(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 61/00 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
A01D61/00 301M
(21)【出願番号】P 2021060535
(22)【出願日】2021-03-31
(62)【分割の表示】P 2019159174の分割
【原出願日】2019-08-31
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
(72)【発明者】
【氏名】飯泉 清
(72)【発明者】
【氏名】石賀 和平
(72)【発明者】
【氏名】南 智弘
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6870710(JP,B2)
【文献】特開2004-180647(JP,A)
【文献】国際公開第2017/150630(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0313077(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置2の前方に設けた刈取装置4により刈り取った穀稈を、走行装置2の上方に設けた脱穀装置3に、無端状の搬送チェン25に設けた搬送体26により供給搬送する搬送エレベーター15を設けたコンバインにおいて、前記搬送エレベーター15は、搬送エレベーター15の基部の回転入力軸16に基部側回転ローラー19を回転自在に取付け、搬送エレベーター15の先端側には先端側回転ローラー21を回転自在に設け、エレベーターケース17の前後方向の中間部には搬送チェン25を駆動する駆動歯車23を中間部駆動回転軸22により支持して設け、駆動歯車23と基部側回転ローラー19および先端側回転ローラー21とに前記搬送チェン25を掛け回して構成し、
前記駆動歯車23
を移動させて前記搬送チェン25のテンション調節可能としたコンバイン。
【請求項2】
請求項1記載のコンバインにおいて、搬送エレベーター15の右側に突出する回転入力軸16には内側プーリー28と内側プーリー28の外側に設けた外側プーリー29とを回転入力軸16とは独立して回転できる状態で設け、内側プーリー28にはエンジンの回転を入力する入力ベルト30を掛け回し、外側プーリー29と駆動歯車23を取付けた中間部駆動回転軸22の従動プーリー35との間にベルト36を掛け回したコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のコンバインにおいて、前記基部側回転ローラー19と駆動歯車23との間の距離Aを、駆動歯車23と先端側回転ローラー21との間の距離Bよりも大きく設定したコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3記載のコンバインにおいて、前記駆動歯車23を上下方向の可動式として搬送チェン25のテンション機構Tを構成し、テンション機構Tは駆動歯車23を上方へ引っ張る構成としたコンバイン。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか記載のコンバインにおいて、前記基部側回転ローラー19は、円筒ドラムを構成する円筒部材を、円筒ドラムの軸心方向に対して放射方向に二分割して形成したコンバイン。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか記載のコンバインにおいて、前記先端側回転ローラー21を取付けた先端側回転軸20の左端は搬送エレベーター15のエレベーターケース17より左側に突出させ、エレベーターケース17の左側に突出する先端側回転軸20には、オーガー13に回転出力する中間歯車55と、刈刃12の回転出力するウォブル機構56とが取付けられた中間出力軸57を、着脱自在に取付けたコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場の穀稈を刈り取る刈取装置を、刈取穀稈を搬送する搬送エレベーターを介して脱穀装置に接続し、搬送エレベーターの基部側の回転入力軸に駆動歯車を設け、搬送エレベーターの先端側に回転ドラムを設け、駆動歯車と回転ドラムの間に所定間隔をおいて搬送体を複数設けた無端状の搬送チェンを掛け回し、搬送穀稈が巻付かないように、回転入力軸の外周を包囲する位置固定の回転しない筒部材により包囲した構成は、公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、筒部材を搬送エレベーターのケース内に取付部材(ステー)を介して取付ける構成のため、筒部材の取付が面倒であり、メンテナンスが容易でなかったという課題がある。
【0005】
本願は、搬送エレベーターの伝動構成を工夫し、回転入力軸への搬送穀稈の巻き付きを防止すると共に、メンテナンスを容易にしたものである。
【0006】
請求項1の発明では、走行装置2の前方に設けた刈取装置4により刈り取った穀稈を、走行装置2の上方に設けた脱穀装置3に、無端状の搬送チェン25に設けた搬送体26により供給搬送する搬送エレベーター15を設けたコンバインにおいて、前記搬送エレベーター15は、搬送エレベーター15の基部の回転入力軸16に基部側回転ローラー19を回転自在に取付け、搬送エレベーター15の先端側には先端側回転ローラー21を回転自在に設け、エレベーターケース17の前後方向の中間部には搬送チェン25を駆動する駆動歯車23を中間部駆動回転軸22により支持して設け、駆動歯車23と基部側回転ローラー19および先端側回転ローラー21とに前記搬送チェン25を掛け回して構成し、前記駆動歯車23を移動させて前記搬送チェン25のテンション調節可能としたコンバインとしたものである。
【0007】
請求項2の発明では、搬送エレベーター15の右側に突出する回転入力軸16には内側プーリー28と内側プーリー28の外側に設けた外側プーリー29とを回転入力軸16とは独立して回転できる状態で設け、内側プーリー28にはエンジンの回転を入力する入力ベルト30を掛け回し、外側プーリー29と駆動歯車23を取付けた中間部駆動回転軸22の従動プーリー35との間にベルト36を掛け回したコンバインとしたものである。
【0008】
請求項3の発明では、前記基部側回転ローラー19と駆動歯車23との間の距離Aを、駆動歯車23と先端側回転ローラー21との間の距離Bよりも大きく設定したコンバインとしたものである。
【0009】
請求項4の発明では、前記駆動スプロケット駆動歯車23を上下方向の可動式として搬送チェン25のテンション機構Tを構成し、テンション機構Tは駆動歯車23を上方へ引っ張る構成としたコンバインとしたものである。
【0010】
請求項5の発明では、前記基部側回転ローラー19は、円筒ドラム50を構成する円筒部材を、円筒ドラム50の軸心方向に対して放射方向に二分割して形成したコンバインとしたものである。
【0011】
請求項6の発明では、前記先端側回転ローラー21を取付けた先端側回転軸20の左端は搬送エレベーター15のエレベーターケース17より左側に突出させ、エレベーターケース17の左側に突出する先端側回転軸20には、オーガー13に回転出力する中間歯車55と、刈刃12の回転出力するウォブル機構56とが取付けられた中間出力軸57を、着脱自在に取付けたコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、搬送エレベーター15の基部の回転入力軸16に基部側回転ローラー19を、搬送エレベーター15の先端側には先端側回転ローラー21をそれぞれ回転自在に設け、エレベーターケース17の前後方向の中間部には中間部駆動回転軸22により駆動歯車23を設け、駆動歯車23を移動させて搬送チェン25のテンション調節可能としているので、基部側回転ローラー19と先端側回転ローラー21の間の距離は変動せず、穀稈搬送を安定させられる。
【0013】
請求項2の発明では、搬送エレベーター15の右側に突出する回転入力軸16には内側プーリー28と内側プーリー28の外側に設けた外側プーリー29とを設け、内側プーリー28にはエンジンの回転を入力する入力ベルト30を掛け回し、外側プーリー29と駆動歯車23を取付けた中間部駆動回転軸22の従動プーリー35との間にベルト36を掛け回しているので、駆動歯車23に回転伝達するベルト36の交換を容易にできる。
【0014】
請求項3の発明では、基部側回転ローラー19と駆動歯車23との間の距離A>駆動歯車23と先端側回転ローラー21との間の距離Bとしているので、上側戻り移動搬送チェン25Aの下方に穀稈搬送通路を確保でき、また、駆動歯車23を上下移動可能に構成することで搬送チェン25のテンション機構Tを簡単に構成できる。
【0015】
請求項4の発明では、駆動スプロケット駆動歯車23を上下方向の可動式として搬送チェン25のテンション機構Tを構成し、テンション機構Tは駆動歯車23を上方へ引っ張る構成としたので、テンション機構Tの構成の簡素化ができ、コストダウンが図れ、また、組立容易化となるだけでなく、調整容易化となる。
【0016】
請求項5の発明では、基部側回転ローラー19を、円筒ドラム50を円筒部材を円筒ドラム50の軸心方向に対して放射方向に二分割して形成したので、基部側回転ローラー19を簡単に取付けることができ、回転入力軸16への搬送チェン25の駆動歯車の取付けを回避でき、回転入力軸16に多量の穀稈が巻付くくのを防止でき、特に、長稈の駆動歯車と扱胴との両者間の巻付の綱引きによる詰まり発生を防止する。
【0017】
請求項6の発明では、エレベーターケース17の左側に突出する先端側回転軸20に、オーガー13に回転出力する中間歯車55とを、刈刃12の回転出力するウォブル機構56を取付けた中間出力軸57を、着脱自在に取付けているので、刈刃12とオーガー13への伝動構成を簡素にでき、従来エレベーターケース17の左側に設けていた伝達チェンを廃止して搬送チェン25により代用でき、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図6】搬送エレベーターの他の実施形態の縦断側面図。
【
図7】搬送エレベーターの他の実施形態の縦断側面図。
【
図8】搬送エレベーターの他の実施形態の縦断側面図。
【
図9】搬送エレベーターの駆動歯車のテンション機構を示した縦断側面図。
【
図11】搬送エレベーターの駆動歯車のテンション機構の他の実施形態の縦断側面図。
【
図12】搬送エレベーターの駆動歯車のテンション機構の他の実施形態の縦断側面図。
【
図13】搬送エレベーターの中間部駆動回転軸の従動プーリーに掛け回したベルトのテンション機構付近の側面図。
【
図15】同テンション機構の他の実施形態の側面図。
【
図16】同テンション機構の他の実施形態の側面図。
【
図17】同テンション機構の他の実施形態の側面図。
【
図18】同テンション機構の他の実施形態の側面図。
【
図19】同テンション機構の上方にカバーを設けた実施形態の平面図。
【
図20】搬送エレベーターの先端側回転軸付近の伝動部の組立状態平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態を図面により説明すると、1は機体フレ-ム、2は機体フレ-ム1の下方位置に設けた走行装置、3は機体フレ-ム1の上方位置に設けた脱穀装置、4は機体フレ-ム1の前方に設けた刈取装置、5は前記脱穀装置3の側部に設けた該脱穀装置3より取出された穀物を一時貯留するグレンタンク、6は操縦部である(
図1)。
【0020】
刈取装置4は、前方に設けた分草装置10と、穀稈を掻き込む掻込リール11と、掻き込んだ穀稈を刈り取る刈刃12と、刈り取った穀稈を集めるオーガー13とを、テーブル14に取付けて構成する。刈取装置4はテーブル14に搬送エレベーター(搬送装置)15の先端を取付け、搬送エレベーター15の基部は脱穀装置3の脱穀室(図示省略)に接続する(
図1)。
【0021】
搬送エレベーター15の基部の回転入力軸16を機体側に軸装し、搬送エレベーター15と刈取装置4は回転入力軸16を回動支点として上下回動する構成としている。
【0022】
回転入力軸16は、搬送エレベーター15のエレベーターケース17の左右側板18に回転自在に軸装する(
図2)。エレベーターケース17内の回転入力軸16には基部側回転ローラー19を固定状態に取付ける。エレベーターケース17の先端側には先端側回転軸20を軸装し、エレベーターケース17内の先端側回転軸20には先端側回転ローラー21を回転自在に取付ける。エレベーターケース17の前後方向の中間部には中間部駆動回転軸22を軸装し、エレベーターケース17内の中間部駆動回転軸22には駆動歯車23を固定し、駆動歯車23と基部側回転ローラー19および先端側回転ローラー21とに所定間隔をおいて搬送体(スラット)24を複数設けた無端状の搬送チェン25を掛け回す(
図2)。
【0023】
すなわち、搬送エレベーター15のエレベーターケース17の上下回動支点となる回転入力軸16にエンジンからの回転を入力するが、搬送チェン25を駆動する駆動歯車23は基部側回転ローラー19と先端側回転ローラー21の間の中間部駆動回転軸22に設けている。
【0024】
そして、エレベーターケース17の側面形状は、中間部駆動回転軸22(駆動歯車23)の部分を、基部側回転ローラー19と先端側回転ローラー21を結んだ仮想線Lより上方に突出させて「凸形形状」とし(
図5)、先端側回転軸20(先端側回転ローラー21)と中間部駆動回転軸22(駆動歯車23)と回転入力軸16(基部側回転ローラー19)とにより三角の搬送チェン25ラインを形成する。
【0025】
そのため、従来の先端側ローラーと基部側駆動歯車とに搬送チェン25を掛け回した場合に比し、搬送チェン25の中間部分を駆動歯車23により支持するので、上側戻り移動搬送チェン25Aおよび搬送体24のバタつきを軽減させられる。
【0026】
前記エレベーターケース17の右側に突出する回転入力軸16には二連状に設けた内側プーリー28と内側プーリー28の外側に設けた外側プーリー29とを設け、外側プーリー29を内側プーリー28よりも、右側に設ける(
図3)。
【0027】
この場合、ベルト強度を、内側プーリー28(二連・ベルト2本)>外側プーリー29(一連・ベルト1本)と設定する。
【0028】
そのため、過負荷時には後述する外側プーリー29に掛け回したベルト強度の低い外側のベルト36が切れるため、外側のベルト36を交換すればよく、メンテが容易になる。
【0029】
内側プーリー28と外側プーリー29は回転入力軸16に固定状態に設け、内側プーリー28にはエンジンの回転を入力する入力ベルト30を掛け回す。31は中間出力プーリー、32は中間出力軸であり、中間出力軸32にエンジンの駆動回転を伝達する。33はエンジン、33Aは扱胴、33Bは送風唐箕、33Cは逆回転伝達軸、33Eは逆転入力プーリーである。
【0030】
回転入力軸16の外側プーリー29には、前記エレベーターケース17の外側部分の中間部駆動回転軸22に設けた従動プーリー35との間にベルト36を掛け回し、従動プーリー35を介して、エレベーターケース17内の駆動歯車23を回転させる構成とする。
【0031】
そして、駆動歯車23の駆動回転により基部側回転ローラー19と先端側回転ローラー21を回転させる。
【0032】
したがって、搬送エレベーター15に駆動を伝達するベルト36は、外側プーリー29と従動プーリー35の間に掛け回されているので、容易に交換ができる。
【0033】
すなわち、従来では、回転入力軸16の内側プーリー28が従動プーリー35に相当し、入力ベルト30が入力のベルト36に相当するので、入力ベルト30を交換する必要があり、入力ベルト30を外すには、グレンタンク5内の穀粒を排出し、次に、グレンタンク外側オープン、次に、中間出力軸32に至る脱穀ベルト(図示省略)の取外してやっと、入力ベルト30の交換となるが、本発明では、エレベーターケース17の側部のベルト36のみの交換となって、搬送詰り時のベルト交換の容易化が図れる。
【0034】
また、回転入力軸16に搬送チェン25の駆動スプロケットがあったため、多量に穀稈が巻付くが、本発明では基部側回転ローラー19としているので、穀稈の巻き付きを防止する。
【0035】
また、従来では、先端側回転ローラー21を前後させて搬送チェン25のテンションを調整しているため、基部側回転ローラー19と先端側回転ローラー21の距離が変動するため、エレベーターケース17内の穀稈搬送が安定しないが、本発明では、駆動歯車23を移動させて搬送チェン25のテンション調節できるので、基部側回転ローラー19と先端側回転ローラー21の間の距離は変動せず、穀稈搬送を安定させられる。
【0036】
先端側回転ローラー21の先端側回転軸20の左端はエレベーターケース17より左側面に突出させ、突出部に刈刃12とオーガー13とを駆動させる刈刃・オーガー伝動部37を設ける。
【0037】
そのため、従来では、エレベーターケース17の左側に設けていた、刈刃12とオーガー13とを駆動させる伝達チェンを廃止して、搬送チェン25により代用できるので、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0038】
なお、
図6のように、駆動歯車23と先端側回転ローラー21の間の搬送チェン25にテンションローラー23Aを当接させると、駆動回転伝達効率が向上させられ、好適である。
【0039】
側面視において、搬送エレベーター15の凸形状を、回転入力軸16(基部側回転ローラー19)と中間部駆動回転軸22(駆動歯車23)との間の距離A>中間部駆動回転軸22(駆動歯車23)と先端側回転軸20(先端側回転ローラー21)との間の距離Bとする(
図7)。
【0040】
そのため、上側戻り移動搬送チェン25Aの下方に穀稈搬送通路を確保でき、また、駆動歯車23を上下移動可能に構成することで搬送チェン25のテンション機構Tを簡単に構成できる。
【0041】
側面視において、搬送エレベーター15の凸形状を、回転入力軸16(基部側回転ローラー19)と中間部駆動回転軸22(駆動歯車23)との間の距離A<中間部駆動回転軸22(駆動歯車23)と先端側回転軸20(先端側回転ローラー21)との間の距離Bとする(
図8)。
【0042】
そのため、上側戻り移動搬送チェン25Aの下方に穀稈搬送通路を確保でき、また、駆動歯車23を上下移動可能に構成することで搬送チェン25のテンション機構Tを簡単に構成できる。
【0043】
前記駆動スプロケット駆動歯車23を可動式とし、搬送チェン25のテンション機構Tとし、テンション機構Tは駆動歯車23を上方へ引っ張る構成とする(
図9)。
【0044】
そのため、構成の簡素化ができ、コストダウンが図れ、また、組立容易化となるだけでなく、調整容易化となる。
【0045】
駆動歯車23(テンションドラム可)の中間部駆動回転軸22の両サイドに調節ステー40を設け、調節ステー40の上部に螺子軸41を固定する。エレベーターケース17には支持板42を設け、支持板42に螺子軸41の上部を軸装し(
図9,
図10)、支持板42より上方に突出する螺子軸41には調節ボルト43を螺合させ、調節ボルト43を回転させて中間部駆動回転軸22を上下移動させてテンション調節する。
【0046】
44は調節ボルト43の緩みを防止するロックナットである。支持板42は任意の手段によりエレベーターケース17側に固定する。
【0047】
そのため、搬送チェン25のテンション機構Tを、左右の調節ステー40と螺子軸41により構成でき、構成の簡素化が図れ、コストダウンできる。また、テンション機構Tは調節ステー40と螺子軸41と支持板42の全てをエレベーターケース17の外側に位置させているので、組立の容易化が図れ、かつ、調整も容易にできる。
【0048】
図11では、エレベーターケース17の上面の後方傾斜部46にテンション機構Tを設けている。
【0049】
図9では、エレベーターケース17の上面の前方傾斜部47にテンション機構Tを設けている。
【0050】
図12では、エレベーターケース17の後方傾斜部46と前方傾斜部47の間に平面部48を形成し、平面部48にテンション機構Tを設ける。
【0051】
前記基部側回転ローラー19は、円筒ドラムを一体型で形成し、搬送体24と一緒に回転する構成とする。
【0052】
そのため、回転入力軸16の搬送穀稈の巻付きを防止する。
【0053】
すなわち、回転入力軸16に駆動歯車を設けると、回転入力軸16の駆動歯車に穀稈が絡んで持ち回り現象が生じること、回転入力軸16が小径であること、長稈では駆動歯車と扱胴とが綱引き状態になってより回転入力軸16に巻付くことになる。
【0054】
本発明では、回転入力軸16には駆動歯車でなく、回転入力軸16より大径の基部側回転ローラー19を設けているので、そもそも、基部側回転ローラー19に搬送穀稈が絡まりにくいこと、基部側回転ローラー19には駆動歯車がないので、基部側回転ローラー19と共回りする穀稈が少ないことから、回転入力軸16への穀稈の巻付を防止する。
【0055】
また、本発明では、駆動歯車23を搬送穀稈が通らない搬送チェン25Aに設けているので、駆動歯車23に搬送穀稈が絡みつくことはない。
【0056】
基部側回転ローラー19の左右両側に軸受(メタル)を設け、前記円筒ドラムは円筒部材を前後に二分割に形成し、分割した分割円筒ドラムAを軸受に被せて保持し、回転入力軸16に対して回転自在に軸装する構成とする。
【0057】
そのため、回転入力軸16への搬送チェン25の駆動歯車の取付けを回避したので、回転入力軸16に多量の穀稈が巻付くくのを防止でき、特に、長稈の駆動歯車と扱胴との両者間の巻付の綱引きによる詰まり発生を防止する。
【0058】
しかして、
図13のように、ベルト36の上面にテンションローラー60を当接させ、テンションローラー60を取付けたテンションアーム61の後部をエレベーターケース17の右側板18に回動自在に軸装し、テンションアーム61の後部に中間アーム61Aを固定状態に設け、中間アーム61Aにテンションロッド62の先端部をテンションバネ64を介して取付け、テンションロッド62の基部を取付部63に前後動自在に螺合させる。
【0059】
そのため、テンションロッド62を回転させて後方へ引っ張ると、テンションローラー60がベルト36を緊張させ、テンションロッド62を回転させて前方へ移動させると、テンションローラー60がベルト36を弛緩させることができ、外側プーリー29に掛け回したベルト36のテンション機構の調整・組立容易化できる。
【0060】
図15はベルト36のテンション機構の他の実施形態を示し、テンションローラー60を取付けたテンションアーム61の後部をエレベーターケース17の右側板18に回動自在に軸装し、テンションアーム61の前部にテンションローラー60を取付け、テンションアーム61の前後中間部にテンションロッド62の上部をテンションバネ64を介して取付け、テンションロッド62の下部をエレベーターケース17の右側板18に取付けた取付部63に上下動自在に螺合させる。
【0061】
そのため、テンションロッド62を回転させて下方へ引っ張ると、テンションローラー60が外側プーリー29を緊張させ、テンションロッド62を回転させて上動させると、テンションローラー60がベルト36を弛緩させることができ、ベルト36のテンション機構の調整・組立を容易にする。
【0062】
図16はベルト36のテンション機構の他の実施形態を示し、ベルト36のテンションローラー60は外側プーリー29側に設ける。
【0063】
そのため、テンションローラー60を操縦部6の操作席(図示省略)横の配置になるため、テンション調整が容易である。
【0064】
図17はベルト36のテンション機構の他の実施形態を示し、ベルト36のテンションローラー60は従動プーリー35側に設ける。
【0065】
そのため、従動プーリー35周辺には、構成物が少ないため、テンション機構の設置スペースを確保しやすい。
【0066】
図18のように、エレベーターケース17の左側面上方に、ベルト36を覆うベルトカバー70を設ける。
【0067】
そのため、エレベーターケース17の操縦部6側にベルト36が配置されるため、ベルトカバー70によりベルト36の上方を包囲し、作業者の安全を確保する。
【0068】
ベルトカバー70はノブボルト71によりエレベーターケース17側に固定する(
図19)。
【0069】
そのため、工具レスでベルトカバー70を着脱でき、ベルト36の交換も容易にできる。
【0070】
なお、図示は省略するが、ベルトカバー70に係合溝を有するハンドルを設け、ハンドルの係合溝をエレベーターケース17の側板に設けた係合軸に係合させる固定手段としてもよい。
【0071】
エレベーターケース17の左側に突出する先端側回転軸20に、オーガー13に回転出力する中間歯車55とを、刈刃12の回転出力するウォブル機構56とを一体状に取付けた中間出力軸57を、着脱自在にキー58とセットボルト59により取付ける(
図20、21)。
【0072】
そのため、刈刃12とオーガー13への歯車等の伝動部材の組立および着脱の容易化が図れ、これによりテーブル14の着脱を容易にできる。
【0073】
図示は省略するが、は中間出力軸57を左右に分割し、内側中間出力軸57Aにオーガー13に回転出力する中間歯車55を取付け、外側中間出力軸57Bに刈刃12に回転出力するウォブル機構56を、それぞれセットボルトセットボルト59により取付ける構成としてもよい。
【0074】
そのため、刈刃12とオーガー13への歯車等の伝動部材の組立および着脱の容易化が図れ、特に、刈刃12とウォブル機構56との間に掛け回したウォブルチェン(図示省略)の交換を容易にする。
【0075】
(実施形態の作用)
本発明は上記構成であり、走行装置2により機体を走行させ、刈取装置4の回転する掻込リール11により圃場の穀稈を掻き込み、掻き込んだ穀稈を刈刃12により刈り取り、刈り取った穀稈を搬送エレベーター15により脱穀装置3に供給搬送して脱穀する。
【0076】
搬送エレベーター15の基部の回転入力軸16を機体側に軸装し、搬送エレベーター15と刈取装置4は回転入力軸16を回動支点として上下回動する構成とし、エレベーターケース17内の回転入力軸16には基部側回転ローラー19を固定状態に取付け、エレベーターケース17内の先端側回転軸20には先端側回転ローラー21を回転自在に取付け、エレベーターケース17の前後方向の中間部には中間部駆動回転軸22により駆動歯車23を設け、駆動歯車23と基部側回転ローラー19および先端側回転ローラー21とに所定間隔をおいて搬送体(スラット)24を複数設けた無端状の搬送チェン25を掛け回しているので、エレベーターケース17の側面形状は、中間部駆動回転軸22(駆動歯車23)の部分を、基部側回転ローラー19と先端側回転ローラー21を結んだ線Lより斜め前方に突出させて「凸形形状」とし、先端側回転軸20(先端側回転ローラー21)と中間部駆動回転軸22(駆動歯車23)と回転入力軸16(基部側回転ローラー19)とにより三角の搬送チェン25ラインを形成することができ、そのため、従来の先端側ローラーと基部側駆動歯車とに搬送チェン25を掛け回した場合に比し、搬送チェン25の中間部分を駆動歯車23により支持することになり、上側戻り移動搬送チェン25Aおよび搬送体24のバタつきを軽減させられる。
【0077】
エレベーターケース17の右側に突出する回転入力軸16には二連状に設けた内側プーリー28と内側プーリー28の外側に設けた外側プーリー29とを設け、内側プーリー28と外側プーリー29は回転入力軸16に固定状態に設け、内側プーリー28にはエンジンの回転を入力する入力ベルト30を掛け回し、回転入力軸16の外側プーリー29と中間部駆動回転軸22の従動プーリー35との間にベルト36を掛け回しているので、回転入力軸16にエンジン回転が入力され、回転入力軸16の回転は外側プーリー29→ベルト36→従動プーリー35→中間部駆動回転軸22→駆動歯車23と伝達され、駆動歯車23は搬送チェン25を駆動回転させ、無端状の搬送チェン25に設けた搬送体26が刈り取った穀稈を脱穀装置3の脱穀室(図示省略)まで供給搬送する。
【0078】
エレベーターケース17の右側に突出する回転入力軸16には二連状に設けた内側プーリー28と内側プーリー28の外側に設けた外側プーリー29とを設け、外側プーリー29を内側プーリー28よりも、右側に設けているので、駆動歯車23に回転伝達するベルト36の交換を容易にできる。
【0079】
すなわち、従来では、回転入力軸16の内側プーリー28が従動プーリー35に相当し、入力ベルト30が入力のベルト36に相当するので、入力ベルト30を交換する必要があり、入力ベルト30を外すには、グレンタンク5内の穀粒を排出し、次に、グレンタンク外側オープン、次に、中間出力軸32に至る脱穀ベルト(図示省略)の取外してやっと、入力ベルト30の交換となるが、本発明では、エレベーターケース17の側部のベルト36のみの交換となって、搬送詰り時のベルト交換の容易化が図れる。
【0080】
また、回転入力軸16に搬送チェン25の駆動スプロケットがあったため、多量に穀稈が巻付くが、本発明では基部側回転ローラー19としているので、穀稈の巻き付きを防止する。
【0081】
また、従来では、先端側回転ローラー21を前後させて搬送チェン25のテンションを調整しているため、基部側回転ローラー19と先端側回転ローラー21の距離が変動するため、エレベーターケース17内の穀稈搬送が安定しないが、本発明では、駆動歯車23を移動させて搬送チェン25のテンション調節できるので、基部側回転ローラー19と先端側回転ローラー21の間の距離は変動せず、穀稈搬送を安定させられる。
【0082】
先端側回転ローラー21の先端側回転軸20の左端はエレベーターケース17より左側面に突出させ、突出部に刈刃12とオーガー13とを駆動させる出力プーリー刈刃・オーガー伝動部37を設けているので、従来では、エレベーターケース17の左側に設けていた、刈刃12とオーガー13とを駆動させる伝達チェンを廃止して、搬送チェン25により代用できるので、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0083】
側面視において、搬送エレベーター15の凸形状を、回転入力軸16(基部側回転ローラー19)と中間部駆動回転軸22(駆動歯車23)との間の距離A>中間部駆動回転軸22(駆動歯車23)と先端側回転軸20(先端側回転ローラー21)との間の距離Bとしているので、上側戻り移動搬送チェン25Aの下方に穀稈搬送通路を確保でき、また、駆動歯車23を上下移動可能に構成することで搬送チェン25のテンション機構Tを簡単に構成できる。
【0084】
側面視において、搬送エレベーター15の凸形状を、回転入力軸16(基部側回転ローラー19)と中間部駆動回転軸22(駆動歯車23)との間の距離A<中間部駆動回転軸22(駆動歯車23)と先端側回転軸20(先端側回転ローラー21)との間の距離Bとしているので、上側戻り移動搬送チェン25Aの下方に穀稈搬送通路を確保でき、また、駆動歯車23を上下移動可能に構成することで搬送チェン25のテンション機構T簡単に構成できる。
【0085】
前記駆動スプロケット駆動歯車23を可動式とし、搬送チェン25のテンション機構Tとし、テンション機構Tは駆動歯車23を上方へ引っ張る構成としているので、構成の簡素化ができ、コストダウンが図れ、また、組立容易化となるだけでなく、調整容易化となる。
【0086】
駆動歯車23の中間部駆動回転軸22の両サイドに調節ステー40を設け、調節ステー40の上部に螺子軸41を固定し、エレベーターケース17に設けた支持板42に螺子軸41の上部を軸装し、支持板42より上方に突出する螺子軸41には調節ボルト43を螺合させているので、調節ボルト43を回転させて中間部駆動回転軸22を上下移動させると、テンション調節を行える。
【0087】
したがって、搬送チェン25のテンション機構Tを、左右の調節ステー40と螺子軸41により構成でき、構成の簡素化が図れ、コストダウンできる。また、テンション機構Tは調節ステー40と螺子軸41と支持板42の全てをエレベーターケース17の外側に位置させているので、組立の容易化が図れ、かつ、調整も容易にできる。
【0088】
前記基部側回転ローラー19は、円筒ドラムを一体型で形成し、搬送体24と一緒に回転する構成としているので、回転入力軸16には駆動歯車でなく、回転入力軸16より大径の基部側回転ローラー19を設けているので、そもそも、基部側回転ローラー19に搬送穀稈が絡まりにくいこと、基部側回転ローラー19には駆動歯車がないので、基部側回転ローラー19と共回りする穀稈が少ないことから、回転入力軸16への穀稈の巻付を防止する。
【0089】
また、本発明では、駆動歯車23を搬送穀稈が通らない搬送チェン25Aに設けているので、駆動歯車23に搬送穀稈が絡みつくことはない。
【符号の説明】
【0090】
1…機体フレ-ム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、10…分草装置、11…掻込リール、12…刈刃、13…オーガー、14…テーブル、15…搬送エレベーター、16…回転入力軸、17…エレベーターケース、18…側板、19…基部側回転ローラー、20…先端側回転軸、21…先端側回転ローラー、22…中間部駆動回転軸、23…駆動歯車、24…搬送体、25…搬送チェン、28…内側プーリー、29…外側プーリー、30…入力ベルト、31…中間出力プーリー、32…中間出力軸、35…従動プーリー、36…ベルト、37…刈刃・オーガー伝動部、40…調節ステー、41…螺子軸、42…支持板、43…調節ボルト、44…ロックナット、45…固定ボルト、46…後方傾斜部、47…前方傾斜部、48…平面部、55…中間歯車、56…ウォブル機構、57…中間出力軸、58…キー、59…セットボルト、60…テンションローラー、61…テンションアーム、62…テンションロッド、63…取付部、64…テンションバネ、70…ベルトカバー、71…ノブボルト、72…ハンドル。