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特許7197177バーティカルロータおよび水平ロータを有する自由翼マルチロータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】バーティカルロータおよび水平ロータを有する自由翼マルチロータ
(51)【国際特許分類】
   B64C 3/38 20060101AFI20221220BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20221220BHJP
   B64C 27/26 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B64C3/38
B64C27/08
B64C27/26
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019571125
(86)(22)【出願日】2018-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 IL2018050239
(87)【国際公開番号】W WO2018163156
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-01-29
(31)【優先権主張番号】62/469,845
(32)【優先日】2017-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】256941
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】519327847
【氏名又は名称】コルゴ システムズ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】レジェブ,アミット
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/077391(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2011/0036954(US,A1)
【文献】特表2017-532256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/38
B64C 27/08
B64C 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシ(200)、3つ以上のバーティカルロータ(3000)、1つ以上の自由翼(400)、および1つ以上の固定された水平ロータ(350)を含むマルチロータエアクラフト(100)であって、前記1つ以上の自由翼(400)は軸連結(18)によってシャーシ(200)に取り付けられ、かつ前記1つ以上の自由翼はそれぞれの水平軸の周りを回転し、その結果、前記1つ以上の自由翼の角度は、前記1つ以上の自由翼上の空気の流れに従いシャーシ(200)に対して変化しそれによって固定された水平ロータ(350)、前記3つ以上のバーティカルロータ、及び前記1つ以上の自由翼は、マルチロータエアクラフト(100)がシャーシ(200)の固定した水平ピッチで前進飛行している間に下降および上昇することを可能にする、マルチロータエアクラフト(100)。
【請求項2】
前記マルチロータエアクラフトが、水平方向に飛行している間、又は前記複数のロータが作動を停止したとき、前記3つ以上のバーティカルロータを援助するためのピッチ安定板を含む、請求項1に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項3】
前記1つ以上の自由翼は、それぞれの角度を制御する操縦面を備えており、当該マルチロータエアクラフトを上昇又は下降する、請求項1又は2に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項4】
前記マルチロータエアクラフトの上昇を停止するために、前記操縦面が前記1つ以上の自由翼での上昇を減じる、請求項3に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項5】
前記マルチロータエアクラフトの後進飛行が前記3つ以上のバーティカルロータによって行われ、前記操縦面が前記1つ以上の自由翼の下部へと方向を変更し、正の迎え角が生成し、上向きへの上昇を変更してなる、請求項3に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項6】
前記マルチロータエアクラフトが地上モードにある場合、前記1つ以上の自由翼の操縦面が、当該マルチロータエアクラフトの上昇と意図しない離陸を妨げる位置にある、請求項3に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項7】
前記マルチロータエアクラフトが離陸モードにある場合、前記3つ以上のバーティカルロータは、前記マルチロータエアクラフトのピッチ、ヨー及びロールを制御し、安定化し、前記1つ以上の自由翼の操縦面は最大上昇を生成する位置にある、請求項3に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項8】
前記マルチロータエアクラフトが空中停止モードにある場合、前記3つ以上のバーティカルロータが、前記マルチロータエアクラフトのピッチ、ヨー及びロールを制御し、安定化し、前記1つ以上の自由翼は、前記マルチロータエアクラフトに向かう風にしたがって、前記1つ以上の自由翼それぞれの軸の周りを自由に回転し、それによって前記3つ以上のバーティカルロータの上昇と省エネルギーをもたらす、請求項3に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項9】
前記マルチロータエアクラフトが水平飛行モードにあるとき、前記3つ以上のバーティカルロータが最大速度にあり、固定された垂直ロータが前記マルチロータエアクラフトのために推力を与え、前記1つ以上の自由翼の1つ以上の操縦面が上昇とロール制御を与えるために制御され、それによって前記3つ以上のバーティカルロータからのエネルギーを節約する、請求項3に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項10】
前記マルチロータエアクラフトが降下モードにあるとき、前記3つ以上のバーティカルロータが、前記マルチロータエアクラフトを制御し、安定化し、前記1つ以上の自由翼の1つ以上の操縦面が最大の上昇を生成する位置にある、請求項3に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項11】
前記マルチロータエアクラフトが2つの水平ロータを含み、前記マルチロータエアクラフトが水平停止しているときに当該2つの水平ロータが差動的に制御される、請求項3に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項12】
前記1つ以上の自由翼が前記1つ以上の自由翼それぞれの側で2つの軸連結によってシャーシ(200)に取り付けられ、1つ以上のペイロードが前記1つ以上の自由翼の下に設けられ得る、請求項11に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項13】
前記1つ以上のペイロードも2つの軸連結によってシャーシに取り付けられ、自由翼として作動し得る、請求項12に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項14】
前記マルチロータエアクラフトが1対の自由翼を含んでなる、請求項1又は2に記載のマルチロータエアクラフト(100)。
【請求項15】
請求項3に記載のマルチロータエアクラフトを制御する方法であって、当該マルチロータエアクラフトは、つぎのとおり、ロータのモーターと翼の操縦面を制御するのに適した制御ユニットを有し、
前記マルチロータエアクラフトの地上モードのために命令が前記1つ以上の自由翼の操縦面に対して前記中立位置に操縦面を位置づけるように与えられ、前記マルチロータエアクラフトの上昇と、意図しないテイクオフを妨げること、
前記3つ以上のバーティカルロータの複数のモーターのために、前記マルチロータエアクラフトの重量より大きな推力を与えることであって、命令が前記1つ以上の自由翼の操縦面のモーターに与えられ、最大の上昇状態で操縦面をロックすること、
前記マルチロータエアクラフトの空中停止のために命令が前記3つ以上のバーティカルロータのモーターに前記マルチロータエアクラフトの重量に等しい推力を与えること、
前記マルチロータエアクラフトの水平飛行のために、命令が前記3つ以上のバーティカルロータのモーターに前記マルチロータエアクラフトの重量に等しい推力を与えるように出され、同時に固定された水平ロータのモーターが前記マルチロータエアクラフトの要求された速度で推力が出されるように命令されること、
前記マルチロータエアクラフトの下降のために、命令が前記3つ以上のバーティカルロータのモーターに前記マルチロータエアクラフトの重量より小さな視力を与えるように指示し、前記1つ以上の自由翼の操縦面に最小の上昇状態で操縦面をロックすること
を含んでなる
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、3つ以上のバーティカルロータ、固定された水平ロータ、およびその前後軸のまわりを自由に回転することのできる自由翼を含み、それによって水平飛行中にエアクラフトに揚力を提供するマルチロータに関する。
【背景技術】
【0002】
本特許出願の発明の主題の発明者と出願人は、WO2016/035068として公開され、かつイスラエル特許出願第234443号の優先権を主張するPCT/IL2015/050874の発明者と出願人でもあり、該出願は、シャーシ、3つ以上のバーティカルロータ、およびその前後軸のまわりを自由に回転できる自由翼を含み、それによって水平飛行中にエアクラフトに揚力を提供するマルチロータを開示する。本発明は、固定された水平ロータおよび特有の操縦装置をさらに含む、そのようなマルチロータに言及する。上記のPCT/IL2015/050874の内容は、その全体が本明細書に完全に明記されているかのように、参照によりすべてが組み込まれる。本発明は、垂直離着陸の性能を有する、自由翼を有するエアクラフトの実体と制御を扱う。これは、上下軸のまわりを自由に動き、かつ垂直および水平エンジンによって駆動される翼の使用によって、定ピッチ角で水平に飛行する。一定の翼の使用によって、飛行に必要なエネルギーの少なくとも3分の2が節約される。
【0003】
一定の翼を有するエアクラフトは通常、共に堅く結合されるシャーシ、翼、およびエンジンから構築される。これは、翼のまわりの気流が揚力を生成するように、気流の方向にエアクラフトを適合させる。上昇または下降のために、車両はそのピッチ角を変更しなければならない。ピッチ角は、いくつかの理由で厄介である。第1に、角度が鋭すぎる、または変化すると、人間にとってエアクラフト内を歩くのが厄介になる。第2に、カメラまたは荷物が置かれている場合、カメラを一定の水平角に維持するためにそれらを安定させるいくつかの自由度を有する、エンジンおよびメカニズム等のいくつかの安定化デバイスが必要になる。これらの安定化デバイスは複雑で、高価であり、かつエアクラフトに余分な重量を加える。本発明は、方向転換の必要がない限り上昇および下降の両方の間、固定されたピッチ角でエアクラフトが水平に飛行することを可能にする、特有の構造と特有の飛行操縦アルゴリズムを組み合わせる。飛行撮影中にエアクラフトはまっすぐに飛行するが、物理的特徴に従ってその高度を変更しなければならないため、これは1つの重要な自由度を除外する。地面の垂直写真が必要な場合、カメラの安定化ジンバルまたは他の安定化手段を使用せずにこれを行うことができる。
【0004】
垂直に離陸および/または着陸し、かつ水平に飛行することのできるエアクラフトの開発、製造、および使用に従事する産業が、近年になって登場してきた。これらのエアクラフトは、有人または無人の乗り物のいずれかであり、翼、推力および揚力システム、ペイロードエリアなどに関して様々な構成を利用する場合もある。そのようなエアクラフトはしばしば、エアクラフトの垂直離着陸を可能にする推進システムを有することを特徴とする。一旦エアクラフトが離陸すると、推進システム(例えば、プロペラまたはジェットエンジンを含む)の配向が、水平飛行でエアクラフトを前進させるために調節される場合もある。したがって、そのようなエアクラフトは、推進システムを使用して垂直に離着陸し、空中停止し、かつ水平に飛行することができる。エアクラフトは、センサーと、エアクラフトの推進システムを制御してそれにコマンドを送信する操縦系統とを使用して制御され、かつ安定化される。
【0005】
そのような既知のエアクラフト構成の欠点の1つは、エアクラフトを空中に留まらせることに対する制約である。この制約は、エアクラフトが水平飛行している時に推進システムからのエネルギーのいくらかが水平な前進移動に利用されるという事実から生じる。したがって、特定のエアクラフト構成は、水平飛行におけるエネルギー効率を高めるために翼を含む。翼を装備した特定のエアクラフト構成では、推進システムの一部またはすべてが、固定接続によって翼に取り付けられており、その結果、それらの間の角度は固定され、推進システムの回転運動が翼の回転と同時に生じる。
【0006】
他の構成では、翼と推進システムはシャーシに対して固定される。推進システムと翼が固定接続される前述の構成の欠点は、離陸、着陸、および空中停止中の損失と非能率に関する。例えば、翼が大地に対して垂直であり(例えば、エンジンが上向きで、ヘリコプターのように機能する)、かつ風が強い条件の場合、抗力と不安定性が結果として生じる。同様に、エンジンと翼の両方が固定接続によってシャーシに連結されるエアクラフト構成では、後ろ風または横風のいずれかにより、離陸、着陸、または空中停止中に負の揚力および/または抗力が翼上で生成される。
【0007】
上記の欠点は、エネルギー損失(したがってエンジン運転の増加)、または指定された垂直着陸線または空中停止点からの逸脱さえももたらす。エアクラフトがビルの屋根に着陸することになっている場合、これは特に問題になる場合もあり、この場合、着陸の正確な瞬間の横風は、その着陸地点からのエアクラフトの逸脱をもたらす場合もある。
【0008】
エアクラフトを安定させるためにアクチュエーターおよび様々なメカニカル機構を使用すると、信頼性が減じられる場合もあり、そのコンポーネントが飛行にとって重要な場合にこれは特に危険である。さらに、そのようなメカニズムは重く、したがってエアクラフトの最大飛行時間または運送貨物運搬能力を減らす。
【0009】
垂直離着陸(VTOL)車両に関する先行技術の解決策は、障害なしに、例えば機械的/電気的な複雑性、効率の損失、信頼性の損失、サイズと重量の制約、および/または法外な費用なしに、上記の動作の1つ以上を行うアプローチの必要を解決していない。したがって、とりわけ上記の欠点の1つ以上に取り組むシステムと方法が求められる。したがって、上記に留意された欠点の1つ以上を克服する効果的な空力的エアクラフトを提供することが、依然として求められる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付の図面は、本発明の範囲、または本発明が適用される方法を制限するようには意図されない。それらは、単に本発明を視覚化することを目的とし、適用される多くの可能性の1つである。
図1A】水平姿勢のマルチロータエアクラフトと、エアクラフトに作用する力ベクトルを示す。
図1B】前方に傾いており、かつ前方に水平飛行しているマルチロータエアクラフトを示す。
図1C】1対の自由翼を含むマルチロータエアクラフトを示す。
図1D】自由翼を含むマルチロータエアクラフトと、水平飛行中のエアクラフトに作用する力ベクトルを示す。
図1E】右へのマルチロータのヨーイングを示す。
図1F】左へのマルチロータのヨーイングを示す。
図1G】自由翼を装備したマルチロータを示す。
図1H】自由翼を装備したマルチロータを示す。
図1I】自由翼を装備したマルチロータを示す。
図1J】自由翼を装備したマルチロータを示す。
図2A】本開示の1つ以上の態様に従った自由翼車両の例を例示する。
図2B】飛行モード操作中の図2Aの自由翼車両を例示する。
図2C】本開示の1つ以上の態様に従った、マルチロータ車両の後端にある1対のロータの拡大図である。
図2D】貨物区画ドアの開いた構成の、図2Aの自由翼車両を例示する。
図2E】本開示の1つ以上の態様に従った別の自由翼車両の例の上方斜視図を例示する。
図2F】本開示の1つ以上の態様に従った別の自由翼車両の例の下方斜視図を例示する。
図2G】本開示の1つ以上の態様に従った別の自由翼車両の例の上方斜視図を例示する。
図2H図2Fの自由翼車両のコンテナの断面図である。
図3A】本開示の1つ以上の態様に従った、分離翼を有する自由翼クワッドロータの上方斜視図である。
図3B図3Aの自由翼クワッドロータの分離翼を例示する。
図3C図3Aの自由翼クワッドロータの上方斜視図である。
図4A】本開示の1つ以上の態様に従った、ジンバルに支持されたカメラを有する自由翼クワッドロータである。
図4B】飛行モード操作中の図4Aの自由翼クワッドロータを例示する。
図5A】本開示の1つ以上の態様に従った、翼ロックメカニズムを有する自由翼クワッドロータの底面図である。
図5B図5Aの自由翼クワッドロータの上方斜視図である。
図5C図5Aの自由翼クワッドロータの下方斜視図である。
図5D図5Aの自由翼クワッドロータの翼ロックメカニズムの拡大図である。
図6】複数パート翼を有する自由翼クワッドロータを例示する。
図7A】本開示の1つ以上の態様に従った、翼アシストを有する自由翼クワッドロータを例示する。
図7B図7Aの自由翼クワッドロータの翼アシストの拡大図である。
図8A】本開示の1つ以上の態様に従った、中央安定化ロータを有する自由翼クワッドロータである。
図8B図8Aの自由翼クワッドロータの中央安定化ロータの拡大図である。
図9A】本開示の1つ以上の態様に従った、サービス車両に取り付けられた自由翼車両を例示する。
図9B】その上に保護カバーを有する、図9Aのサービス車両を例示する。
図9C図9Aの一連のサービス車両を例示する。
図9D】修正された駆動構成を有する図9Aのサービス車両を例示する。
図10A】本開示の1つ以上の態様に従った自由翼車両の翼の断面図である。
図10B】迎え角の増した図10Aの自由翼車両の翼の断面図である。
図10C】回転した翼構成を有する図10Aの自由翼車両の翼の断面図である。
図11】本開示の1つ以上の態様に従った、把持機構に取り付けられた自由翼車両を例示する。
図12A】4つの水平推力ロータ、垂直押出しロータ、および展開位置にある2段階折りたたみ翼のメカニズムを有するマルチロータエアクラフトを示す。
図12B】4つの水平推力ロータ、垂直押出しロータ、および折りたたみ位置にある2段階折りたたみ翼のメカニズムを有するマルチロータエアクラフトを示す。
図13A】4つの水平推力ロータ、垂直押出しロータ、および折りたたみ位置にある2段階折りたたみ翼のメカニズムを有するマルチロータエアクラフトを示す。
図13B】4つの水平推力ロータ、垂直押出しロータ、および折りたたみ位置にある3ジョイント折りたたみ翼のメカニズムを有するマルチロータエアクラフトを示す。
図14A】本開示の1つ以上の態様に従った、空力により作動させた自由翼クワッドロータ車両を例示する。
図14B図14Aの自由翼クワッドロータ車両の空力アクチュエーターの拡大図である。
図14C図14Aの自由翼クワッドロータ車両の空力アクチュエーターの拡大図である。
図15A】本開示の1つ以上の態様に従った拡張可能な自由翼クワッドロータ車両を例示する。
図15B】引き込み構成にある図15Aの拡張可能な自由翼クワッドロータ車両である。
図16】本開示の1つ以上の態様に従った自由翼車両用のアビオニクスシステムの系統図である。
図17】本開示の1つ以上の態様に従った自由翼車両のモーター非常事態のフローダイヤグラムである。
図18】本開示の1つ以上の態様に従った自由翼車両の翼チルトのフローダイヤグラムである。
図19】本開示の1つ以上の態様に従った、様々なエアクラフト飛行モードの制御プロセスを例示するブロックダイヤグラムである。
図20】本開示の1つ以上の態様に従った、様々なエアクラフト飛行モードの制御プロセスを例示するブロックダイヤグラムである。
図21】本開示の1つ以上の態様に従った、様々なエアクラフト飛行モードの制御プロセスを例示するブロックダイヤグラムである。
図22】本開示の1つ以上の態様に従った、様々なエアクラフト飛行モードの制御プロセスを例示するブロックダイヤグラムである。
図23】本開示の1つ以上の態様に従った、様々なエアクラフト飛行モードの制御プロセスを例示するブロックダイヤグラムである。
図24】本開示の1つ以上の態様に従った、様々なエアクラフト飛行モードの制御プロセスを例示するブロックダイヤグラムである。
図25】本開示の1つ以上の態様に従った、様々なエアクラフト飛行モードの制御プロセスを例示するブロックダイヤグラムである。
図26】本開示の1つ以上の態様に従った、様々なエアクラフト飛行モードの制御プロセスを例示するブロックダイヤグラムである。
図27】本開示の1つ以上の態様に従った、様々なエアクラフト飛行モードの制御プロセスを例示するブロックダイヤグラムである。
図28A】様々な飛行モードにあるロータ車両の様々な図を例示する。
図28B】様々な飛行モードにあるロータ車両の様々な図を例示する。
図28C】様々な飛行モードにあるロータ車両の様々な図を例示する。
図28D】様々な飛行モードにあるロータ車両の様々な図を例示する。
図28E】様々な飛行モードにあるロータ車両の様々な図を例示する。
図29】エアクラフトとそのコンポーネントを示す。
図30A】上昇状態のエアクラフトを示す。
図30B】下降状態のエアクラフトを示す。
図31】後進飛行しているエアクラフトを示す。
図32】左ジョイスティック(91)と右ジョイスティック(92)を有する遠隔操作システム(9)を概略的に示す。
図33】第1のチルト部分(921)と第2のチルト部分(922)を有する右ジョイスティック(92)を概略的に示す。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、シャーシ(200)、3つ以上のバーティカルロータ(3000)、1つ以上の自由翼(400)、および固定された水平ロータ(350)を含む、マルチロータエアクラフト(100)を提供することを主な目的とする。本発明の他の目的は、本発明の主題のマルチロータエアクラフト(100)を制御するための、固有の遠隔操作システム(9)の方法とシステムを提供することである。自由翼(400)の角度が、自由翼上の空気の流れによりシャーシ(200)に対して変化するように、自由翼(400)は、軸連結(18)によってシャーシ(200)に取り付けられている。自由翼は、シャーシに対して自由翼の角度を変更するように設計されたアクチュエーター(500)をさらに含んでもよい。自由翼は、操縦面(501)または移動制限デバイスをさらに含んでもよい。本出願と特許請求の範囲における用語「ロータ」は、実際に、ロータ、ジェット、エンジン等の、力または推力を生成するあらゆる種類の源を指す。加えて本出願では、流暢さのために同一または類似のコンポーネントに関して異なる用語を使用する。
【0012】
本発明は、エアクラフトの上昇と下降の両方において、自由翼を有するエアクラフトの定ピッチ角での飛行を可能にする。これは、水平軸連結のまわりを自由に回転する自由翼により可能である。横移動を除き、これはすべての方向に適合可能であり、その方向に前進して揚力を生成する。図29に示されるエアクラフトは、3つ以上のバーティカルロータ(3000)が堅く取り付けられたシャーシ(200)を含む。これらのバーティカルロータは、エアクラフトの重量よりも大きな推力を生成し、標準的な多翼式エアクラフトと同様に、垂直離着陸と空中での空中停止を可能にする。前進飛行の間、それらはエアクラフトの重量の一部を支えることができ、他方で水平軸(10a)のまわりを回転する自由翼(400)は、エアクラフトの重量のほとんどを支える揚力を生成する。これは、1つ以上の固定された水平ロータ(350)により可能であり、水平ロータはエアクラフトを前に押す、または引っ張る。エアクラフト内部の飛行操縦デバイスとセンサーは、エアクラフトの操縦と監視を行なう。翼上でエアクラフトの重量を支えることで、エネルギー需要の最大3分の1を節約する。
【0013】
自由翼(400)は、各自由翼の取り付け角度を個別に制御する1対の操縦面(501)を装備してもよく、したがってそれら各々の揚力を上昇または低下させ、これによって、バーティカルロータ(3000)の無駄なローリング性能とは異なり、エアクラフトの上昇と下降、およびエアクラフトのローリングを経済的に制御することを可能にする。図30Aは上昇中のエアクラフトを示し、翼は流れ方向に向いており、および揚力を生成する。図30Bには下降中のエアクラフトが示され、翼は下を向いており、および速度成分の合計が揚力を維持する。
【0014】
エアクラフトのアルゴリズムと操縦装置は、その特別な形態とエアクラフトの操作技術ゆえに特有である。地上にある場合、まばらな(sporadic)翼がいくらかの揚力を生成して意図せずにエアクラフトを上昇させることのないように、翼(501)の操縦面はニュートラルポジションにある。離陸中に垂直ロータ(3000)は、低速飛行する場合に、エアクラフトの重量より低いいくらかの揚力を提供する位置まで操縦面(501)が上昇を始めるまで、最小推力で動作を始める。操縦面を上げる手順が終了するとはじめて、バーティカルロータ(3000)は推力を上げ続け、そしてエアクラフトをもち上げる。
【0015】
離陸と空中停止中に、バーティカルロータ(3000)は、多翼式エアクラフトのように、特定のエアクラフト速度まで、飛行高度および地面に対するエアクラフトの位置を含むすべての軸においてエアクラフトを安定させ、なぜならこの制御は、固定された水平ロータ(350)がそれを行う能力よりも素早く、かつ機敏であるからである。
【0016】
バーティカルロータ(3000)が、エアクラフトの重量と等しい推力を生成すると、エアクラフトは空中で空中停止する。推力がエアクラフトの重量より大きいと、エアクラフトは上昇し、および推力がより小さいと、エアクラフトは下降する。
【0017】
風が強い場合、自由翼(400)は揚力を生成し、および高度を保つ必要がある場合は、バーティカルロータ(3000)からのエネルギーを節約する。前進飛行したい場合は固定された水平ロータ(350)を操作し、エアクラフトを安定させて方向づけるために異なるピッチ位置が必要である場合に、エアクラフトは定ピッチ位置で前進移動する。
【0018】
自由翼(400)は、揚力を生成し始めるとエアクラフトを回転軸に向け、バーティカルロータ(3000)は回転軸またはピッチング軸にエアクラフトを向けるのを止め、およびそれらの主機能は、方向安定板がない場合のエアクラフトの方向転換のために、および操縦の問題がある場合に操縦を援助するために、シャーシ(200)のピッチ角を決定して維持するためのものである。水平に飛行している間に、およびロータの機能停止の問題がある場合に、バーティカルロータを援助するためにピッチ安定板を加えることが可能である。
【0019】
エアクラフトが飛行速度を蓄積すると、自由翼(400)は揚力を生成し、全般的な揚力とエアクラフトの上昇に寄与する。上昇を止めるために、シャーシ(200)のピッチの固定角での制御を可能にする最小推力へとロータ推力を低下させる。エアクラフトが依然として上昇している場合、翼上の揚力は操縦面(501)により減らされる必要がある。
【0020】
前進速度は、水平エンジンにおいて推力により制御される。エアクラフトの速度が増すにつれて、翼上の揚力も増し、垂直エンジン(3000)の推力が既に最小であり、かつエアクラフトが依然として上昇している場合、操縦面(501)を用いて迎え角を減らすことによって翼上の揚力を減少させる必要がある。空中停止時に、固定された水平ロータ(350)は、エアクラフトが減速するまで推力を停止させ、他方でバーティカルロータ(3000)と自由翼(400)上の揚力により高度制御が行なわれる。気流速度0では、すべての揚力はバーティカルロータ(3000)のみによって供給され、次に車両の位置と状態の制御は、これらのエンジンのみによって行なわれる。
【0021】
例えば風がある場合、翼操縦面(501)は、エアクラフトのローリングを安定させるために常に作動している。後進飛行はバーティカルロータ(3000)によって行われるが、図31に示されるように、この状況では自由翼(400)はひっくり返り、および気流が下方への力を生成し、バーティカルロータ(3000)への重い負荷となり、エアクラフトを衝突の危険にさらす。
【0022】
この状況を防ぐために、操縦面(501)は、自由翼(400)の下部へと方向を変化させ、すなわち翼がこの状況にある場合には上向きであり、それによって正の迎え角が生成されて、揚力を上向きに変化させる。この状況では、操縦面は依然として、ローリングレベルでエアクラフトを安定させるために機能する。
【0023】
エアクラフトの人間による制御が必要な場合、制御は各々2つの自由度を有する2つのスティックによって行なわれ、エアクラフトを制御するフライトコンピュータに命令を送る。集中化された1つのスティックの上下軸は、シャーシのピッチ角によってエアクラフトの速度と位置を制御する。最初にスティックを前方に押し始めることによって、速度が到達するまでのピッチ軸、またはバーティカルロータ(3000)がエアクラフトのシャーシ(200)のピッチ角を変更して固定する特定のピッチ角において、垂直エンジン(3000)を制御し、そして次に固定された水平ロータ(350)が作動をはじめて推力を生成する。この段階において、コンピュータは定ピッチ角を制御し、以後、速度はこのスティックを押すことにより制御される。スティックがその移動の端に達すると、最大速度に到達する。スティックが中央に戻されると、特定の点から、固定された水平ロータ(350)は動作を停止し、およびエアクラフトは再びバーティカルロータ(3000)によって制御される。遅延と拒絶がこれらの動作に統合されてもよい。
【0024】
このスティックの水平軸は、低速でバーティカルロータ(3000)を、および翼(400)が適切な揚力を生成する速度で翼操縦面(501)を作動させることによって、エアクラフトのローリングを制御する。第2のスティックの上下軸は、本出願に記載されるように、バーティカルロータと翼の揚力を制御する。エアクラフトが前進飛行している時、第2の軸の水平軸は、エアクラフトの回転を制御し、これはバーティカルロータ、および/または、シャーシあるいは翼に連結された方向安定板によって行われる。
【0025】
エアクラフトが水平に飛行している時、垂直エンジンは、方向安定板がないため、主として揚力と旋回を提供するように計画される。このように、エアクラフトは、そのエネルギー消費を効率化する強い空気力を使用している。
【0026】
これらのバーティカルロータは、いくつかの操縦問題が生じた場合に、水平飛行中の操縦に参加するように計画される。自由翼の操縦面の制御は必要ではないが、エネルギー効率を改善し、かつスムーズで快適なフライトのためのエアクラフトの制御を可能にする。
【0027】
多数の変数ゆえに、バーティカルロータ(3000)と固定された水平ロータ(350)と翼操縦面を組み合わせて制御を行う可能性があり、その結果、抗力と比較した揚力と一般的なエネルギー使用量は特定の速度で最小であり、これはエアクラフトが一定高度で飛行している時に計算された。
【0028】
他の設計の例では:縦に並んだより多くの翼が存在する場合、エアクラフトの前側と後側に翼が存在し、操縦面による前翼と後翼の制御は、それらの各1つの揚力を変化させ、およびエアクラフトピッチの平衡を保つことができ、その結果、バーティカルロータ(4)または安定板によってそれを行う必要はなく、結果として、それらをシャットダウンすることができ、それによってより多くのエネルギーを節約し、比較的低いエネルギー消費の操縦面のサーボモーターを用いて空気力によってエアクラフトを制御する。各モーターの速度コントローラによりモーターに電気的にブレーキをかけることによって、プロペラは、抗力が最小限の位置に達する。
【0029】
本特許出願の説明と図面から、マルチロータエアクラフト(100)がシャーシ(200)、3つ以上のバーティカルロータ(3000)、1つ以上の自由翼(400)、および1つ以上の固定された水平ロータ(350)を含むことが理解される。自由翼(400)は軸連結(18)によってシャーシ(200)に取り付けられ、その結果、自由翼(400)の角度は、自由翼上の空気の流れによりシャーシ(200)に対して変化し得る。マルチロータエアクラフト(100)はさらに、アクチュエーター(500)または操縦面(501)を含んでもよく、アクチュエーターと操縦面はシャーシに対する自由翼の角度を変えることができる。自由翼は、自由に、かつ独立して360度、時間の制限なく回転することができるが、移動制限デバイスをさらに含んでもよい。
【0030】
固定された水平ロータ(350)は、マルチロータエアクラフト(100)が、シャーシ(200)の安定した水平ピッチで前進飛行している間に下降および上昇することを可能にする。固定された水平ロータ(350)のピッチは、バーティカルロータ(3000)のピッチよりも相対的に大きいことが望ましい。マルチロータエアクラフト(100)が、シャーシ(200)の一定の安定したピッチで水平飛行中に上昇および下降することができるという事実は、大きな利点を提供する。例えば、マルチロータエアクラフト(100)がカメラを装備している場合、安定化機器は必要なく、またはエアクラフトが乗客を擁する場合、エアクラフトは飛行中に水平姿勢である。固定された水平ロータのないマルチロータエアクラフトは、水平飛行時の下降と上昇中にそのシャーシのピッチを変更する必要があることが、上記の説明から明らかである。
【0031】
バーティカルロータ(3000)はシャーシ(200)に固定されるが、その方向が変化し得ることは明らかであり、例えばエアクラフトが前進飛行している時、シャーシ(200)は、前進移動のための水平な力と、同時にエアクラフトをもち上げるための垂直な力を生成するために、いくらかの角度で前方に傾く。エアクラフトをもち上げるというその主目的ゆえに、これらのバーティカルロータ(3000)は比較的小さなピッチを有し、これは上昇と超低空速度に効果的であるが、機械的に複雑で信頼度の低い可変ピッチプロペラメカニズムを使用しない限り、比較的高速での前進移動には非効果的である。前進移動にとって、固定された水平ロータ(350)のように、比較的大きなピッチを有するロータを使用するほうが効果的である。エアクラフトを水平に前方へと導く力が、比較的高速に適した比較的大きなピッチを有する固定された水平ロータ(350)から来るという事実は、そのような速度でエアクラフトを前方に駆動するために、バーティカルロータ(3000)を使用するよりもむしろバッテリーの利用を最適化するが、そのピッチは低速の飛行速度での上昇により適している。
【0032】
マルチロータエアクラフト(100)は、特有の方法に基づいて特有の遠隔操作システム(9)によって制御されてもよい。遠隔操作システム(9)が操作される方法について説明する前に、まず、通常2つのジョイスティックを含むエアクラフト用の既知の遠隔操作システムの既知の方法について説明する。そのために、用語「エアクラフト」を、固定された翼と水平モーターを特徴とする飛行機と、垂直モーターを特徴とするマルチロータとに区別する必要がある。
【0033】
飛行機では、左ジョイスティックは、速度を制御する原動力を制御し、および右ジョイスティックは、高度を制御する飛行機ピッチを制御する。マルチロータでは、左ジョイスティックは主として高度を制御し、および右ジョイスティックは主として速度を制御する。当節、離着陸時にマルチロータとして、および前進飛行時に飛行機として機能する、多くのタイプの複合エアクラフトが存在する。それらの遠隔操作システムは、それらの2つの方法の飛行機機能を組み合わせた。離陸に際して左ジョイスティックは高度を制御し、および前進飛行に際して右ジョイスティックは高度を制御し、左ジョイスティックは速度を制御する。各状態から別の状態に移行するために、ユーザーはボタンを切り替える必要がある。ユーザーが常にすべての状況において、上昇と下降のために、および速度に関して同じジョイスティックを使用する方が、ユーザーにとって心理的によく、およびエアクラフト(100)の遠隔操作システム(9)の方法はそのような問題に十分な回答を提供する。
【0034】
エアクラフト(100)の遠隔操作システム(9)は、左ジョイスティック(91)と右ジョイスティック(92)を含む。左ジョイスティックは、バーティカルロータ(3000)の速度と操縦面(501)を制御することによってエアクラフト(100)の高度を制御する。右ジョイスティックは、バーティカルロータ(3000)の協調を制御することによって、および固定された水平ロータ(350)を制御することによって、エアクラフト(100)の速度と前進移動を制御する。右ジョイスティック(92)の第1のチルト部分(921)は、バーティカルロータ(3000)の協調を制御し、および右ジョイスティック(92)の第2のチルト部分(922)は、固定された水平ロータ(350)を制御する。左ジョイスティック(91)と右ジョイスティック(92)は、エアクラフト(100)の水平飛行中だけでなく離陸と空中停止中も、同じ機能を提供する。離陸と空中停止中に、左ジョイスティックは高度を制御する。低速での水平飛行を開始するために、または風に対処するために、ユーザーは、その第1のチルト部分(921)にある右ジョイスティック(92)によって、エアクラフトの水平移動を制御することができ、これは約15~20度であり得る。したがって、低速でのそのような前進移動のための力はバーティカルロータ(3000)によりもたらされ、そのような低速度では、固定された水平ロータ(350)を使用するよりもより効果的かつ省電力であり、そのピッチは約40~100km/hの速度である。ユーザーが第2のチルト部分(922)に右ジョイスティック(92)を押し込むと、バーティカルロータ(3000)は所定位置(ほぼ垂直)に戻り、および固定された水平ロータ(350)が作動し始め、さらに右ジョイスティックを押すと、固定された水平ロータ(350)の力が増し、それによってエアクラフト(100)の速度を増加させ、かつ制御する。図32は、背面視で、左ジョイスティック(91)と右ジョイスティック(92)を有する遠隔操作システム(9)を概略的に示す。図33は、第1のチルト部分(921)と第2のチルト部分(922)を有する右ジョイスティック(92)を側面視で概略的に示し、ここで数字(93)は、より大きな速度のためにスティックを押す方向を示す。
【0035】
左ジョイスティック(91)は、バーティカルロータ(3000)の速度と操縦面(501)を制御することによってエアクラフト(100)の高度を制御する。左ジョイスティック(91)の後ろチルト部分(911)は操縦面(501)を制御し、および左ジョイスティック(91)の正面チルト部分(912)はバーティカルロータ(3000)を制御する。水平飛行では、正面チルト部分(912)にある間に左ジョイスティック(91)はバーティカルロータ(3000)を制御し、それによってエアクラフト(100)の高度を制御する。エアクラフト(100)が特定の速度で水平飛行することをユーザーが望む場合、エアクラフトがその特定の速度で依然として上昇していれば、ユーザーはバーティカルロータ(3000)の力を低下させ、およびユーザーは、左ジョイスティック(91)が後ろチルト部分(911)に到達するまで、かつバーティカルロータが所定の最小値の力にあり、またはシャットダウン(shot down)される時点において、必要であればこの力を低下させ続けてもよく、エアクラフトがその特定の速度で依然として上昇していれば、ユーザーは、エアクラフト(100)がその特定の速度での水平速度で飛行する時点まで、操縦面(501)を制御する左ジョイスティック(91)を後ろチルト部分(911)へと戻すことによって、自由翼(400)の揚力を減らすことができる。図34は、後ろチルト部分(911)と正面チルト部分(912)を有する左ジョイスティック(91)を側面視で概略的に示し、ここで数字(94)は、より高い高度のためにスティックを押す方向を示す。
【0036】
本開示の態様によれば、チルト翼マルチロータ車両が提供される。車両は、マルチロータに取り付けられた前後シャフトのまわりを自由に動くことができる自由翼を含んでもよい。自由翼は、アクチュエーターによって制御されてもよい。他の実施形態において、自由翼は制御されない場合もあり、その結果、翼角と生成される揚力は、翼上の空気の流れの結果である。
【0037】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに記述される単純化された形態で、一連の選択された概念を紹介するために提供される。概要は、請求される主題の重要な特徴または必須の特徴を特定することを意図せず、請求される主題の範囲を制限するために使用されることも意図されていない。
【0038】
本発明のこれらの特徴および他の特徴、利点、目的は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を参照することによって当業者にさらに理解され、認識されるだろう。
【0039】
本発明の様々な例についての以下の記述において、例示として、本開示の態様が実施され得る様々なシステム例と環境を示す添付図面が参照される。パーツ、システム例、および環境の他の特定の構成が利用されてもよく、および構造的かつ機能的な修正が、本開示の範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解される。
【0040】
加えて、本開示は、1つ以上の実施形態に関して記載される。しかしながら、以下に詳述される記述は、記載される実施形態のみへの限定を意図してはいない。逆に、以下の開示と矛盾せず、かつそれに包含される、選択的に利用され得る数々の同等物と変化形体が存在することが理解されるだろう。
【0041】
様々な実施形態が、添付の図面に関して詳細に記載される。可能であれば常に、同じ参照番号は、同じまたは類似のパーツを指すように、図面全体にわたって使用される。例示の目的のために特定の例と実装が言及されるが、本発明の範囲または特許請求の範囲を制限することは意図していない。
【0042】
本開示のシステム、方法、およびデバイスは、巡航性能に加えて、垂直離着陸(「VTOL」)と空中停止性能を有するエアクラフト等の、高度な車両構成のための自由翼マルチロータシステムに関する。このように、様々な実施形態が、エアクラフト等の車両に効果的なVTOLと巡航モード性能を提供し得る。そのような特定のチルトウイングまたは自由翼マルチロータエアクラフトは、WO2016/035068、および2017年2月18日出願の関連する米国特許出願第15/505,078号、並びに2017年3月9日出願の米国仮特許出願第62/469,404号に記載されており、これらの各々は参照により本明細書に組み入まれる。
【0043】
本発明は、自由翼を有するマルチロータエアクラフトを指し、これは、一方で飛行効率を高め、かつエネルギーを節約するために翼を使用する場合もあり、他方でエアクラフトのシャーシまたはエンジンに取り付けられた翼を装備したマルチロータエアクラフトに存在する問題を回避するように、設計される。
【0044】
マルチロータエアクラフトは、そのエンジンとプロペラを操作するセンサーと飛行コンピュータによって自動的に安定化され、かつ制御される。したがって、例えば、ユーザーがエアクラフトを前進飛行させたい場合、リアエンジンは加速せよというコマンドを受け取り、およびフロントエンジンは減速せよというコマンドを受け取る。これは、エアクラフトを回転させて前方に傾けるモーメントを作り出し、他方で推力はエアクラフトを水平方向に推し進める。エネルギーのいくらかが前進移動に必要であるため、エアクラフトが高度を維持するためにエンジンの力を増加させなければならない;したがって、図1Aと1Bに示されるように、エアクラフトはこの状態でより多くのエネルギーを消費する。図1Aは、水平姿勢で空中停止するマルチロータエアクラフト(2)を示す。揚力ベクトル(4)は、エンジンとプロペラ(5)によってかけられた全体的な力であり、および重力ベクトル(6)はエアクラフト(2)の重心である。これらの2つの力の大きさが等しい場合、エアクラフト(2)は平衡状態にあり、つまり空中停止しながらその飛行高度を維持している。
【0045】
図1Bは、水平前進飛行(または向かい風)の、前方に傾いているエアクラフト(2)を示し、それゆえに揚力ベクトル(4)は、エンジンとプロペラ(5)の動作から生成された合力であり、この合力は成分へと分解され得、したがって前方ベクトル(8)は、前進移動を可能にする合力(4)の成分であり、およびベクトル(10)は、エアクラフトの高度を決定する合力の成分である。
【0046】
ベクトル(10)がベクトル(4)とベクトル(6)の両方よりも小さいことが理解され得る;従って、この状態で、エアクラフトは高度を落として降下する。エアクラフトがその高度を維持できるようにするために、ベクトル(10)がベクトル(6)に等しくなる、つまり維持される飛行高度の全重量に等しくなるまで、合力を高めなければならない。合力を高めると、エネルギーの無駄が生じ、飛行時間が短くなる。
【0047】
本発明は、図1C-1Dに示されるような、シャーシ(200)、3つ以上のエンジン(300)、および自由翼(400)(またはシャーシの両側にある一対の翼)を含むマルチロータエアクラフト(100)を指す。自由翼(400)は、軸連結(18)によってシャーシ(200)に取り付けられている。したがって、自由翼(400)とシャーシ(200)との間の角度は、アクチュエーター(500)を使用して、または翼を超える空気の流れの力によって、変化し得る。
【0048】
水平成分での飛行(以下「水平飛行」)において自由翼(400)に揚力を生成させるために、それらは、気流の方向(14)に対して特定の正の迎え角でなければならない。シャーシ(200)が気流の方へと前方に傾くため、自由翼(400)がシャーシに恒久的に取り付けられていないことが重要である。そうでなければ、負の角が生成され、高度とエネルギーの両方の損失を引き起こす。
【0049】
自由翼を気流に対して特定の正の角にするために、翼操縦を支配するアクチュエーターまたはコンピュータ制御の翼に取り付けられたエンジンが使用されてもよい。代替的に、介入なしに、空気の動きに対してその最適な状態へと自動的に到達する完全な自由翼(400)が使用されてもよい。これは翼の構造ゆえに可能であるが、この場合、様々な飛行姿勢にとってさほど空力的に有用ではないだろう。
【0050】
自由翼(400)は、自由翼を軸(18)のまわりで自由に回転できるようにする方法で、軸(18)を用いてシャーシ(200)に取り付けられる。自由翼(400)は、気流(14)に対して自動的に安定化され(またはコンピュータ制御アクチュエーターによって安定化され)、上向きの揚力を加え、これはベクトル(16)と呼ばれ、エンジン(300)によって生成される揚力を補う。
【0051】
例えば図1Dに示される自由翼は、軸(18)のまわりを自由に回転し得る。ベクトル(16)は、自由翼によって生成される上向きの揚力であり、その中心は軸(18)の後ろにあり、したがって翼の後縁を軸(18)のまわりで上昇させるモーメント(22)を作り出す。平衡状態に到達するまで、気流に対して翼が安定し、そして揚力を生成する平衡状態に到達するまで、翼に配置された操縦面または翼の後縁の上向きの傾斜は、上向きのモーメント(22)とは逆方向のモーメント(24)を引き起こす下向きの力(26)をもたらす。空中停止中の効率を維持するために、エアクラフト(100)は風に向かい続けなければならず、および飛行時に翼は、気流に対して自由であり続けなければならない。ソフトウェアと呼ばれる、エアクラフトに設置された飛行コンピュータとセンサーはすべて、水平飛行中に自由翼(400)の配向を保全するために使用される。
【0052】
本発明が、固定接続によってエアクラフト(100)のシャーシ(200)に取り付けられた3つ以上のプロペラ(300)を有し、したがってプロペラ(300)とシャーシとの間の角度が固定されるマルチロータエアクラフト(100)を指すことは、前述の記載と本出願に添付された図面から明確である。加えて、本出願の主題であるエアクラフト(100)は、エアクラフト(100)の翼(400)とシャーシ(200)との間の角度の変更を可能にする、軸(18)によりシャーシ(200)に連結された1つ以上の自由翼(400)を装備している。翼(400)の迎え角は、モーター、プロペラ、または翼を回転させる他の任意の手段であり得るアクチュエーター(500)を使用して変更されてもよい。代替的に、自由翼(400)が自由に回転できるような方法で取り付けられているため、その迎え角は、自由翼(400)の方へ、またはそれを超える空気の流れに従って変化し得る。
【0053】
したがって、水平飛行中に、翼のまわりの水平気流は、翼(400)の揚力ベクトルが上向きの方向にあるような方法で翼の迎え角を適合させる。これは、エアクラフト(100)の揚力を高め、かつプロペラ(300)の操作に必要なエネルギー量を減らす。本発明は、2つの自由翼(400)を加えることによって、エアクラフト(100)の他の変化形体で実施されてもよい。加えて、シャーシ(200)への翼(400)の軸連結(18)は、翼が360度、無限に回転し得るようなものであってもよい。
【0054】
エアクラフト(100)が横風の中で空中停止、離陸または着陸する場合、例えば、エアクラフト(100)は、地上の地点の上に留まるように風の方へと横に傾き、および翼(400)の前縁が風に対向する位置に達するまで、翼は回転し、それによってドラグだけでなく、予想される地上の地点からのエアクラフト(100)の逸脱の程度を有意に減らす。図面によって示され、かつ説明されるように、翼(左と右)の各側は独立して回転することができ、これにより特にヨー軸上でのマルチロータの制御が可能になり、なぜならドラグは翼の各側に異なる効果を及ぼすからであり、したがって翼の各側を独立させることによって、マルチロータが風の強い状況でより安定しているのと同じ理由で、マルチロータモーターとプロペラにより生成される運動量に比べて非常に小さな運動量が生成される。
【0055】
自由翼(400)は、翼揚力とエアクラフトの最適で迅速な制御を可能にするために、操縦面を装備してもよい。代替的に、自由翼(400)は、翼がその軸(18)のまわりを上に向かって回転する可能性を制限するために、制限デバイスを装備してもよい。言いかえれば、低速で揚力を生成するために、翼の後部は一定角度よりも上昇するべきではない。しかしながら前記制限デバイスは、離陸と空中停止と着陸に必要であるため、翼の後部が下げられるのを妨げるべきではない。
【0056】
本発明の第2の変化形体は、図1Eと1Fに概略的に示されるマルチロータ(1000)を指す。マルチロータエアクラフト(1000)の上下軸である軸(1026)のまわりでの回転は、通常、右回りに回転するプロペラ(5000)と、左回りに回転するものとの間のモーメントにおける差異の結果である。これらのモーメントは、マルチロータの最適制御にとって、比較的小さい。マルチロータ(1000)はシャーシ(2000)と4つ以上のプロペラ(5000)を含む。
【0057】
シャーシ(2000)は、主本体(2100)と1対のシャフト(2200)(2300)から成り、後者は、本明細書での説明のために、「右側シャフト」(2200)と「左側シャフト」(2300)と呼ばれることとする。
【0058】
プロペラ(5000)は、前記シャフトの各々の端部に取り付けられており、および各シャフト(2200)(2300)は軸連結(1018)によって主本体(2100)に連結される。4つのプロペラ(5000)が同じ力で、例えば上向きに動作すると仮定すると、マルチロータ(1000)は、すべての4つのエンジン(5000)が1つの水平面にあるように、垂直に上昇する。
【0059】
ユーザーがマルチロータ(1000)を例えば右にヨーイングさせたい場合、右側シャフト(2200)上の1つのプロペラの力を高め、および同じシャフト(2200)上の別のプロペラの力を低下させることによって、これを行ってもよい。1つのプロペラが上がり、他方が下がるため、これは右側シャフト(2200)を、主本体(2100)に連結された軸(1018)のまわりで回転させ、結果としてマルチロータの右へのヨーイングをもたらす。
【0060】
図1Eは、右側シャフト(2200)上のエンジン(1014)と、左側シャフト(2300)上のエンジンの推力の増加ゆえに、右へと時計回りにヨーイングするマルチロータ(1000)を示し(エンジン(1016)と(1022)における推力を同様に同時に減らすことが可能)、したがって主軸(1026)のまわりでのマルチロータのヨーイングが生じる。図1Fは、マルチロータが左にヨーイングする、相対する状況を表す。
【0061】
本発明の第3の変化形体は、前述のマルチロータ(1000)を指し、これもまた、いくつかの位置で、図1G-1Jに概略的に示されるように、軸連結によりシャーシ(2000)の主本体(2100)に取り付けられた自由翼(4000)を装備している。
【0062】
図2Aは、車両の後端に、本体(100)の8つのロータ(300)(「オクタロータヘリコプター」)、3セットの自由翼(400)およびロータ(350)、例えば押出しロータまたは牽引ロータを含む、自由翼車両の例を例示する。ロータ(300)は、性能を改善するために囲い板によって保護されてもよく、または保護されなくてもよい。6つの平衡自由翼(400)は、望ましくは別々に、または対になって、自由に回転してもよい。翼平衡器(450)は、低速でよりよい揚力を提供し、および、自由翼(400)の上に取り付けられ得る太陽パネルを上向きに維持してできるだけ多くの日光を受け取るために、向かい風なしでさえも翼(400)を水平に保つように設計されてもよい。平衡器(450)は、本明細書に記載される車両の設計に強制されなくてもよいが、自由翼(400)が空中停止中に垂直であることが望ましく、その場合、平衡器(450)は含まれない。自由翼(400)は、ロータ(300)に対する風の効果を弱め、および、外風からの、かつエアクラフトの移動によって引き起こされる風からの効果を最大化するために、ロータ(300)の間に配置されてもよい。ロータ(300)に対する風の効果を弱めることで、空中停止およびVTOLモード中の大気風への耐性が高まるだろう。自由翼に対するロータ風効果を有し得る、本明細書で論じられる他の実施形態は、ロータと翼の異なる構成を有し得る。本体(100)は、ロータ(300)と操縦装置(150)に電力を提供するバッテリー(120)を含んでもよい。操縦装置(150)は、全地球測位システム、加速度計、コンパス、飛行速度センサーなどの、エアクラフトを制御するためのSWおよび周辺センサーと共に、CPUを含んでもよい。
【0063】
図2Bは、前と後ろのロータバー(301)のねじれたバー構成を例示する。バー(301)は制御されてもよいが、サーボモーターにより制限されず、または2つの抵抗ロータのロータ速度が異なる場合、自由に変化され得る。そのようなメカニズムは、例えば翼(400)間のドラグの違いによって引き起こされるヨー効果を克服するために、ロータ(300)によって生成されるヨー効果を高めてもよい。いくつかの実施形態では、ねじられたバー(301)の動きは、風の不安定な突風を和らげるために、ショック観察メカニズム(図示せず)を含んでもよい。
【0064】
図2Cは、マルチロータ車両の本体(100)の後端にある一対のロータ(350)の拡大図を例示する。両方のロータ(350)は、互いに堅く連結されてもよく、およびピボット(314)のまわりを一緒に動くように構成されてもよい。ロータ(350)の各々は、押出しモーターまたは牽引モーターを含んでもよく、およびマルチロータ車両を前に押す、または引くように構成されてもよい。ロータ(350)の各々はまた、一対のロータ(350)間の微分制御によって生成される推力誘導によってヨー軸を制御するように構成されてもよい。例えば、右側ロータが左側ロータよりも多くの推力を提供する場合、一対のロータは、ピボット(314)を介して右に回転し、マルチロータ車両は左にヨーイングする。したがって、一対のロータ(350)は、車両のヨーを制御するために、自己作動型のベクトル推力舵として作動してもよい。
【0065】
図2Dは車両本体(100)の下方斜視図であり、本体(100)の底部分に沿った貨物区画ドアメカニズム(170)を示し、これは閉じることができ、およびパッケージ(220)または他のタイプのペイロードを収容するために使用されてもよい。ドアメカニズム(170)は、ドアの開け閉めを可能にするためのヒンジ、アクチュエーター、または他の類似のコンポーネントを含んでもよい。
【0066】
図2Eは、2つの牽引ロータ(350)(トラクターとして知られる)を含む、他の実施形態に従った自由翼車両を例示する。牽引ロータ(350)は、各牽引ロータ(350)の力を差別的に制御することによって、または牽引ロータ(350)の1つの回転方向を逆にし、それによって他の牽引ロータ(350)に対して推力を負の推力に逆転させることによって、エアクラフトのヨー軸を制御するように構成されてもよく、さらに車両の空中停止中にヨーを制御するように構成されてもよい。自由翼(400)は、例えば車両本体(100)から目立たないように、車両本体(100)の上部、および牽引ロータ(350)の上に配置されてもよい。ペイロード自由翼(480)は、他の自由翼(400)よりも比較的大きくてもよく、および平衡器(450)を含んでもよい。ペイロード自由翼(480)は、パッケージ、コンテナ、センサー、または車両操作のための他の任意のペイロードタイプを保持するように構成されてもよい。図2Fに示されるように、ペイロード空間(470)は、ペイロード自由翼の一部に提供される。図2Aと2Bに例示されるこれらの車両の特徴は、構成要素の総重量よりも大きな揚力を提供し得る。
【0067】
他の実施形態では、1つ以上のコンテナ(470)が、ペイロード自由翼(480)の代わりに、車両の中央部分に提供されてもよい。図2Gに示されるように、複数のコンテナが提供されてもよく、およびドラグを減らすように空力的に形成されてもよい。
【0068】
例えば、コンテナ(470)は、車両に取り付けられた時に液体を収容および/または噴霧するように設計され、調節されてもよい。コンテナ(470)の断面図は図2Hに示される。コンテナ(470)は、1つ以上のパーティション(471)で区切られてもよい。パーティション(471)は、回転時でさえもコンテナ(470)の平衡を維持するように構成されてもよい。各パーティション(471)は、液体がセル間を一方向のみに、例えば噴霧器(475)が提供される場合はコンテナの中央部分の方へと流れることを可能にするために、下部部分の穴(476)および/またはリーフバルブ(472)を備えてもよい。噴霧器(475)には、コンテナ(470)から液体を噴霧するための小さな穴が提供されてもよい。第1の調整板(477)が設けられてもよく、およびコンテナ(470)に再充填または燃料補給するように構成されてもよく、かつ第2の調整板(478)が設けられてもよく、およびコンテナ(470)に再充填または燃料補給しながら空気を放出するように構成されてもよい。コンテナ(470)からの液体を噴霧するために、第1の調整板(477)は密封されてもよく、および第2の調整板(478)は、車両にあるコンプレッサーによって空気を注入するために使用されてもよい。注入された空気から生成された圧力は、液体を噴霧器(475)へと展開させる場合もある。
【0069】
図3Aは、分離翼(400)を有する自由翼クワッドロータを例示する。クワッドロータは、本体(100)に連結された4つのロータ(300)を含む。ペイロードコンテナ(470)が、本体(100)の下部部分に提供されてもよい。分離自由翼(400)は、空力の改善のための様々なメカニズムを含んでもよい。図3Bで示されるように、分離自由翼(400)は、揚力を提供するように構成され得る翼主本体(401)を含む。制御板(402)は、主本体(401)に連結されてもよく、および1つ以上の連結部材を介して主本体(401)の前方に配置されてもよい。制御板(402)は、空力的に翼形を最適化し、および効果的に翼(400)の縦横比を高めてもよい。制御板(402)はまた、翼のモーメントを高めるように、および/または提供される揚力に対して翼の総重量を減らすように設計されてもよい。重量平衡器(450)は、回転軸(410)のまわりで翼(400)を旋回させることによって、水平に翼(400)の平衡を保つように構成されてもよい。
【0070】
図3Cに示されるように、ペイロードコンテナ(470)が、本体(100)の底部分に沿って連続して配置されてもよい。空力の改善のための一連のペイロードコンテナの前と後ろの端部にアドオンが提供されてもよい。上記のコンテナ/コンポーネントキャリアのすべてのメカニズムは、異なるプラットフォームで使用可能であり、図面に示されるプラットフォームに限定されない。
【0071】
図4Aは、本体(100)の対向する長手方向側に突出する1対の自由翼(400)と、本体(100)に連結した4つのロータ(300)を有する自由翼クワッドロータを例示する。ロータ(300)の各々は、変化形体のピッチメカニズム(320)を有してもよい。翼(400)が図4Bで示されるように揚力を提供している一方で、変化形体のピッチメカニズム(320)は、図4Aに示されるように空中停止のために、かつ前進飛行のために(すなわち高ピッチ、高ロータ速度)ロータ(300)を最適化するように構成されてもよい。ピッチメカニズムは義務ではなく、電力消費、性能、および速度の改善を達成するために使用され得ることに留意されたい。ジンバルに支持されたカメラメカニズム(110)は、本体(100)の正面に取り付けられてもよい。図4Aと4Bに示されるように、カメラメカニズムは、車両が高いピッチまたは迎え角で配置される場合でさえも、飛行中に360度を提供するために設計され、配置されてもよい。
【0072】
図5Aは、本体(100)の対向する長手方向側に突出する1対の自由翼(400)と、本体(100)に連結した4つのロータ(300)を有する別の自由翼クワッドロータを例示する。翼ロックメカニズム(110)が提供されてもよく、および、本体(100)に対して固定角(例えば本体(100)に平行)で翼(400)をロックすることによって車両が完全な「水平モード」で操作可能なように構成されてもよい。そのような「水平モード」は、高速操縦中に、例えば特別なタスクまたは迎撃(interception)のために使用されてもよい。自由翼(400)は、本体(100)に収容されたメインコントローラアセンブリによって制御されるように構成された操縦面を装備してもよい。メインコントローラは、ピボット連結(412)のまわりで操縦面を移動させることができるように、操縦面に連結されたサーボまたはアクチュエーター(411)に有線または無線で信号を送ることにより、操縦面を制御してもよい。翼(400)が配線を傷つけることなく回転できるように、スリップリングアセンブリ(407)が翼(400)と本体との間に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、スリップリング(407)は、本体(100)にあるメインバッテリーへと、翼上に設けられた太陽パネルによって生成された電力を運んでもよい。メインコントローラからの信号が、1対のトランシーバーによってアクチュエーター(411)に伝達されてもよく、1つのトランシーバーは翼(400)上、もう1つは本体(100)にロックされてもよい。
【0073】
制御板が提供されてもよく、ロールとピッチを制御するように構成されてもよい。ロータ(300)はシャットダウンされてもよく、または必要であればこの飛行モードを援助するために電源を入れたままにしてもよい。追加の自由な、または制御された安定板(150)が、図5Bに示されるように、提供されてもよい。安定板(150)は、水平モードでヨーを制御し、前進飛行中に他のモードで援助し、空中停止またはVTOL飛行モードの間、ドラグを減らし、および/またはヨー軸での安定性と制御を強化するように構成されてもよい。
【0074】
図5Cに示されるように、安定板(150)はロックされてもよく、または本体(100)に固定されてもよい。安定板(150)は、ヨー運動量の平衡を保ち、および/または風、ロータ、または他のコンポーネントのドラグによって引き起こされたヨー運動量を克服するように構成されてもよい。図5Dに示されるように、電気・機械メカニズム(130)は、ロータ(300)とロータアームを本体(100)内に、またはそれに隣接して折りたたむことによって、ロータ(300)からの抗力を減らすために、本体(100)の下部表面上に提供されてもよい。折りたたみ位置または展開位置でのロータ(300)の位置決めは、メインコントローラによって、およびサーボモーターまたは他の任意の機械的コンポーネントを使用して、制御されてもよい。加えて、ロータ(300)は、減じられたまたは最小限のドラグに関係した角度でロックされるように構成されてもよい。
【0075】
図6は、本体(100)の対抗する長手方向側から突出する複数パーツ翼(400)、および本体(100)の前または後ろで本体(100)に連結されたクワッドロータ(300)を有する自由翼クワッドロータを例示する。押出しロータ(350)が、本体(100)の端部に提供されてもよい。自由翼(400)は、ピボット軸において共に連結された複数の翼部分を含んでもよく、各翼部分は平衡を保ってもよく、または保たなくてもよい。複数パーツ翼(400)は、例えば空中停止中の不安定な風力の事象において、依然として前進飛行のための揚力を提供しながら車両の安定性を高める場合もある。いくつかの実施形態では、複数パーツ翼(400)はまた、翼折りたたみ構成(図示せず)のために構成されてもよい。
【0076】
図7Aは、翼アシストを有する自由翼クワッドロータを例示し、自由翼(400)は本体(100)の対抗する長手方向側から突出し、およびクワッドロータ(300)は、本体(100)の前と後ろで本体(100)に連結されている。押出しロータ(350)が、本体(100)の端部に提供されてもよい。自由翼(400)の各々は、例えば上記のような完全な水平モードのために、翼(400)の動きを援助または制御し、または翼(400)をロックするように構成されたアクチュエーターまたはステッパーモーター(110)を含んでもよい。図7Bの拡大図に示されるように、ステッパーモーター(110)は翼(400)と本体(100)との間に提供されてもよい。小翼(460)が、翼(400)の各先端に提供されてもよく、およびドラグを減らし、かつクワッドロータ車両の効率を高めるように構成されてもよい。
【0077】
図8Aは、本体(100)の対向する長手方向側に突出する1対の自由翼(400)と、本体(100)に連結したクワッドロータ(300)を有する自由翼クワッドロータを例示する。中央自由翼(401)はペイロードのために構成されてもよく、および中央自由翼(401)の一部に提供されたロータ(110)によって安定させられてもよい。ロータ(110)の拡大図は図8Bに示される。ロータ(110)は、中央自由翼(401)を安定させるように構成されてもよく、およびロータ(300)よりも小さく、かつより低いエネルギー消費のロータを含んでもよい。ロータ(110)は、車両が前進飛行中に急角度に傾いている場合でさえも、中央自由翼(401)を水平に保つように構成されてもよい。ロータは、ステッパーモーターまたは他のアクチュエーターのような他の既知の機械的アクセサリとは異なり、自身の重量に対して大量の運動量を生成することができる場合もある。
【0078】
図9Aは、揚力メカニズム(760)とホイール(650)を装備した自動または有人のサービス車両(800)を例示する。VTOLドローンにとって正確な着陸は困難であるため、サービス車両(800)が全方向に操縦可能であり、および、上記の自由翼クワッドロータまたは車両に類似する空中輸送車両(1000)がその上にロックされ、かつ空中輸送車両(1000)を配置および/または移動するためのサービス車両(760)を操縦するのを可能にするように構成された光センサーを含んでもよく、および自動的に、空中車両を自動的に保全し、操作し、充電し、保護し、およびそこから物品を回収できることが必要とされている。サービス車両(760)と空中輸送車両(1000)の両方が、空中輸送車両(1000)がその上に取り付けられた時に互いに接触する導電面を有してもよい。そのような導電面は、サービス車両(760)の上に配置されている間、それに取り付けられた太陽パネルによって空中輸送車両(1000)を充電することができる場合もある。図9Bで示されるように、いくつかの実施形態では、サービス車両(760)はコンテナ(750)によって保護されてもよく、コンテナ(750)はさらに空中車両(1000)も保護してもよい。コンテナ(750)は、空中輸送車両(1000)のバッテリーとサービス車両自体を充電するように構成され得る太陽パネル(850)を有してもよく、それによって自己依存型になる。
【0079】
図9Cは、空中輸送車両(1000)のためのメンテナンスと着陸のためのエリアに関係する駐車場に配置された、一連の車両(800)を例示する。着陸した各空中輸送車両(1000)は、車両(800)によって、再充電と燃料補給のためにメンテナンス駐車場へと輸送され、および離陸のために着陸地に戻されてもよい。中央制御系(図示せず)は、ワイヤレスで全フリートを制御してもよい。図9Dは、太陽パネル(850)を有する車両(800)、および操縦コンポーネント(653)(658)の他の実施形態を例示する。
【0080】
図10Aは、自由翼車両の翼形(400)の断面図である。翼(400)は、最小限のドラグ迎え角で安定するまで、軸(428)のまわりを回転するように構成されてもよい。ベクトル(416)は、正面風条件で翼(400)によって提供される揚力の大きさと方向を例示する。軸(444)の上で制御板(432)が翼(400)に連結されている。ベクトル(418)は、正面風条件で制御板(432)によって提供される力の大きさと方向を例示する。サーボモーター(411)は、制御板(432)に連結される押出し棒(760)に連結される。ベクトル(423)は、車両の総重量の大きさと方向を例示する。迎え角(458)は、翼(400)のピッチ角を例示する。
【0081】
図10Bに示されるように、サーボモーター(411)は、制御板(432)を押し、かつ迎え角(458)を増加させるために、押出し棒(760)を押している。気流速度が維持されると、結果としてそのような動作が生じ、揚力ベクトル(416)を高める。図10Cは、大気風が背後からやってくる空中停止モードで起こり得る構成を例示する。そのような場合、最小限のドラグに到達するまで、自由翼(400)は反対側に回転する。制御板(432)を押し上げることによって揚力を高めるために、押出し棒(760)を引くのではなく押す必要があり、逆もまた然りである。
【0082】
図11は、本開示の1つ以上の態様に従った、把持機構に取り付けられた自由翼車両を例示する。
【0083】
いくつかのタイプのマルチロータと、翼を折りたたむための多くの方法が存在し、チューブ構造を有するファブリック翼のものもあれば、箱形構造を作り出し気圧に対して強くなる膨張したファブリックのものもある。いくつかの構造は、堅い入れ子式の翼形状であり、これは1つが他の内部にあり、電気テレスコピック自動車アンテナと同じ方法で展開することができる。
【0084】
それらの折りたたまれた翼は、ケーブルとアクチュエーターでそれらをねじることによって、またはハンググライダーで行われるようにアクチュエーターによって重心を移動させることによって、または特定の実施形態では補助翼によって、回転軸上で制御され得る。それはマルチロータによっても制御可能であるが、そのような構成はより多くのエネルギーを無駄にする。
【0085】
1つのマルチロータのタイプが図12Aに示され、ここでそれにはシャーシ(200)と、それに取り付けられた4つのロータ(300)と、垂直式にそれに取り付けられた押出しロータ(350)とが装備されている。この種のマルチロータは、空中停止中および/またはVTOL段階中に、上記のように、他のマルチロータと同様に4つ以上のロータを使用してシャーシを制御するが、前進飛行モードでは、マルチロータは、水平姿勢または他の一定角度で安定し、および押出しモーター(350)がエアクラフトの向きを変えて前進移動させ始める。
【0086】
いくつかの飛行速度を獲得した後のこの段階において、翼(400)は図12Bに示されるように展開され、マルチロータをもち上げる揚力を生成し、ここでロータ(300)の推力は、高度レベルを維持するために下げられてもよく、それによってエネルギーを節約することができる。空中停止またはVTOL位置へと減速して戻る場合、大気風が再び、マルチロータの飛行速度よりもより支配的になり、および風の強い状態でマルチロータを制御可能かつ安定させるために翼(400)が再度折りたたまれる。
【0087】
緩いファブリックは危険であり、および折りたたまれている間に抗力を生成しかねないため、ばねの柄(480)が翼の後縁のファブリックロール(fabric rolls)内部に提供され、翼構造に結び付けられてもよい。
【0088】
折たたみ翼に関する他の実施形態は、その内部に入れ子管構造を有するアコーディオン様の翼表面である。
【0089】
図13Aは、各翼上に3つのジョイントを有する翼を折りたたむ別の方法を示し、これは、放射状または直線状のアクチュエーターによって、水圧または空気圧ピストンによって、または電気モーターによって、滑車とケーブルを回転させることにより行うことができる。ファブリックを回収して巻く必要のないように、翼ファブリックは弾性であってもよい。別の方法は、作動ロータに巻き込まれるのを防ぐように折りたたむために、翼に沿って空気伝達エアコンプレッサーと渦巻きばねによって膨張させることができる膨張翼である。
【0090】
図14Aは、クワッドバーティカルロータ(300)、押出しロータ(350)、および自由翼(400)を有するドローンの実施形態を示す。(225)は、高風速で翼をロックし、および低速で解放する、機械的ロック/アンロックメカニズムである。図14Bには、アンロック状態の(225)が詳細に示される。(282)は自由翼軸である。(284)は、ブレーキパッド(286)を低風で開いておくばねである。(257)は、図14cに示されるように、高風速(107)で翼軸(282)上のブレーキ(286)を押している空力ペダルである。
【0091】
図15Aは、本開示の1つ以上の態様に従った拡張可能な自由翼クワッドロータ車両を例示する。図15Bは、引き込み構成にある図15Aの拡張可能な自由翼クワッドロータ車両である。
【0092】
ここで操縦装置が、様々なマルチロータ車両に関して記載される。以下の操縦装置は、上記の車両構成のいずれにも適用可能であり得る。
【0093】
図16は、本開示の1つ以上の態様に従った、自由翼車両用のアビオニクスシステムの系統図である。
【0094】
図17は、本開示の1つ以上の態様に従った、自由翼車両のモーター緊急事態のフローダイヤグラムである。図18は、本開示の1つ以上の態様に従った自由翼車両の翼チルトのフローダイヤグラムである。
【0095】
本明細書に記載される車両は、検出された条件に基づいて車両の特定のコンポーネントを修正または調節する操縦装置により作動し得る。操縦装置に関するプロセスフローが、下記の飛行状態に関してより詳細に記載される。
【0096】
基本的な飛行モードは移行状態を含む:地上モードから離陸(モーター/ロータを作動);離陸から空中停止(所定の高度または増加速度に到達);空中停止から飛行(押出し/牽引ロータを起動);飛行から空中停止(押出しロータを停止);空中停止から着陸(位置および所定の高度に到達、かつ0速度);着陸から空中停止(速度増加);着陸から地上(モーター/ロータを解除);離陸から着陸、および逆もまた然り(手動モードのみ、スロットルスティックで垂直速度の方向を変更)。
【0097】
地上モードは以下を含む:翼板に対する完全な制御、全センサーが完全に機能し、すべてのモーターを解除。
【0098】
離陸モードは以下を含む:垂直モーターのみがドローンを制御し安定させる;翼板が最大揚力状態でロックされる;垂直速度が許容するピッチロールとヨーのみが、位置を維持するために使用される;手動モードでは、スロットル位置が垂直速度を規定する;負の垂直速度が着陸モードに切り替える;および、あらかじめ規定された高度または速度>0に達すると空中停止に移行。
【0099】
空中停止モードは以下を含む:垂直モーターのみがドローンを制御し、かつ安定させる;翼板は、必要な垂直速度のための揚力を提供するために変更される;手動モードでは、ピッチスティックが押出しロータRPMを制御する;後進飛行時に反対側の翼板が制御を行い、および翼が反対方向に安定化される;
【0100】
飛行モードは以下を含む:押出しロータは、必要とされる速度のために推力を提供する;ピッチは最小限の抗力を提供するためにあらかじめ規定された角度にロックされる;翼板はロールと垂直速度を提供する;エネルギー節約のためにロータは最小速度;ロータがヨーとピッチを提供する;およびロータは、あらかじめ規定されたエラーに達すると、ロールと垂直速度で翼板を援助する。
【0101】
着陸モードは以下を含む:垂直モーターのみがドローンを制御し、かつ安定させる;翼板が最小揚力状態でロックされる;垂直速度のみがピッチロールとヨーを許容し、位置を維持するために使用される;手動モードでは、スロットル位置が垂直速度を規定する;正の垂直速度が離陸モードへ切り替える;速度>0に際し空中停止に移行;測定された飛行速度と高度=0、およびロータでの最小RPMに際し、地上に移行。
【0102】
固定翼を有するエアクラフトがさらに提供され、これは垂直離着陸の性能を有する。これは、上下軸のまわりを自由に動き、かつ垂直および水平エンジンによって駆動される翼の使用によって、定ピッチ角で水平に飛行する。一定の翼の使用によって、飛行に必要なエネルギーの少なくとも3分の2が節約される。一定の翼を有するエアクラフトは通常、共に堅く連結されるシャーシ、翼、およびエンジンから構築される。これは、翼のまわりの気流が揚力を生成するように、気流の方向にエアクラフトを適合させる。上昇または下降のために、車両はそのピッチ角を変更しなければならない。
【0103】
角度が鋭すぎると、人間がエアクラフト内を歩くのを妨げるため、ピッチ角は厄介である。カメラまたは荷物が置かれている場合、それらを安定させるいくつかの自由度を有する、エンジンおよびメカニズム等のいくつかの安定化デバイスが必要である。これらの安定化デバイスは複雑であり、かつエアクラフトに余分な重量を加える。本開示の態様は、方向転換の必要がない限り、上昇と下降の両方の間、エアクラフトが固定ピッチ角で水平に飛ぶことを可能にする特有の構造と特有の飛行操縦アルゴリズムを組み合わせる。これは、1つの重要な自由度を除外し、なぜなら空中撮影中にエアクラフトはまっすぐに飛行するが、物理的特徴に従ってその高度を変更しなければならないからである。
【0104】
本開示の態様は、エアクラフトの上昇と下降の両方において、固定翼を有するエアクラフトの定ピッチ角での飛行を可能にする。これは、水平軸のまわりを自由に回転する翼により可能である。横移動を除き、これはすべての方向に適合可能であり、その方向に前進して揚力を生成する。
【0105】
エアクラフトは、3つ以上の垂直エンジンが堅く取り付けられているシャーシから構成されてもよい。これらのエンジンは、エアクラフトの重量よりも大きな推力を生成し、多翼式エアクラフトと同様に、垂直離着陸と空中での空中停止を可能にする。前進飛行の間、それらはエアクラフトの重量の一部を支えることができ、他方で水平軸のまわりを移動する自由翼は、エアクラフトの重量のほとんどを支える揚力を生成する。これは、1つ以上の水平エンジンにより可能であり、水平エンジンはエアクラフトを前に押す、または引っ張る。エアクラフト内部の飛行操縦デバイスとセンサーは、エアクラフトの操縦と監視を行なう。翼上でエアクラフトの重量を支えることで、エネルギー需要の最大3分の1を節約する。翼は、各翼の取り付け角度を個別に制御する1対の操縦面を装備していてもよく、したがってそれら各々の揚力を上昇または下降させ、これによって、垂直エンジンの無駄なローリング性能とは異なり、エアクラフトの上昇と下降、およびエアクラフトのローリングを経済的に制御することを可能にする。
【0106】
前進飛行の間、シャーシを垂直に保つことは、水平軸のまわりを自由に回る翼により達成される。これによって、それはすべての方向に適合可能であり、その方向に移動して揚力を生成する。それが本体に固定されると、速度成分が上から来る場合に揚力のいくらかを失うだろう。垂直エンジンの速度成分、水平エンジンの成分、およびシャーシに固定された場合に翼に影響する成分の合計は、翼の下に乱流を形成し、そして揚力が消えるだろう。エアクラフトが上昇している場合、翼は流れ方向に旋回し、揚力を生成する。エアクラフトが着陸しようとしている場合、翼は下向きになり、速度成分全体が揚力を維持する。
【0107】
エアクラフトのアルゴリズムと操縦装置は、その特別な形態と操作技術ゆえに特有である。地上にある場合、まばらな(sporadic)翼がいくらかの揚力を生成して意図せずにエアクラフトを上昇させないように、翼の操縦面はニュートラルポジションにある。離陸中に垂直エンジンは、低速飛行する場合に、エアクラフトの重量より低いいくらかの揚力を提供する位置まで操縦面が上昇を始めるまで、最小推力で動作を開始する。操縦面を上げる手順が終了するとはじめて、垂直エンジンは推力を上昇させ続け、そしてエアクラフトをもち上げる。
【0108】
離陸と空中停止モード中に、垂直エンジンは、多翼式エアクラフトのように、特定の大気速度まで、飛行高度および地面に対するエアクラフトの位置を含むすべての軸においてエアクラフトを安定させ、なぜならこの制御は、押出しエンジンがそれを行う能力よりもより素早く、より機敏であるからである。エンジンがエアクラフトの重量に等しい推力を生成すると、エアクラフトは空気中に空中停止する。推力がエアクラフトの重量より大きいと、エアクラフトは上昇し、および推力がより小さいと、エアクラフトは下降する。風が強い場合、翼は揚力を生成し、高度を維持する必要が場合に垂直エンジンからのエネルギーを保存する。
【0109】
前進飛行時に、エアクラフトを安定させ向きを変えさせるために異なるピッチ位置が必要な場合、水平エンジンが作動し、およびエアクラフトは定ピッチ位置へと移動する。翼が揚力を生成し始めると、エアクラフトがローリング軸に向けられ、垂直エンジンはローリング軸またはピッチング軸にエアクラフトを向けるのを止め、およびそれらの主機能は、方向安定板がない場合のエアクラフトの方向転換のために、および操縦の問題がある場合に操縦の援助を行うために、シャーシのピッチ角を判定して保全するためのものである。水平に飛行している間に、およびエンジンの機能停止による問題がある場合に、垂直エンジンを援助するために高度安定板を加えることが可能である。エアクラフトが高度を蓄積すると、翼は揚力を生成し、全般的な揚力とエアクラフトの上昇に寄与する。上昇を止めるために、シャーシのピッチの固定角での制御を可能にする最小推力へとエンジン推力を低下させる。エアクラフトが依然として上昇している場合、翼上の揚力は操縦面により減らされる必要がある。
【0110】
前進速度は、水平エンジンにおいて推力により制御される。エアクラフトの速度が増すにつれて、翼上の揚力も増し、垂直エンジン推力が既に最小であり、かつエアクラフトが依然として上昇している場合、操縦面を用いて迎え角を減らすことによって翼上の揚力を減少させる必要がある。空中停止時に、水平エンジンはエアクラフトが減速するまで推力を停止し、他方で垂直エンジンと翼上の揚力により高度制御が行われる。気流速度0では、すべての揚力は垂直エンジンのみによって供給され、次に車両の位置と状態の制御が、これらのエンジンのみによって行なわれる。
【0111】
風がある場合、翼操縦面は、エアクラフトのローリングを安定させるために常に作動していてもよい。後進飛行は垂直エンジンによって行われるが、この状況において翼は向きを変え、および気流が下方への力を生成し、垂直エンジンへの重い負荷となってエアクラフトを衝突の危険にさらす。この状況を防ぐために、操縦面は、翼の下部へと方向を変化させ、すなわち翼がこの状況にある場合には上向きであり、それによって正の迎え角が生成されて、揚力を上向きに変化させる。この状況では、操縦面は依然として、ローリングレベルでエアクラフトを安定させるために機能する。エアクラフトの人間による制御が必要な場合、制御は各々2つの自由度を有する2つのスティックのみによって行なわれ、エアクラフトを制御するフライトコンピュータに命令を送る。
【0112】
集中化された1つのスティックの上下軸は、シャーシのピッチ角によってエアクラフトの速度と位置を制御する。それを前方に押し始めることによって、その速度に到達するまで、または垂直エンジンがエアクラフトのシャーシのピッチ角を変更して固定する特定のピッチ角まで、まず垂直エンジンを制御し、そして次に押出しエンジンが作動を初めて推力を生成する。この段階において、コンピュータは定ピッチ角を制御し、以後、速度はこのスティックを押すことにより制御される。スティックがその移動の端に達すると、最大速度に到達する。スティックが中央に戻されると、特定の点から、押出しエンジンが作動を停止し、およびエアクラフトは再び垂直エンジンによって制御される。遅延と拒絶がこれらの動作に統合されてもよい。
【0113】
このスティックの水平軸は、低速で垂直エンジンを、および翼が適切な揚力を生成する速度で翼操縦面を作動させることによって、エアクラフトのローリングを制御する。第2のスティックの上下軸は、垂直エンジンと翼の揚力を制御する。エアクラフトが前進飛行している時、第2の軸の水平軸は、エアクラフトの回転を制御し、これは垂直エンジン、および/またはシャーシあるいは翼に連結された方向安定板によって行われる。エアクラフトが水平に飛行している時、垂直エンジンは、方向安定板がないため、主として揚力と旋回を提供するように計画される。このように、エアクラフトは、そのエネルギー消費を効率化する強い空気力を使用している。
【0114】
これらの垂直エンジンは、いくつかの操縦問題が生じた場合に、水平飛行中に操縦面に接合するように計画される。自由翼の操縦面の制御は必要ではないが、エネルギー効率を改善し、かつ滑らかで快適なフライトのためのエアクラフトの制御を可能にする。多数の変数ゆえに、垂直エンジンと水平エンジンと翼操縦面を組み合わせて制御を行う可能性があり、その結果、抗力と比較した揚力と一般的なエネルギー使用量は特定の速度で最小であり、これはエアクラフトが一定高度で飛行している時に計算された。
【0115】
前述の記述は、網羅的なもの、または本発明の実施形態を開示された明確な形態に制限するものとは意図されず、および修正と変形が上記の教示に照らして可能であり、または様々な実施形態の実施から得られる場合もある。本明細書で論じられる実施形態は、当業者が様々な実施形態および熟慮された特定の使用に適した様々な修正を用いて本発明を利用できるように、様々な実施形態の原理と性質を説明するために選択され、記載される。本明細書に記載される実施形態の特徴は、方法、装置、モジュール、システム、および機械可読記憶装置のすべての可能な組み合わせで組み合わされてもよい。上記の実施形態からの特徴の、何らかのまたはすべての置き換えは、本発明の範囲内である。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図1h
図1i
図1j
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図5d
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図9c
図9d
図10a
図10b
図10c
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
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図19
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図30B
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