IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ソシオネクストの特許一覧

特許7196915輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置
<>
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図1
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図2
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図3
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図4
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図5A
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図5B
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図6A
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図6B
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図7
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図8
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図9
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図10
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図11
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図12
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図13
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図14
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図15
  • 特許-輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/10 20060101AFI20221220BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20221220BHJP
   G09G 3/3208 20160101ALI20221220BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20221220BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G09G5/10 B
G09G3/20 611A
G09G3/20 612U
G09G3/20 641P
G09G3/20 670K
G09G3/3208
G09G5/00 520H
G09G5/36 520A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020525134
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(86)【国際出願番号】 JP2018023367
(87)【国際公開番号】W WO2019244260
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】乙井 克也
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-237690(JP,A)
【文献】特開2017-111345(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0116902(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発光素子を備える表示装置の各画素の輝度決定方法であって、
1画像を互いに重ならない複数のブロックに分割する分割ステップと、
前記複数のブロックのそれぞれ毎に、前記複数のブロックのそれぞれ毎に定まる補正方法で前記複数のブロック内の画素に対し、輝度を下げる補正をする輝度補正ステップとを含み、
前記輝度補正ステップに入力される各画素の輝度を第1の輝度、前記輝度補正ステップによる輝度補正後の各画素の輝度を第2の輝度とするとき、
前記補正方法は、前記複数のブロックそれぞれ毎に当該ブロック内の各画素の前記第1の輝度に対し、第1の輝度閾値よりも高い輝度を有する画素の画素数が多いほど、前記第1の輝度と前記第2の輝度との差が小さくなるように補正する
輝度決定方法。
【請求項2】
前記補正方法は、前記第2の輝度が第2の輝度閾値を下回った場合に、前記第2の輝度を前記第2の輝度閾値とすることを含む
請求項に記載の輝度決定方法。
【請求項3】
前記輝度補正ステップより後段のステップでは、輝度について補正が行われない
請求項1又は2に記載の輝度決定方法。
【請求項4】
前記複数のブロックの形状は、すべて同じである
請求項1~のいずれか1項に記載の輝度決定方法。
【請求項5】
自発光素子を備える表示装置の各画素の輝度を決定する輝度決定装置であって、
1画像を互いに重ならない複数のブロックに分割し、前記複数のブロックのそれぞれ毎に、前記複数のブロック毎に定まる補正方法で前記複数のブロック内の画素に対し、輝度を下げる補正をする制御部を備え
前記制御部は、前記制御部による輝度補正前の各画素の輝度を第1の輝度、前記制御部による輝度補正後の各画素の輝度を第2の輝度とするとき、前記複数のブロックそれぞれ毎に当該ブロック内の各画素の前記第1の輝度に対し、第1の輝度閾値よりも高い輝度を有する画素の画素数が多いほど、前記第1の輝度と前記第2の輝度との差が小さくなるように補正する
輝度決定装置。
【請求項6】
請求項に記載の輝度決定装置と、
前記輝度決定装置が決定した輝度の画像を表示する表示装置であって、自発光素子を備える表示装置とを備える
映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自発光素子を備える表示装置の輝度決定方法、輝度決定装置、当該輝度決定装置を備える映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)などの自発光素子を備える表示装置として、有機ELディスプレイが知られている。有機ELディスプレイでは、消費電力を抑制することで画素の寿命を延ばすことが検討されている。例えば、特許文献1には、人が画面を見るときに、画面の中央部を注視することを利用し、画面中央から周辺部にかけて、出力階調を落とす輝度傾斜をかけることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002―55675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の方法では、表示される画像を考慮していないので、表示する画像によっては傾斜輝度自身が人に視認されてしまうことがある。
【0005】
そこで、本発明は、人に視認されにくく、かつ表示装置の寿命を延ばすことができる輝度決定方法、輝度決定装置、映像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る輝度決定方法は、自発光素子を備える表示装置の各画素の輝度決定方法であって、1画像を互いに重ならない複数のブロックに分割する分割ステップと、前記複数のブロックのそれぞれ毎に、前記複数のブロックのそれぞれ毎に定まる補正方法で前記複数のブロック内の画素に対し、輝度を下げる補正をする輝度補正ステップとを含む。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る輝度決定方法等によれば、人に視認されにくく、かつ表示装置の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1に係る映像表示装置の外観を示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る映像表示装置の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る輝度決定装置の動作を示すフローチャートである。
図4図4は、実施の形態1に係る画像を仮想ブロックに分割する様子を模式的に示す図である。
図5A図5Aは、実施の形態1に係る補正方法のフローチャートの一例を示す図である。
図5B図5Bは、図5Aの補正方法における、実施の形態1に係る輝度補正前後の画像を示す図である。
図6A図6Aは、実施の形態1に係る補正方法のフローチャートの他の例を示す図である。
図6B図6Bは、図6Aの補正方法における、実施の形態1に係る輝度補正前後の画像を示す図である。
図7図7は、実施の形態1に係る補正方法のフローチャートの他の例を示す図である。
図8図8は、実施の形態2に係る輝度決定装置の動作を示すフローチャートである。
図9図9は、図8の各仮想ブロックの仮想輝度の計算の方法を示すフローチャートである。
図10図10は、図9の各仮想ブロックの仮想輝度を算出する方法を示すフローチャートである。
図11図11は、図8の各画素の出力階調を計算する方法を示すフローチャートである。
図12図12は、図11の仮想単位輝度分布を重畳する方法を示すフローチャートである。
図13図13は、図11の仮想単位輝度分布を重畳する方法を模式的に示す図である。
図14図14は、図11の出力階調を計算する方法を示すフローチャートである。
図15図15は、図11の出力階調を計算する方法を模式的に示す図である。
図16図16は、図11の仮想単位輝度分布を重畳する方法の他の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様に係る輝度決定方法は、自発光素子を備える表示装置の各画素の輝度決定方法であって、1画像を互いに重ならない複数のブロックに分割する分割ステップと、前記複数のブロックのそれぞれ毎に、前記複数のブロックのそれぞれ毎に定まる補正方法で前記複数のブロック内の画素に対し、輝度を下げる補正をする輝度補正ステップとを含む。
【0011】
これにより、ブロック単位で、当該ブロックごとに定まる補正方法を用いて輝度を下げる補正を行うことができるので、輝度傾斜などによる補正または1画面を一律に補正する場合に比べ、より細かく輝度を補正することができる。よって、本発明の一態様に係る輝度決定方法は、人に視認されにくく、かつ表示装置の寿命を延ばすことができる。
【0012】
例えば、前記補正方法は、前記複数のブロックのそれぞれ毎に、前記複数のブロックのうちの1つのブロック内の画素の輝度に基づく第1の代表輝度と前記第1の代表輝度より高い輝度を有する画素の輝度に基づく明輝度とにおいて、前記第1の代表輝度に対する前記明輝度の輝度が大きいほど、前記1つのブロックを構成する各画素の輝度を下げる程度を小さくする。
【0013】
これにより、明るい輝度を有する画素の輝度は、当該画素の輝度より暗い輝度を有する画素の輝度より、減光量が小さくなる。つまり、もともと高い輝度を有する画素の輝度は、輝度補正後も高い状態が維持される。よって、輝度補正後の画像においても、視覚的に明るさが維持されるので、人により視認されにくくなる。
【0014】
例えば、前記輝度補正ステップに入力される各画素の輝度を第1の輝度、前記輝度補正ステップによる輝度補正後の各画素の輝度を第2の輝度、前記第1の代表輝度を前記1つのブロック内の各画素毎の前記第1の輝度の平均値、前記明輝度を前記1つのブロック内の各画素の前記第1の輝度の最大値とするとき、前記補正方法は、前記複数のブロックのそれぞれ毎に、前記複数のブロックのうちの前記1つのブロック内の前記平均値、および、前記1つのブロック内の前記最大値に基づいて、各画素の前記第1の輝度を前記第2の輝度に補正する。
【0015】
これにより、1つのブロック内の画素の輝度の平均値と最大値とを用いて、当該ブロック内の各画素の輝度を補正することができる。例えば、全体的に暗いところで際立って明るい部分(画素)がある場合を考慮して補正を行うことができる。
【0016】
例えば、前記補正方法は、前記平均値と前記最大値との差に基づいて、各画素の前記第1の輝度を前記第2の輝度に補正する。例えば、前記補正方法は、前記平均値と前記最大値との差が大きいほど、前記第1の輝度と前記第2の輝度との輝度差が小さくなるように補正する。
【0017】
これにより、輝度の平均値と最大値との輝度差を用いて、1つのブロック内に含まれる各画素の輝度を補正することができる。例えば、輝度差が大きい場合に、当該ブロックに含まれる各画素の輝度の減光量が小さくなるように補正される。つまり、1つのブロック内に際立って明るい画素がある場合に、当該明るい画素の輝度を維持した中で、輝度を下げる補正を行うことができる。人は、背景が暗いほど明るい部分の明るさをより明るいと感じやすい視覚特性を有する。よって、明るい画素の輝度を維持することで、輝度補正したことがより視認されにくくなる。
【0018】
例えば、前記輝度補正ステップに入力される各画素の輝度を第1の輝度、前記輝度補正ステップによる輝度補正後の各画素の輝度を第2の輝度とするとき、前記補正方法は、前記複数のブロックそれぞれ毎に当該ブロック内の各画素の前記第1の輝度に対し、第1の輝度閾値よりも高い輝度を有する画素の画素数に基づいて、当該ブロック内の各画素の前記第1の輝度を前記第2の輝度に補正する。
【0019】
これにより、1つのブロック内の第1の輝度閾値より明るい輝度を有する画素の画素数を用いて、各画素の輝度を補正することができる。例えば、明るい部分の面積に応じて、輝度補正を行うことができる。
【0020】
例えば、前記補正方法は、前記画素数が多いほど、前記第1の輝度と前記第2の輝度との差が小さくなるように補正する。
【0021】
これにより、第1の輝度閾値より明るい画素の画素数が多い場合に、当該ブロックに含まれる画素の輝度の減光量が小さくなるように補正される。つまり、1つのブロック内において明るい部分の面積が大きい場合に、当該明るい画素の輝度を維持した中で、輝度を下げる補正を行うことができる。人は、明るい部分の面積が大きいほどより明るいと感じやすい視覚特性を有する。よって、明るい部分の面積を維持することで、輝度補正したことがより視認されにくくなる。
【0022】
例えば、前記輝度補正ステップに入力される各画素の輝度を第1の輝度、前記輝度補正ステップによる輝度補正後の各画素の輝度を第2の輝度とするとき、前記輝度補正ステップは、前記複数のブロックのうちの1つのブロック内の各画素の前記第1の輝度の平均値と、前記1つのブロック内の各画素の前記第1の輝度の最大値との差に基づいて第1の係数を求める第1のサブステップと、前記1つのブロック内の各画素の前記第1の輝度に対し、第1の輝度閾値よりも高い輝度を有する画素の画素数に基づいて第2の係数を求める第2のサブステップと、前記第1の係数と前記第2の係数とを用いて、前記1つのブロック内の各画素の前記第1の輝度を補正して、前記第2の輝度を算出する第3のサブステップとを含む。
【0023】
これにより、人が有する2つの視覚特性を考慮してブロック内の各画素の輝度を補正することができるので、さらに人に視認されにくくなる。
【0024】
例えば、前記第1の係数をCmi、前記第2の係数をCbi、0以上1以下の値をα、第3の係数をCi=α×Cmi+(1-α)×Cbiとするとき、前記第3のサブステップでは、前記1つのブロック内の各画素の前記第1の輝度を前記第3の係数を用いて補正し、前記第2の輝度を算出する。
【0025】
これにより、係数αを変更することで、2つの視覚特性の優先度を変更することができる。よって、輝度を補正する自由度を高めることができる。
【0026】
例えば、前記輝度補正ステップに入力される各画素の輝度を第1の輝度、前記輝度補正ステップによる輝度補正後の各画素の輝度を第2の輝度とするとき、前記輝度補正ステップは、前記複数のブロックのそれぞれ毎に、前記複数のブロックのうちの1つのブロック内の画素の輝度に基づく第2の代表輝度と、前記1つのブロック内の画素の輝度に基づく減光係数とを用いて、前記1つのブロックにおける輝度の代表値である仮想輝度を1つ設定する第1のサブステップと、前記複数のブロックのそれぞれ毎に設定される前記仮想輝度に基づいて、各画素の前記第1の輝度を前記第2の輝度に補正する第2のサブステップとを含む。
【0027】
これにより、ブロック毎に設定される仮想輝度を用いることで、ブロック毎の明るさの相対関係を知ることができる。そして、仮想輝度の相対関係に基づいて各画素の輝度を補正することで、輝度補正したことを人に認識されにくくすることができる。
【0028】
例えば、前記第2のサブステップでは、前記複数のブロックのうちの前記1つのブロックにおける第1の仮想輝度の輝度分布に基づく、前記1つのブロックの周辺のブロックに対する前記第1の仮想輝度の寄与分を、前記周辺のブロックの第2の仮想輝度に加算する。
【0029】
これにより、仮想輝度を、背景が暗いほど明るい部分の明るさをより明るいと感じやすい視覚特性を用いて算出することができる。そして、当該仮想輝度を用いて各画素の輝度を補正することで、輝度補正したことを人に認識されにくくすることができる。
【0030】
例えば、前記減光係数は、前記1つのブロック内の各画素の輝度の平均値と、前記1つのブロック内の各画素の輝度の最大値との差に基づいて算出される。
【0031】
これにより、仮想輝度を、輝度補正前の複数のブロックのそれぞれごとに当該ブロックに含まれる画素の輝度の最大値を用いて算出することができる。そして、当該仮想輝度を用いて輝度補正することで、輝度補正したことを人に認識されにくくすることができる。
【0032】
例えば、前記第2の代表輝度は、前記1つのブロック内の各画素の輝度の最大値である。
【0033】
これにより、1つのブロックの明るさが他のブロックの明るさに与える影響を考慮して、輝度補正を行うことができるので、さらに人に認識されにくくなる。
【0034】
例えば、前記補正方法は、前記第2の輝度が第2の輝度閾値を下回った場合に、前記第2の輝度を前記第2の輝度閾値とすることを含む。
【0035】
これにより、輝度補正ステップで極端に輝度が低下する場合に、輝度補正前後の輝度差の変化を抑制することができるので、輝度補正したことを人に認識されにくくすることができる。
【0036】
例えば、前記輝度補正ステップより後段のステップでは、輝度について補正が行われない。
【0037】
これにより、確実に消費電力を低減することができる。
【0038】
例えば、前記複数のブロックの形状は、すべて同じである。
【0039】
これにより、形状が同じ複数のブロック毎に輝度補正を行うことができる。
【0040】
また、本発明の一態様に係る輝度決定装置は、自発光素子を備える表示装置の各画素の輝度を決定する輝度決定装置であって、1画像を互いに重ならない複数のブロックに分割し、前記複数のブロックのそれぞれ毎に、前記複数のブロック毎に定まる補正方法で前記複数のブロック内の画素に対し、輝度を下げる補正をする制御部を備える。
【0041】
これにより、輝度決定装置は、ブロック単位で、当該ブロックごとに定まる補正方法を用いて輝度を下げる補正を行うことができるので、輝度傾斜などによる補正または1画面を一律に補正する場合に比べ、より細かく輝度を補正することができる。よって、本発明の一態様に係る輝度決定装置は、人に視認されにくく、かつ表示装置の寿命を延ばすことができる。
【0042】
また、本発明の一態様に係る映像表示装置は、上記の輝度決定装置と、前記輝度決定装置が決定した輝度の画像を表示する表示装置であって、自発光素子を備える表示装置とを備える。
【0043】
これにより、人に視認されにくく、かつ寿命が延びた表示装置を備える映像表示装置を実現することができる。
【0044】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0045】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0046】
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0047】
(実施の形態1)
[1-1.映像表示装置の構造]
まず、図1および図2を参照しながら、本実施の形態に係る輝度決定装置30を備える映像表示装置10の構造について説明する。
【0048】
図1は、本実施の形態に係る映像表示装置10の外観を示す図である。図2は、本実施の形態に係る映像表示装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0049】
図1に示すように、本実施の形態に係る映像表示装置10は、例えば、テレビなどの映像を表示する薄型ディスプレイ装置などである。なお、映像表示装置10が表示する映像は、特に限定されない。映像は、動画像であってもよいし、静止画像であってもよい。また、映像は、文字または数字などを含んでいてもよい。以下では、単に画像と記載する。
【0050】
図1および図2に示すように、映像表示装置10は、取得部20と、輝度決定装置30と、表示装置40とを備える。なお、本実施の形態では、輝度決定装置30は、映像表示装置10に組み込まれている例を示しているが、映像表示装置10と別体であってもよい。
【0051】
取得部20は、表示装置40が表示するための画像(画像信号)を取得する。取得部20は、映像表示装置10がデジタル放送などの放送波に基づく画像(例えば、動画像)を表示する場合、デジタル放送波の受信およびデコード等の信号処理を行う。この場合、取得部20は、例えば、少なくとも1つのチューナを有する。チューナは、アンテナ(図示しない)が受信した放送波からユーザが選局したチャンネルの信号を抽出し、当該信号を復調する。取得部20は、放送波を受信することで、表示装置40が表示するための画像を受信する。なお、インターネット等のネットワークから画像を取得する場合、無線通信モジュールまたは有線通信モジュールなどが取得部20に相当する。また、記憶媒体(例えば、ブルーレイディスクなど)に記憶されているデータ(コンテンツ)を再生する映像再生装置またはゲーム機などから画像を取得する場合、有線通信モジュール又は無線通信モジュールなどが取得部20に相当する。
【0052】
取得部20は、取得した画像を輝度決定装置30に出力する。
【0053】
輝度決定装置30は、取得部20から取得した画像に所定の補正を行い、表示装置40に出力する。輝度決定装置30は、制御部31と記憶部32とを備える。
【0054】
制御部31は、取得部20から取得した画像に所定の補正を行う処理部である。表示装置40がOLEDを有する場合、取得部20から取得した画像の階調値(すなわち輝度)をそのまま表示装置40に出力すると、表示装置40での消費電力量が大きくなり、高階調(すなわち、高輝度)の画素の寿命が短くなる。また、画素の寿命が近くなるにつれて、焼き付きの度合は強くなる。そこで、制御部31は、表示装置40の寿命を延ばすための補正を行う。具体的には、制御部31は、画像の輝度を下げる補正を行う。なお、焼き付きを抑えるために画像の輝度を一律に下げると、画面全体が暗くなり、OLEDの利点である広ダイナミックレンジを活かすことができなくなる。そこで、制御部31は、次に述べる人の目の視覚特性を考慮して、補正を行う。
【0055】
1つ目の視覚特性は、人は、背景が暗いほど明るい部分の明るさをより明るいと感じやすいという特性である。言い換えると、人は、全体的に暗いところで際立って明るい部分があるとき、同じ輝度でもより明るいと感じる。そこで、制御部31は、全体的に暗いところで際立って明るい部分がある場合、その明るい部分の輝度の下げ量を他の部分の輝度の下げ量に比べ小さくするように補正する。制御部31は、例えば、当該明るい部分の明るさを維持する補正を行ってもよい。なお、1つ目の視覚特性を視覚特性1とも記載する。
【0056】
2つ目の視覚特性は、人は、1画面上において、明るい部分の面積が大きいほど明るさをより明るいと感じやすいという特性である。そこで、制御部31は、1画面上の明るい部分が多い領域の画素の輝度の下げ量を、明るさが暗い部分が多い領域の画素の輝度の下げ量に比べ小さくするように補正する。なお、制御部31は、例えば、所定領域における明るい部分の面積が所定以上である場合、所定領域における明るさを維持する補正を行ってもよい。なお、2つ目の視覚特性を視覚特性とも記載する。
【0057】
制御部31は、上記の2つの人の視覚特性のうちの少なくとも一方を考慮して、輝度を下げる補正を行う。制御部31の処理の詳細については、後述する。
【0058】
なお、制御部31が行う処理は、上記に限定されない。制御部31は、表示装置40の寿命を延ばすための処理以外の処理を行ってもよい。具体的には、制御部31は、従来から行われている画質調整処理を行ってもよい。制御部31は、例えば、色(色相、彩度、明度)調整、階調補正、輪郭強調補正、ノイズ除去などの処理を行ってもよい。制御部31が行う、従来から行われている画質調整処理を、典型的な画質調整処理とも記載する。また、上記2つの人の視覚特性を考慮して、表示装置40の寿命を延ばすための輝度を下げる処理を輝度補正処理とも記載する。また、本発明における輝度補正とは、輝度を下げる補正である。よって、輝度補正処理後の輝度は、輝度補正前の輝度以下となる。
【0059】
制御部31は、例えば、マイクロコンピュータまたはプロセッサによって実現される。
【0060】
記憶部32は、制御部31が実行する制御プログラムが記憶される記憶装置である。記憶部32は、典型的な画質調整処理、および、輝度補正処理を実行するための関数、および、ルックアップテーブルなどを記憶する。
【0061】
表示装置40は、輝度決定装置30から出力された画像信号に基づいて画像を表示する表示ディスプレイである。表示装置40は、有機ELディスプレイまたは無機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイなどの自発光素子を備える表示ディスプレイであり、複数の画素が格子状又はハニカム状に配置されている。表示装置40は、カラー表示を行うディスプレイであってもよいし、モノクロ表示を行うディスプレイであってもよい。表示装置40に表示された画像を人50が視認する。
【0062】
[1-2.輝度決定装置の処理]
次に、図3図7を参照しながら、本実施の形態に係る輝度決定装置30の処理について説明する。
【0063】
図3は、本実施の形態に係る輝度決定装置30の動作を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、例えば、1画像(1フレーム)毎に行われる。
【0064】
図3に示すように、制御部31は、まず典型的な画質調整処理、および、輝度補正処理を行うための値(設定値)を記憶部32から読み出し設定する(S10)。そして、制御部31は、典型的な画質調整処理、および、輝度補正処理のうち、典型的な画質調整処理を先に行う(S20)。具体的には、制御部31は、色調整、および、階調補正などの処理を行う。制御部31は、典型的な画質調整処理を行った後、輝度補正処理(図3に示すS30~S70)を行う。また、輝度補正処理が行われた画像は、それ以降の処理において輝度についての補正は行われない。言い換えると、制御部31が行う画像処理において、輝度補正処理は最終段階で実施される。そして、輝度補正処理が行われた画像が表示装置40によって表示される。
【0065】
輝度補正処理では、まず一画像を互いに重ならない仮想ブロックに分割する処理が行われる(S30)。制御部31は、表示する画像に応じた輝度補正を行うために、自発光素子を備える表示装置40の画面を互いに重ならない複数の仮想ブロックに分割する。つまり、制御部31は、表示装置40の画面に表示される1画像を複数の仮想ブロックに分割する。そのため、画像に応じて、輝度補正処理における補正量(輝度の下げ量)は変化する。なお、ステップS30は、分割ステップの一例である。
【0066】
ここで、図4を参照しながら、仮想ブロックについて説明する。
【0067】
図4は、本実施の形態に係る画像を仮想ブロックに分割する様子を模式的に示す図である。図4では、一例として夕焼けの画像を示している。
【0068】
図4の(a)は、典型的な画質調整処理が行われた画像を示している。図4の(a)に示す画像は、仮想ブロック60に分割される前の画像である。
【0069】
図4の(b)は、ステップS30で画像が複数の仮想ブロック60に分割された様子を示している。図4の(b)では、1画像が縦7分割、横10分割された例を示しているが、分割数は特に限定されない。また、図4の(b)では、複数の仮想ブロック60のそれぞれが同じ形状である例を示しているが、これに限定されない。制御部31は、画像の中央部と周辺部とで、仮想ブロック60の大きさを変えてもよい。制御部31は、例えば、人が注視しやすい画像の中央部の仮想ブロック60の大きさを画像の周辺部の仮想ブロック60の大きさより小さく設定してもよい。また、仮想ブロック60の形状は、矩形であることに限定されず、多角形であってもよいし、円形であってもよい。また、1画像において、異なる形状の仮想ブロック60が混在していてもよい。なお、複数の仮想ブロック60のそれぞれは、2以上の画素(画素群)を含んで構成される。また、以降において、仮想ブロック60を単にブロック60とも記載する。仮想ブロック60は、以下に示す輝度補正処理を行うために設定される仮想的な領域である。
【0070】
図3を再び参照して、制御部31は、各ブロック60に含まれる画素群中の最大輝度、平均輝度、および、輝度Tb以上の画素数の数をカウントする(S40)。つまり、制御部31は、各ブロック60それぞれに輝度を算出し、画素数をカウントする。制御部31は、1つ目の視覚特性を考慮して輝度補正を行うために、最大輝度、および、平均輝度を複数のブロック60それぞれ毎に算出する。また、制御部31は、2つ目の視覚特性を考慮して輝度補正を行うために、複数のブロックそれぞれ毎に、当該ブロックに含まれる輝度Tb以上の画素数をカウントする。なお、仮想ブロックのサイズが一定でない場合、都度仮想ブロック中の全画素数をカウントしておいてもよい。
【0071】
制御部31は、複数のブロック60のそれぞれにおいて、複数のブロック60のうちの1つのブロック内の複数の画素のうち輝度が最大である画素の輝度を最大輝度とし、1つのブロック内の複数の画素の輝度の平均値を平均輝度として算出する。平均輝度は、第1の代表輝度の一例であり、最大輝度は、平均輝度より明るい明輝度の一例である。なお、第1の代表輝度は、平均輝度に限定されず、1つのブロック60に含まれる画素の最大輝度と最小輝度との中央値である中央輝度であってもよいし、複数の明るい輝度の平均値と複数の暗い輝度の平均値との中央値などであってもよい。また、明輝度は、最大輝度に限定されず、1つのブロック内において2番目に明るい輝度であってもよいし、3番目に明るい輝度であってもよいし、複数の明るい輝度(例えば、1つのブロック内における明るさが高い上位5つの輝度)の平均値などであってもよい。明輝度を算出するための画素は、例えば、第1の代表輝度を算出するために用いられた画素の中から選択された画素であって、第1の代表輝度より高い輝度を有する画素であってもよい。本実施の形態では、明輝度を算出する画素は、第1の代表輝度がブロック60内を構成する全画素の輝度の平均値であるので、当該ブロック60内のうち第1の代表輝度より高い輝度を有する画素から選択される。
【0072】
なお、詳細は後述するが、制御部31は、第1の代表輝度に対する明輝度の輝度が大きいほど、当該ブロックを構成する各画素の輝度を下げる程度を小さくしてもよい。制御部31は、上記の1つ目の視覚特性を考慮し、明輝度の明るさが明るいほど、当該明輝度を含むブロックの輝度を維持する補正を行う。なお、維持とは、画素の輝度が輝度補正前の輝度と同等である、または他のブロックより輝度の低下が小さいことを意味する。
【0073】
また、制御部31は、1つのブロックに含まれる画素のうち、輝度Tb以上の画素の数をカウントする。輝度Tbは、予め設定される値であり、第1の輝度閾値の一例である。なお、輝度Tbは、1つの画像に1つ設定される。つまり、輝度Tbは、複数のブロック60に共通の値である。
【0074】
なお、制御部31は、複数のブロック60毎に当該ブロックに含まれる画素数が異なる場合、ステップS40において、当該ブロックに含まれる総画素数における輝度Tb以上の画素数の割合を算出してもよい。
【0075】
次に、制御部31は、各ブロック60の輝度を補正する(S50)。制御部31は、複数のブロック60のそれぞれ毎に、輝度を補正する。本実施の形態では、1つのブロック60において1つの補正係数(減光係数)が決定され、当該ブロック60に含まれる画素は全て一律に減光される。ここで、図5Aおよび図5Bを参照しながら、ステップS50の詳細について説明する。具体的には、1つ目の視覚特性を考慮して輝度補正を行う例について説明する。
【0076】
図5Aは、本実施の形態に係る補正方法のフローチャートの一例を示す図である。なお、上述したが、輝度決定装置30は、複数のブロック60毎に輝度の補正を行う。言い換えると、輝度の補正方法は、複数のブロック60毎に定まる。
【0077】
図5Aに示すように、制御部31は、まず、複数のブロック60のうち、輝度補正を行うブロックである対象ブロックiにおいて、最大輝度と平均輝度とに基づく減光係数Cmiの算出を行う(S51a)。減光係数Cmiは、対象ブロックiに含まれる画素の輝度を補正する(下げる)ための補正係数である。減光係数Cmiは、最大輝度と平均輝度との差に基づいて算出される。具体的には、減光係数Cmiは、輝度の分解能がnbitのときの画素値の最大値(例えば、8bitのときは、255)をNmax(n)、対象ブロックiにおける最大輝度をVmi、対象ブロックiにおける平均輝度をVai、最大輝度と平均輝度との差をDi(=Vmi-Vai)とすると、例えば、
Cmi=(1-Cm)×Di/Nmax(n)+Cm (式1)
により算出される。ただし、式1におけるCmは、0<Cm<1を満たす値である。
【0078】
式1に示すように、減光係数Cmiは、1未満の値となる。具体的には、減光係数Cmiは、最大輝度と平均輝度との差が大きいほど、1に近い数値となる。逆に最大輝度と平均輝度との差が仮に0であるとき、Cmi=Cmとなり、Cmは減光の効果が最大になるときの減光係数Cmiをあらわす。すなわち、Cmは、減光係数Cmiの最小値を示す値である。最小値Cmは、例えば、予め定められた値であってもよいし、最大輝度と平均輝度との差が大きいほど1に近い数値となるように設定される値であってもよい。
【0079】
上記のような減光係数Cmiを用いることで、対象ブロックiにおいて際立って明るい部分(画素)があると、減光量は小さくなる。例えば、画素値の最大値Nmax(n)が255(8bit)であり、最大輝度Vmiに対応する画素値が200、平均輝度Vaiに対応する画素値が150、Cm=0.8であるとき、減光係数Cmiは、およそ0.84となる(輝度がもとの輝度の84%に減光される)。なお、(式1)では、減光係数Cmiと最大輝度と平均輝度との差Di(以降において、輝度差Diとも記載する)の関係を線形としたが、輝度差Diがとりうる範囲で、減光係数Cmiが輝度差Diの単調増加関数であればよい。
【0080】
そして、制御部31は、対象ブロックiの減光係数を減光係数Cmiとして設定し(S52a)、対象ブロックi内の各画素の輝度値を、減光係数Cmiを用いて補正する(S53a)。具体的には、制御部31は、各画素毎に当該画素の輝度値に減光係数Cmiを乗算することで、補正を行う。制御部31は、各画素の輝度補正前の輝度を減光係数Cmiで補正して、輝度補正後の輝度を算出する。各画素における輝度補正前の輝度は、第1の輝度の一例であり、輝度補正後の輝度は、第2の輝度の一例である。第2の輝度は、第1の輝度以下の輝度である。制御部31は、最大輝度と平均輝度との差が大きいほど、第1の輝度と第2の輝度との差が小さくなるように補正する。
【0081】
これにより、制御部31は、1つ目の視覚特性を考慮した上で、対象ブロックiの輝度を補正することができる。対象ブロックiにおいて際立って明るい部分(画素)があると、際立って明るい部分(画素)がない、または、明るい部分の際立ちが小さい(つまり、最大輝度と平均輝度との差が小さい)場合に比べ減光量が小さくなるので、人は、輝度補正後の画像においても明るさを感じることができる。つまり、輝度補正をしても、人に視認されにくい。また、最大輝度と平均輝度とが小さいブロック60では、減光量が大きくなるので表示装置40の消費電力を低減することができ、表示装置40の寿命を延ばすことができる。
【0082】
なお、後述する式3を用いて第1の輝度を補正する減光係数Cmiを算出する場合、ステップS40において輝度Tb以上の画素数のカウントが行われる。また、平均輝度は、対象ブロックiに含まれる個々の画素の輝度を累積したものを画素数で除算することで算出される。また、減光係数Cmiは、第1の係数の一例である。
【0083】
図3を再び参照して、ステップS50の次に、輝度の補正が全てのブロックで終了したか否かの判定が行われる(S60)。制御部31は、複数のブロック60のそれぞれにおいて、減光係数Cmiを算出し、輝度を補正する。制御部31が複数のブロックの全てにおいて輝度の補正が行われたと判定する(S60でYes)と、最低輝度保証処理が行われる(S70)。
【0084】
最低輝度保証処理は、第2の輝度が所定の輝度を下回った場合に、第2の輝度を所定の輝度とする処理である。表示装置40が動画像を表示している場合、明るい画素が経時的に変化する。一方、複数のブロック60は、固定されているので、当該ブロック60に含まれる明るい画素の画素数が経時的に変化する。明るい画素の画素数が極端に変化する(多い⇒少ない⇒多いなど)と、当該ブロック60は、明暗を繰り返しているように見えることがある。そこで、制御部31は、第2の輝度が予め定めた所定の輝度以下となったときに、第2の輝度を所定の輝度とすることで、補正前後での輝度差が所定以上とならないようにする。よって、補正前後における明暗の輝度差が小さくなるので、明暗を繰り返しているように見えることを抑制することができる。所定の輝度は、例えば、輝度の分解能がnbitのときの画素値の最大値(例えば、8bitのときは、255)から減光した場合に人に認識されにくい程度の輝度であり、一例として画素値の最大値の半分の値(例えば、8bitのときは、128)の対応する輝度である。所定の輝度は、第2の輝度閾値の一例である。
【0085】
図5Bは、図5Aの補正方法における、本実施の形態に係る輝度補正前後の画像を示す図である。図5Bの(a)は、輝度補正前後の輝度の関係を示すグラフであり、図5Bの(b)は、輝度補正前の画像(入力画像)であり、図5Bの(c)は、輝度補正後の画像(出力画像)である。表示装置40には、出力画像が表示される。また、図5Bの(b)および図5Bの(c)内の四角枠は、画像内の1つのブロック60を示している。
【0086】
図5Bの(a)は、横軸が輝度補正前のブロック60内の最大輝度と平均輝度との輝度差を示しており、縦軸は輝度補正後のブロック60内の輝度(輝度補正後における最大輝度)を示している。
【0087】
図5Bの(a)に示すように、1つのブロック60内における輝度差(階調差)が大きいほど、輝度補正後の輝度が大きい。つまり、輝度補正後のブロック60内に含まれる最大輝度の輝度値が大きい。
【0088】
図5Bの(b)において輝度差(階調差)が大きいブロック60aは、図5Bの(c)において高輝度を維持している。また、図5Bの(b)において輝度差が小さいブロック60bは、図5Bの(c)において輝度差が大きいブロックに比べ輝度が大きく低下している。制御部31は、明るさを維持しなくてもよいブロック60bの輝度を、より大きく低下させる。
【0089】
図3を再び参照して、制御部31が複数のブロック60の全てにおいて輝度の補正が行われていないと判定する(S60でNo)と、ステップS40に戻り、残りのブロック60においてステップS40およびS50の処理が行われる。なお、複数のブロック60においてステップS40およびS50が実施される順番は特に限定されないが、一例としてラスタ順に実施される。
【0090】
上記のステップS40~S70は、輝度補正ステップの一例である。輝度補正ステップでは、複数のブロック60のそれぞれ毎に、複数のブロック60のそれぞれ毎に定まる補正方法で複数のブロック60内の画素に対し、輝度を下げる補正が行われる。また、第1の輝度は、輝度補正ステップに入力される各画素の輝度であり、例えば、ステップS20における典型的な画質調整処理が行われた輝度である。また、ステップSS40及びS50により輝度の補正を行うことは、複数のブロック60毎に定まる補正方法の一例である。
【0091】
なお、制御部31が行う輝度の補正方法は、これに限定されない。図6A図7を参照しながら、制御部31が行う輝度の補正方法の他の例について説明する。
【0092】
図6Aは、本実施の形態に係る補正方法のフローチャートの他の例を示す図である。図6Aは、図3に示すステップS50における処理の他の例を示す。具体的には、図6Aでは、2つ目の視覚特性を考慮して輝度補正を行う例について説明する。
【0093】
図6Aに示すように、制御部31は、まず、複数のブロック60のうち、輝度補正を行うブロックである対象ブロックiにおいて、輝度Tbに基づく減光係数Cbiの算出を行う(S51b)。減光係数Cbiは、対象ブロックiに含まれる画素の輝度を補正するための補正係数である。減光係数Cbiは、対象ブロックiに含まれる複数の画素のうち、輝度Tb以上の輝度を有する画素の画素数に基づいて算出される。具体的には、減光係数Cbiは、対象ブロックiに含まれる画素数をNtot、高輝度と見做す輝度の閾値をTb、対象ブロックiにおける輝度Tb以上の輝度値を有する画素の画素数をNiとすると、
Cbi=(1-Cb)×Ni/Ntot+Cb (式2)
により算出される。ただし、式2におけるCbは、0<Cb<1を満たす値である。
【0094】
式2に示すように、減光係数Cbiは、1以下の値となる。具体的には、減光係数Cbiは、輝度Tb以上の輝度値を有する画素の画素数が多いほど、1に近い数値となる。逆に輝度Tb以上の輝度値を有する画素の画素数が0であれば、Cbi=Cbとなり、したがってCbは減光の効果が最大になるときの減光係数Cbiをあらわす。すなわち、Cbは、減光係数Cbiの最小値を示す値である。最小値Cbは、例えば、予め定められた値であってもよいし、輝度Tbの値に応じて例えば輝度Tbが低いほど1に近い数値となるように設定される値であってもよい。
【0095】
上記のような減光係数Cbiを用いることで、対象ブロックiにおいて際立って明るい部分(画素)が多いと、減光量は小さくなる。例えば、画素数Ntotが256(例えば、縦16画素×横16画素)であり、輝度Tbが180であるときの画素数Niが50であるとき、最小値Cb=0.8とすれば減光係数Cbiは、およそ0.84となる。式2は画素数Niのみに関係するので、輝度Tb=180における画素数Ni=50と輝度Tb=200における画素数Ni=50の場合で減光係数Cbiに違いは出ない。しかし、後者の方が明らかに、より明るい状態であり、明るさを維持したいケースであるので、式2にその意味を含める場合は、さらに輝度Tbに関する項を加える必要がある。
【0096】
そして、制御部31は、対象ブロックiの減光係数を減光係数Cbiとして設定し(S52b)、対象ブロックi内の各画素の輝度値を、減光係数Cbiを用いて補正する(S53b)。具体的には、制御部31は、各画素毎に当該画素の輝度値に減光係数Cbiを乗算することで、補正を行う。制御部31は、各画素の輝度補正前の輝度を減光係数Cbiで補正して、輝度補正後の輝度を算出する。各画素における輝度補正前の輝度は、第1の輝度の一例であり、輝度補正後の輝度は、第2の輝度の一例である。第2の輝度は、第1の輝度以下の輝度である。制御部31は、画素数Niが多いほど、第1の輝度と第2の輝度との差が小さくなるように補正する。
【0097】
これにより、制御部31は、2つ目の視覚特性を考慮した上で、対象ブロックiの輝度を補正することができる。対象ブロックiにおいて際立って明るい部分(画素)が多いと、際立って明るい部分(画素)がない、または、明るい部分の際立ちが少ない(つまり、輝度Tb以上の画素数が少ない)場合に比べ減光量が小さくなるので、人は、輝度補正後の画像においても明るさを感じることができる。つまり、輝度補正をしても、人に視認されにくい。また、画素数Niが少ないブロック60では、減光量が大きくなるので表示装置40の消費電力を低減することができ、表示装置40の寿命を延ばすことができる。なお、減光係数Cbiは、第2の係数の一例である。
【0098】
図6Bは、図6Aの補正方法における、本実施の形態に係る輝度補正前後の画像を示す図である。図6Bの(a)は、輝度補正前後の輝度の関係を示すグラフであり、図6Bの(b)は、輝度補正前の画像(入力画像)であり、図6Bの(c)は、輝度補正後の画像(出力画像)である。図6Bの(b)および図6Bの(c)内の四角枠は、画像内の1つのブロックを示している。
【0099】
図6Bの(a)は、横軸が輝度補正前のブロック内の輝度Tb以上の画素数Niを示しており、縦軸は輝度補正後のブロック60内の輝度(輝度補正後における最大輝度)を示している。
【0100】
図6Bの(a)に示すように、1つのブロック60内における画素数Niが多いほど、輝度補正後の輝度が大きい。つまり、輝度補正後のブロック60内に含まれる最大輝度の輝度値が大きい。
【0101】
図6Bの(b)において画素数Niが多いブロック60cは、図6Bの(c)において高輝度を維持している。また、図6Bの(b)において画素数Niが少ないブロック60dは、図6Bの(c)において画素数Niが多いブロック60cに比べ輝度が大きく低下している。
【0102】
図7は、本実施の形態に係る補正方法のフローチャートの他の例を示す図である。図7は、図3に示すステップS50における処理の他の例を示す。具体的には、図7では、1つ目の視覚特性および2つ目の視覚特性の両方を考慮して輝度補正を行う例について説明する。
【0103】
例えば、式1によれば、最大輝度と平均輝度の差が小さい場合は、減光の割合は大きくなるが、全体が非常に明るく、その明るさが最大輝度に近い場合は、実はあまり減光せずに明るさを維持したいこともある。その際には式2での減光も加味し、ある閾値輝度よりも明るい画素が多いという観点で、減光の割合を下げる(減光係数を小さくしない)ということに対応する。
【0104】
図7に示すように、制御部31は、まず、複数のブロック60のうち、輝度補正を行うブロックである対象ブロックiにおいて、最大輝度と平均輝度とに基づく減光係数Cmi(第1の係数の一例)の算出を行う(S51c)。これは、図5Aに示すステップS51aと同様であり、説明を省略する。また、制御部31は、対象ブロックiにおいて、輝度Tbに基づく減光係数Cbi(第2の係数の一例)の算出を行う(S52c)。これは、図6Aに示すステップS51bと同様であり、説明を省略する。ステップS51cは、第1の係数を求める第1のサブステップの一例であり、ステップS52cは、第2の係数を求める第2のサブステップの一例である。
【0105】
そして、制御部31は、減光係数Cmiと減光係数Cbiとに基づいて、ブロック60内の各画素の輝度を補正する。制御部31は、1つ目の視覚特性と2つ目の視覚特性とを考慮するための係数である減光係数Ciを算出する(S53c)。減光係数Ciは、例えば、0以上1以下の値を係数α=Di/Nmax(n)とすると、0≦α≦1で、
Ci=α×Cmi+(1-α)×Cbi (式3)
により算出される。減光係数Ciは、対象ブロックiに含まれる画素の輝度を補正するための補正係数である。係数αは、減光係数のブレンド率(重みづけ係数)である。
【0106】
式3に示すように、定性的にαが1に近い場合は、Cmi(視覚特性1による減光係数)の影響が大きく、αが0に近い場合は、Cbi(視覚特性2による減光係数)の影響が大きくなると言える。
【0107】
すなわち、全体が明るく、最大輝度と平均輝度の際が小さい場合(αが0に近い場合)は、Cbiの影響が大きくなることにより、全体が明るいことからCbiの値は大きく、したがって、減光係数Ciは大きさが維持されることになる(減光の割合が小さい)。
【0108】
なお、式3のように、減光係数CmiおよびCbiに重みづけをすることなく、減光係数CmiおよびCbiの平均値(つまり、係数αが0.5のとき)を減光係数Ciとしてもよい。また、減光係数Ci(C)は、第3の輝度の一例である。
【0109】
そして、制御部31は、対象ブロックiの減光係数を減光係数Ciとして設定し(S54c)、対象ブロックi内の各画素の輝度値を、減光係数Ciを用いて補正する(S55c)。具体的には、制御部31は、各画素毎に当該画素の輝度値に減光係数Ciを乗算することで、補正を行う。なお、ステップS53c~S55cは、第1の輝度を補正して第2の輝度を算出する第3のサブステップの一例である。第1~第3のサブステップ(S51c~S55c)は、輝度補正ステップに含まれる。
【0110】
これにより、制御部31は、1つ目の視覚特性と2つ目の視覚特性とを考慮した上で、対象ブロックiの輝度を補正することができる。また、2つの視覚特性の優先度に応じて重みづけ(係数α)を調整することで、輝度補正の自由度を高めることができる。
【0111】
[1-3.効果など]
図3等に示す輝度決定方法によれば、1画像を複数の仮想ブロック60に分割して、当該仮想ブロック60毎に1つ目の視覚特性および2つ目の視覚特性の少なくとも一方を用いて輝度を下げる補正が行われるので、人に視認されにくく、かつ表示装置40の寿命を延ばすことができる。また、表示装置40に表示される画像に応じて、輝度を下げる補正を行うことができる。
【0112】
(実施の形態2)
[2-1.輝度決定装置の処理]
以下、図8図16を参照しながら、本実施の形態に係る輝度決定装置30の処理について説明する。本実施の形態では、実施の形態1と異なる点について説明し、実施の形態1と同様の構成については説明を省略または簡略化する場合がある。例えば、輝度決定装置30および当該輝度決定装置30を備える映像表示装置10の構成は、実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
【0113】
図8は、本実施の形態に係る輝度決定装置30の動作を示すフローチャートである。表示装置40が動画像を表示している場合、明るい画素の位置が経時的に変化する。一方、複数の仮想ブロック60は、固定されているので、当該仮想ブロック60に含まれる明るい画素の画素数が経時的に変化する。明るい画素の画素数が極端に変化する(多い⇒少ない⇒多いなど)と、当該仮想ブロック60は、明暗を繰り返しているように見えることがある。そこで、制御部31は、図8に示す処理を行うことで、当該明暗が生じることを抑制する。
【0114】
図8に示すように、各仮想ブロック60の仮想輝度を計算した(S100)後、各仮想ブロック60の仮想輝度に基づく各画素の出力階調(すなわち、輝度)を計算する処理が行われる(S200)。仮想輝度は、仮想ブロック60間の輝度の相対的な関係を把握するために、仮想ブロック60のそれぞれ毎に設定される輝度である。本実施の形態では、仮想輝度は、輝度補正後の仮想ブロック60内の画素の最大輝度である。仮想輝度は、輝度補正前の仮想ブロック60内の輝度の最大輝度に、実施の形態1に示す減光係数(例えば、減光係数Cmi)を乗算して算出される。
【0115】
本実施の形態では、人の目の視覚特性に加え、さらに、1つの仮想ブロック60の輝度が他の仮想ブロック60(例えば、1つの仮想ブロック60の周囲に位置する仮想ブロック60)の輝度に与える影響を考慮して、輝度補正を行う。ステップS100は、1つの仮想ブロック60が他の仮想ブロック60の輝度に与える影響を算出するための、当該1つの仮想ブロック60の代表的な輝度(仮想輝度)を算出するステップである。ステップS200は、ステップS100で算出された仮想輝度と、当該仮想輝度の輝度分布とを用いて、他の仮想ブロック60への輝度の影響を考慮した上で画素毎に輝度補正を行うステップである。なお、制御部31は、図3に示すステップS40~S60に替えて、図8に示すステップS100およびS200を実行する。ステップS100およびS200は、輝度補正ステップの一例である。
【0116】
まずは、図9および図10を参照しながら、ステップS100について説明する。
【0117】
図9は、図8の各仮想ブロック60の仮想輝度を計算する(S100)方法を示すフローチャートである。図10は、図9の仮想ブロック60の仮想輝度を算出する(S150)方法を示すフローチャートである。なお、図9に示すステップS110~S140は、図3に示すステップS10~S40と同様であり、説明を省略する。また、図10に示す仮想輝度を算出する方法は、実施の形態1に示した減光係数Cmi、CbiまたはCiを用いて行うことが可能であるが、ここでは、減光係数Cmiを用いて仮想輝度を算出する方法について説明する。
【0118】
図9に示すように、制御部31は、ステップS140で算出された最大輝度などを用いて、仮想ブロック60の仮想輝度を算出する(S150)。図10に示すように、仮想輝度は、3つのステップS151~S153により算出される。ステップS151~S153は、第1のサブステップの一例である。
【0119】
まず、制御部31は、対象ブロックi内の最大輝度と平均輝度とに基づく減光係数Cmiを算出し(S151)、対象ブロックiの減光係数を減光係数Cmiとして設定する(S152)。ステップS151およびS152は、図5Aに示すステップS51aおよびS52aと同様であり、説明を省略する。
【0120】
そして、制御部31は、対象ブロックi内の最大輝度と減光係数Cmiとから、対象ブロックiの仮想輝度を算出する(S153)。具体的には、制御部31は、対象ブロックi内の画素の最大輝度に減光係数Cmiを乗算することで、対象ブロックiにおける仮想輝度を算出する。なお、この時点では、対象ブロックiにおいて、輝度を下げる補正は行われていない。
【0121】
図9を再び参照して、ステップS150で対象ブロックiの仮想輝度を算出すると、仮想輝度の算出が全ての仮想ブロック60で終了したか否かの判定が行われる(S160)。制御部31が複数の仮想ブロック60の全てにおいて仮想輝度の算出が行われたと判定する(S160でYes)と、仮想輝度を計算する処理は終了する。また、制御部31が複数の仮想ブロック60の全てにおいて仮想輝度の算出が行われていないと判定する(S160でNo)と、ステップS140に戻り、残りの仮想ブロック60においてステップS140およびS150の処理が行われる。なお、複数の仮想ブロック60において、ステップS140およびS150が実施される順番は特に限定されないが、一例としてラスタ順である。
【0122】
次に、図11図16を参照しながら、ステップS200について説明する。
【0123】
図11は、図8の各画素の出力階調を計算する(S200)方法を示すフローチャートである。
【0124】
図11に示すように、制御部31は、複数の仮想ブロック60(仮想ブロック群)に対する仮想単位輝度分布の重畳を行い(S210)、重畳された仮想輝度分布に基づいて出力階調(すなわち、第2の輝度)を計算する処理を行う(S220)。制御部31は、ステップS210では、仮想ブロック60単位の処理で算出した複数の仮想輝度の輝度分布を重畳して、1つの画像において1つの輝度分布を作成する。また、制御部31は、ステップS220では、1つの輝度分布と各画素における輝度補正前の輝度(第1の輝度の一例)とから、輝度補正後の輝度(第2の輝度の一例)を算出する。なお、ステップS220は、第2のサブステップの一例である。第1および第2のサブステップ(S210およびS220)は、輝度補正ステップに含まれる。
【0125】
まず、図12および図13を参照しながら、ステップS210について説明する。
【0126】
図12は、図11の仮想単位輝度分布を重畳する(S210)方法を示すフローチャートである。図12に示される処理は、仮想ブロック60単位で行われる処理である。図13は、図11の仮想単位輝度分布を重畳する方法を模式的に示す図である。
【0127】
図13の(a)は、仮想ブロック60毎に仮想輝度が算出されたグラフを示す図であり、ステップS100の処理が終了した状態を示す図である。仮想ブロック60毎に1つの仮想輝度が設定されるので、1つの仮想ブロック60は1つの仮想輝度で示される。図13の(a)では、5つの仮想ブロック60における仮想輝度が図示されている。
【0128】
図12に示すように、まず、仮想ブロック60毎に仮想単位輝度分布を配置する(S211)。仮想単位輝度分布とは、複数の仮想輝度毎に設定される輝度分布を意味する。すなわち、ステップS211では、複数の仮想輝度のそれぞれにおいて、当該仮想輝度に対応した輝度分布がグラフ(仮想輝度分布を算出するためのキャンバス)に配置される。仮想単位輝度分布は、仮想輝度と輝度分布とにより算出される。輝度分布は、例えば、cos4乗則またはガウス分布などにより決定され、予め記憶部32に記憶されている。そして、制御部31は、仮想単位輝度分布の配置が全ての仮想ブロック60で終了したか否かの判定を行う(S212)。制御部31は、複数の仮想ブロック60の全てにおいて仮想単位輝度分布の配置が行われたと判定する(S212でYes)と、配置された複数の仮想単位輝度分布を重畳して仮想輝度分布を算出する(S213)。ステップS213では、1つの画像に対して、1つの仮想輝度分布が算出される。ステップS213では、1つの仮想ブロック60の仮想輝度を第1の仮想輝度としたときに、当該1つの仮想ブロック60の周辺の仮想ブロック60に対する第1の仮想輝度の寄与分(第1の仮想輝度の輝度分布が与える影響)を周辺の仮想ブロック60の仮想輝度(第2の仮想輝度の一例)に加算する。
【0129】
また、制御部31は、複数の仮想ブロック60の全てにおいて仮想単位輝度分布の配置が行われていないと判定する(S212でNo)と、ステップS211に戻り、残りの仮想ブロック60においてステップS211の処理が行われる。
【0130】
ここで、ステップS211毎に、配置した仮想単位輝度分布をキャンバス上で重畳していってもよい。その場合は、S212でYesとなったときに、本処理は終了する。
【0131】
図13の(b)は、仮想ブロック60毎に仮想単位輝度分布(図13の(b)中の曲線)が配置された様子を示している。図13の(b)では、5つの仮想単位輝度分布が配置された例を示している。図13の(b)に示すように、1つの仮想ブロック60の仮想単位輝度分布が、他の仮想ブロック60にわたって延びていることがわかる。つまり、1つの仮想ブロック60の仮想単位輝度分布が、他の仮想ブロック60の明るさに影響を及ぼしていることがわかる。なお、ここでは、仮想単位輝度分布は、仮想輝度(つまり、仮想ブロック60内の最大輝度)を有する画素が、仮想ブロック60内の略中央に位置していると仮定して、配置されるが、必ずしも仮想ブロック60内の略中央に位置していなくてもよい。たとえば、仮想ブロック60内の対象画像を底面とし、各画素の輝度を高さ方向にとったときの3次元立体の重心を求め、その重心位置を底面に投影した位置を仮想輝度の中心としてもよい。
【0132】
図13の(c)は、図13の(b)に示す仮想単位輝度分布を重畳して、1つの仮想輝度分布を算出した例を示す図である。これにより、複数の仮想ブロック60が相互に及ぼす影響を考慮した1つの輝度分布が作成される。図13の(a)では、5つの仮想ブロック60のうちの中央に位置する仮想ブロック60の仮想輝度は周囲の仮想ブロック60の仮想輝度に比べ低いが、図13の(c)では、当該仮想ブロック60の仮想輝度は周囲の仮想ブロック60に比べ高い値となっている。これは、周囲の仮想ブロック60の仮想輝度の輝度分布の影響によるものである。これにより、人は、5つの仮想ブロック60の中央の位置する仮想ブロック60を明るく感じる。よって、制御部31は、当該仮想ブロック60を構成する画素の輝度の減光量が小さくなるように各画素の輝度を補正する。
【0133】
また、図13の(c)に示すように、仮想輝度分布は、1つの仮想ブロック60内において、複数の仮想輝度の値をとり得る。つまり、仮想輝度分布は、1つの仮想ブロック60を構成する各画素のそれぞれにおいて設定される。
【0134】
なお、上記では、仮想輝度は、仮想ブロック60内の画素の最大輝度に減光係数を乗算して算出される例について説明したが、これに限定されない。仮想輝度は、例えば、仮想ブロック60内の画素の輝度の平均輝度に減光係数を乗算して算出されてもよいし、中央輝度(仮想ブロック60内の画素の輝度の中央値)に減光係数を乗算して算出されてもよい。なお、仮想輝度を算出するために減光係数が乗算される輝度は、第2の代表輝度の一例である。本実施の形態では、仮想ブロック60内の画素の最大輝度が第2の代表輝度である。また、第2の代表輝度は、複数の仮想ブロック60毎に決定される。
【0135】
次に、図14および図15を参照しながら、ステップS220について説明する。
【0136】
図14は、図11の出力階調を計算する方法を示すフローチャートである。図14に示す処理は、画素単位で行われる処理である。図15は、図11の出力階調を計算する方法を模式的に示す図である。
【0137】
図14に示すように、制御部31は、ステップS210で算出された画面全体の仮想輝度分布に応じて入力画像の入力画素値をスケーリングする(S221)。すなわち、制御部31は、仮想輝度分布に応じて入力画像の輝度(画素値)を下げる補正を行う。具体的には、制御部31は、各画素毎に当該が画素の入力画像の輝度を下げる補正を行う。そして、制御部31は、ステップS221の処理が全ての画素で終了したか否かの判定を行う(S222)。制御部31が複数の画素の全てにおいて入力画素値の補正が行われたと判定する(S222でYes)と、仮想輝度分布に基づく出力階調を計算する処理は終了する。また、制御部31が複数の画素の全てにおいて入力画素値の補正が行われていないと判定する(S222でNo)と、ステップS221に戻り、残りの画素においてステップS221の処理が行われる。なお、複数の画素において、ステップS221が実施される順番は特に限定されない。
【0138】
図15の(a)は、入力画像の階調分布(輝度分布)を示す図である。図15の(a)の縦軸は、階調値(輝度)を示しており、横軸は画素を示している。図15の(a)は、輝度補正前の画素値(輝度)であり、第1の輝度の一例である。
【0139】
図15の(b)は、ステップS210で算出した重畳された仮想輝度分布(スケーリング分布)を示す図である。図15の(b)の縦軸は減光係数を示しており、横軸は画素を示している。仮想輝度分布は、0以上1以下の数値で構成される。図15の(b)に示す仮想輝度分布は、図13の(c)に示す仮想輝度分布を最大値が1以下となるように正規化することで算出される。また、仮想輝度分布は、複数の仮想ブロック60を構成する各画素のそれぞれ毎に減光係数を算出することができる。
【0140】
図15の(c)は、図15の(b)に示すスケーリング分布によってスケーリングされた出力画像の階調分布を示す図である。図15の(c)の縦軸は、階調値(輝度)を示しており、横軸は画素を示している。図15の(c)は、図15の(a)に示す入力画像の輝度分布が図15の(b)に示すスケーリング分布を用いて補正された結果を示している。図15の(c)は、第1の輝度が仮想輝度分布を用いて補正された第2の輝度の一例である。
【0141】
図15の(c)に示すように、仮想輝度分布の値が高い画素においては、入力画像の画素値の下げ量(輝度の減光量)が小さく、仮想輝度分布の値が低い画素においては、入力画像の画素値の下げ量が大きい(図15の(c)の矢印を参照)。
【0142】
図15の(c)の出力階調分布は、各画素毎に、当該画素における入力画像の画素値とスケーリング分布から算出される減光係数とを乗算することにより算出される。つまり、1つの仮想ブロック60を構成する画素であっても、画素毎に減光係数が異なる。
【0143】
なお、上記では、仮想輝度の輝度分布を考慮して第1の輝度を補正したがこれに限定されない。制御部31は、例えば、仮想輝度の分布(図13の(a)参照)を用いて第1の輝度を補正してもよい。また、ステップS220の後に、図3に示す最低輝度保証処理が行われてもよい。
【0144】
ここで、図16を参照しながら、ステップS211で配置される仮想単位輝度分布の他の例について説明する。
【0145】
図16は、図11の仮想単位輝度分布を重畳する方法の他の例を模式的に示す図である。
【0146】
図16に示すように、仮想単位輝度分布は、仮想ブロック60の仮想輝度に対して直線状に形成されていてもよい。これにより、仮想単位輝度分布が曲線で形成されている場合に比べ、制御部31の処理量を低減することができる。
【0147】
[2-2.効果など]
図8等に示す輝度決定方法によれば、複数の仮想ブロック60が相互に与える影響を考慮して、輝度を下げる補正を行うことができる。さらに、画素毎に減光係数が設定されるので、人により視認されにくく、かつ表示装置40の寿命を延ばすことができる。
【0148】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の1つまたは複数の態様に係る輝度決定方法、輝度決定装置、および、映像表示装置について、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0149】
例えば、上記実施の形態では、輝度決定装置は、2つ目の人の視覚特性を利用する場合、1つの閾値(例えば、輝度Tb)を用いて画素数をカウントする例について説明したが、2つ以上の閾値を用いて画素数をカウントしてもよい。輝度決定装置は、例えば、輝度TbおよびTcの2つの閾値を用いて、輝度Tb以上の画素数と、輝度Tc以上輝度Tb未満の画素数と、輝度Tc未満の画素数とから、当該ブロックにおける補正係数(減光係数)を算出してもよい。これにより、より細かな輝度補正を行うことができる。
【0150】
また、上記実施の形態では、最大輝度と平均輝度とから関数により減光係数を算出する例について説明したが、これに限定されない。記憶部が最大輝度と平均輝度との輝度差と、減光係数とを関係付けたルックアップテーブルを記憶しており、制御部は、当該輝度差と当該ルックアップテーブルとから減光係数を算出してもよい。
【0151】
また、上記実施の形態では、制御の指標を輝度としたが、これは、明度のような明るさを表すものであってもよい。例えば、輝度といわゆるRGB値(R値、G値、及び、B値)である明度は下記の関係があるからである。
【0152】
輝度=0.299×R+0.587×G+0.114×B (式4)
【0153】
ここで、式4からわかるように、G(Green)の輝度に対する寄与が高いので、特にG、すなわちGreenの明度を制御の指標としてもよい。なお、式4における「R」はR値を示しており、「G」はG値を示しており、「B」はB値を示している。
【0154】
また、上記各実施の形態における輝度決定装置、および映像表示装置(以降では、輝度決定装置等とも記載する)が備える構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。
【0155】
システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0156】
なお、ここでは、システムLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、LSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいはLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0157】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0158】
また、上記各実施の形態おける輝度決定装置等が備える構成要素は、通信ネットワークを介して接続された複数の装置に分散して備えられてもよい。
【0159】
また、本発明の一態様は、このような輝度決定装置等だけではなく、輝度決定装置等に含まれる特徴的な構成要素をステップとする輝度決定方法であってもよい。また、本発明の一態様は、輝度決定方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。また、本発明の一態様は、そのようなコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。
【0160】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0161】
また、上記各実施の形態において説明された複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理は、並行して実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明に係る輝度決定方法は、自発光素子を備える表示装置の各画素の輝度を補正する方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0163】
10 映像表示装置
20 取得部
30 輝度決定装置
31 制御部
32 記憶部
40 表示装置
50 人
60、60a~60d 仮想ブロック(ブロック)
Cmi 減光係数(第1の係数)
Cbi 減光係数(第2の係数)
Ci 減光係数(第3の係数)
Tb 輝度(第1の輝度閾値)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16