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特許7197040中継器、移動体、通信システム、及び中継方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】中継器、移動体、通信システム、及び中継方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20221220BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20221220BHJP
   H04W 28/04 20090101ALI20221220BHJP
   H04W 76/18 20180101ALI20221220BHJP
   H04W 84/00 20090101ALI20221220BHJP
【FI】
H04Q9/00 311H
H04W16/26
H04W28/04 110
H04W76/18
H04W84/00 110
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022037072
(22)【出願日】2022-03-10
【審査請求日】2022-03-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】平尾 栄二
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸一
(72)【発明者】
【氏名】原島 純一
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-193254(JP,A)
【文献】特開2008-252873(JP,A)
【文献】特開2018-133676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H04W 16/26
H04W 28/04
H04W 76/18
H04W 84/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を減衰させる建材が用いられた高層階の建物における下層階及び上層階の一方に設けられた第1通信装置と、前記建物における下層階及び上層階の他方に設けられた第2通信装置との通信を中継
前記第1通信装置における通信範囲である第1エリアと前記第2通信装置における通信範囲である第2エリアとの間を昇降するエレベータに搭載され、
前記第1エリアにおいて前記第1通信装置から前記第2通信装置あての通知信号を受信し、
前記第2エリアにおいて前記通知信号を前記第2通信装置に送信する
中継器。
【請求項2】
前記通知信号を受信した場合、前記第2通信装置が前記通知信号を受信するまで、前記通知信号を前記第2通信装置に送信する
請求項1に記載の中継器。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の中継器を搭載するエレベータである
移動体。
【請求項4】
前記第1通信装置と、
前記第2通信装置と、
請求項1又は請求項に記載の中継器
を備える通信システム。
【請求項5】
前記中継器は、前記第1通信装置から前記通知信号を受信すると、前記第1通信装置に応答信号を送信し、
前記第1通信装置は、前記中継器から前記応答信号を受信しない場合、前記通知信号を前記中継器に再送する
請求項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記第2通信装置は、前記中継器から前記通知信号を受信すると、前記中継器に応答信号を送信し、
前記中継器は、前記第2通信装置から前記応答信号を受信しない場合、前記通知信号を前記第2通信装置に再送する
請求項または請求項に記載の通信システム。
【請求項7】
中継器が行う中継方法であって、
電波を減衰させる建材が用いられた高層階の建物における下層階及び上層階の一方に設けられた第1通信装置と、前記建物における下層階及び上層階の他方に設けられた第2通信装置との通信を中継
前記第1通信装置における通信範囲である第1エリアと前記第2通信装置における通信範囲である第2エリアとの間を昇降するエレベータに搭載され、
前記第1エリアにおいて前記第1通信装置から前記第2通信装置あての通知信号を受信し、
前記第2エリアにおいて前記通知信号を前記第2通信装置に送信する
中継方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継器、移動体、通信システム、及び中継方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中継器を用いて中継を行う通信システムがある(例えば、特許文献1参照)。中継器を用いることにより、親局と子局との間の距離が離れている等して親局と子局とが直接通信をすることが困難な場合であっても、中継器を介して親局と子局とが通信をすることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-133676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、親局と子局との間の距離が1つの中継器が中継できる範囲を超えていたり、建物内などにおいて電波環境が劣化している場所が多数存在したりするような環境では、多数の中継器を設置しなければならず、装置コストがかかるという問題があった。
【0005】
上述の課題を鑑み、本発明は、多数の中継器を設置しなくとも親局と子局とが通信できるようにすることができる中継器、移動体、通信システム、及び中継方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる中継器は、電波を減衰させる建材が用いられた高層階の建物における下層階及び上層階の一方に設けられた第1通信装置と、前記建物における下層階及び上層階の他方に設けられた第2通信装置との通信を中継、前記第1通信装置における通信範囲である第1エリアと前記第2通信装置における通信範囲である第2エリアとの間を昇降するエレベータに搭載され、前記第1エリアにおいて前記第1通信装置から前記第2通信装置あての通知信号を受信し、前記第2エリアにおいて前記通知信号を前記第2通信装置に送信する中継器である。
【0007】
本発明の一態様にかかる移動体は、上記に記載の中継器を搭載する移動体である。
【0008】
本発明の一態様にかかる通信システムは、前記第1通信装置と、前記第2通信装置と、上記に記載の中継器を備える通信システムである。
本発明の一態様にかかる中継方法は、電波を減衰させる建材が用いられた高層階の建物における下層階及び上層階の一方に設けられた第1通信装置と、前記建物における下層階及び上層階の他方に設けられた第2通信装置との通信を中継し、前記第1通信装置における通信範囲である第1エリアと前記第2通信装置における通信範囲である第2エリアとの間を移動する移動体に搭載される中継器が行う中継方法であって、前記第1エリアにおいて前記第1通信装置から前記第2通信装置あての通知信号を受信し、前記第2エリアにおいて前記通知信号を前記第2通信装置に送信する中継方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多数の中継器を設置しなくとも親局と子局とが通信できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態にかかる通信システム1の構成を示す図である。
図2】実施形態にかかる第1通信装置10と第2通信装置20の位置関係を説明する図である。
図3】実施形態にかかる中継器30が行う処理を説明する図である。
図4】実施形態にかかる中継器30が行う処理を説明する図である。
図5】実施形態にかかる中継器30が行う処理を説明する図である。
図6】実施形態にかかる第2受信エリア20RXを説明する図である。
図7】実施形態にかかる中継器30が行う処理を説明する図である。
図8】実施形態にかかる中継器30が行う処理を説明する図である。
図9】実施形態にかかる中継器30が行う処理を説明する図である。
図10】実施形態にかかる第1受信エリア10RXを説明する図である。
図11】実施形態の変形例1を説明する図である。
図12】実施形態の変形例3を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態にかかる通信システム1の構成を示す図である。図1に示すように、通信システム1は、第1通信装置10と、第2通信装置20と、中継器30とから構成される。
【0012】
第1通信装置10、第2通信装置20、及び中継器30の各々は、建物BLD内に設けられている。
第1通信装置10及び第2通信装置20は、建物BLDの特定のフロアに設置されている。この図の例では、第1通信装置10は地下一階(B1F)に設置されている。第2通信装置20は9階(9F)に設置されている。
中継器30は、建物BLDにあるエレベータEVに設置されている。エレベータEVは、建物BLDに設けられた昇降経路EVRに沿って、上方向R1及び下方向R2に移動する。
【0013】
第1通信装置10は、第2通信装置20と通信を行う。第1通信装置10として、例えば、照明や温度などを測定するセンサ端末を適用することができる。この場合、第1通信装置10は、照明や温度などを測定したセンサ情報を、定期的又は不定期に、第2通信装置20に送信する。また、第1通信装置10は、制御情報を第2通信装置20から受信する構成であってもよい。この場合の制御情報は、例えば、照明や温度などを測定した測定結果を通知する頻度を指定する情報などである。
【0014】
第2通信装置20は、第1通信装置10と通信を行う。例えば、第1通信装置10がセンサ端末である場合、第2通信装置20は、センサ情報を第1通信装置10から受信する。また、第2通信装置20は、制御情報を第1通信装置10に送信する。
【0015】
中継器30は、第1通信装置10と第2通信装置20との通信を中継する。具体的に、中継器30は、第1通信装置10から送信された第2通信装置20あての情報、例えば、センサ情報を受信し、受信した情報を第2通信装置20に送信する。また、中継器30は、第2通信装置20から送信された第1通信装置10あての情報、例えば、制御情報を受信し、受信した情報を第1通信装置10に送信する。
【0016】
なお、第1通信装置10、第2通信装置20、及び中継器30のそれぞれが通信を行う通信方式は、少なくとも双方向の通信が可能な無線通信方式であれば任意の通信方式であってよい。通信方式として、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)規格のSigfox(登録商標)やLoRa(登録商標)、ZETA(登録商標)などを用いることができる。
【0017】
図2は、第1通信装置10と第2通信装置20の位置関係を説明する図である。
第1送信エリア10TXは、第1通信装置10の通信範囲であり、第1通信装置10が送信した信号が閾値以上の信号強度にて到達する領域である。ここでの閾値は、装置(例えば、第2通信装置20、又は中継器30)が信号を受信することができる信号強度の最低値である。
第2送信エリア20TXは、第2通信装置20の通信範囲であり、第2通信装置20が送信した信号が閾値以上の信号強度にて到達する領域である。ここでの閾値は、装置(例えば、第1通信装置10、又は中継器30)が信号を受信することができる信号強度の最低値である。
【0018】
なお、この図の例では、第1送信エリア10TXと第2送信エリア20TXの面積(実際には体積)がほぼ同等である場合を示しているがこれに限定されない。第1送信エリア10TXと第2送信エリア20TXのそれぞれの面積は第1通信装置10と第2通信装置20の送信出力に依存する。第1送信エリア10TXと第2送信エリア20TXとが互いに異なる面積であってもよいのは勿論である。
【0019】
図2に示すように、本実施形態では、第1通信装置10と、第2通信装置20とは、互いの送信エリアが重複しない位置に設置されている。つまり、第1送信エリア10TXと第2送信エリア20TXとが重複する領域がない。この場合、第1通信装置10と第2通信装置20とは、直接、信号を送受信することができない。具体的には、第2通信装置20は、第1通信装置10が送信した信号を受信することができない。第1通信装置10は、第2通信装置20が送信した信号を受信することができない。
【0020】
図3から図5は中継器30が行う処理を説明する図である。ここでは、中継器30が、第1通信装置10から第2通信装置20に情報(例えば、センサ情報)を中継する処理を説明する。
【0021】
中継器30は、エレベータEVの降下に伴って、第1通信装置10が設置されたフロアに移動する。
図3には、中継器30が、第1通信装置10が設置されたフロアにいる場合における、第1通信装置10と中継器30の位置関係が示されている。中継器30の位置は、第1送信エリア10TXの内側である。
図3に示すように、中継器30の位置が第1送信エリア10TXの内側である場合、中継器30は、第1通信装置10が送信した信号を受信することができる。ここで第1通信装置10が送信した信号は、第2通信装置20あてに通知する情報、例えば、センサ情報に対応する信号である。
【0022】
図4には、中継器30が、第1通信装置10が設置されたフロアにいる場合における、中継器送信エリア30TXが示されている。中継器送信エリア30TXは、中継器30が送信した信号が閾値以上の信号強度にて到達する領域である。ここでの閾値は、装置(例えば、第1通信装置10、又は第2通信装置20)が信号を受信することができる信号強度の最低値である。
図4に示すように、第1通信装置10が設置されたフロアに中継器30がいる場合、中継器送信エリア30TXには第2通信装置20の設置位置が入らない。この場合、第2通信装置20は、中継器30が送信した信号を受信することができない。つまり、中継器30がこの位置にいる状態では、中継器30は、第1通信装置10から受信した信号を、第2通信装置20に中継することができない。この場合、中継器30とは別の中継器を設置することが考えられるが、中継器を多数設置する必要があり装置コストが増加してしまう。
【0023】
この対策として本実施形態では、中継器30を、第2通信装置20と通信可能な位置まで移動させる。具体的には、エレベータEVを上昇させる。中継器30は、エレベータEVの上昇に伴って、第2通信装置20が設置されたフロアに移動する。そこで、中継器30は、第2通信装置20に、信号を送信する。ここで送信する信号は、中継器30が第1通信装置10から受信した信号に対応する情報(例えば、センサ情報)を示す信号である。
【0024】
図5には、第2通信装置20が設置されたフロアに中継器30がいる場合における、第1通信装置10と中継器30の位置関係が示されている。
図5に示すように、中継器送信エリア30TXの内側に第2通信装置20がいる場合、第2通信装置20は、中継器30が送信した信号を受信することができる。これにより、第1通信装置10が送信した信号が、中継器30の中継を介して、第2通信装置20に受信される。
【0025】
ここで、図6を用いて第2受信エリア20RXについて説明する。第2受信エリア20RXは、第2通信装置20の通信範囲であり、中継器30がそのエリアにいる場合に、第2通信装置20が中継器30から信号を受信することができるエリアである。第2受信エリア20RXは、第2通信装置20の設置位置を中心とし、半径が中継器送信エリア30TXの半径と同じエリアである。中継器30が第2受信エリア20RXに入れば、第2通信装置20は、中継器30から信号を受信することができる。
【0026】
図7から図9は中継器30が行う処理を説明する図である。ここでは、中継器30が、第2通信装置20から第1通信装置10に情報(例えば、制御情報)を中継する処理を説明する。
【0027】
中継器30は、エレベータEVの上昇に伴って、第2通信装置20が設置されたフロアに移動する。
図7には、中継器30が、第2通信装置20が設置されたフロアにいる場合における、第2通信装置20と中継器30の位置関係が示されている。中継器30の位置は、第2送信エリア20TXの内側である。
図7に示すように、中継器30の位置が第1送信エリア10TXの内側である場合、中継器30は、第2通信装置20が送信した信号を受信することができる。ここで第2通信装置20が送信する信号は、第1通信装置10あてに通知する情報(例えば、制御情報)に対応する信号である。
【0028】
図8には、中継器30が、第2通信装置20が設置されたフロアにいる場合における、中継器送信エリア30TXが示されている。
図8に示すように、第2通信装置20が設置されたフロアに中継器30がいる場合、中継器送信エリア30TXに第1通信装置10の設置位置が入らない。この場合、第1通信装置10は、中継器30が送信した信号を受信することができない。つまり、中継器30がこの位置にいる状態では、中継器30は、第2通信装置20から受信した信号を、第1通信装置10に中継することができない。
【0029】
その後、中継器30は、エレベータEVの下降に伴って、第1通信装置10が設置されたフロアに移動する。そこで、中継器30は、第1通信装置10に、信号を送信する。ここで送信する信号は、中継器30が第2通信装置20から受信した信号に対応する情報(例えば、制御情報)を示す信号である。
【0030】
図9には、第2通信装置20が設置されたフロアに中継器30がいる場合における、第2通信装置20と中継器30の位置関係が示されている。第2通信装置20の位置は、中継器送信エリア30TXの内側である。
図9に示すように、中継器送信エリア30TXの内側に第1通信装置10がいる場合、第1通信装置10は、中継器30が送信した信号を受信することができる。これにより、第2通信装置20が送信した信号が、中継器30の中継を介して、第1通信装置10に受信される。
【0031】
ここで、図10を用いて第1受信エリア10RXについて説明する。第1受信エリア10RXは、第1通信装置10の通信範囲であり、中継器30がそのエリアにいる場合に、第1通信装置10が中継器30から信号を受信することができるエリアである。第1受信エリア10RXは、第1通信装置10の設置位置を中心とし、半径が中継器送信エリア30TXの半径と同じエリアである。中継器30が第2受信エリア20RXに入れば、第1通信装置10は、中継器30から信号を受信することができる。
【0032】
ここで、図11を用いて実施形態の変形例1について説明する。
図11は、実施形態の変形例1にかかる通信システム1の構成を示す図である。図11に示すように、本変形例では、通信システム1が中継器31(中継器31A、31B)を備える点において上述した実施形態と相違する。中継器31は、移動体に搭載されない中継器である。
【0033】
この図の例では、第1通信装置10が設置されたフロアに中継器31Aが設置され、第2通信装置20が設置されたフロアに中継器31Bが設置された例が示されている。
【0034】
中継器31Aは、第1通信装置10が送受信する信号を中継する。具体的に、中継器31Aは、第1通信装置10が送信した信号を受信する。中継器31Aは、受信した信号を、中継器30に送信する。中継器31Aは、中継器30が送信した信号を受信する。中継器31Aは、受信した信号を、第2通信装置20に送信する。
中継器31Bは、第2通信装置20が送受信する信号を中継する。具体的に、中継器31Bは、第1通信装置10が送信した信号を受信する。中継器31Aは、受信した信号を、中継器30に送信する。中継器31Bは、中継器30が送信した信号を受信する。中継器31Bは、受信した信号を、第1通信装置10に送信する。
【0035】
例えば、中継器30がエレベータEVの下降に伴って、中継器31Aの送信エリアに入る。この中継器30が中継器31Aの送信エリアにいるタイミングで中継器31Aから信号が送信されると、中継器30は、中継器31Aから送信された信号を受信する。その後、中継器30は、エレベータEVの上昇に伴って第2受信エリア20RXに移動し、そこで中継器31Bに信号を送信する。
また、中継器30がエレベータEVの上昇に伴って、中継器31Bの受信エリアに入る。この中継器30が中継器31Bの受信エリアにいるタイミングで中継器30が、中継器31Bに信号を送信すると、中継器31Bは中継器30から信号を受信する。中継器31Bは、受信した信号を第2通信装置20に送信する。
【0036】
なお、上記では、通信システム1が中継器31A及び31Bの両方を備える場合を例に説明したが、通信システム1が中継器31A又は31Bのいずれか一方のみを備える構成であってもよい。
【0037】
ここで、実施形態の変形例2について説明する。
本変形例では、通信システム1が再送機能を備える点において上述した実施形態と相違する。ここでの再送機能は、送信した信号が受信されない場合に、再度、信号を送信する機能である。
【0038】
例えば、中継器30は、第1通信装置10から送信された信号を受信すると、第1通信装置10に応答信号(例えば、Ack)を送信する。
第1通信装置10は、中継器30に信号を送信した後、所定時間(例えば、3秒)以内に応答信号を受信しない場合、所定の待ち時間(例えば、3分)経過した後に、再度、信号を送信する。
或いは、第2通信装置20は、中継器30から送信された信号を受信すると、中継器30に応答信号(例えば、Ack)を送信する。
中継器30は、第2通信装置20に信号を送信した後、所定時間(例えば、3秒)以内に応答信号を受信しない場合、所定の待ち時間(例えば、3分)経過した後に、再度、信号を送信する。
【0039】
通信システム1が上述したような再送機能を備えることにより、第1通信装置10が信号を送信するタイミングにおいて中継器30が第1送信エリア10TXにおらず、中継器30が信号を受信できなかった場合に、信号を再送することができる。このため、中継器30が第1送信エリア10TXにいるタイミングで、信号を送信することが可能となり、中継器30が移動体に搭載されて第1送信エリア10TXにいるタイミングといないタイミングを有する場合であっても、第1通信装置10が送信した信号を中継器30が受信することができる。
また、中継器30が信号を送信するタイミングにおいて中継器30が第2受信エリア20RXにおらず、第2通信装置20が信号を受信できなかった場合に、信号を再送することができる。このため、中継器30が第2受信エリア20RXにいるタイミングで、信号を送信することが可能となり、中継器30が移動体に搭載されて第2受信エリア20RXにいるタイミングといないタイミングを有する場合であっても、中継器30が送信した信号を第2通信装置20が受信することができる。
【0040】
ここで、図12を用いて実施形態の変形例3について説明する。
本変形例では、中継器30が車両Bに搭載され、道路RDの経路に沿って移動する点において上述した実施形態と相違する。
【0041】
図12は中継器30が、移動体としての車両Bに搭載された例を示す図である。車両Bは道路RDに沿って走行する。道路RDの手前には第1通信装置10が設置されている。道路RDの先には第2通信装置20が設置されている。第1通信装置10と、第2通信装置20とは、互いの送信エリアが重複しない位置に設置されている。つまり、第1送信エリア10TXと第2送信エリア20TXとが重複する領域がない。このような状況において、中継器30を車両Bに搭載し、車両Bの走行に伴って第1送信エリア10TXから、第2通信装置20の近く、具体的には第2受信エリア20RXまで中継器30が移動することによって、第1通信装置10と第2通信装置20との通信を中継することができる。
【0042】
このように、中継器30を搭載する移動体は、任意の移動体であってよい。中継器30を搭載する移動体として、例えば、自動車又は電車などの車両、ドローン又は飛行機など飛行体、及び船舶などが適用されてもよい。
中継器30を搭載する移動体は、第1通信装置10の通信範囲、例えば、第1送信エリア10TX(以下、第1エリア)と、第2通信装置20の通信範囲、例えば第2受信エリア20RX(以下、第2エリア)との間を移動できればよい。
中継器30を搭載する移動体は、例えば、第1エリアと第2エリアを含む定められた経路に基づいて移動する移動体である。或いは、中継器30を搭載する移動体は、例えば、第1エリアと第2エリアを往復する移動体である。この場合、中継器30を搭載する移動体として、目的地に移動するタクシー、トラック等の車両、定められた路線を運行するバス等の車両、電車、ロープウェイ、飛行体、船舶、及びエレベータEVなどを用いることができる。
【0043】
ここで、実施形態の変形例4について説明する。本変形例では、建物BLDに、移動エリアが異なる複数の移動体が設けられる点において、上述した実施形態と相違する。例えば、建物BLDには、低層階(例えば、地下2階から地上10階)、中層階(例えば、地上11階から地上20階)、及び高層階用(例えば、地上21階から地上30階)のエレベータEVがそれぞれ設置されている。それぞれのエレベータEVには、中継器30が搭載される。具体的には、低層階用のエレベータEV-Lには中継器30-Lが搭載される。中層階用のエレベータEV-Mには中継器30-Mが搭載される。高層階用のエレベータEV-Hには中継器30-Hが搭載される。
また、建物BLDの最低階(例えば、地下2階)に第1通信装置10が設置され、建物BLDの最上階(例えば、地上30階)に第2通信装置20が設置されているものとする。
【0044】
中継器30-Lは、エレベータEV-Lの下降に伴い、第1通信装置10の第1送信エリア10TXに到達すると、第1通信装置10からセンサ情報を受信する。中継器30-Lは、エレベータEV-Lの上昇に伴い、エレベータEV-Mの受信エリアに到達する。ここで、中継器30-Mは、中継器30-Lが送信した中継信号(第1通信装置10が送信した信号)を受信する。なお、ここでは、説明を簡単にするために、エレベータEV-Mは、エレベータEV-Mが移動する範囲のうちの最低階(例えば、地上11階)に停止しており、中継器30-Mが、中継器30-Lから中継信号を受信した後に上昇するものとする。
【0045】
中継器30-Mは、エレベータEV-Mの上昇に伴い、中継器30-Hの受信エリアに到達する。ここで、中継器30-Hは、中継器30-Mが送信した中継信号(第1通信装置10が送信した信号)を受信する。なお、ここでは、説明を簡単にするために、エレベータEV-Hは、エレベータEV-Hが移動する範囲のうちの最低階(例えば、地上21階)に停止しており、中継器30-Hが、中継器30-Mから中継信号を受信した後に上昇するものとする。
【0046】
中継器30-Hは、エレベータEV-Hの上昇に伴い、第2通信装置20の第2受信エリア20RXに到達する。ここで、第2通信装置20は、中継器30-Hが送信した中継信号(第1通信装置10が送信した信号)を受信する。これにより、第1通信装置10が送信した信号が、中継器30-L、30-M、及び30-Hを介して中継され、第2通信装置20に受信される。
【0047】
同様な方法を用いて、第2通信装置20が送信した制御信号を、中継器30-H、30-M、及び30-Lを介して、第1通信装置10に中継することができる。
【0048】
ここで、実施形態の変形例5について説明する。本変形例では、建物BLDのフロアに沿って水平方向に移動する移動体が設けられる点において、上述した実施形態と相違する。例えば、建物BLDには、建物BLDのビル内を移動しながら掃除をする清掃ロボット、或いは、建物BLDのビル内を巡回しながら警備をする警備ロボット等(以下、単にロボットという)が設けられる。
ロボットは、例えば、建物BLDにおける特定のフロアの一端(例えば、右端)にあるエリアから、他端(例えば、左端)にあるエリアまで移動する。ロボットには、中継器30が搭載されている。
また、特定のフロアの一端(例えば、右端)にあるエリアには第1通信装置10が設置され、他端(例えば、左端)にあるエリアには第2通信装置20が設置されているものとする。
【0049】
中継器30は、ロボットの移動に伴い、特定のフロアの一端(例えば、右端)にあるエリア付近にて第1通信装置10の第1送信エリア10TXに到達すると、第1通信装置10からセンサ情報を受信する。中継器30はロボットの移動に伴い、特定のフロアの他端(例えば、左端)にあるエリアに近づき、第2通信装置20の第2受信エリア20RXに到達する。ここで、第2通信装置20は、中継器30が送信した中継信号(第1通信装置10が送信した信号)を受信する。これにより、特定のフロアの一端(例えば、右端)にあるエリアにいる第1通信装置10が送信した信号が、中継器30を介して中継され、特定のフロアの他端(例えば、左端)にあるエリアにいる第2通信装置20に受信される。
【0050】
以上説明したように、実施形態の中継器30は、第1通信装置10と第2通信装置20との通信を中継する。第1通信装置10は第1送信エリア10TX(第1エリア)を通信範囲とする。第2通信装置20は第2受信エリア20RX(第2エリア)を通信範囲とする。中継器30はエレベータEV(移動体)に搭載される。エレベータEVは第1送信エリア10TXと第2受信エリア20RXとの間を移動する。中継器30は、第1送信エリア10TXにおいて第1通信装置10から第2通信装置20あてに通知する信号(通知信号、例えば、センサ情報に対応する信号)を受信する。中継器30は、第2受信エリア20RXにおいて通知信号を第2通信装置20に送信する。
【0051】
これにより実施形態の中継器30では、第1エリアから第2エリアに移動することができ、第1エリアでは第2通信装置20に信号を受信させることができない場合であっても、第2エリアに移動して第2通信装置20に信号を受信させることができる。したがって、多数の中継器を設置しなくとも親局と子局とが通信できるようにすることができる。
【0052】
ここで比較例として、建物内に、2つの通信装置を設置し、これらの通信装置同士の通信を、複数の中継器を用いて中継させる構成を考える。中継器を活用することにより、建物内の通信範囲を確保することが可能となるが、超高層ビルに通信装置を設置する場合、各フロアに設けられた窓が少ない場合、或いは建物に鉄の扉や鉄筋が用いられている等、電波を減衰させる建材が多い場合には、電波が減衰し易い空間が形成され、物理的に電波が所定の強度で到達するエリアが狭まってしまう傾向にある。さらに、超高層ビルでは、非常階段や空調ダクト等が複雑に配置される傾向にあるため、電波が遠方に到達することが難くなる。このため、このような建物に設置された通信装置の通信を中継する場合、電波を減衰させる建材等がない見通し距離が長い空間と比較して、より多くの中継器を設置する必要がある。通信装置を増設する必要がある場合もあり得る。このたまえ、中継器の増設に係る費用、及び通信装置を増設する費用がかかり、設置コストが増大してしまう。
【0053】
これに対し、本実施形態では、中継器30では、第1エリアから第2エリアに移動することができるようにした。このため、少ない数の中継器を用いて、このような電波が減衰されてしまう空間が形成されやすい建物における通信を中継することが可能となる。したがって、設置コストの増大を抑えることができる。
【0054】
また、実施形態の中継器30は、第1エリアと第2エリアを含む定められた経路に基づいて移動する移動体に搭載される。また、実施形態の中継器30は、第1エリアと第2エリアを往復する移動体に搭載される。また、第1エリアと第2エリアを昇降するエレベータに搭載される。これにより、中継器30は、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0055】
実施形態の通信システム1は、第1通信装置10と、第2通信装置20と、中継器30を備える。中継器30は、第1通信装置10から信号(通知信号)を受信すると、第1通信装置10に信号(応答信号)を送信する。第1通信装置10は、中継器30から応答信号を受信しない場合、再度、通知信号を中継器30に信号を送信する(再送する)。第2通信装置20は、中継器30から通知信号を受信すると、中継器30に応答信号を送信する。中継器30は、第2通信装置20から応答信号を受信しない場合、再度、通知信号を第2通信装置20に送信する(再送する)。
これにより、実施形態の通信システム1は、移動体に搭載された中継器30の位置によって受信が失敗した場合に、受信が成功するまで信号を再送することができる。このため、確実に中継を行うことが可能となる。
【0056】
上述した実施形態における通信システム1の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0057】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1:通信システム、10:第1通信装置、20:第2通信装置、30:中継器、EV:エレベータ(移動体)
【要約】
【課題】多数の中継器を設置しなくとも親局と子局とが通信できるようにする。
【解決手段】第1エリアを通信範囲とする第1通信装置と、第2エリアを通信範囲とする第2通信装置との通信を中継する中継器であって、前記第1エリアと前記第2エリアとの間を移動する移動体に搭載され、前記第1エリアにおいて前記第1通信装置から前記第2通信装置あての通知信号を受信し、前記第2エリアにおいて前記通知信号を前記第2通信装置に送信する。
【選択図】図1
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