(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】流体パイプ内部の羽根なしファン
(51)【国際特許分類】
F04F 5/42 20060101AFI20221220BHJP
F04F 5/16 20060101ALI20221220BHJP
F04F 5/44 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F04F5/42
F04F5/16
F04F5/44 E
(21)【出願番号】P 2019559045
(86)(22)【出願日】2018-05-03
(86)【国際出願番号】 TH2018000021
(87)【国際公開番号】W WO2018203837
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2019-11-11
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-26
(32)【優先日】2017-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TH
(73)【特許権者】
【識別番号】518415141
【氏名又は名称】ムアンチャート マンカエー
【氏名又は名称原語表記】Muanchart,Mankaew
【住所又は居所原語表記】55/1 Saboran Road, Muang Surin, Surin 32000 THAILAND
(74)【代理人】
【識別番号】100180482
【氏名又は名称】田中 将隆
(72)【発明者】
【氏名】ムアンチャート マンカエー
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】冨永 達朗
【審判官】小川 恭司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-184026(JP,A)
【文献】特開平6-241858(JP,A)
【文献】特開2004-93169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 5/42
F04F 5/16
F04F 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単層の中空管(1)と、上流側羽根なしファン部分(2)と、下流側羽根なしファン部分(3)と、流体仕分装置(16)と
を上流から下流にむけてこの順番で接続して構成されるとともに、
前記上流側羽根なしファン部分(2)の設置箇所において、同上流側羽根なしファン部分(2)の内側に流体取込口(8)と流体放出口(9)が形成されてなり、
前記流体取込口(8)から流体を取込んで前記流体放出口(9)へと放出する羽根なしファンであって、
流体を移送するための前記単層の中空管(1)と、
分岐パイプ(4)と接続され
るとともに前記中空管(1)の下流側に連接される
上流側羽根なしファン部分(2)であって、流体が通り抜けるときに当該流体の密度を変化させることで同密度変化に応じて圧力の高いところから低いところに流入してきた流体を加速放出させる前記上流側羽根なしファン部分(2)と、
前記分岐パイプ(4)と接続されて
おらず且つ前記上流側羽根なしファン部分(2)の下流側に連接される
下流側羽根なしファン部分であって、流体が通り抜けるときに当該流体の密度を変化させることで同密度変化に応じて圧力の高いところから低いところに流入してきた流体を加速放出させる前記下流側羽根なしファン部分(3)と、
ハニカム構造に形成された流体仕分装置であって、前記下流側羽根なしファン部分(3)の下流側に連接される前記流体仕分装置(16)と、
前記分岐パイプ(4)から上流側羽根なしファン部分(2)へむけて流入してきた流体を取込む流体取込口(8)と、
前記流体取込口(8)から取込んだ流体を前記単層の中空管(1)へと放出する流体放出口(9)と、
を備え、
前記分岐パイプ(4)と接続された上流側羽根なしファン部分(2)の設置箇所にて、同分岐パイプ(4)から前記流体取込口(8)へと流入した流体が、同流体取込口(8)を抜け、流体放出口(9)を通って、単層の中空管(1)へと流れることで、
前記単層の中空管(1)内部の流体が押されて前方へと移動し、同中空管(1)における流体が押された当該領域の圧力が減少し、圧力の高いところにある流体が圧力の低い当該領域に移動(displacement)するため、単層の中空管(1)における流体速度を一定に保つよう流体が運動する
ことを特徴とする、羽根なしファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理および工学、装置に関し、とりわけ流体パイプ内部の羽根なしファン(fan)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配管システムの構成、様々な流体パイプ(例えば、エアパイプ、除去パイプなど)内部における流体速度、流速の保持や加速は、工学的計算を駆使し、特定の用途にシステムが適合するよう、パイプラインのサイズ、配管設置システム、圧力、速度保持装置、流体源から移送先まで流体を到達させるための十分な圧力を選定することで設計される。
このように設計されたシステムには、短所もある。特定の用途には適合するものの、汎用的に様々なシステムに使用することができないことである。
これに対する解決手法は、液体源の数を増やして様々な位置に設置することでパイプの長さを短くし、圧力を容易に制御できるようにすることである。しかし、この方法は、産業に適用するには、高価である。
民間に普及しているその他の解決手法は、液体圧上昇装置を使用することであるが、しかし、これには欠点もある。この手法によれば、流体源における圧力は強いが、移送先では圧力が降下する。この問題は、速度を上昇させたり一定に保つタービンファンのような装置を、パイプ内に追加することで解決される。
流体の流れを促進したり、パイプ内の流体速度を増すために、パイプ内でファン(fan)を使うことの不利益は、多数の装置を使う必要があること、大きな騒音が発生すること、多量のエネルギを消費することである。
【0003】
国際公開第2010/109169号は、タービンと羽根なしファンと発電機とを備えた装置を開示する。
タービンは、流体(たとえば、水・空気など)を送るために、パイプ状の導管(channel)の内部に設けられている。そして、流体をらせん状に外部に放出する。このような技術は、本願発明とは異なる。
国際公開第2010/109169号の技術では、流体が、一定のらせん形状で外部に放出される。同技術を管路(pipeline)で使用した場合、流体を流すのに、直線上に流れる流体よりも高いエネルギを必要とする。
本願発明とは異なり、国際公開第2010/109169号の技術では、流体は前方に流れる。
【0004】
欧州特許第2623328号明細書は、乾燥ブロワを開示する。この乾燥ブロワは、速度上昇用の内部ファンを備えた長い管からなり、空気流発生装置・空気の通路・内部加熱装置が並べて設置される。
欧州特許第2623328号は、本願発明とは異なっている。
この特許は、内部加熱装置と単層のパイプを備えている。
内部ファンの設置は、建物における配管システムには適用できない。なぜなら、設置されたファンのうちのいずれかに不良があったときに、保守が困難なためである。
また、パイプが建物の内部にあって、壁は閉じられているため、交換が難しい。
【0005】
国際公開第2006/078434号は、空洞(cavity)内部においてファンとモータを備えた装置を使用し、空洞(cavity)内で、流体や水を移動させる旨を開示する。
国際公開第2006/078434号は、本願の発明とは異なるものである。なぜなら、国際公開第2006/078434号は、本願発明よりも多くの装置を使用しており、また羽根車を有するファンはエネルギーコストが高いうえに保守が難しいためである。
【0006】
本願発明では、装置台数が少なくし、また羽根なしファンにより無音もしくは静音で、さらには必要とするエネルギも少なくて済み、保守も容易な技術を、明細書において開示する。
本願発明は、建設産業、建物内部の配管システム、石油・ガス産業のパイプラインでの使用に適するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2010/109169号
【文献】欧州特許第2623328号明細書
【文献】国際公開第2006/078434号
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、流体パイプ内部に羽根なしファンが設けられており、以下を備えている。
【0009】
本願発明は、パイプの内部に羽根なしファンを備えた特殊なパイプを作製し、この羽根なしファンが、空気や液体のようなパイプ内を流れる流体の速度を増加させることにより、管路全体にわたって、流体速度を一定速度に保つことを目的とする。
【0010】
本願発明は、二重の壁(double-walled)を有するパイプに、一定間隔で羽根なしファンを配備することを特徴としている。
内側の層は、一般的な流体産業で用いられるパイプである。
外側の層は、流体パイプであって内側の層に取付けられており、内側の層における流れと同一方向に流体を流し、内側の層に流体を追加することで、流体速度を一定速度に保つ。
さらに、本願発明には、「流体仕分装置」(fluid sorting apparatus)が付加されている。「流体仕分装置」は、内側の管における流体の流れを、所望の形状となるよう制御する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明と効果の理解を容易にするため、以下、各構成要素を表す参照番号が付された図面をともなう実施例を記載する。
【
図1】
図1は、本願の実施形態に従った、形態1(form 1)の羽根なしファンと流体パイプを示す図である。
【
図2】
図2は、本願の実施形態に従った、形態2(form 2)の羽根なしファン・流体パイプ・流体仕分装置を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明に従った、中空管(1)・上流側の羽根なしファン(2)・下流側の羽根なしファン(3)を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明に従った、中空管(1)および上流側の羽根なしファン(2)の内部図または断面図である。
【
図5】
図5は、本発明に従った、中空管(1)と下流側の羽根なしファン(3)の取付部品を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明に従った、下流側の羽根なしファン(3)の内部または断面を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明に従った、パイプを備える流体仕分装置(16)を示す図である。
【
図8】
図8は、下流側の羽根なしファン(3)と、本発明の実施形態に従って取付けられた流体仕分装置(16)の内部または断面を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に従った形態3(form 3)の流体パイプ上の羽根なしファンを示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態の流体移動プロセスを示す構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[発明の詳細な説明]
本願発明の観点によれば、流体パイプ内の羽根なしファンは、以下を備える。
2層の中空管は、外側の層と、内側の層に分かれている。
外側の層(8)から流体を取込み、内側の層(9)に流体を放出する。
流体パイプの外周ちかくに、少なくとも1箇所に水平に中空管を設置する。
加えて、一定の間隔を空けることで、流体排出口に、内側の層に対して、細い中空管もしくはパイプの束のような溶接パイプを作成することもできる。
外側の層から流体を取込んで内側の層に流体を放出するこの位置では、流体パイプの外周ちかくに羽根なしファンと呼ばれる中空管を設置する。
【0013】
2層の中空管の発明によれば、流体パイプ内のファンを、3つの形態(form)で設計可能である。
形態1(Form 1):羽根なしファンを、パイプに接続されるものの、分離可能な構成要素とする。
形態2(Form 2):羽根なしファンを、管に固着する。
形態3(Form 3):2つの中空管を、一体的に1個の管として融成する。
【0014】
形態1:
図1に示すように、羽根なしファンのような装置を作り、流体パイプに取付ける。そして、
図2に示すように、流体仕分装置(fluid sorting devices)を設置する。
図3に示すように、流体パイプに取付けられた羽根なしファンは、中空管(1)と接続される。この中空管(1)は、分岐パイプ(split pipe)(4)を備える羽根なしファン(2)の上部に取付けられた、外側の層と内側の層の2つの中空管が特徴である。分岐パイプ(split pipe)(4)は、それぞれの産業分野に応じて、パイプに沿って流体を移送するように作用する。
上流側の羽根なしファンは、下流側の羽根なしファン(3)に接続される。流体の流れが分岐した後に、外側の層からの流体が、内側の層に放出されるよう構成される。
中空管は、流体パイプの外周ちかくに水平に、少なくとも1箇所に設ける。
【0015】
図4に示す、中空管(1)と上流側の羽根なしファン(2)の取付について検討する。
同
図4における上側の図は、分岐パイプ(4)を上に向け、中空管(1)を左側に向けたときの平面図である。中央には上流側の羽根なしファン(2)があり、右側に下流側の羽根なしファン(3)がある。
(6)上の軸Aにおける断面図が、(7)である。
中空管は、端部分が開いており且つ突出した分岐パイプ(4)を備えている。
円Bの部分について検討すると、以下のような特徴がある。
外側の層の流体取込口(8)および内側の層の流体放出口(9)は羽根なしファンとなっており、中空管(1)の一部分と下流側の羽根なしファン(3)の一部分を構成している。これらは、上流側の羽根なしファン(2)の設置箇所において、パイプ内の流体速度と、分岐パイプ(4)の流体速度を一定に保つ。
【0016】
図5に示すような、中空管(1)と上流側の羽根なしファン(2)の取付部分について検討する。
図5の上側の図は、分岐パイプ(4)を上に向け、下流側の羽根なしファン(3)を右側にしたときの平面図である。(11)上の軸Cにおける断面図が(12)であり、壁の構成要素を示している。
円Dについて考えると、下流側の羽根なしファン(3)の壁部分は、かぎ型(beak)に突き出している。
曲線形状を有する上記かぎ型の突起部分(10)が、羽根なしファンの中へとはめ込まれる。
溶接されたパイプ(細い中空管またはパイプの束)を、流体放出口において、内側の層に一定間隔に敷詰めて配置することが可能である。
片側の端部分は、突起部分(10)に取付けられる。
【0017】
図6に示すような、下流側の羽根なしファン(3)について検討する。
左上方の図は、下流側の羽根なしファン(3)を表しており、右の図は、下流側の羽根なしファン(3)を上から見た図である。
下流側の羽根なしファン(3)を対称な軸E(13)に沿って切断すると、下流側の羽根なしファン(3)の内部はE-E(14)のようになっている。
円Fについて考えると、中空管の終端部(15)と、この中空管の終端部(15)の表面は、一定間隔で、内側の層へ流体を放出する位置に、溶接パイプ(細い中空管またはパイプの束)が設置される。
細い中空管またはパイプの束の反対側の端部は円環状に一列に配置され、かぎ型の突起部分(10)に取付けされる。
細い中空管またはパイプの束を円環状に2列以上置く場合には、一定間隔で配置する。
各列同士の適切な間隔は、突起部分(10)および/または中空管の終端部(15)の外周と等しい間隔とする。
細い中空管またはパイプの束(block pipe)は、上流側の羽根なしファンもしくは下流側の羽根なしファンの1つの内側の層に接続することにより、設置する。
それから、のちに反対側に細い中空管またはパイプの束を接続するか、細い中空管またはパイプの束を取付ける。
【0018】
図7は、様々な角度から見た、流体仕分装置(fluid sorting apparatus)を示すとともに、流体仕分装置(16)の設置を表したものである。
流体仕分装置(16)は、下流側の羽根なしファン(3)のさらに下流側に、適切に設置する。流体仕分装置は、流体パイプにしっかりと固定する。
中空管の内部には、流体がしっかりと流れるよう、様々なサイズの管がハニカム(蜂の巣)状に設置される。
ハニカム状の管の形状は、流体仕分装置(16)の長さと、中空管内部に設置することを考慮して、決定する。
流体仕分装置の長さは、圧力低下とパイプ内の摩擦増加に応じて変更する。流体仕分装置の長さがあまりに短すぎると、流体パイプを設けることができない。
流体仕分装置の長さは、流体パイプ内部の速度・圧力と、中空管のサイズから相対的に算出する。
中空管(17)内部の配置を、
図7の一番下にある平面図に示す。三角形や四角形などの多角形状とする場合、留意が必要である。多角形状の管形状では、流体が高速移動した場合に、熱が発生するからである。
【0019】
対称軸Jに沿って、下流側の羽根なしファンに流体仕分装置が取付けられた場合、左下方に示すように、チャネル(channel)を通過する流体の流れのイメージを示す。
上流側の羽根なしファンを対称軸Gに固定した図が、右上図である。右上図の下方に、円H中の羽根なしファンを拡大した図を示す。
【0020】
流体パイプ内部の羽根なしファンのプロセスは、2つのケース(case)に分けられ、以下を含んでいる。
ケース1:中空管(1)と、上流側の羽根なしファン(2)と、下流側の羽根なしファン(3)が相互に接続した場合、以下のように動作する。
中空管(1)を流れる流体は、外側の層と、内側の層の2層に分かれて流れる。
内側の層を流れる流体は、配管システムに使われる。
外側の層を流れる流体は、流体の速度を一定(流体源を出発したときの流体速度)に保つために、中空管に接続された羽根なしファンの中へ流入する。
2つの各層をそれぞれ流れる流体は、上流側の羽根なしファンと下流側の羽根なしファンの接続箇所において、中空管(1)から、上流側の羽根なしファンが設置された方向に流れる。
中空管(1)の外側の層を流れてきた流体は、外側の層の流体取込口(8)を通り、それから内側の層の流体放出口(9)へ流れ込む。
外側の層を流れてきた流体が流体取込口(8)から内側の層の流体放出口(9)へ流れ込むことにより、流体を下流側の羽根なしファン方向に流そうとする作用が生じる。なお、これに伴い、その領域の圧力は減少する。
圧力が減少する結果、内側の層の中空管(1)からの流体が、代わりに流れる。これにより、領域全体で、流れが継続する。
上流側の羽根なしファンには分岐パイプ(4)があり、中空管(1)の内側の層を流れる流体は、分岐パイプ(4)に向かう流れと、中空管に取付けられた2つの羽根なしファンを通る流れの2方向に分かれる。
これにより、中空管(1)の中を流れる流体の速度は、たとえ分岐パイプが設けられていようと、管路に沿ったまま一定(流体源を出発したときの流体速度)に保たれる。
【0021】
ケース2:中空管(1)と、上流側の羽根なしファン(2)と、下流側の羽根なしファン(3)と、流体仕分装置(16)が相互に組合わされる。
ケース2の動作は、ケース1と類似している。
下流側の羽根なしファンを通過した流体を、流体仕分装置(16)の中へ流入させる場合、中空管の隣または下流側の羽根なしファンの中に設置する。流体は、羽根なしファン(17)内部の中空管の配置形状に応じて仕分けされる。
これにより、流体は、一線になって流出する。
流体仕分装置(16)は、外側の層の流体取込口(8)と内側の層の流体放出口(9)を除く、中空管(1)の全領域に設けることが可能である。
すなわち、流体仕分装置(16)を設けるべき適切な箇所は、内側の層の流体放出口(9)の前または後ろ、もしくは内側の層の流体放出口(9)の前と後ろの両方である。最良の設置箇所は、分岐パイプ(4)の近傍である。
【0022】
形態1(Form 1)は、配管システムにおける分岐パイプのない箇所に使用するため、上流側の羽根なしファンに設けられる分岐パイプ(4)の本数を減らすことができる。
上流側の羽根なしファン(2)と下流側の羽根なしファン(3)は、2つ以上の構成要素に分解することができ、また相互に接続することもできる。
【0023】
形態2(Form 2)では、パイプに対し、羽根なしファンを取付もしくは溶接により固着する。
図9に示すように、羽根なしファン(17)は、形態1で構築した羽根なしファンと同様の特徴を有している。
羽根なしファン(17)は、図中に示すように当該羽根なしファンの両側において、中空管(1)もしくは当該中空管(1)につながる流路(path)のどちらか一方またはそれら両方に固着する。中空管(18)には、台座があってもなくてもよい。
形態2は、分岐パイプ(4)を使わない施工に適しており、パイプ内における流体速度を一定に保つことができる。流体源がある開始位置では、流体に高圧が加わる。開始位置においては流体の圧力は高く、パイプの終点では流体の圧力は減少する。このような手法でも、エネルギの消費を抑制できる。
【0024】
形態3(Form 3)では、1つの管のなかに2層の中空管を設ける。形態3は、
図9と同様の外観を呈する。
形態3の差異点は、羽根なしファンと中空管を一体的に、鋳造により作製する点である。
形態3の手法によれば、長いパイプを作製できる。
【0025】
上記3つの形態に加え、本願発明では、さらに単層の中空管を採用することもできる。
【0026】
形態4(Form 4)では、上述した手法により、単層の中空管に対し、羽根なしファンが取付けられる。
形態4は、外側の層の流体取込口(8)と内側の層の流体放出口(9)を備えており、内側の層の流体放出口(9)からの流体は、2層の中空管における内側の層を流れる代わりに、単層の中空管を通って流れる。
形態4では、外側の層の流体取込口(8)に対し、2層の中空管の外側の層からは流体は流れ込まない。外側の層の流体取込口(8)には、単層の中空管からではなく、分岐パイプから流体が流入する。
羽根なしファンから流れてきた流体は、流体取込口を抜け、流体放出口を通って、単層の中空管へと流れる。そのため、単層の中空管内部の流体は、押されて前方へと移動する。これにより、その領域の圧力が減少する。
密度(ひいては圧力)が低くなった場合、圧力の高いところにある流体が、圧力の低い領域に移動(displacement)する。そのため、単層の中空管においても、流体速度を一定に保つよう流体が運動する。
【0027】
図10は、システム全体における流体移動プロセスの実施形態を表した、構成ブロック図である。
流体源(100)から流れた流体は、パイプ(101)を通る。ここで、図中の線は、パイプを表している。
流体がパイプ(101)に流れ込んだ際、流体は、流体源(100)を出発したときの流体速度を保っている。
流体が羽根なしファン(201)を通り抜けるとき、当該羽根なしファンは、流体の密度を変化させるように作用する。
羽根なしファン(201)を抜けた流体は、管路に沿って、羽根なしファン(202)の設置箇所まで移動し、分岐パイプを通る。
分岐パイプは、流体の動きを、羽根なしファン(203)方向と、終点(304)に向かう方向と、の2方向に分岐させる。
羽根なしファン(202)の近傍では、流体の密度に変化が生じる。このように密度変化が生じた場合、同密度変化に応じて圧力の高いところから低いところに流入した流体が、羽根なしファン(202)により加速されて放出され、パイプの束を流れる流体が速度を増し、2つの分岐パイプにおける流速が一定に保たれる。
したがって、終点方向にむかって分岐したパイプは、流体源(100)を出発したときの流体速度を保っている。
羽根なしファン(203)方向にむかうパイプを流れる流体は、管路に沿って、より遠方へと移動していく。ここでも、パイプ内の流体は、流体源(100)を出発したときの流体速度を保っており、羽根なしファン(204)の設置箇所に向かって流れる。
管路を通り分岐パイプ方向に流れる流体には、2つの流路がある。終点(301)と、図の下方とに分岐した構成を示す。
終点(301)方向に分岐した流体は、流体源(100)出発時の流体速度を保っている。
羽根なしファン(201)・(202)・(203)・(204)は、管路を流れる流体の速度を流体源(100)出発時の流体速度に維持する。
もう一方の流路では、分岐パイプを流れる流体が羽根なしファン(205)方向にむかい、さらに流体は、羽根なしファン(205)を通り抜けて、2路の分岐点をもつ分岐パイプへ流れる。
同
図10の例では、さらに、終点(303)と、羽根なしファン(206)が存在する。分岐パイプから流れた流体は、管路を介し、終点(303)方向にむけ流体源(100)を出発したときの流体速度を保ったまま移動する。たとえ、パイプが再度分岐しても、流体速度は減速することなく一定に維持される。
羽根なしファン(205)の設置箇所では、流体が追加的に供給されて流体の密度が一定となるように分配されるため、羽根なしファンの設置箇所を流れる流体が速度を増すからである。
分岐パイプから羽根なしファン(206)方向にむかった流体は、流体源(100)を出発したときの流体速度を保ったまま移動する。
羽根なしファン(205)を流れる流体は、羽根なしファン(206)方向に流れる。さらに、流体が、羽根なしファン(206)を通過し終点(302)へと向かうときも、流体源(100)を出発したときの流体速度を保ったままである。
【0028】
形態4(form 4)の場合、パイプは、2層ではなく単層の中空管である。形態4において、流体源(100)は以下のように構成される。
【0029】
ケース1(Case 1):パイプ(101)は、単層の中空管である。
流体源(100)が少なくとも2つの流体源に分割されていることにより、流体がパイプ(101)方向に流れるとともに、他方の流体源からは流体が羽根なしファン方向に流れる。
【0030】
ケース2(Case 2):パイプ(101)は、単層の中空管である。
流体源(101)は、液体分岐パイプ(101)を備えた単一の流体源であり、同じ流体源から流れた流体を羽根なしファン方向にむけて流す。
【0031】
図中に表した羽根なしファンに対し、動作パターン(上述した形態)を適切に選択するための表を以下に示す。
【0032】
【0033】
上述した表の最終行は、パイプシステム全体について溶接を施したり、システムの一部について溶接を施すことにより、形態3(form 3)を構成したものである。
溶接する方法では、2台以上の羽根なしファンが設置され、個々の羽根なしファンは、配管システムに一体的に組込まれる。
このように溶接する手法は、産業レベルでは効率的とはいえない。なぜなら、この手法では、溶接のパターンを頻繁に変更する必要があるからである。
【0034】
形態2(form 2)は、いくつかの羽根なしファン設置箇所(上記表における201、203、206)にしか適さないという短所がある。
なぜなら、形態2では、分岐パイプを羽根なしファンに設ける必要があり、分岐パイプを羽根なしファン内部の流体放出口から遠く離れた位置に設置しなければならないからである。
形態2は、分岐のある配管システムでの使用に適していないが、一般的な配管システムには分岐パイプが含まれていることが通例である。
【0035】
形態4(form 4)は、すべての羽根なしファンの符号(上記表における201~206)に適用できる。しかし、流体を移送する分岐パイプの作製は難易度が高く、また資源が無駄になるため、面積が限られた狭い領域のシステムには適していない。
形態4では、羽根なしファンを置くことにより、羽根なしファン方向に流体を流すための流体源が必要となるため、好適ではない。
【0036】
上記のうち最適な構成は、形態1である。形態1では、上流側の羽根なしファン(2)および下流側の羽根なしファン(3)として機能するよう、2つ以上の羽根なしファンを接続する。
このように構成されたシステムは、本願発明の原理の下で動作するものであり、本願発明の範疇に属するものである。
【0037】
本願発明においては、配管システム・パイプサイズ・構成材料・流体速度は、様々な動作条件に応じて選定される。
本願発明は、空気・水・油・溶液のようにあらゆる種類の流体に適用可能であり、パイプサイズ・構成材料・流体の種類は任意のものを選択できる。