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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
B62D5/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022560886
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 JP2022027247
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2022014822
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 祥史
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-271913(JP,A)
【文献】特開2010-023796(JP,A)
【文献】特開2007-290550(JP,A)
【文献】特開2006-290237(JP,A)
【文献】特開2013-141969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
外周面にピニオン歯を有するピニオン軸と、
前記ハウジングに対し前記ピニオン軸を回転自在に支持する軸受と、
前記ピニオン軸に対して固定されたウォームホイールと、
前記ウォームホイールと噛合したウォーム軸と、
を備え、
前記ハウジングは、前記ピニオン軸の少なくとも先半部を収容するピニオン収容部と、前記ウォームホイールおよび前記ウォーム軸のそれぞれを収容するギヤハウジング部と、を有し、
前記ギヤハウジング部は、前記ウォームホイールを収容するホイール収容部と、前記ウォーム軸を収容するウォーム収容部とを有し、前記ピニオン収容部と別体に構成され、かつ、前記ピニオン収容部に対して固定されており、
前記ホイール収容部は、前記ウォームホイールの周囲に配置されたホイール用筒部と、前記ホイール用筒部のうちで、前記ピニオン軸の軸方向基端側に位置する端部から径方向内側に向けて伸長した塞ぎ板部とを一体に有するものであり、略有底円筒形状を有し、前記ピニオン軸の軸方向先端側に開口した、前記ウォームホイールの外径よりも内径が大きい開口部を有しており、
前記ピニオン軸は、前記ギヤハウジング部に対し回転自在に支持されることなく、前記ピニオン収容部に対し、前記軸受により回転自在に支持されており、
前記ウォーム軸は、前記ギヤハウジング部に対し回転自在に支持されている、
電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記ホイール収容部は、前記ホイール用筒部の外周面から径方向外側に突出した固定フランジを有しており、
前記固定フランジには、雌ねじ孔が備えられている、
請求項1に記載した電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のステアリング装置は、運転者が回転操作するステアリングホイールの回転を、ステアリングシャフト、中間シャフトなどを介してステアリングギヤユニットの操舵側ピニオン軸に伝達し、操舵側ピニオン軸の回転運動を、操舵側ピニオン軸と噛合する、ステアリングギヤユニットのラック軸の直線運動に変換することに基づいて、操舵輪に舵角を付与するように構成されている。
【0003】
このようなステアリング装置の分野では、ステアリングホイールの回転操作に要する力を軽減するため、操舵力伝達経路にアシスト駆動力を付与するように構成された、電動パワーステアリング装置が普及している。電動パワーステアリング装置には、アシスト駆動力を付与する位置が異なる各種の形式が存在する。
【0004】
たとえば、特開2016-179760号公報には、ステアリングホイールによって回転駆動される操舵側ピニオン軸とは別の、電動モータによって回転駆動されるアシスト側ピニオン軸により、ラック軸にアシスト駆動力を付与する、デュアルピニオン式の電動パワーステアリング装置が記載されている。
【0005】
従来から知られているデュアルピニオン式の電動パワーステアリング装置は、操舵機構部を構成するラック軸および操舵側ピニオン軸と、アシスト機構部を構成するアシスト側ピニオン軸、ウォーム減速機、および電動モータとを備えている。
【0006】
ラック軸は、軸方向一方側部分の外周面に操舵側ラック歯を有し、かつ、軸方向他方側部分の外周面にアシスト側ラック歯を有する。操舵側ピニオン軸は、外周面に操舵側ラック歯と噛合する操舵側ピニオン歯を有し、ステアリングホイールの回転操作により回転駆動される。アシスト側ピニオン軸は、外周面にアシスト側ラック歯と噛合するアシスト側ピニオン歯を有し、電動モータにより回転駆動される。電動モータは、モータ出力軸を有し、ウォーム減速機を介してアシスト側ピニオン軸を回転駆動する。ウォーム減速機は、アシスト側ピニオン軸に対して相対回転不能に固定されたウォームホイールと、モータ出力軸に対し接続され、かつ、ウォームホイールと噛合したウォーム軸とを有する。自動車の運転時には、電動モータからウォーム減速機およびアシスト側ピニオン軸を介して、ラック軸にアシスト駆動力を付与する。これにより、ステアリングホイールの回転操作に要する力が軽減される。
【0007】
図6には、特開2017-214048号公報に記載された、デュアルピニオン式の電動パワーステアリング装置のアシスト機構部の具体的構造を示している。
【0008】
従来構造の電動パワーステアリング装置100のアシスト機構部101は、ラック軸102と噛合したアシスト側ピニオン軸103と、アシスト側ピニオン軸103に対し、図示しない電動モータの回転を伝達するウォーム減速機104とを備える。ウォーム減速機104は、アシスト側ピニオン軸103の基端部に相対回転不能に外嵌固定されたウォームホイール105と、前記電動モータのモータ出力軸に接続され、かつ、ウォームホイール105と噛合した図示しないウォーム軸とを有する。
【0009】
アシスト側ピニオン軸103およびウォーム減速機104は、車体に固定されたハウジング106に収容されている。また、アシスト側ピニオン軸103は、ハウジング106に対して、1対の転がり軸受107、108により回転自在に支持されている。
【0010】
ハウジング106は、有底円筒形状を有するピニオン収容部109と、ピニオン収容部109と別体に構成され、かつ、ピニオン収容部109の開口側の端部に固定されたギヤハウジング部110とを有する。また、ギヤハウジング部110は、収容部本体111と、収容部本体111の開口部112を蓋したカバー113とを有する。ピニオン収容部109には、アシスト側ピニオン軸103の先半部が収容されている。これに対し、ギヤハウジング部110には、ウォーム減速機104を構成するウォームホイール105および前記ウォーム軸のそれぞれが収容されている。
【0011】
アシスト側ピニオン軸103の先端部は、転がり軸受107により、ピニオン収容部109に対して回転自在に支持されている。転がり軸受107は、アシスト側ピニオン軸103の先端部に外嵌され、かつ、ピニオン収容部109の内周面の奥側の端部に内嵌されている。また、アシスト側ピニオン軸103の中間部は、転がり軸受108により、ギヤハウジング部110の収容部本体111に対して回転自在に支持されている。転がり軸受108は、アシスト側ピニオン軸103の中間部に外嵌され、かつ、収容部本体111の底板部114の中央部に備えられた円筒状の軸受支持部115に内嵌されている。
【0012】
転がり軸受108を構成する外輪は、軸受支持部115の内周面に備えられた内向フランジ部116の側面と、軸受支持部115の内周面に螺合した円環形状の抜け止め部材(スクリュー)117との間で軸方向に挟持されている。また、転がり軸受108を構成する内輪は、アシスト側ピニオン軸103の外周面に備えられた段差面118と、アシスト側ピニオン軸103の外周面に係止された止め輪119の間で軸方向に挟持されている。このため、アシスト側ピニオン軸103は、転がり軸受108を利用して、収容部本体111に対し軸方向の相対変位を不能に固定されている。
【0013】
上述したように、アシスト側ピニオン軸103の中間部は、転がり軸受108により、ギヤハウジング部110に対して回転自在に支持されている。このため、アシスト側ピニオン軸103に固定されたウォームホイール105は、ギヤハウジング部110に対して回転自在に支持される。さらに、前記ウォーム軸についても、図示しない複数の軸受により、ギヤハウジング部110に対し回転自在に支持されている。
【0014】
したがって、従来構造の電動パワーステアリング装置100のアシスト機構部101においては、ウォーム減速機104を構成するウォームホイール105および前記ウォーム軸のそれぞれが、ギヤハウジング部110に対して回転自在に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2016-179760号公報
【文献】特開2017-214048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来構造の電動パワーステアリング装置100のアシスト機構部101では、ギヤハウジング部110の内側にウォームホイール105を挿入配置するために、収容部本体111に、アシスト側ピニオン軸103の軸方向基端側(図6の上側)に開口した開口部112を設けている。また、開口部112を通じて、水分や埃などの異物が収容部本体111に侵入することを防止するために、カバー113により開口部112を塞いでいる。
【0017】
上述したように、収容部本体111に設けられた開口部112をカバー113により塞ぐ構成を採用した場合、カバー113を設けない場合に比べて、アシスト側ピニオン軸103の軸方向(図6の上下方向)に関する、アシスト機構部101におけるハウジング106の高さ寸法が嵩む。具体的には、ラック軸102とアシスト側ピニオン軸103との噛合部Eからハウジング106の上端部までの高さ寸法H図6参照)が嵩む。このため、電動パワーステアリング装置100の車両搭載性が低下しやすくなる。
【0018】
また、収容部本体111とカバー113との嵌合部120の密封性を確保するために、嵌合部120にシール部材を介在させることも考えられるが、このような構成を採用した場合には、嵌合部120の全長が長くなることで、アシスト機構部101におけるハウジング106の高さ寸法や径方向寸法がさらに嵩みやすくなる。
【0019】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、アシスト機構部におけるハウジングの小型化による、車両への搭載性の向上を図れる、電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置は、ハウジングと、ピニオン軸と、軸受と、ウォームホイールと、ウォーム軸と、を備える。
【0021】
前記ピニオン軸は、外周面にピニオン歯を有している。
【0022】
前記軸受は、前記ハウジングに対し前記ピニオン軸を回転自在に支持する。
【0023】
前記ウォームホイールは、前記ピニオン軸に対し相対回転不能またはわずかな相対回転を可能に固定されている。
【0024】
前記ウォーム軸は、前記ウォームホイールと噛合している。
【0025】
前記ハウジングは、前記ピニオン軸の少なくとも先半部を収容するピニオン収容部と、前記ウォームホイールおよび前記ウォーム軸のそれぞれを収容するギヤハウジング部と、を有している。
【0026】
前記ギヤハウジング部は、前記ピニオン収容部と別体に構成され、かつ、前記ピニオン収容部に対して固定されている。
【0027】
前記ピニオン軸は、前記ギヤハウジング部に対し回転自在に支持されることなく、前記ピニオン収容部に対し、前記軸受により回転自在に支持されている。
【0028】
前記ウォーム軸は、前記ギヤハウジング部に対し回転自在に支持されている。
【0029】
本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置では、前記ピニオン軸を、前記軸受を利用して、前記ピニオン収容部に対し軸方向の相対変位を不能に固定することができる。
【0030】
本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置では、前記ウォームホイールを、前記ピニオン軸の基端部に固定し、前記ピニオン軸を、前記ピニオン軸の先端部の周囲に配置された前記軸受を利用して、前記ピニオン収容部に対し軸方向の相対変位を不能に固定することができる。すなわち、前記ピニオン軸を前記ピニオン収容部に対し軸方向の相対変位を不能に固定するための前記軸受を、前記ピニオン軸の先端部の周囲に配置することができる。この場合、前記ピニオン軸を前記ピニオン収容部に対し支持するための別の軸受を、前記ピニオン軸の中間部の周囲に配置することができる。
【0031】
本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置では、前記ピニオン収容部を、前記ピニオン軸の軸方向に組み合わされた複数のピニオン収容部構成体から構成することができる。
【0032】
本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置では、前記複数のピニオン収容部構成体を、前記ピニオン軸の先半部を収容する第1ピニオン収容部構成体と、前記ピニオン軸の中間部を収容する第2ピニオン収容部構成体とを有するものとし、前記ピニオン軸を、前記ピニオン軸の中間部の周囲に配置された前記軸受を利用して、前記第2ピニオン収容部構成体に対し軸方向の相対変位を不能に固定することができる。すなわち、前記ピニオン軸を前記ピニオン収容部に対し軸方向の相対変位を不能に固定するための前記軸受を、前記ピニオン軸の中間部の周囲に配置することができる。この場合、前記ピニオン軸を前記ピニオン収容部に対し支持するための別の軸受を、前記ピニオン軸の先端部の周囲に配置することができる。
【0033】
本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置では、前記ギヤハウジング部を、前記ウォームホイールを収容するホイール収容部と、前記ウォーム軸を収容するウォーム収容部とを有するものとすることができる。
【0034】
また、前記ホイール収容部を、略有底円筒形状を有し、前記ピニオン軸の軸方向先端側に開口した、前記ウォームホイールの外径よりも内径が大きい開口部を有するものとすることができる。
【0035】
この場合には、前記ホイール収容部を、前記ウォームホイールの周囲に配置されたホイール用筒部と、前記ホイール用筒部のうちで、前記ピニオン軸の軸方向基端側に位置する端部から、径方向内側に向けて伸長した塞ぎ板部とを一体に有するものとすることができる。
【0036】
本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置では、ラック軸と、操舵側ピニオン軸と、を備えることができる。
【0037】
前記ラック軸は、軸方向一方側部分の外周面の円周方向一部に操舵側ラック歯を有し、かつ、軸方向他方側部分の外周面の円周方向一部に、前記ピニオン歯と噛合するアシスト側ラック歯を有する。
【0038】
前記操舵側ピニオン軸は、外周面に前記操舵側ラック歯と噛合する操舵側ピニオン歯を有し、ステアリングホイールの操作により回転駆動される。
【0039】
このように、前記操舵側ラック歯および前記アシスト側ラック歯をそれぞれ有する前記ラック軸と、前記操舵側ピニオン軸とをさらに備える場合には、前記ピニオン軸は、アシスト側ピニオン軸として機能することになり、本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置は、デュアルピニオン式の電動パワーステアリング装置となる。
【0040】
これに対し、前記ピニオン歯と噛合するラック歯のみを有するラック軸を使用し、前記ピニオン軸に対してステアリングシャフトを接続する構成を採用した場合には、本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置は、ピニオンアシスト式(シングルピニオン式)の電動パワーステアリング装置となる。
【発明の効果】
【0041】
本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置によれば、アシスト機構部におけるハウジングの小型化を図れ、車両への搭載性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、本開示の実施の形態の第1例の電動パワーステアリング装置の模式図である。
図2図2は、第1例の電動パワーステアリング装置についての、一部の部材を省略した、斜視図である。
図3図3は、図2のA-A線断面に相当する断面図である。
図4図4は、図3のB-B線断面に相当する断面模式図である。
図5図5は、本開示の実施の形態の第2例の電動パワーステアリング装置についての図4に相当する図である。
図6図6は、従来構造の電動パワーステアリング装置のアシスト機構部における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[第1例]
本開示の実施の形態の第1例について、図1図4を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後方向は、車両の前後方向を意味し、上下方向は、車両の上下方向を意味し、左右方向は、車両の幅方向を意味する。また、左右方向は、ラック軸11およびラック収容部14の軸方向に一致する。ラック軸11およびラック収容部14の軸方向に関して一方側とは、図1および図2の左側を指し、ラック軸11およびラック収容部14の軸方向に関して他方側とは、図1および図2の右側を指す。
【0044】
〔電動パワーステアリング装置の全体構成〕
本例の電動パワーステアリング装置1は、デュアルピニオン式である。すなわち、電動パワーステアリング装置1は、ラック軸11、および、2本のピニオン軸である操舵側ピニオン軸10およびアシスト側ピニオン軸13を備え、操舵側ピニオン軸10からラック軸11に操舵力を入力し、アシスト側ピニオン軸13からラック軸11にアシスト駆動力を入力する形式の電動パワーステアリング装置である。本例では、アシスト側ピニオン軸13が、本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置が適用されるピニオン軸に相当する。
【0045】
電動パワーステアリング装置1は、図1に全体構成を示すように、ステアリングホイール2と、ステアリングシャフト3と、ステアリングコラム4と、1対の自在継手5a、5bと、中間シャフト6と、ハウジング7と、操舵機構部8と、アシスト機構部9とを備える。
【0046】
ステアリングシャフト3は、車体に支持されたステアリングコラム4の内側に、回転自在に支持されている。ステアリングシャフト3の後側の端部には、運転者が操舵操作するステアリングホイール2が取り付けられている。ステアリングシャフト3の前側の端部は、自在継手5a、中間シャフト6および別の自在継手5bを介して、操舵機構部8を構成する操舵側ピニオン軸10に接続されている。このため、操舵側ピニオン軸10には、ステアリングホイール2の回転運動が伝達される。操舵側ピニオン軸10の回転運動は、操舵機構部8を構成するラック軸11の軸方向の直線運動に変換される。これにより、左右の操舵輪12に舵角を付与する。また、電動パワーステアリング装置1は、アシスト機構部9を構成する電動モータ47のアシスト駆動力を、アシスト側ピニオン軸13を介してラック軸11に付与し、運転者がステアリングホイール2を回転操作するのに必要な操舵力を軽減する。
【0047】
〈ハウジング〉
ハウジング7は、アルミニウム系合金などの軽合金をダイキャスト成形することにより造られた鋳造品であり、車体に固定される。
【0048】
ハウジング7は、ラック収容部14と、操舵側ピニオン収容部15と、アシスト側ピニオン収容部16と、ギヤハウジング部17と、操舵側ガイド収容部18と、アシスト側ガイド収容部19と、複数の取付部20a、20bとを備える。本例では、アシスト側ピニオン収容部16が、本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置が適用されるピニオン収容部に相当する。
【0049】
本例のハウジング7は、ギヤハウジング部17を除いた、ラック収容部14、操舵側ピニオン収容部15、アシスト側ピニオン収容部16、操舵側ガイド収容部18、アシスト側ガイド収容部19、および取付部20a、20bが、一体に構成されている。ギヤハウジング部17は、アシスト側ピニオン収容部16に対して固定されている。
【0050】
本例では、アシスト機構部9におけるハウジング7の小型化を図るために、アシスト側ピニオン収容部16およびギヤハウジング部17の構造を工夫している。具体的には、アシスト側ピニオン軸13を回転自在に支持する機能を、ギヤハウジング部17には持たせずに、アシスト側ピニオン収容部16にのみ持たせている。これにより、ギヤハウジング部17からカバーを省略し、アシスト機構部9におけるハウジング7の小型化を図っている。
【0051】
具体的には、本例では、ハウジング7は、アシスト側ピニオン軸13の少なくとも先半部73を収容するアシスト側ピニオン収容部16と、ウォームホイール50およびウォーム軸51のそれぞれを収容するギヤハウジング部17とを有し、ギヤハウジング部17は、アシスト側ピニオン収容部16と別体に構成され、かつ、アシスト側ピニオン収容部16に対して固定されており、アシスト側ピニオン軸13は、ギヤハウジング部17に対し回転自在に支持されることなく、アシスト側ピニオン収容部16に対し、転がり軸受21、22により回転自在に支持されており、ウォーム軸51は、ギヤハウジング部17に対し回転自在に支持されている。
【0052】
以下、ハウジング7を構成する各部の構造について説明する。
【0053】
《ラック収容部》
ラック収容部14は、左右方向に伸長した円筒状部材である。ラック収容部14は、軸方向の両側の端部が開口している。ラック収容部14の内側には、ラック軸11の軸方向中間部が収容される。ラック収容部14は、略水平に配置される。
【0054】
《操舵側ピニオン収容部》
操舵側ピニオン収容部15は、操舵側ピニオン軸10の先半部を収容する部分であって、ラック収容部14の軸方向一方側部分の円周方向一部に配置されている。具体的には、操舵側ピニオン収容部15は、ラック収容部14の軸方向一方側部分の前側部(図2の手前側部)に配置されている。操舵側ピニオン収容部15は、中心軸を上下方向に向けて配置されており、上側の端部のみが開口した有底円筒形状を有する。操舵側ピニオン収容部15は、ラック収容部14に対し、ねじれの位置関係に配置されている。つまり、操舵側ピニオン収容部15の中心軸とラック収容部14の中心軸とは、ねじれの位置関係にある。本例では、操舵側ピニオン収容部15の中心軸は、操舵側ピニオン収容部15の中心軸とラック収容部14の中心軸とに直交する方向である前後方向から見て、ラック収容部14の中心軸に対して直交する方向には配置されておらず、該直交する方向に対し傾斜している。操舵側ピニオン収容部15の内部空間は、ラック収容部14の内部空間に連通している。
【0055】
《アシスト側ピニオン収容部》
アシスト側ピニオン収容部16は、アシスト側ピニオン軸13の先半部73を収容する部分であって、ラック収容部14の軸方向他方側部分の円周方向一部に配置されている。具体的には、アシスト側ピニオン収容部16は、ラック収容部14の軸方向他方側部分の前側部(図2の手前側部)に配置されている。アシスト側ピニオン収容部16は、中心軸を上下方向に向けて配置されている。なお、アシスト側ピニオン収容部16の中心軸とアシスト側ピニオン軸13の中心軸とは一致する。このため、アシスト側ピニオン収容部16の軸方向およびアシスト側ピニオン軸13の軸方向は、それぞれ上下方向となる。本例では、アシスト側ピニオン軸13の軸方向基端側は上側に相当し、アシスト側ピニオン軸13の軸方向先端側は下側に相当する。
【0056】
アシスト側ピニオン収容部16の内側には、アシスト側ピニオン軸13が、複数(図示の例では2つ)の転がり軸受21、22により回転自在に支持される。
【0057】
アシスト側ピニオン収容部16は、上下方向両側の端部が開口した段付円筒形状を有する筒部本体23と、筒部本体23の上側の端部から径方向外側に向けて張り出した、外向フランジ状の第1固定フランジ24とを有する。筒部本体23と第1固定フランジ24とは、一体に構成されている。
【0058】
筒部本体23は、筒部本体23の上側部を構成する小径筒部25と、筒部本体23の下側部を構成する大径筒部26と、小径筒部25の下側の端部と大径筒部26の上側の端部とをつなぐ連結部27とからなる。小径筒部25の内側には、アシスト側ピニオン軸13の中間部が収容され、大径筒部26の内側には、アシスト側ピニオン軸13の先端部が収容される。大径筒部26には、アシスト側ピニオン軸13の先端部を回転自在に支持するための転がり軸受21が内嵌される。大径筒部26の開口側部の内周面には、雌ねじ部が備えられている。
【0059】
第1固定フランジ24は、アシスト側ピニオン収容部16に対してギヤハウジング部17を固定するためのもので、径方向外側部の円周方向複数箇所に通孔28を有する。
【0060】
第1固定フランジ24は、上側面の径方向中間部に、略円筒形状を有する軸受支持部29を有する。軸受支持部29は、アシスト側ピニオン軸13の中間部を回転自在に支持するための転がり軸受22を内嵌支持する部分であり、筒部本体23と同軸に配置されている。
【0061】
本例では、従来構造の電動パワーステアリング装置において、ギヤハウジング部に備えられていた軸受支持部を、アシスト側ピニオン収容部16に設けている。したがって、本例のアシスト側ピニオン収容部16は、アシスト側ピニオン軸13の先端部および中間部のそれぞれを回転自在に支持する。
【0062】
アシスト側ピニオン収容部16の下側の開口部は、大径筒部26の内周面に螺合した、有底円筒形状のキャップ30により塞がれている。これに対し、アシスト側ピニオン収容部16の上側の開口部は、ギヤハウジング部17の内部空間に開口している。アシスト側ピニオン収容部16の内部空間は、ラック収容部14およびギヤハウジング部17のそれぞれの内部空間に連通している。
【0063】
アシスト側ピニオン収容部16は、ラック収容部14に対し、ねじれの位置関係に配置されている。本例では、アシスト側ピニオン収容部16の中心軸は、アシスト側ピニオン収容部16の中心軸とラック収容部14の中心軸とに直交する方向である前後方向から見て、ラック収容部14の中心軸に対して直交する方向には配置されておらず、該直交する方向に対し傾斜している。なお、本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置を実施する場合に、アシスト側ピニオン収容部の中心軸とラック収容部の中心軸とに直交する方向から見て、アシスト側ピニオン収容部の中心軸は、ラック収容部の中心軸に対して直交する方向に配置することもできる。
【0064】
《ギヤハウジング部》
ギヤハウジング部17は、アシスト機構部9を構成するウォーム減速機46を収容する部分であり、アシスト側ピニオン収容部16と別体に構成され、アシスト側ピニオン収容部16の上側に固定されている。
【0065】
本例のギヤハウジング部17は、アシスト側ピニオン軸13を回転自在に支持する機能を有していない。つまり、ギヤハウジング部17は、図6に示した従来構造とは異なり、アシスト側ピニオン軸13の中間部を回転自在に支持する転がり軸受22を固定するための軸受支持部を備えていない。代わりに、ギヤハウジング部17は、ウォーム減速機46を構成するウォームホイール50を挿通可能な開口部31を下側の端部に有している。
【0066】
ギヤハウジング部17は、ホイール収容部32とウォーム収容部33とを備える。
【0067】
(ホイール収容部)
ホイール収容部32は、ウォーム減速機46を構成するウォームホイール50を収容する部分であって、略有底円筒形状を有する。本例では、ウォームホイール50が外嵌固定されたアシスト側ピニオン軸13の基端部、および、軸受支持部29についても、ホイール収容部32に収容される。
【0068】
ホイール収容部32は、下側に開口した開口部31を有する。開口部31は、円形状を有しており、ウォームホイール50の外径よりも大きい内径を有する。このため、本例では、ウォームホイール50を、開口部31を通じてホイール収容部32の内側に挿通配置できる。
【0069】
ホイール収容部32は、ウォームホイール50の周囲に配置されたホイール用筒部34と、ホイール用筒部34の上側の端部から径方向内側に向けて伸長した塞ぎ板部35とを一体に有する。塞ぎ板部35は、円板形状を有し、ホイール用筒部34の上側の端部開口を塞いでいる。開口部31は、ホイール用筒部34の下側の端部開口により構成される。図示の例では、ホイール用筒部34の内径は、軸方向の全長にわたり、開口部31の内径と同じである。また、ホイール用筒部34の軸方向寸法(上下寸法)は、ウォームホイール50の厚さ寸法と転がり軸受22の軸方向寸法との和よりも少しだけ大きい。
【0070】
ホイール収容部32は、ホイール用筒部34の外周面から径方向外側に向けて突出した、第2固定フランジ36を有する。第2固定フランジ36には、雌ねじ孔37が備えられている。
【0071】
ギヤハウジング部17は、ホイール収容部32に備えられた第2固定フランジ36を利用して、アシスト側ピニオン収容部16の上側に固定される。具体的には、アシスト側ピニオン収容部16に備えられた第1固定フランジ24に、ギヤハウジング部17に備えられた第2固定フランジ36を重ね合わせた状態で、第1固定フランジ24の通孔28を挿通したボルト71を、第2固定フランジ36の雌ねじ孔37に螺合する。これにより、ギヤハウジング部17を、アシスト側ピニオン収容部16の上側に固定する。このように、ギヤハウジング部17をアシスト側ピニオン収容部16に固定した状態で、ギヤハウジング部17の開口部31は、アシスト側ピニオン収容部16によって塞がれる。また、アシスト側ピニオン収容部16の軸受支持部29は、ホイール収容部32に収容され、かつ、ホイール収容部32は、アシスト側ピニオン収容部16と同軸に配置される。
【0072】
本例のホイール収容部32は、ウォームホイール50を挿通可能な開口部31を、ギヤハウジング部17をアシスト側ピニオン収容部16に固定した状態で、外部に露出する上側の端部ではなく、アシスト側ピニオン収容部16により塞がれる下側の端部に設けている。したがって、本例では、ギヤハウジング部17を構成するホイール収容部32の塞ぎ板部35から、カバーを省略することを可能としている。換言すれば、ホイール用筒部34と、該ホイール用筒部34の上側の端部開口を塞ぐ塞ぎ板部35とを、別体とする必要性をなくしている。
【0073】
(ウォーム収容部)
ウォーム収容部33は、ウォーム減速機46を構成するウォーム軸51を収容する部分であって、ホイール収容部32の円周方向一部に配置されている。具体的には、ウォーム収容部33は、ホイール収容部32の前側部に配置されている。また、ウォーム収容部33は、ホイール収容部32と一体に構成されている。ウォーム収容部33の中心軸は、ホイール収容部32の中心軸とねじれの位置で、かつ、ラック収容部14の中心軸と略平行に配置されている。
【0074】
ウォーム収容部33の内側には、ウォーム軸51が、複数(図示の例では2つ)の転がり軸受38、39により回転自在に支持される。
【0075】
ウォーム収容部33は、有底円筒形状を有しており、ラック収容部14の軸方向に関して一方側に開口した開口部を有する。また、ウォーム収容部33は、開口側の端部外周面に、外向鍔状の取付鍔部40を有する。ウォーム収容部33の内部空間とホイール収容部32の内部空間とは、互いに連通している。なお、本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置を実施する場合に、ウォーム収容部の開口部および取付鍔部は、ラック収容部の軸方向に関して他方側に設けることもできる。
【0076】
《操舵側ガイド収容部》
操舵側ガイド収容部18は、図示しない操舵側ラックガイドを収容する部分であって、ラック収容部14のうち、操舵側ピニオン収容部15に対して直径方向反対側となる部分に配置されている。すなわち、操舵側ガイド収容部18は、ラック収容部14のうち、操舵側ピニオン収容部15と同じ軸方向位置の後側部に配置されている。操舵側ガイド収容部18は、円筒形状を有しており、ラック収容部14の中心軸を中心とする放射方向に伸長している。本例の操舵側ガイド収容部18は、前後方向に伸長している。操舵側ガイド収容部18の後側の端部開口部は、図示しないキャップにより塞がれている。操舵側ガイド収容部18の内部空間も、ラック収容部14の内部空間に連通している。
【0077】
《アシスト側ガイド収容部》
アシスト側ガイド収容部19は、図示しないアシスト側ラックガイドを収容する部分であって、ラック収容部14のうち、アシスト側ピニオン収容部16に対して直径方向反対側となる部分に配置されている。すなわち、アシスト側ガイド収容部19は、ラック収容部14のうち、アシスト側ピニオン収容部16と同じ軸方向位置の後側部に配置されている。アシスト側ガイド収容部19は、円筒形状を有しており、ラック収容部14の中心軸を中心とする放射方向に伸長している。本例のアシスト側ガイド収容部19は、前後方向に伸長している。アシスト側ガイド収容部19の後側の端部開口部は、図示しないキャップにより塞がれている。アシスト側ガイド収容部19の内部空間も、ラック収容部14の内部空間に連通している。
【0078】
《取付部》
複数の取付部20a、20bは、ハウジング7を車体に固定するために用いられる。ハウジング7は、取付部20a、20bのそれぞれを挿通したボルトやスタッドなどの固定部材を利用して、車体に固定される。
【0079】
〈操舵機構部〉
操舵機構部8は、操舵側ピニオン軸10と、ラック軸11と、図示しない操舵側ラックガイドとを有し、ステアリングホイール2の回転運動をラック軸11の軸方向の直線運動に変換する。
【0080】
《操舵側ピニオン軸》
操舵側ピニオン軸10は、先半部の外周面に操舵側ピニオン歯41を有する。操舵側ピニオン軸10は、操舵側ピニオン収容部15の内側に、図示しない複数の軸受を用いて回転自在に支持されている。操舵側ピニオン軸10は、操舵側ピニオン収容部15と同軸に配置されている。操舵側ピニオン軸10は、ステアリングホイール2に対し、自在継手5a、5bおよび中間シャフト6を介して接続されており、ステアリングホイール2の操舵操作に伴って回転する。操舵側ピニオン軸10の回転は、ラック軸11の直線運動に変換され、ラック軸11の軸方向両側の端部に接続されたタイロッド42を押し引きする。これにより、左右の操舵輪12に舵角が付与される。
【0081】
《ラック軸》
ラック軸11は、炭素鋼などの金属製の棒状部材である。ラック軸11は、軸方向(長手方向)を左右方向に向けて配置される。ラック軸11は、軸方向一方側部分の外周面の円周方向一部に、操舵側ピニオン軸10の外周面に備えられた操舵側ピニオン歯41と噛合する、操舵側ラック歯43を有し、かつ、軸方向他方側部分の外周面の円周方向一部に、アシスト側ピニオン軸13の外周面に備えられたアシスト側ピニオン歯49と噛合する、アシスト側ラック歯44を有する。本例では、ラック軸11は、軸方向一方側部分の前側面に操舵側ラック歯43を有し、かつ、軸方向他方側部分の前側面にアシスト側ラック歯44を有する。すなわち、本例では、操舵側ラック歯43とアシスト側ラック歯44との円周方向に関する位相を一致させている。ただし、本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置を実施する場合、操舵側ラック歯とアシスト側ラック歯との円周方向に関する位相を異ならせることもできる。
【0082】
ラック軸11は、軸方向を左右方向に向け、かつ、軸方向両側の端部を、ラック収容部14の左右方向両側の開口から突出させた状態で、ラック収容部14の内側に軸方向に関する往復移動を可能に支持されている。ラック軸11の軸方向両側の端部は、球面継手45を介してタイロッド42に接続される。
【0083】
《操舵側ラックガイド》
操舵側ラックガイドは、ラック軸11を操舵側ピニオン軸10に向けて押圧するもので、操舵側ガイド収容部18の内側に配置されている。これにより、操舵側ラックガイドは、操舵側ピニオン軸10との間でラック軸11を挟むように配置されている。操舵側ラックガイドとしては、たとえば、パッドおよび弾性部材を含む、滑り式のラックガイドを使用できる。操舵側ラックガイドは、ラック軸11を操舵側ピニオン軸10に向けて押圧することで、操舵側ピニオン歯41と操舵側ラック歯43との噛合部のバックラッシュを低減する。これにより、操舵側ピニオン歯41と操舵側ラック歯43との噛合部で、異音が発生することを防止する。
【0084】
〈アシスト機構部〉
アシスト機構部9は、ラック軸11にアシスト駆動力を付与し、運転者がステアリングホイール2を操作するのに必要な操舵力を軽減する。アシスト機構部9は、アシスト側ピニオン軸13と、ウォーム減速機46と、電動モータ47と、図示しないアシスト側ラックガイドと、トルクセンサ48とを備える。
【0085】
《アシスト側ピニオン軸》
アシスト側ピニオン軸13は、先半部73の外周面に、ラック軸11のアシスト側ラック歯44と噛合するアシスト側ピニオン歯49を有する。
【0086】
アシスト側ピニオン軸13は、ギヤハウジング部17に対し回転自在に支持されることなく、アシスト側ピニオン収容部16に対し、複数(図示の例では2つ)の転がり軸受21、22を用いて回転自在に支持されている。
【0087】
具体的には、アシスト側ピニオン軸13の先端部は、転がり軸受21により、アシスト側ピニオン収容部16に対して回転自在に支持されている。転がり軸受21は、アシスト側ピニオン軸13の先端部に外嵌され、かつ、アシスト側ピニオン収容部16の筒部本体23を構成する大径筒部26に内嵌されている。また、アシスト側ピニオン軸13の中間部は、転がり軸受22により、アシスト側ピニオン収容部16に対して回転自在に支持されている。転がり軸受22は、アシスト側ピニオン軸13の中間部に外嵌され、かつ、アシスト側ピニオン収容部16の第1固定フランジ24に備えられた軸受支持部29に内嵌されている。
【0088】
さらに、本例では、アシスト側ピニオン軸13の先端部を支持した転がり軸受21を構成する外輪は、大径筒部26に隙間嵌めで内嵌されており、筒部本体23を構成する連結部27の側面と、大径筒部26の内周面に螺合した有底円筒形状のキャップ(スクリュー)30との間で軸方向に挟持されている。また、転がり軸受21を構成する内輪は、アシスト側ピニオン軸13の先端部に締り嵌めで外嵌されている。このため、アシスト側ピニオン軸13は、転がり軸受21を利用して、アシスト側ピニオン収容部16に対し軸方向(上下方向)の相対変位を不能に固定されている。また、転がり軸受21には、キャップ30による締め付けによって適切な予圧が付与されている。なお、キャップに代えて、大径筒部26の内周面に係止した止め輪を利用して、アシスト側ピニオン軸の軸方向の移動を阻止することもできる。なお、転がり軸受21としては、たとえば、ラジアル荷重およびスラスト荷重を支承できる玉軸受を使用することができる。
【0089】
これに対し、アシスト側ピニオン軸13の中間部を支持した転がり軸受22に関しては、外輪は、軸受支持部29に隙間嵌めで内嵌されており、内輪は、アシスト側ピニオン軸13の中間部に締り嵌めで外嵌されている。このため、アシスト側ピニオン軸13は、転がり軸受22を利用して、アシスト側ピニオン収容部16に対し軸方向の相対変位を不能に固定されていない。なお、転がり軸受22としては、たとえばラジアル玉軸受を使用することができる。
【0090】
アシスト側ピニオン軸13は、複数の転がり軸受21、22により回転自在に支持された状態で、アシスト側ピニオン収容部16を構成する筒部本体23と同軸に配置されている。アシスト側ピニオン軸13は、ウォーム減速機46を介して、電動モータ47により回転駆動される。
【0091】
《ウォーム減速機》
ウォーム減速機46は、ウォームホイール50とウォーム軸51とを備え、電動モータ47の回転を減速、すなわち、電動モータ47の駆動トルクを増大して、アシスト側ピニオン軸13に伝達する。
【0092】
(ウォームホイール)
ウォームホイール50は、外周面にホイール歯52を有し、ギヤハウジング部17を構成するホイール収容部32に収容されている。ウォームホイール50は、アシスト側ピニオン軸13の基端部(上端部)に相対回転不能に外嵌固定されている。このため、本例のウォームホイール50は、ギヤハウジング部17に対し回転自在に支持されることなく、アシスト側ピニオン収容部16に対し、アシスト側ピニオン軸13を介して複数の転がり軸受21、22をより回転自在に支持されている。なお、本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置を実施する場合、ウォームホイールをアシスト側ピニオン軸に対してわずかな相対回転を可能に外嵌固定することもできる。
【0093】
(ウォーム軸)
ウォーム軸51は、外周面の中間部にホイール歯52と噛合するウォーム歯53を有し、ギヤハウジング部17を構成するウォーム収容部33の内側に、複数(図示の例では2つ)の転がり軸受38、39を用いて回転自在に支持されている。具体的には、ウォーム軸51の先端部は、転がり軸受38により回転自在に支持されており、ウォーム軸51の基端部は、転がり軸受39により回転自在に支持されている。本例では、ウォーム軸51は、ウォームホイール50の前側に配置されている。また、ウォーム軸51の中心軸は、ラック軸11の中心軸と略平行に配置されている。
【0094】
《電動モータ》
電動モータ47は、ウォーム減速機46およびアシスト側ピニオン軸13を介して、ラック軸11にアシスト駆動力を付与するためのもので、モータ本体54と、モータ出力軸55とを有する。
【0095】
モータ本体54は、略円筒形状を有するモータハウジング56の内側に、図示しないコイルやコアなどを収容して構成されている。モータ出力軸55は、モータハウジング56の内側に、複数の図示しない軸受を用いて回転自在に支持されている。モータ出力軸55の先端部は、モータハウジング56から軸方向に突出しており、ウォーム軸51の基端部に対してトルク伝達可能に接続されている。
【0096】
電動モータ47は、モータハウジング56に備えられたモータ側フランジ57を挿通したボルト58を、ウォーム収容部33の取付鍔部40に螺合することにより、ギヤハウジング部17に対して固定される。
【0097】
《アシスト側ラックガイド》
アシスト側ラックガイドは、ラック軸11をアシスト側ピニオン軸13に向けて押圧するもので、アシスト側ガイド収容部19の内側に配置されている。これにより、アシスト側ラックガイドは、アシスト側ピニオン軸13との間でラック軸11を挟むように配置されている。アシスト側ラックガイドとしては、たとえば、ローラ、ホルダ、および弾性部材を含む、ローラ式のラックガイドを使用できる。アシスト側ラックガイドは、ラック軸11をアシスト側ピニオン軸13に向けて押圧することで、アシスト側ピニオン歯49とアシスト側ラック歯44との噛合部のバックラッシュを低減する。これにより、アシスト側ピニオン歯49とアシスト側ラック歯44との噛合部で、異音が発生することを防止する。
【0098】
《トルクセンサ》
トルクセンサ48は、操舵側ピニオン軸10の基端部の周囲に配置されており、操舵側ピニオン軸10に入力されるトルクの大きさおよび方向を検知する。これにより、トルクセンサ48は、操舵側ピニオン軸10に入力されるトルクに対応した信号を、電動モータ47の電子制御ユニットへ出力する。トルクセンサ48としては、たとえば、磁歪効果を利用した非接触式トルクセンサなどの、各種のトルクセンサを使用することができる。
【0099】
アシスト機構部9は、トルクセンサ48の出力信号に基づいて、電動モータ47を駆動制御する。これにより、電動モータ47が発生する駆動トルクを、ウォーム減速機46およびアシスト側ピニオン軸13を介して、ラック軸11に対しアシスト駆動力として伝達する。この結果、運転者がステアリングホイール2を操作するのに必要な操舵力が軽減される。
【0100】
本例の電動パワーステアリング装置1によれば、アシスト機構部9におけるハウジング7の小型化を図れ、車両への搭載性を向上することができる。
【0101】
すなわち、本例では、アシスト側ピニオン軸13を、ギヤハウジング部17に対し回転自在に支持することなく、アシスト側ピニオン収容部16に対し、複数の転がり軸受21、22を用いて回転自在に支持している。これにより、ギヤハウジング部17には、転がり軸受を支持するための軸受支持部を設けなくて済むため、ギヤハウジング部17の下側部に、ウォームホイール50を挿通可能な開口部31を形成することができる。したがって、ギヤハウジング部17の上側の端部(塞ぎ板部35)から、従来構造で設けられていた開口部112およびカバー113(図6参照)を省略することができる。この結果、アシスト機構部9におけるハウジング7の上下方向の高さ寸法を短くでき、アシスト機構部9におけるハウジング7の小型化を図れる。
【0102】
具体的には、アシスト側ラック歯44とアシスト側ピニオン歯49との噛合部Eからハウジング7の上端部までの高さ寸法H(図4参照)を短くできる。したがって、電動パワーステアリング装置1の車両搭載性の向上を図れる。つまり、電動パワーステアリング装置1をエンジンルーム内に配置した際に、ギヤハウジング部17を、周辺部材との干渉を避けるように配置することが可能になるため、電動パワーステアリング装置1の車両への搭載性を向上することができる。
【0103】
ギヤハウジング部17にカバーを設ける必要がないため、ギヤハウジング部17とカバーとの嵌合部の密封性を確保するためのシール部材を設ける必要もない。このため、コストの低減を図れるとともに、アシスト機構部9におけるハウジング7の高さ寸法Hおよび径方向寸法を小さくできる。また、ギヤハウジング部17の密封性の向上も図れる。
【0104】
アシスト側ピニオン軸13をアシスト側ピニオン収容部16に対し軸方向の相対変位を不能に固定するためのキャップ30を、大径筒部26の内側に配置することができる。つまり、本例では、キャップ30を、アシスト側ラック歯44とアシスト側ピニオン歯49との噛合部Eよりも下方に配置することができる。このため、図6に示した従来構造のように、アシスト側ピニオン軸103をハウジング106に対し軸方向の相対変位を不能に固定するための抜け止め部材117を、ラック軸102とアシスト側ピニオン軸103との噛合部よりも上方に設けた場合に比べて、前記噛合部Eからハウジング7の上端部までの高さ寸法Hを短くできる。
【0105】
本例では、ウォームホイール50と、アシスト側ピニオン軸13の中間部を回転自在に支持した転がり軸受22との間に、図6に示した従来構造のような内向フランジ部116を設けずに済む。このため、この面からも、前記噛合部Eからハウジング7の上端部までの高さ寸法Hを短くできる。
【0106】
[第2例]
本開示の実施の形態の第2例について、図5を用いて説明する。
【0107】
本例では、アシスト側ピニオン軸13を回転自在に支持するためのアシスト側ピニオン収容部16aを、アシスト側ピニオン軸13の軸方向に一致する上下方向に組み合わされた複数(図示の例では2つ)のピニオン収容部構成体59、60から構成している。なお、ギヤハウジング部17の構造については、第1例のギヤハウジング部17の構造と同じである。
【0108】
アシスト側ピニオン収容部16aは、アシスト側ピニオン軸13の先半部73を収容する第1ピニオン収容部構成体59と、アシスト側ピニオン軸13の中間部を収容する第2ピニオン収容部構成体60とを有する。
【0109】
第1ピニオン収容部構成体59は、有底円筒形状を有する筒体61と、筒体61の外周面の上側の端部から径方向外側に向けて張り出した、円環形状を有する第1固定板部62とを有する。
【0110】
筒体61の内周面の奥側(下側)の端部には、転がり軸受21aが内嵌される。
【0111】
第1固定板部62は、径方向外側に向かうほど上下位置が段階的に上側に変化した、階段状の断面形状を有する。第1固定板部62は、径方向内側の端部に配置された内径側板部63と、径方向中間部に配置された中間板部64と、径方向外側に配置された外径側板部65と、内径側板部63の径方向外側の端部と中間板部64の径方向内側の端部とをつなぐ小径連結筒部66と、中間板部64の径方向外側の端部と外径側板部65の径方向内側の端部とをつなぐ大径連結筒部67とを有する。
【0112】
第2ピニオン収容部構成体60は、円筒形状を有する軸受支持部29aと、軸受支持部29aの外周面から径方向外側に向けて張り出した、円環形状を有する第2固定板部68と、軸受支持部29aの内周面の上側の端部から径方向内側に向けて張り出した、円環形状を有する支持板部69とを有する。
【0113】
軸受支持部29aは、アシスト側ピニオン軸13の中間部を回転自在に支持するための転がり軸受22aを内嵌支持する部分であり、下端部の内周面に雌ねじ部を有する。第2固定板部68は、第1固定板部62とほぼ同じ大きさの外径を有する。支持板部69は、アシスト側ピニオン軸13の基端側部分を挿通可能な内径を有する。
【0114】
本例のアシスト側ピニオン収容部16aは、第1ピニオン収容部構成体59と第2ピニオン収容部構成体60とを、ボルト72により連結することにより構成される。具体的には、第2ピニオン収容部構成体60を構成する軸受支持部29aの下側の端部を、第1ピニオン収容部構成体59を構成する第1固定板部62の小径連結筒部66に内嵌し、かつ、第2ピニオン収容部構成体60を構成する第2固定板部68の径方向外側部を、第1ピニオン収容部構成体59を構成する第1固定板部62の外径側板部65に重ね合わせた状態で、第2固定板部68の径方向外側部と第1固定板部62の外径側板部65とを、ボルト72により連結する。図示の例では、第1ピニオン収容部構成体59と第2ピニオン収容部構成体60とを連結するためのボルト72を利用して、アシスト側ピニオン収容部16aの上側に、ギヤハウジング部17を固定している。
【0115】
本例の場合にも、アシスト側ピニオン軸13は、ギヤハウジング部17に対し回転自在に支持されることなく、アシスト側ピニオン収容部16aに対し、複数(図示の例では2つ)の転がり軸受21a、22aを用いて回転自在に支持されている。
【0116】
具体的には、アシスト側ピニオン軸13の先端部は、転がり軸受21aにより、第1ピニオン収容部構成体59に対して回転自在に支持されている。転がり軸受21aは、アシスト側ピニオン軸13の先端部に外嵌され、かつ、筒体61の内周面の奥側の端部に内嵌されている。また、アシスト側ピニオン軸13の中間部は、転がり軸受22aにより、第2ピニオン収容部構成体60に対して回転自在に支持されている。転がり軸受22aは、アシスト側ピニオン軸13の中間部に外嵌され、かつ、第2ピニオン収容部構成体60に備えられた軸受支持部29aに内嵌されている。
【0117】
本例では、アシスト側ピニオン軸13の中間部を支持した転がり軸受22aを構成する外輪は、軸受支持部29aに隙間嵌めで内嵌されており、第2ピニオン収容部構成体60を構成する支持板部69の側面と、軸受支持部29aの内周面に螺合した円環形状を有する抜け止め部材(スクリュー)70との間で軸方向に挟持されている。また、転がり軸受22aを構成する内輪は、アシスト側ピニオン軸13の中端部に締り嵌めで外嵌されている。このため、アシスト側ピニオン軸13は、転がり軸受22aを利用して、第2ピニオン収容部構成体60に対して軸方向の相対変位を不能に固定されている。また、転がり軸受22aには、抜け止め部材70による締め付けによって適正な予圧が付与されている。なお、転がり軸受22aとしては、たとえば、ラジアル荷重およびスラスト荷重を支承できる玉軸受を使用することができる。
【0118】
これに対し、アシスト側ピニオン軸13は、転がり軸受21aによっては、第1ピニオン収容部構成体59に対し軸方向の相対変位を不能に固定されていない。なお、転がり軸受21aとしては、たとえばラジアルニードル軸受を使用することができる。
【0119】
本例の場合にも、アシスト側ピニオン軸13を、ギヤハウジング部17に対し回転自在に支持することなく、アシスト側ピニオン収容部16aに対し、複数の転がり軸受21a、22aを用いて回転自在に支持しているため、アシスト機構部9におけるハウジング7の小型化を図れ、車両への搭載性を向上することができる。
【0120】
なお、本例の構造の組立方法(組立手順)は特に問わない。たとえば、ギヤハウジング部17と、第1ピニオン収容部構成体59と、第2ピニオン収容部構成体60とを、同時に組み立てることもできるし、第1ピニオン収容部構成体59と第2ピニオン収容部構成体60とを先に連結してアシスト側ピニオン収容部16aを形成した後、該アシスト側ピニオン収容部16aに対してギヤハウジング部17を固定することもできる。あるいは、ギヤハウジング部17と第1ピニオン収容部構成体59とを先に連結した後に、第2ピニオン収容部構成体60を固定することもできる。
【0121】
第2例のその他の構成および作用効果については、第1例と同じである。
【0122】
以上、本開示の実施の形態の各例について説明したが、本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置はこれに限定されることなく、発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、本開示の実施の形態の各例の構造は、矛盾を生じない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。
【0123】
本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置を実施する場合に、ピニオン収容部およびギヤハウジング部の構造は、本開示の実施の形態の各例で示した構造に限定されず、適宜変更することができる。また、ピニオン軸をピニオン収容部に対して回転自在に支持する軸受は、転がり軸受に限らず、滑り軸受を使用することもできる。また、ピニオン軸をピニオン収容部に対して回転自在に支持する軸受の数は、2つに限らず、3個以上でも良い。さらに、ピニオン軸およびピニオン収容部のそれぞれの中心軸(軸方向)の向きは、本開示の実施の形態の各例で示した構造に限定されず、適宜変更することができる。また、本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置を実施する場合に、ラック軸に備える操舵側ラック歯およびアシスト側ラック歯のそれぞれの形成位置(位相)は、本開示の実施の形態の各例で示した位置に限定されず、適宜変更することができる。
【0124】
さらに、本開示の一態様にかかる電動パワーステアリング装置は、本開示の実施の形態の各例で説明したような、デュアルピニオン式の電動パワーステアリング装置に限らず、ステアリングシャフトに接続されたピニオン軸に対して直接アシスト駆動力を付与するように構成された、ピニオンアシスト式の電動パワーステアリング装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 電動パワーステアリング装置
2 ステアリングホイール
3 ステアリングシャフト
4 ステアリングコラム
5a、5b 自在継手
6 中間シャフト
7 ハウジング
8 操舵機構部
9 アシスト機構部
10 操舵側ピニオン軸
11 ラック軸
12 操舵輪
13 アシスト側ピニオン軸
14 ラック収容部
15 操舵側ピニオン収容部
16、16a アシスト側ピニオン収容部
17 ギヤハウジング部
18 操舵側ガイド収容部
19 アシスト側ガイド収容部
20a、20b 取付部
21a 転がり軸受
22a 転がり軸受
23 筒部本体
24 第1固定フランジ
25 小径筒部
26 大径筒部
27 連結部
28 通孔
29、29a 軸受支持部
30 キャップ
31 開口部
32 ホイール収容部
33 ウォーム収容部
34 ホイール用筒部
35 塞ぎ板部
36 第2固定フランジ
37 雌ねじ孔
38 転がり軸受
39 転がり軸受
40 取付鍔部
41 操舵側ピニオン歯
42 タイロッド
43 操舵側ラック歯
44 アシスト側ラック歯
45 球面継手
46 ウォーム減速機
47 電動モータ
48 トルクセンサ
49 アシスト側ピニオン歯
50 ウォームホイール
51 ウォーム軸
52 ホイール歯
53 ウォーム歯
54 モータ本体
55 モータ出力軸
56 モータハウジング
57 モータ側フランジ
58 ボルト
59 第1ピニオン収容部構成体
60 第2ピニオン収容部構成体
61 筒体
62 第1固定板部
63 内径側板部
64 中間板部
65 外径側板部
66 小径連結筒部
67 大径連結筒部
68 第2固定板部
69 支持板部
70 抜け止め部材
71 ボルト
72 ボルト
73 先半部
100 電動パワーステアリング装置
101 アシスト機構部
102 ラック軸
103 アシスト側ピニオン軸
104 ウォーム減速機
105 ウォームホイール
106 ハウジング
107 転がり軸受
108 転がり軸受
109 ピニオン収容部
110 ギヤハウジング部
111 収容部本体
112 開口部
113 カバー
114 底板部
115 軸受支持部
116 内向フランジ部
117 抜け止め部材
118 段差面
119 止め輪
120 嵌合部


【要約】
【課題】アシスト機構部におけるハウジングの小型化を図れ、車両への搭載性の向上を図れる、電動パワーステアリング装置の構造を実現する。
【解決手段】ハウジング7は、ピニオン軸13の少なくとも先半部73を収容するピニオン収容部16と、ウォームホイール50およびウォーム軸51のそれぞれを収容するギヤハウジング部17とを有し、ギヤハウジング17部は、ピニオン収容部16と別体に構成され、かつ、ピニオン収容部16に対して固定されており、ピニオン軸13は、ギヤハウジング部17に対し回転自在に支持されることなく、ピニオン収容部16に対し、軸受21、22により回転自在に支持されており、ウォーム軸51は、ギヤハウジング部17に対し回転自在に支持されている。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6