(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2021110731
(22)【出願日】2021-07-02
(62)【分割の表示】P 2016144921の分割
【原出願日】2016-07-22
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000144522
【氏名又は名称】株式会社三洋物産
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮
(72)【発明者】
【氏名】安藤 剛大
(72)【発明者】
【氏名】関田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】山城 仁
(72)【発明者】
【氏名】沖永 圭
【審査官】中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-180041(JP,A)
【文献】特開2012-179399(JP,A)
【文献】特開2006-042948(JP,A)
【文献】特開2002-239106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な始動入球手段と、
前記始動入球手段への入球に基づいて特別情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得された特別情報を記憶可能な取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報に基づいて当否抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段による抽選結果に応じて遊技状態を切り替えることが可能な手段と
を備えている遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な所定入球手段と、
前記所定入球手段への入球が発生した場合に
所定数の遊技
価値を付与する付与手段と、
表示画面を有し、当該表示画面にて絵柄を可変表示可能な絵柄表示手段と、
前記絵柄表示手段の表示制御を行う表示制御手段と
を備え、
前記表示制御手段は、
前記絵柄表示手段における表示モードを前記遊技状態に応じて切り替える表示モード切替手段と、
前記表示モードが特別モードとなっている場合に、前記所定入球手段への入球に基づいて
前記所定数の遊技価値が付与される場合の特定報知を前記表示画面にて
実行することが可能な特定報知手段と
、
前記所定入球手段への入球が連続する場合において、後の入球に対応する
所定領域での前記特定報知が
行われる場合に先の入球に対応する
前記所定領域での前記特定報知
が行われていないように先の入球に対応する前記特定報知の表示
領域を変更することが可能
な手段
と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技者による発射操作に基づいて当該遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備えているものがある。遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部へ入球することにより、所定数の遊技球の払い出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したタイプの遊技機においては、遊技への注目度の向上を図る上で、その構成に未だ改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、遊技への注目度を好適に向上させることができる遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0007】
本発明は、
遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な始動入球手段と、
前記始動入球手段への入球に基づいて特別情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得された特別情報を記憶可能な取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報に基づいて当否抽選を行う抽選手段と、
前記抽選手段による抽選結果に応じて遊技状態を切り替えることが可能な手段と
を備えている遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な所定入球手段と、
前記所定入球手段への入球が発生した場合に所定数の遊技価値を付与する付与手段と、
表示画面を有し、当該表示画面にて絵柄を可変表示可能な絵柄表示手段と、
前記絵柄表示手段の表示制御を行う表示制御手段と
を備え、
前記表示制御手段は、
前記絵柄表示手段における表示モードを前記遊技状態に応じて切り替える表示モード切替手段と、
前記表示モードが特別モードとなっている場合に、前記所定入球手段への入球に基づいて前記所定数の遊技価値が付与される場合の特定報知を前記表示画面にて実行することが可能な特定報知手段と、
前記所定入球手段への入球が連続する場合において、後の入球に対応する所定領域での前記特定報知が行われる場合に先の入球に対応する前記所定領域での前記特定報知が行われていないように先の入球に対応する前記特定報知の表示領域を変更することが可能な手段と
を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
遊技への注目度を好適に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態におけるパチンコ機を示す斜視図である。
【
図2】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【
図3】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【
図9】(a)
図8のA-A線部分断面図、(b)
図9(a)のB-B線部分断面図である。
【
図10】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図11】図柄表示装置の表示画面における表示内容を説明するための説明図である。
【
図12】図柄表示装置の表示画面における表示内容を説明するための説明図である。
【
図13】当否抽選などに用いられる各種カウンタの内容を説明するための説明図である。
【
図14】主制御装置のMPUにて実行されるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【
図15】主制御装置のMPUにて実行される通常処理を示すフローチャートである。
【
図16】遊技状態移行処理を示すフローチャートである。
【
図17】大入賞口開閉処理を示すフローチャートである。
【
図18】報知・演出制御装置のMPUにて実行される位置制御処理を示すフローチャートである。
【
図19】遊技状態と図柄表示装置の位置との関係を示す概略図である。
【
図20】(a)報知・演出制御装置のMPUにて実行される表示モード切替処理を示すフローチャート、(b)遊技状態と表示モードとの関係を示す概略図である。
【
図21】表示モード毎の表示の概要を示す概略図である。
【
図22】報知・演出制御装置のMPUにて実行される上側一般入賞口対応の入賞報知用処理を示すフローチャートである。
【
図23】(a)単発入賞時の入賞報知の流れを示す概略図、(b)連続入賞時の入賞報知の流れを示す概略図である。
【
図24】入賞報知の流れを示すタイミングチャートである。
【
図25】報知・演出制御装置のMPUにて実行される下側一般入賞口対応の入賞報知用処理を示すフローチャートである。
【
図26】(a)単発入賞時の入賞報知の流れを示す概略図、(b)連続入賞時の入賞報知の流れを示す概略図である。
【
図27】第2の実施の形態における入賞報知の概要を示す表示画面の概略図である。
【
図28】連続入賞時の入賞報知の流れを示す概略図である。
【
図29】第4の実施の形態における遊技盤ユニットを示す概略図である。
【
図30】遊技盤ユニットの変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1はパチンコ機10を正面側から見た斜視図、
図2及び
図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、
図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域PE内の構成を省略している。
【0011】
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
【0012】
外枠11は板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。外枠11を島設備に取り付け固定することにより、パチンコ機10が遊技ホールに設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
【0013】
遊技機主部12は、外枠11によって開閉可能な状態で支持されている。具体的には、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている(
図2及び
図3参照)。
【0014】
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
【0015】
内枠13には、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている(
図3参照)。
【0016】
(前扉枠14)
次に、前扉枠14について説明する。
図2に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット22によって同前扉枠14の背面側から塞がれている。
【0017】
ガラスユニット22は、透明性を有する複数のガラスパネル23と、それらガラスパネル23を保持するガラスホルダとを備えている。ガラスホルダには、ガラスパネル23の保持領域を前後に仕切る仕切り部が形成されており、両ガラスパネル23は仕切り部を挟んで前後に相対向している。つまり、両ガラスパネル23の間に所定の隙間を確保することにより、ガラスパネル23同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル23によって遊技領域PEをパチンコ機10の正面側から2重に覆った状態となっている。
【0018】
なお、必ずしも両ガラスパネル23をガラスホルダを用いてユニット化する必要は無く、各ガラスパネル23を枠体20に対して個々に取り付ける構成としてもよい。更には、ガラスパネルの枚数は任意であり、1枚としてもよいし、3枚以上としてもよい。但し、安全性及び防犯性向上の観点から、複数のガラスパネルを採用し、それら各ガラスパネルを所定の隙間を挟んで前後に対向させることが好ましい。因みに、ガラスパネルに代えて透明性を有する合成樹脂性のパネル部材を採用することも可能である。
【0019】
図1に示すように、ガラスユニット22(詳しくは窓部21)の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部26が設けられている。環状電飾部26では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部26の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部27が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部28が設けられている。また、左右の賞球ランプ部28に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部29が設けられている。
【0020】
前扉枠14(枠体20)における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
【0021】
上側膨出部31にて上皿33よりも手前側となる部分には、遊技者によって操作される操作ボタン35が配設されている。この操作ボタン35が操作されることにより操作対応の演出(例えば役物連動の特別演出)等が実施されることとなる。
【0022】
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
【0023】
前扉枠14の背面には、
図2に示すように、通路形成ユニット45が取り付けられている。通路形成ユニット45は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路と下皿34に通じる前扉側下皿通路とを有している。通路形成ユニット45において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部が形成されており、当該受口部を仕切壁によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路の入口部分と前扉側下皿通路の入口部分とが区画形成されている。前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿34に導かれることとなる。
【0024】
前扉枠14の背面における回動基端側には、その上端部及び下端部に突起軸が設けられている。これら突起軸は内枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側には、
図2に示すように、後方に延びる鉤金具49が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具49は内枠13に対する施錠機構を構成する。
【0025】
(内枠13)
次に、
図2及び
図3に基づき内枠13について詳細に説明する。内枠13は、外形が外枠11と同様に略矩形状をなす樹脂ベース50を主体に構成されている。樹脂ベース50の高さ寸法は、外枠11の高さ寸法よりも若干小さく設定されている。また、樹脂ベース50は外枠11の上側枠部に寄せて配置され、外枠11の下側枠部と樹脂ベース50との間には若干の隙間が形成されている。外枠11にはこの隙間を塞ぐようにして幕板が装着されている。幕板は、樹脂ベース50(詳しくはその下端部)の下方に配置されており、内枠13が外枠11に対して閉じられた状態では樹脂ベース50が幕板の上に載ることとなる。
【0026】
樹脂ベース50の前面における回動基端側には、その上端部及び下端部に支持金具51,52が取り付けられている。支持金具51,52には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
【0027】
樹脂ベース50の前面における回動先端側には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具49を挿入するための挿入孔がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、
図3に示すように、内枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置55が内枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具49が挿入孔を介して施錠装置55(詳しくは前扉用鉤受け部材)に係止されることによって、前扉枠14が内枠13に対して開放不能に施錠される。また、施錠装置55は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材57を有している。これら内枠用鉤部材57が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
【0028】
樹脂ベース50の右下隅部には、施錠装置55の解錠操作を行うためのシリンダ錠58が設置されている。シリンダ錠58は施錠装置55に一体化されており、シリンダ錠58の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、シリンダ錠58の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する内枠13の施錠が解除されるように施錠装置55が構成されている。
【0029】
樹脂ベース50の中央部には略楕円形状の窓孔54が形成され、樹脂ベース50に装着された遊技盤ユニット60によって同窓孔54が後方から塞がれている。
【0030】
(遊技盤ユニット60)
遊技盤ユニット60は、前面に遊技球が流下する遊技領域PEが形成され遊技領域形成体60aと、遊技領域形成体60aの背面側に設けられ、後述する各種遊技部品(可変表示ユニット、制御装置、発光可能な装飾部材等)がベース体90に搭載されてなる背面ブロック60bとが一体化されてなる。遊技領域形成体60aは透明な合成樹脂材料(詳しくはFRP)からなり、背面ブロック60bの前面部分が当該遊技領域形成体60aを通じて視認可能となっている。
【0031】
既に説明したように遊技領域PEはガラスユニット22(詳しくは後側のガラスパネル23)によって覆われている。ガラスユニット22は、後側のガラスパネル23と遊技領域形成体60aの前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技領域形成体60aは透明性を有する合成樹脂材料であれば足り例えばアクリル製とすることも可能である。
【0032】
以下、
図4に基づき遊技盤ユニット60(特に遊技領域形成体60aの遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。
図4は遊技盤ユニット60の正面図である。なお、
図4においては遊技領域形成体60aを通じて視認可能となる構成の一部についても破線や鎖線等によって表示し、実際に遊技盤ユニット60を見た場合の概観に近い状態としている。
【0033】
遊技領域形成体60aには、自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。これらの開口には、一般入賞口61、作動入球部(抽選契機入球部)62、63、可変入賞装置64、スルーゲート65等が各々配設されている。一般入賞口61、作動入球部62,63及び可変入賞装置64等の入球部に遊技球が入ると、それら遊技球が各入球部に対応して設けられた検知センサ(図示略)により検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球(遊技球の払い出し)等の特典が遊技者に付与される。その他に、遊技領域PEの最下部にはアウト口67が設けられており、各種入球部等に入らなかった遊技球はアウト口67を通って遊技領域PEから排出される。遊技領域PEから排出された遊技球は、遊技領域形成体60aの背面側に設けられた回収通路と、樹脂ベース50の下部(遊技領域形成体60aの下方)に設けられた排出通路とを経由して、遊技ホールの島設備に返却されることとなる。以下の説明では、アウト口67への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口61、作動入球部62,63、可変入賞装置64への遊技球の入球を「入賞」とも表現する。
【0034】
遊技領域形成体60aの前面側には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の遊技釘68が植設されているとともに、風車69等の各種部材(役物)が配設されている。これら遊技釘68や風車69等の各種構成によって遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口61等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
【0035】
本実施の形態に示す風車69には発光体が内蔵されており、この発光体からの光によって風車69が所定の色に発光する構成となっている。具体的には、風車69に到達した遊技球は風車69の回転を伴って左右に振り分けられることとなる。風車69には当該風車69の回転エネルギを電気エネルギに変化して上記発光体に供給するコンバータが併設されており、遊技球の重さや運動エネルギを利用して風車69が発光することとなる。
【0036】
風車69が所定方向に回転した場合と、それとは反対方向に回転した場合とでは、風車69による遊技球の振り分け先が異なり、振分先によって有利度に差が生じる。所定方向に回転した場合の発光体の発光色と、反対方向に回転した場合の発光体の発光色とが相違しており、遊技球の振り分け先に応じて発光態様が差別化されている。このように、遊技球の動きに連動して風車69が発光し、更にはその振分先によって発光態様(発光色)を変化させることにより、遊技球の動きへの注目度の向上に寄与できる。
【0037】
背面ブロック60bを構成する可変表示ユニット91は、遊技領域形成体60aの中央部分の後方にて当該遊技領域形成体60aと対向している。この可変表示ユニット91の前方となる位置、すなわち遊技領域PEの中央に、上記作動入球部62,63の一方が配置されており、この上側作動入球部62よりも下側となる位置、詳しくは前後方向にて可変表示ユニット91との重なりが回避されている位置に他方が配置されている。以下の説明では、これら2つの作動入球部62,63のうち上側の作動入球部62を「上側作動入球部62」、下側の作動入球部63を「下側作動入球部63」と称する。
【0038】
下側作動入球部63には、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物66が設けられている。電動役物66は、左右一対の可動片とそれら可動片を駆動させるソレノイド式の駆動部とを有してなり、可動片の位置が駆動部によって変更されることにより、下側作動入球部63への入球が可能となる開状態(補助状態)と、同入球が不可となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。
【0039】
遊技領域PEにて下側作動入球部63よりも上流側となる位置に上記スルーゲート65が配置されている。遊技球のスルーゲート65の通過をトリガとした抽選にて当選となった場合には、電動役物66が所定時間だけ閉状態から開状態に切り替えられ、下側作動入球部63への入球が許容されることとなる。
【0040】
電動役物66によるサポートモードとしては、低頻度サポートモードと当該低頻度サポートモードよりも下側作動入球部63への入球が発生しやすい(開状態となりやすい又は開状態となっている期間が長い)高頻度サポートモードとが設けられている。高頻度サポートモードとなっている場合には、低頻度サポートモードとなっている場合と比較して持ち球の減りを抑えながら遊技を進めることができるため、遊技者に有利となる。
【0041】
なお、上側作動入球部62への入球が発生した場合には3個の遊技球の払出が実行され、下側作動入球部63への入球が発生した場合には4個の遊技球の払出が実行されるが、遊技球の払出個数は上記のものに限定されることはない。但し、上側作動入球部62に対する下側作動入球部63の有利性を高める上では、上側作動入球部62に係る払出個数よりも下側作動入球部63に係る払出個数を多く設定することが好ましい。
【0042】
可変入賞装置(特別入球装置又は特別入球手段)64には、遊技領域形成体60aの背面側へ通じる大入賞口が形成されているとともに、当該大入賞口を開閉する開閉部材(開閉手段)としての開閉扉が設けられている。開閉扉は、遊技球の入球が可能又は容易となる開状態(補助状態)と、同入球が不可又は困難となる閉状態(非補助状態)とに切替可能となっている。また、同開閉扉は、遊技領域形成体60aの背面側に設けられた可変入賞駆動部(詳しくはソレノイド)と連結されており、通常時においては開閉扉は閉状態のまま維持され、内部抽選において開閉実行モード(開閉実行状態)への移行に当選した場合に(大当たり:通常の遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態への移行に当選した場合に)開状態に切り替えられるようになっている。
【0043】
ここで、開閉実行モードとは、大当たり当選となった場合に移行することとなるモードである。当該開閉実行モードにおける可変入賞装置64の開放態様としては、例えば所定時間(例えば30sec)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば16ラウンド)を上限とした開閉扉の開放が繰り返されるように設定されている。
【0044】
ここで、可変表示ユニット91について補足説明する。可変表示ユニット91は、作動入球部62,63への入賞をトリガとして図柄を可変表示(変動表示)する図柄表示装置92を有している。図柄表示装置92は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置によりその表示内容が制御される。図柄表示装置92の表示画面92aにおいては、例えば左、中、右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、大当たりに当選した場合には、予め設定されている有効ライン上に所定の組み合せ(所定の図柄組み合わせ)となるようにして各図柄が停止表示され、上記開閉実行モード(特別遊技状態又は大当たり)に移行することとなる。なお、図柄表示装置92については必ずしも液晶表示装置である必要はなく、ドットマトリクスや7セグタイプの表示装置であってもよい。
【0045】
遊技領域形成体60aにおける右側の端部には、後述する誘導レール100とともに遊技領域PEを区画形成する遊技領域区画部材76が配設されている。遊技領域区画部材76には誘導レール100に沿って飛翔した遊技球が衝突するストッパ部材が配設されている。ストッパ部材は誘導レール100の先端付近に配置された緩衝部材であり、当該ストッパ部材に衝突した遊技球はその勢いが弱められた後、遊技領域PEを流下することとなる。つまり、ストッパ部材には衝突した遊技球の勢いを弱める減勢機能が付与されている。
【0046】
遊技領域形成体60aにおける左側の端部には、誘導レール100(外レール102)を側方から覆うレールカバーが配設され、このレールカバーによって誘導レール100が保護されている。レールカバーには主表示ユニット77が埋設されており、当該主表示ユニット77の一部がガラスユニット22と対向するように配置されている。この対向している部分には、所定の絵柄等が表示される主表示部Dが設けられている。主表示ユニット77については、後述する主制御装置に電気的に接続されており、主表示部Dの表示内容は当該主制御装置によって制御される構成となっている。
【0047】
主表示部Dには、上側作動入球部62(上作動口)への入賞に基づいた抽選結果を表示する上作動口用表示部と、下側作動入球部63(下作動口)への入賞に基づいて行われた抽選結果を表示する下作動口用表示部とが設けられている。
【0048】
上作動口用表示部では、上側作動入球部62への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上側作動入球部62への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。上側作動入球部62への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、上作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行することとなる。
【0049】
下作動口用表示部では、下側作動入球部63への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、下側作動入球部63への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。下側作動入球部63への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、下作動口用表示部にて変動表示が停止され、停止結果として所定の絵柄が表示された後に、上記開閉実行モードへ移行することとなる。
【0050】
ここで、いずれかの作動入球部62,63への入賞に基づき、対応する作動口用表示部にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまで(詳しくは遊技結果の確定表示が終了するまで)が遊技回の1回に相当する。但し、遊技回の1回は、上記の内容に限定されることはなく、例えば、単一の表示領域が設けられ、いずれの作動入球部62,63への入賞が発生したとしてもその単一の表示領域にて変動表示が行われる構成においては、当該単一の表示領域にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示した状態で上記変動表示が停止されるまでを遊技回の1回とすることも可能である。
【0051】
また、主表示ユニット77の主表示部Dには上記作動口用表示部以外に、スルーゲート65への入賞に基づいた抽選結果を表示するスルーゲート用表示部が併設されている。スルーゲート用表示部では、スルーゲート65への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート65への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。スルーゲート65への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、スルーゲート用表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下側作動入球部63に併設された上記電動役物66が所定の態様で開放される。
【0052】
更に、本実施の形態においては遊技球がスルーゲート65を通過した回数は最大4回まで保留される構成が採用されているが、主表示ユニット77の主表示部Dにはその保留個数を表示する保留数用表示部が設けられている。
【0053】
以上詳述した主表示部Dについては、前扉枠14のガラスユニット22を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、これら各種表示部の前方を遊技球が移動することが回避されているため、その視認性が担保されている。
【0054】
本実施の形態における遊技領域形成体60aについては、遊技釘68を所定の方向に3以上(遊技釘68間の隙間が遊技球の直径(半径)寸法よりも小さくなるように)並べて配置されてなる遊技釘列が複数形成されていることを特徴の1つとしている。以下、
図5を参照して、遊技領域形成体60aにおける遊技釘列の配置及びそれに関連する構成について補足説明する。
図5は遊技領域形成体60aの正面図である。
【0055】
遊技領域PEには、複数の遊技釘列を用いて当該遊技領域PEの一部を区画することにより、上側作動入球部62の上方に当該上側作動入球部62へ向けて遊技球が流下し得る領域である上側領域UEが形成され、下側作動入球部63及び可変入賞装置64の上方にそれら下側作動入球部63及び可変入賞装置64に向けて遊技球が流下する領域である下側領域LEと形成されている。つまり、遊技領域PEに遊技態様の異なる複数のゾーンが縦並びとなるように形成されている。以下、これら上側領域UE及び下側領域LEについて説明する。
【0056】
上側領域UEには、上側作動入球部62へ遊技球を案内するスロープ71が設けられている。スロープ71は、遊技領域形成体60aの前面から突出する複数の突出部を有しており、スロープ71に到達した遊技球はそれら突出部の上面を遊技盤ユニット60の幅方向へ転動可能となっている。スロープ71は、それら突出部が遊技球の直径寸法よりも大きな間隔が確保されるようにして上下に並ぶ多段構造となっており、突出部に沿って転動する遊技球が上側の突出部から下側の突出部に移ることで徐々に上側作動入球部62に近づくように構成されている。
【0057】
最下段部を構成する突出部の突出量はガラスパネル23との間に形成される隙間が遊技球の直径寸法よりも大きくなるように設定されており、当該突出部とガラスパネル23との間を遊技球が通過可能となっている。上側作動入球部62の直上となる部分には、手前側に下り傾斜となる溝部が形成されており、当該溝部に入った遊技球が上側作動入球部62へ導かれる構成となっている。
【0058】
これに対して、他の突出部の突出量はガラスパネル23との間に形成される隙間が遊技球の直径寸法(詳しくは半径寸法)よりも小さくなるように設定されており、当該隙間を通じた遊技球の脱落が回避されている。なお、これら他の突出部については、僅かながら上面が後方へ下り傾斜となるように形成されており、突出部上を転動する遊技球の前方への移動が抑制されている。
【0059】
以上詳述したスロープ71に到達した遊技球が当該スロープを経由して上側作動入球部62に入球する入球確率は、スロープ71を経由しない遊技球が下側作動入球部63に入球する入球確率よりも高くなっている。
【0060】
上側領域UEの上部(スロープ71の上方)には、当該上側領域UE(詳しくはスロープ71)の入口部分を構成するゲート70が配されている。ゲート70は、左右一対の可動片と、それら可動片を互いに近づく側及び遠ざかる側に移動させる駆動部とを有してなり、可動片の移動によって、両可動片の間の遊技球の通過を許容する許容状態と両可動片の間の遊技球の通過を阻止する阻止状態とに切り替わる構成となっている。駆動部は主制御装置に接続されており、主制御装置からの駆動信号に基づいて可動片が動作し、許容状態及び阻止状態に周期的に切り替わる。
【0061】
ゲート70が許容状態となっている状況下にて当該ゲート70に到達した遊技球は、
ゲート70が阻止状態となっている状況下にて当該ゲート70に到達した遊技球と比べてスロープ71に到達しやすくなっている。上側作動入球部62への入球を期待する場合には、ゲート70(詳しくは許容状態となっているタイミング)を狙って遊技球を発射することで遊技を有利に進めることができる。
【0062】
上側領域UEの周辺には当該上側領域UEを囲むようにして上側遊技釘列81~82が配設されている。具体的には、ゲート70から側方に向けて下り傾斜となるように配列された遊技釘群からなる左右一対の第1種上側遊技釘列81と、それら第1種上側遊技釘列81に対して上側領域UEを挟んで対峙し且つ側方から上側作動入球部62に向けて下り傾斜となるように配列された遊技釘群からなる左右一対の第2種上側遊技釘列82とによって上側領域UEが区画形成されている。これら上側遊技釘列81,82によって、上側作動入球部62に向かう経路が、上側領域UEの中央を通過する第1経路と、上側領域UEの外周に沿って移動する第2経路とに大別されている。特に、第2経路においては、側方から中央側に折り返すようにして遊技球を移動させることにより、遊技釘列81~82の傾斜に沿って転がる遊技球の移動速度が過度に高くなることを抑制している。
【0063】
第1種上側遊技釘列81の傾斜角度と第2種上側遊技釘列82の傾斜角度とが同等且つ第1種上側遊技釘列81の全長と第2種上側遊技釘列82の全長とが同等となっており、上下左右にて略対称となるようにして遊技釘列が配されている。これにより、上側領域UEについては外形が略ひし形となるように構成されている。特に、上側遊技釘列81,82の傾斜角度を45°よりも小さく設定して、上側領域UEを横長とすることにより、第2経路における遊技球の移動距離を長くすることが可能となっている。
【0064】
第1種上側遊技釘列81には遊技球が通過可能な陥欠部85が複数形成されており、これら陥欠部85が上側領域UEへの入口部分として機能している。ここで、上記スロープ71には側方(左右)に開放された開放部分72が設けられており、陥欠部85を通じて上側領域UEに流入した遊技球の一部は、開放部分72を通じてスロープ71に到達し得る構成となっている。これに対して、陥欠部85を通じて上側領域UEに流入した遊技球のうちスロープ71に到達しなかった遊技球については、そのまま当該上側領域UEを流下することで、第2種上側遊技釘列82に到達することとなる。
【0065】
第2種上側遊技釘列82についても遊技球が通過可能な陥欠部86が複数形成されている。これら陥欠部86に入った遊技球については、上側作動入球部62への案内が終了し、下側領域LEに向かうこととなる。
【0066】
ここで、第1種上側遊技釘列81及び第2種上側遊技釘列82については、それぞれ複数列となるように縦に並んでおり、各列の間を遊技球が通過可能となっている。言い換えれば、上側領域UEを囲む遊技釘列81,82が複数層となるように構成されている。第2経路に沿って流下する遊技球は、上記陥欠部85,86を通じて列間を移ることとなる。
【0067】
下側領域LEの周辺には当該下側領域LEを囲むようにして下側遊技釘列83~84が配設されている。具体的には、上側作動入球部62から側方に向けて下り傾斜となるように配列された遊技釘群からなる左右一対の第1種下側遊技釘列83と、それら第1種下側遊技釘列83に対して下側領域LEを挟んで対峙し且つ側方から下側作動入球部63に向けて下り傾斜となるように配列された遊技釘群からなる左右一対の第2種下側遊技釘列84とによって下側領域LEが区画形成されている。これら下側遊技釘列83,84によって、下側作動入球部63に向かう経路が、下側領域LEの中央を通過する第3経路と、下側領域LEの外周に沿って移動する第4経路とに大別されている。特に、第4経路においては、側方から中央側に折り返すようにして遊技球を移動させることにより、遊技釘列83~84の傾斜に沿って転がる遊技球の移動速度が過度に高くなることを抑制している。
【0068】
第1種下側遊技釘列83の傾斜角度と第2種下側遊技釘列84の傾斜角度とが同等且つ第1種下側遊技釘列83の全長と第2種下側遊技釘列84の全長とが同等となっており、上下左右にて略対称となるように遊技釘列が配されている。これにより、下側領域LEについても上側領域UEと同様に外形が略ひし形となるように構成されている。特に、下側遊技釘列83,84の傾斜角度を45°よりも小さく設定して、下側領域LEを横長とすることにより、第2経路における遊技球の移動距離を長くすることが可能となっている。
【0069】
下側領域LEには、上記一般入賞口61U(上側一般入賞口61U)が設けられている。上側一般入賞口61Uは、上側作動入球部62の真下から左右にずれた位置に配置されており、上側作動入球部62の側方を素通りした遊技球の一部がこれら上側一般入賞口61に入球し得る構成となっている。既に説明したように、一般入賞口61は遊技球の払い出しの契機となる入球部であり、上側作動入球部62に惜しくも入球しなかった遊技球についても一般入賞口61への入賞の余地がある。言い換えれば、下側領域LEについては遊技釘列83,84によって囲まれており、上側作動入球部62への入球を発生させるには、それら遊技釘列83,84による包囲網を突破する必要がある。この点、惜しくも上側作動入球部62に入球しなかった遊技球が下側領域LEに流入しやすくすることにより、当該遊技球の動きへの遊技者の注目度が低下することを抑制できる。
【0070】
また、第1種下側遊技釘列83には遊技球が通過可能な陥欠部87が複数形成されており、これら陥欠部87が下側領域LEへの入口部分として機能している。また、第1種下側遊技釘列83と上側作動入球部62との間には、遊技球が通過可能な隙間が形成されており、この隙間が同じく下側領域LEへの入口部分として機能している。つまり、本下側領域LEにおいても上側領域UEと同様に流入経路が複数設けられている。
【0071】
ここで、第1種下側遊技釘列83は一列となっているのに対して、第2種下側遊技釘列84は複数列となっている。第1種下側遊技釘列の列数を少なくすることにより、下側領域LEへの遊技球の流入を促がしている。
【0072】
第2種下側遊技釘列84には遊技球が通過可能な陥欠部88が形成されている。第2種下側遊技釘列84の下方であって下側作動入球部63と横並びとなる位置には、一般入賞口61(下側一般入賞口61L)が設けられている。第2種下側遊技釘列84の陥欠部88に流入した遊技球については、その一部が下側一般入賞口61Lに入球し、当該入球に基づいて所定数(本実施の形態においては「7」個)の遊技球が払い出される。
【0073】
次に
図6の概略図を参照して、遊技領域PEにおける遊技球の流下態様について説明する。遊技状態に応じて遊技者に有利な遊技球の発射先が変化する。
図6(a)においては低頻度サポートモード対応の通常遊技状態である場合の遊技球の流下態様について例示しており、
図6(b)においては高頻度サポートモード対応の通常遊技状態又は特別遊技状態である場合の遊技球の流下態様について例示している。なお、
図6(a)では遊技領域PEの区分けを見やすくすべく領域ごとにドットハッチングを付与している。
【0074】
(遊技球の流下態様)
電動役物66によるサポートモードが低頻度サポートモードに対応した通常遊技状態においては下側作動入球部63よりも上側作動入球部62の方が入球確率が高くなるため、上側作動入球部62を狙うことが好ましい。上側作動入球部62への入球については第1経路を経由するものと第2経路を経由するものとに大別される。既に説明したように、第1経路と第2経路とを比較した場合には、後者よりも前者の方が上側作動入球部62への入球が発生しやすい。上側領域UEの頂部(ゲート70)を狙うことで、第1経路へ遊技球が導かれやすくなる。
【0075】
図6(a)に例示されているように、ゲート70を狙って発射された遊技球の一部は、当該ゲート70を通過して上側領域UEに流入する。上側領域UEに流入した遊技球は、スロープ71に沿って移動することにより、上側作動入球部62に案内されることとなる。これに対して、上側領域UEに流入しなかった遊技球は第1種上側遊技釘列81に沿って遊技領域PEの中央側から側方へと案内される。
【0076】
この際、一部の遊技球は第1種上側遊技釘列81に形成された陥欠部85を通じて上側領域UEに流入することとなる。上側領域UEの内部にも遊技釘68が散在しており、陥欠部85を通じて流入した遊技球については、これら遊技釘68によってスロープ71の途中位置へ案内される場合がある。
【0077】
第1種上側遊技釘列81に沿って側方へ案内された遊技球は、第2種上側遊技釘列82に到達することで反転し、上側作動入球部62へ向けて移動することとなる。上側領域UEに流入した遊技球のうちスロープ71に至らなかった遊技球やスロープ71から離脱した遊技球についても、当該第2種上側遊技釘列82が受け皿となることで、上側作動入球部62へ向けて移動することとなる。
【0078】
上側作動入球部62に到達した遊技球のうち当該上側作動入球部62に入らなかった遊技球については、上側作動入球部62の側方を通過して下側領域LEに流入するものと第1種下側遊技釘列83に至るものとに分かれる。
【0079】
上側作動入球部62の側方を通過した遊技球は、上側一般入賞口61Uに流入するものと、上側一般入賞口61Uに流入せずそのまま下側領域LEを流下するものとに分かれる。既に説明したように、通常遊技状態においては、電動役物66はほぼ閉状態に維持され且つ可変入賞装置64は閉状態に維持される。故に、上側一般入賞口61Uに入らなかった遊技球の電動役物66や可変入賞装置64への入球は期待薄となる。
【0080】
なお、詳細については後述するが、下側領域LEにて上側作動入球部62の下方且つ左右の上側一般入賞口61Uの間となる位置には、遊技球を左右に振り分ける振分部材73が配設されている。上記下側一般入賞口61Lについては、これら振分部材73による遊技球の案内先に位置しており、振分部材73に案内された遊技球についてはその一部が下側一般入賞口61Lに入球し得る構成となっている。
【0081】
第2種上側遊技釘列82及び第1種下側遊技釘列83の間には上側作動入球部62が配置されているものの、第2経路を流下した遊技球が必ずしも上側作動入球部62に入球するとは限らない。一部の遊技球については、上側作動入球部62を素通りして、第4経路(第1種下側遊技釘列83)に移る可能性がある。
【0082】
第2経路を移動する際に遊技球が過度に加速してしまって場合には、当該遊技球が勢いよく第4経路に移ることで遊技球の動きを目で捉えることが難しくなると想定される。本実施の形態においては、このような不都合の発生を抑える工夫がなされている。ここで、第2種上側遊技釘列82及び第1種下側遊技釘列83との関係について補足説明する。
【0083】
既に説明したように、第2種上側遊技釘列82と第1種下側遊技釘列83とは傾斜角度が統一されており、一見すると両者が同一仮想直線上に位置しているかのように見えるが、実際には第1種下側遊技釘列83は第2種上側遊技釘列82の延長上よりも上側に僅かにオフセットするようにして配置されている。第1種下側遊技釘列83のオフセット量については遊技球の半径寸法未満となるように設定されている。
【0084】
第2種上側遊技釘列82に沿って移動した遊技球は、第1種下側遊技釘列83に移る際に挙動が変化し、僅かながら減速することとなる。これにより、第2種上側遊技釘列82及び第1種下側遊技釘列83によって傾斜面を形成したとしても、それに起因して上記不都合が発生することを抑制している。
【0085】
なお、第2種上側遊技釘列82及び第1種下側遊技釘列83の繋ぎ部分に上側作動入球部62を配置することには、上側作動入球部62周辺にて遊技球が減速することが不自然になることを回避して、違和感が生じる要因になることを抑制できるという技術的意義がある。
【0086】
上述したように上側作動入球部62に到達する前に第2種上側遊技釘列82に形成された陥欠部86に入った遊技球は、上側作動入球部62への案内経路(第2経路)から外れた後に第1種下側遊技釘列83に向かうこととなる。この際、第2種上側遊技釘列82のどの階層を通過したかによって第1種下側遊技釘列83の長手方向における到達位置が変化することとなる。具体的には、より下位側の階層を構成している遊技釘列を経て第1種下側遊技釘列83に至ったものほど到達位置が下流側にずれる構成となっている。
【0087】
既に説明したように、第1種下側遊技釘列83には下側領域LEへの入口部分を構成する陥欠部87が形成されており、この陥欠部87を通過することで上側一般入賞口61Uへの入球機会が得られることとなる。下位側の階層を経由した場合には、陥欠部87よりも下流側に案内される等して、陥欠部87への入球確率が低下する。このような構成とすることにより、遊技の単調化を抑制することができる。
【0088】
第1種下側遊技釘列83の延長上に第2種下側遊技釘列84が位置しており、第1種下側遊技釘列83と第2種下側遊技釘列84との間には遊技球が通過可能な隙間が形成されている。第1種下側遊技釘列83に沿って移動する遊技球のうち陥欠部87への入球が回避されたものについては、第2種下側遊技釘列84に移る。これにより、遊技球の移動方向が中央向きとなるように変わり、第2種下側遊技釘列84に沿って下側作動入球部63へ向かう。
【0089】
下側作動入球部63へ向かう遊技球の一部は、第2種下側遊技釘列84に形成された陥欠部88に入り、当該陥欠部88を通過して下側一般入賞口61Lに向かう。下側一般入賞口61Lへの入球が発生した場合には、所定数(本実施の形態においては「7」個)の遊技球が払い出されることとなる。
【0090】
第4経路を流下する遊技球のうち陥欠部88を素通りした遊技球については下側作動入球部63に向かう。下側作動入球部63へ入らなかった遊技球は、当該下側作動入球部63の直下に配置された可変入賞装置64に向かう。下側作動入球部63及び可変入賞装置64の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口67を通じて遊技領域PEから排出される。
【0091】
上側領域UE→下側領域LEの順に移動する遊技球は、第1経路→第3経路を経由する場合には遊技領域PEを縦断し、第2経路→第4経路を経由する場合には第1経路→第3経路(遊技領域PE)を左右に横断するように移動し得る。このように、遊技球の流下態様を大きく相違させることにより、遊技球の動きが単調になることを抑制できる。
【0092】
特に、第2経路→第4経路を通過する場合には、遊技球の移動速度が過度に遅くなることを抑制しつつ遊技領域PEから遊技球が排出されるまでの期間を長くすることができる。これは、遊技球の動きに対する遊技者の注目度の向上を図る上で好ましい構成である。
【0093】
低頻度サポートモードに対応した通常遊技状態においては、発射された遊技球が遊技領域PEから排出されるまでに要する期間、より詳しくは下側作動入球部63や可変入賞装置64に到達するまでに要する期間がある程度長くなったとしても遊技者が不利益を被ることはない。これに対して、高頻度サポートモードに対応した通常遊技状態や特別遊技状態においては、遊技進行の円滑化等に配慮する上では上記所要期間を短くすることが好ましい。
【0094】
このような状況下においては、
図6(b)に示すように、上側領域UEを右側から迂回するようにして遊技球を発射することにより、ほとんどの遊技球は上側領域UEを経由することなく、下側作動入球部63及び可変入賞装置64に案内されることとなる。
【0095】
具体的には、上述した返し部材に向けて遊技球を発射した場合には(所謂右打ちを行った場合には)、遊技球が上側領域UEを飛び越えて返し部材に衝突する。返し部材に衝突することで勢いが弱められた遊技球は、上側領域UEの右側方を流下する。この経路(右ルート)上に上記スルーゲート65が配置されているため、当該経路を流下する遊技球の一部がスルーゲート65に入球することとなる。上側領域UEを迂回した遊技球は、第2種下側遊技釘列84へ案内され、当該第2種下側遊技釘列84に沿って下側作動入球部63及び可変入賞装置64へ向けて移動する。これにより、上記所要期間が大幅に短縮されることとなる。これにより、特殊な遊技状況においても遊技を円滑に進行することが可能となる。
【0096】
なお、第2種下側遊技釘列84に沿って移動する遊技球の一部は、当該第2種下側遊技釘列84の陥欠部88を通じて下側一般入賞口61Lに入る。つまり、右ルートへ向けて遊技球を発射した場合には、上側作動入球部62や上側一般入賞口61Uへの入球が実質的に回避されるものの、下側一般入賞口61Lへの入球の余地は残り、当該下側一般入賞口61Lへの入球に基づく特典が付与される場合がある。寧ろ、上記陥欠部88に到達する遊技球の数が増えることにより、下側一般入賞口61Lへの入球数が増加することとなる。
【0097】
このように遊技状況に応じて遊技領域PEにて主として利用される領域が変わることに合わせて、上記可変表示ユニット91における表示演出についても変化することとなる。以下、
図7を参照して、当該可変表示ユニット91が属する背面ブロック60bの構成について補足説明する。
図7は、遊技領域形成体60aの背後に設けられた背面ブロック60bの正面図である。
【0098】
(背面ブロック60b)
背面ブロック60bは、遊技領域形成体60a側に開放された略箱状のベース体90を有してなり、このベース体90に可変表示ユニット91が搭載された状態にて遊技領域形成体60aに固定されることで遊技盤ユニット60が構築されている。ベース体90の底部には第2背景シート99が配設されており、遊技領域形成体60aを通じて視認可能となる範囲にて見栄えの向上が図られている。本実施の形態では、遊技領域形成体60aの背面に第1背景シート79を配設し且つベース体90の底部に第2背景シート99を配設することにより背景の奥行きを強調している。
【0099】
可変表示ユニット91は、液晶表示装置である図柄表示装置92と、図柄表示装置92の表示制御を行う表示制御装置と、それら図柄表示装置92及び表示制御装置を保持するホルダ93とが一体化されてなり、ベース体90内に収容されている。
【0100】
因みに、ホルダ93の前面には、第1保留ランプ部94及び第2保留ランプ部95が設けられている。左側の第1保留ランプ部94は、上側作動入球部62に対応しており遊技球が上側作動入球部62に入球した回数は最大4回まで保留され第1保留ランプ部94の点灯によってその保留数が表示されるようになっている。右側の第2保留ランプ部95は、下側作動入球部63に対応しており、遊技球が下側作動入球部63に入球した回数は最大4回まで保留され第2保留ランプ部95の点灯によってその保留数が表示されるようになっている。
【0101】
ベース体90には、可変表示ユニット91を昇降させる昇降装置96が設けられている。昇降装置96は、可変表示ユニット91の移動方向を遊技領域形成体60aの背面と平行(詳しくは上下方向)となるように規定するレール97と、可変表示ユニット91を昇降させる駆動源としてのモータ98と、可変表示ユニット91の移動規制を行うロック装置とを有してなる。モータ98はベース体90の背面側に固定された報知・演出制御装置に接続されており、この報知・演出制御装置からの駆動信号によって可変表示ユニット91が上下に移動することとなる。詳細については後述するが、遊技の状況に応じて可変表示ユニット91の高さ位置を変更することにより、遊技球の主たる入球先に応じて可変表示ユニット91の位置(上側表示位置/下側表示位置)が切り替わる。
【0102】
図8(
図4の部分拡大図)に示すように、本実施の形態に示す可変表示ユニット91については、その動作領域が遊技領域PEに設けられた一部の入球部(上側一般入賞口61U及び上側作動入球部62)と前後に重なっている。このため、遊技球の回収に係る構成(回収通路)が遊技領域形成体60aと可変表示ユニット91との位置関係に係る制約を強める要因になり得る。遊技領域形成体60aの背後に可変表示ユニット91を配設する場合には、表示演出のインパクトや図柄表示装置92の見えやすさの向上を図る上で当該可変表示ユニット91をできるだけ遊技領域形成体60aに近づけて配置することが好ましい。
【0103】
本実施の形態においては、このような事情等に配慮して、遊技領域PEからの遊技球の回収に係る構成が工夫されていることを特徴の1つとしている。以下、
図8及び
図9を参照して、当該工夫について説明する。
図9(a)は
図8のA-A線部分断面図、
図9(b)は
図9(a)のB-B線部分断面図である。なお、
図8及び
図9においては、上側一般入賞口61Uに係る構成について例示している。
【0104】
(回収構造)
図8に示すように可変表示ユニット91が上側表示位置に配置されている状態では、当該可変表示ユニット91が上側一般入賞口61Uの背後に位置している。
図8の2点鎖線に示すように、可変表示ユニット91が下側表示位置へ移動した場合であっても両者の重なりは維持される。詳細については後述するが、可変表示ユニット91においては上側表示位置に配置されている状況下にて上側一般入賞口61Uへの入賞が発生した場合に当該入賞が発生したことを示す入賞対応表示を行う構成となっている。可変表示ユニット91と上側一般入賞口61Uとを前後に重ねることには当該入賞対応表示と入球箇所との関係を遊技者に分かりやすく伝えるという技術的意義がある。
【0105】
図9(a)に示すように、上側一般入賞口61Uには、当該上側一般入賞口61Uに入賞した遊技球を遊技領域形成体60aの背面側へ案内する案内通路251が形成されている。この案内通路251は遊技領域形成体60aの厚さ方向に延びており、遊技領域形成体60aの背面部分には案内通路251の出口部分に連なるようにして溝部261が形成されている。溝部261は遊技領域形成体60aの背面を遊技機前方に凹ませてなる。つまり、遊技領域形成体60aの肉厚を部分的に薄くすることで溝部261が構成されている。溝部261は下方に延びており、当該上側一般入賞口61Uの下方に位置する下側作動入球部63と上側一般入賞口61Uとを繋いでいる。
【0106】
遊技領域形成体60aの背面には、溝部261の開放部分を覆うカバー部材305が取り付けられている。カバー部材305は溝状をなす本体部306と、当該本体部306から延出するフランジ部307とを有し、フランジ部307が遊技領域形成体60aに固定されることで遊技領域形成体60aに一体化されている。
【0107】
これら溝部261及びカバー部材305によって遊技球が通過する回収通路301が構成されている。遊技領域形成体60aに溝部を形成し、遊技領域形成体60aの肉厚を利用して回収通路301を構築することにより、回収通路301の可変表示ユニット91側への張り出しを抑えることが可能となっている。これにより、遊技領域形成体60aと可変表示ユニット91との前後位置に係る制約を緩和している。
【0108】
溝部261の深さ寸法は、本体部306における溝状部分の深さ寸法よりも大きくなっている。このように、回収通路301における通過領域を構成する主体を遊技領域形成体60aとし、カバー部材305を溝部261からの遊技球の脱落を阻止する手段として利用すれば、可変表示ユニット91側への回収通路301の張り出しを好適に抑制することができる。
【0109】
ここで、そもそも遊技領域形成体60aの肉部(板状部分)については遊技釘68等の各種遊技部品の取付対象となっている。肉部が極端に薄くなることは遊技領域形成体60aにおける遊技部品の取付強度等が低下する要因になると懸念される。この点、カバー部材305の本体部306によって回収通路301(遊技球の通過領域)の一部を形成すれば、遊技領域形成体60aの肉厚が極端に薄くなることを抑制できる。
【0110】
また、カバー部材305の固定箇所については、溝部261を囲むように複数設けられている。このような固定態様とすることにより、カバー部材によって遊技領域形成体60aを補強することができる。これは、溝部261を形成したことによる強度低下を抑えて、遊技領域形成体60aに歪み等が生じることを抑制する上で好ましい構成である。
【0111】
特に、カバー部材305を単なる板状とするのではなく、樋状とすることには、カバー部材305自体の強度を担保して、当該カバー部材305による上記補強機能を好適に発揮させることができるという技術的意義がある。
【0112】
上側一般入賞口61Uよりも下側に配置された下側作動入球部63については、可変表示ユニット91の動作領域との重なりが回避されている。
図9(a)に示すように、下側作動入球部63に入った遊技球を後方へ案内する案内通路252については、可変表示ユニット91の下方を通過しており、この案内通路252に回収通路301が繋がっている。つまり、上側一般入賞口61Uに入った遊技球は、案内通路251→回収通路301を経由して案内通路252へ流入し、案内通路252を経て遊技ホールの島設備等に返却されることとなる。
【0113】
ここで、遊技領域PEから離脱して遊技領域形成体60aの背面側を移動する遊技球を遊技領域形成体60aを通じて視認可能とした場合には、遊技領域形成体60aの前面側(遊技領域PE)を流下中の遊技球と排出中の遊技球とを見分けにくくなると想定される。これは、遊技者を困惑させる要因になるため好ましくない。本実施の形態においては、回収通路301の取り回しを工夫することにより、このような不都合の発生を抑制している。以下、再び
図8を参照して、当該工夫について説明する。
【0114】
(回収通路301の取り回し)
上側一般入賞口61Uの直下となる位置には、上側一般入賞口61Uを飾る装飾部材として有色不透明なシール78が設けられている。シール78は遊技領域形成体60aの前面に貼り付けられており、このシール78の後方を通過するようにして上記回収通路301が設けられている。
【0115】
遊技領域形成体60aの溝部261によって回収通路301を形成する上では、シール78の貼り付けが困難になる。そこで、主たる背景を構成する第1背景シート79を遊技領域形成体60aの背面に貼り付ける一方で、部分的な装飾としてのシール78については遊技領域形成体60aの前面に貼り付ける構成とすることにより、貼付作業がやりづらくなることを回避している。
【0116】
遊技領域形成体60aの背面に配設された第1背景シート79と比較して、遊技領域PEに配設されたシール78は遊技球と接触する可能性が高くなる。このように、遊技球との接触の機会が増えることは、シール78が摩耗し、装飾部材としても機能を担保することが困難になり得る。そこで、シール78の配設箇所を上側一般入賞口61Uの直下、すなわち遊技球が比較的通過しにくい位置に限定することにより、遊技球との接触の機会を減らし、上述した耐久性に係る課題を克服している。
【0117】
回収通路301にてシール78と下側作動入球部63との間となる部分は、上記振分部材73の背後を通過している。振分部材73は、遊技領域形成体60aの前面に対向する平板状の取付ベース74と、当該取付ベース74の上端縁に沿って形成され取付ベース74から起立する起立部75とを有し、取付ベース74がネジ等の固定具によって遊技領域形成体60aに固定されることで、当該遊技領域形成体60aに一体化されている。
【0118】
起立部75は、左方に下る左側傾斜部と右方に下る右側傾斜部とを有し、当該起立部75に到達した遊技球はそれら傾斜部に沿って左右に振り分けられることとなる。これにより、当該取付ベース74の前方となる領域は、遊技球が実質的に通過しない非通過領域となっている。
【0119】
振分部材73は透明な合成樹脂材料からなり、当該振分部材73を通じてその後方を視認可能となっている。このような事情から、回収通路301を通過する遊技球については、取付ベース74の後方を通過する際に視認可能となる。但し、取付ベース74の前方となる領域については上述の如く遊技球の非通過領域となっている。取付ベース74の前方は遊技領域PEを流下する遊技球の通過が制限されているため、回収通路301を通過する遊技球が遊技領域PEを通過していると誤認されることを抑制できる。
【0120】
可変表示ユニット91(図柄表示装置92)が下側表示位置に配置された状態では、表示画面92aにて下側表示位置に対応する表示が行われる。この際、表示画面92aが振分部材73の中央後方に位置するため、表示画面92aの中央前方を遊技球が通過することを抑制できる。図柄表示装置92の大型化によって表示演出のインパクトを強化しようとした場合、表示画面の中央部分が何らかの事情で見づらくなって表示が分断されているように見えてしまうと、上述したインパクトの強化を図るという効果が薄れると懸念される。この点、本特徴に示すように、少なくとも表示画面92aの中央部分においては当該中央部分の前方を遊技球が通過しないように工夫することにより、上記不都合の発生を抑制できる。
【0121】
可変表示ユニット91の移動先に振分部材73を配し、表示画面92aの前方に遊技球の流下が回避された領域を重ねる構成とすることには、表示演出等の視認性を向上させることができるという技術的意義がある。他の目的に使用される遊技部品(振分部材73)を利用して、表示画面92aの視認性の向上を図る構成によれば、専用の球避けを用いる場合と比較して、占有領域の拡がりを抑え他の遊技部品との共存を図る上で好ましい。
【0122】
(内枠13)
再び
図2を用いて内枠13の構成について説明する。樹脂ベース50において遊技盤ユニット60の搭載領域の下方には、上記遊技球発射ハンドル41の操作に基づき遊技領域PEへ向けて遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111~113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース50に固定されることで樹脂ベース50に対して一体化されている。
【0123】
発射レール112は、遊技盤ユニット60側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
【0124】
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤ユニット60側、詳しくは遊技盤ユニット60に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
【0125】
誘導レール100は、遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分→出口部分)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。遊技球発射ハンドル41の操作量を調整することにより、遊技領域PEにおいて可変表示ユニット91の左側となる領域や同遊技領域PEにおいて可変表示ユニット91の右側となる領域への遊技球の打ち分けが可能となっている。
【0126】
なお、遊技盤ユニット60において出口部分の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
【0127】
誘導レール100(
図4参照)及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤ユニット60の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分と発射レール112の先端部分とが遊技盤ユニット60の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤ユニット60の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
【0128】
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路46が配設されている。ファール球通路46は前扉枠14の通路形成ユニット45に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路46内に入ることとなる。ファール球通路46は前扉側下皿通路に通じており、ファール球通路46に入った遊技球は
図1に示した下皿34に排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
【0129】
樹脂ベース50において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース50を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース50に対してネジ止めされており、本体側上皿通路と本体側下皿通路とを有している。それら本体側上皿通路及び本体側下皿通路の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット45の受口部が入り込んでおり、本体側上皿通路の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路の下方には前扉側上皿通路が配置されている。
【0130】
樹脂ベース50において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路及び本体側下皿通路を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路及び本体側下皿通路を閉鎖する前方位置に付勢する付勢部材が設けられている。従って、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路及び本体側下皿通路を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路又は本体側下皿通路に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット45に設けられた受口部により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路と前扉側上皿通路とが連通し、さらに本体側下皿通路と前扉側下皿通路とが連通している。
【0131】
次に、
図3に基づき内枠13(樹脂ベース50及び遊技盤ユニット60)の背面構成について説明する。
樹脂ベース50の背面における回動基端側には、軸受け金具132が上下に並設されている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部が形成されており、これら軸受け部により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。
【0132】
樹脂ベース50の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース50に対して遊技盤ユニット60が取り付けられている。ここで、遊技盤ユニット60の背面の構成を説明する。
【0133】
遊技盤ユニット60の中央に配置される可変表示ユニット91には、当該可変表示ユニット91を背後から覆うようにして表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。そして、表示制御装置の後方には当該表示制御装置に重なるようにして演出制御装置ユニット142が搭載されている。演出制御装置ユニット142は、報知・演出制御装置610と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に報知・演出制御装置610が装着されている。
【0134】
報知・演出制御装置610は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る演出制御基板を具備しており、演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
【0135】
遊技盤ユニット60の背面には、
図3に示すように、可変表示ユニット91の下方に集合板150が設けられている。集合板150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収する遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入球を検知する検知機構などが設けられている。
【0136】
遊技球回収機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口61等の各種入球部に対して個々に対応する回収通路が設けられている。これら回収通路は、それら入球部から遊技盤ユニット60の背面に沿って下っており、遊技球の落下経路を規定している。各回収通路は、同遊技盤ユニット60の下端付近にて合流しており、一般入賞口61等の入球部を通過した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤ユニット60の下部に集合することとなる。各回収通路の出口部分は、下方に開放されており、その先側(詳しくは遊技盤ユニット60の下方)には後述する排出通路が設けられている。回収通路により遊技盤ユニット60の下方に集合した遊技球は、排出通路へと導出される。なお、アウト口67も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口67を介して排出通路へ導出される。
【0137】
検知機構について説明すると、集合板150には、一般入賞口61等の各種入球部に対して個々に対応する検知センサが設けられている。これら各種検知センサは、上記一般入賞口61等の入球部に連なる各回収通路の途中位置に配置されており、同回収通路にて遊技球の落下経路が規定された状態にて遊技球の通過を検知する。より詳しくは、各検知センサは、各回収通路の途中位置に設けられた検知領域を遊技球が通過することで、一般入賞口61等の入球口への入球を検知するものであり、具体的には上記検知領域を遊技球が通過した場合に生じる磁場の変化を把握する磁気センサが採用されている。
【0138】
これら各種検知センサは、遊技盤ユニット60の背面側に設けられた主制御装置ユニット160(詳しくは主制御装置)に電気的に接続されており、それら検知センサにおける検知信号が同主制御装置に対して出力される構成となっている。以下、主制御装置ユニット160及びそれに付随する構成について説明する。
【0139】
主制御装置ユニット160は、集合板150を後側から覆うようにして遊技盤ユニット60に搭載されており、合成樹脂製の取付台161と、同取付台161に搭載された主制御装置162とによって構成されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
【0140】
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部は、基板ボックス163の長辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
【0141】
封印部はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数の封印部のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
【0142】
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片が設けられている。これら結合片は、取付台161に形成された複数の被結合片と1対1で対応しており、結合片と被結合片とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
【0143】
(裏パックユニット15)
次に、
図2及び
図3に基づき裏パックユニット15について説明する。
【0144】
図2に示すように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
【0145】
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、
図3に示すように払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット91を囲むのに十分な大きさを有する。
【0146】
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピンが設けられており、掛止ピンを内枠13に設けられた軸受け金具132(詳しくは軸受け部)に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211における回動先端部には、内枠13に設けられた被締結孔に対して締結するための締結具が設けられており、当該締結具を被締結孔に嵌め込むことで内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
【0147】
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレールが連結され、タンクレールの下流側には上下方向に延びるケースレールが連結されている。ケースレールの最下流部には払出装置222が設けられている。払出装置222より払い出された遊技球は、当該払出装置222の下流側に設けられた払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部に供給される。
【0148】
遊技球分配部は、払出装置222より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路及び前扉側上皿通路を介して上皿33に通じ、外側の開口部が本体側下皿通路及び前扉側下皿通路を介して下皿34に通じるように形成されている。
【0149】
図3に示すように、ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
【0150】
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台を有し、同取付台に払出制御装置181と電源・発射制御装置191とが搭載されている。これら払出制御装置181と電源・発射制御装置191とは、払出制御装置181がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
【0151】
払出制御装置181においては基板ボックス内に払出装置222を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチが基板ボックス外に突出している。例えば、払出装置222における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチが押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
【0152】
電源・発射制御装置191は、基板ボックス内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置191にはRAM消去スイッチが設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチを押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
【0153】
(パチンコ機10の電気的構成)
次に、パチンコ機10の電気的構成を
図10のブロック図に基づいて説明する。
【0154】
主制御装置162に設けられた主制御基板601には、MPU602が搭載されている。MPU602は、当該MPU602により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM603と、そのROM603内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM604と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路、乱数発生器としての各種カウンタ回路などが内蔵された素子である。
【0155】
MPU602には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU602の入力側には、主制御装置162に設けられた停電監視基板605、払出制御装置181及び各種検知センサ151~156などが接続されている。停電監視基板605には電源・発射制御装置191が接続されており、MPU602には停電監視基板605を介して電力が供給される。また、各種検知センサ151~156の一部として、一般入賞口61U,61L、作動入球部62,63、可変入賞装置64及びスルーゲート65などといった入賞対応入球部(払出対応入球部)に設けられた複数の検知センサが接続されており、主制御装置162のMPU602において各入球部への入賞判定(入球判定)が行われる。また、MPU602では、作動入球部62,63への入賞に基づいて大当たり発生抽選を実行するとともに、スルーゲート65への入賞に基づいてサポート発生抽選を実行する。
【0156】
MPU602の出力側には、停電監視基板605、払出制御装置181及び報知・演出制御装置610が接続されている。払出制御装置181には、例えば、上記入賞対応入球部への入賞判定結果に基づいて賞球コマンドが出力される。この場合、賞球コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリアが参照される。そして、上側一般入賞口61Uへの入賞を特定した場合には3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンド(上側一般入賞口用賞球コマンド)が出力され、下側一般入賞口61Lへの入賞を特定した場合には7個の遊技球の払出に対応した賞球コマンド(下側一般入賞口用賞球コマンド)が出力され、可変入賞装置64への入賞を特定した場合には15個の遊技球の払出に対応した賞球コマンド(可変入賞装置用賞球コマンド)が出力され、上側作動入球部62への入賞を特定した場合には、3個の遊技球の払出に対応した賞球コマンド(上側作動入球部用賞球コマンド)が出力され、下側作動入球部63への入賞を特定した場合には、4個の遊技球の払出に対応した賞球コマンド(作動入球部用賞球コマンド)が出力される。
【0157】
報知・演出制御装置610には、変動開始コマンド(変動用コマンド)、種別コマンド、変動終了コマンド、オープニングコマンド及びエンディングコマンドなどの各種コマンドが出力される。この場合、これら各種コマンドの出力に際しては、ROM603のコマンド情報記憶エリアが参照される。これら各種コマンドの詳細については、後に説明する。なお、上記各コマンドは、所定のバイト数の情報として構成されており、当該所定のバイト数の情報として各種情報が含まれている。
【0158】
また、MPU602の出力側には、可変入賞装置64の開閉扉を開閉動作させる可変入球駆動部、作動入球部63の電動役物66を開閉動作させる電動役物駆動部、主表示ユニット77が接続されている。主制御基板601には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU602はそれら各種構成の制御を行う。
【0159】
具体的には、開閉実行モードにおいては可変入賞装置64が開閉されるように、MPU602において可変入球駆動部の駆動制御が実行される。また、作動入球部63の電動役物66の開放状態当選となった場合には、電動役物66が開閉されるように、MPU602において電動役物駆動部の駆動制御が実行される。また、MPU602によって主表示ユニット77の入球部用表示部及び保留数表示部の表示制御が実行される。
【0160】
停電監視基板605は、主制御基板601と電源・発射制御装置191とを中継し、また電源・発射制御装置191から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。払出制御装置181は、主制御装置162から入力した賞球コマンドに基づいて、払出装置222により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。
【0161】
電源・発射制御装置191は、例えば、遊技場等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御基板601や払出制御装置181等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を所定の電力経路を通じて供給する。また、電源・発射制御装置191は、遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
【0162】
報知・演出制御装置610に設けられた報知・演出制御基板611には、MPU612が搭載されている。MPU612には、当該MPU612により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM613、そのROM613内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM614、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが内蔵されている。
【0163】
MPU612には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。MPU612の出力側には、発光部26~28やスピーカ部29、可変表示ユニット91の昇降装置96及び表示制御装置620等が接続されている。
【0164】
MPU612では主制御装置162から入力したコマンドに基づいて、可変表示ユニット91を制御する。具体的には、報知・演出制御装置610では、主制御装置162から入力された各種コマンドに基づいて、図柄表示装置92における図柄の変動表示時間(リーチ演出の発生の有無)を把握し、最終的に停止表示させる図柄の組み合わせの種類を決定するとともにリーチ演出の内容の詳細を決定する。また、主制御装置162から入力された各種コマンドに基づいて、可変表示ユニット91の位置(上側表示位置/下側表示位置)の切り替えを行う。
【0165】
表示制御装置620はMPUが搭載された表示制御基板を有してなり、MPUには各種の制御プログラムや固定値データを記憶したプログラムROM、プログラムROM内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるワークRAM、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)、画像データが格納されたキャラクタROM、キャラクタROMから読み出した画像データを一時的に記憶するビデオRAMなどが内蔵されている。
【0166】
VDPは、図柄表示装置92に組み込まれた液晶表示部ドライバとしての画像処理デバイスを直接操作する一種の描画回路である。VDPはICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDPは、MPU、ビデオRAM等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAMに記憶させる画像データを、キャラクタROMから所定のタイミングで読み出して図柄表示装置92に表示させる。
【0167】
キャラクタROMは、図柄表示装置92に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROMには、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。これら画像データやテーブル等はキャラクタROMに記憶されている。
【0168】
ビデオRAMは、図柄表示装置92に表示させる表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAMの内容を書き替えることにより図柄表示装置92の表示内容が変更される。
【0169】
表示制御装置620のMPUでは、報知・演出制御装置610から入力したコマンドに基づいて、図柄表示装置92の表示制御を実行する。具体的には、報知・演出制御装置610にて最終決定された変動表示の内容及び停止表示する図柄の組み合わせの種類に合わせて遊技回毎に変動表示を行う。
【0170】
ここで、図柄表示装置92(表示画面92a)の表示内容について、
図11及び
図12を参照して詳細に説明する。
図11及び
図12は図柄表示装置92の表示画面92aを示す概略図である。
【0171】
(表示内容について)
図11に示すように、図柄表示装置92の表示画面92aには、左・中・右の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されており、これら各図柄列Z1~Z3に対応させて左変動表示領域SEL、中変動表示領域SEC、右変動表示領域SERが設けられている。各図柄列Z1~Z3は、「1」~「9」の9種類の図柄が数字の降順に配列されてなり、表示画面92aでは、これら各図柄列Z1~Z3の図柄が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示され、作動入球部62,63への入球に基づく抽選結果(遊技結果)に応じた図柄組み合せが有効ラインSL上に停止表示される。例えば、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、いずれかの有効ラインに同一の数字が付された図柄の組み合わせが形成された状態で全図柄列Z1~Z3の変動表示が終了すれば、後述する通常大当たり結果又は確変大当たり結果となったことを示す大当たり動画が表示されるようになっている。
【0172】
なお、図柄表示装置92における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、図柄表示装置92にて変動表示される絵柄は上記のような図柄に限定されることはなく、例えば数字が付されてない図柄が含まれる又は数字が付されていない図柄のみの構成としてもよい。
【0173】
図柄表示装置92における図柄の変動表示の態様について更に説明すると、本パチンコ機10では、上記のように大当たり結果の報知に際して対応する図柄の組合せが停止表示される前段階として、リーチ表示が行われるように設定されている。リーチ表示(リーチ演出又はリーチ状態)とは、図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)を行うことが可能な図柄表示装置92を備え、可変入賞装置64の開閉実行モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、図柄表示装置92における図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、上記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
【0174】
換言すれば、図柄表示装置92の表示画面92aに表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、開閉実行モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態のことである。
【0175】
より具体的には、図柄の変動表示を終了させる前段階として、図柄表示装置92の表示画面92a内の予め設定された有効ラインSL上に、開閉実行モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性のあるリーチ図柄の組み合わせを停止表示させることによりリーチラインを形成させ、当該リーチラインが形成されている状況下において最終停止図柄列により図柄の変動表示を行うことである。
【0176】
図12に基づいて当該リーチ表示について補足説明すると、最初に左図柄列Z1において図柄の変動表示が終了され、さらに右図柄列Z3において図柄の変動表示が終了された状態において、有効ラインSLに同一の数字が付された図柄が停止表示されることでリーチラインが形成され、当該リーチラインが形成されている状況化において中図柄列Z2において図柄の変動表示が行われることでリーチ表示となる。そして、開閉実行モードが発生する場合には、リーチラインを形成している図柄と同一の図柄がリーチライン上に停止表示されるようにして中図柄列Z2における図柄の変動表示が終了される。
【0177】
また、リーチ表示には、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画面において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示画面92aの略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
【0178】
通常遊技状態から特別遊技状態(開閉実行モード)に移行すると、それに併せて図柄表示装置92における表示内容も変化する。本実施の形態においては、図柄表示装置92における表示モードとして、通常遊技状態に対応する通常表示モードと、特別遊技状態に対応する特別表示モードとが設けられており、特別遊技状態への移行に伴って表示モードが通常表示モードから特別表示モードに切り替わる。
図12に示すように、特別表示モード中は表示画面92aの中央が開閉実行モードに対応する動画の表示領域として設定される。また、表示画面92aの上隅部には、現在進行中のラウンドを特定する情報や開閉実行モード中に得た特典(賞球の総数)を示す情報が表示される。
【0179】
(各種カウンタについて)
次に、主制御装置162のMPU602にて各種抽選を行うための電気的な構成について
図13を用いて説明する。
【0180】
MPU602は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、大当たり種別抽選、作動入球部用表示部の表示の設定、図柄表示装置92の図柄表示の概要設定などを行うこととしており、具体的には、大当たり発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、16R確変大当たり結果や16R通常大当たり結果等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置92にて外れ結果対応の変動表示を行う際のリーチ抽選等に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、作動入球部用表示部及び図柄表示装置92における変動表示時間を決定する変動種別カウンタCSとを用いることとしている。さらに、下側作動入球部63の電動役物66を電役開放状態(サポート状態)とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。なお、上記各カウンタC1~C4,CINI,CSは、RAM604の各種カウンタエリアに設けられている。
【0181】
各カウンタC1~C4,CINI,CSは、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM604の所定領域に設定された抽選カウンタ用バッファ631に適宜格納される。抽選カウンタ用バッファ631に格納されている情報(大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3に対応した情報)は、作動入球部62,63への入賞が発生した場合に、RAM604に「取得情報記憶手段」として設けられた保留球格納エリア632に格納される。
【0182】
保留球格納エリア632は、作動口用の保留エリアREと実行エリアAEとを備えている。保留エリアREは、第1エリアRa1~第第4エリアRa4からなる上作動口用の保留エリアRaと、第1エリアRb1~第4エリアRb4からなる下作動口用の保留エリアRbとを備えており、作動入球部62,63への入賞履歴に合わせて、抽選カウンタ用バッファ631に格納されている大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかのエリアRa1~Ra4、Rb1~Rb4に格納される。なお、当該保留情報が「特別情報」に相当する。
【0183】
また、保留球格納エリア632には総保留数記憶領域FEが設けられており、当該総保留数記憶領域FEには作動入球部62,63への入球に基づいて取得及び記憶された保留情報の記憶数を特定するための情報が格納される。
【0184】
実行エリアAEは、作動入球部用表示部の変動表示を開始する際に、保留エリアREの第1エリアRa1,Rb1に格納された各数値情報を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。本実施の形態においては、上側作動入球部62及び下側作動入球部63の両方について保留情報が記憶されている場合には、下側作動入球部63に係る保留情報が優先して実行エリアAEに移る構成となっている。なお、保留情報の消化順は上記のものに限定されるものではない。上側作動入球部62に係る保留情報と下側作動入球部63に係る保留情報を記憶した順に実行エリアAEに移す構成とすることも可能である。
【0185】
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0~599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0~599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が作動入球部62,63に入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア632に格納される。
【0186】
大当たり当選となる乱数の値は、ROM603における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリア603aに当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。当否テーブルとしては、低確率モード用の当否テーブル(低確率用当否情報群)と、高確率モード用の当否テーブル(高確率用当否情報群)とが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モード(低確率状態)と高確率モード(高確率状態)とが設定されている。
【0187】
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「7」,「307」,「507」の3個である。つまり、「0」~「599」の大当たり乱数カウンタC1の値のうち「7」,「307」,「507」が大当たり結果に対応しており、大当たり確率が1/200となっている。
【0188】
一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の値(すなわち、当選情報)は「7」,「107」・・・「407」,「507」の6個である。つまり、「0」~「599」の大当たり乱数カウンタC1の値のうち「7」,「107」・・・「407」,「507」が大当たり結果に対応しており、大当たり確率が低確率モードよりも高くなっている(詳しくは1/100)。
【0189】
なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数及び値は任意である。
【0190】
大当たり種別カウンタC2は、0~29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり29)に達した後0に戻る構成となっている。ここで、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2を用いた遊技結果の振分先(すなわち当否抽選及び振分抽選による抽選結果)が、ROM603における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリアに振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。ここで、振分テーブルの内容について説明する。振分テーブルとしては、上側作動入球部用の振分テーブル(第1振分情報群)と、下側作動入球部用の振分テーブル(第2振分情報群)とが設定されている。
【0191】
上側作動入球部用の振分テーブルでは、遊技結果の振分先として、16R確変大当たり結果(高確率対応特別遊技結果)、16R通常大当たり結果(低確率対応特別遊技結果)、8R確変大当たり結果(高確率対応特別遊技結果)、8R通常大当たり結果(低確率対応特別遊技結果)が設定されている。具体的には、上側作動入球部用の振分テーブルでは、「0~29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0~8」が16R確変大当たり結果に対応しており、「9~14」が16R通常大当たり結果に対応しており、「15~23」が8R確変大当たり結果に対応しており、「24~29」が8R通常大当たり結果に対応している。
【0192】
下側作動入球部用の振分テーブルでは、遊技結果の振分先として、16R確変大当たり結果(高確率対応特別遊技結果)、16R通常大当たり結果(高確率対応特別遊技結果)が設定されている。具体的には、上側作動入球部用の振分テーブルでは、「0~29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0~17」が16R確変大当たり結果に対応しており、「18~29」が16R通常大当たり結果に対応している。
【0193】
16R確変大当たり結果及び8R確変大当たり結果は、開閉実行モードの終了後に抽選モードが高確率モードとなり且つサポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。この高頻度サポートモードは、移行後において次に大当たり結果となるまで継続される。
【0194】
16R通常大当たり結果及び8R通常大当たり結果は、開閉実行モードの終了後に抽選モードが低確率モードとなり且つサポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、開閉実行モード終了後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に終了し、低頻度サポートモードに移行する。
【0195】
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0~238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が作動入球部62,63に入賞したタイミングでRAM604の保留球格納エリア632に格納される。より詳しくは、作動入球部62,63に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の保留エリアREに格納される。そして、ROM603のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルに基づいてリーチを発生させるか否かを決定することとしている。但し、開閉実行モードに移行する遊技回においては、MPU602では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なくリーチ発生の決定を行う。
【0196】
変動種別カウンタCSは、例えば0~198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、作動入球部用表示部における変動表示時間と、図柄表示装置92における図柄の変動表示時間とをMPU602において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、図柄表示装置92による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSのバッファ値が取得される。
【0197】
図柄表示装置92や主表示ユニット77(作動入球部用表示部)における変動表示時間を決定する場合にはリーチ乱数カウンタC3及び変動種別カウンタCSのバッファ値、ROM603の変動表示時間テーブル記憶エリアに格納されている変動表示時間テーブルが参照される。また、MPU602では、実行エリアAEに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値及び大当たり種別カウンタC2の値を用いて、上記作動入球部用表示部における停止結果(絵柄)が決定されるが、その決定に際してはROM603の停止結果テーブル記憶エリアに記憶された停止結果テーブルが用いられる。
【0198】
電動役物開放カウンタC4は、例えば、0~249の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり249)に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート65に遊技球が入賞したタイミングでRAM604の電役保留エリア633に格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって下側作動入球部63に付属の電動役物66を開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。例えば、C4=0~199であれば電動役物66を開放状態に制御し、C4=200~249であれば電動役物66を開放状態に制御しない。
【0199】
(主制御装置162にて実行される各種処理について)
次に、主制御装置162内のMPU602にて各遊技回での遊技を進行させる上で実行されるタイマ割込み処理及び通常処理を説明する。なお、MPU602では、上記タイマ割込み処理及び通常処理の他に、電源投入に伴い起動されるメイン処理やNMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理が実行されるが、これらの各種処理については説明を省略する。
【0200】
(タイマ割込み処理)
先ず、
図14のフローチャートを参照し、タイマ割込み処理について説明する。本処理はMPU602により定期的に(例えば2msec周期で)起動される。
【0201】
ステップS101では、各種入賞検知センサの読み込み処理を実行する。すなわち、主制御装置162に接続されている各種入賞検知センサ(上側一般入賞口61U用の検知センサ151、下側一般入賞口61L用の検知センサ152、上側作動入球部62用の検知センサ153、下側作動入球部63用の検知センサ154、可変入賞装置64用の検知センサ155、スルーゲート用の検知センサ156)の状態を読み込み、それら入賞検知センサの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)をバッファ領域に保存する。
【0202】
その後、ステップS102では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1インクリメントするとともに、そのカウンタ値が最大値に達した際に0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
【0203】
続くステップS103では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4をそれぞれ1インクリメントするとともに、それらのカウンタ値が最大値に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1~C4の更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
【0204】
続くステップS104では、スルーゲート65への入賞に伴うスルー用の入賞処理を実行する。スルー用の入賞処理においては先ず、バッファ領域に記憶されている入賞検知情報に基づきスルーゲート65を遊技球が通過したか否かを判定する。スルーゲート65を遊技球が通過したと判定した場合には、電役保留エリア633に記憶されている役物保留記憶数(電役保留数SN)が上限数(4)未満であるか否かを判定する。役物保留記憶数が4未満である場合には、電役保留数SNを1加算し、電動役物開放カウンタC4の値を電役保留エリアに格納する。また、保留記憶数と対応する主表示ユニット77の保留数用表示部DHを点灯させるための処理を実行する。スルーゲート65を遊技球が通過していないと判定した場合、又は記憶されている役物保留記憶数が上限数に達している場合には、そのままスルー用の入賞処理を終了する。
【0205】
スルーゲート用の入賞処理を実行した後はステップS105に進み、当該ステップS105にて作動入球部62,63への入賞に伴う作動口用の入賞処理を実行し、本タイマ割込み処理を終了する。ここで、作動口用の入賞処理について説明する。
【0206】
(作動口用の入賞処理)
作動口用の入賞処理においては先ず、遊技球が上側作動入球部62に入球(入賞)したか否かを判定する。遊技球が上側作動入球部62に入球したと判定した場合には、払出制御装置181に遊技球を3個払い出させるための賞球コマンドをセットし、上側作動入球部62に遊技球が入球した旨を示す情報を遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して信号出力すべく外部信号設定処理を行う。これにより、上側作動入球部62への入球が発生した旨がホールコンピュータHCにて把握される。その後、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3の各値を格納する情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
【0207】
一方、遊技球が上側作動入球部62に入賞していないと判定した場合には、遊技球が下側作動入球部63に入球(入賞)したか否かを判定する。遊技球が下側作動入球部63に入球したと判定した場合には、払出制御装置181に遊技球を4個払い出させるための賞球コマンドをセットし、下側作動入球部63に遊技球が入球した旨を示す情報を遊技ホール側のホールコンピュータHCに対して信号出力すべく外部信号設定処理を行う。これにより、下側作動入球部63への入球が発生した旨がホールコンピュータHCにて把握される。その後大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3の各値を格納する情報取得処理を行い、本入賞処理を終了する。
【0208】
上側作動入球部62及び下側作動入球部63のいずれにも入球がなかった場合には、そのまま本入賞処理を終了する。なお、本入賞処理にてセットされた賞球コマンドは、後述する通常処理の外部出力処理にて払出制御装置181へ送信される。
【0209】
(通常処理)
次に、通常処理の流れを
図15のフローチャートを参照しながら説明する。通常処理は電源投入に伴い起動されるメイン処理が実行された後に開始される処理であり、通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS201~S206の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS208,S209のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
【0210】
通常処理においては先ず、ステップS201にて外部信号出力処理を実行する。ステップS201の外部信号出力処理では、タイマ割込み処理又は前回の通常処理で設定したコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する。具体的には、賞球コマンドの有無を判定し、賞球コマンドが設定されていればそれを報知・演出制御装置610及び払出制御装置181に対して送信する。また、変動用コマンド、種別コマンド、変動終了コマンド等の演出用コマンドや保留コマンドや後述するシフト時コマンド等の各種コマンドが設定されている場合にはそれを報知・演出制御装置610に対して送信する。
【0211】
次に、ステップS202では、変動種別カウンタCSの更新を実行する。具体的には、変動種別カウンタCSを1インクリメントするとともに、カウンタ値が最大値に達した際にはカウンタ値を0にクリアする。そして、変動種別カウンタCSの更新値を、RAM604の該当するバッファ領域に格納する。
【0212】
続くステップS203では、各遊技回における遊技を制御するための遊技回制御処理を実行する。この遊技回制御処理では、大当たり判定、図柄表示装置92による図柄の変動表示態様の概要の設定、主表示ユニット77の表示制御などを行う。
【0213】
ステップS203の遊技回制御処理を実行した後は、ステップS204に進み、遊技状態移行処理を実行する。この遊技状態移行処理により、遊技状態が開閉実行モード、高確率モード、高頻度サポートモードなどに移行する。
【0214】
続くステップS205では、下側作動入球部63に併設された電動役物66を駆動制御するための電役サポート用処理を実行する。この電役サポート用処理では、RAM604の電役保留エリア633に格納されている電動役物開放カウンタC4から取得した数値情報を用いて電動役物66を開放状態とするか否かの電役開放抽選を行うとともに、電役開放状態当選となった場合には電動役物66の開閉処理を実行する。また、電役開放抽選の抽選結果を教示するように、主表示ユニット77のスルーゲート用表示部の表示制御などを行う。
【0215】
既に説明したとおり、電動役物66によるサポートの態様として、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとが設定されており、遊技状態移行処理にていずれかのサポートモードへの移行が行われる。この処理を経てRAM604の各種フラグ格納エリアに高頻度サポートフラグがセットされている場合は高頻度サポートモードとなり、当該フラグがセットされていない場合には低頻度サポートモードとなる。
【0216】
電役サポート用処理では、RAM604の各種フラグ格納エリアに高頻度サポートフラグがセットされているか否かを判定することで、高頻度サポートモードであるか否かを判定する。そして、高頻度サポートモードである場合には低頻度サポートモードの場合よりも、電役開放状態当選となった際に、電動役物66が開放状態となる回数を多く設定するとともに、1回の開放時間を長く設定する。また、高頻度サポートモードである場合は、電役開放状態当選となり電動役物66の開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間が、1回の開放時間よりも短くなるように設定する。
【0217】
ちなみに、開閉実行モードに移行した場合には、RAM604の各種フラグ格納エリアに高頻度サポートフラグがセットされていたとしても、サポートモードは強制的に低頻度サポートモードに設定される。
【0218】
その後、ステップS206では、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源・発射制御装置191から発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイド111を励磁する。これにより、遊技球が遊技領域PEに向けて打ち出される。
【0219】
ステップS206にて遊技球発射制御処理を実行した後はステップS207にて、RAM604に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグは、停電監視基板605にて電源遮断が確認された場合に当該停電監視基板605から主制御基板601のMPU602のNMI端子に停電信号が出力されることにより格納され、電源が再び立ち上げられた際に消去されるフラグである。
【0220】
停電フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS208にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び変動種別カウンタCSの更新を繰り返し実行する。
【0221】
ここで、ステップS201~S206の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して乱数初期値カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、乱数初期値カウンタCINI(すなわち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCSについてもランダムに更新することができる。
【0222】
一方、ステップS207にて、停電フラグが格納されていると判定した場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS211以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS211では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS212にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS213にてRAM604のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
【0223】
(遊技回制御処理)
ここで、ステップS203の遊技回制御処理について補足説明する。遊技回制御処理においては先ず、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中である場合には、そのまま本遊技回制御処理を終了する。開閉実行モード中ではない場合には、遊技回中であるか否かを判定する。具体的には、主表示ユニット77の作動入球部用表示部が変動表示中又は確定表示中であるか否かを判定する。作動入球部用表示部が変動表示中及び確定表示中の何れでもない場合には、遊技回開始用処理に進む。遊技回開始用処理では、先ず始動保留球の総数(共通保留数CRN)が「0」か否かを判定する。共通保留数CRNが「0」である場合とは、保留球格納エリア632に保留情報が記憶されていないことを意味する。したがって、そのまま本遊技回制御処理を終了する。
【0224】
一方、共通保留数CRNが「0」でない場合には、保留球格納エリア632の保留エリアREに記憶されているデータを変動表示用に設定するためのデータ設定処理を実行し、さらに主表示ユニット77における変動表示及び図柄表示装置92における変動表示を開始させるための変動開始処理を実行した後に、本遊技回制御処理を終了する。
【0225】
データ設定処理では、先ず保留数記憶領域FEに記憶されている始動保留球数Nのうち今回の設定処理の対象となっているもの及び共通保留数CRNを1ディクリメントする。続いて保留エリアREの第1エリアRa1、Rb1に格納されたデータを実行エリアAEに移動する。その後、保留エリアREの各エリアRa1~Ra4,Rb1~Rb4に格納されたデータ(すなわち、保留情報)をシフトさせる処理を実行する。このデータシフト処理を行うことで、第1エリアRa1,Rb1~第4エリアRa4,Rb4に格納されているデータが下位エリア側に順にシフトすることとなる。
【0226】
データをシフトした後は、保留エリアのデータのシフトが行われたことを報知・演出制御装置610に認識させるための情報であるシフト時コマンドを設定する。その後、本データ設定処理を終了する。シフト時コマンドは、通常処理(
図15)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610に送信される。報知・演出制御装置610では、シフト時コマンドを受信することで、保留ランプ部94,95の表示を、保留個数の減少に対応させて変更するための処理を実行する。
【0227】
(変動開始処理)
変動開始処理においては先ず当否判定処理を実行する。当否判定処理では、抽選モードが高確率モードであるか低確率モードであるかを判別する。高確率モードである場合には当否テーブル記憶エリアに記憶されているテーブルのうち高確率モード用の当否テーブルを参照して、実行エリアAEに格納された情報のうち当否判定用の情報、すなわち大当たり乱数カウンタC1にかかる数値情報が高確率用の大当たり数値情報と一致しているか否かを判定する。また、低確率モードである場合には当否テーブル記憶エリアに記憶されているテーブルのうち低確率モード用の当否テーブルを参照して、実行エリアAEに格納されている大当たり乱数カウンタC1にかかる数値情報が低確率用の大当たり数値情報と一致しているか否かを判定する。
【0228】
当否判定処理にて大当たり結果となった場合には大当たり種別の判定処理を実行する。この種別判定処理では、実行エリアAEに格納された情報のうち種別判定用の情報、すなわち大当たり種別カウンタC2によって更新された情報から取得した情報を把握する。また、ROM603の振分テーブル記憶エリアに記憶された振分テーブルを参照して、上記把握した種別判定用の情報が16R確変大当たり結果に対応した情報、8R確変大当たり結果に対応した情報、16R通常大当たり結果に対応した情報、8R通常大当たり結果に対応した情報の何れに含まれているかを特定する。詳しくは、当該保留情報が上側作動入球部62への入球に対応している場合には上側作動入球部62用の振分テーブルを参照し、当該保留情報が下側作動入球部63への入球に対応している場合には下側作動入球部63用の振分テーブルを参照して種別判定を行う。
【0229】
続いて上記種別判定処理において特定した情報に基づいて大当たり用の停止結果設定処理を実行する。また、大当たり当選ではないと判定した場合(外れ結果である場合)には、外れ用の停止結果設定処理を実行する。各停止結果設定処理では、主表示ユニット77に最終的に停止表示させる絵柄の態様の情報を、大当たり乱数カウンタC1,大当たり種別カウンタC2及びROM603の停止結果テーブル記憶エリアに記憶されている停止結果テーブルを参照して特定し、その特定した情報をRAM604に記憶する。また、今回の判定結果を特定するための情報をRAM604の各種フラグ格納エリアに格納する。具体的には、16R確変大当たり結果である場合には16R確変大当たりフラグを格納し、8R確変大当たり結果である場合には8R確変大当たりフラグを格納し、16R通常大当たり結果である場合には16R通常大当たりフラグを格納し、8R通常大当たり結果である場合には8R通常大当たりフラグを格納する。
【0230】
その後は、変動表示時間の設定処理を実行する。各遊技回の変動表示時間は、記憶されている保留情報の数、リーチ発生の有無、当否判定の結果等の各種情報に基づいて決定される。変動表示時間の設定処理を実行した後は、変動用コマンド及び種別コマンドを設定する。変動用コマンドには、リーチ発生の有無の情報及び変動表示時間の情報が含まれる。また、種別コマンドには、遊技結果の情報が含まれる。つまり、種別コマンドには、遊技結果の情報として、16R確変大当たり結果の情報、8R確変大当たり結果の情報、16R通常大当たり結果の情報、8R通常大当たり結果の情報、外れ結果の情報などが含まれる。
【0231】
上記処理にて設定された変動用コマンド及び種別コマンドは、通常処理(
図15)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610に送信される。報知・演出制御装置610では、受信した変動用コマンド及び種別コマンドに基づいて、その遊技回における環状電飾部26の発光パターンやスピーカ部29からの音の出力パターンを決定し、その決定した演出の内容が実行されるように環状電飾部26及びスピーカ部29を制御する。また、報知・演出制御装置610は、上記変動用コマンド及び種別コマンドをその情報形態を維持したまま表示制御装置620に送信する。表示制御装置620では、受信した変動用コマンド及び種別コマンドに基づいて、その遊技回における図柄表示装置92での変動表示パターンを把握し、その把握した変動表示パターンが実行されるように図柄表示装置92を表示制御する。その後、主表示ユニット77の作動入球部用表示部DL,DUにおいて絵柄の変動表示を開始させた後に、本変動開始処理を終了する。
【0232】
遊技回制御処理の説明に戻り、主表示ユニット77の作動入球部用表示部が変動表示中である場合には遊技回進行用処理を実行する。遊技回進行用処理では、先ず今回の遊技回の変動表示時間が経過したか否かを判定する。具体的には、RAM604の変動表示時間カウンタエリアに格納されている変動表示用カウンタの値が「0」となったか否かを判定する。当該変動表示用カウンタの値は、上述した変動表示時間の設定処理にてセットされる。また、このセットされた変動表示カウンタの値は、タイマ割込み処理(
図14)が起動される度に、1ディクリメント(減算)される。
【0233】
変動表示時間が経過していない場合には、変動表示用処理を実行する。変動表示用処理では、主表示ユニット77の作動入球部用表示部における表示態様を変更する。その後、本遊技回制御処理を終了する。
【0234】
変動表示時間が経過している場合には、変動終了処理を実行する。変動終了処理では、上記停止結果設定処理にてRAM604に記憶した情報を特定し、その情報に対応した絵柄が主表示ユニット77にて停止表示されるように当該主表示ユニット77の作動入球部用表示部を制御する。続いて変動終了コマンドを設定し、本遊技回制御処理を終了する。設定された変動終了コマンドは、通常処理(
図15)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610に送信される。報知・演出制御装置610では、受信した変動終了コマンドをその情報形態を維持したまま表示制御装置620に送信する。表示制御装置620では、当該変動終了コマンドを受信することにより、その遊技回における最終停止図柄の組み合わせを図柄表示装置92の表示画面92aにて確定表示(最終停止表示)させる。
【0235】
(遊技状態移行処理)
次に、ステップS204の遊技状態移行処理を
図16及び
図17のフローチャートを参照して説明する。
【0236】
遊技状態移行処理においては先ず、ステップS301にて開閉実行モード中であるか否かを判定する。開閉実行モード中でない場合にはステップS302に進み、1の遊技回の上側作動入球部用表示部又は下側作動入球部用表示部における絵柄の変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
【0237】
変動表示が終了している場合には、より詳しくは変動表示が終了してから予め設定された停止表示期間(確定表示期間)が経過している場合には、ステップS303に進み、今回の遊技回の遊技結果(上記当否抽選の結果)が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、RAM604に、16R確変大当たり結果対応フラグ、8R確変大当たり結果対応フラグ、16R通常大当たり結果対応フラグ、8R通常大当たり結果対応フラグの何れかが格納されているか否かを判定する。上記各フラグのいずれもが格納されていない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
【0238】
上記各フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS304にて開閉実行モードの開始処理を実行する。当該開始処理により、上記ロック装置による可変入賞装置64の動作規制が解除され、開閉実行モードが終了するまで当該可変入賞装置64の開閉動作が許容されることとなる。続くステップS305では、大当たりの種別に応じてRAM604の各種カウンタエリアに設けられた開放数カウンタOCに「16」又は「8」をセットする。
【0239】
ステップS305の処理を実行した後は、ステップS306にてオープニングコマンドを設定する。この設定されたオープニングコマンドは、通常処理(
図15)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610及び表示制御装置620に送信される。報知・演出制御装置610では、受信したオープニングコマンドに基づいて、開閉実行モードに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。ステップS306の処理を実行した後はステップS307にて外部信号設定処理を実行し、本遊技状態移行処理を終了する。
【0240】
ステップS307の外部信号設定処理では、RAM604に、各種大当たり対応フラグのいずれかが格納されているか否かを判定し、いずれかのフラグが格納されている場合には、遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータHC)に大当たりが発生した旨を示す信号が出力するための準備がなされ、当該信号については通常処理(
図15)のステップS201にて管理制御装置へ送信されることとなる。管理制御装置においては、この信号に基づいて、パチンコ機10にて開閉実行モードへ移行したことを把握することができる。
【0241】
ステップS301の説明に戻り、当該ステップS301にて開閉実行モード中であると判定した場合には、ステップS308に進む。ステップS308では、オープニング用の待機時間が経過したか否かを判定する。オープニング用の待機時間が経過していない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。オープニング用の待機時間が経過している場合には、ステップS309にて大入賞口開閉処理を実行する。ここで、大入賞口開閉処理について、
図17のフローチャートを参照しながら説明する。
【0242】
(大入賞口開閉処理)
大入賞口開閉処理においては先ず、ステップS401にて可変入賞装置64(大入賞口)が開放中であるか否かを判定する。具体的には、可変入賞装置64における可変入賞駆動部の駆動状態に基づいてかかる判定を行う。可変入賞装置64が開放中でない場合には、ステップS402にて開放数カウンタOCの値が「0」か否かを判定する。ステップS402にて肯定判定をした場合には、そのまま本大入賞口開閉処理を終了する。
【0243】
ステップS402にて否定判定をした場合にはステップS403に進む。ステップS403では開放タイマカウンタTCの値が「0」か否かを判定する。開放タイマカウンタTCは、可変入賞装置64の開放期間又はインターバル期間を把握する際に参照されるカウンタであり、タイマ割込み処理(
図14)が実行される度にその値が「1」づつ減算される。ステップS403にて否定判定をした場合には、本大入賞口開閉処理を終了する。
【0244】
開放数カウンタOCの値が「0」ではなく且つ開放タイマカウンタTCの値が「0」である場合には、ステップS404に進み、可変入賞装置64の開放処理を実行する。具体的には、可変入賞装置64を開放すべく可変入賞駆動部を駆動状態とする。その後、可変入賞装置64の閉鎖条件の設定処理(開放時用設定処理)として、先ずステップS405にて開放タイマカウンタTCに「15000」(30secに相当)をセットし、続くステップS406にて入賞カウンタPCに「10」をセットする。
【0245】
その後、ステップS407にて開放コマンドを設定し、本大入賞口開閉処理を終了する。この設定された開放コマンドは、通常処理(
図15)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610に送信される。報知・演出制御装置610では、受信した開放コマンドに基づいて、開放に対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。
【0246】
ステップS401の説明に戻り、当該ステップS401にて可変入賞装置64(大入賞口)が開放中であると判定した場合にはステップS409に進み、開放タイマカウンタTCの値が「0」か否かを判定する。開放タイマカウンタTCの値が「0」でない場合にはステップS409に進み、可変入賞装置64への入賞が発生したか否かを可変入賞装置64に対応した検知センサ155からの検知信号に基づいて判定する。入賞が発生していない場合には、そのまま本大入賞口開閉処理を終了する。
【0247】
一方、入賞が発生している場合には、ステップS410にて入賞コマンドの出力処理を実行する。当該入賞コマンドは、報知・演出制御装置610に出力され、当該入賞コマンドによって図柄表示装置92の表示画面92aにて実行される開閉実行モード中の演出が変化する構成となっている。
【0248】
ステップS410にてコマンドの出力処理を実行した後は、ステップS411に進む。ステップS411では入賞カウンタPCの値を1ディクリメントし、続くステップS412にて入賞カウンタPCの値が「0」か否かを判定し、「0」でない場合にはそのまま本大入賞口開閉処理を終了する。
【0249】
ステップS412にて肯定判定をした場合、すなわち入賞カウンタPCの値が「0」である場合、又はステップS408にて肯定判定をした場合(すなわち開放タイマカウンタTCの値が「0」であると判定した場合)には、大入賞口閉鎖条件が成立したことを意味する。この場合にはステップS413にて可変入賞装置64を閉鎖すべく可変入賞駆動部を非駆動状態とする。
【0250】
続くステップS414では開放数カウンタOCの更新処理を実行する。具体的には、開放数カウンタOCの値が「0」でない場合には同開放数カウンタOCを1ディクリメントするとともに開放数カウンタOCの値が「0」である場合には同開放数カウンタOCの値を「0」のまま維持する。その後、ステップS415にて開放数カウンタOCの値が「0」か否かを判定する。開放数カウンタOCの値が「0」でない場合には、ステップS416に進む。ステップS416では、開放タイマカウンタTCに「150」(0.3secに相当)をセットする。
【0251】
ステップS416の処理を実行した後は、ステップS417にて閉鎖コマンドを設定し、本大入賞口開閉処理を終了する。この設定された閉鎖コマンドは、通常処理(
図15)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610に送信される。報知・演出制御装置610では、受信した閉鎖コマンドに基づいて当該閉鎖コマンドに対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように各種機器を制御する。
【0252】
ステップS415の説明に戻り、当該ステップS415にて、開放数カウンタOCの値が「0」であると判定した場合には、ステップS418に進む。ステップS418では、エンディングの開始処理を実行する。当該開始処理では、開閉実行モードのエンディング用に次の遊技回を開始することなく待機するためのエンディング用待機時間を設定する。具体的には、RAM604の各種カウンタエリアに設けられた待機時間用カウンタエリアに、ROM603に予め記憶されているエンディング用の待機時間情報をセットする。
【0253】
その後、ステップS419にて、エンディングコマンドを設定した後に、本大入賞口開閉処理を終了する。この設定されたエンディングコマンドは、通常処理(
図15)におけるステップS201にて、報知・演出制御装置610に送信される。
【0254】
本実施の形態におけるエンディングコマンドについては、上記オープニングコマンドと同様に、開閉実行モードへの移行時の状況等に応じて確変大当たり結果対応の第1種エンディングコマンドと通常大当たり結果対応の第2種エンディングコマンドとが設けられており、開閉実行モード後に移行する背景画像等がこれら各種コマンドに応じて設定される構成となっている。
【0255】
遊技状態移行処理(
図16)の説明に戻り、ステップS309にて大入賞口開閉処理を実行した後は、ステップS310にて開放数カウンタOCの値が「0」か否かを判定するとともに、ステップS311にてエンディング用の待機時間が経過したか否かを判定する。開放数カウンタOCの値が「0」でない場合又はエンディング用の待機時間が経過していない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
【0256】
一方、開放数カウンタOCの値が「0」であり、且つエンディング用の待機時間が経過している場合には、ステップS312にて、開閉実行モード終了時の移行処理を実行した後、本遊技状態移行処理を終了する。
【0257】
既に説明したように本実施の形態においては、16R確変大当たり結果又は8R確変大当たり結果となっている場合には、開閉実行モード終了後は高確率モード且つ高頻度サポートモード対応の遊技状態に移行し、16R通常大当たり結果又は8R通常大当たり結果となっている場合には、開閉実行モード終了後は低確率モード且つ高頻度サポートモード(回数制限あり)対応の遊技状態に移行する。
【0258】
上述したように本実施の形態に示す可変表示ユニット91(図柄表示装置92)は可動式となっており、遊技状況に応じて表示位置が上側作動入球部62寄りとなる上側表示位置と下側作動入球部63(可変入賞装置64)寄りとなる下側表示位置に切り替わる構成となっている。ここで、
図18のフローチャートを参照して、報知・演出制御装置610のMPU612により定期処理の一環として実行される可変表示ユニット91用の位置制御処理について説明する。
【0259】
(位置制御処理)
位置制御処理においては先ず、ステップS501にて可変表示ユニット91が上側表示位置に待機中であるか否かを判定する。ステップS501にて肯定判定をした場合には、ステップS502に進む。
【0260】
ステップS502では、開閉実行モードの開始タイミングであるか否かを判定する。具体的には、主制御装置162からオープニングコマンドを受信しているか否かに基づいて開閉実行モードが開始されるタイミングであるか否かを判定する。ステップS502にて否定判定をした場合には、そのまま位置制御処理を終了する。ステップS502にて肯定判定をした場合にはステップS503に進む。
【0261】
ステップS503では、可変表示ユニット91を上側表示位置から下側表示位置へ移動させる処理を行う。具体的には、昇降装置96に付属のロック装置による可変表示ユニット91の移動規制を解除する。その後、昇降装置96(モータ98)に降下に対応した駆動信号を出力して可変表示ユニット91を上側表示位置から下側表示位置へ移動させる。
【0262】
ステップS501の説明に戻り、当該ステップS501にて否定判定をした場合、すなわち可変表示ユニット91が上側表示位置に待機していない場合には、ステップS504に進む。ステップS504では、高頻度サポートモード中に大当たり結果となることなく当該高頻度サポートモードが終了したタイミングであるか否かを判定する。既に説明したように、通常大当たり結果となった場合には、回数制限付の高頻度サポートモードへ移行する。ステップS504では、主制御装置162からのコマンドに基づいて、高頻度サポートモード中に大当たり結果になることなく低頻度サポートモードへ移行するか否かを判定する。ステップS504にて否定判定をした場合には、そのまま本位置制御処理を終了する。ステップS504にて肯定判定をした場合には、ステップS505に進む。
【0263】
ステップS505では、可変表示ユニット91を下側表示位置から上側表示位置へ移動させる処理を行う。具体的には、昇降装置96(モータ98)に上昇に対応した駆動信号を出力することにより、可変表示ユニット91を下側表示位置から上側表示位置へと移動させる。上側表示位置への移動が完了した後に、上記ロック装置をロック状態に切り替えて可変表示ユニット91の移動を規制する。
【0264】
このように、可変表示ユニット91は開閉実行モードへの移行を契機として下側表示位置へ配置され、低頻度サポートモード対応の通常遊技状態への移行を契機として上側表示位置に配置される構成となっている。
【0265】
低頻度サポートモード対応の通常遊技状態においては、上側作動入球部62への入球に基づいて遊技が進行するため、上側作動入球部62を狙って遊技球が発射されることとなる。このような状況下においては、可変表示ユニット91(図柄表示装置92)が上側表示位置に待機している。
図19(a)の概略図に示すように、上側表示位置に配置されている状態では、図柄表示装置92の前方に上側作動入球部62及び上側一般入賞口61Uが位置している。つまり、図柄表示装置92に対して上側作動入球部62及び上側一般入賞口61Uが前方から重なっている。遊技者の注目が向きやすい上側作動入球部62に近づけて図柄表示装置92を配置することにより、図柄表示装置92に表示される表示演出等の見逃し等を抑制することが可能となっている。
【0266】
開閉実行モードにおいては、可変入賞装置64への入賞が容易となり、当該可変入賞装置64への入賞→持ち球の増加を目的として、可変入賞装置64を狙って遊技球が発射されることとなる。このような状況下においては、可変表示ユニット91(図柄表示装置92)が下側表示位置に待機している。
図19(b)の概略図に示すように、下側表示位置に配置されている状態では、図柄表示装置92が可変入賞装置64と近くなり、上側作動入球部62よりも可変入賞装置64との距離が小さくなる。遊技者の注目が向きやすい可変入賞装置64に近づけて図柄表示装置92を配置することにより、図柄表示装置92に表示される表示演出等の見逃し等を抑制することが可能となっている。
【0267】
高頻度サポートモード対応の通常遊技状態においては、下側作動入球部63への入球が容易となり当該下側作動入球部63への入球に基づいて遊技が有利に進めることができる。このため、下側作動入球部63を狙って遊技球が発射されることとなる。このような状況下にておいては、可変表示ユニット91(図柄表示装置92)が下側表示位置に待機している。
図19(b)に示すように、下側表示位置に配置されている状態では、図柄表示装置92の前方に下側作動入球部63が位置している。つまり、図柄表示装置92に対して下側作動入球部63が前方から重なっている。遊技者の注目が向きやすい下側作動入球部63に近づけて図柄表示装置92を配置することにより、図柄表示装置92に表示される表示演出等の見逃し等を抑制することが可能となっている。
【0268】
ここで、
図19(a)に示すように、背面ブロック60bに設けられた第2背景シート99には、開閉実行モードに対応するメッセージ(詳しくは「BONUS」の文字)が配されている。このメッセージは、可変表示ユニット91が上側表示位置に配置された状態では当該可変表示ユニット91の背後に隠れており、遊技機前方から視認不可となっている。
図19(a)→
図19(b)に示すように、開閉実行モードへの移行に伴って可変表示ユニット91が上側表示位置から下側表示位置へ移動すると、上記メッセージと可変表示ユニット91との重なりが回避され、当該メッセージを遊技機前方から視認可能となる。このように、開閉実行モードに対応する位置へ可変表示ユニット91を移動させた結果として、当該開閉実行モードを示すメッセージが現出する構成とすることにより、開閉実行モードへの移行を明示している。
【0269】
図柄表示装置92には絵柄等の表示態様の異なる複数の表示モード(第1表示モード~第3表示モード)が設定されており、図柄表示装置92の位置、すなわち遊技状態に応じて表示モードが切り替わる構成となっている。ここで、
図20(a)のフローチャートを参照して、報知・演出制御装置610のMPU612により定期処理の一環として実行される図柄表示装置92用の表示モード切替処理について説明する。
【0270】
(表示モード切替処理)
表示モード切替処理においては先ず、ステップS601にて低頻度サポートモード対応の通常遊技状態への移行タイミングであるか否かを判定する。具体的には、高頻度サポートモード中に大当たりとなることなく当該高頻度サポートモードが終了したか否かを主制御装置162からのコマンドに基づいて判定する。ステップS601にて肯定判定をした場合には、ステップS602に進む。
【0271】
ステップS602では、第1表示モードへの切替処理を実行する。第1表示モードへの切替処理においては、表示制御装置620へ第1表示モード切替コマンドを送信するとともに、スピーカ部29から出力されるBGMや効果音、ランプ部26の発光態様を第1表示モードに対応するものに切り替える処理を行う。表示制御装置620では第1表示モード切替コマンドを受信することにより、図柄表示装置92の表示モードを第1表示モードへ切り替える。ここで、
図21(a)の概略図を参照して、第1表示モードにおける表示内容について補足説明する。
【0272】
第1表示モードにおいては、図柄表示装置92の表示画面92aにて3つの図柄列が表示され、作動入球部62,63への入球に基づいてそれら図柄列がスクロール表示される。作動入球部62,63への入球が発生した場合には、大当たり等の抽選が実行され、その抽選結果に対応した図柄組み合わせが停止表示される。
【0273】
また、各図柄列の間(変動表示領域の間)には、入賞報知用の画像を表示する表示領域MEが設けられている。表示領域MEは表示画面92aにて上側一般入賞口61Uの上方となる部分に位置しており、表示領域MEの下部(表示画面92aの下端部)には、ヒヨコを模したキャラクタ画像CPが表示されている。具体的には、キャラクタ画像CPが頭を上側一般入賞口61Uから出た状態となるようにして表示されている。上側一般入賞口61Uの前面部分には、草むらを模した装飾61aUが設けられており、キャラクタ画像CPが草むらから顔をのぞかせている絵柄が構成されている。つまり、上側一般入賞口61Uの装飾61aU及び表示画面92aのキャラクタ画像CPによって1の絵柄が構成されている。詳細については後述するが、上側一般入賞口61Uへの入賞が発生すると、当該上側一般入賞口61Uに対応するキャラクタ画像CPが移動し、上側一般入賞口61Uへの入賞が発生した旨が遊技者に報知されることとなる。
【0274】
図20(a)の説明に戻り、ステップS601にて否定判定をした場合には、ステップS603に進む。ステップS603では開閉実行モードの開始タイミングであるか否かを判定する。具体的には、主制御装置162からオープニングコマンドを受信した場合に、ステップS603にて肯定判定をする。ステップS603にて肯定判定をした場合には、ステップS604に進む。
【0275】
ステップS604では第2表示モードへの切替処理を実行する。第2表示モードへの切替処理においては、表示制御装置620へ第2表示モード切替コマンドを送信するとともに、スピーカ部29から出力されるBGMや効果音、ランプ部26の発光態様を第2表示モードに対応するものに切り替える処理を行う。表示制御装置620では第2表示モード切替コマンドを受信することにより、図柄表示装置92の表示モードを第1表示モードへ切り替える。ここで、
図21(b)の概略図を参照して、第2表示モードにおける表示内容について補足説明する。
【0276】
第2表示モードにおいては、図柄表示装置92の表示画面92aの左上隅部に進行中のラウンドが表示され、右上隅部に当該開閉実行モード中に獲得した賞球の総数が表示される。また、表示画面92aの中央下部には宝箱を模した絵柄(図示略)が表示され、可変入賞装置64への入賞が発生した場合に、宝箱から大量のコインが巻き上がる様子が表示されることとなる。
【0277】
ここで、宝箱から舞い上がったコインについては、所定の期間を経て表示画面92aの下方に消え去ることとなるが、コインを表示している最中に可変入賞装置64へ更なる入賞が発生すると、更に大量のコインがより高い位置まで巻き上がるように表示が更新されることとなる。つまり、可変入賞装置64への入賞が連続して発生することで、入賞に対応する表示演出の規模が拡張される構成となっている。なお、本実施の形態においては、先の入賞報知が終了するまでの間に次の入賞が発生した場合を「連続入賞」とし、先の入賞報知が終了した後に次の入賞が発生した場合を「通常入賞」として区別している。
【0278】
また、コイン及び宝箱の表示領域の左右両側には、入賞報知用の画像を表示する表示領域MEが設けられている。表示領域MEは表示画面92aにて下側一般入賞口61Lの上方となる部分に位置しており、表示領域MEの下部(表示画面92aの下端部)には、ハトを模したキャラクタ画像CPが表示されている。ここで、下側一般入賞口61Lと表示画面92aとは上下に離れている。遊技領域形成体60aの背面に設けられた上記第1背景シート79は遊技機正面視にて表示画面92a及び下側一般入賞口61Lに跨っている。この跨っている部分には、鳥の巣を模した絵柄99aと、草むらを模した絵柄99bとが設けられており、下側一般入賞口61Lの前面部分には、上記絵柄99aとともに鳥の巣を模した絵柄を構成する装飾61aLが施されている。
【0279】
ハトを模したキャラクタ画像CPについては、その頭部が第1背景シート79(草むらを模した絵柄99b)から上方に突出した状態となるようにして表示されている。これら、下側一般入賞口61Lの装飾61aL、第1背景シート79及び表示画面92aのキャラクタ画像CPによって1の絵柄が構成されている。詳細については後述するが、下側一般入賞口61Lへの入賞が発生すると、当該下側一般入賞口61Lに対応するキャラクタ画像CPが移動し、下側一般入賞口61Lへの入賞が発生した旨が遊技者に報知されることとなる。
【0280】
図20(a)の説明に戻り、ステップS603にて否定判定をした場合には、ステップS605に進む。ステップS605では開閉実行モードの終了タイミングであるか否かを判定する。すなわち、高頻度サポートモード対応の通常遊技状態への移行タイミングであるか否かを判定する。具体的には、主制御装置162からエンディングコマンドを受信した場合に、ステップS605にて肯定判定をする。ステップS605にて肯定判定をした場合には、ステップS606に進む。
【0281】
ステップS606では第3表示モードへの切替処理を実行する。第3表示モードへの切替処理においては、表示制御装置620へ第3表示モード切替コマンドを送信するとともに、スピーカ部29から出力されるBGMや効果音、ランプ部26の発光態様を第3表示モードに対応するものに切り替える処理を行う。表示制御装置620では第3表示モード切替コマンドを受信することにより、図柄表示装置92の表示モードを第3表示モードへ切り替える。ここで、
図21(a)の概略図を援用して、第3表示モードにおける表示内容について補足説明する。
【0282】
第3表示モードにおいては、図柄表示装置92の表示画面92aにて3つの図柄列が表示され、作動入球部62,63への入球に基づいてそれら図柄列がスクロール表示される。作動入球部62,63への入球が発生した場合には、大当たり等の抽選が実行され、その抽選結果に対応した図柄組み合わせが停止表示される。図柄の変動表示態様については第1表示モードと同様となっている。
【0283】
また、表示画面92aの左右両端には、入賞報知用の画像を表示する表示領域MEが設けられている。表示領域MEは表示画面92aにて下側一般入賞口61Lの上方となる部分に位置しており、表示領域MEの下部(表示画面92aの下端部)には、ハトを模したキャラクタ画像CPが表示されている。このキャラクタ画像CPの表示態様については、第2表示モードと同様であるため説明を援用する。
【0284】
以上詳述したように、低頻度サポートモード対応の通常遊技状態においては表示モードが第1表示モードとなり、開閉実行モード(特別遊技状態)においては表示モードが第2表示モードとなり、高頻度サポートモード対応の通常遊技状態においては表示モードが第3表示モードとなる(
図20(b)参照)。第1表示モード中は上側作動入球部62を狙って遊技球が発射されることにより、その主たる入球先は上側作動入球部62及び上側一般入賞口61Uとなる(
図6(a)参照)。第2表示モード中は可変入賞装置64を狙って遊技球が発射されることにより、その主たる入球先は可変入賞装置64及び下側一般入賞口61Lとなる(
図6(b)参照)。第3表示モード中は下側作動入球部63を狙って遊技球が発射されることにより、その主たる入球先は下側作動入球部63及び下側一般入賞口61Lとなる(
図6(b)参照)。
【0285】
遊技状態によって可変表示ユニット91(図柄表示装置92)の位置が変更されるだけでなく図柄表示装置92における表示モードが変更され、更には遊技球の主たる入球先についても変化することとなる。そして、遊技状態、可変表示ユニット91の位置、表示モードに応じて入賞報知が実行される対象となる入球部(例えば上側一般入賞口61U/下側一般入賞口61L)も変化することとなる。以下、
図22のフローチャートを参照して、報知・演出制御装置610のMPU612にて定期処理の一環として実行される上側一般入賞口対応の入賞報知用処理について説明する。
【0286】
(上側一般入賞口対応の入賞報知用処理)
上側一般入賞口対応の入賞報知用処理においては先ず、ステップS701にて第1表示モード中であるか否かを判定する。ステップS701にて否定判定をした場合には、そのまま本入賞報知用処理を終了する。ステップS701にて肯定判定をした場合には、ステップS702に進む。ステップS702では主制御装置162からの上側一般入賞口61Uへの入賞を示す入賞コマンドを受信しているか否かに基づいて、上側一般入賞口61Uへの入賞が発生したか否かを判定する。
【0287】
ステップS702にて否定判定をした場合には、そのまま本入賞報知用処理を終了する。ステップS702にて肯定判定をした場合には、ステップS703に進み、上側一般入賞口61Uに係る入賞報知を実行している最中であるか否かを判定する。ステップS703にて否定判定をした場合には、ステップS704にて通常入賞報知実行処理を行った後、本入賞報知用処理を終了する。
【0288】
通常入賞報知実行処理においては、スピーカ部29を駆動させて入賞発生を示す効果音を出力させるとともに、上側一般入賞口61Uに付随の発光部を点灯させる。また、表示制御装置620に対して通常入賞報知コマンドを出力する。表示制御装置620においては通常入賞報知コマンドを受信したことに基づいて通常入賞報知用の画像表示処理を行う。ここで、
図23(a)の概略図を参照して、通常入賞報知の流れについて説明する。
【0289】
通常入賞報知においては、上側一般入賞口61Uへ遊技球B1が入ると(入賞が発生すると)、当該上側一般入賞口61Uの直上に待機していたキャラクタ画像CPを上方の所定位置へと移動させる。これにより、ヒヨコ(キャラクタ画像CP)が草むら(上側一般入賞口61Uの装飾61aU)から飛び上がったように見せることができる。
【0290】
キャラクタ画像CPが所定位置に到達したタイミングにて、所定位置よりも上側の特定位置に数字画像NPが表示される。本実施の形態においては、上側一般入賞口61Uへの入賞が発生した場合には、3個の遊技球(賞球)が払い出される。数字画像NPについては、この特典を明示する情報として「+3get」の数字(文字)により構成されている。
【0291】
キャラクタ画像CP及び数字画像NPは時間の経過に伴って表示領域MEを降下する。キャラクタ画像CPは待機位置に復帰した後も表示が継続される一方、数字画像NPは表示画面92aの下端部に到達したことを契機として非表示となる。これにより、次の入賞報知待ちの状態となる。
【0292】
なお、キャラクタ画像CP及び数字画像NPの降下速度については、時間の経過に伴って速くなるように加速されることとなる。言い換えれば、表示領域MEの上部では降下速度が遅く、下部では降下速度が速くなるように差が設定されている。
【0293】
再び、
図22の説明に戻り、ステップS703にて肯定判定をした場合、すなわち入賞報知を行っている最中に次の入賞が発生した場合には、ステップS705に進む。ステップS705では連続入賞報知実行処理を行う。なお、本実施の形態においては、可変入賞装置64と同様に、上側一般入賞口61Uに係る先の入賞報知が終了するまでの間に当該上側一般入賞口61Uへの次の入賞が発生した場合を「連続入賞」とし、先の入賞報知が終了した後に次の入賞が発生した場合を「通常入賞」として区別している。
【0294】
連続入賞報知実行処理においては、スピーカ部29を駆動させて入賞発生を示す効果音を出力させるとともに、上側一般入賞口61Uに付随の発光部を点灯させる。また、表示制御装置620に対して連続入賞報知コマンドを出力する。表示制御装置620においては連続入賞報知コマンドを受信したことに基づいて連続入賞報知用の画像表示処理を行う。ここで、
図23(b)の概略図を参照して、連続入賞報知の流れについて説明する。
【0295】
連続入賞報知においては、上側一般入賞口61Uへ遊技球B1が入ると(入賞が発生すると)、当該上側一般入賞口61Uの直上に待機していたキャラクタ画像CPを上方の所定位置へと移動させる。これにより、ヒヨコ(キャラクタ画像CP)が草むら(上側一般入賞口61Uの装飾61aU)から飛び上がったように見せることができる。
【0296】
キャラクタ画像CPが所定位置に到達したタイミングにて、所定位置よりも上側の特定位置に数字画像NP1が表示される。本実施の形態においては、上側一般入賞口61Uへの入賞が発生した場合には、3個の遊技球(賞球)が払い出される。数字画像NP1については、この特典を明示する情報として「+3get」の数字(文字)により構成されている。
【0297】
キャラクタ画像CP及び数字画像NP1は時間の経過に伴って表示領域MEを降下する。このように入賞報知が続いている最中に次の遊技球B2が上側一般入賞口61Uに入ると(入賞が発生すると)、降下中のキャラクタ画像CPが上記所定位置を超えて表示領域MEにおける上限位置へと移動する。つまり、ヒヨコ(キャラクタ画像CP)が2段階で飛び上がることとなる。これに対して、特定位置(数字画像NP1の上方)には数字画像NP2が新たに追加表示され、数字画像NP1,NP2が上下に並ぶ。キャラクタ画像CP及び数字画像NP1,NP2は時間の経過に伴って表示領域MEを降下する。キャラクタ画像CPは待機位置に復帰した後も表示が継続される一方、数字画像NP1,NP2は表示画面92aの下端部に到達したことを契機として非表示となる。これにより、次の入賞報知待ちの状態となる。なお、数字画像NP1,NP2は同一の画像である。
【0298】
次に、
図24のタイミングチャートを参照して、入賞報知の流れについて補足説明する。
図24の前半部分は通常入賞報知、
図24の後半部分は連続入賞報知を示している。
【0299】
先ず通常入賞報知の流れについて説明する。ta1のタイミングにて上側一般入賞口61Uへの入賞が発生すると、待機位置に表示されているキャラクタ画像CPが待機位置から上記所定位置へ向けて移動を開始する。ta2のタイミングではキャラクタ画像CPが所定位置に到達し、それ以上の上方への移動が不可となる。キャラクタ画像CPの所定位置への到達に伴って所定位置の上方となる特定位置に数字画像NPが表示される。
【0300】
所定位置へ移ったキャラクタ画像CP及び特定位置に表示された数字画像NPは時間の経過に伴って表示領域MEを降下する。キャラクタ画像CPの降下速度は、所定位置へ移る際の上昇速度よりも遅くなっている。これは、見た目の急速な変化によって入賞報知を目立たせる機能と、報知期間を稼ぐことで入賞報知が見逃される機会を減らす機能とを両立させる工夫である。
【0301】
キャラクタ画像CPの降下速度は、数字画像NPの降下速度よりも速くなっており、ta3のタイミングにてキャラクタ画像CPが待機位置に復帰した後も、しばらくは数字画像NPの降下(表示)が続くこととなる(ta4のタイミング参照)。これは、次の入賞発生に備えつつも今回の入賞報知の実行期間をできるだけ長くする工夫である。
【0302】
次に、連続入賞報知の流れについて説明する。ta5のタイミングにて上側一般入賞口61Uへの入賞が発生すると、待機位置に表示されているキャラクタ画像CPが待機位置から上記所定位置へ向けて移動を開始する。ta6のタイミングではキャラクタ画像CPが所定位置に到達し、それ以上の上方への移動が不可となる。キャラクタ画像CPの所定位置への到達に伴って所定位置の上方となる特定位置に数字画像NP1が表示される。
【0303】
所定位置へ移ったキャラクタ画像CP及び特定位置に表示された数字画像NP1は時間の経過に伴って表示領域MEを降下する。ここで、キャラクタ画像CPが待機位置から所定位置へ移動するのに要する期間、すなわち数字画像NP1が表示されるまでのタイムラグについては、上側一般入賞口61U用の検知センサ151によって複数の遊技球が続けて検知される場合のインターバルの最小期間(最小インターバル期間)よりも短くなっている。
【0304】
このため、後続の遊技球が直ちに上側一般入賞口61Uに入ったとしても、そのタイミングがキャラクタ画像CP及び数字画像NP1の降下開始前のタイミングとなることはない。すなわち、最小インターバル期間となるようにして次の入賞が発生したta7のタイミングでは先の入賞に基づいて表示されたキャラクタ画像CP及び数字画像NP1は降下中となる。
【0305】
ta7のタイミングにて次の入賞が発生すると、キャラクタ画像CPは表示領域MEにおける上限位置へ向けて再上昇する。この間も数字画像NP1については降下が継続される。ta8のタイミングにてキャラクタ画像CPが上限位置に到達すると、上記所定位置に数字画像NP2が表示される。このタイミングでは既に、数字画像NP1が所定位置から離れているため、数字画像NP1と数字画像NP2との重なりが回避される。次の入賞によってキャラクタ画像CPを再上昇させて時間を稼ぐことにより、数字画像NP1を所定位置から完全に離脱させることが可能となっている。
【0306】
その後は、キャラクタ画像CP及び数字画像NP1,NP2は表示領域MEを降下する。数字画像NP1,NP2の降下速度については、同じ態様で変化するため、数字画像NP2が数字画像NP1を追い越すことはない。
【0307】
続くta9のタイミングでは、キャラクタ画像CPが待機位置に復帰し、その後のta10のタイミングにて数字画像NP1が下限位置に到達して非表示となる。そして、ta11のタイミングでは数字画像NP2も下限位置に到達して非表示となり、連続入賞に対応した入賞報知が終了する。連続して入賞報知が行される場合であっても、数字画像NP1,NP2の重なりを回避することにより、2度の入賞が発生していることの区別を容易としている。
【0308】
次に、可変表示ユニット91(図柄表示装置92)が下側表示位置に配置され、表示モードとして第2表示モード及び第3表示モードが設定されている場合に、報知・演出制御装置610のMPU612にて定期処理の一環として実行される下側一般入賞口対応の入賞報知用処理について
図25のフローチャートに基づき説明する。
【0309】
(下側一般入賞口対応の入賞報知用処理)
下側一般入賞口対応の入賞報知用処理においては先ず、ステップS801にて第2表示モード中であるか否かを判定する。ステップS801にて肯定判定をした場合には、ステップS802に進む。ステップS802では主制御装置162からの下側一般入賞口61Lへの入賞を示す入賞コマンドを受信しているか否かに基づいて、下側一般入賞口61Lへの入賞が発生したか否かを判定する。
【0310】
ステップS802にて否定判定をした場合には、そのまま本入賞報知用処理を終了する。ステップS802にて肯定判定をした場合には、ステップS803に進み、下側一般入賞口61Lに係る入賞報知を実行している最中であるか否かを判定する。ステップS803にて否定判定をした場合には、ステップS804にて通常入賞報知実行処理を行う。ステップS803にて肯定判定をした場合には、ステップS805にて連続入賞報知実行処理を行う。ステップS804及びステップS805の処理を実行した後は、ステップS806にてカウントアップ表示の更新用処理を実行して本入賞報知用処理を終了する。
【0311】
なお、本実施の形態においては、上側一般入賞口61Uと同様に、下側一般入賞口61Lに係る先の入賞報知が終了するまでの間に当該下側一般入賞口61Lに係る次の入賞が発生した場合を「連続入賞」とし、先の入賞報知が終了した後に次の入賞が発生した場合を「通常入賞」として区別している。
【0312】
既に説明したように、開閉実行モード中は表示画面92aの右上隅部に当該開閉実行モード中に獲得した賞球の総数が表示される構成となっている。賞球の大部分は可変入賞装置64への入賞を契機としているが、下側一般入賞口61Lへの入賞に基づく賞球についても上記総数に加えられることとなる。
【0313】
ステップS801の説明に戻り、当該ステップS801にて否定判定をした場合には、ステップS807に進む。ステップS807では第3表示モード中であるか否かを判定する。ステップS807にて否定判定をした場合には、そのまま本入賞報知用処理を終了する。ステップS807にて肯定判定をした場合には、ステップS808に進む。
【0314】
ステップS808では主制御装置162からの下側一般入賞口61Lへの入賞を示す入賞コマンドを受信しているか否かに基づいて、下側一般入賞口61Lへの入賞が発生したか否かを判定する。
【0315】
ステップS808にて否定判定をした場合には、そのまま本入賞報知用処理を終了する。ステップS808にて肯定判定をした場合には、ステップS809に進み、下側一般入賞口61Lに係る入賞報知を実行している最中であるか否かを判定する。ステップS809にて否定判定をした場合には、ステップS810にて通常入賞報知実行処理を行った後、本入賞報知用処理を終了する。ステップS809にて肯定判定をした場合には、ステップS811にて連続入賞報知実行処理を行った後、本入賞報知用処理を終了する。
【0316】
ここで、
図26を参照して、下側一般入賞口61Lへの入賞に基づく入賞報知の流れについて説明する。
図26(a)は通常入賞報知の流れを示す概略図、
図26(b)は連続入賞報知の流れを示す概略図である。
【0317】
図26(a)に示すように、通常入賞報知においては、下側一般入賞口61Lへ遊技球B1が入ると(入賞が発生すると)、当該下側一般入賞口61Lの直上に待機していたキャラクタ画像CPが表示画面92aの中央側へ移動させる。これにより、ハト(キャラクタ画像CP)が草むら(第1背景シート79の装飾79b)から斜め上方に飛び上がったように見せることができる。
【0318】
キャラクタ画像CPが所定位置に到達したタイミングにて、下側一般入賞口61Lの上方となる特定位置に数字画像NPが表示される。本実施の形態においては、下側一般入賞口61Lへの入賞が発生した場合には、7個の遊技球(賞球)が払い出される。数字画像NPについては、この特典を明示する情報として「+7get」の数字(文字)により構成されている。
【0319】
キャラクタ画像CP及び数字画像NPは時間の経過に伴って表示領域ME(
図21(b)参照)を降下する。キャラクタ画像CPは表示画面92aの下端に達することで一旦非表示となり、その直後に上記待機位置に再表示(復帰)することとなる。これに対して、数字画像NPは表示領域MEの下端に到達したことを契機として非表示となる。これにより、次の入賞報知待ちの状態となる。
【0320】
なお、キャラクタ画像CP及び数字画像NPの移動速度(降下速度)については、時間の経過に伴って速くなるように加速されることとなる。言い換えれば、表示領域MEの上部では降下速度が遅く、下部では降下速度が速くなるように差が設定されている。
【0321】
次に、
図26(b)を参照して、連続入賞が発生した場合の入賞報知(連続入賞報知)の流れについて説明する。
【0322】
連続入賞報知においては、下側一般入賞口61Lへ遊技球B1が入ると(入賞が発生すると)、当該下側一般入賞口61Lの直上に待機していたキャラクタ画像CPを上方の所定位置へと移動させる。これにより、ハト(キャラクタ画像CP)が草むら(第1背景シート79の装飾79a)から飛び上がったように見せることができる。
【0323】
キャラクタ画像CPが所定位置に到達したタイミングにて、下側一般入賞口61Lの上方の上記特定位置に数字画像NP1が表示される。本実施の形態においては、下側一般入賞口61Lへの入賞が発生した場合には、7個の遊技球(賞球)が払い出される。数字画像NP1については、この特典を明示する情報として「+3get」の数字(文字)により構成されている。
【0324】
キャラクタ画像CP及び数字画像NP1は時間の経過に伴って表示領域ME(
図21(b)参照)を降下する。このように入賞報知が続いている最中に次の遊技球B2が下側一般入賞口61Lに入ると(入賞が発生すると)、降下中のキャラクタ画像CPが上記所定位置を超えて表示領域MEにおける表示画面92aの中央側限界位置へと移動する。つまり、ハト(キャラクタ画像CP)の飛行距離が拡大されることとなる。これに対して、特定位置(数字画像NP1の上方)には数字画像NP2が新たに追加表示され、数字画像NP1,NP2が上下に並ぶ。キャラクタ画像CP及び数字画像NP1,NP2は時間の経過に伴って表示領域MEを降下する。キャラクタ画像CPは下限位置に達したのちは非表示→待機位置に復帰し、表示が継続される。これに対して、数字画像NP1,NP2は表示領域MEの下端に到達したことを契機として非表示となる。これにより、次の入賞報知待ちの状態となる。なお、数字画像NP1,NP2は同一の画像である。
【0325】
以上上述した第1の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0326】
多数の遊技釘68が植設されてなる遊技領域PEを遊技球が流下するタイプの遊技機においては、遊技球の動きを目で追うことが遊技の楽しみの1つとなっている。この種の遊技機においては、遊技領域PEにおける遊技球の滞在時間が短くなると、遊技球の動きを目で追うことが困難になり、上記楽しみが低下すると懸念される。このような事情に鑑みた場合、例えば遊技球の流下速度を遅くして遊技領域PEにおける滞在時間を長くすることも可能である。しかしながら、このような遊技球の動きが緩慢になることは遊技球の動きについて見栄えが低下する要因になると想定される。この点、本実施の形態に示すように遊技釘列81~84によって、入球部(例えば上側作動入球部62)へ近づく遊技球の動き及び入球部から遠ざかる遊技球の動きについて、流下速度の低下を抑えつつ、遊技領域PEにおける滞在時間を稼ぐことができる。これにより、遊技球の動きに対する注目度の向上に寄与できる。
【0327】
例えば、第2種上側遊技釘列82と第1種下側遊技釘列83とは、上側作動入球部62を中心に放射状に配置されており、全体として上側作動入球部62を中心に交差するクロス配置となっている。第2種上側遊技釘列82に沿って流下した遊技球(上側作動入球部62へ入らなかった遊技球)が第1種下側遊技釘列83に移る際には、第2種上側遊技釘列82に沿った流下方向が維持される場合と、流下方向が反転する場合とが発生する。遊技者の注目が向きやすい上側作動入球部62周辺にて遊技球の動きを大きく変化させることにより、遊技球の挙動への注目度を好適に向上させることができる。
【0328】
上側作動入球部62を素通りした遊技球が第2種上側遊技釘列82→第1種下側遊技釘列83の順に移動する場合、過度に遊技球が加速してしまうと、第1種下側遊技釘列83に沿った遊技球の動きを目で捉えにくくなる。第2種上側遊技釘列82及び第1種下側遊技釘列83にて折返しとなっている部分では、そのような不都合は生じにくいものの、第2種上側遊技釘列82及び第1種下側遊技釘列83が同じ直線上に位置している場合には上記不都合が発生しやすくなると懸念される。この点、本実施の形態に示すように、第2種上側遊技釘列82の下流側への延長上よりも上方へオフセットするようにして第1種下側遊技釘列83を配置すれば、第1種下側遊技釘列83に移る際に遊技球を減速させることができる。これにより、上側作動入球部62を跨ぐようにして移動する遊技球の動きを目視で確認しやすくなる。
【0329】
なお、第1種下側遊技釘列83の上方へのオフセット量については、遊技球の直径寸法(詳しくは半径寸法)よりも小さくなっている。これは、上側作動入球部62周辺にて遊技球の動きが大きく乱れることを抑制し、遊技球同士の衝突等の発生を減らす上で好ましい構成である。
【0330】
遊技釘列81~84の傾斜角度を揃えることにより、それら遊技釘列81~84に沿って流下する技球球の流下速度に過度の偏りが生じることを抑制できる。流下速度の偏りを抑えることにより、遊技球の動きを目で追う上で容易/困難の差が生じることを抑制できる。これは、実質的に注目される箇所が限定されることを抑制して、遊技球の動きに目を向けるように遊技者に促す上で好ましい構成である。
【0331】
透明な遊技領域形成体60aを通じてその背後に位置する図柄表示装置92が視認可能となっているタイプの遊技機においては、図柄表示装置92を遊技盤に近づけて配置することにより、遊技者から図柄表示装置92までの距離を減縮することができる。これは、表示される図柄等の視認性の向上を図る上で好ましい配置である。上側一般入賞口61Uに入った遊技球は案内通路251→回収通路301の順に移動して遊技ホールの島設備等に返却される場合には、通路の存在が遊技領域形成体60aと図柄表示装置92とを近づける上で妨げになり得る。この点、本実施の形態に示したように、遊技領域形成体60aの背面の一部を凹ませて溝部261を形成し、この溝部261を回収通路301における遊技球の通過領域として利用することにより、図柄表示装置92の配置に係る制約を緩和できる。これにより、図柄表示装置92と遊技領域形成体60aとの離れを小さくし、図側等の視認性の向上に貢献できる。
【0332】
上述したように、遊技領域形成体60aに形成された溝部261を用いて回収通路301を構築すれば、遊技領域形成体60aの背面側への回収通路301の張り出しを抑え、図柄表示装置92の配置に係る制約を好適に緩和できる。ここで、遊技領域PEには遊技釘68や風車69等の各種遊技部品が配設される。遊技領域形成体60aの肉厚が極端に薄くなってしまっては、それら遊技部品を遊技領域形成体60aに固定する際の掛り代が不足し得る。これは、遊技部品の配置に係る制約を強める要因になると懸念される。そこで、本実施の形態に示したように、溝部261及びカバー部材305(本体部306)によって回収通路301を構成すれば、遊技領域形成体60aの肉厚をある程度確保しつつ、上記効果を発揮させることができる。
【0333】
溝状をなす本体部306が形成されたカバー部材305によって遊技領域形成体60aの溝部261を覆う上では、当該カバー部材305の一部を溝部261に挿入するようにして配置することも可能である。しかしながら、このような構成では、カバー部材305を加味して溝部261の横幅が拡張されることとなり、遊技領域形成体60aにて肉厚が薄くなる部分が増すこととなる。遊技領域形成体60aの肉厚が薄い部分が嵩むことには、相応のデメリットが生じる。そこで、本実施の形態に示したように、カバー部材305(本体部306の溝状部分)の溝幅を溝部261の溝幅以上とすれば、回収通路301としての機能を担保しつつ上記肉厚が薄くなる部分を極力小さくすることが可能となる。故に、溝状をなすカバー部材305を併用することによる不都合の発生を好適に回避できる。
【0334】
遊技領域形成体60aに形成された溝部261によって回収通路301を構成する場合には、遊技領域形成体60aにて薄肉となっている部分が線状に延びることとなる。このため、溝部261を有さない場合と比較して、遊技領域形成体60aの強度が低下し、歪等の変形が生じやすくなると懸念される。ここで、カバー部材305を溝部261周辺の複数箇所にて遊技領域形成体60aに固定することにより、当該カバー部材305によって遊技領域形成体60aを補強することができる。これにより、遊技盤の強度不足を好適に補うことができる。
【0335】
上記実施の形態に示した可変表示ユニット91については遊技の状況等に応じて表示位置が上側表示位置/下側表示位置にて切り替わる構成となっている。これは遊技の単調化を抑制して遊技への注目度の向上を図る上で好ましい。ここで、可変表示ユニット91の図柄表示装置92(表示画面92a)については下側表示位置に配置されている状況下にてその中央部分にて主たる動画表示が実行される構成となっている。この中央部分については遊技領域PE(下側領域LE)と重なっている。下側領域LEについては、遊技球が流下する領域であるため、遊技球が表示画面92aを目視する際に邪魔になり得る。この点、本実施の形態においては、図柄表示装置92が下側表示位置へ移動することで「規制手段」としての振分部材73による規制領域が図柄表示装置92(表示画面92a)の上記中央部分と重なる。これにより、前方を流下する遊技球が当該中央部分での動画表示の視認の妨げになることを抑制できる。故に、上述した注目度の向上効果を好適に発揮させることができる。
【0336】
上述した中央部分においては、可変入賞装置64への入賞を報知する入賞報知が実行される。この部分について前方を遊技球が通過しないように規制することには、入賞報知の見逃しを抑制する上で好ましい。
【0337】
「規制手段」としての振分部材73については、可変入賞装置64の上方にて遊技球を左右に振り分ける振分通路として機能する。振分部材73によって可変入賞装置64に向けた遊技球の動きを多様化する手段として利用することにより、遊技への注目度の向上に寄与できる。
【0338】
上記実施の形態に示した図柄表示装置92においては、遊技機正面視にて当該図柄表示装置92(表示画面92a)に重なるように配置された上側一般入賞口61Uへの入球が発生した場合には、当該表示画面92aにおいて上側一般入賞口61Uの周辺となる部分にて入賞が発生した旨を示す、入賞報知が実行される。このように入賞先となった入球部の周辺にて入賞報知を実行する構成とすれば、報知される情報を簡素化した場合であっても、それが上側一般入賞口61Uへの入賞を示していることを遊技者に伝えやすくすることができる。なお、報知される情報を簡素化を促すことは、表示画面92aにて当該入賞報知用の領域(表示領域ME)が大きくなることを抑制し、図柄の変動表示領域との共存を図る上で有利となる。
【0339】
また、上側一般入賞口61Uの周辺にて入賞報知が行われるため、遊技者が上側一般入賞口61Uを注視している状況下にて入賞報知が行われた場合であっても当該報知が見逃される機会を減らすことができる。
【0340】
上側一般入賞口61Uは入口部分が上向きとなるように形成され、上記入賞報知用の画像については上側一般入賞口61Uの入口部分と対峙する箇所にて表示される。このため、遊技者が上側一般入賞口61Uを注視している状況下にて上記画像が表示された場合であっても当該画像が見逃される機会を好適に減らすことができる。
【0341】
遊技機前方から見て表示画面92aにおける上側一般入賞口61Uの周囲となる部分に、当該上側一般入賞口61Uの前面部分に形成された装飾61aUとともに所定の絵柄(例えば草むらに隠れているヒヨコの絵柄)を形成するキャラクタ画像CP(ヒヨコを模したキャラクタ画像)が表示され、上側一般入賞口61Uへの入賞が発生した場合に上記キャラクタ画像CPが可変表示される構成となっている。このように、装飾61aUとキャラクタ画像CPとが一体となって所定の絵柄が形成される構成とすれば、表示されているキャラクタ画像CPと上側一般入賞口61Uとの間に何らの関係性(対応関係)があることを好適に示唆できる。また、入賞報知用のキャラクタ画像CPを予め表示画面92a上に待機させておくことには、遊技者に上記関連性を把握する機会を与える上で好ましいという技術的意義がある。
【0342】
なお、装飾61aUとキャラクタ画像CPとで所定の絵柄が形成されるため、画像単独で所定の絵柄を形成する場合と比較して、当該画像の大型化を抑制できる。これは、図柄表示装置92(表示画面92a)にて入賞報知用の画像の表示領域(占有領域)の拡がりを抑える上で好ましい構成である。
【0343】
図柄表示装置92が上側一般入賞口61Uに対応する上側表示位置に配置されている状況下にて当該上側一般入賞口61Uへの入賞が発生した場合には、図柄表示装置92にてその旨を示す入賞報知が実行される。これに対して、図柄表示装置92が下側一般入賞口61Lに対応する下側表示位置に配置されている状況下にて当該下側一般入賞口61Lへの入賞が発生した場合には、図柄表示装置92にてその旨を示す入賞報知が実行される。このように、図柄表示装置92の位置及び遊技球の入球先に応じて入賞報知が行われる構成とすることにより、どの入球部を対象とした入賞が発生したかを分かりやすく且つ簡潔に遊技者に伝えることができる。遊技状況によって主たる入球先が変化する場合には、上記構成を適用することで、遊技者に提供される入賞報知の情報が過度に複雑化又は多様化することを抑制し、入賞報知が遊技者を困惑させる要因になることを抑制できる。このように、入賞報知を状況に応じて切り替えることには、遊技の単調化を抑制し、遊技者の遊技意欲の低下を好適に抑制できるという技術的意義がある。
【0344】
図柄表示装置92を、上側一般入賞口61U及び下側一般入賞口61Lの並設方向(上下方向)に移動させる構成とすれば、移動距離が嵩むことを抑制し、図柄表示装置92における入賞報知の態様を切り替える際の応答性を好適に向上させることができる。
【0345】
図柄表示装置92が上側表示位置から下側表示位置へ移動することにより上側一般入賞口61Uと図柄表示装置92との距離が増加し且つ下側一般入賞口61Lと図柄表示装置92との距離が減少する。また、図柄表示装置92が下側表示位置から上側表示位置へ移動することにより上側一般入賞口61Uと図柄表示装置92との距離が減少し且つ下側一般入賞口61Lと図柄表示装置92との距離が増加するように構成されている。このような構成によれば、上側一般入賞口61Uと上側表示位置との関係性、下側一般入賞口61Lと下側表示位置との関係性を遊技者に対して好適に示唆できる。
【0346】
上述したように図柄表示装置92の位置に応じて入賞報知の対象となる入球部を切り替える構成においては、図柄表示装置92の移動中に上側一般入賞口61Uや下側一般入賞口61Lへの入賞が発生する可能性を否定できない。仮に図柄表示装置92が移動している最中に入賞報知を表示した場合に、それが遊技者を困惑させる要因になり得る。そこで、移動中については入賞報知を回避する構成とすれば、入賞報知機能によって遊技への注目度の向上を図るという効果を好適に発揮させることができる。
【0347】
入賞報知ようのキャラクタ画像CPを表示画面92a上に予め待機させておき、入賞発生に応じてキャラクタ画像CPを可変表示する構成とすることにより、入賞発生時に画像を表示する構成と比較して、遊技者に画像(入賞情報)と入球部との関連性を把握する機会を与えることができる。このように、情報が何を意味しているかを分かりやすくすることは、入賞報知の態様等を簡略化したり意匠性を付与したりして見栄えの向上を図る上で好ましい。
【0348】
なお、上記キャラクタ画像CPについては、図柄表示装置92の移動が完了する前に、表示を開始する構成とすることが好ましい。このように、キャラクタ画像CPの待機表示を図柄表示装置92の移動中に開始する構成とすれば、移動直後に入賞が発生した場合に、即座にこれに対応した入賞報知を行うことができる。これにより、入賞報知の応答性を好適に向上させることができる。図柄表示装置92の表示画面92aにて上側一般入賞口61Uに係るキャラクタ画像CPが表示される領域と、下側一般入賞口61Lに係るキャラクタ画像CPが表示される領域とは、図柄表示装置92の移動方向と交差する方向にずれている。このように、各入賞報知の実行領域を図柄表示装置92の移動方向と交差する方向にずらしておくことにより、事前にキャラクタ画像CPを待機させる場合に、一方の一般入賞口に対応する表示領域に他方の一般入賞口に対応するキャラクタ画像CPが表示されるといった事象の発生を回避できる。これにより、移動中にキャラクタ画像CPの表示の準備を行う構成としたとしてもそれが、遊技者を困惑させる要因になることを回避できる。
【0349】
例えば上側一般入賞口61Uへの入賞が発生した場合には表示画面92aにてその旨を示す画像(例えば数字画像NP)が表示される。これにより、入賞が発生した旨を遊技者に伝え、入賞を見逃す機会を減らすことができる。このようにして入賞を報知する構成においては、連続して入賞が発生した場合に、先の入賞の報知と後の入賞の報知との区別が困難になることが遊技者に誤解を与える要因になると懸念される。
【0350】
この点、本実施の形態に示す構成においては、先の入球に基づいて表示された数字画像NP1は時間の経過とともに特定位置から下限位置へと移動する。つまり、入賞発生時に特定に表示されたとしてもその場に留まるのではなく、また直ちに消え去るのではなく、下限位置へ移動しながら報知を継続的に行われることとなる。ここで、後続の入賞が発生すると、新たな入賞に対応する数字画像NP2が特定位置に表示されることとなる。これにより、数字画像NP1,NP2の重複を回避できる。数字画像NP2像についても数字画像NP1と同様に特定位置から下限位置に向けて移動する。このようにして、数字画像NP1,NP2を併存させることにより、入賞報知の情報が混同されることを好適に回避できる。また、数字画像NPの表示期間をある程度長くすることができるため、数字画像NP自体が見逃される機会を減らすことができる。
【0351】
上側一般入賞口61Uへの入賞が発生した場合には、それに基づいて表示される画像(数字画像NP1及び数字画像NP2)が共通となっている。このような構成にて、上述したように数字画像NP1,NP2同士の重なりを回避することには、表示されている画像の意味が分かりづらくなることを抑制できるという技術的意義がある。
【0352】
数字画像NPを特定位置から下限位置へ移動させる場合の移動速度が下限位置に近づくにつれて徐々に速くなるように構成されている。表示された瞬間(特定位置)では移動速度が比較的遅くなるため、数字画像NPを目視で確認しやすくなる。これは、数字画像NPの見落としを抑制する上で好ましい。その後は、下限位置に近づくにつれて数字画像NPの移動速度が速くなる。これにより、後続の入賞に基づいて数字画像NPが追加表示される際に先行する数字画像NP1と後続となる数字画像NP2との重なりを好適に回避できる。
【0353】
数字画像NP1及び数字画像NP2の両方が表示される場合には、表示が続いている期間が長くなる程、すなわち下限位置に近づく程、数字画像NP1と数字画像NP2との離れが大きくなる。遊技者の注目が上側一般入賞口61Uの入口付近に向きやすい点に鑑みれば、当該入口に近い側で数字画像NP1,NP2間の離れが最も大きくなる構成とすることにより、数字画像NP1及び数字画像NP2が遊技者の目に入った際に、両画像NP1,NP2が混同されるといった不都合を生じにくくすることができる。
【0354】
上述したように、数字画像NP1及び数字画像NP2を一緒に表示する場合には、両画像NP1,NP2が重なることで2つの入賞が発生したことが分かりにくくなると想定される。特に、表示の簡略化等を図るべく数字画像NP1と数字画像NP2とを共通化した場合には、それら画像NP1,NP2の識別が困難になると懸念される。そこで、後続となる数字画像NP2による数字画像NP1の追い越しを規制することにより、上記不都合の発生を好適に抑制できる。
【0355】
作動入球部62への入球に基づいて抽選が実行され、その結果が表示画面92a中の図柄組み合わせによって表示される構成においては、遊技者の注目が当該図柄の表示に向きやすい。そこで、数字画像NPの表示領域MEと図柄の変動表示領域とを並べて設けることにより、図柄の変動表示を見ようとした場合に、数字画像NPが目に入る機会を増やすことができる。特に、図柄のスクロール表示方向と数字画像NPの移動方向とを揃える事により、表示画面92aにて数字画像NPの表示領域MEと図柄の表示領域とを好適に共存させることができる。
【0356】
<第2の実施の形態> パラレル表示
上記第1の実施の形態においては、一般入賞口61(例えば上側一般入賞口61U)への入賞報知用の画像(例えば数字画像NP)を時間の経過とともに移動させることで、新たに表示される入賞報知用の画像と先行して表示されている入賞報知用の画像との重なりを回避する構成とした。本実施の形態においては、入賞報知が重複して行われる場合に入賞報知用の画像の重なりを回避する点では第1の実施の形態と共通であるものの、入賞報知に係る具体的構成(重なりを回避するための具体的構成)が第1の実施の形態と相違している。以下、
図27を参照して、本実施の形態における入賞報知に係る構成について説明する。
図27は図柄表示装置92及び上側一般入賞口61Uを示す概略図である。
【0357】
図柄表示装置92の表示画面92aには、入賞報知用の画像(具体的にはキャラクタ画像CP及び数字画像NP)を表示する複数の表示領域SP1~SP5が上側一般入賞口61Uを囲むように設定されている。上側一般入賞口61Uへの入賞が発生した場合には、それら表示領域SP1~SP5のうち何れか、詳しくはそのタイミングにて入賞報知用の画像が表示されていないものを選択し、その選択した表示領域SPに入賞報知用の画像を表示する。具体的には、上側一般入賞口61Uの直上(待機位置)に表示されているキャラクタ画像CPを選択した表示領域SPに移動させるとともに当該表示領域SPにて数字画像NPの表示を開始する。数字画像NPの表示が開始された後は、当該表示領域SPに表示されているキャラクタ画像CPを消去し、キャラクタ画像CPを上記待機位置に復帰させる。
【0358】
表示された数字画像NPは時間の経過とともに表示濃度が低下し(薄くなり)、所定の表示期間を経過した際に非表示となる。数字画像NPが非表示となることで、再び当該表示領域SPが上記選択の候補に復帰することとなる。
【0359】
ここで、
図28を参照して、上側一般入賞口61Uへの入賞が連続した場合の入賞報知の流れについて説明する。
図28は、上側一般入賞口61Uへの連続入賞が発生した場合の入賞報知の流れを例示した概略図である。
【0360】
1つ目の入賞及び2つ目の入賞に基づく入賞報知が実行されている最中に上側一般入賞口61Uに係る3つ目の入賞が発生したことを契機として、当該入賞に基づく入賞報知用の画像の表示対象となる領域を選択する。この時点では、第1表示領域SP1及び第2表示領域SP2については入賞報知用の画像を表示中であるため、残る第3表示領域SP3~第5表示領域SP5の中から1の表示領域SPが選択される。
図28(a)に示す例では、第3表示領域SP3が選択され、この第3表示領域SP3にキャラクタ画像CP及び数字画像NPが表示されている。第3表示領域SP3にて表示が開始された数字画像NPについては、キャラクタ画像CPが非表示となった後も所定の表示期間を経過するまで表示が継続されることとなる。入賞報知用の画像の表示を開始する際には、キャラクタ画像CPを待機位置から表示位置へ移動させることにより、当該画像が上側一般入賞口61Uへの入賞を契機とするものであることを示唆している。キャラクタ画像CPを用いて遊技者の注意を引いた後に当該キャラクタ画像CPに代えて数字画像NPを表示することにより、表示領域SPに表示される情報量が過多になることを抑え、付与された特典の確認が難しくなることを抑制している。
【0361】
第1表示領域SP1~第3表示領域SP3にて入賞報知用の画像が表示されている最中に上側一般入賞口61Uへの4つ目の入賞が発生した場合には、その入賞を契機として当該入賞に基づく入賞報知用の画像の表示対象を選択する。この時点では第1表示領域SP1~第3表示領域SP3については入賞報知用の画像が表示中であるため、残る第4表示領域SP4~第5表示領域SP5が選択候補となる。
図28(b)に示す例では、第4表示領域SP4が選択され、この第4表示領域SP4にキャラクタ画像CP及び数字画像NPが表示されている。第4表示領域SP4にて表示が開始された数字画像NPについては、キャラクタ画像CPが非表示となった後も所定の表示期間を経過するまで表示が継続されることとなる。
【0362】
本実施の形態においては、上記所定の表示期間は4つの連続入賞が発生する場合の最短期間よりも僅かに長くなっており、所定の表示期間中に最大で3つの入賞が発生し得る構成となっている。表示領域SPを入賞報知の最大重複数よりも多く設定することにより、入賞報知が上手く行われなくなることを抑制している。
【0363】
図28(b)→
図28(c)に示すように、最初の入賞から所定の表示期間を経過することで、第1表示領域SP1に表示されていた入賞報知用の画像が非表示となり、当該第1表示領域SP1が次の選択の候補に復帰する。ここで、上側一般入賞口61Uに係る5つ目の入賞が発生すると、第1表示領域SP1及び第5表示領域SP5が選択候補となる。
図28(c)に示す例では、第5表示領域SP5が選択され、この第5表示領域SP5にキャラクタ画像CP及び数字画像NPが表示されている。第5表示領域SP5にて表示が開始された数字画像NPについては、キャラクタ画像CPが非表示となった後も所定の表示期間を経過するまで表示が継続されることとなる。
【0364】
図28(c)→
図28(d)に示すように、第3表示領域SP3~第5表示領域SP5に表示されている入賞報知用の画像は、時間の経過とともに徐々に薄くなり、第3表示領域SP3に表示されている画像 → 第4表示領域SP4に表示されている画像 → 第5表示領域SP5に表示されている画像の順に表示が終了することとなる。
【0365】
入賞報知用の画像を表示して遊技者に入賞発生の旨を伝える上では、入賞報知用の画像の表示期間を長くすることにより、当該画像が遊技者の目に留まりやすくなる。しかしながら、表示期間が長くなれば、その期間中に次に入球が発生する機会が増える。ここで、本実施の形態に示す構成によれば、先の入球に基づいて第1表示領域SP1に入賞報知用の画像が表示されている状況下にて次の入球が発生した場合には、第1表示領域SP1以外の表示領域(第2表示領域SP2~第5表示領域SP5)に入賞報知用の画像が表示される。これにより、表示期間を引き延ばしたとしても連続入賞が発生したことを遊技者に好適に伝えることができる。言い換えれば、表示位置をずらすことによって入賞報知用の画像の表示期間を延ばすことができ、当該画像の見逃しを抑制できる。
【0366】
特に、入賞報知用の画像の表示期間が上側一般入賞口61Uへの連続入賞が発生する場合の最小インターバル期間よりも長くなるように構成したとしても、入賞報知用の画像同士が紛れる等して分かりづらくなることを抑制できる。
【0367】
表示領域SPの数は、一般入賞口61Uへの連続入賞が発生する場合の最小インターバル期間により入賞報知用画像の表示期間を除した数よりも多くなるように設定されている。本構成によれば、上側一般入賞口61Uへの入賞が連続して全ての表示領域SPが入賞報知用の画像で埋まるような状況となったとしても、次の入賞発生までに少なくとも1つの表示領域SPが空くこととなる。このため、表示領域SPの数が不足することが無い。これにより、発生機会が少ない事象に対応すべく表示領域SPの数が過度に増えてしまうことを好適に回避できる。
【0368】
上述したように上側一般入賞口61Uは、遊技機正面視にて表示画面92aと重なるようにして配置されており、上記表示領域SPは遊技機正面視にて上側一般入賞口61Uの周辺に設けられている。このように、表示領域SPを上側一般入賞口61Uの周辺に配設すれば、上側一般入賞口61Uと入賞報知用の画像との両方を目視にて確認することが容易となる。入賞報知用の画像を注視している場合であっても、上側一般入賞口61Uへの入球の有無を見張ることができる。このため、入賞報知用の画像の表示機能が上側一般入賞口61Uへ向けた遊技球の動きに対する注目度を低下させるように作用することを抑制できる。
【0369】
<第3の実施の形態> シリアル表示
上記第2の実施の形態に示したように、入賞報知用の画像を個別に表示可能な表示領域SPを複数設定すれば、入賞報知を重複して行う必要がある場合であってもそれら報知の混同を抑制することができる。但し、図柄の変動表示が実行される図柄表示装置92(表示画面92a)に入賞報知用の画像を表示する機能を追加する場合には、入賞報知用の画像の表示領域が嵩むことが図柄の変動表示領域を圧迫する要因になり得る。本実施の形態においては、このような事情に鑑みて、入賞報知用の画像の表示領域と図柄の変動表示領域との共存を好適に実現する工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に本実施の形態における入賞報知に係る構成について説明する。なお、以下の説明では上側一般入賞口61Uに係る入賞報知について例示しているが、同様の技術的思想を下側一般入賞口61L等の他の入球部に適用してもよい。
【0370】
上記第1の実施の形態では、上側一般入賞口61Uへの入賞に基づいて表示された入賞報知用の画像(例えば数字画像NP)の表示位置を時間の経過とともにずらす構成とした。本実施の形態における入賞報知用の画像の表示位置は、第2の実施の形態と同様に、表示開始~表示終了まで同じ位置に固定される構成となっている。また、上側一般入賞口61Uへの入賞が連続して発生した場合には、入賞報知用の画像の表示位置は都度同じとなり、所定の表示位置にて入賞報知用の画像の表示が繰り返される構成となっている。
【0371】
入賞報知用の画像が表示される期間(所定の表示期間)は、遊技球が連続して入賞する場合の最短インターバル期間よりも短くなっている。具体的には、最小インターバル期間が0.6secとなっているのに対して所定の表示期間は0.5secとなっている。インターバル期間が最短となるようにして上側一般入賞口61Uへの入球が連続した場合には、最初の入球に基づいて入賞報知用の画像が0.5sec表示された後、0.1secのブランクを経て、次の入球に基づく入賞報知用の画像が0.5sec表示されることとなる。
【0372】
ここで、連続入賞が発生する場合のインターバルについては検知センサ(検知領域)を通過する遊技球の移動速度に依存している。そして、この移動速度は、上側一般入賞口61Uに入賞した遊技球が移動する通路の形状等に依存する。図示は省略するが、本実施の形態における球通路には水平方向から垂直方向に折れ曲がる折曲部が形成されており、この折曲部の直下流となる位置に上記検知センサを配設している。検知センサを通過する手前の折曲部にて遊技球を減速させることにより、上記インターバル期間を引き延ばしている。これにより、所定の表示期間が極端に短くなることを抑制している。
【0373】
上側一般入賞口61Uへの入賞に基づいて表示される入賞報知用画像を統一することは、当該入賞報知用の画像について遊技者の理解を促す上で好ましい。しかしながら、連続入賞によって同様の画像が繰り返し表示された場合には、それが1の入賞に対応するものかそれとも複数の入賞(連続入賞)に対応するものかの区別がつきにくくなる。そこで、本実施の形態に示すように、先の入賞報知用画像の表示が終了した後は、連続入賞が発生した場合であっても、非表示となる期間が確保される構成とすることにより、上記不都合の発生を抑制できる。
【0374】
また、先の入賞報知の画像が非表示となってから次の入賞報知用の画像が非表示となるまでの間隔が短くなると、それら入賞報知の識別(区別)が難しくなると懸念される。そこで、本実施の形態においては、表示されている入賞報知用の画像が時間の経過とともに薄くなる(暗くなる)ようにして表示態様を変化させる構成となっている。これにより、先の入賞報知と後の入賞報知との間隔が短くしたことによる識別力の低下を緩和している。
【0375】
なお、本実施の形態においては、表示されている入賞報知用の画像の濃さを変化させる構成としたが、時間の経過とともに外観(表示態様)を変化させるのであれば足り、具体的な構成については任意である。例えば、時間の経過とともに大きさが変化する構成としたり、時間の経過とともに色が変化する構成としたりすることも可能である。
【0376】
<第4の実施の形態> ダブル液晶の間に通路
上記第1の実施の形態では下側領域LEに配設した「遊技部品」である振分部材73を透明な合成樹脂材料によって形成した。本実施の形態においては、外観は上記振分部材73と同様であるものの当該遊技部品が表示装置(例えば有機EL)73Xとなっており且つ当該表示装置73Xの表示内容が遊技の状況に応じて切り替えられる構成となっている点で第1の実施の形態と構成が相違している。以下、
図29を参照して、この相違点に係る構成について説明する。
図29は、遊技盤ユニット60Xにおける表示装置73X及び図柄表示装置92を示す概略図である。
【0377】
低頻度サポートモード対応の通常遊技状態、すなわち可変表示ユニット91が上側表示位置に配置されている状態では、
図29(a)に示すように、背面ブロック60bに設けられた第2背景シート99の前方に表示装置73Xが位置している。第2背景シート99には背景として空を模した絵柄が描かれているが、当該絵柄の一部が表示装置73Xによって遊技機前方から覆われている。これにより、第2背景シート99による背景にブランクが生じている。
【0378】
低頻度サポートモード対応の通常遊技状態においては、表示装置73Xにて上記ブランクを埋め合わせるようにして第2背景シート99の背景を模した画像を表示する。つまり、表示装置73Xにおいては第2背景シート99の絵柄を補完する画像が表示される構成となっている。背景(例えば雲)にて表示装置73Xと重なっている部分を当該表示装置73Xによって補うことにより、上記ブランクを目立ちにくくしている。
【0379】
これに対して、高頻度サポートモード対応の通常遊技状態や開閉実行モード(特別遊技状態)、すなわち可変表示ユニット91が下側表示位置に配置されている状態では、
図29(b)に示すように、当該可変表示ユニット91の図柄表示装置92の前方に表示装置73Xが位置している。図柄表示装置92には高頻度サポートモード対応の通常遊技状態に対応した画像や特別遊技状態に対応した画像が表示されているが、それら画像の一部が表示装置73Xによって遊技機前方から覆われている。これにより、図柄表示装置92による画像にブランクが生じている。
【0380】
高頻度サポートモード対応の通常遊技状態や特別遊技状態においては、表示装置73Xにて上記ブランクを埋め合わせるようにして図柄表示装置92に表示されている画像と同様の画像が表示される。具体的には、図柄表示装置92に表示されている画像のうち表示装置73Xによって覆われている部分と同じ画像が表示される。つまり、表示装置73Xにおいては図柄表示装置92の画像を補完する画像が表示される構成となっている。図柄表示装置92にて表示装置73Xと重なっている部分を当該表示装置73Xによって補うことにより、上記ブランクを目立ちにくくしている。
【0381】
遊技領域形成体60aXの前面側(例えば遊技領域PE)に配置されている表示装置73Xについては図柄表示装置92と比べて小型となっている。このように、遊技領域PEに配設される表示装置73Xを小さくすることにより、遊技領域PEの圧迫を抑制できる。このような構成においては、主たる表示機能が図柄表示装置92に依存することとなる。そこで、表側の表示装置73Xが上記表示補完機能を有する構成とすることにより、当該表示装置73Xの存在が図柄表示装置92にとって邪魔になることを好適に抑制できる。
【0382】
遊技領域形成体60aの背面側に設けられた回収通路301は、表示装置73Xと図柄表示装置92との間を通過している。手前側に配置された表示装置73Xの背後を通過するように回収通路301を配設することにより、回収通路301及び当該回収通路301を通過する遊技球を表示装置73Xによって隠すことができる。これにより、遊技盤ユニット60Xの見栄えの向上に貢献できる。
【0383】
前後にオフセットして配置された図柄表示装置92及び表示装置73Xによって絵柄を表示する場合には、両表示装置73X,92の離れが大きくなる程、絵柄の繋ぎ目にてギャップが際立つと想定される。つまり、遊技者の目線の位置によっては表示装置73Xにより絵柄が補完されていることが目立ってしまう。このような事情に鑑みた場合、両表示装置73X,92の離れをできるだけ小さくすることが好ましい。
【0384】
ここで、遊技領域形成体60aXの背面側に回収通路301が配設されている場合には、この回収通路301の存在が上記離れを大きくする要因になると懸念される。この点、上記第1の実施の形態に示したように、遊技領域形成体60aXの背面を凹ませて回収通路301用の溝部261を形成すれば、遊技領域形成体60aXの背面からの回収通路301の張り出しを緩和して、両表示装置73X,92の離れを軽減することができる。これにより、上記ギャップを目立ちにくくすることができる。
【0385】
<その他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記各実施の形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記各実施の形態に対して適用してもよい。また、上記各実施の形態に示した各種構成の全て又は一部を任意に組み合わせることも可能である。この場合、組み合わせの対象となる各構成の技術的意義(発揮される効果)が担保されることが好ましい。実施の形態の組み合わせからなる新たな構成に対して以下の各構成を個別に適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて適用することも可能である。
【0386】
(1)上記各実施の形態では、図柄表示装置92が上側表示位置(「第1位置」に相当)に配置されている場合に、図柄表示装置92(表示画面92a)と上側作動入球部62や上側一般入賞口61U等の「第1入球部」とが前後に重なる構成とした。これと同様に、図柄表示装置92が下側表示位置(「第2位置」に相当)に配置されている場合に、図柄表示装置92(表示画面92a)と下側作動入球部63、下側一般入賞口61L、可変入賞装置64等の「第2入球部」とが前後に重なる構成とすることも可能である(
図30(a)の概略図参照)。すなわち、図柄表示装置92の表示画面92aにて入賞対応表示を行う場合に、その契機となる入球部と図柄表示装置92との重なりを確保するという技術的思想を上側表示位置及び下側表示位置の両方に適用することも可能である。
【0387】
(2)上記各実施の形態では、上側一般入賞口61U(「第1入球部」に相当)及び下側一般入賞口61L(「第2入球部」に相当)の並設方向(上下方向)に図柄表示装置92をスライド移動させる構成としたが、当該図柄表示装置92を上側一般入賞口61Uに対応する位置と、下側一般入賞口61Lに対応する位置とに移動させることができるのであれば、図柄表示装置92の具体的な移動態様については任意である。
【0388】
(3)上記各実施の形態では、図柄表示装置92が上側表示位置に配置されている状態では、当該図柄表示装置92が上側一般入賞口61U(「第1入球部」に相当)と前後に重なり、下側表示位置に配置されている状態では当該図柄表示装置92が下側一般入賞口61L(「第2入球部」に相当)の直上に位置する構成としたが、これに限定されるものではない。図柄表示装置92に表示される入賞対応情報と、その入賞対応情報の契機となる入球部との関係性が分かるのであれば足りる。
【0389】
例えば、図柄表示装置92と入球部との距離感を重視するのであれば、遊技機正面視にて、上側表示位置では図柄表示装置92と上側一般入賞口61Uとの距離が図柄表示装置92と下側一般入賞口61Lとの距離よりも小さくなり、下側表示位置では図柄表示装置92と下側一般入賞口61Lとの距離が図柄表示装置92と上側一般入賞口61Uとの距離よりも小さくなるように構成すればよい。
【0390】
また、
図30(b),(c)に示すように、一般入賞口61を左右に並設された左側一般入賞口61L及び右側一般入賞口61Rによって構成している場合には、図柄表示装置92Yを左側一般入賞口61L及び右側一般入賞口61Rの並設方向に移動可能とした上で、図柄表示装置92Yが左側一般入賞口61Lと重なる位置(「第1位置」に相当)及び右側一般入賞口61Rと重なる位置(「第2位置」に相当)に配置される構成とすることも可能である。この場合、図柄表示装置92Yが第1位置に配置されている状態では当該図柄表示装置92Yにて左側一般入賞口61Lに係る入賞報知を実行し、図柄表示装置92Yが第2位置に配置されている状態では当該図柄表示装置92にて右側一般入賞口61Rに係る入賞報知を実行する構成とするとよい。
【0391】
因みに、左右の一般入賞口61L,61Rと図柄表示装置92とを前後に重ねる必要は必ずしもなく、例えば第1位置では図柄表示装置92が左側一般入賞口61Lの直上(縦並びとなる箇所)に位置し、第2位置では図柄表示装置92が右側一般入賞口61Rの直上(縦並びとなる箇所)に位置する構成とすることも可能である。
【0392】
(4)上記各実施の形態では、遊技領域形成体60aに形成された溝部261をカバー部材305によって後方から覆い、それら溝部261及びカバー部205の本体部306(溝状部分)によって回収通路301における遊技球の通過領域を構成したが、これに限定されるものではない。カバー部材305については溝部261からの遊技球の零れを阻止することができるのであれば足り、遊技領域形成体60aの溝部261によって回収通路301における遊技球の通過領域を構成してもよい。
【0393】
(5)上記各実施の形態では、溝部261等によって構成された回収通路301の前方に上側一般入賞口61Uに付属のシール78を配設したがこれに限定されるものではない。例えば、上側一般入賞口61Uに下方に延出する装飾部を設け、当該装飾部の後方に回収通路301を配設することも可能である。
【0394】
(6)上記各実施の形態では、溝部261の前方となる部分(肉厚が薄くなっている部分)を装飾の配設領域としたが、溝部261の前方となる部分を遊技釘68等の遊技球の挙動に影響を与える遊技部品を配設する配設領域とすることも可能である。但し、溝部261が形成されている部分については遊技領域形成体60aの肉厚が薄くなっているため、遊技釘68等のある程度の固定強度が必要となる遊技部品を配設しようとすることで、薄肉化に制限が生じ得る。故に、溝部261の前方を装飾の配設領域として固定強度が必要になる部品の配設領域から外すことには技術的意義がある。
【0395】
(7)上記各上記実施の形態では、図柄表示装置92が下側表示位置に配置されている場合に表示画面92a(特に中央部分)の前方に遊技球の非通過領域が位置するように振分部材73(「屋根部」に相当)を配置したが、これに限定されるものではない。
図30(d)の概略図に示すように、上側表示位置に配置されている場合に表示画面92aの前方に遊技球の非通過領域が位置するようにして屋根部(振分部材400Z)を配置することも可能である。また、上側表示位置用の屋根部と下側表示位置用の屋根部とを併用してもよい。
【0396】
(8)上記各実施の形態では、第1種上側遊技釘列81及び第2種上側遊技釘列82によって上側領域UEの外形が略ひし形となるように区画した。これら第1種上側遊技釘列81及び第2種上側遊技釘列82によって上側領域UEが囲まれる構成となっているのであれば足りる。例えば、第1種上側遊技釘列81を上側に凸となる曲線状をなすように配列し且つ第2種上側遊技釘列82を下側に凸となる曲線状をなすように配列することで、上側領域UEの外形が略円形(楕円形)となるように区画することも可能である。
【0397】
また、第1種下側遊技釘列83及び第2種下側遊技釘列84によって下側領域LEの外形が略ひし形となるように区画したが、第1種下側遊技釘列83を上側に凸となる曲線状をなすように配列し且つ第2種下側遊技釘列84を下側に凸となる曲線状をなすように配列することで、下側領域LEの外形が略円形(楕円形)となるように区画することも可能である。
【0398】
(9)上記各実施の形態では、第2種上側遊技釘列82の傾斜先(第2種上側遊技釘列82と第1種下側遊技釘列83との間)に上側作動入球部62を配設したが、この位置に上側一般入賞口61U等の他の入球部を配設してもよい。また、第2種下側遊技釘列84の傾斜先に下側作動入球部63を配設したが、この位置に可変入賞装置64等の他の入球部を配設することも可能である。
【0399】
(10)上記各実施の形態に示した遊技釘列81~84においては、それら遊技釘列81~84を構成する遊技釘68の間隔を遊技球の半径寸法よりも小さく設定した。少なくとも列状をなしている遊技釘68の間を遊技球が通過不可となり、且つ遊技釘68上に遊技球が停留することを回避できるのであれば、上記間隔については任意に変更してもよい。
【0400】
(11)上記各実施の形態では、遊技釘列81~84を左右対称となるように配置したが、これら遊技釘列81~84を左右非対称とすることも可能である。例えば各遊技釘列81~84を構成する左右の釘列のうち一方を省略してもよい。
【0401】
(12)上記各実施の形態では、第1種上側遊技釘列81と第1種下側遊技釘列83とを並行とし且つ第2種上側遊技釘列82と第2種下側遊技釘列84とを並行としたが、遊技釘列81~84の角度については任意である。
【0402】
また、第2種上側遊技釘列82の延長上から上方にずらして第1種下側遊技釘列83を配設したが、第2種上側遊技釘列82の延長上に第1種下側遊技釘列83を配設することも可能である。
【0403】
(13)上記各実施の形態では、上側領域UEをスロープ71の配設領域とし且つ下側領域LEを上側一般入賞口61Uの配設領域としたが、上側領域UE及び下側領域LEに配設される遊技部品については任意である。例えば、上側領域UEに上側一般入賞口を配設したり、下側領域LEにスロープを配設したりすることも可能である。
【0404】
(14)上記各実施の形態では、低頻度サポートモード対応の通常遊技状態では可変表示ユニット91(図柄表示装置92)が上側表示位置に配置され、高頻度サポートモード対応の通常遊技状態又は開閉実行モード(特別遊技状態)では可変表示ユニット91が下側表示位置に配置される構成としたが、遊技状態に応じて可変表示ユニット91の位置を切り替える上で当該可変表示ユニット91をどの位置に配置するかについては任意である。例えば、上側領域UEにスルーゲート65が配設される等して、高頻度サポートモードにおいても上側領域UE→下側領域LEの順に遊技球が通過するようにして遊技球の発射先を調整する必要がある場合には、当該遊技球が上側作動入球部62や上側一般入賞口61Uに入賞する可能性が生じる。このような構成では、高頻度サポートモード対応の通常遊技状態では可変表示ユニット91が上側表示位置に配置される構成とするとよい。
【0405】
(15)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
【0406】
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されることでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
【0407】
更に、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
【0408】
<上記各実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施の形態から抽出される特徴的な構成について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0409】
<特徴A群> 遊技盤の釘配列
以下の各特徴A群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技者による発射操作に基づいて当該遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備えているものがある。遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部へ入球することにより、所定数の遊技球の払い出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「上述したタイプの遊技機においては、遊技球の動きに対する遊技者の注目度を高める上で、その構成に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
【0410】
特徴A1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)を備え、前記遊技領域に設けられた遊技釘(遊技釘68)によって当該遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化するように構成された遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(上側作動入球部62)と、
前記入球部よりも上側に設けられ、側方から前記入球部に向けて下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する左右一対の第1誘導釘列(第2種上側遊技釘列82)と、
前記入球部よりも下側に各々設けられ、前記入球部から側方に向けて下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する左右一対の第2誘導釘列(第1種下側遊技釘列83)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0411】
特徴A1に示すように、遊技釘が配設された遊技領域を遊技球が流下するタイプの遊技機においては、遊技球の動きを目で追うことが遊技の楽しみの1つとなっている。この種の遊技機においては、遊技領域における遊技球の滞在時間が短くなると、遊技球の動きを目で追うことが困難になる。このような事情に鑑みた場合、例えば遊技球の流下速度を遅くして遊技領域における滞在時間を長くすることも可能である。しかしながら、このような遊技球の動きが緩慢になることは遊技球の動きについて見栄えが低下する要因になると想定される。この点、本特徴に示す構成によれば、入球部へ近づく遊技球の動き及び入球部から遠ざかる遊技球の動きについて、流下速度の低下を抑えつつ、遊技領域における滞在時間を稼ぐことができる。これにより、遊技球の動きに対する注目度の向上に寄与できる。
【0412】
第1誘導釘列に沿って流下した遊技球(入球部へ入らなかった遊技球)が第2誘導釘列に移る際には、第1誘導釘列に沿った流下方向が維持される場合と、流下方向が反転する場合とが発生する。遊技者の注目が向きやすい入球部周辺にて遊技球の動きを大きく変化させることにより、遊技球の挙動への注目度を好適に向上させることができる。
【0413】
なお、本特徴に示す構成を「遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)を備え、前記遊技領域に設けられた遊技釘(遊技釘68)によって当該遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化するように構成された遊技機であって、前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(上側作動入球部62)と、前記入球部よりも上側に設けられ、側方から前記入球部に向けて下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する第1誘導釘列(第2種上側遊技釘列82)と、前記入球部よりも下側に設けられ、前記入球部から側方に向けて下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する第2誘導釘列(第1種下側遊技釘列83)とを備えていることを特徴とする遊技機。」とすることも可能である。
【0414】
特徴A2.前記第2誘導釘列は、前記第1誘導釘列のうち前記入球部を挟んで当該第2誘導釘列とは反対側に位置する第1誘導釘列の下流側への延長上よりも上方に配置されていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0415】
入球部を素通りした遊技球が第1誘導釘列→第2誘導釘列の順に移動する場合、過度に遊技球が加速してしまうと、第2誘導釘列に沿った遊技球の動きを目で捉えにくくなる。第1誘導釘列及び第2誘導釘列が折返しとなっている場合には、そのような不都合は生じにくいものの、第1誘導釘列及び第2誘導釘列が同じ直線上に位置している場合には上記不都合が発生しやすくなると懸念される。この点、本特徴に示すように、第1誘導釘列の下流側への延長上よりも上方へオフセットするようにして第2誘導釘列を配置すれば、第2誘導釘列に移る際に遊技球を減速させることができる。これにより、入球部を跨ぐようにして移動する遊技球の動きを目視で確認しやすくなる。
【0416】
なお、第2誘導釘列の上方へのオフセット量については、遊技球の直径寸法(半径寸法)よりも小さくすることが好ましい。これは、入球部周辺にて遊技球の動きが大きく乱れることを抑制し、遊技球同士の衝突等の発生を減らすことができる。
【0417】
特徴A3.前記第1誘導釘列の傾斜角度と前記第2誘導釘列の傾斜角度とが同一又はほぼ同一となっていることを特徴とする特徴A1又は特徴A2に記載の遊技機。
【0418】
第1誘導釘列及び第2誘導釘列の傾斜角度を揃えることにより、それら誘導釘列に沿って流下する技球球の流下速度に過度の偏りが生じることを抑制できる。流下速度の偏りを抑えることにより、遊技球の動きを目で追う上で容易/困難の差が生じることを抑制できる。これは、実質的に注目される箇所が限定されることを抑制して、遊技球の動きに目を向けるように遊技者に促す上で好ましい構成である。
【0419】
なお、本特徴に示す技術的思想を具現化する上では、例えば第1誘導釘列の全長と第2誘導釘列の全長とを同一又はほぼ同一とすることが好ましい。
【0420】
特徴A4.前記第1誘導釘列には、遊技球が通過可能な第1陥欠部(陥欠部86)が形成されており、前記第1陥欠部を通過した遊技球は前記左右一対の第2誘導釘列のうち当該第1陥欠部の下方に位置する第2誘導釘列の途中位置へ到達可能となっていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A3のいずれか1つに記載の遊技機。
【0421】
特徴A4によれば第1誘導釘列に沿って移動する遊技球の一部については、第1陥欠部を通じて当該第1誘導釘列による誘導経路から離脱して第2誘導釘列に向かうこととなる。第1誘導釘列→入球部周辺→第2誘導釘列の順に移動する場合と、第1誘導釘列→第1陥欠部→第2誘導釘列となる場合、すなわち入球部周辺を経由しない場合とが生じることにより、遊技球の動きが単調になることを好適に抑制できる。
【0422】
特徴A5.前記第1誘導釘列を複数有し、
それら第1誘導釘列は、遊技球が通過可能な隙間を隔てて上下に相対向しており、
前記第2誘導釘列は、当該第2誘導釘列の上方に位置する第1誘導釘列の端部と遊技球が通過可能な隙間を隔てて対峙していることを特徴とする特徴A1乃至特徴A4のいずれか1つに記載の遊技機。
【0423】
特徴A5によれば第1誘導釘列によって誘導される遊技球は、どの誘導釘列を経由するかによって第2誘導釘列への到達位置に違いが生じる。入球部への入球しない遊技球が第2誘導釘列に導かれる場合であっても、その誘導箇所を多様化することにより、遊技球の動きが単調になることを好適に抑制できる。
【0424】
特徴A6.前記第1誘導釘列の上方に設けられ、前記遊技領域の中央側から各第1誘導釘列の上端側に向けて下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する左右一対の第3誘導釘列(第1種上側遊技釘列81)を備え、
前記第1誘導釘列及び前記第3誘導釘列によって囲まれた領域は前記入球部に向けて遊技球が流下可能な上側流下領域(上側領域UE)となっており、
前記第3誘導釘列には、遊技球が通過可能な第3陥欠部(陥欠部85)が形成され、当該第3陥欠部を通過した遊技球は前記上側流下領域へ流入するように構成されていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A5のいずれか1つに記載の遊技機。
【0425】
特徴A6によれば、第3誘導釘列に到達した遊技球は当該第3誘導釘列→第1誘導釘列を経由して入球部へ導かれる。第3誘導釘列を併用し、入球部に向かう遊技球を左右に折り返すようにして(遊技領域を横断するようにして)移動させることにより、遊技球の移動距離(遊技領域における滞在期間)が短くなることを抑制できる。
【0426】
第3誘導釘列には遊技球が通過可能な第3陥欠部が形成されており、第3陥欠部に入った場合には上側流下領域を通じて第1誘導釘列や入球部へと移動する。つまり、第3誘導釘列における第3陥欠部に入るか否かによって遊技球の流下経路が大きく左右される。このように入球部に向かう遊技球の動きを多様化すれば、遊技球の動きが過度に複雑化して移動先が予測困難になることを抑制しつつ遊技の単調化を好適に抑制できる。
【0427】
特徴A7.前記上側流下領域の最上流部分には、当該最上流部分に到達した遊技球を前記入球部へ誘導可能な誘導路(スロープ71)の入口部分が設けられており、
前記誘導路の途中部分には、前記第3陥欠部に入った遊技球が流入可能な流入口(開放部分72)が形成されていることを特徴とする特徴A6に記載の遊技機。
【0428】
誘導路に向けて発射された遊技球のうち当該誘導路に到達できなかった遊技球は、第3誘導釘列に沿って移動する。第3誘導釘列に形成された第3陥欠部に遊技球が入った場合には、当該第3陥欠部を通じて誘導路へ遊技球が到達する可能性が生じる。つまり、最上流部分から誘導路に到達できなかった場合であっても、第3誘導釘列に沿って移動する過程で誘導路に移る可能性がある。このような構成とすることにより、遊技球の挙動への注目度を好適に向上させることができる。
【0429】
特徴A8.前記第3誘導釘列は、左側の前記3誘導釘列の上端部と右側の前記第3誘導釘列の上端部とが遊技球が通過可能な隙間を隔てて対峙するように配設されており、
前記隙間の下方であって前記入球部の上方となる位置には、当該隙間に入った遊技球を前記入球部へ誘導可能な誘導路(スロープ71)が設けられていることを特徴とする特徴A6又は特徴A7に記載の遊技機。
【0430】
特徴A8によれば、第3誘導釘列の上記隙間を狙って遊技球を発射することにより入球部への入球が発生する可能性が高くなる。ここで、隙間に到達できなかった遊技球については第3誘導釘列→第1誘導釘列を通じて入球部へ誘導される可能性が残る。そして、隙間に到達できなかった場合であっても、第3誘導釘列の第3陥欠部に入ることにより誘導路への再アプローチが可能となる。このような構成として、上記隙間に向けた遊技球の発射を促す構成とすれば、上側流下領域を通過する流路と上側流下領域を回り込む流路とを併用することで遊技球の動きへの注目度を高める効果を好適に発揮させることができる。
【0431】
なお、特徴A7及び特徴A8に示した技術的思想を具現化する上では「前記誘導路を通じた前記入球部への入球確率は、前記第1誘導釘列及び前記第3誘導釘列を通じた前記入球部への入球確率よりも高くなる」構成とすることが好ましい。
【0432】
特徴A9.前記入球部は第1入球部であり、
前記第1入球部の下方に設けられた第2入球部(下側作動入球部63又は可変入賞装置64)と、
前記第2誘導釘列よりも下側に設けられ、当該第2誘導釘列による誘導先となる部分から前記第2入球部側へ下り傾斜となるように3以上の前記誘導釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する左右一対の第4誘導釘列(第2種下側遊技釘列84)と
を備えていることを特徴とする特徴A1乃至特徴A8のいずれか1つに記載の遊技機。
【0433】
特徴A6によれば、第1入球部に入らなかった遊技球は、第2誘導釘列及び第4誘導釘列を経由して第2入球部へ誘導される。この際、遊技球は、第2誘導釘列によって遊技機側方へ誘導され、その後第4誘導釘列によって再び中央側へ誘導される。このように、遊技領域を横切るようにして遊技球が移動することにより、複数の入球部を併用する場合にそれら入球部間での遊技球の動きについても遊技者の注目度の低下を好適に抑制できる。
【0434】
特徴A10.前記第2誘導釘列及び前記第4誘導釘列によって囲まれた領域は、前記第2入球部に向けて遊技球が流下する下側流下領域(下側領域LE)となっており、
前記第2誘導釘列に形成された第2陥欠部(陥欠部87)を通じて、当該下側流下領域へ遊技球が流入可能となっていることを特徴とする特徴A9に記載の遊技機。
【0435】
特徴A10によれば、第2入球部に向かう遊技球の動きが、第2誘導釘列→第4誘導釘列を経由するものと、下側流下領域を通過するものとに大別される。このような構成とすれば、遊技球の動きを多様化し、遊技の単調化を好適に抑制できる。
【0436】
特徴A11.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)を備え、前記遊技領域に設けられた遊技釘(遊技釘68)によって当該遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化するように構成された遊技機であって、
前記遊技領域における側方から左右方向における前記遊技領域の中央側へ下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する左右一対の第1誘導釘列(第2種上側遊技釘列82)と、
前記第1誘導釘列の下方に各々設けられ、当該第1誘導釘列による誘導先となる部分から側方に向けて下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する左右一対の第2誘導釘列(第1種下側遊技釘列83)と、
前記第1誘導釘列の上方に各々設けられ、前記中央側から各第1誘導釘列の上端側に向けて下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する左右一対の第3誘導釘列(第1種上側遊技釘列81)と
前記第2誘導釘列の下方に各々設けられ、当該第2誘導釘列による誘導先となる部分から前記中央側へ下り傾斜となるように3以上の前記誘導釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する左右一対の第4誘導釘列(第2種下側遊技釘列84)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0437】
特徴A11によれば、第1誘導釘列及び第3誘導釘列によって囲まれた領域と、第2誘導釘列及び第4誘導釘列によって囲まれた領域とが上下に並ぶこととなる。このように、2つの区画された領域を遊技球が自重によって移動する方向(上から下)に並べる構成とすることにより、2つの領域を跨ぐようにして移動する遊技球の動きを好適に多様化できる。
【0438】
特徴A12.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)を備え、前記遊技領域に設けられた遊技釘(遊技釘68)によって当該遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化するように構成された遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な第1入球部(上側作動入球部62)及び当該第1入球部の下方に配された第2入球部(下側作動入球部63又は可変入賞装置64)と、
前記遊技領域における側方から前記第1入球部へ下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する左右一対の第1誘導釘列(第2種上側遊技釘列82)と、
前記第1誘導釘列の下方に各々設けられ、前記第1入球部から側方へ下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する左右一対の第2誘導釘列(第1種下側遊技釘列83)と、
前記第1誘導釘列の上方に各々設けられ、前記遊技領域の中央側から各第1誘導釘列の上端側に向けて下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する左右一対の第3誘導釘列(第1種上側遊技釘列81)を備え、
前記第2誘導釘列の下方に各々設けられ、当該第2誘導釘列による誘導先となる部分から前記第2入球部へ下り傾斜となるように3以上の前記誘導釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する左右一対の第4誘導釘列(第2種下側遊技釘列84)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0439】
特徴A12によれば、第1誘導釘列及び第3誘導釘列によって囲まれた領域と、第2誘導釘列及び第4誘導釘列によって囲まれた領域とが上下に並ぶこととなる。このように、2つの区画された領域を遊技球が自重によって移動する方向(上から下)に並べる構成とすることにより、2つの領域を跨ぐようにして移動する遊技球の動きを好適に多様化できる。
【0440】
特徴A13.前記第1誘導釘列及び前記第3誘導釘列によって囲まれた領域は、遊技球が流下可能な上側流下領域(上側領域UE)となっており、
前記第2誘導釘列及び前記第4誘導釘列によって囲まれた領域は、遊技球が流下可能な下側流下領域(下側領域LE)となっていることを特徴とする特徴A11又は特徴A12に記載の遊技機。
【0441】
上側流下領域の外周に沿って移動する経路と上側流下領域の中を移動する経路とを併用し、下側流下領域の外周に沿って移動する経路と下側流下領域の中を移動する経路とを併用することにより、遊技球の動きの更なる多様化を実現できる。
【0442】
特徴A14.前記遊技盤の後方に設けられ、当該遊技盤における前記上側流下領域及び前記下側流下領域のうち少なくとも何れかを通じて遊技機前方から視認可能な絵柄表示手段(図柄表示装置92)を備え、
前記上側流下領域及び前記下側流下領域には、遊技釘(遊技釘68)が散在しており、それら遊技釘の配置密度は、前記遊技領域における前記上側流下領域及び前記下側流下領域以外の領域での遊技釘の配置密度よりも低くなっていることを特徴とする特徴A13に記載の遊技機。
【0443】
特徴A14によれば、上側流下領域及び下側流下領域の少なくとも一方を通じて絵柄表示手段を視認可能とする構成においては、遊技盤に配設された遊技釘の存在が絵柄の視認を難しくする要因になると懸念される。この点、上側流下領域及び下側流下領域においては、遊技釘の配置密度を低くすることにより、上記不都合の発生を好適に抑制できる。
【0444】
遊技球の動きを多様化する上では遊技釘の数をある程度多くすることが好ましい。ここで、上側流下領域及び下側流下領域を誘導釘列によって囲む構成とした場合には、遊技球の多くは、それら誘導釘列に沿って移動しやすくなる。言い換えれば、上側流下領域や下側流下領域を通過する(例えば縦断する)遊技球の数は比較的少なくなる。そこで、このような領域については遊技釘の数を少なくしても、それによって遊技球の動きが単調になるといった影響を小さくできる。
【0445】
<特徴B群> 遊技盤の釘配列 その他
以下の各特徴B群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技者による発射操作に基づいて当該遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備えているものがある。遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部へ入球することにより、所定数の遊技球の払い出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「上述したタイプの遊技機においては、遊技球の動きに対する遊技者の注目度を高める上で、その構成に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
【0446】
特徴B1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)を備え、前記遊技領域に設けられた遊技釘(遊技釘68)によって当該遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化するように構成された遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球可能な上側入球部(上側作動入球部62)と、
前記遊技領域にて前記上側入球部の下方に当該上側入球部から離間して設けられた下側入球部(下側作動入球部63又は可変入賞装置64)と、
前記上側入球部の上方の上側流下領域(上側領域UE)を囲むようにして配列された上側誘導釘列(第1種上側遊技釘列81及び第2種上側遊技釘列82)と、
前記上側入球部及び前記下側入球部の間に位置する下側流下領域(下側領域LE)を囲むようにして配列された下側誘導釘列(第1種下側遊技釘列83及び第2種下側遊技釘列84)と
を備え、
前記上側流下領域にて前記上側入球部に入らなった遊技球は、前記下側流下領域へ流入し得る構成となっていることを特徴とする遊技機。
【0447】
特徴B1によれば、上側入球部へ向かう遊技球が通過する領域と、下側入球部へ向かう遊技球が通過する領域とが誘導釘列によって区画されている。このため、遊技球の動きの多様化を図りつつ遊技球の位置に応じて目標となる入球部が明らかとすることができる。単に遊技球の動きを多様化するだけでは遊技球の動きが複雑になって目標が分かりづらくなることで、遊技球の動きへの注目度の向上効果が上手く発揮されなくなる。この点、遊技球が流下する領域を目標となる入球部毎に区画する構成とすれば、そのような不都合の発生を好適に回避できる。
【0448】
また、上側流下領域及び下側流下領域は縦に並んでおり、上側流下領域にて上側入球部に入らなかった遊技球は下側流下領域へ移る構成となっている。これにより、上側流下領域にて上側入球部へ入らなかった遊技球については、下側流下領域へ流入することで下側入球部への入球の機会が与えられることとなる。このように、領域を明確に区別した上で再度の入球の機会が与えられる構成とすれば、遊技球の挙動に対する遊技者の注目度を好適に向上させることが可能となる。
【0449】
特徴B2.前記上側誘導釘列には、遊技球が通過可能な上側陥欠部(陥欠部85,86)が複数形成されており、
前記上側陥欠部を通じた前記上側流下領域への遊技球の流入と当該上側流下領域からの遊技球の流出とが許容されており、
前記下側誘導釘列には、遊技球が通過可能な下側陥欠部(陥欠部87,88)が複数形成されており、
前記下側陥欠部を通じた前記下側流下領域への遊技球の流入と当該下側流下領域からの遊技球の流出とが許容されていることを特徴とする遊技機。
【0450】
特徴B2に示すように上側流下領域を囲む上側誘導釘列に上側陥欠部を設け、下側流下領域を囲む下側誘導釘列に下側陥欠部を設けて、遊技球の流入/流出箇所を複数設定することにより、上側流下領域→下側流下領域への遊技球の移動が単調になることを好適に抑制できる。
【0451】
特徴B3.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)を備え、前記遊技領域に設けられた遊技釘(遊技釘68)によって当該遊技領域を流下する遊技球の流下方向が変化するように構成された遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な第1入球部(上側作動入球部62)及び当該第1入球部の下方に配された第2入球部(下側作動入球部63又は可変入賞装置64)と、
前記遊技領域における側方から前記第1入球部へ下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する第1誘導釘列(第2種上側遊技釘列82)と、
前記第1誘導釘列の下方に設けられ、前記第1入球部から側方へ下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する第2誘導釘列(第1種下側遊技釘列83)と、
前記第1誘導釘列の上方に設けられ、前記遊技領域の中央側から前記第1誘導釘列の上端側に向けて下り傾斜となるように3以上の前記遊技釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する第3誘導釘列(第1種上側遊技釘列81)を備え、
前記第2誘導釘列の下方に設けられ、当該第2誘導釘列による誘導先となる部分から前記第2入球部へ下り傾斜となるように3以上の前記誘導釘が列状に配置されてなり、その配列方向と同じ方向に遊技球を誘導する第4誘導釘列(第2種下側遊技釘列84)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0452】
特徴B3によれば、第3誘導釘列→第1誘導釘列→第2誘導釘列→第4誘導釘列の順に遊技球が移動することにより、遊技球が左右にジグザクに蛇行しながら遊技領域を流下する。このような構成とすれば、遊技球の移動距離を稼ぎつつ、ある程度の流下速度を担保することができ、遊技球の動きへの注目度の向上に寄与できる。
【0453】
第1誘導釘列→第2誘導釘列に移る際には第1入球部への入球機会が与えられ、第1入球部に入らなった遊技球については第2入球部への入球機会が与えられることとなる。これにより、第1入球部への入球が発生しなかった場合に、誘導釘列によって形成された経路に沿って移動する遊技球への注目度が急速に低下することを抑制できる。
【0454】
特徴B4.前記第1誘導釘列、前記第2誘導釘列及び前記第3誘導釘列のうち少なくともいずれかには遊技球が通過可能な陥欠部(陥欠部85~87)が形成されており、当該陥欠部を通過した遊技球は、当該陥欠部を有する誘導釘列とその下方に位置する他の誘導釘列との間の領域を通じて当該他の誘導釘列に到達し得る構成となっていることを特徴とする特徴B3に記載の遊技機。
【0455】
特徴B4によれば、陥欠部を通過した遊技球については、移動経路が短縮されることとなる。このように、遊技球の流れを大まかには規定しつつも、陥欠部への入球によってショートカット等が発生し得る構成とすれば、遊技球の挙動への注目度の向上に寄与できる。
【0456】
なお、本特徴に示す構成を「前記第1誘導釘列には遊技球が通過可能な第1陥欠部が形成され、前記第1陥欠部を通過した遊技球は前記第2誘導釘列における途中位置へ到達し得る構成となっており、前記第2誘導釘列には遊技球が通過可能な第2陥欠部が形成され、前記第2陥欠部を通過した遊技球は前記第4誘導釘列における途中位置へ到達し得る構成となっており、前記第3誘導釘列には遊技球が通過可能な第3陥欠部が形成され、前記第3陥欠部を通過した遊技球は前記第1誘導釘列における途中位置へ到達し得る構成となっていることを特徴とする特徴B3に記載の遊技機。」とすることも可能である。
【0457】
なお、以上詳述した特徴B群に特徴A群に示した各技術的思想を適用することも可能である。
【0458】
<特徴C群> 透明遊技盤からの遊技球排出構造
以下の各特徴C群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技者による発射操作に基づいて当該遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備えているものがある。遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部へ入球することにより、所定数の遊技球の払い出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「上述したタイプの遊技機においては、遊技領域から流出した遊技球を回収する構成に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
【0459】
特徴C1.前面に遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤の背面側に設けられ、絵柄を可変表示する絵柄表示装置(図柄表示装置92)と
を備え、
前記遊技盤は透明性を有し、当該遊技盤を通じて前記絵柄表示装置の表示画面(表示画面92a)に表示される絵柄を視認可能となるように構成された遊技機であって、
前記遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(上側一般入賞口61U)と、
前記入球部に入った遊技球を前記遊技盤の背面側に誘導する誘導通路(案内通路251)と、
前記誘導通路を通じて当該遊技盤の背面側に達した遊技球を回収する回収通路(回収通路301)と
を備え、
前記回収通路における遊技球の通過領域の少なくとも一部は、前記遊技盤の背面を凹ませてなる溝部(溝部261)によって構成されていることを特徴とする遊技機。
【0460】
遊技盤を通じて絵柄表示装置が視認可能となっているタイプの遊技機においては、絵柄表示装置を遊技盤に近づけて配置することにより、遊技者から絵柄表示装置までの距離を減縮することができる。これは、表示される絵柄等の視認性の向上を図る上で好ましい配置である。入球部に入った遊技球が誘導通路→回収通路の順に移動して遊技ホールの島設備等に返却される場合には、通路の存在が遊技盤と絵柄表示装置とを近づける上で妨げになり得る。この点、本特徴に示すように、遊技盤の背面の一部を凹ませて溝部を形成し、この溝部を回収通路における遊技球の通過領域として利用することにより、絵柄表示装置の配置に係る制約を緩和できる。これにより、絵柄表示装置と遊技盤との離れを小さくし、絵柄等の視認性の向上に貢献できる。
【0461】
特徴C2.前面に遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤の背面側に設けられ、絵柄を可変表示する絵柄表示装置(図柄表示装置92)と
を備え、
前記遊技盤は透明性を有し、当該遊技盤を通じて前記絵柄表示装置の表示画面(表示画面92a)に表示される絵柄を視認可能となるように構成された遊技機であって、
前記遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(上側一般入賞口61U)と、
前記入球部に入った遊技球を前記遊技盤の背面側に誘導する誘導通路(案内通路251)と、
前記絵柄表示装置の前方に設けられ、前記誘導通路を通じて当該遊技盤の背面側に達した遊技球を回収する回収通路(回収通路301)と
を備え、
前記回収通路は、少なくともその一部が前記絵柄表示装置に対して遊技機前方から重なっており、
前記回収通路における遊技球の通過領域の少なくとも一部は、前記遊技盤の背面を凹ませて形成された溝部(溝部261)によって構成されていることを特徴とする遊技機。
【0462】
遊技盤を通じて絵柄表示装置が視認可能となっているタイプの遊技機においては、絵柄表示装置を遊技盤に近づけて配置することにより、遊技者から絵柄表示装置までの距離を減縮することができる。これは、表示される絵柄等の視認性の向上を図る上で好ましい配置である。入球部に入った遊技球が誘導通路→回収通路の順に移動して遊技ホールの島設備等に返却される場合には、通路の存在が遊技盤と絵柄表示装置とを近づける上で妨げになり得る。この点、本特徴に示すように、遊技盤の背面の一部を凹ませて溝部を形成し、この溝部を回収通路における遊技球の通過領域として利用することにより、絵柄表示装置の配置に係る制約を緩和できる。これにより、絵柄表示装置と遊技盤との離れを小さくし、絵柄等の視認性の向上に貢献できる。
【0463】
特徴C3.前記遊技領域を遊技機前方から覆うパネル部材(ガラスパネル23)を備え、当該パネル部材を通じて前記遊技領域が視認可能となるように構成されており、
前記遊技盤は前記パネル部材に対向する板状の本体部を有し、この本体部に前記溝部が設けられており、
前記本体部にて、前記溝部が形成されている部分の厚さが、当該溝部が形成されていない部分の厚さよりも薄くなるように形成されていることを特徴とする特徴C1又は特徴C2に記載の遊技機。
【0464】
特徴C3に示すように、遊技盤(本体部)の厚さを薄くして溝部を形成すれば、特徴C1や特徴C2に示した技術的思想を好適に実現することができる。
【0465】
特徴C4.前記溝部における後方への開放部分を覆う覆い部(カバー部材305)を備えていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C3のいずれか1つに記載の遊技機。
【0466】
特徴C4に示すように、溝部の開放部分を覆い部によって覆う構成とすることにより、回収通路へ流入した遊技球が零れる等して絵柄表示装置に衝突することを回避できる。
【0467】
特徴C5.前記覆い部は遊技機前方に開放された溝状をなしており、当該覆い部の開放部分と前記溝部の開放部分とが相対向するようにして組み合わされることにより、前記回収通路が構成されていることを特徴とする特徴C4に記載の遊技機。
【0468】
特徴C1等に示したように、遊技盤に形成された溝部を用いて回収通路を構築すれば、遊技盤の背面側への回収通路の張り出しを抑え、絵柄表示装置の配置に係る制約を好適に緩和できる。ここで、遊技領域には遊技釘や風車等の各種遊技部品が配設される。遊技盤の肉厚が極端に薄くなってしまっては、それら遊技部品を遊技盤に固定する際の掛り代が不足し得る。これは、遊技部品の配置に係る制約を強める要因になると懸念される。そこで、本特徴に示すように、覆い部及び溝部によって回収通路を構成すれば、遊技盤の肉厚をある程度確保しつつ、特徴C1等に示した効果を発揮させることができる。
【0469】
特徴C6.前記覆い部は、前記開放部分の溝幅が前記溝部の溝幅と同じ又は当該溝部の溝幅よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする特徴C5に記載の遊技機。
【0470】
溝状をなす覆い部によって遊技盤の溝部を覆う上では、当該覆い部の一部を溝部に挿入する構成とすることも可能である。しかしながら、このような構成では、覆い部を加味して溝部の横幅が拡張されることとなり、遊技盤にて肉厚が薄くなる部分が増すこととなる。特徴C5に示したように、遊技盤の肉厚が薄い部分が嵩むことには、相応のデメリットが生じる。そこで、本特徴に示すように、覆い部の溝幅を溝部の溝幅以上とすれば、回収通路としての機能を担保しつつ上記肉厚が薄くなる部分を極力小さくすることが可能となる。故に、溝状をなす覆い部を併用することによる不都合の発生を好適に回避できる。
【0471】
特徴C7.前記溝部の深さ寸法は前記覆い部における溝状部分の深さ寸法よりも大きくなっていることを特徴とする特徴C5又は特徴C6に記載の遊技機。
【0472】
特徴C7によれば溝部及び覆い部のうち溝部を主体として回収通路を構成することができる。これは、回収通路の遊技盤背面側への張り出しを減縮する上で好ましい。
【0473】
特徴C8.前記覆い部は、前記溝部周辺の複数箇所にて前記遊技盤に固定されていることを特徴とする特徴C5乃至特徴C7のいずれか1つに記載の遊技機。
【0474】
遊技盤に形成された溝部によって回収通路を構成する場合には、遊技盤にて薄肉となっている部分が線状に延びることとなる。このため、溝部を有さない場合と比較して、遊技盤の強度が低下し、歪等の変形が生じやすくなると懸念される。ここで、覆い部を溝部周辺の複数箇所にて遊技盤に固定することにより、当該覆い部によって遊技盤(溝部周辺)を補強することができる。これにより、遊技盤の強度不足を好適に補うことができる。
【0475】
特徴C9.前記入球部は、遊技機正面視にて前記絵柄表示装置と重なる位置に配置されており、
前記溝部は、前記絵柄表示装置との重なりが回避される位置へ延びており、
前記回収通路は、前記絵柄表示装置との重なりが回避された部分にて遊技機後方へ折れ曲がっていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C8のいずれか1つに記載の遊技機。
【0476】
入球部に入った遊技球は溝部に沿って流下することにより絵柄表示装置との重なりが回避される位置まで案内され、その後は絵柄表示装置を下方や側方から回り込むようにして後方へ誘導されることとなる。このような構成とすれば、回収通路にて溝部により構成されている部分の全長を極力短くすることができる。
【0477】
なお、本特徴に示す構成を「前記入球部は第1入球部、前記回収通路は第1回収通路であり、前記第1入球部よりも下側に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な第2入球部(下側作動入球部63)と、前記第2入球部へ入った遊技球を回収する第2回収通路(案内通路252)とを備え、前記第2回収通路は、前記絵柄表示装置の下方を通過するようにして後方へ延びており、前記第1回収通路は、前記第2回収通路に合流していることを特徴とする特徴C1乃至特徴C8のいずれか1つに記載の遊技機。」とすることも可能である。
【0478】
特徴C10.前記遊技盤にて前記溝部が形成されている部分の前側に位置する部分は、遊技釘(遊技釘68)以外の遊技部品が配置される配置領域となっていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C9のいずれか1つに記載の遊技機。
【0479】
特徴C10によれば、通路を構成する溝部を遊技部品の背後に隠すことができる。これにより、溝部や当該溝部を通過する遊技球を目立ちにくくすることができる。
【0480】
なお、本特徴に示す構成を「前記遊技盤の前面側に配設された遊技部品を備え、前記遊技部品は、当該遊技部品の背後を視認不可又は視認困難となるように形成されており、前記回収通路は、当該回収通路による回収経路の少なくとも一部が前記遊技部品の背後を通過するように構成されていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C7のいずれか1つに記載の遊技機。」とすることも可能である。
【0481】
特徴C11.前記絵柄表示装置は第1絵柄表示装置、前記遊技部品は第2表示画面を有する第2絵柄表示装置であり、
前記第1絵柄表示装置の少なくとも一部が前記第2絵柄表示装置の後方に位置し、それら第1絵柄表示装置及び第2絵柄表示装置の間に前記溝部が位置している場合に、前記第1絵柄表示装置にて表示されている絵柄のうち前記第2絵柄表示装置によって覆われている部分を当該第2絵柄表示装置に表示させる手段を備えていることを特徴とする特徴C10に記載の遊技機。
【0482】
特徴C11によれば、2つの絵柄表示装置を併用することにより、それら2つの絵柄表示装置の間にはあたかも何も存在していないかのように見せることができる。これにより、遊技機の見栄えの向上に寄与できる。
【0483】
なお、以上詳述した特徴C群に特徴A群~特徴B群に示した各技術的思想を適用することも可能である。
【0484】
<特徴D群> ダブル液晶
以下の各特徴D群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技者による発射操作に基づいて当該遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備えているものがある。遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部へ入球することにより、所定数の遊技球の払い出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「上述したタイプの遊技機においては、遊技の単調化を抑制して遊技者の遊技意欲の減退を抑える上で、その構成に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
【0485】
特徴D1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤の背面側に設けられ、絵柄を可変表示する第1絵柄表示装置(図柄表示装置92)と、
前記第1絵柄表示装置よりも前側に設けられ、絵柄を可変表示可能な第2絵柄表示装置(表示装置73X)と、
前記第1絵柄表示装置の表示制御を行う第1表示制御手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて図柄表示装置92の表示制御を行う機能)と、
前記第2絵柄表示装置の表示制御を行う第2表示制御手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて表示装置73Xの表示制御を行う機能)と、
前記第1絵柄表示装置及び前記第2絵柄表示装置の少なくとも一方を、遊技機正面視にてそれら第1絵柄表示装置及び第2絵柄表示装置の重なりが回避された第1位置と、それら第1絵柄表示装置及び第2絵柄表示装置が重なる第2位置とに移動させる移動手段(昇降装置96)と
を備え、
前記第1絵柄表示装置及び前記第2絵柄表示装置が前記第2位置に配置され、当該第1絵柄表示装置に対して前記第2絵柄表示装置が遊技機前方から重なっている場合に、前記第2絵柄表示装置にて前記第1絵柄表示装置に表示されている絵柄を補完する表示を行う特殊表示手段と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0486】
特徴D1によれば、両絵柄表示装置の位置関係が変化する構成とすることにより表示演出を行う際の演出態様を好適に多様化できる。ここで、第1絵柄表示装置の一部に第2絵柄表示装置が重なる状況下においては、第2絵柄表示装置によって第1絵柄表示装置に表示されている絵柄(隠れている部分)が補完されることとなる。これにより、位置関係の変化に起因した表示演出の見栄えの低下を好適に抑制することができる。
【0487】
特徴D2.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤の背面側に設けられ、絵柄を可変表示する第1絵柄表示装置(図柄表示装置92)と、
前記遊技盤の前面側に設けられ、絵柄を可変表示可能な第2絵柄表示装置(表示装置73X)と、
前記第1絵柄表示装置の表示制御を行う第1表示制御手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて図柄表示装置92の表示制御を行う機能)と、
前記第2絵柄表示装置の表示制御を行う第2表示制御手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて表示装置73Xの表示制御を行う機能)と、
前記第1絵柄表示装置を、遊技機正面視にてそれら第1絵柄表示装置及び第2絵柄表示装置の重なりが回避された第1位置と、それら第1絵柄表示装置及び第2絵柄表示装置が重なる第2位置とに移動させる移動手段(昇降装置96)と
を備え、
前記第1絵柄表示装置が前記第2位置に配置され、当該第1絵柄表示装置に対して前記第2絵柄表示装置が遊技機前方から重なっている場合に、前記第2絵柄表示装置にて前記第1絵柄表示装置にて表示されている絵柄を補完する表示を行う特殊表示手段と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0488】
特徴D2によれば、両絵柄表示装置の位置関係が変化する構成とすることにより表示演出を行う際の演出態様を好適に多様化できる。ここで、第1絵柄表示装置の一部に第2絵柄表示装置が重なる状況下においては、第2絵柄表示装置によって第1絵柄表示装置に表示されている絵柄(隠れている部分)が補完されることとなる。これにより、位置関係の変化に起因した表示演出の見栄えの低下を好適に抑制することができる。
【0489】
特徴D3.前記特殊表示手段は、前記第1絵柄表示装置にて表示されている絵柄のうち前記第2絵柄表示装置によって覆われている部分を当該第2絵柄表示装置に表示させる構成となっていることを特徴とする特徴D1又は特徴D2に記載の遊技機。
【0490】
特徴D3によれば、第2絵柄表示装置によって遮蔽されている絵柄を当該第2絵柄表示装置によって表示することにより、第1絵柄表示装置に表示されている絵柄にブランクが生じることを好適に回避することができる。
【0491】
特徴D4.前記第1絵柄表示装置は、前記遊技盤よりも後方に配置され、当該遊技盤の背面側に当該第1絵柄表示装置の動作領域が設けられており、
前記第2絵柄表示装置は、前記遊技盤よりも前方に配置されており、
前記第2絵柄表示装置は、前記第1絵柄表示装置の表示画面よりも小さくなっていることを特徴とする特徴D1乃至特徴D3のいずれか1つに記載の遊技機。
【0492】
特徴D4によれば、遊技盤の前方(例えば遊技領域)に配置されている第2絵柄表示装置を第1絵柄表示装置よりも小型とすることにより、遊技領域の圧迫を好適に抑制できる。このような構成においては、主たる表示機能が第1絵柄表示装置に依存することとなる。そこで、第2絵柄表示装置が上記表示補完機能を有する構成とすることにより、当該第2絵柄表示装置の存在が第1絵柄表示装置にとって邪魔になることを好適に抑制できる。
【0493】
特徴D5.前記遊技盤の背面側に設けられ、前記遊技領域から遊技球を回収する回収通路(回収通路301)を備え、
前記第1絵柄表示装置は前記回収通路よりも後側、前記第2絵柄表示装置は前記回収通路よりも前側に配置されていることを特徴とする特徴D4に記載の遊技機。
【0494】
特徴D5によれば、手前側に配置された第2絵柄表示装置の背後を通過するように回収通路を配設することにより、回収通路及び当該回収通路を通過する遊技球を第2絵柄表示装置によって隠すことができる。これにより、遊技盤の見栄えの向上に貢献できる。
【0495】
特徴D6.前記回収通路は、前記遊技盤の背面を凹ませて形成された溝部(溝部261)と、当該溝部を後方から覆う覆い部(カバー部材305)によって構成されていることを特徴とする特徴D5に記載の遊技機。
【0496】
前後にオフセットして配置された第1絵柄表示装置及び第2絵柄表示装置によって絵柄を表示する場合には、両絵柄表示装置の離れが大きくなる程、絵柄の繋ぎ目にてギャップが際立つと想定される。つまり、遊技者の目線の位置によっては第2絵柄表示装置により絵柄が補完されていることが目立ってしまう。このような事情に鑑みた場合、両絵柄表示装置の離れをできるだけ小さくすることが好ましい。ここで、遊技盤の背面側に回収通路が配設されている場合には、この回収通路の存在が上記離れを大きくする要因になると懸念される。この点、本特徴に示すように、遊技盤の背面を凹ませて回収通路用の溝部を形成すれば、遊技盤の背面からの回収通路の張り出しを緩和して、両絵柄表示装置の離れを軽減することができる。これにより、上記ギャップを目立ちにくくすることができる。
【0497】
なお、以上詳述した特徴D群に特徴A群~特徴C群に示した各技術的思想を適用することも可能である。
【0498】
<特徴E群> 可動式の液晶表示装置 移動先に屋根部を配置
以下の各特徴E群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技者による発射操作に基づいて当該遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備えているものがある。遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部へ入球することにより、所定数の遊技球の払い出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「上述したタイプの遊技機においては、遊技への注目度の向上を図る上で、その構成に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
【0499】
特徴E1.前面に遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤の背面側に設けられ、絵柄を可変表示する絵柄表示装置(図柄表示装置92)と
を備え、
前記遊技盤は透明性を有し、当該遊技盤を通じて前記絵柄表示装置の表示画面(表示画面92a)に表示される絵柄を視認可能となるように構成された遊技機であって、
前記絵柄表示装置を前記遊技盤の背面に沿って移動させることにより第1位置及び第2位置に配置する位置変更手段(昇降装置96)を備え、
前記絵柄表示装置は、少なくとも前記第2位置に配置されている場合には前記遊技領域の後方に位置し、
前記遊技盤の前面から遊技機前方に起立する屋根部(起立部75)を有し、当該屋根部によってその下側部分に遊技球の流下を規制する規制領域を形成する規制手段(振分部材73)を備え、
前記規制手段は、前記絵柄表示装置が前記第2位置に移動した場合に前記規制領域が前記絵柄表示装置の表示画面と前後に重なる位置に配置されていることを特徴とする遊技機。
【0500】
特徴E1によれば、絵柄表示装置を第1位置/第2位置に移動させる構成とすることにより、遊技の状況等に応じて演出位置を変化させることが可能となる。これは遊技の単調化を抑制して遊技への注目度の向上を図る上で好ましい。ここで、絵柄表示装置は少なくとも第2位置では遊技領域と重なる。遊技領域は遊技球が流下する領域であるため、遊技球が絵柄表示装置を目視する際に邪魔になり得る。この点、本特徴においては、絵柄表示装置が第2位置へ移動することで規制手段による規制領域が絵柄表示装置(表示画面)と重なる。これにより、前方を流下する遊技球が絵柄表示装置の視認の妨げになることを抑制できる。故に、上述した注目度の向上効果を好適に発揮させることができる。
【0501】
特徴E2.前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(例えば可変入賞装置64)と、
前記絵柄表示装置が前記第2位置に配置されている場合に、前記入球部への入球が発生した旨を示す情報を前記表示画面の所定領域(例えば中央部分)に表示する表示手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて入賞報知用の処理を実行する機能)と
を備え、
前記規制手段は、前記絵柄表示装置が前記第2位置に配置されている状況下にて、前記規制領域が前記所定領域と重なる構成となっていることを特徴とする特徴E1に記載の遊技機。
【0502】
特徴E2によれば、絵柄表示装置が第2位置に配置されている状況下にて入球部への入球が発生した場合には、その旨を示す情報が表示画面の所定領域に表示されることとなる。この所定領域の前方においては規制手段によって遊技球の通過が規制されるため、遊技球が邪魔になって表示される情報の見逃し等が発生することを好適に抑制できる。
【0503】
特徴E3.前記規制手段は、前記入球部の上方に配置されており、当該入球部へ向けて流下する遊技球の流下経路を前記規制領域を右側から迂回する右側経路と、前記規制領域を左側から迂回する左側経路とに分けていることを特徴とする特徴E2に記載の遊技機。
【0504】
特徴E3によれば、規制手段が入球部上方にて遊技球を振り分ける振分手段(振分通路)として機能する。規制手段に入球部に向けた遊技球の動きを多様化する手段として利用することにより、遊技への注目度の向上に寄与できる。
【0505】
<特徴F群> 絵柄表示装置と重なっている入球部への入球に基づいて入球報知
以下の各特徴F群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技者による発射操作に基づいて当該遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備えているものがある。遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部へ入球することにより、所定数の遊技球の払い出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「上述したタイプの遊技機においては、遊技への注目度の向上を図る上で、その構成に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
【0506】
特徴F1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤の背面側に設けられ、絵柄を可変表示する絵柄表示装置(図柄表示装置92)と
を備え、
前記遊技盤は透明性を有し、当該遊技盤を通じて前記絵柄表示装置の表示画面(表示画面92a)に表示される絵柄を視認可能となるように構成された遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(例えば上側一般入賞口61U)と、
前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(例えば払出装置222や払出制御装置181)と
を備え、
前記入球部は、前記絵柄表示装置の表示画面に遊技機前方から重なる位置に配置されており、
前記入球部への入球が発生した場合に、前記表示画面にて前記入球部への入球が発生した旨を示した入球情報を表示する入球情報表示手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて入賞報知用の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【0507】
特徴F1によれば、入球部への入球が発生すると、当該入球部の後方に位置している絵柄表示装置にて当該入球に対応する情報が表示される。このような構成とすることにより、入球が発生した旨を遊技者に伝えやすくすることができる。
【0508】
特徴F2.前記入球情報表示手段は、遊技機正面視において前記表示画面における前記入球部の周辺(例えば上方)となる部分にて前記入球情報を表示する構成となっていることを特徴とする特徴F1に記載の遊技機。
【0509】
特徴F2によれば、入球部の周辺に入球情報が表示される。このため、遊技者が入球部を注視している状況下にて入球情報が表示された場合であっても当該入球情報が見逃される機会を減らすことができる。また、入球情報の表示位置と入球部とを近づけることは、対応情報と入球部との関係を分かりやすくする上で好ましい。
【0510】
特徴F3.前記入球情報表示手段は、遊技機正面視において前記表示画面における前記入球部の入口部分と対峙している部分にて前記入球情報を表示する構成となっていることを特徴とする特徴F1に記載の遊技機。
【0511】
特徴F3によれば、入球部の入口部分と対峙する箇所にて入球情報が表示される。このため、遊技者が入球部を注視している状況下にて入球情報が表示された場合であっても当該入球情報が見逃される機会を減らすことができる。また、入球情報の表示位置と入球部とを近づけることは、対応情報と入球部との関係を分かりやすくする上で好ましい。
【0512】
例えば、入口部分が上向きとなっている場合には、この入口部分の直上となる位置に入球情報を表示する構成とするとよい。
【0513】
特徴F4.前記入球部には、遊技機前方から視認可能となる装飾(装飾61aU)が設けられており、
前記入球情報表示手段は、遊技機前方から見て前記表示画面における前記入球部の周囲となる部分に、前記装飾とともに所定の絵柄(例えば草むらに隠れている鳥の絵柄)を形成する画像(例えば鳥を模したキャラクタ画像)を表示する画像表示手段と、前記入球部への入球が発生した場合に、前記画像を可変表示する可変表示手段とを有し、前記画像を可変表示することで前記入球情報を表示する構成となっていることを特徴とする特徴F1乃至特徴F3のいずれか1つに記載の遊技機。
【0514】
特徴F4に示すように、装飾と画像とが一体となって所定の絵柄が形成される構成とすれば、表示されている画像と入球部との間に何らの関係性(対応関係)があることを好適に示唆できる。また、表示する画像を予め画面上に待機させておくことには、遊技者に上記関連性を把握する機会を与える上で好ましいという技術的意義がある。
【0515】
なお、装飾と画像とで所定の絵柄が形成されるため、画像単独で所定の絵柄を形成する場合と比較して、当該画像の大型化を抑制できる。これは、絵柄表示装置(表示画面)における画像の表示領域(占有領域)の拡がりを抑える上で好ましい構成である。
【0516】
因みに、「前記画像を可変表示する」とは、画像の色や明るさを変化させる場合だけでなく、画像を拡大/縮小したり、画像を移動させたりする場合を含む。
【0517】
特徴F5.前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な始動入球部(作動入球部62,63)と、
前記始動入球部への入球に基づいて特別情報(保留情報)を取得する情報取得手段(主制御装置162のMPU602において情報取得処理を実行する機能)と、
前記情報取得手段によって取得された特別情報を記憶可能な取得情報記憶手段(主制御装置162のMPU602に設けられた保留球格納エリア632)と、
前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報が所定の判定情報(例えば当たりに係る情報)と対応しているか否かの判定を行う判定手段(例えば主制御装置162のMPU602において当否判定処理等を実行する機能)と、
前記判定手段による判定結果が前記所定の判定情報に対応する対応結果となった場合に、遊技状態を特別遊技状態(例えば開閉実行モード)へ移行させる遊技状態移行手段(主制御装置162のMPU602にて開閉実行モードへの移行処理を実行する機能)と、
前記判定手段により前記判定が行われることに先立って又は前記判定手段により前記判定が行われたことに基づいて前記絵柄表示装置において特定の絵柄の可変表示を開始させ、前記判定の結果に対応した停止結果を表示し前記特定の絵柄の可変表示が終了されることを遊技回の1回として、前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報に応じて各遊技回の特定の絵柄の変動表示が行われるように前記絵柄表示装置を制御する遊技回制御手段と
を備え、
前記入球部は前記始動入球部の周辺に配置されていることを特徴とする特徴F1乃至特徴F4のいずれか1つに記載の遊技機。
【0518】
本特徴に示すように、始動入球部への入球に基づく抽選結果が表示される対象(絵柄表示装置)にて入球情報を表示することにより、当該入球情報の見逃しを好適に抑制できる。特に、始動入球部の周辺に入球部を配設すれば、特徴F1等に示した表示画面と入球部と位置関係を実現しつつ、当該表示画面を利用した入球情報の報知が可能となる。
【0519】
特徴F6.前記絵柄表示装置の表示画面には、前記遊技回制御手段によって前記特定の絵柄の変動表示が実行される変動表示領域が複数設けられており、
前記変動表示領域の間に前記入球部が位置し且つそれら変動表示領域の間に前記入球情報が表示される構成となっていることを特徴とする特徴F5に記載の遊技機。
【0520】
特徴F6によれば、変動表示領域の間に入球部及び入球情報(画像)の表示領域を設ける構成とすれば、表示画面にて入球情報の表示領域と特定の図柄の変動表示領域との共存を好適に実現できる。
【0521】
特徴F7.前記表示画面にて前記特定の絵柄の変動表示態様がリーチ表示態様となった場合には、前記画像を非表示とする手段を有していることを特徴とする特徴F5又は特徴F6に記載の遊技機。
【0522】
特徴F5等に示すタイプの遊技機のおいては、当たり等の結果がリーチ表示を経由して報知されることが多い。このため、リーチ表示が行われる場合には、遊技者はリーチ表示に注目するものと想定される。このような状況下においては、入球情報表示用の画像を非表示として、リーチ表示が実行される領域との重なりを回避することにより、遊技者が注目すべき箇所を好適に強調できる。これは、特定の絵柄の変動表示用の絵柄表示装置にて入球報知を行う上で好ましい構成である。
【0523】
特徴F8.前記入球部として、第1入球部(上側一般入賞口61U)及び第2入球部(下側一般入賞口61L)を有し、
前記絵柄表示装置を前記第1入球部に対応する第1位置と前記第2入球部に対応する第2位置とに移動させる位置変更手段を備え、
前記入球情報表示手段は、
前記絵柄表示装置が前記第1位置に配置されている状況下にて前記第1入球部への入球が発生した場合に、前記第1入球部への入球を示す入球情報を表示する手段と、
前記絵柄表示装置が前記第2位置に配置されている状況下にて前記第2入球部への入球が発生した場合に、前記第2入球部への入球を示す入球情報を表示する手段と
を有していることを特徴とする特徴F1乃至特徴F7のいずれか1つに記載の遊技機。
【0524】
特徴F8によれば、絵柄表示装置の移動先に応じて入球情報の表示契機となる入球部が切り替わることとなる。この構成によれば、例えば主として第1入球部への入球が期待できる状況下においては第1入球部への入球に基づく入球情報の表示を行い、主として第2入球部への入球が期待できる状況下においては第2入球部への入球に基づく入球情報の表示を行うことができる。このように、遊技の状況に応じて入球情報の表示の契機となる入球部を切り替えることにより、情報量が過度に多くなることを抑制し、状況毎に的確な情報の表示が可能となる。これにより、表示される情報について遊技者の理解を好適に促すことができる。
【0525】
特徴F9.前記入球部として、第1入球部(上側一般入賞口61U)及び第2入球部(下側一般入賞口61L)を有し、
前記第1入球部及び前記第2入球部は所定方向(例えば上下方向)に並べて設けられており、
前記絵柄表示装置を前記第1入球部及び前記第2入球部の並設方向に移動させることにより、当該絵柄表示装置を前記第1入球部に対応する第1位置と前記第2入球部に対応する第2位置とに配置する位置変更手段を備え、
前記入球情報表示手段は、
前記絵柄表示装置が前記第1位置に配置されている状況下にて前記第1入球部への入球が発生した場合に、前記第1入球部への入球を示す入球情報を表示する手段と、
前記絵柄表示装置が前記第2位置に配置されている状況下にて前記第2入球部への入球が発生した場合に、前記第2入球部への入球を示す入球情報を表示する手段と
を有していることを特徴とする特徴F1乃至特徴F8のいずれか1つに記載の遊技機。
【0526】
特徴F9によれば、絵柄表示装置の移動先に応じて入球情報の表示契機となる入球部が切り替わることとなる。この構成によれば、例えば主として第1入球部への入球が期待できる状況下においては第1入球部への入球に基づく入球情報の表示を行い、主として第2入球部への入球が期待できる状況下においては第2入球部への入球に基づく入球情報の表示を行うことができる。このように、遊技の状況に応じて入球情報の表示の契機となる入球部を切り替えることにより、情報量が過度に多くなることを抑制し、状況毎に的確な情報の表示が可能となる。これにより、表示される情報について遊技者の理解を好適に促すことができる。
【0527】
特徴F10.前記絵柄表示装置が前記第1位置に配置されている状況下にて前記第2入球部への入球が発生した場合には、当該第2入球部への入球を示す入球情報の表示が回避され、前記絵柄表示装置が前記第2位置に配置されている状況下にて前記第1入球部への入球が発生した場合には、当該第1入球部への入球を示す入球情報の表示が回避される構成となっていることを特徴とする特徴F8又は特徴F9に記載の遊技機。
【0528】
特徴F8等に示したように入球部を複数有し、各入球部について入球情報を表示する構成では、情報量が多くなることが遊技者を困惑させる要因になり得る。そこで、第1入球部に係る入球情報を表示すべき状況では第2入球部に係る入球情報の表示を回避し、第2入球部に係る入球情報を表示すべき状況では第1入球部に係る入球情報の表示を回避することにより、上記不都合の発生を好適に抑制できる。
【0529】
なお、以上詳述した特徴F群に特徴A群~特徴E群に示した各技術的思想を適用することも可能である。
【0530】
<特徴G群> 可動式の絵柄表示装置 対応する入球部への入球に基づいて入球報知
以下の各特徴G群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技者による発射操作に基づいて当該遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備えているものがある。遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部へ入球することにより、所定数の遊技球の払い出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「上述したタイプの遊技機においては、遊技への注目度の向上を図る上で、その構成に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
【0531】
特徴G1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤の背面側に設けられ、絵柄を可変表示する絵柄表示装置(図柄表示装置92)と、
前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球可能な第1入球部(上側一般入賞口61U)及び第2入球部(下側一般入賞口61L)と、
前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(例えば払出装置222や払出制御装置181)と、
前記絵柄表示装置を移動させることにより、当該絵柄表示装置を前記第1入球部に対応する第1表示位置及び前記第2入球部に対応する第2表示位置へ配置する位置変更手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて位置制御用の処理を実行する機能)と、
前記絵柄表示装置が前記第1表示位置に配置されている状況下にて前記第1入球部への入球が発生した場合にその旨を示す第1入球情報を当該絵柄表示装置にて表示する第1入球情報表示手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて入賞報知用の処理を実行する機能)と、
前記絵柄表示装置が前記第2表示位置に配置されている状況下にて前記第2入球部への入球が発生した場合にその旨を示す第2入球情報を当該絵柄表示装置にて表示する第2入球情報表示手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて入賞報知用の処理を実行する機能)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0532】
絵柄表示装置が第1入球部に対応する第1表示位置に配置されている状況下にて当該第1入球部への入球が発生した場合には、絵柄表示装置にてその旨を示す第1入球情報が表示される。これに対して、絵柄表示装置が第2入球部に対応する第2表示位置に配置されている状況下にて当該第2入球部への入球が発生した場合には、絵柄表示装置にてその旨を示す第2入球情報が表示される。このように、絵柄表示装置の位置及び遊技球の入球先に応じて入球情報が表示される構成とすることにより、どの入球部への入球が発生したかを分かりやすく且つ簡潔に遊技者に伝えることができる。例えば、遊技状況によって主たる入球先が変化する場合には、本特徴に示す構成を適用することで、遊技者に提供される情報が過度に複雑化又は多様化することを抑制し、入球情報が遊技者を困惑させる要因になることを抑制できる。このように、入球情報を状況に応じて報知することには、遊技の単調化を抑制し、遊技者の遊技意欲の低下を好適に抑制できるという技術的意義がある。
【0533】
特徴G2.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤の背面側に設けられ、絵柄を可変表示する絵柄表示装置(図柄表示装置92)と
を備え、
前記遊技盤は透明性を有し、当該遊技盤を通じて前記絵柄表示装置の表示画面(表示画面92a)に表示される絵柄を視認可能となるように構成された遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球可能な第1入球部(上側一般入賞口61U)及び第2入球部(下側一般入賞口61L)と、
前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(例えば払出装置222や払出制御装置181)と、
前記絵柄表示装置を移動させることにより、当該絵柄表示装置を前記第1入球部に対応する第1表示位置及び前記第2入球部に対応する第2表示位置へ配置する位置変更手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて位置制御用の処理を実行する機能)と、
前記絵柄表示装置が前記第1表示位置に配置されている状況下にて前記第1入球部への入球が発生した場合にその旨を示す第1入球情報を当該絵柄表示装置にて表示する第1入球情報表示手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて入賞報知用の処理を実行する機能)と、
前記絵柄表示装置が前記第2表示位置に配置されている状況下にて前記第2入球部への入球が発生した場合にその旨を示す第2入球情報を当該絵柄表示装置にて表示する第2入球情報表示手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて入賞報知用の処理を実行する機能)と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0534】
絵柄表示装置が第1入球部に対応する第1表示位置に配置されている状況下にて当該第1入球部への入球が発生した場合には、絵柄表示装置にてその旨を示す第1入球情報が表示される。これに対して、絵柄表示装置が第2入球部に対応する第2表示位置に配置されている状況下にて当該第2入球部への入球が発生した場合には、絵柄表示装置にてその旨を示す第2入球情報が表示される。このように、絵柄表示装置の位置及び遊技球の入球先に応じて入球情報が表示される構成とすることにより、どの入球部への入球が発生したかを分かりやすく且つ簡潔に遊技者に伝えることができる。例えば、遊技状況によって主たる入球先が変化する場合には、本特徴に示す構成を適用することで、遊技者に提供される情報が過度に複雑化又は多様化することを抑制し、入球情報が遊技者を困惑させる要因になることを抑制できる。このように、入球情報を状況に応じて報知することには、遊技の単調化を抑制し、遊技者の遊技意欲の低下を好適に抑制できるという技術的意義がある。
【0535】
なお、本特徴に示す構成を「遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、前記遊技盤の背面側に設けられ、絵柄を可変表示する絵柄表示装置(図柄表示装置92)とを備え、前記遊技盤は透明性を有し、当該遊技盤を通じて前記絵柄表示装置の表示画面(表示画面92a)に表示される絵柄を視認可能となるように構成された遊技機であって、前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球可能な第1入球部(上側一般入賞口61U)及び第2入球部(下側一般入賞口61L)と、前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(例えば払出装置222や払出制御装置181)と、前記絵柄表示装置を移動させることにより、当該絵柄表示装置を前記第1入球部に対応する第1表示位置及び前記第2入球部に対応する第2表示位置へ配置する位置変更手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて位置制御用の処理を実行する機能)と、前記絵柄表示装置が前記第1表示位置に配置されている状況下にて前記第1入球部への入球が発生した場合にその旨を示す第1入球情報を当該絵柄表示装置にて表示する第1入球情報表示手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて入賞報知用の処理を実行する機能)と、前記絵柄表示装置が前記第2表示位置に配置されている状況下にて前記第2入球部への入球が発生した場合にその旨を示す第2入球情報を当該絵柄表示装置にて表示する第2入球情報表示手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて入賞報知用の処理を実行する機能)と、前記絵柄表示装置の位置に応じて前記第1入球情報表示手段による前記第1入球情報の表示と、前記第2入球情報表示手段による前記第2入球情報の表示とを切り替える切替手段とを備えていることを特徴とする遊技機。」とすることも可能である。
【0536】
特徴G3.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤の背面側に設けられ、絵柄を可変表示する絵柄表示装置(図柄表示装置92)と
を備え、
前記遊技盤は透明性を有し、当該遊技盤を通じて前記絵柄表示装置の表示画面(表示画面92a)に表示される絵柄を視認可能となるように構成された遊技機であって、
前記遊技領域に設けられ、当該遊技領域を流下する遊技球が入球可能な第1入球部(上側一般入賞口61U)及び第2入球部(下側一般入賞口61L)と、
前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(例えば払出装置222や払出制御装置181)と、
前記絵柄表示装置を移動させることにより、当該絵柄表示装置を前記第1入球部に対応する第1表示位置及び前記第2入球部に対応する第2表示位置へ配置する位置変更手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて位置制御用の処理を実行する機能)と、
前記絵柄表示装置が前記第1表示位置に配置されている状況下にて前記第1入球部への入球が発生した場合にその旨を示す第1入球情報を当該絵柄表示装置にて表示する第1入球情報表示手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて入賞報知用の処理を実行する機能)と、
前記絵柄表示装置が前記第2表示位置に配置されている状況下にて前記第2入球部への入球が発生した場合にその旨を示す第2入球情報を当該絵柄表示装置にて表示する第2入球情報表示手段(報知・演出制御装置610のMPU612にて入賞報知用の処理を実行する機能)と
を備え、
前記絵柄表示装置が前記第1表示位置に配置されている場合には前記第2入球情報表示手段による前記第2入球情報の表示が回避され、前記絵柄表示装置が前記第2表示位置に配置されている場合には前記第1入球情報表示手段による前記第1入球情報の表示が回避されることを特徴とする遊技機。
【0537】
絵柄表示装置が第1入球部に対応する第1表示位置に配置されている状況下にて当該第1入球部への入球が発生した場合には、絵柄表示装置にてその旨を示す第1入球情報が表示される。これに対して、絵柄表示装置が第2入球部に対応する第2表示位置に配置されている状況下にて当該第2入球部への入球が発生した場合には、絵柄表示装置にてその旨を示す第2入球情報が表示される。このように、絵柄表示装置の位置及び遊技球の入球先に応じて入球情報が表示される構成とすることにより、どの入球部への入球が発生したかを分かりやすく且つ簡潔に遊技者に伝えることができる。例えば、遊技状況によって主たる入球先が変化する場合には、本特徴に示す構成を適用することで、遊技者に提供される情報が過度に複雑化又は多様化することを抑制し、入球情報が遊技者を困惑させる要因になることを抑制できる。このように、入球情報を状況に応じて報知することには、遊技の単調化を抑制し、遊技者の遊技意欲の低下を好適に抑制できるという技術的意義がある。
【0538】
特徴G4.前記第1入球部及び前記第2入球部は所定の方向に並べて配置されており、
前記位置変更手段は、前記絵柄表示装置を前記所定の方向に移動させる構成となっていることを特徴とする特徴G1乃至特徴G3のいずれか1つに記載の遊技機。
【0539】
特徴G4に示すように、第1入球部及び第2入球部の並設方向に絵柄表示装置を移動させる構成とすれば、絵柄表示装置における入球情報の表示態様を切り替える際の応答性を好適に向上させることができる。
【0540】
特徴G5.前記絵柄表示装置が前記第1表示位置から前記第2表示位置へ移動することにより前記第1入球部と前記絵柄表示装置との距離が増加し且つ前記第2入球部と前記絵柄表示装置との距離が減少し、
前記絵柄表示装置が前記第2表示位置から前記第1表示位置へ移動することにより前記第1入球部と前記絵柄表示装置との距離が減少し且つ前記第1入球部と前記絵柄表示装置との距離が増加するように構成されていることを特徴とする特徴G1乃至特徴G4のいずれか1つに記載の遊技機。
【0541】
特徴G5によれば、第1入球部と第1表示位置との関係性、第2入球部と第2表示位置との関係性を遊技者に対して好適に示唆できる。
【0542】
特徴G6.前記絵柄表示装置が前記第1表示位置に配置されている場合には、当該絵柄表示装置と前記第1入球部とが前後に重なるように構成されていることを特徴とする特徴G1乃至特徴G5のいずれか1つに記載の遊技機。
【0543】
特徴G6によれば、絵柄表示装置が第1表示位置に配置されることで当該絵柄表示装置が第1入球部の後方に位置することとなる。これにより、入球情報の表示を行う際に入球部と表示されている入球情報との関係が分かりづらくなることを抑制できる。また、入球部と絵柄表示装置とが重なる構成とすれば、入球部に着目している遊技者によって入球情報が見逃される機会を減らすことができる。
【0544】
特徴G7.前記絵柄表示装置が前記第1表示位置に配置されている場合には、当該絵柄表示装置と前記第1入球部とが前後に重なり、前記絵柄表示装置が前記第2表示位置に配置されている場合には当該絵柄表示装置と前記第2入球部とが前後に重なるように構成されていることを特徴とする特徴G1乃至特徴G6のいずれか1つに記載の遊技機。
【0545】
特徴G7によれば、絵柄表示装置が第1表示位置に配置されることで当該絵柄表示装置が第1入球部の後方に位置し、第2表示位置に配置されることで当該絵柄表示装置が第2入球部の後方に位置することとなる。これにより、入球情報の表示を行う際に入球部と表示されている入球情報との関係が分かりづらくなることを抑制できる。また、入球部と絵柄表示装置とが重なる構成とすれば、入球部に着目している遊技者によって入球情報が見逃される機会を減らすことができる。
【0546】
特徴G8.前記絵柄表示装置が前記第1表示位置と前記第2表示位置との間を移動している状況下にて前記第1入球部又は前記第2入球部への入球が発生した場合には、当該入球に基づく前記第1入球情報及び前記第2入球情報の表示が回避される構成となっていることを特徴とする特徴G1乃至特徴G7のいずれか1つに記載の遊技機。
【0547】
特徴G1等に示したように絵柄表示装置の位置に応じて入球情報の表示対象となる入球部を切り替える構成においては、絵柄表示装置の移動中に第1入球部や第2入球部への入球が発生する可能性を否定できない。仮に絵柄表示装置が移動している最中に入球情報を表示した場合に、それが遊技者を困惑させる要因になり得る。そこで、移動中については入球情報の表示を回避する構成とすれば、特徴G1等に示した機能によって遊技への注目度の向上を図るという効果を好適に発揮させることができる。
【0548】
特徴G9.前記絵柄表示装置が前記第1表示位置に配置されている場合には、前記第1入球情報として前記第1入球部に対応する絵柄を表示し、当該第1入球部への入球が発生した場合に、前記絵柄を可変表示する構成となっており、
前記絵柄表示装置が前記第2表示位置に配置されている場合には、前記第2入球情報として前記第2入球部に対応する絵柄を表示し、当該第2入球部への入球が発生した場合に、前記絵柄を可変表示する構成となっていることを特徴とする特徴G1乃至特徴G8いずれか1つに記載の遊技機。
【0549】
特徴G9に示すように、予め第1入球情報及び第2入球情報に対応する絵柄を表示画面上に待機させており、入球発生に応じてそれら絵柄を可変表示する構成とすることにより、入球発生時に絵柄を表示する構成と比較して、遊技者に絵柄(入球情報)と入球部との関連性を把握する機会を与えることができる。このように、情報が何を意味しているかを分かりやすくすることは、入球情報の表示態様等を簡略化したり意匠性を付与したりして見栄えの向上を図る上で好ましい。
【0550】
特徴G10.前記第1入球情報表示手段及び前記第2入球情報表示手段は、前記絵柄表示装置の移動が完了する前に、前記絵柄の表示を開始する手段を有していることを特徴とする特徴G9に記載の遊技機。
【0551】
特徴G10に示すように絵柄の待機表示を移動中に開始する構成とすれば、移動後に入球が発生した場合に、即座にこれに対応した入球情報の表示を行うことができる。これにより、入球情報の表示の応答性を好適に向上させることができる。
【0552】
特徴G11.前記絵柄表示装置にて前記第1入球情報が表示される領域と前記第2入球情報が表示される領域とは、前記絵柄表示装置の移動方向と交差する方向にずれていることを特徴とする特徴G10に記載の遊技機。
【0553】
特徴G11に示すように第1入球情報の表示位置と第2入球情報の表示位置とを絵柄表示装置の移動方向と交差する方向にずらしておくことにより、事前に入球情報(画像)を待機させる場合に、第2入球情報を表示すべき位置に第1入球情報が位置するといった事象の発生を回避できる。これにより、移動中に入球情報の表示の準備を行う構成としたとしてもそれが、遊技者を困惑させる要因になることを回避できる。
【0554】
なお、以上詳述した特徴G群に特徴A群~特徴F群に示した各技術的思想を適用することも可能である。
【0555】
<特徴H群> 連続入球時の表示態様1 (報知用画像の移動)
以下の各特徴H群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技者による発射操作に基づいて当該遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備えているものがある。遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部へ入球することにより、所定数の遊技球の払い出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「上述したタイプの遊技機においては、遊技への注目度の向上を図る上で、その構成に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
【0556】
特徴H1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(例えば上側一般入賞口61Uや下側一般入賞口61L)と、
前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(例えば払出装置222や払出制御装置181)と、
表示画面(表示画面92a)を有する表示装置(図柄表示装置92)と、
前記入球部への入球が発生した場合にその旨を示す入球情報が前記表示画面に表示されるように前記表示装置の表示制御を行う表示制御手段(報知・演出制御装置610、表示制御装置620)と
を備え、
前記表示制御手段は、
前記入球部への入球が発生した場合に当該入球を示す第1画像を前記表示画面における第1位置に表示する第1表示手段と、
前記第1表示手段によって表示されている第1画像の描画位置を前記表示画面における前記第1位置から第2位置に所定の期間にて移動させる第1移動手段と、
前記第1画像が前記第1位置から第2位置に向けて移動している状況下にて前記入球部への入球が発生した場合には、当該入球を示す第2画像を前記第1位置に表示させる第2表示手段と、
前記第2表示手段によって表示されている第2画像の描画位置を前記表示画面における前記第1位置から前記第2位置に前記第1画像に追従するようにして移動させる第2移動手段と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0557】
特徴H1によれば、入球部への入球が発生した場合には表示画面にてその旨を示す画像が表示される。これにより、入球が発生した旨を遊技者に伝え、入球を見逃す機会を減らすことができる。このようにして入球を報知する構成においては、連続して入球が発生した場合に、先の入球の報知と後の入球の報知との区別が困難になることが遊技者に誤解を与える要因になると懸念される。
【0558】
この点、本特徴に示す構成においては、先の入球に基づいて表示された第1画像は時間の経過とともに第1位置から第2位置へと移動する。つまり、入球発生時に第1位置に表示されたとしてもその場に留まるのではなく、また直ちに消え去るのではなく、第2位置へ移動しながら報知を継続的に行う。ここで、後続の入球が発生すると、新たな入球に対応する第2画像が第1位置に表示されることとなる。これにより、第1画像と第2画像との重複を抑制できる。第2画像についても第1画像と同様に第1位置から第2位置に向けて移動する。このようにして、第1画像と第2画像とを併存させることにより、情報が混同されることを好適に回避できる。また、画像の表示期間をある程度長くすることができるため、画像自体が見逃される機会を減らすことができる。
【0559】
なお、本特徴に示す「第1画像」及び「第2画像」については同一の画像としてもよいし、個別としてもよい。
【0560】
因みに、本特徴に示す構成を「遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、前記遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(例えば上側一般入賞口61Uや下側一般入賞口61L)と、前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(例えば払出装置222や払出制御装置181)と、表示画面(表示画面92a)を有する表示装置(図柄表示装置92)と、前記入球部への入球が発生した場合にその旨を示す入球情報が前記表示画面に表示されるように前記表示装置の表示制御を行う表示制御手段(報知・演出制御装置610、表示制御装置620)とを備え、前記表示手段は、前記入球部への入球が発生した場合に当該入球を示す画像を表示する第1表示手段と、前記第1表示手段によって表示されている画像の描画位置を第1位置から第2位置に移動させる第1移動手段と、前記画像が前記第1位置から第2位置に向けて移動している状況下にて前記入球部への入球が発生した場合には、当該入球を示す画像を前記第1位置に表示させる第2表示手段と、前記第2表示手段によって表示されている画像の描画位置を前記第1位置から前記第2位置に移動させる第2移動手段とを備えていることを特徴とする遊技機。」とすることも可能である。
【0561】
特徴H2.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(例えば上側一般入賞口61Uや下側一般入賞口61L)と、
前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(例えば払出装置222や払出制御装置181)と、
表示画面を有し、前記表示画面にて前記特典の付与に関する情報を表示する表示手段(図柄表示装置92、報知・演出制御装置610、表示制御装置620)と
を備え、
前記表示手段は、
前記入球部への入球が発生した場合に当該入球を示す第1画像を第1位置に表示する第1表示手段と、
前記第1表示手段によって表示されている第1画像の描画位置を前記第1位置から第2位置に所定の期間にて移動させる第1移動手段と、
前記第1画像が前記第1位置から第2位置に向けて移動している状況下にて前記入球部への入球が発生した場合には、当該入球を示す第2画像を前記第1位置に表示させる第2表示手段と、
前記第2表示手段によって表示されている第2画像の描画位置を前記第1位置から前記第2位置に所定の期間にて移動させる第2移動手段と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0562】
特徴H2によれば、入球部への入球が発生した場合には表示画面にてその旨を示す画像が表示される。これにより、入球が発生した旨を遊技者に伝え、入球を見逃す機会を減らすことができる。このようにして入球を報知する構成においては、連続して入球が発生した場合に、先の入球の報知と後の入球の報知との区別が困難になることが遊技者に誤解を与える要因になると懸念される。
【0563】
この点、本特徴に示す構成においては、先の入球に基づいて表示された第1画像は時間の経過とともに第1位置から第2位置へと移動する。つまり、入球発生時に第1位置に表示されたとしてもその場に留まるのではなく、また直ちに消え去るのではなく、第2位置へ移動しながら報知を継続的に行う。ここで、後続の入球が発生すると、新たな入球に対応する第2画像が第1位置に表示されることとなる。これにより、第1画像と第2画像との重複を抑制できる。第2画像についても第1画像と同様に第1位置から第2位置に向けて移動する。このようにして、第1画像と第2画像とを併存させることにより、情報が混同されることを好適に回避できる。また、画像の表示期間をある程度長くすることができるため、画像自体が見逃される機会を減らすことができる。
【0564】
なお、本特徴に示す「第1画像」及び「第2画像」については同一の画像としてもよいし、個別としてもよい。また、「第1画像」が表示される「所定の期間」と「第2画像」が表示される「所定の期間」とは同一としてもよいし、相違させてもよい。
【0565】
特徴H3.前記第1画像と前記第2画像とが同一となっていることを特徴とする特徴H1又は特徴H2に記載の遊技機。
【0566】
同じ入球部に入った遊技球については、それに基づいて表示される画像(第1画像及び第2画像)についても共通化することにより、表示されている画像の意味が分かりづらくなることを抑制できる。
【0567】
特徴H4.前記第1移動手段は、前記第1画像を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる場合の移動速度が前記第2位置に近づくにつれて徐々に速くなるように構成されていることを特徴とする特徴H1乃至特徴H3のいずれか1つに記載の遊技機。
【0568】
特徴H4によれば、表示された瞬間(第1位置)では移動速度が比較的遅くなるため、第1画像を目視で確認しやすくなる。これは、第1画像の見落としを抑制する上で好ましい。その後は、第2位置に近づくにつれて第1画像の移動速度が速くなる。これにより、第2画像が第1位置に表示される際にそれら第1画像と第2画像との重なりを抑えることができる。
【0569】
特徴H5.前記入球部の周辺に前記第1画像及び前記第2画像の変動表示領域が設けられており、前記第2位置は前記第1位置よりも前記入球部に近くなるように構成されていることを特徴とする特徴H4に記載の遊技機。
【0570】
第1画像及び第2画像の両方が表示される場合には、表示が続いている期間が長くなる程、すなわち第2位置に近づく程、第1画像と第2画像との離れが大きくなる。遊技者の注目が入球部に向きやすい点に鑑みれば、当該入球部に近い側で画像間の離れが最も大きくなる構成とすることにより、第1画像及び第2画像が遊技者の目に入った際に、両画像が混同されるといった不都合を生じにくくすることができる。
【0571】
特徴H6.前記第1移動手段及び前記第2移動手段は、前記第1画像及び前記第2画像の両方が表示されている場合に、前記第2画像による前記第1画像の追い越しが不可となるように構成されていることを特徴とする特徴H1乃至特徴H5のいずれか1つに記載の遊技機。
【0572】
特徴H1等に示したように、第1画像及び第2画像を一緒に表示する場合には、両画像が重なることで2つの入球が発生したことが分かりにくくなると想定される。特に、表示の簡略化等を図るべく第1画像と第2画像とを共通化した場合には、第1画像及び第2画像の識別が困難になると懸念される。そこで、本特徴に示すように、第2画像による第1画像の追い越しを規制することにより、上記不都合の発生を好適に抑制できる。
【0573】
なお、本特徴に示す構成を「前記第1移動手段及び前記第2移動手段は、前記第1画像及び前記第2画像の両方が表示されている場合に、前記第2画像の前記第1画像への追いつきが不可となるように構成されていることを特徴とする特徴H1乃至特徴H4のいずれか1つに記載の遊技機。
【0574】
特徴H7.前記入球部に入った遊技球を検知する入球検知手段(検知センサ151)を備え、前記第1表示手段は前記入球検知手段により入球が検知されたことに基づいて前記第1画像の表示を開始し、前記第2表示手段は前記入球検知手段により入球が検知されたことに基づいて前記第2画像の表示を開始する構成となっており、
前記第1移動手段は、前記入球部への入球が連続して発生した場合に、先の入球が検知されてから次の入球が検知されるまでの最短期間が経過するまでに、前記第1画像が前記第1位置から離れるようにして当該第1画像を移動させる構成となっていることを特徴とする特徴H1乃至特徴H6のいずれか1つに記載の遊技機。
【0575】
連続入球が発生した場合には、先の入球が検知されてから次の入球が検知されるまでにある程度の期間が生じる。この期間中に第1画像が第1位置から離脱することにより、第2画像を第1位置に表示したタイミングでそれら両画像が重なることを回避できる。これにより、連続入球が発生した場合であっても、各入球報知が混同されることを抑制できる。
【0576】
特徴H8.前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な始動入球部(作動入球部62,63)と、
前記始動入球部への入球に基づいて特別情報(保留情報)を取得する情報取得手段(主制御装置162のMPU602において情報取得処理を実行する機能)と、
前記情報取得手段によって取得された特別情報を記憶可能な取得情報記憶手段(主制御装置162のMPU602に設けられた保留球格納エリア632)と、
前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報が所定の判定情報(例えば当たりに係る情報)と対応しているか否かの判定を行う判定手段(例えば主制御装置162のMPU602において当否判定処理等を実行する機能)と、
前記判定手段による判定結果が前記所定の判定情報に対応する対応結果となった場合に、遊技状態を特別遊技状態(例えば開閉実行モード)へ移行させる遊技状態移行手段(主制御装置162のMPU602にて開閉実行モードへの移行処理を実行する機能)と、
前記判定手段により前記判定が行われることに先立って又は前記判定手段により前記判定が行われたことに基づいて前記表示画面において特定の絵柄の可変表示を開始させ、前記判定の結果に対応した停止結果を表示し前記特定の絵柄の可変表示が終了されることを遊技回の1回として、前記取得情報記憶手段に記憶されている特別情報に応じて各遊技回の特定の絵柄の変動表示が行われるように前記表示手段を制御する遊技回制御手段と
を備え、
前記第1表示手段及び前記第2表示手段による前記第1画像及び前記第2画像の表示領域が前記表示画面に前記絵柄の可変表示領域に並べて設けられていることを特徴とする特徴H1乃至特徴H7のいずれか1つに記載の遊技機。
【0577】
始動入球部への入球に基づいて抽選が実行され、その結果が表示画面中の絵柄によって表示される構成においては、遊技者の注目が当該絵柄の可変表示に向きやすい。そこで、第1画像及び第2画像の表示領域と絵柄の可変表示とを並べて設けることにより、絵柄の可変表示を見ようとした場合に、第1画像や第2画像が目に入る機会を増やすことができる。特に、入球部への入球が発生した場合に第1画像や第2画像の表示がある程度の期間に亘って継続される。このため、主として絵柄の可変表示に注目している場合であっても、僅かに目を向けることで入球の発生の事実を確認可能となり、入球報知の機能を好適に発揮させることができる。
【0578】
特徴H9.前記遊技回制御手段は、前記特定の絵柄を所定方向にスクロール表示する構成となっており、
前記第1移動手段及び前記第2移動手段は、前記第1画像及び前記第2画像を前記所定方向に移動させる構成となっていることを特徴とする特徴H8に記載の遊技機。
【0579】
本特徴に示すように、絵柄のスクロール表示方向と第1画像及び第2画像の移動方向とを揃える事により、表示画面にて第1画像及び第2画像の表示領域と絵柄の表示領域とを好適に共存させることができる。
【0580】
なお、以上詳述した特徴H群に特徴A群~特徴G群に示した各技術的思想を適用することも可能である。
【0581】
<特徴I群>連続入球時の表示態様2 (待機している画像を移動)
以下の各特徴I群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技者による発射操作に基づいて当該遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備えているものがある。遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部へ入球することにより、所定数の遊技球の払い出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「上述したタイプの遊技機においては、遊技への注目度の向上を図る上で、その構成に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
【0582】
特徴I1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(例えば上側一般入賞口61U)と、
前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(払出装置222や払出制御装置181)と、
表示画面(表示画面92a)を有する表示装置(図柄表示装置92)と、
前記入球部への入球が発生した場合にその旨を示す入球情報が前記表示画面に表示されるように前記表示装置の表示制御を行う表示制御手段(報知・演出制御装置610、表示制御装置620)と
を備え、
前記表示制御手段は、
前記入球部への入球が発生していない状況下にて、第1位置に所定の画像を表示する手段と、
前記入球部への入球が発生した場合に、前記第1位置に表示されている所定の画像を第2位置に移動させた後、前記第1位置に復帰させる第1移動手段と
を有していることを特徴とする遊技機。
【0583】
上述したように入球部への入球によって特典が付与されるタイプの遊技機においては、入球部への入球によって遊技を有利に進めることができる。このため、入球部への入球を遊技者が見逃してしまった場合には、特典が付与されたことに気付かない可能性がある。これは、遊技への注目度の向上を図る上で妨げになる。この点、本特徴に示す構成によれば、入球部への入球が発生すると、第1位置に表示されている(待機している)所定の画像が第2位置へと移動し、再び第1位置へ復帰する。このように、予め待機している所定の画像が入球を契機として動く(アクション表示を行う)構成とすることにより、入球が発生した旨を遊技者に示唆又は報知することができる。これにより、入球が発生したことを遊技者が見逃すといった不都合を生じにくくし、遊技への注目度の向上に寄与できる。
【0584】
特徴I2.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(例えば上側一般入賞口61U)と、
前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(払出装置222や払出制御装置181)と、
表示画面(表示画面92a)を有する表示装置(図柄表示装置92)と、
前記入球部への入球が発生した場合にその旨を示す入球情報が前記表示画面に表示されるように前記表示装置の表示制御を行う表示制御手段(報知・演出制御装置610、表示制御装置620)と
を備え、
前記表示制御手段は、
前記入球部への入球が発生していない状況下にて、第1位置に所定の画像を表示する手段と、
前記入球部への入球が発生した場合に、前記第1位置に表示されている所定の画像を第2位置に移動させた後、前記第1位置に復帰させる第1移動手段と、
前記所定の画像が前記第1位置及び前記第2位置の間を移動している最中に前記入球部へ新たな入球が発生した場合に、当該所定の画像を前記第2位置よりも前記第1位置から遠い第3位置へ移動させた後、前記第1位置に復帰させる第2移動手段と
を有していることを特徴とする遊技機。
【0585】
上述したように入球部への入球によって特典が付与されるタイプの遊技機においては、入球部への入球によって遊技を有利に進めることができる。このため、入球部への入球を遊技者が見逃してしまった場合には、特典が付与されたことに気付かない可能性がある。これは、遊技への注目度の向上を図る上で妨げになる。この点、本特徴に示す構成によれば、入球部への入球が発生すると、第1位置に表示されている(待機している)所定の画像が第2位置へと移動し、再び第1位置へ復帰する。このように、予め待機している所定の画像が入球を契機として動く(アクション表示を行う)構成とすることにより、入球が発生した旨を遊技者に示唆又は報知することができる。これにより、入球が発生したことを遊技者が見逃すといった不都合を生じにくくし、遊技への注目度の向上に寄与できる。
【0586】
ここで、第1位置~第2位置間を所定の画像が移動している最中に入球部への入球が発生すると(連続入球が発生すると)、所定の画像の移動先が第3位置に変更されることとなる。第3位置については第2位置よりも更に遠い位置であり、所定の画像が第2位置を超えて第3位置に向かうことで、所定の画像のアクションを大きく変化させることができる。これにより、連続入球が発生した旨を分かりやすく伝えることができる。これにより、遊技への注目度の向上に寄与できる。
【0587】
特徴I3.前記第1移動手段は、前記所定の画像を前記第1位置から前記第2位置へ移動させるのに要する期間が、前記入球部への入球が発生してから次の入球が検知されるまでの最小期間よりも短くなるように設定されていることを特徴とする特徴I1又は特徴I2に記載の遊技機。
【0588】
特徴I3によれば、入球部への入球に基づいて所定の画像が第1位置→第2位置に移動する過程では次の入球が発生せず、当該所定の画像の第3位置への移動が発生しない。このような構成とすることにより、いきなり第3位置への移動が発生する等して、単発での入球と連続する入球との識別が難しくなることを抑制できる。
【0589】
特徴I4.前記第1移動手段は、前記所定の画像が前記第1位置から前記第2位置へ移動するのに要する期間よりも、前記第2位置から前記第1位置へ移動するのに要する期間の方が短くなるように構成されていることを特徴とする特徴I1乃至特徴I3のいずれか1つに記載の遊技機。
【0590】
特徴I4によれば、第1位置→第2位置への移動中と比較して第2位置→第1位置への移動中の方が所定の画像が遊技者の目にとまる機会が多くなると想定される。このような構成においては、特徴I1等に示したように所定の画像が第2位置→第1位置へ移動している最中に後続の入球(連続入球)が発生しやすくなる。このような構成に、特徴I1等に示した技術的思想を適用することで実用上好ましい構成を実現できる。
【0591】
特徴I5.前記第2移動手段は、前記所定の画像を前記第3位置から前記第1位置へ移動させるのに要する期間が、前記入球部への入球が発生してから次の入球が検知されるまでの最小期間よりも短くなるように設定されていることを特徴とする特徴I1乃至特徴I4のいずれか1つに記載の遊技機。
【0592】
遊技球が入球部へ連続して入球する連続回数については必ずしも2回に限定されるものではない。例えば、3回、4回・・・連続して入球する可能性がある。本特徴に示すように、連続入球が発生した場合に固有となるアクション(第3位置への移動及び第3位置から第2位置への移動)が発生している間に次の入球が発生することが無いようにアクション表示の期間を設定することにより、連続入球の報知に係る表示が過度に複雑になることを抑制することが可能となる。
【0593】
なお、以上詳述した特徴I群に特徴A群~特徴H群に示した各技術的思想を適用することも可能である。
【0594】
<特徴J群> 連続入球時の表示態様3 (パラレル表示)
以下の各特徴J群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技者による発射操作に基づいて当該遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備えているものがある。遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部へ入球することにより、所定数の遊技球の払い出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「上述したタイプの遊技機においては、遊技への注目度の向上を図る上で、その構成に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
【0595】
特徴J1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(例えば上側一般入賞口61Uや下側一般入賞口61L)と、
前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(払出装置222や払出制御装置181)と、
表示画面(表示画面92a)を有する表示装置(図柄表示装置92)と、
前記入球部への入球が発生した場合にその旨を示す入球情報が前記表示画面に表示されるように前記表示装置の表示制御を行う表示制御手段(報知・演出制御装置610、表示制御装置620)と
を備え、
前記表示制御手段は、
前記入球部への入球が発生した場合に、複数の表示箇所のうちの何れか1つにて所定の画像を所定期間に亘って表示する第1表示手段と、
前記第1表示手段によって前記所定の画像が表示されている状況下にて前記入球部への入球が発生した場合に、前記複数の表示箇所のうち当該所定の画像が表示されていないべつの表示箇所にて所定の画像を所定期間に亘って表示する第2表示手段と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0596】
上述したように入球部への入球によって特典が付与されるタイプの遊技機においては、入球部への入球によって遊技を有利に進めることができる。このため、入球部への入球を遊技者が見逃してしまった場合には、特典が付与されたことに気付かない可能性がある。これは、遊技への注目度の向上を図る上で妨げになる。この点、本特徴に示す構成によれば、入球部への入球が発生した場合には、表示画面にその旨を示す所定の画像が表示される。これにより、上記不都合の発生を抑制できる。
【0597】
ここで、所定の画像を表示して遊技者に入球発生の旨を伝える上では、当該所定の画像の表示期間を長くすることにより、当該所定の画像が遊技者の目に留まりやすくなる。しかしながら、表示期間が長くなれば、その期間中に次に入球が発生する機会が増える。ここで、本特徴に示す構成によれば、先の入球に基づいて所定の画像が表示されている状況下にて次の入球が発生した場合には、異なる表示箇所に次の入球に対応した所定の画像が表示される。これにより、表示期間を引き延ばしたとしても連続入球が発生したことを遊技者に好適に伝えることができる。言い換えれば、表示位置をずらすことによって所定の画像の表示期間を延ばすことができ、所定の画像の見逃しを抑制できる。
【0598】
特徴J2.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(例えば上側一般入賞口61Uや下側一般入賞口61L)と、
前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(払出装置222や払出制御装置181)と、
表示画面(表示画面92a)を有する表示装置(図柄表示装置92)と、
前記入球部への入球が発生した場合にその旨を示す入球情報が前記表示画面に表示されるように前記表示装置の表示制御を行う表示制御手段(報知・演出制御装置610、表示制御装置620)と
を備え、
前記表示制御手段は、
前記入球部への入球が発生した場合に、第1位置に所定の画像を所定期間に亘って表示する第1表示手段と、
前記第1表示手段によって前記所定の画像が第1位置に表示されている状況下にて前記入球部への入球が発生した場合に、所定の画像を前記第1位置とは異なる第2位置にて所定期間に亘って表示する第2表示手段と
を備えていることを特徴とする遊技機。
【0599】
上述したように入球部への入球によって特典が付与されるタイプの遊技機においては、入球部への入球によって遊技を有利に進めることができる。このため、入球部への入球を遊技者が見逃してしまった場合には、特典が付与されたことに気付かない可能性がある。これは、遊技への注目度の向上を図る上で妨げになる。この点、本特徴に示す構成によれば、入球部への入球が発生した場合には、表示画面にその旨を示す所定の画像が表示される。これにより、上記不都合の発生を抑制できる。
【0600】
ここで、所定の画像を表示して遊技者に入球発生の旨を伝える上では、当該所定の画像の表示期間を長くすることにより、当該所定の画像が遊技者の目に留まりやすくなる。しかしながら、表示期間が長くなれば、その期間中に次に入球が発生する機会が増える。ここで、本特徴に示す構成によれば、先の入球に基づいて第1位置に所定の画像が表示されている状況下にて次の入球が発生した場合には、第1位置とは異なる位置(第2位置)に所定の画像が表示される。これにより、表示期間を引き延ばしたとしても連続入球が発生したことを遊技者に好適に伝えることができる。言い換えれば、表示位置をずらすことによって所定の画像の表示期間を延ばすことができ、所定の画像の見逃しを抑制できる。
【0601】
特徴J3.前記第1表示手段及び前記第2表示手段は、前記所定の画像が表示される期間が前記入球部への入球が発生してから次の入球が検知されるまでの最小期間よりも長くなるように構成されていることを特徴とする特徴J1又は特徴J2に記載の遊技機。
【0602】
特徴J3に示すように、最小期間よりも表示期間が長く設定されている構成に対して、特徴J1等に示した技術的思想を適用することにより、実用上好ましい構成を実現できる。
【0603】
特徴J4.前記表示箇所の数は、前記入球部への入球が発生してから次の入球が検知されるまでの最小期間により前記所定期間を除した数よりも多くなるように設定されていることを特徴とする特徴J1乃至特徴J3のいずれか1つに記載の遊技機。
【0604】
本特徴に示す構成によれば、入球部への入球が連続して全ての表示箇所が所定の画像で埋まるような状況となったとしても、最初の入球から所定期間が経過することで当該最初の入球に対応した所定の画像が表示された表示箇所が空くこととなるため、表示箇所が不足することが無い。これにより、発生機会が少ない事象に対応すべく表示箇所が過度に増えてしまうことを好適に回避できる。
【0605】
特徴J5.前記入球部は、遊技機正面視にて前記表示画面と重なるようにして配置されており、
前記所定の画像が表示される前記複数の表示箇所は、遊技機正面視にて前記入球部の周辺に設けられていることを特徴とする特徴J1乃至特徴J4のいずれか1つに記載の遊技機。
【0606】
特徴J5に示すように、表示箇所を入球部の周辺に配設すれば、入球部と所定の画像との両方を目視にて確認することが容易となる。所定の画像を注視している場合であっても、入球部への入球の有無を見張ることができるため、画像の表示機能が入球部へ向けた遊技球の動きに対する注目度を低下させるように作用することを抑制できる。
【0607】
なお、以上詳述した特徴J群に特徴A群~特徴I群に示した各技術的思想を適用することも可能である。
【0608】
<特徴K群> 連続入球時の表示態様4 (シリアル表示)
以下の各特徴K群は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技者による発射操作に基づいて当該遊技領域へ遊技球を発射する遊技球発射手段とを備えているものがある。遊技球発射手段から発射された遊技球が遊技領域に設けられた入球部へ入球することにより、所定数の遊技球の払い出し等の特典が遊技者に付与される(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「上述したタイプの遊技機においては、遊技への注目度の向上を図る上で、その構成に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
【0609】
特徴K1.遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技領域形成体60a)と、
前記遊技盤に設けられ、前記遊技領域を流下する遊技球が入球可能な入球部(例えば上側一般入賞口61Uや下側一般入賞口61L)と、
前記入球部への入球に基づいて遊技者に特典を付与する特典付与手段(払出装置222や払出制御装置181)と、
表示画面(表示画面92a)を有する表示装置(図柄表示装置92)と、
前記入球部への入球が発生した場合にその旨を示す入球情報が前記表示画面における所定箇所に所定の期間に亘って表示されるように前記表示装置の表示制御を行う表示制御手段(報知・演出制御装置610、表示制御装置620)と
を備え、
前記所定期間は、前記入球検知手段により遊技球の入球が連続して検知される場合の最小インターバル期間よりも短くなるように設定されていることを特徴とする遊技機。
【0610】
上述したように入球部への入球によって特典が付与されるタイプの遊技機においては、入球部への入球によって遊技を有利に進めることができる。このため、入球部への入球を遊技者が見逃してしまった場合には、特典が付与されたことに気付かない可能性がある。これは、遊技への注目度の向上を図る上で妨げになる。この点、本特徴に示す構成によれば、入球部への入球が発生した場合には、表示画面にその旨を示す入球情報が表示される。これにより、上記不都合の発生を抑制できる。
【0611】
ここで、入球部への入球が連続して発生した場合には、先の入球に対応した入球情報の表示が次の入球の発生までに終了することとなる。これにより、表示が重複する等して遊技者が困惑することを抑制できる。
【0612】
特徴K2.前記入球情報の表示が終了してから、次の入球情報の表示が行われるまでには、入球情報が非表示となる期間が設けられていることを特徴とする特徴K1に記載の遊技機。
【0613】
入球部への入球に基づいて表示される入球情報を統一することは、当該入球情報の意味の理解を遊技者に促す上で好ましい。しかしながら、連続入球によって同様の入球情報が繰り返し表示された場合には、それが1の入球に対応するものかそれとも複数の入球(連続入球)に対応するものかの区別がつきにくくなる。そこで、本特徴に示すように、先の入球情報の表示が終了した後は、連続入球が発生した場合であっても、非表示となる期間が確保される構成とすることにより、上記不都合の発生を抑制できる。
【0614】
特徴K3.前記表示制御手段は、前記表示画面に前記入球情報を表示している場合に、時間の経過に伴って当該入球情報の表示態様又は表示位置を変化させる手段を有していることを特徴とする特徴K1又は特徴K2に記載の遊技機。
【0615】
特徴K2に示したように連続入球に応じて入球情報を連続して表示する場合には、先の入球に対応する入球情報と後の入球に対応する入球情報との境目が分かりにくくなる。そこで、表示開始後の時間の経過に伴って入球情報の表示態様や表示位置を変化させる構成とすれば、次の入球情報の表示が開始された場合とのギャップを大きくすることができ、各入球情報の区別を容易とすることができる。
【0616】
例えば、入球情報の色や大きさを時間の経過とともに変化させたり、表示位置を所定箇所にて徐々にずらしたりするとよい。
【0617】
なお、以上詳述した特徴K群に特徴A群~特徴J群に示した各技術的思想を適用することも可能である。
【0618】
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
【0619】
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域(遊技領域PE)内に配置された各遊技部品(遊技釘68や風車69等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口61等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
【0620】
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
【0621】
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。
【符号の説明】
【0622】
10…遊技機としてのパチンコ機、60…遊技盤ユニット、60a…「遊技盤」としての遊技領域形成体、60b…背面ブロック、61U…上側一般入賞口、61L…下側一般入賞口、62…上側作動入球部、63…下側作動入球部、64…可変入賞装置、68…遊技釘、70…ゲート、71…スロープ、72…開放部分、73…振分部材、73X…表示装置、74…取付ベース、75…起立部、78…シール、81…第1種上側遊技釘列、82…第1種下側遊技釘列、83…第2種上側遊技釘列、84…第2種下側遊技釘列、85~88…陥欠部、91…可変表示ユニット、92…図柄表示装置、92a…表示画面、96…昇降装置、99…第2背景シート、151~156…検知センサ、181…払出制御装置、222…払出装置、162…主制御装置、251…案内通路、261…溝部、301…回収通路、305…カバー部材、306…本体部、602…MPU、610…報知・演出制御装置、612…MPU、PE…遊技領域、UE…上側領域、LE…下側領域。