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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】通信装置及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20221220BHJP
   H04W 68/00 20090101ALI20221220BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20221220BHJP
   H04W 72/12 20090101ALI20221220BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W68/00
H04W72/04 136
H04W72/12 150
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021525419
(86)(22)【出願日】2019-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2019022949
(87)【国際公開番号】W WO2020250278
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 好明
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 義博
(72)【発明者】
【氏名】青木 信久
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-545360(JP,A)
【文献】Nokia, Nokia Shanghai Bell,(TP for NR BL CR for TS 38.413): Correction of NSSAI for Paging,3GPP TSG RAN WG3 #101 R3-184428,フランス,3GPP,2018年08月10日
【文献】CATT,(TP for NR BL CR for TS 38.413): Allowed NSSAI in DL NAS TRANSPORT,3GPP TSG RAN WG3 #101 R3-184644,フランス,3GPP,2018年08月10日
【文献】Nokia, Nokia Shanghai Bell, NEC, InterDigital,(TP for NR BL CR for TS 38.413): Correction of NSSAI for Connection Establishment and Paging,3GPP TSG RAN WG3 adhoc_R3-AH-1807 R3-183623,フランス,3GPP,2018年06月25日
【文献】Ericsson,Slicing for LTE connected to 5G-CN,3GPP TSG RAN WG2 #97bis R2-1702558,フランス,3GPP,2017年03月24日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対向の通信装置と無線通信を実施する通信装置であって、
前記通信装置は、
当該通信装置が接続するネットワーク及び前記対向の通信装置との間の通信を実施する通信部と、
前記ネットワークから、前記対向の通信装置との上りデータ通信を要求する制御信号であって、要求する上りデータに関するネットワークスライスを識別する識別情報を含む制御信号を受信すると、前記制御信号にCRC部が特定の識別子によってマスクがされたPDCCHを付随させて前記複数の対向の通信装置に送信させ、前記複数の対向の通信装置のうちの、前記識別情報が示すネットワークスライスがアクセプトされた対向の通信装置に対して上りデータ通信を実行させる制御部と
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記要求に応じた前記上りデータ通信のための無線通信を制御することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記制御信号としてPaging又はDL NAS TRANSPORTを受信すると、前記複数の対向の通信装置に対して前記上りデータ通信を実行させることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
対向の通信装置と無線通信を実施する通信装置であって、
前記通信装置は、
ネットワークと接続する前記対向の通信装置との間の無線通信を実施する通信部と、
前記対向の通信装置から、上りデータ通信を要求する制御信号であって、要求する上りデータに関するネットワークスライスを識別する識別情報を含む制御信号を受信すると、前記制御信号にCRC部が特定の識別子によってマスクがされたPDCCHを付随させて前記対向の通信装置に送信させ、前記識別情報が示すネットワークスライスがアクセプトされた対向の通信装置との上りデータ通信を実行する制御部と
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項5】
複数の対向の通信装置と、複数の対向の通信装置と無線通信を実施する通信装置とを有する通信システムであって、
前記通信装置は、
当該通信装置が接続するネットワーク及び前記対向の通信装置との間の通信を実施する通信部と、
前記ネットワークから、前記対向の通信装置との上りデータ通信を要求する制御信号であって、要求する上りデータに関するネットワークスライスを識別する識別情報を含む制御信号を受信すると、前記制御信号にCRC部が特定の識別子によってマスクがされたPDCCHを付随させて前記複数の対向の通信装置に送信させ、前記複数の対向の通信装置のうちの、前記識別情報が示すネットワークスライスがアクセプトされた対向の通信装置に対して上りデータ通信を実行させる制御部と
を有することを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワーク(以下、単にNWと称する)は、モバイル端末(スマートフォンやフューチャーホン)のトラフィックがNWのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末が使うトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of a things)サービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開にあわせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、第5世代移動体通信(5Gまたは、NR(New Radio))の通信規格では、4G(第4世代移動体通信)の標準技術(例えば、非特許文献1~11)に加えて、さらなる高データレート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。なお、第5世代通信規格については、3GPP(Third Generation Partnership Project)の作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められている。そして、2017年の末に標準規格書の初版が出されている(非特許文献12~38)。
【0004】
例えば、5GのNRの下りデータ通信では、基地局がNWからのPaging Requestを受信した場合、Paging Requestを移動局に送信する。移動局は、基地局からのPaging Requestを受信した場合、NAS(Non Access Stratum)Service Requestを基地局に送信する。そして、基地局は、NAS Service RequestをNWに送信する。そして、移動局は、基地局を経由してNWとの間でNAS Procedureを実行して下りリンクを確立する。そして、NWは、基地局経由で下りデータ(Downlink Data)を移動局に送信する。NWは、NW起動で移動局との間の下りデータ通信を実現できる。
【0005】
また、5GのNRの上りデータ通信では、基地局が移動局からのNAS Service Requestを受信した場合、NAS Service RequestをNWに送信する。NWは、NAS Service Requestを受信した場合、基地局を経由して移動局との間でNAS Procedureを実行して上りリンクを確立する。そして、移動局は、基地局経由で上りデータ(Uplink Data)をNWに送信する。移動局は、移動局起動でNWとの間の上りデータ通信を実現できる。
【0006】
NWは、例えば、移動局に対するDL NAS TRANSPORT等の制御信号を基地局経由で各移動局に送信する場合、移動局毎に個別のDL NAS TRANSPORT等の制御信号を移動局に送信することになる。そして、各移動局は、個別のDL NAS TRANSPORTを受信した場合、DL NAS TRANSPORTに対するレスポンスを基地局経由でNWに送信することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-001900号公報
【文献】特表2015-536051号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】3GPP TS 36.211 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.212 V15.2.1(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.213 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.300 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.321 V15.2.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.322 V15.1.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.323 V15.0.0(2018-07)
【文献】3GPP TS 36.331 V15.2.2(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.413 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.423 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 36.425 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 37.340 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.201 V15.0.0(2017-12)
【文献】3GPP TS 38.202 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.211 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.212 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.213 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.214 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.215 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.300 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.321 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.322 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.323 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.331 V15.2.1(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.401 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.410 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.413 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.420 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.423 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.470 V15.2.0(2018-06)
【文献】3GPP TS 38.473 V15.2.1(2018-07)
【文献】3GPP TR 38.801 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.802 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.803 V14.2.0(2017-09)
【文献】3GPP TR 38.804 V14.0.0(2017-03)
【文献】3GPP TR 38.900 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.912 V15.0.0(2018-06)
【文献】3GPP TR 38.913 V15.0.0(2018-06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
NWは、例えば、移動局毎に個別のDL NAS TRANSPORT等の制御信号を基地局経由で移動局に送信する場合、移動局毎の個別の制御信号であるため、複数の移動局への一斉呼出や一斉制御等の制御信号のオーバヘッドが増加してしまう。
【0010】
一つの側面では、制御信号のオーバヘッドを低減できる通信装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの態様の通信装置は、複数の対向の通信装置と無線通信を実施する通信装置である。通信装置は、通信部と、制御部とを有する。通信部は、当該通信装置が接続するネットワーク及び前記対向の通信装置との間の通信を実施する。制御部は、前記ネットワークから、前記対向の通信装置との上りデータ通信を要求する制御信号であって、要求する上りデータに関する情報を含む制御信号を受信すると、前記複数の対向の通信装置に対して上りデータ通信を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
一つの態様では、制御信号のオーバヘッドを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例1の無線システムの一例を示す説明図である。
図2図2は、基地局のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、基地局の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、移動局のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、移動局の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、実施例1の無線システムの上りデータ通信動作の一例を示すシーケンス図である。
図7図7は、実施例2の無線システムの上りデータ通信動作の一例を示すシーケンス図である。
図8図8は、実施例2の変形例である上りデータ通信動作の一例を示すシーケンス図である。
図9図9は、実施例3の無線システムの上りデータ通信動作の一例を示すシーケンス図である。
図10図10は、実施例3の具体例である上りデータ通信動作の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書における課題及び実施例は一例であり、本願の権利範囲を限定するものではない。特に、記載の表現が異なっていたとしても技術的に同等であれば、異なる表現であっても本願の技術を適用可能であり、権利範囲を限定するものではない。そして、各実施の形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0015】
また、本明細書で使用している用語や記載した技術的内容は、3GPPなど通信に関する規格として仕様書や寄書に記載された用語や技術的内容が適宜用いられてもよい。このような仕様書としては、例えば、上述した3GPP TS 38.211 V15.1.0(2018-03)がある。
【0016】
以下に、本願の開示する通信装置及び通信システムの実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例は開示の技術を限定するものではない。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1の無線システム1の一例を示す説明図である。図1に示す無線システム1は、基地局2と、基地局2と無線通信する複数の移動局3と、コアネットワーク(以下、単にNWと称する)4とを有する。無線システム1は、例えば、5Gの無線システムである。移動局3は、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯端末である。
【0018】
図2は、基地局2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示す基地局2は、NIF(Network Interface)回路11と、複数のアンテナ素子12と、無線処理回路13と、記憶装置14と、LSI(Large Scale Integration)15と、プロセッサ16とを有する。NIF回路11は、他の基地局2と接続するNW4との間の有線通信を司るインタフェース(IF)回路である。無線処理回路13は、アンテナ素子12を通じて、移動局3との間の無線通信を司るIF回路である。記憶装置14は、各種情報を記憶する装置である。LSI15は、各種制御を実行する回路である。プロセッサ16は、基地局2全体を制御する。
【0019】
図3は、基地局2の機能構成の一例を示すブロック図である。基地局2は、機能として、通信部21と、制御部22とを有する。通信部21は、基地局2が接続するNW4及び移動局3との間の通信を実行する。制御部22は、NW4から、移動局3との上りデータ通信を要求する制御信号であって、要求する上りデータに関する情報を含む制御信号を受信すると、複数の移動局3に対して上りデータ通信を実行させる。つまり、制御部22は、制御信号を各移動局3に一括送信する。制御部22は、要求に応じた上りデータ通信のための無線通信を制御する。制御部22は、制御信号としてPaging又はDL NAS TRANSPORTを受信すると、複数の移動局3に対して上りデータ通信を実行させる。つまり、制御部22は、例えば、PagingやDL NAS TRANSPORT等の制御信号を各移動局3に一括送信する。なお、Paging又はDL NAS TRANSPORTは、本来、下り信号を要求するための制御信号とし使われる信号であるが、これら信号の性質(例えば、複数の移動局3に向けた信号であること)を利用して、Paging又はDL NAS TRANSPORTを複数の移動局3に上りデータ通信を実行させるのに用いている。
【0020】
図4は、移動局3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図4に示す移動局3は、アンテナ素子31と、無線処理回路32と、記憶装置33と、LSI34と、プロセッサ35とを有する。無線処理回路32は、アンテナ素子31を通じて、基地局2との間の無線通信を司るIF回路である。LSI34は、各種制御を実行する回路である。記憶装置33は、各種情報を記憶する装置である。プロセッサ35は、移動局3全体を制御する。
【0021】
図5は、移動局3の機能構成の一例を示すブロック図である。移動局3は、機能として、通信部41と、制御部42とを有する。通信部41は、NW4と接続する基地局2との間の無線通信を実行する。制御部42は、基地局2から、上りデータ通信を要求する制御信号であって、要求する上りデータに関する情報を含む制御信号を受信すると、基地局2との上りデータ通信を実行する。
【0022】
図6は、実施例1の無線システム1の上りデータ通信動作の一例を示すシーケンス図である。NW4は、複数の移動局3に対して上りデータ通信を実行させる制御信号を基地局2に送信する(ステップS11)。基地局2は、制御信号を無線システム1内の各移動局3に一括送信する(ステップS12)。
【0023】
各移動局3は、制御信号を受信した場合、上りデータを基地局2に送信する(ステップS13)。更に、基地局2は、各移動局3からの上りデータをNW4に送信し(ステップS14)、図6に示す処理動作を終了する。
【0024】
つまり、NW4は、無線システム1内の各移動局3に対して基地局2経由で制御信号を一括送信する。そして、各移動局3は、制御信号を受信した場合、上りデータ通信を実行する。従って、無線システム1内の各移動局3に制御信号を一括送信することで、制御信号のオーバヘッドを低減できる。
【0025】
実施例1の無線システム1では、NW4から、移動局3に上りデータ通信を実行させる制御信号を送信する場合を例示したが、例えば、New Paging Requestの制御信号を送信する際の実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。尚、実施例1の無線システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例2】
【0026】
図7は、実施例2の無線システム1Aの上りデータ通信動作の一例を示すシーケンス図である。尚、説明の便宜上、無線システム1A内のNW4は、例えば、映像流通のためのネットワークスライスを事前に設定しておくものとする。図7に示すNW4は、例えば、New Paging Request等の共通NAS制御信号を基地局2に送信する(ステップS21)。尚、共通NAS制御信号は、例えば、映像を提供するネットワークスライスを識別するスライスIDのNSSAI(Network Slice Selection Assistance Information)を含む。基地局2は、共通NAS制御信号を受信した場合、New Paging Requestを無線システム1A内の各移動局3に一括送信する(ステップS22)。尚、New Paging Requestは、例えば、スライスIDのNSSAIを含む共通NAS制御信号である。
【0027】
移動局3は、基地局2からNew Paging Requestを受信した場合、受信したNew Paging Request内のスライスIDに対応する条件がアクセプトされたか否かを判定する。移動局3は、スライスIDに対応する条件がアクセプトされた場合、移動局3側で許可したPDU Sessionを含むNAS Service Requestを基地局2に送信する(ステップS23)。
【0028】
基地局2は、PDU Sessionを含むNAS Service Requestを受信した場合、NAS Service RequestをNW4に送信する(ステップS24)。NW4は、NAS Service Requestを受信した場合、基地局2経由で移動局3との間の通信を確立するNAS Procedureを実行する(ステップS25)。
【0029】
基地局2は、NAS Procedure実行後、移動局3との間でAS Procedureを実行する(ステップS26)。そして、各移動局3は、AS Procedureの実行後、上りデータを基地局2経由でNW4に送信し(ステップS27)、図7に示す処理動作を終了する。尚、AS Procedureは、例えば、上りデータを送信する移動局3の台数と、その無線品質とに応じて適量となる周波数軸上及び時間軸上のリソースを設定し、移動局3側でパスロスの測定結果に応じてリソースを選択するまでの処理や新ベアラを設定する処理である。従って、膨大な上りデータ送信に伴う無線リソースのひっ迫を回避できる。
【0030】
また、各移動局3は、受信したNew Paging RequestのスライスIDに対応する条件がアクセプトされなかった、すなわちスライスIDに対応する条件がリジェクトされた場合、上りデータの基地局2への送信を実行しないものとする。
【0031】
実施例2のNW4は、NSSAIを含む共通NAS制御信号を基地局2経由で無線システム1A内の各移動局3に一括送信する。各移動局3は、共通NAS制御信号を受信した場合、共通NAS制御信号内のNSSAIのスライスIDに対応する条件がアクセプトされた場合、上りデータ通信を実行する。従って、無線システム1A内の全移動局3に対して共通NAS制御信号を一括送信することで、共通NAS制御信号のオーバヘッドを低減できる。
【0032】
図7に示すNew Paging Requestの送信方法としては、New Paging Requestを付随するPDCCH(Physical Downlink Control Channel)内のCRC(Cyclic Redundancy Check)をP-RNTI(Paging-Radio Network Temporary Identifier)でマスクしても良い。
【0033】
図7に示すNew Paging Requestの送信方法としては、New Paging Requestを付随するPDCCH内のCRCをP-RNTIでマスクする場合を例示したが、これに限定されるものではなく、図8に示すようにしても良い。
【0034】
図8は、実施例2の変形例である上りデータ通信動作の一例を示すシーケンス図である。基地局2は、New Paging Request等の共通NAS制御信号を受信した場合(ステップS21)、NSSAIを含むNew Paging Requestを無線システム1A内の各移動局3に送信する(ステップS22A)。基地局2は、例えば、P-RNTIではなく、別のRNTI、例えばX-RNTIでPDCCH内のCRCをマスクしてNew Paging Requestを送信しても良い。従って、X-RNTIを知らない移動局3は、X-RNTIを認識できないため、基地局2からNSSAIを含むNew Paging Requestの受信を回避できる。
【0035】
また、基地局2は、NSSAI送信の代わりに対応する複数のX-RNTIを規定してNew Paging Requestを送信しても良い。この場合、NSSAIをNew Paging Requestに規定することは不要となる。
【0036】
尚、実施例2の無線システム1A内の移動局3と基地局2との間の接続状態がRRC(Radio Resource Control)のアイドルモード(Idle Mode)で共通NAS制御信号を基地局2に送信する場合を例示した。尚、実施例1と実施例2を組み合わせ用いても良い。例えば、実施例2に記載のNew Paging Requestを実施例1で説明した制御信号としても良い。また、RRCのアイドルモードではなく、RRCの接続モード(Connected Mode)で共通NAS制御信号を基地局2に送信する場合の実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。尚、実施例1の無線システム1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例3】
【0037】
図9は、実施例3の無線システム1Aの上りデータ通信動作の一例を示すシーケンス図である。NW4は、接続モード中にDL NAS TRANSPORT等の共通NAS制御信号を基地局2に送信する(ステップS41)。尚、共通NAS制御信号は、NSSAIを含む。基地局2は、DL NAS TRANSPORT等の共通NAS制御信号を受信した場合、DL NAS TRANSPORTを無線システム1A内の各移動局3に一括送信する(ステップS42)。各移動局3は、DL NAS TRANSPORTを受信した場合、DL NAS TRANSPORT内のNSSAI内のスライスIDに対応する条件がアクセプトされたか否かを判定する。移動局3は、DL NAS TRANSPORT内のNSSAI内のスライスIDに対応する条件がアクセプトされた場合、許可するPDU Sessionを含むNAS Service Requestを基地局2に送信する(ステップS43)。基地局2は、PDU Sessionを含むNAS Service RequestをNW4に送信する(ステップS44)。移動局3は、PDU Sessionを使用して基地局2経由で上りデータをNW4に送信し(ステップS45)、図9に示す処理動作を終了する。
【0038】
また、各移動局3は、基地局2から受信したDL NAS TRANSPORTのスライスIDに対応する条件がアクセプトされなかった、すなわちスライスIDに対応する条件がリジェクトされた場合、上りデータの基地局2への送信を実行しないものとする。
【0039】
実施例3のNW4は、RRCの接続モード中にNSSAIを含む共通NAS制御信号を基地局2経由で無線システム1A内の各移動局3に一括送信する。各移動局3は、共通NAS制御信号を受信した場合、共通NAS制御信号内のNSSAIのスライスIDに対応する条件がアクセプトされた場合、上りデータ通信を実行する。従って、RRCの接続モード中でも無線システム1A内の全移動局3を制御する共通NAS制御信号を一括送信することで、共通NAS制御信号のオーバヘッドを低減できる。
【0040】
図10は、実施例3の具体例である上りデータ通信動作の一例を示すシーケンス図である。図10に示す共通NAS制御信号は、DL NAS TRANSPORTとして、例えば、移動局3が特定エリアに進入した場合に映像をNW4に送信する制御信号とする。上りデータは、例えば、移動局3が特定エリアに侵入した場合にNW4にアップする映像データとする。
【0041】
図10においてNW4は、共通NAS制御信号を基地局2に送信する(ステップS51)。基地局2は、共通NAS制御信号を受信した場合、共通NAS制御信号を無線システム1A内の各移動局3に送信する(ステップS52)。
【0042】
各移動局3は、共通NAS制御信号内のNSSAIのスライスIDに対応する条件がアクセプトされた場合、例えば、移動局3が特定エリアに侵入した場合、PDU Sessionを含むNAS Service Requestを基地局2に送信する(ステップS53)。基地局2は、PDU Sessionを含むNAS Service RequestをNW4に送信する(ステップS54)。移動局3は、PDU Sessionで映像データを基地局2経由でNW4に送信する(ステップS55)。
【0043】
また、移動局3は、共通NAS制御信号内のNSSAIのスライスIDに対応する条件がアクセプトされなかった、すなわちリジェクトされた場合、例えば、移動局3が特定エリアから離脱した場合、映像データのNW4への送信を停止し(ステップS56)、図10に示す処理動作を終了する。
【0044】
NW4は、RRCの接続モード中にNSSAIを含む共通NAS制御信号を基地局2経由で無線システム1A内の各移動局3に一括送信する。各移動局3は、共通NAS制御信号を受信した場合、共通NAS制御信号内のNSSAIのスライスIDに対応する条件がアクセプトされた場合、例えば、移動局3が特定エリアに侵入した場合、NW4への上りデータ通信、すなわち映像データ通信を実行する。従って、RRCの接続モード中でも無線システム1A内の全移動局3を制御する共通NAS制御信号を一括送信することで、共通NAS制御信号のオーバヘッドを低減できる。
【0045】
尚、説明の便宜上、共通NAS制御信号としてNew Paging RequestやDL NAS TRANSPORT等を例示したが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、基地局2は、基地局2と基地局2との間の通信を中継する中継局でも良く、適宜変更可能である。なお、実施例1および実施例2と矛盾しない範囲で適宜組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 無線システム
2 基地局
3 移動局
4 ネットワーク(NW)
21 通信部
22 制御部
41 通信部
42 制御部
図1
図2
図3
図4
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図10