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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】伸縮トレー固定装置及び固定方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20221220BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B65H1/04 310C
B65H1/26 310N
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022003638
(22)【出願日】2022-01-13
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】堀井 祐二
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/194503(WO,A1)
【文献】特許第3600407(JP,B2)
【文献】特開平08-301461(JP,A)
【文献】特開平06-144598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/04
B65H 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トレー及び第2トレーを有しかつこれらトレーが重なり合いスライドすることで全体の長さを変更可能な伸縮トレーを固定する伸縮トレー固定装置であって、
前記第2トレーの底面に沿う梁部と、該梁部と一体に設けられて該第2トレーの縁をなす壁部に沿うつまみ部とからなるラッチと、
前記ラッチの梁部の先端位置に設けられて、前記2つのトレーを共に貫通する貫通孔に挿抜される爪部と、
弾性変形可能な構成材料からなりかつ前記ラッチのつまみ部に接続されて、作業者の指先操作により、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔から挿抜させるラッチ操作部と、を有し、
前記ラッチ操作部は、作業者の指先操作により前記ラッチのつまみ部を前記トレーの壁部側に押込んでその構成材料を弾性変形させた場合に、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔から離間させ、また、作業者の指先を離す操作をした場合に、前記弾性変形した構成材料を元の形状に復帰させて、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔に挿入させることを特徴とする伸縮トレー固定装置。
【請求項2】
前記ラッチは、前記第2トレーの底面に位置する水平軸を中心として前記梁部が上下に揺動自在に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮トレー固定装置。
【請求項3】
前記ラッチは、長尺に形成された前記梁部と、短尺に形成された前記つまみ部とからなり、全体としてL字状をなすことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の伸縮トレー固定装置。
【請求項4】
前記ラッチ操作部は前記ラッチと一体に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の伸縮トレー固定装置。
【請求項5】
前記ラッチ操作部は前記ラッチと別体に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の伸縮トレー固定装置。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記第2トレーに1つ形成された共通トレー孔と、前記第2トレーに間隔をおいて形成された複数の個別トレー孔とからなり、これら共通トレー孔及び一個別トレー孔の軸線が一致することで当該貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の伸縮トレー固定装置。
【請求項7】
前記ラッチ操作部は前記ラッチの形状に合わせたL字状に形成されており、前記ラッチの梁部に沿う固定部と、前記ラッチのつまみ部に沿う起立部とを有し、
前記起立部の先端には弾性変形可能な折曲部が設けられるとともに、該折曲部の内側に前記ラッチのつまみ部が接続されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の伸縮トレー固定装置。
【請求項8】
前記ラッチ操作部は前記ラッチの梁部に沿うように配置された固定部が前記第2トレーの底面上に固定されていることを特徴とする請求項7に記載の伸縮トレー固定装置。
【請求項9】
前記第1トレー及び第2トレーには、スライド方向に沿うように形成される案内レールと、該案内レールに沿って移動する案内ピンとを有するスライド手段が設けられていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の伸縮トレー固定装置。
【請求項10】
第1トレー及び第2トレーを有しかつこれらトレーが重なり合いスライドすることで全体の長さを変更可能な伸縮トレーに設けられ、
前記第2トレーの底面に沿う梁部と、該梁部と一体に設けられて該第2トレーの縁をなす壁部に沿うつまみ部とからなるラッチと、
前記ラッチの梁部の先端位置に設けられて、前記2つのトレーを共に貫通する貫通孔に挿抜される爪部と、
弾性変形可能な構成材料からなりかつ前記ラッチのつまみ部に接続されて、作業者の指先操作により、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔から挿抜させるラッチ操作部と、を有する伸縮トレー固定装置における伸縮トレー固定方法であって、
前記第2トレーの底面に沿う梁部と、該第2トレーの縁をなす壁部に沿うつまみ部とからなるラッチを設ける工程と、
前記ラッチの梁部の先端位置に、前記2つのトレーを共に貫通する貫通孔に挿抜される爪部を設ける工程と、
弾性変形可能な構成材料からなりかつ前記ラッチのつまみ部に接続されて、作業者の指先操作により、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔から挿抜させるラッチ操作部を設ける工程と、を有し、
前記ラッチ操作部は、作業者の指先操作により前記ラッチのつまみ部を前記トレーの壁部側に押込んでその構成材料を弾性変形させた場合に、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔から離間させ、また、作業者の指先を離す操作をした場合に、前記弾性変形した構成材料を元の形状に復帰させて、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔に挿入させることを特徴とする伸縮トレー固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用用途に応じて2つのトレーの長さを調整することができる伸縮トレー固定装置及び固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、スキャナー等の単票用紙に対して印刷、読み取り等の処理を行う装置に用いられて用紙を供給する給紙装置では、用紙の大きさに応じてトレーの用紙収納スペースを自在に縮小又は拡大することができる機構を備えたいわゆる伸縮トレーを使用することがある。
このような伸縮トレーは、トレーを縮めた状態、又は伸ばした状態のそれぞれで固定する固定装置を有する。
【0003】
例えば、特許文献1に示される給紙カセットでは、カット紙が収納されるカセット本体に、該カセット本体と別体に設けられたスライドカセットが重ね合わされかつスライド自在に配置される構成とされている。
そして、この給紙カセットでは、カセット本体とスライドカセットとの間に固定部が設けられている。
この固定部は、カセット本体とスライドカセットとの対向面においてスライド方向に間隔をおいて複数の凹部を配置するとともに、これら凹部の一つに選択的に嵌合させる凸部を設けることで、カット紙のサイズに応じて、カセット本体の紙収納空間の大きさを調整可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平06-144598号公報
【文献】実開平04-132766号公報
【文献】実開平02-103032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に示される給紙カセットでは、固定部において凹部と凸部との嵌合位置を調整するに際して、カセット本体からスライドカセットを上下方向に離間させる必要があり、位置調整のためのスペースを必要とする。
しかしながら、上記のような給紙カセットは、限られた狭い空間に設置せざるを得ないことがあるため、カセット本体に対するスライドカセットの固定又は固定解除の操作を行うための作業空間を確保し、あるいは、作業空間確保についての配慮から、装置の設置場所の制限されることがあった。
【0006】
なお、上記固定部については、特許文献2に示されるストッパ及び位置決め孔を用いた関連構成がある。また、用紙の収納スペースの調整については特許文献3に示される長さサイズ規制機構を用いた関連構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1に示される給紙カセットでは、これら特許文献2及び3の関連構成を組み合わせたとしても、カセット本体に対するスライドカセットの固定又は固定解除の操作を簡易に行わせることができず、この点において改善が期待されていた。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、片手だけの簡単な操作でトレーの固定及び固定解除を行うことが可能で、かつ部品点数を必要最小限に抑えることで省スペース化及びコスト削減が可能な伸縮トレー固定装置及び固定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1態様に示す伸縮トレー固定装置では、第1トレー及び第2トレーを有しかつこれらトレーが重なり合いスライドすることで全体の長さを変更可能な伸縮トレーにおいて、前記第2トレーの底面に沿う梁部と、該梁部と一体に設けられて該第2トレーの縁をなす壁部に沿うつまみ部とからなるラッチと、前記ラッチの梁部の先端位置に設けられて、前記2つのトレーを共に貫通する貫通孔に挿抜される爪部と、弾性変形可能な構成材料からなりかつ前記ラッチのつまみ部に接続されて、作業者の指先操作により、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔から挿抜させるラッチ操作部と、を有し、前記ラッチ操作部は、作業者の指先操作により前記ラッチのつまみ部を前記トレーの壁部側に押込んでその構成材料を弾性変形させた場合に、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔から離間させ、また、作業者の指先を離す操作をした場合に、前記弾性変形した構成材料を元の形状に復帰させて、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔に挿入させることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2態様に示す伸縮トレー固定方法では、第1トレー及び第2トレーを有しかつこれらトレーが重なり合いスライドすることで全体の長さを変更可能な伸縮トレーにおいて、前記第2トレーの底面に沿う梁部と、該第2トレーの縁をなす壁部に沿うつまみ部とからなるラッチを設ける工程と、前記ラッチの梁部の先端位置に、前記2つのトレーを共に貫通しかつ所定の間隔をおいて配置された複数の貫通孔に挿抜される爪部を設ける工程と、弾性変形可能な構成材料からなりかつ前記ラッチのつまみ部に接続されて、作業者の指先操作により、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔から挿抜させるラッチ操作部を設ける工程と、を有し、前記ラッチ操作部は、作業者の指先操作により前記ラッチのつまみ部を前記トレーの壁部側に押込んでその構成材料を弾性変形させた場合に、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔から離間させ、また、作業者の指先を離す操作をした場合に、前記弾性変形した構成材料を元の形状に復帰させて、前記ラッチの梁部先端の爪部を前記トレーの貫通孔に挿入させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、操作者の片手指先だけの簡単な操作で、伸縮可能な第1トレー及び第2トレーの固定及び固定解除を行うことが可能となり、かつ簡易な構成要素により部品点数を必要最小限に抑えて省スペース化及びコスト削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る伸縮トレー及び伸縮トレー固定装置の最小構成を示す概略図であって、(A)~(C)は動作の段階を示している。
図2】本発明の実施形態を示す図であって、(A)は本発明に係る伸縮トレー及び伸縮トレー固定装置の平面図、(B)は図(A)のX-X線に沿う断面図である。
図3図2(A)の斜視図を示している。
図4図3の伸縮トレー固定装置を示す斜視図である。
図5図3及び図4の伸縮トレー固定装置の動作を示す斜視図である。
図6】長さを伸ばした伸縮トレーを示す図であって、(A)は平面図、(B)は図(A)のY-Y線に沿う断面図である。
図7】ラッチのつまみ部をトレーの壁部側に押込んだ場合の正断面図である。
図8】長さを伸ばした伸縮トレーの平面図である。
図9】(A)はラッチのつまみ部を指先で押した場合、(B)はラッチのつまみ部から指先を離した場合の正断面図である。
図10】本発明の実施形態の変形例を示す図であって、(A)は伸縮トレー及び伸縮トレー固定装置の平面図、(B)は図(A)のZ-Z線に沿う断面図である。
図11図10に示す伸縮トレー固定装置の動作を示す断面図であって、(A)は固定パターン1を示す図、(B)は固定パターン2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る伸縮トレー固定装置Sの最小構成について図1(A)~(C)を参照して説明する。
本発明が適用される伸縮トレー10は、図1(A)に示すように第1トレー10A及び第2トレー10Bを有しかつこれらトレー10A,10Bが重なり合い互いに矢印a方向にスライドすることで全体の長さが変更可能な構成とされる。
【0013】
この伸縮トレー10には、ラッチ1、爪部2及びラッチ操作部3を有する伸縮トレー固定装置Sが具備される。
ラッチ1は、第2トレー10Bの底面に沿う梁部4と、該梁部4と一体に設けられて第2トレー10Bの縁をなす壁部10Hに沿うつまみ部5とからなる。
爪部2は、ラッチ1の梁部4の先端位置に設けられかつトレー10A,10Bを貫通するトレー孔6に挿抜される(図1(A)~(C)参照)。
【0014】
なお、本例に示されるトレー孔6は、第1トレー10Aにスライド方向(矢印a方向)に間隔をおいて形成されたトレー孔6A,6Bと、第2トレー10Bに形成されたトレー孔6Eとからなり、第1トレー10Aに対して第2トレー10Bがスライドすることで、第2トレー10Bのトレー孔6Eが、第1トレー10Aのトレー孔6A/6Bと選択的に接続される(図1(A)~(C)参照)。
また、図1(A)及び(B)では、第2トレー10Bのトレー孔6Eが、第1トレー10Aのトレー孔6Aと接続されて、トレー10A,10Bを共に貫通する貫通孔7が形成されることが示されている。
【0015】
ラッチ操作部3は、弾性変形可能な構成材料からなりかつラッチ1のつまみ部5に接続されて、作業者の指先操作により、ラッチ梁部4の先端の爪部2をトレー10A,10Bの貫通孔7から挿抜させる(図1(A)及び(B)参照)。
具体的には、このラッチ操作部3は、作業者の指先操作によりラッチ1のつまみ部5をトレー10A,10Bの壁部10H側に押込んでその構成材料を弾性変形させた場合に、ラッチ梁部4の先端の爪部2をトレー10A,10Bの貫通孔7から離間させることができる(図1(B)参照)。
また、このラッチ操作部3は、作業者の指先を離す操作をした場合に、弾性変形した構成材料を元の形状に復帰させて、当該爪部2をトレー10A,10Bの貫通孔7/7´に挿入させることができる(図1(A)及び(C)参照)。
【0016】
以上説明した本発明の最小構成に係る伸縮トレー固定装置Sでは、ラッチ操作部3において、ラッチ1のつまみ部5をトレー10A,10Bの壁部10H側に押込む指先の操作(図1(B)に矢印b1で示す操作)を行なうことで該ラッチ操作部3の構成材料を弾性変形させた場合に、ラッチ梁部4の先端の爪部2を、トレー10A,10Bの貫通孔7から離間させることができる(爪部2の移動を矢印b2で示す)。
【0017】
この状態では、ラッチ1の梁部4の先端の爪部2がトレー10A,10Bの貫通孔7から一部外れているので、第1トレー10A及び第2トレー10Bが互いにスライド可能となって、用紙の大きさに応じてトレー全体の長さを調整することができる(図1(B)参照)。
また、ラッチ操作部3から指先を離す操作を行なった場合には、弾性変形した構成材料が原形に復帰することで、図1(C)に符号b3で示すように、ラッチ梁部4の爪部2を、スライド後のトレー10A,10Bの貫通孔7´に挿入させることができる。
【0018】
なお、図1(C)では、トレー10A,10Bの長さ調整後において、第2トレー10Bのトレー孔6Eが、第1トレー10Aのトレー孔6Bと接続されて、トレー10A,10Bを共に貫通する貫通孔7´が形成された例が示されている。
これにより、トレー全体の長さを調整された後の第1トレー10A及び第2トレー10Bが、再度、ラッチ1により互いに固定されることになる(図1(C)参照)。
【0019】
すなわち、本発明の最小構成に係る伸縮トレー固定装置Sでは、操作者の片手指先だけの簡単な操作で、伸縮可能な第1トレー10A及び第2トレー10Bの固定及び固定解除を行うことが可能となり、かつ簡易な構成要素により部品点数を必要最小限に抑えてコスト削減が可能となる。
また、本発明の最小構成に係る伸縮トレー固定装置Sでは、第1トレー10A及び第2トレー10Bの固定及び固定解除に際してトレー10A,10Bの上下移動を必要としないので、全体構成の省スペース化を図ることも可能となる。
【0020】
(実施形態)
本発明の一実施形態に係る伸縮トレー固定装置S1の構成について図2図11を参照して説明する。
一実施形態に示される伸縮トレー100は、図2(A)(B)及び図3に示すように第1トレー100A及び第2トレー100Bを有している。
第1トレー100Aはベースとなるトレーである。第2トレー100Bは第1トレー100Aの上面に重なり合いかつ矢印A方向にスライド可能に設けられており、同方向へのスライドにより伸縮トレー100全体の長さを変更可能とする。
【0021】
また、第1トレー100A及び第2トレー100Bにはスライド手段20が設けられている。
このスライド手段20は、第2トレー100Bを貫通しかつスライド方向となる矢印A方向に沿うように形成された案内レール21と、案内レール21に沿って移動する案内ピン22と、第1トレー100A上に固定されて該案内ピン22を保持するピン支持部材23とからなる。
そして、このようなスライド手段20では、案内レール21に沿って案内ピン22が相対移動することで、第1トレー100A上において第2トレー100Bを矢印A方向にスライド可能となる。
なお、本例のスライド手段20は3セット設置されているが、少なくとも2セット以上の複数セット設置することが好ましい。
【0022】
この伸縮トレー100には、ラッチ11、爪部12及びラッチ操作部13を有する伸縮トレー固定装置S1が具備される。
ラッチ11は、図4に詳細に示すように、第2トレー100Bの底面に沿う梁部14と、該梁部14と一体に設けられて第2トレー100Bの縁をなす壁部100Hに沿うつまみ部15とが、曲げ部16を介して一体の部材として形成されて移動可能とされた構造である。
【0023】
なお、本例のラッチ11では、梁部14が長尺に、つまみ部15が短尺となるようにそれぞれ形成されており、曲げ部16を介して全体としてL字形状となるように一体成型されている。
また、このラッチ11は、図4及び図5に示すように、第2トレー100Bの底面に位置する曲げ部16内の水平軸(符号16Aで示す)を中心として、つまみ部15及び梁部14が上下方向に揺動自在とされている。
また、このラッチ11のつまみ部15の高さは、該つまみ部15が設置される第2トレー100Bの壁部100Hの高さとほぼ同程度に形成されている。
なお、第2トレー100Bの壁部100Hは、第2トレー100Bの底面に対して垂直となる位置関係に配置されている。
【0024】
また、ラッチ爪部12は、ラッチ梁部14における下部先端位置に設けられており、トレー100A、100Bを貫通するトレー孔17に対して挿抜可能に配置される。
トレー孔17は、第1トレー100Aにスライド方向(矢印A方向)に間隔をおいて個別に形成された複数のトレー孔17A,17B(本例では2つ)と、第2トレー100Bに形成された共通のトレー孔17Eとからなる。
【0025】
そして、上記のような伸縮トレー100では、第1トレー100Aに対して第2トレー100Bが矢印A方向にスライドすることで、第2トレー100Bのトレー孔17Eが、第1トレー100Aのトレー孔17A又は17Bのいずれかに選択的に接続される(図6図9を参照)。
具体例として、図6及び図7には、第2トレー100Bのトレー孔17Eが、互いに軸線が一致するように第1トレー100Aのトレー孔17Aと接続されることによって、トレー100A,100Bを共に貫通して連続する一体の貫通孔D1が形成されることが例示されている。
また、図8及び図9では、第2トレー100Bのトレー孔17Eが、互いに軸線が一致するように第1トレー100Aのトレー孔17Bと接続されることによって、トレー100A、100Bを共に貫通して連続する一体の貫通孔D2が形成されることが例示されている。
【0026】
ラッチ操作部13は、弾性変形可能な構成材料からなりかつラッチ11のつまみ部15に接続されて、作業者の指先操作により、ラッチ梁部14の先端の爪部12をトレー100A,100Bの貫通孔D1/D2から挿抜させる。
具体的には、ラッチ操作部13は、図4に詳細に示すようにラッチ梁部14に沿う固定部30と、ラッチ11のつまみ部15に沿う起立部31とを有し、これら固定部30及び起立部31を接続する曲げ部32を介して全体がL字形状となるように一体成型されている。
【0027】
固定部30は、ラッチ梁部14を挟むように該梁部14の両側に位置し、ビス、ボルト(図示略)等からなる固定手段30Aにより取付孔30Bを経由して第2トレー100B上に固定されている(図4及び図5参照)。
起立部31の高さは、ラッチ11のつまみ部15と同様、第2トレー100Bの壁部100Hの高さとほぼ同程度に形成されている。
起立部31の先端には弾性変形可能な折曲部33が設けられるとともに、該折曲部33の内側にラッチ11のつまみ部15が接続されている。
【0028】
そして、このようなラッチ操作部13では、作業者の指先操作により折曲部33を弾性変形させつつ、ラッチ11のつまみ部15を第2トレー100Bの壁部100H側に押込んだ場合に、ラッチ梁部14の先端の爪部12を、トレー100A,100Bの貫通孔D1/D2から離間させることができる。
さらに、このラッチ操作部13は、折曲部33から作業者の指先を離す操作をした場合に、弾性変形した当該折曲部33を元の形状に復帰させて、当該爪部12をトレー100A,100Bの貫通孔D1/D2に挿入させることができる(図7図9を参照して後述する)。
【0029】
以上説明した本実施形態に係る伸縮トレー固定装置S1では、ラッチ操作部13の折曲部33において、ラッチ11のつまみ部15をトレー100A,100Bの壁部100H側に押込む指先の操作(図7に矢印B1で示す指先Uの操作)を行ない、該ラッチ操作部13の構成材料を弾性変形させた場合に、ラッチ梁部14の先端の爪部12を、トレー100A,100Bの貫通孔D1から離間させることができる(爪部12の移動を矢印B2で示す)。
【0030】
この状態では、ラッチ梁部14の先端の爪部12がトレー100A,100Bの貫通孔D1から外れているので、伸縮トレー100の動作制限が解除される。
これにより、第1トレー100A及び第2トレー100Bが互いにスライド可能となって、用紙の大きさに応じて、トレー全体の長さを調整することができる(図6及び図8参照)。
また、ラッチ操作部13から指先Uを離す操作を行なった場合には、弾性変形した構成材料が原形に復帰することで、図9(A)(B)に符号B3で示すように、ラッチ梁部14の爪部12を、スライド後のトレー100A,100Bの貫通孔D2に挿入させることができる。
これにより、トレー全体の長さを調整された後の第1トレー100A及び第2トレー100Bが、再度、ラッチ11により互いに固定されることになる(図9(B)参照)。
【0031】
すなわち、実施形態に係る伸縮トレー固定装置S1では、操作者の片手指先Uだけの簡単な操作で、伸縮可能な第1トレー100A及び第2トレー100Bの固定及び固定解除を行うことが可能となり、かつ簡易な構成要素により部品点数を必要最小限に抑えてコスト削減が可能となる。
また、上記伸縮トレー固定装置S1では、第1トレー100A及び第2トレー100Bの固定及び固定解除に際してトレー100A,100Bの上下移動を必要としないので、全体構成の省スペース化を図ることも可能となる。
その結果、上記伸縮トレー固定装置S1では、10mm程度の厚みで拡縮可能な薄型のトレーを簡単な構造で実現することができる。
【0032】
(変形例1)
上記実施形態に示す伸縮トレー100では、第1トレー100Aにスライド方向(矢印A方向)に間隔をおいて2つのトレー孔17(17A,17B)を設けたが、その数は2つに限定されない。
例えば、図10及び図11に示される伸縮トレー100では、第1トレー100Aにて、スライド方向(矢印A方向)に4つのトレー孔17´(17A~17D)が一定の間隔をおいて設けられている。
【0033】
これにより、上記伸縮トレー100では、図10(B)に示すように第2トレー100Bのトレー孔17Eが、第1トレー100Aのトレー孔17Aと軸線が一致するように接続されることで、トレー100A,100Bを共に貫通する貫通孔D3を形成することが例示されている。
また、上記伸縮トレー100では、図11(A)に示すように第2トレー100Bのトレー孔17Eが、第1トレー100Aのトレー孔17Bと軸線が一致するように接続されることで、トレー100A,100Bを共に貫通する貫通孔D4を形成することが例示されている。
また、上記伸縮トレー100では、図11(B)に示すように第2トレー100Bのトレー孔17Eが、第1トレー100Aのトレー孔17Cと軸線が一致するように接続されることで、トレー100A,100Bを共に貫通する貫通孔D5を形成することが例示されている。
【0034】
その結果、図10及び図11に示す伸縮トレー100では、トレー100A,100Bの長さを多段階に設定することができ、様々な用紙に対応することができる。
【0035】
(変形例2)
上記実施形態では、第2トレー100Bとラッチ11の曲げ部16との接線上に位置する水平軸16A(図4参照)を中心として、当該ラッチ11を揺動自在とした。この水平軸16Aは実態のある軸体で構成してラッチ11を回転自在に支持するようにしても良い。
【0036】
(変形例3)
上記実施形態では、ラッチ操作部13の折曲部33が、ラッチ11のつまみ部15に接続するように設置した。このときラッチ操作部13とラッチ11とは同一部材により一体に成型しても良いし、別体に設けても良い。
【0037】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、使用用途に応じて2つのトレーの長さを自在に縮小又は拡大することができる伸縮トレー固定装置及び固定方法に関する。
【符号の説明】
【0039】
1 ラッチ
2 爪部
3 ラッチ操作部
4 梁部(ラッチ梁部)
5 つまみ部
6 トレー孔
6A トレー孔
6B トレー孔
6E トレー孔
7 貫通孔
7´ 貫通孔
10 伸縮トレー
10A 第1トレー
10B 第2トレー
10H 壁部
11 ラッチ
12 爪部(ラッチ爪部)
13 ラッチ操作部
14 梁部
15 つまみ部
16 曲げ部
17 トレー孔
17´ トレー孔
17A トレー孔
17B トレー孔
17C トレー孔
17D トレー孔
17E トレー孔
20 スライド手段
21 案内レール
22 案内ピン
30 固定部
31 起立部
32 曲げ部
33 折曲部
100 伸縮トレー
100A 第1トレー
100B 第2トレー
100H 壁部
D1 貫通孔
D2 貫通孔
D3 貫通孔
D4 貫通孔
D5 貫通孔
S 伸縮トレー固定装置
S1 伸縮トレー固定装置
【要約】
【課題】本発明は、片手だけの簡単な操作でトレーの固定及び固定解除を行うことが可能で、部品点数を必要最小限に抑えることでコスト削減が可能で、かつ省スペース化を図った伸縮トレー固定装置及び固定方法の提供を目的とする。
【解決手段】弾性変形可能な構成材料からなりラッチ1の梁部4に接続されて、作業者の操作によりラッチ梁部4の爪部2をトレー10A,10Bの貫通孔7から挿抜させるラッチ操作部3を有し、ラッチ操作部3は、指先の操作によりラッチ梁部4をトレー10A、10Bの壁部10H側に押込んで構成材料を弾性変形させた場合に、ラッチ梁部4の爪部2をトレー10A、10Bの貫通孔7から離間させ、指先を離すと弾性変形した構成材料を元の形状に復帰させ、ラッチ梁部4の爪部2をトレー10A、10Bの貫通孔7に挿入させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11