(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ロットトレース装置及びロットトレース方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20221220BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20221220BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2022097317
(22)【出願日】2022-06-16
【審査請求日】2022-06-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 友樹
(72)【発明者】
【氏名】長江 英希
(72)【発明者】
【氏名】田中 望美
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-157166(JP,A)
【文献】特開2000-029955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04 - 50/08
G06F 16/00
B22C 9/28
B30B 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産工程におけるワークを識別するワーク識別情報と、前記ワークの前工程のワークのワーク識別情報である前工程ワーク識別情報とを含むワークデータを記憶する記憶部と、
入力されたワーク指定情報に基づいて特定される前記ワークデータを起点データとする起点データ検索処理と、前記起点データを第一対象データとした後、前記第一対象データに含まれる前記前工程ワーク識別情報がワーク識別情報に設定されている他のワークデータを特定し、特定した前記ワークデータを新たな第一対象データとする処理を繰り返す前工程ワーク検索処理と、前記起点データを第二対象データとした後、前記第二対象データに含まれる前記ワーク識別情報が前工程ワーク識別情報として設定されている他のワークデータを特定し、特定した前記ワークデータを新たな第二対象データとする処理を繰り返す後工程ワーク検索処理とを行う検索部と、
前記前工程ワーク検索処理において特定された前記ワークデータと、前記起点データと、前記後工程ワーク検索処理において特定された前記ワークデータとを表示対象データとし、前記表示対象データに基づいて
、工程の順に並べられた複数の工程表示領域それぞれに、前記工程表示領域が対応する工程の前記ワークのワーク識別情報
と、前記ワークの一つ後工程のワークのワーク識別情報とを対応づけて表示し、前記表示対象データに含まれないワーク識別情報を表示しない表示制御部と、
を備えるロットトレース装置。
【請求項2】
前記検索部は、前記表示制御部が表示している前記ワーク識別情報からユーザにより選択されたワーク識別情報を前記ワーク指定情報として用いる、
請求項
1に記載のロットトレース装置。
【請求項3】
前記検索部は、前記起点データのうち、ユーザにより選択された前記ワーク識別情報と対応づけて表示されている前工程のワーク識別情報が前工程ワーク識別情報として設定されている起点データを前記第一対象データとする、
請求項
2に記載のロットトレース装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記ワーク識別情報と紐づけて、ワークに関する情報を示す付属情報を記憶し、
前記表示制御部は、前記ワーク識別情報に対応付けて前記付属情報に設定されている情報、又は、当該付属情報に設定されている情報を表すオブジェクトを表示する、
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のロットトレース装置。
【請求項5】
生産工程におけるワークを識別するワーク識別情報と、前記ワークの前工程のワークのワーク識別情報である前工程ワーク識別情報とを含むワークデータを記憶する記憶部を入力されたワーク指定情報に基づいて検索し、検索により特定された前記ワークデータを起点データとする起点データ検索ステップと、
前記起点データを第一対象データとした後、前記第一対象データに含まれる前記前工程ワーク識別情報がワーク識別情報に設定されている他のワークデータを特定し、特定した前記ワークデータを新たな第一対象データとする処理を繰り返す前工程ワーク検索ステップと、
前記起点データを第二対象データとした後、前記第二対象データに含まれる前記ワーク識別情報が前工程ワーク識別情報として設定されている他のワークデータを特定し、特定した前記ワークデータを新たな第二対象データとする処理を繰り返す後工程ワーク検索ステップと、
前記前工程ワーク検索ステップにおいて特定された前記ワークデータと、前記起点データと、前記後工程ワーク検索ステップにおいて特定された前記ワークデータとを表示対象データとし、前記表示対象データに基づいて
、工程の順に並べられた複数の工程表示領域それぞれに、前記工程表示領域が対応する工程の前記ワークのワーク識別情報
と、前記ワークの一つ後工程のワークのワーク識別情報とを対応づけて表示し、前記表示対象データに含まれないワーク識別情報を表示しない表示ステップと、
を有するロットトレース方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロットトレース装置及びロットトレース方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の工程を有する生産工程でのロットトレースを容易にする技術がある(例えば、特許文献1参照)。ロットトレース装置は、最上流である最初の工程から順に下流の工程へ各工程のワークをトレースした情報を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
あるワークにおいて発生したエラーの影響が波及する可能性がある他のワークを把握したい場合など、多数の工程を有する生産工程のうちある途中の工程のワークに注目してロットトレースを確認したい場合がある。しかし、特許文献1の技術では、生産工程における全ての工程のワークを最上流から順に表示しているため、注目したいワークには関連しないワークも表示されていた。
【0005】
図21は、従来技術によるロットトレース表示画面を示す図である。
図21に示すように、特許文献1の技術を用いたロットトレース表示画面では、途中の工程のワークから上流の工程のワーク及び下流の工程のワークに向かってトレースした結果を表示することは行っていない。例えば、
図21では、集約工程2のL2001のワークを起点にトレースを確認したい場合でも、L2001のワークの上流でも下流でもないL3002のワークも表示される。そのため、ユーザが特定のワークに関連するワークのみに絞ってロットトレースを確認することは容易ではなかった。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、全体の生産工程のうち選択されたワークに絞ってロットトレースを行うことができるロットトレース装置及びロットトレース方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、生産工程におけるワークを識別するワーク識別情報と、前記ワークの前工程のワークのワーク識別情報である前工程ワーク識別情報とを含むワークデータを記憶する記憶部と、入力されたワーク指定情報に基づいて特定される前記ワークデータを起点データとする起点データ検索処理と、前記起点データを第一対象データとした後、前記第一対象データに含まれる前記前工程ワーク識別情報がワーク識別情報に設定されている他のワークデータを特定し、特定した前記ワークデータを新たな第一対象データとする処理を繰り返す前工程ワーク検索処理と、前記起点データを第二対象データとした後、前記第二対象データに含まれる前記ワーク識別情報が前工程ワーク識別情報として設定されている他のワークデータを特定し、特定した前記ワークデータを新たな第二対象データとする処理を繰り返す後工程ワーク検索処理とを行う検索部と、前記前工程ワーク検索処理において特定された前記ワークデータと、前記起点データと、前記後工程ワーク検索処理において特定された前記ワークデータとを表示対象データとし、前記表示対象データに基づいてワーク識別情報を工程の順に表示し、前記表示対象データに含まれないワーク識別情報を表示しない表示制御部と、を備えるロットトレース装置である。
【0008】
本発明の一態様は、上述のロットトレース装置であって、前記表示制御部は、前記表示対象データに基づいて、ワーク識別情報と、当該ワーク識別情報のワークの後工程のワークのワーク識別情報とを対応付けて表示する。
【0009】
本発明の一態様は、上述のロットトレース装置であって、前記検索部は、前記表示制御部が表示している前記ワーク識別情報からユーザにより選択されたワーク識別情報を前記ワーク指定情報として用いる。
【0010】
本発明の一態様は、上述のロットトレース装置であって、前記検索部は、前記起点データのうち、ユーザにより選択された前記ワーク識別情報と対応づけて表示されている前工程のワーク識別情報が前工程ワーク識別情報として設定されている起点データを前記第一対象データとする。
【0011】
本発明の一態様は、上述のロットトレース装置であって、前記記憶部は、前記ワーク識別情報と紐づけて、ワークに関する情報を示す付属情報を記憶し、前記表示制御部は、前記ワーク識別情報に対応付けて前記付属情報に設定されている情報、又は、当該付属情報に設定されている情報を表すオブジェクトを表示する。
【0012】
本発明の一態様は、生産工程におけるワークを識別するワーク識別情報と、前記ワークの前工程のワークのワーク識別情報である前工程ワーク識別情報とを含むワークデータを記憶する記憶部を入力されたワーク指定情報に基づいて検索し、検索により特定された前記ワークデータを起点データとする起点データ検索ステップと、前記起点データを第一対象データとした後、前記第一対象データに含まれる前記前工程ワーク識別情報がワーク識別情報に設定されている他のワークデータを特定し、特定した前記ワークデータを新たな第一対象データとする処理を繰り返す前工程ワーク検索ステップと、前記起点データを第二対象データとした後、前記第二対象データに含まれる前記ワーク識別情報が前工程ワーク識別情報として設定されている他のワークデータを特定し、特定した前記ワークデータを新たな第二対象データとする処理を繰り返す後工程ワーク検索ステップと、前記前工程ワーク検索ステップにおいて特定された前記ワークデータと、前記起点データと、前記後工程ワーク検索ステップにおいて特定された前記ワークデータとを表示対象データとし、前記表示対象データに基づいてワーク識別情報を工程の順に表示し、前記表示対象データに含まれないワーク識別情報を表示しない表示ステップと、を有するロットトレース方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、全体の生産工程のうち選択された工程に絞ってロットトレースを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態による製品の生産工程の例を示す図である。
【
図2】同実施形態によるロットトレースの表示例を示す図である。
【
図3】同実施形態によるロットトレースの表示の例を示す図である。
【
図4】同実施形態によるロットトレース装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】同実施形態によるロット管理情報の例を示す図である。
【
図6】同実施形態による製品の生産工程の例を示す図である。
【
図7】同実施形態によるワークデータの例を示す図である。
【
図8】同実施形態によるワークデータの例を示す図である。
【
図9】同実施形態によるワークデータの例を示す図である。
【
図10】同実施形態によるロットトレース装置のロットトレース処理を示すフロー図である。
【
図11】同実施形態による製品の生産工程の例を示す図である。
【
図12】同実施形態によるワークデータの例を示す図である。
【
図13】同実施形態によるワークデータの例を示す図である。
【
図14】同実施形態によるワークデータの例を示す図である。
【
図15】同実施形態による画面表示例を示す図である。
【
図16】同実施形態による画面表示例を示す図である。
【
図17】同実施形態による画面表示例を示す図である。
【
図18】同実施形態による画面表示例を示す図である。
【
図19】同実施形態による画面表示例を示す図である。
【
図20】同実施形態による画面表示例を示す図である。
【
図21】従来のロットトレース表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1~
図3を用いて、本実施形態のロットトレース装置の概要を説明する。
図1は、あるロットの製品の生産工程の例を示す図である。ロットとは、同じ条件で製造される製品の製造数量や出荷数量の最小単位である。工場は、顧客から受注した製品を生産する。本実施形態では、製品が商品等を梱包するための梱包材である場合を例に説明する。このような梱包材の例は、食品のパック、詰め替え用洗剤のパウチ、ペットボトル、生鮮食品を包むビニールがセットされた段ボール箱などである。これらの製品は、複数の工程を経て生産される。また、これらの工程には、前工程のワークから投入された中間製品を結合するなどの加工を行って新たな中間製品を生産するワークや、中間製品を分割して後工程のワークに投入するワークなどが含まれる。なお、本実施形態における製品や生産工程は一例であり、本実施形態のロットトレース装置は、他の製品の製造や、他の生産工程にも適用可能である。
【0017】
図1では生産工程における工程1~工程4を示している。工程1には、ワークW11及びワークW12が含まれる。ワークW11及びワークW12ではそれぞれ、中間製品を生産し、生産した中間製品を工程2のワークW21に投入する。工程2のワークW21では、ワークW11から投入された中間製品及びワークW12から投入された中間製品を結合して新たな中間製品を生産し、生産した中間製品を工程3のワークW31に投入する。ワークW31では、ワークW21から投入された中間製品を裁断して工程4のワークW401~W410に投入する。工程4のワークW410には、工程3のワークW32からの中間製品も投入される。ワークW410では、ワークW31から投入された中間製品とワークW32から投入された中間製品とを結合して中間製品又は製品を生産する。
【0018】
図2及び
図3は、本実施形態のロットトレース装置によるロットトレースの表示例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態のロットトレース装置は、ユーザがワークW31を選択した際には、ワークW31に中間製品を投入した前工程のワークW21と、ワークW21に中間製品を投入した前工程のワークW11及びW12と、ワークW31が中間製品を投入した後工程のワークW401~W410の情報を、上流の工程から順に並べて工程別に表示する。このとき、ロットトレース装置は、各工程の各ワークに、そのワークから中間製品を投入した後工程のワークを対応付けて表示する。例えば、工程1のワークW11及びワークW12には、ワークW11及びワークW12のそれぞれが中間製品を投入した工程2のワークW21が対応付けて表示されている。また、工程3のワークW31には、ワークW31が中間製品を投入した後工程の複数のワークW401~W410が対応付けて表示されている。このように、ワークと、そのワークの後工程のワークとは、1対1だけでなく、多対1、1対多のこともある。
【0019】
また、
図3に示すように、本実施形態のロットトレース装置は、ユーザがワークW31から中間製品が投入されたワークW410を選択した際には、ワークW410に中間製品を投入した前工程のワークW31及びワークW32と、ワークW31に中間製品を投入した前工程のワークW21と、ワークW21に中間製品を投入した前工程のワークW11及びW12の情報を表示する。このように、本実施形態のロットトレース装置は、製品を生産する一連の工程のうち、ユーザにより選択されたワークに関連した前工程及び後工程のワークに絞ってロットトレースを行う。
【0020】
図4は、本実施形態のロットトレース装置10の構成を示す機能ブロック図である。
図4では、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。ロットトレース装置10は、例えば、コンピュータ装置で実現される。ロットトレース装置10は、記憶部11と、処理部12と、入力部13と、表示部14とを備える。
【0021】
記憶部11は、ロット管理情報を記憶する。ロット管理情報は、顧客から受注した製品を工場の生産ラインで生産した際に各工程で行われたワークの基本情報、ワークデータ及び付属情報を対応付けたデータ含む。
【0022】
基本情報は、受注番号、顧客の情報、ワークが属する工程、ワークが属する工程の前工程及び後工程、払出在庫ステータスなどの情報を含む。受注番号は、顧客からの受注を特定する識別情報である。払出在庫ステータスは、ワークによって製造された中間製品又は製品の在庫状態を示す。
【0023】
ワークデータは、投入ワークIDと、払出ワークIDとを含む。投入ワークIDは、ワークデータに対応するワークに中間製品を投入した前工程のワークのワークIDである。ワークIDは、ワークを特定する識別情報である。ワークIDは、例えば、所定の生産工程の完了時点で採番される。投入ワークIDは、前工程ワーク識別情報の一例である。払出ワークIDは、ワークデータに対応するワークのワークIDである。以下では、あるワークに中間製品を投入した前工程のワークを、そのワークの前工程ワークと記載する。すなわち、投入ワークIDにより特定されるワークは、払出ワークIDにより特定されるワークの前工程ワークである。また、あるワークが中間製品を投入した後工程のワークを、そのワークの後工程ワークと記載する。すなわち、払出ワークIDにより特定されるワークは、投入ワークIDにより特定されるワークの後工程ワークである。また、あるワークIDにより特定されるワークの前工程ワークのワークIDを、そのワークIDの前工程ワークIDと記載する。すなわち、投入ワークIDに設定されているワークIDは、払出ワークIDに設定されているワークIDの前工程ワークIDである。また、あるワークIDにより特定されるワークの後工程ワークのワークIDを、そのワークIDの後工程ワークIDと記載する。すなわち、払出ワークIDに設定されているワークIDは、投入ワークIDに設定されているワークIDの後工程ワークIDである。ワークデータはさらに、前工程ワークにおいて生産された中間製品のどの部分が分割されて投入されたかの情報を含む。なお、前工程のワークから中間製品が投入されないワークもある。
【0024】
付属情報は、材料情報、帳票情報、品質情報、繋ぎ情報、エラー情報などを含む。材料情報は、材料メーカー名や、材料のロット番号、材料の品名等を示す。帳票情報は、生産中に記録するチェックシートへのリンクを示す。チェックシートは、装置設定や製品の出来映えのチェック結果を示すデータである。品質情報は、異常発生時に発行する報告書へのリンクを示す。繋ぎ情報は、ロール生産の場合に、2つのロールを繋いだ箇所があるかどうかを示す。例えば、異常箇所を除去した場合などにロールを繋ぐことがある。エラー情報は、払出在庫ステータスと同様に、在庫状態を示す。
【0025】
処理部12は、入力情報取得部121と、検索部122と、表示制御部123とを備える。入力情報取得部121は、入力部13により入力された情報を取得し、取得した情報を検索部122又は表示制御部123に出力する。検索部122は、ワーク指定情報が示すワークの上流方向のワーク及び下流方向のワークのワークデータを検索する。具体的には、検索部122は、ワーク指定情報に基づいて特定されるワークのワークデータを起点データとする。検索部122は、起点データを最初の対象データとした後、対象データに含まれる投入ワークIDが払出ワークIDとして設定されている他のワークデータ、すなわち、対象データに対応したワークの前工程ワークのワークデータを特定し、特定したワークデータを新たな対象データとする処理を繰り返す前工程検索処理を行う。さらに、検索部122は、起点データを最初の対象データとした後、対象データに含まれる払出ワークIDが投入ワークIDとして設定されている他のワークデータ、すなわち、対象データに対応したワークの後工程ワークのワークデータを特定し、特定したワークデータを新たな対象データとする処理を繰り返す後工程検索処理を行う。
【0026】
表示制御部123は、検索部122が前工程検索処理において特定したワークデータと、起点データと、後工程検索処理において特定したワークデータとのそれぞれを表示対象データとする。表示制御部123は、表示対象データを参照して、ワークIDと、そのワークIDの前工程ワークID及び後工程ワークIDとの対応を取得する。ワークIDと前工程ワークIDの対応、及び、ワークIDと後工程ワークIDの対応は、1対1、1対多、多対1、多対多でありうる。表示制御部123は、取得した情報に基づいて、表示対象データから得られたワークIDを、上流の工程から順に並べて表示部14に表示する。このとき、表示制御部123は、各工程のワークIDに、そのワークIDの後工程ワークIDを対応付けて表示する。表示制御部123は、いずれの表示対象データにも含まれないワークIDについては表示しない。
【0027】
入力部13は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部13は、ユーザの指示をロットトレース装置10に入力する際にユーザによって操作される。入力部13は、入力装置をロットトレース装置10に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、入力部13は、入力装置においてユーザの入力に応じ生成された入力信号をロットトレース装置10に入力する。入力部13は、ロットトレース装置10に設けられた通信装置を介して他の情報処理装置からユーザの指示を入力してもよい。
【0028】
表示部14は、ロットトレース装置10に接続された不図示の表示装置を介し、ロットトレース装置10のユーザに対してデータの表示を行う。表示装置は、例えば画像や文字を画面に出力する装置を用いて構成されてもよい。例えば、表示装置は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイ等を用いて構成できる。表示部14は、ロットトレース装置10に設けられた通信装置を介して他の情報処理装置に対してデータを送信し、表示させてもよい。
【0029】
ロットトレース装置10をネットワークに接続される複数のコンピュータ装置により実現してもよい。この場合、ロットトレース装置10の各機能部を、これら複数のコンピュータ装置のいずれにより実現するかは任意とすることができる。例えば、記憶部11と、処理部12とをそれぞれ異なるコンピュータ装置により実現してもよい。また、同一の機能部を複数のコンピュータ装置により実現してもよい。例えば、記憶部11を、複数のコンピュータ装置により実現してもよい。
【0030】
図5は、ロット管理情報の例を示す図である。ロット管理情報は、ワークデータと、基本情報と、付属情報とが紐づけられた情報を含む。ワークデータに対応したワークを対応ワークと記載する。ワークデータは、投入ワークID、投入開始カウンタ値、投入終了カウンタ値、払出ワークID、払出ワーク数量、行番号、開始日時及び終了日時を含む各項目の値を示す。投入ワークIDは、対応ワークの前工程ワークのワークIDを示す。投入開始カウンタ値は、前工程ワークにおいて生産された中間製品のうち対応ワークへ投入された中間製品の開始箇所を表す。投入終了カウンタ値は、前工程ワークにおいて生産された中間製品のうち対応ワークへ投入された中間製品の終了箇所を表す。例えば、投入開始カウンタ値がL1、投入終了カウンタ値がL2の場合、前工程ワークで製造された長さLの中間製品のうち、L1からL2までの部分が対応ワークへ投入されたことを表す(L>L2>L1)。払出ワークIDは、対応ワークのワークIDである。払出ワーク数量は、対応ワークから後工程ワークに投入した(払出した)中間製品の数量を示す。行番号は、前工程ワークにおいて投入開始カウンタ値から投入終了カウンタ値までの中間製品を複数の行に分割して払出した場合、いずれの行の中間製品が対応ワークに投入されたかを示す。開始日時及び終了日時はそれぞれ、対応ワークの開始日時及び終了日時を示す。
【0031】
基本情報及び付属情報は、ワークデータの払出ワークIDに紐づけられる。基本情報は、受注番号、得意先名、工程CD(コード)、工程名、機械番号、前工程、後工程及び払出在庫ST(ステータス)を含む各項目の値を示す。受注番号は、受注した案件ごとに付与される番号である。得意先名は、製品を発注した顧客の名前又は名称を示す。工程CDは、対応ワークが属する工程のコードを示す。工程名は、対応ワークが属する工程の名称を示す。機械番号は、対応ワークに用いられた機械を特定する情報である。前工程は、対応ワークが属する工程の一つ前の工程、すなわち、一つ上流の工程を示す。後工程は、対応ワークが属する工程の一つ後の工程、すなわち、一つ下流の工程を示す。払出在庫STは、対応ワークから払出された中間製品又は製品の状態を示す。状態には、例えば、良品、保留、要検査/再生産、処分、返品、在庫再検査などがある。なお、品質に異常がない場合には付属情報に品質情報及びエラー情報が含まれなくてもよい。また、繋ぎを行わなかった場合には付属情報に繋ぎ情報が含まれなくてもよい。
【0032】
図6は、結合及び分割を含む生産工程の例を示す図であり、
図7~
図9は、
図6に示す生産工程のワークデータの例を示す図である。以下では、ワークIDがXのワークをワークXと記載する。また、
図7~
図9には、ワークデータの一部の項目の値を抽出して示している。
【0033】
図6に示す工程1には、ワークA0001、A0002、A0003がある。ワークA0001において製造された0~100mの中間製品と、ワークA0002において製造された100mの中間製品のうち分割された0~50mの中間製品とが、工程2のワークB0001に投入される。また、ワークA0002の分割された50~100mの中間製品と、ワークA0003において製造された0~100mの中間製品が、工程2のワークB0002に投入される。
【0034】
ワークB0001においては、ワークA0001から投入された0~100mの中間製品と、ワークA0002から投入された0~50mの中間製品とを結合して150mの中間製品を製造する。ワークB0001において製造された中間製品のうち、0~50mの中間製品が工程3のワークC0001に、50~100mの中間製品が工程3のワークC0002に、100~150mの中間製品が工程3のワークC0003に分割されて投入される。また、ワークB0002においては、ワークA0002から投入された50~100mの中間製品と、ワークA0003から投入された0~100mの中間製品を結合して150mの中間製品を製造する。ワークB0002において製造された中間製品は後工程ワークに投入される。
【0035】
ワークC0001においては、ワークB0001から投入された50mの中間製品を4つの行に分割し、1行目の中間製品をワークD0001に、2行目の中間製品をワークD0002に、3行目の中間製品をワークD0003に、4行目の中間製品をワークD0004に投入する。
【0036】
図7は、結合パターンのワークデータを示している。複数の前工程ワークから投入された中間製品を結合するワークには、ワークデータが複数生成される。具体的には、
図7に示すように、ワークB0001には、ワークA0001から中間製品が投入されたことを示すワークデータR1と、ワークA0002から中間製品が投入されたことを示すワークデータR2との2つのワークデータが生成される。ワークデータR1の投入ワークIDには前工程ワークのワークID「A0001」が設定され、投入開始カウンタ値には「0m」が設定され、投入終了カウンタ値には「100m」が設定され、払出ワークIDには対応ワークのワークID「B0001」が設定され、払出ワーク数量には対応ワークから後工程ワークに払出した中間製品の合計の数量「150m」が設定される。また、行への分割を行われずに前工程ワークから対応ワークへ中間製品が投入されたため、行番号には「1」が設定される。ワークデータR2の投入ワークIDには前工程ワークのワークID「A0002」が設定され、投入開始カウンタ値には「0m」が設定され、投入終了カウンタ値には「50m」が設定され、払出ワークIDには対応ワークのワークID「B0001」が設定され、払出ワーク数量には対応ワークから後工程ワークに払出した中間製品の合計の数量「150m」が設定され、行番号には「1」が設定される。
【0037】
同様に、ワークB0002には、ワークA0002から中間製品が投入されたことを示すワークデータR3と、ワークA0003から中間製品が投入されたことを示すワークデータR4との2つのワークデータが生成される。ワークデータR3の投入ワークIDには前工程ワークのワークID「A0002」が設定され、投入開始カウンタ値には「50m」が設定され、投入終了カウンタ値には「100m」が設定され、払出ワークIDには対応ワークのワークID「B0002」が設定され、払出ワーク数量には対応ワークから後工程ワークに払出した中間製品の数量「150m」が設定され、行番号には「1」が設定される。ワークデータR4の投入ワークIDには前工程ワークのワークID「A0003」が設定され、投入開始カウンタ値には「0m」が設定され、投入終了カウンタ値には「100m」が設定され、払出ワークIDには対応ワークのワークID「B0002」が設定され、払出ワーク数量には対応ワークから後工程ワークに払出した中間製品の数量「150m」が設定され、行番号には「1」が設定される。
【0038】
図8は、第1の分割パターンのワークデータを示している。第1の分割パターンでは、中間製品が搬送される方向と垂直な列方向に分割し、分割された中間製品を後工程ワークに投入する。
図6に示すようにワークB0001は列方向に3つに分割した中間製品をそれぞれワークC0001~C0003に投入する。
図8に示すワークデータR5~D7はそれぞれ、ワークC0001~C0003のワークデータである。
【0039】
ワークデータR5の投入ワークIDには前工程ワークのワークID「B0001」が設定され、投入開始カウンタ値には「0m」が設定され、投入終了カウンタ値には「50m」が設定され、払出ワークIDには対応ワークのワークID「C0001」が設定され、払出ワーク数量には対応ワークから後工程ワークに払出した中間製品の数量「50m」が設定され、行番号には「1」が設定される。また、ワークデータR6の投入ワークIDには前工程ワークのワークID「B0001」が設定され、投入開始カウンタ値には「50m」が設定され、投入終了カウンタ値には「100m」が設定され、払出ワークIDには対応ワークのワークID「C0002」が設定され、払出ワーク数量には対応ワークから後工程ワークに払出した中間製品の数量「50m」が設定され、行番号には「1」が設定される。また、ワークデータR7の投入ワークIDには前工程ワークのワークID「B0001」が設定され、投入開始カウンタ値には「100m」が設定され、投入終了カウンタ値には「150m」が設定され、払出ワークIDには対応ワークのワークID「C0003」が設定され、払出ワーク数量には対応ワークから後工程ワークに払出した中間製品の数量「50m」が設定され、行番号には「1」が設定される。
【0040】
図9は、第2の分割パターンのワークデータを示している。第2の分割パターンでは、中間製品を、後工程ワークに送る方向と水平な列方向に分割し、分割された中間製品を後工程ワークに投入する。
図6に示すように、ワークC0001は4行に分割した中間製品をそれぞれワークD0001~D0004に投入している。
図9に示すワークデータR8~R11はそれぞれ、ワークD0001~D0004のワークデータである。
【0041】
ワークデータR8の投入ワークIDには前工程ワークのワークID「C0001」が設定され、投入開始カウンタ値には「0m」が設定され、投入終了カウンタ値には「50m」が設定され、払出ワークID「D0001」が設定され、払出ワークIDには対応ワークのワークID「D0001」が設定され、払出ワーク数量には対応ワークから後工程ワークに払出した中間製品の数量「50m」が設定され、行番号には「1」が設定される。ワークデータR9の投入ワークIDには前工程ワークID「C0001」が設定され、投入開始カウンタ値には「0m」が設定され、投入終了カウンタ値には「50m」が設定され、払出ワークIDには対応ワークのワークID「D0002」が設定され、払出ワーク数量には対応ワークから後工程ワークに払出した中間製品の数量「50m」が設定され、行番号には「2」が設定される。
【0042】
続いて、ロットトレース装置10の動作を説明する。
図10は、ロットトレース装置10のロットトレース処理を示すフロー図である。ユーザは、入力部13により検索情報を入力する(ステップS105)。検索情報は、例えば、受注番号やワークIDである。入力情報取得部121は、入力部13により入力された検索情報を検索部122に出力する。検索部122は、検索情報が受注番号であるか否かを判断する(ステップS110)。検索部122は、受注番号であると判断した場合(ステップS110:YES)、検索情報が示す受注番号の基本情報を特定する。検索部122は、特定した全ての基本情報と、それら特定した基本情報に紐づけられるワークデータ及び付属情報を記憶部11から読み出す(ステップS115)。
【0043】
表示制御部123は、ステップS115において読み出されたワークデータを表示対象データとする。表示制御部123は、表示対象データのワークデータに設定されている投入ワークID及び払出ワークIDからワークIDを読み出し、払出ワークIDが示すワークIDは、投入ワークIDが示すワークIDの後工程ワークIDであると判断する。換言すれば、表示制御部123は、前工程ワークIDが示すワークIDは、払出ワークIDが示すワークIDの前工程ワークIDであると判断する。表示制御部123は、読み出されたワークIDと、ワークID間の前工程と後工程の関係に基づいて、読み出したワークIDを工程の順に並べて表示部14に表示する(ステップS120)。このとき、表示制御部123は、ワークID間の前工程と後工程の関係をさらに表示部14に表示する。例えば、表示制御部123は、隣接する工程において前工程と後工程の関係にあるワークIDを線でつなげるなどして表示する。また、表示制御部123は、工程順のワークIDをすでに表示していた場合はその表示を削除し、表示対象データから得られたワークIDについて工程順に表示する。さらに、表示制御部123は、各ワークIDに対応付けて、当該ワークIDに紐づけられた基本情報や付属情報から取得したデータ又は取得したデータを表すオブジェクトなどを表示してもよい。オブジェクトは画像データである。例えば、表示制御部123は、基本情報に設定されている払出在庫STを表すオブジェクトや、エラーが報告されたことを表すオブジェクトや、繋ぎが発生したことを表すオブジェクトなどを表示する。
【0044】
続いて、ユーザが入力部13により入力を行うと、入力情報取得部121は、表示部14に表示されているワークIDの中から、いずれかのワークIDが新たな起点となるワークを特定する情報として選択されたか否かを判断する(ステップS125)。入力情報取得部121は、新たな起点を特定するワークIDの選択が入力されなかったと判断した場合(ステップS125:NO)、検索情報が入力されたか否かを判断する(ステップS130)。入力情報取得部121は、検索情報が入力されたと判断した場合(ステップS130:YES)、ステップS110からの処理を繰り返す。入力情報取得部121は、検索情報が入力されなかったと判断した場合(ステップS130:NO)、終了指示が入力されたか否かを判定する(ステップS135)。
【0045】
入力情報取得部121は、終了指示が入力されなかったと判断した場合(ステップS135:NO)、入力された情報を表示制御部123に出力する。表示制御部123は、入力された情報に基づく処理を行った結果を表示部14に表示する。例えば、表示制御部123は、ユーザが入力部13により表示を指示した基本情報、材料情報、帳票情報、品質情報などを表示する(ステップS140)。ロットトレース装置10は、ステップS125からの処理を繰り返す。
【0046】
ステップS125において、入力情報取得部121は、新たな起点を特定するワークIDが選択されたと判断した場合(ステップS125:YES)、選択されたワークIDを検索部122に出力する。検索部122は、選択されたワークIDが払出ワークIDに設定されているワークデータを全て特定する。検索部122は、特定されたワークデータを全て起点データとする。検索部122は、起点データと、それら対象データに紐づけられる基本情報及び付属情報を記憶部11から読み出す(ステップS145)。
【0047】
一方、ステップS110において、検索部122は、検索情報がワークIDを示すと判断した場合(ステップS110:NO)、そのワークIDが払出ワークIDに設定されているワークデータを全て特定する。検索部122は、特定されたワークデータを全て起点データとする。検索部122は、起点データと、それら対象データに紐づけられる基本情報及び付属情報を記憶部11から読み出す(ステップS150)。
【0048】
ステップS145又はステップS150の処理の後、検索部122は、ステップS160の処理を行う。すなわち、検索部122は、起点データを対象データとする(ステップS155)。なお、ステップS145において、ユーザが入力部13により選択されたワークIDの前工程ワークIDも入力した場合、検索部122は、起点データのうち、前工程ワークIDが払出ワークIDに設定されている起点データのみを対象データとしてもよい。検索部122は、各対象データの前工程のワークデータがあるか否かを判断する(ステップS160)。具体的には、対象データに投入ワークIDが設定されている場合、前工程のワークデータがあると判断し、設定されていない場合、前工程のワークデータがないと判断する。検索部122は、前工程のワークデータがあると判断した場合(ステップS160:YES)、対象データの投入ワークIDが払出ワークIDに設定されているワークデータ全てを新たな対象データとする。検索部122は、新たな対象データと、それら対象データに紐づけられる基本情報及び付属情報を記憶部11から読み出す(ステップS165)。検索部122は、ステップS160からの処理を繰り返す。
【0049】
そして、検索部122は、前工程ワークデータがないと判断した場合(ステップS160:NO)、起点データを新たな対象データとする(ステップS170)。検索部122は、各対象データの後工程のワークデータがあるか否かを判断する(ステップS175)。具体的には、検索部122は、対象データの払出ワークIDが投入ワークIDに設定されているワークデータを、後工程のワークデータとして検索する。検索部122は、検索の結果、後工程のワークデータがあると判断した場合(ステップS175;YES)、それら後工程のワークデータを全て新たな対象データとする。検索部122は、新たな対象データと、それら対象データに紐づけられる基本情報及び付属情報を記憶部11から読み出す(ステップS180)。検索部122は、ステップS175からの処理を繰り返す。
【0050】
そして、検索部122は、後工程のワークデータがないと判断した場合(ステップS175:NO)、ステップS120からの処理を行う。ただし、表示制御部123は、ステップS120において、ステップS115において読み出されたワークデータに代えて、ステップS145又はステップS150において読み出された起点データと、ステップS165において読み出されたワークデータと、ステップS180において読み出されたワークデータとを表示対象データとして用いる。そして、ステップS135において、入力情報取得部121は、終了指示が入力されたと判断した場合(ステップS135:YES)、
図10の処理を終了する。
【0051】
続いて、具体的な画面表示例について説明する。
図11は、生産工程におけるワークの関係を示す図である。
図11では、生産工程における一部のワークのみを抽出して示している。各四角はワークを表しており、四角内にワークIDを示している。矢印の根元のワークから矢印の先端のワークへ中間製品が投入される。
【0052】
図12~
図14は、
図11に含まれる一部のワークのワークデータを示す図である。また、
図12~
図14では、ワークデータの一部のみを示している。
図12は、工程2におけるワーク5047024730405+の2つのワークデータR21、R22を示している。
図13は、ワーク5047024730405+の後工程ワークであるワーク5047024813587BのワークデータR23を示している。
図14は、ワーク5047024813587Bの後工程ワークであるワーク5047024838097E、5047024838098F、50470248381458、…、5047024838292BのワークデータR24、D25、D26、…、D27を示している。ワーク5047024838292Bには、ワーク「50850004389649」が前工程ワークのワークデータR28もある。
【0053】
図15は、ロットトレースの初期画面G1の画面表示例を示す図である。ロットトレース装置10の表示制御部123は、初期画面G1を表示部14に表示する。初期画面G1は、検索情報の種類が受注番号であるかワークIDであるかを選択するボタンB11、B12と、受注番号又はワークIDを入力する入力フィールドF11と、検索ボタンB13とを含む。受注番号で検索を行う場合、ユーザは、入力部13によりボタンB11を押下し、入力フィールドF11に受注番号を入力した後、検索ボタンB13を押下する。入力情報取得部121は、入力された受注番号を示す検索情報を取得する。一方、ワークIDで検索を行う場合、ユーザは、入力部13によりボタンB12を押下し、入力フィールドF11にワークIDを入力した後、検索ボタンB13を押下する。入力情報取得部121は、入力されたワークIDを示す検索情報を取得する。
【0054】
ここでは、ユーザが、入力部13により、ボタンB11を押下し、受注番号「12345」を入力した後、検索ボタンB13を押下したとする(
図10のステップS105)。検索部122は、入力された検索情報が受注番号であると判断し(
図10のステップS110:YES)、入力された受注番号が設定されている基本情報に紐づけられているワークデータを全て読み出す(
図10のステップS115)。表示制御部123は、読み出されたワークデータである表示対象データと、それらワークデータに紐づく基本情報及び付属情報に基づいて、
図16に示す表示画面G2を表示部14に表示する(
図10のステップS120)。
【0055】
図16は、表示画面G2の画面表示例を示す図である。表示画面G2は、受注番号表示フィールドF21、得意先名表示フィールドF22、品名表示フィールドF23、工程表示領域A21、A22、A23を有している。表示制御部123は、入力された受注番号と、受注番号が設定されている基本情報から読み出した得意先名とをそれぞれ、受注番号表示フィールドF21及び得意先名表示フィールドF22に表示する。さらに、表示制御部123は、受注した製品の品名の情報を取得し、品名表示フィールドF23に表示する。表示制御部123は、基本情報内に設定された品名の情報を読み出してもよく、受注番号により特定される受注伝票の情報などから読み出してもよい。
【0056】
工程表示領域A21、A22、A23は、それぞれ、工程1、2、3と対応しており、ワーク表示領域A211、A221、A231を有する。表示制御部123は、ワーク表示領域A211、A221、A231それぞれに、工程1、2、3のワークIDを表示する。さらに、表示制御部123は、各工程のワークIDに、そのワークIDの後工程ワークIDを対応付けて表示する。例えば、ワーク表示領域A211には、工程1のワークのワークID「50850004389627」、「50850004389616」、…が表示され、ワークID「50850004389627」には、その後工程ワークID「5047024730063+」、「50470247302876」が対応付けて表示されている。また、ワーク表示領域A221には、工程2のワークのワークID「5047024730405+」、「5047024730063+」、…が表示され、ワークID「5047024730405+」には、その後工程ワークID「5047024813587B」、「5047024813796D」が対応付けて表示されている。同様に、ワーク表示領域A231には、工程3のワークのワークIDと、それらワークIDの後工程ワークIDとが表示されている。
【0057】
表示制御部123は、ワーク表示領域A211、A221、A231に表示する各ワークID及び後工程ワークIDに対応付けてオブジェクトを表示する。オブジェクトには、在庫STを表すオブジェクトJ1と、品質情報が発行されたことを表すオブジェクトJ2と、繋ぎが発生したことを表すオブジェクトJ3とがある。表示制御部123は、ワークID又は後工程ワークIDと紐づけられる基本情報に設定されている払出在庫STが良品、保留、要検/再生、処分のいずれであるかによって選択したオブジェクトJ1を、そのワークID又は後工程ワークIDの前に表示する。また、表示制御部123は、後工程ワークIDと紐づけて品質情報が記憶部11に記憶されている場合にその後工程ワークIDに対応付けてオブジェクトJ2を表示し、後工程ワークIDと紐づけられた繋ぎ情報に繋ぎを行ったことが設定されている場合にその後工程ワークIDに対応付けてオブジェクトJ3を表示する。表示画面G2では、オブジェクトJ2及びJ3を、オブジェクトJ1の上に重ねて表示している。なお、表示画面G2の表示領域A24には、各オブジェクトJ1、J2、J3が表す意味を表示している。
【0058】
さらに、表示制御部123は、工程表示領域A21、A22、A23に、工程1、2、3それぞれの工程CD及び工程名と、投入件数及び払出件数と、開始日時及び終了日時とを表示する。表示制御部123は、工程1の工程CD及び工程名を、ワーク表示領域A211に表示している工程1のワークIDに紐づけられた基本情報から読み出す。また、表示制御部123は、ワーク表示領域A211に表示している工程1のワークIDの種類の数及び後工程ワークIDの種類の数をそれぞれ、工程1の投入件数及び払出件数として表示する。また、表示制御部123は、ワーク表示領域A211に表示している工程1のワークIDが払出ワークIDに設定されているワークデータそれぞれから開始日時及び終了日時を読み出し、最も早い開始日時及び最も遅い終了日時を選択し、工程表示領域A21に表示する。表示制御部123は、工程2、3についても同様に、工程CD及び工程名と、投入件数及び払出件数と、開始日時及び終了日時とを得て工程表示領域A22、A23に表示する。
【0059】
表示画面G2において、ユーザが、入力部13によりワークIDを選択し、詳細情報表示ボタンB21を押下し、品報情報の選択を入力したとする。入力情報取得部121は、選択されたワークID、詳細情報表示指示、及び、品報情報の選択を表示制御部123に出力する(
図10のステップS125:NO、ステップS130:NO、ステップS135:NO)。表示制御部123は、
図17に示す表示画面G3を表示する(
図10のステップS140)。
【0060】
図17は、表示画面G3の画面表示例を示す図である。表示制御部123は、表示画面G3の詳細情報表示領域A31に、選択されたワークIDに対応した品質情報へのリンクを表示する。ユーザが、リンクを入力部13により選択した場合、表示制御部123は、リンクされている品質情報を表示部14に表示する。
【0061】
一方、ユーザは、
図16に示す表示画面G2又は表示画面G3において、入力部13により起点となるワークのワークIDを選択し、トレース表示指示を入力したとする(
図10のステップS125:YES)。例えば、ユーザは、ワークIDの表示領域をマウスにより選択することによりワークIDを選択する。ここでは、選択されたワークIDが、ワーク表示領域A221に表示されているワークID「5047024730405+」の後工程ワークID「5047024813587B」であるとする。検索部122は、選択されたワークIDが払出ワークIDに設定されているワークデータを特定し、新たな起点データとする(
図10のステップS145)。すなわち、起点のワークは、
図11に示す符号Pのワークであり、起点データは、
図13に示すワークデータR23である。検索部122は、選択された起点データのうち、選択されたワークIDを後工程ワークIDとするワークID「5047024730405+」が投入ワークIDに設定された起点データを最初の対象データとし、前工程のワークデータを読み出す(
図10のステップS155~ステップS165)。また、検索部122は、起点データを最初の対象データとし、後工程のワークデータを読み出す(
図10のステップS170~ステップS180)。前工程のワークデータは、
図12に示すワークデータR21、R22であり、後工程のワークデータは、
図13に示すワークデータR24~R27である。表示制御部123は、起点データ及び読み出したワークデータに基づいて、
図18に示す表示画面G4を表示する(
図10のステップS120)。
【0062】
図18は、表示画面G4の画面表示例を示す図である。表示対象データのワークデータが異なることを除いて、表示画面G4は、
図16に示す表示画面G2と同様に表示される。さらには、表示画面G4では、起点のワークを指定するために選択されたワークID「5047024813587B」の表示領域A32の背景色を変化させて表示させている。このように、選択されたワークIDは、起点であることを表す態様で表示される。ワークID「5047024813587B」が選択されている状態で、ユーザが、入力部13により詳細情報表示ボタンB21を押下した場合、入力情報取得部121は、詳細表示指示を表示制御部123に出力する(
図10のステップS125:NO、ステップS130:NO、ステップS135:NO)。表示制御部123は、選択されたワークIDに紐づけられている基本情報を読み出し、
図19に示す表示画面G5を表示する(
図10のステップS140)。
【0063】
図19は、表示画面G5の画面表示例を示す図である。表示制御部123は、表示画面G5の詳細情報表示領域A31に、読み出した基本情報を表示する。さらに、表示制御部123は、選択されたワークIDの前工程ワークIDに紐づけられた基本情報に設定されている払出在庫STを、投入在庫STとして表示する。
【0064】
ユーザが、表示画面G2、G3、G4、G5のいずれかにおいて、ワーク表示領域A231に表示されているワークID「5047024813587B」の後工程ワークID「5047024838292B」を起点となるワークのワークIDとして選択し、トレース表示指示を入力したとする(
図10のステップS125:YES)。検索部122は、選択されたワークIDが払出ワークIDに設定されているワークデータを特定し、新たな起点データとする(
図10のステップS145)。すなわち、起点のワークは、
図11に示す符号Qのワークであり、起点データは、
図14に示すワークデータR27、R28である。検索部122は、選択された起点データのうち、選択されたワークIDを後工程ワークIDとするワークID「5047024813587B」が投入ワークIDに設定された起点データ、すなわち、ワークデータR27を最初の対象データとし、前工程のワークデータを読み出す(
図10のステップS155~ステップS165)。また、検索部122は、起点データを最初の対象データとし、後工程のワークデータを読み出す(
図10のステップS170~ステップS180)。前工程のワークデータは、
図13に示すワークデータR23、及び、
図12に示すワークデータR21、R22である。表示制御部123は、起点データ及び読み出したワークデータに基づいて、
図20に示す表示画面G6を表示する(ステップS120)。
【0065】
図20は、表示画面G6の画面表示例を示す図である。表示対象データのワークデータが異なることを除いて、表示画面G6は、
図16に示す表示画面G2と同様に表示される。さらには、表示画面G6では、起点のワークを指定するために選択されたワークIDの表示領域A33の背景色を変化させて表示させている。
【0066】
本実施形態により、製品の全体の生産工程のうち選択された工程に絞ってロットトレースを行うことが可能となる。
【0067】
上述した実施形態におけるロットトレース装置10の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、記憶部11及び処理部12の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0068】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明してきたが、上記実施の形態は本発明の例示に過ぎず、本発明が上記実施の形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素の追加、省略、置換、その他の変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10…ロットトレース装置、11…記憶部、12…処理部、121…入力情報取得部、122…検索部、123…表示制御部、13…入力部、14…表示部
【要約】
【課題】全体の生産工程のうち選択されたワークに絞ってロットトレースを行う。
【解決手段】記憶部は、ワークのワーク識別情報と、前工程のワークのワーク識別情報である前工程ワーク識別情報とを含むワークデータを記憶する。検索部は、ワーク指定情報に基づいて特定されるワークデータを起点データとする。検索部は、起点データを第一対象データとした後、第一対象データの前工程ワーク識別情報がワーク識別情報に設定されているワークデータを特定し、特定したワークデータを第一対象データとする処理を繰り返す。さらに、検索部は、起点データを第二対象データとした後、第二対象データのワーク識別情報が前工程ワーク識別情報として設定されているワークデータを特定し、特定したワークデータを新たな第二対象データとする処理を繰り返す。表示制御部は、起点データと、特定されたワークデータとに基づいてワーク識別情報を工程の順に表示する。
【選択図】
図2