(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】蓋部材
(51)【国際特許分類】
B65D 43/02 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
B65D43/02
(21)【出願番号】P 2019059621
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 雅志
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-306963(JP,A)
【文献】実開昭53-158913(JP,U)
【文献】特開2012-240704(JP,A)
【文献】特開平08-034440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部に沿って上方に延びる側壁部と、相対する一対の前記側壁部の上辺部間を連結するようにして設けられる梁部材とを備える容器に対し、前記容器に収容されたワークの上方を覆うとともに、前記梁部材の下方に設置される蓋部材であって、
前記蓋部材の上面側には、前記梁部材の下辺部の挿入を許容する受容部が設けられて
おり、
前記蓋部材は、上下方向に延びる複数の縦壁部を備え、
前記受容部は、前記複数の縦壁部の間を連結する受容底壁部と、前記受容底壁部から上方に突出する複数の規制部とを備え、
前記蓋部材のうち前記梁部材の下面側と対向する部位には、前記受容部よりも前記蓋部材の外縁部側において、前記受容底壁部よりも下方に位置する低領域部が設けられていることを特徴とする蓋部材。
【請求項2】
平面視略矩形状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部に沿って上方に延びる側壁部と、相対する一対の前記側壁部の上辺部間を連結するようにして設けられる梁部材とを備える容器に対し、前記容器に収容されたワークの上方を覆うとともに、前記梁部材の下方に設置される蓋部材であって、
前記蓋部材の上面側には、前記梁部材の下辺部の挿入を許容する受容部が設けられて
おり、
前記蓋部材の下面側には、前記ワークの上端部の挿入を許容するワーク受容部が設けられ、
前記受容部、及び、前記ワーク受容部は、前記蓋部材を平面視した場合に異なる位置に設けられるとともに、前記受容部と、前記ワーク受容部との間には段差部が設けられていることを特徴とする蓋部材。
【請求項3】
平面視略矩形状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部に沿って上方に延びる側壁部と、相対する一対の前記側壁部の上辺部間を連結するようにして設けられる梁部材とを備える容器に対し、前記容器に収容されたワークの上方を覆うとともに、前記梁部材の下方に設置される蓋部材であって、
前記蓋部材の上面側には、前記梁部材の下辺部の挿入を許容する受容部が設けられて
おり、
前記蓋部材の下面側には、前記ワークの上端部の挿入を許容するワーク受容部が設けられ、
前記受容部、及び、前記ワーク受容部は、前記蓋部材を平面視した場合に、前記受容部の少なくとも一部が前記ワーク受容部と重複した位置に設けられるとともに、前記受容部と、前記ワーク受容部との間には段差部が設けられていることを特徴とする蓋部材。
【請求項4】
平面視略矩形状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部に沿って上方に延びる側壁部と、相対する一対の前記側壁部の上辺部間を連結するようにして設けられる梁部材とを備える容器に対し、前記容器に収容されたワークの上方を覆うとともに、前記梁部材の下方に設置される蓋部材であって、
前記蓋部材の上面側には、前記梁部材の下辺部の挿入を許容する受容部が設けられて
おり、
前記蓋部材は、前記容器に収容された前記ワークに載置される構成であって、
前記受容部は、階段状をなす階段部、又は、上方に向けて前記受容部を広げる方向に傾斜して延びる傾斜部を備えていることを特徴とする蓋部材。
【請求項5】
前記蓋部材の外縁部、又は、その近傍において上下方向に延び、前記蓋部材の外縁部に沿って延在する外周壁部と、
前記低領域部に設けられ、前記縦壁部と、前記外周壁部との間を連結する左右一対の連結縦壁部と、前記一対の連結縦壁部の上縁部間を連結する連結天壁部とを具備する連結部とを備えていることを特徴とする請求項
1に記載の蓋部材。
【請求項6】
前記蓋部材の外縁部、又は、その近傍において上下方向に延び、前記蓋部材の外縁部に沿って延在する外周壁部を備え、
前記外周壁部は、前記蓋部材の内外方向において所定距離を隔てて対向する内壁部、及び、外壁部と、前記内壁部と前記外壁部との間を連結する横壁部とを備え、
前記低領域部は、前記蓋部材のうち前記梁部材の下面側と対向する部位において、前記外周壁部を含む範囲に設けられ、
前記低領域部における前記外周壁部には、前記蓋部材の外周面を前記蓋部材の内方側に窪ませる窪み部が、前記低領域部の上面側と連続して設けられていることを特徴とする請求項
1又は5に記載の蓋部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に被せられる蓋部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを運搬等する場合に、平面視略矩形状の底壁構成部と、底壁構成部の各側辺部から上方に延びる側壁部とを備えて上方に開口する容器に対してワークを収容することが知られている。また、容器の強度を高めるべく、相対する一対の側壁部の上辺部間を連結するようにして梁部材を設けるといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、容器に収容されたワークの跳ね上がり等を防止するために、容器に蓋部材を被せることが知られている。しかしながら、上記特許文献1のような梁部材が設けられる容器に対応した蓋部材は存在しなかった。
【0005】
本発明は上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、梁部材が設けられる容器に安定して設けられる蓋部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.平面視略矩形状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部に沿って上方に延びる側壁部と、相対する一対の前記側壁部の上辺部間を連結するようにして設けられる梁部材とを備える容器に対し、前記容器に収容されたワークの上方を覆うとともに、前記梁部材の下方に設置される蓋部材であって、
前記蓋部材の上面側には、前記梁部材の下辺部の挿入を許容する受容部が設けられており、
前記蓋部材は、上下方向に延びる複数の縦壁部を備え、
前記受容部は、前記複数の縦壁部の間を連結する受容底壁部と、前記受容底壁部から上方に突出する複数の規制部とを備え、
前記蓋部材のうち前記梁部材の下面側と対向する部位には、前記受容部よりも前記蓋部材の外縁部側において、前記受容底壁部よりも下方に位置する低領域部が設けられていることを特徴とする蓋部材。
【0008】
手段1によれば、容器に収容されたワークを覆うようにして蓋部材を設置し、蓋部材の受容部に下辺部を挿入させるようにして梁部材を容器に取付けることで、ワークの上方への変位が、蓋部材を介して、梁部材により規制されることとなる。従って、ワークが容器に収容されて運搬される際に上下に振動等が発生した場合であっても、ワークが容器から上方に飛び出して脱落等してしまうといった事態を防止することができる。さらに、梁部材(の下部)を蓋部材の受容部に収容した相対位置関係とすることで、梁部材に対する蓋部材の水平方向における相対変位を規制することが可能となる。従って、蓋部材の設置状態の安定化等を図ることができ、蓋部材が容器に対して相対変位して、ワークに悪影響を与えたり、蓋部材が容器から外れてしまったり(蓋部材が梁部材とワークとの間から側方にすり抜けてしまったり)するといった事態をより確実に防止することができる。
また、蓋部材のうち梁部材の下面側と対向する部位において受容部よりも蓋部材の外縁部側に低領域部が設けられることで、蓋部材の上方に梁部材を設置する作業や、梁部材を側壁部に固定する作業を行う際に、該作業を行う作業者の手や工具等の作業用のスペースを確保することができる。従って、梁部材を容器に取付けたり、取外したりする際の作業性の向上を図ることができる。尚、前記低領域部は、前記梁部材の側方の空間と連通していることとしてもよい。この場合、本手段1の作用効果がより確実に奏される。
【0009】
手段2.平面視略矩形状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部に沿って上方に延びる側壁部と、相対する一対の前記側壁部の上辺部間を連結するようにして設けられる梁部材とを備える容器に対し、前記容器に収容されたワークの上方を覆うとともに、前記梁部材の下方に設置される蓋部材であって、
前記蓋部材の上面側には、前記梁部材の下辺部の挿入を許容する受容部が設けられており、
前記蓋部材の下面側には、前記ワークの上端部の挿入を許容するワーク受容部が設けられ、
前記受容部、及び、前記ワーク受容部は、前記蓋部材を平面視した場合に異なる位置に設けられるとともに、前記受容部と、前記ワーク受容部との間には段差部が設けられていることを特徴とする蓋部材。
手段2によれば、蓋部材の下面側にワーク受容部が設けられることで、ワークの水平方向への変位、及び、傾倒変位が、蓋部材を介して、梁部材により規制されることとなる。従って、ワークの収容状態の安定化等を図ることができ、ワークを安定して運搬等することができる。また、受容部と、ワーク受容部との間には段差部が設けられている。このため、例えば、受容部の底面を形成する壁部(受容底壁部)と、ワーク受容部の天井面を形成する壁部とが同一高さで、一部が連続して設けられるような構成に比べ、蓋部材の強度を高めることができる。
手段3.平面視略矩形状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部に沿って上方に延びる側壁部と、相対する一対の前記側壁部の上辺部間を連結するようにして設けられる梁部材とを備える容器に対し、前記容器に収容されたワークの上方を覆うとともに、前記梁部材の下方に設置される蓋部材であって、
前記蓋部材の上面側には、前記梁部材の下辺部の挿入を許容する受容部が設けられており、
前記蓋部材の下面側には、前記ワークの上端部の挿入を許容するワーク受容部が設けられ、
前記受容部、及び、前記ワーク受容部は、前記蓋部材を平面視した場合に、前記受容部の少なくとも一部が前記ワーク受容部と重複した位置に設けられるとともに、前記受容部と、前記ワーク受容部との間には段差部が設けられていることを特徴とする蓋部材。
手段4.平面視略矩形状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部に沿って上方に延びる側壁部と、相対する一対の前記側壁部の上辺部間を連結するようにして設けられる梁部材とを備える容器に対し、前記容器に収容されたワークの上方を覆うとともに、前記梁部材の下方に設置される蓋部材であって、
前記蓋部材の上面側には、前記梁部材の下辺部の挿入を許容する受容部が設けられており、
前記蓋部材は、前記容器に収容された前記ワークに載置される構成であって、
前記受容部は、階段状をなす階段部、又は、上方に向けて前記受容部を広げる方向に傾斜して延びる傾斜部を備えていることを特徴とする蓋部材。
手段4によれば、容器に収容されるワークの高さにばらつきが生じた場合であっても、梁部材の容器への取付位置を微調整し、梁部材と、受容部(階段部、又は、傾斜部)とが当接、又は、近接する相対位置とすることができる。つまり、容器に収容されるワークの高さが設計の高さよりも低くなった場合、梁部材と、蓋部材とが上下に離間し、梁部材の受容部への挿入長が短くなって、蓋部材(ワーク)の上下の振動等を抑え難くなり、蓋部材が外れ易くなる、或いは、ワークが位置ずれする等のことが懸念されるが、梁部材の取付位置を、階段部、又は、傾斜部のより高い位置と当接し得るように調整することで、かかる懸念を払拭することができる。また、容器に収容されるワークの高さが設計の高さよりも高くなった場合、梁部材と、ワークとの間に蓋部材を設置するスペースを確保できなくなってしまうことが懸念されるが、梁部材の取付位置を、階段部、又は、傾斜部のより低い位置と当接し得るように調整することで、かかる懸念を払拭することができる。特に、ワークが(トレーを介在させて)複数段積まれて容器に収容される場合や、容器が複数種類のワークの運搬に使用される場合等には、上記の作用効果がより顕著なものとなる。従って、利便性の向上、及び、汎用性の向上等を図ることができる。
尚、階段部、及び、傾斜部のうち、梁部材の下面に対向する(当接し得る)部位により受容底壁部が構成され、側面に対向する(当接し得る)部位により規制部が構成される。また、階段部、又は、傾斜部を備える構成を採用する場合には、容器に2本の互いに平行して延在する梁部材が設けられ、梁部材の延在方向に対して直交する方向において、一方の梁部材の一側面側と、当該一方の梁部材に対応する受容部(階段部、又は、傾斜部)とが当接、又は、近接して配置され、他方の梁部材の他側面側と、当該他方の梁部材に対応する受容部(階段部、又は、傾斜部)とが当接、又は、近接して配置されることとしてもよい。この場合、蓋部材の水平方向の位置ずれをより確実に防止することができる。
【0011】
手段5.前記蓋部材の外縁部、又は、その近傍において上下方向に延び、前記蓋部材の外縁部に沿って延在する外周壁部と、
前記低領域部に設けられ、前記縦壁部と、前記外周壁部との間を連結する左右一対の連結縦壁部と、前記一対の連結縦壁部の上縁部間を連結する連結天壁部とを具備する連結部とを備えていることを特徴とする手段1に記載の蓋部材。
【0012】
手段5によれば、蓋部材の低領域部に対応する部位の強度を高めることができ、蓋部材の変形等を抑止することができる。従って、蓋部材の変形に起因して受容部から梁部材が抜け出すといった事態を防止することができ、蓋部材と、梁部材との位置ずれをより確実に防止することができる。
【0013】
尚、連結部は、低領域部が複数存在するような場合に、強度を高める必要のある低領域部に対して適宜設けられていればよく、連結部のない低領域部が存在してもよい。
【0014】
手段6.前記蓋部材の外縁部、又は、その近傍において上下方向に延び、前記蓋部材の外縁部に沿って延在する外周壁部を備え、
前記外周壁部は、前記蓋部材の内外方向において所定距離を隔てて対向する内壁部、及び、外壁部と、前記内壁部と前記外壁部との間を連結する横壁部とを備え、
前記低領域部は、前記蓋部材のうち前記梁部材の下面側と対向する部位において、前記外周壁部を含む範囲に設けられ、
前記低領域部における前記外周壁部には、前記蓋部材の外周面を前記蓋部材の内方側に窪ませる窪み部が、前記低領域部の上面側と連続して設けられていることを特徴とする手段1又は5に記載の蓋部材。
【0015】
手段6によれば、外周壁部が蓋部材の内外方向において2層構造とされていることにより、蓋部材の外周部の強度を高めることができ、蓋部材の変形等をより確実に防止することができる。また、低領域部は、蓋部材のうち梁部材の下面側と対向する部位において、外周壁部を含む範囲にまで設けられている。従って、上記手段1の作用効果がより一層奏される。
【0016】
さらに、低領域部における外周壁部には、低領域部の上面側と連続する窪み部が設けられている。このため、蓋部材のうち梁部材の下面側と対向する部位において、蓋部材の外周面と、容器の側壁部との間に、梁部材を側壁部に固定する固定部材を設置するためのスペースを確実に確保することができる。特に、窪み部が低領域部の上面側と連続していることから、梁部材を側壁部に固定する作業を行うスペースについてもより確保し易くなる。従って、梁部材を容器に取付けたり、取外したりする際の作業性の向上をより一層図ることができる。加えて、蓋部材の外周面が側壁部の内面に対向して近接配置される構成においては、蓋部材の着脱作業に際して、窪み部に対し作業者の手やロボットアーム等を挿入して蓋部材を保持することが可能となり、蓋部材の着脱作業性の向上等を図ることができる。
【0022】
尚、上記各手段に記載された技術思想を、「平面視略矩形状をなす底壁構成部と、前記底壁構成部の各側辺部に沿って上方に延びる側壁部と、相対する一対の前記側壁部の上辺部間を連結するようにして設けられる梁部材とを具備する容器と、前記容器に収容されたワークの上方を覆うとともに、前記梁部材の下方に設置される蓋部材とを備える運搬ユニット」に具現化することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】梁部材を取外した状態の運搬ユニットの斜視図である。
【
図11】別の実施形態の受容部を示す断面模式図である。
【
図12】別の実施形態の受容部を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、運搬ユニット1は、平面視略正方形状をなす底壁構成部3と、底壁構成部3の各側辺部に沿って上方に延びる側壁部4と、相対する一対の側壁部4の上辺部間を連結するようにして設けられる梁部材5とを具備する容器2と、トレー6に載置された形態で容器2に複数段(本例では3段)積み重ねられて収容された図示しないワークの上方を覆うとともに、梁部材5の下方に設置される蓋部材7とを備えている。本実施形態の容器2は金属(例えば、鉄)製のパーツを溶接等することにより構成され、トレー6、及び、蓋部材7はポリエチレンにより一体的に形成されている。
【0025】
図3等に示すように、底壁構成部3の下面側には、相対する一対の側辺部にそれぞれ沿って延在する四角筒状の脚部11が下方に突出するようにして設けられている。これにより、一対の脚部11の間には、フォークリフトのフォーク等を差込み可能なフォーク差込み部12が形成されている。
【0026】
梁部材5は、四角筒状の梁本体15と、梁本体15の下面の両端部に設けられ、下方、かつ、梁本体15の長手方向に対して直交する水平方向に開口する側面視略コ字状の固定部16とを備えている。固定部16には、略L字状の固定部材17を梁本体15の長手方向に挿通可能とする固定孔18が設けられている。
【0027】
これに対し、側壁部4の上部には、前記固定部材17を挿通可能な図示しない取付孔が設けられている。そして、側壁部4の取付孔と、固定部16の固定孔18とを位置合わせし、固定部材17を容器2の内側から固定孔18、及び、取付孔に挿通させて先端部を容器2の外側に突出させるとともに、ねじ切り加工された固定部材17の先端部側に対し、図示しないナットを固定することで、梁部材5が側壁部4に固定される。本実施形態の容器2には、2本の梁部材5が設けられるようになっている。
【0028】
図2、
図4に示すように、トレー6は、平面視略矩形状をなしており、トレー6を横に2つ並べることで、側壁部4の内側に丁度収まる形状をなしている。本実施形態では、各トレー6に10個のワークが載置されるようになっている。また、上記のように、本実施形態では、トレー6に載置した形態のワークが複数段積み重ねられる構成のため、
図4に示すように、トレー6の上面側には、ワークの下部を収容する上面側収容部19が設けられ、トレー6の下面側には、ワークの上部を収容する下面側収容部(図示略)が設けられている。
【0029】
さて、
図2等に示すように、蓋部材7は、平面視略矩形状をなしており、蓋部材7を横に2つ並べることで、側壁部4の内側に丁度収まる形状をなしている。また、本実施形態の蓋部材7は、トレー6に載置されたワークに対して直接被せられる構成となっている。つまり、
図6に示すように、蓋部材7の下面側には、トレー6に載置された10個のワークの各上端部の挿入をそれぞれ許容するワーク受容部21が設けられている。各蓋部材7において10箇所に設けられるワーク受容部21は、蓋部材7の長手幅方向において互いに所定距離を隔てて5列で並び、蓋部材7の短手幅方向において2列で並ぶようにして設けられている。そして、各ワーク受容部21にそれぞれワークを挿入させるようにして、蓋部材7をワークの上方に載置することで、蓋部材7がワークに当接して支持されるようになっている。尚、
図6の2点鎖線は、ワーク受容部21に収容されるワークの上部の配置を示している。ワークの上部が、ワーク受容部21に収容されることで、蓋部材7の長手幅方向におけるワークの一側部、及び、他側部と、ワーク受容部21とがそれぞれ当接、又は、近接するとともに、蓋部材7の短手幅方向におけるワークの一側部、及び、他側部と、ワーク受容部21とがそれぞれ当接、又は、近接するようになっている。
【0030】
また、
図1に示すように、2つ横並びで設置される蓋部材7は、その長手幅方向が、梁部材5の長手方向に対して直交する向きに配置される。さらに、
図1、
図2、
図5等に示すように、蓋部材7の上面側には、梁部材5の下辺部の挿入を許容する受容部22が設けられている。より具体的には、
図5、
図6、
図9、
図10に示すように、蓋部材7は、床面等の設置面に蓋部材7を設置した場合に設置面に接地し、略水平方向に延在するベース部23と、ベース部23から上方に延びる複数の縦壁部24とを備えている。また、
図5に示すように、前記受容部22は、複数の縦壁部24の上縁部間を連結する受容底壁部25と、受容底壁部25から上方に突出する複数の規制部26とを備えている。
【0031】
図1、
図7、
図8、
図10に示すように、容器2に収容されたワークに蓋部材7を被せて、その上方に梁部材5を取付けることで、梁部材5の下部の一部が受容部22に収容され、梁部材5の下面と、受容底壁部25とが当接、又は、近接するとともに、梁部材5の一方の側面、及び、他方の側面と、規制部26とがそれぞれ当接、又は、近接するように構成されている。
【0032】
加えて、
図5、
図6等に示すように、蓋部材7には、当該蓋部材7の外縁部においてベース部23から上方に突出し、蓋部材7の外縁部に沿って延在する外周壁部28が設けられている。外周壁部28は、ベース部23の外縁部から上方に延びる内壁部29と、内壁部29の上縁部から蓋部材7の外方側に延びる横壁部30と、横壁部30の外縁部から下方に延びる外壁部31とを備えている。横壁部30の上面は、規制部26の上面と同じ高さに構成され、外壁部31の下縁部は、ベース部23の下面と同じ高さに構成されている。本実施形態では、容器2に収容されたワークに対し蓋部材7を2つ横並びで被せることで、蓋部材7の外周面(外壁部31)が、容器2の側壁部4の内面と対向して、近接するように構成されている。
【0033】
また、
図5等に示すように、蓋部材7のうち梁部材5の下面側と対向する部位には、前記受容部22よりも蓋部材7の外縁部側において、受容底壁部25よりも下方に位置する低領域部33が設けられている。つまり、蓋部材7の短手幅方向(梁部材5の長手方向)において、受容部22と、外壁部31とが離間して設けられ、その間は低領域部33となっている。さらに、本実施形態では、低領域部33は、蓋部材7のうち梁部材5の下面側と対向する部位において、外周壁部28を含む範囲に設けられている。
【0034】
加えて、低領域部33における外周壁部28には、蓋部材7の外周面を蓋部材7の内方側に窪ませる窪み部34が、低領域部33の上面側と連続して設けられている。本実施形態の窪み部34は、内壁部29については屈曲させずに、外壁部31を蓋部材7の内方側に屈曲させるとともに、外壁部31の屈曲形状に応じて横壁部30を切り欠くような格好で形成されている。
図9に示すように、本実施形態では、梁部材5の固定部16のうち側壁部4の内面と略当接する部位、及び、固定部材17の一部が、窪み部34において、蓋部材7と、側壁部4との間に収められるようになっている。
【0035】
尚、低領域部33は、蓋部材7のうち梁部材5の下面側と対向する範囲だけでなく、その両側方の範囲にまで拡張形成されている。これにより、梁部材5が容器2に取付けられた状態においても、梁部材5の側方(空間)から、低領域部33を介して、梁部材5の下方(蓋部材7との間)に手を挿入させることが可能となる。
【0036】
また、
図5等に示すように、低領域部33には、ベース部23から上方に延出し、縦壁部24と、外周壁部28(内壁部29)との間を連結する左右一対の連結縦壁部37と、一対の連結縦壁部37の上縁部間を連結する連結天壁部38とを具備する連結部36が設けられている。尚、本実施形態の蓋部材7は、長手幅方向中央部を通り、蓋部材7の短手幅方向に延びる仮想直線を中心として線対称形状となっているが、短手幅方向中央部を通り、蓋部材7の長手幅方向に延びる仮想直線を中心とする線対称形状とはなっていない。さらに、上記のように、本実施形態では、蓋部材7を2つ1組で使用する構成であり、蓋部材7の一対の長側辺部のうち、容器2の側壁部4と対向する一方の長側辺部においては、上記のように窪み部34が形成されるとともに、連結部36が設けられるものの、相手側の蓋部材7と突き合わせる他方の長側辺部においては、窪み部34が形成されていない上、連結部36も設けられていない。
【0037】
加えて、
図6等に示すように、上記ワーク受容部21に関しても、ベース部23から上方に突出する部位をワークの上部形状に対応して設けることによって、蓋部材7の下面側に形成されている。また、
図5等に示すように、本実施形態では、蓋部材7の各短側辺部に近いワーク受容部21と、その隣のワーク受容部21との間の位置に、受容部22が設けられている。さらに、本実施形態では、蓋部材7のうちワーク受容部21の天井面を構成している壁部の上面よりも、受容底壁部25の上面の方が高い位置に設けられている。このため、平面視で、受容部22と、ワーク受容部21(ワーク受容部21が下面側に形成されている部位)とが隣接する部位も存在するが、両者間には、高低差のある受容部22と、ワーク受容部21との間を連結する段差部(本例では縦壁部24)が設けられている。尚、平面視で、受容部22と、ワーク受容部21との間にベース部23が介在する部位に関しては、受容部22と、ワーク受容部21との間の上下方向に延びる壁部が段差部に相当する。
【0038】
以上詳述したように、本実施形態によれば、容器2に収容されたワークを覆うようにして蓋部材7を設置し(トレー6を介在させて複数段積み重ねられたワークに蓋部材7を被せ)、蓋部材7の受容部22に下辺部を挿入させるようにして梁部材5を容器2に取付けることで、ワークの上方への変位が、蓋部材7を介して、梁部材5により規制されることとなる。従って、ワークが容器2に収容されて運搬される際に上下に振動等が発生した場合であっても、ワークが容器2から上方に飛び出して脱落等してしまうといった事態を確実に防止することができる。さらに、梁部材5(の下部)を蓋部材7の受容部22に収容した相対位置関係とすることで、梁部材5に対する蓋部材7の水平方向における相対変位を規制することができる。従って、蓋部材7の設置状態の安定化等を図ることができ、蓋部材7が容器2に対して相対変位して、ワークに悪影響を与えたり、蓋部材7が容器2から外れてしまったり(蓋部材7が梁部材5とワークとの間から側方にすり抜けてしまったり)するといった事態をより確実に防止することができる。
【0039】
また、蓋部材7のうち梁部材5の下面側と対向する部位には、受容部22よりも蓋部材7の外縁部側において、受容底壁部25よりも下方に位置する低領域部33が設けられている。このため、蓋部材7の上方に梁部材5を設置する作業や、梁部材5を側壁部4に固定する作業を行う際に、該作業を行う作業者の手や工具等の作業用のスペースを確保することができる。従って、梁部材5を容器2に取付けたり、取外したりする際の作業性の向上を図ることができる。
【0040】
さらに、低領域部33に設けられ、縦壁部24と、外周壁部28との間を連結する連結部36が設けられている。このため、蓋部材7の低領域部33に対応する部位の強度を高めることができ、蓋部材7の変形等を抑止することができる。従って、蓋部材7の変形に起因して受容部22から梁部材5が抜け出すといった事態を防止することができ、蓋部材7と、梁部材5との位置ずれをより確実に防止することができる。
【0041】
加えて、蓋部材7の外周壁部28が蓋部材7の内外方向において2層構造とされていることにより、蓋部材7の外周部の強度を高めることができ、蓋部材7の変形等をより確実に防止することができる。また、低領域部33は、蓋部材7のうち梁部材5の下面側と対向する部位において、外周壁部28を含む範囲にまで設けられている。従って、梁部材5の着脱作業性の向上を図るといった上記作用効果がより一層奏される。
【0042】
さらに、低領域部33における外周壁部28には、低領域部33の上面側と連続する窪み部34が設けられている。このため、蓋部材7のうち梁部材5の下面側と対向する部位において、蓋部材7の外周面と、容器2の側壁部4との間に、梁部材5を側壁部4に固定する固定部材17を設置するためのスペースを確実に確保することができる。特に、窪み部34が低領域部33の上面側と連続していることから、梁部材5を側壁部4に固定する作業を行うスペースについてもより確保し易くなる。従って、梁部材5を容器2に取付けたり、取外したりする際の作業性の向上をより一層図ることができる。加えて、蓋部材7の外周面が側壁部4の内面に近接配置される構成においては、蓋部材7の着脱作業に際して、窪み部34に対し作業者の手やロボットアーム等を挿入して蓋部材7を保持することが可能となり、蓋部材7の着脱作業性の向上等を図ることができる。
【0043】
また、蓋部材7の下面側にワーク受容部21が設けられることで、ワークの水平方向への変位、及び、傾倒変位が、蓋部材7を介して、梁部材5により規制されることとなる。従って、ワークの収容状態の安定化等を図ることができ、ワークを安定して運搬等することができる。さらに、受容部22と、ワーク受容部21との間には段差部(本例では縦壁部24等)が設けられている。このため、例えば、受容部22の底面を形成する壁部(受容底壁部25)と、ワーク受容部21の天井面を形成する壁部とが同一高さで、一部が連続して設けられるような構成に比べ、蓋部材7の強度を高めることができる。
【0044】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0045】
(a)
図11に示すように、受容部22が階段状をなす階段部41を備えるように構成してもよい。また、
図12に示すように、受容部22が上方に向けて該受容部22を広げる方向に傾斜して延びる傾斜部42を備えるよう構成してもよい。
【0046】
これらの構成を採用する場合、容器2に収容されるワークの高さにばらつきが生じた場合であっても、梁部材5の容器2への取付位置を微調整し、梁部材5と、受容部22(階段部41、又は、傾斜部42)とが当接、又は、近接する相対位置とすることができる。つまり、容器2に収容されるワークの高さが設計の高さよりも低くなった場合、梁部材5と、蓋部材7とが上下に離間し、梁部材5の受容部22への挿入長が短くなって、蓋部材7(ワーク)の上下の振動等を抑え難くなり、蓋部材7が外れ易くなる、或いは、ワークが位置ずれする等ことが懸念されるが、梁部材5の取付位置を、階段部41、又は、傾斜部42のより高い位置と当接し得るように調整することで、かかる懸念を払拭することができる。また、容器2に収容されるワークの高さが設計の高さよりも高くなった場合、梁部材5と、ワークとの間に蓋部材7を設置するスペースを確保できなくなってしまうことが懸念されるが、梁部材5の取付位置を、階段部41、又は、傾斜部42のより低い位置と当接し得るように調整することで、かかる懸念を払拭することができる。特に、ワークが(トレー6を介在させて)複数段積まれて容器2に収容される場合や、容器2が複数種類のワークの運搬に使用される場合等には、ワークの高さにばらつきが生じ易く、上記の作用効果がより顕著なものとなる。従って、利便性の向上、及び、汎用性の向上等を図ることができる。
【0047】
尚、階段部41、及び、傾斜部42のうち、梁部材5の下面に対向する(当接し得る)部位により受容底壁部が構成され、側面に対向する(当接し得る)部位により規制部が構成される。また、階段部41、又は、傾斜部42を備える構成を採用する場合には、容器2に2本の互いに平行して延在する梁部材5が設けられ、梁部材5の延在方向に対して直交する方向において、一方の梁部材5の一側面側と、当該一方の梁部材5に対応する受容部22(階段部41、又は、傾斜部42)とが当接、又は、近接して配置され、他方の梁部材5の他側面側と、当該他方の梁部材5に対応する受容部22(階段部41、又は、傾斜部42)とが当接、又は、近接して配置されることとしてもよい。この場合、蓋部材7の水平方向の位置ずれをより確実に防止することができる。
【0048】
さらに、梁部材5の側壁部4への取付位置を調整可能とする構成については特に限定されるものではなく、例えば、側壁部4に設けられ、固定部材17が挿通される取付孔を側壁部4の横幅方向に長い長孔としてもよいし、側壁部4に対し等間隔で複数の取付孔が設けられてもよいし、側壁部4に取付孔が設けられていなくても、固定部16、及び、固定部材17により、側壁部17を挟持する格好で取付可能に構成されてもよい。
【0049】
(b)上記実施形態では、蓋部材7が2つ1組で使用されているが、1つの蓋部材で容器2に収容されたワークの全体の上方を覆うように構成してもよいし、3つ以上の蓋部材で容器2に収容されたワークの全体の上方を覆うように構成してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、蓋部材7を平面視した場合に、受容部22と、ワーク受容部21とが異なる位置に(重複することなく)設けられているが、受容部22の少なくとも一部がワーク受容部21と重複した位置に設けられること(受容部22の反対面側にワーク受容部21が設けられている)としてもよい。尚、ワーク受容部21を省略することも可能である。
【0051】
(c)上記実施形態では、低領域部33が蓋部材7の外周縁にまで形成されているが、例えば、受容部22と、外周壁部28との間にのみ低領域部33が設けられるような構成としてもよい。また、低領域部33や窪み部34を省略することも可能である。但し、低領域部33を設けることで、梁部材5の着脱作業性が飛躍的に向上し、窪み部34を設けることで、梁部材5を側壁部4に取付けるための構成に関する利便性の向上、及び、蓋部材7の着脱作業性の向上を図ることができることから、低領域部33や窪み部34を設けることが望ましい。
【0052】
(d)上記実施形態では、蓋部材7はポリエチレンにより構成されているが、ポリプロピレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、例えば、蓋部材と、トレーとが、同形状で同一の大きさをなすような構成としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…運搬ユニット、2…容器、3…底壁構成部、4…側壁部、5…梁部材、6…トレー、7…蓋部材、15…梁本体、16…固定部、17…固定部材、21…ワーク受容部、22…受容部、24…縦壁部、25…受容底壁部、26…規制部、28…外周壁部、29…内壁部、30…横壁部、31…外壁部、33…低領域部、34…窪み部、36…連結部、41…階段部、42…傾斜部。