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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】脱気装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 31/04 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
B65B31/04 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022544540
(86)(22)【出願日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 JP2021030576
(87)【国際公開番号】W WO2022044993
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2020141716
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520209853
【氏名又は名称】朝日産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】辻本 周平
(72)【発明者】
【氏名】中西 徹
(72)【発明者】
【氏名】木下 修佐
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-3766(JP,A)
【文献】特開平3-69415(JP,A)
【文献】特開平9-110012(JP,A)
【文献】特開2018-184177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体を本体に装着した状態で閉止される開閉可能な脱気室と、
前記本体と前記蓋体に夫々配設されて、前記蓋体を前記本体に装着した状態で、前記脱気室の周囲で相互に圧接する一対のパッキンと
を備え、
前記一対のパッキンの間に包装袋を挟持して、閉止された前記脱気室内に前記包装袋の袋口を配置した状態で、前記脱気室内を減圧することにより、前記包装袋を脱気可能な脱気装置であって、
前記一対のパッキンの、前記包装袋を挟持する挟圧面に開口して、前記包装袋を挟んで相互に対向することとなる一対又は複数対の吸引口と、
前記吸引口の内部を減圧可能な減圧手段と
を備え、
前記一対のパッキンの間に内側が平滑な前記包装袋を挟持して、閉止された前記脱気室内に前記包装袋の袋口を配置した状態で、前記減圧手段によって前記吸引口の内部を減圧すると、前記一対のパッキンの間に前記包装袋を挟持した状態で、前記包装袋の内部に、前記脱気室の内側と外側を連通する通気路が形成され得るよう構成されたことを特徴とする脱気装置。
【請求項2】
前記包装袋を脱気した状態で、前記包装袋の袋口を封止可能なものであり、
前記本体と前記蓋体の一方に、前記脱気室内で前記袋口を封止するための電熱線が配設されており、
前記本体と前記蓋体の他方に、前記脱気室内で前記袋口を前記電熱線に押圧するための押圧部材が配設されており、
前記押圧部材は、閉止された前記脱気室内で、前記電熱線と前記押圧部材の間に配置される前記袋口を、前記電熱線に押圧可能となる押圧位置と、前記電熱線に押圧不能となる退避位置とに移動可能に保持されており、
前記押圧部材は、付勢手段の弾性力によって前記退避位置に付勢されており、閉止された前記脱気室内が所定圧以下まで減圧されると、前記脱気室の内外の気圧差によって、前記付勢手段の弾性力に抗して前記押圧位置まで移動するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の脱気装置。
【請求項3】
前記減圧手段は、
前記本体に配設された真空ポンプと、
前記本体側の前記パッキンの前記吸引口と前記真空ポンプを連通する第1の吸引管と、
前記蓋体側の前記パッキンの前記吸引口と前記真空ポンプを連通する第2の吸引管と
を備え、
前記一対のパッキンには、前記蓋体を前記本体に装着した状態で、前記包装袋を挟持せず、相互に密接する密接面に、相互に重なり合う連結口が夫々開口しており、
前記第2の吸引管は、
前記本体に配設されて、前記本体側の前記パッキンの前記連結口と前記真空ポンプを連通する本体側吸引管と、
前記蓋体に配設されて、前記蓋体側の前記パッキンの吸引口と前記蓋体側の前記パッキンの前記連結口とを連通する蓋体側吸引管と
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脱気装置。
【請求項4】
前記蓋体を前記本体に装着した状態で、前記一対のパッキンの密着度合いが、所定度合い以上となるのを防止するストッパを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の脱気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物を収容した包装袋を脱気する脱気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被包装物を収容した包装袋を脱気する脱気装置は広く知られている。こうした脱気装置には、包装袋の袋口にノズルを挿入して脱気するタイプ(例えば、特許文献1)と、包装袋全体を脱気室内に収容して脱気するタイプ(例えば、特許文献2)と、包装袋の袋口周辺部のみを脱気室内に配置して脱気するタイプ(例えば、特許文献3)とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実登3166827号公報
【文献】実登3035523号公報
【文献】特開2003-040214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の脱気装置では、脱気の際にノズルを袋内に挿入するため、ノズルを介して袋内が汚染される危険性が高いという問題がある。上記特許文献2の脱気装置では、ノズルを挿入せずに包装袋を脱気するため、かかる問題は生じない。しかしながら、被包装物を収容した包装袋全体を収容可能なサイズの脱気室が必要であるため、装置が大型であるという問題がある。特許文献3の脱気装置であれば、上記の問題はいずれも生じない。しかしながら、特許文献3の脱気装置は、内側面に凹凸が形成された特殊な包装袋の使用が前提となっており、内側が平滑な通常の包装袋は使用できず、ランニングコストが高いという問題がある。特許文献3の脱気装置は、脱気室を形成する蓋体と本体の間に包装袋を挟持した状態で脱気するため、通常の包装袋を使用すると、袋内の空気が、蓋体と本体に挟持された部分を通過できず、袋内の空気を袋口から上手く排出できないためである。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、袋口へのノズルの挿入が不要であり、かつ、内側が平滑な包装袋を使用可能で、コンパクトな脱気装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、蓋体を本体に装着した状態で閉止される開閉可能な脱気室と、前記本体と前記蓋体に夫々配設されて、前記蓋体を前記本体に装着した状態で、前記脱気室の周囲で相互に圧接する一対のパッキンとを備え、前記一対のパッキンの間に包装袋を挟持して、閉止された前記脱気室内に前記包装袋の袋口を配置した状態で、前記脱気室内を減圧することにより、前記包装袋を脱気可能な脱気装置であって、前記一対のパッキンの、前記包装袋を挟持する挟圧面に開口して、前記包装袋を挟んで相互に対向することとなる一対又は複数対の吸引口と、前記吸引口の内部を減圧可能な減圧手段とを備え、前記一対のパッキンの間に前記包装袋を挟持して、閉止された前記脱気室内に前記包装袋の袋口を配置した状態で、前記減圧手段によって前記吸引口の内部を減圧すると、前記包装袋の内部に、前記脱気室の内側と外側を連通する通気路が形成され得るよう構成されたことを特徴とする脱気装置である。
【0007】
かかる構成にあっては、吸引口の内部を減圧することにより、包装袋の内部に、包装袋を挟持するパッキンの間を通過可能な通気路を形成可能であるため、内側が平滑な包装袋であっても、当該通気路を介して袋内の空気を袋口から適切に排出できる。このように、本発明の脱気装置は、内側が平滑な包装袋であっても、袋口にノズルを挿入することなく適切に脱気できる。また、本発明の脱気装置は、蓋体と本体の間に包装袋を挟持するタイプであり、脱気室内には包装袋の一部しか収容しないため、コンパクトに実現できるという利点がある。
【0008】
本発明にあって、前記包装袋を脱気した状態で、前記包装袋の袋口を封止可能なものであり、前記本体と前記蓋体の一方に、前記脱気室内で前記袋口を封止するための電熱線が配設されており、前記本体と前記蓋体の他方に、前記脱気室内で前記袋口を前記電熱線に押圧するための押圧部材が配設されており、前記押圧部材は、閉止された前記脱気室内で、前記電熱線と前記押圧部材の間に配置される前記袋口を、前記電熱線に押圧可能となる押圧位置と、前記電熱線に押圧不能となる退避位置とに移動可能に保持されており、前記押圧部材は、付勢手段によって前記退避位置に付勢されており、閉止された前記脱気室内が所定圧以下まで減圧されると、前記脱気室の内外の気圧差によって、前記付勢手段の付勢力に抗して前記押圧位置まで移動するよう構成されていることが提案される。
【0009】
かかる構成によれば、脱気室内が所定圧以下に減圧されるまでは、袋口が押圧部材によって電熱線に押圧されないため、包装袋内の空気を袋口から円滑に排出できる。また、かかる構成では、脱気室内外の気圧差によって押圧部材を変位させるため、押圧部材を変位させるための駆動手段が不要となる。
【0010】
また、本発明にあって、前記減圧手段は、前記本体に配設された真空ポンプと、前記本体側の前記パッキンの前記吸引口と前記真空ポンプを連通する第1の吸引管と、前記蓋体側の前記パッキンの前記吸引口と前記真空ポンプを連通する第2の吸引管とを備え、前記一対のパッキンには、前記蓋体を前記本体に装着した状態で、前記包装袋を挟持せず、相互に密接する密接面に、相互に重なり合う連結口が夫々開口しており、前記第2の吸引管は、前記本体に配設されて、前記本体側の前記パッキンの前記連結口と前記真空ポンプを連通する本体側吸引管と、前記蓋体に配設されて、前記蓋体側の前記パッキンの吸引口と前記蓋体側の前記パッキンの前記連結口とを連通する蓋体側吸引管とを備えることが提案される。
【0011】
かかる構成では、蓋体を本体に装着した状態で、一対のパッキンが密接して、本体側と蓋体側のパッキンの連結口が接続されることにより、蓋体側のパッキンの吸引口が真空ポンプと接続されるため、蓋体側のパッキンの吸引口と真空ポンプを接続する吸引管を簡素化できる。また、蓋体を取り外した時に、本体側吸引管と蓋体側吸引管が分離されるため、吸引管に拘束されることなく、蓋体を本体から分離できるという利点がある。
【0012】
また、本発明にあって、前記蓋体を前記本体に装着した状態で、前記一対のパッキンの密着度合いが、所定度合い以上となるのを防止するストッパを備えることが提案される。
脱気室内を減圧した時に、脱気室内外の気圧差によって、蓋体が本体に押し付けられるが、この時に、パッキン同士が過度に密着してしまうと、吸引口の周囲でパッキンが変形し難くなって、通気路が形成され難くなる。これに対して、かかる構成とすれば、パッキンが過度に密着するのを防止できるため、吸引口の周囲で通気路を容易に形成可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、袋口にノズルを挿入することなく包装袋を脱気可能であり、かつ、内側が平滑な包装袋を使用できる、コンパクトな脱気装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】装着状態の脱気装置1の斜視図である。
図2】開放状態の脱気装置1の斜視図である。
図3】蓋体4の底面側を示す斜視図である。
図4】装着状態の脱気装置1の拡大縦断面図である。
図5】開放状態の脱気装置1の縦断面図である。
図6】蓋体4を省略して示す脱気装置1の平面図である。
図7】蓋体4の底面図である。
図8】本体側パッキン11aを分離して示す脱気装置1の斜視図である。
図9】蓋体側パッキン11bを分離して示す蓋体4の斜視図である。
図10】脱気装置1の制御回路を示すブロック図である。
図11】脱気工程を示す説明図である。
図12】(a)は、図11中のW部分の拡大図であり、(b)は、図11中のX部分の拡大図である。
図13】脱気工程における脱気装置1の正面側中央部の拡大図であり、(a)は吸引口21a,21bの減圧前の状態を示し、(b)は吸引口21a,21bの減圧後の状態を示す。
図14図11から続く、脱気工程を示す説明図である。
図15】(a)は、図14中のY部分の拡大図であり、(b)は、図14中のZ部分の拡大図である。
図16】実施例2に係る脱気工程を示す説明図である。
図17図16から続く、実施例2に係る脱気工程を示す説明図である。
図18】変形例の脱気装置1aに係る(a)斜視図と(b)拡大縦断面図である。
図19】変形例の脱気装置1bに係る(a)斜視図と(b)拡大縦断面図である。
図20】変形例の吸引口211~216を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を以下の実施例により説明する。なお、以下の実施例にあって、本発明に係る減圧手段は、真空ポンプ29及び吸引管27a~27cに相当する。また、本発明に係る第1の吸引管は吸引管27aに相当し、第2の吸引管は吸引管27b,27cに相当する。そして、本発明に係る本体側吸引管は吸引管27bに相当し、蓋体側吸引管は吸引管27cに相当する。また、本発明に係る付勢手段は、弾性パッキン17に相当する。また、本発明に係るストッパは、内壁部37a,37bに相当する。
【実施例1】
【0016】
本実施例の脱気装置1は、被包装物を収容したプラスチック製の包装袋を、脱気した後に、袋口を溶着して封止するものである。図1,2に示すように、脱気装置1は、本体2と、アーム3を介して本体2に連結された蓋体4とを備えている。蓋体4は、アーム3を回動させることによって、本体2の前側部の上に装着される装着状態(図1参照)と、本体2の上方に離間する開放状態(図2参照)とに変換可能となっている。アーム3は図示しないバネによって一方向に付勢されており、かかるバネの付勢力によって蓋体4は、開放状態に保持される。本体2には、装着状態の蓋体4と係合可能な可動フック6が配設されており、バネの付勢力に抗して蓋体4を開放状態から装着状態に変換すると、可動フック6によって蓋体4が装着状態に保持される。蓋体4と係合した可動フック6は、本体2の上部に配設された解除ボタン7を操作することで、蓋体4と係合しない位置まで退避可能となっており、装着状態に保持された蓋体4は、解除ボタン7の操作によって、開放状態に復帰させることができる。また、本体2の上面左側部には、作動状態を示す表示ランプ12が配設される。
【0017】
図2~5に示すように、本体2の筐体8aの前側部の上面と、蓋体4の筐体8bの底面には、蓋体4の装着状態で上下に対向する位置に、脱気室10を形成する一対の凹部9a,9bが夫々形成される。2つの凹部9a,9bの開口は、略同じ横長形状をなしており、蓋体4の装着状態では、2つの凹部9a,9bの開口が整一に重なり合うことで、本体2と蓋体4の間に閉止された脱気室10が形成される。そして、図5に示すように、蓋体4の開放状態では、2つの凹部9a,9bが分離することで脱気室10が開放される。本体2の筐体8aと、蓋体4の筐体8bには、凹部9a,9bの開口縁を囲繞するように、一対の環状パッキン11a,11bが配設される。蓋体4の装着状態で、かかるパッキン11a,11bが、脱気室10の周囲で相互に圧接することにより脱気室10が密閉される。
【0018】
図2に示すように、本体側の凹部9aには、幅方向に延びるリブ13が配設されており、リブ13の上面に、電熱線14が長手方向に沿って配設される。脱気装置1は、かかる電熱線14に一時的に大電流を流して加熱することによりインパルスシール方式で包装袋の袋口を封止する。なお、電熱線14は、包装袋の付着を防止するために保護テープで覆うようにしてもよい。
【0019】
図3~5に示すように、蓋体側の凹部9bには、幅方向に延びるシリコンゴム製の押圧部材15が配設される。押圧部材15は、蓋体4の装着状態で電熱線14と上下に対向する位置に保持されている。押圧部材15は、蓋体4の筐体8bに上下に移動可能に取り付けられた保持部材16に保持されている。図4に示すように、保持部材16は、筐体8bと保持部材16の間に介装された弾性パッキン17の弾性力によって上方に付勢されている。押圧部材15は、通常は、上方付勢された保持部材16によって、底面を電熱線14から離間させる退避位置Pに保持されるが、後述するように、弾性パッキン17の弾性力に抗して下降させることにより、底面で電熱線14を押圧可能な押圧位置Qまで下降させ得るよう構成されている(図15参照)。
【0020】
図6,7に示すように、本体2と蓋体4のパッキン11a,11bは、蓋体4の装着状態で相互に圧接する面23,24のうち、前側部が包装袋Fを挟持する挟圧面23を構成し、左右両側部と後側部は、包装袋Fを挟持せず、相互に密着する密接面24を構成する。各パッキン11a,11bの挟圧面23の中央部には、包装袋Fを上下に拡開させるための円形の吸引口21a,21bが3つずつ開口している。また、各パッキン11a,11bの密接面24の左右両側部には、蓋体4の装着状態で相互に重なり合う円形の連結口22a~22dが開口している。また、図7に示すように、蓋体4の筐体8bには、脱気室10の空気を排出するための脱気口20が開口している。
【0021】
上述した脱気口20と吸引口21a,21bは、本体2の筐体8aの内部に配設された真空ポンプ29の吸気口と接続される。具体的には、図6,7に示すように、脱気口20は、本体側の脱気管25aと蓋体側の脱気管25bを介して真空ポンプ29と接続される。本体側の脱気管25aは、筐体8aを構成する硬質樹脂と、筐体8aの内部に配設されたシリコンチューブによって形成されており、本体側パッキン11aの密接面24の右側部に開口する連結口22aと真空ポンプ29を連通する。蓋体側の脱気管25bは、筐体8bを構成する硬質樹脂によって形成されており、蓋体側パッキン11bの密接面24の右後部に開口する連結口22bと脱気口20を連通する。そして、蓋体4の装着状態で、各連結口22a,22bが重なった状態でパッキン11a,11bが密着することにより、本体側と蓋体側の脱気管25a,25bが接続されるよう構成されている。また、本体側の脱気管25aには、電磁弁30aと真空度調節用のレギュレータ31aが配設される。
【0022】
また、図6に示すように、本体側パッキン11aに開口する吸引口21aは、本体2の筐体8aを構成する硬質樹脂と、筐体8aの内部のシリコンチューブによって形成された吸引管27aを介して真空ポンプ29と接続される。また、図6,7に示すように、蓋体側パッキン11bに開口する吸引口21bは、本体側の吸引管27bと、蓋体側の吸引管27cを介して真空ポンプ29と接続される。本体側の吸引管27bは、筐体8aを構成する硬質樹脂と、筐体8aの内部に配設されたシリコンチューブによって形成されており、本体側パッキン11aの密接面24の左側部に開口する連結口22cと真空ポンプ29を連通する。蓋体側の吸引管27cは、筐体8bを構成する硬質樹脂によって形成されており、蓋体側パッキン11bの密接面24の左後部に開口する連結口22dと蓋体側の吸引口21bを連通する。そして、蓋体4の装着状態で、各連結口22c,22dが重なった状態でパッキン11a,11bが密着することにより、本体側と蓋体側の吸引管27b,27cが接続されるよう構成されている。また、本体側の吸引管27a,27bには、電磁弁30bと真空度調節用のレギュレータ31bが配設される。なお、脱気管25aと吸引管27a,27bは、真空ポンプ29の近くで合流しているが、吸引管27a,27bに配設される電磁弁30bとレギュレータ31bは、脱気管25aに配設されたものとは異なるものであり、脱気管25aと吸引管27a,27bは、独立して開閉制御され、また、異なる真空度に調整される。具体的には、本実施例では、真空ポンプ29の作動時に、吸引口21a,21bの方が、脱気口20(脱気室10)よりも真空度が高くなるよう設定される。
【0023】
図8,9に示すように、本体側パッキン11aと蓋体側パッキン11bは、同じ形状の環状のシリコンゴムからなるものである。各パッキン11a,11bの挟圧面23と密接面24は、相互に密着し得るように、かつ、包装袋Fの表面にも密着し得るように、水平な平坦面となっている。夫々の挟圧面23の中央部には、吸引口21a,21bを形成する円形の貫通孔35a,35bが上下に貫通している。また、各パッキン11a,11bの密接面24の左右両側部には連結口22a~22dを形成する円形の貫通孔36a,36bが上下に貫通している。各パッキン11a,11bの貫通孔35a,35b,36a,36bは、蓋体4の装着状態で、対向位置に形成された夫々の吸引口21a,21bと連結口22a~22dがぴたりと重なり合うように、挟圧面23及び密接面24の対称位置に同じ大きさ・同じ形状で形成される。
【0024】
図8に示すように、本体側パッキン11aは、本体2の筐体8aの凹部9aの周りに形成された環状の溝穴34aに嵌着される。溝穴34aには、円筒形状の吸引管27a,27bと脱気管25aの端部が夫々突設されており、本体側パッキン11aは、吸引口21aや連結口22a,22cを形成する貫通孔35a,36aを、脱気管25aと吸引管27a,27bの端部に夫々外嵌させるようにして、溝穴34aに嵌着される。かかる構成のように、本体側パッキン11aを嵌着すれば、本体側パッキン11aに開口する吸引口21a等を、吸引管27a等と容易に接続することができ、また、本体側パッキン11aを溝穴34aに嵌着する際に、吸引口21a等の位置が溝穴34aの長手方向にずれることもなくなる。
【0025】
図9に示すように、蓋体側パッキン11bは、蓋体4の筐体8bの凹部9bの周りに形成された環状の溝穴34bに嵌着される。溝穴34bには、円筒形状の吸引管27cと脱気管25bの端部が夫々突設されており、蓋体側パッキン11bは、吸引口21bや連結口22b,22dを形成する貫通孔35b,36bを、脱気管25bと吸引管27cの端部に夫々外嵌させるようにして、溝穴34bに嵌着される。かかる構成のように蓋体側パッキン11bを嵌着すれば、蓋体側パッキン11bに開口する吸引口21b等を、吸引管27c等と容易に接続することができ、また、蓋体側パッキン11bを溝穴34bに嵌着する際に、吸引口21b等の位置が溝穴34bの長手方向にずれることもなくなる。
【0026】
図2,3に示すように、脱気室10の内壁を形成する筐体8a,8bの内壁部37a,37bは、パッキン11a,11bよりも1mm程度低くなっている。かかる内壁部37a,37bは、パッキン11a,11bが過度に密着するのを防止するストッパとして機能する。すなわち、かかる内壁部37a,37bは、蓋体4の装着状態において、蓋体4が押し下げられて、パッキン11a,11bが厚み方向(上下方向)に圧縮された時に相互に当接することにより、パッキン11a,11bがそれ以上密着するのを防止する。なお、内壁部37a,37bの前側に関しては、包装袋Fが間に設置されるため、内壁部37a,37bが包装袋Fと接触しないよう、背面側や両側よりも高さが低くなっている。すなわち、ストッパとして機能するのは、内壁部37a,37bの両側及び背面側のみである。
【0027】
パッキン11a,11bの挟圧面23に形成される吸引口21a,21bは、内部を陰圧にすることで、吸引口21a,21bの周囲のパッキン11a,11bを、包装袋Fに吸着させつつ、挟圧面23を相互に離間させる方向に弾性変形させるためのものである。図4~7に示すように、各パッキン11a,11bに形成された3つの吸引口21a,21bは、上下に対をなすように、包装袋Fを挟んで相互に対向する位置に形成される。具体的には、各吸引口21a,21bは、パッキン11a,11bの前後幅の半分程度の直径の円形状をなしており、挟圧面23の中央部に、挟圧面23の前後幅の中心線に沿って等間隔に形成される。なお、図8,9に示すように、吸引口21a,21bを形成するパッキン11a,11bの貫通孔35a,35bには、円筒形状の硬質の吸引管27a,27cの端部が内嵌するが、図4,5に示すように、吸引管27a,27cの端部は、吸引口21a,21bの1cm程度手前までしか挿入されず、吸引口21a,21bは変形し易いパッキン11a,11bのみにより形成されている。
【0028】
図10は、脱気装置1の制御回路を示したものである。脱気装置1の制御装置40は、マイクロコンピュータからなるものであり、本体2の筐体8aの内部に配設される。 制御装置40には、開閉位置検知スイッチ41、及び押圧検知スイッチ42から信号が入力される。そして、制御装置40は、これらの入力信号に基づいて、表示ランプ12、真空ポンプ29、電磁弁30a,30b、及び電熱線通電スイッチ43を制御する。なお、制御装置40は、マイクロコンピュータに替えて、シーケンス回路で構成することも可能である。
【0029】
開閉位置検知スイッチ41は、本体2の筐体8aの内部に配設されて、可動フック6の位置を検出することにより、蓋体4が装着状態であるか否かを検知するリミットスイッチである。押圧検知スイッチ42は、蓋体4の筐体8bの内部に配設されて、保持部材16の位置を検出することにより、押圧部材15の底面が電熱線14を押圧しているか否かを検知するリミットスイッチである。電熱線通電スイッチ43は、電熱線14を通電状態と非通電状態に切り替えるスイッチであり、制御装置40は、電熱線通電スイッチ43を介して電熱線14の通電状態を制御することにより、電熱線14を所要のタイミングで発熱させる。真空ポンプ29は、上述のように、脱気口20と吸引口21a,21bから空気を吸引するためのものであり、制御装置40は、真空ポンプ29と電磁弁30a,30bを制御することにより、脱気口20と吸引口21a,21bから選択的に空気を吸引する。
【0030】
以下に、本実施例の脱気装置1の使用方法について説明する。
本実施例の脱気装置1は、被包装物Hを収容したプラスチック製の包装袋Fをセットして、蓋体4を装着状態にすると、包装袋Fを脱気する脱気工程と、脱気した状態で包装袋Fの袋口Gを封止する封止工程とを実行する。具体的には、包装袋Fは、蓋体4の開放状態で、図6に示すように、袋口Gが脱気室10の内部で全幅に亘って電熱線14の上に重なるように、かつ、包装袋Fが挟圧面23の吸引口21aの上に重なるように包装袋Fをセットする。包装袋Fは、平滑なプラスチックフィルムからなる一般的な包装袋が好適に用いられる。包装袋Fの形状は、一辺に袋口Gが形成されたものであればよく、三方袋、二方袋、ボトムシール袋などが好適に用いられる。包装袋Fをセットした状態で蓋体4を装着状態に変換して脱気室10を密閉すると、図11(a),12(a),13(a)に示すように、パッキン11a,11bの挟圧面23によって包装袋Fが全幅に亘って挟圧され、これにより、包装袋Fは、パッキン11a,11bによって袋内が脱気室10の内側と外側に隔絶された状態で挟持される。
【0031】
蓋体4が装着状態で可動フック6に係止されると、開閉位置検知スイッチ41が可動フック6の変位を検知して制御装置40に検知信号を出力し、かかる検知信号を契機として、制御装置40が脱気工程を開始する。具体的には、脱気工程では、最初に、真空ポンプ29を作動させるとともに、吸引管27a,27bの電磁弁30bを開放して、吸引口21a,21bの内部を減圧する。吸引口21a,21bの内部が減圧されて陰圧となると、図11(b),12(b),13(b)に示すように、吸引口21a,21bの周囲のパッキン11a,11bが、包装袋Fの上下両側に吸着するとともに、減圧された吸引口21a,21bの内部の体積を減らすように、挟圧面23を相互に離間させる方向に変形する。これにより、吸引口21a,21bの周囲では、包装袋Fの表裏のフィルムF1,F2が上下に引き離されて包装袋Fの内部に隙間が形成される。そして、かかる隙間が、パッキン11a,11bの前縁と後縁まで達することにより、包装袋Fの内部に、脱気室10の内側と外側を連通する通気路38が形成される。なお、吸引口21a,21bの周囲では、包装袋FのフィルムF1,F2に各パッキン11a,11bの挟圧面23が吸着しているため、吸引口21a,21bの周囲で挟圧面23が相互に離間しても、挟圧面23の間から外気が脱気室10に流入することはない。
【0032】
制御装置40は、吸引管27a,27bの電磁弁30bを一定時間開放すると、電磁弁30bを閉止して、吸引口21a,21bの陰圧状態を保持する。なお、電磁弁30bの開放時間は、吸引口21a,21bの周囲に通気路38が形成されるのに十分な時間であればよい。続いて、制御装置40は、脱気管25aの電磁弁30aを開放して脱気室10を減圧する。図12(b)に示すように、かかる時点では、包装袋Fの内部は、通気路38を通じて脱気室10と連通しており、押圧部材15は電熱線14から離間しているため、包装袋Fの内部の空気は、円滑に袋口Gから脱気室10に排出されて、真空ポンプ29に吸い出される。これにより図11(b)に示すように、包装袋Fが脱気されて、包装袋Fが被包装物Hの表面に密着する。
【0033】
脱気工程において、脱気室10の気圧が低下していくと、脱気室10の内外の気圧差によって蓋体4が押し下げられていくが、図14(a)に示すように、蓋体4がある程度押し下げられた時点で、脱気室10を形成する筐体8a,8bの内壁部37a,37bが相互に当接して、蓋体4の下降が停止する。蓋体4の下降によってパッキン11a,11bが過度に密着すると、パッキン11a,11bの間に形成された通気路38が潰れて包装袋Fの空気を排出困難となるが、本実施例では、内壁部37a,37bの当接によって蓋体4の下降を阻止することで、パッキン11a,11bが過度に密着するのを防ぎ、通気路38を、包装袋Fの空気を排出可能な状態に維持する。また、図14(a)、15(a)に示すように、蓋体4の下降によって、押圧部材15が電熱線14に近づいていくが、本体側と蓋体側の内壁部37a,37bが相互に当接した時点では、押圧部材15は退避位置Pに保持されて電熱線14から離間しているため、包装袋Fの内部の空気の排出が、電熱線14と押圧部材15によって阻害されることはない。
【0034】
内壁部37a,37bが当接して、蓋体4の下降が停止した状態から、脱気室10の気圧がさらに低下していくと、蓋体4に保持された保持部材16が、脱気室10の内外の気圧差によって、弾性パッキン17の付勢力を上回る力で下方に吸引されることにより、押圧部材15が電熱線14に近づいていく。そして、包装袋Fが十分に脱気されて、脱気室10の気圧が所定気圧以下まで減圧されると、図14(b),15(b)に示すように、押圧部材15が底面を電熱線14と当接可能な押圧位置Qまで下降して、電熱線14の上に配置された袋口Gが、押圧部材15によって電熱線14に押し付けられる。
【0035】
押圧部材15が押圧位置Qまで下降すると、押圧検知スイッチ42が押圧部材15の変位を検知して制御装置40に検知信号を出力し、かかる検知信号を契機として、制御装置40は、電磁弁30aを閉止するとともに真空ポンプ29を停止させて、脱気工程から封止工程に移行する。封止工程では、制御装置40は電熱線通電スイッチ43をONにして電熱線14に一時的に大電流を供給し、発熱した電熱線14により袋口Gを全幅に亘って加熱・溶着して、袋口Gを封止する。制御装置40は、所定時間が経過すると、電熱線通電スイッチ43をOFFにして、電熱線14を非通電状態にする。そして、一定の冷却時間をおいた後で、封止工程を終了する。
【0036】
制御装置40は、封止工程の終了後、電磁弁30a,30bを開放して、脱気室10と吸引口21a,21bに外気を流入させるとともに、表示ランプ12を所定態様で点灯させて、脱気・封止の完了を報知する。これにより、解除ボタン7の操作により蓋体4を開放状態に変換して、脱気・封止された包装袋Fを取り外し可能となる。
【0037】
このように、本実施例の脱気装置1では、包装袋Fをパッキン11a,11bで挟持した状態で、挟圧面23に形成された吸引口21a,21bを減圧することによって、パッキン11a,11bの間に通気路38が形成されるため、内側面が平滑な包装袋Fであっても、包装袋Fの内部の空気を袋口Gから脱気室10に排出可能となる。したがって、本実施例の脱気装置1では、内側が平滑なプラスチック製の包装袋Fであっても、袋口Gにノズルを挿入することなく適切に脱気できる。また、本実施例の脱気装置1は、脱気室10内に包装袋F全体を収容する必要はないため、コンパクトに実現できるという利点がある。また、本実施例の脱気装置1は、内側に凹凸が形成されたプラスチック製の包装袋であっても、内側が平滑な包装袋の場合と同様の方法で、脱気・封止できるため、内側に凹凸が形成された包装袋しか手元にない場合でも、被包装物Hを当該包装袋に収容して、脱気・封止できるという利点がある。特に、本実施例では、筐体8a,8bの内壁部37a,37bが、パッキン11a,11bが過度に密着するのを防止するストッパとして機能するため、吸引口21a,21bの周囲に通気路38を容易に形成できるという利点がある。
【0038】
また、本実施例では、脱気工程において、脱気室10が所定圧以下まで減圧されると、脱気室10の内外の気圧差によって押圧部材15が押圧位置Qまで下降して、袋口Gを電熱線14で封止可能となるよう構成されているため、包装袋Fが十分脱気されるまで、押圧部材15と電熱線14の間から空気を円滑に排出できる。また、かかる構成とすれば、脱気室10の内外の気圧差によって押圧部材15を変位させるため、押圧部材15を変位させるための駆動手段が不要であるという利点もある。
【0039】
また、本実施例では、各パッキン11a,11bの密接面24に、蓋体4の装着状態で相互に重なり合う位置に連結口22c,22dを形成し、真空ポンプ29と本体側パッキン11aの連結口22cを連通する本体側の吸引管27bと、蓋体側パッキン11bの吸引口21bと連結口22dを連通する吸引管27cが、蓋体4の装着状態で連結口22c,22dを介して接続されるよう構成されている。このため、本実施例の脱気装置1は、蓋体側パッキン11bの吸引口21bと真空ポンプ29を接続する吸引管27b,27cを簡素化できる。また、蓋体4の開放状態では、吸引管27b,27cが本体側と蓋体側に分離されるため、吸引管27b,27cに拘束されることなく、蓋体4を比較的自由に移動させることができる。
【実施例2】
【0040】
本実施例は、実施例1の構成を一部変更したものである。具体的には、本実施例は、実施例1に係る弾性パッキン17を、実施例1よりも弾性率の高い材料で構成して、実施例1よりも強く保持部材16を上方付勢することで、押圧部材15が押圧位置Qまで下降する時の脱気室10の気圧が、実施例1よりも低くなるよう構成したものである。弾性パッキン17の形状は実施例1と同じであり、また、その他の構成は実施例1と同様であるため、以下では、一部で実施例1と同じ図面を参照するとともに、本文中及び図中で実施例1と共通の符号を使用して説明する。
【0041】
本実施例の脱気装置1は、上記実施例1と同様に、包装袋Fをセットして、蓋体4を装着状態にすると、脱気工程と封止工程を順番に実行するよう構成される。本実施例の脱気工程は、開始から一定期間は上記実施例1と同様に進行する。すなわち、まず、真空ポンプ29によって吸引口21a,21bの内部が減圧されて、吸引口21a,21bの周囲のパッキン11a,11bが、吸引口21a,21bの内外の圧力差によって変形し易くなる。これにより、吸引口21a,21bの周囲において、パッキン11a,11bの間に包装袋Fの内部の空気が侵入し易くなって、図12(b)に示すように、吸引口21a,21bの付近で、包装袋Fの内部の空気が、パッキン11a,11bの間を通過して、脱気室10に流出可能となる。なお、かかる状態では、吸引口21a,21bが陰圧となることで、吸引口21a,21bの周囲において、包装袋Fが各パッキン11a,11bに吸着されるため、包装袋Fの表裏のフィルムF1,F2と、パッキン11a,11bの挟圧面23との間から外気が脱気室10に流入困難となっている。
【0042】
続いて、実施例1の脱気工程と同様に、吸引口21a,21bの陰圧状態を保持しつつ、脱気室10を減圧する。これにより、図12(b)に示すように、包装袋Fの内部の空気が、吸引口21a,21b付近のパッキン11a,11bの間に形成された通気路38を通り、袋口Gから脱気室10に排出されて、真空ポンプ29に吸い出される。そして、図11(b)に示すように、包装袋Fが脱気されていき、包装袋Fが被包装物Hの表面に密着する。また、脱気室10を減圧していくと、脱気室10の内外の気圧差によって蓋体4が押し下げられていき、図14(a)に示すように、筐体8a,8bの内壁部37a,37bが相互に当接した時点で、蓋体4の下降が停止する。本実施例の脱気工程は、図14(a)に示す時点までは、実施例1の脱気工程と同様である。
【0043】
本実施例の脱気工程では、図14(a)に示す時点から、脱気室10がさらに減圧されて、包装袋Fの脱気が進行する。そして、包装袋Fの脱気が進行して、包装袋Fの内部の気圧が低下するに連れて、通気路38が狭くなっていく。ここで、本実施例では、図16に示すように、押圧部材15が押圧位置Qに下降する前に、通気路38を通過しようとする空気の圧力が、パッキン11a,11bの挟圧力を下回って、通気路38が閉塞される。そして、通気路38の閉塞後に、脱気室10の気圧が所定気圧以下まで減圧されると、図17に示すように、押圧部材15が押圧位置Qまで下降して、封止工程が開始される。封止工程以降の工程は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0044】
このように、本実施例の脱気装置1も、上記実施例1と同様の効果を奏するものである。ただし、本実施例では、押圧部材15が押圧位置Qまで下降する時の脱気室10の気圧が、実施例1よりも低くなるよう構成されるため、実施例1では、通気路38が閉じる前に、封止工程が開始されるのに対して(図14(b)参照)、本実施例では、通気路38が閉塞されてから封止工程が開始される。このように、脱気工程において通気路38を閉塞させてから封止工程を実行すれば、袋口Gの封止前に、通気路38から排出した空気が、包装袋Fの内部に逆流するのを防止できる。
【0045】
以上に本発明の実施例を説明したが、本発明は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、上記実施例の脱気装置1は、包装袋Fを脱気した後に、袋口Gをインパルスシール方式で溶着するが、本発明の脱気装置は、袋口Gの溶着を、超音波溶着などの他の方式で行うものであってもよい。さらに言えば、本発明の脱気装置は、包装袋Fの脱気のみを行い、袋口Gの封止は作業者がクリップを用いて手作業で行うものであってもよい。また、本発明の脱気装置は、包装袋Fを脱気した後に、袋内に不活性ガスを充填するものであってもよい。
【0046】
また、上記実施例では、本体2に電熱線14が配設され、蓋体4に押圧部材15が配設されているが、蓋体4に電熱線14を配設し、本体2に押圧部材15を配設するようにしてもよい。また、押圧部材側にも電熱線を配設して、袋口を両側から加熱する構成としてもよい。
【0047】
また、上記実施例の脱気装置1は、蓋体4を手動で開放状態と装着状態に変換するものであるが、本発明の脱気装置は、蓋体をモータ等で開閉するものでもよい。また、上記実施例では、脱気室10の内外の気圧差によって押圧部材15を退避位置Pから押圧位置Qに移動させるが、モータ等の駆動手段によって押圧部材15を移動させるようにしてもよい。また、上記実施例では、押圧検知スイッチ42の検知信号を脱気工程の終了契機としているが、脱気室10が所定圧まで減圧されたことを検知する気圧センサを配設して、当該気圧センサの検知信号を契機に脱気工程を終了するようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施例では、脱気工程において、吸引口21a,21bの真空度が、脱気室10の真空度よりも高くなるように減圧するが、脱気工程において、吸引口と脱気室の真空度が同じになるよう減圧してもよい。また、上記実施例では、吸引口21a,21bを減圧した後に、脱気室10を減圧するが、脱気工程において、真空ポンプ29によって吸引口21a,21bと脱気室10を同時に減圧するようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施例では、蓋体4がアーム3を介して本体2に連結されていたが、本発明に係る蓋体は、本体2に直接移動可能に取り付けられたものであってもよい。また、図18,19に示す変形例の脱気装置1a,1bのように、開放状態で蓋体4が本体2から分離するよう構成されたものでもよい。なお、図18,19では、便宜上、形状は相違するものの、上記実施例と機能の共通する部分に、上記実施例と同一符号を付している。
【0050】
また、上記実施例では、蓋体4を本体2の上に被せるように装着するが、本発明は、図18に示す脱気装置1aのように、蓋体4aを前方から本体2aに嵌め込むものであってもよいし、図19に示す脱気装置1bのように、斜め上方から蓋体4bを本体2bに取り付けるものであってもよい。また、上記実施例では、本体2と蓋体4の離近方向(上下方向)に対して、パッキン11a,11bの挟圧面23が垂直となっているが、図18,19に示すように、挟圧面23は、本体2a,2bと蓋体4a,4bの離近方向に対して斜めに傾いていても構わない。
【0051】
また、上記実施例では、各パッキン11a,11bの挟圧面23の中央部に吸引口21a,21bが3つずつ配設されているが、吸引口の数は、2つ以下でも4つ以上であってもよい。また、吸引口21a,21bは、挟圧面23の中央部に限らず、左右に形成されていてもよいし、挟圧面23の全幅に亘って形成されていてもよい。吸引口21a,21bを挟圧面23の全幅に亘って形成した場合には、挟圧面23の各所に通気路38を形成可能となるため、幅広の包装袋Fを短時間で脱気可能となるし、包装袋Fを比較的自由に設置可能となる。また、挟圧面23の幅の範囲内で、複数の包装袋Fを並置して一度に脱気・封止することが可能となる。また、吸引口21a,21bの間隔は等間隔でなくてもよい。また、本発明に係る吸引口は円形に限られず、図20(a)~20(c)の吸引口211~213に示すように、長孔形状や四角形状、三角形状であってもよい。また、上記実施例では、パッキン11a,11bの挟圧面23の幅が均等であるが、図20(d)~20(f)に示すように、吸引口214~216の形成部分を幅広や幅狭にしてもよい。特に、図20(d)のように、吸引口214を円形状にして、当該吸引口214の周囲の挟圧面23が円環状となるように、パッキン11a,11bを前後に膨出させた場合には、吸引口214の前後でパッキン11a,11bが変形し易くなるため、通気路38が形成され易くなる。また、包装袋Fが挟圧面23に密着し易くなるため、パッキン11a,11bと包装袋Fの間から外気が脱気室10に流入するのを確実に防止できる。さらに言えば、図20(d)に示す構成とした場合には、図20(g)に示すように、パッキン11a,11bを、吸引口214に向けて徐々に径大となる形状にすることが望ましい。かかる構成では、吸引口214の周囲のパッキン11a,11bは、吸盤形状に近似した形状となるため、上下方向に一層変形し易く、かつ、包装袋Fに一層密着し易くなる。なお、一般的には、パッキンの挟圧面に対して吸引口を大きくする程、通気口が形成され易くなるため、本発明に係る吸引口の大きさは、パッキン11a,11bで包装袋Fを挟圧する圧力、脱気室10や吸引口21a,21bの真空度に応じて適宜設定可能である。
【0052】
また、上記実施例では、本体側と蓋体側のパッキン11a,11bは、単一材料で構成されているが、本発明に係るパッキンは、部位毎に異なる材料で構成されていてもよい。例えば、挟圧面23の構成部位を、密接面24の構成部位よりも軟質の材料で構成することが提案される。密接面24は専ら気密性が要求されるのに対して、挟圧面23は、包装袋Fの表面に密着し得る柔軟性も要求されるためである。また、吸引口21a,21bの周囲を、その他の部位よりも軟質の材料で構成することも提案される。吸引口21a,21bの周囲は、包装袋Fに密着したまま変形して通気路38を形成する必要があるため、他の部位よりも柔軟性が求められるためである。このように、部位毎に異なる材料からなるパッキン11a,11bは、多色成形(異種材質複合成形)によって一体成形品として好適に製造可能である。
【0053】
また、上記実施例では、弾性パッキン17が押圧部材15を退避位置Pに付勢する付勢手段を構成しているが、本発明に係る付勢手段は、弾性パッキン17に替えて、コイルバネ等で構成しても構わない。また、上記実施例では、脱気室10が所定圧以下まで減圧されると、押圧部材15が自動的に押圧位置Qに移動するよう構成されているが、脱気室10が所定圧以下に減圧された状態でも、押圧部材15を退避位置Pに保持する保持手段を配設して、脱気室10が所定圧以下になった後で、当該保持手段を手動で解除することによって、押圧部材15を任意のタイミングで押圧位置Qに移動させ得るようにしてもよい。保持手段の構成は特に限定されないが、具体例としては、押圧部材15や保持部材16を退避位置Pに係止する係止機構や、弾性パッキン17の外側の空間に外気が流入するのを防いで、弾性パッキン17を押圧位置Qへ移動させるための気圧差が生じないようにする開閉バルブなどが挙げられる。
【0054】
また、上記実施例では、連結口22a~22dの周囲の密接面24が平坦となっているが、一方の連結口22a,22cの周囲の密接面24を凸形状とし、他方の連結口22b,22dの周囲の密接面24を凹形状として、蓋体4の装着状態において、連結口22a~22dの周囲で、対向する密接面24が嵌合するようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施例では、パッキン11a,11bの間に形成される通気路38を、便宜上、大きめに図示しているが、本発明に係る通気路は、包装袋の内部の気体を脱気室に排出し得る程度の隙間であればよく、目視で識別困難なほど、幅狭な隙間であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,1a,1b 脱気装置
2,2a,2b 本体
4,4a,4b 蓋体
8a,8b 筐体
9a,9b 凹部
10 脱気室
11a,11b パッキン
14 電熱線
15 押圧部材
16 保持部材
17 弾性パッキン(付勢手段)
21a,21b,211~216 吸引口
22a,22b,22c,22d 連結口
23 挟圧面
24 密接面
27a,27b,27c 吸引管
29 真空ポンプ
38 通気路
F 包装袋
G 袋口
H 被包装物
P 退避位置
Q 押圧位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20