(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/289 20210101AFI20221220BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20221220BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20221220BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20221220BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20221220BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20221220BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/291
H01M50/244 Z
H01M50/293
H01M50/247
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2021511877
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013404
(87)【国際公開番号】W WO2020203573
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2019068821
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】中村 毅
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-307704(JP,A)
【文献】特開2013-026090(JP,A)
【文献】実開昭59-117059(JP,U)
【文献】特開2006-114424(JP,A)
【文献】国際公開第2016/181938(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20 - 50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の電池を有する電池ユニットと、
前記電池ユニットを収容するケースと、
前記電池ユニットと前記ケースの間に設けられた発泡樹脂部材と
を備え、
前記発泡樹脂部材は、前記電池ユニットの一端面または一側面と対向する
第1の主面部を有し、
前記
第1の主面部は、第1の表面部および第2の表面部を含み、
前記第2の表面部の少なくとも一部は、前記第1の表面部よりも硬く、前記電池ユニットを支持
し、
前記第2の表面部を構成する発泡樹脂の発泡密度は、前記第1の表面部を構成する発泡樹脂の発泡密度に比べて低い
電池パック。
【請求項2】
前記電池ユニットは、1または複数の前記電池を保持するホルダをさらに有する請求項
1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記発泡樹脂部材は、前記電池ユニットに向けて突出した第1の凸部を有し、
前記第2の表面部は、前記第1の凸部である請求項1
または2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記電池ユニットは、前記発泡樹脂部材に向けて突出した第2の凸部を有し、
前記第2の表面部の少なくとも一部は、前記第2の凸部に接触している請求項1
または2に記載の電池パック。
【請求項5】
前記発泡樹脂部材は、前記電池ユニットから遠ざかる方向に窪み、前記第2の凸部を収容する第1の凹部を有し、
前記第1の凹部は前記第2の表面部となる請求項
4に記載の電池パック。
【請求項6】
前記第1の表面部は、弾性変形可能に構成され、
前記第2の表面部の少なくとも一部は、塑性変形されている請求項1から
5のいずれかに記載の電池パック。
【請求項7】
前記発泡樹脂部材は、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂およびオレフィン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1から
6のいずれかに記載の電池パック。
【請求項8】
前記発泡樹脂部材は、発泡ビーズにより形成される請求項1から
7のいずれかに記載の電池パック。
【請求項9】
前記第1の表面部を構成する発泡樹脂から前記第2の表面部を構成する発泡樹脂を分離可能である請求項1から
8のいずれかに記載の電池パック。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれかに記載の電池パックを備える電動工具。
【請求項11】
請求項1から
9のいずれかに記載の電池パックを備える電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高容量および高出力を必要とする機器や車両等では、複数の二次電池をケースに収容した電池パックが使用されている。電池パックとしては様々な構成を有するものが検討されている。
【0003】
特許文献1には、正極、負極およびセパレータを備える複数の電池と、複数の電池の周囲を覆う樹脂とを備え、樹脂が、正極または負極からセパレータへ向かって加圧力を付加する第1の発泡樹脂と、第1の発泡樹脂よりも発泡密度の高い第2の発泡樹脂とを備える電池パックが記載されている。
【0004】
特許文献2には、複数の電池セルと、複数の電池セルを収容する筐体と、筐体の内部に設けられた弾性層とを備え、弾性層は発泡性の合成樹脂材料で構成された電池モジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-26090号公報
【文献】特開2017-79130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載された電池パックや電池モジュールでは、衝撃荷重や振動が繰り返し加えられると、耐衝撃性が低下するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、衝撃荷重や振動が繰り返し加えられたときの耐衝撃性の低下を抑制することができる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明は、
1または複数の電池を有する電池ユニットと、
電池ユニットを収容するケースと、
電池ユニットとケースの間に設けられた発泡樹脂部材と
を備え、
発泡樹脂部材は、電池ユニットの一端面または一側面と対向する第1の主面部を有し、
第1の主面部は、第1の表面部および第2の表面部を含み、
第2の表面部の少なくとも一部は、第1の表面部よりも硬く、電池ユニットを支持し、
第2の表面部を構成する発泡樹脂の発泡密度は、第1の表面部を構成する発泡樹脂の発泡密度に比べて低い
電池パックである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、衝撃荷重や振動が繰り返し加えられたときの電池パックの耐衝撃性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る電池パックの外観の一例を示す斜視図である。
【
図3A】本発明の第1の実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図3B】本発明の第1の実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図5】発泡樹脂部材の構成の一例を示す斜視図である。
【
図6A】本発明の第2の実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図6B】本発明の第2の実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図7】発泡樹脂部材の構成の一例を示す斜視図である。
【
図8A】本発明の第3の実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図8B】本発明の第3の実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図9】発泡樹脂部材の構成の一例を示す斜視図である。
【
図10】発泡樹脂部材の変形例を示す斜視図である。
【
図11A】発泡樹脂部材の変形例を示す斜視図である。
【
図11B】電池ユニットの変形例を示す斜視図である。
【
図12A】発泡樹脂部材の変形例を示す斜視図である。
【
図12B】発泡樹脂部材の変形例を示す斜視図である。
【
図14】応用例としてのハイブリッド車両の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<概要>
本発明者は、先行技術文献1、2に記載された電池パック(電池モジュール)に衝撃荷重や振動が繰り返し加えられたときに、耐衝撃性が低下する原因について鋭意検討を行った。その結果、上述の耐衝撃性の低下は、以下のメカニズムで発生することを見出すに至った。すなわち、電池パックに衝撃荷重や振動が加えられた場合、それらの衝撃荷重や振動の大きさによっては、発泡樹脂部材が塑性変形して潰れ、発泡樹脂部材と電池ユニットとの間にクリアランスが発生することがある。このようなクリアランスが発生したのちに、電池パックに衝撃荷重や振動が再度加えられると、電池パック内で電池ユニットが動いてしまい、電池ユニットがダメージを受ける。
【0012】
そこで、本発明者は、上述のようなクリアランスの発生を抑制すべく、発泡樹脂部材について鋭意検討を行った。その結果、電池ユニットと対向する対向面(対向部)に第1の表面部および第2の表面部を含み、第2の表面部が第1の表面部よりも硬く、電池ユニットを支持する発泡樹脂部材を見出すに至った。以下、このような発泡樹脂部材を備える電池パックについて説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
[電池パックの構成]
以下、
図1、
図2、
図3A、
図3B、
図4、
図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る電池パック10の構成の一例について説明する。なお、本明細書において、
図3A、
図3B、
図4等の分解斜視図は、電池パック10の組み立て前の状態における分解斜視図を示す。電池パック10は、
図1、
図2、
図3A、
図3Bに示すように、電池ユニット20と、ケース11と、発泡樹脂部材30A、30Bと、基板12とを備える。電池パック10は、例えば、六角柱状等の角柱状を有する。なお、電池パック10の形状はこれに限定されるものではなく、円柱状、楕円柱状、多面体状、球状、楕円球状または自由曲面状等を有していてもよい。
【0014】
電池パック10は、例えば、電気機器に用いられる。電気機器としては、例えば、電動バイク、電動自転車、電動アシスト自転車、ハイブリッドカーまたはパワーツール(電動工具等)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
(電池ユニット)
電池ユニット20は、対向する第1の端面部20S
1および第2の端面部20S
2と、第1の端面部20S
1と第2の端面部20S
2との間に設けられた周面部20S
3とを有する。電池ユニット20は、
図4に示すように、複数の電池21と、ホルダ22と、タブ23A、23Bとを備える。なお、ホルダ22は必要に応じて備えられるものであって、なくてもよい。
【0016】
(電池)
電池21は、第1の端部と第2の端部とを有する円柱状の電池である。第1の端部が、例えば正極端子部であり、第2の端部が、例えば負極端子部である。複数の電池21は、各電池21の中心軸が平行となるように配置されている。複数の電池21は、例えば、複数の列を構成するように配置されている。複数の電池21は、隣り合う2つの電池21の列が互いに電池21の外径円周の半径と略同じ長さで列方向にずらされた樽積み状の配置とされていてもよい。
【0017】
複数の電池21の第1の端部は、電池ユニット20の第1の端面部20S1側に配置され、複数の電池21の第2の端部は、電池ユニット20の第2の端面部20S2側に配置されている。電池21は、例えば繰り返し使用可能な二次電池である。二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0018】
(ホルダ)
ホルダ22は、複数の電池21を保持する。ホルダ22は、例えば樹脂材料により構成されている。ホルダ22は、第1の端面部20S1と第2の端面部20S2の間に設けられた複数の孔部22Cを有している。孔部22Cは、電池21とほぼ同一の大きさの円柱状の空間であり、電池21を収容する。複数の孔部22Cは、各孔部22Cの中心軸が第1の端面部20S1および第2の端面部20S2と直交するように設けられている。孔部22Cの両端は開放されており、孔部22Cに収容された電池21の第1、第2の端部がそれぞれホルダ22から露出するようになっている。ホルダ22は、第1の端面部20S1と第2の端面部20S2の中間位置で、第1のホルダ22Aと第2のホルダ22Bとに分割可能に構成されている。
【0019】
(タブ)
タブ23Aは、ホルダ22により保持された複数の電池21の第1の端部と基板12とを電気的に接続する。タブ23Bは、ホルダ22により保持された複数の電池21の第2の端部と基板12とを電気的に接続する。タブ23A、23Bは、複数の電池21を電気的に並列に接続する。なお、複数の電池21の接続形態は、並列に限定されるものではなく、複数の電池21が直列、または直並列に接続されていてもよい。
【0020】
タブ23A、23Bは、薄板状を有し、金属等の導電材料により構成されている。タブ23Aは、一方の主面が電池ユニット20の第1の端面部20S1上に設けられている。タブ23Bは、一方の主面がホルダ22の第2の端面部20S2上に設けられている。タブ23Aは、周縁部から延設された端子部23A1、23A2を有する。タブ23Bは、周縁部から延設された端子部23B1、23B2を有する。端子部23A1、23A2および端子部23B1、23B2は、電池ユニット20の周面部20S3から同一方向に向けて突出している。端子部23A1、23A2は、タブ23Aを基板12に電気的に接続し、端子部23B1、23B2は、タブ23Bを基板12に電気的に接続する。端子部23A1、23A2および端子部23B1、23B2は、基板12を電池ユニット20の周面部20S3上に支持する機能も兼ね備えている。
【0021】
(基板)
基板12は、電気機器等の外部機器(図示せず)と電池ユニット20を電気的に接続する。基板12は、電池ユニット20の周面部20S3上に設けられ、タブ23Aの端子部23A1、23A2およびタブ23Bの端子部23B1、23B2により支持されている。
【0022】
基板12は、例えば矩形状を有し、制御部12Aと、コネクタ12Bとを備える。制御部12Aは、タブ23Aの端子部23A1、23A2およびタブ23Bの端子部23B1、23B2と配線(図示せず)を介して電気的に接続されている。制御部12Aは、コネクタ12Bと配線(図示せず)を介して電気的に接続されている。
【0023】
制御部12Aは、電池ユニット20を制御する。制御部12Aは、例えば、充放電制御IC(Integrated Circuit)を備える。制御部12Aが、必要に応じて、電池保護ICおよび電池残量監視ICのうちの少なくとも一方をさらに備えるようにしてもよい。充放電制御ICは、電池ユニット20の充放電を制御する。電池保護ICは、電池21が異常状態等になった場合に電池21の熱暴走を抑制し、電池21を保護する。電池残量監視ICは、各電池21の残量を監視する。
【0024】
コネクタ12Bは、外部機器(図示せず)に対して電池パック10を接続する外部接続端子の一例である。コネクタ12Bは、電池ユニット20の第1の端面部20S1に対して突出するように設けられている。
【0025】
(ケース)
ケース11は、電池ユニット20、基板12および発泡樹脂部材30A、30Bを収容する。ケース11は、落下等による衝撃や外部環境等から電池ユニット20を保護する。ケース11は、例えば、高分子樹脂または金属により構成される。ケース11が、高分子樹脂層と金属層とが積層された積層体により構成されていてもよい。
【0026】
ケース11は、
図1、
図2に示すように、筒状の壁部11Cと、壁部11Cの第1の開口端部を閉鎖する第1の端面部11Aと、壁部11Cの第2の開口端部を閉鎖する第2の端面部11Bとを備える。壁部11Cは、電池ユニット20の周面部20S
3を覆う。壁部11Cをその中心軸に対して垂直に切断して得られる断面は、例えば六角形状を有している。但し、壁部11Cの断面形状はこれに限定されるものではなく、六角形状以外の多角形状、円形状、円筒状または不定形状等であってもよい。
【0027】
第1の端面部11Aは、電池ユニット20の第1の端面部20S1に対向して設けられており、電池ユニット20の第1の端面部20S1を覆う。第2の端面部11Bは、電池ユニット20の第2の端面部20S2に対向して設けられており、電池ユニット20の第2の端面部20S2を覆う。
【0028】
ケース11は、第1の端面部11Aと第2の端面部11Bの中間位置よりも第2の端面部11B寄りの位置で、第1の端面部11Aを有するケース本体11CAと、第2の端面部11Bを有する蓋部11CBとに分離可能に構成されている。ケース11は、開口部11Dを有している。この開口部11Dからコネクタ12Bが露出する。
【0029】
(発泡樹脂部材)
発泡樹脂部材30A、30Bは、ケース11から電池21に伝達される外力を緩衝する緩衝部材としての機能を有する。また、ケース11内において電池ユニット20を一定の位置に保持する保持部材としての機能も有する。
【0030】
発泡樹脂部材30A、30Bは、ケース11と電池ユニット20の間の空間に設けられている。より具体的には、発泡樹脂部材30Aは、ケース11の第1の端面部11Aと電池ユニット20の第1の端面部20S1との間に設けられている。発泡樹脂部材30Bは、ケース11の第2の端面部11Bと電池ユニット20の第2の端面部20S2との間に設けられている。
【0031】
発泡樹脂部材30A、30Bは、例えば、蒸気加熱によって発泡する発泡ビーズの集合体により構成されている。発泡樹脂部材30A、30Bは、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂およびオレフィン系樹脂(例えばポリプロピレン、ポリエチレン等)等からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分として含む。発泡樹脂部材30A、30Bが、必要に応じて、添加剤を含んでいてもよい。
【0032】
発泡樹脂部材30Aは、板状の部材であり、電池ユニット20の第1の端面部20S1と対向する第1の主面部30AS1と、ケース11の第1の端面部11Aと対向する第2の主面部30AS2とを有する。発泡樹脂部材30Bは、板状の部材であり、電池ユニット20の第2の端面部20S2と対向する第1の主面部30BS1と、ケース11の第2の端面部11Bと対向する第2の主面部30BS2とを有する。なお、発泡樹脂部材30Bは、発泡樹脂部材30Aと同様の構成を有するため、以下では、発泡樹脂部材30Bの構成についてのみ説明する。
【0033】
(第1の主面部)
発泡樹脂部材30Aの第1の主面部30AS
1は、
図5に示すように、平面部31と、電池ユニット20の第1の端面部20S
1に向けて突出した1または2以上の凸部32と、電池ユニット20の第1の端面部20S
1の周縁部に向けて突出した周壁部33とを有する。
【0034】
(平面部)
平面部31は、弾性変形可能に構成されている。平面部31は、電池ユニット20の第1の端面部20S1に加えられる衝撃や振動を緩和する。平面部31は、本発明の“第1の表面部”の一具体例に相当する。なお、第1の表面部は、平面部31に限定されるものではなく、凹凸面部等であってもよい。ただし、第1の表面部に凸部を設ける場合、凸部の高さは平面部31から凸部32の頂部の高さより低く設定する必要がある。
【0035】
(凸部)
凸部32は、電池ユニット20の第1の端面部20S1を支持する。凸部32の頂部32Aは、平面部31よりも硬い。より具体的には、凸部32の頂部32Aを構成する発泡樹脂は、平面部31を構成する発泡樹脂に比べて低い発泡密度を有している。発泡密度は、単位体積当たりに含まれる気泡の総体積を意味する。発泡樹脂を塑性変形させると、発泡樹脂の気泡が潰れて発泡密度(単位体積当たりに含まれる気泡の総体積)が低くなる。このため、発泡密度が低いと、発泡樹脂が硬くなる。凸部32は、本発明の“第2の表面部”の一具体例に相当する。なお、本明細書において、“硬さ”とは、押し込み硬さを意味する。
【0036】
凸部32の側面が、平面部31よりも硬くてもよい。より具体的には、凸部32の側面が、平面部31よりも発泡密度が低い発泡樹脂により構成されていてもよい。衝撃荷重や振動が繰り返し加えられたときの電池パック10の耐衝撃性の低下を抑制するためには、凸部32の頂部32Aは、塑性変形していることが好ましい。凸部32は、例えば、発泡樹脂部材30Aの本体と一体成形されている。凸部32の形状としては、例えば、柱状(例えば円柱状、角柱状)、錐体状、多面体状、半球状または半楕円球状等が挙げられるが、これらの形状に限定されるものではない。2以上の凸部32は、発泡樹脂部材30Aの第1の主面部30AS1に規則的に配置されていてもよいし、ランダムに配置されていてもよい。
【0037】
凸部32の頂部32Aを平面部31よりも硬くする方法(すなわち凸部32の頂部32Aを構成する発泡樹脂の発泡密度を、平面部31を構成する発泡樹脂の発泡密度よりも低くする方法)としては、例えば、電池パック10の組み立て時に、電池ユニット20の第1の端面部20S1を凸部32に押し当て凸部32を圧縮し、好ましくは塑性変形させる方法、電池パック10の組み立て前に、凸部32に押圧体を押し当て凸部32を圧縮し塑性変形させる方法が挙げられるが、前者が好ましい。前者を採用する場合には、凸部32を圧縮し塑性変形させることにより、電池パック10の各構成部品の寸法公差を吸収することができる。
【0038】
凸部32の頂部32Aが平面部31よりも硬いことは、例えば、以下のようにして確認される。まず、プシュプルゲージの測定子(計測棒)を平面部31に0.3mm、0.6mm、1.0mm押し込んだときの荷重をそれぞれ測定し、これらの測定値を単純に平均(算術平均)して、平面部31の押し込み荷重の平均値WAを求める。同様に、プシュプルゲージの測定子(計測棒)を凸部32の頂部32Aに0.3mm、0.6mm、1.0mm押し込んだときの荷重をそれぞれ測定し、これらの測定値を単純に平均(算術平均)して、凸部32の頂部32Aの押し込み荷重の平均値WBを求める。次に、平面部31の押し込み荷重の平均値WAと、凸部32の頂部32Aの押し込み荷重の平均値WBとを比較することにより、凸部32の頂部32Aが平面部31よりも硬いか否かを判定する。なお、加重の平均値WA、WBがWA>WBの関係を満たす場合には、凸部32の頂部32Aが平面部31よりも硬いと判定される。
【0039】
(周壁部)
周壁部33の内側に、電池ユニット20の第1の端面部20S1側が嵌め合わされる。これにより、電池パック10内における電池ユニット20の位置が固定される。周壁部33は、発泡樹脂部材30Aの第1の主面部30AS1の周縁部に沿って設けられている。なお、周壁部33は、第1の主面部30AS1の周縁部に沿って連続的に設けられていてもよいし、第1の主面部30AS1の周縁部に沿って不連続的に設けられていてもよい。
【0040】
周壁部33の頂部は、平面部31と同等の硬さであってもよいし、平面部31よりも硬くてもよい。すなわち、周壁部33の頂部を構成する発泡樹脂材料の発泡密度は、平面部31を構成する発泡樹脂の発泡密度と同一またはほぼ同一であってもよいし、平面部31を構成する発泡樹脂の発泡密度よりも低くてもよい。
【0041】
(第2の主面部)
発泡樹脂部材130Aの第2の主面部30AS2は、平面部31と同一の硬さを有することが好ましい。具体的には、第2の主面部30AS2を構成する発泡樹脂は、平面部31を構成する発泡樹脂と同一またはほぼ同一の発泡密度を有していることが好ましい。これにより、ケース11の第1の端面部11Aに加わる衝撃や振動の吸収性を向上することができる。第2の主面部30AS2は、例えば、平面部である。
【0042】
(側面部)
発泡樹脂部材30Aの側面部は、ケース11の内側面から遠ざかるように窪んだ凹部34を有する。凹部34は、コネクタ12Bを支持する。第1の実施形態では、コネクタ12Bは発泡樹脂部材30Bの側に設けられているため、発泡樹脂部材30Aの凹部34はなくてもよい。なお、第1の実施形態では、生産性を考慮して、発泡樹脂部材30A、30Bを同一の構成としているため、発泡樹脂部材30A、30Bの両方が凹部34を有している。
【0043】
[効果]
第1の実施形態に係る電池パック10では、発泡樹脂部材30Aは、電池ユニット20の第1の端面部20S1と対向する第1の主面部30AS1を有し、第1の主面部30AS1は、平面部(第1の表面部)31および凸部(第2の表面部)32を含み、凸部32の頂部32Aは平面部31よりも硬く、電池ユニット20の第1の端面部20S1を支持する。また、発泡樹脂部材30Bは、電池ユニット20の第2の端面部20S2と対向する第1の主面部30BS1を有し、第1の主面部30BS1は、平面部(第1の表面部)31および凸部(第2の表面部)32を含み、凸部32の頂部32Aは平面部31よりも硬く、電池ユニット20の第2の端面部20S2を支持する。これにより、衝撃や振動が繰り返し電池パック10に加えられた場合にも、発泡樹脂部材30Aの第1の主面部30AS1および発泡樹脂部材30Bの第1の主面部30BS1が塑性変形することを抑制することができる。したがって、発泡樹脂部材30Aと電池ユニット20の第1の端面部20S1の間、および発泡樹脂部材30Bと電池ユニット20の第2の端面部20S2の間にクリアランスが発生することを抑制することができる。したがって、衝撃荷重や振動が繰り返し電池パック10に加えられたときの電池パック10の耐衝撃性の低下を抑制することができる。
【0044】
また、第1の実施形態に係る電池パック10では、電池ユニット20の第1の端面部20S1と、ケース11の第1の端面部11Aの間の空間が発泡樹脂部材30Aにより埋められている。また、電池ユニット20の第2の端面部20S2と、ケース11の第2の端面部11Bの間の空間が発泡樹脂部材30Bにより埋められている。これにより、衝撃荷重や振動が電池パック10に加えられたときに、ケース11の第1の端面部11Aおよび第2の端面部11Bが変位することを抑制することができる。したがって、ケース11の第1の端面部11Aおよび第2の端面部11Bに対する割れの発生を抑制することができる。よって、電池パック10を衝撃や振動から保護することができる。
【0045】
また、発泡樹脂部材30A、30Bは、外部から電池パック10に加えられる振動を無発泡樹脂部材(例えば、一般的な電池パックで緩衝材として使用される高弾性のゴム系無発泡樹脂部材)に比べて電池ユニット20に伝え難いため、振動から電池ユニット20を保護することができる。
【0046】
また、発泡樹脂部材30A、30Bは、無発泡樹脂部材(例えば、一般的な電池パックで緩衝材として使用される高弾性のゴム系無発泡樹脂部材)に比べて密度が低く軽量であるので、電池パック10を軽量化することができる。
【0047】
また、第1の実施形態に係る電池パック10では、電池21よりも寸法公差が小さいホルダ(構造部品)22に電池21を収容し、各電池21の寸法公差をホルダ22により吸収している。したがって、発泡樹脂部材30A、30Bにより凸部32を介して電池ユニット20に加えられる弾性力が、各電池パック10でばらつくことを抑制することができる。したがって、各電池パック10により耐衝撃性に違いが発生することを抑制することができる。これに対して、特許文献2のように、電池21をホルダ22に収容しない構成であると、発泡樹脂により各電池21に加えられる弾性力のばらつきが大きくなる。したがって、各電池パックにより耐衝撃性に違いが発生しやすくなる。なお、ホルダ22等の構造部品の寸法公差は、一般的に電池21の寸法公差よりも小さい。
【0048】
また、電池21をホルダ22に収容することで、電池パック10に衝撃や振動が加えられ、ケース11が変形するような場合に、このような変形から電池21を保護することができる。
【0049】
<第2の実施形態>
図6A、
図6B、
図7を参照して、本発明の第2の実施形態に係る電池パック110の構成の一例について説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
(電池ユニット)
電池ユニット120の第1の端面部20S1は、発泡樹脂部材30Aの第1の主面部30AS1に向けて突出した1または2以上の凸部24Aを有する。また、電池ユニット120の第2の端面部20S2は、発泡樹脂部材30Bの第1の主面部30BS1に向けて突出した1または2以上の凸部24Bを有する。
【0051】
凸部24Aは、電池パック110の組み立て時に、発泡樹脂部材130Aの第1の主面部30AS1を押圧し、好ましくは凹状に塑性変形させる押し子(pusher)として機能を有する。凸部24Bは、電池パック110の組み立て時に、発泡樹脂部材130Bの第1の主面部30BS1を押圧し、好ましくは凹状に塑性変形させる押し子として機能を有する。
【0052】
凸部24Aは、例えば、発泡樹脂部材30Aの第1の主面部30AS1に向けてホルダ22の一部を突出させることにより構成されている。この場合、タブ23Aが1または2以上の貫通孔(図示せず)を有し、この貫通孔を介して凸部24Aが突出する構成とされる。なお、凸部24Aが、発泡樹脂部材30Aの第1の主面部30AS1に向けてタブ23Aの一部を突出させることにより構成されていてもよい。凸部24Bは、上述した凸部24Aと同様にして構成されている。
【0053】
(発泡樹脂部材)
発泡樹脂部材130Aの第1の主面部30AS1は、電池ユニット120の第1の端面部20S1から遠ざかる方向に窪んだ1または2以上の凹部35を有する。なお、発泡樹脂部材130Bは、発泡樹脂部材130Aと同様の構成を有するため、発泡樹脂部材130Bの構成については説明を省略する。
【0054】
凹部35は、発泡樹脂部材130Aの凸部24Aを収容する。凹部35の底部35Aには、電池ユニット120の凸部24Aの頂部が押し当てられている。凹部35の底部35Aは、凸部24Bを介して電池ユニット120の第1の端面部20S1を支持する。凹部35の底部35Aは、平面部31よりも硬い。より具体的には、凹部35の底部35Aを構成する発泡樹脂は、平面部31を構成する発泡樹脂に比べて低い発泡密度を有している。凹部35は、本発明の“第2の表面部”の一具体例に相当する。
【0055】
凹部35の側面が、平面部31よりも硬くてもよい。より具体的には、凹部35の側面が、平面部31よりも発泡密度が低い発泡樹脂により構成されていてもよい。衝撃荷重や振動が繰り返し加えられたときの電池パック10の耐衝撃性の低下を抑制するためには、凹部35の底部35Aは、塑性変形していることが好ましい。凹部35の窪み空間の形状としては、例えば、上述の第1の実施形態における凸部32と同様の形状を例示することができる。2以上の凹部35は、発泡樹脂部材130Aの第1の主面部30AS1に規則的に配置されていてもよいし、ランダムに配置されていてもよい。
【0056】
発泡樹脂部材130Aの凹部35は、例えば、電池パック110の組み立て時、電池ユニット120の第1の端面部20S1が有する凸部24Aを、発泡樹脂部材30Aの第1の主面部30AS1に押し当て凹状に圧縮し、好ましくは塑性変形させることにより形成される。このように第1の主面部30AS1を圧縮することにより凹部35を形成することで、凹部35の底部35Aを平面部31よりも硬くすることができる。
【0057】
[効果]
第2の実施形態に係る電池パック110では、発泡樹脂部材130Aは、電池ユニット120の第1の端面部20S1と対向する第1の主面部30AS1を有し、第1の主面部30AS1は、平面部(第1の表面部)31および凹部(第2の表面部)35を含み、凹部35の底部35Aは平面部31よりも硬く、電池ユニット120の第1の端面部20S1を凸部24Aを介して支持する。また、発泡樹脂部材130Bは、電池ユニット120の第2の端面部20S2と対向する第1の主面部30BS1を有し、第1の主面部30BS1は、平面部(第1の表面部)31および凹部(第2の表面部)35を含み、凹部35の底部35Aは平面部31よりも硬く、電池ユニット120の第2の端面部20S2を凸部24Bを介して支持する。これにより、衝撃や振動が繰り返し電池パック110に加えられた場合にも、発泡樹脂部材130Aの第1の主面部30AS1および発泡樹脂部材130Bの第1の主面部30BS1が塑性変形することを抑制することができる。したがって、衝撃荷重や振動が繰り返し電池パック110に加えられたときの電池パック110の耐衝撃性の低下を抑制することができる。さらに、発泡樹脂部材130Aの凹部35に電池ユニット120の凸部24Aが食い込むと共に、発泡樹脂部材130Bの凹部35に電池ユニット120の凸部24Bが食い込むため、電池ユニット120の横ずれに対する保持力が向上する。
【0058】
<第3の実施形態>
図8A、
図8B、
図9を参照して、本発明の第3の実施形態に係る電池パック210の構成の一例について説明する。なお、第3の実施形態において、第1の実施形態または第2の実施形態と同様の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
(発泡樹脂部材)
発泡樹脂部材230Aの第1の主面部30AS1は、平面部31と面一に構成された1または2以上の平面部36を有する。なお、発泡樹脂部材230Bは、発泡樹脂部材230Aと同様の構成を有するため、発泡樹脂部材230Bの構成については説明を省略する。
【0060】
平面部36は、平面部31よりも硬い。より具体的には、平面部36を構成する発泡樹脂は、平面部31を構成する発泡樹脂に比べて低い発泡密度を有している。平面部36は、本発明の“第2の表面部”の一具体例に相当する。平面部36を含む部分は、例えば、発泡樹脂部材30Aのその他の部分と一体成形されている。衝撃荷重や振動が繰り返し加えられたときの電池パック210の耐衝撃性の低下を抑制するためには、平面部36は、塑性変形していることが好ましい。平面部36の形状は、例えば、多角形状、円形状、楕円形状または不定形状等が挙げられるが、これらの形状に限定されるものではない。2以上の平面部36は、発泡樹脂部材230Aの第1の主面部20AS1に規則的に配置されていてもよいし、ランダムに配置されていてもよい。
【0061】
平面部36はそれぞれ、電池ユニット120の第1の端面部20S1が有する凸部24Aに対向する位置に設けられている。平面部36の少なくとも一部には凸部24Aが押し当てられている。平面部36の少なくとも一部は、凸部24Aに接触している。平面部36は、凸部24Aを介して電池ユニット120の第1の端面部20S1を支持する。
【0062】
発泡樹脂部材230Aの平面部36は、電池パック210の組み立て時に、例えば以下のようにすることで形成される。第1の主面部30AS1のうち平面部36に対応する位置に凸部が設けられた発泡樹脂部材230Aを準備する。第1の主面部30AS1に設けられた凸部に対して、電池パック210の第1の端面部20S1が有する凸部24Aを押し当て圧縮し、好ましくは塑性変形させ、凸部を押し潰すことにより、平面部36を形成する。
【0063】
[効果]
第3の実施形態に係る電池パック210では、発泡樹脂部材230Aは、電池ユニット120の第1の端面部20S1と対向する第1の主面部30AS1を有し、第1の主面部30AS1は、平面部(第1の表面部)31および平面部(第2の表面部)36を含み、平面部36は平面部31よりも硬く、電池ユニット120の第1の端面部20S1を凸部24Aを介して支持する。また、発泡樹脂部材30Bは、電池ユニット120の第2の端面部20S2と対向する第1の主面部30BS1を有し、第1の主面部30BS1は、平面部(第1の表面部)31および平面部(第2の表面部)36を含み、平面部36は平面部31よりも硬く、電池ユニット120の第2の端面部20S2を凸部24Bを介して支持する。これにより、衝撃や振動が繰り返し電池パック210に加えられた場合にも、発泡樹脂部材230Aの第1の主面部30AS1および発泡樹脂部材230Bの第1の主面部30BS1が塑性変形することを抑制することができる。したがって、衝撃荷重や振動が繰り返し電池パック210に加えられたときの電池パック10の耐衝撃性の低下を抑制することができる。さらに、発泡樹脂部材230A、230Bと電池ユニット120の凹凸を勘合するための位置合わせを正確に行う必要がないため、電池ユニット120を組み込む際の作業性がよくなる。
【0064】
<変形例>
以上、本発明の第1~第3の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の第1~第3の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0065】
例えば、上述の第1~第3の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。
【0066】
また、上述の第1~第3の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0067】
(変形例1)
上述の第1の実施形態では、発泡樹脂部材30Aの第1の主面部30AS
1および発泡樹脂部材30Bの第1の主面部30BS
1に設けられた1または2以上の凸部32が、柱状や錐体状等を有する場合について説明したが、凸部32の形状はこれに限定されるものではない。例えば、凸部32が、
図10に示すように、線状を有するようにしてもよい。
【0068】
2以上の線状の凸部32の配置形態としては、例えば、ストライプ状、格子状、同心円状、螺旋状、幾何学模様状等が挙げられるが、これらの配置形態に限定されるものではない。線は、直線に限らず湾曲または蛇行していてもよい。また、線は、連続的であってもよいし、部分的に分断されて不連続になっていてもよい。凸部32の延設方向に垂直な方向に凸部32を切断して得られる断面形状としては、例えば、多角形状(例えば三角形状、長方形状、台形状等)、放物線状、半円状または半楕円状等が挙げられるが、これらの形状に限定されるものではない。
【0069】
(変形例2)
上述の第2の実施形態では、発泡樹脂部材130Aの第1の主面部30AS
1および発泡樹脂部材130Bの第1の主面部30BS
1に設けられた1または2以上の凹部35が、柱状や錐体状の窪み空間を有する場合について説明したが、凹部35の窪み空間の形状はこれに限定されるものではない。例えば、凹部35の窪み空間が、
図11Aに示すように、線状を有するようにしてもよい。この場合、電池ユニット120の第1の端面部20S
1に設けられた1または2以上の凸部24Aも、
図11Bに示すように、線状を有するようにしてもよい。また、図示を省略するが、電池ユニット120の第2の端面部20S
2に設けられた1または2以上の凸部24Bも、線状を有するようにしてもよい。このような構成をとることにより発泡樹脂部材130Aの凹部35と電池ユニット120の凸部24Aが食い込むと共に、発泡樹脂部材130Bの凹部35と電池ユニット120の凸部24Bが食い込むため、電池ユニット120の横ずれに対する保持力が向上する。
【0070】
2以上の線状の凹部35の配置形態、および2以上の線状の凸部24Aの配置形態としては、上述の変形例1における凸部32と同様の配置形態を例示することができる。凹部35の延設方向に垂直な方向に凹部35を切断して得られる断面形状、および凸部24Aの延設方向に垂直な方向に凸部24Aを切断して得られる断面形状としては、上述の変形例1における凸部32と同様の断面形状を例示することができる。
【0071】
(変形例3)
上述の第3の実施形態では、発泡樹脂部材230Aが、平面部36を含む部分がそれ以外の部分と一体成形された構成を有している場合について説明したが、発泡樹脂部材230Aの構成はこれに限定されるものではない。例えば、発泡樹脂部材230Aが、
図12A、
図12Bに示すように、平面部36を含む部分がそれ以外の部分と別体になっていてもよい。すなわち、平面部31を構成する発泡樹脂部材から平面部36を構成する発泡樹脂部材を分離可能に構成されていてもよい。
【0072】
発泡樹脂部材230Aは、本体部231と、1または2以上のブロック37とを備える。本体部231は、1または2以上の孔部38を有する。孔部38は、第1の主面部30AS1から第2の主面部30AS2に向けて貫通した貫通孔であってもよいし、第1の主面部30AS1に設けられた窪みであってもよい。本体部231は、第1の発泡樹脂により構成されている。
【0073】
ブロック37は孔部38に収容され、ブロック37により孔部38が埋められている。ブロック37は、平面部36を含み、第1の発泡樹脂よりも発泡密度が低い第2の発泡樹脂により構成されている。
図12A、
図12Bのような構成にすることにより、電池ユニット120の重量に応じてブロック37を適宜変更することで、重量の異なる電池ユニット120に対しても発泡樹脂部材230Aを流用できる。
【0074】
なお、上述の変形例3では、発泡樹脂部材230Aについて説明したが、発泡樹脂部材230Bを上述の変形例3の発泡樹脂部材230Aと同様の構成としてもよい。また、第1の実施形態における発泡樹脂部材30A、30Bが、上述の変形例3のように、凸部32を含む部分がそれ以外の部分と別体になっていてもよいし、第2の実施形態における発泡樹脂部材130A、130Bが、上述の変形例3のように、凹部35を含む部分がそれ以外の部分と別体になっていてもよい。
【0075】
(変形例4)
上述の第1~第3の実施形態では、ケース11の第1の端面部11Aと電池ユニット20の第1の端面部20S1の間に発泡樹脂部材30Aを設け、ケース11の第2の端面部11Bと電池ユニット20の第2の端面部20S2の間に発泡樹脂部材30Bを設ける場合について説明したが、発泡樹脂部材の配置形態はこれに限定されるものではない。ケース11の壁部11Cと電池ユニット20の周面部20S3の間に発泡樹脂部材をさらに設けるようにしてもよい。また、ケース11の内側面と電池ユニット20の表面の間のすべてに発泡樹脂部材を設けるようにしてもよい。この場合、発泡樹脂部材としては、第1~第3の実施形態における発泡樹脂部材30A、130A、230Aのうちのいずれか一つを用いるようにしてもよいし、2以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。
電池ユニット20の一端面または一側面に、第1~第3の実施形態における発泡樹脂部材30A、130A、230Aのうちのいずれか一つが備えられていてもよいし、2以上が組み合わされて備えられていてもよい。
【0076】
(変形例5)
上述の第1~第3の実施形態では、電池21が円柱状を有する場合について説明したが、電池21の形状はこれらに限定されるものではない。例えば、電池21が、扁平状、角形状、湾曲形状(アーチ状)等を有していてもよい。扁平状の電池として例えば、ラミネート外装を有するラミネート型電池を用いてもよい。
【0077】
(変形例6)
上述の第1~第3の実施形態では、電池ユニット20、120が複数の電池21を備える場合について説明したが、電池ユニット20、120が1つの電池21を備えるようにしてもよい。本発明において、電池ユニットには、複数の電池の集合体のみならず、1つの電池とタブ等の部品とにより構成される集合体等も概念的に含まれるものとする。
【0078】
<応用例>
[応用例としての電動工具]
以下、
図13を参照して、上述の第1~第3の実施形態およびそれらの変形例に係る電池パック10、110、210のいずれかを備える電動工具500について説明する。
【0079】
電動工具500は、例えば、電動ドリルであり、プラスチック材料等により形成された工具本体501の内部に、制御部502と、電源503とを備えている。この工具本体501には、例えば、可動部であるドリル部504が稼働(回転)可能に取り付けられている。
【0080】
制御部502は、電動工具全体の動作(電源503の使用状態を含む)を制御するものであり、例えば、CPU等を含む。電源503は、上述の第1~第3の実施形態およびそれらの変形例に係る電池パック10、110、210のいずれかを1または2以上備える。制御部502は、図示を省略した動作スイッチの操作に応じて、電源503からドリル部504に電力を供給する。
【0081】
[応用例としてのハイブリッド車両]
以下、上述の第1~第3の実施形態およびそれらの変形例に係る電池パック10、110、210のいずれかを備える車両用の蓄電システムについて説明する。
【0082】
図14は、車両用の蓄電システムとしてシリーズハイブリッドシステムを採用したハイブリッド車両の構成を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムは、エンジンで動かす発電機で発電された電力、またはそれを電池に一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行するシステムである。
【0083】
このハイブリッド車両600には、エンジン601、発電機602、電力駆動力変換装置603、駆動輪604a、駆動輪604b、車輪605a、車輪605b、蓄電装置608、車両制御装置609、各種センサ610および充電口611が搭載されている。蓄電装置608は、上述の第1~第3の実施形態およびそれらの変形例に係る電池パック10、110、210のいずれかを1または2以上備える。
【0084】
ハイブリッド車両600は、電力駆動力変換装置603を動力源として走行する。電力駆動力変換装置603の一例は、モータである。蓄電装置608の電力によって電力駆動力変換装置603が作動し、この電力駆動力変換装置603の回転力が駆動輪604a、604bに伝達される。なお、必要な個所に直流-交流(DC-AC)変換または逆変換(AC-DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置603として交流モータおよび直流モータのいずれも使用可能である。各種センサ610は、車両制御装置609を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ610には、速度センサ、加速度センサおよびエンジン回転数センサ等が含まれる。
【0085】
エンジン601の回転力は発電機602に伝えられ、その回転力によって発電機602により生成された電力を蓄電装置608に蓄積することが可能である。
【0086】
図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置603に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置603により生成された回生電力が蓄電装置608に蓄積される。
【0087】
蓄電装置608は、充電口611を介して外部電源に接続されることで、その外部電源から充電口611を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
【0088】
図示しないが、二次電池に関する情報に基づいて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていてもよい。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置等がある。
【0089】
なお、上述の応用例では、エンジンで動かす発電機で発電された電力、またはそれを電池に一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車両を例として説明したが、本発明に係る電池を使用可能な車両はこれに限定されるものではない。例えば、エンジンとモータを駆動源として使用し、エンジンのみで走行、モータのみで走行、およびエンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車両であってもよいし、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する電動車両であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
10、110、210 電池パック
11 ケース
11A 第1の端面部
11B 第2の端面部
11C 壁部
11CA ケース本体
11CB 蓋部
11D 開口部
12 基板
12A 制御部
12B コネクタ
20、120 電池ユニット
20S1 第1の端面部
20S2 第2の端面部
21 電池
22 ホルダ
22A 第1のホルダ
22B 第2のホルダ
23A、23B タブ
23A1、23A2、23B1、23B2 接続端子
24A、24B 凸部
30A、130A、230A 発泡樹脂部材
30B、130B、230B 発泡樹脂部材
30AS1、30BS1 第1の主面部
30AS2、30BS2 第2の主面部
31 平面部(第1の表面部)
32 凸部(第2の表面部)
32A 頂部
33 周壁部
34 凹部
35 凹部(第2の表面部)
35A 底部
36 平面部(第2の表面部)
37 ブロック
38 孔部
231 本体部
500 電動工具
600 ハイブリッド車両