のID(以下、電圧センサIDとも称する。)を対応づける。
【0092】
検出処理部11は、変換した各デジタル信号の示す計測値、計測結果を示す信号を受けた時刻(以下、計測時刻とも称する。)、電流センサID、電圧センサ17のID(以下、電圧センサIDとも称する。)、および自己の監視装置111のID(以下、監視装置IDとも称する。)を含む監視情報を作成する。
【0093】
検出処理部11は、PCS8が電力変換を行っている状態(以下、稼働状態とも称する。)において、作成した監視情報を通信部14へ出力する。
【0094】
通信部14は、検出処理部11から受けた監視情報がデータ部分であり、送信元IDが自己の監視装置IDであり、送信先IDが収集装置151のIDである監視情報パケットを作成する。なお、通信部14は、監視情報パケットにシーケンス番号を含めてもよい。そして、通信部14は、集約ライン2,5を介して、作成した監視情報パケットを収集装置151へ送信する。
【0095】
ここで、PCS8は、たとえば、発電部78が発電した電力により動作する。PCS8は、たとえば、朝方または夕方等において動作可能な電力が発電部78から供給されない場合、発電部78がPCS8の変換容量を超える電力を発電している場合、または系統への出力を抑制されている場合、電力変換を停止する。
【0096】
監視装置111は、PCS8が電力変換を停止している状態(以下、停止状態とも称する。)において、異常検出を行う。
【0097】
より詳細には、監視装置111は、管理装置101から送信された、PCS8が停止状態に移行した旨のPCS停止情報を受信する。
【0098】
具体的には、監視装置111における通信部14は、管理装置101から送信されたPCS停止情報を収集装置151および集約ライン2,5を介して受信し、受信したPCS停止情報を検出処理部11へ出力する。
【0099】
検出処理部11は、通信部14からPCS停止情報を受けた場合、作成した監視情報を通信部14の代わりに取得部13へ出力する。
【0100】
取得部13は、PCS8の停止状態における発電部78および集約部91間の電流の第1の計測結果を取得する。
【0101】
たとえば、取得部13は、さらに、PCS8の停止状態における集約部91およびPCS8間の電流の第2の計測結果を取得する。
【0102】
より詳細には、取得部13は、検出処理部11から受けた監視情報のうち、第1の計測結果すなわち電流センサ16Aの計測結果および電流センサ16Bの計測結果を含む監視情報を判定部15へ出力する。
【0103】
取得部13は、検出処理部11から受けた監視情報のうち、第2の計測結果すなわち電流センサ16Cの計測結果および電流センサ16Dの計測結果を含む監視情報を判定部15へ出力する。
【0104】
判定部15は、太陽光発電システム401における異常を判定し、判定結果に応じた監視情報を通信部14へ出力する。
【0105】
通信部14は、判定部15から受けた監視情報がデータ部分であり、送信元IDが自己の監視装置IDであり、送信先IDが収集装置151のIDである監視情報パケットを作成する。
【0106】
通信部14は、集約ライン2,5を介して、作成した監視情報パケットを収集装置151へ送信する。
【0107】
収集装置151は、監視装置111から送信された監視情報を受信し、受信した監視情報をネットワーク経由で管理装置101へ送信する。
【0108】
ここで、PCS8が再び稼働状態に移行した場合、監視装置111は、管理装置101から送信された、PCS8が稼働状態に移行した旨のPCS稼働情報を受信する。
【0109】
具体的には、監視装置111における通信部14は、管理装置101から送信されたPCS稼働情報を収集装置151および集約ライン2,5を介して受信し、受信したPCS稼働情報を検出処理部11へ出力する。
【0110】
検出処理部11は、通信部14からPCS稼働情報を受けて、PCS8が稼働状態に移行したと判断する。
【0111】
判定部15は、取得部13によって取得された第1の計測結果に基づいて、太陽光発電システム401の異常を判定する判定処理を行う。
【0112】
[異常検出1]
より詳細には、判定部15は、たとえば、取得部13によって取得された第1の計測結果である計測結果K1に基づいて、太陽光発電システム401の異常を判定する判定処理を行う。計測結果K1は、発電部78および集約部91間の正側ラインにおける電流を示す。
【0113】
より詳細には、PCS8は、停止状態において高インピーダンスとなる。このため、PCS8に電気的に接続されている出力ライン1を通して電流は流れない。
【0114】
しかしながら、たとえば、発電部78Aの出力電圧が、影、汚れ、並列アーク、地絡および初期不良等の要因により低下した場合、他の3つの発電部78B,78C,78Dの出力電流がプラス側出力ライン1pを通して発電部78Aへ流れ込む。
【0115】
このとき、発電部78Aに対応する電流センサ16Aにおいて、マイナスの電流値すなわち発電部78Aへの電流が計測される。
【0116】
判定部15は、PCS8の停止状態において、プラス側出力ライン1pを通して発電部78Aへの電流が流れる場合、発電部78Aに対応する回路を異常であると判定する。
【0117】
より詳細には、判定部15は、たとえば、発電部78Aに対応する電流センサ16Aの計測結果K1である計測結果K1Aが発電部78Aへの電流を示す場合、計測結果K1Aに基づいて判定処理を行う。
【0118】
具体的には、判定部15は、取得部13から受けた監視情報の示す電流センサ16Aの計測結果K1Aがたとえば負の閾値Th1未満である場合、当該電流センサ16Aに対応する発電部78Aに対応する回路を異常であると判定する。なお、閾値Th1は、ゼロであってもよい。
【0119】
そして、判定部15は、当該回路の異常を示す異常情報を、取得部13から受けた監視情報に含めて通信部14へ出力する。
【0120】
一方、判定部15は、当該回路を正常であると判定した場合、取得部13から受けた監視情報を通信部14へ出力する。
【0121】
[異常検出2]
図7は、本発明の実施の形態に係る太陽電池ユニットにおいて地絡した状態の一例を示す図である。
【0122】
図7を参照して、発電部78Aに対応するプラス側出力ライン1paにおいて地絡し、かつ発電部78Dに対応するマイナス側出力ライン1naにおいて地絡した場合、PCS8の停止状態において、当該プラス側出力ライン1paにおける地絡箇所から、グランド、当該マイナス側出力ライン1naにおける地絡箇所、当該マイナス側出力ライン1na、発電部78D、発電部78Dに対応するプラス側出力ライン1、プラス側銅バー77p、発電部78Aに対応するプラス側出力ライン1pb、および当該プラス側出力ライン1paの順に地絡電流I2が流れる。
【0123】
地絡電流I2は、PCS8の稼働状態においてはPCS8の方が地絡による短絡抵抗と比べてインピーダンスが低いためほぼ流れず、PCS8の停止状態において流れる。
【0124】
PCS8の停止状態において上記地絡が発生した場合、たとえば、発電部78Aからのプラス側出力ライン1paに対応する電流センサ16Aにおいてマイナスの電流値すなわち発電部78Aへの電流が計測される。
【0125】
判定部15は、計測結果K1に基づいて、太陽光発電システム401の異常を判定する判定処理を行う。上述のように、計測結果K1は、発電部78および集約部91間の正側ラインにおける電流を示す。
【0126】
より詳細には、判定部15は、たとえば、PCS8の停止状態において、プラス側出力ライン1pを通して発電部78Aへの電流が流れる場合、発電部78Aに対応する回路を異常であると判定する。
【0127】
すなわち、判定部15は、たとえば、計測結果K1Aが発電部78Aへの電流を示す場合、計測結果K1Aに基づいて判定処理を行う。
【0128】
具体的には、判定部15は、PCS停止情報の示す時間帯において、取得部13から受けた監視情報の示す電流センサ16Aの計測結果K1Aがたとえば負の閾値Th1未満である場合、当該電流センサ16Aに対応する発電部78Aに対応する回路を異常であると判定する。なお、閾値Th1は、ゼロであってもよい。
【0129】
そして、判定部15は、当該回路の異常を示す異常情報を、取得部13から受けた監視情報に含めて通信部14へ出力する。
【0130】
一方、判定部15は、当該回路を正常であると判定した場合、取得部13から受けた監視情報を通信部14へ出力する。
【0131】
[異常検出3]
図8は、本発明の実施の形態に係る太陽電池ユニットにおいて地絡した状態の他の例を示す図である。
【0132】
図8を参照して、発電部78Aにおいて地絡し、かつ発電部78Dに対応するマイナス側出力ライン1naにおいて地絡した場合、PCS8の停止状態において、発電部78Aにおける地絡箇所から、グランド、当該マイナス側出力ライン1naにおける地絡箇所、発電部78Dに対応するマイナス側出力ライン1na、当該マイナス側出力ライン1nb、マイナス側銅バー77n、発電部78Aに対応するマイナス側出力ライン1n、発電部78A、および発電部78Aにおける地絡箇所の順に地絡電流I3が流れる。
【0133】
地絡電流I3は、PCS8の稼働状態においてはPCS8の方が地絡による短絡抵抗と比べてインピーダンスが低いためほぼ流れず、PCS8の停止状態において流れる。
【0134】
PCS8の停止状態において上記地絡が発生した場合、たとえば、発電部78Dからのマイナス側出力ライン1naに対応する電流センサ16Bにおいてマイナスの電流値すなわち発電部78Dから集約部91への電流が計測される。
【0135】
判定部15は、たとえば、第1の計測結果である計測結果K2に基づいて判定処理を行う。計測結果K2は、発電部78および集約部91間の負側ラインにおける電流を示す。
【0136】
より詳細には、判定部15は、たとえば、PCS8の停止状態において、マイナス側出力ライン1nを通して発電部78Dから集約部91への電流が流れる場合、発電部78Dに対応する回路を異常であると判定する。
【0137】
すなわち、判定部15は、たとえば、発電部78Dに対応する電流センサ16Bの計測結果K2である計測結果K2Dが集約部91への電流を示す場合、計測結果K2Dに基づいて判定処理を行う。
【0138】
具体的には、判定部15は、PCS停止情報の示す時間帯において、取得部13から受けた監視情報の示す電流センサ16Bの計測結果K2Dがたとえば負の閾値Th2未満である場合、当該電流センサ16Bに対応する発電部78Dに対応する回路を異常であると判定する。なお、閾値Th2は、ゼロであってもよい。
【0139】
そして、判定部15は、当該回路の異常を示す異常情報を、取得部13から受けた監視情報に含めて通信部14へ出力する。
【0140】
一方、判定部15は、当該回路を正常であると判定した場合、取得部13から受けた監視情報を通信部14へ出力する。
【0141】
[異常検出4]
判定部15は、たとえば、取得部13によって取得された計測結果K1が集約部91への電流を示す場合、計測結果K1に基づいて判定処理を行ってもよい。
【0142】
図9は、本発明の実施の形態に係る集電ユニットにおける集約ラインにおいて地絡した状態の一例を示す図である。
【0143】
図9を参照して、集約部91およびPCS8間におけるプラス側集約ライン5pにおいて地絡した場合、PCS8の停止状態において、各発電部78から地絡箇所へ地絡電流I4が流れる。
【0144】
地絡電流I4は、PCS8の稼働状態においてはPCS8の方が地絡による短絡抵抗と比べてインピーダンスが低いためほぼ流れず、PCS8の停止状態において流れる。
【0145】
PCS8の停止状態において上記地絡が発生した場合、たとえば、集約部91に集約される各プラス側出力ライン1paに対応する各電流センサ16Aにおいてプラスの電流値すなわち集約部91への電流が計測される。
【0146】
判定部15は、第1の計測結果である計測結果K1に基づいて、太陽光発電システム401の異常を判定する判定処理を行う。
【0147】
判定部15は、たとえば、PCS8の停止状態において、プラス側出力ライン1pを通して集約部91への電流が流れる場合、当該プラス側出力ライン1pに対応する各発電部78に対応する回路を異常であると判定する。
【0148】
より詳細には、判定部15は、発電部78A,78B,78C,78Dに対応する電流センサ16Aの計測結果K1がそれぞれ集約部91への電流を示す場合、各計測結果K1に基づいて判定処理を行う。
【0149】
具体的には、判定部15は、たとえば、取得部13から受けた監視情報の示す各電流センサ16Aの計測結果K1が正の閾値Th3以上である場合、当該各電流センサ16Aに対応する発電部78A,78B,78C,78Dに対応する回路を異常であると判定する。
【0150】
そして、判定部15は、当該回路の異常を示す異常情報を、取得部13から受けた監視情報に含めて通信部14へ出力する。
【0151】
一方、判定部15は、当該回路を正常であると判定した場合、取得部13から受けた監視情報を通信部14へ出力する。
【0152】
なお、判定部15は、発電部78A,78B,78C,78Dのうちの少なくともいずれか1つの発電部78に対応する電流センサ16Aの計測結果K1が集約部91への電流を示す場合、対応の計測結果K1に基づいて判定処理を行ってもよい。
【0153】
[異常検出5]
判定部15は、たとえば、第2の計測結果である計測結果K4に基づいて、太陽光発電システム401の異常を判定する判定処理を行う。計測結果K4は、集約部91およびPCS8間の正側ラインにおける電流を示す。
【0154】
図9に示すような地絡が発生した場合、電流センサ16Cにおいてプラスの電流値すなわちPCS8への電流が計測される。
【0155】
判定部15は、たとえば、プラス側集約ライン5pを通して集約部91からPCS8へ電流が流れる場合、電流センサ16CおよびPCS8間の当該プラス側集約ライン5pにおける回路を異常であると判定する。
【0156】
より詳細には、判定部15は、計測結果K4がPCS8への電流を示す場合、計測結果K4に基づいて判定処理を行う。
【0157】
具体的には、判定部15は、取得部13から受けた監視情報の示す電流センサ16Cの計測結果K4が正の閾値Th4以上である場合、当該回路を異常であると判定する。
【0158】
そして、判定部15は、当該回路の異常を示す異常情報を、取得部13から受けた監視情報に含めて通信部14へ出力する。
【0159】
一方、判定部15は、当該回路を正常であると判定した場合、取得部13から受けた監視情報を通信部14へ出力する。
【0160】
[異常検出6]
図10は、本発明の実施の形態に係る太陽電池ユニットにおいて地絡した状態の他の例を示す図である。
【0161】
図10を参照して、他の接続箱76における発電部78Aにおいて地絡し、かつ発電部78Dに対応するマイナス側出力ライン1nにおいて地絡した場合、PCS8の停止状態において、他の接続箱76における地絡箇所から当該マイナス側出力ライン1nへ地絡電流I5が流れる。
【0162】
地絡電流I5は、PCS8の稼働状態においてはPCS8の方が地絡による短絡抵抗と比べてインピーダンスが低いためほぼ流れず、PCS8の停止状態において流れる。
【0163】
PCS8の停止状態において上記地絡が発生した場合、マイナス側集約ライン5nに対応する電流センサ16Dにおいてマイナスの電流値すなわちPCS8への電流が計測される。
【0164】
判定部15は、たとえば、第2の計測結果である計測結果K5に基づいて判定処理を行う。計測結果K5は、集約部91およびPCS8間の負側ラインにおける電流を示す。
【0165】
判定部15は、マイナス側集約ライン5nを通して集約部91からPCS8へ電流が流れる場合、当該マイナス側集約ライン5nに対応する回路を異常であると判定する。
【0166】
より詳細には、判定部15は、計測結果K5がPCS8への電流を示す場合、計測結果K5に基づいて判定処理を行う。
【0167】
具体的には、判定部15は、取得部13から受けた監視情報の示す電流センサ16Dの計測結果K5がたとえば負の閾値Th5未満である場合、当該マイナス側集約ライン5nにおける回路を異常であると判定する。なお、上記閾値は、ゼロであってもよい。
【0168】
そして、判定部15は、回路の異常を示す異常情報を、取得部13から受けた監視情報に含めて通信部14へ出力する。
【0169】
一方、判定部15は、当該回路を正常であると判定した場合、取得部13から受けた監視情報を通信部14へ出力する。
【0170】
[動作の流れ]
監視システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0171】
図11は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置が判定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0172】
図11を参照して、まず、監視装置111は、収集装置151から送信されたPCS停止情報を受信する(ステップS101)。
【0173】
次に、監視装置111は、電流センサ16Aの計測結果を用いて判定処理を行う(ステップS102)。
【0174】
次に、監視装置111は、電流センサ16Bの計測結果を用いて判定処理を行う(ステップS103)。
【0175】
次に、監視装置111は、電流センサ16Cの計測結果を用いて判定処理を行う(ステップS104)。
【0176】
次に、監視装置111は、電流センサ16Dの計測結果を用いて判定処理を行う(ステップS105)。
【0177】
次に、監視装置111は、収集装置151から送信されたPCS稼働情報を受信した場合(ステップS106でYES)、判定処理を終了し、新たなPCS停止情報を受信するまで待機する。
【0178】
一方、監視装置111は、収集装置151からのPCS稼働情報を受信しない間(ステップS106でNO)、判定処理を継続する(ステップS102)。
【0179】
なお、ステップS102~ステップS105の順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
【0180】
図12は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置が、電流センサ16Aの計測結果を用いて判定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0181】
図12を参照して、まず、監視装置111は、ある電流センサ16Aの監視情報において、計測値が閾値Th1未満である場合(ステップS201でYES)、当該電流センサ16Aに対応する発電部78を異常であると判定し(ステップS202)、異常情報を監視情報に含める(ステップS203)。そして、監視装置111は、監視情報を収集装置151へ送信する(ステップS204)。
【0182】
一方、監視装置111は、計測値が閾値Th1以上であり(ステップS201でNO)、かつ閾値Th3以上である場合(ステップS205でYES)、当該電流センサ16Aに対応する回路を異常であると判定し(ステップS202)、異常情報を監視情報に含める(ステップS203)。そして、監視装置111は、監視情報を収集装置151へ送信する(ステップS204)。
【0183】
一方、監視装置111は、計測値が閾値Th1以上であり(ステップS201でNO)、かつ閾値Th3未満である場合(ステップS205でNO)、当該電流センサ16Aに対応する回路を正常であると判定する(ステップS206)。そして、監視装置111は、監視情報を収集装置151へ送信する(ステップS204)。
【0184】
次に、監視装置111は、他の電流センサ16Aの監視情報について判定処理を行っていない場合(ステップS207でNO)、他の電流センサ16Aの監視情報について異常判定を行う(ステップS201)。
【0185】
一方、監視装置111は、すべての電流センサ16Aの監視情報について判定処理を行った場合(ステップS207でYES)、判定処理を終了する。
【0186】
図13は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置が、電流センサ16Bの計測結果を用いて判定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0187】
図13を参照して、まず、監視装置111は、ある電流センサ16Bの監視情報において、計測値が閾値Th2未満である場合(ステップS301でYES)、当該電流センサ16Bに対応する回路を異常であると判定し(ステップS302)、異常情報を監視情報に含める(ステップS303)。そして、監視装置111は、監視情報を収集装置151へ送信する(ステップS304)。
【0188】
一方、監視装置111は、計測値が閾値Th2以上である場合(ステップS301でNO)、当該電流センサ16Bに対応する回路を正常であると判定する(ステップS305)。そして監視装置111は、監視情報を収集装置151へ送信する(ステップS304)。
【0189】
次に、監視装置111は、他の電流センサ16Bの監視情報について判定処理を行っていない場合(ステップS306でNO)、他の電流センサ16Bの監視情報について異常判定を行う(ステップS301)。
【0190】
一方、監視装置111は、すべての電流センサ16Bの監視情報について判定処理を行った場合(ステップS306でYES)、判定処理を終了する。
【0191】
図14は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置が、電流センサ16Cの計測結果を用いて判定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0192】
図14を参照して、まず、監視装置111は、ある電流センサ16Cの監視情報において、計測値が閾値Th4以上である場合(ステップS401でYES)、当該電流センサ16Cに対応する回路を異常であると判定し(ステップS402)、異常情報を監視情報に含める(ステップS403)。そして監視装置111は、監視情報を収集装置151へ送信する(ステップS404)。
【0193】
一方、監視装置111は、計測値が閾値Th4未満である場合(ステップS401でNO)、当該電流センサ16Cに対応する回路を正常であると判定する(ステップS405)。そして、監視装置111は、監視情報を収集装置151へ送信する(ステップS304)。
【0194】
次に、監視装置111は、他の電流センサ16Cの監視情報について判定処理を行っていない場合(ステップS406でNO)、他の電流センサ16Cの監視情報について異常判定を行う(ステップS401)。
【0195】
一方、監視装置111は、すべての電流センサ16Cの監視情報について判定処理を行った場合(ステップS406でYES)、判定処理を終了する。
【0196】
図15は、本発明の実施の形態に係る監視システムにおける監視装置が、電流センサ16Dの計測結果を用いて判定処理を行う際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0197】
図15を参照して、まず、監視装置111は、ある電流センサ16Dの監視情報において、計測値が閾値Th5未満である場合(ステップS501でYES)、当該電流センサ16Dに対応する回路を異常であると判定し(ステップS502)、異常情報を監視情報に含める(ステップS503)。そして、監視装置111は、監視情報を収集装置151へ送信する(ステップS504)。
【0198】
一方、監視装置111は、計測値が閾値Th5以上である場合(ステップS501でNO)、当該電流センサ16Dに対応する回路を正常であると判定する(ステップS505)。そして、監視装置111は、監視情報を収集装置151へ送信する(ステップS504)。
【0199】
次に、監視装置111は、他の電流センサ16Dの監視情報について判定処理を行っていない場合(ステップS506でNO)、他の電流センサ16Dの監視情報について異常判定を行う(ステップS501)。
【0200】
一方、監視装置111は、すべての電流センサ16Dの監視情報について判定処理を行った場合(ステップS506でYES)、判定処理を終了する。
【0201】
なお、本発明の実施の形態に係る監視装置111は、判定処理として異常検出1~6を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。監視装置111は、異常検出1のみを行う構成であってもよい。この場合、監視装置111は、電流センサ16B,16C,16Dを備えなくてもよい。
【0202】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置111は、判定処理として異常検出1~6を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。監視装置111は、異常検出2のみを行う構成であってもよい。この場合、監視装置111は、電流センサ16C,16Dを備えなくてもよい。
【0203】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置111は、判定処理として異常検出1~6を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。監視装置111は、異常検出3のみを行う構成であってもよい。この場合、監視装置111は、電流センサ16B,16C,16Dを備えなくてもよい。
【0204】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置111は、判定処理として異常検出1~6を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。監視装置111は、異常検出4のみを行う構成であってもよい。この場合、監視装置111は、電流センサ16B,16C,16Dを備えなくてもよい。
【0205】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置111は、判定処理として異常検出1~6を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。監視装置111は、異常検出5のみを行う構成であってもよい。この場合、監視装置111は、電流センサ16Dを備えなくてもよい。
【0206】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置111は、判定処理として異常検出1~6を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。監視装置111は、異常検出6のみを行う構成であってもよい。この場合、監視装置111は、電流センサ16Cを備えなくてもよい。
【0207】
また、本発明の実施の形態に係る監視システムでは、監視装置111が判定処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。監視装置111が、監視情報を収集装置151または管理装置101へ送信し、収集装置151または管理装置101が、監視装置111から送信された各計測結果に基づいて、判定処理を行う構成であってもよい。この場合、管理装置101は、監視装置111から送信された計測結果を取得する取得部と、取得部によって取得された計測結果に基づいて判定処理を行う判定部とを備える。
【0208】
ところで、特許文献1に記載の技術を超えて、太陽光発電システムの異常判定を向上させることが可能な技術が望まれる。
【0209】
本発明の実施の形態に係る監視装置では、取得部13は、PCS8の停止状態における発電部78および集約部91間の電流の第1の計測結果、ならびに当該停止状態における、集約部91およびPCS8間の電流の第2の計測結果の少なくともいずれか一方を取得する。判定部15は、取得部13によって取得された計測結果に基づいて、太陽光発電システム401の異常を判定する判定処理を行う。
【0210】
このように、PCS8の停止状態において太陽光発電システム401の回路を流れる電流に着目し、異常時に起こる現象を解析する構成により、太陽光発電システム401において短絡等の状態を強制的に発生させることなく、太陽光発電システム401の異常をより確実に検出することができる。
【0211】
したがって、本発明の実施の形態に係る監視装置では、太陽光発電システム401の異常判定を向上させることができる。
【0212】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置では、判定部15は、第1の計測結果が発電部78への電流を示す場合、第1の計測結果に基づいて判定処理を行う。
【0213】
このような構成により、複数の太陽電池パネル79のうちの一部の出力電圧が低下した場合、および太陽電池ユニットにおいて地絡した場合等に流れる、通常と逆向きの電流を検出し、異常をより確実に検出することができる。
【0214】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置では、判定部15は、第1の計測結果が発電部78および集約部91間の負側ラインにおける集約部91への電流を示す場合、当該第1の計測結果に基づいて判定処理を行う。
【0215】
このような構成により、たとえば、太陽電池パネル79の絶縁不良等による地絡が発生した場合に流れる、通常と逆向きの電流を検出し、異常をより確実に検出することが可能となり、たとえば火事の予防にも有用である。
【0216】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置では、判定部15は、第2の計測結果が集約部91およびPCS8間の正側ラインにおけるPCS8への電流を示す場合、当該第2の計測結果に基づいて判定処理を行う。
【0217】
このような構成により、たとえば、発電部78およびPCS8間の回路において、地絡等の異常の発生箇所が電流の測定箇所より発電部78側であるかまたはPCS8側であるかを特定することができる。
【0218】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置では、判定部15は、第2の計測結果が集約部91およびPCS8間の負側ラインにおけるPCS8への電流を示す場合、当該第2の計測結果に基づいて判定処理を行う。
【0219】
このような構成により、たとえば、他の接続箱76との地絡電流を検出し、より広い範囲で異常を検出することができる。
【0220】
また、本発明の実施の形態に係る監視方法では、まず、PCS8の停止状態における発電部78および集約部91間の電流の第1の計測結果PCS8の停止状態における発電部78および集約部91間の電流の第1の計測結果、ならびに当該停止状態における、集約部91およびPCS8間の電流の第2の計測結果の少なくともいずれか一方を取得する。次に、取得した計測結果に基づいて、太陽光発電システム401の異常を判定する。
【0221】
このように、PCS8の停止状態において太陽光発電システム401の回路を流れる電流に着目し、異常時に起こる現象を解析する構成により、太陽光発電システム401において短絡等の状態を強制的に発生させることなく、太陽光発電システム401の異常をより確実に検出することができる。
【0222】
したがって、本発明の実施の形態に係る監視方法では、太陽光発電システム401の異常判定を向上させることができる。
【0223】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0224】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
各々が1または複数の太陽電池パネルを含む複数の発電部と、前記発電部からの出力ラインを集約する集約部と、前記集約部によって集約された前記出力ラインが電気的に接続される電力変換装置とを備える太陽光発電システムに用いられる監視装置であって、
前記電力変換装置の停止状態における、前記発電部および前記集約部間の電流の第1の計測結果、ならびに前記停止状態における、前記集約部および前記電力変換装置間の電流の第2の計測結果の少なくともいずれか一方を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された計測結果に基づいて、前記太陽光発電システムの異常を判定する判定処理を行う判定部を備え、
前記発電部は、複数の太陽電池パネルが直列接続されたストリングであり、
前記監視装置は、さらに、
前記電力変換装置から前記電力変換装置が停止状態である旨の情報を取得する検出処理部を備える、監視装置。
【符号の説明】
【0225】
1 出力ライン
2,4,5 集約ライン
3 内部ライン
6 キュービクル
7 銅バー
8 PCS
9 電力変換部
11 検出処理部
13 取得部
14 通信部
15 判定部
16,16A,16B,16C,16D 電流センサ
17 電圧センサ
26 電源線
46 信号線
60 集電ユニット
71 集電箱
72,73,77 銅バー
74 太陽電池ユニット
76 接続箱
78,78A,78B,78C,78D 発電部
79 太陽電池パネル
80 PCSユニット
91 集約部
93,93A,93B,93C,93D,93E 開閉器
101 管理装置
111 監視装置
151 収集装置
301 監視システム
401 太陽光発電システム