IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

特許7197017処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム
<>
  • 特許-処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム 図1
  • 特許-処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム 図2
  • 特許-処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム 図3
  • 特許-処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム 図4
  • 特許-処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム 図5
  • 特許-処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム 図6
  • 特許-処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム 図7
  • 特許-処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム 図8
  • 特許-処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム 図9
  • 特許-処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム 図10
  • 特許-処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム 図11
  • 特許-処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20221220BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G06T7/00 530
G06T1/00 400G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021536594
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(86)【国際出願番号】 JP2019030364
(87)【国際公開番号】W WO2021019788
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小野 善将
(72)【発明者】
【氏名】中村 滋
(72)【発明者】
【氏名】柴山 充文
(72)【発明者】
【氏名】安部 淳一
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/204176(WO,A1)
【文献】特開2015-26228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00 - 7/90
G06V 40/12 - 40/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象を示す3次元輝度データから、前記認証対象の深さ方向に対して垂直な平面上の複数の領域において縞模様鮮明度の深度依存性を算出する手段と、
前記縞模様鮮明度の深度依存性において前記縞模様鮮明度が最大値である深度を算出する手段と、
前記複数の領域のそれぞれの周囲に位置する他の領域の深度に基づき、前記算出した深度を修正する粗調整手段と、
前記修正した深度を、前記修正した深度に最も近く、前記縞模様鮮明度が極値である深度を、選択する微調整手段と、
前記選択された深度に基づき、輝度を有する画像を抽出する手段と、
を備える処理装置。
【請求項2】
前記修正された深度を示す粗調整深度情報と、前記選択された深度を示す微調整深度情報との差分量を領域ごとに算出する手段と、
前記差分量が閾値以上である場合、
前記粗調整手段が、前記複数の領域のそれぞれの周囲に位置する他の領域の深度に基づき、前記修正された深度を再修正して、
前記微調整手段が、前記再修正した深度を、前記再修正した深度に最も近く、前記縞模様鮮明度が極値である深度に再選択して、
前記再修正された深度を示す再粗調整深度情報と、前記再選択された深度を示す再微調整深度情報との差分量を領域ごとに算出する手段と、
前記差分量が閾値を下回った場合、前記再選択された深度に基づき、前記輝度を有する画像を抽出する手段と、をさらに備える、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記縞模様鮮明度の深度依存性の算出を、指定した深度に限定する手段を備える、
請求項1又は2に記載のいずれかの処理装置。
【請求項4】
前記領域の範囲を、前記3次元輝度データから縞模様の空間周波数を決定した上で算出する手段を備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項5】
前記縞模様鮮明度は、前記領域における縞模様の一方向性を示す、
請求項1~4のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記縞模様鮮明度は、前記領域における空間周波数の単一性を示す、
請求項1~4のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
認識対象を示す3次元断層輝度データを取得する装置と、
請求項1~のいずれか1項に記載の処理装置と、を備え、
前記認識対象の内部の縞状の文様を有する断層画像を取得する、
システム。
【請求項8】
認識対象である生体を示す3次元断層輝度データを取得する装置と、
請求項1~のいずれか1項に記載の処理装置と、
前記認識対象の内部の縞状の文様を有する断層画像と、個人情報に紐づいた画像データとを照合する処理装置とを備え、
前記断層画像と前記画像データの比較により個人を特定する、
生体認証システム。
【請求項9】
認証対象を示す3次元輝度データから、前記認証対象の深さ方向に対して垂直な平面上の複数の領域において縞模様鮮明度の深度依存性を算出するステップと、
前記縞模様鮮明度の深度依存性において前記縞模様鮮明度が最大値である深度を算出するステップと、
前記複数の領域のそれぞれの周囲に位置する他の領域の深度に基づき、前記算出した深度を修正するステップと、
前記修正した深度を、前記修正した深度に最も近く、前記縞模様鮮明度が極値である深度を、選択するステップと、
前記選択された深度に基づき、輝度を有する画像を抽出するステップと、を備える処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
認証対象を示す3次元輝度データから、前記認証対象の深さ方向に対して垂直な平面上の複数の領域において縞模様鮮明度の深度依存性を算出するステップと、
前記縞模様鮮明度の深度依存性において前記縞模様鮮明度が最大値である深度を算出するステップと、
前記複数の領域のそれぞれの周囲に位置する他の領域の深度に基づき、前記算出した深度を修正するステップと、
前記修正した深度を、前記修正した深度に最も近く、前記縞模様鮮明度が極値である深度を、選択するステップと、
前記選択された深度に基づき、輝度を有する画像を抽出するステップと、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認証精度向上を目的とした処理装置、システム、生体認証システム、処理方法及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物の表面近傍の断層撮像を行う技術として、光コヒーレンス・トモグラフィー(Optical Coherence Tomography: OCT)技術がある。当該OCT技術では、光ビームを測定対象物に照射した際の測定対象物の内部からの散乱光(以下、「後方散乱光」とも称する)と参照光との干渉を利用して、測定対象物の表面近傍の断層撮像を行う。近年、当該OCT技術の医療診断や工業製品検査への適用が拡大している。
【0003】
OCT技術は、これまでに、眼科診断における眼底の断層撮像装置として実用化されると共に、生体の様々な部位に対する非侵襲の断層撮像装置として適用検討が進められている。本開示では、OCT技術を活用した真皮指紋読取の技術に着目する。
【0004】
指紋を生体情報として利用する技術として、表皮指紋の2次元の画像データによる生体認証技術が広く利用されている。一方で、OCT技術で取得した指の断層撮像データは3次元の位置における輝度データである。すなわち、OCT技術で取得したデータを従来の画像に基づいた指紋認証に利用するためには、3次元の断層撮像データから指紋の特徴を有する2次元の画像を抽出する必要がある。
【0005】
本発明に関連して、非特許文献1及び2では指の断層撮像データにおいて、深さ方向に対し一定範囲内の断層輝度画像を平均化することで真皮指紋画像を取得していた。ただし、一定の範囲の値については真皮指紋を視認可能な深さを仮定し、固定値を使用していた。
【0006】
特許文献1では、断層画像の各画素に対して深度方向の輝度変化を調べ、輝度が2番目に高い値をとる深度を、真皮指紋を視認可能な深度として選択することで、その深度及び輝度の画像を真皮指紋画像として使用していた。
【0007】
非特許文献3では、表皮及び真皮指紋画像に対して、小領域における指紋模様の一方向性を示すOCL(Orientation Certainty Level)を算出する。そして、OCLの値を元に表皮及び真皮指紋画像を融合することで、小領域ごとの画像を決定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2017/0083742号
【非特許文献】
【0009】
【文献】A.Bossen, R. Lehmann and C. Meier, ”Internal fingerprint identification with optical coherence tomography”, IEEE Photonics Technology Letters, vol.22, no.7, 2010
【文献】M.Liu and T. Buma, ”Biometric mapping of fingertip eccrine glands with optical coherence tomography”, IEEE Photonics Technology Letters, vol.22, no.22, 2010
【文献】L. Darlow and J. Connan, “Efficient internal and surface fingerprint extraction and blending using optical coherence tomography”, Applied Optics, Vol. 54, No. 31, (2015)
【文献】E. Lim, et. al., “Fingerprint image quality analysis”, ICIP 2004, vol. 2, 1241-1244, (2004)
【文献】E. Lim, X. Jiang and W. Yau, “Fingerprint quality and validity analysis”, ICIP 2002, vol. 1, 469-472, (2002)
【文献】T. Chen X. Jiang and W. Yau, “Fingerprint image quality analysis”, ICIP 2004, vol. 1, 1253-1256, (2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の非特許文献1及び2では、固定した深度の範囲の断層輝度画像に対し平均化処理を行うため、表皮厚の個人差が考慮されない。例えば、職業の都合上、表皮が摩耗している、もしくは厚い場合には、真皮指紋を明確に視認可能な深度から外れた範囲で平均化する可能性があり、鮮明な真皮指紋画像の取得が困難である。更に、真皮指紋の明瞭に見える表皮と真皮の界面は深度方向に歪むことが多いため、一律な深度で抽出した指紋画像は局所的にぼやける可能性がある。
【0011】
上述の特許文献1では、断層画像の画素単位で真皮指紋の明確に見える深度を判定するため、OCT技術の測定装置本体等に起因するノイズによる影響を受けやすく、誤った深度を判定する可能性が高い。更に、断層画像の画素単位で深度の判定処理を行うため、真皮指紋画像を抽出するまでに時間を要する。
【0012】
上述の非特許文献3では、表皮及び真皮指紋の2枚の画像から指紋画像を得る手法を説明しており、本開示に記載する深度方向に連続した複数枚の断層画像から最適な指紋画像を得る手法とは異なる。更に、深度方向に連続した断層画像において、領域に分割した後で算出するOCLは一般的にノイズの影響を受けやすく、最適ではない深度を誤選択する可能性が高い。
【0013】
本開示の目的は、上述した課題のいずれかを解決する処理装置、システム、生体認証システム、処理方法、及びコンピュータ可読媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示に係る処理装置は、
認証対象を示す3次元輝度データから、前記認証対象の深さ方向に対して垂直な平面上の複数の領域において縞模様鮮明度の深度依存性を算出する手段と、
前記縞模様鮮明度の深度依存性において前記縞模様鮮明度が最大値である深度を算出する手段と、
前記複数の領域のそれぞれの周囲に位置する他の領域の深度に基づき、前記算出した深度を修正する粗調整手段と、
前記修正した深度を、前記修正した深度に最も近く、前記縞模様鮮明度が極値である深度を、選択する微調整手段と、
前記選択された深度に基づき、輝度を有する画像を抽出する手段と、を備える。
【0015】
本開示に係る処理方法は、
認証対象を示す3次元輝度データから、前記認証対象の深さ方向に対して垂直な平面上の複数の領域において縞模様鮮明度の深度依存性を算出するステップと、
前記縞模様鮮明度の深度依存性において前記縞模様鮮明度が最大値である深度を算出するステップと、
前記複数の領域のそれぞれの周囲に位置する他の領域の深度に基づき、前記算出した深度を修正するステップと、
前記修正した深度を、前記修正した深度に最も近く、前記縞模様鮮明度が極値である深度を、選択するステップと、
前記選択された深度に基づき、輝度を有する画像を抽出するステップと、を備える。
【0016】
本開示に係る、プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体は、
コンピュータに、
認証対象を示す3次元輝度データから、前記認証対象の深さ方向に対して垂直な平面上の複数の領域において縞模様鮮明度の深度依存性を算出するステップと、
前記縞模様鮮明度の深度依存性において前記縞模様鮮明度が最大値である深度を算出するステップと、
前記複数の領域のそれぞれの周囲に位置する他の領域の深度に基づき、前記算出した深度を修正するステップと、
前記修正した深度を、前記修正した深度に最も近く、前記縞模様鮮明度が極値である深度を、選択するステップと、
前記選択された深度に基づき、輝度を有する画像を抽出するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、3次元断層撮像画像から2次元の画像を取得し、認証精度の高い画像及び高速な画像の抽出が可能な処理装置、システム、生体認証システム、処理方法及びコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係る指紋画像抽出処理装置を例示するブロック図である。
図2】実施の形態に係るシステムを例示するブロック図である。
図3】第1の実施の形態に係る、領域における縞模様鮮明度に基づき指紋画像を抽出する動作を例示する図である。
図4】第1の実施の形態に係る、乖離した深度の修正及び縞模様鮮明度の局所最適値の選択により抽出深度を最適化する動作を例示する図である。
図5】第1の実施の形態に係る指紋画像を抽出する処理を例示するフローチャートである。
図6】第2の実施の形態に係る、乖離した深度の修正処理を反復することで指紋画像を抽出する動作を例示する図である。
図7】第2の実施の形態に係る指紋画像を抽出する処理を例示するフローチャートである。
図8】第3の実施の形態に係る、探索深度の範囲を限定した後で指紋画像を抽出する動作を例示する図である。
図9】第3の実施の形態に係る指紋画像を抽出する処理を例示するフローチャートである。
図10】第4の実施の形態に係る、指紋の空間周波数を推定する処理の動作を例示する図である。
図11】第4の実施の形態に係る認証用画像を抽出する処理を例示するフローチャートである。
図12】認証画像抽出装置に含まれるハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1に示すように、実施の形態に係る認証用画像抽出装置11は、指紋などの認証に使用する画像等を抽出する装置であり、以降の実施形態の説明において詳細を記す。図2に示すように、実施の形態に係るシステム10は、測定装置12と、平坦化装置13と、認証用画像抽出装置11と、認証装置14とを備える。
【0020】
測定装置12は、OCT技術を含む、認証される認証対象の3次元空間上の輝度を示す3次元断層輝度データを取り込む。認証対象は、特に限定されず、多種多様なものであるが、その一具体例は、生体の一部位である。より具体的な一例として、手の指が挙げられる。平坦化装置13は、測定装置12で取得した3次元断層輝度データに対して認証対象の深度方向の湾曲を平坦化する。測定装置12が非接触もしくはガラス面等に押し付けて認証対象、例えば、指紋を取得する装置であっても認証対象の丸みは残るため、平坦化装置13は、認証用画像の抽出処理前に認証対象の深度方向の湾曲を平坦化し、3次元輝度データを生成する。認証装置14は、抽出された認証用画像を用いて認証を実施する。認証装置14は、例えば、指紋画像を用いて生体認証を実施する。具体的には、認証装置14は、断層画像と、個人情報に紐づいた画像データとを照合し、断層画像と画像データとを比較して個人を特定する。図1に示すシステム10は、生体の認証を行うことができる。
【0021】
以降の実施の形態の説明では、認証対象は、手の指である。また、指の表皮から皮膚内部の深さを深度と表記し、その深度方向に垂直な面をXY面と表記し、XY面の輝度画像を断層画像と表記する。
【0022】
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施の形態に係る、領域における縞模様鮮明度に基づき指紋画像を抽出する動作を例示する図である。言い換えると、図3は、本発明の第1の実施形態に係る、縞模様鮮明度の深度依存性により認証用画像を抽出する処理の動作を例示する図である。測定装置12から平坦化装置13を経て出力されたデータは、3次元空間上の各位置における輝度を示し、図3に示される断層画像群100に示すように、各深度における断層画像101、102、…10k、…、10nとして表せる。kは自然数であり、nは断層画像の総枚数である。断層画像はXY面で複数の領域に分割されており、領域101a、101bは断層画像101に属する領域を意味する。
【0023】
手の指における表皮指紋及び真皮指紋は、それぞれ空気と表皮の界面、表皮と真皮の界面で最も明確に示される。そこで、本願では、各種指紋を抽出する深度として、断層画像の縞模様鮮明度が高い値を有する深度を選択する。更に、先述の空気、表皮及び真皮の界面が深度方向に歪む可能性を考慮して、3次元輝度データをXY面で所定の領域に分割し、各領域で縞模様鮮明度の高い値を有する深度を選択する方法をとる。
【0024】
ここで縞模様鮮明度とは、非特許文献3で使用されたOCL(Orientation Certainty Level)等、画像内の明暗で形成される縞が複数存在し、同様の形であることを示す特徴量のことを意味する。縞模様鮮明度の例として、OCL、RVU(Ridge Valley Uniformity)、FDA(Frequency Domain Analysis)、LCS(Local Clarity Score)が挙げられる。当該OCLは、非特許文献4に開示されている。当該RVUは、小領域内における明暗の縞の幅について一様性を示す。当該FDAは、非特許文献5に開示の小領域内の縞模様の単一周波数性を示す。当該LCSは、非特許文献6に開示の小領域内の縞の明暗部ごとの輝度の一様性を示す。他の縞模様鮮明度の例として、周囲の小領域との縞の方向について連続性を示すOFL(Orientation FLow)が挙げられる。これらの評価指標を組み合わせて縞模様鮮明度として定義しても良い。
【0025】
図3に示される縞模様鮮明度の深度依存性110a、110bは、断層画像101から10nまでに対して、領域101a、101bと同じXY面の領域における縞模様鮮明度を計算し、深度依存性としてグラフに示したものである。グラフ111aでは縞模様鮮明度の最大値が深度112aに存在し、グラフ111bでは縞模様鮮明度の最大値が深度112bに存在する。
【0026】
図4は、第1の実施の形態に係る、乖離した深度の修正及び縞模様鮮明度の局所最適値の選択により抽出深度を最適化する動作を例示する図である。言い換えると、図4は、本発明の第1の実施形態に係る、領域における選択深度の最適化の動作を説明する図である。図4に示される深度画像120、130、140は、分割した領域で選択された深度を画素とする深度画像を示している。
【0027】
深度画像120は、図3に示されるグラフ111aにおける深度112aを示す画素120aと、グラフ111bにおける深度112bを示す画素120bとを含む。また、同様に他の領域に対しても縞模様鮮明度の最大値をとる深度を、画素に当てはめた例を示している。
【0028】
ここで、画素120bに対応する領域の深度112bは、画素120bに対応する領域の周囲の画素の深度と格段に差異がある。複数の領域に分割して特徴量を計算する際には、測定器等からのノイズの影響を十分に抑えることが難しく、例えば、グラフ111bのように画素120bに対応する領域において、縞模様鮮明度の最大値をとる深度を深度112bとした。しかし、深度113が深度112aに近く、各種指紋を抽出する深度として、正確な値と考えられる。よって、縞模様鮮明度の最大値をとる深度を深度112bとすると、誤差が生じる。そこで本願では、皮膚構造における界面の深度方向の歪み、又は変位が連続する傾向にあることに着目して、周囲の深度と同じ、又は近い深度を選択するように、その領域の周囲に位置する他の領域の深度から乖離した深度を修正する処理を施す。周囲の領域の深度と乖離した当該領域の深度を修正する手段として、メディアンフィルタ、バイラテラルフィルタ等の画像処理、ローパスフィルタ、ウィナーフィルタ等の空間周波数を利用したフィルタが例として挙げられる。
【0029】
図4に示される深度画像130は、深度画像120に対して乖離した深度を修正する処理を掛けた例を示しており、画素130bが示す深度は、その周囲の深度と同等の値へと変換されている。この例では、画素130bが示す深度は、画素130aと同じ深度112aに変換された。ここで、画素130bが示す深度は、周囲の深度と同様の値であるが、縞模様鮮明度の最適な深度でない。そこで、グラフ111bにおいて深度112a周囲で縞模様鮮明度が極大値となる深度113を選択することで、深度の微調整を施す。
【0030】
図4に示される深度画像140は、深度画像130に対して、縞模様鮮明度の深度依存性を再利用し、最適な深度の微調整を施した結果である。深度113を選択し、画素140bの深度は、深度113と同じ深度に変換されている。
【0031】
図5は本発明の第1の実施形態に係る指紋画像を抽出する処理を例示するフローチャートである。
【0032】
認証用画像抽出装置11は、3次元輝度データを取得する(ステップS101)。認証用画像抽出装置11は、3次元輝度データをXY面に対して複数の領域に分割する(ステップS102)。なお、この複数の領域の形状は、多種多様であり、格子状でなくても構わない。
【0033】
認証用画像抽出装置11は、各領域において縞模様鮮明度の深度依存性を算出する(ステップS103)。なお、縞模様鮮明度は先述のように画像内の明暗で形成される縞が複数存在し、同様の形であることを示す特徴量のことを示し、例としてOCLが挙げられる。
【0034】
認証用画像抽出装置11は、各領域において縞模様鮮明度の最大値を有する深度を選択する(ステップS104)。認証用画像抽出装置11は、周囲の領域における深度に対して乖離した深度を、この選択された深度に修正する(ステップS105)。なお、乖離した深度の修正方法は、深度画像であれば、例えば、メディアンフィルタのような処理が挙げられる。
【0035】
認証用画像抽出装置11は、各領域において縞模様鮮明度が極値を持つ深度、かつ選択深度から最近接する深度を選択する(ステップS106)。認証用画像抽出装置11は、領域に分割された深度情報を、指紋画像と同じ解像度まで変換し、深度情報を平滑化する(ステップS107)。認証用画像抽出装置11は、二階調化や細線化等の生体認証に向けた画像の調整処理を行う(ステップS108)。
【0036】
このように、第1の実施形態の認証用画像抽出システムは、指の3次元輝度データをXY面の領域ごとに分割し、縞模様鮮明度を利用して抽出深度を最適化する。さらに、当該認証用画像抽出システムは、乖離した深度の修正処理による深度の粗調整、及び縞模様鮮明度の極値選択による深度の微調整により、明瞭な指紋画像を高速に抽出できる。その結果、非特許文献1、2の手法と比較して、表皮厚の個人差に対し適応的に画像抽出が可能であり、皮膚構造界面の深度方向の歪みに対応可能である。
【0037】
更に、特許文献1に開示された単一画素による深度判定ではなく、複数の画素を有する画像の縞模様鮮明度から判定するためノイズ耐性が高く、データ処理単位も領域の数であるため高速な処理が可能となる。
【0038】
また、乖離した深度を修正する処理を加えることで、ノイズの寄与を受けやすい領域での深度最適化に対して、明瞭な指紋画像を安定的に抽出可能とする。
【0039】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態における乖離した深度の修正処理を繰り返すことで、明瞭な指紋画像の抽出を安定化させる処理を提示する。図6は本発明の第2の実施形態に係る、深度画像の修正処理の動作を例示する図である。すなわち、図6は、第2の実施の形態に係る、乖離した深度の修正処理を反復することで指紋画像を抽出する動作を例示する図である。
【0040】
図6に示される深度画像200は、第1の実施形態における深度画像120と同様に、各領域で縞模様鮮明度の最大値をとる深度を選択した後の深度画像を示している。深度画像200は、深度画像120とは異なり、乖離した深度の領域の画素数が多いため、深度の修正処理を一度施しただけでは、乖離した深度が残留する可能性がある。そこで、乖離した深度の修正処理と、選択深度から最近接する縞模様鮮明度の極値有する深度を選択する処理を繰り返し施すことで、乖離した深度の画素が多い場合でも安定的な指紋画像の抽出処理を可能とする。
【0041】
図6に示される深度画像210は、乖離した深度の修正処理を一度施した場合であり、画素200aは、例えば、画素210aのように、周囲の画素と同じ水準の深度値を示すように修正できる。しかし、例えば、画素210bのように、周囲から乖離した深度を示す画素が残留する。そこで、再度乖離した深度の修正処理、及び最近接する縞模様鮮明度の極値を有する深度を選択する処理を加え、深度画像220を得ることで、画素210bを画素220bのように周囲と同等の深度とできる。
【0042】
図7は本発明の第2の実施形態に係る指紋画像を抽出する処理を例示するフローチャートである。図7に示すように、ステップS101からステップS104までは、第1の実施形態と同様に行う。なお、図7及び、フローチャートを示す他の図9、11において実線で示された矢印は、処理方法のフローを示す。同図において点線で示された矢印は、画像などのデータのフローを補足して示すものであり、処理方法のフローを示すものではない。
【0043】
ステップS104の後、認証用画像抽出装置11は、ステップS104乃至ステップS203により出力された深度画像を保持する(ステップS201)。ステップS201で保持した深度画像に対して、第1の実施形態と同様にステップS105及びステップS106の処理を加える。
【0044】
ステップS106の後、認証用画像抽出装置11は、ステップS201にて保持した深度画像と、ステップS106の後の深度画像の差分を算出する(ステップS202)。2つの深度画像の差を算出する手段であれば、方法は問わない。
【0045】
認証用画像抽出装置11は、ステップS202にて算出した差分値が閾値を下回った場合(ステップS203:Yes)、乖離した深度の修正処理を終える。認証用画像抽出装置11は、ステップS202にて算出した差分値が閾値以上の場合(ステップS203:No)、ステップS201に戻り乖離した深度の修正処理を繰り返す。認証用画像抽出装置11は、ステップS203の後、第1の実施形態と同様にステップS107とステップS108を施す。
【0046】
このように、第2の実施形態の認証用画像抽出システムは、第1の実施形態に加え、乖離した深度の修正処理による深度の粗調整、及び縞模様鮮明度の極値を有する深度の選択による深度の微調整を繰り返す。その結果、深度の乖離する領域数が多い場合であっても、明瞭な指紋画像の安定的な抽出を可能にする。
【0047】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1乃至2の実施形態において対象とする深度の探索範囲を限定することで、表皮指紋及び真皮指紋を抽出する処理を提示する。一般的に指の3次元輝度データに対して、空気と表皮、表皮と真皮の界面の深度において、縞模様鮮明度は極大値をとり、それぞれ表皮指紋及び真皮指紋に対応する。第1乃至2の実施形態では、一つの極大値に収束する形態であり、2つの指紋画像を取得することができない。そのため、本実施形態では探索範囲をそれぞれ限定することで、2つの指紋画像を抽出する方法を説明する。
【0048】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る、抽出深度の探索範囲を限定した後で指紋画像を抽出する動作を例示する図である。図8に示される断層画像群300は、各深度における断層画像301、302、…、30k、…、30nから構成される。kは自然数であり、nは断層画像の総枚数である。各断層画像はXY面に対して領域に分割されており、断層画像301は領域3011、3012、…、301mから構成される。mは断層画像1枚当たりの領域の総数である。
【0049】
図8に示される縞模様鮮明度の深度依存性310は、各深度における断層画像の縞模様鮮明度を示している。各深度における縞模様鮮明度の例として、OCLの平均値が挙げられる。断層画像301であれば、領域3011から301mごとのOCL値に対して平均をとった値に対応する。
【0050】
グラフ311では、深度312、313において縞模様鮮明度が極大値を有しており、それぞれ空気と表皮、表皮と真皮の界面の平均的な深度に対応する。例えば、深度312と313の中央値にあたる深度314から深い方向へ探索範囲を限定することで、第1乃至2の実施形態により真皮指紋の抽出が可能である。
【0051】
このように断層画像ごとに平均的な縞模様鮮明度を算出し比較することで、表皮、真皮指紋画像に対応する大まかな深度を推定し、各指紋画像を抽出することが可能である。断層画像の縞模様鮮明度を算出する手法として、OCLの平均値を用いて説明したが、縞模様鮮明度の他、輝度の極大値を用いても良い。
【0052】
図9は本発明の第3の実施形態に係る認証用画像を抽出する処理を例示するフローチャートである。第3の実施形態における認証用画像抽出装置11は、第1の実施形態と同様にステップS101を行う。続いて、認証用画像抽出装置11は、縞模様の存在する深度の探索範囲を決定する(ステップS301)。探索深度を決定する手段の例として、先述のOCLの平均値が極大値をとる深度を利用する方法が挙げられるが、この限りではない。
【0053】
続いて、認証用画像抽出装置11は、ステップS301で決定した探索深度の範囲で3次元輝度データを抽出する(ステップS302)。第3の実施形態における認証用画像抽出装置11は、ステップS102からステップS108まで第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0054】
このように、第3の実施形態の認証用画像抽出システムは、探索する深度の範囲を限定することで、表皮指紋及び真皮指紋の2種の指紋を別々に取得できる。
【0055】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、第1乃至3の実施形態においてXY面に分割する領域の範囲を、認識対象の指によって適応的に変更する処理を提示する。例えば、OCLは領域内の縞模様が一方向であることを示す量であるが、領域の範囲を過度に広げた場合、領域内の指紋は一方向の縞模様ではなくなる。逆に領域の範囲を狭めた場合、縞模様は消失する。縞模様の間隔は個人によって異なるため、固定的な範囲ではなく、認識対象の指によって適応的に変更できることが望ましい。そこで、第4の実施形態では、指紋の空間周波数を推定した後で、XY面に分割する領域の範囲を決定し、第1乃至3の実施形態の指紋抽出処理を施す。
【0056】
図10は、本発明の第4の実施形態に係る、指紋の空間周波数を推定する動作を例示する図である。図10に示される指紋を示す断層画像400は、指紋の存在する深度を大まかに推定した後で、該当する深度の断層画像を示したものである。大まかに深度を推定する方法の例として、第3の実施形態に記載したような、OCL平均値が極大値を持つ深度、断層画像の輝度の平均値が極大値を持つ深度を選択する方法等が挙げられる。
【0057】
周波数画像410は、断層画像400をフーリエ変換して形成されたものである。周波数画像410では、画像中央の画素411周辺にリング412を確認することができ、このリングが指紋の空間周波数に対応する。
【0058】
周波数特性420は、周波数画像410中央の画素411から等距離に属する画素値を平均し、画素411からの距離として図示したものである。
【0059】
グラフ421では、空間周波数422において確率が極大値を示し、周波数画像410中央の画素411からリング412までの半径に対応する。このようにして、指紋の空間周波数422を特定することが可能である。この空間周波数422を元に複数本の縞が入るように領域の範囲を指定すれば、縞の間隔の異なる指に応じて適応的な動作が可能となる。
【0060】
図11は本発明の第4の実施形態に係る認証用画像を抽出する処理を例示するフローチャートである。第4の実施形態における認証用画像抽出装置11は、第1の実施形態と同様にステップS101を行う。認証用画像抽出装置11は、指紋の空間周波数を算出する(ステップS401)。指紋の空間周波数の算出手段として、指紋の存在する深度を大まかに特定した後で、その深度における断層画像の空間周波数をフーリエ変換を用いて取得する方法が挙げられるが、この限りではない。
【0061】
認証用画像抽出装置11は、ステップS401で決定した空間周波数を元に、XY面上で分割する領域の分割範囲を決定し、3次元輝度データをXY面に対して領域に分割する(ステップS402)。第4の実施形態における認証用画像抽出装置11は、ステップS103からステップS108まで第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0062】
このように、第4の実施形態の認証用画像抽出システムは、認識対象の指の指紋の空間周波数を取得した後で、XY面に分割する領域の範囲を適応的に設定する処理を施す。その結果、指紋周波数の違う指に対して明瞭な指紋画像を安定的に抽出することが可能となる。
【0063】
(他の実施の形態等)
なお、上記の第1から第4までの実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、各構成要素の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0064】
例えば、上記実施の形態に係る認証用画像抽出装置11は、次のようなハードウェア構成を備えることができる。図12は、認証用画像抽出装置11に含まれるハードウェア構成の一例を示す図である。
【0065】
図12に示す装置500は、インタフェース503とともに、プロセッサ501及びメモリ502を備える。上述した実施の形態で説明した認証用画像抽出装置11は、プロセッサ501がメモリ502に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより実現される。つまり、このプログラムは、プロセッサ501を、図1に示す認証用画像抽出装置11又はその一部として機能させるためのプログラムである。このプログラムは、図1に示す認証用画像抽出装置11に、認証用画像抽出装置11又はその一部における処理を実行させるためのプログラムであると言える。
【0066】
上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータ(情報通知装置を含むコンピュータ)に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。さらに、この例は、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/Wを含む。さらに、この例は、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM、EPROM、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0067】
さらに、上述した様々な実施の形態において、認証用画像抽出装置11における処理の手順を説明したように、本発明は処理方法としての形態も採り得る。
【0068】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0069】
(付記1)
認証対象を示す3次元輝度データから、前記認証対象の深さ方向に対して垂直な平面上の複数の領域において縞模様鮮明度の深度依存性を算出する手段と、
前記縞模様鮮明度の深度依存性において前記縞模様鮮明度が最大値である深度を算出する手段と、
前記複数の領域のそれぞれの周囲に位置する他の領域の深度に基づき、前記算出した深度を修正する粗調整手段と、
前記修正した深度を、前記修正した深度に最も近く、前記縞模様鮮明度が極値である深度を、選択する微調整手段と、
前記選択された深度に基づき、輝度を有する画像を抽出する手段と、
を備える処理装置。
【0070】
(付記2)
前記修正された深度を示す粗調整深度情報と、前記選択された深度を示す微調整深度情報との差分量を領域ごとに算出する手段と、
前記差分量が閾値以上である場合、
前記粗調整手段が、前記複数の領域のそれぞれの周囲に位置する他の領域の深度に基づき、前記修正された深度を再修正して、
前記微調整手段が、前記再修正した深度を、前記再修正した深度に最も近く、前記縞模様鮮明度が極値である深度に再選択して、
前記再修正された深度を示す再粗調整深度情報と、前記再選択された深度を示す再微調整深度情報との差分量を領域ごとに算出する手段と、
前記差分量が閾値を下回った場合、前記再選択された深度に基づき、前記輝度を有する画像を抽出する手段と、をさらに備える、
付記1に記載の処理装置。
【0071】
(付記3)
前記縞模様鮮明度の深度依存性の算出を、指定した深度に限定する手段を備える、
付記1又は2に記載のいずれかの処理装置。
【0072】
(付記4)
前記領域の範囲を、前記3次元輝度データから縞模様の空間周波数を決定した上で算出する手段を備える、
付記1~3のいずれか1項に記載の処理装置。
【0073】
(付記5)
前記縞模様鮮明度は、前記領域における縞模様の一方向性を示す、
付記1~4のいずれか1項に記載の処理装置。
【0074】
(付記6)
前記縞模様鮮明度は、前記領域における空間周波数の単一性を示す、
付記1~4のいずれか1項に記載の処理装置。
【0075】
(付記7)
前記縞模様鮮明度は、前記領域における縞の明暗部ごとの輝度の一様性を示す、
付記1~4のいずれか1項に記載の処理装置。
【0076】
(付記8)
前記縞模様鮮明度は、前記領域における明暗の縞の幅に対して一様性を示す、
付記1~4のいずれか1項に記載の処理装置。
【0077】
(付記9)
前記縞模様鮮明度は、付記5~8のいずれか1項に記載の縞模様鮮明度の組合せによる、
付記1~4のいずれか1項に記載の処理装置。
【0078】
(付記10)
前記粗調整手段は、メディアンフィルタを使用する、
付記1~9のいずれか1項に記載の処理装置。
【0079】
(付記11)
前記粗調整手段は、バイラテラルフィルタを使用する、
付記1~9のいずれか1項に記載の処理装置。
【0080】
(付記12)
前記粗調整手段は、空間周波数に対するフィルタを使用する、
付記1~9のいずれか1項に記載の処理装置。
【0081】
(付記13)
認識対象を示す3次元断層輝度データを取得する装置と、
付記1~12のいずれか1項に記載の処理装置と、を備え、
前記認識対象の内部の縞状の文様を有する断層画像を取得する、
システム。
【0082】
(付記14)
認識対象である生体を示す3次元断層輝度データを取得する装置と、
付記1~12のいずれか1項に記載の処理装置と、
前記認識対象の内部の縞状の文様を有する断層画像と、個人情報に紐づいた画像データとを照合する処理装置とを備え、
前記断層画像と前記画像データの比較により個人を特定する、
生体認証システム。
【0083】
(付記15)
認証対象を示す3次元輝度データから、前記認証対象の深さ方向に対して垂直な平面上の複数の領域において縞模様鮮明度の深度依存性を算出するステップと、
前記縞模様鮮明度の深度依存性において前記縞模様鮮明度が最大値である深度を算出するステップと、
前記複数の領域のそれぞれの周囲に位置する他の領域の深度に基づき、前記算出した深度を修正するステップと、
前記修正した深度を、前記修正した深度に最も近く、前記縞模様鮮明度が極値である深度を、選択するステップと、
前記選択された深度に基づき、輝度を有する画像を抽出するステップと、を備える処理方法。
【0084】
(付記16)
コンピュータに、
認証対象を示す3次元輝度データから、前記認証対象の深さ方向に対して垂直な平面上の複数の領域において縞模様鮮明度の深度依存性を算出するステップと、
前記縞模様鮮明度の深度依存性において前記縞模様鮮明度が最大値である深度を算出するステップと、
前記複数の領域のそれぞれの周囲に位置する他の領域の深度に基づき、前記算出した深度を修正するステップと、
前記修正した深度を、前記修正した深度に最も近く、前記縞模様鮮明度が極値である深度を、選択するステップと、
前記選択された深度に基づき、輝度を有する画像を抽出するステップと、を実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0085】
10 システム
11 認証用画像抽出装置
12 測定装置
13 平坦化装置
14 認証装置
100、300 断層画像群
110a、110b、310 縞模様鮮明度の深度依存性
101、102、10k、10n、301、302、30k、30n、400 断層画像
101a、101b、3011、3012、301m 領域
120a、120b、130a、130b、140b、200a、210a、210b、220b、411 画素
111a、111b、311、421 グラフ
112a、112b、113、312、313、314 深度
412 リング
500 装置
501 プロセッサ
502 メモリ
503 インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12