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特許7197005電界効果型トランジスタおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】電界効果型トランジスタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20221220BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20221220BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20221220BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20221220BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20221220BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20221220BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H01L29/80 F
H01L29/80 H
H01L29/48 D
H01L29/58 Z
H01L29/48 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021524549
(86)(22)【出願日】2019-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2019022209
(87)【国際公開番号】W WO2020245922
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-10-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、総務省「テラヘルツセンシングシステム基盤技術の研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】堤 卓也
(72)【発明者】
【氏名】松崎 秀昭
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-184786(JP,A)
【文献】特開2003-059944(JP,A)
【文献】特開平10-125696(JP,A)
【文献】特開2004-214321(JP,A)
【文献】特開平11-162994(JP,A)
【文献】特開2019-079975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 29/47
H01L 29/423
H01L 21/329
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上に、バッファ層、チャネル層、障壁層、キャリア供給層、オーミックキャップ層が形成された状態とする第1工程と、
前記オーミックキャップ層の上に、互いに離間してソース電極およびドレイン電極を形成する第2工程と、
前記オーミックキャップ層の上に、前記ソース電極および前記ドレイン電極の間に位置する絶縁層を形成する第3工程と、
前記絶縁層に、前記ドレイン電極より前記ソース電極の近くに位置するゲート開口部を形成する第4工程と、
前記絶縁層に、前記ゲート開口部と前記ドレイン電極との間に位置する第1開口部、第2開口部、および第3開口部を形成する第5工程と、
前記ゲート開口部、前記第1開口部、前記第2開口部、および前記第3開口部を有する前記絶縁層をマスクとして前記オーミックキャップ層をエッチングし、前記オーミックキャップ層の一部を平面視で前記ゲート開口部から前記ソース電極の方向および前記ドレイン電極の方向へ除去したリセス領域を、前記ゲート開口部、前記第1開口部、前記第2開口部、および前記第3開口部の下の領域に形成する第6工程と、
前記絶縁層の上に配置されて、一部が前記ゲート開口部より前記リセス領域に嵌入して前記障壁層にショットキー接合したゲート電極を形成する第7工程と
を備え、
前記第1開口部は、ゲート幅方向に複数配列され、各々が平面視でゲート長方向に沿った短冊状の形状を有し、
前記第2開口部は、平面視でゲート幅方向に沿った短冊状の形状を有して複数の前記第1開口部と連結し、
前記第3開口部は、ゲート幅方向に沿って配列された複数の前記第1開口部の配列の外側の領域に設けられ、前記配列の端部の前記第1開口部に連結し、平面視で前記配列の端部の前記第1開口部から離れるほど幅拡となる形状に形成され、
前記リセス領域の前記ゲート電極から前記ドレイン電極側のゲート長方向の長さは、前記ゲート電極から前記ソース電極側のゲート長方向の長さより大きい
ことを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の電界効果型トランジスタの製造方法において、
前記第3工程の後で、前記絶縁層の上に上部絶縁層を形成する第8工程と、
前記絶縁層に形成した前記ゲート開口部に連続する上部ゲート開口部を前記上部絶縁層に形成する第9工程と
を備え、
前記第7工程では、前記上部絶縁層の上に配置されて一部が前記上部ゲート開口部および前記ゲート開口部より前記リセス領域に嵌入して前記障壁層にショットキー接合したゲート電極を形成する
ことを特徴とする電界効果型トランジスタの製造方法。
【請求項3】
半導体基板の上に形成されたバッファ層、チャネル層、障壁層、キャリア供給層、およびオーミックキャップ層と、
前記オーミックキャップ層の上に互いに離間して形成されたソース電極およびドレイン電極と、
前記オーミックキャップ層の上に形成された、前記ソース電極および前記ドレイン電極の間に位置する絶縁層と、
前記絶縁層に形成され、平面視で前記リセス領域内の前記ドレイン電極より前記ソース電極の近くに配置されたゲート開口部と、
前記絶縁層に形成され、平面視で前記ゲート開口部と前記ドレイン電極との間に配置された複数の第1開口部、第2開口部、および第3開口部と、
前記ゲート開口部、前記第1開口部、前記第2開口部、および前記第3開口部の下の領域を含む前記オーミックキャップ層の一部を、平面視で前記ゲート開口部から前記ソース電極の方向および前記ドレイン電極の方向へ除去したリセス領域と、
前記絶縁層の上に形成されて一部が前記ゲート開口部より前記リセス領域に嵌入して前記障壁層にショットキー接合したゲート電極と
を備え、
前記複数の第1開口部は、ゲート幅方向に沿って配列され、各々が平面視でゲート長方向に沿った短冊状の形状を有し、
前記第2開口部は、平面視でゲート幅方向に沿った短冊状の形状を有して前記複数の第1開口部と連結し、
前記第3開口部は、ゲート幅方向に沿って配列された複数の前記第1開口部の配列の外側の領域に設けられ、前記配列の端部の前記第1開口部に連結し、平面視で前記配列の端部の前記第1開口部から離れるほど幅拡となる形状に形成され、
前記リセス領域の前記ゲート電極から前記ドレイン電極側のゲート長方向の長さは、前記ゲート電極から前記ソース電極側のゲート長方向の長さより大きい
ことを特徴とする電界効果型トランジスタ。
【請求項4】
請求項3記載の電界効果型トランジスタにおいて、
前記第3開口部は、一対設けられ、前記複数の第1開口部の配列の両端部の前記第1開口部の各々に連結されていることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
【請求項5】
請求項3または4記載の電界効果型トランジスタにおいて、
前記第2開口部は、ゲート長方向において前記複数の第1開口部の中央部に連結していることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
【請求項6】
請求項3または4記載の電界効果型トランジスタにおいて、
前記第2開口部は、ゲート長方向において前記複数の第1開口部の一端側で連結していることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
【請求項7】
請求項3または4記載の電界効果型トランジスタにおいて、
前記第2開口部は、ゲート長方向において前記複数の第1開口部の一端側と他端側とに交互に連結されていることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
【請求項8】
請求項3~7のいずれか1項に記載の電界効果型トランジスタにおいて、
前記絶縁層の上に形成された上部絶縁層と、
前記上部絶縁層に形成されて、前記ゲート開口部に連続する上部ゲート開口部と
をさらに備え、
前記ゲート電極は、一部が前記上部ゲート開口部および前記ゲート開口部より前記リセス領域に嵌入して前記障壁層にショットキー接合している
ことを特徴とする電界効果型トランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界効果型トランジスタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
0.3~3.0THzの電磁波周波数帯であるテラヘルツ波の性質には、数10Gb/sを超える高速無線通信や、3次元イメージングによる非破壊内部検査、電磁波吸収を利用した成分分析など、これまでにはない新たなアプリケーション創出の可能性が秘められている。
【0003】
テラヘルツ波によるアプリケーションを実現する場合には、これを構成する電子デバイスにもより良好な高周波特性が必要とされる。一般的に、良好な高周波特性を有する電子デバイスとして、物性的に特に高い電子移動度を有する化合物半導体を材料とした電界効果型トランジスタが用いられる。
【0004】
上述した電界効果型トランジスタは、半導体基板と、半導体基板の上に形成される半導体積層構造と、半導体積層構造の表面に形成されるゲート電極、およびゲート電極の両脇に形成されるソース電極、ドレイン電極から構成される。特に、高周波特性に優れる高電子移動度トランジスタでは、半導体積層構造は、半導体基板の側から、バッファ層、チャネル層、障壁層、キャリア供給層、パッシベーション層、オーミックキャップ層が順次に積層されて構成されている。
【0005】
この種の電界効果型トランジスタでは、ゲート電極に対して電位を印加すると、印加した電位の強度に応じ、キャリア供給層からチャネル層に対してキャリアが供給されて形成される2次元電子ガスの濃度が変調され、ソース電極、ドレイン電極間に形成された伝導チャネルを通じて電子が移動する。この電子(キャリア)が移動(走行)する伝導チャネルが形成されるチャネル層と電子供給層とは、空間的に分離され、電子供給層における不純物による散乱が抑制される。このため、上述した電界効果型トランジスタでは、電子移動度を向上させることができ、高周波動作を実現することができる。
【0006】
電界効果型トランジスタの高周波特性を向上させるためには、ドレインコンダクタンス、およびソース抵抗を同時に低減することが重要となる。ドレインコンダクタンスを低減させるためには、短チャネル効果の抑制、あるいはドレイン領域の空乏化が有効である。この空乏化を実現するためには、リセス構造の採用が有効な手段である。リセス構造とは、ゲート電極形成部を含む、当該電極周辺のオーミックキャップ層を、ソース電極ならびにドレイン電極の両方向へ除去した構造をいう。
【0007】
電界効果型トランジスタのドレインコンダクタンス低減には、特許文献1に記載されるような、非対称リセス構造と呼ばれる構造を採用するとよいことが知られている。非対称リセス構造とは、特許文献1に示されているように、リセス領域を形成する際に、ソース電極側に比較してドレイン電極側のリセス領域のゲート長方向の長さをより大きくし、ドレイン電極側の広い領域にわたってキャリアを空乏化させることでドレインコンダクタンスを低減する(図6参照)。この構成では、ソース電極側のリセス領域のゲート長方向の長さがより短いので、ソース電極側の空乏化が避けられ、ソース抵抗の低減が同時にはかれる。これらの2つの効果によって、電界効果型トランジスタの高周波特性を向上させることができる。
【0008】
特許文献1の技術では、絶縁膜にゲート開口部およびこのゲート開口部のドレイン電極が配置された側に、複数の非対称リセス形成用開口部を形成し、この絶縁膜をマスクとしたエッチングにより、非対称リセス構造を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第3715557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述した従来の技術では、非対称リセス形成用の開口部の平面視の幅が、数10nmのオーダーと狭く、エッチング液が入りにくいという問題があった。この問題は、非対称リセス形成用の開口部の各々から入るエッチングの液の量の不均一を招き、各開口部の箇所からのエッチング量の均一性劣化をもたらす。また、十分な開口広さを有するゲート開口部からのエッチング速度に対し、非対称リセス形成用の開口部からのエッチング速度が遅くなり、非対称リセス構造とするための十分なエッチング量が実現できないという課題があった。
【0011】
一方で、エッチング液がより滲入しやすくするために、非対称リセス形成用の開口部の幅をより広くすると、リセス領域形成後のゲート電極形成時に堆積される金属が、開口部を介してリセス領域の障壁層上にまで堆積され、寄生容量の増加、実効ゲート長増大による動作速度の劣化が生じる恐れが生じる。さらに、非対称リセス形成用の開口部の幅を広くすると、絶縁膜やゲート電極の機械的強度が劣化し、結果として信頼性の低下につながる。
【0012】
また、上述した技術では、非対称リセス量が、非対称リセス形成用の開口部の数によって決定されてしまう。非対称リセス形成用の開口部の面積は、すでに十分に小さくされていることから調整自由度がない。また、非対称リセス形成用の開口部の間隔も、リソグラフィ技術の解像度制限(限界)によって、一定以上に小さくすることはできず、結果としてデバイス設計自由度を低下させてしまう。
【0013】
以上に説明したように、従来の技術では、任意の非対称リセス量を有する電界効果型トランジスタを、均一性良くかつ特性劣化なく作製することが容易ではないという問題があった。
【0014】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、電界効果型トランジスタの非対称リセス構造が、より高い設計自由度で、均一性良く形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る電界効果型トランジスタの製造方法は、半導体基板の上に、バッファ層、チャネル層、障壁層、キャリア供給層、オーミックキャップ層が形成された状態とする第1工程と、オーミックキャップ層の上に、互いに離間してソース電極およびドレイン電極を形成する第2工程と、オーミックキャップ層の上に、ソース電極およびドレイン電極の間に位置する絶縁層を形成する第3工程と、絶縁層に、ドレイン電極よりソース電極の近くに位置するゲート開口部を形成する第4工程と、絶縁層に、ゲート開口部とドレイン電極との間に位置する第1開口部、第2開口部、および第3開口部を形成する第5工程と、ゲート開口部、第1開口部、第2開口部、および第3開口部を有する絶縁層をマスクとしてオーミックキャップ層をエッチングし、オーミックキャップ層の一部を平面視でゲート開口部からソース電極の方向およびドレイン電極の方向へ除去したリセス領域を、ゲート開口部、第1開口部、第2開口部、および第3開口部の下の領域に形成する第6工程と、絶縁層の上に配置されて、一部がゲート開口部よりリセス領域に嵌入して障壁層にショットキー接合したゲート電極を形成する第7工程とを備え、第1開口部は、ゲート幅方向に複数配列され、各々が平面視でゲート長方向に沿った短冊状の形状を有し、第2開口部は、平面視でゲート幅方向に沿った短冊状の形状を有して複数の第1開口部と連結し、第3開口部は、ゲート幅方向に沿って配列された複数の第1開口部の配列の外側の領域に設けられ、配列の端部の第1開口部に連結し、平面視で配列の端部の第1開口部から離れるほど幅拡となる形状に形成され、リセス領域のゲート電極からドレイン電極側のゲート長方向の長さは、ゲート電極からソース電極側のゲート長方向の長さより大きい。
【0016】
上記電界効果型トランジスタの製造方法の一構成例において、第3工程の後で、絶縁層の上に上部絶縁層を形成する第8工程と、第4工程の前に、絶縁層に形成したゲート開口部に連続する上部ゲート開口部を上部絶縁層に形成する第9工程とを備え、第7工程では、上部絶縁層の上に配置されて一部が上部ゲート開口部およびゲート開口部よりリセス領域に嵌入して障壁層にショットキー接合したゲート電極を形成する。
【0017】
本発明に係る電界効果型トランジスタは、半導体基板の上に形成されたバッファ層、チャネル層、障壁層、キャリア供給層、およびオーミックキャップ層と、オーミックキャップ層の上に互いに離間して形成されたソース電極およびドレイン電極と、オーミックキャップ層の上に形成された、ソース電極およびドレイン電極の間に位置する絶縁層と、絶縁層に形成され、平面視でリセス領域内のドレイン電極よりソース電極の近くに配置されたゲート開口部と、絶縁層に形成され、平面視でゲート開口部とドレイン電極との間に配置された複数の第1開口部、第2開口部、および第3開口部と、ゲート開口部、第1開口部、第2開口部、および第3開口部の下の領域を含むオーミックキャップ層の一部を、平面視でゲート開口部からソース電極の方向およびドレイン電極の方向へ除去したリセス領域と、絶縁層の上に形成されて一部がゲート開口部よりリセス領域に嵌入して障壁層にショットキー接合したゲート電極とを備え、複数の第1開口部は、ゲート幅方向に沿って配列され、各々が平面視でゲート長方向に沿った短冊状の形状を有し、第2開口部は、平面視でゲート幅方向に沿った短冊状の形状を有して複数の第1開口部と連結し、第3開口部は、ゲート幅方向に沿って配列された複数の第1開口部の配列の外側の領域に設けられ、配列の端部の第1開口部に連結し、平面視で配列の端部の第1開口部から離れるほど幅拡となる形状に形成され、リセス領域のゲート電極からドレイン電極側のゲート長方向の長さは、ゲート電極からソース電極側のゲート長方向の長さより大きい。
【0018】
上記電界効果型トランジスタの一構成例において、第3開口部は、一対設けられ、複数の第1開口部の配列の両端部の第1開口部の各々に連結されている。
【0019】
上記電界効果型トランジスタの一構成例において、第2開口部は、ゲート長方向において複数の第1開口部の中央部に連結している。
【0020】
上記電界効果型トランジスタの一構成例において、第2開口部は、ゲート長方向において複数の第1開口部の一端側で連結している。
【0021】
上記電界効果型トランジスタの一構成例において、第2開口部は、ゲート長方向において複数の第1開口部の一端側と他端側とに交互に連結されている。
【0022】
上記電界効果型トランジスタの一構成例において、絶縁層の上に形成された上部絶縁層と、上部絶縁層に形成されて、ゲート開口部に連続する上部ゲート開口部とをさらに備え、ゲート電極は、一部が上部ゲート開口部およびゲート開口部よりリセス領域に嵌入して障壁層にショットキー接合している。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、ゲート幅方向に複数配列された短冊状の第1開口部と、隣り合う第1開口部を連結する第2開口部と、配列の端部の第1開口部の配列から離れる側に連結された第3開口部とを用いるようにしたので、電界効果型トランジスタの非対称リセス構造が、より高い設計自由度で、均一性良く形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A図1Aは、本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造における途中工程の状態を示す電界効果型トランジスタの断面図である。
図1B図1Bは、本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造における途中工程の状態を示す電界効果型トランジスタの断面図である。
図1C図1Cは、本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造における途中工程の状態を示す電界効果型トランジスタの断面図である。
図1D図1Dは、本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造における途中工程の状態を示す電界効果型トランジスタの断面図である。
図1E図1Eは、本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造における途中工程の状態を示す平面図である。
図1F図1Fは、本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造における途中工程の状態を示す電界効果型トランジスタの断面図である。
図1G図1Gは、本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造における途中工程の状態を示す電界効果型トランジスタの断面図である。
図1H図1Hは、本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造における途中工程の状態を示す電界効果型トランジスタの断面図である。
図1I図1Iは、本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造における途中工程の状態を示す電界効果型トランジスタの断面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る他の電界効果型トランジスタの構成を示す断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る他の電界効果型トランジスタの構成を示す平面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る他の電界効果型トランジスタの構成を示す平面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る他の電界効果型トランジスタの構成を示す平面図である。
図6図6は、特許文献1に開示された電界効果型トランジスタの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態に係る電界効果型トランジスタの製造方法について図1A図1Iを参照して説明する。
【0026】
まず、図1Aに示すように、例えば半絶縁性のInPから構成された半導体基板101の上に、バッファ層102、チャネル層103、障壁層104、キャリア供給層105、オーミックキャップ層106を形成する(第1工程)。
【0027】
例えば、半導体基板101の上に、InAlAsからなる層厚100~300nmのバッファ層102,InGaAsからなる層厚5~20nmのチャネル層103,InAlAsからなる層厚5~20nmの障壁層104,Siが1×1019~2×1019cm-3にドープされたInGaAsからなるオーミックキャップ層106を有機金属気相成長法や分子線エピタキシー法などにより結晶成長することで順次積層する。また、障壁層104には、よく知られたシートドープにより、不純物としてSiが1×1019cm-3ドープされたキャリア供給層105を形成する。ここで、実施の形態では、キャリア供給層105とオーミックキャップ層106との間に、InPからなる層厚2~5nmのパッシベーション層121を形成する。
【0028】
次に、図1Bに示すように、オーミックキャップ層106の上に、互いに離間してソース電極107およびドレイン電極108を形成する(第2工程)。ソース電極107およびドレイン電極108は、リセス領域を形成するリセス形成領域131を挟んで形成する。例えば、オーミックキャップ層106上に、Ti/Pt/Auを堆積して金属膜を形成し、この金属膜を公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術とによりパターニングすることで、ソース電極107およびドレイン電極108を形成する。また、公知のリフトオフ法により、ソース電極107およびドレイン電極108を形成することも可能である。ソース電極107,ドレイン電極108は、オーミックキャップ層106にオーミック接合する。
【0029】
次に、図1Cに示すように、オーミックキャップ層106の上に、ソース電極107およびドレイン電極108の間に位置する絶縁層109を形成する(第3工程)。例えば、よく知られたプラズマCVD法などにより、酸化シリコンまたは窒化シリコンを堆積することで、層厚20~200nmの絶縁層109を形成する。
【0030】
次に、図1D図1Eに示すように、絶縁層109に、ドレイン電極108よりソース電極107の近くに位置するゲート開口部110を形成する(第4工程)。ゲート開口部110は、ソース電極107との距離よりドレイン電極108との距離の方が大きい状態でリセス形成領域131内に配置される。ゲート開口部110は、ゲート幅方向(図1Dの紙面の法線方向)に沿ったストライプ状(短冊)の開口である。
【0031】
また、絶縁層109のリセス形成領域内でゲート開口部110とドレイン電極108との間に、第1開口部111a、第2開口部111b、第3開口部111cを形成する(第5工程)。
【0032】
まず、第1開口部111aは、ゲート幅方向に複数配列され、各々が平面視でゲート長方向に沿った短冊状の形状を有する。
【0033】
また、第2開口部111bは、平面視でゲート幅方向に沿った短冊状の形状を有し、複数の第1開口部と連結する。第2開口部111bは、隣り合う第1開口部111aを連結する。
【0034】
また、第3開口部111cは、ゲート幅方向に沿って配列された複数の第1開口部111aの配列の外側の領域に設けられ、配列の端部の第1開口部111aに連結し、平面視で配列の端部の第1開口部111aから離れるほど幅拡となる形状に形成されている。実施の形態では、第3開口部111cを、一対設け、上述した配列の両端部の第1開口部111aの各々に連結して形成する。また、実施の形態では、第3開口部111cと第1開口部111aとを、第2開口部111bにより連結している。
【0035】
例えば、公知の電子線リソグラフィ技術とエッチング技術とにより、ゲート開口部110、第1開口部111a、第2開口部111b、および第3開口部111cを形成する。
【0036】
例えば、複数の第1開口部111aは、各々同一の形状とすることができる。同様に、例えば、複数の第2開口部111bは、各々同一の形状とすることができる。また、2つの第3開口部111cは、各々同一の形状とすることができる。また、例えば、複数の第1開口部111aは、ゲート幅方向に平行な状態で配列して形成することもできる。なお、実施の形態では、9個の第1開口部111aを形成する例を示したが、これに限るものではなく、第1開口部111aの数は、所望とするリセス形状の形成に適合させて適宜に決定する。
【0037】
次に、図1Fに示すように、ゲート開口部110、第1開口部111a、第2開口部111b、および第3開口部111cを有する絶縁層109をマスクとしてオーミックキャップ層106をエッチングし、オーミックキャップ層106の一部を平面視でゲート開口部110からソース電極108の方向およびドレイン電極109の方向へ除去したリセス領域112を、ゲート開口部110、第1開口部111a、第2開口部111b、および第3開口部111cの下の領域に形成する(第6工程)。
【0038】
例えば、クエン酸などのエッチング液を用いたウエットエッチングにより、上述した開口の領域よりエッチング液を侵入させ、オーミックキャップ層106を等方的にエッチングする。このエッチングで、エッチング液は、各開口部よりオーミックキャップ層106を浸食し、エッチングの横方向の広がりによって1つのつながった空間であるリセス領域112を形成する。また、InPからなるパッシベーション層121を形成しておけば、InPはクエン酸系のエッチング液ではほとんどエッチングされないので、エッチングストッパーとなり、障壁層104がエッチングされることを防ぐことができる。
【0039】
上述したリセス領域112の形成において、ゲート開口部110を中心にゲート長方向を見ると、第1開口部111a、第2開口部111b、第3開口部111cを形成しているため、ゲート開口部110からドレイン側に形成されている空間は、ゲート開口部110からソース側に形成されている空間より広く形成される。このように、複数の第1開口部111a、第2開口部111b、第3開口部111cを設けることで、新たな工程を追加することなく、ゲート開口部110を中心にした非対称なリセス領域112が形成されることになる。
【0040】
第1開口部111aは、非対称リセス量を精度良く形成するために用いる。第2開口部111bは、第1開口部111aの各々に均等にエッチング液を行き渡らせるために用いる。第3開口部111cは、エッチング液が、第1開口部111a、第2開口部111bの全体に効率よくエッチング液を浸潤させるために用いる。なお、第3開口部111cは、ゲート幅方向にゲート開口部110の形成領域より外側の素子領域外部に形成することも可能である。なお、ソース電極107およびドレイン電極108は、リセス領域112を形成した後に形成してもよく、これらの作製の順序は、トランジスタ作製工程検討の範囲内である。
【0041】
第1開口部111aは、ゲート幅方向に配列される。また、ドレイン電極108の側のリセス領域112のゲート長方向の長さ(リセス量)、およびソース電極107の側のリセス領域112のゲート長方向の長さ(リセス量)に応じて、第1開口部111aの、ゲート長方向の開口長さや形成間隔が決定される。なお、リセス量は、オーミックキャップ層106のエッチング量に相当する。この点について、図1Eおよび図1Fを用いてより詳細に説明する。
【0042】
なお、以下では、リセス領域112における、ゲート開口部110からソース・ドレインの各々側のゲート長方向の長さを、「リセス幅」と称する。例えば、「ソース側のリセス幅rgs」は、リセス領域112における、ゲート開口部110からソース側のゲート長方向の長さである。また、「ドレイン側のリセス幅rgd」は、リセス領域112における、ゲート開口部110からドレイン側のゲート長方向の長さである。
【0043】
第1開口部111aは、ゲート開口部110とドレイン電極108との間に、ゲート長方向に複数並べて形成される。また、目的とするリセス幅rgsおよびリセス幅rgdを得るためのオーミックキャップ層106のエッチング量に応じ、第1開口部111aのゲート長方向の開口寸法lr、ゲート幅方向の開口寸法wr、および隣り合う第1開口部111aの間隔srが決定される。
【0044】
第1開口部111aは、絶縁層109の強度確保のために1列のみで形成され、特許文献1のように複数列は形成しない。基本的に,ソース抵抗は低ければ低いほど望ましく,リセスの形成によって空乏化によるソース抵抗の増加が懸念されるため、ソース電極側に非対称リセス形成用開口部は形成しない。なお、sgは、ゲート開口部110から第1開口部111aまでの距離である。
【0045】
上述した、rgd、rgs、sg、lrには、「rgd-rgs=(sg+lr)・・・(1)」の関係を成立させる。ただし、リセスエッチング残りを避けるために,「rgd≧sg・・・(2)」および「rgd≧0.5sr・・・(3)」の制約条件を満たすものとする。
【0046】
上述した関係を成立させることで、非対称リセス形成に必要なウエットエッチングのエッチングレートやエッチング時間に対して依存することなく、非対称リセス構造が形成できる。上述した関係および制約条件を満たす目的とする非対称リセス構造を形成する場合のエッチングレートαとエッチング時間Tは、「rgs=αT・・・(4)」により決定される。
【0047】
ソース電極側リセス領域、およびドレイン電極側リセス領域のエッチング量は,寄生抵抗の増大効果と,寄生容量やドレインコンダクタンスの低減効果のバランスに基づいて設計され、例えば典型的なリセス幅は、ソース電極側で20~200nm,ドレイン電極側で50~500nmである。この範囲でリセス領域を形成することによって,ソース抵抗を十分に低減させながら,かつドレインコンダクタンスをも十分に低減させることができ、高周波特性の向上に最適な非対称リセス構造が実現できる。
【0048】
例えば、非対称リセス幅をソース電極側でrgs=50nm,ドレイン電極側でrgd=200nmに設計する場合を考える。この条件では、式(1)の左辺は150nmとなるため,例えばsg=20nm,lr=130nmとして第1開口部111aを絶縁層109に形成する。非対称リセス形成に必要なウエットエッチング時間に関しては,例えばエッチングレートが50nm/min.の場合,式(3)を考慮して60sec.のエッチング時間とする。
【0049】
前述したように、第2開口部111bは、隣り合う第1開口部111aを接続し、均等にエッチング液を行き渡らせるために形成される。第2開口部111bの開口幅は、第1開口部111aの開口幅と同程度に形成される。ただし、絶縁層109の機械的強度を高くしたい場合には、第2開口部111bの幅は、第1開口部111aの幅よりも細く、例えば、第1開口部111aの1/3~1/2程度とすることができる。
【0050】
第3開口部111cは、平面視の形状をテーパ(台形)とし、長辺側の幅を第2開口部111bの幅の2~3倍とすることにより、エッチング液が第3開口部111cから効率よく、第1開口部111a、第2開口部111bの各々に効率よく浸潤させることができる。
【0051】
上述したように、第1開口部111a、第2開口部111b、第3開口部111cを用いることで、これらに対してエッチング液が均一に浸潤されて開口部よりオーミックキャップ層106の側に入り込むことができるようになり、非対称リセス形成の際の均一性、再現性を確保することができる。
【0052】
次に、図1Gに示すように、絶縁層109の上に上部絶縁層113を形成する(第8工程)。例えば、プラズマCVD法などにより、酸化シリコンまたは窒化シリコンを堆積することで、層厚20~200nmの上部絶縁層113を形成する。
【0053】
次に、図1Hに示すように、絶縁層109に形成したゲート開口部110に連続する上部ゲート開口部113aを上部絶縁層113に形成する(第9工程)。例えば、公知の電子線リソグラフィ技術とエッチング技術とにより、上部ゲート開口部113aを形成する。上部ゲート開口部113aは上部絶縁層113に形成するので、上部ゲート開口部113aの形成では、上部ゲート開口部113aを貫通させる程度のエッチングとする。このため、微細な上部ゲート開口部113aが形成できる。
【0054】
次に、図1Iに示すように、絶縁層109(上部絶縁層113)の上に配置されて、一部がゲート開口部110よりリセス領域112に嵌入して障壁層104にショットキー接合したゲート電極114を形成する(第7工程)。前述したように、ゲート開口部110からドレイン側に形成されている空間は、ゲート開口部110からソース側に形成されている空間より広く形成されているので、リセス領域112のゲート電極114からドレイン電極側のゲート長方向の長さは、ゲート電極114からソース電極側のゲート長方向の長さより大きい状態となる。
【0055】
例えば、上部絶縁層113のゲート開口部110を含む所定領域が開口してこれ以外のソース電極107,ドレイン電極108を含む領域が被覆されたリフトオフマスクを形成する。次いで、このリフトオフマスクの上よりゲート金属材料を堆積して金属膜を形成した後、リフトオフマスクを除去(リフトオフ)する。このリフトオフ法により、ゲート電極114が形成できる。上述した金属膜の形成において、堆積されてゲート開口部110に入り込んだ金属は、極薄いパッシベーション層121を貫通し、ゲート開口部110より望める障壁層104にショットキー接合する。
【0056】
前述したように、微細な上部ゲート開口部113a(ゲート開口部110)が形成できるので、ショットキー接合のゲート長方向の寸法が微細なゲート電極114が実現でき、良好な高周波特性を実現することができる。また、上部絶縁層113を形成し、第1開口部111a、第2開口部111b、第3開口部111cを塞ぐので、ゲート電極用金属がリセス領域112へ入り込むことが防げるので、寄生容量の低減や電界分布のゆがみが防止できるようになる。
【0057】
障壁層104とショットキー接合を形成しているゲート電極114に印加される電位によって、ショットキー接合の直下のチャネルを変調する機能を備えることになる。ゲート電極114のサイズ(ゲート長)や形状は、各々、ソース電極107、ドレイン電極108と寄生容量が発生せず、かつゲート電極114全体の抵抗が十分低くなるように設計する。
【0058】
ゲート電極114は、Ni、W、WSiNなど、半導体基板101に対する熱拡散が少なく、かつ仕事関数の大きな金属材料から構成する。また、これらの金属材料は、スパッタリング法や、真空蒸着法、無電解めっき法や電解めっき法などによって堆積することができる。ゲート電極114と障壁層104の接触面におけるゲート電極114の長さ(ゲート長)は、典型的には10~100nmである。
【0059】
また、ゲート電極114と障壁層104の接触面におけるゲート電極114の端からソース電極107の端までの距離は、少なくともソース側のリセス幅と同等かそれ以上であり、ゲート電極114からドレイン電極108の端までの距離は少なくともドレイン側のリセス幅と同等かそれ以上である。特に、トランジスタの出力特性を、より良好なものとするためには、ゲート電極114からソース電極107の端までの距離に比べ、ゲート電極114からドレイン電極108の端までの距離を長く設定することも可能である。
【0060】
ところで、上述では、第1開口部111a、第2開口部111b、第3開口部111cを絶縁層109に形成した後で、上部絶縁層113を形成するようにしたが、これに限るものではない。例えば、絶縁層109の形成に引き続いて上部絶縁層113を形成し、この後、ゲート開口部110および第1開口部111a、第2開口部111b、第3開口部111cを形成することも可能である。例えば、第1開口部111a、第2開口部111b、第3開口部111cは、上部絶縁層113および絶縁層109を貫通して形成し、この後で、リセス領域112を形成し、ゲート電極114を形成する。この場合、ゲート電極114の形成において、第1開口部111a、第2開口部111b、第3開口部111cに金属層が形成されるようになる。
【0061】
また、絶縁層109を用いてリセス領域112を形成した後、上部絶縁層113を形成せずに、ゲート電極114を形成することも可能である(図2参照)。この場合においても、ゲート電極114の形成において、第1開口部111a、第2開口部111b、第3開口部111cに金属層が形成されるようになる。ここで、第1開口部111a、第2開口部111b、第3開口部111cの幅wrを、例えば50nm以下で形成し、かつスパッタリング法によってゲート電極114を形成することにより、第1開口部111a、第2開口部111b、第3開口部111cを介した障壁層104やパッシベーション層121への金属の堆積が抑制できる。
【0062】
なお、図3に示すように、第2開口部111bは、ゲート長方向に第1開口部111aの中央部に配置することもできる。
【0063】
また、図4に示すように、第2開口部111bは、ゲート長方向に第1開口部111aの一端側に配置することもできる。図4に示す例では、ゲート電極114から離れる第1開口部111aの一端側に、第2開口部111bを配置している。この構成とすることで、ゲート電極114の上部と第2開口部111bおよび第3開口部111cとの干渉がなくなり、絶縁層109における面積比率が大きく機械強度が高い部分にゲート電極114を配置することが可能となり、デバイス作製の際の歩留まりを向上させることができる。
【0064】
また、図5に示すように、第2開口部111bは、ゲート長方向に第1開口部111aの一端側と他端側とに、交互に配置することもできる。この場合、第1開口部111aと第2開口部111bとの連続した開口部は、蛇行したメアンダ形状となる。この構造とすることによって、絶縁層109における機械応力の発生、偏りを低減し、デバイス作製の際の歩留まりを向上させることができる。
【0065】
以上に説明したように、本発明によれば、ゲート幅方向に複数配列された短冊状の第1開口部と、隣り合う第1開口部を連結する第2開口部と、配列の端部の第1開口部の配列から離れる側に連結された第3開口部とを用いるようにしたので、電界効果型トランジスタの非対称リセス構造が、より高い設計自由度で、均一性良く形成できるようになる。
【0066】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0067】
101…半導体基板、102…バッファ層、103…チャネル層、104…障壁層、105…キャリア供給層、106…オーミックキャップ層、107…ソース電極、108…ドレイン電極、109…絶縁層、110…ゲート開口部、111a…第1開口部、111b…第2開口部、111c…第3開口部、112…リセス領域、113…上部絶縁層、113a…上部ゲート開口部、114…ゲート電極、121…パッシベーション層、131…リセス形成領域。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2
図3
図4
図5
図6