IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20221220BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F24F7/06 101B
F24F13/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019006910
(22)【出願日】2019-01-18
(65)【公開番号】P2020118302
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】入月 和貴
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-064144(JP,A)
【文献】特開2018-115790(JP,A)
【文献】特開2018-179369(JP,A)
【文献】特開2006-153395(JP,A)
【文献】特開2018-204852(JP,A)
【文献】実公昭55-003295(JP,Y2)
【文献】特開平03-028644(JP,A)
【文献】特開平11-337140(JP,A)
【文献】中国実用新案第205208675(CN,U)
【文献】独国特許出願公開第102014201644(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部周面板、後部周面板、一方の側部周面板、他方の側部周面板の4つの周面板と、上面板を有したフード本体と、前記フード本体の少なくとも2つの前記周面板の全面を覆い、前記上面板よりも上方に突出した少なくとも2つの外観用板から成るフードを備え、前記外観用板は前記フードの最も外側に位置し、底面視で目視できることを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
請求項1に記載のレンジフードにおいて、
前記外観用板は、前記前部周面板を覆う前部外観用板と前記一方の側部周面板を覆う側部外観用板の2つ、前記前部周面板を覆う前部外観用板と前記他方の側部周面板を覆う側部外観用板の2つ、前記前部周面板を覆う前部外観用板と前記一方の側部周面板を覆う側部外観用板と前記後部周面板を覆う後部外観用板の3つ、前記前部周面板を覆う前部外観用板と前記他方の側部周面板を覆う側部外観用板と前記後部周面板を覆う後部外観用板の3つ、前記前部周面板を覆う前部外観用板と前記両方の側部周面板を覆う2つの側部外観用板の3つ、前記前部周面板を覆う前部外観用板と前記後部周面板を覆う後部外観用板と前記両方の側部周面板を覆う2つの側部外観用板の4つのいずれか1つであるレンジフード。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレンジフードにおいて、
前記側部外観用板は前記側部周面板に接しているレンジフード。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記外観用板における少なくともいずれか1つの外観用板の内側に補強部材が設けられ、前記補強部材は前記フード本体に固着されているレンジフード。
【請求項5】
請求項4に記載のレンジフードにおいて、
前記補強部材は、前記フード本体の上面板に接触し、かつ前記外観用板の上端面より上方に突出していないレンジフード。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のレンジフードにおいて、
前記補強部材は、前記外観用板の高さ方向と直角な幅方向の全長に亘って設けてあるレンジフード。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記フード本体の下面は開口し、その開口部には内面パネルが取り付けられ、
前記外観用板の下部には内向きのフランジを有し、前記フランジは、前記内面パネルとフード本体との間に挟まれているレンジフード。
【請求項8】
請求項7に記載のレンジフードにおいて、
前記外観用板のフランジの先端部分には、内側に向けて斜め下向きの屈曲部を有し、前記内面パネルは、前記フランジにおける屈曲部よりも外側に当接しているレンジフード。
【請求項9】
請求項2から8のいずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記外観用板は、前記前部外観用板と1つの前記側部外観用板を有し、
前記フード本体の前記前部周面板と前記両方の側部周面板からなる前面側角部のうち少なくとも片方は凹み、前記前部外観用板の前記側部外観用板側の端部と前記側部外観用板の前端部は折り曲げられ、各折り曲げ部が凹み部に、前記前部外観用板の前記側部外観用板側の端面と前記側部外観用板の前端面が目視されないように収められているレンジフード。
【請求項10】
請求項2から8のいずれかに記載のレンジフードにおいて、
前記外観用板は、前記前部外観用板と2つの側部外観用板を有し、
前記フード本体の前記前部周面板と前記両方の側部周面板からなる前面側角部はそれぞれ凹み、前記前部外観用板の両方の側部外観用板側の両端部と前記両方の側部外観用板の前端部はそれぞれ折り曲げられ、各折り曲げ部が凹み部に、前記前部外観用板の両方の前記側部外観用板側の両端面と前記両方の側部外観用板の前端面が目視されないようにそれぞれ収められているレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器具の上方に設置されて調理により発生する油煙などを捕集して屋外等へ排気するレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
調理器具の上方に設置されて調理により発生する油煙などを捕集し、屋外等へ排気するレンジフードには様々な形態のものがある。例えば、深型レンジフード、平型レンジフード、薄型レンジフード、スクエア型レンジフードがある。
深型レンジフードは、例えば、特許文献1に開示されているようなレンジフードで、送風機を内蔵し、前面が開口したフードと、前板からなり、油煙の捕獲空間が深く形成されていることを特徴としている。
平型レンジフードは、例えば、特許文献2に開示されているようなレンジフードで、送風機を内蔵するフードの高さが比較的低い(高さが200mm程度)ことを特徴としている。このため、梁が出ている台所や天井高さが低い台所にも対応可能である。
薄型レンジフードは、例えば、特許文献3に開示されているようなレンジフードで、平型レンジフードのフードよりも高さが低いフードの天面に送風機ボックスが搭載され、幕板で送風機ボックスを見えないようにしている。
スクエア型レンジフードは、例えば、特許文献4に開示されているようなレンジフードで、平型レンジフードのフードよりも高さが高いフードに送風機を内蔵している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-32132号公報
【文献】特開2014-228244号公報
【文献】特開2017-90025号公報
【文献】実開平4-106445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、レンジフードを使用する使用者の好みや、レンジフードを設置する場所の条件などから、高さの異なるレンジフードが要求されている。
平型レンジフード、スクエア型レンジフードはフードの高さがレンジフードの高さとなるので、その要求を満足するためには、高さの異なるフードを備えたレンジフードとしなければならない。
このためには、高さの異なるフードを製作することになるので、レンジフードが高価となる。
つまり、高さの異なるフードを備えたレンジフードを製作するためには、フードに設ける送風機とフィルタ等の取り付け方、取付位置などを考慮して新たに設計するので、その手間と時間のためにフードの製作コストが高くなる。
【0005】
また、フードは、前部周面板と後部周面板と一方の側部周面板と他方の側部周面板の4つの周面板と、上面板(転面板)を組み合わせているので、高さの異なるフードを製作するには、高さに合わせた上下寸法の4つの周面板を製作して組み合わせることになる。このために、組み合わせるための装置を周面板の上下寸法に応じて調整すること、周面板の上下寸法に合わせた治具などを必要とするので、フードの製作コストが高くなる。
これらのことで、レンジフードが高価となる。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために為されたものであり、その目的は、高さの異なるフードを備えたレンジフードを安価に製作することができるレンジフードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、近年要求されている高さの異なるフードを備えたレンジフードについて調査したところ、フードの高さとは外観上の高さであり、フードとしての機能は何ら変わりがなく、設置した状態のフードを見たときの高さが異なっていればよいことを見出し、本発明に至った。
【0008】
本発明のレンジフードは、前部周面板、後部周面板、一方の側部周面板、他方の側部周面板の4つの周面板と、上面板を有したフード本体と、前記フード本体の少なくとも2つの前記周面板の全面を覆い、前記上面板よりも上方に突出した少なくとも2つの外観用板から成るフードを備え、前記外観用板は前記フードの最も外側に位置し、底面視で目視できることを特徴とするレンジフードである。
【0009】
本発明のレンジフードにおいては、前記外観用板は、前記前部周面板を覆う前部外観用板と前記一方の側部周面板を覆う側部外観用板の2つ、前記前部周面板を覆う前部外観用板と前記他方の側部周面板を覆う側部外観用板の2つ、前記前部周面板を覆う前部外観用板と前記一方の側部周面板を覆う側部外観用板と前記後部周面板を覆う後部外観用板の3つ、前記前部周面板を覆う前部外観用板と前記他方の側部周面板を覆う側部外観用板と前記後部周面板を覆う後部外観用板の3つ、前記前部周面板を覆う前部外観用板と前記両方の側部周面板を覆う2つの側部外観用板の3つ、前記前部周面板を覆う前部外観用板と前記後部周面板を覆う後部外観用板と前記両方の側部周面板を覆う2つの側部外観用板の4つのいずれか1つであるレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、レンジフードの設置のタイプ、例えば、壁付け、横付け、天吊りなどによりレンジフードの使用者などが少なくとも目視可能な周面板を外観用板で覆うので、外観上のフードの高さが高いレンジフードを安価に製作することができる。また、レンジフードの使用者などが目視可能な周面板のみを外観用板で覆う場合は、外観用板の枚数を少なくできる。
【0010】
本発明のレンジフードにおいては、前記側部外観用板は前記側部周面板に接しているレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、フードの幅寸法を変えることなく外観上のフードの高さが高いレンジフードを製作できる。
【0011】
本発明のレンジフードにおいては、前記外観用板における少なくともいずれか1つの外観用板の内側に補強部材が設けられ、前記補強部材は前記フード本体に固着されているレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、外観用板をフード本体に強固に取り付けできる。
【0012】
本発明のレンジフードにおいては、前記補強部材は、前記フード本体の上面板に接触し、かつ前記外観用板の上端面より上方に突出していないレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、外観用板の高さ方向の歪みを防止できる。さらに、補強部材がフードの高さに影響しない。
【0013】
本発明のレンジフードにおいては、前記補強部材は、前記外観用板の高さ方向と直角な幅方向の全長に亘って設けてあるレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、外観用板の幅方向の歪みを防止できる。
【0014】
本発明のレンジフードにおいては、前記フード本体の下面は開口し、その開口部には内面パネルが取り付けられ、前記外観用板の下部には内向きのフランジを有し、前記フランジは、前記内面パネルとフード本体との間に挟まれているレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、外観用板の下部をフード本体と内面パネルで支持し、外観用板を強固に取り付けることができる。
【0015】
本発明のレンジフードにおいては、前記外観用板のフランジの先端部分には、内側に向けて斜め下向きの屈曲部を有し、前記内面パネルは、前記フランジにおける屈曲部よりも外側に当接しているレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、内面パネルを取り付ける時に、フランジの屈曲部をガイドとして位置決めでき、内面パネルを簡単に位置決めして取り付けることができる。
【0016】
本発明のレンジフードにおいては、前記外観用板は、前記前部外観用板と1つの前記側部外観用板を有し、前記フード本体の前記前部周面板と前記両方の側部周面板からなる前面側角部のうち少なくとも片方は凹み、前記前部外観用板の前記側部外観用板側の端部と前記側部外観用板の前端部は折り曲げられ、各折り曲げ部が凹み部に、前記前部外観用板の前記側部外観用板側の端面と前記側部外観用板の前端面が目視されないように収められているレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、前部外観用板の側部外観用板側の端面と側部外観用板の前端面がレンジフード使用者などから見えないので、1つの側部外観用板を有するレンジフードの意匠性が良い。さらに、フードの奥行が必要以上に大きくなることがない。
【0017】
本発明のレンジフードにおいては、前記外観用板は、前記前部外観用板と2つの側部外観用板を有し、前記フード本体の前記前部周面板と前記両方の側部周面板からなる前面側角部はそれぞれ凹み、前記前部外観用板の両方の側部外観用板側の両端部と前記両方の側部外観用板の前端部はそれぞれ折り曲げられ、各折り曲げ部が凹み部に、前記前部外観用板の両方の前記側部外観用板側の両端面と前記両方の側部外観用板の前端面が目視されないようにそれぞれ収められているレンジフードとすることができる。
このレンジフードによれば、前部外観用板の両端面と2つの側部外観用板の前端面がレンジフード使用者などから見えないので、2つの側部外観用板を有するレンジフードの意匠性が良い。さらに、フードの奥行が必要以上に大きくなることがない。
【発明の効果】
【0018】
本発明のレンジフードによれば、高さの異なるフードを備えたレンジフードを安価に製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のレンジフードの上面視斜視図である。
図2】本発明のレンジフードの下面視斜視図である。
図3】平型レンジフードの上面視斜視図である。
図4】平型レンジフードの下面視斜視図である。
図5図1に示すフード本体の上面視斜視図である。
図6図2に示すフード本体の下面視斜視図である。
図7】一方の側部外観用板を備えたフード本体の上面視斜視図である。
図8】一方の側部外観用板を備えたフード本体の下面視斜視図である。
図9】補強部材の内側視斜視図である。
図10】補強部材の外側視斜視図である。
図11】一方の側部外観用板を備えたフード本体の正面図である。
図12図11に示すフード本体の左側面図である。
図13図12に示すフード本体のA-A断面図である。
図14】一方の側部外観用板と前部外観用板と後部外観用板を備えたフード本体の上面視斜視図である。
図15】一方の側部外観用板と前部外観用板と後部外観用板を備えたフード本体の下面視斜視図である。
図16】内面パネルを備えたフード本体の下面視斜視図である。
図17図16に示すフード本体の正面図である。
図18図17に示すフード本体の左側面図である。
図19図18に示すフード本体のB-B断面図である。
図20図19に示すフード本体のC部拡大図である。
図21図19に示すフード本体のD部拡大図である。
図22図17に示すフード本体のE―E断面図である。
図23図18に示すフード本体のF-F断面図である。
図24】レンジフードの設置タイプの概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明のレンジフードの全体構成を図1図2に基づいて説明する。図1はレンジフードを上方から見た上面視斜視図、図2はレンジフードを下方から見た下面視斜視図である。
レンジフード1は、フード2を有している。フード2は、フード本体3と、そのフード本体3の周面を覆う外観用板4を有している。
フード本体3内には、送風機(図示せず)とフィルタ(図示せず)が設けられている。フード本体3の下部には内面パネル5と整流板6が設けてあり、内面パネル5と整流板6との間に吸気口(図示せず)を形成している。
【0021】
フード本体3は、図3図4に示すように、前部周面板30と後部周面板31と一方の側部周面板32と他方の側部周面板33の4つの周面板と、上面板34とで下面が開口した直方体の箱形状である。
前部周面板30の一方の側端面30aと一方の側部周面板32の外側面(表面)32aは同一面で直角に連続している。つまり、前部周面板30と一方の側部周面板32からなる前面側角部は直角である。
前部周面板30の他方の側端面30bと他方の側部周面板33の外側面(表面)33aは同一面で直角に連続している。つまり、前部周面板30と他方の側部周面板33からなる前面側角部は直角である。
【0022】
前部周面板30の内側面(裏面)にレンジフードを運転操作するためのスイッチ7が取り付けてある。スイッチ7の操作ボタン7aは、前部周面板30の外側面(表面)30cから前方に突出している。
すなわち、図3図4に示すフード本体3は、平型レンジフードとして用いられるもので、外観を見栄え良くするためなどの理由で、前部周面板30と両方の側部周面板32、33からなる前面側角部をそれぞれ直角としてある。
【0023】
この平型レンジフードであるフード本体3に外観用板4を取り付けて図1図2に示すレンジフード1とする作業を工程順に説明する。
図5図6に示すように、前部周面板30、内面パネル5、整流板6、フィルタを取り外し、新しい前部周面板35(以下単に前部周面板35という)を取り付ける。
前部周面板35の外側面35aにスイッチ7を取り付け、後に述べる前部外観用板を取り付けた状態で、操作ボタン7aが前部外観用板の外側面から突出するようにしている。スイッチ7は前部周面板30から外したものであるが、新しいものでもよい。
図6に示すように、内面パネル5、整流板6、フィルタを外したことで送風機8が露出している。
【0024】
前部周面板35の幅(一方の側端面35bから他方の側端面35cまでの長さ)は、図3図4に示す前部周面板30の幅よりも短く、一方の側端面35bと一方の側部周面板32の前端面32bは90度に連続して鉤型に凹み、前部周面板35と一方の側部周面板32からなる前面側角部は凹み部36を有している。他方の側端面35cと他方の側部周面板33の前端面33bは、90度に連続して鉤型に凹み、前部周面板35と他方の側部周面板33からなる前面側角部は凹み部36を有している。
両方の前面側角部が凹み部36を有するようにしたが、どちらか一方の前面側角部にのみ凹み部36を有するようにしてもよい。この場合は、前部周面板35の幅を少し長くし、どちらか一方の側端面をどちらか一方の側部周面板の外側面と同一面に連続して前面側角部を直角とする。
【0025】
図7図8に示すように、フード本体3に一方の側部外観用板40を取り付け、一方の側部周面板32の全面を覆っている。
一方の側部外観用板40の高さ(上下方向の寸法)は一方の側部周面板32の高さ(フード本体3の高さ)より高く、一方の側部外観用板40の上端はフード本体3の上面板34よりも上方に突出している。
一方の側部外観用板40の内側における高さ方向の中間に、補強部材9が取り付けてある。補強部材9の高さは、一方の側部外観用板40の高さよりも低く、補強部材9は一方の側部外観用板40の上端面より上方に突出しないとともに、補強部材9の下端面と一方の側部外観用板40の下端面との間の寸法は、一方の側部周面板32の高さと同一(僅かな誤差があってもよい)としてある。なお、補強部材9の下端面と一方の側部外観用板40の下端面との間の寸法は、一方の側部周面板32の高さより大きくてもよい。つまり、補強部材9の下端面と一方の側部外観用板40の下端面との間の寸法は、一方の側部周面板32の高さより小さくならなければよい。これにより、補強部材9がフードの高さに影響を及ぼすことがないとともに、補強部材9が一方の側部外観用板40の取り付けの邪魔にならない。
【0026】
補強部材9はフード本体3に固着されている。例えば、補強部材9をフード本体3の上面板34に接触し、ビス9aで上面板34に固着してある。
これにより、一方の側部外観用板40をフード本体3に強固に取り付けることができる。しかも、補強部材9が上面板34に接触していることで、一方の側部外観用板40の高さ方向の歪みを防止できる。
【0027】
図9図10に示すように、一方の側部外観用板40は高さ方向の下部に内向きのフランジ41を幅方向に亘って連続して有し、フランジ41の下面が一方の側部外観用板40の下端面である。
一方の側部外観用板40の幅方向一側部に、内向きの前部フランジ42を高さ方向に連続して有し、前部フランジ42の外側面が一方の側部外観用板40の前端面である。
一方の側部外観用板40の幅方向の他側部に、内向きの後部フランジ43を高さ方向に連続して有し、後部フランジ43の外側面が一方の側部外観用板40の後端面である。
前部フランジ42の外側面と後部フランジ43の外側面間の長さが一方の側部外観用板40の幅である。
内向きとは、一方の側部外観用板40の内側面40aよりも内側に突出していることである。つまり、一方の側部外観用板40は、板材を折り曲げ加工したものである。
【0028】
フランジ41は、内側面40aと直角で、その突出方向の先端部分における一部分は下向きに折れ曲がり、斜め下向きの折曲部44を形成している。
前部フランジ42、後部フランジ43の上部寄りは、内側面40aと直角な基部42a、43aと、基部42a、43aの突出端と連続し内側面40aと平行な先部42b、43bとで鉤形状である。先部42b、43bの上端寄りに内向きの取付受け片42c、43cを有している。
前部フランジ42、後部フランジ43の下部寄りは、基部42a、43aのみで、基部42a、43aの突出長さは上部寄りの基部42a、43aよりも短い。つまり、基部42a、43aの突出側の下部寄り部分と先部42b、43bの下部寄り部分を切断除去してある。前部フランジ42、後部フランジ43の下部寄りの高さ(上下方向の寸法)は一方の側部周面板32の高さ(フード本体3の高さ)と同一である。
【0029】
補強部材9は、本体部90と、本体部90の長手方向の両端に設けた取付部91と、本体部90の高さ方向の下端に設けた当接部92を有している。
本体部90は、一方の側部外観用板40の幅と同一幅(わずかに短いものを含む)で、一方の側部外観用板40の高さより短い高さの板状である。
取付部91は、本体部90の幅方向の端部と直角に連続し内側に向かう内向き片91aと、内向き片91aの突出端部と直角に連続し幅方向に向かう取付片91bで鉤形の板状である。
当接部92は、本体部90の下端と直角に連続し内側に向かう板状である。つまり、補強部材9は板材を折り曲げ加工したものである。
【0030】
図9に示すように、補強部材9は、本体部90の全面を一方の側部外観用板40の内側面40aに接し、各取付部91の取付片91bを一方の側部外観用板40の前部、後部フランジ42、43の先部42b、43bにビス91cで固着して取り付けてある。取り付けはビスに限ることはなく、リベット、スポット溶接、接着剤などで固着してもよい。
補強部材9は、当接部92の下面(補強部材9の下端面)が、一方の側部外観用板40の前部、後部フランジ42、43における基部42a、43aの切断面である先部42b、43bの下端面(つまり、前部、後部フランジ42、43の上部寄りと下部寄りの境目)と同一高さで、本体部90の上端面(補強部材9の上端面)は取付受け片42c、43よりも下方に位置している。
つまり、補強部材9は、一方の側部外観用板40を一方の側部周面板32に取り付ける際に邪魔にならないように取り付けてある。
【0031】
図11から図13に示すように、一方の側部外観用板40はフード本体3に次のように取り付けてある。
フランジ41が一方の側部周面板32の下端面に接して、一方の側部外観用板40が上方に移動しないようにしている。フランジ41の先部42b、43bの下端面はフード本体3の上面板34に接して、一方の側部外観用板40が下方に移動しないようにしている。前部フランジ42の基部42aが、一方の側部周面板32の前端面32bに接して凹み部36に収められ、後部フランジ43の基部43aが、一方の側部周面板32の後端面に接して、一方の側部外観用板40が前後方向に動かないようにしている。
内側面40aが、一方の側部周面板32の外側面32aに接しているとともに、補強部材9の当接部92が上面板34に接触し、ビス9aで固着されていることで、一方の側部外観用板40が下方に動かないようにしている。
【0032】
図14図15に示すように、フード本体3に前部外観用板50を取り付けて前部周面板35の全面を覆うと共に、フード本体3に後部外観用板60を取り付けて後部周面板31の全面を覆うことでフード2とする。
前部外観用板50はフード本体3の上面板34よりも上方に突出し、上端面は一方の側部外観用板40の上端面と同一高さである。
後部外観用板60はフード本体3の上面板34よりも上方に突出し、上端面は一方の側部外観用板40の上端面、前部外観用板50の上端面と同一高さである。
つまり、外観用板4は、前部周面板35の全面を覆う前部外観用板50と、後部周面板31の全面を覆う後部外観用板60と、一方の側部周面板32の全面を覆う一方の側部外観用板40の3枚で、各外観用板40、50、60の上端面は同一の高さで面一に連続している。
【0033】
図16に示すように、フード本体3の下部に内面パネル5を取り付け、内面パネル5にフィルタと整流板6を取り付けることで、図1図2に示すレンジフード1とする。
これにより、フード2の外観上の高さ(フード2を見たときの高さ)は各外観用板40、50、60の高さで、フード本体3の高さ(周面板の高さ)よりも高くなる。
したがって、フード本体3に高さの異なる外観用板4を取り付けることで、高さの異なるフード2とすることができ、フード本体3を共通として高さの異なる外観用板4を製作することができ、高さの異なるフード2を備えたレンジフード1を安価に製作できる。
この実施の形態では、平型レンジフードをフード本体3としているので、平型レンジフードを用いて高さの異なるフードを備えたレンジフードとすることができる。
なお、平型レンジフードを用いることなく、図5図6に示すフード本体3を用いて高さの異なるフードを備えたレンジフードとすることが可能である。
【0034】
図17から図23に基づき前部外観用板50、後部外観用板60、内面パネル5について説明する。
前部外観用板50は板状で、その幅方向の両側の端部は、図19に示すように折り曲げ部51をそれぞれ有している。折り曲げ部51は後部側に向う後向き片52と、その後向き片52の後端と連続し内側に向かう内向き片53とで鉤形状である。
図20に示すように、一方の折り曲げ部51と一方の側部外観用板40の前部フランジ42が、前部周面板35と一方の側部周面板32からなる角部の凹み部36に収められている。
つまり、内向き片53の先端面が、前部周面板35の一方の側端面35bに当接し、前部フランジ42が一方の側部周面板32の前端面32bに接している。
【0035】
これにより、前部外観用板50の一方の側部外観用板40側の端面(板材の切断面)と、一方の側部外観用板40の前部フランジ42の端面(切断端面)が、レンジフード使用者などから見えないようにできるので、側部外観用板を有するレンジフードの意匠性が良い。
さらに、一方の側部外観用板40の内側面40aが一方の側部周面板32の外側面32aに接していることが相俟って、フード2の前後方向の寸法(奥行)、前後方向と直角方向の寸法(幅)が必要以上に大きくなることがない
【0036】
図21に示すように、他方の折り曲げ部51は、前部周面板35と他方の側部周面板33からなる角部の凹み部36に収められている。
つまり、内向き片53の先端面が、前部周面板35の他方の側端面35cに当接し、他方の側部周面板33の前端面33bと相対向している。
したがって、一方の側部外観用板40と同様な形状の他方の側部外観用板を、他方の側部周面板33を覆うように取り付けた場合に、その前部フランジを内向き片53と他方の側部周面板33の前端面33bの間に位置させ、前部外観用板50の他方の側部外観用板側の端面と他方の側部外観用板の前部フランジの端面が、レンジフード使用者などから見えないようにできる。
つまり、2つの側部外観用板を取り付けたフードと、1つの側部外観用板を一方の側部周面板を覆うように取り付けたフードと、1つの側部外観用板を他方の側部周面板を覆うように取り付けたフードとに対応できる。
レンジフードを壁面と接するように取り付ける場合は、壁面側の面には、凹み部を設けなくとも良い。この場合には内向き片53が無いため外観用板側の端面が露出するが、レンジフード取付状態においては端面は壁面によって隠れるため、使用者からは見えないようにできる。
【0037】
図22に示すように、前部外観用板50の下部には内向きのフランジ54を有している。フランジ54は、前部周面板35の下端面35dに接している、図22では、前部周面板35の下面35dに設けたL型材37に接している。つまり、フランジ54はフード本体の下面に接していればよい。
内面パネル5は、外周側に上向きのフランジ5aを有している。フランジ5aの後部側5a-1を後部周面板31に支持し、前部寄りからねじ5bを前部周面板35にねじ込むことで、内面パネルをフード本体3の下部に取り付けてある。
フランジ5aの前部側5a-2は、前部外観用板50のフランジ54を押しつけるように取り付けられ、フランジ54は、内面パネル5(フランジ5a)と前部周面板35との間に挟まれている。
【0038】
これにより、前部外観用板50の下部はフード本体3に支持され、前部外観用板50を強固に取り付けできる。
前部外観用板50の上部寄りに支持材55が取り付けられ、支持材55をフード本体3の上面板34に支持することで、前部外観用板50の上部寄りを一方の側部外観用板40で支持している。なお、前部外観用板50、後部外観用板60に補強部材9を取り付けてもよい。
【0039】
図23に示すように、一方の側部外観用板40のフランジ41は、一方の側部周面板32の下端面32dに接している。内面パネル5のフランジ5aは、フランジ41の屈曲部44よりも外側に取り付けられている。
内面パネル5を取り付ける際は、そのフランジ5aを屈曲部44に接し、フランジ5aを屈曲部44に沿って滑らせながら内面パネル5を押し上げることで、フランジ5aをフランジ41に押しつけて位置決めして取り付ける。
このように、内面パネル5をフランジ41の屈曲部44をガイドとして位置決めでき、内面パネル5を位置決めして簡単に取り付けることができる。
【0040】
以上の実施の形態のレンジフード1は、図24(a)に示すように、フード本体3の他方の側部周面板33を壁に接して設置する横付けタイプであり、他方の側部周面板33がレンジフード使用者などから見えないので、他方の側部外観用板は取り付けていない。
これに限ることはなく、図24(b)に示すように、フード本体3の一方の側部周面板32を壁に接して設置する横付けタイプの場合は、一方の側部周面板32が見えずに他方の側部周面板33が見えるから、他方の側部外観用板70を取り付け、一方の側部外観用板は取り付けない。
図24(c)に示すように、フード本体3の後部周面板31を壁に接して設置する壁付けタイプの場合は、後部周面板31が見えずに一方の側部周面板32と他方の側部周面板33が見えるから、一方の側部外観用板40と他方の側部外観用板70を取り付け、後部外観用板は取り付けない。
【0041】
図24(d)に示すように、フード本体3の後部周面板31と他方の側部周面板33を壁に接して設置する壁付けタイプの場合は、後部周面板31と他方の側部周面板33が見えず前部周面板35と一方の側部周面板32が見えるから、一方の側部外観用板40と前部外観用板50を取り付け、後部外観用板と他方の側部外観用板は取り付けない。
図24(e)に示すように、フード本体3の後部周面板31と一方の側部周面板32を壁に接して設置する壁付けタイプの場合は、後部周面板31と一方の側部周面板32が見えず前部周面板35と他方の側部周面板33が見えるから、他方の側部外観用板70と前部外観用板50を取り付け、後部外観用板と一方の側部外観用板は取り付けない。
【0042】
図24(f)に示すように、壁には接しないで天井に吊り下げる天吊りタイプの場合は、フード本体の4つの周面板35、31、32、33が見えるので、前部外観用板50、後部外観用板60、一方の側部外観用板40、他方の側部外観用板70を取り付ける。
即ち、レンジフードの設置タイプにより、レンジフード使用者などが見えない周面板があるので、それに応じて外観用板の取り付けを変える。
なお、レンジフードの設置タイプに関係なく、レンジフード使用者などから見えない面の周面板にも外観用板を取り付けても良い。例えば、フード本体3の4つの周面板に外観用板を取り付けてもよい。
【0043】
この実施の形態では、平型レンジフードを基準としてスクエア型のようなレンジフードとしたが、薄型レンジフードを基準としてスクエア型のようなレンジフードとすることも可能である。つまり、薄型レンジフードのフード本体の周面板に外観用板を取り付けて送風機ボックスがレンジフード使用者などから見えないようにする。この場合は、補強部材をフード本体の上面板に接触して取り付ける。又は補強部材の当接面を長くして送風機ボックスの上面板に接触して取り付ける。
【符号の説明】
【0044】
1…レンジフード、2…フード、3…フード本体、4…外観用板、5…内面パネル、5a…フランジ、9…補強部材、30…前部周面板、31…後部周面板、32…一方の側部周面板、33…他方の側部周面板、34…上面板、35…新しい前部周面板、36…凹み部、40…一方の側部外観用板、41…フランジ、42…前部フランジ、43…後部フランジ、44…屈曲部、50…前部外観用板、51…折り曲げ部、54…フランジ、60…後部外観用板、70…他方の側部外観用板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24