(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/18 20060101AFI20221220BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G06F1/18 F
H05K5/03 B
(21)【出願番号】P 2021029982
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小手川 貴志
(72)【発明者】
【氏名】浦川 明彦
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-111264(JP,A)
【文献】特開2016-157644(JP,A)
【文献】実開昭61-069887(JP,U)
【文献】実開昭63-027091(JP,U)
【文献】特開2004-158503(JP,A)
【文献】特開2015-088528(JP,A)
【文献】国際公開第2014/196016(WO,A1)
【文献】特開2020-191396(JP,A)
【文献】特開2004-071709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/16-1/18
H05K5/02-5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆向きの第1面及び第2面を有する回路基板と、
前記第1面に設けられたコネクタ部と、
前記回路基板を出し入れ可能な出入口を有し、前記回路基板を収容するケースと、
前記出入口を塞ぐように前記ケースに装着される蓋と、を備え、
前記ケースは、
前記第1面に対向する第1壁部と、
前記第1壁部に交わる第2壁部と、
前記第2壁部との間に前記回路基板を挟む第3壁部と、
前記コネクタ部を外部に露出させるように前記第1壁部に形成されたコネクタ開口と、
前記第2面に掛かるように前記第2壁部に設けられた保持爪と、
前記回路基板の縁の一部を外部に露出させる規制解除穴と、
前記回路基板が前記第3壁部から離れた状態を維持するように、前記回路基板の縁に対向する対向部と、
前記対向部と前記第3壁部とを連結し、前記回路基板を前記第2壁部から遠ざける力が作用するのに応じて、前記第2壁部から遠ざかる方向に前記対向部を弾性変位させる弾性連結部と、を有し、
前記蓋は、前記規制解除穴に挿入可能な規制解除突起を有し、
前記蓋を前記ケースから取り外して前記規制解除突起を前記規制解除穴に押し込むと、前記規制解除突起の端部が前記回路基板を前記第2壁部から遠ざける、制御装置。
【請求項2】
前記規制解除穴は、前記回路基板の縁の一部を外部に露出させるように前記第2壁部に形成されている、請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記規制解除穴は、前記回路基板の縁のうち、前記保持爪に対応する部分を外部に露出させるように形成されている、請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
前記ケースは、
前記規制解除穴を含む複数の規制解除穴を有し、
前記蓋は、前記複数の規制解除穴にそれぞれ対応する複数の規制解除突起を有し、
前記複数の規制解除穴は、前記回路基板の縁に沿って並ぶように前記第2壁部に形成され、
前記複数の規制解除突起は、一つの規制解除突起が対応する規制解除穴に挿入される際に、残りの規制解除突起のそれぞれが対応する規制解除穴に挿入されるように並んでおり、
前記蓋を前記ケースから取り外して前記複数の規制解除突起を前記複数の規制解除穴にそれぞれ押し込むと、前記複数の規制解除突起のそれぞれの端部が前記回路基板を前記第2壁部から遠ざける、請求項2又は3記載の制御装置。
【請求項5】
前記ケースは、
前記保持爪を含む複数の保持爪を有し、
前記複数の規制解除穴は、前記回路基板の縁のうち、前記複数の保持爪にそれぞれ対応する複数部分を外部に露出させるように形成されている、請求項4記載の制御装置。
【請求項6】
前記規制解除突起は、前記蓋が前記ケースに装着された状態において、前記ケース内に収容される、請求項1~5のいずれか一項記載の制御装置。
【請求項7】
前記ケースは、前記第2面に掛かるように前記対向部に設けられた対向保持爪を更に有する、請求項
1~6のいずれか一項記載の制御装置。
【請求項8】
前記第3壁部は、前記回路基板を前記第3壁部から遠ざけるまで前記規制解除突起を挿入し得る穴を有しない、請求項
7記載の制御装置。
【請求項9】
前記対向部からの前記対向保持爪の突出量は、前記第1壁部に近付くにつれて大きくなっている、請求項
7又は
8記載の制御装置。
【請求項10】
前記第2壁部からの前記保持爪の突出量は、前記第1壁部に近付くにつれて大きくなっている、請求項1~
9のいずれか一項記載の制御装置。
【請求項11】
前記蓋は、
前記出入口を塞ぐ第1部分と、
前記第2壁部に嵌合する第2部分とを有し、
前記複数の規制解除突起は、前記第2部分に形成されている、請求項4又は5記載の制御装置。
【請求項12】
前記第2壁部は、前記第2部分の内側に嵌合するように、前記出入口の縁に沿って並んだ複数の内側嵌合部を有し、
前記複数の規制解除突起は、前記複数の内側嵌合部の間にそれぞれ位置して前記第2壁部の内側に嵌合する、請求項
11記載の制御装置。
【請求項13】
前記ケースは、前記第2壁部との間に前記回路基板を挟む第3壁部を更に有し、
前記蓋は、前記第3壁部に嵌合する第3部分を更に有し、
前記第3部分は、前記回路基板を前記第2壁部から遠ざけるまで前記規制解除穴に挿入可能な突起を有しない、請求項
11又は
12記載の制御装置。
【請求項14】
前記第3部分は、前記第3壁部の外側に嵌合する外側嵌合部と、前記外側嵌合部との間に前記第3壁部を挟む内側嵌合部とを有する、請求項
13記載の制御装置。
【請求項15】
前記ケースは、前記第2壁部との間に前記回路基板を挟む第3壁部を更に有し、
前記蓋は、前記出入口を塞ぐ第1部分と、
前記第2壁部に嵌合する第2部分と、
前記第3壁部に嵌合する第3部分とを有し、
前記複数の規制解除突起は、前記第3部分に形成されている、請求項4又は5記載の制御装置。
【請求項16】
前記回路基板と、前記コネクタ
部と、前記ケースと、前記蓋と、を備える第1制御ユニットと、
第2制御ユニットと、を備え、
前記第2制御ユニットは、
第2回路基板と、
前記第2回路基板を出し入れ可能な第2出入口を有し、前記第2回路基板を収容する第2ケースと、
前記第2出入口を塞ぐように前記第2ケースに装着される第2蓋と、を備え、
前記第2蓋は、前記複数の規制解除突起と同様に配置された第2グループの規制解除突起を有し、
前記第2蓋を前記第2ケースから取り外して前記第2グループの規制解除突起を前記第1制御ユニットの前記複数の規制解除穴にそれぞれ押し込むと、前記第2グループの規制解除突起のそれぞれの端部が前記回路基板を前記第2壁部から遠ざける、請求項4又は5記載の制御装置。
【請求項17】
互いに逆向きの第1面及び第2面を有する回路基板と、
前記第1面に設けられたコネクタ部と、
前記回路基板を出し入れ可能な出入口を有し、前記回路基板を収容するケースと、
前記出入口を塞ぐように前記ケースに装着される蓋と、を備え、
前記ケースは、
前記第1面に対向する第1壁部と、
前記第1壁部に交わる第2壁部と、
前記第2壁部との間に前記回路基板を挟む第3壁部と、
前記コネクタ部を外部に露出させるように前記第1壁部に形成されたコネクタ開口と、
前記第2面に掛かるように前記第2壁部に設けられた保持爪と、
前記回路基板の縁に沿って並ぶように前記第2壁部に形成され、前記回路基板の縁の一部を外部に露出させる複数の規制解除穴と、を有し、
前記蓋は、
前記出入口を塞ぐ第1部分と、
前記第2壁部に嵌合する第2部分と、
前記第3壁部に嵌合する第3部分と、
前記複数の規制解除穴にそれぞれ挿入可能な複数の規制解除突起と、を有し、
前記複数の規制解除突起は、一つの規制解除突起が対応する規制解除穴に挿入される際に、残りの規制解除突起のそれぞれが対応する規制解除穴に挿入されるように並んでおり、
前記蓋を前記ケースから取り外して前記複数の規制解除突起を前記複数の規制解除穴にそれぞれ押し込むと、前記複数の規制解除突起のそれぞれの端部が前記回路基板を前記第2壁部から遠ざけ、
前記複数の規制解除突起は、前記第2部分に形成されており、
前記第3部分は、前記回路基板を前記第2壁部から遠ざけるまで前記規制解除穴に挿入可能な突起を有しない、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のアセンブリ内にそれぞれ設けられた複数のアセンブリ側モジュール部材と、取り外し可能な結合用モジュール部材とを相互に電気的に結合することで、複数のアセンブリを電気的に相互に結合する電気装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、コネクタに力を受ける回路基板の保持強度及び取外し易さの両立に有効な制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る制御装置は、互いに逆向きの第1面及び第2面を有する回路基板と、第1面に設けられたコネクタ部と、回路基板を出し入れ可能な出入口を有し、回路基板を収容するケースと、出入口を塞ぐようにケースに装着される蓋と、を備え、ケースは、第1面に対向する第1壁部と、第1壁部に交わる第2壁部と、コネクタ部を外部に露出させるように第1壁部に形成されたコネクタ開口と、第2面に掛かるように第2壁部に設けられた保持爪と、回路基板の縁の一部を外部に露出させる規制解除穴と、を有し、蓋は、規制解除穴に挿入可能な規制解除突起を有し、蓋をケースから取り外して規制解除突起を規制解除穴に押し込むと、規制解除突起の端部が回路基板を第2壁部から遠ざける。
【0006】
本開示の他の側面に係る制御システムは、上記制御装置と第2制御装置とを備え、ケースは、規制解除穴を含む複数の規制解除穴を有し、蓋は、複数の規制解除穴にそれぞれ対応する複数の規制解除突起を有し、複数の規制解除穴は、回路基板の縁に沿って並ぶように第2壁部に形成され、複数の規制解除突起は、一つの規制解除突起が対応する規制解除穴に挿入される際に、残りの規制解除突起のそれぞれが対応する規制解除穴に挿入されるように並んでおり、蓋をケースから取り外して複数の規制解除突起を複数の規制解除穴にそれぞれ押し込むと、複数の規制解除突起のそれぞれの端部が回路基板を第2壁部から遠ざけ、第2制御装置は、第2回路基板と、第2回路基板を出し入れ可能な第2出入口を有し、第2回路基板を収容する第2ケースと、第2出入口を塞ぐように第2ケースに装着される第2蓋と、を備え、第2蓋は、複数の規制解除突起と同様に配置された第2グループの規制解除突起を有し、第2蓋を第2ケースから取り外して第2グループの規制解除突起を制御装置の複数の規制解除穴にそれぞれ押し込むと、第2グループの規制解除突起のそれぞれの端部が回路基板を第2壁部から遠ざける。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタに力を受ける回路基板の保持強度及び取外し易さの両立に有効な制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】オートメーションシステムの構成を例示する模式図である。
【
図3】
図2の上位コントローラを分解して後方から見た斜視図である。
【
図4】
図3の制御ユニット及び連結ユニットを後方から見た斜視図である。
【
図5】
図4の制御ユニット及び連結ユニットを前方から見た斜視図である。
【
図6】
図2の上位コントローラの組立過程を例示する斜視図である。
【
図7】制御ユニットの内部構成を例示する分解斜視図である。
【
図8】
図7の制御ユニットを後方から見た分解斜視図である。
【
図11】蓋がケースから取り外された状態を例示する斜視図である。
【
図12】規制解除突起を規制解除穴に向けた状態を例示する斜視図である。
【
図13】保持爪及び対向保持爪を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
〔オートメーションシステム〕
図1に示すオートメーションシステム1は、複数のマシン2を動作させるシステムである。オートメーションシステム1の具体例としては、製品を生産するように、複数のマシン2を動作させる生産システムが挙げられるが、複数のマシン2の用途は必ずしも製品の生産に限られない。
【0011】
オートメーションシステム1は、複数のマシン2と、制御システム3とを備える。マシン2の具体例としては、1以上のモータにより駆動される工作機械、1以上のモータにより駆動される搬送装置、及びロボット等が挙げられる。
【0012】
図1には、オートメーションシステム1が、二つのロボット2A,2Bを備える場合を例示している。ロボット2A,2Bの具体例としては、シリアルリンク型の垂直多関節ロボットが挙げられるがこれに限られない。ロボット2A,2Bは、パラレルリンク型のロボットであってもよく、スカラー型のロボットであってもよい。
図1の構成はあくまで1例であり、オートメーションシステム1が備えるマシン2の数及び種類は適宜変更可能である。
【0013】
制御システム3は、複数のマシン2を制御する。例えば制御システム3は、上位コントローラ4と、複数のコントローラ5とを備える。上位コントローラ4は、複数のマシン2を互いに協調して動作させるように、複数のコントローラ5に制御指令を出力する。複数のコントローラ5のそれぞれは、上位コントローラ4からの制御指令に応じてマシン2に動作させる。
【0014】
(上位コントローラ)
続いて、上位コントローラ4の構成を具体的に例示する。
図2及び
図3に示すように、上位コントローラ4は、バックホルダ20と、複数の制御ユニット10と、1以上の連結ユニット30とを備える。例えばバックホルダ20は、金属の板材により形成され、バックプレート21と、ガイド22,23とを有する。バックプレート21は、取り付け面21bと、取り付け面21bの反対面であるユニット対向面21aとを有する。
【0015】
ガイド22,23は、バックプレート21のユニット対向面21aに設けられている。ガイド22は、ユニット対向面21aに沿って直線状に延びており、ガイド23はガイド22に平行に延びている。
【0016】
バックホルダ20は、バックプレート21の取り付け面21bが設置面に対向するように配置され、当該設置面を有する構造部材に対してボルト締結などにより固定される。
設置面を有する構造部材の具体例としては、制御盤の壁部等が挙げられる。一例として、バックホルダ20は、取り付け面21bが制御盤の壁部の表面に対向するように配置され、制御盤の壁部に対してボルト締結などにより固定される。
【0017】
以下の説明においては、便宜上「上」、「下」を用いる。ここでの上下は、図示のように、ガイド22,23のそれぞれが水平方向に沿い、ガイド22がガイド23の鉛直上方に位置するようにバックホルダ20を配置した状態における上下を意味する。また、ユニット対向面21aが面する方向を前方とし、取り付け面21bが面する方向を後方として、「前」、「後」を説明に用いる。なお、バックホルダ20の実際の配置は上述した配置に限られない。例えばバックホルダ20は、ユニット対向面21aが鉛直下方又は鉛直上方に面するようにも配置可能であり、ガイド22がガイド23の鉛直下方に位置するようにも配置可能である。
【0018】
複数の制御ユニット10は、互いに協働して、複数のコントローラ5に上記制御指令を出力する。複数の制御ユニット10は、互いに機能の異なる二つ以上の制御ユニット10を含んでいてもよい。例えば複数の制御ユニット10は、電源ユニット11と、CPUユニット12と、通信ユニット13と、複数の入出力ユニット14とを含む。電源ユニット11は、電力系統等から得た電力により制御電力を生成し、他の制御ユニット10に供給する。
【0019】
複数の入出力ユニット14は、複数のコントローラ5との間で情報の入出力を行う。通信ユニット13は、工場内のローカルエリアネットワーク、又はインターネット等のワイドエリアネットワークを介して、より上位のシステムと通信する。例えば通信ユニット13は、MES(Manufacturing Execution System)から製品の生産オーダーを取得する。生産オーダーは、例えば生産する製品の品種と、品種ごとの生産数等を含む。CPUユニット12は、通信ユニット13が取得した生産オーダーに対応した生産を複数のマシン2に協調して実行させるように制御指令を生成し、複数の入出力ユニット14を介して複数のコントローラ5に制御指令を出力する。
【0020】
複数の制御ユニット10は、ガイド22,23に平行な配列方向に沿って並び、バックホルダ20に保持される。複数の制御ユニット10のそれぞれは、バックプレート21のユニット対向面21aに対向する背面10bと、背面10bの反対面である前面10aと、上記配列方向に垂直な側面10c,10d(
図4参照)を有する。配列方向において隣り合う制御ユニット10同士の間においては、一方の制御ユニット10の側面10cと他方の制御ユニット10の側面10dとが対向する。
【0021】
図4に示すように、複数の制御ユニット10のそれぞれは、パワーバスコネクタ110,120(コネクタ部)と、シグナルバスコネクタ140,150(コネクタ部)とを有する。なお、「コネクタ」は、互いに接続される一対のコネクタ(例えば雄コネクタ及び雌コネクタ)のいずれか一方を意味する。パワーバスコネクタ110,120は雄コネクタであってもよく、雌コネクタであってもよい。
【0022】
パワーバスコネクタ110,120及びシグナルバスコネクタ140,150は背面10bに設けられている。パワーバスコネクタ110,120は、上記配列方向に沿って並んでおり、パワーバスコネクタ110は側面10c寄りに位置し、パワーバスコネクタ120は側面10d寄りに位置している。
【0023】
シグナルバスコネクタ140,150は、パワーバスコネクタ110,120よりも下方に位置し、上記配列方向に沿って並んでいる。シグナルバスコネクタ140は側面10c寄りに位置し、シグナルバスコネクタ150は側面10d寄りに位置している。パワーバスコネクタ110とパワーバスコネクタ120とは、制御ユニット10内において電気的に接続されている。シグナルバスコネクタ140とシグナルバスコネクタ150とは、制御ユニット10内において電気的に接続されている。
【0024】
1以上の連結ユニット30は、隣り合う制御ユニット10同士を電気的に接続する。複数の制御ユニット10の全てを電気的に接続するために、上位コントローラ4は、少なくとも、制御ユニット10の数よりも一つ少ない数の連結ユニット30を有する。例えば、
図2及び
図3の例において、上位コントローラ4は、五つの制御ユニット10と四つの連結ユニット30とを有する。
【0025】
以下、連結ユニット30の説明においては、隣り合う制御ユニット10を区別するために、相手の制御ユニット10に側面10cを対向させる制御ユニット10を「第1制御ユニット10」とし、相手の制御ユニット10に側面10dを対向させる制御ユニット10を「第2制御ユニット10」とする。
【0026】
連結ユニット30は、第1制御ユニット10のパワーバスコネクタ110と、第2制御ユニット10のパワーバスコネクタ120とを電気的に接続する。これにより、複数の制御ユニット10に接続される一連のパワーバスが形成される。パワーバスは、制御ユニット10間の送電に用いられる。
【0027】
また、連結ユニット30は、第1制御ユニット10のシグナルバスコネクタ140と、第2制御ユニット10のシグナルバスコネクタ150とを電気的に接続する。これにより、複数の制御ユニット10に接続される一連のシグナルバスが形成される。シグナルバスは、制御ユニット10間の信号伝送に用いられる。
【0028】
図5に示すように、連結ユニット30は、パワーバスコネクタ31と、パワーバスコネクタ32と、シグナルバスコネクタ33と、シグナルバスコネクタ34とを有する。パワーバスコネクタ31は、第1制御ユニット10のパワーバスコネクタ110に後方から接続され、パワーバスコネクタ32は、第2制御ユニット10のパワーバスコネクタ120に後方から接続される。パワーバスコネクタ31とパワーバスコネクタ32とは、連結ユニット30内において電気的に接続されている。このため、パワーバスコネクタ31に接続された第1制御ユニット10のパワーバスコネクタ110と、パワーバスコネクタ32に接続された第2制御ユニット10のパワーバスコネクタ120とが電気的に接続される。
【0029】
シグナルバスコネクタ33は、第1制御ユニット10のシグナルバスコネクタ140に後方から接続され、シグナルバスコネクタ34は、第2制御ユニット10のシグナルバスコネクタ150に後方から接続される。シグナルバスコネクタ33とシグナルバスコネクタ34とは、連結ユニット30内において電気的に接続されている。このため、シグナルバスコネクタ33に接続された第1制御ユニット10のシグナルバスコネクタ140と、シグナルバスコネクタ34に接続された第2制御ユニット10のシグナルバスコネクタ150とが電気的に接続される。
【0030】
以上のように構成された上位コントローラ4は、例えば次のように組み立てることが可能である。まず、第1制御ユニット10のパワーバスコネクタ110及びシグナルバスコネクタ140に連結ユニット30を接続し、第1制御ユニット10を前方からバックホルダ20に取り付ける。これにより、連結ユニット30は、後方からバックホルダ20によりサポートされる。
【0031】
次に、第2制御ユニット10のパワーバスコネクタ110及びシグナルバスコネクタ140に別の連結ユニット30を接続し、第1制御ユニット10の側面10cに隣接させながら、第2制御ユニット10を前方からバックホルダ20に取り付ける(
図6参照)。この際に、第1制御ユニット10に接続済みの連結ユニット30に対して、第2制御ユニット10のパワーバスコネクタ120及びシグナルバスコネクタ150が接続される。
【0032】
以上を繰り返すことで、複数の制御ユニット10を、互いに電気的に接続しながらバックホルダ20に順次取り付けることができる。なお、最後に取り付ける制御ユニット10に対しては、バックホルダ20への取付前に連結ユニット30を接続しなくてもよい。
【0033】
(制御ユニット)
続いて、各制御ユニット10の構造をより詳細に例示する。
図7及び
図8に示すように、制御ユニット10(制御装置)は、回路基板100,200と、ケース300と、蓋400とを有する。回路基板100には、上述したパワーバス及びシグナルバスを構成するためのバス回路が実装される。回路基板100は、互いに逆向きの背面101(第1面)及び前面102(第2面)を有する。背面101は後方に面し、前面102は前方に面する。
【0034】
背面101及び前面102を囲む回路基板100の周縁は、上記配列方向に沿った上縁105及び下縁106と、上記配列方向に垂直な側縁103,104とを含む。側縁103は、側面10c寄りに位置し、側縁104は側面10d寄りに位置する。前方から見て、回路基板100は、上下方向に延びており、側縁103,104が上縁105及び下縁106よりも長い。
【0035】
回路基板100の背面101には、上述したパワーバスコネクタ110,120及びシグナルバスコネクタ140,150が設けられている。回路基板100の前面102には、基板接続コネクタ171が設けられており、基板接続コネクタ171には回路基板200が接続される。
【0036】
回路基板200には、制御ユニット10の主機能を構成するための処理回路が実装される。回路基板200に実装された処理回路は、回路基板100に実装されたバス回路を介して上述したパワーバス及びシグナルバスに接続される。
【0037】
回路基板200は、前面102に対して垂直に配置される。回路基板200の周縁は、上下方向に沿った後縁201及び前縁202と、前後方向に沿った上縁203及び下縁204とを含む。後縁201は、回路基板100の背面101に対向する。回路基板200には、基板接続コネクタ171に接続される基板接続コネクタ211が設けられている。
【0038】
ケース300は、回路基板100,200を収容する。ケース300は、回路基板100,200を出し入れ可能な出入口301を有する。例えばケース300は、後壁部310と、側壁部320,330と、上壁部340と、下壁部350とを有し、出入口301は前方に開いている。
【0039】
後壁部310(第1壁部)は、バックホルダ20と回路基板100との間に位置し、後壁部310の内面は回路基板100の背面101に対向する。後壁部310の外面は、制御ユニット10の背面10bの少なくとも一部を構成する。
【0040】
ケース300は、後壁部310に形成されたコネクタ開口311,312,313,314を更に有する。コネクタ開口311はパワーバスコネクタ110を制御ユニット10の後方(外部)に露出させ、コネクタ開口312はパワーバスコネクタ120を制御ユニット10の後方に露出させ、コネクタ開口313はシグナルバスコネクタ140を制御ユニット10の後方に露出させ、コネクタ開口314はシグナルバスコネクタ150を制御ユニット10の後方に露出させる。
【0041】
側壁部320,330と、上壁部340と、下壁部350とは、回路基板100,200を取り囲み、それぞれ後壁部310に交わる(例えば直交する)。側壁部320(第2壁部)の外面は上述した側面10dの少なくとも一部を構成し、側壁部330(第3壁部)の外面は上述した側面10cの少なくとも一部を構成する。
【0042】
上壁部340は、回路基板100,200の上方に位置する。上壁部340の外面は制御ユニット10の上面10eの少なくとも一部を構成する。下壁部350は、回路基板100,200の下方に位置する。下壁部350の外面は制御ユニット10の下面10fの少なくとも一部を構成する。
【0043】
蓋400は、出入口301を塞ぐようにケース300に装着される。例えば蓋400は、前壁部410と、側壁部420と、側壁部430と、上壁部440と、下壁部450とを有する。前壁部410(第1部分)は、出入口301を塞ぐ。前壁部410の外面は、制御ユニット10の前面10aの少なくとも一部を構成する。
【0044】
側壁部420,430と、上壁部440と、下壁部450とは、出入口301を取り囲み、それぞれ前壁部410に交わる(例えば直交する)。側壁部420の外面は制御ユニット10の側面10dの少なくとも一部を構成し、側壁部430の外面は制御ユニット10の側面10cの少なくとも一部を構成し、上壁部440の外面は制御ユニット10の上面10eの少なくとも一部を構成し、下壁部450の外面は制御ユニット10の下面10fの少なくとも一部を構成する。側壁部420(第2部分)は側壁部320の外側に嵌合し、側壁部430(第3部分)は側壁部330の外側に嵌合し、上壁部440は上壁部340の外側に嵌合し、下壁部450は下壁部350の外側に嵌合する。
【0045】
回路基板100,200は、蓋400によってケース300内に保持される。しかしながら、上述したように、回路基板100の背面101のパワーバスコネクタ110,120及びシグナルバスコネクタ140,150には、後方から連結ユニット30が接続される。この際、回路基板100には、前方に向かって強い力が作用する。この力に抗して回路基板100の前方への変位を抑えるためには、蓋400による保持だけでは不十分である。
【0046】
そこで、ケース300は、回路基板100の前面102に掛かるように側壁部320に設けられた1以上の保持爪321を更に有してもよい。例えばケース300は、
図9に示すように、回路基板100の側縁104に沿って並ぶ複数(例えば四つ)の保持爪321を有する。側壁部320の内面からの保持爪321の突出量は、後壁部310に近付くにつれて大きくなっていてもよい。これにより、後壁部310と保持爪321との間に、回路基板100をスムーズにはめ込むことが可能となる。
【0047】
更に、ケース300は、回路基板100の前面102に掛かるように側壁部330に設けられた1以上の対向保持爪361を更に有してもよい。例えばケース300は、
図10に示すように、回路基板100の側縁103に沿って並ぶ複数(例えば四つ)の対向保持爪361を更に有する。複数の対向保持爪361は、複数の保持爪321にそれぞれ対向するように配置されていてもよい。対向保持爪361を更に設けることによって、回路基板100の変位をより確実に抑えることができる。側壁部330からの対向保持爪361の突出量が、後壁部310に近付くにつれて大きくなっていてもよい。これにより、後壁部310と対向保持爪361との間に、回路基板100をスムーズにはめ込むことが可能となる。
【0048】
保持爪321及び対向保持爪361により、回路基板100の前方への変位を抑えることが可能となるが、メンテナンス時等において制御ユニット10を分解する際には、保持爪321及び対向保持爪361による回路基板100の変位規制を解除する必要がある。これに対し、ケース300は、
図11及び
図12に示すように、1以上の規制解除穴322を更に有し、蓋400は規制解除突起421を更に有する。
【0049】
規制解除穴322は、回路基板100の縁の一部を外部に露出させる。一例として規制解除穴322は、回路基板100の側縁104の一部を外部に露出させるように側壁部320に形成されている。規制解除穴322は、回路基板100の側縁104のうち、保持爪321に対応する部分(例えば保持爪321が掛かっている部分)を外部に露出させるように形成されていてもよい。
【0050】
ケース300は、複数(例えば四つ)の規制解除穴322を有してもよい。例えば、複数の規制解除穴322は、回路基板100の側縁104に沿って並ぶように側壁部320に形成されている。複数の規制解除穴322は、回路基板100の側縁104のうち、複数の保持爪321にそれぞれ対応する複数部分(例えば複数の保持爪321が掛かる複数部分)を外部に露出させるように形成されていてもよい。
【0051】
規制解除突起421は、規制解除穴322に挿入可能な突起である。蓋400をケース300から取り外して規制解除突起421を規制解除穴322に押し込むと、規制解除突起421の端部421aが回路基板100を側壁部320から遠ざける。これにより、保持爪321による回路基板100の変位規制を容易に解除することができる。
【0052】
規制解除突起421は、側壁部320に嵌合する側壁部420に形成されていてもよい。例えば規制解除突起421は、側壁部420の縁から後方に突出している。このため、蓋400をケース300から取外し、前壁部410の内面を側壁部320の外面に対向させることで、規制解除突起421を規制解除穴322に挿入することが可能となる。
【0053】
ケース300が複数の規制解除穴322を有する場合に、蓋400は、複数の規制解除穴322にそれぞれ対応する複数の規制解除突起421を有してもよい。複数の規制解除突起421は、一つの規制解除突起421が対応する規制解除穴322に挿入される際に、残りの規制解除突起421のそれぞれが対応する規制解除穴322に挿入されるように並んでいてもよい。例えば複数の規制解除突起421は、複数の規制解除穴322にそれぞれ同時に挿入し得るように並んでいてもよい。蓋400をケース300から取り外して複数の規制解除突起421を複数の規制解除穴322にそれぞれ押し込むと、複数の規制解除突起421のそれぞれの端部421aが回路基板100を側壁部320から遠ざける。
【0054】
図13に示すように、ケース300は、1以上の対向部360と、1以上の弾性連結部370とを更に有してもよい。対向部360は、回路基板100が側壁部330から離れて側壁部320に近接した状態を維持するように、回路基板100の側縁103に対向する。弾性連結部370は、対向部360と側壁部330とを連結し、回路基板100を側壁部320から遠ざける力が作用するのに応じて、側壁部320から遠ざかる方向に対向部360を弾性変位させる。
【0055】
ケース300は、回路基板100の側縁103に沿って並ぶ複数(例えば四つ)の対向部360と、複数の対向部360にそれぞれ対応する複数の弾性連結部370とを有してもよい(
図10参照)。複数の対向部360は、複数の規制解除穴322にそれぞれ対向するように配置されていてもよい。
【0056】
図13の例において、側壁部330の内面には、側壁部320から遠ざかるように変位する回路基板100を受け入れ可能なアンダーカット331が形成されており、対向部360はアンダーカット331内に配置されている。連結ユニット30はアンダーカット331の底面から離れているので、アンダーカット331の底面に接するまでは、側壁部320から遠ざかる方向に変位し得る。
【0057】
対向部360がアンダーカット331内に配置されることによって、側壁部330の内面と、対向部360の内面(回路基板100の側縁103に対向する面)との段差が縮小されている。これにより、側壁部330の内面と対向部360の内面との段差に回路基板100が引っ掛かり難くなるので、回路基板100をケース300内にスムーズに押し込むことが可能となっている。
【0058】
弾性連結部370は、側壁部330のうちアンダーカット331が形成されていない部分から後方に張り出して対向保持爪361に接続されている。弾性連結部370は、アンダーカット331の底面から離れているので、対向部360が側壁部320から遠ざかる方向に変位するのに応じて、側壁部320から遠ざかる方向に弾性変形し得る。このため、対向部360は、側壁部320から遠ざかる方向に向かって回路基板100から押されると、側壁部320から遠ざかる方向に弾性変位し、回路基板100が側壁部320に近付く方向に戻るのに応じて、弾性変位前の位置に復帰する。弾性連結部370の厚さは、側壁部330の厚さよりも薄い。このため、弾性連結部370の厚さが側壁部330の厚さに等しい場合に比較して、対向部360を小さな力で変位させることが可能となっている。
【0059】
上述した対向保持爪361は、対向部360に設けられていてもよい。対向保持爪361は、弾性連結部370により側壁部330に連結されているので、対向保持爪361が対向部360に設けられることは、対向保持爪361が側壁部330に設けられることの一例である。
【0060】
対向保持爪361が対向部360に設けられることによって、対向保持爪361も側壁部320から遠ざかる方向に弾性変位し易くなる。このため、回路基板100を、よりスムーズに後壁部310と対向保持爪361との間にはめ込むことが可能となる。
【0061】
後壁部310と保持爪321との間への回路基板100のはめ込みを更にスムーズに行うためにケース300は、1以上の対向部380と、1以上の弾性連結部390とを更に有し、保持爪321が対向部380に設けられていてもよい。対向部380は、回路基板100の側縁104に対向する。弾性連結部390は、対向部380と側壁部320とを連結し、側壁部330から遠ざかる方向への対向部380の弾性変位を可能にする。これにより、保持爪321も側壁部330から遠ざかる方向に弾性変位し易くなる。このため、回路基板100を、よりスムーズに後壁部310と保持爪321との間にはめ込むことが可能となる。
【0062】
ただし、保持爪321が容易に変位し過ぎると、規制解除突起421により側壁部320から遠ざけるように回路基板100を変位させたとしても、保持爪321が回路基板100と共に変位し、保持爪321が前面102に掛かった状態が維持され易くなる。そこで、弾性連結部370の剛性に比較して、弾性連結部390の剛性は高くなっていてもよい。
【0063】
図12の例において、側壁部320には1以上の開口324が形成され、1以上の対向部380は1以上の開口324にそれぞれ配置されている。上述した規制解除穴322は、対向部380の後端と、開口324の内縁との間に形成されている。弾性連結部390の厚さは、弾性連結部370の厚さよりも厚い。このため、弾性連結部390の剛性が、弾性連結部370の剛性よりも高くなっている。
【0064】
弾性連結部370の剛性が弾性連結部390の剛性よりも低いので、仮に、側壁部330から遠ざけるように回路基板100を変位させたとしても、対向保持爪361が回路基板100と共に変位し、対向保持爪361が前面102に掛かった状態が維持され易い。このため、側壁部330から遠ざけるように回路基板100を変位させてしまうと、回路基板100の変位規制を容易に解除することができない可能性がある。
【0065】
そこで、側壁部330は、回路基板100を側壁部330から遠ざけるまで規制解除突起421を挿入し得る穴を有しなくてもよい。例えば、上述したアンダーカット331の底部が、対向部360の収容空間を外部から隠すことによって、回路基板100の側縁103に向けた規制解除突起421の挿入が防がれている。
【0066】
規制解除突起421は、蓋400がケース300に装着された状態において、ケース300内に収容されてもよい。側壁部420を側壁部320の外側に嵌合させつつ、規制解除突起421をケース300内に収容するために、側壁部420が側壁部320の外側に嵌合する箇所と、規制解除突起421が側壁部320の内側に嵌合する箇所とが出入口301の縁に沿って並んでいてもよい。例えば
図11に示すように、側壁部320は、側壁部420の内側に嵌合するように、出入口301の縁に沿って並んだ複数の内側嵌合部323を有する。複数の規制解除突起421は、複数の内側嵌合部323の間にそれぞれ位置して側壁部320の内側に嵌合する。このように、側壁部420が側壁部320の外側に嵌合する箇所と、規制解除突起421が側壁部320の内側に嵌合する箇所とが出入口301の縁に沿って並ぶことによって、側壁部420と側壁部320とがよりしっかりと嵌合する。
【0067】
規制解除突起421を規制解除穴322に挿入する際の妨げとならないように、側壁部430は、回路基板100を側壁部320から遠ざけるまで規制解除穴322に挿入可能な突起を有しなくてもよい。規制解除突起421のような突起を有しない場合であっても、側壁部430と側壁部330との嵌合状態を良好にするために、側壁部430は、外側嵌合部431と、内側嵌合部432とを有してもよい。外側嵌合部431は、側壁部330の外側に嵌合する。内側嵌合部432は、外側嵌合部431との間に側壁部330を挟む。
図14に示すように、側壁部430は、出入口301の縁に沿って並ぶ複数(例えば四つ)の内側嵌合部432を有してもよい。
【0068】
ケース300は、蓋400の外れを防ぐロック爪を有し、蓋400は、ロック爪に対応するロック穴を有してもよい。ケース300は、ロック爪を上壁部340に有してもよく、蓋400は、ロック穴を上壁部440に有してもよい。ケース300は、ロック爪を下壁部350に有してもよく、蓋400は、ロック穴を下壁部450に有してもよい。
【0069】
例えば上壁部340は、配列方向に並ぶ二つのロック爪343を外面に有する。上壁部440は、配列方向に並ぶ二つのロック穴441を有する。ロック穴441は、少なくとも上壁部440の内面に開口している。下壁部350は、配列方向に並ぶ二つのロック爪353を外面に有する(
図10参照)。下壁部450は、配列方向に並ぶ二つのロック穴451を有する。ロック穴451は、少なくとも下壁部450の内面に開口している。二つのロック爪343が二つのロック穴441にそれぞれはまり込み、二つのロック爪353が二つのロック穴451にそれぞれはまり込むことで、ケース300からの蓋400の外れが防がれる。
【0070】
側壁部320における複数の規制解除穴322の配置と、側壁部420における複数の規制解除突起421の配置とは、複数の制御ユニット10で共通となっていてもよい。この場合、いずれか一つの制御ユニット10(第1制御ユニット)において回路基板100をケース300から取り出す際に、他の制御ユニット10(第2制御ユニット、第2制御装置)から蓋400(第2蓋)を取り外して第2蓋の複数の規制解除突起421(第2グループの規制解除突起)を第1制御ユニットの複数の規制解除穴322にそれぞれ押し込むと、第2グループの規制解除突起421のそれぞれの端部が第1制御ユニットの回路基板100を側壁部320から遠ざけることとなる。このため、第2制御ユニットの蓋400を、第1制御ユニットの蓋400の代わりに用いて第1制御ユニットの回路基板100をケース300から取り出すことが可能となる。
【0071】
なお、以上においては、規制解除穴322が形成される側壁部320に対応する側壁部420に規制解除突起421が形成される場合を例示したが、
図15に示すように、側壁部430に規制解除突起421が形成されてもよい。
【0072】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、制御ユニット10は、互いに逆向きの背面101及び前面102を有する回路基板100と、背面101に設けられたパワーバスコネクタ110,120及びシグナルバスコネクタ140,150と、回路基板100を出し入れ可能な出入口301を有し、回路基板100を収容するケース300と、出入口301を塞ぐようにケース300に装着される蓋400と、を備え、ケース300は、背面101に対向する後壁部310と、後壁部310に交わる側壁部320と、パワーバスコネクタ110,120及びシグナルバスコネクタ140,150を外部に露出させるように後壁部310に形成されたコネクタ開口311,312,313,314と、前面102に掛かるように側壁部320に設けられた保持爪321と、回路基板100の縁の一部を外部に露出させる規制解除穴322と、を有し、蓋400は、規制解除穴322に挿入可能な規制解除突起421を有し、蓋400をケース300から取り外して規制解除突起421を規制解除穴322に押し込むと、規制解除突起421の端部421aが回路基板100を側壁部320から遠ざける。
【0073】
この制御ユニット10では、パワーバスコネクタ110,120及びシグナルバスコネクタ140,150に対し、後壁部310から遠ざける方向に力が作用しても、保持爪321によって回路基板100の変位が規制される。また、規制解除穴322から規制解除突起421を押し込むことで、保持爪321による回路基板100の変位の規制を容易に解除可能である。ここで、規制解除突起421は蓋400に設けられているので、回路基板100の変位の規制を解除する場合に治具準備の手間がかからない。従って、この制御ユニット10は、回路基板100の保持強度及び回路基板100の取外し易さの両立に有効である。
【0074】
規制解除穴322は、回路基板100の縁の一部を外部に露出させるように側壁部320に形成されていてもよい。この場合、側壁部320から遠ざける力を、より確実に回路基板100に作用させることができる。
【0075】
規制解除穴322は、回路基板100の縁のうち、保持爪321に対応する部分を外部に露出させるように形成されていてもよい。この場合、側壁部320から遠ざける力を、保持爪321が掛かっている箇所に作用させることができる。このため、回路基板100の取外し易さが更に向上する。
【0076】
ケース300は、複数の規制解除穴322を有し、蓋400は、複数の規制解除穴322にそれぞれ対応する複数の規制解除突起421を有し、複数の規制解除穴322は、回路基板100の縁に沿って並ぶように側壁部320に形成され、複数の規制解除突起421は、一つの規制解除突起421が対応する規制解除穴322に挿入される際に、残りの規制解除突起421のそれぞれが対応する規制解除穴322に挿入されるように並んでおり、蓋400をケース300から取り外して複数の規制解除突起421を複数の規制解除穴322にそれぞれ押し込むと、複数の規制解除突起421のそれぞれの端部421aが回路基板100を側壁部320から遠ざけてもよい。この場合、側壁部320から遠ざける力を、回路基板100の複数箇所に同時に作用させることができる。このため、回路基板100の取外し易さが更に向上する。
【0077】
ケース300は、複数の保持爪321を有し、複数の規制解除穴322は、回路基板100の縁のうち、複数の保持爪321にそれぞれ対応する複数部分を外部に露出させるように形成されていてもよい。この場合、回路基板100の取外し易さが更に向上する。
【0078】
規制解除突起421は、蓋400がケース300に装着された状態において、ケース300内に収容されていてもよい。この場合、通常時には蓋400により規制解除突起421を保護できるため、回路基板100の取外し時において規制解除突起421をしっかりと機能させることができる。
【0079】
ケース300は、側壁部320との間に回路基板100を挟む側壁部330と、回路基板100が側壁部330から離れた状態を維持するように、回路基板100の縁に対向する対向部360と、対向部360と側壁部330とを連結し、回路基板100を側壁部320から遠ざける力が作用するのに応じて、側壁部320から遠ざかる方向に対向部360を弾性変位させる弾性連結部370と、を更に備えていてもよい。この場合、回路基板100を、側壁部320から遠ざけ易くなるため、回路基板100の取外し易さが更に向上する。
【0080】
ケース300は、前面102に掛かるように対向部360に設けられた対向保持爪361を更に有していてもよい。この場合、回路基板100に近い部分に対向保持爪361が位置するため、回路基板100の保持の強さと、回路基板100の取外し易さとの両立を更に図ることができる。
【0081】
側壁部330は、回路基板100を側壁部330から遠ざけるまで規制解除突起421を挿入し得る穴を有しなくてもよい。この制御ユニット10では、回路基板100を側壁部330から押すのに比較して、側壁部320から押すと、回路基板100がケースから外れやすい。したがって、規制解除突起421の挿入を、確実に側壁部320側から行わせることによって、回路基板100の取外し易さをより確実に向上させることができる。
【0082】
対向部360からの対向保持爪361の突出量は、後壁部310に近付くにつれて大きくなっていてもよい。この場合、回路基板100のケース300への取り付けもし易い。
【0083】
側壁部320からの保持爪321の突出量は、後壁部310に近付くにつれて大きくなっていてもよい。この場合、回路基板100のケース300への取り付けもし易い。
【0084】
蓋400は、出入口301を塞ぐ前壁部410と、側壁部320に嵌合する側壁部420とを有し、複数の規制解除突起421は、側壁部420に形成されていてもよい。この場合、複数の規制解除突起421を側壁部420に集中させているため、規制解除突起421を規制解除穴322に押し込み易い。また、規制解除穴322と同じ側に規制解除突起421があるので分かり易い。
【0085】
側壁部320は、側壁部420の内側に嵌合するように、出入口301の縁に沿って並んだ複数の内側嵌合部323を有し、複数の規制解除突起421は、複数の内側嵌合部323の間にそれぞれ位置して側壁部320の内側に嵌合してもよい。この場合、規制解除突起421を、ガタの少ない嵌合に有効活用することができる。
【0086】
ケース300は、側壁部320との間に回路基板100を挟む側壁部330を更に有し、蓋は、側壁部330に嵌合する側壁部430を更に有し、側壁部430は、回路基板100を側壁部320から遠ざけるまで規制解除穴322に挿入可能な突起を有しなくてもよい。この場合、側壁部420の規制解除突起421を規制解除穴322に押し込む際に、側壁部430が妨げになり難いため、規制解除突起421を規制解除穴322に押し込み易い。
【0087】
側壁部430は、側壁部330の外側に嵌合する外側嵌合部431と、外側嵌合部431との間に側壁部330を挟む内側嵌合部432とを有していてもよい。この場合、側壁部430においてもガタの少ない嵌合が可能となる。
【0088】
ケース300は、側壁部320との間に回路基板100を挟む側壁部330を更に有し、蓋400は、出入口を塞ぐ前壁部410と、側壁部320に嵌合する側壁部420と、側壁部330に嵌合する側壁部430とを有し、複数の規制解除突起421は、側壁部430に形成されていてもよい。この場合、複数の規制解除突起421を側壁部430に集中させているため、規制解除突起421を規制解除穴322に押し込み易い。
【0089】
制御システム3は、第1制御ユニット10と第2制御ユニット10とを備え、ケース300は、複数の規制解除穴322を有し、蓋400は、複数の規制解除穴322にそれぞれ対応する複数の規制解除突起421を有し、複数の規制解除穴322は、回路基板100の縁に沿って並ぶように側壁部320に形成され、複数の規制解除突起421は、一つの規制解除突起421が対応する規制解除穴322に挿入される際に、残りの規制解除突起421のそれぞれが対応する規制解除穴322に挿入されるように並んでおり、蓋400をケース300から取り外して複数の規制解除突起421を複数の規制解除穴322にそれぞれ押し込むと、複数の規制解除突起421のそれぞれの端部421aが回路基板100を側壁部320から遠ざけ、第2制御ユニット10は、回路基板100と、回路基板100を出し入れ可能な出入口301を有し、回路基板100を収容するケース300と、出入口301を塞ぐようにケース300に装着される蓋400と、を備え、蓋400は、第1制御ユニット10の複数の規制解除突起421と同様に配置された規制解除突起421を有し、蓋400をケース300から取り外して規制解除突起421を第2制御ユニット10の複数の規制解除穴322にそれぞれ押し込むと、規制解除突起421のそれぞれの端部421aが回路基板100を側壁部320から遠ざけてもよい。この場合、第一制御ユニット及び第二制御ユニットの蓋400を相互に有効活用することができる。
【0090】
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0091】
例えば制御ユニット10の構造はあくまで一例である。制御ユニット10の構造は、第1面及び第2面を有する少なくとも一つの回路基板と、第1面に設けられた少なくとも一つのコネクタ部と、ケースと、蓋とを有する限り、いかよういも変更可能である。また、ケース300の構造も、回路基板を出し入れ可能な出入口と、第1面に対向する第1壁部と、第1壁部に交わる第2壁部と、保持爪と、規制解除穴とを有する限り、いかようにも変更可能である。また、蓋400の形構造も、蓋400をケース300から取り外した状態で規制解除穴に挿入可能な規制解除突起を有する限り、いかようにも変更可能である。
【0092】
制御ユニット10の構造の適用対象として、上位コントローラ4を例示したが、制御ユニット10の構造はいかなるコントローラにも適用可能である。
【符号の説明】
【0093】
3…制御システム、10…制御ユニット(制御装置)、100…回路基板、101…背面(第1面)、102…前面(第2面)、110,120…パワーバスコネクタ(コネクタ部)、140,150…シグナルバスコネクタ(コネクタ部)、300…ケース、301…出入口、310…後壁部(第1壁部)、311,312,313,314…コネクタ開口、320…側壁部(第2壁部)、321…保持爪、322…規制解除穴、323…内側嵌合部、330…側壁部(第3壁部)、360,380…対向部、361…対向保持爪、370,390…弾性連結部、400…蓋(第2蓋)、410…前壁部(第1部分)、420…側壁部(第2部分)、421…規制解除突起(第2グループの規制解除突起)、421a…端部、430…側壁部(第3部分)、431…外側嵌合部、432…内側嵌合部。